JP2018179693A - 原子炉格納容器ベントシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】隔離用の大容量の容器を必要とせず、継続的に原子炉格納容器内の蒸気を系外に放出でき、かつ圧力を継続的に減圧できる構造を持つベントシステムを提供する。【解決手段】原子炉格納容器の内部の気体を外部に排出することで、原子炉格納容器を減圧するベントラインと、放射性物質の透過を抑制し蒸気を透過する、原子炉格納容器側のベントラインの端部に配置されたフィルタと、原子炉格納容器の内部のベントラインの端部およびフィルタを囲む保護容器と、原子炉格納容器の限界圧力以下の動作圧力で開き、動作圧力未満で閉じ、フィルタを介さずに気体を外部に排出するための、保護容器に設置されたベントラインのバイパス用開閉弁とを備える。また、保護容器には、バイパス用開閉弁の作動圧力以下の動作圧力で開く起動弁を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、原子炉格納容器ベントシステムに関する。
原子力発電プラントの原子炉格納容器が備える機能の一つとして、原子炉圧力容器内の炉心が万が一、溶融するような事態(以下、「過酷事故」と称する)が発生した際に、放射性物質が原子炉圧力容器外に放出されても、放射性物質を閉じ込める機能がある。このような機能を備えることで、原子炉格納容器は、過酷事故発生時に放射性物質の外部への漏出を防ぐことができる。過酷事故が発生した場合においても、その後に十分な注水が行われ、かつ原子炉格納容器が冷却されれば、事故は収束する。
しかしながら万が一に、蒸気の生成が継続し、原子炉格納容器の冷却が不十分な場合には、原子炉格納容器が加圧される可能性がある。原子炉格納容器が加圧された場合は、原子炉格納容器内の気体を大気中に放出し、原子炉格納容器を減圧する必要がある。この減圧のための操作をベント操作と呼ぶ。このベント操作を行う場合は、沸騰水型原子炉では公衆の被ばくが最小限となるように、サプレッションプールのプール水によって放射性物質を除去(以下、「スクラビング」と称する)した上で原子炉格納容器内の気体(以下、「ベントガス」と称する)を大気中に放出する。
沸騰水型原子炉では、前述のようにサプレッションプールのプール水により十分に放射性物質を除去した上で、ベントガスを大気中に放出しているが、このベントガスからさらに放射性物質を取り除くシステムとしてフィルタベントシステムがある。例えば特許文献1には、フィルタベントシステムの一例として、ベントガスから放射性物質を除去するための放射性物質除去フィルタ装置が記載されている。
この特許文献1に記載された放射性物質除去フィルタ装置は、水を内包するタンク、タンクの水中にベントガスを導く配管、およびタンクからベントガスを排出する出口に金属フィルタやヨウ素フィルタを備えている。
ベントガスから放射性物質を除去するためのベントガスは、タンク内の水中に放出されることによりスクラビングされて、エアロゾルが除去される。その後、金属フィルタではスクラビングで除去しきれなかったエアロゾルが、ヨウ素フィルタで除去される。ヨウ素フィルタでは、化学反応および吸着によって、スクラビングで除去しきれなかったヨウ素などの揮発性の核分裂生成物(以下、「揮発性FP」と称する)が除去される。また、特許文献2では、反応性に乏しい放射性希ガスについても外部への放出を防ぐために、一般的なフィルタベントシステムの後流に、ホールドアップ装置を設けることが提案されている。ホールドアップ装置では、ベントガスからキセノンやクリプトンなど反応性の乏しい放射性希ガスを放射能が減衰するまで封じ込めることが行われる。
特開2014−44118号公報 特表2016−521843号公報
放射性希ガスについても外部への放出を防ぐことを目的としたフィルタベントシステムでは、上述したようにホールドアップ装置を備える必要がある。ホールドアップ装置は放射性希ガスを放射能が減衰するまで、ある程度の時間封じ込めるものであるが、そのようなベントガスに含まれる希ガスを放射能が十分減衰するまで保持するためには、大型のホールドアップ装置を複数台設置する必要がある。
またホールドアップ装置を設置する場合には、そのホールドアップ装置に溜まった物質を除去するためのボイラや配管などの付随する装置が多数必要であり、構成が複雑化する問題がある。
ここで、フィルタベントシステムの代わりに、原子炉格納容器からベントガスを排出するライン(以下、ベントライン)上に、放射性希ガスを含むほぼ全ての放射性物質を透過しないフィルタを設置することも提案されている。このような全ての放射性物質を透過しないフィルタを備えた原子炉格納容器ベントシステムを用いれば、放射性物質を極力外部に放出することなく原子炉格納容器の加圧の原因となる蒸気を放出することができる。
しかしながら、フィルタを設置する位置として、例えばベントラインの下流部など、原子炉格納容器外にフィルタを設置した場合、時間の経過と共にフィルタの直上流部にはフィルタを透過することのできない気体が滞留してしまう。これら気体の分圧が高まることで、蒸気の透過量が低下し、原子炉格納容器の圧力を減圧する機能が低下する可能性がある。
このような気体の滞留を防止するには、滞留した気体を原子炉格納容器に戻すか、あるいは滞留した気体全てを格納できる大容量の容器に隔離する必要がある。さらに原子炉格納容器ベントシステムは、過酷事故時に動作する必要性があるため、運転員の操作無しで受動的に起動し、動力が必要な動的機器無しで動作することが望ましい。
