JP2018180466A - 振動素子及び光走査装置並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】揺動体へのホコリ付着防止に関する。
【解決手段】トーションバーと、前記トーションバーの一部に平面形状部を設け取り付けられた揺動体と、前記揺動体またはトーションバーに取り付けられた磁石とを有した振動素子において、前記揺動体に導電性を有した材料を構成する。これにより本発明では、揺動体へのホコリ付着を防止することができる。さらに、本発明では、ホコリ付着に伴う光反射面の反射率低下や、揺動体の質量変化による共振周波数の変動も抑制される。
【選択図】図5
【解決手段】トーションバーと、前記トーションバーの一部に平面形状部を設け取り付けられた揺動体と、前記揺動体またはトーションバーに取り付けられた磁石とを有した振動素子において、前記揺動体に導電性を有した材料を構成する。これにより本発明では、揺動体へのホコリ付着を防止することができる。さらに、本発明では、ホコリ付着に伴う光反射面の反射率低下や、揺動体の質量変化による共振周波数の変動も抑制される。
【選択図】図5
Description
本発明は、振動素子、及びこの振動素子を備えた光走査装置、並びにこの光走査装置を備えた画像形成装置や画像投影装置等の電子機器に関する。
振動素子は、光源からの光を走査する手段として光走査装置において使用されることがある。一般に、光走査装置の中には、トーションバー、光学ミラー及び磁石からなる振動系の共振を利用して、小さな電力で大きな振幅の光走査を行うものがある。
特許文献1に記載の振動素子は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によりシリコン基板を加工して形成されている。
特許文献1の振動素子では、揺動体および1対のトーションバーを有する構造体は、シリコン基板により形成すると記されている。これらの構成では、構造体の材質が導電性を有していないため、帯電が起こり、光反射面などにホコリが堆積する恐れがある。さらには、ホコリ付着に伴い光反射面の反射率の低下や、揺動体の質量変化による共振周波数の変動が起こる。従って、光反射面を帯電させることは、振動素子の特性に大きな影響を与えることになるので、極力低減させる必要がある。
本発明は、ホコリの付着を有効に防止できる振動素子及び光走査装置並びに電子機器を提供するものである。
本発明の振動素子は、トーションバーと、前記トーションバーの一部に平面形状部を設けた揺動体と、前記揺動体またはトーションバーに取り付けられた磁石とを有し、前記揺動体に導電性を持たせていることを特徴とする。
本発明によれば、ホコリの付着を有効に防止できる振動素子及び光走査装置並びに電子機器を実現することができる。さらに、本発明では、光反射を伴う振動素子に適用すれば、ホコリ付着に伴う光反射面の反射率低下や、揺動体の質量変化による共振周波数の変動も抑制される。
図1ないし図4を用いて振動素子について説明する。図1において振動素子30の細長いトーションバー31の一端には揺動体32が取り付けられており、他端は枠体21に取り付けられている。
トーションバー31はねじり梁と呼ばれることもある。揺動体32は、第1の板部材33、第2の板部材34によって形成されている。揺動体32の内部には磁石35が設けられている。
磁界発生部70は、磁石35が発生する磁界に対応した磁界を発生するコイルにより構成されている。磁石35は、揺動体32またはトーションバー31に取り付けられた第1磁界発生手段として機能する。
また、磁界発生部70は、第1磁界発生手段が発生する磁界に対応した磁界を発生し、トーションバー31を変形させて揺動体32を回動させることで、光を光反射面によって走査させる第2磁界発生手段として機能する。なお、第1磁界発生手段がコイルにより構成されてもよい。同様に、磁界発生部70が磁石により構成されてもよい。
図2によれば、振動素子30は、さらに、ベース20およびカバー部材40を備えていることが示されている。揺動体32には、光源からの光が入射するまたは照射される光反射面311が形成されている。
ベース20は、トーションバー31や磁界発生部70、カバー部材40を支持する支持構造体である。枠体21は、基板22上に設けられ、基板22の周縁部を取り囲み、ベース20の外周縁部を構成している。
