JP2014139269A - 水性難燃撥水剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 乾燥後簡単には基材から難燃剤が剥落・脱離しない、成膜性に優れるホウ素系難燃剤の塗工液であって、乾燥後基材が水濡しても難燃剤が溶出しない、撥水性・耐水性に優れる難燃性物品を形成できるホウ素系難燃剤の塗工液を提供すること。
【解決手段】 ホウ素換算で1〜4重量%のホウ酸およびホウ砂、2〜16重量%のワックス、カチオン性以外の0.5〜8重量%の界面活性剤、および水を含有する、水性難燃撥水剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、基材の表面に成膜(以下、造膜ともいう)あるいは基材に含浸させることにより該基材を火炎から保護し、さらに該基材表面を撥水させる難燃撥水剤に関する。
従来から難燃剤としては、無機系難燃剤としてアンチモン、ジルコニウムリン、金属酸化物、あるいは赤リンと有機系難燃剤としてハロゲン系、リン系などが使用されている(「紙加工便覧」(株)紙業タイムス社)。
無機系難燃剤として、古くから、ホウ酸(HBO)、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物、Na247・10H2O)が知られており、木材の防火剤として利用されてきた。石原茂久,「木材防火剤としてのホウ素とその化合物」,木材保存,社団法人日本木材保存協会,1989年,第15巻, 第6号,p.248−260(非特許文献1参照)
但し、ホウ酸、ホウ砂の溶解度は、冷水に対するよりも熱水に対して比較的高いものの、20℃でホウ酸、あるいはホウ砂を水に溶解させたところで、その濃度は無水塩換算で7重量%(ホウ素換算で0.7重量%、1.1mol/kg)程度にしかならず、高濃度のホウ酸塩水溶液を得ることができず、有効な防火剤として使用できなかった。
しかしながら、キレート化剤または界面活性剤を用いずに、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂のy部(但し、x<35、y<40、0<x<y+5)とを、ホウ素換算で2.5mol/kg以上含む、室温で安定なホウ素化合物の水溶液を得ることができる旨開示される。(特許文献1参照)
石原茂久, 「木材防火剤としてのホウ素とその化合物」, 木材保存, 社団法人日本木材保存協会, 1989年, 第15巻, 第6号, p.248−260
特開2005−112700号公報
このようなホウ素系難燃剤水溶液は、簡便な塗布方法で使用できる。しかし、ホウ酸やホウ砂を水に単に溶かしただけのホウ素系難燃剤水溶液は造膜性がないので、防火対象である基材に水溶液を塗布・乾燥した後、基材表面に析出したホウ酸やホウ砂が剥落・脱離する可能性がある。紙、木材などの多孔質体の基材に水溶液を含浸させた場合、基材表面よりは内部の方がホウ酸やホウ砂は剥落・脱離しにくいとはいうものの、基材表面からのホウ酸やホウ砂の剥落・脱離は防火性を低下させる可能性がある。
また、ホウ素系難燃剤水溶液を塗布もしくは含浸、乾燥させた基材が水で濡れた場合にホウ素系難燃剤が簡単に溶出し、ホウ素系難燃剤が減ってしまい防火性を低下させる可能性がある。
本発明の課題は、乾燥後簡単には基材から難燃剤が剥落・脱離しない、成膜性に優れるホウ素系難燃剤の塗工液であって、乾燥後基材が水濡しても難燃剤が溶出しない、撥水性・耐水性に優れる難燃性物品を形成できるホウ素系難燃剤の塗工液を提供することである。
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、ホウ酸とホウ砂に対して、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤とワックスとを用いることによって、水性難燃撥水剤を得ることを見出した。
即ち、本発明は、ホウ素換算で1〜4重量%のホウ酸およびホウ砂、2〜16重量%のワックス、カチオン性以外の0.5〜8重量%の界面活性剤、および水を含有する、水性難燃撥水剤に関する。
本発明の水性難燃撥水剤は、ホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物の水溶液(A)および、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤とワックスと水とを含有するワックス水性分散体(B)を混合してなる水性難燃撥水剤であることが好ましい。
上記本発明の水性難燃撥水剤において、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、CH3(C22)n−(OCH2CH2)m−OH にて示される構造を有し、n+m=30〜50、HLB値が7〜13であることが好ましい。
