JP2018188552A - 不燃液組成物及びそれを用いた不燃木材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、建材に付与して用いられ、該建材を不燃化するための不燃液組成物において、硫酸アンモニウムと、硼酸と、硼砂と、水とを含有し、水の配合量100質量部に対する硫酸アンモニウムの配合量Aが1〜35質量部であり、硼酸の配合量Bが1〜40質量部であり、硼砂の配合量Cが1.5〜50質量部であり、配合量A、配合量B及び配合量Cが、
C>B≧A
の関係を満たす不燃液組成物である。
【選択図】図1
Description
その一方で、木材は、火に弱いという欠点がある。
そのため、木材においては、この欠点を解決するため、種々検討が行われている。
ところが、木材を不燃材で被覆する場合、上述した木材特有の利点が失われてしまうという欠点がある。
また、木材を不燃材で被覆するという作業が別途必要となり、不燃材の厚みを加味した木材の寸法の再調整も必要となるため、作業効率が悪く、経済性にも劣るものである。
かかる薬剤としては、例えば、家具や障子等の生活用木質系材料体を防炎、難燃化する剤として、硫酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム及びホウ酸からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物と、寸法安定効果のある固着化合物とを含有する水系防炎・難燃化剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、繊維、塗料、紙材、プラスチック等の材料に、不燃性を付与する不燃材として、硫酸アンモニウム、ホウ酸、リン酸水素二アンモニウムおよび重炭酸ナトリウムを有効成分として含む不燃剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、仮に、粉吹きを抑制するため、付与する不燃液組成物の量を減らす方法も考えられるが、この場合、不燃化効果が不十分となる欠点がある。
C>B≧A
の関係を満たす不燃液組成物に存する。
A>D
の関係を満たす上記(1)記載の不燃液組成物に存する。
このとき、配合量A、配合量B及び配合量Cを、
C>B≧A
の関係を満たすようにすることで、上述した不燃化効果及び粉吹き抑制効果を両立させることができる。すなわち、当該対象物を、極めて長期間屋外に晒される建材として使用する場合であっても、経時的に粉吹きが生じることを極力抑制することができ、また、不燃化効果も維持することが可能となる。
A>D
の関係を満たすことにより、硼酸及び硼砂の溶解性を向上させることができる(溶解効果)。このことにより、不燃液組成物を対象物に付与した場合、硼酸及び硼砂が析出することなく、不燃液組成物を対象物の内部にまで浸透させることができる。その結果、硼酸及び硼砂が対象物の表面に析出して粉吹きが生じることを抑制することができる。
また、投入工程、減圧工程、注入工程、加圧浸透工程及び乾燥工程を備えることにより、不燃液組成物が対象物の内部にまで浸透するので、得られる不燃木材を、極めて長期間屋外に晒される建材として使用する場合であっても、経時的に粉吹きが生じることを極力抑制することができ、また、不燃化効果も維持することが可能となる。
このとき、注入工程と、加圧浸透工程とを連続して行うことにより、作業性及び経済性も向上する。
ここで、対象物としては、建材、又は、輸送機械の内装材が挙げられる。
上記建材としては、木材、繊維、紙(和紙)、木質ボード、多孔質樹脂体等が挙げられる。
また、建材が用いられる部位は、特に限定されず、例えば、屋根材、壁材、床材、建具、建築物の内装材等に用いられる。
上記輸送機械としては、自動車、鉄道、船舶、航空機等が挙げられる。
本実施形態においては、対象物が建材であり、建材として木材を用いた場合について説明する。
なお、かかる木材の材質としては、特に限定されず、例えば、針葉樹や広葉樹の製材製品、集成材、合板、単板積層材(LVL)、木粉ボード、繊維材、銘木等が挙げられる。
不燃液組成物においては、少なくとも、硫酸アンモニウムと、硼酸と、硼砂とを含有するので、木材に付与した場合、当該木材を不燃化した不燃木材とすることが可能となる(不燃化効果)。
また、得られる不燃木材は、不燃液組成物に含まれる固形分が経時的に不燃木材の表面に析出する、いわゆる粉吹きを十分に抑制することが可能となる(粉吹き抑制効果)。
なお、本明細書において、「不燃化」とは、対象物を燃えなくする、又は、炎が着かないようにすることであり、「不燃木材」は、不燃化させた木材を意味する。
C>B≧A
の関係を満たしている。