一方、ベントラインの最上流部である原子炉格納容器内のベントライン端部にフィルタを設置した場合、気体を戻すための戻し配管、駆動流体もしくは電源が必要なポンプなどの動的機器、および滞留した気体を隔離するための大容量容器が不要となる。しかし、事故時には、サプレッションプールのプール水の波立ちや原子炉格納容器への注水により生じた水滴が、原子炉格納容器内に飛散する。
また万が一に、過酷事故が起こった際には、揮発性FPが原子炉格納容器内に流入することがある。さらに流入した揮発性FPが過飽和となることで、原子炉格納容器内でエアロゾルが生成する可能性がある。
ここで、フィルタを原子炉格納容器内に設置した場合には、これらがフィルタに付着することにより、フィルタの性能が劣化するため、フィルタを保護する必要がある。更に、単純にフィルタのみを原子炉格納容器内に設置した場合は、そのフィルタが蒸気を透過できるとしても、限りなく低いが、フィルタ直上流部に透過しない気体が滞留する。その場合、蒸気の透過性能を維持できず、原子炉格納容器内の蒸気を継続的に系外に排出できなくなるため、原子炉格納容器の圧力を継続的に減圧できなくなる可能性もある。
本発明は、運転員の操作なしで受動的に起動すると共に、隔離用の大容量の容器を必要とすることなく、継続的に原子炉格納容器内の蒸気を系外に放出でき、かつ圧力を継続的に減圧することができる構造を持つ原子炉格納容器ベントシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならは、原子炉格納容器の内部の気体を外部に排出することで、原子炉格納容器を減圧するベントラインと、放射性物質の透過を抑制し蒸気を透過する、原子炉格納容器側のベントラインの端部に配置されたフィルタと、原子炉格納容器の内部のベントラインの端部およびフィルタを囲む保護容器と、原子炉格納容器の限界圧力以下の動作圧力で開き、動作圧力未満で閉じ、フィルタを介さずに気体を外部に排出するための、保護容器に設置されたベントラインのバイパス用開閉弁と、保護容器に設置され、バイパス用開閉弁の作動圧力以下の動作圧力で開く起動弁を備える。
本発明によれば、原子炉圧力容器から原子炉格納容器内に放射性物質を含む気体が流出し、原子炉格納容器が加圧される事態が発生した場合でも、放射性希ガスを含む放射性物質を極力原子炉格納容器内に留めることができる。そして、動的機器を使用せずに起動することができ、また大容量の容器を使用せずに放射性物質を極力原子炉格納容器内に留めることが可能になる。したがって、原子炉格納容器の加圧を防止することができ、かつ外部への放射性物質の漏洩を防止することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態例に係る原子炉格納容器および原子炉格納容器ベントシステムの全体を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態に係る原子炉格納容器ベントシステムが備える放射性物質フィルタリングシステムの構成図である。 本発明の第2の実施の形態例に係る原子炉格納容器および原子炉格納容器ベントシステムの全体を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る原子炉格納容器ベントシステムが備える放射性物質フィルタリングシステムの構成図である。 本発明の第2の実施の形態に係る原子炉格納容器ベントシステムが備える放射性物質フィルタリングシステム(バイパス流路を別にした例)の構成図である。 本発明の第3の実施の形態例に係る原子炉格納容器および原子炉格納容器ベントシステムの全体を示す構成図である。 本発明の第4の実施の形態例に係る原子炉格納容器および原子炉格納容器ベントシステムの全体を示す構成図である。 本発明の第5の実施の形態例に係る原子炉格納容器および原子炉格納容器ベントシステムの全体を示す構成図である。
[1.第1の実施の形態例]
以下、本発明の第1の実施の形態例を、図1および図2を参照して参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40の概略構成を示す。図1において、原子炉格納容器1は立断面として示している。
第1の実施の形態例は、改良型沸騰水型原子炉に適用したものである。
図1に示すように、原子炉格納容器1の内部には、炉心2を内包する原子炉圧力容器3が設置されている。原子炉圧力容器3には、原子炉圧力容器3内で発生した蒸気をタービン(図示せず)に送る主蒸気管4が接続されている。
原子炉格納容器1の内部は、鉄筋コンクリート製のダイヤフラムフロア5によってドライウェル6とウェットウェル7に区画されている。ウェットウェル7は、内部にプール水を貯めている領域である。このウェットウェル7内のプールのことをサプレッションプール8と呼ぶ。ドライウェル6とウェットウェル7は、ベント管9によって相互に連通されている。ベント管排気部9aは、ウェットウェル7内のサプレッションプール8の水面下に開口している。万が一に、配管類の一部が損傷し、原子炉格納容器1内に蒸気が放出される配管破断事故が発生した場合、ドライウェル6の圧力が破断口から流出する蒸気により上昇する。このような配管破断事故は、一般的にLOCA(loss-of-coolant accident)と称され、配管が通るドライウェル6で発生する。
LOCAが発生した際にドライウェル6内に放出された蒸気は、ドライウェル6とウェットウェル7の圧力差により、ベント管9を通ってウェットウェル7内のサプレッションプール8の水中に導かれる。サプレッションプール8の水で蒸気を凝縮することで原子炉格納容器1内の圧力上昇を抑制する。この際に蒸気内に放射性物質が含まれていた場合、サプレッションプール8の水のスクラビング効果により大半の放射性物質が除去される。
