JP2018186260A - 熱電発電デバイスおよび熱輸送デバイス - Google Patents

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剛嗣 大矢
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Abstract

【課題】カーボンナノチューブ複合糸により効率のよい熱電発電を可能とした熱電発電デバイス及びカーボンナノチューブ複合糸によりペルチェ効果を発現させた熱輸送デバイスを提供する。【解決手段】熱電発電デバイスを得るには、自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、カーボンナノチューブ(CNT)を含む分散液を含浸または塗布してなるCNT複合糸10を熱電発電糸とし、その両端に発電電力出力用のリード線20を接続する。また、熱輸送デバイスを得るには、単層CNTとブと多層CNTとを用意し、多層CNT(もしくは単層CNT)−単層CNT(もしくは多層CNT)−多層CNT(もしくは単層CNT)の順に接続して直列接続体とし、この直列接続体に直流電流を流す。【選択図】図2

Description

本発明は、ゼーベック効果により発電する熱電発電デバイスおよびペルチェ効果による熱輸送デバイスに関し、さらに詳しく言えば、糸状の基材にカーボンナノチューブを含ませてなるカーボンナノチューブ複合糸を用いた熱電発電デバイスと熱輸送デバイスに関するものである。
カーボンナノチューブ(CNT)は、1991年に飯島澄男氏により発見された物質であり、炭素原子が六角形の各頂点に存在する蜂の巣構造のシートを丸めた円筒状を呈している。
その特徴として、強靱な機械的強度(引っ張り強度;〜150GPa,ヤング率;〜1000GPa)、高い熱伝導性(数百〜数千W/m・K)、高い電子移動度(金属的の場合;10万cm/Vs)、それに金属的・半導体的性質を持つ、アスペクト比が高い(直径方向;数nm,軸方向;数μm)等多くの機能・特徴を有している(非特許文献1)。
また、非特許文献2には、カーボンナノチューブが熱を電気エネルギーに変換する優れた性能を有することが紹介されている。特許文献1には、カーボンナノチューブの応用素材の一つとしてカーボンナノチューブを糸状に形成したカーボンナノチューブ糸が提案されている。
特許文献2には、カーボンナノチューブと糸との複合材料であるカーボンナノチューブ複合糸よりなる糸トランジスタが提案されている。さらに、非特許文献3には、カーボンナノチューブ複合材料(カーボンナノチューブ複合紙)が熱電変換機能を持つことが記載されている。
特開2010−168679号公報 特開2013−155058号公報
T.Tanaka,et al.,NanoLett.,9(4),pp.1497−1500,2009 Y.Nakai,et al.Applied Physics Express 7,025103(2014) K.Kawata,et al.,the 29th International Microprocesses and NanotechnologyConference,10P−7−11,Nov.,2016
上記のように、これまでにカーボンナノチューブ複合糸の適用例として「導電糸」「機械的に強度の強い糸」「糸トランジスタ」等が報告されているが、熱電発電(温度差発電)および熱輸送については報告例がない。
その理由は、本来熱電発電材料に求められている特性は、「高電気伝導性」と「低熱伝導性」であるが、カーボンナノチューブそのものは、「高電気伝導性」かつ「高熱伝導性」であることから、加熱側(ホット側)と低温側(コールド側)とが瞬時にほぼ同じ温度となり、ほとんどゼーベック効果が発揮できないからである。
したがって、本発明の課題は、カーボンナノチューブ複合糸により効率のよい熱電発電を可能とした熱電発電デバイスを提供することにある。
また、本発明は、カーボンナノチューブ複合糸によりペルチェ効果を発現させた熱輸送デバイスを提供することを課題としている。
上述した課題を解決するため、本発明の熱電発電デバイスは、自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、カーボンナノチューブを含む分散液を含浸または塗布してなるカーボンナノチューブ複合糸を熱電発電糸とし、上記熱電発電糸の両端に発電電力出力用のリード線を接続してなることを特徴としている。
また、本発明の熱電発電デバイスには、上記熱電発電糸を縦糸および/または横糸に含む熱電発電布も含まれる。
上記カーボンナノチューブとして、好ましくは、半導体的性質を有する単層カーボンナノチューブが用いられる。
また、上記カーボンナノチューブ複合糸の表面に、絶縁性を有する樹脂もしくは合成繊維材料によってコーティングされた絶縁層が形成されていることが好ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記カーボンナノチューブ複合糸として、p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸とn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸とが用いられ、上記p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸と上記n型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸の各一端部が接合されたp,nの組合せからなる複合糸対を含み、上記複合糸対の各他端部に上記発電電力出力用のリード線が接続される。
