JP2018187233A - 水取扱い物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光触媒を使用することなく、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニング機構により接水表面の殺菌・洗浄を行うことができる水取扱い物品を提供する。
【解決手段】 露出した表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面である接水部材を含んでなる物品において、前記接水表面の一部を紫外線透過性物質で構成し、紫外線透過性物質で構成される第一の領域と紫外線不透過物質で構成される第二の領域とに分け、過酸化水素水等の紫外線照射によってOHラジカルを発生する殺菌洗浄液をこれら両領域の表面に付着させた後に、前記第一の領域の裏面から紫外線を照射して、透過紫外線を前記両領域に付着した前記菌洗浄液に照射するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、露出表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面となっている、トイレ装置などの水を取り扱う物品に関する。
トイレ装置などの水を取り扱う物品の多くは、その露出表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面となっている。このような物品(以下、「水取扱い物品」ともいう。)が耐久消費財である場合には、長期にわたって使用されるため、上記接水表面に汚れが付着して蓄積しやすく、また湿潤環境になり易いことに起因して、カビ等の微生物が繁殖しやすいという問題がある。このため、上記接水表面を清浄化するために様々な工夫がなされている。
そのような工夫の一つとして、太陽光などの紫外線を含む光が常時照射されるような場合には、前記接水表面を光触媒物質で構成し、水が光触媒物質に接触した時に起こる光触媒反応によって発生するヒドロキシルラジカル(OHラジカルともいう。)の強い酸化力により汚れの分解や殺菌を行う、所謂セルフクリーング機構を利用する方法が知られている(特許文献1)。
また、室内で使用される機器や、接水表面が装置筺体内に存在し、外部からの光照射が期待できない場合には、前記接水表面を光触媒物質で構成すると共に紫外線ランプなどの紫外線光源を付設し、紫外線を照射できるようにして、上記と同様なメカニズムにより汚れの分解除去や殺菌を行う方法も知られている(特許文献2)。
さらに、殺菌効果を有する洗浄液を前記接水表面に噴霧して殺菌・洗浄を行う技術も知られている。たとえば、トイレ装置の便器を清潔に保つために便器のボウル部へ次亜塩素酸水などの機能水を噴霧するもの、更にはトイレ装置に紫外線を照射する光源装置を付設し、紫外線の照射中にあるいは前記紫外線の照射が終了してから所定時間内に、前記機能水又は殺菌水を噴霧するもの(特許文献3参照)が知られている。
そして、上記特許文献3に記載されたトイレ装置によれば、光源装置の発熱によって生じる空気の流れを利用して、噴霧手段から噴霧された機能水又は殺菌水を例えば便器の後部のリム部の裏面にまでより行きわたらせることができ、便器のボウル部の略全面をより清潔に維持することができるとされている。
なお、特許文献3において使用される機能水又は殺菌水としては、殺菌水生成装置で水道水を電気分解して得られる次亜塩素酸水が使用されている。
さらに、特許文献3に記載されているトイレ装置では、前記ボウル部の表面に光触媒層を形成し、該光触媒層に紫外線を照射することによって周囲の水や酸素などにより活性酸素を発生させ、ボウル部表面を親水化して前記機能水又は殺菌水をボウル部表面に濡れ広がるようにしている。
特開2011−21396号公報 特開2014−163203号公報 特開2014−163162号公報 特許第4967971号公報 特開10−237928号公報
光触媒を用いたセルフクリーニング機構を利用する場合には、紫外線などの励起光を光触媒に照射する必要がある。励起光としては、紫外線を含む自然光が一般的であるが、自然光を利用できない場合には、前記したように紫外線等の励起光の光源を設置する必要がある。ところが、水取扱い物品によっては、その内部構造の関係から励起光光源の設置位置が限られてしまうことが多く、浄化したいところに励起光を照射できない場合も多い。また、励起光照射が可能な場合であっても、光触媒作用によるOHラジカルの発生は、光触媒表面上に限られるため、光触媒が存在しない表面や空間雰囲気(空間を満たす空気や貯留された水など)についてOHラジカルによる殺菌・洗浄を行うことはできない。更に、OHラジカルの寿命は極めて短いことが知られており、殺菌・洗浄効果が得られる時間は、励起光が照射されている時間内に限られてしまう。
このように、光触媒を用いたセルフクルーニング機構には、適用可能な領域や時間が大きく制約される、別言すれば、光触媒が存在し且つ励起光照射が可能な領域で、実際に励起光が照射されている間しか殺菌・洗浄を行うことができないという問題がある。
特許文献3に記載された方法のように、次亜塩素酸水のような殺菌効果を有する洗浄液を併用すれば、洗浄液と接触する部分の殺菌・洗浄は可能になるが、水道水を電気分解して得た次亜塩素酸水は一般に濃度が薄く、その酸化力はOHラジカルに比べて弱い。
そこで本発明は、光触媒を使用することなく、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニング機構により接水表面の殺菌・洗浄を行うことができる水取扱い物品を提供することを課題とする。