上記本発明の水性難燃撥水剤において、ワックスは、パラフィンワックスもしくはポリエチレンワックスであることが好ましい。
また、上記本発明の水性難燃撥水剤において、ワックスの融点は、80〜120℃であることが好ましい。
さらにまた、本発明は、物品に、上記本発明のいずれかの水性難燃撥水剤を塗工、含浸もしくは噴霧し、乾燥してなる、撥水性難燃物品に関する。
本発明により、乾燥後簡単には基材から難燃剤が剥落・脱離しない、成膜性に優れるホウ素系難燃剤の塗工液であって、乾燥後基材が水濡しても難燃剤が溶出しない、耐水性に優れる難燃性物品を形成できるホウ素系難燃剤の塗工液を提供することができるようになった。その結果、紙、織布、木材および不織布等を、撥水性・耐水性を備えた防火・耐火・不燃材料として提供できるようになった。
以下、本発明の水性難燃撥水剤及び撥水性難燃物品について、更に詳細に説明する。
本発明の水性難燃撥水剤は、難燃性を担うホウ酸やホウ砂が水に溶解しているという点では水溶液であり、成膜性および撥水性・耐水性を付与する機能を担うワックスがカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤により水に分散しているという点では分散体でもある。
本発明の水性難燃撥水剤は、ホウ素換算で1〜4重量%のホウ酸およびホウ砂、2〜16重量%のワックス、カチオン性以外の0.5〜8重量%の界面活性剤、および水を含有すればよく、種々の方法で得ることができる。
例えば、
(1)ホウ素とホウ酸とを含有するホウ素化合物の水溶液(A)および、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤とワックスと水とを含有するワックス水性分散体(B)を混合したり、
(2)ホウ素とホウ酸と水を含有する混合物および、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤とワックスを混合したりすることによって得ることができる。
ワックスの分散粒子径を小さく安定に保つという点で、(1)の方法が好ましい。
以下、(1)の場合について説明する。
ホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物の水溶液(A)は、公知の方法で得ればよく、例えば、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂(Na24O7・10H2O)のy部(但し、x<35、y<40、 0<x<y+5)とを添加し、加熱して溶解でき、次に室温まで冷却することにより調製することができる。加熱は、70〜90℃、より好ましくは75〜85℃で行うことが好ましい。
できるだけ高濃度のホウ素化合物の水溶液(A)を得るためには、特許文献1にも開示されるようにホウ酸のみ、ホウ砂のみをそれぞれ水に溶解するのではなく、両者を特定の割合で水に混合、溶解することが好ましい。
本発明において用いられるホウ酸は、H3BO3(オルトホウ酸)、HBO(メタホウ酸)のいずれでもよい。ホウ砂は、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24O7・10H2O)の他、無水物であってもよい。
次に、本発明の水性難燃撥水剤において、成膜性と撥水性・耐水性を担う成分であるワックス水性分散体(B)について説明する。
本発明におけるワックス水性分散体(B)で用いられる界面活性剤は、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤である必要がある。ホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物の水溶液(A)は、高濃度の無機塩水溶液であり、高電解質溶液である。このような高電解質溶液に対しカチオン性界面活性剤を用いると、ワックス水性分散体が凝集し、ワックス成分が分離沈降してしまう。
本発明に用いられるカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やノニオン性界面活性剤挙げられる。