同様に、原子炉圧力容器3や主蒸気管4の圧力が高くなった場合も、蒸気をサプレッションプール8に放出し、原子炉圧力容器3や主蒸気管4の圧力を減圧する。また、放出した蒸気をサプレッションプール8で凝縮することによっても、原子炉格納容器1の圧力上昇を緩和する。このような処理を行うために、改良型沸騰水型原子炉では、原子炉格納容器1内のドライウェル6の領域に、蒸気逃し安全弁10が設置されている。蒸気逃し安全弁10を通して放出された蒸気は、蒸気逃し安全弁排気管11を通って、最終的にクエンチャ12からサプレッションプール8内に放出され、サプレッションプール8のプール水により凝縮される。蒸気をサプレッションプール8で凝縮して液体の水にすることで、蒸気の体積が大幅に減少し、原子炉格納容器1の圧力上昇を抑制することができる。また、その際に蒸気に放射性物質が含まれている場合、サプレッションプール8の水によるスクラビング効果により大半の放射性物質が除去される。
サプレッションプール8で蒸気を凝縮し、サプレッションプール8内のプール水を残留熱除去系(不図示)で冷却することで、原子炉格納容器1の温度上昇と圧力上昇を防止し、事故を収束させることができる。しかし非常に低い可能性ではあるが、残留熱除去系が機能を喪失した場合、サプレッションプール8のプール水の温度が上昇する。プール水の温度が上昇するに伴い、原子炉格納容器1内の蒸気の分圧はプール水の温度の飽和蒸気圧まで上昇するため、原子炉格納容器1の圧力が上昇する。このような圧力上昇が起きた場合、原子炉格納容器1内に冷却水をスプレイすることで、圧力上昇を抑えることができる。また、このスプレイは外部から消防ポンプなどを接続して作動させることも可能である。しかし、さらに非常に低い可能性ではあるが、このスプレイも作動しない場合、原子炉格納容器1の圧力は上昇する。このような原子炉格納容器1の圧力上昇が起きた場合、原子炉格納容器1内の気体を、ベントライン15から排気塔13を介して外部に放出することで原子炉格納容器1の圧力上昇を抑えることができる。この操作のことをベント操作と呼ぶ。沸騰水型原子炉では、このベント操作をウェットウェル7内の気体を放出することにより行うことで、サプレッションプール8の水で最大限放射性物質を除去した上で、外部へ気体を放出することができる。
ベント操作を行うことで、ほとんどの放射性物質は除去され、放射性物質が除去された放出ガスは、排気塔13から外部に放出される。しかし、放射性希ガスは反応性が乏しいため、ウェットウェル7から放出させるだけのベント操作では放射性物質は除去できない。このため、従来のベント操作では、この放射性希ガスの放射能が減衰するまで待ってから行う必要があった。従来の構成では、原子炉スクラム後から比較的短い時間の間はベント操作を行うことができない。また、ベント操作を行う場合であっても、放出される気体には、極力、放射性物質が含まれないようにすることが望ましく、放射性物質の除去性能の向上が望まれている。第1の実施の形態例の原子炉格納容器ベントシステム40は、これらの従来の問題点を解決するものである。
次に、第1の実施の形態例の原子炉格納容器1に設置された、原子炉格納容器ベントシステム40の構成について説明する。
原子炉格納容器ベントシステム40は、原子炉格納容器1内のウェットウェル7の気相部7aと、外部の排気塔13とを接続するベントライン15を設ける。そして、このベントライン15の原子炉格納容器1の内側の上流側に、蒸気を透過し、放射性希ガスを含むほぼ全ての放射性物質を透過しないフィルタを有する放射性物質フィルタリングシステム14を設置する。
この放射性物質フィルタリングシステム14がベントライン15に接続されることで、原子炉格納容器1の圧力を減圧すると同時に、原子炉格納容器1内にほぼ全ての放射性物質を閉じ込めることができる。
図2は、原子炉格納容器ベントシステム40が備える放射性物質フィルタリングシステム14の構成を示す。
放射性物質フィルタリングシステム14は、フィルタ30、保護容器31、フィルタリングシステム起動弁32、およびバイパス用開閉弁33を備える。
保護容器31は、原子炉格納容器1内のウェットウェル7の気相部7aに設置される。この保護容器31の内側には、ベントライン15の上流側の開口部15aが接続される。そして、ウェットウェル7の気相部7aと保護容器31の内部とを隔てる箇所に、フィルタリングシステム起動弁32が設置される。
フィルタリングシステム起動弁32は、ウェットウェル7側から設定された動作圧力Aが加わったときに開く。このフィルタリングシステム起動弁32としては、例えば、動作圧力Aが加わったときに、その圧力で自動的に破裂する部材である、ラプチャディスクが使用される。ラプチャディスクを使用するのは一例であり、動作圧力Aが加わったときに開く弁として機能するものであれば、フィルタリングシステム起動弁32として、その他の構成のものを使用してもよい。
フィルタリングシステム起動弁32が開く動作圧力Aは、原子炉格納容器1が設計上安全に運用できる圧力である限界圧力未満に設定される。
このようなフィルタリングシステム起動弁32を使用することで、運転員の操作なく、かつ電源や駆動流体を必要とせずに、フィルタ30を通して原子炉格納容器1を減圧することができる。
そして、保護容器31の内部には、ベントライン15の開口部15aを覆うようにフィルタ30が取り付けられている。したがって、フィルタリングシステム起動弁32が開いた状態のとき、ウェットウェル7の気相部7aから保護容器31に入った気体は、フィルタ30を通過してベントライン15を通過する。
フィルタ30は、蒸気を透過し放射性物質を閉じ込めることができる材質よりなる。
ここで、フィルタ30の構造材について説明する。
