JP2006097543A - 発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低圧蒸気タービンへ蒸気を供給する弁を急激に絞ったときに低圧蒸気配管系の湿分分離器やクロスアラウンド管が過圧されることを防止するための低圧蒸気配管系の過圧防止装置について、建設コストの削減、メンテナンスの省略、配管ルート・建屋の縮小、軽量化による支持構造物の削減が課題となっている。
【解決手段】高圧タービン6からの排気を湿分分離器8および組合せ中間弁9を備えたクロスアラウンド管7を経て低圧タービン10に導入し、低圧タービン10の排気を復水器11に導入し、かつ、クロスアラウンド管7の湿分分離器出口側を安全排気管17により復水器11に接続するように構成された原子力発電プラントにおいて、安全排気管にクロスアラウンド管の蒸気圧が所定値以上になると破断するラプチャーディスク本体およびこのラプチャーディスク本体が破断したときの破片を捕捉するフィルタとからなるラプチャーディスク装置を設置したことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】高圧タービン6からの排気を湿分分離器8および組合せ中間弁9を備えたクロスアラウンド管7を経て低圧タービン10に導入し、低圧タービン10の排気を復水器11に導入し、かつ、クロスアラウンド管7の湿分分離器出口側を安全排気管17により復水器11に接続するように構成された原子力発電プラントにおいて、安全排気管にクロスアラウンド管の蒸気圧が所定値以上になると破断するラプチャーディスク本体およびこのラプチャーディスク本体が破断したときの破片を捕捉するフィルタとからなるラプチャーディスク装置を設置したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置に関する。
図5は従来の沸騰水型原子炉発電プラント(BWRプラント)の蒸気系統図である。
図5において、1は原子炉であり、発生した高温・高圧の蒸気を主蒸気管2に配設した主蒸気隔離弁3、主蒸気止弁(MSV)4、蒸気加減弁(CV)5を経由して高圧蒸気タービン6に導入するように構成している。7は高圧蒸気タービン6からの排気を湿分分離器8に導くクロスアラウンド管、9はクロスアラウンド管7の低圧蒸気タービン10入口側に設けた組合せ中間弁、11は復水器、12は復水ポンプ、13は給水加熱器、14は給水ポンプであり、19は発電機である。
図5において、1は原子炉であり、発生した高温・高圧の蒸気を主蒸気管2に配設した主蒸気隔離弁3、主蒸気止弁(MSV)4、蒸気加減弁(CV)5を経由して高圧蒸気タービン6に導入するように構成している。7は高圧蒸気タービン6からの排気を湿分分離器8に導くクロスアラウンド管、9はクロスアラウンド管7の低圧蒸気タービン10入口側に設けた組合せ中間弁、11は復水器、12は復水ポンプ、13は給水加熱器、14は給水ポンプであり、19は発電機である。
前記主蒸気管2は、主蒸気隔離弁3および主蒸気止弁4間の分岐部に対してタービンバイパス弁15を有するタービンバイパス管で16によって復水器11に連通させるようになっている。そして、クロスアラウンド管7の組合せ中間弁9上流側分岐部と復水器11との間を、クロスアラウンド管安全弁17を介して安全排気管18によって連通させている。17Hはクロスアラウンド管安全弁17のヘッド部である。
このクロスアラウンド管安全弁17の使命は、低圧タービン10の入口配管に設置された組合せ中間弁9が急閉鎖した場合に生ずる圧力上昇から湿分分離器8およびクロスアラウンド配管7を保護することにあり、このため、クロスアラウンド配管7内の圧力が予め設定した圧力以上になると、動作してクロスアラウンド配管7内の蒸気を、安全弁排気管18を介して復水器11に排気させるように動作する。
ところで、前述した組合せ中間弁9は2つのバタフライ弁9Aと9Bとから構成させている。このうち、一方のバタフライ弁9Aは中間蒸気止め弁としての役割を果たし、他方のバタフライ弁9Bはインターセプト弁としての役割を果たす。2つのバタフライ弁9Aと9Bとを設置した目的は、負荷しゃ断時に蒸気をさえぎり、オーバースピードから低圧タービン10を保護することにある。これら2つのバタフライ弁9Aおよび9Bは、低圧タービン10に非常に近く配置され、これらの弁と低圧タービン10のケーシングとの間の蒸気量を最小限に制限する。すなわち、負荷しゃ断時、または危急しゃ断時、低圧タービン10を過速させる無制御エネルギーを少なくしている。インターセプト弁9Bの役割は、危急しゃ断時、クロスアラウンド管7に蓄えられた大量の蒸気が低圧タービン10を過速させるような危険な状態に陥ることを防ぐことである。このインターセプト弁9Bは、クロスアラウンド管7の最大圧力に対して開くことが可能であるし、負荷しゃ断後の調速制御も可能である。
