JP2018187846A - 液体噴射装置及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境下での圧力発生室の故障を高精度に判定することができる液体噴射装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサー140と、前記圧力発生室の故障を判定する判定部240と、を備え、前記判定部240は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、前記第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しない。
【選択図】図10
【解決手段】液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサー140と、前記圧力発生室の故障を判定する判定部240と、を備え、前記判定部240は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、前記第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しない。
【選択図】図10
Description
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射装置及びその制御方法に関し、特に、液体としてインクを噴射するインクジェット式記録装置及びその制御方法に関する。
被噴射媒体に液体を噴射する液体噴射装置には、例えば、液体としてインクを噴射させて紙や記録シートなどの被記録媒体、すなわち、被噴射媒体に印刷を行うインクジェット式記録装置が知られている。
このようなインクジェット式記録装置では、低温環境下において圧力発生室内のインクが凍結して膨張した場合に、圧力発生室のインクの逃げ場がないと、圧力発生室を画成する部材、例えば、振動板や圧力発生室間の隔壁等にクラックが発生するなどの圧力発生室の故障を引き起こすという問題がある。
そこで、インクが凍結しそうな場合には、キャップによってノズルを覆うことなく、電源を切断または節電状態とする液体噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、低温環境下での圧力発生室の故障を高精度に判定したいという要望がある。
これは、例えば、圧力発生室内のインクを排出することで、インクの凍結による圧力発生室の故障を抑制することができるが、インクの無駄な消費が増大してしまうため、故障の判定を高精度に行って、圧力発生室の故障を回避する対策を無駄に行いたくないからである。
なお、このような問題は、インクジェット式記録装置だけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、低温環境下での圧力発生室の故障を高精度に判定することができる液体噴射装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサーと、前記圧力発生室の故障を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、前記第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しないことを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、閾値温度と温度変化率とに基づいて故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。したがって、故障が生じないと判定した場合に故障を回避する動作を実行する必要がなく、無駄な液体の消費や無駄な電力の消費を抑制することができる。また、故障と判定した場合に確実に故障を回避する動作を行うことができ、故障を予防することができる。
また、前記判定部は、前記第2の温度変化率により前記第1閾値温度よりも低い第2閾値温度に到達した場合に、故障と判定することが好ましい。これによれば、閾値温度と温度変化率とに基づいて故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルに連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサーと、前記温度の到達温度と変化率とに基づいて、前記圧力発生室の故障を判定する判定部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、判定部は、センサーが測定した到達温度と温度変化率とに基づいて圧力発生室の故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。したがって、故障が生じないと判定した場合に故障を回避する動作を実行する必要がなく、無駄な液体の消費や無駄な電力の消費を抑制することができる。また、故障と判定した場合に確実に故障を回避する動作を行うことができ、故障を予防することができる。
また、前記判定部は、前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを、当該判定部の判定結果に応じて行うことが好ましい。これによれば、判定部は、複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄な液体の消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサーと、前記センサーが測定した測定結果に応じて、前記圧力発生室の故障を回避するための複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄なインクの消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
また、液体噴射装置を使用しない期間の入力を受け付ける入力手段を備え、前記入力手段の入力結果に基づいて前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行うことが好ましい。これによれば、不使用期間の長短に応じて最適なモードを実行することができ、故障を確実に回避することができる。また、本実施形態では、不使用期間に基づいて故障回避効果の異なる複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄な液体の消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射する液体噴射装置であって、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、前記液体噴射装置を使用しない期間をユーザーに入力させるための入力手段と、を備え、前記入力手段の入力結果に基づいて前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、不使用期間の長短に応じて最適なモードを実行することができ、故障を確実に回避することができる。また、本実施形態では、不使用期間に基づいて故障回避効果の異なる複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄な液体の消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
また、温度を測定するセンサーを具備し、前記モードから復帰する際の前記センサーの測定した温度は、前記モードへ移行する際の前記センサーの測定した温度よりも高いことが好ましい。これによれば、復帰を行う際の温度(閾値)は、故障回避の効果が低いモードから高いモードに移行する際の温度(閾値)よりも高い温度とすることで、より安全性を高めて、故障の発生をさらに抑制することができる。
また、前記モードを行った後、温度を測定するセンサーの測定結果に基づいて別のモードを行うことが好ましい。これによれば、実行したモードで不十分な場合に、別のモードに移行することで、圧力発生室の故障をさらに確実に抑制することができる。また、実行したモードで過剰な場合には、最適なモードに移行することができ、無駄な電力消費等を抑制することができる。
また、前記モードにより前記圧力発生室内の液体を排出した後、別のモードを行わないことが好ましい。これによれば、継続して圧力発生室の故障を抑制することができると共に別のモードに移行しないことで無駄な電力消費を抑制することができる。
また、熱伝導率が異なる複数のキャップを備え、複数の前記キャップは、前記ノズルを覆う凹部の容積が互いに異なることが好ましい。これによれば、機能の異なるキャップを実現できる。
また、熱伝導率が異なる複数のキャップを備え、複数の前記キャップは、前記ノズルが設けられたノズル面と接する面積が違いに異なることが好ましい。これによれば、機能の異なるキャップを実現できる。
また、前記圧力発生室を温めるヒーターを備え、前記判定結果または前記測定結果に基づいて前記ヒーターにより前記圧力発生室を温めることが好ましい。これによれば、ヒーターによって圧力発生室内の液体を加熱することができ、圧力発生室の故障を抑制することができる。
また、前記センサーは複数あり、前記圧力発生室に関する温度の到達温度と温度変化率とを、複数の前記センサーにより特定することが好ましい。これによれば、複数のセンサーによって測定精度を向上することができる。
また、ユーザーに対してエラーを通知するための通知手段を備え、前記判定結果又は前記測定結果に基づいて前記通知手段によりエラーを通知することが好ましい。これによれば、通知手段によって故障の判定結果をエラーとしてユーザーに通知することができ、ユーザーは通知されたエラーに基づいて最適な対策を実行することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサーと、前記圧力発生室の故障を判定する判定部と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、前記判定部は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、前記第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しないことを特徴とする液体噴射装置の制御方法にある。
かかる態様では、閾値温度と温度変化率とに基づいて故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。したがって、故障が生じないと判定した場合に故障を回避する動作を実行する必要がなく、無駄な液体の消費や無駄な電力の消費を抑制することができる。また、故障と判定した場合に確実に故障を回避する動作を行うことができ、故障を予防することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルに連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサーと、判定部と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、前記判定部は、前記温度の到達温度と変化率とに基づいて、前記圧力発生室の故障を判定することを特徴とする液体噴射装置の制御方法にある。
