本発明は、圃場内を走行し、走行車体に走行した作業装置で対地作業を行う作業車両に関する。
従来の作業車両には、作業開始位置と作業終了位置の位置情報を、作業装置が入切されたときに自動で取得し、自動で取得した作業開始位置と作業終了位置から基準線を作成し、この基準線に沿ってハンドルを自動操舵し、機体を直進走行させる自動操舵装置を備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
このような従来の作業車両は、作業装置が入切された位置を作業開始位置及び作業終了位置として取得することができるので、作業開始位置及び作業終了位置を取得する操作が必要なく、操作性がよいという利点がある。
しかしながら、誤操作により作業装置の入または切が行われると、本来作業開始位置、または作業終了位置を取得すべき位置とは異なる位置で作業開始位置、または作業終了位置が取得されてしまうことがある。このときは、基準線を別の作業条で取り直す必要があり、その間は自動操舵装置が使用できず、精度の高い作業走行が行えない問題がある。
また、作業装置が入切される位置を作業開始位置、または作業終了位置として取得するには、作業装置の入切を検知する検知部材が必要になるので、機体を構成する部品数が増大する問題がある。
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、直進走行の基準位置が誤操作で取得されることを防止できると共に、部品数の増大を抑えることができる作業車両を提供することを目的とする。
第1の本発明は、車体(2)へ取付けられた作業装置(4,62C,63)と、
前記車体(2)を操舵する操舵部材(35)と、
前記車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(200)と、
前記車体(2)を直進させるときに利用される基準位置情報を取得するためのユーザ指示を受付けるユーザ指示部材(207)と、
前記車体(2)を直進させるように前記操舵部材(35)を操作する直進装置(205)と、
前記基準位置情報に基づき、前記直進装置(205)に前記操舵部材(35)を操作させるための自動直進制御を実行する制御装置(100)と、
を備え、
前記制御装置(100)は、前記基準位置情報に基づき、直進基準線(R)、および前記直進基準線(R)と平行な単数または複数の直進目標線(T)を算出し、無線通信を利用して、前記車体(2)へ載置された外部情報端末(1000)に前記直進基準線(R)および前記直進目標線(T)を表示することができることを特徴とする作業車両である。
第2の本発明は、前記基準位置情報は、前記直進基準線(R)が始まる第1基準点(A)に対応する第1基準位置情報と、前記直進基準線(R)が終わる第2基準点(B)に対応する第2基準位置情報と、であり、
前記第1基準位置情報が取得されると、前記車体(2)の走行軌跡(L)が前記外部情報端末(1000)に表示され、
前記第2基準位置情報が取得されると、前記直進目標線(T)が前記外部情報端末(1000)に表示されることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
第3の本発明は、作業装置(63)へ伝達される動力をオンオフする作業クラッチ(66)と、
前記作業装置(63)へ伝達される前記動力のオンオフ状態を検出する作業クラッチセンサ(209)と、
を備え、
前記走行軌跡(L)は、前記作業装置(63)へ伝達される前記動力のオン状態が前記作業クラッチセンサ(209)により検出されているときに、前記外部情報端末(1000)に表示されることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
第4の本発明は、前記制御装置(100)は、前記直進目標線(T)を算出するときに、作業装置(4)に関する作業装置情報を加味することを特徴とする第1から第3の何れかの本発明の作業車両である。
第5の本発明は、前記外部情報端末(1000)には、前記直進基準線(R)および前記直進目標線(T)を表示するための走行マッププログラム、圃場の深度を表示するための圃場深度マッププログラム、および前記圃場に散布される資材の散布量を表示するための資材散布量マッププログラムの内から所定のプログラムを選択することができる管理アプリケーションがインストールされており、選択された所定の前記プログラムに応じたマップが表示されることを特徴とする第1から第4の何れかの本発明の作業車両である。
第6の本発明は、前記制御装置(100)は、前記直進装置(205)による前記操舵部材(35)の操作に関する複数の操舵部材操作モードの内から選択された所定の前記操舵部材操作モードに応じた前記自動直進制御を実行し、
前記操舵部材操作モードの選択は、ユーザ指示に応じて手動で行われる、または作業装置(62C)の動作に関する複数の作業装置動作モードの内から選択された所定の前記作業装置動作モードに連動して自動で行われることを特徴とする第1から第5の何れかの本発明の作業車両である。
第7の本発明は、前記直進装置(205)は、入力パルス信号に応じたモータ動作量で動作する操舵ステップモータ(206)を有し、
前記制御装置(100)は、前記モータ動作量の前記入力パルス信号に対するずれが所定レベルを超えているときに、前記直進装置(205)を停止させるための制御を実行することを特徴とする第1から第6の何れかの本発明の作業車両である。
第1の本発明により、基準位置情報に基づき、直進基準線(R)、および直進基準線(R)と平行な単数または複数の直進目標線(T)を算出し、無線通信を利用して、車体(2)へ載置された外部情報端末(1000)に直進基準線(R)および直進目標線(T)を表示することができるので、直進走行の基準位置が誤操作で取得されることを防止できると共に、部品数の増大を抑えることが可能である。
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、第1基準位置情報が取得されると、車体(2)の走行軌跡(L)が外部情報端末(1000)に表示され、第2基準位置情報が取得されると、直進目標線(T)が外部情報端末(1000)に表示されるので、作業の便利化を促進することが可能である。
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、走行軌跡(L)は、作業装置(63)へ伝達される動力のオン状態が作業クラッチセンサ(209)により検出されているときに、外部情報端末(1000)に表示されるので、作業の適正化を促進することが可能である。
第4の本発明により、第1から第3の何れかの本発明の効果に加えて、直進目標線(T)を算出するときに、作業装置(4)に関する作業装置情報を加味するので、表示情報の適正化を促進することが可能である。
第5の本発明により、第1から第4の何れかの本発明の効果に加えて、選択された所定のプログラムに応じたマップが表示されるので、表示情報の充実化を促進することが可能である。
第6の本発明により、第1から第5の何れかの本発明の効果に加えて、操舵部材操作モードの選択は、ユーザ指示に応じて手動で行われる、または作業装置(62C)の動作に関する複数の作業装置動作モードの内から選択された所定の作業装置動作モードに連動して自動で行われるので、作業の高精度化を促進することが可能である。
第7の本発明により、第1から第6の何れかの本発明の効果に加えて、モータ動作量の入力パルス信号に対するずれが所定レベルを超えているときに、直進装置(205)を停止させるための制御を実行するので、作業の安全化を促進することが可能である。
本発明における実施の形態の苗移植機の側面図
本発明における実施の形態の苗移植機の平面図
本発明における実施の形態の走行車体の要部平面図
本発明における実施の形態のハンドルを含む操縦部の要部背面図
(a)本発明における実施の形態のハンドルの自動操舵装置の構成を示す要部背面図、(b)本発明における実施の形態のハンドルの自動操舵装置の構成を示す要部側面図
本発明における実施の形態の各種制御に関連する部材を示すブロック図
本発明における実施の形態の取得された位置座標を機体の傾斜等に合わせて補正する制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の自動操舵装置による自動直進制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の自動直進設定部材の操作による第1及び第2基準位置の取得と、自動直進制御の入切を示すフローチャート
本発明における実施の形態の第1基準位置及び第2基準位置の消去操作を示すフローチャート
本発明における実施の形態の第1基準位置取得後のハンドル操作により第1基準位置を消去する制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の第1基準位置、第2基準位置、基準線を示すと共に、目標位置を示す作業の模式図
本発明における実施の形態の報知装置の作動と、報知装置の作動後に自動操舵装置の停止操作が行われないときの自動減速制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の圃場の枕地走行により第1基準位置、第2基準位置及び基準線を消去する制御を示すフローチャート
(a)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その五)
本発明における実施の形態の苗移植機の自動直進走行の説明図
本発明における別の実施の形態(その一)の苗移植機の自動直進走行の説明図
本発明における実施の形態の苗移植機の操舵アクチュエータ近傍の部分正面図
(a)本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の平面図、(b)本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の側面図
(a)本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の平面図、(b)本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の側面図
本発明における別の実施の形態(その四)の苗移植機の側面図
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
はじめに、図1〜14を参照しながら、本実施の形態の苗移植機の基本的な構成および動作について説明する。
図1は、本発明における実施の形態の苗移植機の側面図である。図2は、本発明における実施の形態の苗移植機の平面図である。図3は、本発明における実施の形態の走行車体2の要部平面図である。図4は、本発明における実施の形態のハンドル35を含む操縦部の要部背面図である。図5(a)は本発明における実施の形態のハンドル35の自動操舵装置205の構成を示す要部背面図であり、図5(b)は本発明における実施の形態のハンドル35の自動操舵装置205の構成を示す要部側面図である。図6は、本発明における実施の形態の各種制御に関連する部材を示すブロック図である。図7は、本発明における実施の形態の取得された位置座標を機体の傾斜等に合わせて補正する制御を示すフローチャートである。図8は、本発明における実施の形態の自動操舵装置205による自動直進制御を示すフローチャートである。図9は、本発明における実施の形態の自動直進設定部材207の操作による第1及び第2基準位置A及びBの取得と、自動直進制御の入切を示すフローチャートである。図10は、本発明における実施の形態の第1基準位置A及び第2基準位置Bの消去操作を示すフローチャートである。図11は、本発明における実施の形態の第1基準位置取得後のハンドル操作により第1基準位置Aを消去する制御を示すフローチャートである。図12は、本発明における実施の形態の第1基準位置A、第2基準位置B、基準線Rを示すと共に、目標位置を示す作業の模式図である。図13は、本発明における実施の形態の報知装置208の作動と、報知装置208の作動後に自動操舵装置205の停止操作が行われないときの自動減速制御を示すフローチャートである。図14は、本発明における実施の形態の圃場の枕地走行により第1基準位置A、第2基準位置B及び基準線Rを消去する制御を示すフローチャートである。
基準線は、意味がより分かりやすいように直進基準線とも呼ばれる。そして、第1基準位置は第1基準点とも呼ばれ、第2基準位置は第2基準点とも呼ばれる。
本実施の形態の苗移植機が、本発明の作業車両の一例である。
走行車体2が、本発明の車体の一例である。作業装置4、センターフロート62Cおよび整地ロータ63の何れもが、本発明の作業装置の一例である。ハンドル35が、本発明の操舵部材の一例である。GPSアンテナ200が、本発明の位置情報取得装置の一例である。自動直進設定部材207が、本発明のユーザ指示部材の一例である。自動操舵装置205が、本発明の直進装置の一例である。制御装置100が、本発明の制御装置の一例である。タブレット端末1000が、本発明の外部情報端末の一例である。
整地クラッチ66が、本発明の作業クラッチの一例である。作業検知センサ209が、本発明の作業クラッチセンサの一例である。
操舵アクチュエータ206が、本発明の操舵ステップモータの一例である。
本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
本発明の作業機の一実施例として図2に開示されている乗用型の田植機は、8条植えの構成であるが、本構成を異なる植付条数の田植機に用いても構わない。本件田植機は、図1及び図2で示すとおり、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して、苗タンク53から苗を取って複数の苗植付装置55…で圃場に苗を植え付ける苗植付部や、種子を供給する播種装置等、あるいは圃場を耕耘するロータリ等の作業装置4を昇降可能に設け、該走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分を配置している。
まず、走行車体2を構成するメインフレーム15について説明する。
図3に示すとおり、該メインフレーム15は、機体前部の前側梁フレーム16と、機体後部の後側梁フレーム17と、該前側梁フレーム16と後側梁フレーム17の前後間に中央梁フレーム18を設け、該前側梁フレーム16と中央梁フレーム18を左右一対の前側連結フレーム19,19で連結すると共に、該中央梁フレーム18と後側梁フレーム17を左右一対の後側連結フレーム20,20で連結する。
なお、前側梁フレーム16と中央梁フレーム18と後側梁フレーム17は左右方向を長手方向とし、前側連結フレーム19と後側連結フレーム20は前後方向を長手方向とする。
該左右の前側連結フレーム19,19と後側連結フレーム20,20の左右間隔は略同じ間隔とする。また、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の左右長さは前側梁フレーム16の左右長さよりも長く構成する。なお、左右の前側連結フレーム19,19と後側連結フレーム20,20は中央梁フレーム18の下部で溶接するものであるので、左右の前側連結フレーム19,19と後側連結フレーム20,20を一体の金属製の角材で構成してもよい。
前記前側梁フレーム16と中央梁フレーム18と左右の前側連結フレーム19,19が形成する空間部には、左右の前輪10,10や後輪11,11、作業装置4等に駆動力を伝動するミッションケース13と、エンジン30から供給される駆動力を該ミッションケース13に出力する油圧式の無段変速装置(HST)14を設ける。
そして、前記後側梁フレーム17の後部に、左右の持上フレーム21,21を左右の後側連結フレーム20,20の左右間隔よりも狭い間隔で且つ後方に突出させて設け、該左右の持上フレーム21,21の下部に後部支持フレーム22を装着する。
該後部支持フレーム22の左右両側には、走行車体2の左右の後輪11,11を各々駆動させる後輪伝動ケース11a,11aを設け、該後部支持フレーム22の上部には、前記昇降リンク機構3を支持する左右のリンクフレーム23,23を上方に向けて設ける。
前記昇降リンク機構3は、左右のリンクフレーム23,23の下部側で且つ左右間に左右一対のロワリンクアーム24,24を設け、該左右のロワリンクアーム24,24の左右間に昇降シリンダ25を設けると共に、該昇降シリンダ25の上方にアッパリンクアーム26を設けて構成する。なお、該左右のロワリンクアーム24,24と昇降シリンダ25とアッパリンクアーム26の走行車体2とは反対側の端部は、作業装置4の機体前側に装着する。
さらに、前記中央梁フレーム18の左右両端部の前方と左右の前側連結フレーム19,19の左右外側に、走行車体2の左右の前輪10,10に各々伝動する前側伝動ケース10a,10aを各々設けると共に、該中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の左右端部を左右の延長フレーム27,27で各々連結する。該左右の延長フレーム27,27は前後方向を長手方向とする。
また、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17と後部支持フレーム22の下部に前後方向の中央連結フレーム28を設け、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の前後間で且つ左右の後部連結フレーム20,20の左右間にエンジン30を支持する前後の支持プレート29,29を設ける。
該前後の支持プレート29,29には、中央連結フレーム28の左右両側でエンジン30を受ける受けプレート29a…が各々設けられている。
そして、前記前後の支持プレート29,29の左右両側に、後側梁フレーム17の下方を通過して後方に突出する左右の補助フレーム31,31を設け、該左右の補助フレーム31,31の後部を左右方向の後部補助フレーム32で連結する。なお、該左右の補助フレーム31,31の後端部は、前記左右の後輪伝動ケース11a,11aに連結する。
上記により、メインフレーム15が構成される。該メインフレーム15のうち、前側梁フレーム16から後側梁フレーム17までの前後幅、及び左右の前側連結フレーム19,19及び後側連結フレーム20,20の左右幅を、作業者が搭乗するフロアステップ33で覆う。該フロアテップ33は一体形成して強度を向上させたり部品数を減らしたりするものや、前側と後側、左側と右側で各々分割可能に構成し、着脱を容易にするものを用いる。
上記では、図3に示すとおり、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の左右両側端部の周辺と、左右の延長フレーム27,27がフロアステップ33に覆われず、露出する。このとき、前記フロアステップ33を拡大してメインフレーム15の全体を覆う構成としてもよいが、大きさや植付作業条数の異なる機体間でのフロアステップ33の共用化を図るべく、フロアステップ33の左右両側に、左右の延長ステップ34,34を各々配置する構成とする。
上記構成により、メインフレーム15は複数のフレーム構成体を連結して構成しているので、従来に比べて強度の向上が図られている。
また、エンジン30を搭載する前後の支持プレート29,29の下部に中央連結フレーム28を配置すると共に、前後の支持プレート29,29を左右の後部補助フレーム32,32と連結したことにより、重量物であるエンジン30を強固に保持することができる。
前記走行車体2の前側には、図1、図2に示すとおり、上部に機体を操舵するハンドル35、無段変速装置14や作業装置4を操作する変速操作レバー36、走行車体2の走行伝動を切り替える副変速切替装置(図示省略)を操作する副変速操作レバー37及び機体各部の操作を行う操縦パネル38を上部に備えるボンネット39を設ける。該ボンネット39の前側には開閉可能なフロントカバー40を設け、該フロントカバー40の内部には、燃料タンクやバッテリ、前記ハンドル35の操舵に前記左右の前輪10,10、及び左右の前輪伝動ケース10a,10aの下部側を回動させる連動機構(図示省略)を内装する。
また、前記フロントカバー40の前方には、作業装置4の作業状態や作業時に消費される作業資材の減少、及び後述する自動操舵装置205の作動、非作動等の各種情報をLED等の点灯で表示するセンターマスコット70を設ける。該センターマスコット70は、側面視において、機体下部側で且つ機体後側に配置される作業表示部71と、機体上部側で且つ機体前側に配置される自動直進表示部72で構成される。