本発明者は、光触媒を用いることなく、OHラジカルの酸化作用を利用したセルフクリーニングを行う方法として、過酸化水素水に紫外線を照射する方法が存在することに着目し、過酸化水素水を付着させた接水表面に有効に紫外線を照射することができる方法について検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、露出した表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面である接水部材を含んでなる物品であって、前記接水表面は、紫外線透過性物質からなる、曲面を有していてもよい、板状、シート状又はフィルム状の紫外線透過性部材の一方の主表面で構成される第一の領域と、紫外線不透過性物質で構成される第二の領域と、を有し、水の共存下における紫外線照射によって分解してヒドロキシルラジカルを生成する物質又はイオンが溶解した水溶液からなる殺菌洗浄液を前記接水表面の第一の領域の露出表面及び前記第二の領域の露出表面に付着させることができる殺菌洗浄液供給手段と、紫外線光源と、を更に有し、前記紫外線光源から出射される紫外線を前記第一の領域における前記紫外線透過性部材の他方の主表面側から照射し、当該紫外線透過性部材を透過した紫外線を、前記第一の領域の露出表面に付着した前記殺菌洗浄液及び前記第二の領域の露出表面に付着した前記殺菌洗浄液に照射できるようにしたことを特徴とする、前記物品である。
上記本発明の物品において、前記洗浄殺菌液としては過酸化水素水を使用することが好ましく、そのために前記物品は、過酸化水素水製造装置を更に含んでなることが好ましい。
また、前記紫外線光源は、240nm以上280nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオード(以下、紫外線発光ダイオードのことをUV−LEDと略記することもある。)と、280nmを越え390nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオード(UV−LED)と、含んでなる、ことが好ましい。さらに前記紫外線光源は、紫外線発光ダイオードを用いたLEDモジュールからなり、前記LEDモジュールを移動させる移動手段と、当該移動手段並びに紫外線発光ダイオードの点灯及び消灯を制御するLEDモジュール制御手段と、を更に有し、前記移動手段及びLEDモジュール制御手段は、前記LEDモジュールを移動させながら紫外線を出射し、出射された紫外線が前記第一の領域における前記紫外線透過性部材の他方の主表面を走査するように前記LEDモジュールの移動および制御を行うものである、ことが好ましい。
本発明の物品は、耐久消費財、特に、水洗トイレ装置、水洗トイレタンク、洗濯機、加湿器、空気調和装置、冷蔵庫、冷凍庫、浄水器、ハンドドライヤー、浴槽、浴室の天井材、壁材および床材、洗面用シンク、流し台シンク、ドレン、排水パン又は排水トラップであることが好ましい。
本発明の物品では、前記第一の領域の露出面や前記第二の領域の露出面の表面に付着した前記殺菌洗浄液に紫外線を照射することによって発生したOHラジカルの強い酸化力によりこれら露出面の殺菌および洗浄を行うことができる。このとき、光触媒を使用していないため、露出表面が樹脂などの有機材料で構成される場合でも、光触媒作用による有機材料の劣化を気にする必要がない。また、前記紫外線透過性部材の非露出面である裏面(背面)から紫外線を照射する裏面(背面)照射法を採用しているので、紫外線透過性部材の露出面に付着した前記殺菌洗浄液に対して紫外線を確実に照射することができる。その結果、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニングをより確実に行うことができる。
さらに、水取扱い物品の接水表面は流水と接する機会が多いことから、これら流水による流体物理洗浄効果が期待できるが、本発明の物品においては、その流体物理洗浄効果をより高めることができる。なぜならば、OHラジカルによる酸化分解が進行すると、汚れ物質は、より低分子で親水性の高い物質に分解されるため、表面に分解残渣が付着していたとしても、流水により簡単に除去できるようになるからである。すなわち、流水による流体物理洗浄効果が得られる場合、このような相乗効果により、高いセルフクリーニング効果を得ることが可能となる。したがって、本発明の水取扱い物品では、人手による清掃頻度を少なくすることができ、しかも、汚れを落とすためにブラシで激しく擦る必要が無くなり、例えばスポンジなどの柔らかい清掃器具を用いても簡単に汚れを落とすことができる。その結果、表面を傷めることもなくなり、物品や接水部材の長寿命化を図ることもできる。
さらにまた、本発明では、例えばトイレ装置における便器本体の内部や、排水トラップにおける配管や筒状部材の外側、更には中実の部材の内部に新たに設けた空洞など、従来は紫外線光源の設置場所として利用できなかった空間(デッドスペース)に紫外線光源を配置することができるので、紫外線光源配置場所の自由度が高くなるばかりでなく、内部の空間を有効に利用でき、コンパクト化を図ることも可能となる。
本図は、本発明の物品の一つであるトイレ装置100を説明するための模式図である。 本図は、トイレ装置100で使用可能な、過酸化水素製造装置を用いた殺菌洗浄液供給手段を説明するための模式図である。 本図は、本発明で好適に使用できる紫外線光源を示す図である。 本図は、本発明で好適に使用できる他の紫外線光源を示す図である。
本発明の物品は、露出した表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面である接水部材を有する物品(水取扱い物品)である必要がある。これら物品の中でも、効果の有用性が高いという理由から、耐久消費財の範疇に属する物品、すなわち、人の住環境又は生活環境において、人が直接利用する水の供給、水の使用又は排水廃棄のために、比較的長期間にわたって使用される機器、装置、設備等の物品(以下、「生活用水取扱い物品」ともいう。)であることが好ましい。ここで、人が直接利用する水の供給とは、たとえば飲料水や水道水の供給であり、水の使用とは、たとえばトイレの水洗、洗浄、洗顔、洗髪、シャワー、入浴、洗濯、加湿やアイロンかけ用のスチーム発生など、人が水を利用する行為にかかわる水の使用であり、排水廃棄とは、たとえば上記の水の使用の結果発生した排水の他、空気調和機の熱交換器等で発生したドレン、窓や浴室内における結露水などの不要な水の廃棄などである。