基板22上には磁界発生部70のシートコイルが設けられている。基板22は、保持部材23によって保持されている。カバー部材40は、透明な部材により形成されている。なお、カバー部材40のうち、光反射面311に対して入射する光が透過する部分だけが透明な部材により形成されていれば十分である。カバー部材40は、ベース20の枠体21の上に重ね合わされている。
カバー部材40、枠体21、基板22および保持部材23は一体的に接合される。これらによって形成された内部空間Sには、棒状の細長いトーションバー31と、これに支持される揺動体32が収容されている。
図3によれば、揺動体32を、トーションバー31の長さ方向に直交する断面を示している。揺動体32は、トーションバー31の中心軸回りに回動する。ここでは、揺動体32の揺動による光反射面311の振れ角をαとしている。第1の板部材33および第2の板部材34は、それぞれの接合面332、342を介して密着接合されている。
図4によれば、理想揺動軸線ARに対して、トーションバー31の長手方向軸線O−Oが傾いている状態が示されている。本実施例に係るトーションバー31は、図7に示されるように、感光ドラム204の回転軸線に対して直交する軸線(以下、これを「理想揺動軸線AR」という)に沿って延在する。
すなわち、理想揺動軸線ARは、図7では、紙面に対して垂直な方向に延在する。理想揺動軸線ARに対してトーションバー31の長手方向軸線O−Oが傾いていると、走査のずれが生じるため、本実施例では、後述する規制部材を採用する。図4に示すように、トーションバー31が片持ち梁として支持されるように、トーションバー31の基端側がベース20の枠体21とカバー部材40との間に固定される。
トーションバー31の末端は内部空間S内に配置される磁界発生部70のシートコイルの中央部分にまで延在している。トーションバー31は、その末端側において揺動体32を固定して支持している。
したがって、トーションバー31の末端側に支持される揺動体32は、トーションバー31の長手方向軸線(図2において、O−O線で表されている。)を中心として、トーションバー31の弾性捩れを伴いつつ揺動する。
このことから、トーションバー31の長手方向軸線O−Oが、理想揺動軸線ARと一致させるようにトーションバー31を形成することが望ましい。図1から図3に示した実施例では、長手方向軸線O−Oが理想揺動軸線ARと一致しているものとして描かれている。
本実施例に係る揺動体32は、トーションバー31を挟んで相互に接合される同一寸法形状を有する2枚の矩形状板部材としての第1の板部材33および第2の板部材34を含んでいる。
第1の板部材33および第2の板部材34は、それぞれの接合面332、342を介して密着接合されるとともに、接合面332、342のそれぞれは、トーションバー31の長手方向軸線O−Oと平行となるように設定される。また、第1の板部材33および第2の板部材34は、それぞれの接合面332、342が基板22に形成されたシートコイルの平面と略平行となるように、トーションバー31に対して接合される。
図2および図3に示されているように、光反射面311は、第1の板部材33の接合面332と表裏の関係に位置し、カバー部材40に対向している。この光反射面311は、アルミニウム(Al)や金(Au)などを第1の板部材33の表面に蒸着することによって形成されてもよいし、予めシリコンウエハのような鏡面加工された板状部材を第1の板部材33の表面に貼り付けることで形成されてもよい。
光反射面311は、長手方向軸線O−Oと揺動体32の重心位置とを含む仮想平面に対して平行に配置される。第1の板部材33は、このように光反射面311を形成されることから光学ミラーを構成しているといえる。
本実施例における素子駆動部は、揺動体32またはトーションバー31に固定される磁石35、ベース20に設けられている磁界発生部70のシートコイルおよびシートコイルに交流電流を与える電源回路(不図示)を備えている。
素子駆動部は、トーションバー31、揺動体32、磁石35で構成される振動系の共振周波数に対応した交流電流を磁界発生部70のシートコイルに流し、交番磁界を発生させる。それにより、揺動体32内部に配置された磁石35が揺動体32の光反射面311を揺動軸線回りに揺動、すなわち、振れ回すことができる。
したがって、この振動系の振幅、すなわち、揺動体32の光反射面311の振れ角αの大きさは、磁界発生部70のシートコイルに与えられる電流量によって調整可能である。交流電流の波形は、正弦波以外に三角波やパルス出力などであってもよい。
〔導電性を有した振動素子の構成〕
本実施例では、図5、図6で示すような両持ち素子構成について説明をする。