フィルタ30は、蒸気を透過する必要がある。また原子炉格納容器1の加圧防止のためには、炉心2が溶融した際に発生する可能性のある水素も透過できることが望ましい。透過するべき水蒸気、水素は分子径が0.3nm以下と小さく、透過させない放射性物質のうちで分子径の小さい放射性希ガス(主にクリプトンやキセノン)は、それよりもかなり大きい。そこで分子径が小さい蒸気や水素を選択的に透過するには、分子ふるいで分離できる膜を利用することが考えられる。
沸騰水型原子炉の場合、原子炉格納容器1の内部の気体は窒素で置換されている。分子サイズを利用して分子ふるいでガスを選択する場合、クリプトンやキセノンと分子サイズの近い窒素は透過しない可能性があるが、原子炉格納容器を減圧する観点では問題ない。このような用途に最適なフィルタとしては、ポリイミドを主成分とした高分子膜、窒化ケイ素を主成分としたセラミック膜、炭素を主成分とした酸化グラフェン膜などの、分子ふるいにより分離が可能な膜を使用することが望ましい。これらフィルタの一部は、一般的には水素の精製に用いるフィルタに用いられている。また、その他のフィルタとして、クリプトンやキセノンをほとんど透過せず、水蒸気を透過する膜であるならば、それらを使用しても構わない。例えば、窒素精製用に使用されている水蒸気を透過し、窒素をほとんど透過しない窒素分離膜などを、フィルタとして使用してもよい。
このようなフィルタ30を備えることで、原子炉格納容器1の内部の圧力が、フィルタリングシステム起動弁32が開く動作圧力Aを超えたとき、フィルタリングシステム起動弁32が開いて、放射性物質が除去されながらのベント操作が行われる。すなわち、ベントライン15を通過する気体は、フィルタ30により放射性物質が除去された気体であり、放射性物質が除去された気体が排気塔13から外部に放出される。
なお、ベントライン15には、隔離弁34a,34bが取り付けられている。隔離弁34aは、原子炉格納容器1の内側のベントライン15に配置され、隔離弁34bは、原子炉格納容器1の内側のベントライン15に配置される。この隔離弁34a,34bが配置されていることで、残留熱除去系復旧後において、ベントが不要となった際に原子炉格納容器1の内外を隔離することができる。
また、保護容器31は、バイパス流路16を介して放射性物質封入装置17に接続される。ここで、バイパス流路16の上流側の開口部16aは、バイパス用開閉弁33を介して保護容器31に接続される。バイパス用開閉弁33が開いているときに、保護容器31からバイパス流路16に流れる気体は、フィルタ30を通過しない。
バイパス用開閉弁33が開く動作圧力Bは、フィルタリングシステム起動弁32の動作圧力Aより高く設定される。このような動作圧力A,Bの設定で、極力フィルタ30を通したベントを行うようになる。更に、バイパス用開閉弁33の弁が開く動作圧力Bを、原子炉格納容器1の限界圧力未満とすることで、原子炉格納容器1を確実に限界圧力未満に保つことができる。なお、バイパス用開閉弁33は、動作圧力B以上で開いた後、動作圧力B未満に低下することで、再び閉じるように構成されている。
放射性物質封入装置17は、バイパス流路16を介して供給された気体を封入する。この放射性物質封入装置17としては、比較的少容量の小型の封入容器が使用される。
放射性物質封入装置17には、隔離容器気体開放弁18を介してベントライン15が接続される。隔離容器気体開放弁18は、動作圧力B未満の動作圧力Cで開き、動作圧力C未満となった場合に閉じる。隔離容器気体開放弁18が開いた状態では、放射性物質封入装置17の内部の気体がベントライン15を介して排気塔13から外部に排出される。
なお、バイパス流路16についても、ベントライン15と同様に、隔離弁34c,34dが取り付けられている。隔離弁34cは、原子炉格納容器1の内側のバイパス流路16に配置され、隔離弁34dは、原子炉格納容器1の内側のバイパス流路16に配置される。
以上説明したように、本実施の形態例の原子炉格納容器ベントシステム40を備えることで、原子炉格納容器1内の圧力が動作圧力A以上のとき、フィルタリングシステム起動弁32が開き、フィルタ30により放射性物質が除去されて、排気塔13から排気される。この場合、保護容器31は、事故発生の初期にはフィルタ30を保護するように機能する。そして原子炉格納容器1の圧力上昇時にフィルタリングシステム起動弁32が開いて、フィルタ30を使ったベントが行われる。
したがって、原子炉格納容器1内を確実に限界圧力未満に保つことができ、ベント時の放射性物質の漏洩を防ぐことができる。しかも、原子炉格納容器ベントシステムは、運転員による操作が必要なく自動的に作動し、かつ、その作動のために電源や駆動流体を必要としないため、作業員の安全性が保たれた状態で、確実に原子炉格納容器1を減圧することができる。
また、事故時や過酷事故時には水滴やエアロゾル、揮発性FPが原子炉格納容器1内に残っている場合がある。そして、これらが付着することにより、極めて低い確率ではあるがフィルタ30の性能が劣化する可能性がある。しかし、保護容器31によりフィルタ30に到達する、これらの物質を遮断することにより、フィルタ30の性能劣化を限りなく低減することができる。また、エアロゾルや揮発性FPは、サプレッションプール8のプール水のスクラビング効果で除去が可能なため、フィルタ30に到達するエアロゾルや揮発性FPを極力少なくするようにしている。
また、フィルタリングシステム起動弁32が開いたベント時には、保護容器31内のフィルタリングシステム起動弁32とフィルタ30との間の空間に、フィルタ30を透過不能な気体が滞留することになる。フィルタ30を透過不能な気体が滞留すると、フィルタ30の透過性能が低下し、原子炉格納容器1を減圧できなくなる可能性があるが、バイパス流路16と放射性物質封入装置17を備えることで、透過性能の低下を防ぐことができる。
