JP2018185391A - 反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学装置 - Google Patents

反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学装置 Download PDF

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理絵 石松
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Abstract

【課題】波長400〜700nm、入射角度0°〜50°の光に対して0.10%未満の反射率を達成した反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学機器を提供する。
【解決手段】入射乃至射出する光線の表面反射を低減するための反射防止膜10は、光学基板1と規則的に配列された凹凸構造を持つ構造層3と構造層と光学基板との間に形成された中間層2からなり、構造層は光入射側から基板側へ膜厚方向に空間充填率が増加する樹脂成型物からなり、樹脂成型物を形成する樹脂材料の屈折率は1.38以上1.62以下であって、中間層は構造層と光学基板とは異なる屈折率の材料からなる物理膜厚が20nm以上58nm以下の誘電体薄膜層からなる構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子の入出射面に設けられる反射防止膜に関し、特に深さ方向に屈折率が連続的に変化する構造を有する反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学装置に関するものである。
従来、光学素子の表面には、入射光の光量損失を低減させるために、反射防止構造が形成されており、近年では使用波長より小さなピッチで配列した微細構造を利用した反射防止膜が知られている。
このような反射防止膜のうち、蛾の目の構造を模したモスアイ構造のように、空間に対する構造の充填率が膜厚方向に変化する反射防止膜は、光入射側から膜厚方向に対して実質的に屈折率が連続的に変化するため、屈折率の異なる多層膜から構成される従来の反射防止膜より入射角度特性が少ない。このような微細凹凸構造を利用した反射防止膜の形成法として、例えば特許文献1には、微細凹凸構造を持つ原盤を作製し、この原盤を型として微細構造を転写する方式が開示されている。
特許文献1では、作成した型を用いて光学素子を成型する際に表面に直接微細凹凸構造を転写する方法や、基板表面に樹脂等の材料でコーティングし、そこに構造を転写(ナノインプリント)することで微細構造を形成する方法が開示されている。しかしながら、上記の方法で直接微細凹凸構造を光学素子表面に作成するためには、光学素子の材料が転写に必要な条件(ガラス転移温度や粘度、離型性)を満たす、ごく一部に限定されてしまう。また、ナノインプリントを用いて構造を転写する場合、微細凹凸構造と基板の界面における反射を抑制するために、基板と微細凹凸構造の界面の屈折率差をできるだけ小さくすることが必要となる。
しかし、構造の形成に利用可能な材料は現実的には限定されており、現状選択可能な屈折率範囲1.38〜1.62程度に制限されてしまう。特に、高い屈折率を実現することは難しく、屈折率が1.7以上の光学材料に上記の方法を適用することは難しい。
そこで、特許文献2では、微細構造と基板との間に基板よりも低い屈折率を持つ低屈折率層を1層設ける方法を提案している。低屈折率層を1層追加することで、基板と微細構造との屈折率差を小さくする構成が開示されている。例えば、計算例2では、基板の屈折率が1.8の場合に、構造層と同じ材料からなる低屈折率層を設けた例を開示している。この例では、低屈折率層と構造層を1度に成型可能としているが、実際に1度に成型する際には低屈折率層の膜厚均一に制御することは難しい。
特に、光学レンズのような曲面上に構造を転写する場合には、その難易度が増し低屈折率層の膜厚がレンズの面内でバラつきを持ち、これにより反射防止性能が劣化してしまう。また計算例3では、低屈折率層と構造層の屈折率が異なる例を開示している。しかし、この例では、構造層の屈折率が1.8となっており、上記選択可能な屈折率範囲を超えおり、ナノインプリント法での成型が現実的には困難である。さらに計算値4では、低屈折率層が1.6かつ構造層の屈折率が1.494〜1.998の場合の例が開示されている。特許文献2の図15からこの例では、入射角度が0〜50°において平均反射率が0.20%程度を達成している。
特開2006−130841号公報 WO2008/102882号公報
しかしながら、光学カメラにおいては、近年デジタル化の進行に伴い、ゴーストやフレアの低減の必要性が増していることから、平均反射率が0.20%では十分な反射防止性能が得られているとは言えない。
そこで、本発明の目的は、波長400〜700nm、入射角度0°〜50°の光に対して0.10%未満の平均反射率を達成した反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学機器を提供することである。
