JP2018182620A - 信号処理装置及び信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 消費電力を低減することができる信号処理装置及び信号処理方法を提供する。【解決手段】 信号処理装置は、偏波多重光を受信する受信部と、前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有するフィルタにより補償する適応等化部と、前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出する検出部と、前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定する決定部と、前記所定数のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化する設定部とを有する。【選択図】図7
Description
本件は、信号処理装置及び信号処理方法に関する。
大容量のデータ伝送の需要の増加に応じ、例えば、1つの波長光で100(Gbps)以上の伝送を可能とするデジタルコヒーレント光伝送方式の研究開発が行われている。デジタルコヒーレント光伝送方式では、直交振幅変調(QAM: Quadrature Amplitude Modulation)などの変調方式により信号の変調処理が行われる。
デジタルコヒーレント光伝送方式の受信装置は、伝送路から光信号をデジタルコヒーレント受信して偏波成分ごとの電界信号に変換し、各電界信号に対し、例えば、伝送路の波長分散、非線形光学効果、及び群遅延時間差(DGD:Differential Group Delay)などによる品質劣化を補償する。なお、DGDとは、複屈折性を有する光ファイバに光が入力されたとき、光の直交する偏波モード成分の間の伝送速度差に起因する偏波分散を定量的に示すパラメータである。
品質劣化の補償には、例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルタなどから構成される適応等化器(AEQ: Adaptive Equalizer)が用いられる(例えば特許文献1参照)。
適応等化器は、伝送路の特性とは逆の特性を信号に適応的に与えることにより信号の品質劣化を補償する。このとき、適応等化器は、FIRフィルタのタップ係数をCMA(Constant Modulus Algorism)などのアルゴリズムに従って制御して所定値に収束させる。このため、適応等化器は、タップ数が多いほど演算量が増加する(例えば特許文献2参照)。
適応等化器の消費電力は演算量の増加に伴って増加する。これに対し、適応等化器のタップ数を減少させれば演算量が減少するため、消費電力を低減することが可能であるが、信号の品質劣化が十分に補償されないないおそれがある。したがって、適応等化器は最大数のタップを動作させる必要があるため、消費電力を低減することが難しい。
そこで本件は、消費電力を低減することができる信号処理装置及び信号処理方法を提供することを目的とする。
1つの態様では、信号処理装置は、偏波多重光を受信する受信部と、前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有するフィルタにより補償する適応等化部と、前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出する検出部と、前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定する決定部と、前記所定数のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化する設定部とを有する。
1つの態様では、信号処理方法は、偏波多重光を受信し、前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有する適応等化部により補償し、前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出し、前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定し、前記適応等化部のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化する方法である。
1つの側面として、消費電力を低減することができる。
図1は、受信装置2の一例を示す構成図である。受信装置2は、光ファイバの伝送路9を介して送信装置1に接続されている。送信装置1は、デジタルコヒーレント光伝送方式で、偏波多重光の一例である光信号を受信装置2に送信する。受信装置2は、信号処理装置の一例であり、送信装置1から光信号を受信する。
受信装置2は、デジタル信号処理部20と、ADC(Analog-to-Digital Convertor)22a〜22dと、受信部の一例であるコヒーレント受信器29と、信号処理制御部27とを有する。コヒーレント受信器29は、光源21と、PD(PhotoDiode)23a〜23dと、90度光ハイブリッド回路240,241と、PBS25,26とを有し、光信号を受信する。