振動素子30のトーションバー31両端は枠体21に取り付けられており、トーションバー31の中央に揺動体32が取り付けられている。トーションバー31はねじり梁と呼ばれることもある。揺動体32は、トーションバー31の一方に形成され、トーションバー31を介して他方には磁石35が形成されている。
本実施例では、図5、図6で示すような両持ち素子構成について説明をする。
振動素子30のトーションバー31両端は枠体21に取り付けられており、トーションバー31の中央に揺動体32が取り付けられている。トーションバー31はねじり梁と呼ばれることもある。揺動体32は、トーションバー31の一方に形成され、トーションバー31を介して他方には磁石35が形成されている。
磁界発生部70は、磁石35が発生する磁界に対応した磁界を発生するコイルにより構成されている。磁石35は、揺動体32またはトーションバー31に取り付けられた第1磁界発生手段として機能する。
また、磁界発生部70は、第1磁界発生手段が発生する磁界に対応した磁界を発生し、トーションバー31を変形させて揺動体32を回動させることで、光を光反射面311によって走査させる第2磁界発生手段として機能する。
揺動体32表面の光反射面311には、反射率を向上させるために増反射膜を形成してもよい。
また、トーションバー31の形状は、断面矩形でも断面円形でもよく、限定されるものではない。本実施例では、トーションバー31として導電性材料であるCo−Ni基合金を機械加工して用いた。また、揺動体32の基材を構成する材料は導電しにくい材料である単結晶Siを用いた。
ところで、複数の異なる部品により構成された振動素子30では、揺動体32を高速で回動させる場合には揺動体32を出来るだけ軽くする必要があり、樹脂やガラスなど導電性を有していない材質が用いられることが多い。従って、揺動体32の光反射表面は帯電を起こし、ホコリを堆積することがある。単結晶Si一体で製作した振動素子の場合でも同様の問題が発生する。
そこで、揺動体32に導電性を有していない材質を用いた場合は、揺動体32に導電性を有する機能を付与する構成とすることで問題が解決される。
本実施例では、図5、図6に示すように、導電性を有する材料を介してトーションバー31と揺動体32を配置した構成を説明する。
本実施例のように、導電性を有し、且つ接着機能を有する材料としては、導電性接着剤、金ナノペースト、銀ナノペースト、銅ナノペースト、はんだ等が一例として挙げられるが、この限りではない。
次に、金属トーションバー31と導電性を有しない揺動体32からなる振動素子製作方法について説明する。金属トーションバー31は、揺動体32との接合部分を平坦に加工することにより接着強度の向上が図れる。
揺動体32は、金属トーションバー31との接合部をレーザー加工等で加工し切欠を設けるとよい。これにより、金属トーションバー31との接合面積を広くし、接着強度を高めることができる。さらに、金属トーションバー31との接合面から反対側の光反射面311まで切欠を延ばすことにより、光反射面311へ導電性を有する接点を設けることができる。
上述した各部品は、金属トーションバー31を両側から揺動体32と磁石35により挟み込む配置となっており、各部品同士が導電性を有する材料で接着されている。なお、導電性を付与する構成としては、この限りではない。
このように、本実施例では、揺動体32の光反射面311に導電性を有する接点、すなわち、光反射面311を形成する部分と金属トーションバー31とを電気的に接続し、光反射面311から金属トーションバー31、その後、枠体21へと電気を流す経路を構築することにより、光反射面311の帯電によるホコリの堆積を防止することが実現できる。また、ホコリの付着に伴う光反射面の反射率の低下が緩和される。
なお、これにより光学特性を長寿命化させることが出来る。また、ホコリの付着に伴い、揺動体の質量変化が起こることに伴う、共振周波数の変動が改善される。これにより、経時変化による駆動特性の劣化を抑制することができる。
〔材料など〕
次に、振動素子30を構成するトーションバー31、揺動体32、磁石35などの材料について以下に述べる。
トーションバー31を構成する材料としては、たとえば、加工硬化処理および時効硬化処理が施された加工硬化および時効硬化型のコバルト(Co)−ニッケル(Ni)基合金が好適である。ここでいうCo−Ni基合金とは、CoおよびNiを含有する金属合金である。
次に、振動素子30を構成するトーションバー31、揺動体32、磁石35などの材料について以下に述べる。