本発明の反射防止膜は、入射乃至射出する光線の表面反射を低減するための反射防止膜であって、光学基板と規則的に配列された凹凸構造を持つ構造層と該構造層と該光学基板との間に形成された中間層からなり該構造層は光入射側から基板側へ膜厚方向に空間充填率が増加する樹脂成型物からなり該樹脂成型物を形成する樹脂材料の屈折率は1.38以上1.62以下であって該中間層は、該構造層と該光学基板とは異なる屈折率の材料からなる物理膜厚が20nm以上58nm以下の誘電体薄膜層からなることを特徴とする。
本発明によれば、波長400〜700nm、入射角度0〜50°の光に対して、平均反射率0.1%以下の反射率を達成した反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学機器を提供することができる。
本発明の反射防止膜概略 本発明の構造層3の先端形状概略 実施例1の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 実施例1の反射防止膜の反射率 実施例2の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 実施例2の反射防止膜の反射率 実施例3の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 実施例3の反射防止膜の反射率 実施例4の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 実施例4の反射防止膜の反射率 実施例5の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 実施例5の反射防止膜の反射率 実施例6の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 実施例6の反射防止膜の反射率 実施例7の光学機器 比較例1の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 比較例1の反射防止膜の反射率 比較例2の反射防止膜の膜厚に対する屈折率 比較例2の反射防止膜の反射率
以下に、本発明の実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、説明中の屈折率の値は全て、波長550nmに対するものである。
図1は、本発明の反射防止膜の概略図(断面図)であり、光学基板1の表面付近を拡大して示している。光学基板1は屈折率が1.70〜1.90の光学ガラスもしくは光学プラスチックからなり、その表面に本発明の反射防止膜10が形成されている。
反射防止膜10は、ナノインプリント法によって形成され、微細凹凸構造を持つ構造層3と、光学基板1と微細凹凸構造3との間に設けられた中間層2と、を有する。なお、上記微細凹凸構造は、空間充填率が膜厚方向に変化(すなわち、実質的な屈折率が膜厚方向に変化)する。
構造層3は、ナノインプリント法によって形成される。ナノインプリント法は、製造方法により熱ナノインプリント、光ナノインプリント、室温ナノインプリントに大別されるが、本発明ではどの方法を用いてもよい。ただし、膜厚方向に均一に成型するために熱ナノインプリントを用いることがより好ましい。また、構造層3に用いる材料は特に限定しないが、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、低融点ガラス等を用いることができる。また、室温ナノインプリントではスピンオングラス(SOG)や水素シルセスキオキサンポリマー(HSQ)等のゾル・ゲル系の材料を用いてもよい。さらに、波長400〜700nmの光に対する透過率や成型性を考慮すると、構造層3の材料の屈折率naは1.38以上1.62以下が好ましい。
構造層のピッチは、100nm以上400nm以下が好ましく、180nm以上300nm以下がさらに好ましい。ピッチが400nm以上になると、使用帯域(ここでは、400〜700nm)の光で回折光が発生してしまう。また、ピッチPと構造層の物理膜厚Dの比D/Pは1.2を超えると成型性が低下し、構造層の物理膜厚Dが増加するとそれに伴って構造由来の散乱が増加する。一方、構造層の物理膜厚が180nm未満では、反射率の角度特性や波長特性が低下する。そのため、構造層の物理膜厚は180nm以上260nm以下が好ましく、210nm以上260nm以下がさらに好ましい。
また、グレーデッド部2の微細凹凸構造は光入射側から基板側に向かって空間充填率が連続的に増加する構造を持つ。構造層3の実質的な屈折率neffは、空間充填率(FF)を用いて下記の式(1)で求められる。
構造層3の微細凹凸構造は、膜厚方向に空間充填率が連続的に増加するため、実質的な屈折率neffも光入射側から連続的に増加する。そのため、通常屈折率差を有する界面で発生する反射波が発生しずらく、空気から入射する光に対して高い反射防止効果を得ることができる。