すなわち、原子炉格納容器1の限界圧力以下の動作圧力Bになると、バイパス用開閉弁33が開き、フィルタ30を介さずにバイパス流路16を介して放射性物質封入装置17に気体を排出することができ、原子炉格納容器1を減圧することができる。そして、フィルタ30付近の透過不能な気体を放射性物質封入装置17に排出し、透過性能が回復した後は、バイパス用開閉弁33が閉じる。これにより、フィルタ30を通じてほぼ全ての放射性物質が除去された気体が原子炉格納容器1の外部に放出される状態に復帰する。
このバイパス用開閉弁33の開閉についても原子炉格納容器1の圧力に応じて自動的に行われるため、運転員の操作なしにフィルタ30の透過性能を回復させる動作が行われる。ここで、バイパス用開閉弁33の動作圧力Bをフィルタリングシステム起動弁32の動作圧力Aより高く設定することで、極力フィルタ30を通したベントが行われるようになる。
また、バイパス用開閉弁33が開いた状態であっても、放射性物質封入装置17に放射性物質が封入されるため、原子炉格納容器1の外部に放射性物質が漏洩する可能性を極限まで低減することができる。
この放射性物質封入装置17には、バイパス用開閉弁33が開いている間のみ気体が流入するため、放射性物質封入装置17への気体の総流入量は非常に少ない。このため、放射性物質封入装置17は、従来必要としたような大容量の容器や複雑なホールドアップ装置を用意する必要がなく、小型の封入容器で十分である。
また、更に低い可能性であるが、放射性物質封入装置17内の圧力がバイパス用開閉弁33の動作圧力B以上となった場合、気体の排出ができず、原子炉格納容器1が減圧できなくなる場合がある。このような場合でも、動作圧力B未満の動作圧力Cで開く隔離容器気体開放弁18を設けたことで、減圧ができない状態を回避できる。すなわち、隔離容器気体開放弁18は、動作圧力C未満となった場合に閉じる安全弁として機能するようになる。
[2.第2の実施の形態例]
次に、本発明の第2の実施の形態例を、図3〜図5を参照して参照して説明する。この図3〜図5において、第1の実施の形態例で説明した図1および図2と同一箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
図3は、第2の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40′の概略構成を示す。図3においても、原子炉格納容器1は立断面として示されている。
第2の実施の形態例においても、改良型沸騰水型原子炉に適用したものである。
本実施の形態例においても、図3に示すように、放射性物質フィルタリングシステム14′は、原子炉格納容器1内のウェットウェル7の気相部7aに配置する。
ウェットウェル7の気相部7aに配置された放射性物質フィルタリングシステム14′には、ベントライン15′の一端が接続される。このベントライン15′の他端は、原子炉格納容器1の外のフィルタベント装置20に接続される。ベントライン15′には、隔離弁34a,34bが取り付けられている。
フィルタベント装置20は、一般的なフィルタベントシステムとして従来から使用される装置であり、遮蔽壁25の内部に配置される。
フィルタベント装置20の構成について説明すると、フィルタベント装置20の下部側にはスクラビング用プール水21が貯留されている。そして、放射性物質フィルタリングシステム14′からベントライン15′を介して排出された気体が、スクラビング用プール水21内に排出される。
また、フィルタベント装置20の上部側には金網状の金属フィルタ22およびヨウ素フィルタ23が設置されている。このヨウ素フィルタ23には、フィルタベント装置20の出口配管24の一端が接続されている。出口配管24の他端は、遮蔽壁25を貫通して遮蔽壁25の外部に導出され、最終的に排気塔13から外部に気体を排出する。
図4は、原子炉格納容器ベントシステム40′が備える放射性物質フィルタリングシステム14′の構成を示す。
放射性物質フィルタリングシステム14′は、フィルタ30、保護容器31、フィルタリングシステム起動弁32、およびバイパス用開閉弁33を備える点は、第1の実施の形態例で説明した放射性物質フィルタリングシステム14と同じである。但し、本実施の形態例では、ベントライン15′の上流側の開口部15aを覆うように、保護容器31の内側にフィルタ30が配置されると共に、この開口部15aにバイパス用開閉弁33についても接続される。したがって、バイパス用開閉弁33が開いた状態では、フィルタ30を透過しない気体が、ベントライン15′を流れる。つまり、本実施の形態例では、バイパス用開閉弁33そのものがバイパス流路を構成することになる。
フィルタリングシステム起動弁32の動作圧力Aと、バイパス用開閉弁33の動作圧力Bについては、第1の実施の形態例で説明した動作圧力A,Bと同じように設定する。
本実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40′のその他の箇所は、第1の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40と同様に構成する。
このように構成した本実施の形態例の原子炉格納容器ベントシステム40′によると、原子炉格納容器1内の圧力が上昇したとき、フィルタ30により放射性物質が除去された気体がフィルタベント装置20に供給され、放射性物質が除去されたベントが行われる。そして、フィルタ30の性能劣化により、保護容器31内の圧力が上昇して、バイパス用開閉弁33が開いた場合には、放射性物質を含む気体がフィルタベント装置20に供給される。