また、本発明の熱電発電デバイスには、上記複合糸対の複数が直列に接続され、その両端に上記発電電力出力用のリード線が接続される態様も含まれる。
本発明の熱電発電デバイスにおいて、上記カーボンナノチューブ複合糸に、p型の半導体的性質を有する単層カーボンナノチューブの領域と、n型の半導体的性質を有する単層カーボンナノチューブの領域とが含まれてもよい。
また、本発明の熱電発電デバイスには、上記カーボンナノチューブ複合糸として、単層カーボンナノチューブ複合糸と、多層カーボンナノチューブ複合糸とが用いられ、上記単層カーボンナノチューブ複合糸と上記多層カーボンナノチューブ複合糸の各一端部が接合された単層と多層の組合せからなる複合糸対を含み、上記複合糸対の各他端部に上記発電電力出力用のリード線が接続されている態様の熱電発電デバイスも含まれる。
本発明には、カーボンナノチューブ複合糸によりペルチェ効果を発現させた熱輸送デバイスも含まれる。本発明による熱輸送デバイスは、自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、単層カーボンナノチューブを含む分散液を含浸または塗布してなる単層カーボンナノチューブ複合糸を第1複合糸とし、上記混合糸に多層カーボンナノチューブを含む分散液を含浸または塗布してなる多層カーボンナノチューブ複合糸を第2複合糸として、
上記第2複合糸−上記第1複合糸−上記第2複合糸の順、もしくは、上記第1複合糸−上記第2複合糸−上記第1複合糸の順で上記第1および第2複合糸を直列に接続してなる単層−多層の異種複合糸の直列接続体を有し、上記直列接続体に直流電流を流すことにより、ペルチェ効果により一方の接続点と他方の接続点との間で温度差が生ずるようにしたことを特徴としている。
本発明によれば、自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸にカーボンナノチューブを含ませることにより、糸そのものが持つ断熱性によりカーボンナノチューブ複合糸全体が低熱伝導性となるため、効率のよい熱電発電が可能になる。
また、本発明によれば、第1複合糸(単層カーボンナノチューブ複合糸)と第2複合糸(多層カーボンナノチューブ複合糸)とを接続してなり、直流電流を流すことによってペルチェ効果が発現し、その接続部に発熱・吸熱が起こる熱輸送デバイスが得られる。
本発明で用いられるカーボンナノチューブ複合糸の作製方法を示す模式図。 本発明による熱電発電デバイスの第1実施形態を示す模式図。 (a)(b)本発明による熱電発電デバイスの第2実施形態を示す模式図。 (a)〜(c)本発明による熱電発電デバイスの第3実施形態を示す模式図。 (a)(b)本発明による熱電発電デバイスの第4実施形態を示す模式図。 本発明による熱輸送デバイスを説明する模式図。 ペルチェ効果発生のメカニズムを図解したバンド図。 上記熱輸送デバイスで測定された電流と温度との関係を示すグラフ。
次に、図1ないし図8により、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
まず、図1の模式図を参照して、カーボンナノチューブ複合糸の製造工程について説明する。カーボンナノチューブ複合糸を作製するのに必要なベースとなる糸(基材)には、一般的に使用されている綿糸,麻糸,羊毛,絹等の自然由来の糸もしくは化学合成由来のポリエステル,ナイロン等の合成繊維糸が用いられるが、これらの混合糸が用いられてもよい。
カーボンナノチューブの糸への複合化については、基本的には手工染色等の手法と同様である。なお、糸をカーボンナノチューブ分散液に浸したまま、分散液を沸騰しない程度に加熱(60℃前後)し、水分を飛ばすことで濃縮されたカーボンナノチューブが糸をコーティングするような手法を取ることもできる。図1のような含浸法によれば、より多くのカーボンナノチューブが糸に複合化される。
また、合成繊維のように染料が染みこまないタイプの糸については、その表面にカーボンナノチューブ分散液を塗布して、乾燥させることにより、同様のカーボンナノチューブ複合糸が得られる(塗工法)。このような態様も本発明に含まれる。
カーボンナノチューブには、多層のカーボンナノチューブ(例えば、Nanocyl社製NC7000)や、単層のカーボンナノチューブ(例えば、Nanolntegris社製HiPco)を使用することができる。
単層の半導体的性質を有する半導体的カーボンナノチューブ(例えば、Nanolntegris社製IsoNanotubes−S)を使用すれば、半導体的カーボンナノチューブ複合糸が得られる。
含浸法,塗工法のいずれを選択する場合でも、カーボンナノチューブを分散液とする必要がある。分散液としては、例えばNanoIntegris社製IsoNanotubes−S(半導体的カーボンナノチューブの水分散液、カーボンナノチューブ含有量1mg/100ml)がある。
作製された複合糸はカーボンナノチューブが表面に露出する形になるため、糸の保護、表面絶縁性の付与、カーボンナノチューブの剥離防止等を目的として、絶縁性の樹脂(例えばポリエチレン)もしくは合成繊維材料(例えばナイロン)により複合糸の表面をコーティングすることが好ましい。この場合、発電された電気を取り出す端子部分においてはコーティングを剥がすか、未コーティング部としておく必要がある。
カーボンナノチューブとして、半導体的カーボンナノチューブを選択した場合、これに不純物(ドーピング材)を添加することにより、p型の半導体的カーボンナノチューブもしくはn型の半導体的カーボンナノチューブとすることができる。
