JP2018189076A - 歯車ポンプ用ロータおよび歯車ポンプ - Google Patents

歯車ポンプ用ロータおよび歯車ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】歯車ポンプ用ロータにおいて騒音等を低減するとともに、ポンプ体積に対する吐出量を増大する。【解決手段】歯車ポンプ用ロータ4は、外側を向くn個(nは2以上の整数)の歯42を有するインナーロータ41と、インナーロータ41の周囲を囲む環状であり、インナーロータ41に対して偏心して配置され、内側を向く(n+1)個の歯47を有するアウターロータ46と、を備える。インナーロータ41およびアウターロータ46の一方の部材が、一の基礎円に基づくトロコイド曲線に沿って、基礎円よりも小さい成形円を移動することにより得られる包絡線を設定曲線として、それぞれが第1設定曲線に沿った縁を有する歯底部群と、それぞれが、第1設定曲線と異なる第2設定曲線に沿った縁を有する歯先部群と、を備える。インナーロータ41およびアウターロータ46の他方の部材と、第1設定曲線との間に、歯先部群の縁が位置する。【選択図】図2

Description

本発明は、歯車ポンプ用ロータおよび歯車ポンプに関する。
従来、車載用のオイルポンプとして歯車ポンプが用いられている。歯車ポンプにおいて、吐出量の増大や、騒音の低減等を実現するには、インナーロータおよびアウターロータの設計が重要となる。例えば、国際公開第WO2008/111270号では、数学曲線によって構成された歯形形状に対して、周方向への変形と、径方向への変形とを行う手法が開示されている。当該数学曲線として、サイクロイド曲線、または、トロコイド曲線上に中心を有する円弧群の包絡線等が例示されている。
国際公開第WO2008/111270号
ところで、歯車ポンプにおいて、ポンプ体積に対する吐出量を増大するには、インナーロータおよびアウターロータの歯丈を大きくすることが有効であるが、騒音等を低減するとともに、歯丈を大きくすることは容易ではない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、歯車ポンプ用ロータにおいて騒音等を低減するとともに、歯丈を容易に大きくすることを目的としている。
本発明の例示的な歯車ポンプ用ロータは、外側を向くn個(nは2以上の整数)の歯を有するインナーロータと、前記インナーロータの周囲を囲む環状であり、前記インナーロータに対して偏心して配置され、内側を向く(n+1)個の歯を有するアウターロータと、を備える。前記インナーロータおよび前記アウターロータの一方の部材が、一の基礎円に基づくトロコイド曲線に沿って、前記基礎円よりも小さい成形円を移動することにより得られる包絡線を設定曲線として、それぞれが第1設定曲線に沿った縁を有する歯底部群と、それぞれが、前記第1設定曲線と異なる第2設定曲線に沿った縁を有する歯先部群と、を備える。前記インナーロータおよび前記アウターロータの他方の部材と、前記第1設定曲線との間に、前記歯先部群の縁が位置する。
本発明によれば、歯車ポンプ用ロータにおいて騒音等を低減するとともに、歯丈を容易に大きくすることができる。
図1は、歯車ポンプの構成を示す断面図である。 図2は、ポンプ室の内部を示す図である。 図3は、インナーロータの外歯の一部を示す図である。 図4は、アウターロータの内歯の一部を示す図である。 図5は、設定曲線の導出を説明するための図である。 図6は、設定曲線の導出を説明するための図である。 図7は、セルを拡大して示す図である。
本明細書では、モータ部2の回転軸R1方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、回転軸R1に平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。
図1は、本発明の例示的な一の実施形態に係る歯車ポンプ1の構成を示す断面図である。歯車ポンプ1は、内接歯車ポンプであり、所定の流体を吸入および吐出する。歯車ポンプ1は、例えば、車載用の電動オイルポンプであり、トランスミッション等に用いられる。以下の説明では、歯車ポンプ1が移送する流体がオイルであるものとする。歯車ポンプ1は、車載以外に用いられてよく、当該流体は、オイル以外であってもよい。
歯車ポンプ1は、モータ部2と、ポンプ部3と、を含む。後述するように、モータ部2の駆動により、ポンプ部3がオイルを吸入および吐出する。モータ部2は、モータハウジング21と、ロータ22と、ステータ23と、ベアリング24と、シャフト25と、を含む。モータハウジング21は、下側に開口する有蓋の筒状である。モータハウジング21の内部には、ロータ22、ステータ23、ベアリング24およびシャフト25が収容される。ロータ22には、シャフト25が固定される。シャフト25は、モータ部2の回転軸R1を中心とする。シャフト25は、ベアリング24により回転軸R1を中心として回転可能に支持される。ベアリング24は、モータハウジング21に設けられるホルダ211により保持される。ステータ23は、回転軸R1を中心とする径方向におけるロータ22の外側を囲む。ステータ23は、モータハウジング21の内側面に取り付けられる。