トーションバー31を構成する材料としては、たとえば、加工硬化処理および時効硬化処理が施された加工硬化および時効硬化型のコバルト(Co)−ニッケル(Ni)基合金が好適である。ここでいうCo−Ni基合金とは、CoおよびNiを含有する金属合金である。
Co−Ni基合金は、好ましくは、積層欠陥エネルギーを低下させるクロム(Cr)と、マトリクスの固溶強化や、偏析により転位を固着して時効および加工硬化能の向上に寄与する溶質元素としてモリブデン(Mo)、鉄(Fe)などを含む。本実施例では、Co−Ni基合金として、Co−Ni−Cr−Mo合金やCo−Ni−Fe−Cr合金などを例示することができる。
また、これらの合金は、溶質元素として同様の働きをするニオブ(Nb)、面心立方格子相を安定化させて積層欠陥エネルギーを低下させるマンガン(Mn)、マトリクスの強化と積層欠陥エネルギーの低下に寄与するタングステン(W)などを含むことができる。
さらに、これらの合金は、鋳塊組織の微細化や強度向上に寄与するチタン(Ti)、熱間加工性を改善するボロン(B)およびマグネシウム(Mg)、マトリクスに固溶してCr、Mo、Nbなどと炭化物を形成し、粒界を強化する炭素(C)などを含むことができる。
Co−Ni−Cr−Mo合金を用いた場合、その主要組成の重量比は、Co:20.0〜50.0%、Ni:20.0〜45.0%、Cr/Mo:20.0〜40.0%(Cr:18〜26%、Mo:3〜11%)であることが好ましい。特に、Co:31.0〜37.3%、Ni:31.4〜33.4%、Cr:19.5〜20.5%、Mo:9.5〜10.5%とするのがさらに好ましい。
このCo−Ni基合金をトーションバー31の製品形状に加工するとともに、当該加工に伴って硬化処理を施して内部残留歪みを与えた後、時効硬化処理を施すことによって所望のトーションバー31を得ることができる。
より具体的には、溶製後に熱間鍛造や均質化熱処理などの工程を経て得られた少なくともCo及びNiを含むマトリクスに置換型の溶質元素を含有する出発原料から、冷間圧延による加工硬化処理を経てCo−Ni−Cr−Mo合金材料を得る。この合金材料は、圧延方向に<100>の集合組織が形成され、圧延方向と直交する方向に<110>の集合組織が形成される。
したがって、本実施形態のトーションバー31として採用する場合、プレス加工、レーザー加工、ダイス加工、ワイヤーカット、超塑性加工などによって圧延方向と直交する方向がトーションバー31の長手方向となるように切り出して製品形状に
加工する。
加工する。
また、これらの加工に伴って、硬化処理を施して内部残留歪みを与えた後、真空中または還元雰囲気にて時効硬化処理を施すことによって所望のトーションバー31を得ることができる。この時効硬化処理は、400℃〜700℃の温度で数十分から数時間程度(例えば、550℃で2時間)行うのが最適であるが、処理時間を短縮するために、例えば、強磁場中での熱処理を用いることも有効である。
これにより、高強度かつ振動減衰能が低く、しかも弾性限界の高い良好な振動特性を有するトーションバー31を得ることができる。このような非磁性で加工硬化及び時効硬化型のCo−Ni−Cr−Mo合金としては、例えば、Co:35%、Ni:32%、Cr:20%、Mo:10%の組成を有するセイコーインスツル株式会社のSPRON510(商品名:SPRONは、登録商標である。)を挙げることができる。
このようにして、共振周波数が尖鋭且つ振動が共振周波数に対して線対称となるような特性、すなわちQ値が高く(たとえば、1000以上)且つバネ特性の非線形性が非常に小さなトーションバー31を得ることができる。このようなトーションバー31は、振動変形による最大歪みが3×10−3mm程度まで大きくなっても不安定性を生じることがなく、消費電力が少ない振動素子30を実現することができる。
したがって、本実施例における画像形成装置200は、所望の疲労特性および振動特性を確保しつつ小型化することが可能であり、ジッターなどの不安定性を低減させて安定したレーザー光の走査が可能であり、走査角の高精度な制御が可能となる。
なお、本実施例では、非磁性を示すCo−Ni基合金にてトーションバー31を形成しているが、これは、揺動体32をトーションバー31とともに揺動させる手段として、磁石と交番磁界を用いた場合、安定した駆動を実現することができるからである。
したがって、素子駆動部207として、交番磁界以外の手段、たとえば、圧電素子などを利用することも可能である。トーションバー31の材料としては、バネ材料として一般的に用いられるSUS 301、302、304、316、631、632などのステンレス鋼、バネ鋼(SUP)、ピアノ線(SWP)、バネ用炭素鋼のオイルテンパー線(SWO)などを採用し得る。