そして、前記ボンネット39よりも機体後側で、且つ前記エンジン30の上方に、エンジン30の上方及び側方を覆うエンジンカバー30aを設け、該エンジンカバー30aの上部に作業者が着座する作業座席41を設ける。
さらに、該作業座席41の後側で、具体的にはメインフレーム15の後端側に前記施肥装置5を積載する。該施肥装置5の駆動力は、左右の後輪伝動ケース11aの左右一側から施肥装置5に向かって配置される施肥伝動機構5aによって伝動される。
前記ミッションケース13の前側には、前記左右の前輪伝動ケース10a,10aに伝動する前側伝動シャフト(図示省略)と、ミッションケース13の後部には、前記左右の後輪伝動ケース11a,11aに伝動する左右のドライブシャフト42,42を設ける。該左右のドライブシャフト42,42よりも伝動方向上手側には、左右のドライブシャフト42,42への伝動を入切するサイドクラッチ機構43,43が配置されており、前記ハンドル35を切操作して走行車体2を旋回操作させると、旋回内側に位置するサイドクラッチ機構43が切状態になり、旋回内側の後輪11への伝動を停止させる構成としている。
図3に示すとおり、前記ミッションケース13の後側の左右中央付近に左右のクラッチ入切軸44,44を上下方向に設け、該左右のクラッチ入切軸44,44の上部に機体外側に向かうクラッチ入切アーム45,45を各々設ける。そして、前記操縦座席41の前側下部で且つ左右一側には、左右のサイドクラッチ機構43,43を入切操作するサイドクラッチペダル43a,43aを設ける。
また、図1、図2に示すとおり、作業装置4の下方には、圃場面に接地して滑走するセンターフロート62Cと左右のサイドフロート62L,62Rを設けると共に、該センターフロート62Cと左右のサイドフロート62L,62Rよりも機体前側に、圃場面の凹凸を整地する整地ロータ63を設ける。該整地ロータ63への駆動力は、左右一側の後輪伝動ケース11aに設ける整地伝動シャフト65により伝動される。また、左右一側の後輪伝動ケース11aには、整地ロータ63への伝動を入切する整地クラッチ66を設ける。
前記センターフロート62Cには、該センターフロート62Cの回動角度を検知する回動ポテンショメータ64を設け、該回動ポテンショメータ64の回動角度が所定角度以上変化すると圃場の深さが変化したと判断し、制御装置100が前記昇降シリンダ25を伸縮させて昇降リンク機構3を上下回動させ、作業装置4の上下高さ、即ち作業位置を圃場の深さに対応させる構成とする。
圃場内で前記作業装置4を用いて苗の植付や種子の播種作業、あるいは苗の生育後の追肥や除草等の作業を行うときは、圃場の一側から他側に向かって走行車体2を直進走行させることが一般的である。しかしながら、走行車体2は、圃場の耕盤の凹凸や表土の粘性により車輪が直進方向からずれた方向を向くと、次第にずれた方向に移動してしまうことがある。また、作業者の操縦技術によっては、走行車体2を直進方向に合わせられず、直進からずれた方向に移動させてしまうことがある。
これにより、苗の植付や播種、除草や追肥等の作業軌跡が斜め方向になり、本来苗の植付や播種が可能な個所が空きスペースとなり、後から作業者が手作業で植付や播種を行う必要が生じ、作業者に余分な労力を生じさせることや、苗の植付条間や播種条間が作業装置4の条間よりも狭くなり、風通しが悪くなって病虫害が発生することがある。あるいは、除草作業や追肥作業等の、植付や播種の後工程の作業を行う際、苗を踏み潰してしまい、収量の低下を招くことや、苗を踏み潰さないように操縦することにより、作業能率を低下させる問題が生じることがある。
これら問題を解決するには、作業者の手によらず、走行車体2を自動操舵させ、直進走行姿勢を維持させる、いわゆる自動直進システムを搭載することが考えられる。
まず、図1、図2に示すとおり、走行車体2に、GPS(GNSS)アンテナ200を装着するアンテナフレーム201を設ける。該アンテナフレーム201は、前記メインフレーム15の前側に設ける左右のアンテナステー202,202に左右の基部を装着する、正面視で門型の前側フレーム201aと、該前側フレーム201aの左右中央部から機体後方に向かい、走行車体2の後側の左右中央部に向かう後側フレーム201bで構成する。なお、門型の該前側フレーム201aの空間部の後方には、前記ボンネット39や操縦座席41が位置するものとする。
また、前記アンテナフレーム201の上下高さは、機体中最も高くする。作業者がフロアステップ33上に立った状態で頭をぶつけることを防止しつつ、且つ受信精度を向上させるべく、アンテナフレーム201の上端部は、地表から2.5〜3.5m程度に位置するものとする。
これにより、作業者はフロアステップ33上を移動しやすく、作業能率が向上すると共に、GPSアンテナ200を地表から上方に離間させることができるので、受信精度の向上が図られる。
該前側フレーム201aと後側フレーム201bの接続部付近には、前記GPSアンテナ200を装着する。なお、前側フレーム201aと後側フレーム201bの接続部は、ボンネット39と操縦座席41の前後間附近であり、前記走行車体2の前後方向の中央部付近である。
上記により、GPSアンテナ200の取付位置を機体の前後及び左右方向の中央部付近になるので、取得される機体の座標が実際の機体の位置から離れたものとなりにくく、自動直進システムによる直進走行位置の設定が適切になり、作業精度が向上する。
また、前側フレーム201aの空間部の後方に操縦座席41が位置することにより、アンテナフレーム201が作業者の視界を遮ることを防止できるので、視認性が向上し、直進走行前の位置合わせが正確になると共に、機体前方の圃場の状態や障害物を早めに見つけられるので、作業者による手動操作に切り替えて安全且つ作業位置のずれを抑えることができる。
なお、GPSアンテナ200は、単独測位方式、DGPS(相対測位)方式、RTK(干渉測位)方式等のうち、作業をする地域に適したものを用いるとよい。
しかしながら、機体の傾斜や振動の影響によりGPSアンテナ200の地上高が変動すると、実際の機体位置と異なる座標位置が測定され、受信精度が低下すると共に、直進からずれた方向に機体が走行してしまう問題が生じる。
これを防止すべく、図6に示すとおり、GPSアンテナ200に加えて、IMU(慣性計測装置)203を設ける。該IMU203は、走行車体2が傾斜姿勢になるときの地表からGPSアンテナ200までの高さと、傾斜していないときの地表からGPSアンテナ200までの高さの差に基づき、GPSアンテナ200が取得した位置座標を制御装置100に修正させるものである。
なお、地表からGPSアンテナ200までの高さは、前記走行車体2の傾斜等の挙動を、IMU203に内蔵される三軸の加速度センサと角速度センサで計測して割り出すものとする。
これに加えて、自動直進システムによる機体の走行方向が正しいかどうかをより確実に制御装置100に判定させるべく、方位センサ204を設ける。
このときの位置座標の補正については、図7のS1からS5に示すとおりである。
これにより、機体の進路を計測される方位により定めることができるので、直進走行の精度がいっそう向上する。
前記GPSアンテナ200が取得する位置情報は、IMU203と方位センサ204が検出する情報に基づき、制御装置100により補正される。そして、制御装置100は、現在の位置情報と先に取得されている位置情報を比較し、位置情報の相違が許容範囲を超えていると、機体を直進走行位置に戻すべく、左右の前輪10,10を左右方向に操舵させる。
上記の左右の前輪10,10の操舵、あるいはクローラ等の信地旋回を自動化すべく、前記ハンドル35を操舵アクチュエータ206で回動させる自動操舵装置205を設ける。該自動操舵装置205は、図8のS6〜S9に示すとおり、前記制御装置100が算出した現在の位置情報のX座標と、先に取得されている基準となる位置情報のX座標の差異に基づき、操舵アクチュエータ206の作動量が変動されることで、機体を直進走行位置に向かわせるべく、ハンドル35を左右に切ると共に、直進走行位置に来ると操舵アクチュエータ206を停止させてハンドル35の自動操舵を停止させるものである。
なお、操舵アクチュエータ206は、電動や油圧式のモータ、あるいはシリンダで構成する。
上記構成により、算出された位置情報のX座標の差異に合わせてハンドル35が自動的に操舵され、機体を直進走行位置に自動的に合わせることができるので、作業装置4による作業位置が左右方向にずれることが防止され、圃場内に作業が行われない箇所が発生しにくくなる。これにより、作業が行われなかった箇所に、後から人手で作業を行う必要が無くなり、作業者の労力が軽減される。
また、前工程の作業条と現在の作業条の作業位置が重複することを防止できるので、苗、種子や肥料等の作業資材を余分に消費することが防止され、作業コストの低減が図られると共に、作業資材の過剰供給による生育不良の発生が防止される。
なお、耕耘機を装着したトラクタや、苗移植機や播種機は、作業条の圃場端まで走行し、約180度旋回して次の作業条に移動する。旋回走行中に自動直進システムが作動していると、機体が直進走行すべき位置からずれていると判断して操舵アクチェータ206を作動させ、旋回軌跡を乱すおそれがある。したがって、自動直進システムは、機体を旋回させる際にオフにする構成とする必要がある。ハンドル35を旋回操作すると自動直進システムがオフになる構成とすることも考えられるが、圃場の状態等によって機体の進行方向が大幅にずれたり、障害物を回避すべく作業者がハンドル35を旋回操作と同等以上に大きく操作したりした際に自動直進システムがオフになるので、作業者が直進途中で自動操舵システムを再度オンにせねばならず、作業者の手間が増えると共に、自動直進システムがオフになったことに気付かず、作業位置がずれたまま機体が走行し、作業精度が低下する問題が生じる。
また、ハンドル35を旋回から直進に戻す操作で自動直進システムをオンにすることが考えられるが、旋回から直進に戻る際、次の作業条における直進位置に機体を合わせるには、細かいハンドル35の操舵操作を行う必要がある。この操作中に自動操舵システムがオンになっていると、機体が直進走行位置からずれたと制御装置100が判断すると操舵アクチュエータ206が作動してしまい、機体の位置が本来直進走行すべき位置に合わせられなくなる問題がある。
この問題の発生を防止し、機体を適切な方向に直進走行させると共に、適切な区間で作動することが可能な自動直進システムについて、図6及び図8から図11を用いて説明する。
なお、走行車体2の前後進方向の位置座標をY座標とすると共に、走行車体2の前後進方向と直交する方向、即ち左右方向の位置座標をX座標とする。
まず、走行車体2に、自動直進の開始点である圃場の一側と自動直進の終了点である圃場の他側の座標を取得させると共に、自動直進システムを入切する、自動直進設定部材207を設ける。該自動直進設定部材207は、上下方向、左右方向、押込状態と戻り状態など、少なくとも二方向に操作可能な部材を少なくとも一つ装着するか、あるいは二つ以上の操作部材を装着するものとする。
本願では、自動直進設定部材207として、図4に示すとおり、上下方向に操作可能なフィンガアップレバーを装着するが、トグルスイッチやプッシュスイッチ、ジョイスティック等を用いてもよい。
これにより、部品点数の削減が図られると共に、基準位置(第1基準位置A、第2基準位置B)の取得操作と、自動操舵装置205の入切操作を、同じ側の片方の手で自動直進設定部材207を操作すればよいので、操作性が向上する。
図4に示すとおり、該自動直進設定部材207を第1の方向W1、本願では機体上方に向けて操作する(S10およびS11、図9参照)と、操作された位置で前記GPSアンテナ200を利用して位置情報が取得され、IMU203と方位センサ204の検出結果を用いて制御装置100が算出した位置座標が記録される。なお、自動直進設定部材207の第1の方向W1への操作が、基準位置取得部材の操作に該当する。
前記自動直進設定部材207を操作したとき、他の位置座標の記録が無いときは、算出した位置座標を第1基準点Aとして記録し(S12およびS14)、該第1基準点Aが記録されているときは、算出した位置座標を第2基準点Bとして記録する。該第1基準点Aと第2基準点Bが記録されているときに前記自動直進設定部材207が操作された時は、位置座標を記録しない。
なお、圃場内の作業途中で、自動直進が精度よく行えなくなった時等には、第1基準点A及び第2基準点Bを取得し直す必要があるので、図10に示すとおり、このときは前記自動直進設定部材207を所定時間(例:2〜3秒)に亘って第1の方向W1に操作する(S22およびS23)と、記録されている第1基準点A及び第2基準点Bが消去される(S24〜S27)設定とするとよい。あるいは、操作すると第1基準点A及び第2基準点Bが削除される、記録消去用のボタン(図示省略)を設けてもよい。
自動直進システムの直進走行の基準位置となる前記第1基準点A及び第2基準点Bは、距離が近いほどX座標のズレは小さいが、二点間の距離が短ければ、自動直進を用いなくてもおおよそ直進走行は可能である。また、二点間の距離が短くなるときは、作業者が意図せず自動直進設定部材207に触れてしまい、第2基準点Bを取得するという状況が考えられる。
この問題の発生を防止すべく、前記自動直進設定部材207を操作して第2基準点Bを取得する際、第1基準点Aを取得した位置からの距離が所定距離未満、例えば8〜12m未満であるときは、制御装置100は第2基準点Bを削除し、記録させないものとする。その後、再度自動直進設定部材207が操作され、第1基準点Aを取得した位置からの距離が所定距離以上であれば(S13およびS15)、制御装置100は第2基準点を記録させ(S16)、基準線Rを作成する(S17)ものとする。
なお、図11に示すとおり、第1基準点Aを取得した(S28およびS29)状態で、第2基準点Bを取得せずにハンドル35を所定時間内に所定量以上に操作し(S30およびS31)、走行車体2を旋回させたとき、制御装置100は、記録した第1基準点Aを削除する(S32)。その後、前記自動直進設定部材207が第1の方向W1に操作されると、制御装置100は、GPSアンテナ200により取得したその場所の位置座標を、第1基準点Aとして記録し、第1基準点AのY座標と第2基準点BのY座標を結ぶ線が直線状にならなくなることを防止する構成としてもよい。
これにより、圃場の一端と他端の所定位置、例えば、直進走行を終えて走行車体2が旋回を開始する位置と、旋回終了後に作業装置4を下降させて直進走行を開始する位置に第1基準点Aと第2基準点Bを設定することができ、作業装置4を下降させて直進走行する位置で自動直進システムを作動させ、作業位置が進行方向に対して左右方向にズレない、高精度な作業が可能になる。
また、作業者の誤操作により第2基準点Bが実際に設定すべき位置と異なることを防止できるので、次の作業条で第1基準点Aと第2基準点Bを取得し直す必要が無く、自動直進を用いる作業条を増やし、圃場内の作業精度を一層向上させることができる。
なお、圃場に入ってから最初に作業を行う作業条では、所定位置で自動直進設定部材207を第1の方向W1に操作して、上記の第1基準点Aと第2基準点Bを取得する作業が必須になるので、自動直進を用いず、作業者がハンドル35を操作して、機体を直進走行させることになる。
上記のとおり、自動直進設定部材207の操作によって第1基準点Aと第2基準点Bを取得していると、該第1基準点Aと第2基準点Bの各Y座標を結んだ基準線Rが、自動直進の目安となる線となり、走行中の機体の位置座標のX座標が、自動直進の目安となる線のX座標と合致しているか否かを判定し、合致していなければ自動操舵装置205により合致する方向にハンドル35を自動操舵させることで、自動直進走行を実現することができる。
上記の自動直進走行は、第1基準点Aと第2基準点Bが記録されており基準線Rが作成されている(S18)状態で、自動直進設定部材207を第2の方向W2、本願では機体下方に向けて操作することで開始される(S19およびS21)。自動直進設定部材207を第2の方向W2に操作すると、制御装置100は、GPSアンテナ200が取得する位置座標のY座標と基準線RのY座標を比較し、前記操舵アクチュエータ206を作動させてハンドル35を左右方向に回転させ、走行車体2を直進走行すべき位置に移動させる制御を開始する。なお、自動直進設定部材207の第2の方向W2への操作が、入切部材の操作に該当する。
この自動操舵制御は、前記ハンドル35が所定の時間内に走行車体2を旋回させる角度まで操作されるか、前記自動直進設定部材207が第2の方向W2に操作されると終了する(S20)。前記ハンドル35の操舵角度は、ハンドルポテンショメータ35aによって検知するものとする。
なお、第1基準点Aまたは第2基準点BのY座標と一致する場所に走行車体2が到達すると、自動直進制御が終了される構成としてもよい。
上記のとおり、自動直進制御は、ハンドル35を旋回操作するか、圃場端における旋回走行の開始地点付近に到達することで終了される。走行車体2が旋回走行する位置は、圃場端に近い位置であるので、自動直進制御に任せて作業者が操縦以外の作業を行っていると、旋回操作が遅れると予定外の位置に苗の植付が行われると共に、走行車体2が圃場端まで移動してしまい、旋回を行う位置まで後進が必要になり、作業能率が低下する問題が生じる。
なお、図12は、第1基準位置A、第2基準位置B、基準線R、及び目標位置と現在の機体の位置を示す模式図である。
この問題を防止すべく、図6及び図13に示すとおり、前記整地クラッチ66の入(作動)及び切(停止)による整地ロータ63の入切を検知する作業検知センサ209を設け、該作業検知センサ209が整地ロータ63の入(作動)を検知した(S33)とき、制御装置100は、走行車体2の位置座標(X座標及びY座標)である、目標位置座標(終了基準位置)を取得する(S34およびS35)。なお、該目標位置座標は、制御装置100、あるいは制御装置100に付随するメモリ領域に、少なくとも二ヵ所分を同時に保持可能とする。
なお、作業検知センサ209による目標位置座標(終了基準位置)の取得は、整地ロータ63の入切の代わりに、作業装置4の上昇または下降、作業装置4への伝動の入または切、ハンドル35の旋回開始操舵または旋回終了操舵等を条件として行う構成としてもよい。
そして、位置座標を取得した作業条の次の作業条において、前記自動操舵装置205を作動させて走行車体2を自動直進走行させるとき、制御装置100は、GPSアンテナ200が取得する現在位置座標のY座標から、直前の作業条(直近の作業条)で取得した目標位置座標のY座標までの距離を逐次算出する(S36)。このとき、制御装置100は、目標位置座標のX座標を現在位置座標のX座標に補正する構成としてもよい。
そして、現在位置座標から目標位置座標までの距離が所定距離、例えば8〜12mになる報知位置に走行車体2が到達する(S37)と、走行車体2が圃場端に接近しており、前記自動直進設定部材207を第2の方向W2に操作して自動直進制御を終了させる必要があることを作業者に知らせるべく、ブザーやランプ、あるいは画面上に数値や文字を表示する、報知装置208が作動する(S38)構成とする。
なお、該報知装置208に数値や文字を表示するのは、走行車体2に表示パネル(図示省略)を設ける構成や、作業者が持ち込む情報端末(スマートフォン、タブレット等)に情報を送信して表示させる構成が考えられる。
なお、目標位置座標を取得していない作業条においては、走行車体2と目標位置までの距離を算出できないので、作業者は目視で圃場端を確認し、自動直進制御が不要と判断した位置で自動直進設定部材207を操作する必要がある。
現在位置座標から目標位置座標までの距離については、前記左右の後輪11,11への左右のドライブシャフト42,42の回転を検知する後輪回転センサ210,210を設け、前記整地ロータ63を入にした位置から該後輪回転センサ210,210が検知した回転数を元に、制御装置100が移動距離を算出し、該移動距離と整地ロータ63を入にした位置のY座標位置までの距離を算出し、所定距離以内であれば報知装置208を作動させる構成としてもよい。
しかしながら、報知装置208が作動しても、作業者が気付いて自動直進制御を終了させなければ、走行車体2を適切な位置で旋回させることはできない。これに対応すべく、前記報知装置208が作動してから所定距離(例えば、2〜5m)に亘って、自動直進設定部材207が第2の方向W2に操作されることなく走行車体2が前進走行した(S39〜S41)とき、前記制御装置100は、前記無段変速装置14のトラニオン軸14aを回動させ、走行車体2を減速させる(S42)。