添加する不純物としては、例えばポリエチレンイミン(PEI)や水酸化カリウム等がある。この不純物(ドーピング材)の安定的定着を目的として、安定化剤であるクラウンエーテル等を併用してもよい。
なお、半導体的カーボンナノチューブは不純物無しでp型の半導体的性質に、不純物の添加によりn型の半導体的性質になりやすいことが知られている。カーボンナノチューブ複合糸をp型とn型とに作り分けすることにより、熱電発電糸や熱電発電布の効率のよい発電性能が期待できる。
カーボンナノチューブ複合糸に用いられる糸(基材)は、断熱性(低熱伝導性)であるため、カーボンナノチューブ複合糸の両端に温度差(温度勾配)を付けることができ、これにより発電する。多層のカーボンナノチューブもしくは半導体/金属分離をしていない単層のカーボンナノチューブを使用する場合には1本以上あればよい。
したがって、図2に示すように、上記のようにして作製された半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸10の両端にリード線20を接続することにより、本発明の基本的な形態(第1実施形態)としての熱電発電デバイス(熱電発電糸)1が得られる。
両端の温度差は糸の耐熱温度にもよるが、加熱できる上限は100℃程度である(一例として、ホット側が100℃、コールド側が室温)。リード線20に金属的カーボンナノチューブ複合糸を用いることができる。
次に、図3(a)に示すように、第2実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)2では、p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸11と、n型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸12とを用い、p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸11とn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸12の各一端部11a,12a同士を接合して複合糸対2pnとし、この複合糸対2pnの各他端部11b,12bに発電電力出力用のリード線20,20を接続する。
この第2実施形態において、複合糸対2pnは、接合された一端部11a,12a側が頂部で、他端部11b,12b側が裾部となる山型を呈し、発電させるにあたっては、p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸11とn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸12の各一端部11a,12a側をホット側(加熱側)、各他端部11b,12b側をコールド側(冷却側)とする。コールド側は室温であってもよい。
また、この第2実施形態に係る熱電発電デバイス2には、図3(b)に示すように、p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸11とn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸12を交互にジグザグ状に接続した態様、すなわち、図3(a)の熱電発電デバイス2の複合糸対2pnを繰り返し単位として、その複数個を直列に接続してなる熱電発電デバイス2Aも含まれる。
この場合には、リード端子20は、熱電発電デバイス2Aの一方の端に配置されるp型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸11の他端部11bと、他方の端に配置されるn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸12の他端部12bとに接続される。
図4(a)に、第3実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)3を示す。この熱電発電デバイス3では、1本の複合糸うちの例えば半分をp型領域10pとし、残りの半分をn型領域10nとした半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸10Aを備える。
また、この熱電発電デバイス3には、図4(b)に示すように、図4(a)の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸10Aを例えば縦糸として織り込まれた熱電発電布3Aが含まれる。
この熱電発電布3Aにおいて、横糸30に例えば先に説明した図2の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸10が用いられてよいが、横糸30に通常の糸を用いることにより、熱伝導性をより低くすることができる。
この熱電発電布3Aは、p型領域10pとn型領域10nとが接している接合部Cを、例えば図4(c)に示すように、温水パイプPに掛けるようにして使用する。これによれば、接合部Cが温水パイプPにより加熱されるホット側で、裾部がそれよりも低い温度のコールド側となり、その温度差により発電する。
別の例として、熱電発電布3Aは、先の図3(a)で説明したp型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸11とn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸12の各一端部11a,12a同士を接合した第2実施形態の熱電発電デバイス(熱電発電糸)2を縦糸および/または横糸として織られてもよい。