ポンプ部3は、モータ部2の下側に設けられる。ポンプ部3は、ポンプハウジング31と、歯車ポンプ用ロータ4と、を含む。ポンプハウジング31は、ポンプボディ32と、ポンプカバー33と、を含む。ポンプボディ32は、モータハウジング21の下部に取り付けられる。ポンプボディ32の下面には、凹部322が設けられる。凹部322は、円柱状であり、モータ部2に向かって窪む。ポンプボディ32には、回転軸R1を中心とする貫通孔321が設けられる。貫通孔321は、凹部322の底面、すなわち、凹部322内の上側の面において開口する。貫通孔321には、シャフト25が挿入される。ポンプカバー33は、ポンプボディ32の下面に取り付けられる。ポンプカバー33により凹部322の下側が覆われる。凹部322の側面および底面と、ポンプカバー33の上面により、ポンプ室34が形成される。ポンプカバー33には、吸入ポート331および吐出ポート332が設けられる。すなわち、ポンプハウジング31には、吸入ポート331および吐出ポート332が形成される。吸入ポート331および吐出ポート332は、ポンプ室34に開口する。
図2は、ポンプ室34の内部を示す図である。図2では、軸方向における上側から下方を向いて見たポンプ室34の内部を示している。また、図2では、軸方向に垂直なX方向およびY方向を矢印にて示している。X方向およびY方向は、互いに垂直である。互いに平行な回転軸R1および後述の軸R2は、X方向の同じ位置に配置される。すなわち、回転軸R1および軸R2はY方向に重なる。回転軸R1は、軸R2よりも(+Y)側に配置される。以下の説明では、特に言及する場合を除き、歯車ポンプ用ロータ4の各構成を軸方向に沿って見ているものとする。
歯車ポンプ用ロータ4は、インナーロータ41と、アウターロータ46と、を含む。インナーロータ41およびアウターロータ46は、ポンプ室34内に収容される。インナーロータ41は、外側を向くn個の歯42を有する歯車である。nは2以上の整数であり、好ましくは奇数である。以下、インナーロータ41の歯42を「外歯42」という。n個の外歯42は、インナーロータ41の外周に設けられ、回転軸R1を中心とする周方向に等間隔で配置される。図2の例では、インナーロータ41における外歯42の数は7である。インナーロータ41の中心孔には、シャフト25の下側端部が嵌め合わされて固定される。これにより、インナーロータ41は、回転軸R1を中心として回転する。回転軸R1は、インナーロータ41の中心軸でもある。以下、回転軸R1を中心とする径方向を「インナーロータ41の径方向」といい、回転軸R1を中心とする周方向を「インナーロータ41の周方向」という。インナーロータ41の外歯42の詳細については後述する。
アウターロータ46は、軸方向に平行な軸R2を中心とする環状であり、インナーロータ41の周囲を囲む。アウターロータ46は、内側を向く(n+1)個の歯47を有する歯車である。以下、アウターロータ46の歯47を「内歯47」という。(n+1)個の内歯47は、アウターロータ46の内周に設けられ、軸R2を中心とする周方向に等間隔で配置される。内歯47は、インナーロータ41の外歯42と噛み合う。図2の例では、アウターロータ46における内歯47の数は8である。
アウターロータ46の外側の縁は、軸R2を中心とする円形である。軸R2は、円柱状の凹部322の中心軸でもある。アウターロータ46の外側の縁の直径は、凹部322の直径よりも僅かに小さい。実際には、アウターロータ46の外側面と、凹部322の側面との間には、オイルが満たされる。換言すると、アウターロータ46は、軸R2を中心として回転可能な状態で、凹部322の側面によりオイルを介して支持される。
後述の歯車ポンプ1の駆動では、内歯47と外歯42とが噛み合うことにより、インナーロータ41からアウターロータ46に回転駆動力(トルク)が伝達され、アウターロータ46が軸R2を中心として回転する。以下、軸R2を「回転軸R2」という。既述のように回転軸R2の位置は、インナーロータ41の回転軸R1の位置と異なり、回転軸R2は、回転軸R1に対して(−Y)側に配置される。すなわち、アウターロータ46はインナーロータ41に対して(−Y)側に偏心して配置される。以下の説明では、回転軸R2を中心とする径方向を「アウターロータ46の径方向」といい、回転軸R2を中心とする周方向を「アウターロータ46の周方向」という。アウターロータ46の内歯47の詳細については後述する。
図2に示すように、ポンプ室34の下面、すなわち、ポンプカバー33の上面には、吸入溝部341および吐出溝部342が設けられる。吸入溝部341および吐出溝部342は円弧状の空間である。例えば、回転軸R1を中心とする円周を内周縁とし、回転軸R2を中心とする円周を外周縁とする円環状の領域を、(+Y)側の部分、および(−Y)側の部分で分断した2つの領域に吸入溝部341および吐出溝部342がそれぞれ形成される。吸入溝部341は(−X)側に配置され、吐出溝部342は(+X)側に配置される。吸入溝部341は、吸入ポート331(図1参照)に接続され、吐出溝部342は、吐出ポート332に接続される。実際には、ポンプ室34の上面、すなわち、ポンプボディ32の凹部322の底面にも、吸入溝部341および吐出溝部342が設けられる。
吸入溝部341および吐出溝部342には、オイルが充填される。これにより、インナーロータ41およびアウターロータ46と、ポンプ室34の上面および下面との間における摺動トルクが低減される。以下の説明では、上記円環状の領域において、吸入溝部341および吐出溝部342が設けられない(+Y)側の部分、および、(−Y)側の部分を、それぞれ「(+Y)側の溝部非存在領域」および「(−Y)側の溝部非存在領域」という。各溝部非存在領域は、周方向において互いに対向する吸入溝部341の端部と、吐出溝部342の端部との間の領域である。
インナーロータ41において(+Y)側の外歯42は、アウターロータ46における(+Y)側の内歯47と噛み合う。また、インナーロータ41の歯面とアウターロータ46の歯面との間には、オイルの充填空間であるセル81が形成される。典型的には、各セル81は、インナーロータ41の互いに隣接する2つの外歯42と、アウターロータ46の互いに隣接する2つの内歯47との間に形成される。各セル81の軸方向の両側は、ポンプ室34の上面および下面により覆われる。セル81は、外歯42、内歯47およびポンプ室34の壁部により形成される空間である。