本発明における好適な「生活用水取扱い物品」を具体的に例示すれば、水洗トイレ装置、水洗トイレタンク、洗濯機、加湿器、空気調和装置、冷蔵庫、冷凍庫、ハンドドライヤー、浄水器、浴槽、浴室の天井材、壁材および床材、洗面用シンク、流し台シンク、ドレン、排水パン及び排水トラップなどを挙げることができる。
本発明の物品は、前記接水表面が、紫外線透過性物質からなる、曲面を有していてもよい、板状、シート状又はフィルム状の紫外線透過性部材からなる一方の主表面で構成される第一の領域と、紫外線不透過性物質で構成される第二の領域と、を有し、水の共存下における紫外線照射によって分解してヒドロキシルラジカルを生成する物質又はイオンが溶解した水溶液からなる殺菌洗浄液を前記接水表面の第一の領域の露出表面及び前記第二の領域の露出表面に付着させることができる殺菌洗浄液供給手段と、紫外線光源と、を更に有し、前記紫外線光源から出射される紫外線を前記第一の領域における前記紫外線透過性部材の他方の主表面側から照射し、当該紫外線透過性部材を透過した紫外線を、前記第一の領域の露出表面に付着した前記殺菌洗浄液及び前記第二の領域の露出表面に付着した前記殺菌洗浄液に照射できるようにされている、点に特徴を有する。
前記特許文献3に記載されているトイレ装置は、次亜塩素酸水溶液のような殺菌洗浄機能を有する機能水を接水表面であるボウル部の表面に付着させる噴霧手段と、ボウル部の表面に紫外線を含む光を照射する光源装置と、を有する点で本発明の物品と類似している。しかし、その殺菌洗浄のメカニズムは大きく異なっている。すなわち、特許文献3に記載されたトイレ装置では、光触媒膜が形成されたボウル部の表面に対して紫外線を照射し、紫外線の照射が終了してから噴霧ノズルから前記機能水殺菌水を噴霧しており、殺菌および洗浄は、前記機能水が本来有する殺菌洗浄力によって行われている。これに対し、本発明の物品では、ボウル部表面等の接水表面に過酸化水素水等の殺菌洗浄液を付着させてから、それに紫外線を照射し、接水表面上においてOHラジカルを発生させ、その強い酸化力を用いて殺菌及び洗浄が行われる。また、特許文献3に記載されたトイレ装置では、便蓋の内部に設けられた光源装置から、紫外線をボウル部の露出表面に向けて出射するのに対し、本発明の物品では前記接水表面に、紫外線透過性を有する第一の領域を設け、紫外線を裏面から照射したときの透過紫外線を利用して前記殺菌洗浄液からOHラジカルを発生させるようにしている。そして、この透過紫外線は、裏面から紫外線を照射することのできない接水表面(第二の領域)の表面に存在する前記殺菌洗浄液に対しても照射され、第二の領域の表面上にもOHラジカルを発生させることができる。その結果、たとえば、雰囲気中を漂う殺菌洗浄液のミストに紫外線を照射することによってOHラジカルを発生させて、これを接表面に付着させた場合には、OHラジカルの寿命は極めて短いことに起因して、表面OHラジカル濃度を高くすることが困難であるのに対し、本発明の物品では、光触媒層を用いなくても、殺菌洗浄の対象となる表面上において確実に高濃度でOHラジカルを発生させ、これを利用することができる。
このように、本発明の物品は、(A)水の共存下における紫外線照射によって分解してOHラジカルを生成する物質又はイオンが溶解した水溶液からなる殺菌洗浄液を使用する点、(B)接水表面に前記殺菌洗浄液を付着させてから紫外線照射を行う点、(C)接水表面の一部を紫外線透過性部材の一方の主表面(露出面またはおもて面)とし、当該紫外線透過性部材の他方の主表面(非露出面又は裏面)向けて紫外線を出射し、当該紫外線透過性部材を透過した透過紫外線を第一の領域の露出面の表面上に存在する前記殺菌洗浄液に照射して、当該表面でOHラジカルを発生させる点、及び(D)前記透過紫外線を第二の領域の露出面の表面上に存在する前記殺菌洗浄液に照射して、当該表面でOHラジカルを発生させる点、に大きな特徴がある。
本発明で使用する殺菌洗浄液は、水の共存下に紫外線を照射させることによってヒドロキシルラジカル(OHラジカル)を生成する物質又はイオンが溶解した水溶液であれば特に限定されない。水の共存下における紫外線照射によってOHラジカルを生成する物質又はイオンとしては、このような機能が知られている物質又はイオンが特に限定されず使用できる。これら物質又はイオンとしては、硝酸イオン、亜硝酸イオン、ウレタン化合物、セルロース誘導体、過酸化水素、オゾン等が挙げられる。これらの中でも、取扱いの容易さ及びOHラジカル発生効率の観点から、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び過酸化水素から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、硝酸イオン及び/又は亜硝酸イオンであるか、又は過酸化水素であることがより好ましい。さらに、例えばトイレ装置の便器本体内に収納可能な装置で製造することができ、水や空気以外の原料補給が特に必要ないという理由、及び殺菌洗浄液をノズルから噴射又は噴霧する場合においてノズル詰まりの原因となる、乾燥した時に析出するような塩類を含まなくて済む、という理由から、殺菌洗浄液としては過酸化水素水を使用することが最も好ましい。