図6はクロスアラウンド管7を中心に描いた低圧配管系の平面図であり、図7は同側面図である。
図6および図7において、クロスアラウンド管7は、湿分分離器8から前記低圧タービン10に至る経路を以下述べる3種類の配管で接続している。まず一つ目の配管は湿分分離器8に接続するように配置され平面に対して鈍角に屈曲した水平管7Aであり、2つ目の配管はこの水平管7Aに接続されて低圧タービン10の蒸気導入口の高さまで立ち上がるように配置された垂直管7Bであり、三つ目の配管はこの垂直管7Bに接続され、かつ途中に組合せ中間弁9有し、低圧タービン10の蒸気導入口に接続されるように配置された水平管7Cである。
図6および図7において、クロスアラウンド管7は、湿分分離器8から前記低圧タービン10に至る経路を以下述べる3種類の配管で接続している。まず一つ目の配管は湿分分離器8に接続するように配置され平面に対して鈍角に屈曲した水平管7Aであり、2つ目の配管はこの水平管7Aに接続されて低圧タービン10の蒸気導入口の高さまで立ち上がるように配置された垂直管7Bであり、三つ目の配管はこの垂直管7Bに接続され、かつ途中に組合せ中間弁9有し、低圧タービン10の蒸気導入口に接続されるように配置された水平管7Cである。
そして水平管7Aの垂直管7Bとの接続部近傍にクロスアラウンド管安全弁17を設置するための分岐部7A1を設けており、この分岐部7A1に安全弁17を介して安全排気管18を接続している。クロスアラウンド管安全弁18のヘッド部18Hは、運転床20の水平面よりも上部に突出する大きさを有している。
低圧タービン10の蒸気導入口に接続される組合せ中間弁9およびクロスアラウンド管安全弁17のヘッド部17Hは、運転床20の床面から突出する高さを有するので、組合せ中間弁9およびヘッド部17Hをメンテナンスするのに必要十分な広さ(幅と奥行)をもった組合せ中間弁用遮へい壁21で覆うようにしている。
以上のように構成された沸騰水型原子炉発電プラントにおいて、通常運転時は、原子炉1で発生した主蒸気は主蒸気管2により高圧タービン6に導かれる。高圧タービン6の排気は、クロスアラウンド管7の途中に設置された湿分分離器8により湿分を取り除かれた後、低圧タービン10に導入され、低圧タービン10での効率向上および湿分によるエロージョンが防止されるようになっている。
このように、原子炉1で発生した蒸気は、通常運転時に高圧蒸気タービン6、湿分分離器8、中間弁9を経て低圧蒸気タービン10に供給されるが、負荷しゃ断時等の非常時には常閉のタービンバイパス弁16を開いて蒸気の一部をタービンバイパス管15を通して復水器11へ排気するとともに、組合せ中間弁9のうちのバタフライ弁9Bをインターセプト弁として全閉させ、低圧タービン10への蒸気の流れを止めるようにしている。なお、バタフライ弁9Bから多少の蒸気漏れはあるが、漏れ蒸気量は無負荷蒸気量に比べて十分に小さいため、低圧タービン10を加速させたり、負荷しゃ断後低圧タービン10の減速を妨げたりすることはない。一方、中間蒸気止め弁としてのバタフライ弁9Aは、非常装置がリセットされると全閉し、通常運転中は全開のままであり、非常調速機が作動するか、またはマスタートリップを作動させると急閉する。バタフライ弁9Aはインターセプト弁9Bの不作動あるいは通常の調速装置の故障によって蓄えられるクロスアラウンド管7の蒸気エネルギーに対する第2段の保護装置(バックアップ保護装置)として設けられている。しかし、バタフライ弁9Aは正常な停止または電気的なトリップによって危急しゃ断装置が作動した場合も全閉する。
そして、これらバタフライ弁9A、9Bの全閉によってクロスアラウンド管7内の圧力が予め設定した圧力以上になると、クロスアラウンド管安全弁17が開いてクロスアラウンド配管7内の蒸気を安全弁排気管18を介して復水器11に排気させることは前述した通りである。
特開昭61−241408号公報