このように放射性物質を含む気体がフィルタベント装置20に入った場合には、スクラビング用プール水21でスクラビングされることで、主にエアロゾルのほとんどが除去される。さらに金属フィルタ22によりスクラビングで除去しきれなかったエアロゾルを除去し、ヨウ素フィルタ23によりスクラビングで除去しきれなかったヨウ素などの揮発性FPを除去することができる。これにより、例えば放射性物質フィルタリングシステム14′を取り外して検査を行っている際に、万が一に事故が起こった場合においても、ベントライン15′の下流部のフィルタベント装置20で放射性物質を極力除去して、気体を外部に放出することができる。更に、万が一にバイパス用開閉弁33が開いた場合でも、放射性物質を極力除去し、気体を外部に放出することができる。これにより環境に放射性物質が放出されるリスクを低減し、原子炉格納容器ベントシステムの信頼性を向上させることができる。
更に、本実施の形態例では、ベントライン15′とは別にバイパス流路(図1でのバイパス流路16に相当)を配置する必要がなく、それだけ排出ラインを共通化することができる。
排出するラインを共通化することで、配管の数を減らせるため、原子炉格納容器ベントシステム40′の構造を簡略化し、経済性を高めることができる。さらに原子炉格納容器1の貫通孔の数を削減し、安全性を向上させることができる。
なお、1系統のベントライン15′に共通化するのは一例であり、ベントライン15とバイパス流路16とを用意してもよい。
図5は、この場合の放射性物質フィルタリングシステム14′の構成を示す。
図5に示すように、放射性物質フィルタリングシステム14′の内部構成として、第1の実施の形態例で説明した図4の例と同様に、ベントライン15′とバイパス流路16′とを分離させる。そして、ベントライン15′の開口部15aを覆うようにフィルタ30を配置し、バイパス流路16′の開口部16aにはバイパス用開閉弁33を配置する。
この場合、ベントライン15′は、直接排気塔13に接続され、バイパス流路16′のみがフィルタベント装置20に接続される。あるいは、ベントライン15′とバイパス流路16′の双方を、フィルタベント装置20に接続してもよい。
[3.第3の実施の形態例]
次に、本発明の第3の実施の形態例を、図6を参照して参照して説明する。この図6において、第1および第2の実施の形態例で説明した図1〜図5と同一箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
図6は、第3の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40″の概略構成を示す。図6において、原子炉格納容器1は立断面として示す。
第3の実施の形態例においても、改良型沸騰水型原子炉としての原子炉格納容器1に適用したものである。
本実施の形態例においても、図6に示すように、放射性物質フィルタリングシステム14′は、原子炉格納容器1内のウェットウェル7の気相部7aに配置される。
ウェットウェル7の気相部7aに配置された放射性物質フィルタリングシステム14′には、ベントライン15″の一端が接続される。このベントライン15″の他端は、原子炉格納容器1の外の排気塔13に接続される。ベントライン15″には、隔離弁34a,34bが取り付けられている。
放射性物質フィルタリングシステム14′は、第2の実施の形態例で説明した図4の構成と同じである。すなわち、放射性物質フィルタリングシステム14′は、図4に示すように、フィルタ30、保護容器31、フィルタリングシステム起動弁32、およびバイパス用開閉弁33を備え、フィルタ30とバイパス用開閉弁33とが並列的に配置される。
本実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40″のその他の箇所は、第2の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40′と同様に構成する。
このように構成したことで、ベント時には、放射性物質フィルタリングシステム14′内のフィルタ30により、ほぼ全ての放射性物質は原子炉格納容器1内に閉じ込められ、かつ蒸気を外部に放出し加圧を防止できる。
本実施の形態例においては、ベントライン15″の下流側の構造を簡略化することができ、原子炉格納容器ベントシステム40″の構造を簡略化し、経済性を高めることができる。
なお、図6の例においても、放射性物質フィルタリングシステム14′として、図5に示す構成を適用して、ベントライン15″とは別に、バイパス流路16′に相当するラインを配置するようにしてもよい。
[4.第4の実施の形態例]
次に、本発明の第4の実施の形態例を、図7を参照して参照して説明する。この図7において、第1〜第3の実施の形態例で説明した図1〜図6と同一箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
図7は、第4の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40の概略構成を示す。図7において、原子炉格納容器1は立断面として示されている。
第4の実施の形態例も、改良型沸騰水型原子炉としての原子炉格納容器1に適用したものである。
図7の例では、放射性物質フィルタリングシステム14を、原子炉格納容器1の内部のドライウェル6に配置した。