アニオン性界面活性剤は親水基部がカルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩であり、具体例として脂肪酸塩、ロジン酸塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸アルキル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤は親水基にアミノ酸、アミノ硫酸エステル、トリメチルグリシン(ベタイン)であり、具体例として、Nアルキルβ−アミノプロピオン酸、ラウリルベタイン等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は親水基が多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールであり、具体例としてアルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ソルビタンエスエル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル等が挙げられる。撥水効果の点からは、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の中でもCH3(C22)n−(OCH2CH2)m−OH にて示される構造を有するような直鎖構造のものがより好ましい。
分岐構造であるとワックスを分散する能力が低下し、分散粒子の平均粒子径が大きくなり撥水効果が低下する。また、長鎖脂肪族1級アルコールのアルキル基とエチレンオキサイド基のn+mの和が25〜50であることが好ましい。n+mの和が少ない或いは多いと、分散粒子の平均粒子径が大きくなり撥水効果が低下することがある。
このようなノニオン性界面活性剤は、以下のようにして得ることができる。
耐熱耐圧容器に長鎖脂肪族1級アルコールCH3(C22)n−OHと水酸化カリウムを入れ密閉し容器内の酸素を窒素で置換し完全に追い出す。その後攪拌加温しながら、前記長鎖脂肪族1級アルコールを完全に溶解する。その後カリウムアルコラート生成と共に生じる水を真空ポンプにて減圧にして取り除く。そこへエチレンオキシドを充填したボンベを接続し反応容器内を攪拌しながら、徐々にエチレンオキシドを添加する。目的量を添加した後、更に加熱攪拌し、完全に反応させる。これら内容物を取り出し、不純物を吸着剤で吸着した後フィルターで除去することにより、目的とする界面活性剤を得ることができる。
本発明では、このようなノニオン性界面活性剤の市販品として、ベーカー社製のユニトックス 450(n=17、m=10)、550(n=20、m=12)、720(n=30、m=4)、750(n=30、m=18)等を用いることもできる。
一般に界面活性剤は構造的に一定の大きさの親水基と疎水基を分子内に持っており、これにより界面活性剤は、界面化学的諸性質を発現する。この親水性、疎水性の強さのバランスをHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)と呼ぶ。この概念はアメリカのアトラス・パウダー社の研究陣が生み出したもので、現在は界面活性剤の親水性、親油性の度合いを示す概念として用いられている。非イオン界面活性剤のHLBは、通常、次のグリフィンの式によって求められる。
エチレンオキサイドを付加した界面活性剤のHLB値=E/5
(E=ポリオキシエチレン部分の重量分率)
上記の式によると、親水基の全くないものはHLB値=0、PEG(ポリエチレングリコール)のように親水基ばかりのものはHLB値=20となるので、エチレンオキサイドを付加した界面活性剤のHLB値は0〜20の間にあることになる。このHLB値はその数値が小さいほど親油性が強く、大きいほど親水性が強いことになる。
本発明においては、界面活性剤のHLB値が7〜13であることが好ましく、8〜11
であることがより好ましい。界面活性剤のHLB値が7より小さいか、13より大きいとワックスからなる分散粒子の平均粒子径が大きくなり、十分な撥水効果が発現しない可能性がある。
本発明におけるワックスとは、常温で固体または半固体の有機物であり、常温から100℃付近の温度範囲で溶融し、溶融粘度の低いものである。溶融温度よりも10℃高い温度の粘度は、500mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることがより好ましい。
本発明の水性難燃撥水剤を構成するワックスとしては、シリコンワックスを始め、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、蜜ロウ、鯨ロウ、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフインワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油等の水素化ワックス、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等の脂肪酸、脂肪酸アミドが挙げられる。