かかる態様では、判定部は、センサーが測定した到達温度と温度変化率とに基づいて圧力発生室の故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。したがって、故障が生じないと判定した場合に故障を回避する動作を実行する必要がなく、無駄な液体の消費や無駄な電力の消費を抑制することができる。また、故障と判定した場合に確実に故障を回避する動作を行うことができ、故障を予防することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、温度を測定するセンサーと、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、前記センサーが測定した測定結果に応じて、前記圧力発生室の故障を回避するための複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置の制御方法にある。
かかる態様では、複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄なインクの消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力発生室と、液体噴射装置を使用しない期間をユーザーに入力させるための入力手段と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、前記入力手段の入力結果に基づいて前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置の制御方法にある。
かかる態様では、不使用期間の長短に応じて最適なモードを実行することができ、故障を確実に回避することができる。また、本実施形態では、不使用期間に基づいて故障回避効果の異なる複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄な液体の消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図、図2は、キャップを示す斜視図である。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図、図2は、キャップを示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニット1とも言う)がキャリッジ2に搭載されている。そして、ヘッドユニット1が搭載されたキャリッジ2は、装置本体3に取り付けられたキャリッジ軸2aに対して軸方向へ移動可能に設けられている。本実施形態では、記録シートSの搬送方向を第1の方向X、キャリッジ軸2aの軸方向を第2の方向Yと称する。また、第1の方向X及び第2の方向Yの両方に直交する方向、本実施形態では、ヘッドユニット1から記録シートSに向かう方向を第3の方向Zと称する。なお、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zは、互いにそれぞれ直交する方向としたが、特にこれに限定されず、直交以外の角度で交差する方向であってもよい。
また、装置本体3には、液体としてインクが貯留された貯留手段4が設けられており、貯留手段4からのインクは、キャリッジ2に搭載されたヘッドユニット1にチューブ等の供給管4aを介して供給される。また、供給管4aの貯留手段4の近傍には、貯留手段4内のインクをヘッドユニット1に向かって圧送する加圧ポンプ等の圧送手段5が設けられている。なお、圧送手段としては、加圧ポンプに限定されず、例えば、貯留手段4を外部から押圧する押圧手段や、吸引ポンプ等であってもよい。また、圧送手段として、ヘッドユニット1と貯留手段4との鉛直方向の相対位置を調整して発生する水頭圧差を用いるようにしてもよい。
そして、駆動モーター6の駆動力が複数のプーリー6aおよびタイミングベルト6bを介してキャリッジ2に伝達されることで、ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ2はキャリッジ軸2aに沿って移動される。一方、装置本体3には搬送手段としての搬送ローラー7が設けられており、紙等の被噴射媒体である記録シートSが搬送ローラー7により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、キャリッジ2がキャリッジ軸2aに沿って移動されると共にヘッドユニット1によってインクが噴射されて被噴射媒体である記録シートSに着弾、すなわち、印刷される。
また、キャリッジ2の移動方向の端部である搬送ローラー7の側方の被印刷領域には、熱伝導率の異なる複数のキャップが設けられている。本実施形態では、複数のキャップは、吸引キャップ110と断熱キャップ120とからなる。吸引キャップ110と断熱キャップ120とについては詳しくは後述する。
ここで、このようなインクジェット式記録装置Iに搭載されるヘッドユニット1を構成するインクジェット式記録ヘッドの一例について図3〜図5を参照して説明する。なお、図3は、インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図4は、インクジェット式記録ヘッドのノズル面側の平面図であり、図5は、図4のA−A′線断面図である。また、本実施形態では、インクジェット式記録ヘッドの各方向について、インクジェット式記録装置Iに搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。もちろん、インクジェット式記録ヘッドのインクジェット式記録装置I内の配置は以下に示すものに限定されるものではない。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドII(以下、記録ヘッドIIとも言う)は、ヘッド本体11、ケース部材40等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されている。本実施形態では、ヘッド本体11は、流路形成基板10と連通板15とノズルプレート20と保護基板30とコンプライアンス基板45とを具備する。
ヘッド本体11を構成する流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が第1の方向Xに沿って並設されている。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列、第2の方向Yに設けられている。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側には、連通板15が接合されている。また、連通板15には、各圧力発生室12に連通する複数のノズル21が穿設されたノズルプレート20が接合されている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。
また、連通板15には、複数の圧力発生室12に共通する共通液室であるマニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
また、ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル21が形成されている。すなわち、ノズル21は、同じ種類の液体(インク)を噴射するものが第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側、すなわち、ノズルプレート20が接合された面側から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、振動板50の絶縁体膜52上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、本実施形態では、成膜及びリソグラフィー法によって積層形成されて圧電アクチュエーター300を構成している。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、第1電極60が、複数の圧力発生室12に亘って連続して設けられているため、第1電極60が振動板の一部として機能するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、上述の弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方又は両方を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。また、保護基板30には、第3の方向Zに貫通する貫通孔32が設けられている。リード電極90の第2電極80に接続された一端部とは反対側の他端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と駆動IC等の駆動回路101を実装した配線基板102とが、貫通孔32内で電気的に接続されている。なお、配線基板102は、ヘッドユニット1を構成する中継基板103に電気的に接続されている。中継基板103は、例えば、複数の記録ヘッドIIの配線基板102が共通して接続される基板であり、配線や電子部品が設けられた回路基板からなる。インクジェット式記録装置Iの制御装置からの制御信号は、中継基板103を介して記録ヘッドIIの配線基板102に入力される。
また、このような構成のヘッド本体11には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体11と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体11とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体11とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の第3の方向Zの記録シートS側である正側の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部となっている。なお、本実施形態では、連通板15のノズルプレート20が接合された面にコンプライアンス部を有するコンプライアンス基板45を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、コンプライアンス部を、マニホールド100の側面、すなわち、ケース部材40の第2の方向Yの側面に設けるようにしてもよく、また、コンプライアンス部をケース部材40の連通板15とは反対側に設けるようにしてもよい。
また、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板102が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成の記録ヘッドIIでは、インクを噴射する際に、貯留手段4から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路101からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル21からインクが噴射される。
また、ヘッド本体11の第3の方向Zの正側には、本実施形態の保護部材であるカバーヘッド105が設けられている。カバーヘッド105は、コンプライアンス基板45の連通板15とは反対面側に接合されており、コンプライアンス部49の流路(マニホールド100)とは反対側の空間を封止する。なお、カバーヘッド105には、ノズル21を露出する露出開口部106が設けられている。本実施形態では、露出開口部106は、ノズルプレート20を露出する大きさ、つまり、コンプライアンス基板45と同じ開口の大きさを有する。