ここで、成型性や構造の強度を考慮すると、微細凹凸構造の先端は尖った形状(図2(a))でないほうが好ましく、平面を持つ形状(図2(b))や角がなく丸みを帯びた形状(図2(c)、図2(d))であることが好ましい。成型性や強度を考慮すると、先端の空間充填率(FF)は3%以上であることが好ましい。
一方、先端の空間充填率が大きくなると、空気との界面で屈折率差が大きくことによって界面で反射波が発生しやすくなるため、反射防止性能が低下する。反射防止性能を得るためには、先端の空間充填率は10%以下であることが好ましく、7%以下であることがさらに好ましい。以上から、先端の空間充填率は3%以上10%以下が好ましく、さらに好ましくは3%以上7%以下である。ただし、先端の充填率は、丸みを帯びた場合にであっても、近似的に丸みがない構造(図2(c)の破線の構造)とみなして算出するものとする。
また、微細凹凸構造の形状が円錐台や多角錐台のとき、高さd(nm)における充填率は下記の式から求められる。
ここで、D(nm)は構造層3の物理膜厚、FF(MAX)とFF(min)はそれぞれ充填率の最大値および最小値である。
なお、実際に構造層3をナノインプリント法で成型する際には、構造層3の膜厚は面内でバラつきを持ってもよい。また、構造3の下端部、つまり中間層2との界面付近に構造が転写されない層(充填率が100%の層)が一部残存してもよい。
一方、中間層2は、光学基板1上に形成された単層の薄膜層で、構造層3と光学基板1の界面で発生する反射波を抑制する役割を担い、その屈折率は構造層3を構成する樹脂材料の屈折率naや光学基板1の屈折率nsと異なる。樹脂材料の屈折率naが1.38以上1.62以下、光学基板1の屈折率nsが1.65以上1.90以下のとき、中間層2は屈折率が1.60以上1.70以下、物理膜厚20nm以上58nm以下を満たすことが好ましい。
中間層2の製法は特に限定されず、液相法や真空蒸着法、スパッタ法などの任意のプロセスを選定することができる。ただし、より緻密な膜を形成するためには、ドライプロセスのほうが好ましく、スパッタ法がより好ましい。
中間層2の各層の材料は、金属酸化物や金属フッ化物の単体やそれらの化合物を用いることができる。ただし、光学基板10の材質によっては、大気に晒されることで表面に成分が溶出して曇りや着色(「ヤケ」と呼ばれる)が生じる場合があるため、これを防止するため、基板上に形成される層は、AlやSiONを用いることが好ましい。
反射防止膜10を形成する光学素子は、例えば、レンズ、プリズム、フライアイインテグレータ等を含む。また、この光学素子を有する光学系は、例えば、撮像光学系、走査光学系、投射光学系を含み、カメラ、ビデオカメラ、双眼鏡、複写機、プリンター、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ、天体望遠鏡、顕微鏡等の光学機器に使用することができる。
なお、このような光学機器において、本発明の反射防止膜を形成された光学系が十分な透過率、およびゴースト・フレア抑制効果を得るためには、入射角0〜50°の光光に対して平均反射率が0.1%以下であることが必要であり、0.09%以下であることがさらに好ましい。
以下、具体的な計算例をもとに、本発明の反射防止膜について説明する。なお、以下の計算例では、構造層3の屈折率は上記(1)から得られる屈折率を持つ膜として扱うものとする。
[実施例1]
実施例1の反射防止膜は屈折率が1.78の光学基板1上に、屈折率が1.61、物理膜厚が56nmの中間層2、その上に微細凹凸構造が規則的に配列した構造層3を持つ。構造層3は屈折率が1.49の樹脂から形成されており、充填率FFは最も基板側の100%から光入射部で6.0%まで変化しており、物理膜厚は223nmである。
図3に実施例1の反射防止膜の膜厚方向(物理膜厚/nm)に対する屈折率を示す。さらに、図4に波長400〜700nmの波長に対する反射率特性を示す。なお、図4中の0deg、10deg・・・は、入射角度を表す。図4り、本実施例の反射防止膜は、入射角度が0〜40度のとき、400〜700nm全域で反射率0.2%以下、入射角が50度のとき、0.7%以下の優れた特性を示すことが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmでの平均反射率は、0.089%であった。
[比較例1]
比較例1として、光入射部の充填率が12%の反射防止膜について述べる。それ以外の構成(構造層3、中間層2の材料、物理膜厚)は実施例1と同様である。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図16に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図17に示す。図17より本比較例の反射防止膜は、入射角0〜40度のとき、400〜700nmで最大反射率0.3%程度と実施例1に対して低入射角領域で反射率が低下することが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmの平均反射率は、0.178%となり0.1%以下を満たさない。これより、十分な反射防止効果を得るためには、光入射部の充填率は10%以下を満たすことが必要である。