次に、図5(a)により、第4実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)4について説明する。
この熱電発電デバイス(熱電発電糸)4では、p型,n型のカーボンナノチューブ複合糸の代わりに、単層(シングル)カーボンナノチューブ複合糸41と、多層(マルチ)カーボンナノチューブ複合糸42とを用い、単層カーボンナノチューブ複合糸41と多層カーボンナノチューブ複合糸42の各一端部41a,42a同士を接合して複合糸対2smとし、この複合糸対2smの各他端部41b,42bに発電電力出力用のリード線20,20を接続する。
ここで、単層は1層で、多層は2層以上であるが、熱電発電デバイス(熱電発電糸)4として用いられる多層カーボンナノチューブ複合糸42としては、その層数が好ましくは7層以上、特には10数層であることが好ましい。
この第4実施形態においても、複合糸対2smは、接合された一端部41a,42a側が頂部で、他端部41b,42b側が裾部となる山型を呈し、発電させるにあたっては、単層カーボンナノチューブ複合糸41と多層カーボンナノチューブ複合糸42の各一端部41a,42a側をホット側(加熱側)、各41b,42b側をコールド側(冷却側)とする。コールド側は室温であってもよい。
また、この第4実施形態に係る熱電発電デバイス4には、図5(b)に示すように、単層カーボンナノチューブ複合糸41と多層カーボンナノチューブ複合糸42を交互にジグザグ状に接続した態様、すなわち、図5(a)の熱電発電デバイス2の複合糸対2smを繰り返し単位として、その複数個を直列に接続してなる熱電発電デバイス4Aも含まれる。
この場合には、リード端子20は、熱電発電デバイス4Aの一方の端に配置される単層カーボンナノチューブ複合糸41の他端41bと、他方の端に配置される多層カーボンナノチューブ複合糸42の他端42bとに接続される。
この第4実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)4は、第2実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)2と同じく、図4(b)に示す熱電発電布3Aに織り込まれてよい。
実施例として、第2実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)2と、第4実施形態に係る熱電発電デバイス(熱電発電糸)4について、そのホット側とコールド側との温度差を30〜60[K]として起電力を測定したところ、第2実施形態の熱電発電デバイス(熱電発電糸)2では0.7mV,第4実施形態の熱電発電デバイス4では1.1mVの起電力が得られた。なお、第4実施形態の熱電発電デバイス4において、多層カーボンナノチューブ複合糸42の層数は20〜30層(直径で言うと9.5nm前後)である。
本発明には、カーボンナノチューブ複合糸より作製されるペルチェ効果による熱輸送デバイスも含まれ、これについて、図6により説明する。
この熱輸送デバイス5は、上記第4実施形態に係る熱電発電デバイス4と同じく、単層(シングル)カーボンナノチューブ複合糸(第1複合糸)51と、多層(マルチ)カーボンナノチューブ複合糸(第2複合糸)52の2つの複合糸を含む。
図1で先に説明したのと同じく、単層カーボンナノチューブ複合糸51は、自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、単層カーボンナノチューブ(例えば、Nanolntegris社製HiPco)を含む分散液を含浸または塗布することにより得られ、また、多層カーボンナノチューブ複合糸52は、自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、多層カーボンナノチューブ(例えば、Nanocyl社製NC7000)を含む分散液を含浸または塗布することにより得ることができる。
この実施形態において、2つの複合糸は、多層カーボンナノチューブ複合糸52−単層カーボンナノチューブ複合糸51−多層カーボンナノチューブ複合糸52の順で直列に接続される。換言すれば、単層カーボンナノチューブ複合糸51の両端に、それぞれ、多層カーボンナノチューブ複合糸52が接続される。
この熱輸送デバイス5においても、用いられる多層カーボンナノチューブ複合糸52の層数は、7層以上、特には10数層であることが好ましい。また、単層カーボンナノチューブは、半導体的カーボンナノチューブが好ましい。
この複合糸51,52の直列接続体に、図示しない電流源より直流電流Iを流すことにより、ペルチェ効果により接続点A,Bで温度差が生ずる。
図6において、左側の多層カーボンナノチューブ複合糸52側から直流電流Iを流すと、左側の接続点Aで吸熱が起こり、右側の接続点Bで発熱が生ずる。反対に、右側の多層カーボンナノチューブ複合糸52側から直流電流Iを流すと、右側の接続点Bで吸熱が起こり、左側の接続点Aで発熱が生ずる。
図7にペルチェ効果発生のメカニズムを図解したバンド図を示し、図8に図6のように左側の多層カーボンナノチューブ複合糸52側から直流電流Iを流して接続点A,Bの温度を測定したグラフ(横軸:電流(mA)、縦軸:温度(℃))を示す。
なお、図6において、括弧書きするように、単層カーボンナノチューブ複合糸51−多層カーボンナノチューブ複合糸52−単層カーボンナノチューブ複合糸51の順で直列に接続してもよい。換言すれば、多層カーボンナノチューブ複合糸52の両端に、それぞれ、単層カーボンナノチューブ複合糸51を接続するようにしてもよい。