PBS26は、光信号をX軸成分及びY軸成分に分離して90度光ハイブリッド回路240,241にそれぞれ出力する。また、光源21は、局発光LOをPBS25に入力する。PBS25は、局発光LOをX軸成分及びY軸成分に分離して90度光ハイブリッド回路240,241にそれぞれ出力する。
90度光ハイブリッド回路240は、光信号のX軸成分及び局発光LOのX軸成分を干渉させるための導波路を有し、光信号のX軸成分を検波する。90度光ハイブリッド回路240は、検波結果として、同相成分及び直交位相成分の振幅及び位相に応じた光成分をPD23a,23bにそれぞれ出力する。
90度光ハイブリッド回路241は、光信号のY軸成分及び局発光LOのY軸成分を干渉させるための導波路を有し、光信号のY軸成分を検波する。90度光ハイブリッド回路241は、検波結果として、同相成分及び直交位相成分の振幅及び位相に応じた光成分をPD23c,23dにそれぞれ出力する。
PD23a〜23dは、入力された光成分を電気信号に変換して、電気信号をADC22a〜22dにそれぞれ出力する。ADC22a〜22dは、PD23a〜23dから入力された電気信号をデジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqにそれぞれ変換する。デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqはデジタル信号処理部20に入力される。
デジタル信号処理部20は、例えば、伝送路9で光信号に生じた波長分散や非線形光学効果を補償し、光信号を復調して出力する。なお、デジタル信号処理部20は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などにより構成されるが、これに限定されず、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)により構成されてもよい。
デジタル信号処理部20は、分散補償部200と、非線形補償部201と、サンプリング部202と、適応等化部203と、搬送周波数誤差補償部204と、搬送波位相同期部205と、信号品質モニタ部206とを有する。デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqは、偏波(X軸成分及びY軸成分)ごとの信号に変換されて、分散補償部200、非線形補償部201、サンプリング部202、適応等化部203、搬送周波数誤差補償部204、搬送波位相同期部205、及び信号品質モニタ部206を、この順に通過する。
分散補償部200は、伝送路9の波長分散により生じたデジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqの波形歪みの補償を行う。非線形補償部201は、伝送路9の非線形光学効果により生じたデジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqの波形歪みの補償を行う。なお、非線形光学効果としては、例えば自己位相変調や相互位相変調などが挙げられる。
サンプリング部202は、デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqの位相変動を検出し、その検出結果に基づいてデジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqを遅延させることにより、そのサンプリング位相を調整する。
適応等化部203は光信号の品質劣化を補償する。より具体的には、適応等化部203は、フィルタの一例であるFIRフィルタによりデジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqに対し伝送路9の特性とは逆の特性を与えることにより、デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqの波形歪みを適応的に補償する。これにより、デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqの波形歪みのうち、分散補償部200及び非線形補償部201により補償することができない波形歪みの補償が可能となる。なお、適応等化部203の構成は後述する。
搬送周波数誤差補償部204は、デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqが変調方式に応じた信号コンスタレーション(信号空間ダイヤグラム)により正常に復調処理されるように、送信装置1の光源の周波数と光源21の間の周波数の差分及び位相の差分を補正する。信号コンスタレーションは、実軸(I)及び虚軸(Q)を有する複素平面上に、信号の振幅及び位相に応じた信号点を表したものである。