あるいは、距離でなく、前記報知装置208が作動してから所定時間(例えば、2〜5秒間)に亘って、自動直進設定部材207が第2の方向W2に操作されることなく走行車体2が前進走行したとき、前記制御装置100は、前記無段変速装置14の出力を低下させ、走行車体2を減速させる。
上記の走行車体2の減速は、前記無段変速装置14のトラニオン軸14aをトラニオンアーム(図示省略)を介して回動させるHSTサーボモータ211を作動させ、該トラニオン軸14aを減速側に回動させることによって行われる。
これにより、圃場端に接近すると走行車体2の走行速度が低下するので、作業者に圃場端の旋回位置が近付いていることを認識させることができ、適切な軌跡で旋回走行が行える。したがって、作業装置4が、圃場の外周の四辺、所謂枕地で重複して対地作業を行い、余分に作業資材(苗、肥料、薬剤等)を消費することが防止される。
また、旋回後に整地ロータ63を入にして整地作業を開始する位置を、旋回前に整地作業を終了した位置に合わせることができるので、整地ロータ63による整地作業が行われない箇所の発生、及び作業装置4による対地作業行われない箇所の発生が防止される。これにより、整地作業が行われなかった箇所について、苗の植付深さが乱れる、肥料の浸透具合が異なる、走行が乱れるといった問題の発生が防止されると共に、対地作業が行われなかった位置について、作業者が手作業で作業を行う必要がなく、作業者の労力が軽減される。
上記の自動減速は、時間経過により走行速度が漸減するものとし、緩やかに減速される制御構成とすると、作業装置4による対地作業精度、及び整地ロータ63の整地精度が低下することや、作業者が揺さぶられることが防止される。
あるいは、自動減速の開始後、一回、または所定時間ごとに複数回、急激な減速を行う制御構成とすると、走行車体2の揺れにより、作業者が圃場端の接近に気付きやすくなる。
また、自動減速制御が行われている所定時間(第2所定時間)内に、前記自動直進設定部材207を操作して自動直進制御を解除する(S43およびS44)と、制御装置100は、その時点の走行速度を維持する構成としてもよい。これにより、作業走行が停止しないので、圃場端での旋回走行に速やかに移行することができ、作業能率の低下が防止される。
あるいは、予め設定されている走行速度、または自動減速が開始された時点での走行速度に変速すべく、制御装置100は、無段変速装置14のHSTサーボモータ211を作動させて、トラニオン軸14aを増速側に回動させる構成としてもよい。
走行速度が自動的に増速されることにより、作業者が変速操作レバー36を操作して走行速度を増速する必要がなくなるので、操作性が向上する。
報知装置208の作動に加えて、上記の走行車体2の自動減速制御により、走行車体2が圃場端、具体的には圃場端付近の旋回位置を認識することが期待されるが、作業者が別の作業に没入している、あるいは作業者が失神する等して、走行速度の自動減速にも気付かない可能性は想定される。
したがって、前記走行車体2の自動減速制御は、前記無段変速装置14が前進、後進のいずれの走行速度も増減させない中立状態になるまで行われる。このとき、前記エンジン30は停止させない。これにより、その場に走行車体2を停止させる(S45)ことができるので、圃場端、所謂畦に機体が接触するまで前進することが防止され、機体の破損や、作業復帰するべく機体を後進させる距離が抑えられる。
圃場端への接近により走行車体2の走行が自動停止したとき、走行車体2の走行速度の増減、及び前後進を操作する変速操作レバー36を中立位置に戻すと、制御装置100は無段変速装置14による走行速度の増減操作を受け付ける状態にする。その上で、前記変速操作レバー36を前進側に操作すると、走行車体2の走行が再開される。当然のことではあるが、前記副変速操作レバー37を中立位置に操作し、駆動力が走行系統に伝動されない状態では、副変速操作レバー37を走行伝動が行われる位置に操作するまで、走行は開始されない。
上記の自動直進制御の基準となる、第1基準点Aと第2基準点B、及び第1基準点Aと第2基準点Bを結ぶ基準線Rは、圃場の一端から他端に向かう直進作業走行、及び圃場の他端から一端に直進作業走行する際に必要である。
しかしながら、圃場の四辺、所謂枕地の作業走行は、直進作業走行であるものの、上記の直進作業走行と異なる進行方向になる作業辺が一辺は存在し、その作業辺では前記基準線Rを用いても、自動直進制御を行うことはできない。
また、圃場の外において、機体を移送用のトラックの荷台等に移動させるときや、納屋などに収納する際に、誤って自動直進設定部材207を第2の方向W2に操作して自動操舵装置205を作動可能な状態にしていると、機体を移動させる際に基準線(R)のX座標と機体のX座標が不一致となり、直進走行位置からずれていると判断され、自動操舵装置205がハンドル35を自動操舵させることが起こり得る。これにより、機体の進路が本来走行すべき進路からずれた位置になり、機体の積み込みや収納作業に余分な手間が生じることになる。
これを防止には、圃場から機体が退出する前に、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを消去する必要がある。図6及び図14に示すとおり、走行車体2が圃場の四辺のうち、直進作業走行する進行方向に直交する進行方向を少なくとも一辺含む、三辺の走行が行われる(S46〜S49)と、枕地作業が行われたと判断して、制御装置100が第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除させる(S50およびS51)。
枕地での走行車体2の進行方向は、GPSアンテナ200が取得する走行車体2の位置座標のうち、X軸座標またはY軸座標の変化が連続することで判定される。
これにより、圃場内を機体が走行している間に第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除することができるので、圃場外に出てから自動直進設定部材207を操作しても自動直進が行われることがなく、予定の進行方向からずれた方向に走行することが防止され、作業能率の低下が防止されると共に、作業の安全性が向上する。
また、機体を別の圃場に移動させたとき、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rが記録されていないことにより、作業中の圃場に適さない基準線Rに基づき自動直進制御が行われることを防止できるので、自動直進の精度が向上する。
なお、圃場外に移動したときは、短時間で移送用のトラックに移動させる、あるいは納屋に移動させるべく、前記副変速操作レバー37を走行ポジションに操作する。この走行ポジションへの副変速操作レバー37の操作を検知する副変速位置検知スイッチ37aを設け、副変速位置検知スイッチ37aが走行ポジションに副変速操作レバー37が操作されたことを検知すると、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除する構成としてもよい。
第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rの削除を、圃場内では使用しない走行ポジションへの副変速操作レバー37の操作に基づき行うことにより、枕地走行時に第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rが削除されていないとき、確実に削除することができるので、走行車体2の移動や別の圃場の作業時に自動直進制御が行われることがなく、作業精度の低下が防止される。
また、副変速操作レバー37の誤操作により、圃場内で誤って第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除することを防止できるので、第1基準点Aと第2基準点Bを取得し直す作業条で自動直進が使えなくなることが防止され、作業精度が向上する。
あるいは、前記IMU203や、走行車体2の前後及び左右方向の傾斜を検知する傾斜センサ212を用いて、走行車体2が所定角度以上(例えば、10〜15度)前上がり傾斜姿勢になると、制御装置100は、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除する構成としてもよい。
圃場から出る際、圃場の出入口を通過する走行車体2は作業中には略なり得ない角度の前上がり傾斜姿勢になるので、この傾斜角度が検知されたときは、圃場から出るときであると判断できる。
これにより、枕地走行時に第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rが削除されていないとき、確実に削除することができるので、走行車体2の移動や別の圃場の作業時に自動直進制御が行われることがなく、作業精度の低下が防止される。
なお、圃場や作業の内容によっては、走行車体2を後進させて出入口から出ることも考えられるので、前上がり傾斜角度だけでなく、後上がり傾斜角度に基づき第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除する制御構成としてもよい。
前記自動操舵装置205により、走行車体2を自動直進走行させているときであっても、作業装置4等が消費する作業資材の補充作業や、機体や圃場に何らかの問題が発生したとき等には、作業者が走行を停止させる必要がある。この走行停止操作は、前記変速操作レバー36を中立位置に操作して無段変速装置14を中立にする、ブレーキペダルを踏んでブレーキを利かせる、サイドクラッチペダル43aを踏んでサイドクラッチ43を切状態にする、という方法が考えられる。
上記の何れかの方法で走行車体2の走行を停止させたときであっても、制御装置100は、前記自動操舵装置205を停止させない構成とする。
これにより、変速操作レバー36を前進操作する、ブレーキペダルやサイドクラッチペダル43aの操作を解除するなどして、走行停止を解除すると、すぐに自動直進走行に復帰することが可能になり、作業能率の低下が防止される。
しかしながら、停止中にハンドル35が手動操舵される、あるいは自動操舵装置205が作動してハンドル35が自動操舵されると、自動直進走行の再開時の進行方向が停止時の進行方向からずれてしまい、走行車体2の進行方向が直線状でなくなるおそれがある。
特に、走行車体2が停止していると、GPSアンテナ200が取得する位置座標は、地球の自転やGPS衛星の公転等の影響を受けやすく、実際の走行車体2が存在する位置とは異なる位置座標を取得することがあり、基準線Rから離れた位置にある、と誤認されやすくなる。
これを防止すべく、前記変速操作レバー36の操作位置を検知するレバーポテンショメータ36a、ブレーキペダルやクラッチペダルの踏込操作を検知する踏込検知スイッチ213を設け、自動直進走行中に走行を停止させる操作が検知されると、制御装置100は、ハンドル35の操舵操作を反映しない、あるいはハンドル35を動かなくする構成とする。
ハンドル35の操舵操作を反映しない構成とは、停車時の走行車体2の位置座標のX座標が基準線RのX座標から所定値以上ずれていても、操舵アクチュエータ206を作動させないことを意味する。
また、ハンドル35を動かなくする構成とは、操舵アクチュエータ206の作動トルクを高くし、ハンドルロック状態にすることを意味する。
上記構成により、走行再開後の進行方向がずれることを防止できるので、作業走行が直線状で行われ、作業精度の向上が図られる。
前記ハンドル35は、自動直進走行中は操舵アクチュエータ206により自動操舵されるが、進路上の圃場の状態が自動直進走行に適さない(荒れている、圃場深度が深い、等)、障害物が存在する等の状況では、手動操作により回避行動をとる必要がある。
前記操舵アクチュエータ206によるハンドル35の操舵操作は、次の構成により行われる。該ハンドル35の操舵操作に連動して回動するハンドル軸351の下部には入力ギア352を設け、操舵アクチュエータ206には出力ギア353を設ける。
該入力ギア352と出力ギア353は、ハンドル35及び操舵アクチュエータ206の下方に配置される操舵ギアケース354に内装される。そして、該入力ギア352と出力ギア353の間には、伝動比を変更して駆動力を伝動する中継ギア355を設ける。
該入力ギア352、出力ギア353及び中継ギア355のギア比は、ハンドル35の手動操作を妨げることを防止すべく、操舵アクチュエータ206が作動していても、手動操作によるトルクが強くなるギア比とする。
これにより、自動直進中であってもハンドル35の手動操作に要する力が増大することを防止できるので、操作性が向上すると共に、走行に影響し得る状態の圃場や障害物を確実に回避することができるので、作業の安全性が確保される。
ここからは、本実施の形態の苗移植機のより具体的な構成および動作についての説明を始める。
作業装置4、センターフロート62Cおよび整地ロータ63は、走行車体2へ取付けられた装置である。ハンドル35は、走行車体2を操舵する部材である。GPSアンテナ200は、走行車体2の位置情報を取得する装置である。自動直進設定部材207は、走行車体2を直進させるときに利用される基準位置情報を取得するためのユーザ指示を受付ける部材である。自動操舵装置205は、走行車体2を直進させるようにハンドル35を操作する装置である。制御装置100は、基準位置情報に基づき、自動操舵装置205にハンドル35を操作させるための自動直進制御を実行する装置である。制御装置100は、基準位置情報に基づき、直進基準線R、および直進基準線Rと平行な単数または複数の直進目標線Tを算出し、無線通信を利用して、走行車体2へ載置されたタブレット端末1000に直進基準線Rおよび直進目標線Tを表示することができる。
基準位置情報として取得される走行車体2の位置情報は、より正確な基準位置情報が得られるように、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に応じたタイミングで算出されてもよいし、ユーザ指示に関わりなく定期的に算出される位置情報の内からユーザ指示に応じて選択的に特定されてもよい。
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
すなわち、位置情報は、走行軌跡Lの表示などを行うために、GPS衛星から送信されてくる信号を受信することにより、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に関わりなく定期的に算出されている。このような定期的な位置情報の算出は、GPS衛星から送信されてくる信号の全部を利用してかなり小さい時間間隔で行われてもよいし、GPS衛星から送信されてくる信号の一部を利用してやや大きい時間間隔で行われてもよい。位置情報の算出がかなり小さい時間間隔で行われる前者の場合には、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に最も近いタイミングで算出された位置情報が基準位置情報として好適に採用される。位置情報の算出がやや大きい時間間隔で行われる後者の場合には、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に最も近いタイミングで算出された位置情報が基準位置情報として同様に採用されてもよいが、より正確な基準位置情報が得られるように、ユーザ指示に応じたタイミングで特別に算出された位置情報が基準位置情報として好適に採用されてもよい。
GNSSアンテナ200と、三軸の加速度センサおよびジャイロスコープなどの角速度センサを有する慣性計測装置としてのIMU203と、ステアリングモータとしての操舵アクチュエータ206と、を搭載し、自動直進する田植機などのような苗移植機において、自動直進のセット、リセットが可能な自動設定スイッチと、圃場毎に自動直進の直進基準線Rが始まる第1基準点A、および直進基準線Rが終わる第2基準点Bを指示する操作スイッチと、を兼ねる自動直進設定部材207を設け、直進基準線Rと、直進基準線Rに平行な直進目標線Tと、をタブレット端末1000等のモニタに表示する構成とし、直進基準線Rや直進目標線Tの情報は、ブルートゥース(登録商標)などのような無線通信で車両コントローラとしての制御装置100の無線送受信部100yからタブレット端末1000に送信する。
もちろん、第1基準点Aおよび第2基準点Bを指示するこのような操作スイッチは、自動直進の自動設定スイッチとは別に設けられたスイッチであってもよい。
市販の自動直進ガイダンス装置は、A−B点操作が行われる、走行車体2に固定された本体モニタと、GPSアンテナ200と、の間においては、有線通信で信号が検出されている。
本実施の形態においては、市販タブレットとしてのタブレット端末1000が無線通信を介して使用可能となり、容易に自動直進ガイダンスを提供できる。
そして、本実施の形態の苗移植機は、自動直進ガイダンス機能なしでも、運転操作および案内ガイドなどに関する情報を表示する機能を有する商品として成立する。
たとえば、作業装置情報も加味された走行車体2の左右幅を示す仮想線とともに、直進目標線Tをタブレット端末1000に表示することにより、自動操舵装置205による機体の直進が正しいかどうかを直感的に判断しやすくなるので、走行位置が自動直進すべき位置から離れていても早期に修正が可能であり、正確な直進走行作業が可能になる。
着脱可能なタブレット端末1000を情報の表示装置とすることにより、専用のディスプレイが必要でなくなるので、部品数の削減が図られると共に、連結用のハーネスも不要になり、メンテナンス性が向上する。また、直進目標線Tの表示が不要であれば、タブレット端末1000も省略できる。
自動直進設定部材207がユーザ操作レバーとして実装されるので、直進走行の基準位置が、上述された従来技術におけるように、誤操作による作業装置4などの入切にともなって自動的に取得されてしまうことは防止される。
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
タブレット端末1000のディスプレイに基準線Rと走行軌跡Lが表示されることにより、自動操舵装置205が作動しているかどうかや、自動直進走行に異常が生じていないかどうかを視覚的に判断することができ、自動操舵装置205を作動させ忘れたまま作業走行を行い、作業軌跡が乱れることや、自動直進走行が本来走行すべき軌跡を外れることが防止される。
そして、タブレット端末1000は着脱可能に車体に装着され、自動操舵装置205を制御する制御装置100の無線送受信部100yに無線接続されるので、装置の部品数が増えず、メンテナンス性が低下する問題がない。
また、タブレット端末1000のディスプレイは自動直進の基準線Rと走行軌跡L等のような直進走行に関する情報のみが表示されるものではないので、他の情報を表示する別のディスプレイを用意する必要がない。これにより、作業者は複数のディスプレイを見る必要がないので、作業者の労力が増加しないと共に、ディスプレイが複数箇所に配置されないことにより、機体周辺の視認性が悪くなる問題がない。
基準位置情報は、直進基準線Rが始まる第1基準点Aに対応する第1基準位置情報と、直進基準線Rが終わる第2基準点Bに対応する第2基準位置情報と、である。第1基準位置情報が取得されると、走行車体2の走行軌跡Lがタブレット端末1000に表示される。第2基準位置情報が取得されると、直進目標線Tがタブレット端末1000に表示される。
タブレット端末1000が制御装置100の無線送受信部100yから無線通信で直進基準線Rの設定開始情報(第1基準点Aをセットするための情報)を受信したら、タブレット端末1000に走行軌跡Lの表示を開始する。走行軌跡Lの情報は、制御装置100の無線送受信部100yから定期的に無線送信されるGNSS位置情報に基づき表示する。
直進基準線Rそのものがまだ表示されていなくても、直進基準線Rの設定開始が、走行軌跡Lが表示されるので、モニタにより確認でき、安心感がある。
タブレット端末1000が制御装置100の無線送受信部100yから無線通信で直進基準線Rの設定終了情報(第2基準点Bをセットするための情報)を受信したら、タブレット端末1000に次工程以降の直進目標線Tを表示する。
画面に表示された次工程以降の直進目標線Tは、旋回時の深水等でマーカライン等が見えにくい場合でも、目安になる。
本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末1000における直進基準線R、直進目標線Tおよび走行軌跡Lの経時的な表示の説明図(その一から五)である図15(a)〜(e)に示されているように、直進基準線R、直進目標線Tおよび走行軌跡Lは表示される。