これら種々のワックスは、融点が80〜120℃であるものが好ましく、84〜110℃であるものがより好ましく、88〜106℃であるものがさらに好ましい。ワックスの融点が80℃未満あるいは120℃より高いと、ワックスの分散粒子の平均粒径が大きくなるため、撥水性が低下し難燃成分が剥離し易くなる。ワックスの融点はJIS K 2235−5.3に定義される方法で測定する。
本発明の水性難燃撥水剤に用いられるワックスは、撥水効果を得るために、疎水性のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスもしくはポリエチレンワックスが好ましく、パラフィンワックスもしくはポリエチレンワックスがより好ましい。
また、本発明に用いられる界面活性剤とワックスと水とを含有するワックス水性分散体(B)は、その分散粒子の平均粒子径が10μm以下であることが好ましく、0.1〜5μmであることがより好ましい。平均粒子径が10μmよりも大きくなるとワックス水性分散体(B)の分散安定性が低下し、結果として水性難燃撥水剤の分散安定性も低下し、水とワックスとが分離し易くなり、十分な撥水性・耐水性が発現できない可能性がある。
ワックスの分散粒子の平均粒子径は、堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて求められるメジアン径を平均粒子径とした。
分散粒子の平均粒子径が10μm以下のワックス水性分散体(B)は、例えば、以下のようにして得ることができる。
ワックスと界面活性剤を融点以上で加熱し溶融した状態で、高温水中で十分な撹拌されるとワックスと界面活性剤が水中で細かな油液状で分散する。この状態を維持したまま、液温を室温まで下げることで調製することができる。
ワックスと界面活性剤と水を融点以上で撹拌するためには、大気圧以上の高圧下で撹拌できる高圧撹拌装置を用いて、水、ワックスと界面活性剤を一括あるいは順次添加し、撹拌しながら、ワックスと界面活性剤の融点以上まで加温し分散しておき、次に液温を室温まで冷却することで調製することができる。加熱する温度はワックス、界面活性剤の融点より5〜50℃高い温度、より好ましくは10〜20℃高い温度で行うことが好ましい。
あるいは100℃以下の湯浴中で十分に撹拌させた状態でワックスと界面活性剤を融点以上で加熱して溶解させたものを滴下し、次に室温まで冷却することで調製することができる。
加熱はワックス、界面活性剤の融点より5〜50℃高い温度、より好ましくは10〜20℃高い温度で行うことが好ましい。
本発明では、ワックス水性分散体(B)の市販品として、商品名「アクアサー」、「アクアマット」(ビックケミー ジャパン製)、商品名「Hydrocer 901」(SHAMROCK TECHNOLOGIES製)なども使用することができる。
本発明における水性難燃撥水剤は、特に他の成分を添加せずとも水性難燃撥水剤として使用することができるが、ホウ素化合物、ワックス、界面活性剤以外にもホウ素化合物による難燃化する性質とワックスの疎水性により撥水する性質を損なわない範囲で、無機、有機等の各種顔料、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調製剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤等を適宜配合することもできる。
本発明の水性難燃撥水剤は、上記各種成分を均一に分散混合することによって調製することができ、混合手段や条件などは特に制限されない。一般的な調製方法として、攪拌機付き容器にホウ素化合物の水溶液(A)を採り、攪拌しながらカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤とワックスと水とを含有するワックス水性分散体(B)を順次配合することで得られる。
このようにして得られる本発明の水性難燃撥水剤は、ホウ素換算で1〜4重量%のホウ酸およびホウ砂、2〜16重量%のワックス、カチオン性以外の0.5〜8重量%の界面活性剤、および水を含有するものである。
水性難燃撥水剤中に含まれるホウ酸およびホウ砂の含有量がホウ素換算で1〜4重量%の範囲にあることによって、基材に十分な難燃性(防火性)を付与することができる。
水性難燃撥水剤中に含まれるワックスが2〜16重量%の範囲にあることによって、成膜性を発現できると共に、基材に塗布・含浸後、乾燥する際、析出するホウ酸およびホウ砂の周囲をワックスが十分覆い、撥水性・耐水性を発現することが可能になる。
また、水性難燃撥水剤中に含まれるカチオン性以外界面活性剤の含有量が0.5〜8重量%の範囲にあることによって、ワックスの分散を安定に保つことができる。
本発明の水性難燃撥水剤を基材に塗工するには、通常使用されている塗工装置を用いることができる。塗工装置としては、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどが挙げられる。