さらには、バネ用シリコンクロム鋼のオイルテンパー線(SWOSC)、バネ用ベリリウム銅合金(C1700、C1720)、バネ用チタン銅合金(C1990)、バネ用リン青銅(C5210)、バネ用洋白(C7701)なども採用することができる。
揺動体32を構成する材料としては、アルミナ、ジルコニア、ベリリウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、サファイア、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、ガラス、樹脂などの非磁性体を利用することができる。さらに、これらの表面を鏡面化することによって該表面を光反射面311として利用することも可能である。なお、揺動体32の基材を、金属材料と比べて軽量な材料(シリコン材料等)で形成し、その表面に金属材料からなる光反射面311を形成することで、揺動体32を全て金属材料で形成した場合と比べて、揺動体32の軽量化を図ることができる。
揺動体32を構成する第1の板部材33の上面に形成される光反射面311については、上述したように、反射率を向上させるために、AlやAuなどを蒸着やスパッタといった真空蒸着法によって形成してもよい。また、たとえば、チタン(Ti)、Al、銅(Cu)、銀(Ag)、Auなどの金属膜が用いられてもよい。
しかしながら、金属膜は、その表面が比較的傷付き易く、また、酸化し易い。よって、金属膜のみで光反射面311を形成すると、徐々に反射率が低下してしまう。そこで、金属膜を保護するための保護膜が必要となる場合がある。また、金属膜単層では光反射面311として所望の反射率が得られない恐れもある。
したがって、保護膜に増反射膜としての機能を持たせ、光反射面311全体としての反射率を高めることができれば、金属膜を保護しつつ、光の利用効率をあげることができる。
増反射膜は、たとえば、誘電体の低屈折率材料と高屈折率材料を組み合わせて積層することで形成される。低屈折率材料としては、たとえば、SiO2やMgF2がある。高屈折率材料としては、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Ta2O5などがある。但し、Al2O3のような中間屈折率材料を積層してもよい。なお、増反射膜の材料をこれらのみに限る必要はなく、適宜最適な材料を選択することができる。
また、揺動体32とともにトーションバー31に取り付けられる磁石35は、できるだけ小型軽量であって高い保持力を有することが好ましく、Nd−Fe−B系やSm−Co系の希土類磁石などが好適である。
なお、磁石35は、アルニコ磁石、Fe−Co−V合金磁石、Cu−Ni−Fe合金磁石、Cu−Ni−Co合金磁石、Fe−Cr−Co磁石、Pt−Co磁石などであってもよい。さらには、磁石35は、ハードフェライト(BaフェライトやSrフェライト)などの焼結磁石やボンド磁石の他にスパッタ法などで形成した薄膜磁石であってもよく、材質や製造方法または形状などで特に制限されるものはない。
〔画像形成装置〕
上述した振動素子30の揺動体32に光反射面311を形成することで、振動素子30は光走査装置として機能する。光走査装置は、たとえば、画像形成装置や画像投影装置等の電子機器としてさらに応用できる。ここでは、まず、画像形成装置について説明する。
上述した振動素子30の揺動体32に光反射面311を形成することで、振動素子30は光走査装置として機能する。光走査装置は、たとえば、画像形成装置や画像投影装置等の電子機器としてさらに応用できる。ここでは、まず、画像形成装置について説明する。
図7に本実施例における電子写真方式の画像形成装置200を示す。感光ドラム204は、静電潜像やトナー画像を担持する像担持体である。感光ドラム204は、帯電部によって一様に帯電したあとに、露光部210によって光を照射され、静電潜像を形成される。静電潜像は、現像部によってトナー画像へと現像される。トナー画像は転写部によって記録媒体上に転写される。さらに、定着部においてトナー画像は記録媒体上に定着する。
露光部210は、光走査装置220、周知のコリメータ光学系202及びfθレンズ203を備えている。光走査装置220は、画像情報に対応したパルス状のレーザー光Lを発振するためのレーザー光源201や上述した振動素子30を備えている。振動素子30が備える揺動体32の光反射面311が揺動することで、感光ドラム204の回転軸線と平行な方向にレーザー光Lが移動する。