また、硫酸アンモニウムの配合量Aを、硼酸の配合量B以下とすることにより、吸湿性が高くなり過ぎずに、硼酸及び硼砂の再結晶化に基づく粉吹きを十分に抑制することができる。
したがって、不燃液組成物においては、上記関係を満たすことにより、不燃化効果及び粉吹き抑制効果を両立させることができる。
リン酸化合物としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等が挙げられる。
これらの中でも、不燃液組成物は、リン酸化合物としてリン酸を含有していることがより好ましい。
また、吸湿することによる不燃効果も期待できる。
A>D
の関係を満たすことが好ましい。この場合、不燃液組成物は、粉吹き抑制効果を発揮できると共に、ベタつくことや腐食することも防止することができる。
金属フッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のアルカリ金属フッ化物、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等のアルカリ土類金属フッ化物が挙げられる。
これらの中でも、不燃液組成物は、金属フッ化物としてフッ化ナトリウムを含有していることがより好ましい。
シランカップリング剤としては、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、スチリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、ウレイドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、アルキルクロロシラン等が挙げられる。
浸透剤としては、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、市販のものを適宜採用することができる。例えば、脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、市販のものを適宜採用することができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル等が挙げられる。
付与方法は、特に限定されず、浸漬、スプレー、コーティング等が挙げられる。
なお、不燃液組成物を木材に付与した後は、乾燥して水分を除去することにより、不燃木材が得られる。
図1は、本発明に係る不燃木材の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、不燃木材の製造方法は、投入工程S1と、減圧工程S2と、注入工程S3と、加圧浸透工程S4と、乾燥工程S5とを備える。
不燃木材の製造方法においては、これらの工程を順次行うことにより、耐火性が極めて優れる木粉ボードを比較的容易に製造することができる。
図2の(a)は、本実施形態に係る木粉ボードの製造方法の投入工程において用いられる耐圧容器を模式的に示す斜視図であり、(b)は、その概略側面図である。
図2の(a)に示すように、耐圧容器10は、横方向に延びる中空円筒状であり、前側に蓋11を備え、後ろ側の図示しない側面に注入管12が取り付けられている。
また、図2の(b)に示すように、当該注入管12には、ポンプPが取り付けられている。
そして、注入管12の先には、後述する不燃液が貯留されたタンク13が、耐圧容器10の上方位置に取り付けられている。すなわち、タンク13は、ポンプPが取り付けられた注入管12を介して、耐圧容器10に連結されている。
耐圧容器10内の圧力が0.09MPaを超えた値であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、後の加圧浸透工程において、不燃液組成物が木材1に十分に浸透しない恐れがある。
なお、注入工程S3により、耐圧容器10内は減圧環境下から解放される。
こうして、木材1に不燃液組成物が浸透した不燃液含有木材が得られる。
耐圧容器10内の圧力が0.5MPa未満の値であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、木材1への不燃液組成物の浸透が不十分となる場合があり、耐圧容器10内の圧力が1.2MPaを超えた値であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、木材1の組織が不燃液組成物によって破壊される恐れがある。
温度が20℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、不燃液組成物を十分に活性化させることができず、不燃液組成物の浸透に時間を要する場合があり、温度が80℃を超えると、加圧が安定せず不燃液組成物が浸透しにくくなる可能性がある。