本発明の水性難燃撥水剤は、種々の物品に塗工・含浸し、乾燥することによって撥水性の難燃層を形成することができる。
物品としては、多孔質基材が好ましい。多孔質基材としては、木材、紙、皮革、セメント板、スレート板、石膏ボード、綿、麻、絹、ナイロン、アクリル等の繊維等に代表される基材が挙げられる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施例により何等限定されるものではない。例中、部とは重量部を、%とは重量%をそれぞれ表わす。
本発明における各種の特性値の測定方法は以下の方法で行った。
(1)平均粒子径(μm)の測定
堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920により測定、メジアン径を平均粒子径とした。
(2)ワックスの融点の測定
ワックスの融点はJIS K 2235−5.3に定義される方法で測定する。
<ホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物の水溶液(A)の調整>
(調整例 A−1)
水100部に対して、ホウ酸20部、ホウ砂25部をフラスコに仕込み、大気開放下で撹拌しながら湯浴中で加温したところ、液温80℃においてホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物が完全に溶解する。撹拌しながら液温を20℃まで下げ、無色透明のホウ素化合物の水溶液を得た。この水溶液のpH は6.65 、比重は1.13であった。以下、このホウ素化合物の水溶液を(A−1)とする。ホウ素化合物の水溶液を(A−1)は、ホウ素換算で約4.4重量%のホウ酸およびホウ砂を含有する、固形分20重量%の水溶液である。
(調整例 A−2)
水100部に対して、ホウ酸31部、ホウ砂38部をフラスコに仕込み、大気開放下で撹拌しながら湯浴中で加温し、液温80℃においてホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物が完全に溶解する。撹拌しながら液温を20℃まで下げ、ホウ素化合物の水溶液を得た。この水溶液のpH は6.80、比重は1.22であった。以下、このホウ素化合物の水溶液を(A−2)とする。ホウ素化合物の水溶液を(A−2)は、ホウ素換算で約5.8重量%のホウ酸およびホウ砂を含有する、固形分30重量%の水溶液である。
(ワックス水性分散体(B−1)の製造例)
ポリエチレンワックス(融点 97℃ PW−1):21部、界面活性剤 (NSF−3 ユニトックス550(CH3(C2220−(OCH2CH212−OH) HLB=10):1部をステンレスビーカーに量り取る。それを加熱溶解し攪拌装置で充分攪拌し120℃とする。他のステンレス容器にイオン交換水78部を計り取り90℃に加熱する。そこへ上記ワックスと界面活性剤の溶融混合物をゆっくり滴下する。この時90℃の水の入ったステンレスビーカー内を攪拌しながら滴下を行う。滴下終了後、加熱を止め、熱媒を取り除き室温で徐々に冷却する。50℃以下に冷却後、目的の水性分散体を得る。この水性分散体にイオン交換水を添加して、固形分が22%になるように濃度調整を行ない、ワックスの分散粒子の平均粒子径が0.6μmのワックス水性分散体を得た。以下、この水性分散体を(B−1)とする。
(ワックス水性分散体(B−2)〜(B−12)の製造例)
ワックスの種類、界面活性剤の種類、配合量等を変えた以外は上記水性ワックス分散体(B−1)の場合と同様に、水性ワックス分散体(B−2)〜(B−12)を得た。得られた水性分散体の処方とワックスの分散粒子の平均粒子径を表1に示す。
Figure 2014139269
表中の略号を以下に示す。
PW−1: パラフィンワックス (融点 97℃)
CW−1: カルナバワックス (融点 83℃)
MC−1: マイクロクリスタリンワックス (融点 74℃)
MC−2: マイクロクリスタリンワックス (融点 88℃)
PE−1: ポリエチレンワックス (融点 88℃)
PE−2: ポリエチレンワックス (融点 99℃)
PE−3: ポリエチレンワックス (融点 113℃)
PE−4: ポリエチレンワックス (融点 126℃)
ASF−1: アニオン性界面活性剤 ラウリル硫酸ナトリウム
NSF−1: ノニオン性界面活性剤 ソルビタンモノラウレート HLB値=8.6
NSF−2: ノニオン性界面活性剤 ユニトックス720(CH(C30−(OCHCH−OH) HLB値=4
NSF−3: ノニオン性界面活性剤 ユニトックス550(CH(C20−(OCHCH12−OH) HLB値=10
NSF−4: ノニオン性界面活性剤 ユニトックス750(CH(C30−(OCHCH18−OH) HLB値=10