[比較例2]
比較例2として、構造層3の物理膜厚が175nmの反射防止膜について述べる。それ以外の構成(構造層3、中間層2の材料、物理膜厚)は実施例1と同様である。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図19に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図17に示す。図19より本比較例の反射防止膜は、入射角0〜40度のとき、400〜700nmで最大反射率0.4%程度、50度のとき、1.0%程度と実施例に対して低下することが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmの平均反射率は、0.170%となり0.1%以下を満たさない。これより、十分な反射防止効果を得るためには、構造層3の物理膜厚が180nm以上を満たすことが必要である。
[実施例2]
実施例2の反射防止膜は屈折率が1.70の光学基板1上に、屈折率が1.62、物理膜厚が43nmの中間層2、その上に微細凹凸構造が規則的に配列した構造層3を持つ。構造層3は屈折率が1.59の樹脂から形成されており、充填率FFは最も基板側の100%から光入射部で5.3%まで変化しており、物理膜厚は255nmである。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図5に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図6に示す。図6より、本実施例の反射防止膜は、入射角度が0〜40度のとき、400〜700nm全域で反射率0.2%以下、入射角が50度のとき、0.7%以下の優れた特性を示すことが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmでの平均反射率は、0.079%であった。
[実施例3]
実施例3の反射防止膜は屈折率が1.81の光学基板1上に、屈折率が1.68、物理膜厚が51nmの中間層2、その上に微細凹凸構造が規則的に配列した構造層3を持つ。構造層3は屈折率が1.60の樹脂から形成されており、充填率FFは最も基板側の100%から光入射部で5.0%まで変化しており、物理膜厚は243nmである。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図7に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図8に示す。図8より、本実施例の反射防止膜は、入射角度が0〜40度のとき、400〜700nm全域で反射率0.2%以下、入射角が50度のとき、0.7%以下の優れた特性を示すことが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmでの平均反射率は、0.091%であった。
[実施例4]
実施例4の反射防止膜は屈折率が1.89の光学基板1上に、屈折率が1.68、物理膜厚が57nmの中間層2、その上に微細凹凸構造が規則的に配列した構造層3を持つ。構造層3は屈折率が1.53の樹脂から形成されており、充填率FFは最も基板側の100%から光入射部で5.0%まで変化しており、物理膜厚は222nmである。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図9に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図10に示す。図10より、本実施例の反射防止膜は、入射角度が0〜40度のとき、400〜700nm全域で反射率0.2%以下、入射角が50度のとき、0.7%以下の優れた特性を示すことが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmでの平均反射率は、0.097%であった。
[実施例5]
実施例5の反射防止膜は、光学基板1の屈折率、中間層2の屈折率、構造層3を形成する樹脂の屈折率はいずれも実施例1と同様である。ただし、微細凹凸構造が、円錐台を正方配列させた構造である。充填率が79%以上の領域では、微細構造が隣の微細構造と重なり合って形成されている。そのため、構造層3の中間層側では膜厚に対する屈折率変化が(2)式で与えられるよりも小さくなっている。なお、中間層2の物理膜厚は57nm、構造層3の物理膜厚は224nm、そのうち一部の構造が隣合う微細構造と共有されている高さ(物理膜厚)は、40nmである。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図11に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図12に示す。図12より、本実施例の反射防止膜は、入射角度が0〜40度のとき、400〜700nm全域で反射率0.2%以下、入射角が50度のとき、0.7%以下の優れた特性を示すことが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmでの平均反射率は、0.086%であった。実施例5と実施例1との比較から、一部の構造が隣合う微細構造と共有されていても、反射防止性能に大きな影響を与えないことがわかる。