歯車ポンプ1の駆動では、モータ部2により、図2に示すインナーロータ41が、回転軸R1を中心として例えば反時計回りに回転する。これに伴い、(+Y)側の外歯42および内歯47の噛み合いにより、アウターロータ46が回転軸R2を中心として反時計回りに回転する。図2では、インナーロータ41およびアウターロータ46の回転方向を矢印Dにて示している。このとき、セル81も回転方向Dに沿って移動する。吸入溝部341と重なる領域では、(+Y)側の溝部非存在領域の近傍から回転方向Dの前側に向かうに従って、インナーロータ41とアウターロータ46との間の隙間の幅が漸次大きくなり、セル81の容積も漸次大きくなる。これにより、吸入ポート331内のオイルが、吸入溝部341を介してセル81内に吸入される。(−Y)側の溝部非存在領域、すなわち、外歯42と内歯47とが噛み合う部分と逆側では、セル81の容積が最大となる。(−Y)側の溝部非存在領域の近傍では、セル81を形成する、インナーロータ41の2つの外歯42と、アウターロータ46の2つの内歯47とがそれぞれ接触する。
吐出溝部342と重なる領域では、(−Y)側の溝部非存在領域の近傍から回転方向Dの前側に向かうに従って、インナーロータ41とアウターロータ46との間の隙間の幅が漸次小さくなり、セル81の容積も漸次小さくなる。これにより、セル81内のオイルが吐出溝部342を介して吐出ポート332へと吐出される。(+Y)側の溝部非存在領域、すなわち、外歯42と内歯47とが噛み合う部分では、セル81の容積が最小となる。以上のように、歯車ポンプ1では、セル81の容積変化によりオイルを吸入および吐出してオイルが送液される。なお、(+Y)側の溝部非存在領域では、外歯42の先端が、アウターロータ46の歯底(後述の図4の歯底部491)に接触する。
図3は、インナーロータ41の外歯42の一部を示す図であり、後述の一の接続部451の近傍を示している。図3では、インナーロータ41に平行斜線を付している。インナーロータ41は、歯先部群43と、歯底部群44と、接続部群45と、を含む。歯先部群43は、n個の外歯42に設けられるn個の歯先部431の集合である。各歯先部431は、インナーロータ41の外側の縁部、すなわち、アウターロータ46側の縁部のうち、外歯42の先端に位置する部分である。歯先部431は、外歯42の縁において回転軸R1からの距離が最大となる位置P1を含む。以下、位置P1を「歯先点P1」という。図3では、歯先点P1と回転軸R1とを結ぶ線C1を一点鎖線にて示している。当該線C1は、インナーロータ41の外歯42の中心線である。
歯底部群44は、n個の外歯42に設けられるn個の歯底部441の集合である。各歯底部441は、インナーロータ41の縁部のうち、互いに隣接する2つの外歯42の境界近傍の部分である。歯底部441は、外歯42の縁において回転軸R1からの距離が最小となる位置を含む。歯底部441は、インナーロータ41の縁部のうち、外歯42の根元に位置する部分も含む。インナーロータ41の周方向のみに着目した場合、互いに隣接する2つの歯先部431の間に、1つの歯底部441が配置される。インナーロータ41の径方向のみに着目した場合、歯底部群44は、歯先部群43よりも回転軸R1側に配置される。
接続部群45は、n個の外歯42に設けられる2n個の接続部451の集合である。各接続部451は、インナーロータ41の縁部のうち、歯先部431と歯底部441との間に位置する部分であり、両者に連続する。接続部451は、インナーロータ41の周方向および径方向の双方において、歯先部431と歯底部441との間に配置される。接続部451は、中間部として捉えることができる。インナーロータ41の縁部では、インナーロータ41の周方向に沿って歯先部431、接続部451、歯底部441、接続部451が、この順序にて繰り返し配置される。インナーロータ41の周方向における各歯先部431の両側に接続部451が配置される。
図4は、アウターロータ46の内歯47の一部を示す図であり、後述の一の接続部401の近傍を示している。図4では、アウターロータ46に平行斜線を付している。アウターロータ46は、歯先部群48と、歯底部群49と、接続部群40と、を含む。歯先部群48は、(n+1)個の内歯47に設けられる(n+1)個の歯先部481の集合である。各歯先部481は、アウターロータ46の内側の縁部、すなわち、回転軸R2側の縁部のうち、内歯47の先端に位置する部分である。歯先部481は、内歯47の縁において回転軸R2からの距離が最小となる位置を含む。
歯底部群49は、(n+1)個の内歯47に設けられる(n+1)個の歯底部491の集合である。各歯底部491は、アウターロータ46の縁部のうち、互いに隣接する2つの内歯47の境界近傍の部分である。歯底部491は、内歯47の縁において回転軸R2からの距離が最大となる位置P2を含む。以下、位置P2を「歯底点P2」という。図4では、歯底点P2と回転軸R2とを結ぶ線C2を一点鎖線にて示している。当該線C2は、互いに隣接する2つの内歯47の境界線である。アウターロータ46の周方向のみに着目した場合、互いに隣接する2つの歯先部481の間に、1つの歯底部491が配置される。アウターロータ46の径方向のみに着目した場合、歯先部群48は、歯底部群49よりも回転軸R2側に配置される。