上記したように、本発明の熱電発電デバイスは、熱電発電糸や熱電発電布として温度差がある環境下で発電する。また、本発明の熱輸送デバイスは、直流電流を通電することにより、吸熱・発熱もしくは熱の輸送をする。
用途としては、人工衛星用途(熱電発電・熱輸送の両方)、家具・インテリア用途(熱電発電・熱輸送の両方)、飛行機・列車・船舶・車載用途(熱電発電・熱輸送の両方)、感熱糸センサ、感熱布センサ(熱電変換の応用)、発熱糸、発熱布、冷却糸、冷却布(熱輸送の応用)、熱電発電・感熱センサを有する衣服(熱電発電の応用)、発熱・冷却の機能を有する衣服(熱輸送の応用)、カーテン、絨毯、テーブルクロス、ソファーシート、布団、布団カバー、枕、枕カバー、車の内装・シート、鞄、靴、帽子、寝具、タオル(熱電発電・熱輸送の両方)等が挙げられ、広範囲の産業分野への応用が可能である。
1,2,3,4 熱電発電デバイス(熱電発電糸)
3A 熱電発電デバイス(熱電発電布)
10 半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸
10p p型領域
10n n型領域
11 p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸
12 n型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸
20 リード線
41,51 単層(シングル)カーボンナノチューブ複合糸
42,52 多層(マルチ)カーボンナノチューブ複合糸
5 熱輸送デバイス

Claims (10)

  1. 自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、カーボンナノチューブを含む分散液を含浸または塗布してなるカーボンナノチューブ複合糸を熱電発電糸とし、上記熱電発電糸の両端に発電電力出力用のリード線を接続してなることを特徴とする熱電発電デバイス。
  2. 上記熱電発電糸を縦糸および/または横糸に含む熱電発電布を有することを特徴とする請求項1に記載の熱電変換デバイス。
  3. 上記カーボンナノチューブとして、半導体的性質を有する単層カーボンナノチューブが用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電発電デバイス。
  4. 上記カーボンナノチューブ複合糸の表面に、絶縁性を有する樹脂もしくは合成繊維材料によってコーティングされた絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス。
  5. 上記カーボンナノチューブ複合糸として、p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸とn型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸とが用いられ、上記p型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸と上記n型の半導体的単層カーボンナノチューブ複合糸の各一端部が接合されたp,nの組合せからなる複合糸対を含み、上記複合糸対の各他端部に上記発電電力出力用のリード線が接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス。
  6. 上記複合糸対の複数が直列に接続され、その両端に上記発電電力出力用のリード線が接続されていることを特徴とする請求項5に記載の熱電発電デバイス。
  7. 上記カーボンナノチューブ複合糸に、p型の半導体的単層カーボンナノチューブの領域と、n型の半導体的単層カーボンナノチューブの領域とが含まれていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱電発電デバイス。
  8. 上記カーボンナノチューブ複合糸として、単層カーボンナノチューブ複合糸と、多層カーボンナノチューブ複合糸とが用いられ、上記単層カーボンナノチューブ複合糸と上記多層カーボンナノチューブ複合糸の各一端部が接合された単層と多層の組合せからなる複合糸対を含み、上記複合糸対の各他端部に上記発電電力出力用のリード線が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電デバイス。
  9. 上記複合糸対の複数が直列に接続され、その両端に上記発電電力出力用のリード線が接続されていることを特徴とする請求項8に記載の熱電発電デバイス。
  10. 自然由来の糸もしくは合成繊維の糸またはこれらの混合糸に、単層カーボンナノチューブを含む分散液を含浸または塗布してなる単層カーボンナノチューブ複合糸を第1複合糸とし、上記混合糸に多層カーボンナノチューブを含む分散液を含浸または塗布してなる多層カーボンナノチューブ複合糸を第2複合糸として、
    上記第2複合糸−上記第1複合糸−上記第2複合糸の順、もしくは、上記第1複合糸−上記第2複合糸−上記第1複合糸の順で上記第1および第2複合糸を直列に接続してなる単層−多層の異種複合糸の直列接続体を有し、上記直列接続体に直流電流を流すことにより、ペルチェ効果により一方の接続点と他方の接続点との間で温度差が生ずるようにしたことを特徴とする熱輸送デバイス。
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