また、カバーヘッド105は、本実施形態では、ヘッド本体11の側面(ノズル21が開口する面とは交差する面)を覆うように、端部が屈曲して設けられている。
このようなカバーヘッド105は、本実施形態では、インク(液体)の吐出方向において、ノズルプレート20よりも記録シートS側に突出して設けられている。このように、カバーヘッド105を記録シートS側に突出させることで、記録シートSがノズルプレート20に接触し難くなり、記録シートSがノズルプレート20に接触することによるノズルプレート20の変形及び剥離等の発生を抑制することができる。
このようなカバーヘッド105が設けられた記録ヘッドIIにおいて、ノズルプレート20とカバーヘッド105との記録シートSに対向する面、すなわち、第3の方向Zの正側の面が本実施形態のノズル面20aとなっている。なお、本実施形態では、ノズル面20aとなるカバーヘッド105を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、カバーヘッド105を設けずに、ノズルプレート20のみがノズル面20aとなっていてもよい。
また、カバーヘッド105のノズル面20aとは反対面側には、温度を測定するためのセンサー140が設けられている。センサー140は、熱電抵抗体、熱電対、サーミスターなどの接触式の温度センサーが挙げられる。また、センサー140として、例えば、被検査対象に接触することなく測定する非接触式のセンサー(放射温度計)であってもよい。なお、非接触式のセンサーを用いる場合には、例えば、ノズル21内のインクの温度を直接測定することも可能である。
このようにカバーヘッド105にセンサー140を設けることで、ノズル21近傍の記録ヘッドIIの温度を測定することができる。
なお、センサー140を複数設け、複数のセンサー140から記録ヘッドIIの温度を測定しても良い。ちなみに、センサー140を複数設ける場合には、例えば、カバーヘッド105に複数のセンサー140を設けるようにしてもよく、配線基板102にセンサーを設けるようにしてもよい。なお、配線基板102にセンサー140を設けることで、センサー140用の配線を新たに引き回す必要がなく、構造を簡略化することができる。また、配線基板102が接続される中継基板103等にセンサー140を設けるようにしてもよい。もちろん、センサー140は、記録ヘッドIIに設ける構成に限定されず、装置本体3の何れの箇所に設けるようにしてもよい。また、センサー140を複数設ける場合には、熱伝導率の異なる部材に設け、熱伝導率が異なる部材から測定した温度に基づいて、実際の温度を高精度に推測することができる。
このようなセンサー140によって記録ヘッドIIの温度と温度変化率とを測定する。なお、温度変化率とは、単位時間当たりの温度の変化率のことであり、温度勾配ともいい、例えば、温度変化率は、温度(℃)/時間(h)で表される。温度変化率が高ければ単位時間当たりの温度が大きく変化したことを示し、温度変化率が低ければ単位時間当たりの温度が小さく変化したことを示す。なお、センサー140が温度変化率を測定する頻度は、特に限定されず、1分毎、1時間毎などの単位時間毎にセンサー140によって温度を測定して、前回の測定した温度と今回測定した温度との温度差から温度変化率を算出すればよい。また、センサー140に常に温度を測定させて、センサーが測定した温度がある一定幅の温度変化を測定したら、変化に要した時間と変化した温度(温度差)とによって温度変化率を算出してもよい。ちなみに、単位時間毎にセンサーによって温度を測定する方が、常に温度を監視する必要がないため消費電力を抑えることができる。なお、複数のセンサー140を熱伝導率の異なる部材に設けることで、1回の温度の測定によって温度変化率を算出することも可能である。つまり、熱伝導率の異なる部材は、温度が変化した際に実際の温度になるまでに時間差が生じるため、熱伝導率の異なる部材の温度差によって温度変化率を算出することも可能である。ただし、単位時間毎に温度を測定して温度変化率を算出した方が高精度な測定を行うことができる。また、ノズル面20aに対して複数のセンサー140が設けられている場合、すなわち、ノズル面20aを分割して、分割したノズル面20a毎にセンサー140が設けられている場合には、ノズル面20aに複数のヒーターを設けることで、センサー140が測定した温度が低い部分及び温度変化率が高い部分をヒーターによって選択的に加熱することも可能である。
このような記録ヘッドIIは、第2の方向Yがキャリッジ2の移動方向である主走査方向となるように、インクジェット式記録装置Iに搭載される。
ここで、インクジェット式記録装置Iに設けられた複数のキャップ、本実施形態では、吸引キャップ110と断熱キャップ120とヒーター130とについてさらに図6〜図8を参照して説明する。なお、図6は、吸引キャップを示す断面図であり、図7は断熱キャップを示す断面図であり、図9は、ヒーターによる過熱状態を示す断面図である。
図2及び図6に示すように、吸引キャップ110は、チューブ等の吸引管115を介して真空ポンプ等の吸引装置116が接続されている。吸引キャップ110は、記録ヘッドIIのノズルプレート20に相対向して設けられ、ノズルプレート20に設けられている複数のノズル21の全てを覆う大きさを有する。具体的には、吸引キャップ110は、ノズルプレート20に相対向して全てのノズル21に亘って開口する第1凹部111を有する。この第1凹部111の開口縁部が記録ヘッドIIのノズル21が開口する側のノズル面、本実施形態では、カバーヘッド105の表面に当接することで、吸引キャップ110は第1凹部111の内部にノズルプレート20を内包する。
また、吸引キャップ110には、第1凹部111の開口する面とは反対側の底面に第1凹部111と連通する連通口112が設けられており、この連通口112に吸引装置116がチューブ等の吸引管115を介して接続されている。
このような吸引キャップ110は、第1凹部111の縁部をノズル面20a、本実施形態では、ノズル面20aとなるカバーヘッド105の表面に当接し、第1凹部111の内部にノズルプレート20を内包した状態で、吸引装置116がインクを吸引することでノズル21を介して記録ヘッドIIの流路内のインクを吸引して気泡等による印刷不良を防止する吸引動作時に用いられる。また、本実施形態の吸引キャップ110は、吸引装置116による吸引動作を行わずに、ノズル21の全てを覆うことでノズル21近傍のインクの乾燥及び増粘を防止する役割を有する。
このように吸引キャップ110は、ノズル21からインクを吸引するために用いられるものであるため、少なくとも記録ヘッドIIのノズル面20aに当接する部分が密着性の高い材料、例えば、ゴムやエラストマー等の弾性部材で形成されているのが好ましい。本実施形態の吸引キャップ110は、樹脂で形成された本体110aと記録ヘッドに当接するゴム等の弾性部材で形成された当接部110bとを具備する。
また、吸引キャップ110は、第1凹部111の容積は、比較的小さくするのが好ましい。このように吸引キャップ110の第1凹部111の容積を小さくすることで、吸引キャップ110がノズル面20aに当接した状態で内部に形成される空間の容積を小さくすることができる。このように、吸引キャップ110がノズル面20aに当接した状態で内部に形成される空間の容積を小さくすることで、吸引キャップ110によってノズル21を覆った際にノズル21のインクの蒸発量が少なくても空間の湿度を一定に保ち易く、ノズル21近傍のインクの蒸発を効果的に抑制することができる。
断熱キャップ120は、図2及び図7に示すように、記録ヘッドIIのノズル面20aに相対向してノズル面20a側を覆うように開口する第2凹部121を有する。第2凹部121が記録ヘッドIIの第3の方向Zの正側の端部を覆うことで、内部にノズル面20aを内包する。すなわち、断熱キャップ120は、第2凹部121の内壁面を記録ヘッドIIの側面に当接して記録ヘッドIIのノズル面20aの全体を覆う。
このような断熱キャップ120は、吸引キャップ110に比べて熱伝導率が低い。本実施形態では、断熱キャップ120は、第2凹部121を形成する壁が二重構造で、且つ壁の内部が大気圧よりも低い圧力となっている状態、所謂、真空又は真空に近い状態である真空構造とすることで、吸引キャップ110に比べて熱伝導率が低くなっている。なお、断熱キャップ120は、真空構造に限定されず、壁が二重構造で内部に空気等の気体が充填された中空構造や二重構造の壁内に樹脂等の断熱材が充填された構造等であってもよい。ちなみに、断熱キャップ120は、真空構造、中空構造、中空構造の内部に樹脂が充填された構造等とすることで、吸引キャップ110と同じ材料、具体的には本体110aと同じ材料を用いても、吸引キャップ110よりも熱伝導率を低くすることができる。すなわち、熱伝導率とは、第2凹部121を形成する壁の両面における熱伝導の大きさを表すものであり、吸引キャップ110の第1凹部111を形成する壁の熱伝導率に比べて、断熱キャップ120の第2凹部121を形成する壁の熱伝導率が低ければよい。
また、吸引キャップ110は、ノズル面20aに密着する必要があるため、ある程度の剛性が必要であるが、断熱キャップ120は、ノズル面20aの外部環境に起因する温度変化を緩やかにさせるためのものであるため、吸引キャップ110に比べて剛性は必要ない。したがって、断熱キャップ120の材料として吸引キャップ110のように密着性を考慮した材料を選択する必要がなく、第2凹部121を形成する壁を二重構造や中空構造等とすることなく、吸引キャップ110に比べて熱伝導率が低い材料を用いることもできる。もちろん、断熱キャップ120は、熱伝導率が低い材料で形成すると共に真空構造や中空構造とすることで断熱効果をより高めることができる。また、断熱キャップ120は、記録ヘッドIIに密着した方が断熱効果は高まるため、断熱キャップ120の少なくとも記録ヘッドIIに当接する部分には、ゴムやエラストマー等の弾性部材を設けるのが好ましい。
このような断熱キャップ120は、第2凹部121の容積、すなわち、記録ヘッドIIのノズル面20aを覆った状態で内部に形成される空間の容積は、比較的大きい方が好ましい。このように、断熱キャップ120がノズル面20aを覆った状態で形成される空間の容積を大きくすることで、この空間内の気体が断熱材として機能して、ノズル面20aの断熱効果を高めることができる。すなわち、断熱キャップ120の第2凹部121の容積と、吸引キャップ110の第1凹部111の容積とは互いに異なり、且つ、断熱キャップ120の第2凹部121の容積は、吸引キャップ110の第1凹部111の容積よりも大きいことが好ましい。
また、吸引キャップ110と断熱キャップ120とは、ノズル面20aと接する面積が互いに異なる。ここで、ノズル面20aと接する面積とは、吸引キャップ110及び断熱キャップ120によってノズル面20aを覆う面積のことである。吸引キャップ110は、上述のようにノズル面20aに密着してノズル21からインクを吸引するため、ノズル面20aに当接するように形成されており、ノズル面20aと接する面積、すなわち、ノズル面20aを覆う面積が小さい。このように吸引キャップ110がノズル面20aと接する面積を小さくすることで、第1凹部111の容積を小さくすることができ、ノズル21近傍のインクの蒸発を効果的に抑制することができる。これに対して、断熱キャップ120は、ノズル面20aを断熱するために本実施形態ではノズル面20aの全面を覆う。このため、ノズル面20aと接する面積、すなわち、ノズル面20aを覆う面積は大きい。このように断熱キャップ120がノズル面20aと接する面積を大きくすることで、第2凹部121の容積を大きくすることができ、断熱キャップ120による断熱効果を向上することができる。つまり、本実施形態では、断熱キャップ120のノズル面20aと接する面積は、吸引キャップ110のノズル面20aと接する面積よりも大きい。