BDセンサ205は感光ドラム204の回転軸方向の両端に設けられており、レーザー光Lが入射したときに制御装置206へ検出信号を送出する。制御装置206は、BDセンサ205の検出信号に基づいて、素子駆動部207を駆動するための制御信号を出力する。素子駆動部207は、制御信号にしたがって振動素子30を駆動する。
とりわけ、制御装置206は、振動素子30の揺動体32の揺動による光反射面311の振れ角αが感光ドラム204の表面の所定範囲内に収まるように、一対のBDセンサ205からの検出信号に基づいて素子駆動部207の出力電流をフィードバック制御する。
画像信号に応じてレーザー光源201から出射するパルス状のレーザー光Lは、コリメータ光学系202を通って振動素子30の揺動体32の光反射面311に入射する。この光反射面311にて反射したレーザー光は、fθレンズ203を介して感光ドラム204の表面に照射される。
振動素子30の揺動体32の光反射面311が揺動軸線、すなわちトーションバー31の長手方向軸線O−O、の回りに揺動(振動)する。これにより、レーザー光Lが感光ドラム204の回転軸線と平行な方向に走査される。さらに、感光ドラム204も回転することで、画像情報、すなわち、静電潜像が感光ドラム204の表面に形成されることになる。
本実施例の画像形成装置200は上述した振動素子30を採用している。つまり、振動素子30のトーションバー31は、金属または金属合金の基板材料500を機械加工して形成され、さらに、外周面における加工面400を表面処理して平滑化されている。これにより、Q値や最大振れ角など、振動素子30の駆動における共振特性が向上するため、画像形成装置200により形成される画像の品質も安定するようになる。
〔画像投影装置〕
実施例にかかる振動素子30を、オーバーヘッドプロジェクターなどの画像投影装置300に適用した実施例について図8を用いて説明する。本実施例においては、画像形成装置200に適用した実施例と同一の機能を有する構成要素については同一符号を記すに止め、重複する説明を省略する。
実施例にかかる振動素子30を、オーバーヘッドプロジェクターなどの画像投影装置300に適用した実施例について図8を用いて説明する。本実施例においては、画像形成装置200に適用した実施例と同一の機能を有する構成要素については同一符号を記すに止め、重複する説明を省略する。
画像投影装置300は、光源301、光走査装置220、光源301からの光を所定方向に変更させる光偏向装置302およびこの光偏向装置302により偏向した光が照射されるスクリーン304を備えている。
光走査装置220は、スクリーン304に対して水平方向に光を走査し、光偏向装置302は、スクリーン304に対して垂直方向に光を走査する。このようにして、2次元走査が実現される。この光偏向装置302による光の偏向速度は、振動素子30の揺動体32の振動周期よりも相対的に遅くすることができる。よって、光偏向装置302は、制御装置206によって制御されるガルバノミラーで実現できる。
RGB三原色を含む光源301から出射する光は、振動素子30および光偏向装置302により2次元走査され、スクリーン304に画像として投射される。振動素子30の主要部を構成する揺動体32の光反射面311の振れ角αは、制御装置206から出力される制御信号に基づいて素子駆動部207により調整される。
また、光偏向装置302も同様に、制御装置206からの出力に基づき、揺動体32の理想揺動軸線に対して直行する軸線回りの振れ角が制御される。制御装置206には、スクリーン304に投影される画像情報が入力部303から伝達され、光源301からスクリーン304に至る光路の距離に関する情報が測距部305から入力される。
制御装置206は、これら入力部303および測距部305からの情報に応じた投影画角や拡大率などの設定、像の大きさやその縦横比に基づき、振動素子30および光偏向装置302の走査角をそれぞれ変更する。なお、画像の拡大率は、走査角を変更せずとも光源301に対する通電のオン/オフ制御によっても可能である。しかしながら、走査角を変更することによって光源301のオフ時間を減らすことで、高輝度の画像をスクリーン304に投影することができる。
本実施例の画像投影装置300も、加工硬化および時効硬化型のCo−Ni基合金からなるトーションバー(不図示)に揺動体を固定しているため、小型化に加えてジッターなどの不安定性を低減でき、走査角を変更した場合でも安定した動作が可能である。