搬送波位相同期部205は、デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqの搬送波が有する周波数差及び位相差を推定し、補正する。信号品質モニタ部206は、デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqのエラーを検出する。信号品質モニタ部206は、例えば光信号に含まれるFEC(Forward Error Correction)からエラーを検出する。デジタル信号Xi,Xq,Yi,Yqは、信号品質モニタ部206から後段の回路に出力される。
信号処理制御部27は、適応等化部203の有効なタップ数を光信号のDGDに応じて制御する。これにより、適応等化部203の動作中のタップ数が削減されるため、消費電力が低減される。
図2は、適応等化部203の一例を示す構成図である。適応等化部203は、適応等化器などにより構成され、タップ係数演算部30と、所定数のタップを有するFIRフィルタ31,32を含む。適応等化部203は、光信号のX軸成分に対応するX偏波信号Sxと光信号のY軸成分に対応するY偏波信号Syを別々に処理する。なお、X偏波信号Sx及びY偏波信号Syは光信号の偏波の一例である。
X偏波信号SxはFIRフィルタ31に入力され、Y偏波信号SyはFIRフィルタ32に入力される。FIRフィルタ31は、X偏波信号Sxをフィルタリング処理してX偏波信号Sx’として後段の搬送周波数誤差補償部204に出力する。FIRフィルタ32は、Y偏波信号Syをフィルタリング処理してY偏波信号Sy’として後段の搬送周波数誤差補償部204に出力する。
タップ係数演算部30は、FIRフィルタ31に入出力されるX偏波信号Sx,Sx’とFIRフィルタ32に入出力されるY偏波信号Sy,Sy’から各FIRフィルタ31,32のタップ係数を演算する。タップ係数演算部30は、例えばCMAなどのアルゴリズムに従ってタップ係数を制御して所定値に収束させる。タップ係数演算部30は、タップ係数をFIRフィルタ31,32に設定する。
このように、タップ係数演算部30は、FIRフィルタ31,32に入力されるX偏波信号Sx及びY偏波信号SyとFIRフィルタ31,32から出力されるX偏波信号Sx’及びY偏波信号Sy’からタップ係数を演算する。これにより、適応等化部203は、伝送路9の特性とは逆の特性をX偏波信号Sx及びY偏波信号Syに与える。
したがって、各FIRフィルタ31,32のタップ係数には、伝送路9の特性に関するパラメータが反映されている。このため、信号処理制御部27は、タップ係数演算部30から収束後のタップ係数を取得し、タップ係数に基づきX偏波信号Sx及びY偏波信号Syの間のDGDを検出する。信号処理制御部27は、DGDに応じて各FIRフィルタ31,32のタップ数を決定し、その決定したタップ数分のタップの機能を有効化する。
FIRフィルタ31,32は、複数の遅延器(τ)40と、複数(タップ数分)の乗算器41と、加算器(Σ)42とを有する。
FIRフィルタ31,32は、前段のサンプリング部202から入力された信号S[0](Sx,Sy)を、複数の遅延器40により順次に遅延させて信号S[1]〜S[n](n:正の整数)を生成する。FIRフィルタ31,32は、乗算器41により信号S[0]〜S[n]にタップ係数h0〜hnをそれぞれ乗算して、各乗算器41からの出力値を加算器42で合計して出力する。
タップ係数演算部30はタップ数n分のタップ係数をその収束後も常に演算するため、その演算量はタップ数nが多いほど演算量が増加する。このため、適応等化部203の消費電力はタップ数nが多いほど増加する。
これに対して、適応等化部203のタップ数nを減少させれば演算量を減少させることにより消費電力を低減することが可能であるが、光信号の品質劣化が十分に補償されないおそれがある。以下に光信号の品質として、受信装置2におけるQ値の劣化量を例に挙げ、タップ数nに応じた光信号のDGD耐力について述べる。なお、以下の例では、各FIRフィルタ31,32のタップ数nの最大数を17個と仮定するが、タップ数nの最大数に限定はない。
図3は、タップ数nが17個であるFIRフィルタ31,32の一例を示す構成図である。図4は、タップ数nが17個である場合のDGDの変化に対するQ値の劣化量の変化の例を示す図である。なお、Q値の劣化量の変化は、光信号のOSNRが18(dB)の場合が示されている。
Q値の劣化量は、DGDが約150(ps/nm)を超えると増加し始める。しかし、DGDが約170(ps/nm)であっても、Q値の劣化量は0.5(dB)未満である。したがって、適応等化部203は、タップ数nが17個である場合、光信号の品質劣化を十分に補償することができる。
図5は、タップ数nが15個であるFIRフィルタ31,32の一例を示す構成図である。図6は、タップ数nが15個である場合のDGDの変化に対するQ値の劣化量の変化の例を示す図である。なお、Q値の劣化量の変化は、光信号のOSNRが18(dB)の場合が示されている。
この場合、信号処理制御部27は、2個の遅延器40及び乗算器41に対して機能停止コマンドを発行する。これにより、信号処理制御部27は、各FIRフィルタ31,32の15(=17−2)個分のタップの機能を有効化し、残りの2個分のタップの機能を無効化する。つまり、図5中の点線で示された2個の遅延器40及び乗算器41は機能を停止している状態にある。