接続部群40は、(n+1)個の内歯47に設けられる2(n+1)個の接続部401の集合である。各接続部401は、アウターロータ46の縁部のうち、歯先部481と歯底部491との間に位置する部分であり、両者に連続する。接続部401は、アウターロータ46の周方向および径方向の双方において、歯先部481と歯底部491との間に配置される。アウターロータ46の縁部では、アウターロータ46の周方向に沿って歯先部481、接続部401、歯底部491および接続部401が、この順序にて繰り返し配置される。アウターロータ46の周方向における各歯先部481の両側に接続部401が配置される。
続いて、インナーロータ41およびアウターロータ46の歯形の詳細について説明する。インナーロータ41およびアウターロータ46の歯先部431,481および歯底部441,491は、トロコイド曲線に基づいて得られる設定曲線に沿った縁を有する。ここで、設定曲線の導出について説明する。まず、図5に示すように、所定の半径を有する基礎円91が設定される。続いて、基礎円91よりも半径が小さい転がり円92が設定され、転がり円92において所定の描画点921が設定される。このとき、基礎円91の円周の長さは、転がり円92の円周の歯数倍、すなわち、インナーロータ41ではn倍、アウターロータ46では(n+1)倍である。転がり円92の中心から描画点921までの距離の、転がり円92の半径に対する割合は、転位係数と呼ばれる。そして、基礎円91の外側にて、転がり円92を基礎円91の円周上を滑らないように転がした際に、描画点921が描く軌跡が、トロコイド曲線(エピトロコイド曲線)Tとして得られる。
トロコイド曲線Tが得られると、図6に示すように、基礎円91よりも半径が小さい成形円93が設定される。成形円93の中心をトロコイド曲線T上に配置した状態で、成形円93をトロコイド曲線Tに沿って移動することにより、成形円93の包絡線が得られる。当該包絡線が、設定曲線Lである。設定曲線Lは、例えば、基礎円91の中心側に形成される包絡線である。以上のように、一の基礎円91に基づくトロコイド曲線Tに沿って、基礎円91よりも小さい成形円93を移動することにより、設定曲線Lが得られる。設定曲線Lは、歯数、基礎円91の半径、転位係数、成形円93の半径をパラメータとして生成される。既述のように、歯先部431,481および歯底部441,491が、トロコイド曲線に基づく設定曲線に沿った縁を有する。したがって、歯車ポンプ1の駆動により、インナーロータ41の歯先部431および歯底部441と、アウターロータ46の歯先部481および歯底部491とが接触する際における騒音やトルクの損失が低減される。
図3では、インナーロータ41における歯先部431の設定曲線および歯底部441の設定曲線を、符号L3,L4を付す破線にて示している。また、設定曲線L3において歯先部431の縁を示す部分、および、設定曲線L4において歯底部441の縁を示す部分を実線にて示している。なお、歯先部431の設定曲線L3に対する基礎円の中心、および、歯底部441の設定曲線L4に対する基礎円の中心は、共に回転軸R1に一致する。設定曲線L3は、歯先側トロコイド曲線として捉えることができ、設定曲線L4は歯底側トロコイド曲線として捉えることができる。
基礎円の半径、転位係数および成形円の半径は、歯先部431の設定曲線L3と歯底部441の設定曲線L4との間で、互いに独立して決定することが可能である。本実施形態では、両者の間で各パラメータの値は互いに異なる。したがって、図3に示すように、設定曲線L3と設定曲線L4とが相違する。設定曲線L3,L4の間で一部のパラメータの値が同じであってもよい。
歯先部431の設定曲線L3は、歯底部441の設定曲線L4よりもインナーロータ41の径方向外側に位置する。インナーロータ41では、設定曲線L3のうち回転軸R1からの距離が最大となる位置P1、すなわち歯先点P1を含む部分が歯先部431の縁となる。歯先部431の縁は、インナーロータ41の径方向外側を囲むアウターロータ46と、歯底部441の設定曲線L4との間に位置する。
歯底部441の設定曲線L4は、歯先部431の設定曲線L3よりもインナーロータ41の径方向内側に位置し、設定曲線L4のうち回転軸R1からの距離が最小となる位置を含む部分が歯底部441の縁となる。歯底部441の縁は、回転軸R1と、歯先部431の設定曲線L3との間に位置する。例えば、設定曲線L3に対する基礎円の半径を設定曲線L4に対する基礎円の半径よりも大きくする、または、設定曲線L3に対する成形円の半径を設定曲線L4に対する成形円の半径よりも小さくする等により、上記のような設定曲線L3,L4は容易に取得可能である。
上記歯先部431および歯底部441を有する外歯42では、単一の設定曲線を用いて外歯の形状を決定する場合に比べて、歯丈を大きくすることが実現される。外歯42の歯丈は、例えば、歯先部431の縁において回転軸R1からの距離が最大となる位置と回転軸R1との間の距離と、歯底部441の縁において回転軸R1からの距離が最小となる位置と回転軸R1との間の距離との差として求められる。上記設定曲線L3,L4は、必要な歯丈に応じて、2つの曲線を、図3中に矢印K1で示す距離だけずらしたものと捉えることも可能である。
インナーロータ41では、歯先部431の縁と歯底部441の縁とが、接続部451の縁により接続される。各接続部451は、複数の曲線部を含む。詳細には、接続部451は、第1クロソイド曲線部453と、第2クロソイド曲線部454と、を含む。第1クロソイド曲線部453は、第1クロソイド曲線V11に沿った縁を有する。第2クロソイド曲線部454は、第1クロソイド曲線V11と異なる第2クロソイド曲線V12に沿った縁を有する。図3では、第1クロソイド曲線部453の縁を示す第1クロソイド曲線V11の一部、および、第2クロソイド曲線部454の縁を示す第2クロソイド曲線V12の一部を太い実線にて示している。