図15(a)においては、第1基準点Aに対応する第1基準位置情報が受信された圃場の走行マップが示されている。図15(b)においては、走行軌跡Lが表示され始めた圃場の走行マップが示されている。図15(c)においては、第2基準点Bに対応する第2基準位置情報が受信され、直進基準線Rが表示された圃場の走行マップが示されている。図15(d)においては、直進目標線Tが機種条数に応じて生成され表示された圃場の走行マップが示されている。図15(e)においては、走行軌跡Lが走行進行に応じて引続き表示されていく圃場の走行マップが示されている。
第1基準位置Aの取得に基づきタブレット端末1000に走行軌跡Lを表示したり、第2基準位置Bの取得に基づきタブレット端末1000に直進基準線Rを表示したりすることにより、自動操舵装置205が作動していることを作業者が確認しやすくなり、自動操舵装置205が作動していないまま作業を行うことが防止される
次工程以降の直進目標線Tが表示されることにより、旋回走行時の走行軌跡Lが表示されるかどうかに関わらず、圃場端での旋回走行時に機体を移動させることが望ましい位置を視覚的な直感に基づいて把握しやすいので、旋回後に機体の位置を修正する作業が不要になる。
整地クラッチ66は、整地ロータ63へ伝達される動力をオンオフするクラッチである。作業検知センサ209は、整地ロータ63へ伝達される動力のオンオフ状態を検出するセンサである。走行軌跡Lは、整地ロータ63へ伝達される動力のオン状態が作業検知センサ209により検出されているときに、タブレット端末1000に表示される。
本発明における実施の形態の苗移植機の自動直進走行の説明図である図16においては、進入路入口であり退出路出口でもある圃場出入口1601が設けられた圃場が示されており、作業幅が理解しやすいように、各作業条の両端点における作業装置4の起点にほぼ相当する位置が白い長方形で示されている。直進基準線Rとほぼ平行なX方向に隣接する複数の線分からなる走行軌跡Lは、自動直進走行による軌跡であり、一点鎖線で示されている。直進目標線Tの圃場端部に近接する端点は、第1基準位置情報および第2基準位置情報からは確定されない。しかしながら、圃場端部における旋回は自動直進走行ではなく手動走行で行われるので、ユーザは自動直進走行から手動走行への切替えを行うようにブザーなどを利用して促される。より具体的には、整地ロータ63の入切位置がメモリ領域に記録されており、ブザーは、たとえば、旋回前に切られた整地ロータ63が旋回後に再び入れられた、直前の作業条における位置1603が有するY座標に基づいて決定されたY座標を有する位置1604で時間的余裕をもって鳴動される。自動直進走行が可能である自動直進走行領域1602の外側の回廊部分においては、枕地走行が行われてもよい。
変形例の実施の形態においては、走行軌跡Lは、作業装置4へ伝達される動力のオン状態が作業検知センサ209により検出されているときに、タブレット端末1000に表示されてもよい。
本発明における別の実施の形態(その一)の苗移植機の自動直進走行の説明図である図17においては、Y方向の長さが植付部下降点1701のY座標および植付部上昇点1702のY座標に基づいて確定される、植付クラッチにより入切される作業装置4の植付部の昇降に基づいて測定された植付部昇降測定領域1703が示されている。GNSSアンテナ200は走行車体2の前端に装着されているので、植付部下降点1701のY座標は自動直進走行領域1704の最小Y座標とほぼ等しいが、植付部上昇点1702のY座標は自動直進走行領域1704の最大Y座標よりやや大きい。
自動直進走行ではなく手動走行による旋回時の走行軌跡は表示せず、作業装置4の植付部を下降して走行しているときの走行軌跡Lを、無線通信で定期的に制御装置100の無線送受信部100yから送信されるGNSS位置データにより、タブレット端末1000のモニタ画面に表示する。
すると、自動直進走行による実際的な走行軌跡の履歴が残せる。
走行軌跡Lの表示については、植付状態にあるときのみの軌跡を残す。
すると、植付走行軌跡の履歴が残せる。
走行軌跡Lの表示については、植付状態にあるときのみの軌跡を残すようにし、植付状態は、植付クラッチが入の時とする。
すると、実際的な植付走行軌跡の履歴が残せる。
走行軌跡Lの表示については、植付状態にあるときのみの軌跡を残すようにし、植付状態は、整地ロータ63が入の時とする。
すると、実際的な植付走行軌跡に相当する走行軌跡の履歴が残せる。
作業装置4を使用する直進走行時の走行軌跡Lを表示することにより、意図した直進走行が行われているかどうかを判断することができるので、不適当であるときは作業者が早期に修正することができ、作業の適正化が図られる。
隣接する作業済みの条と現在の作業条の間に未作業領域(例:土が耕されていない領域、または苗の条間(左右間隔)が作業機の設定条間よりも広い領域、等)が生じているかどうか、作業領域が重複しているかどうかを早期に判断できるので、作業の適正化が図られる。
制御装置100は、直進目標線Tを算出するときに、作業装置4に関する作業装置情報を加味する。
制御装置100に記憶している車両機種型式情報と、タブレット端末1000のメモリの車両機種型式情報と、に基づき、条幅および条数(30cmの条幅で8条植え、または33cmの条幅で8条植え等)を判断して作業幅を演算し、次工程以降の直進目標線Tを表示する。無線情報の受信でタブレット端末1000の車両データを確認するので、正確な植付走行軌跡の履歴が残せる。
走行目標ライン表示については、第1基準点Aと第2基準点Bとを結んだ直線と平行な直線を次工程以降の全部または一部の直進目標線Tとして表示するので、相対位置での目標位置が表示できる。たとえば、自動直進走行の実行が困難であることが分かった場合には、次回の作業のための反省材料として利用したり、土壌改良に利用したりするために、得られたデータを蓄積してもよい。
直進目標線Tは細線表示とし、走行軌跡Lは作業幅を塗りつぶす表示とするので、ガイダンス表示が解りやすい。
作業装置4の左右幅を基準として直進目標線Tをタブレット端末1000に表示することにより、作業装置4の作業位置が重複することや、作業位置同士の間に間隔が空くことのない作業条ごとの走行軌跡Lを示すことができるので、自動直進による進行方向が適切であるかどうかを判断しやすくなる。
圃場端での旋回走行時に機体を移動させることが望ましい位置を視覚的な直感に基づいて把握しやすいので、旋回後に機体の位置を修正する作業が不要になる。
タブレット端末1000には、直進基準線Rおよび直進目標線Tを表示するための走行マッププログラム、圃場の深度を表示するための圃場深度マッププログラム、および圃場に散布される資材の散布量を表示するための資材散布量マッププログラムの内から所定のプログラムを選択することができる管理アプリケーションがインストールされており、選択された所定のプログラムに応じたマップが表示される。
走行マッププログラム以外の表示画面を持つように構成し、直進目標線Tや走行軌跡Lの表示画面と、可変施肥田植機の資材散布量マッププログラムや作土深等の圃場深度マッププログラムの表示画面と、を選択的に表示可能に構成し、切り替え操作により、たとえば、自動直進の画面表示と、可変施肥の画面表示と、を切り替え表示する。すると、施肥作業結果を目視で確認したり、土壌の硬盤の高さの違いを間接的に認識したりするための、タブレット端末1000のモニタの活用ができて、多機能な使い方ができる。
走行マッププログラム以外の表示画面を持つように構成し、タブレット端末1000の画面内に、タッチパネルのアイコンなどのような画面表示切替え用のタッチスイッチ部を設けてもよい。
圃場内での走行軌跡Lの表示は、圃場外へ出たと判断するための所定のルールに基づき、自動的に終了してもよい。すると、直進目標線Tによるガイダンス表示や走行軌跡Lによる軌跡表示が自動的に変更になり、操作が簡単である。
たとえば、作業がまだ開始されていない場合などのような、第1基準点Aおよび第2基準点Bが取得されていない場合は、当該圃場および周辺の圃場が表示される広域圃場表示が行われ、第1基準点Aの取得に基づき、当該圃場の圃場内ガイダンス表示への自動的な変更が行われてもよい。
上述されたように、第1基準点Aおよび第2基準点Bが記録されている状態で、直進基準線Rと直交する方位(直交する方位でなくても、たとえば、規定された角度以上異なる方位であってもよい)での植付けがあり、直進基準線Rと平行な1辺を含む3辺の植付け(枕地の植付け)が終了しているというルールで第1基準点Aおよび第2基準点Bを消去する仕様が、採用されてもよい。すると、自動消去によるオペレータの負担軽減が、期待される。
第1基準点Aおよび第2基準点Bを消去する動作に基づき、走行軌跡Lの画面データをタブレット端末1000に記録(保存)してもよい。すると、圃場植付の終了に関する実績データを記録することができる。
GNSSアンテナ200及び整地ロータ63を有する自動操舵機能を持つ田植機において自動操舵を開始する際、第1基準点Aから所定距離離れた位置として第2基準点Bが確定されなくても、走行方位の目標方位からのずれ角度が所定範囲以内にある場合には、第1基準点Aおよび目標方位に基づいて自動操舵を開始することができる。すなわち、目標方位があらかじめ分かっており、走行車体2の向きが目標方位に応じた正しい向きであるという前提条件の下では、第2基準点Bが確定されなくても、第1基準点AのX座標およびY座標と、方位センサ204の検出結果と、を利用して直進基準線Rを作成し、ティーチング走行なく直ちに自動直進を開始することができる。所定間隔をおいて直進基準線Rと平行な直進目標線Tをユーザ指示に応じて設定する仕様とは異なり、隣接条における植付けを行わずに枕地における植付けを行うといった理由で直進目標線Tを表示する必要が無い場合があっても、不必要に表示されてしまった直進目標線Tを消去するための補正の必要が無い。
GNSSアンテナ200及び整地ロータ63を有する自動操舵機能を持つ田植機において自動操舵を行う場合に、直前の作業条における整地ロータ63の作動距離の測定データに基づいて畦際から一定距離手前で警報し、所定時間の警報の後に、エンジン30は停止させないで、自動で減速させて走行車体2を停止させるための制御を無段変速装置14のHSTサーボモータ211に対して行ってもよい。すると、畦際に接近した場合、機体が田面への苗の植え付けを終了した、又は田面への種籾の供給を終了する作業終了位置に達したことが検出されると、報知する仕様とは異なり、当該作業条における植付を行わなくても、直前の作業条における整地ロータ63の作動距離を利用した疑似的な距離測定ができるので、畦際への接近を同様に報知することができる。
直進目標ラインや走行軌跡を表示する走行マッププログラム、圃場の深さ(表土の厚み)を表示する深度マッププログラム、肥料や薬剤の供給量の増減を示す供給マッププログラム等を管理する管理アプリケーション内のプログラムをプログラム選択部(切替アイコン)で選択し、複数の情報ごとのマップをタブレット端末1000に表示させることにより、作業者は、直進走行に支障の出やすい、合筆などにともなう圃場の硬盤の深さの変化する点を把握することができるので、該当箇所でハンドル35をマニュアル操作するなどして進路を直進走行方向に補正でき、作業位置のずれの発生が防止される。
圃場の場所ごとに、過去に供給した肥料や薬剤の量を確認できることにより、施肥装置5や薬剤散布装置の設定の切替タイミングが計りやすくなる、あるいは肥料や薬剤の供給量の自動変更が適切に行われているかどうかを判断しやすくなり、肥料や薬剤の供給量の適正化が図られる。
制御装置100は、自動操舵装置205によるハンドル35の操作に関する複数の操舵部材操作モードの内から選択された所定の操舵部材操作モードに応じた自動直進制御を実行する。操舵部材操作モードの選択は、ユーザ指示に応じて手動で行われる。
より具体的には、GNSSアンテナ200を有する自動操舵機能を持つ田植機において、操舵アクチュエータ206を土質および水深などに応じた最適なモータトルクで駆動する複数の操舵制御パターンを格納するメモリ機能が実装されており、ユーザが車載モニタの表示を見ながら手動で操舵制御パターンを設定するためのモード変更スイッチ100x(図6参照)などのような設定装置を備えている。
なお、操舵部材操作モードの選択は、センターフロート62Cの動作に関する複数の作業装置動作モードの内から選択された所定の作業装置動作モードに連動して自動で行われてもよい。
より具体的には、操舵部材操作モードの選択は、土が硬い場合にはセンターフロート62Cの回動ポテンショメータ64の不感帯幅が増大させられ、土が柔らかい場合には回動ポテンショメータ64の不感帯幅が減少させられる、土質に応じたいわゆるフロート感度調節を行うためのフロート感度ダイアル操作に連動して自動で行われる。
すると、最適な操舵制御パターンに設定できる。そして、多目的仕様での直播、作業装置4の植付部での切替による操舵アクチュエータ206に対する前輪10の応答速度の差を解消できる。
ハンドル35を作動させる条件を選択できることにより、圃場の土質や水の有無等の条件の違いや、作業を行う機体の違いに合わせて自動操舵装置205でハンドル35を適正に作動させることができるので、直進走行が適切に行われ、作業精度が向上する。
作業装置4の作業条件を変更すると、ハンドル35の作動条件が連動して変更されることにより、自動操舵装置205でハンドル35を適正に作動させることができるので、直進走行が適切に行われ、作業精度が向上する。
自動操舵装置205は、入力パルス信号に応じたモータ動作量で動作する操舵アクチュエータ206を有する。制御装置100は、モータ動作量の入力パルス信号に対するずれが所定レベルを超えているときに、自動操舵装置205を停止させるための制御を実行する。
本発明における実施の形態の苗移植機の操舵アクチュエータ206近傍の部分正面図である図18に示されているように、走行車体2を直進させるようにハンドル35を操作する操舵アクチュエータ206の自動操舵用モータには、トルクジェネレータ1801が接続されている。
圃場からの外力によりハンドル35が回されることがあるトルクジェネレータ1801を備えた自動操舵田植機または播種機においては、脱輪等が発生したときに、自動操舵用モータが前輪10からの外力のために入力パルス信号に同期して回転しなくなった状態が一定時間以上続くと、自動操舵を停止する。このような自動操舵用モータはステッピングモータであることが、望ましい。
ステアリングハンドルからの手動操作による電流値の増加、およびトルクの上昇による自動操舵の停止は安全性を向上させる有効な技術であるが、前輪10の側から動かされない、通常の自動車に搭載されるエンジンと区別してノンロードエンジンと呼ばれる小形汎用ガソリンエンジンのトルクジェネレータにしか十分には有効でない。これに対して、トルクジェネレータ1801は、脱輪等で自動操舵用モータが脱調した場合における安全性をも向上させる。
そして、操舵アクチュエータ206のモータまたはセンサの故障が発生したときに、自動操舵用モータが入力パルス信号に同期して回転しない状態が一定時間以上続くと、自動操舵を停止してもよい。すると、ステアリングハンドルからの手動操作による電流値の増加、およびトルクの上昇による自動操舵の停止が手動操作で自動制御操舵と逆向きの操舵をした場合において有効であるように、脱輪等で自動操舵用モータが脱調した場合における安全性が向上される。
さらに、手動操作が発生したときに、自動操舵用モータが入力パルス信号に同期して回転しない状態が一定時間以上続くと、自動操舵を停止してもよい。すると、作業位置が自動操舵によりかえってずれてしまう現象が抑制される。
前輪10にかかる接地抵抗等により操舵アクチュエータ206に過度のトルクが要求され、入力パルス信号に対して操舵アクチュエータ206のモータの回転量が少なくなると、自動操舵装置205を停止させることにより、操舵アクチュエータ206に過負荷がかかって破損することを防止できる。
また、前輪10が自動直進方向にステアリングできない状況に陥っていることを判断できるので、実際の走行軌跡が直進目標線Tからずれた状態で走行することを防止できる。
本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の平面図である図19(a)、および本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の側面図である図19(b)に示されているように、GPSアンテナ200を前輪10の軸上に配置し、走行車体2の側のピッチングおよびローリングに起因する姿勢変化の影響を低減するために、GNSSアンテナ200のステーとしてローリング方向からも増設アンテナステー部材1901を伸ばしてもよい。
すると、ピッチング方向を抑えるように本体アンテナステー部材1902が伸びているもののローリング方向がフリーであるために振動が起きやすいということはなくなるので、ローリング方向の微振動を抑え、自動直進制御の精度を向上させることができる。
そして、本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の平面図である図20(a)、および本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の側面図である図20(b)に示されているように、苗補給時の安全のため、フロアステップ33の外側に手すりを兼用する増設アンテナステー部材2001を伸ばしてもよい。
上記増設アンテナステー部材2001は、平面視において、機体左右方向の中央部から機体左右両側に、進行方向に直交する姿勢、乃至機体左右外側に向かうほど後方に向かう姿勢で前側補強アーム2002を各々設け、前側補強アーム2002よりも機体後側に、機体左右外側に向かうほど後方に向かう後側補強アーム2003を、前側補強アーム2002よりも急な角度で各々設ける。なお、後側補強アーム2003の基部は、前側補強アーム2002よりも機体内側に配置する。また、側面視においては、前側補強アーム2002はフロアステップ33にほぼ垂直となる姿勢となり、後側補強アーム2003は上方から下方に向かうほど機体後側に向かう傾斜姿勢となる。
さらに、前側補強アーム2002と後側補強アーム2003は、機体前後方向で且つフロアステップ33にほぼ平行となる姿勢の連結アーム2004で連結する。なお、連結アーム2004は、作業座席41の座面とほぼ同じ乃至座面よりもやや高い位置に設定する。
また、図20(a)および(b)で示すとおり、前側補強アーム2002、後側補強アーム2003及び連結アーム2004は、三角形に近い形状となるトラス構造で組み合わせられる。
上記により、作業者は作業場所に応じて前側補強アーム2002、後側補強アーム2003及び連結アーム2004のうち掴んで姿勢保持しやすい箇所を選ぶことができるので、比較的楽な姿勢を保持することができ、作業能率の向上や疲労の軽減が図られる。
また、前側補強アーム2002は作業座席41の側方に位置し、作業者が走行車体2の側方から乗り降りする位置の近くに配置されるので、乗り降りの際の手摺として利用することができ、乗り降りの迅速化や安全性の向上が図られる。
さらに、前側補強アーム2002、後側補強アーム2003及び連結アーム2004がトラス構造で組み合わせられることにより、増設アンテナステー部材2001の強度が向上する。
すると、ローリング方向の微振動を抑え、自動直進制御の精度を向上させることができるのみならず、苗補給時の安全性も向上させることができる。
本発明における別の実施の形態(その四)の苗移植機の側面図である図21に示されているように、作業座席41の下に、作業座席41の僅かな回動を回動支点2103の周りで前後方向において許容するためのスプリング2101と、プッシュセンサ2102と、を設け、ユーザが着座しているか否かをプッシュセンサ2102で検知してもよい。走行車体2の移動中に30秒以上ユーザの着座がなければ、警告音を5秒鳴らした後、走行車体2を停止させる。
すると、プッシュセンサ2102の検知結果に基づいて、作業座席41を離れての移動中の苗補給が危険であることを警告したり、走行車体2を停止させたりすることができるのみならず、スプリング2101の弾性力を利用して、作業座席41からのつきあげのために乗り心地が悪くなってしまうことを抑制できる。
すなわち、安全性の確保が苗補給時に関して向上されるのみならず、乗り心地がよくなる。
本発明における作業車両は、直進走行の基準位置が誤操作で取得されることを防止できると共に、部品数の増大を抑えることができ、圃場内を走行し、走行車体に走行した作業装置で対地作業を行う作業車両に利用する目的に有用である。
2 走行車体
4 作業装置