Q値の劣化量は、DGDが約100(ps/nm)を超えると増加し始めて、DGDが約150(ps/nm)を超えると急激に増加する。例えばDGDが約170(ps/nm)であるとき、Q値の劣化量は、約1(dB)に達し、タップ数nが17個の場合と比較すると約0.5(dB)(=1−0.5)多くなる。
したがって、適応等化部203は、タップ数nが15個である場合、DGDによっては光信号の品質劣化を十分に補償することができない。
そこで、信号処理制御部27は、光信号のDGDを検出し、DGDに応じて適応等化部203のタップ数nを決定し、適応等化部203のタップのうち、そのタップ数n分のタップの機能を有効化する。このため、適応等化部203は、DGDに応じて適切なタップ数nのタップを動作させることができる。したがって、適応等化部203は、光信号に対して品質劣化の十分に補償するとともに、タップ係数の演算量を低減することにより消費電力を低減することができる。
図7は、信号処理制御部27の一例を示す構成図である。信号処理制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)回路により形成されるソフトウェアの機能及びFPGAなどの論理回路によるハードウェアの機能の少なくとも一方により構成される。
信号処理制御部27は、動作制御部50と、DGDモニタ部51と、タップ数決定部52と、タップ設定部54と、メモリ53とを有する。メモリ53は、記憶部の一例であり、光信号のDGDと適応等化部203のタップ数nの対応関係が登録された設定テーブル530を記憶する。なお、設定テーブル530はテーブルの一例である。
動作制御部50は、DGDモニタ部51、タップ数決定部52、及びタップ設定部54の動作を制御する。動作制御部50は、例えばタップ係数演算部30からの演算開始の通知に基づいて、適応等化部203におけるX偏波信号Sx及びY偏波信号Syの疎通を検出する。動作制御部50は、X偏波信号Sx及びY偏波信号Syの疎通を検出したとき、DGDモニタ部51、タップ数決定部52、及びタップ設定部54に動作の開始を指示する。このため、DGDモニタ部51、タップ数決定部52、及びタップ設定部54は、信号疎通前には動作しない。
DGDモニタ部51は、検出部の一例であり、光信号のX偏波信号Sx及びY偏波信号Syの間のDGDを検出する。DGDモニタ部51は、検出したDGDをタップ数決定部52に出力する。
より具体的には、DGDモニタ部51は、適応等化部203の収束後のタップ係数に基づき光信号のDGDを検出する。タップ係数演算部30は、タップ係数の収束を判定し、収束後のタップ係数をDGDモニタ部51に出力する。このとき、タップ係数演算部30は、例えばタップ係数の変動幅が所定値以内に収まるか否かを判定する。
DGDモニタ部51は、例えば各FIRフィルタ31,32のタップ係数から、ジョーンズマトリクス法などの所定の演算式を用いて伝送路9の特性を解析することによりDGDを検出する。このため、DGDモニタ部51は、高精度にDGDを検出することができる。
タップ数決定部52は、決定部の一例であり、DGDモニタ部51により検出されたDGDに応じて適応等化部203のタップ数nを決定する。タップ数決定部52は、光信号のQ値の劣化量が所定値以下となるように、DGDに応じた適切なタップ数nを決定する。
タップ係数ごとのDGDに応じたQ値の劣化特性(つまり信号の品質劣化の特性)はシミュレーションなどにより推測が可能である。
図8は、タップ数nごとのQ値の劣化特性の一例を示す図である。本例では、タップ数n=7、9、11、13、15、及び17の場合のQ値の劣化特性を挙げる。図8から理解されるように、タップ数n=7の場合のQ値の劣化量が最も大きく、タップ数n=17の場合のQ値の劣化量が最も小さい。
タップ数決定部52は、事前に取得されたQ値の劣化特性に基づいて、DGDに応じたタップ数nを決定する。例えばDGDが100(ps/nm)である場合、Q値の劣化量は、タップ数n=7のときに2.1(dB)であり、タップ数n=9のときに1.3(dB)であり、タップ数n=11のときに1.6(dB)である。また、タップ数n=13のときに0.2(dB)であり、タップ数n=15,17のときに0.1(dB)であり、
このため、タップ数決定部52は、例えばQ値の劣化量を0.1(dB)以下に抑える場合、タップ数nを15に決定する。つまり、タップ数決定部52は、Q値の劣化特性において、DGDに応じたQ値の劣化量が所定値以下となる最小のタップ数nを決定する。
より具体的には、タップ数決定部52は、設定テーブル530に基づきタップ数nを決定する。設定テーブル530には、図7に示されるように、DGDとタップ数nの対応関係が登録されている。設定テーブル530では、DGDが所定範囲ごとに分けられており、そのDGDの範囲に応じたQ値の劣化量が所定値以下となる最小のタップ数nが登録されている。例えば、DGDが10(ps/nm)である場合、タップ数nは9に決定される。
このように、タップ数決定部52は、設定テーブル530から、DGDに対応するタップ数nを検索することによりタップ数を決定する。このため、タップ数決定部52は、例えば演算処理によりタップ数nを決定する場合より短時間でタップ数nを決定することができる。タップ数決定部52は、決定したタップ数nをタップ設定部54に通知する。