第1クロソイド曲線部453は、歯先部431と第2クロソイド曲線部454との間に配置され、両者に連続する。第2クロソイド曲線部454は、第1クロソイド曲線部453と歯底部441との間に配置され、両者に連続する。図3では、歯先部431の縁と第1クロソイド曲線部453の縁との境界点に符号U11を付し、第1クロソイド曲線部453の縁と第2クロソイド曲線部454の縁との境界点に符号U12を付し、第2クロソイド曲線部454の縁と歯底部441の縁との境界点に符号U13を付している。
境界点U11における歯先部431の縁の接線は、境界点U11における第1クロソイド曲線部453の縁の接線と同一である。したがって、歯先部431の縁と、第1クロソイド曲線部453の縁とが滑らかに接続される。すなわち、歯先部431の縁と、接続部451の縁とが滑らかに接続される。例えば、境界点における2つの曲線の位置および傾きの微小なずれが、インナーロータ41の製造時における許容誤差内に含まれる場合には、境界点における当該2つの曲線の2つの接線が同一であると捉えることができる。
同様に、境界点U13における第2クロソイド曲線部454の縁の接線は、境界点U13における歯底部441の縁の接線と同一である。したがって、第2クロソイド曲線部454の縁と、歯底部441の縁とが滑らかに接続される。すなわち、接続部451の縁と、歯底部441の縁とが滑らかに接続される。境界点U12における第1クロソイド曲線部453の縁の接線は、境界点U12における第2クロソイド曲線部454の縁の接線と同一である。したがって、第1クロソイド曲線部453の縁と、第2クロソイド曲線部454の縁とが滑らかに接続される。このように、接続部451に含まれる複数の曲線部の縁同士も、滑らかに接続される。
第2クロソイド曲線部454は、第2クロソイド曲線V12の変曲点M1を示す部位を含む。ここで、中心線C1に沿うインナーロータ41の径方向をx軸とし、中心線C1に垂直な方向(インナーロータ41の周方向の長さ方向)をy軸として、第2クロソイド曲線V12をy=f(x)として表す。この場合に、変曲点M1は、f(x)の2回微分であるf”(x)の値の正負が切り替わる位置である。変曲点M1では、第2クロソイド曲線V12の曲率が0となる。以下の説明において、「曲率」は曲率の大きさ(絶対値)を意味する。また、図3の例では、f(x)の1回微分であるf’(x)の変曲点M1における値が0となる。すなわち、変曲点M1において第2クロソイド曲線V12の傾きが、中心線C1の傾きと一致する。
クロソイド曲線は、曲率が曲線長に比例して変化する線であるため、第2クロソイド曲線部454の縁の曲率は、変曲点M1を示す部位から歯底部441に向かって漸次増大する。また、第2クロソイド曲線部454の縁の曲率は、変曲点M1を示す部位から第1クロソイド曲線部453に向かって漸次増大する。第1クロソイド曲線部453の縁の曲率は、第2クロソイド曲線部454から離れる、すなわち、歯先部431に近づくに従って漸次減少する。第1クロソイド曲線部453の縁は、変曲点を含まない。図3の歯先部431では、歯先点P1において曲率が最小となる。インナーロータ41の周方向における歯先部431の両側に配置される2つの接続部451は、中心線C1に対して対称形状となる。第1クロソイド曲線部453の縁、および、第2クロソイド曲線部454の縁が、上記形状を有することにより、外歯42の全体が、滑らかな形状となる。
図4では、アウターロータ46における歯先部481の設定曲線および歯底部491の設定曲線を、符号L8,L9を付す破線にて示している。また、設定曲線L8において歯先部481の縁を示す部分、および、設定曲線L9において歯底部491の縁を示す部分を実線にて示している。なお、歯先部481の設定曲線L8に対する基礎円の中心、および、歯底部491の設定曲線L9に対する基礎円の中心は、共に回転軸R2に一致する。設定曲線L8は、歯先側トロコイド曲線として捉えることができ、設定曲線L9は歯底側トロコイド曲線として捉えることができる。例えば、アウターロータ46における歯先部481の設定曲線L8は、インナーロータ41の歯底部441の設定曲線L4におけるパラメータの値を用いて取得される。同様に、アウターロータ46における歯底部491の設定曲線L9は、インナーロータ41の歯先部431の設定曲線L3におけるパラメータの値を用いて取得される。外歯42と内歯47との間に設定するクリアランスに応じて、上記パラメータの値は適宜修正されてよい。
図4に示すように、アウターロータ46においても、歯先部481の設定曲線L8と、歯底部491の設定曲線L9とが相違する。詳細には、歯底部491の設定曲線L9は、歯先部481の設定曲線L8よりも、アウターロータ46の径方向外側に位置する。アウターロータ46では、設定曲線L9のうち回転軸R2からの距離が最大となる位置P2、すなわち歯底点P2を含む部分が歯底部491の縁となる。歯底部491の縁は、歯先部481の設定曲線L8と、アウターロータ46の外側の縁との間に位置する。歯先部481の設定曲線L8は、歯底部491の設定曲線L9よりも、アウターロータ46の径方向内側に位置し、設定曲線L8のうち回転軸R2からの距離が最小となる位置を含む部分が歯先部481の縁となる。歯先部481の縁は、インナーロータ41と、歯底部491の設定曲線L9との間に位置する。