上記殺菌洗浄液における“水の共存下における紫外線照射によってOHラジカルを生成する物質又はイオン”の濃度は、高いほどOHラジカルは生成し易いが、高すぎると折角生成したOHラジカルどうしが反応して消滅するため効率的ではなく、また、取扱も難しくなる。したがって、前記物質又はイオンの濃度は、0.01mM〜10M、特に0.05mM〜5Mであることが好ましく、0.1mM〜1Mであることが最も好ましい。なお、ここでMは(mol/リットル)を表す。
また安全性の観点から、前記殺菌洗浄液は、オゾンを実質的に含まないことが好ましい。ここで、実質的に含まないとは、オゾンを積極的に添加しないことを意味し、不純物としての不可避的な混入は許容する。不純物として不可避的に混入するときの濃度は低ければ低いほど良いが、通常、質量基準で1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下、最も好ましくは0.01ppm以下である。
前記殺菌洗浄液として過酸化水素水を使用する場合には、消毒液などとして市販されている過酸化水素をそのまま又は水で希釈して使用してもよいし、過酸化水素水製造装置を本発明の物品の内部に配置し、これを用いて、水道水あるいはこれをイオン交換樹脂で処理したイオン交換水などを原料として過酸化水素水を製造し、それをそのまま又は必要に応じて希釈して使用してもよい。
過酸化水素水製造装置としては、特許文献4記載されているような、「水素イオン伝導性を有する電解質膜である高分子電解質膜、当該高分子電解質膜を挟んで一方の面に接するように配設される陽極電極、他方の面に接するように配設される陰極電極で構成される電解セルを備え、前記陽極電極には陽極端子が、前記陰極電極には陰極端子が夫々取付けられており、前記高分子電解質膜、前記陽極電極および前記陰極電極は水密シートを介してネジにより固定されており、前記電解セル陽極側には陽極貯水部が、陰極側には陰極貯水部が夫々設けられている、過酸化水素製造装置」及び特開2008−81760号公報に記載されているような「水素イオン伝導性を有する電解質膜と前記電解質膜の第1の面に接して配置された陽極電極と前記電解質膜の第2の面に接して配置された陰極電極とにより構成される電解セルと、前記陽極電極に水を供給する手段と、前記陰極電極に供給する酸素含有ガスおよび水のうち少なくとも酸素含有ガスを供給する手段と、前記陰極電極で発生するガスと液体を分離する気液分離手段と、前記気液分離手段により分離されるガスを前記陽極電極に供給するガス供給手段と、前記陽極電極と前記陰極電極に直流電圧を印加する電源と、を備えたことを特徴とする過酸化水素製造装置」などの、コンパクト化が可能な過酸化水素製造装置が特に制限なく使用できる。
本発明で使用する殺菌洗浄液供給手段は、前記殺菌洗浄液を前記接水表面の第一の領域の露出表面及び前記第二の領域の露出表面に付着させることができるものであれば特に限定されない。通常は、殺菌洗浄液用ポンプと、配管と、ノズルと、を有し、殺菌洗浄液用タンクに蓄えられた殺菌洗浄液をポンプにより圧送してノズルから前記接水表面の表面に供給する。ノズルとしては、殺菌洗浄液を前記表面に接触するようにして供給できるものであれば特に限定されず、たとえばミストノズルやスプレイノズルなどが適用できる。(1)前記殺菌洗浄液が前記表面と接触しながら流動するようにして供給を行う場合には、スプレイノズルが、(2)前記殺菌洗浄液が前記表面と接触しながら保持されるようにして供給を行う場合には、ミストノズルが、夫々好適に使用される。
紫外線光源としては、紫外線(UV)光源として良く知られている水銀ランプやエキシマランプを使用することもできるが、小型、省電力、長寿命、水銀を使用しない、瞬時の点灯・消灯が可能である、といった理由から紫外線発光ダイオード(UV−LED)を使用することが好ましい。
ところで、前記紫外線透過性部材を構成する紫外線透過性物質に対する紫外線透過性、殺菌洗浄液に照射したときのOHラジカル生成効果及び紫外線そのものによる殺菌効果については紫外線の波長依存性があることが知られている。一般に、波長の短い紫外線ほど物質に吸収されやすく、透過されにくい代わりにOHラジカル生成効果は高い。また、265nm周辺の波長領域の紫外線は殺菌効果が高い。このため、紫外線透過性部材を透過して第二の領域の露出表面に存在する殺菌洗浄液をより確実に照射できるようになるという効果と、OHラジカル生成効果が高く雰囲気の紫外線殺菌が可能になるという効果と、を合わせ得ることができるという理由から、280nmを越え390nm以下の波長領域の紫外線と240nm以上280nm以下の波長領域の紫外線とを同時に照射することが好ましい。このような理由から、UV−LEDを使用する場合には、240nm以上280nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射するUV−LEDと、280nmを越え390nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射するUV−LEDと、を併用することが好ましい。また、安全性のためにオゾン発生を防止するという観点から、照射する紫外線は200nm未満の波長を有する紫外線を含まないことが好ましい。
本発明の物品においては、紫外線光源から出射された紫外線は、前記紫外線透過性部材の他方の主表面(裏面)に向けて出射され、当該紫外線透過性部材を透過して、その一方の主表面(おもて面又は露出面)の表面上に存在する前記殺菌洗浄液に照射される。そのためには、(i)紫外線光源を、その紫外線出射部が前記紫外線透過性部材の裏面と対向するようにして設置するか又は(ii)紫外線光源を任意の場所に設置して、当該紫外線光源から出射された紫外線を光ファイバなどの光伝送手段を用いて伝送し、前記紫外線透過性部材の裏面と対向するようにして設置された紫外線出射用光学部材(前記光伝送手段と光学的に接続されている。)から出射することが好ましい。