タップ設定部54は、設定部の一例であり、適応等化部203のタップのうち、タップ数決定部52により決定されたタップ数n分のタップの機能を有効化する。より具体的には、タップ設定部54は、各FIRフィルタ31,32のタップのうち、全タップ数からタップ数nを除いた個数(本例では(17−n)個)のタップの機能を、機能停止コマンドを発行することにより無効化する。つまり、タップ設定部54は、n個のタップの機能が有効化され、(17−n)個のタップの機能が無効化されるように各FIRフィルタ31,32を設定する。
タップ設定部54は、例えば15個のタップの機能を有効化する場合、図5に示されるように、2個のタップの機能を無効化する。無効化されたタップは動作を停止するため、消費電力が低減される。なお、各FIRフィルタ31,32において無効化されるタップは、直列接続されたタップのうち、最終段側のタップから該当数分だけ選択される。
このように、適応等化部203は、DGDに応じて適切なタップ数nのタップを動作させることができる。したがって、適応等化部203は、光信号に対して品質劣化の十分に補償するとともに、タップ係数の演算量を低減することにより消費電力を低減することができる。
図9は、信号処理制御部27の動作の一例を示すフローチャートである。なお、信号処理制御部27の動作は、信号処理方法の一例である。
動作制御部50は、適応等化部203における信号疎通の有無を判定する(ステップSt1)。このとき、適応等化部203の各FIRフィルタ31,32では、全てのタップの機能が有効化されている。
動作制御部50は、信号疎通がない場合(ステップSt1のNo)、動作を終了する。動作制御部50は、信号疎通が有る場合(ステップSt1のYes)、DGDモニタ部51にDGDの検出を指示する(ステップSt2)。このとき、DGDモニタ部51は、信号疎通後、タップ係数演算部30が演算するタップ係数が収束するために十分な時間だけ経過した後(つまり待機後)、DGDを検出する。なお、DGDの変化は、例えば伝送路9の周辺の温度変動などにより生ずるため、DGDの検出は、例えば定期的(月に1度など)に行われる。
次に、タップ数決定部52は、動作制御部50の指示に従い、設定テーブル530を参照することにより、DGDに応じたタップ数nを決定する(ステップSt3)。タップ設定部54は、n個のタップの機能が有効化され、(17−n)個のタップの機能が無効化されるように各FIRフィルタ31,32を設定する(ステップSt4)。このようにして、信号処理制御部27は動作する。
本実施例において、タップ数決定部52は、DGDのみに応じてタップ数nを決定したが、以下の実施例のように、DGD及びOSNRに応じて、より適切なタップ数nを決定してもよい。
図10は、受信装置2の他の例を示す構成図である。図10において、図1と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。受信装置2は、デジタル信号処理部20と、ADC22a〜22dと、コヒーレント受信器29と、信号処理制御部27aとを有する。
信号処理制御部27aは、適応等化部203の有効なタップ数を光信号のDGD及びOSNRに応じて制御する。これにより、適応等化部203の動作中のタップ数が削減されるため、消費電力が低減される。このとき、信号処理制御部27aは、信号品質モニタ部206から、光信号のエラーに関するモニタ値を取得することによりOSNRを測定する。
図11は、信号処理制御部27aの他の例を示す構成図である。図11において、図7と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。信号処理制御部27aは、例えばCPU回路及びFPGAなどのハードウェアの組み合わせなどにより構成される。
信号処理制御部27aは、動作制御部50aと、DGDモニタ部51と、タップ数決定部52aと、タップ設定部54と、OSNRモニタ部55と、メモリ53とを有する。メモリ53は、光信号のDGD及びSONRと適応等化部203のタップ数nの対応関係が登録された設定テーブル530aを記憶する。なお、設定テーブル530aはテーブルの他の例である。
動作制御部50aは、DGDモニタ部51、タップ数決定部52a、OSNRモニタ部55、及びタップ設定部54の動作を制御する。動作制御部50aは、例えばタップ係数演算部30からの演算開始の通知に基づいて、適応等化部203におけるX偏波信号Sx及びY偏波信号Syの疎通を検出する。動作制御部50aは、X偏波信号Sx及びY偏波信号Syの疎通を検出したとき、DGDモニタ部51、タップ数決定部52a、OSNRモニタ部55、及びタップ設定部54に動作の開始を指示する。このため、DGDモニタ部51、タップ数決定部52a、OSNRモニタ部55、及びタップ設定部54は、信号疎通前には動作しない。