さらに、断熱キャップ120の第2凹部121内には、図7及び図8に示すように、発熱体であるヒーター130が設けられている。ヒーター130は、記録ヘッドIIのノズル面20aに相対向して設けられて、非接触で記録ヘッドIIのノズル面20a側を加熱する。このようなヒーター130としては、例えば、赤外線ヒーターを用いることができる。なお、本実施形態では、断熱キャップ120内にヒーター130を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、記録シートSの記録ヘッドIIに対向する表面とは反対側の裏面側を支持する支持部材(図示なし)にヒーターを設けるようにしてもよい。また、記録ヘッドIIのマニホールド100付近にヒーターを設けるようにしてもよい。もちろん、装置本体3内の任意の場所、例えば、記録ヘッドIIの近傍や、貯留手段4、供給管4a等にヒーターを設けるようにしてもよい。さらに、記録ヘッドII内に設けられた圧力発生素子である圧電アクチュエーター300やスイッチング素子を有する駆動素子である駆動回路101は、駆動することによって発熱するため、これらをヒーターとして用いるようにしてもよい。例えば、圧電アクチュエーター300をヒーターとして用いる場合には、ノズル21からインク滴が吐出しない程度に圧電アクチュエーター300を駆動させれば、インクの無駄な消費を抑制することができると共に、駆動回路101もヒーターとして機能する。なお、本実施形態では、断熱キャップ120内に設けられたヒーター130による記録ヘッドIIの加熱は、図8に示すように、断熱キャップ120がノズル面20aを覆った状態で行われる。これにより、ヒーター130の熱が断熱キャップ120の外部に逃げるのを抑制して、ヒーター130によって記録ヘッドIIのノズル面20a側を効率よく加熱することができる。
また、本実施形態では、複数のキャップとして吸引キャップ110と断熱キャップ120とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、吸引キャップ及び断熱キャップとは熱伝導率の異なるその他のキャップを設けるようにしてもよい。
このようなインクジェット式記録装置Iは、制御部210を有する。ここで、制御部210は、インクジェット式記録装置Iの全体を制御する要素であり、図1に示すように、インクジェット式記録装置Iに設けられた制御装置200内に設けられている。
図9に示すように、制御部210は、CPU等を含んで構成した制御処理部211と記憶部212と駆動信号生成部213と外部I/F(interface)214と内部I/F215とを有する。被噴射媒体に印刷される画像を示す印刷データがホストコンピューターなどの外部装置230から外部I/F214に送信され、内部I/F215にはプリントエンジン220が接続される。プリントエンジン220は、制御部210による制御のもとで記録シートSに画像を記録する要素であり、記録ヘッドIIと、搬送ローラー7等を有する紙送り機構221と、駆動モーター6、プーリー6a、タイミングベルト6b、キャリッジ軸2a等を有するキャリッジ機構222と、を有する。
記憶部212は、制御プログラム等を記録するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記録するRAMとを含む。制御処理部211は、記憶部212に記録された制御プログラムを実行することによりインクジェット式記録装置Iの各要素を統括的に制御する。また、制御処理部211は、外部装置から外部I/F214に送信される印刷データを、記録ヘッドIIの各ノズル21からのインク滴の噴射/非噴射を圧電アクチュエーター300毎に指示するヘッド制御信号、例えば、クロック信号CLK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、画素データSI、設定データSP等に変換し、内部I/F215を介して記録ヘッドIIに送信する。また、駆動信号生成部213は、駆動信号(COM)を生成し内部I/F215を介して記録ヘッドIIに送信する。すなわち、ヘッド制御データや駆動信号等の噴射データは、送信部である内部I/F215を介して記録ヘッドIIに送信される。
制御部210からヘッド制御信号及び駆動信号等の噴射データが供給された記録ヘッドIIは、ヘッド制御信号及び駆動信号から駆動パルスを生成し、駆動パルスを圧電アクチュエーター300に印加する。すなわち、駆動パルスとは、圧電アクチュエーター300に印加する印加パルスのことである。
ここで、制御部210の制御処理部211は、電源オフ又は節電状態とする際に、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて凍結によって圧力発生室12を形成する振動板50や流路形成基板10にクラック等が発生、すなわち、圧力発生室12の故障を判定する。また、本実施形態では、制御処理部211は、判定結果に基づいて圧力発生室12の故障を回避するモード(以下、故障回避モードともいう)を実行するように制御する。すなわち、制御処理部211は、記憶部212に記録された制御プログラムを実行することにより、圧力発生室12の故障を判定する機能と故障を回避するモードを実行する機能とを実現する。このような制御プログラムは、外部I/F214を介して直接接続された、又はホストコンピューターを介して接続されたフロッピィディスクやCDROM、DVDROM、USBメモリー等の記録媒体から読み込まれる。もちろん、制御プログラムは、ホストコンピューターにプリンタードライバーとして備えられていてもよい。このように制御プログラムがホストコンピューターに備えられた場合には、制御部は、制御プログラムを具備するホストコンピューターとなる。
また、制御処理部211は、外部装置から外部I/F214を介して受信した印刷データから紙送り機構221及びキャリッジ機構222の移動制御信号を生成し、内部I/F215を介して紙送り機構221及びキャリッジ機構222に送信し、紙送り機構221及びキャリッジ機構222の制御を行う。さらに、制御処理部211は、吸引キャップ、断熱キャップ及びヒーターの制御を行って各モードを実行する。
ここで、制御処理部211の判定を行う機能実現部についてさらに図10を参照して説明する。なお、図10は、制御処理部の機能実現部を示すブロック図である。
図10に示すように、制御処理部211は、判定部240を具備する。判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいてインクの凍結によって圧力発生室12を形成する振動板50や流路形成基板10にクラック等の故障、いわゆる、圧力発生室12の故障が発生したか判定する。
ここで、インクの凍結による圧力発生室12の故障について説明する。なお、図11は、圧力発生室12の故障が生じる状態を示すものであり、図11において、インクはドットパターンで表し、凍結したものはハッチングで表す。
図11に示すように、ノズル21からマニホールド100まで液体が充填された状態で凍結が生じると、ノズル21とマニホールド100の下部とから凍結が略同時に始まる。そして、凍結が進んでいくと、圧力発生室12のノズル21に連通する側のノズル連通路16と、マニホールド100に連通する側の供給連通路19とが凍結し、圧力発生室12内のインクが凍結する際には膨張の圧力の逃げ場がない状態となり、圧力発生室12を画成する部材、すなわち、振動板50や流路形成基板10の隔壁等にクラックが生じる。なお、圧力発生室12内のインクが凍結しなくても、圧力発生室12内の圧力が高まり、振動板50や隔壁等にクラックが生じる場合もある。
ここで到達温度と温度変化率との関係を図12に示す。なお、図12は、到達温度と温度変化率とに基づくクラック等の故障の発生を示すグラフであり、クラックが発生していないものを丸、クラックが発生したものをバツで表している。
図12に示すように、到達温度に達するまでの温度変化率が高ければ振動板50にクラックが発生するが、同じ到達温度であっても温度変化率が低ければ振動板50にクラックが発生しない。つまり、温度変化率が高ければ、到達温度が低くてもクラックが発生するが、温度変化率が低ければ、到達温度が高くてもクラックが発生しない。このように温度変化率が低ければ到達温度が高くてもクラックが発生しないのは、凍結によってインクの流動性が低下して圧力発生室12内の圧力の逃げ道が完全に塞がる前に体積膨張した分のインクがノズル21から外部やマニホールド100内等へ移動するからだと考えられる。
このため、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とから振動板50にクラック等が発生して圧力発生室12が故障したか判定する。なお、判定部240が故障を判定するとは、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とによって実際にクラックが発生したことを判定することも、凍結によるクラックが発生すると予測することも含む。
本実施形態では、判定部240は、到達温度と温度変化率とから故障を判定するための二次元テーブルに基づいて判定する。ここで、二次元テーブルの一例を図13に示す。なお、図13は、二次元テーブルを説明する図である。
図13に示すように、二次元テーブルは、到達温度と温度変化率と故障の判定とが関連付けられた情報であり、記録ヘッドII固有のものであり、例えば、制御部210の記憶部212に記憶されている。
ここで、例えば、判定部240が、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とから実際に故障が発生したことを判定する場合には、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率との両方が、図12及び図13において閾値を示す線L0よりも上回っていた場合に故障と判定する。また、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率との両方が、図12及び図13において閾値を示す線L0よりも下回っていた場合に故障と判定しない。つまり、図13に示す二次元テーブルにおいて、到達温度が同じ−21℃であっても、温度変化率が−1℃/h以下は故障が発生しないが、温度変化率が−1℃/hより大きい場合には故障が発生すると判定する。
つまり、判定部240は、第1閾値温度に第1の温度変化率によって到達した場合に故障と判定し、判定部240は、第1閾値に対して、第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に故障と判定しない。
また、判定部240は、小さい第2の温度変化率によって第1閾値温度よりも低い第2閾値温度(第1閾値温度>第2閾値温度)に到達した場合には、故障と判定する。これは、すなわち、温度変化率が小さくても到達した温度が低い場合には故障が発生するからである。
ちなみに、故障が発生するか否かは、記録ヘッドIIの構造や材料、すなわち、流路の構造や、振動板50、圧電アクチュエーター300の材料や厚さによって決定されるものであるため、このような閾値を示す線L0、すなわち、第1閾値温度と第1の温度変化率と第2の温度変化率とは実際の実験やシミュレーション等によって測定した結果に基づいて決定すればよい。