ドライウェル6に配置した放射性物質フィルタリングシステム14の構成は、例えば第1の実施の形態例で図2に示した放射性物質フィルタリングシステム14が適用可能である。すなわち、放射性物質フィルタリングシステム14には、ベントライン15とバイパス流路16とが接続され、フィルタ30(図2)で放射性物質が除去された気体が、ベントライン15を介して排気塔13に供給される。また、放射性物質フィルタリングシステム14内のフィルタリングシステム起動弁32(図2)が開いた際の気体が、放射性物質封入装置17に封入される。
この場合にも、ベントライン15には、隔離弁34a,34bが配置され、バイパス流路16には、隔離弁34a,34bが配置される。また、隔離容器気体開放弁18を放射性物質封入装置17に取り付ける。
本実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40のその他の箇所は、第1の実施の形態例の原子炉格納容器1および原子炉格納容器ベントシステム40と同様に構成される。
図7に示すように、ドライウェル6内に放射性物質フィルタリングシステム14を配置することで、ウェットウェル7内のサプレッションプール8の水位によらず、放射性物質フィルタリングシステム14が安定して機能する。更に、万が一、炉心2が溶融した際に、ドライウェル6内にエアロゾル、揮発性FPが存在する場合や、注水時に水滴が飛散した場合でも、保護容器31によりフィルタ30を保護し、透過性能が劣化することを防ぐことができる。
なお、放射性物質フィルタリングシステム14を2組用意してもよい。この場合には、一方の放射性物質フィルタリングシステム14を、図7に示すようにドライウェル6内に配置し、他方の放射性物質フィルタリングシステム14を、図1に示すようにウェットウェル気相部7aに配置する。このように放射性物質フィルタリングシステム14を並列化することで、より安全性を向上させることができる。
放射性物質フィルタリングシステム14をドライウェル6内に配置する場合においても、図3に示すようなフィルタベント装置20をベントライン15の下流部に配置してもよい。あるいは、図6に示すように、ベントライン15を直接排気塔13に接続してもよい。
[5.第5の実施の形態例]
次に、本発明の第5の実施の形態例を、図8を参照して参照して説明する。この図8において、第1〜第4の実施の形態例で説明した図1〜図7と同一箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
図8は、第5の実施の形態例の原子炉格納容器1′および原子炉格納容器ベントシステム40の概略構成を示す。図8において、原子炉格納容器1は立断面として示されている。
第5の実施の形態例においては、加圧水型原子炉を備えた原子炉格納容器1′に適用したものである。
図8に示すように、加圧水型原子炉として構成された原子炉格納容器1′内には、原子炉圧力容器3と、加圧器26と、蒸気発生器27と、再循環ポンプ28とが配置されている。そして、原子炉圧力容器3内で発生した熱により、蒸気発生器27で蒸気が発生するように構成されている。蒸気発生器27には、蒸気発生器27内で発生した蒸気をタービン(図示せず)に送る主蒸気管4が接続されている。
そして、原子炉格納容器1′の内部に、放射性物質フィルタリングシステム14が配置される。放射性物質フィルタリングシステム14としては、例えば第1の実施の形態例で図2に示した放射性物質フィルタリングシステム14の構成が適用可能である。すなわち、放射性物質フィルタリングシステム14には、ベントライン15とバイパス流路16とが接続され、フィルタ30(図2)で放射性物質が除去された気体が、ベントライン15を介して排気塔13に供給される。また、放射性物質フィルタリングシステム14内のフィルタリングシステム起動弁32(図2)が開いた際の気体が、放射性物質封入装置17に封入する。
この場合にも、ベントライン15には、隔離弁34a,34bが配置され、バイパス流路16には、隔離弁34a,34bが配置される。また、隔離容器気体開放弁18を放射性物質封入装置17に取り付ける。
図8に示す加圧水型原子炉の場合、原子炉格納容器の圧力上昇を抑えるためのウェットウェルとサプレッションプールを持たないため、サプレッションプールによるスクラビングを用いた放射性物質の除去は期待できないが、ベント時の放射性物質を除去できる。すなわち、放射性物質フィルタリングシステム14内のフィルタ30が放射性物質を除去するため、外部に放射性物質を極力放出することなく、継続的に原子炉格納容器1′内の蒸気を系外に放出し、原子炉格納容器1′の圧力を継続的に減圧できる。しかも、作業員による操作などが不要であり、放射性物質などを貯蔵する大容量の容器を必要としない点は、既に説明した他の実施の形態例と同様である。
なお、加圧水型原子炉の場合にも、原子炉格納容器ベントシステム40の代わりに、第2の実施の形態例で説明した、原子炉格納容器ベントシステム40′を適用して、フィルタベント装置20を配置した構成としてもよい。あるいは、第3の実施の形態例で説明した、原子炉格納容器ベントシステム40″を適用して、放射性物質封入装置17を配置せずに、ベントライン15″を直接排気塔13に接続する構成を適用してもよい。
[6.変形例]
なお、上述した各実施の形態例で説明した構成は、それぞれ好適な一例を示したものであり、本発明は各図に示す構成に限定されるものではない。
例えば、各実施の形態例では、原子炉格納容器ベントシステム40,40′又は40″を軽水炉(沸騰水型原子炉、加圧水型原子炉)に適用した例であるが、重水炉や黒鉛炉、ガス炉に適用してもよい。またいわゆる第4世代原子炉と呼ばれる高温ガス炉、超臨界圧軽水冷却炉、溶融塩炉、ガス冷却高速炉、ナトリウム冷却高速炉、鉛冷却高速炉など他炉型に、各実施の形態例の原子炉格納容器ベントシステム40,40′又は40″を適用してもよい。