OSNRモニタ部55は、測定部の一例であり、光信号のOSNRを測定する。より具体的には、OSNRモニタ部44は、信号品質モニタ部206から光信号のエラーに関するモニタ値Sqx1,Sqx2,Sqy1,Sqy2を取得することによりOSNRを測定する。モニタ値Sqx1,Sqx2はX偏波信号Sxのエラー成分を示し、モニタ値Sqy1,Sqy2はY偏波信号Syのエラー成分を示す。
Sq1=(Sqx1+Sqy1)/2 ・・・(1)
Sq2=(Sqx2+Sqy2)/2 ・・・(2)
Sq2=(Sqx2+Sqy2)/2 ・・・(2)
OSNRモニタ部55は、上記の式(1)及び式(2)から、モニタ値Sqx1,Sqy1の平均値Sq1と、モニタ値Sqx2,Sqy2の平均値Sq2とを算出する。
OSNR=1/(Sq1−Sq2×ξ) ・・・(3)
次に、OSNRモニタ部55は、上記の式(3)により平均値Sq1,Sq2からOSNRを算出する。OSNRモニタ部55は、OSNRをタップ数決定部52aに通知する。
タップ数決定部52aは、決定部の他の例であり、OSNRモニタ部55により測定されたOSNRと、DGDモニタ部51により検出されたDGDに応じて適応等化部203のタップ数nを決定する。より具体的には、タップ数決定部52aは、光信号のQ値の劣化量がOSNRに応じた基準値以下となるように、DGDに応じた適切なタップ数nを決定する。
OSNRに応じたQ値の変化特性は、受信装置2の性能として事前に測定することが可能である。このため、タップ数決定部52aは、OSNRに応じたQ値を検出し、そのQ値と受信装置2の誤り訂正能力の限界値であるQ値(Qref)との差分(以下、「余裕度」と記載)を検出することができる。
図12は、OSNRの変化に対するQ値の変化の一例を示す図である。Q値はOSNRが大きいほど大きくなる。タップ数決定部52aは、このQ値の変化特性に基づいて余裕度を判断することができる。
本例では、受信装置2の誤り訂正能力の限界値Qrefを、一例として7(dB)と仮定する。このため、タップ数決定部52aは、例えばOSNRが20(dB)である場合、余裕度が約2(dB)であると判断する。この場合、タップ数決定部52aは、例えば図8に示されたQ値の劣化量が2(dB)以下となるように、DGDに応じて最小のタップ数nを決定する。つまり、タップ数決定部52aは、光信号のQ値の劣化量が余裕度以下となるように、DGDに応じた適切なタップ数nを決定する。
より具体的には、タップ数決定部52aは、設定テーブル530aに基づきタップ数nを決定する。設定テーブル530aには、図11に示されるように、DGD及びOSNRとタップ数nの対応関係が登録されている。設定テーブル530aでは、DGDが所定範囲ごとに分けられており、そのDGDの範囲及びOSNRに応じたQ値の劣化量が所定値以下となる最小のタップ数nが登録されている。例えば、DGDが100(ps/nm)であり、OSNRが21(dB)である場合、タップ数nは15に決定される。
このように、タップ数決定部52aは、設定テーブル530aから、DGD及びOSNRに対応するタップ数nを検索することによりタップ数を決定する。このため、タップ数決定部52aは、例えば演算処理によりタップ数nを決定する場合より短時間でタップ数nを決定することができる。タップ数決定部52aは、決定したタップ数nをタップ設定部54に通知する。
図13は、信号処理制御部27aの動作の一例を示すフローチャートである。図13において、図9と共通する処理には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、信号処理制御部27aの動作は、信号処理方法の他の例である。
DGDの検出(ステップSt2)の後、OSNRモニタ部55は、動作制御部50aの指示に従いOSNRを測定する(ステップSt2a)。次に、タップ数決定部52aは、動作制御部50aの指示に従い、設定テーブル530aを参照することにより、DGD及びOSNRに応じたタップ数nを決定する(ステップSt3a)。このようにして、信号処理制御部27aは動作する。
このように、タップ数決定部52aは、DGD及びOSNRに応じてタップ数nを決定するため、DGDのみに応じてタップ数nを決定する場合より適切なタップ数nを決定することができる。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 偏波多重光を受信する受信部と、
前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有するフィルタにより補償する適応等化部と、
前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出する検出部と、
前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定する決定部と、
前記所定数のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化する設定部とを有することを特徴とする信号処理装置。
(付記2) 前偏波多重光の群遅延時間差と前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記テーブルから、前記検出された群遅延時間差に対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記1に記載の信号処理装置。