また、振動減衰率の歪み振幅依存性が小さいため、走査角を大きくした場合の急激な消費電力の増加も起こらない。さらに、光の有効利用によって光源301の駆動電力を低減することができる。これらのことから、小型化と併せて、素子駆動部207や電源の容量を低減させることが可能となり、小型で投影画角の大きな高性能の画像投影装置300を実現することができる。
とりわけ、本実施例の画像投影装置300は上述した振動素子30を採用している。つまり、振動素子30のトーションバー31は、金属または金属合金の基板材料500を機械加工して形成され、さらに、外周面における加工面400を表面処理して平滑化されている。これにより、Q値や最大振れ角など、振動素子30の駆動における共振特性が向上するため、画像投影装置300により投影される画像の品質も安定するようになる。
Claims (7)
- トーションバーと、
前記トーションバーの一部に平面形状部を設け取り付けられた揺動体と、
前記揺動体またはトーションバーに取り付けられた磁石と、を有し、
前記揺動体に導電性を持たせることを特徴とする振動素子。 - 前記トーションバーは、金属もしくは合金であり、導電性を有している材料を用いていることを特徴とする請求項1に記載の振動素子。
- 前記揺動体の基材は、導電性を有していない材料から形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の振動素子。
- 金属材料により形成されたトーションバーと、
前記トーションバーに支持された揺動体と、を備え、
前記揺動体は、金属材料により形成された光反射面を有し、
前記光反射面を形成する部分と前記トーションバーとが電気的に接続されたことを特徴とする振動素子。 - トーションバーと、
前記トーションバーに取り付けられた揺動体と、
前記揺動体またはトーションバーに取り付けられた磁石と、を有し、
前記揺動体は、光反射面が平滑であり、かつ、金属を材料とした反射層が1層または積層されていることを特徴とする振動素子。 - トーションバーと、
前記トーションバーに取り付けられた揺動体と、
前記揺動体に設けられた光反射面と、
前記光反射面に光を照射する光源と、
前記揺動体またはトーションバーに取り付けられた磁石と、
前記磁石に対応した磁界を発生し、前記トーションバーを変形させて前記揺動体を回動させることで、前記光を前記光反射面によって走査させる磁界発生手段と、を有し、
前記揺動体は、光反射面が平滑であり、かつ、金属を材料とした反射層が1層または積層されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項6に記載の光走査装置を備えたことを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017084359A JP2018180466A (ja) | 2017-04-21 | 2017-04-21 | 振動素子及び光走査装置並びに電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017084359A JP2018180466A (ja) | 2017-04-21 | 2017-04-21 | 振動素子及び光走査装置並びに電子機器 |
Publications (1)
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JP2018180466A true JP2018180466A (ja) | 2018-11-15 |
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ID=64275373
Family Applications (1)
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JP2017084359A Pending JP2018180466A (ja) | 2017-04-21 | 2017-04-21 | 振動素子及び光走査装置並びに電子機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018180466A (ja) |
-
2017
- 2017-04-21 JP JP2017084359A patent/JP2018180466A/ja active Pending
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