上記歯先部481および歯底部491を有する内歯47では、単一の設定曲線を用いて内歯の形状を決定する場合に比べて、歯丈を大きくすることが実現される。内歯47の歯丈は、例えば、歯底部491の縁において回転軸R2からの距離が最大となる位置と回転軸R2との間の距離と、歯先部431の縁において回転軸R2からの距離が最小となる位置と回転軸R2との間の距離との差として求められる。上記設定曲線L8,L9は、必要な歯丈に応じて、2つの曲線を、図4中に矢印K2で示す距離だけずらしたものと捉えることも可能である。
アウターロータ46では、歯先部481の縁と歯底部491の縁とが、接続部401の縁により接続される。接続部401は、複数の曲線部を含む。詳細には、接続部401は、第1クロソイド曲線部403と、第2クロソイド曲線部404と、を含む。第1クロソイド曲線部403は、第1クロソイド曲線V21に沿った縁を有する。第2クロソイド曲線部404は、第1クロソイド曲線V21と異なる第2クロソイド曲線V22に沿った縁を有する。図4では、第1クロソイド曲線部403の縁を示す第1クロソイド曲線V21の一部、および、第2クロソイド曲線部404の縁を示す第2クロソイド曲線V22の一部を太い実線にて示している。
第1クロソイド曲線部403は、歯先部481と第2クロソイド曲線部404との間に配置され、両者に連続する。第2クロソイド曲線部404は、第1クロソイド曲線部403と歯底部491との間に配置され、両者に連続する。図4では、歯先部481の縁と第1クロソイド曲線部403の縁との境界点に符号U21を付し、第1クロソイド曲線部403の縁と第2クロソイド曲線部404の縁との境界点に符号U22を付し、第2クロソイド曲線部404の縁と歯底部491の縁との境界点に符号U23を付している。
境界点U21における歯先部481の縁の接線は、境界点U21における第1クロソイド曲線部403の縁の接線と同一であり、歯先部481の縁と、第1クロソイド曲線部403の縁とが滑らかに接続される。同様に、境界点U23における第2クロソイド曲線部404の縁の接線は、境界点U23における歯底部491の縁の接線と同一であり、第2クロソイド曲線部404の縁と、歯底部491の縁とが滑らかに接続される。さらに、境界点U22における第1クロソイド曲線部403の縁の接線は、境界点U22における第2クロソイド曲線部404の縁の接線と同一であり、第1クロソイド曲線部403の縁と、第2クロソイド曲線部404の縁とが滑らかに接続される。第1クロソイド曲線部403は、第1クロソイド曲線V21の変曲点M2を示す部位を含む。変曲点M2では、第1クロソイド曲線V21の曲率が0となる。また、変曲点M2において第1クロソイド曲線V21の傾きが、境界線C2の傾きと一致する。
第1クロソイド曲線部403の縁の曲率は、変曲点M2を示す部位から歯先部481に向かって漸次増大する。また、第1クロソイド曲線部403の縁の曲率は、変曲点M2を示す部位から第2クロソイド曲線部404に向かって漸次増大する。第2クロソイド曲線部404の縁の曲率は、第1クロソイド曲線部403から離れる、すなわち、歯底部491に近づくに従って漸次減少する。第2クロソイド曲線部404の縁は、変曲点を含まない。図4の歯底部491では、歯底点P2において曲率が最小となる。アウターロータ46の周方向における歯底部491の両側に配置される2つの接続部401は、境界線C2に対して対称形状となる。第1クロソイド曲線部403の縁、および、第2クロソイド曲線部404の縁が、上記形状を有することにより、内歯47の全体が、滑らかな形状となる。
歯車ポンプ1では、外歯42の縁における境界点U13近傍から境界点U12近傍までの部位が、内歯47の縁における境界点U21近傍から境界点U22近傍までの部位と接触し、インナーロータ41のトルクがアウターロータ46に伝達される。外歯42の縁の上記部位は、内歯47との噛み合い部であり、インナーロータ41の径方向に沿っている。内歯47の縁の上記部位は、外歯42との噛み合い部であり、アウターロータ46の径方向に沿っている。したがって、インナーロータ41のトルクを、アウターロータ46に効率よく伝達することが可能である。また、境界点U12,U13において外歯42の縁は滑らかに連続し、境界点U21,U22において内歯47の縁は滑らかに連続する。これにより、外歯42の縁の上記部位と、内歯47の縁の上記部位との接触により生じる騒音が低減されるとともに、アウターロータ46が滑らかに回転する。なお、インナーロータ41における、接続部451と歯先部431との境界点U11は、外歯42の噛み合い部よりもインナーロータ41の径方向外側に位置する。また、アウターロータ46における、接続部401と歯底部491との境界点U23は、内歯47の噛み合い部よりもアウターロータ46の径方向外側に位置する。
図7は、容積が最大となる際におけるセル81を拡大して示す図である。図7では、(−Y)側の溝部非存在領域に配置された状態のセル81、すなわち、図2中の最も(−Y)側のセル81を示す。図7に示すように、セル81の容積が最大となる際には、インナーロータ41において互いに隣接する2つの外歯42が、アウターロータ46において互いに隣接する2つの内歯47にそれぞれ接触する。図7では、外歯42と内歯47との接触点に符号H1を付している。例えば、2つの接触点H1は、Y方向における同じ位置に配置される。
当該2つの外歯42では、2つの接続部451(図3参照)が当該セル81を介してX方向に対向し、2つの接続部451の変曲点M1は、Y方向の同じ位置に配置される。また、当該2つの内歯47では、2つの接続部401(図4参照)が当該セル81を介してX方向に対向し、2つの接続部401の変曲点M2が、Y方向における同じ位置に配置される。図7では、当該セル81を介して対向する2つの変曲点M1の間の最短距離を矢印X1にて示し、2つの変曲点M2の間の最短距離を矢印X2にて示している。距離X1は、インナーロータ41において互いに隣接する外歯42間の隙間の幅である。距離X2は、アウターロータ46において互いに隣接する内歯47間の隙間の幅である。外歯42間の隙間の幅X1は、内歯47間の隙間の幅X2よりも大きい。すなわち、(X1>X2)が満たされる。歯車ポンプ用ロータ4の設計によっては、(X1≦X2)が満たされてもよい。図7の例では、当該セル81を介して対向する2つの接触点H1の間の最短距離X3は、歯間の隙間の幅X1,X2よりも大きい。