35 ハンドル
62C センターフロート
63 整地ロータ
66 整地クラッチ
100 制御装置
200 GPSアンテナ
205 自動操舵装置
206 操舵アクチュエータ
207 自動直進設定部材
209 作業検知センサ
1000 タブレット端末
R 直進基準線
A 第1基準点
B 第2基準点
T 直進目標線
L 走行軌跡
本発明は、作業車両の作業装置で対地作業を行うための自動操舵制御装置に関するものである。
従来の作業車両には、作業開始位置と作業終了位置の位置情報を、作業装置が入切されたときに自動で取得し、自動で取得した作業開始位置と作業終了位置から基準線を作成し、この基準線に沿ってハンドルを自動操舵し、機体を直進走行させる自動操舵装置を備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
このような従来の作業車両は、作業装置が入切された位置を作業開始位置及び作業終了位置として取得することができるので、作業開始位置及び作業終了位置を取得する操作が必要なく、操作性がよいという利点がある。
しかしながら、誤操作により作業装置の入または切が行われると、本来作業開始位置、または作業終了位置を取得すべき位置とは異なる位置で作業開始位置、または作業終了位置が取得されてしまうことがある。このときは、基準線を別の作業条で取り直す必要があり、その間は自動操舵装置が使用できず、精度の高い作業走行が行えない問題がある。
また、作業装置が入切される位置を作業開始位置、または作業終了位置として取得するには、作業装置の入切を検知する検知部材が必要になるので、機体を構成する部品数が増大する問題がある。
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、直進走行の基準位置が誤操作で取得されることを防止できると共に、部品数の増大を抑えることができる作業車両を提供することを目的とする。
第1の本発明は、車体(2)へ取付けられた作業装置(4,62C,63)と、前記車体(2)を操舵する操舵部材(35)と、前記車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(200)と、前記車体(2)を直進させるときに利用される基準位置情報を取得するためのユーザ指示を受付けるユーザ指示部材(207)と、前記車体(2)を直進させるように前記操舵部材(35)を操作する直進装置(205)と、前記基準位置情報に基づき、前記直進装置(205)に前記操舵部材(35)を操作させるための自動直進制御を実行する制御装置(100)と、を備え、前記制御装置(100)は、前記基準位置情報に基づき、直進基準線(R)、および前記直進基準線(R)と平行な単数または複数の直進目標線(T)を算出し、無線通信を利用して、前記車体(2)へ載置された外部情報端末(1000)に前記直進基準線(R)および前記直進目標線(T)を表示することができることを特徴とする自動操舵制御装置である。
第2の本発明は、前記基準位置情報は、前記直進基準線(R)が始まる第1基準点(A)に対応する第1基準位置情報と、前記直進基準線(R)が終わる第2基準点(B)に対応する第2基準位置情報と、であり、前記第1基準位置情報が取得されると、前記車体(2)の走行軌跡(L)が前記外部情報端末(1000)に表示され、前記第2基準位置情報が取得されると、前記直進目標線(T)が前記外部情報端末(1000)に表示されることを特徴とする第1の本発明の自動操舵制御装置である。
第3の本発明は、作業装置(63)へ伝達される動力をオンオフする作業クラッチ(66)と、前記作業装置(63)へ伝達される前記動力のオンオフ状態を検出する作業クラッチセンサ(209)と、を備え、前記走行軌跡(L)は、前記作業装置(63)へ伝達される前記動力のオン状態が前記作業クラッチセンサ(209)により検出されているときに、前記外部情報端末(1000)に表示されることを特徴とする第2の本発明の自動操舵制御装置である。
第4の本発明は、前記制御装置(100)は、前記直進目標線(T)を算出するときに、作業装置(4)に関する作業装置情報を加味することを特徴とする第1から第3の何れかの本発明の自動操舵制御装置である。
第5の本発明は、前記外部情報端末(1000)には、前記直進基準線(R)および前記直進目標線(T)を表示するための走行マッププログラム、圃場の深度を表示するための圃場深度マッププログラム、および前記圃場に散布される資材の散布量を表示するための資材散布量マッププログラムの内から所定のプログラムを選択することができる管理アプリケーションがインストールされており、選択された所定の前記プログラムに応じたマップが表示されることを特徴とする第1から第4の何れかの本発明の自動操舵制御装置である。
第6の本発明は、前記制御装置(100)は、前記直進装置(205)による前記操舵部材(35)の操作に関する複数の操舵部材操作モードの内から選択された所定の前記操舵部材操作モードに応じた前記自動直進制御を実行し、前記操舵部材操作モードの選択は、ユーザ指示に応じて手動で行われることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の自動操舵制御装置である。
第7の本発明は、前記直進装置(205)は、入力パルス信号に応じたモータ動作量で動作する操舵ステップモータ(206)を有し、前記制御装置(100)は、前記モータ動作量の前記入力パルス信号に対するずれが所定レベルを超えているときに、前記直進装置(205)を停止させるための制御を実行することを特徴とする第1から第6の何れかの本発明の自動操舵制御装置である。
第1の本発明により、基準位置情報に基づき、直進基準線(R)、および直進基準線(R)と平行な単数または複数の直進目標線(T)を算出し、無線通信を利用して、車体(2)へ載置された外部情報端末(1000)に直進基準線(R)および直進目標線(T)を表示することができるので、直進走行の基準位置が誤操作で取得されることを防止できると共に、部品数の増大を抑えることが可能である。
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、第1基準位置情報が取得されると、車体(2)の走行軌跡(L)が外部情報端末(1000)に表示され、第2基準位置情報が取得されると、直進目標線(T)が外部情報端末(1000)に表示されるので、作業の便利化を促進することが可能である。
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、走行軌跡(L)は、作業装置(63)へ伝達される動力のオン状態が作業クラッチセンサ(209)により検出されているときに、外部情報端末(1000)に表示されるので、作業の適正化を促進することが可能である。
第4の本発明により、第1から第3の何れかの本発明の効果に加えて、直進目標線(T)を算出するときに、作業装置(4)に関する作業装置情報を加味するので、表示情報の適正化を促進することが可能である。
第5の本発明により、第1から第4の何れかの本発明の効果に加えて、選択された所定のプログラムに応じたマップが表示されるので、表示情報の充実化を促進することが可能である。
第6の本発明により、第1から第5の何れかの本発明の効果に加えて、操舵部材操作モードの選択は、ユーザ指示に応じて手動で行われるので、作業の高精度化を促進することが可能である。
第7の本発明により、第1から第6の何れかの本発明の効果に加えて、モータ動作量の入力パルス信号に対するずれが所定レベルを超えているときに、直進装置(205)を停止させるための制御を実行するので、作業の安全化を促進することが可能である。
本発明における実施の形態の苗移植機の側面図
本発明における実施の形態の苗移植機の平面図
本発明における実施の形態の走行車体の要部平面図
本発明における実施の形態のハンドルを含む操縦部の要部背面図
(a)本発明における実施の形態のハンドルの自動操舵装置の構成を示す要部背面図、(b)本発明における実施の形態のハンドルの自動操舵装置の構成を示す要部側面図
本発明における実施の形態の各種制御に関連する部材を示すブロック図
本発明における実施の形態の取得された位置座標を機体の傾斜等に合わせて補正する制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の自動操舵装置による自動直進制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の自動直進設定部材の操作による第1及び第2基準位置の取得と、自動直進制御の入切を示すフローチャート
本発明における実施の形態の第1基準位置及び第2基準位置の消去操作を示すフローチャート
本発明における実施の形態の第1基準位置取得後のハンドル操作により第1基準位置を消去する制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の第1基準位置、第2基準位置、基準線を示すと共に、目標位置を示す作業の模式図
本発明における実施の形態の報知装置の作動と、報知装置の作動後に自動操舵装置の停止操作が行われないときの自動減速制御を示すフローチャート
本発明における実施の形態の圃場の枕地走行により第1基準位置、第2基準位置及び基準線を消去する制御を示すフローチャート
(a)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末における直進基準線、直進目標線および走行軌跡の経時的な表示の説明図(その五)
本発明における実施の形態の苗移植機の自動直進走行の説明図
本発明における別の実施の形態(その一)の苗移植機の自動直進走行の説明図
本発明における実施の形態の苗移植機の操舵アクチュエータ近傍の部分正面図
(a)本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の平面図、(b)本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の側面図
(a)本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の平面図、(b)本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の側面図
本発明における別の実施の形態(その四)の苗移植機の側面図
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
はじめに、図1〜14を参照しながら、本実施の形態の苗移植機の基本的な構成および動作について説明する。
図1は、本発明における実施の形態の苗移植機の側面図である。図2は、本発明における実施の形態の苗移植機の平面図である。図3は、本発明における実施の形態の走行車体2の要部平面図である。図4は、本発明における実施の形態のハンドル35を含む操縦部の要部背面図である。図5(a)は本発明における実施の形態のハンドル35の自動操舵装置205の構成を示す要部背面図であり、図5(b)は本発明における実施の形態のハンドル35の自動操舵装置205の構成を示す要部側面図である。図6は、本発明における実施の形態の各種制御に関連する部材を示すブロック図である。図7は、本発明における実施の形態の取得された位置座標を機体の傾斜等に合わせて補正する制御を示すフローチャートである。図8は、本発明における実施の形態の自動操舵装置205による自動直進制御を示すフローチャートである。図9は、本発明における実施の形態の自動直進設定部材207の操作による第1及び第2基準位置A及びBの取得と、自動直進制御の入切を示すフローチャートである。図10は、本発明における実施の形態の第1基準位置A及び第2基準位置Bの消去操作を示すフローチャートである。図11は、本発明における実施の形態の第1基準位置取得後のハンドル操作により第1基準位置Aを消去する制御を示すフローチャートである。図12は、本発明における実施の形態の第1基準位置A、第2基準位置B、基準線Rを示すと共に、目標位置を示す作業の模式図である。図13は、本発明における実施の形態の報知装置208の作動と、報知装置208の作動後に自動操舵装置205の停止操作が行われないときの自動減速制御を示すフローチャートである。図14は、本発明における実施の形態の圃場の枕地走行により第1基準位置A、第2基準位置B及び基準線Rを消去する制御を示すフローチャートである。
基準線は、意味がより分かりやすいように直進基準線とも呼ばれる。そして、第1基準位置は第1基準点とも呼ばれ、第2基準位置は第2基準点とも呼ばれる。
本実施の形態の苗移植機が、本発明の作業車両の一例である。
走行車体2が、本発明の車体の一例である。作業装置4、センターフロート62Cおよび整地ロータ63の何れもが、本発明の作業装置の一例である。ハンドル35が、本発明の操舵部材の一例である。GPSアンテナ200が、本発明の位置情報取得装置の一例である。自動直進設定部材207が、本発明のユーザ指示部材の一例である。自動操舵装置205が、本発明の直進装置の一例である。制御装置100が、本発明の制御装置の一例である。タブレット端末1000が、本発明の外部情報端末の一例である。
整地クラッチ66が、本発明の作業クラッチの一例である。作業検知センサ209が、本発明の作業クラッチセンサの一例である。
操舵アクチュエータ206が、本発明の操舵ステップモータの一例である。
本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
本発明の作業機の一実施例として図2に開示されている乗用型の田植機は、8条植えの構成であるが、本構成を異なる植付条数の田植機に用いても構わない。本件田植機は、図1及び図2で示すとおり、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して、苗タンク53から苗を取って複数の苗植付装置55…で圃場に苗を植え付ける苗植付部や、種子を供給する播種装置等、あるいは圃場を耕耘するロータリ等の作業装置4を昇降可能に設け、該走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分を配置している。
まず、走行車体2を構成するメインフレーム15について説明する。
図3に示すとおり、該メインフレーム15は、機体前部の前側梁フレーム16と、機体後部の後側梁フレーム17と、該前側梁フレーム16と後側梁フレーム17の前後間に中央梁フレーム18を設け、該前側梁フレーム16と中央梁フレーム18を左右一対の前側連結フレーム19,19で連結すると共に、該中央梁フレーム18と後側梁フレーム17を左右一対の後側連結フレーム20,20で連結する。
なお、前側梁フレーム16と中央梁フレーム18と後側梁フレーム17は左右方向を長手方向とし、前側連結フレーム19と後側連結フレーム20は前後方向を長手方向とする。
該左右の前側連結フレーム19,19と後側連結フレーム20,20の左右間隔は略同じ間隔とする。また、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の左右長さは前側梁フレーム16の左右長さよりも長く構成する。なお、左右の前側連結フレーム19,19と後側連結フレーム20,20は中央梁フレーム18の下部で溶接するものであるので、左右の前側連結フレーム19,19と後側連結フレーム20,20を一体の金属製の角材で構成してもよい。
前記前側梁フレーム16と中央梁フレーム18と左右の前側連結フレーム19,19が形成する空間部には、左右の前輪10,10や後輪11,11、作業装置4等に駆動力を伝動するミッションケース13と、エンジン30から供給される駆動力を該ミッションケース13に出力する油圧式の無段変速装置(HST)14を設ける。
そして、前記後側梁フレーム17の後部に、左右の持上フレーム21,21を左右の後側連結フレーム20,20の左右間隔よりも狭い間隔で且つ後方に突出させて設け、該左右の持上フレーム21,21の下部に後部支持フレーム22を装着する。
該後部支持フレーム22の左右両側には、走行車体2の左右の後輪11,11を各々駆動させる後輪伝動ケース11a,11aを設け、該後部支持フレーム22の上部には、前記昇降リンク機構3を支持する左右のリンクフレーム23,23を上方に向けて設ける。
前記昇降リンク機構3は、左右のリンクフレーム23,23の下部側で且つ左右間に左右一対のロワリンクアーム24,24を設け、該左右のロワリンクアーム24,24の左右間に昇降シリンダ25を設けると共に、該昇降シリンダ25の上方にアッパリンクアーム26を設けて構成する。なお、該左右のロワリンクアーム24,24と昇降シリンダ25とアッパリンクアーム26の走行車体2とは反対側の端部は、作業装置4の機体前側に装着する。
さらに、前記中央梁フレーム18の左右両端部の前方と左右の前側連結フレーム19,19の左右外側に、走行車体2の左右の前輪10,10に各々伝動する前側伝動ケース10a,10aを各々設けると共に、該中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の左右端部を左右の延長フレーム27,27で各々連結する。該左右の延長フレーム27,27は前後方向を長手方向とする。
また、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17と後部支持フレーム22の下部に前後方向の中央連結フレーム28を設け、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の前後間で且つ左右の後部連結フレーム20,20の左右間にエンジン30を支持する前後の支持プレート29,29を設ける。
該前後の支持プレート29,29には、中央連結フレーム28の左右両側でエンジン30を受ける受けプレート29a…が各々設けられている。
そして、前記前後の支持プレート29,29の左右両側に、後側梁フレーム17の下方を通過して後方に突出する左右の補助フレーム31,31を設け、該左右の補助フレーム31,31の後部を左右方向の後部補助フレーム32で連結する。なお、該左右の補助フレーム31,31の後端部は、前記左右の後輪伝動ケース11a,11aに連結する。
上記により、メインフレーム15が構成される。該メインフレーム15のうち、前側梁フレーム16から後側梁フレーム17までの前後幅、及び左右の前側連結フレーム19,19及び後側連結フレーム20,20の左右幅を、作業者が搭乗するフロアステップ33で覆う。該フロアテップ33は一体形成して強度を向上させたり部品数を減らしたりするものや、前側と後側、左側と右側で各々分割可能に構成し、着脱を容易にするものを用いる。
上記では、図3に示すとおり、前記中央梁フレーム18と後側梁フレーム17の左右両側端部の周辺と、左右の延長フレーム27,27がフロアステップ33に覆われず、露出する。このとき、前記フロアステップ33を拡大してメインフレーム15の全体を覆う構成としてもよいが、大きさや植付作業条数の異なる機体間でのフロアステップ33の共用化を図るべく、フロアステップ33の左右両側に、左右の延長ステップ34,34を各々配置する構成とする。
上記構成により、メインフレーム15は複数のフレーム構成体を連結して構成しているので、従来に比べて強度の向上が図られている。
また、エンジン30を搭載する前後の支持プレート29,29の下部に中央連結フレーム28を配置すると共に、前後の支持プレート29,29を左右の後部補助フレーム32,32と連結したことにより、重量物であるエンジン30を強固に保持することができる。
前記走行車体2の前側には、図1、図2に示すとおり、上部に機体を操舵するハンドル35、無段変速装置14や作業装置4を操作する変速操作レバー36、走行車体2の走行伝動を切り替える副変速切替装置(図示省略)を操作する副変速操作レバー37及び機体各部の操作を行う操縦パネル38を上部に備えるボンネット39を設ける。該ボンネット39の前側には開閉可能なフロントカバー40を設け、該フロントカバー40の内部には、燃料タンクやバッテリ、前記ハンドル35の操舵に前記左右の前輪10,10、及び左右の前輪伝動ケース10a,10aの下部側を回動させる連動機構(図示省略)を内装する。
また、前記フロントカバー40の前方には、作業装置4の作業状態や作業時に消費される作業資材の減少、及び後述する自動操舵装置205の作動、非作動等の各種情報をLED等の点灯で表示するセンターマスコット70を設ける。該センターマスコット70は、側面視において、機体下部側で且つ機体後側に配置される作業表示部71と、機体上部側で且つ機体前側に配置される自動直進表示部72で構成される。