(付記3) 前記偏波多重光のOSNRを測定する測定部を有し、
前記決定部は、前記測定されたOSNRと前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記1に記載の信号処理装置。
(付記4) 前記偏波多重光の群遅延時間差及びOSNRと前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記テーブルから、前記検出された群遅延時間差及び前記測定されたOSNRに対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記3に記載の信号処理装置。
(付記5) 前記検出部は、前記適応等化部の収束後のタップ係数に基づき前記偏波多重光の群遅延時間差を検出することを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の信号処理装置。
(付記6) 偏波多重光を受信し、
前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有する適応等化部により補償し、
前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出し、
前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定し、
前記適応等化部のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化することを特徴とする信号処理方法。
(付記7) 前記偏波多重光の群遅延時間差と前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルから、前記検出された群遅延時間差に対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記6に記載の信号処理方法。
(付記8) 前記偏波多重光のOSNRを測定し、
前記測定されたOSNRと前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記6に記載の信号処理方法。
(付記9) 前記偏波多重光の群遅延時間差及びOSNRと前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルから、前記検出された群遅延時間差及び前記測定されたOSNRに対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記8に記載の信号処理方法。
(付記10) 前記適応等化部の収束後のタップ係数に基づき前記偏波多重光の群遅延時間差を検出することを特徴とする付記6乃至9の何れかに記載の信号処理方法。
(付記1) 偏波多重光を受信する受信部と、
前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有するフィルタにより補償する適応等化部と、
前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出する検出部と、
前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定する決定部と、
前記所定数のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化する設定部とを有することを特徴とする信号処理装置。
(付記2) 前偏波多重光の群遅延時間差と前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記テーブルから、前記検出された群遅延時間差に対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記1に記載の信号処理装置。
(付記3) 前記偏波多重光のOSNRを測定する測定部を有し、
前記決定部は、前記測定されたOSNRと前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記1に記載の信号処理装置。
(付記4) 前記偏波多重光の群遅延時間差及びOSNRと前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記テーブルから、前記検出された群遅延時間差及び前記測定されたOSNRに対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記3に記載の信号処理装置。
(付記5) 前記検出部は、前記適応等化部の収束後のタップ係数に基づき前記偏波多重光の群遅延時間差を検出することを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載の信号処理装置。
(付記6) 偏波多重光を受信し、
前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有する適応等化部により補償し、