ここで、紫外線出射用光学部材としては、光ファイバ用コリメータ、レンズ拡散板、拡散レンズ又は導光板が好適に使用される。照射領域を広くすることができるという理由からはレンズ拡散板、拡散レンズ又は導光板であることが特に好ましい。ここで、光ファイバコリメータとは、光ファイバからの出射光をコリメート光(平行光)とする部材であり、光ファイバ用フェルールに非球面レンズを組み込んだコネクタタイプのものが好適に使用できる。レンズ拡散板(Light Shaping Diffuser)とは、拡散フィルム、拡散フィルタ又は拡散シートとも呼ばれるものであり、表面にランダムに形成される微小なレンズの作用等により、光を円形や楕円形などに拡散整形して均一な照射を可能にするものである。また、拡散レンズとしては株式会社エンプラス社製Light Enhancer Cap(登録商標)のようなものが好適に使用できる。さらに導光板としては、たとえば特開2006−237563号公報に開示されている面発光デバイスのようなものが好適に使用できる。
前記(i)及び(ii)の場合において、紫外線光源(iの場合)および紫外線出射用光学部材(iiの場合)は、前記紫外線透過性部材の裏側後方に固定して配置してもよく、また、移動可能に配置してもよい。固定して配置する場合には、前記紫外線透過性部材の裏面全体に紫外線を照射できるように複数の紫外線光源又は紫外線出射用光学部材を整列配置することが好ましい。また、移動可能に配置する場合には、移動可能な光源等用の基体上又は筐体内にUV−LEDなどの紫外線光源(発光部材)又は紫外線出射用光学部材を配置してモジュール化し、上記光源等用の基体又は筐体を移動させながら紫外線を出射し、出射された紫外線が前記紫外線透過性部材の裏面の全面又は略全面を走査(scan)する、或は紫外線照射領域が裏面の全面又は略全面をなぞりながら移動するようにすることが好ましい。紫外線光源や紫外線出射用光学部材の数を少なくすることができるという観点からは、これらを移動可能に配置することが好ましい。
前記したように、本発明の物品は、露出した表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面である接水部材を含んでなる。そして、前記接水表面は、紫外線透過性物質からなる曲面を有していてもよい板状、シート状又はフィルム状の紫外線透過性部材からなる一方の主表面で構成される第一の領域と、紫外線不透過性物質で構成される二の領域と、を有する。ここで、紫外線透過性物質としては、使用する紫外線に応じて、紫外線透過性部材に要求される厚みであっても紫外線を透過できる光透過性を有する物質であれば特に限定されず、サファイア、天然又は合成石英、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ガラスなどの無機材料、PFA、FEP、ETFE、PCTFEなどのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ポリカーボネートなどの紫外線透過性樹脂、およびこれらの複合材料が使用できる。これらの中でも成形加工が容易であるという理由から、紫外線透過性樹脂を使用することが好ましい。
水取り扱い物品に含まれる接水部材においては、接水部材の形状によって、或は複数の接水部材が組み合わせて使用される場合の組み合わせの状態によっては、これら接水部材に紫外線透過性部材を適用できず、前記接水表面には、紫外線不透過性物質からなる第二の領域が存在することが避けられないことが多い。
本発明の物品では、前記第一の領域を構成する紫外線透過性部材の裏側から照射された紫外線は当該紫外線透過性部材を透過して、その表面から出射するので、第一の領域と対向する位置に存在する第二の領域の表面にも紫外線を照射することができる。このとき、出射された紫外線の指向角や散乱による影響により、通常は第一の領域の面積より広い面積の第二の領域の表面に紫外線を照射することができる。また、紫外線透過領域に紫外線拡散機能を持たせて、照射可能領域をさらに広げることもできる。更に、殺菌洗浄液として過酸化水素水など、それ自体で殺菌洗浄効果を発揮するものを用いることによって紫外線が照射されない部分の洗浄殺菌も行うこともできる。このような理由から、必ずしも前記接水表面の全体を第一の紫外線透過領域とする必要はない。
紫外線照射できる接水表面の面積を可及的に広くしたいという観点からすると、第一の領域は広ければ広いほど好ましいが、前記したような状況があるので、少なくとも汚れ物質が付着しやすい領域、汚れ物質が蓄積しやすい領域、又は狭小空間や物品の内部にあって、マニュアル(人手)による清掃が困難な領域に紫外線が照射できるように第一の領域を適宜決定すればよい。物品の種類にもよるが、接水表面全体に占めるこのような領域の面積の割合はさほど大きくない場合が多く、また、第一の領域とすることが不可能な領域も限られているので、本発明の物品では、紫外線の出射強度や第一の領域と第二の領域の位置関係を配慮することにより、セルフクリーニングにより十分な殺菌洗浄効果を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の物品について詳しく説明する。
図1に示す本発明の物品であるトイレ装置100は、基本的には特許文献5(特開10−237928号公報)の図1に記載されているトイレ装置と同様の構造を有する。すなわち、トイレ装置100は、サイホンゼット式の水洗トイレ装置であり、ボウル部11と給水源となるロータンク(図示せず)とを一体成形して便器本体10が構成されると共に、前記ボウル部11の下部には排水路30が一体に成形されている。便器本体10は、ゼット導水路20と、リム通水路40と、給水室50と、を有してしている。ここで、前記ゼット導水路20とは、前記ボウル部11の底部に開口したゼット穴21から前記排水路30を指向して洗浄水を噴射させるもので、ゼット導水路入口22からゼット穴21にかけて、ボウル部11の外周面に沿って弧状に形成されているものである。また、前記リム通水路40とは、前記ボウル部11の上縁部に形成したリム12の下面に多数穿孔したリム射水穴41からボウル11の内側面に沿って洗浄水を流下させるものである。