そして、前記ボンネット39よりも機体後側で、且つ前記エンジン30の上方に、エンジン30の上方及び側方を覆うエンジンカバー30aを設け、該エンジンカバー30aの上部に作業者が着座する作業座席41を設ける。
さらに、該作業座席41の後側で、具体的にはメインフレーム15の後端側に前記施肥装置5を積載する。該施肥装置5の駆動力は、左右の後輪伝動ケース11aの左右一側から施肥装置5に向かって配置される施肥伝動機構5aによって伝動される。
前記ミッションケース13の前側には、前記左右の前輪伝動ケース10a,10aに伝動する前側伝動シャフト(図示省略)と、ミッションケース13の後部には、前記左右の後輪伝動ケース11a,11aに伝動する左右のドライブシャフト42,42を設ける。該左右のドライブシャフト42,42よりも伝動方向上手側には、左右のドライブシャフト42,42への伝動を入切するサイドクラッチ機構43,43が配置されており、前記ハンドル35を切操作して走行車体2を旋回操作させると、旋回内側に位置するサイドクラッチ機構43が切状態になり、旋回内側の後輪11への伝動を停止させる構成としている。
図3に示すとおり、前記ミッションケース13の後側の左右中央付近に左右のクラッチ入切軸44,44を上下方向に設け、該左右のクラッチ入切軸44,44の上部に機体外側に向かうクラッチ入切アーム45,45を各々設ける。そして、前記操縦座席41の前側下部で且つ左右一側には、左右のサイドクラッチ機構43,43を入切操作するサイドクラッチペダル43a,43aを設ける。
また、図1、図2に示すとおり、作業装置4の下方には、圃場面に接地して滑走するセンターフロート62Cと左右のサイドフロート62L,62Rを設けると共に、該センターフロート62Cと左右のサイドフロート62L,62Rよりも機体前側に、圃場面の凹凸を整地する整地ロータ63を設ける。該整地ロータ63への駆動力は、左右一側の後輪伝動ケース11aに設ける整地伝動シャフト65により伝動される。また、左右一側の後輪伝動ケース11aには、整地ロータ63への伝動を入切する整地クラッチ66を設ける。
前記センターフロート62Cには、該センターフロート62Cの回動角度を検知する回動ポテンショメータ64を設け、該回動ポテンショメータ64の回動角度が所定角度以上変化すると圃場の深さが変化したと判断し、制御装置100が前記昇降シリンダ25を伸縮させて昇降リンク機構3を上下回動させ、作業装置4の上下高さ、即ち作業位置を圃場の深さに対応させる構成とする。
圃場内で前記作業装置4を用いて苗の植付や種子の播種作業、あるいは苗の生育後の追肥や除草等の作業を行うときは、圃場の一側から他側に向かって走行車体2を直進走行させることが一般的である。しかしながら、走行車体2は、圃場の耕盤の凹凸や表土の粘性により車輪が直進方向からずれた方向を向くと、次第にずれた方向に移動してしまうことがある。また、作業者の操縦技術によっては、走行車体2を直進方向に合わせられず、直進からずれた方向に移動させてしまうことがある。
これにより、苗の植付や播種、除草や追肥等の作業軌跡が斜め方向になり、本来苗の植付や播種が可能な個所が空きスペースとなり、後から作業者が手作業で植付や播種を行う必要が生じ、作業者に余分な労力を生じさせることや、苗の植付条間や播種条間が作業装置4の条間よりも狭くなり、風通しが悪くなって病虫害が発生することがある。あるいは、除草作業や追肥作業等の、植付や播種の後工程の作業を行う際、苗を踏み潰してしまい、収量の低下を招くことや、苗を踏み潰さないように操縦することにより、作業能率を低下させる問題が生じることがある。
これら問題を解決するには、作業者の手によらず、走行車体2を自動操舵させ、直進走行姿勢を維持させる、いわゆる自動直進システムを搭載することが考えられる。
まず、図1、図2に示すとおり、走行車体2に、GPS(GNSS)アンテナ200を装着するアンテナフレーム201を設ける。該アンテナフレーム201は、前記メインフレーム15の前側に設ける左右のアンテナステー202,202に左右の基部を装着する、正面視で門型の前側フレーム201aと、該前側フレーム201aの左右中央部から機体後方に向かい、走行車体2の後側の左右中央部に向かう後側フレーム201bで構成する。なお、門型の該前側フレーム201aの空間部の後方には、前記ボンネット39や操縦座席41が位置するものとする。
また、前記アンテナフレーム201の上下高さは、機体中最も高くする。作業者がフロアステップ33上に立った状態で頭をぶつけることを防止しつつ、且つ受信精度を向上させるべく、アンテナフレーム201の上端部は、地表から2.5〜3.5m程度に位置するものとする。
これにより、作業者はフロアステップ33上を移動しやすく、作業能率が向上すると共に、GPSアンテナ200を地表から上方に離間させることができるので、受信精度の向上が図られる。
該前側フレーム201aと後側フレーム201bの接続部付近には、前記GPSアンテナ200を装着する。なお、前側フレーム201aと後側フレーム201bの接続部は、ボンネット39と操縦座席41の前後間附近であり、前記走行車体2の前後方向の中央部付近である。
上記により、GPSアンテナ200の取付位置を機体の前後及び左右方向の中央部付近になるので、取得される機体の座標が実際の機体の位置から離れたものとなりにくく、自動直進システムによる直進走行位置の設定が適切になり、作業精度が向上する。
また、前側フレーム201aの空間部の後方に操縦座席41が位置することにより、アンテナフレーム201が作業者の視界を遮ることを防止できるので、視認性が向上し、直進走行前の位置合わせが正確になると共に、機体前方の圃場の状態や障害物を早めに見つけられるので、作業者による手動操作に切り替えて安全且つ作業位置のずれを抑えることができる。
なお、GPSアンテナ200は、単独測位方式、DGPS(相対測位)方式、RTK(干渉測位)方式等のうち、作業をする地域に適したものを用いるとよい。
しかしながら、機体の傾斜や振動の影響によりGPSアンテナ200の地上高が変動すると、実際の機体位置と異なる座標位置が測定され、受信精度が低下すると共に、直進からずれた方向に機体が走行してしまう問題が生じる。
これを防止すべく、図6に示すとおり、GPSアンテナ200に加えて、IMU(慣性計測装置)203を設ける。該IMU203は、走行車体2が傾斜姿勢になるときの地表からGPSアンテナ200までの高さと、傾斜していないときの地表からGPSアンテナ200までの高さの差に基づき、GPSアンテナ200が取得した位置座標を制御装置100に修正させるものである。
なお、地表からGPSアンテナ200までの高さは、前記走行車体2の傾斜等の挙動を、IMU203に内蔵される三軸の加速度センサと角速度センサで計測して割り出すものとする。
これに加えて、自動直進システムによる機体の走行方向が正しいかどうかをより確実に制御装置100に判定させるべく、方位センサ204を設ける。
このときの位置座標の補正については、図7のS1からS5に示すとおりである。
これにより、機体の進路を計測される方位により定めることができるので、直進走行の精度がいっそう向上する。
前記GPSアンテナ200が取得する位置情報は、IMU203と方位センサ204が検出する情報に基づき、制御装置100により補正される。そして、制御装置100は、現在の位置情報と先に取得されている位置情報を比較し、位置情報の相違が許容範囲を超えていると、機体を直進走行位置に戻すべく、左右の前輪10,10を左右方向に操舵させる。
上記の左右の前輪10,10の操舵、あるいはクローラ等の信地旋回を自動化すべく、前記ハンドル35を操舵アクチュエータ206で回動させる自動操舵装置205を設ける。該自動操舵装置205は、図8のS6〜S9に示すとおり、前記制御装置100が算出した現在の位置情報のX座標と、先に取得されている基準となる位置情報のX座標の差異に基づき、操舵アクチュエータ206の作動量が変動されることで、機体を直進走行位置に向かわせるべく、ハンドル35を左右に切ると共に、直進走行位置に来ると操舵アクチュエータ206を停止させてハンドル35の自動操舵を停止させるものである。
なお、操舵アクチュエータ206は、電動や油圧式のモータ、あるいはシリンダで構成する。
上記構成により、算出された位置情報のX座標の差異に合わせてハンドル35が自動的に操舵され、機体を直進走行位置に自動的に合わせることができるので、作業装置4による作業位置が左右方向にずれることが防止され、圃場内に作業が行われない箇所が発生しにくくなる。これにより、作業が行われなかった箇所に、後から人手で作業を行う必要が無くなり、作業者の労力が軽減される。
また、前工程の作業条と現在の作業条の作業位置が重複することを防止できるので、苗、種子や肥料等の作業資材を余分に消費することが防止され、作業コストの低減が図られると共に、作業資材の過剰供給による生育不良の発生が防止される。
なお、耕耘機を装着したトラクタや、苗移植機や播種機は、作業条の圃場端まで走行し、約180度旋回して次の作業条に移動する。旋回走行中に自動直進システムが作動していると、機体が直進走行すべき位置からずれていると判断して操舵アクチェータ206を作動させ、旋回軌跡を乱すおそれがある。したがって、自動直進システムは、機体を旋回させる際にオフにする構成とする必要がある。ハンドル35を旋回操作すると自動直進システムがオフになる構成とすることも考えられるが、圃場の状態等によって機体の進行方向が大幅にずれたり、障害物を回避すべく作業者がハンドル35を旋回操作と同等以上に大きく操作したりした際に自動直進システムがオフになるので、作業者が直進途中で自動操舵システムを再度オンにせねばならず、作業者の手間が増えると共に、自動直進システムがオフになったことに気付かず、作業位置がずれたまま機体が走行し、作業精度が低下する問題が生じる。
また、ハンドル35を旋回から直進に戻す操作で自動直進システムをオンにすることが考えられるが、旋回から直進に戻る際、次の作業条における直進位置に機体を合わせるには、細かいハンドル35の操舵操作を行う必要がある。この操作中に自動操舵システムがオンになっていると、機体が直進走行位置からずれたと制御装置100が判断すると操舵アクチュエータ206が作動してしまい、機体の位置が本来直進走行すべき位置に合わせられなくなる問題がある。
この問題の発生を防止し、機体を適切な方向に直進走行させると共に、適切な区間で作動することが可能な自動直進システムについて、図6及び図8から図11を用いて説明する。
なお、走行車体2の前後進方向の位置座標をY座標とすると共に、走行車体2の前後進方向と直交する方向、即ち左右方向の位置座標をX座標とする。
まず、走行車体2に、自動直進の開始点である圃場の一側と自動直進の終了点である圃場の他側の座標を取得させると共に、自動直進システムを入切する、自動直進設定部材207を設ける。該自動直進設定部材207は、上下方向、左右方向、押込状態と戻り状態など、少なくとも二方向に操作可能な部材を少なくとも一つ装着するか、あるいは二つ以上の操作部材を装着するものとする。
本願では、自動直進設定部材207として、図4に示すとおり、上下方向に操作可能なフィンガアップレバーを装着するが、トグルスイッチやプッシュスイッチ、ジョイスティック等を用いてもよい。
これにより、部品点数の削減が図られると共に、基準位置(第1基準位置A、第2基準位置B)の取得操作と、自動操舵装置205の入切操作を、同じ側の片方の手で自動直進設定部材207を操作すればよいので、操作性が向上する。
図4に示すとおり、該自動直進設定部材207を第1の方向W1、本願では機体上方に向けて操作する(S10およびS11、図9参照)と、操作された位置で前記GPSアンテナ200を利用して位置情報が取得され、IMU203と方位センサ204の検出結果を用いて制御装置100が算出した位置座標が記録される。なお、自動直進設定部材207の第1の方向W1への操作が、基準位置取得部材の操作に該当する。
前記自動直進設定部材207を操作したとき、他の位置座標の記録が無いときは、算出した位置座標を第1基準点Aとして記録し(S12およびS14)、該第1基準点Aが記録されているときは、算出した位置座標を第2基準点Bとして記録する。該第1基準点Aと第2基準点Bが記録されているときに前記自動直進設定部材207が操作された時は、位置座標を記録しない。
なお、圃場内の作業途中で、自動直進が精度よく行えなくなった時等には、第1基準点A及び第2基準点Bを取得し直す必要があるので、図10に示すとおり、このときは前記自動直進設定部材207を所定時間(例:2〜3秒)に亘って第1の方向W1に操作する(S22およびS23)と、記録されている第1基準点A及び第2基準点Bが消去される(S24〜S27)設定とするとよい。あるいは、操作すると第1基準点A及び第2基準点Bが削除される、記録消去用のボタン(図示省略)を設けてもよい。
自動直進システムの直進走行の基準位置となる前記第1基準点A及び第2基準点Bは、距離が近いほどX座標のズレは小さいが、二点間の距離が短ければ、自動直進を用いなくてもおおよそ直進走行は可能である。また、二点間の距離が短くなるときは、作業者が意図せず自動直進設定部材207に触れてしまい、第2基準点Bを取得するという状況が考えられる。
この問題の発生を防止すべく、前記自動直進設定部材207を操作して第2基準点Bを取得する際、第1基準点Aを取得した位置からの距離が所定距離未満、例えば8〜12m未満であるときは、制御装置100は第2基準点Bを削除し、記録させないものとする。その後、再度自動直進設定部材207が操作され、第1基準点Aを取得した位置からの距離が所定距離以上であれば(S13およびS15)、制御装置100は第2基準点を記録させ(S16)、基準線Rを作成する(S17)ものとする。
なお、図11に示すとおり、第1基準点Aを取得した(S28およびS29)状態で、第2基準点Bを取得せずにハンドル35を所定時間内に所定量以上に操作し(S30およびS31)、走行車体2を旋回させたとき、制御装置100は、記録した第1基準点Aを削除する(S32)。その後、前記自動直進設定部材207が第1の方向W1に操作されると、制御装置100は、GPSアンテナ200により取得したその場所の位置座標を、第1基準点Aとして記録し、第1基準点AのY座標と第2基準点BのY座標を結ぶ線が直線状にならなくなることを防止する構成としてもよい。
これにより、圃場の一端と他端の所定位置、例えば、直進走行を終えて走行車体2が旋回を開始する位置と、旋回終了後に作業装置4を下降させて直進走行を開始する位置に第1基準点Aと第2基準点Bを設定することができ、作業装置4を下降させて直進走行する位置で自動直進システムを作動させ、作業位置が進行方向に対して左右方向にズレない、高精度な作業が可能になる。
また、作業者の誤操作により第2基準点Bが実際に設定すべき位置と異なることを防止できるので、次の作業条で第1基準点Aと第2基準点Bを取得し直す必要が無く、自動直進を用いる作業条を増やし、圃場内の作業精度を一層向上させることができる。
なお、圃場に入ってから最初に作業を行う作業条では、所定位置で自動直進設定部材207を第1の方向W1に操作して、上記の第1基準点Aと第2基準点Bを取得する作業が必須になるので、自動直進を用いず、作業者がハンドル35を操作して、機体を直進走行させることになる。
上記のとおり、自動直進設定部材207の操作によって第1基準点Aと第2基準点Bを取得していると、該第1基準点Aと第2基準点Bの各Y座標を結んだ基準線Rが、自動直進の目安となる線となり、走行中の機体の位置座標のX座標が、自動直進の目安となる線のX座標と合致しているか否かを判定し、合致していなければ自動操舵装置205により合致する方向にハンドル35を自動操舵させることで、自動直進走行を実現することができる。
上記の自動直進走行は、第1基準点Aと第2基準点Bが記録されており基準線Rが作成されている(S18)状態で、自動直進設定部材207を第2の方向W2、本願では機体下方に向けて操作することで開始される(S19およびS21)。自動直進設定部材207を第2の方向W2に操作すると、制御装置100は、GPSアンテナ200が取得する位置座標のY座標と基準線RのY座標を比較し、前記操舵アクチュエータ206を作動させてハンドル35を左右方向に回転させ、走行車体2を直進走行すべき位置に移動させる制御を開始する。なお、自動直進設定部材207の第2の方向W2への操作が、入切部材の操作に該当する。
この自動操舵制御は、前記ハンドル35が所定の時間内に走行車体2を旋回させる角度まで操作されるか、前記自動直進設定部材207が第2の方向W2に操作されると終了する(S20)。前記ハンドル35の操舵角度は、ハンドルポテンショメータ35aによって検知するものとする。
なお、第1基準点Aまたは第2基準点BのY座標と一致する場所に走行車体2が到達すると、自動直進制御が終了される構成としてもよい。
上記のとおり、自動直進制御は、ハンドル35を旋回操作するか、圃場端における旋回走行の開始地点付近に到達することで終了される。走行車体2が旋回走行する位置は、圃場端に近い位置であるので、自動直進制御に任せて作業者が操縦以外の作業を行っていると、旋回操作が遅れると予定外の位置に苗の植付が行われると共に、走行車体2が圃場端まで移動してしまい、旋回を行う位置まで後進が必要になり、作業能率が低下する問題が生じる。
なお、図12は、第1基準位置A、第2基準位置B、基準線R、及び目標位置と現在の機体の位置を示す模式図である。
この問題を防止すべく、図6及び図13に示すとおり、前記整地クラッチ66の入(作動)及び切(停止)による整地ロータ63の入切を検知する作業検知センサ209を設け、該作業検知センサ209が整地ロータ63の入(作動)を検知した(S33)とき、制御装置100は、走行車体2の位置座標(X座標及びY座標)である、目標位置座標(終了基準位置)を取得する(S34およびS35)。なお、該目標位置座標は、制御装置100、あるいは制御装置100に付随するメモリ領域に、少なくとも二ヵ所分を同時に保持可能とする。
なお、作業検知センサ209による目標位置座標(終了基準位置)の取得は、整地ロータ63の入切の代わりに、作業装置4の上昇または下降、作業装置4への伝動の入または切、ハンドル35の旋回開始操舵または旋回終了操舵等を条件として行う構成としてもよい。
そして、位置座標を取得した作業条の次の作業条において、前記自動操舵装置205を作動させて走行車体2を自動直進走行させるとき、制御装置100は、GPSアンテナ200が取得する現在位置座標のY座標から、直前の作業条(直近の作業条)で取得した目標位置座標のY座標までの距離を逐次算出する(S36)。このとき、制御装置100は、目標位置座標のX座標を現在位置座標のX座標に補正する構成としてもよい。
そして、現在位置座標から目標位置座標までの距離が所定距離、例えば8〜12mになる報知位置に走行車体2が到達する(S37)と、走行車体2が圃場端に接近しており、前記自動直進設定部材207を第2の方向W2に操作して自動直進制御を終了させる必要があることを作業者に知らせるべく、ブザーやランプ、あるいは画面上に数値や文字を表示する、報知装置208が作動する(S38)構成とする。
なお、該報知装置208に数値や文字を表示するのは、走行車体2に表示パネル(図示省略)を設ける構成や、作業者が持ち込む情報端末(スマートフォン、タブレット等)に情報を送信して表示させる構成が考えられる。
なお、目標位置座標を取得していない作業条においては、走行車体2と目標位置までの距離を算出できないので、作業者は目視で圃場端を確認し、自動直進制御が不要と判断した位置で自動直進設定部材207を操作する必要がある。
現在位置座標から目標位置座標までの距離については、前記左右の後輪11,11への左右のドライブシャフト42,42の回転を検知する後輪回転センサ210,210を設け、前記整地ロータ63を入にした位置から該後輪回転センサ210,210が検知した回転数を元に、制御装置100が移動距離を算出し、該移動距離と整地ロータ63を入にした位置のY座標位置までの距離を算出し、所定距離以内であれば報知装置208を作動させる構成としてもよい。
しかしながら、報知装置208が作動しても、作業者が気付いて自動直進制御を終了させなければ、走行車体2を適切な位置で旋回させることはできない。これに対応すべく、前記報知装置208が作動してから所定距離(例えば、2〜5m)に亘って、自動直進設定部材207が第2の方向W2に操作されることなく走行車体2が前進走行した(S39〜S41)とき、前記制御装置100は、前記無段変速装置14のトラニオン軸14aを回動させ、走行車体2を減速させる(S42)。