[実施例6]
実施例6の反射防止膜は、光学基板1の屈折率、中間層2の屈折率および物理膜厚は実いずれも実施例1と同様である。ただし、構造層を形成する樹脂の屈折率が1.58と実施例1より高くなっている。ただし、構造層の充填率を調整することで、膜厚に対する屈折率変化は実施例1の構造層とほぼ等価である。
実施例1と同様、反射防止膜の膜厚方向に対する屈折率を図13に、波長400〜700nmに対する反射率特性を図14に示す。図14より、本実施例の反射防止膜は、入射角度が0〜40度のとき、400〜700nm全域で反射率0.2%以下、入射角が50度のとき、0.7%以下の優れた特性を示すことが分かる。なお、0〜50度の入射角度に対する400〜700nmでの平均反射率は、0.094%であった。実施例6と実施例1との比較から、構造層2の膜厚や膜厚に対する屈折率変化が同等であれば、樹脂の屈折率は反射防止性能に大きな影響を与えないことがわかる。
ここで、実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例2の反射防止膜の構成を表1に示す。
[実施例7]
図15は、実施例7の光学機器の概略図である。図15において、101はデジタルカメラ、102は本発明の反射防止膜が形成された光学素子を用いて構成された撮像光学系である。撮像光学系102は、複数のレンズから構成されており、これらのレンズ面のうち少なくとも1面に本発明の反射防止膜が形成されている。本実施例では、光学機器の1例としてデジタルカメラを取り上げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、双眼鏡や画像投射装置等その他の光学機器に用いてもよい。
以上、本発明の好ましい実施携帯について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1:光学基板
2:中間層
3:構造層
10:本発明の反射防止膜
101:本発明の光学機器(デジタルカメラ)
102:本発明の光学系

Claims (11)

  1. 入射乃至射出する光線の表面反射を低減するための反射防止膜であって、
    光学基板と
    規則的に配列された凹凸構造を持つ構造層と
    該構造層と該光学基板との間に形成された中間層からなり
    該構造層は光入射側から基板側へ膜厚方向に空間充填率が増加する樹脂成型物からなり
    550nmの波長に対する該樹脂成型物を形成する樹脂材料の屈折率は1.38以上1.62以下であって
    該中間層は、該構造層と該光学基板とは異なる屈折率の材料からなる物理膜厚が20nm以上58nm以下の誘電体薄膜層からなることを特徴とする反射防止膜
    であることを特徴とする反射防止膜。
  2. 550nmの波長に対する前記樹脂成型物を形成する樹脂材料の屈折率は1.48以上1.62以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 前記中間層は物理膜厚42nm以上58nm以下の誘電体薄膜層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。
  4. 前記凹凸構造は、ピッチが180nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  5. 前記構造層の物理膜厚は180nm以上260nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  6. 550nmの波長に対する前記光学基板の屈折率は1.65以上1.90以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  7. 550nmの波長に対する前記中間層の屈折率は1.58以下1.70であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  8. 前記中間層はAlないしSiONからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の反射防止膜。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の反射防止膜を有することを特徴とする光学素子。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子を少なくとも1つ以上用いたことを特徴とする光学系。
  11. 請求項10に記載の光学系を用いたことを特徴とする光学機器。
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