前記給水室50は、前記ロータンクから供給された洗浄水を前記ゼット導水路20及びリム通水路40に供給するためのものであり、上部にリム通水路入口42が、下部にゼット導水路入口22が形成されている。そして、前記給水室50内には、洗浄水をリム通水路入口42に向けて偏向させる水流偏向手段60が設けられており、給水室内に供給された洗浄水の一部を、ゼット導水路入口に流れて行くのと略同じタイミングでリム通水路に配水することができるようになっている。すなわち、前記給水室50は洗浄水供給口側の上部空間からゼット導水路入口22側の下部空間にかけて漸次絞られた下降通路をなし、給水室50内に供給された洗浄水は、前記ゼット導水路入口22に向かって勢いよく流れ落ちてゼット導水路20に配水され、ゼット穴21から排水路30の入口に向かって直接的に噴出される。このとき、給水室50内に供給された洗浄水の一部は、前記リム通水路入口42からリム通水路40へ供給され、リム射水穴41から洗浄水が流下し、ボウル11の内側面を洗浄する。
トイレ装置100では、リム12の下面およびボウル部11内側面が接水表面14となっている。図1の右側にリム12周辺の部分拡大図を示しているが、リム12のリム射水穴41の周縁を含む下側の隔壁は紫外線透過性部材13で構成されており、その露出面が第一の領域の露出面(表面)15となっている。すなわち、ボウル部開口周縁部にリング状に設けられたリム12の下面のほとんどが第一の領域の露出面(表面)15となっている。また、接水表面14であるボウル部11の内側面は、第二の領域の露出面16となっている。そして紫外線透過性部材13の裏面側には紫外線光源70が配置され、当該裏面に向けて紫外線を照射できるようになっている。なお、紫外線透過性部材13においては、リム射水穴41に相当する部分に貫通孔が設けられている。
本発明のトイレ装置100では、殺菌洗浄液として、過酸化水素水81を使用し、殺菌洗浄液供給手段80によって、これを接水表面14の表面に付着させることができるようになっている。
図1では、簡略化のために、殺菌洗浄液供給手段80としては殺菌洗浄液用ノズル86のみを示し、その他の部分は省略している。殺菌洗浄液用ノズル86は、リム12とボウル部11の縁とが結合する楕円リング状のコーナー部に、1つ又は当該楕円リング状のコーナー部の周に沿って複数配置され、そこから殺菌洗浄液を噴霧することにより、前記第一の領域の露出面15の表面及び前記第二の領域の露出面16に殺菌洗浄液を付着させる。殺菌洗浄液供給手段80は、予め外部で調製された殺菌洗浄液、たとえば消毒液などとして市販されている過酸化水素をそのまま又は水で希釈して殺菌用洗浄液タンク(図示せず)に供給し、殺菌洗浄液用ポンプを用いて殺菌洗浄液用ノズル86から噴霧するようにしたものであってもよい。また、図2に示す、過酸化水素水製造装置82を有する殺菌洗浄液供給手段80を用いて製造した過酸化水素水81を用いたものとしてもよい。なお、図2では、便宜的に2つの殺菌洗浄液用ノズル86、86´を有する殺菌洗浄液供給手段80を示している。
過酸化水素水製造装置82としては、例えば、図2に示すような前記特許文献4に開示されているのと同様の構造を有する過酸化水素水製造装置、すなわち「水素イオン伝導性を有する電解質膜である高分子電解質膜82b、当該高分子電解質膜82bを挟んで一方の面に接するように配設される陽極電極(図示せず)、他方の面に接するように配設される陰極電極(図示せず)で構成される電解セル82aを備え、前記陽極電極には陽極端子(図示せず)が、前記陰極電極には陰極端子(図示せず)が夫々取付けられており、前記高分子電解質膜82b、前記陽極電極および前記陰極電極は水密シート(図示せず)を介してネジにより固定されており、前記電解セル陽極側には陽極貯水部82cが、陰極側には陰極貯水部82dが夫々設けられている、過酸化水素製造装置82」を使用することができる。
特許文献4によれば、上記過酸化水素製造装置82では、次のようにして過酸化水素水81が製造される。すなわち、陽極端子と陰極端子に直流電源が接続されて、陽陰極間に連続的もしくは断続的に1.5〜10Vの直流電圧を印加しながら電解セル82aが作動させられる。このとき陽極貯蔵部82cに集められた水は、陽極電極を通過して高分子電解質膜82bに接触する。そして、水は高分子電解質膜82bに吸収され、高分子電解質膜82b内を拡散し、保持される。陽極電極では、供給された水が下記反応式(1)で示すように酸素(O)と水素イオン(H)とに分けられる。直流電源により電圧を印加すると、電流が流れ、陽極電極の表面から酸素分子が発生する。高分子電解質膜82bは、気体を透過せず、電気絶縁性があり、水および水素イオン(H)のみを伝導する性質を有するので、陰極側から空気などの酸素(O)を含有するガスおよび水(HO)が供給されると、陰極電極上で高分子電解質膜82bとの界面に達した陽極電極から伝導した水素イオン(H)、および水素イオン(H)に起因する還元性物質と酸素ガス(O)が反応し、下記反応式(2)で示す還元反応によって過酸化水素(H)が発生する。この過酸化水素水81は、陰極貯水部82dに溜められ時間をかけるほど濃度が高まっていく。
陽極: 2HO → O+ 4H + 4e (1)
陰極: O + 2H + 2e → H (2)