あるいは、距離でなく、前記報知装置208が作動してから所定時間(例えば、2〜5秒間)に亘って、自動直進設定部材207が第2の方向W2に操作されることなく走行車体2が前進走行したとき、前記制御装置100は、前記無段変速装置14の出力を低下させ、走行車体2を減速させる。
上記の走行車体2の減速は、前記無段変速装置14のトラニオン軸14aをトラニオンアーム(図示省略)を介して回動させるHSTサーボモータ211を作動させ、該トラニオン軸14aを減速側に回動させることによって行われる。
これにより、圃場端に接近すると走行車体2の走行速度が低下するので、作業者に圃場端の旋回位置が近付いていることを認識させることができ、適切な軌跡で旋回走行が行える。したがって、作業装置4が、圃場の外周の四辺、所謂枕地で重複して対地作業を行い、余分に作業資材(苗、肥料、薬剤等)を消費することが防止される。
また、旋回後に整地ロータ63を入にして整地作業を開始する位置を、旋回前に整地作業を終了した位置に合わせることができるので、整地ロータ63による整地作業が行われない箇所の発生、及び作業装置4による対地作業行われない箇所の発生が防止される。これにより、整地作業が行われなかった箇所について、苗の植付深さが乱れる、肥料の浸透具合が異なる、走行が乱れるといった問題の発生が防止されると共に、対地作業が行われなかった位置について、作業者が手作業で作業を行う必要がなく、作業者の労力が軽減される。
上記の自動減速は、時間経過により走行速度が漸減するものとし、緩やかに減速される制御構成とすると、作業装置4による対地作業精度、及び整地ロータ63の整地精度が低下することや、作業者が揺さぶられることが防止される。
あるいは、自動減速の開始後、一回、または所定時間ごとに複数回、急激な減速を行う制御構成とすると、走行車体2の揺れにより、作業者が圃場端の接近に気付きやすくなる。
また、自動減速制御が行われている所定時間(第2所定時間)内に、前記自動直進設定部材207を操作して自動直進制御を解除する(S43およびS44)と、制御装置100は、その時点の走行速度を維持する構成としてもよい。これにより、作業走行が停止しないので、圃場端での旋回走行に速やかに移行することができ、作業能率の低下が防止される。
あるいは、予め設定されている走行速度、または自動減速が開始された時点での走行速度に変速すべく、制御装置100は、無段変速装置14のHSTサーボモータ211を作動させて、トラニオン軸14aを増速側に回動させる構成としてもよい。
走行速度が自動的に増速されることにより、作業者が変速操作レバー36を操作して走行速度を増速する必要がなくなるので、操作性が向上する。
報知装置208の作動に加えて、上記の走行車体2の自動減速制御により、走行車体2が圃場端、具体的には圃場端付近の旋回位置を認識することが期待されるが、作業者が別の作業に没入している、あるいは作業者が失神する等して、走行速度の自動減速にも気付かない可能性は想定される。
したがって、前記走行車体2の自動減速制御は、前記無段変速装置14が前進、後進のいずれの走行速度も増減させない中立状態になるまで行われる。このとき、前記エンジン30は停止させない。これにより、その場に走行車体2を停止させる(S45)ことができるので、圃場端、所謂畦に機体が接触するまで前進することが防止され、機体の破損や、作業復帰するべく機体を後進させる距離が抑えられる。
圃場端への接近により走行車体2の走行が自動停止したとき、走行車体2の走行速度の増減、及び前後進を操作する変速操作レバー36を中立位置に戻すと、制御装置100は無段変速装置14による走行速度の増減操作を受け付ける状態にする。その上で、前記変速操作レバー36を前進側に操作すると、走行車体2の走行が再開される。当然のことではあるが、前記副変速操作レバー37を中立位置に操作し、駆動力が走行系統に伝動されない状態では、副変速操作レバー37を走行伝動が行われる位置に操作するまで、走行は開始されない。
上記の自動直進制御の基準となる、第1基準点Aと第2基準点B、及び第1基準点Aと第2基準点Bを結ぶ基準線Rは、圃場の一端から他端に向かう直進作業走行、及び圃場の他端から一端に直進作業走行する際に必要である。
しかしながら、圃場の四辺、所謂枕地の作業走行は、直進作業走行であるものの、上記の直進作業走行と異なる進行方向になる作業辺が一辺は存在し、その作業辺では前記基準線Rを用いても、自動直進制御を行うことはできない。
また、圃場の外において、機体を移送用のトラックの荷台等に移動させるときや、納屋などに収納する際に、誤って自動直進設定部材207を第2の方向W2に操作して自動操舵装置205を作動可能な状態にしていると、機体を移動させる際に基準線(R)のX座標と機体のX座標が不一致となり、直進走行位置からずれていると判断され、自動操舵装置205がハンドル35を自動操舵させることが起こり得る。これにより、機体の進路が本来走行すべき進路からずれた位置になり、機体の積み込みや収納作業に余分な手間が生じることになる。
これを防止には、圃場から機体が退出する前に、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを消去する必要がある。図6及び図14に示すとおり、走行車体2が圃場の四辺のうち、直進作業走行する進行方向に直交する進行方向を少なくとも一辺含む、三辺の走行が行われる(S46〜S49)と、枕地作業が行われたと判断して、制御装置100が第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除させる(S50およびS51)。
枕地での走行車体2の進行方向は、GPSアンテナ200が取得する走行車体2の位置座標のうち、X軸座標またはY軸座標の変化が連続することで判定される。
これにより、圃場内を機体が走行している間に第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除することができるので、圃場外に出てから自動直進設定部材207を操作しても自動直進が行われることがなく、予定の進行方向からずれた方向に走行することが防止され、作業能率の低下が防止されると共に、作業の安全性が向上する。
また、機体を別の圃場に移動させたとき、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rが記録されていないことにより、作業中の圃場に適さない基準線Rに基づき自動直進制御が行われることを防止できるので、自動直進の精度が向上する。
なお、圃場外に移動したときは、短時間で移送用のトラックに移動させる、あるいは納屋に移動させるべく、前記副変速操作レバー37を走行ポジションに操作する。この走行ポジションへの副変速操作レバー37の操作を検知する副変速位置検知スイッチ37aを設け、副変速位置検知スイッチ37aが走行ポジションに副変速操作レバー37が操作されたことを検知すると、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除する構成としてもよい。
第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rの削除を、圃場内では使用しない走行ポジションへの副変速操作レバー37の操作に基づき行うことにより、枕地走行時に第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rが削除されていないとき、確実に削除することができるので、走行車体2の移動や別の圃場の作業時に自動直進制御が行われることがなく、作業精度の低下が防止される。
また、副変速操作レバー37の誤操作により、圃場内で誤って第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除することを防止できるので、第1基準点Aと第2基準点Bを取得し直す作業条で自動直進が使えなくなることが防止され、作業精度が向上する。
あるいは、前記IMU203や、走行車体2の前後及び左右方向の傾斜を検知する傾斜センサ212を用いて、走行車体2が所定角度以上(例えば、10〜15度)前上がり傾斜姿勢になると、制御装置100は、第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除する構成としてもよい。
圃場から出る際、圃場の出入口を通過する走行車体2は作業中には略なり得ない角度の前上がり傾斜姿勢になるので、この傾斜角度が検知されたときは、圃場から出るときであると判断できる。
これにより、枕地走行時に第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rが削除されていないとき、確実に削除することができるので、走行車体2の移動や別の圃場の作業時に自動直進制御が行われることがなく、作業精度の低下が防止される。
なお、圃場や作業の内容によっては、走行車体2を後進させて出入口から出ることも考えられるので、前上がり傾斜角度だけでなく、後上がり傾斜角度に基づき第1基準点Aと第2基準点B、及び基準線Rを削除する制御構成としてもよい。
前記自動操舵装置205により、走行車体2を自動直進走行させているときであっても、作業装置4等が消費する作業資材の補充作業や、機体や圃場に何らかの問題が発生したとき等には、作業者が走行を停止させる必要がある。この走行停止操作は、前記変速操作レバー36を中立位置に操作して無段変速装置14を中立にする、ブレーキペダルを踏んでブレーキを利かせる、サイドクラッチペダル43aを踏んでサイドクラッチ43を切状態にする、という方法が考えられる。
上記の何れかの方法で走行車体2の走行を停止させたときであっても、制御装置100は、前記自動操舵装置205を停止させない構成とする。
これにより、変速操作レバー36を前進操作する、ブレーキペダルやサイドクラッチペダル43aの操作を解除するなどして、走行停止を解除すると、すぐに自動直進走行に復帰することが可能になり、作業能率の低下が防止される。
しかしながら、停止中にハンドル35が手動操舵される、あるいは自動操舵装置205が作動してハンドル35が自動操舵されると、自動直進走行の再開時の進行方向が停止時の進行方向からずれてしまい、走行車体2の進行方向が直線状でなくなるおそれがある。
特に、走行車体2が停止していると、GPSアンテナ200が取得する位置座標は、地球の自転やGPS衛星の公転等の影響を受けやすく、実際の走行車体2が存在する位置とは異なる位置座標を取得することがあり、基準線Rから離れた位置にある、と誤認されやすくなる。
これを防止すべく、前記変速操作レバー36の操作位置を検知するレバーポテンショメータ36a、ブレーキペダルやクラッチペダルの踏込操作を検知する踏込検知スイッチ213を設け、自動直進走行中に走行を停止させる操作が検知されると、制御装置100は、ハンドル35の操舵操作を反映しない、あるいはハンドル35を動かなくする構成とする。
ハンドル35の操舵操作を反映しない構成とは、停車時の走行車体2の位置座標のX座標が基準線RのX座標から所定値以上ずれていても、操舵アクチュエータ206を作動させないことを意味する。
また、ハンドル35を動かなくする構成とは、操舵アクチュエータ206の作動トルクを高くし、ハンドルロック状態にすることを意味する。
上記構成により、走行再開後の進行方向がずれることを防止できるので、作業走行が直線状で行われ、作業精度の向上が図られる。
前記ハンドル35は、自動直進走行中は操舵アクチュエータ206により自動操舵されるが、進路上の圃場の状態が自動直進走行に適さない(荒れている、圃場深度が深い、等)、障害物が存在する等の状況では、手動操作により回避行動をとる必要がある。
前記操舵アクチュエータ206によるハンドル35の操舵操作は、次の構成により行われる。該ハンドル35の操舵操作に連動して回動するハンドル軸351の下部には入力ギア352を設け、操舵アクチュエータ206には出力ギア353を設ける。
該入力ギア352と出力ギア353は、ハンドル35及び操舵アクチュエータ206の下方に配置される操舵ギアケース354に内装される。そして、該入力ギア352と出力ギア353の間には、伝動比を変更して駆動力を伝動する中継ギア355を設ける。
該入力ギア352、出力ギア353及び中継ギア355のギア比は、ハンドル35の手動操作を妨げることを防止すべく、操舵アクチュエータ206が作動していても、手動操作によるトルクが強くなるギア比とする。
これにより、自動直進中であってもハンドル35の手動操作に要する力が増大することを防止できるので、操作性が向上すると共に、走行に影響し得る状態の圃場や障害物を確実に回避することができるので、作業の安全性が確保される。
ここからは、本実施の形態の苗移植機のより具体的な構成および動作についての説明を始める。
作業装置4、センターフロート62Cおよび整地ロータ63は、走行車体2へ取付けられた装置である。ハンドル35は、走行車体2を操舵する部材である。GPSアンテナ200は、走行車体2の位置情報を取得する装置である。自動直進設定部材207は、走行車体2を直進させるときに利用される基準位置情報を取得するためのユーザ指示を受付ける部材である。自動操舵装置205は、走行車体2を直進させるようにハンドル35を操作する装置である。制御装置100は、基準位置情報に基づき、自動操舵装置205にハンドル35を操作させるための自動直進制御を実行する装置である。制御装置100は、基準位置情報に基づき、直進基準線R、および直進基準線Rと平行な単数または複数の直進目標線Tを算出し、無線通信を利用して、走行車体2へ載置されたタブレット端末1000に直進基準線Rおよび直進目標線Tを表示することができる。
基準位置情報として取得される走行車体2の位置情報は、より正確な基準位置情報が得られるように、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に応じたタイミングで算出されてもよいし、ユーザ指示に関わりなく定期的に算出される位置情報の内からユーザ指示に応じて選択的に特定されてもよい。
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
すなわち、位置情報は、走行軌跡Lの表示などを行うために、GPS衛星から送信されてくる信号を受信することにより、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に関わりなく定期的に算出されている。このような定期的な位置情報の算出は、GPS衛星から送信されてくる信号の全部を利用してかなり小さい時間間隔で行われてもよいし、GPS衛星から送信されてくる信号の一部を利用してやや大きい時間間隔で行われてもよい。位置情報の算出がかなり小さい時間間隔で行われる前者の場合には、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に最も近いタイミングで算出された位置情報が基準位置情報として好適に採用される。位置情報の算出がやや大きい時間間隔で行われる後者の場合には、自動直進設定部材207を利用するユーザ指示に最も近いタイミングで算出された位置情報が基準位置情報として同様に採用されてもよいが、より正確な基準位置情報が得られるように、ユーザ指示に応じたタイミングで特別に算出された位置情報が基準位置情報として好適に採用されてもよい。
GNSSアンテナ200と、三軸の加速度センサおよびジャイロスコープなどの角速度センサを有する慣性計測装置としてのIMU203と、ステアリングモータとしての操舵アクチュエータ206と、を搭載し、自動直進する田植機などのような苗移植機において、自動直進のセット、リセットが可能な自動設定スイッチと、圃場毎に自動直進の直進基準線Rが始まる第1基準点A、および直進基準線Rが終わる第2基準点Bを指示する操作スイッチと、を兼ねる自動直進設定部材207を設け、直進基準線Rと、直進基準線Rに平行な直進目標線Tと、をタブレット端末1000等のモニタに表示する構成とし、直進基準線Rや直進目標線Tの情報は、ブルートゥース(登録商標)などのような無線通信で車両コントローラとしての制御装置100の無線送受信部100yからタブレット端末1000に送信する。
もちろん、第1基準点Aおよび第2基準点Bを指示するこのような操作スイッチは、自動直進の自動設定スイッチとは別に設けられたスイッチであってもよい。
市販の自動直進ガイダンス装置は、A−B点操作が行われる、走行車体2に固定された本体モニタと、GPSアンテナ200と、の間においては、有線通信で信号が検出されている。
本実施の形態においては、市販タブレットとしてのタブレット端末1000が無線通信を介して使用可能となり、容易に自動直進ガイダンスを提供できる。
そして、本実施の形態の苗移植機は、自動直進ガイダンス機能なしでも、運転操作および案内ガイドなどに関する情報を表示する機能を有する商品として成立する。
たとえば、作業装置情報も加味された走行車体2の左右幅を示す仮想線とともに、直進目標線Tをタブレット端末1000に表示することにより、自動操舵装置205による機体の直進が正しいかどうかを直感的に判断しやすくなるので、走行位置が自動直進すべき位置から離れていても早期に修正が可能であり、正確な直進走行作業が可能になる。
着脱可能なタブレット端末1000を情報の表示装置とすることにより、専用のディスプレイが必要でなくなるので、部品数の削減が図られると共に、連結用のハーネスも不要になり、メンテナンス性が向上する。また、直進目標線Tの表示が不要であれば、タブレット端末1000も省略できる。
自動直進設定部材207がユーザ操作レバーとして実装されるので、直進走行の基準位置が、上述された従来技術におけるように、誤操作による作業装置4などの入切にともなって自動的に取得されてしまうことは防止される。
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
タブレット端末1000のディスプレイに基準線Rと走行軌跡Lが表示されることにより、自動操舵装置205が作動しているかどうかや、自動直進走行に異常が生じていないかどうかを視覚的に判断することができ、自動操舵装置205を作動させ忘れたまま作業走行を行い、作業軌跡が乱れることや、自動直進走行が本来走行すべき軌跡を外れることが防止される。
そして、タブレット端末1000は着脱可能に車体に装着され、自動操舵装置205を制御する制御装置100の無線送受信部100yに無線接続されるので、装置の部品数が増えず、メンテナンス性が低下する問題がない。
また、タブレット端末1000のディスプレイは自動直進の基準線Rと走行軌跡L等のような直進走行に関する情報のみが表示されるものではないので、他の情報を表示する別のディスプレイを用意する必要がない。これにより、作業者は複数のディスプレイを見る必要がないので、作業者の労力が増加しないと共に、ディスプレイが複数箇所に配置されないことにより、機体周辺の視認性が悪くなる問題がない。
基準位置情報は、直進基準線Rが始まる第1基準点Aに対応する第1基準位置情報と、直進基準線Rが終わる第2基準点Bに対応する第2基準位置情報と、である。第1基準位置情報が取得されると、走行車体2の走行軌跡Lがタブレット端末1000に表示される。第2基準位置情報が取得されると、直進目標線Tがタブレット端末1000に表示される。
タブレット端末1000が制御装置100の無線送受信部100yから無線通信で直進基準線Rの設定開始情報(第1基準点Aをセットするための情報)を受信したら、タブレット端末1000に走行軌跡Lの表示を開始する。走行軌跡Lの情報は、制御装置100の無線送受信部100yから定期的に無線送信されるGNSS位置情報に基づき表示する。
直進基準線Rそのものがまだ表示されていなくても、直進基準線Rの設定開始が、走行軌跡Lが表示されるので、モニタにより確認でき、安心感がある。
タブレット端末1000が制御装置100の無線送受信部100yから無線通信で直進基準線Rの設定終了情報(第2基準点Bをセットするための情報)を受信したら、タブレット端末1000に次工程以降の直進目標線Tを表示する。
画面に表示された次工程以降の直進目標線Tは、旋回時の深水等でマーカライン等が見えにくい場合でも、目安になる。
本発明における実施の形態の苗移植機のタブレット端末1000における直進基準線R、直進目標線Tおよび走行軌跡Lの経時的な表示の説明図(その一から五)である図15(a)〜(e)に示されているように、直進基準線R、直進目標線Tおよび走行軌跡Lは表示される。