また、判定部240が、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とによって凍結によるクラック等の故障が発生すると予測する場合には、判定結果に基づいて図10に示すように、複数のモード、本実施形態では、故障回避効果の異なる複数のモード1〜4から1つのモードを選択して実行する。
つまり、判定部240は、故障の予測を判定する場合には、判定部240は、故障の判定に基づいて異なる複数のモード、本実施形態では、モード1〜4から1つを選択して実行する。すなわち、判定部240は、故障の危険度を段階分けして判定し、段階分けした故障の危険度に基づいて故障回避効果の異なる複数のモードから1つを選択して実行する。
ここで、各モード1〜4は、圧力発生室12やマニホールド100内のインクの凍結によって圧力発生室12内の圧力が上昇し、圧力発生室12を画成する振動板50や流路形成基板10の隔壁等にクラックが発生する圧力発生室12の故障を抑制するために実行されるものである。
モード1では、図6に示すように、吸引キャップ110によってノズル21を覆う。吸引キャップ110によってノズル21を覆うことで、ノズル21近傍のインクの蒸発を抑制する。吸引キャップ110は、断熱キャップ120に比べて熱伝導率が高いため、吸引キャップ110によってノズル21を覆うことで、ノズル21近傍のインクの温度変化率は、全く覆ってない状態(ノズル21がむき出しの状態)に比べて低くなる。
モード2では、図7に示すように、断熱キャップ120によってノズル面20aを覆う。断熱キャップ120は、吸引キャップ110よりも熱伝導率が低いため、断熱キャップ120によってノズル面20aを覆うことで、ノズル21及びカバーヘッド105近傍のインクの温度変化率をモード1に比べて低くすることができる。
モード3では、図8に示すように、ヒーター130によって記録ヘッドIIを加熱する。ヒーター130によって記録ヘッドIIを加熱することで、記録ヘッドII内のインクの凍結を抑制することができる。本実施形態では、モード3では、断熱キャップ120によって記録ヘッドIIのノズル面20a側を外部環境から断熱すると共にヒーター130によってノズル面20aを加熱するため、ヒーター130による加熱効率を向上することができる。また、モード3におけるヒーター130の加熱は、連続的であってもよく、断続的であってもよい。ちなみに、ヒーター130の加熱が連続的とは、ヒーター130が一定の温度で放熱し続けることであり、温度の自動調節装置(サーモスタット)によって温度が一定に調整された状態も含む。また、ヒーター130の加熱が断続的とは、ヒーター130からの放熱温度が上下することであり、ヒーター130への通電自体が行われない期間を有することをいう。ヒーター130の加熱を連続的に行えば消費電力は高くなるが、故障回避を確実に行える。これに対して、ヒーター130の加熱を断続的に行えば消費電力は低減できるが、故障回避の信頼性は低くなる。
モード4では、図14に示すように、記録ヘッドII内のインク、特に、圧力発生室12内のインクを排出する。例えば、インクの排出は、インクの供給を停止した状態で、圧電アクチュエーター300を駆動してインク滴を吐出させることで、ノズル21から空気を吸い込ませて、ノズル連通路16、圧力発生室12及び供給連通路19のインクを空気に置換、すなわち排出させることができる。もちろん、インクの排出は、圧電アクチュエーター300の駆動に限定されず、例えば、インクの供給を停止した状態で、吸引キャップ110によってノズル21から記録ヘッドII内のインクを吸引し、吸引キャップ110によるノズル21の密封を解除することでノズル21から気体を吸い込ませてインクの排出を行わせることもできる。
このようなモード1〜4では、凍結によるクラックを発生させない故障回避効果としてはモード1が最も低く、モード1よりもモード2の方が高く、モード2よりもモード3の方が高く、モード3よりもモード4の方が高くなっている。つまり、モード1では、ノズル面20aを露出した場合に比べると断熱効果はあるものの、ノズル面20aの断熱効果は断熱キャップ120に比べて低いため、温度変化率が高くなり易く、凍結によるクラック等の故障は比較的発生し易い。これに対して、モード2は、モード1の吸引キャップ110に比べて断熱効果が高い断熱キャップ120でノズル面20aを覆うため、ノズル面20aの温度変化率がモード1よりも低くなり、モード1に比べて凍結によるクラック等の故障は発生し難い。また、モード3では、ヒーター130がノズル面20aを加熱するため、モード2に比べて凍結によるクラック等の故障は発生し難い。さらに、モード4では、圧力発生室12からインクを排出してしまうため、凍結自体が発生せずに、モード3に比べて凍結によるクラックが発生し難い。すなわち、モード1〜4は、モードの数字が増えるに従ってクラック等の故障がより発生し難く、故障回避効果が高い。
判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて、故障の危険度、すなわち故障の度合いを段階的に判定する。本実施形態では、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とから図13に示す二次元テーブルに基づいて故障を判定する。
ここで、図13に示すように、二次元テーブルは、到達温度及び温度変化率とモードを選択可能な故障の判定とが関連付けられた情報である。例えば、図12に示すグラフ及び図13に示す二次元テーブルにおいて、到達温度と温度変化率との両方が閾値を示す線L1よりも小さい第1領域201の場合には、凍結によるクラック等の故障が発生する危険性が低いため、判定部240はモード2を実行する。
また、センサー140が測定した到達温度と温度変化率との両方が閾値を示す線L1と線L2との間の第2領域202の場合には、凍結によるクラック等の故障が発生する危険性は中となるため、判定部240はモード3を実行する。
また、センサー140が測定した到達温度と温度変化率との両方が閾値を示す線L2と線L0との間の第3領域203の場合には、故障が発生する危険性が高いため、判定部240は、モード4を実行する。
さらに、センサー140が測定した到達温度が、インクが凍結しない温度、すなわち、インクの凝固点よりも高い温度(第1領域201よりも高い温度)の場合には、インクが凍結しないため、判定部240はモード1を実行して吸引キャップ110によってノズル面20aを保護すると共にノズル21近傍のインクの蒸発を抑制する。もちろん、モード1の吸引キャップ110では、断熱キャップ120に比べて断熱効果は劣るものの、ノズル21が露出された状態に比べてノズル面20aの断熱を行うため、インクが凍結する到達温度及び温度変化率であって、閾値を示す線L1よりも低い到達温度においてモード1が実行されるようにしてもよい。
このように判定部240は、凍結による故障が発生する危険度(度合い)を判定して、判定した危険度に応じてモード1〜4を選択して実行する。
また、センサー140は、モード1〜4を実行した後も到達温度と温度変化率とを測定し続け、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて異なるモードに移行する。例えば、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第1領域201で判定部240がモード2を実行した後(実行中)に、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第2領域202となった場合には、判定部240は別のモード3を実行する。もちろん、モード2を実行中にセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第3領域203となった場合には、モード2からモード4を実行してもよい。このように、判定部240は、実行中のモードから、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて異なるモードを実行することで、振動板50のクラック等の圧力発生室12の故障を確実に抑制することができる。
また、例えば、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第2領域202で判定部240がモード3を実行中に、センサー140が第2領域202よりも高い温度、すなわち、第1領域201を測定した場合には、判定部240はモード2を実行する。このように、故障回避効果が高いモードから低いモードに移行することを故障回避モードからの復帰という。なお、復帰には、故障回避を行うモードから、モードを全く行わない、すなわち、ノズル21を吸引キャップ110によって覆わずに露出するものも含まれる。また、復帰を行う際の閾値は、故障回避の効果が低いモードから高いモードに移行する際の閾値よりも高い温度とするのが好ましい。例えば、同じ温度変化率−1℃/hにおいて、モード2を実行中の到達温度が−15℃から、到達温度が−16℃になった場合にモード3に移行するのに対し、モード3を実行中に−15℃ではモード2に移行せずに、モード2からモード3に移行する温度よりも高い温度、例えば−14℃でモード2に移行すればよい。これにより、安全性を高めて、故障の発生をさらに抑制することができる。なお、上述した例では、故障回避効果の高いモードに移行する温度よりも、効果の低いモードに復帰する際の温度を高くするようにしたが、特にこれに限定されず、温度変化率についても故障回避効果の低いモードに復帰する際の温度変化率を、故障回避効果の高いモードに移行する温度変化率よりも低く(温度勾配が小さく)してもよい。もちろん、故障回避効果の高いモードに移行する際よりも、効果の低いモードに復帰する際の温度を高くすると共に温度変化率を低くするようにしてもよい。
また、モード4によって圧力発生室12内のインクを排出した後は、故障回避効果の低いモードに移行する必要はないため、別のモード、すなわち、復帰は行わないのが好ましい。もちろん、モード4を実行した後、ノズル面20aを保護するためにモード1〜3を実行してもよい。また、モード1〜3においても復帰を行わなくしてもよい。
このような制御方法について図15を参照してさらに詳細に説明する。なお、図15は、制御方法を説明するフローチャートである。
図15に示すように、ステップS1で、センサー140が到達温度と温度変化率とを測定する。次にステップS2で、判定部240はセンサー140の測定結果が図12及び図13に示す第1領域201であるか判定する。ステップS2で、判定部240がセンサー140の測定結果が第1領域201であると判定した場合には(ステップS2:Yes)、ステップS3で判定部240はモード2を選択して実行する。ステップS3でモード2を実行した後は、ステップS1に戻りセンサー140が到達温度と温度変化率とを測定し、ステップS2以降を行う。
ステップS2で、判定部240がセンサー140の測定結果が第1領域201ではないと判定した場合には(ステップS2:No)、ステップS4で、判定部240はセンサー140の測定結果が第2領域202であるか判定する。ステップS4で、センサー140の測定結果が第2領域202であると判定した場合には(ステップS4:Yes)、ステップS5で判定部240はモード3を実行する。