CSF−1: カチオン性界面活性剤 ステアリルアミンアセテート
実施例1〜8、比較例1〜10
調整例A−1〜2で得られたホウ素化合物の水溶液(A)と製造例B−1〜B−12で得られたワックス水性分散体(B−1)〜(B−12)を表2に示す配合比で配合し、30分間で撹拌し、水性難燃撥水剤を得た。
得られた水性難燃撥水剤を上白紙に簡易ロールコーターを用いて、乾燥後不揮発分の塗布量が30g/mとなるように均一に塗布し、その後、100℃電気オーブン中で2分間静置して、200mm×300mmのサンプルを切り出し、下記の手順に従って、成膜性、難燃性、撥水性、耐久性を評価し、結果を表2に示す。
〔成膜性試験〕
サンプル表面に市販の18mm幅のセロファンテープを貼り、指先で密着させた後、セロファンテープを90゜角で剥離した。剥離後のセロファンテープの状態を目視観察し、下記の基準で評価した。
○:セロファンテープの粘着面に難燃撥水剤由来の付着物がない。
△:セロファンテープの粘着面に難燃撥水剤由来の付着物が僅かに認められる。
×:セロファンテープの粘着面に難燃撥水剤由来の付着物が認められる。
〔難燃性試験(耐水性試験前・後)〕
(耐水性試験前=初期)
サンプルを吊下げ、サンプル下部に、火源としてバーナーの1次空気を混入させずガスだけの炎を1分間接触させ、1分後の試験片の状態を目視観察し、下記の基準で評価した。
(耐水性試験後)
水を張った容器にサンプルを20秒間浸し、サンプルを引き上げた後、23℃室温中で2時間静置し、自然乾燥させた。これを1サイクルとして、5回繰返した後、前述の難燃性試験を行い、前述と同様の基準で評価した。
○:サンプルの焦げ目の長さが10cm未満で、炎が直ちに消える。
△:サンプルの焦げ目の長さが10cm以上で、炎が直ちに消える。
×:サンプルの焦げ目の長さが15cm以上で、炎が直ちに消えずに残る。
〔撥水性試験〕
サンプル表面にスポイトを用いて水滴を垂らして、サンプル表面の水滴状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:スポイトで垂らした水滴がサンプル表面に20分以上残り、乾燥後に水滴痕が残らない。
△:スポイトで垂らした水滴がサンプル表面に10分以上20分未満で残り、乾燥後に水滴痕が若干残る。
×:スポイトで垂らした水滴がサンプル表面に10分未満で消え、水滴痕が残る。
Figure 2014139269
表2の結果から本発明の水性難燃性撥水剤は、耐水性、撥水性に優れる撥水性難燃物品を提供できることがわかる。
本発明の撥水性難燃剤は、難燃性、撥水性に優れ、紙等の多孔質体に塗布乾燥させた撥水性難燃物品は水に濡れても難燃成分が溶出せず、難燃性が維持されることが分かる。
また、本発明の撥水性難燃剤及び撥水性難燃物品は、一般ラベル、シールの他、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、粘着付与樹脂、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、人工皮革、合成皮革等の原料として、非常に有用に使用できる。

Claims (7)

  1. ホウ素換算で1〜4重量%のホウ酸およびホウ砂、2〜16重量%のワックス、カチオン性以外の0.5〜8重量%の界面活性剤、および水を含有する、水性難燃撥水剤。
  2. ホウ酸とホウ砂とを含有するホウ素化合物の水溶液(A)および、カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤とワックスと水とを含有するワックス水性分散体(B)を混合してなる、請求項1記載の水性難燃撥水剤。
  3. カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である、請求項1または2記載の水性難燃撥水剤。
  4. ワックスが、パラフィンワックスもしくはポリエチレンワックスである、請求項1〜3いずれか1項に記載の水性難燃撥水剤。
  5. ワックスの融点が、80〜120℃である、請求項1〜4いずれか1項に記載の水性難燃撥水剤。
  6. ノニオン性界面活性剤が、CH3(C22)n−(OCH2CH2)m−OH にて示される構造を有し、n+m=30〜50、HLB値が7〜13である、請求項3〜6いずれか1項に記載の水性難燃撥水剤。
  7. 物品に、請求項1〜6いずれか1項に記載の水性難燃撥水剤を塗工、含浸もしくは噴霧し、乾燥してなる、撥水性難燃物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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