図15(a)においては、第1基準点Aに対応する第1基準位置情報が受信された圃場の走行マップが示されている。図15(b)においては、走行軌跡Lが表示され始めた圃場の走行マップが示されている。図15(c)においては、第2基準点Bに対応する第2基準位置情報が受信され、直進基準線Rが表示された圃場の走行マップが示されている。図15(d)においては、直進目標線Tが機種条数に応じて生成され表示された圃場の走行マップが示されている。図15(e)においては、走行軌跡Lが走行進行に応じて引続き表示されていく圃場の走行マップが示されている。
第1基準位置Aの取得に基づきタブレット端末1000に走行軌跡Lを表示したり、第2基準位置Bの取得に基づきタブレット端末1000に直進基準線Rを表示したりすることにより、自動操舵装置205が作動していることを作業者が確認しやすくなり、自動操舵装置205が作動していないまま作業を行うことが防止される。
次工程以降の直進目標線Tが表示されることにより、旋回走行時の走行軌跡Lが表示されるかどうかに関わらず、圃場端での旋回走行時に機体を移動させることが望ましい位置を視覚的な直感に基づいて把握しやすいので、旋回後に機体の位置を修正する作業が不要になる。
整地クラッチ66は、整地ロータ63へ伝達される動力をオンオフするクラッチである。作業検知センサ209は、整地ロータ63へ伝達される動力のオンオフ状態を検出するセンサである。走行軌跡Lは、整地ロータ63へ伝達される動力のオン状態が作業検知センサ209により検出されているときに、タブレット端末1000に表示される。
本発明における実施の形態の苗移植機の自動直進走行の説明図である図16においては、進入路入口であり退出路出口でもある圃場出入口1601が設けられた圃場が示されており、作業幅が理解しやすいように、各作業条の両端点における作業装置4の起点にほぼ相当する位置が白い長方形で示されている。直進基準線Rとほぼ平行なX方向に隣接する複数の線分からなる走行軌跡Lは、自動直進走行による軌跡であり、一点鎖線で示されている。直進目標線Tの圃場端部に近接する端点は、第1基準位置情報および第2基準位置情報からは確定されない。しかしながら、圃場端部における旋回は自動直進走行ではなく手動走行で行われるので、ユーザは自動直進走行から手動走行への切替えを行うようにブザーなどを利用して促される。より具体的には、整地ロータ63の入切位置がメモリ領域に記録されており、ブザーは、たとえば、旋回前に切られた整地ロータ63が旋回後に再び入れられた、直前の作業条における位置1603が有するY座標に基づいて決定されたY座標を有する位置1604で時間的余裕をもって鳴動される。自動直進走行が可能である自動直進走行領域1602の外側の回廊部分においては、枕地走行が行われてもよい。
変形例の実施の形態においては、走行軌跡Lは、作業装置4へ伝達される動力のオン状態が作業検知センサ209により検出されているときに、タブレット端末1000に表示されてもよい。
本発明における別の実施の形態(その一)の苗移植機の自動直進走行の説明図である図17においては、Y方向の長さが植付部下降点1701のY座標および植付部上昇点1702のY座標に基づいて確定される、植付クラッチにより入切される作業装置4の植付部の昇降に基づいて測定された植付部昇降測定領域1703が示されている。GNSSアンテナ200は走行車体2の前端に装着されているので、植付部下降点1701のY座標は自動直進走行領域1704の最小Y座標とほぼ等しいが、植付部上昇点1702のY座標は自動直進走行領域1704の最大Y座標よりやや大きい。
自動直進走行ではなく手動走行による旋回時の走行軌跡は表示せず、作業装置4の植付部を下降して走行しているときの走行軌跡Lを、無線通信で定期的に制御装置100の無線送受信部100yから送信されるGNSS位置データにより、タブレット端末1000のモニタ画面に表示する。
すると、自動直進走行による実際的な走行軌跡の履歴が残せる。
走行軌跡Lの表示については、植付状態にあるときのみの軌跡を残す。
すると、植付走行軌跡の履歴が残せる。
走行軌跡Lの表示については、植付状態にあるときのみの軌跡を残すようにし、植付状態は、植付クラッチが入の時とする。
すると、実際的な植付走行軌跡の履歴が残せる。
走行軌跡Lの表示については、植付状態にあるときのみの軌跡を残すようにし、植付状態は、整地ロータ63が入の時とする。
すると、実際的な植付走行軌跡に相当する走行軌跡の履歴が残せる。
作業装置4を使用する直進走行時の走行軌跡Lを表示することにより、意図した直進走行が行われているかどうかを判断することができるので、不適当であるときは作業者が早期に修正することができ、作業の適正化が図られる。
隣接する作業済みの条と現在の作業条の間に未作業領域(例:土が耕されていない領域、または苗の条間(左右間隔)が作業機の設定条間よりも広い領域、等)が生じているかどうか、作業領域が重複しているかどうかを早期に判断できるので、作業の適正化が図られる。
制御装置100は、直進目標線Tを算出するときに、作業装置4に関する作業装置情報を加味する。
制御装置100に記憶している車両機種型式情報と、タブレット端末1000のメモリの車両機種型式情報と、に基づき、条幅および条数(30cmの条幅で8条植え、または33cmの条幅で8条植え等)を判断して作業幅を演算し、次工程以降の直進目標線Tを表示する。無線情報の受信でタブレット端末1000の車両データを確認するので、正確な植付走行軌跡の履歴が残せる。
走行目標ライン表示については、第1基準点Aと第2基準点Bとを結んだ直線と平行な直線を次工程以降の全部または一部の直進目標線Tとして表示するので、相対位置での目標位置が表示できる。たとえば、自動直進走行の実行が困難であることが分かった場合には、次回の作業のための反省材料として利用したり、土壌改良に利用したりするために、得られたデータを蓄積してもよい。
直進目標線Tは細線表示とし、走行軌跡Lは作業幅を塗りつぶす表示とするので、ガイダンス表示が解りやすい。
作業装置4の左右幅を基準として直進目標線Tをタブレット端末1000に表示することにより、作業装置4の作業位置が重複することや、作業位置同士の間に間隔が空くことのない作業条ごとの走行軌跡Lを示すことができるので、自動直進による進行方向が適切であるかどうかを判断しやすくなる。
圃場端での旋回走行時に機体を移動させることが望ましい位置を視覚的な直感に基づいて把握しやすいので、旋回後に機体の位置を修正する作業が不要になる。
タブレット端末1000には、直進基準線Rおよび直進目標線Tを表示するための走行マッププログラム、圃場の深度を表示するための圃場深度マッププログラム、および圃場に散布される資材の散布量を表示するための資材散布量マッププログラムの内から所定のプログラムを選択することができる管理アプリケーションがインストールされており、選択された所定のプログラムに応じたマップが表示される。
走行マッププログラム以外の表示画面を持つように構成し、直進目標線Tや走行軌跡Lの表示画面と、可変施肥田植機の資材散布量マッププログラムや作土深等の圃場深度マッププログラムの表示画面と、を選択的に表示可能に構成し、切り替え操作により、たとえば、自動直進の画面表示と、可変施肥の画面表示と、を切り替え表示する。すると、施肥作業結果を目視で確認したり、土壌の硬盤の高さの違いを間接的に認識したりするための、タブレット端末1000のモニタの活用ができて、多機能な使い方ができる。
走行マッププログラム以外の表示画面を持つように構成し、タブレット端末1000の画面内に、タッチパネルのアイコンなどのような画面表示切替え用のタッチスイッチ部を設けてもよい。
圃場内での走行軌跡Lの表示は、圃場外へ出たと判断するための所定のルールに基づき、自動的に終了してもよい。すると、直進目標線Tによるガイダンス表示や走行軌跡Lによる軌跡表示が自動的に変更になり、操作が簡単である。
たとえば、作業がまだ開始されていない場合などのような、第1基準点Aおよび第2基準点Bが取得されていない場合は、当該圃場および周辺の圃場が表示される広域圃場表示が行われ、第1基準点Aの取得に基づき、当該圃場の圃場内ガイダンス表示への自動的な変更が行われてもよい。
上述されたように、第1基準点Aおよび第2基準点Bが記録されている状態で、直進基準線Rと直交する方位(直交する方位でなくても、たとえば、規定された角度以上異なる方位であってもよい)での植付けがあり、直進基準線Rと平行な1辺を含む3辺の植付け(枕地の植付け)が終了しているというルールで第1基準点Aおよび第2基準点Bを消去する仕様が、採用されてもよい。すると、自動消去によるオペレータの負担軽減が、期待される。
第1基準点Aおよび第2基準点Bを消去する動作に基づき、走行軌跡Lの画面データをタブレット端末1000に記録(保存)してもよい。すると、圃場植付の終了に関する実績データを記録することができる。
GNSSアンテナ200及び整地ロータ63を有する自動操舵機能を持つ田植機において自動操舵を開始する際、第1基準点Aから所定距離離れた位置として第2基準点Bが確定されなくても、走行方位の目標方位からのずれ角度が所定範囲以内にある場合には、第1基準点Aおよび目標方位に基づいて自動操舵を開始することができる。すなわち、目標方位があらかじめ分かっており、走行車体2の向きが目標方位に応じた正しい向きであるという前提条件の下では、第2基準点Bが確定されなくても、第1基準点AのX座標およびY座標と、方位センサ204の検出結果と、を利用して直進基準線Rを作成し、ティーチング走行なく直ちに自動直進を開始することができる。所定間隔をおいて直進基準線Rと平行な直進目標線Tをユーザ指示に応じて設定する仕様とは異なり、隣接条における植付けを行わずに枕地における植付けを行うといった理由で直進目標線Tを表示する必要が無い場合があっても、不必要に表示されてしまった直進目標線Tを消去するための補正の必要が無い。
GNSSアンテナ200及び整地ロータ63を有する自動操舵機能を持つ田植機において自動操舵を行う場合に、直前の作業条における整地ロータ63の作動距離の測定データに基づいて畦際から一定距離手前で警報し、所定時間の警報の後に、エンジン30は停止させないで、自動で減速させて走行車体2を停止させるための制御を無段変速装置14のHSTサーボモータ211に対して行ってもよい。すると、畦際に接近した場合、機体が田面への苗の植え付けを終了した、又は田面への種籾の供給を終了する作業終了位置に達したことが検出されると、報知する仕様とは異なり、当該作業条における植付を行わなくても、直前の作業条における整地ロータ63の作動距離を利用した疑似的な距離測定ができるので、畦際への接近を同様に報知することができる。
直進目標ラインや走行軌跡を表示する走行マッププログラム、圃場の深さ(表土の厚み)を表示する深度マッププログラム、肥料や薬剤の供給量の増減を示す供給マッププログラム等を管理する管理アプリケーション内のプログラムをプログラム選択部(切替アイコン)で選択し、複数の情報ごとのマップをタブレット端末1000に表示させることにより、作業者は、直進走行に支障の出やすい、合筆などにともなう圃場の硬盤の深さの変化する点を把握することができるので、該当箇所でハンドル35をマニュアル操作するなどして進路を直進走行方向に補正でき、作業位置のずれの発生が防止される。
圃場の場所ごとに、過去に供給した肥料や薬剤の量を確認できることにより、施肥装置5や薬剤散布装置の設定の切替タイミングが計りやすくなる、あるいは肥料や薬剤の供給量の自動変更が適切に行われているかどうかを判断しやすくなり、肥料や薬剤の供給量の適正化が図られる。
制御装置100は、自動操舵装置205によるハンドル35の操作に関する複数の操舵部材操作モードの内から選択された所定の操舵部材操作モードに応じた自動直進制御を実行する。操舵部材操作モードの選択は、ユーザ指示に応じて手動で行われる。
より具体的には、GNSSアンテナ200を有する自動操舵機能を持つ田植機において、操舵アクチュエータ206を土質および水深などに応じた最適なモータトルクで駆動する複数の操舵制御パターンを格納するメモリ機能が実装されており、ユーザが車載モニタの表示を見ながら手動で操舵制御パターンを設定するためのモード変更スイッチ100x(図6参照)などのような設定装置を備えている。
なお、操舵部材操作モードの選択は、センターフロート62Cの動作に関する複数の作業装置動作モードの内から選択された所定の作業装置動作モードに連動して自動で行われてもよい。
より具体的には、操舵部材操作モードの選択は、土が硬い場合にはセンターフロート62Cの回動ポテンショメータ64の不感帯幅が増大させられ、土が柔らかい場合には回動ポテンショメータ64の不感帯幅が減少させられる、土質に応じたいわゆるフロート感度調節を行うためのフロート感度ダイアル操作に連動して自動で行われる。
すると、最適な操舵制御パターンに設定できる。そして、多目的仕様での直播、作業装置4の植付部での切替による操舵アクチュエータ206に対する前輪10の応答速度の差を解消できる。
ハンドル35を作動させる条件を選択できることにより、圃場の土質や水の有無等の条件の違いや、作業を行う機体の違いに合わせて自動操舵装置205でハンドル35を適正に作動させることができるので、直進走行が適切に行われ、作業精度が向上する。
作業装置4の作業条件を変更すると、ハンドル35の作動条件が連動して変更されることにより、自動操舵装置205でハンドル35を適正に作動させることができるので、直進走行が適切に行われ、作業精度が向上する。
自動操舵装置205は、入力パルス信号に応じたモータ動作量で動作する操舵アクチュエータ206を有する。制御装置100は、モータ動作量の入力パルス信号に対するずれが所定レベルを超えているときに、自動操舵装置205を停止させるための制御を実行する。
本発明における実施の形態の苗移植機の操舵アクチュエータ206近傍の部分正面図である図18に示されているように、走行車体2を直進させるようにハンドル35を操作する操舵アクチュエータ206の自動操舵用モータには、トルクジェネレータ1801が接続されている。
圃場からの外力によりハンドル35が回されることがあるトルクジェネレータ1801を備えた自動操舵田植機または播種機においては、脱輪等が発生したときに、自動操舵用モータが前輪10からの外力のために入力パルス信号に同期して回転しなくなった状態が一定時間以上続くと、自動操舵を停止する。このような自動操舵用モータはステッピングモータであることが、望ましい。
ステアリングハンドルからの手動操作による電流値の増加、およびトルクの上昇による自動操舵の停止は安全性を向上させる有効な技術であるが、前輪10の側から動かされない、通常の自動車に搭載されるエンジンと区別してノンロードエンジンと呼ばれる小形汎用ガソリンエンジンのトルクジェネレータにしか十分には有効でない。これに対して、トルクジェネレータ1801は、脱輪等で自動操舵用モータが脱調した場合における安全性をも向上させる。
そして、操舵アクチュエータ206のモータまたはセンサの故障が発生したときに、自動操舵用モータが入力パルス信号に同期して回転しない状態が一定時間以上続くと、自動操舵を停止してもよい。すると、ステアリングハンドルからの手動操作による電流値の増加、およびトルクの上昇による自動操舵の停止が手動操作で自動制御操舵と逆向きの操舵をした場合において有効であるように、脱輪等で自動操舵用モータが脱調した場合における安全性が向上される。
さらに、手動操作が発生したときに、自動操舵用モータが入力パルス信号に同期して回転しない状態が一定時間以上続くと、自動操舵を停止してもよい。すると、作業位置が自動操舵によりかえってずれてしまう現象が抑制される。
前輪10にかかる接地抵抗等により操舵アクチュエータ206に過度のトルクが要求され、入力パルス信号に対して操舵アクチュエータ206のモータの回転量が少なくなると、自動操舵装置205を停止させることにより、操舵アクチュエータ206に過負荷がかかって破損することを防止できる。
また、前輪10が自動直進方向にステアリングできない状況に陥っていることを判断できるので、実際の走行軌跡が直進目標線Tからずれた状態で走行することを防止できる。
本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の平面図である図19(a)、および本発明における別の実施の形態(その二)の苗移植機の側面図である図19(b)に示されているように、GPSアンテナ200を前輪10の軸上に配置し、走行車体2の側のピッチングおよびローリングに起因する姿勢変化の影響を低減するために、GNSSアンテナ200のステーとしてローリング方向からも増設アンテナステー部材1901を伸ばしてもよい。
すると、ピッチング方向を抑えるように本体アンテナステー部材1902が伸びているもののローリング方向がフリーであるために振動が起きやすいということはなくなるので、ローリング方向の微振動を抑え、自動直進制御の精度を向上させることができる。
そして、本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の平面図である図20(a)、および本発明における別の実施の形態(その三)の苗移植機の側面図である図20(b)に示されているように、苗補給時の安全のため、フロアステップ33の外側に手すりを兼用する増設アンテナステー部材2001を伸ばしてもよい。
上記増設アンテナステー部材2001は、平面視において、機体左右方向の中央部から機体左右両側に、進行方向に直交する姿勢、乃至機体左右外側に向かうほど後方に向かう姿勢で前側補強アーム2002を各々設け、前側補強アーム2002よりも機体後側に、機体左右外側に向かうほど後方に向かう後側補強アーム2003を、前側補強アーム2002よりも急な角度で各々設ける。なお、後側補強アーム2003の基部は、前側補強アーム2002よりも機体内側に配置する。また、側面視においては、前側補強アーム2002はフロアステップ33にほぼ垂直となる姿勢となり、後側補強アーム2003は上方から下方に向かうほど機体後側に向かう傾斜姿勢となる。
さらに、前側補強アーム2002と後側補強アーム2003は、機体前後方向で且つフロアステップ33にほぼ平行となる姿勢の連結アーム2004で連結する。なお、連結アーム2004は、作業座席41の座面とほぼ同じ乃至座面よりもやや高い位置に設定する。
また、図20(a)および(b)で示すとおり、前側補強アーム2002、後側補強アーム2003及び連結アーム2004は、三角形に近い形状となるトラス構造で組み合わせられる。
上記により、作業者は作業場所に応じて前側補強アーム2002、後側補強アーム2003及び連結アーム2004のうち掴んで姿勢保持しやすい箇所を選ぶことができるので、比較的楽な姿勢を保持することができ、作業能率の向上や疲労の軽減が図られる。
また、前側補強アーム2002は作業座席41の側方に位置し、作業者が走行車体2の側方から乗り降りする位置の近くに配置されるので、乗り降りの際の手摺として利用することができ、乗り降りの迅速化や安全性の向上が図られる。
さらに、前側補強アーム2002、後側補強アーム2003及び連結アーム2004がトラス構造で組み合わせられることにより、増設アンテナステー部材2001の強度が向上する。
すると、ローリング方向の微振動を抑え、自動直進制御の精度を向上させることができるのみならず、苗補給時の安全性も向上させることができる。
本発明における別の実施の形態(その四)の苗移植機の側面図である図21に示されているように、作業座席41の下に、作業座席41の僅かな回動を回動支点2103の周りで前後方向において許容するためのスプリング2101と、プッシュセンサ2102と、を設け、ユーザが着座しているか否かをプッシュセンサ2102で検知してもよい。走行車体2の移動中に30秒以上ユーザの着座がなければ、警告音を5秒鳴らした後、走行車体2を停止させる。
すると、プッシュセンサ2102の検知結果に基づいて、作業座席41を離れての移動中の苗補給が危険であることを警告したり、走行車体2を停止させたりすることができるのみならず、スプリング2101の弾性力を利用して、作業座席41からのつきあげのために乗り心地が悪くなってしまうことを抑制できる。
すなわち、安全性の確保が苗補給時に関して向上されるのみならず、乗り心地がよくなる。
本発明における作業車両は、直進走行の基準位置が誤操作で取得されることを防止できると共に、部品数の増大を抑えることができ、圃場内を走行し、走行車体に走行した作業装置で対地作業を行う作業車両に利用する目的に有用である。
2 走行車体
4 作業装置
35 ハンドル
62C センターフロート
63 整地ロータ
66 整地クラッチ
100 制御装置
200 GPSアンテナ
205 自動操舵装置
206 操舵アクチュエータ
207 自動直進設定部材
209 作業検知センサ
1000 タブレット端末
R 直進基準線
A 第1基準点
B 第2基準点
T 直進目標線
L 走行軌跡