過酸化水素水の原料水としては水道水が使用できる。原料となる水道水としては、例えばロータンク(図示せず)に貯留された水を使用することができ、ロータンクに流路切り替えバルブを介して接続する原料水供給用配管87を新たに設け、貯留された水道水を、例えば便器本体10内のデッドスペースに配置された過酸化水素水製造装置82の陽極貯水部82cに供給すればよい。その後、過酸化水素水製造装置82を稼働させて、陰極貯水部82dに製造された過酸化水素水81が溜められる。この時、水道水の供給量および過酸化水素水製造装置の運転条件等は、図示しない制御手段により制御され、所定時間連続して過酸化水素水が製造できるようになっている。このようにして陰極貯水部82dに溜められた過酸化水素水81は、そのまま又は一旦殺菌洗浄液タンク(図示せず)に溜められてから殺菌洗浄液用ポンプ83を起動して殺菌洗浄液用供給管84内を圧送される。殺菌洗浄液用供給管84はフレキシブルな耐圧性のチューブからなり、他の部材と干渉しないようにして、前記殺菌洗浄液用ノズル86、86´につながっており、そこから過酸化水素水81が噴霧される。この時の噴霧量(噴霧速度)は、殺菌洗浄液用ノズル86、86´より上流側に配置された流量調節バルブ85、85´によって制御される。かくして、接水面、具体的には前記第一の領域の露出面15の表面及び前記第二の領域の露出面16に過酸化水素水81(殺菌洗浄液)が均一に付着される。
このようにして殺菌洗浄の対象である、リム12の下面における前記第一の領域の露出面(表面)15及びボウル部11における前記第二の領域の露出面16の表面に過酸化水素水81(殺菌洗浄液)を均一に付着させた状態で、前記紫外線光源70を点燈し、紫外線を出射することにより、セルフクリーニングが開始されることになる。すなわち、図1に示されるように、紫外線光源70を点灯することにより、紫外線は、紫外線透過性部材13の裏面に向けられて出射される。そして、出射された紫外線は、紫外線透過性部材13を透過して、前記第一の領域の露出面(表面)15の表面に付着した過酸化水素水81(殺菌洗浄液)を分解してOHラジカルを発生させると共に、その一部は前記第二の領域の露出面16の表面の付着した過酸化水素水81(殺菌洗浄液)に照射され、これを分解してOHラジカルを発生させる。このようにして発生したOHラジカルの酸化力により前記露出面の表面に付着した汚れ物質が分解される同時に殺菌が行われることになる。
なお、紫外線光源70は、図3に示すようなLEDモジュール710となっている。ここで、LEDモジュールとは、一般に、LEDパッケージを基板などに実装するか、又は複数のLED(発光ダイオード)を平面的若しくは立体的に配列して、機械的、電気的制御回路若しくはその一部、及び光学的に多数の要素で構成して、一つのユニットとして取り扱えるようにしたもの、またはその集合体のことを意味する。
図3では、下方にLEDモジュール710をリム部12の下面を下側から見るようにして見た時の正面図(概略図)を、上方にその部分拡大図を示しているが、下方の図に示されるように、LEDモジュール710では、リム12の底面とほぼ同様の形状(楕円リング形状)を有する紫外線透過性部材13の裏面のほぼ全体をカバーするような紫外線出射用窓材714で開口部が塞がれた断面コの字状の紫外線光源ユニット筐体712の内部にUV−LED713を横に複数列並べ、UV−LEDの光軸の角度が各列で異なるようにして収容されている。こうすることにより、紫外線透過部材13の裏面全体に紫外線を照射できるようになっている。なお、上記LEDモジュール710においては、リム射水穴41に相当する部分に貫通孔が設けられている。
紫外線光源70としては、図4に示すような基本構造を有するLEDモジュール710´を複数並べて使用することもできる。図4の下方には、リム12に配置された紫外線透過性部材13の裏面上にLEDモジュール710´を配置しときの様子を示す概略図を示し、上方に各LEDモジュール710´の模式図を示した。図4に上方に示されるように、LEDモジュール710´は、導光板を用いたモジュールであり、リム12の底面とほぼ同様の形状(楕円リング形状)を幾つかに分割したときの、それぞれの周縁部に相当するような形状を有する板状基体715上に複数のUV−LED713を一列に配置し、その周囲を保護枠716で囲ったユニットを縦長の導光板717の側端面に配置して、前記UV−LED713から出射された紫外線を導光板717の光出射面717aから出射するようにしたものである。図4上方の図では、便宜的に正面から見た状態を長方形で表しているが、実際には図4の下方に示されるように、配置された場所に応じて、それぞれが曲率の異なる弓型に湾曲した形状を有する。また、図4下方に示されるように、リム射水穴41を避けるように、12個のLEDモジュール710´が配設されている。
本発明の物品であるトイレ装置100においては、図1の部分拡大図に示されるように、前記第一の領域では、その下地となる紫外線透過性部材13の裏面(背面)側から紫外線が照射され、紫外線透過性部材13を透過した透過紫外線が前記第一の領域の露出面(表面)15の表面に付着した過酸化水素水81(殺菌洗浄液)に照射される。また、透過紫外線(図中、点線矢印で示される)は、リム12とボウル部11とが接合するコーナー部から下側のボウル部の内表面(前記第二の領域の露出面16の表面)に付着した過酸化水素水81(殺菌洗浄液)にも照射される。
部分拡大図に示されるような、前記コーナー部は、一般に、狭小な隙間空間であり、外から見えにくく、また、ブラシなどが届きにくいため清掃が困難な場所である。そのため、カビなどが成長して頑固な汚れ(除去し難い汚れ)となり易く、これを人手による清掃で取り除こうとするときには、ブラシで激しく擦って表面を傷めてしまうことが多い。これに対し、本発明のトイレ装置では、このような場所について、OHラジカルの高い酸化力を利用した高度なセルフクリーニングを確実に行うことができる。しかも、第二の領域における透過紫外線の照射領域は比較的広く、たとえば紫外線透過部材13に光拡散機能を持たせることにより、その領域を更に広げ、上記したような機構によるセルフクリーニングの適用範囲を更に広げることもできる。また、透過紫外線が到達しない場所があっても、そこでは過酸化水素水が本来有する殺菌・洗浄力による浄化を行うことができる。したがって、たとえば、センシング技術を用いて人がトイレ内にいないことを検知して自動的に所定時間励起光源を点灯するようにする様にしたり、毎日、深夜に定期的に所定時間励起光源を点灯させたりすることによって、当該部分を常に清浄に保つことが可能である。そして、仮に汚れが溜まったとしても、当該汚れはOHラジカルの作用による分解を受け、低分子化及び親水化しているため、例えばスポンジなどの柔らかい清掃器具を用いても簡単に除去することができる。したがって、物品や部材の表面を傷めることが無い。