既述のように、アウターロータ46の内歯47の縁において、回転軸R2からの距離が最大となる位置は歯底点P2である。インナーロータ41の外歯42の縁において、回転軸R1からの距離が最小となる位置は歯底点P3である。また、回転軸R2は、回転軸R1に対して(−Y)側に配置される。セル81の容積が最大となる際に、歯底点P2,P3がX方向における同じ位置に配置され、インナーロータ41の径方向における歯底点P2,P3間の距離が最大となる。図7では、セル81を介して対向する歯底点P2,P3の間の最短距離を矢印Y1にて示している。距離Y1は、径方向におけるセル81の最大長さである。歯車ポンプ1では、外歯42および内歯47の歯丈が大きいため、セル81の最大長さY1およびセル81の容積も大きくなる。セル81の最大長さY1は、歯間の隙間の幅X1,X2のいずれよりも大きい。すなわち、(Y1>X1、かつ、Y1>X2)が満たされる。なお、図7の例では、セル81の最大長さY1は、接触点H1間の距離X3よりも小さい。
以上に説明したように、歯車ポンプ用ロータ4では、インナーロータ41が、それぞれが設定曲線L4に沿った縁を有する歯底部群44と、それぞれが設定曲線L4と異なる設定曲線L3に沿った縁を有する歯先部群43と、を含む。アウターロータ46と設定曲線L4との間に、歯先部群43の縁が位置する。これにより、インナーロータ41の外歯42の高さ、すなわち歯丈を容易に大きくすることができる。その結果、セル81の容積を大きくして、歯車ポンプ1におけるポンプ体積に対する吐出量を増大することができる。また、設定曲線L3,L4がトロコイド曲線に基づくことにより、歯車ポンプ用ロータ4における騒音等を低減することができる。
同様に、アウターロータ46が、それぞれが設定曲線L9に沿った縁を有する歯底部群49と、それぞれが設定曲線L9と異なる設定曲線L8に沿った縁を有する歯先部群48と、を含む。インナーロータ41と設定曲線L9との間に、歯先部群48の縁が位置する。これにより、騒音等を低減するとともに、アウターロータ46の歯丈を容易に大きくすることができる。インナーロータ41およびアウターロータ46の双方の歯丈を大きくすることにより、歯車ポンプ1における吐出量をさらに増大することができる。換言すると、理論吐出量を変化させることなく、軸方向に垂直なアウターロータ46の面積を縮小することができる。これにより、軸方向に垂直な歯車ポンプ1の面積を小型化することができるとともに、損失トルクを低減し、消費電力を抑えることができる。
歯車ポンプ用ロータ4では、セル81の容積が最大となる際に、インナーロータ41の径方向におけるセル81の最大長さY1が、インナーロータ41において互いに隣接する外歯42間の隙間の幅X1、および、アウターロータ46において互いに隣接する内歯47間の隙間の幅X2のいずれよりも大きい。このような観点においても、歯車ポンプ1では、吐出量の増大が実現される。
インナーロータ41およびアウターロータ46のそれぞれが、歯底部群と歯先部群との間に設けられる接続部群をさらに含み、接続部群の縁が、歯底部群の縁と、歯先部群の縁とを滑らかに接続する。これにより、歯車ポンプ1における騒音および脈動を抑制することができる。また、接続部群のそれぞれが、一のクロソイド曲線に沿った縁を有するクロソイド曲線部を含むことにより、歯の外形を容易に滑らかな形状とすることができる。クロソイド曲線部が、当該一のクロソイド曲線の変曲点を示す部位を含むことにより、曲率の向き、すなわち曲率の正負を滑らかに切り替えることができる。接続部群のそれぞれが、他のクロソイド曲線に沿った縁を有する他のクロソイド曲線部をさらに含むことにより、歯の外形をさらに容易に滑らかな形状とすることができる。
歯車ポンプ用ロータ4では、当該クロソイド曲線部の縁と当該他のクロソイド曲線部の縁とが連続し、当該クロソイド曲線部の縁の曲率が、変曲点を示す部位から当該他のクロソイド曲線部に向かって漸次増大する。また、当該他のクロソイド曲線部の縁の曲率が、当該クロソイド曲線部から離れるに従って漸次減少する。これにより、接続部群のそれぞれの縁と、歯先部または歯底部の縁とを容易に滑らかに接続することが可能となる。
上記歯車ポンプ用ロータ4および歯車ポンプ1では、様々な変形が可能である。
歯車ポンプ用ロータ4では、インナーロータ41およびアウターロータ46の一方の部材のみが、第1設定曲線に沿った縁を有する歯底部群と、第1設定曲線と異なる第2設定曲線に沿った縁を有する歯先部群と、を含んでもよい。この場合も、当該歯先部群の縁が、インナーロータ41およびアウターロータ46の他方の部材と第1設定曲線との間に位置することにより、当該一方の部材における歯丈を容易に大きくすることができる。なお、当該他方の部材の歯形は、他の手法により決定される。また、当該一方の部材は、歯底部群と歯先部群との間に設けられる接続部群をさらに含むことが好ましい。
好ましい歯車ポンプ用ロータ4では、上記実施形態のように、当該他方の部材が、第3設定曲線に沿った縁を有する他の歯底部群と、第3設定曲線と異なる第4設定曲線に沿った縁を有する他の歯先部群と、を含み、当該他の歯先部群の縁が、当該一方の部材と第3設定曲線との間に位置する。これにより、インナーロータ41およびアウターロータ46の双方における歯丈を容易に大きくすることができ、歯車ポンプ1における吐出量をより確実に増大することができる。