なお、ステップS5でモード3を実行した後は、ステップS1に戻りセンサー140が到達温度と温度変化率とを測定し、ステップS2以降を行う。すなわち、ステップS5でモード3を実行した後は、ステップS1でセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第1領域201になれば(ステップS2:Yes)、ステップS3でモード2を実行し、第2領域202のままであれば(ステップS2:No、ステップS4:Yes)、ステップS5でモード3が実行されたままとなる。
また、ステップS4でセンサー140の測定結果が第2領域202ではないと判定した場合には(ステップS4:No)、ステップS6で判定部240はセンサー140の測定結果が第3領域203であるか判定する。ステップS6で、センサー140の測定結果が第3領域203であると判定した場合には(ステップS6:Yes)、ステップS7で判定部240はモード4を実行する。このステップS7でモード4を実行することで、圧力発生室12からインクは排出、すなわち、圧力発生室12のインクは空気に置換されるため、他のモード1〜3には移動することなく終了される。
また、ステップS6でセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第3領域203ではないと判定した場合には(ステップS6:No)、ステップS8で判定部240はモード1を実行する。すなわち、到達温度と温度変化率とが第1領域201ではなく(ステップS2:No)、第2領域202ではなく(ステップS4:No)、第3領域203ではない(ステップS6:No)という条件を全て満たした場合には、故障の危険性が低いため、判定部240はモード1を実行する。モード1を実行した後は、ステップS1に戻りセンサー140が到達温度と温度変化率とを測定し、ステップS2以降を行う。すなわち、ステップS8でモード1を実行した後は、ステップS1でセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第1領域201になれば(ステップS2:Yes)、ステップS3でモード2を実行し、到達温度と温度変化率とが第2領域202になれば(ステップS2:No、ステップS4:Yes)、ステップS5でモード3を実行し、到達温度と温度変化率とが第3領域203になれば(ステップS2:No、ステップS4:No、ステップS6:No)、ステップS8でモード1が実行されたままとなる。
このように、センサー140が測定した温度と温度変化率とに応じて、故障回避効果の異なる複数のモード1〜4を選択して行うことで、圧力発生室12の故障の回避を確実に行うことができる。また、判定部240は、故障の危険度に応じて、常に圧力発生室12のインクの排出を行うモード4を実行する訳ではないため、毎回インクの排出を行う場合に比べてインクの無駄な消費を抑制することができる。さらに、判定部240は、故障の危険度に応じて、常にヒーター130で加熱を行うモード3を実行する訳ではないため、常にヒーター130で加熱する場合に比べて消費電力を低減することができる。
また、ステップS1〜ステップS8においては、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とが第1領域201〜第3領域203及びそれ以外に該当する場合にモード1〜4を選択して実行するため、故障回避効果が低いモードから高いモードに移行する場合も、故障回避効果が高いモードから低いモードに移行する復帰する場合も同じ到達温度及び温度変化率としたが、上述のように、復帰を行う際の閾値は、故障回避の効果が低いモードから高いモードに移行する際の閾値よりも高い温度とするのが好ましい。
なお、本実施形態では、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて複数のモード1〜4から1つのモードを選択して実行するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて故障の判定を行うと共に故障の危険度を判定し、判定結果をユーザーに報知するようにしてもよい。このような例を図16に示す。なお、図16は、制御処理部の機能実現部を説明する図である。
図16に示すように、インクジェット式記録装置Iは、さらに通知部150と入力部160とを具備する。
通知部150は、判定部240が判定した故障の有無や故障の危険度などの判定結果をユーザーに通知する通知手段であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等の表示装置や、警報音や音声などのスピーカー等で構成される。
入力部160は、ユーザーからの指令を入力させるための入力手段であり、例えば、各種スイッチやタッチパネル等で構成される。なお、入力部160は、ホストコンピューターなどの外部装置230であってもよい。
そして、制御処理部211は、機能実現部として判定部240と報知部241とを具備する。
判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて故障の判定を行うと共に故障の危険度を判定する。
報知部241は、判定部240が判定した判定結果を通知部150によってユーザーに通知する。また、判定部240は、入力部160によって入力されたユーザーからの指令に基づいてモードを実行する。すなわち、図16に示す構成では、判定部240が判定した判定結果を報知部241が通知部150によってユーザーに通知し、通知を受けたユーザーからの指令、例えば、モード1〜4の何れのモードを実行するかの指令を入力部160から受け取って、判定部240は、ユーザーの指令に基づいてモードを実行する。
このような構成では、判定部240が判定した結果に対して、故障の回避を行うモードを選択する自由度を高くすることができる。例えば、判定部240が故障の危険度が低い第1領域201であると判定し、判定結果を報知部241が通知部150を介してユーザーに通知した場合であっても、ユーザーは、都合や目的に合わせて入力部160を介して故障回避効果の高いモード、例えばモード3やモード4を実行させることができる。
また、インクジェット式記録装置Iが入力部160を有する構成であれば、ユーザーの指令に基づいて、センサー140による到達温度と温度変化率との測定と、判定部240による判定や判定に基づくモードの選択とを実行させることができる。つまり、電源オフや節電状態以外にも、ユーザーからの指令による任意のタイミングで、センサー140による到達温度と温度変化率との測定と、判定部240による判定や判定に基づくモードの選択とを実行することができる。
なお、図16に示す構成では、入力部160を設け、ユーザーからの指令に基づいてモード1〜4を実行するようにしたが、もちろんこれに限定されず、例えば、入力部160を設けずに、判定部240の判定結果を報知部241が通知部150によってユーザーに通知するだけでもよい。
以上説明したように、本実施形態では、液体としてインクを噴射するノズル21と、ノズル21と連通する圧力発生室12と、温度を測定するセンサー140と、圧力発生室12の故障を判定する判定部240と、を備え、判定部240は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しない。このように、閾値温度と温度変化率とに基づいて故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。したがって、故障が生じないと判定した場合に故障を回避する動作を実行する必要がなく、無駄なインクの消費や無駄な電力の消費を抑制することができる。また、故障と判定した場合に確実に故障を回避する動作を行うことができ、故障を予防することができる。
また、判定部240は、第2の温度変化率により第1閾値温度よりも低い第2閾値温度に到達した場合に、故障と判定することが好ましい。これによれば、閾値温度と温度変化率とに基づいて故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。
液体としてインクを吐出するノズル21と、ノズル21に連通する圧力発生室12と、温度を測定するセンサー140と、温度の到達温度と変化率とに基づいて、圧力発生室12の故障を判定する判定部240と、を備える。このように、判定部240は、センサーが測定した到達温度と温度変化率とに基づいて圧力発生室12の故障を判定するため、故障の判定精度を向上することができる。したがって、故障が生じないと判定した場合に故障を回避する動作を実行する必要がなく、無駄なインクの消費や無駄な電力の消費を抑制することができる。また、故障と判定した場合に確実に故障を回避する動作を行うことができ、故障を予防することができる。
また、判定部240は、圧力発生室12の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを、判定部240の判定結果に応じて行う。本実施形態では、判定部240は、故障回避効果の異なる複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄なインクの消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
また、モードから復帰する際の温度は、モードへ移行する際の温度よりも高いことが好ましい。このように、復帰を行う際の温度(閾値)は、故障回避の効果が低いモードから高いモードに移行する際の温度(閾値)よりも高い温度とするのが好ましい。これにより、安全性を高めて、故障の発生をさらに抑制することができる。
また、モードを行った後、温度を測定するセンサー140の測定結果に基づいて別のモードを行うことが好ましい。これによれば、実行したモードで不十分な場合に、別のモードに移行することで、圧力発生室12の故障をさらに確実に抑制することができる。また、実行したモードで過剰な場合には、最適なモードに移行することができ、無駄な電力消費等を抑制することができる。
また、モードにより圧力発生室12内のインクを排出した後、別のモードを行わないことが好ましい。これによれば、圧力発生室12内のインクを排出した後は、次に圧力発生室12内にインクが充填されるまで、インクの凍結による圧力発生室12の故障は生じないため、別のモードに移行しないことで無駄な電力消費を抑制することができる。もちろん圧力発生室12のインクを排出した後、ノズル面20aを保護するなどの他の目的のために別のモードを実行してもよい。
また、本実施形態では、熱伝導率が異なる複数のキャップとして、吸引キャップ110と断熱キャップ120とを備え、複数のキャップである吸引キャップ110と断熱キャップ120とは、ノズル21を覆う凹部である第1凹部111及び第2凹部121の容積が互いに異なることが好ましい。
吸引キャップ110の第1凹部111の容積を小さくすることで、吸引キャップ110がノズル面20aに当接した状態で内部に形成される空間の容積を小さくすることができる。したがって、吸引キャップ110によってノズル21を覆った際にノズル21のインクの蒸発量が少なくても空間の湿度を一定に保ち易く、ノズル21近傍のインクの蒸発を効果的に抑制することができる。
また、断熱キャップ120の第2凹部121の容積を大きくすることで、第2凹部121内の気体が断熱材として機能して、ノズル面20aの断熱効果を高めることができる。
また、本実施形態では、熱伝導率が異なる複数のキャップとして吸引キャップ110と断熱キャップ120とを備え、複数のキャップである吸引キャップ110と断熱キャップ120とは、ノズル21が設けられたノズル面20aと接する面積が違いに異なることが好ましい。