また、本発明は上記した各実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態例の構成の一部を他の実施の形態例や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態例の構成に他の実施の形態例や変形例の構成に置き換えることも可能である。また、実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1,1′…原子炉格納容器、2…炉心、3…原子炉圧力容器、4…主蒸気管、5…ダイヤフラムフロア、6…ドライウェル、7…ウェットウェル、7a…気相部、8…サプレッションプール、9…ベント管、9a…ベント管排気部、10…蒸気逃し安全弁、11…蒸気逃し安全弁排気管、12…クエンチャ、13…排気塔、14,14′…放射性物質フィルタリングシステム、15,15′,15″…ベントライン、15a…開口部、16,16′…バイパス流路、16a…開口部、17…放射性物質封入装置、18…隔離容器気体開放弁、20…フィルタベント装置、21…スクラビング用プール水、22…金属フィルタ、23…ヨウ素フィルタ、24…出口配管、25…遮蔽壁、26…加圧器、27…蒸気発生器、28…再循環ポンプ、30…フィルタ、31…保護容器、32…フィルタリングシステム起動弁、33…バイパス用開閉弁、34a〜34d…隔離弁、40,40′,40″…原子炉格納容器ベントシステム

Claims (15)

  1. 原子炉格納容器の内部の気体を外部に排出することで、前記原子炉格納容器を減圧するベントラインと、
    放射性物質の透過を抑制し蒸気を透過する、前記原子炉格納容器の側の前記ベントラインの端部に配置されたフィルタと、
    前記原子炉格納容器の内部の前記ベントラインの端部および前記フィルタを囲む保護容器と、
    前記原子炉格納容器の限界圧力以下の動作圧力で開き、前記動作圧力未満で閉じ、前記フィルタを介さずに気体を外部に排出するための、前記保護容器に設置された前記ベントラインのバイパス用開閉弁と、
    前記保護容器に設置され、前記バイパス用開閉弁の作動圧力以下の動作圧力で開く起動弁と、を備える
    原子炉格納容器ベントシステム。
  2. 前記バイパス用開閉弁は、前記ベントラインとは別のバイパス流路に接続される
    請求項1に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  3. 前記バイパス用開閉弁から前記バイパス流路に放出された気体に含まれる放射性物質を封入する放射性物質封入装置を、前記バイパス流路に接続した
    請求項2に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  4. 前記バイパス用開閉弁から前記バイパス流路に放出された気体に含まれる放射性物質を除去するフィルタベント装置を接続した
    請求項2に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  5. 前記バイパス用開閉弁は、前記ベントラインに接続される
    請求項1に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  6. 前記ベントラインから放出された気体に含まれる放射性物質を除去するフィルタベント装置を接続した
    請求項5に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  7. 前記フィルタは、放射性希ガスの透過を抑制し、水蒸気を透過する素材よりなる
    請求項1に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  8. 前記フィルタは、高分子膜よりなる
    請求項7に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  9. 前記高分子膜は、ポリイミドを主成分とした
    請求項8に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  10. 前記フィルタは、セラミック膜よりなる
    請求項7に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  11. 前記セラミック膜は、窒化ケイ素を主成分とした
    請求項10に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  12. 前記フィルタは、酸化グラフェン膜よりなる
    請求項7に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  13. 前記フィルタおよび前記バイパス用開閉弁が配置された前記保護容器を、前記原子炉格納容器内のウェットウェル気相部に設置した
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  14. 前記フィルタおよび前記バイパス用開閉弁が配置された前記保護容器を、前記原子炉格納容器内のドライウェルに設置した
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
  15. 前記原子炉格納容器は、沸騰水型原子炉又は加圧水型原子炉である
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の原子炉格納容器ベントシステム。
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