なお、乾燥方法は、特に限定されず、熱風乾燥、風乾等で行えばよい。
温度が50℃未満の値であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、不燃液含有木材の乾燥が不十分となる場合があり、温度が80℃を超えると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、水分の蒸発の際に、不燃液組成物に含まれる固形分がマイグレーションを引き起こし、木材1に十分に定着しない恐れがある。
重量含水率が5%未満とすると、重量含水率が上記範囲内にある場合と比較して、後に不燃木材が吸水して、寸法が変化する恐れがあり、重量含水率が20%を超えると、重量含水率が上記範囲内にある場合と比較して、不燃液組成物に含まれる固形分が木材1に十分に定着しない恐れがある。
ここで、不燃木材の体積あたりの付着固形分量は100〜400kg/m3であることが好ましく、120〜400kg/m3であることがより好ましい。
また、投入工程S1、減圧工程S2、注入工程S3、加圧浸透工程S4及び乾燥工程S5を備えることにより、不燃液組成物が木材1の内部にまで浸透するので、得られる不燃木材を、極めて長期間屋外に晒される建築材料として使用する場合であっても、経時的に粉吹きが生じることを極力抑制することができ、また、不燃化効果も維持することが可能となる。
本実施形態に係る不燃木材の製造方法においては、木材を不燃化する場合について説明しているが、木材以外の建材を用いてもよい。なお、この場合、不燃木材ではなく、木材以外の建材の不燃物が得られることになる。
ポリフェノール系化合物としては、タンニン、カテキン、アントシアニン等が挙げられる。この場合、ポリフェノール化合物が、不燃液組成物に含まれる固形分の少なくとも一部を木材に接着させることができる。
これらの中でも、ポリフェノール系化合物としては、木材との親和性の観点から、タンニンを用いることが好ましい。
添加剤としては、防腐剤、防虫剤、忌避剤、抗菌剤、消泡剤、樹脂、フィラー、pH調整剤等が挙げられる。
本発明の不燃液組成物によれば、対象物に付与することにより該対象物を不燃化すると共に、不燃液組成物に含まれる固形分が経時的に対象物の表面に析出することを十分に抑制できる。
10・・・耐圧容器
11・・・蓋
12・・・注入管
13・・・タンク
P・・・ポンプ
S1・・・投入工程
S2・・・減圧工程
S3・・・注入工程
S4・・・加圧浸透工程
S5・・・乾燥工程
Claims (7)
- 硫酸アンモニウムと、硼酸と、硼砂と、水とを含有し、
前記水の配合量100質量部に対する前記硫酸アンモニウムの配合量Aが1〜35質量部であり、前記硼酸の配合量Bが1〜40質量部であり、前記硼砂の配合量Cが1.5〜50質量部であり、
前記配合量A、前記配合量B及び前記配合量Cが、
C>B≧A
の関係を満たす不燃液組成物。 - リン酸化合物を更に含有し、
前記水の配合量100質量部に対する前記リン酸化合物の配合量Dが0.1〜20質量部であり、
前記配合量A及び前記配合量Dが、
A>D
の関係を満たす請求項1記載の不燃液組成物。 - 金属フッ化物を更に含有し、
前記水の配合量100質量部に対する前記金属フッ化物の配合量が0.1〜10質量部である請求項1又は2に記載の不燃液組成物。 - シランカップリング剤を更に含有し、
前記水の配合量100質量部に対する前記シランカップリング剤の配合量が0.05質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の不燃液組成物。 - 浸透剤を更に含有し、
該浸透剤が、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の不燃液組成物。 - 請求項1〜5いずれか1項に記載の不燃液組成物を用いた不燃木材の製造方法であって、
耐圧容器に木材を投入する投入工程と、
前記耐圧容器内を0.09MPa以下に減圧する減圧工程と、
前記耐圧容器内に、前記不燃液組成物を注入する注入工程と、
前記耐圧容器内を0.5〜1.2MPaに加圧することにより、前記木材を、前記不燃液組成物が浸透した不燃液含有木材にする加圧浸透工程と、
前記不燃液含有木材を50〜80℃で乾燥する乾燥工程と、
を備え、
前記不燃木材の体積あたりの付着固形分量が100〜400kg/m3である不燃木材の製造方法。 - 前記注入工程と、前記加圧浸透工程とを連続して行う請求項6記載の不燃木材の製造方法。
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