吸引キャップ110がノズル面20aと接する面積を小さくすることで、第1凹部111の容積を小さくすることができ、ノズル21近傍のインクの蒸発を効果的に抑制することができる。
また、断熱キャップ120がノズル面20aと接する面積を大きくすることで、第2凹部121の容積を大きくすることができ、断熱キャップ120による断熱効果を向上することができる。
また、圧力発生室12を温めるヒーター130を備え、判定結果または測定結果に基づいてヒーター130により圧力発生室12を温めることが好ましい。これにより、インクの凍結による圧力発生室12の故障を抑制することができる。
また、センサー140は複数あり、圧力発生室12に関する温度の到達温度と温度変化率とを、複数のセンサー140により特定することが好ましい。複数のセンサーを設けることで、到達温度及び温度変化率を正確に測定することができる。また、複数のセンサーを熱伝導率の異なる部材に設けることで、熱伝導率が異なる部材から測定した温度に基づいて、実際の温度を高精度に推測することができる。さらに、例えば、ノズル面20aに対して複数のセンサー140を設け、ノズル面20aに複数のヒーターを設けることで、センサー140が測定した温度が低い部分及び温度変化率が高い部分をヒーターによって選択的に加熱することができる。
また、本実施形態では、ユーザーに対してエラーを通知するための通知手段である通知部150を備え、判定結果又は測定結果に基づいて通知部150によりエラーを通知することが好ましい。これによれば、通知部150によって故障の判定結果をエラーとしてユーザーに通知することができ、ユーザーは通知されたエラーに基づいて最適な対策を実行することができる。
(実施形態2)
図17は、本発明の実施形態2に係る制御処理部の機能実現部を説明する図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図17は、本発明の実施形態2に係る制御処理部の機能実現部を説明する図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図17に示すように、インクジェット式記録装置Iは、ユーザーがインクジェット式記録装置Iの不使用期間を入力する入力部160を有する。入力部160は、ユーザーからの不使用期間を入力するための入力手段であり、例えば、各種スイッチやタッチパネル等で構成される。また、入力部160は、ホストコンピューターなどの外部装置230であってもよい。
また、制御処理部211は、判定部240を有し、判定部240は、入力部160から入力された不使用期間に基づいて、圧力発生室12の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを選択して実行する。なお、不使用期間とは、インクジェット式記録装置Iを電源オフや節電状態として使用しない期間のことであり、例えば、時間や日数のことである。
ここで、本実施形態の制御方法について説明する。なお、図18は、制御方法を説明するフローチャートである。
図18に示すように、ステップS11で、入力部160によってユーザーからの不使用期間の入力を受け付ける。
次に、ステップS12で、判定部240は、入力部160によって入力されたユーザーからの不使用期間に基づいて複数のモードから1つのモードを選択して実行する。具体的には、上述した実施形態1のモード1〜4は、故障回避効果が異なるものであるため、例えば、故障回避効果が少ないモード1は不使用期間が最も短い場合(不使用期間:最短)に実行される。また、故障回避効果がモード1よりも高いモード2は、モード1よりも不使用期間が長い場合(不使用期間:短)に実行される。また、故障回避効果がモード2よりも高いモード3はモード2よりも不使用期間が長い場合(不使用期間:中)に実行される。また、故障回避効果がモード3よりも高いモード4は、モード3よりも不使用期間が長い場合(不使用期間:長)に用いられる。このように判定部240は、不使用期間の長さに基づいて、故障回避効果の程度が異なるモードを選択して実行する。したがって、入力された不使用期間に基づいて最適な故障を回避するモードを実行することができ、故障を確実に回避することができる。
本実施形態では、液体としてインクを噴射するインクジェット式記録装置Iであって、インクを噴射するノズル21と、ノズル21と連通する圧力発生室12と、インクジェット式記録装置Iを使用しない期間をユーザーに入力させるための入力手段である入力部160と、を備え、入力部160の入力結果に基づいて圧力発生室12の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行う。このように不使用期間の長短に応じて最適なモードを実行することができ、故障を確実に回避することができる。また、本実施形態では、不使用期間に基づいて故障回避効果の異なる複数のモードから何れかのモードを選択して実行することで、無駄なインクの消費や無駄な電力消費を抑制して最適なモードを実行することができる。
(実施形態3)
図19は、本発明の実施形態3に係る制御処理部の機能実現部を説明する図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図19は、本発明の実施形態3に係る制御処理部の機能実現部を説明する図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図19に示すように、インクジェット式記録装置Iは、センサー140と入力部160を具備する。
入力部160は、ユーザーがインクジェット式記録装置Iの不使用期間を入力するためのものであり、例えば、各種スイッチやタッチパネル等で構成される。また、入力部160は、ホストコンピューターなどの外部装置230であってもよい。
センサー140は、上述した実施形態1と同様に記録ヘッドIIの到達温度及び温度変化率を測定するためのものである。
また、制御処理部211は、判定部240を有する。判定部240は、入力部160から入力された不使用期間とセンサー140が測定した到達温度及び温度変化率とに基づいて故障を回避する複数のモードから何れかのモードを選択して実行する。なお、不使用期間とは、インクジェット式記録装置Iを電源オフや節電状態として使用しない期間のことであり、例えば、時間や日数のことである。
ここで、本実施形態の制御方法について説明する。なお、図20は、制御方法を説明するフローチャートである。
図20に示すように、ステップS21で、入力部160によってユーザーからの不使用期間の入力を受け付ける。
次に、ステップS22で、判定部240は、センサー140が測定した到達温度と温度変化率とから故障の判定を行う。判定部240は、例えば、上述した実施形態1の図13に示す二次元テーブルから故障の判定を行う。故障の判定は、例えば、故障が予測されることを判定するものである。例えば、図13に示す二次元テーブルにおいて到達温度と温度変化率とが第1領域201と第2領域202と第3領域203との何れかとなった場合に故障と判定、すなわち、故障の発生が予測されると判定する。もちろん、二次元テーブルにおいて、到達温度と温度変化率とが第2領域202と第3領域203との何れかとなった場合に故障と判定してもよいし、第3領域203になった場合に故障と判定しても良い。
ステップS22で判定部240が故障と判定したら、ステップS23で、判定部240は、入力部160で入力された不使用期間と故障と判定した際の経過時間とから不使用期間の残り時間を算出し、残り時間に基づいて複数の故障を回避するモードから1つのモードを選択して実行する。具体的には、上述した実施形態1のモード1〜4は、故障回避効果が異なるものであるため、例えば、故障回避効果がモード1よりも高いモード2は、モード1よりも残り時間が長い場合(残り時間:短)に実行される。また、故障回避効果がモード2よりも高いモード3はモード2よりも残り時間が長い場合(残り時間:中)に実行される。また、故障回避効果がモード3よりも高いモード4は、モード3よりも残り時間が長い場合(残り時間:長)に用いられる。このように判定部は、残り時間の長さに基づいて、故障回避効果の程度が異なるモードを選択する。なお、モード1は、故障回避効果が低いため、ステップS22で判定部240が故障と判定しない場合、すなわち故障ではないと判定した場合にモード1を実行してもよい。また、モード1は、故障回避モードの一つとして、ステップS23で残り時間が最も短い場合(残り時間:最短)に実行されてもよい。
このように、入力部160によって入力された不使用期間とセンサー140が測定した到達温度及び温度変化率とに基づいて故障を回避する最適なモードを選択して実行することができるため、圧力発生室12の凍結による故障を確実に抑制することができる。すなわち、残り時間が長い場合に故障回避効果の高いモード4のインクの排出を行うようにすれば、凍結による故障を確実に抑制することができる。また、残り時間が短い場合に故障回避効果の低いモード1〜3を行うようにすれば、インクの無駄な消費を抑制することができる。
その後は、ステップS24でセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とから判定部240は、故障回避モードからの復帰を判定する。例えば、ステップS23で実行した際の到達温度及び温度変化率よりも高い温度及び低い温度変化率となった場合に復帰、すなわち、故障回避効果の低いモードに移行する判定を行い判定結果に基づいてモードを実行する。また、ステップS24で、判定部240が復帰しない判定を行った場合には、ステップS23のモードが維持される。
以上説明したように、故障の予測を判定した際の残り時間から最適な故障回避モードを実行することができるため、無駄なインクの消費や電力の無駄な消費を抑制して確実に故障を回避することができる。
なお、ステップS22において、判定部240が故障の判定を行う際に、上述した実施形態1と同様に到達温度と温度変化率とから故障の危険度(度合い)を判定し、判定部240は、到達温度と温度変化率とから判定した故障の度合いと残り時間とから複合的に判断して、複数の故障回避モードから最適なモードを選択するようにしてもよい。このような例について図21を参照して説明する。なお、図21は、実施形態3の制御方法を示すフローチャートである。
図21に示すように、ステップS31で入力部160によってユーザーからの不使用期間の入力を受け付ける。
次にステップS32で、判定部240は、不使用期間に基づいて複数の故障回避モードから1つのモードを選択する。
次に、ステップS33で、判定部240はセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とに基づいて故障の判定を行う。判定部240は、例えば、上述した実施形態1の図13に示す二次元テーブルから故障判定を行う。本実施形態では、判定部240は、二次元テーブルに基づいて故障の危険度(度合い)を判定する。
ステップS33で判定部240が故障を判定したら、ステップS34で、判定部240は、入力部160で入力された不使用期間と故障と判定した際の経過時間とから不使用期間の残り時間を算出し、算出した残り時間とステップS33で判定した故障の危険度とから、ステップS32で不使用期間から選択したモードが、ステップS33で判定した危険度に最適なモードであるか判定する。判定部240が最適なモードであると判定した場合には、ステップS32で選択したモードを実行する。また、ステップS32で選択したモードが不十分であると判定した場合には、最適なモードを選択し直して実行する。