各接続部451,401は、3以上のクロソイド曲線部を含んでもよく、1つのクロソイド曲線部により構成されてもよい。接続部451,401では、クロソイド曲線を利用することにより、歯先部の縁と歯底部の縁とを滑らかに繋ぐことが、容易に可能となる。これにより、歯車ポンプ1における騒音および脈動を抑制することができる。車載用の電動オイルポンプでは、油圧脈動の低減が重要であるため、上記歯車ポンプ1は、車載用の電動オイルポンプに特に適しているといえる。クロソイド曲線部の縁の形状は、歯底部および歯先部の形状に合わせて適宜変更されてよい。歯車ポンプ用ロータ4では、インナーロータ41およびアウターロータ46の一方または双方の接続部において、クロソイド曲線以外の種類の曲線が利用されてもよい。
歯車ポンプ用ロータ4の設計によっては、セル81の容積が最大となる際に、インナーロータ41の径方向におけるセル81の最大長さY1が、外歯42間の隙間の幅X1、および、内歯47間の隙間の幅X2の一方または双方よりも小さくてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
本発明に係る歯車ポンプ用ロータおよび歯車ポンプは、様々な用途に利用可能である。
1 歯車ポンプ
2 モータ部
4 歯車ポンプ用ロータ
31 ポンプハウジング
40,45 接続部群
41 インナーロータ
42 外歯
43,48 歯先部群
44,49 歯底部群
46 アウターロータ
47 内歯
81 セル
91 基礎円
93 成形円
331 吸入ポート
332 吐出ポート
403,404,453,454 クロソイド曲線部
L,L3,L4,L8,L9 設定曲線
M1,M2 変曲点
T トロコイド曲線
V11,V12,V21,V22 クロソイド曲線
X1,X2 歯間の隙間の幅
Y1 セルの最大長さ

Claims (10)

  1. 外側を向くn個(nは2以上の整数)の歯を有するインナーロータと、
    前記インナーロータの周囲を囲む環状であり、前記インナーロータに対して偏心して配置され、内側を向く(n+1)個の歯を有するアウターロータと、
    を備え、
    前記インナーロータおよび前記アウターロータの一方の部材が、
    一の基礎円に基づくトロコイド曲線に沿って、前記基礎円よりも小さい成形円を移動することにより得られる包絡線を設定曲線として、それぞれが第1設定曲線に沿った縁を有する歯底部群と、
    それぞれが、前記第1設定曲線と異なる第2設定曲線に沿った縁を有する歯先部群と、
    を備え、
    前記インナーロータおよび前記アウターロータの他方の部材と、前記第1設定曲線との間に、前記歯先部群の縁が位置する、歯車ポンプ用ロータ。
  2. 前記他方の部材が、
    それぞれが第3設定曲線に沿った縁を有する他の歯底部群と、
    それぞれが、前記第3設定曲線と異なる第4設定曲線に沿った縁を有する他の歯先部群と、
    を備え、
    前記一方の部材と、前記第3設定曲線との間に、前記他の歯先部群の縁が位置する、請求項1に記載の歯車ポンプ用ロータ。
  3. 前記一方の部材が、前記歯底部群と前記歯先部群との間に設けられる接続部群をさらに備え、
    前記接続部群の縁が、前記歯底部群の縁と、前記歯先部群の縁とを滑らかに接続する、請求項1または2に記載の歯車ポンプ用ロータ。
  4. 前記接続部群のそれぞれが、一のクロソイド曲線に沿った縁を有するクロソイド曲線部を含む、請求項3に記載の歯車ポンプ用ロータ。
  5. 前記接続部群のそれぞれが、他のクロソイド曲線に沿った縁を有する他のクロソイド曲線部をさらに含み、
    前記クロソイド曲線部が、前記一のクロソイド曲線の変曲点を示す部位を含む、請求項4に記載の歯車ポンプ用ロータ。
  6. 前記クロソイド曲線部の縁と前記他のクロソイド曲線部の縁とが連続し、
    前記クロソイド曲線部の縁の曲率が、前記変曲点を示す部位から前記他のクロソイド曲線部に向かって漸次増大し、
    前記他のクロソイド曲線部の縁の曲率が、前記クロソイド曲線部から離れるに従って漸次減少する、請求項5に記載の歯車ポンプ用ロータ。
  7. 前記インナーロータの互いに隣接する2つの歯と、前記アウターロータの互いに隣接する2つの歯との間に形成される空間をセルとして、前記セルの容積が最大となる際に、前記インナーロータの径方向における前記セルの最大長さが、前記インナーロータにおいて互いに隣接する歯間の隙間の幅、および、前記アウターロータにおいて互いに隣接する歯間の隙間の幅のいずれよりも大きい、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の歯車ポンプ用ロータ。
  8. 前記インナーロータにおいて互いに隣接する歯間の隙間の幅が、前記アウターロータにおいて互いに隣接する歯間の隙間の幅よりも大きい、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の歯車ポンプ用ロータ。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の歯車ポンプ用ロータと、
    前記歯車ポンプ用ロータの前記インナーロータを回転するモータ部と、
    吸入ポートおよび吐出ポートが形成されたポンプハウジングと、
    を備える、歯車ポンプ。
  10. オイルの送液を行う、請求項9に記載の歯車ポンプ。
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