前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出し、
前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定し、
前記適応等化部のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化することを特徴とする信号処理方法。
(付記7) 前記偏波多重光の群遅延時間差と前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルから、前記検出された群遅延時間差に対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記6に記載の信号処理方法。
(付記8) 前記偏波多重光のOSNRを測定し、
前記測定されたOSNRと前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記6に記載の信号処理方法。
(付記9) 前記偏波多重光の群遅延時間差及びOSNRと前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルから、前記検出された群遅延時間差及び前記測定されたOSNRに対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする付記8に記載の信号処理方法。
(付記10) 前記適応等化部の収束後のタップ係数に基づき前記偏波多重光の群遅延時間差を検出することを特徴とする付記6乃至9の何れかに記載の信号処理方法。
1 送信装置
2 受信装置
27 信号処理制御部
203 適応等化部
30 タップ係数演算部
31,32 FIRフィルタ
51 DGDモニタ部
52,52a タップ数決定部
53 メモリ
54 タップ設定部
55 OSNRモニタ部
530,530a 設定テーブル
2 受信装置
27 信号処理制御部
203 適応等化部
30 タップ係数演算部
31,32 FIRフィルタ
51 DGDモニタ部
52,52a タップ数決定部
53 メモリ
54 タップ設定部
55 OSNRモニタ部
530,530a 設定テーブル
Claims (6)
- 偏波多重光を受信する受信部と、
前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有するフィルタにより補償する適応等化部と、
前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出する検出部と、
前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定する決定部と、
前記所定数のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化する設定部とを有することを特徴とする信号処理装置。 - 前偏波多重光の群遅延時間差と前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記テーブルから、前記検出された群遅延時間差に対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 前記偏波多重光のOSNRを測定する測定部を有し、
前記決定部は、前記測定されたOSNRと前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 前記偏波多重光の群遅延時間差及びOSNRと前記適応等化部のタップ数の対応関係が登録されたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記決定部は、前記テーブルから、前記検出された群遅延時間差及び前記測定されたOSNRに対応するタップ数を検索することにより前記適応等化部のタップ数を決定することを特徴とする請求項3に記載の信号処理装置。 - 前記検出部は、前記適応等化部の収束後のタップ係数に基づき前記偏波多重光の群遅延時間差を検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の信号処理装置。
- 偏波多重光を受信し、
前記受信した偏波多重光の品質劣化を、所定数のタップを有する適応等化部により補償し、
前記偏波多重光の各偏波間の群遅延時間差を検出し、
前記検出された群遅延時間差に応じて前記適応等化部のタップ数を決定し、
前記適応等化部のタップのうち、前記決定されたタップ数分のタップの機能を有効化することを特徴とする信号処理方法。
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JP2017082172A JP2018182620A (ja) | 2017-04-18 | 2017-04-18 | 信号処理装置及び信号処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2017
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