以上、トイレ装置を例に本発明について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、前記した様々な水取扱物品や部材に適用可能である。たとえば、カビが発生し易く清掃が困難なユニットバスの天井材や壁材に適用すれば、天井の裏側や壁の裏側の活用されていないスペースに紫外線光源を設置できるので、配線の自由度も大きく、室内外観を損なうことが無い。また、これらのスペースは、防水されているので紫外線光源が液体状態の水に触れることが無く、漏電等の危険性を低くすることができる。排水トラップなどにおいても、配管部の外側に紫外線光源を設置することにより、同様の効果を得ることができる。さらに、排水トラップ配管部のように殺菌洗浄の対象となる接水表面が円筒形状を有する接水部材の内表面である場合には、当該接水部材についてその長さ方向に一定の部分全体を、一定の高さを有する円筒形の紫外線透過部材で構成し、その外部に前記高さ実質的に同じ長さ(高さ)有する縦長のUV−LEDモジュールを配置し、これを円筒の外周に沿って周回移動するようにすることにより、少ないUV−LEDを用いて効率的に紫外線照射することもできる。
100・・・トイレ装置
10・・・便器本体
11・・・ボウル部
12・・・リム
13・・・紫外線透過性部材
14・・・接水表面
15・・・第一の領域の露出面
16・・・第二の領域の露出面
20・・・ゼット導水路
21・・・ゼット穴
22・・・ゼット導水路入口
30・・・排水路
40・・・リム通水路
41・・・リム射水穴
50・・・給水室
60・・・水流偏向手段
70・・・紫外線光源
710、710´・・・LEDモジュール
712・・・紫外線光源ユニット筐体
713・・・紫外線発光ダイオード(UV−LED)
714・・・紫外線出射用窓材
715・・・基体
716・・・保護枠
717・・・導光板
717a・・・導光板の光出射面
80・・・殺菌洗浄液供給手段
81・・・殺菌洗浄液(過酸化水素水)
82・・・過酸化水素水製造装置
82a・・・電解セル
82b・・・高分子電解質膜
82c・・・陽極貯水部
82d・・・陰極貯水部
83・・・殺菌洗浄液用ポンプ
84・・・殺菌洗浄液用供給管
85・・・流量調節バルブ
86・・・殺菌洗浄液用ノズル
87・・・原料水供給用配管

Claims (7)

  1. 露出した表面の少なくとも一部が液体状態の水と接触し得る接水表面である接水部材を含んでなる物品であって、
    前記接水表面は、紫外線透過性物質からなる、曲面を有していてもよい、板状、シート状又はフィルム状の紫外線透過性部材の一方の主表面で構成される第一の領域と、紫外線不透過物質で構成される第二の領域と、を有し、
    水の共存下における紫外線照射によって分解してヒドロキシルラジカルを生成する物質又はイオンが溶解した水溶液からなる殺菌洗浄液を前記接水表面の第一の領域の露出表面及び前記第二の領域の露出表面に付着させることができる殺菌洗浄液供給手段と、紫外線光源と、を更に有し、
    前記紫外線光源から出射される紫外線を前記第一の領域における前記紫外線透過性部材の他方の主表面側から照射し、当該紫外線透過性部材を透過した紫外線を、前記第一の領域の露出表面に付着した前記殺菌洗浄液及び前記第二の領域の露出表面に付着した前記殺菌洗浄液に照射できるようにしたことを特徴とする、前記物品。
  2. 前記洗浄殺菌液が過酸化水素水である請求項1に記載の物品。
  3. 過酸化水素水製造装置を更に含んでなる請求項2に記載の物品。
  4. 前記紫外線光源は、240nm以上280nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオードと、280nmを越え390nm以下の波長領域にピークを有する紫外線を出射する紫外線発光ダイオードと、を含んでなる、ことを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の物品。
  5. 前記紫外線光源は、紫外線発光ダイオードを用いたLEDモジュールからなり、
    前記LEDモジュールを移動させる移動手段と、当該移動手段並びに紫外線発光ダイオードの点灯及び消灯を制御するLEDモジュール制御手段と、を更に有し、
    前記移動手段及びLEDモジュール制御手段は、前記LEDモジュールを移動させながら紫外線を出射し、出射された紫外線が前記第一の領域における前記紫外線透過性部材の他方の主表面を走査するように前記LEDモジュールの移動および制御を行うものである、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の物品。
  6. 前記物品が耐久消費財である、請求項1に記載の物品。
  7. 前記耐久消費財が、水洗トイレ装置、水洗トイレタンク、洗濯機、加湿器、空気調和装置、冷蔵庫、冷凍庫、浄水器、ハンドドライヤー、浴槽、浴室の天井材、壁材および床材、洗面用シンク、流し台シンク、ドレン、排水パン又は排水トラップである、請求項6に記載の物品。
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