その後は、ステップS35でセンサー140が測定した到達温度と温度変化率とから判定部240は、故障回避モードからの復帰を判定する。
このように、判定部240が故障の判定を行う際に、到達温度と温度変化率とから故障の危険度(度合い)を判定し、判定部240は、到達温度と温度変化率とから判定した故障の危険度と不使用期間の残り時間とから複合的に判断して、複数の故障回避モードから最適なモードを選択することで、無駄なインクの消費は省電力化を行って故障を確実に回避することができる。
なお、ステップS21及びS31において、入力部160は不使用期間の入力を受け付けるようにしたが、これに合わせて、入力部160は故障回避を行うか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。すなわち、ユーザーから故障回避を行うことを入力されてから、ステップS21及びS31以降を行うようにすれば、高い気温が安定していて凍結の虞がない季節などの環境が判明している場合には、ユーザーはセンサー140による測定や制御を行わせないようにすることができる。したがって、無駄な制御を行う必要がなく、制御を簡略化して消費電力を低減することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
上述した実施形態では、流路形成基板10とノズルプレート20との間に連通板15を具備する構成の記録ヘッドを例示したが、連通板15を具備しない構成であってもよい。
また、上述した実施形態のインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッドII(ヘッドユニット1)がキャリッジ2に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIIが装置本体3に固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
さらに、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、インクタンク等の貯留手段4を装置本体3に固定して、貯留手段4とインクジェット式記録ヘッドIIとをチューブ等の供給管4aを介して接続した例であるが、特にこれに限定されず、貯留手段4がヘッドユニット1と共にキャリッジ2に搭載されたものであってもよく、貯留手段4がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
また、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、上記実施の形態においては、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録ヘッドを有するインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に適用できる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、II…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、1…インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)、2…キャリッジ、2a…キャリッジ軸、3…装置本体、4…貯留手段、4a…供給管、5…圧送手段、6…駆動モーター、6a…プーリー、6b…タイミングベルト、7…搬送ローラー、10…流路形成基板、11…ヘッド本体、12…圧力発生室、15…連通板、16…ノズル連通路、17…第1マニホールド部、18…第2マニホールド部、19…供給連通路、20…ノズルプレート、20a…ノズル面、21…ノズル、30…保護基板、31…保持部、32…貫通孔、40…ケース部材、41…凹部、42…第3マニホールド部、43…接続口、44…導入路、45…コンプライアンス基板、46…封止膜、47…固定基板、48…開口部、49…コンプライアンス部、50…振動板、51…弾性膜、52…絶縁体膜、60…第1電極、70…圧電体層、80…第2電極、90…リード電極、100…マニホールド、101…駆動回路、102…配線基板、103…中継基板、105…カバーヘッド、106…露出開口部、110…吸引キャップ、110a…本体、110b…当接部、111…第1凹部、112…連通口、115…吸引管、116…吸引装置、120…断熱キャップ、121…第2凹部、130…ヒーター、140…センサー、150…通知部、160…入力部、200…制御装置、201…第1領域、202…第2領域、203…第3領域、210…制御部、211…制御処理部、212…記憶部、213…駆動信号生成部、220…プリントエンジン、221…機構、222…キャリッジ機構、230…外部装置、240…判定部、241…報知部、300…圧電アクチュエーター、S…記録シート、X…第1の方向、Y…第2の方向、Z…第3の方向
Claims (19)
- 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルと連通する圧力発生室と、
温度を測定するセンサーと、
前記圧力発生室の故障を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、前記第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しないことを特徴とする液体噴射装置。 - 前記判定部は、前記第2の温度変化率により前記第1閾値温度よりも低い第2閾値温度に到達した場合に、故障と判定することを特徴とする請求項1記載の液体噴射装置。
- 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルに連通する圧力発生室と、
温度を測定するセンサーと、
前記温度の到達温度と変化率とに基づいて、前記圧力発生室の故障を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記判定部は、前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを、当該判定部の判定結果に応じて行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルと連通する圧力発生室と、
温度を測定するセンサーと、
前記センサーが測定した測定結果に応じて、前記圧力発生室の故障を回避するための複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置。 - 液体噴射装置を使用しない期間の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記入力手段の入力結果に基づいて前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 液体を噴射する液体噴射装置であって、
液体を噴射するノズルと、
前記ノズルと連通する圧力発生室と、
前記液体噴射装置を使用しない期間をユーザーに入力させるための入力手段と、を備え、
前記入力手段の入力結果に基づいて前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置。 - 温度を測定するセンサーを具備し、
前記モードから復帰する際の前記センサーの測定した温度は、前記モードへ移行する際の前記センサーの測定した温度よりも高いことを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記モードを行った後、温度を測定するセンサーの測定結果に基づいて別のモードを行うことを特徴とする請求項4〜8の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 前記モードにより前記圧力発生室内の液体を排出した後、別のモードを行わないことを特徴とする請求項9記載の液体噴射装置。
- 熱伝導率が異なる複数のキャップを備え、
複数の前記キャップは、前記ノズルを覆う凹部の容積が互いに異なることを特徴とする請求項4〜10の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 熱伝導率が異なる複数のキャップを備え、
複数の前記キャップは、前記ノズルが設けられたノズル面と接する面積が違いに異なることを特徴とする請求項4〜11の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記圧力発生室を温めるヒーターを備え、
前記判定結果または前記測定結果に基づいて前記ヒーターにより前記圧力発生室を温めることを特徴とする請求項4〜12の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 前記センサーは複数あり、
前記圧力発生室に関する温度の到達温度と温度変化率とを、複数の前記センサーにより特定することを特徴とする請求項1〜6、8〜10の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - ユーザーに対してエラーを通知するための通知手段を備え、
前記判定結果又は前記測定結果に基づいて前記通知手段によりエラーを通知することを特徴とする請求項1〜6、8〜11の何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルと連通する圧力発生室と、
温度を測定するセンサーと、
前記圧力発生室の故障を判定する判定部と、
を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記判定部は、第1の温度変化率により故障と判定する第1閾値温度に対して、前記第1の温度変化率よりも小さい第2の温度変化率により到達した場合に、故障と判定しないことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルに連通する圧力発生室と、
温度を測定するセンサーと、
判定部と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記判定部は、前記温度の到達温度と変化率とに基づいて、前記圧力発生室の故障を判定することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルと連通する圧力発生室と、
温度を測定するセンサーと、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記センサーが測定した測定結果に応じて、前記圧力発生室の故障を回避するための複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。 - 液体を噴射するノズルと、
前記ノズルと連通する圧力発生室と、
液体噴射装置を使用しない期間をユーザーに入力させるための入力手段と、を備えた液体噴射装置の制御方法であって、
前記入力手段の入力結果に基づいて前記圧力発生室の故障を回避する複数のモードから何れかのモードを行うことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
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