上述した過圧防止装置であるクロスアラウンド管安全弁17は一般的に高価であり、定期的な保守・点検を必要とし、その作業工数に多大な時間を要する。しかも、クロスアラウンド管安全弁17は重量が約5トンあるため、これを支える構造物を大きくする必要があるだけでなく、弁の分解作業時の搬出入時に危険性も伴う。また、クロスアラウンド管の安全弁17はヘッド部17Hの高さが高く、運転床20の床面を貫通して突出してしまうため、クロスアラウンド管安全弁17および組合せ中間弁9を覆う遮へい壁21の開口部は、クロスアラウンド管安全弁17のメンテナンスに必要な範囲L1まで広げる必要がある。
このため、従来の低圧蒸気配管系では、安全弁排気管18から復水器11までの配管ルートに余計な曲がり部が生じている。なお、配管ルートを優先し、クロスアラウンド管安全弁17を他の位置に設置した場合、新たに開口部を設けなければならないので、非効率的であり、現実的ではない。
そこで、本発明は以上述べた従来技術に鑑みてなされたもので、低圧蒸気タービンへ蒸気を供給する弁を急激に絞ったときに低圧蒸気配管系の湿分分離器やクロスアラウンド管が過圧されることを防止し、かつ、建設コストの削減を図ることのできる発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために請求項1に係る発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置の発明は、高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を除去する湿分分離器および中間蒸気止め弁、インターセプト弁を備えたクロスアラウンド管を経て低圧タービンに導入し、低圧タービンの排気を復水器に導入し、かつ、前記クロスアラウンド管の湿分分離器出口側との接続部側を安全排気管を介して前記復水器に接続するように構成された発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置において、前記安全排気管に前記クロスアラウンド管の蒸気圧が所定値以上になると破断するラプチャーディスク本体およびこのラプチャーディスク本体が破断したときの破片を捕捉するフィルタとからなるラプチャーディスク装置を設置したことを特徴とする。
本発明によれば、発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置として、従来の安全弁に比べて小形・軽量なラプチャーディスク装置を採用するようにしたので、建設コストを大幅に削減することができる。しかも、ラプチャーディスク装置は小形・軽量であるがゆえに、クロスアラウンド管の途中であれば、設置場所を比較的柔軟に選択することが可能であり、建屋の構造とか復水器の位置等を考慮した最短な配管ルートとすることができるとともに、組合せ中間弁の開口部を大幅に縮小することができる。また、小形・軽量であるがゆえに、分解組立の作業工数を大幅に削減でき、分解組立作業時の危険性を低減できる。さらに、簡単な構造であるがゆえに、定期的な保守・点検を低減できる。
以下、本発明に係る発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図を通じて共通する部分については同一符号を付けて重複した説明を適宜省略するものとする。
図1は本発明の1実施例を示すBWR発電プラントの蒸気系統図である。図1において、本実施の形態が図5と異なるところは、クロスアラウンド管7の組合せ中間弁9上流側分岐部7A1と、安全排気管18との間に従来設けていた安全弁18を廃止し、替わりにラプチャーディスク(破風板)装置25を設けたことにあり、その他の部品については図5と同じなので説明を省略する。
図2は湿分分離器8と低圧タービン10との間のクロスアラウンド管7に注目して示した平面図であり、図3は同側面図である。図2および図3において、クロスアラウンド管7は湿分分離器8から低圧タービン10に至る経路を、湿分分離器8に接続されるように配置された水平管7Aと、この水平管7Aに接続され低圧タービン10の蒸気導入口の高さまで立ち上がるように配置された垂直管7Bと、この垂直管7Bに接続され、かつ途中に組合せ中間弁9を有し、低圧タービン10の蒸気導入口に接続されるように配置された水平管7Cとから構成されている。
そして水平管7Aは途中にラプチャーディスク装置25を設置するための分岐部7A1を設けており、この分岐部7A1にラプチャーディスク装置25を介して安全排気管18を接続している。本実施例1では、水平管7Aから安全排気管18までの高さは運転床20の高さよりも低いため、組合せ中間弁9用の遮へい壁21の開口部寸法L2を従来例の開口部寸法L1よりも小さくすることができる(L1>L2)。
図4はラプチャーディスク装置25の概略構造図である。ラプチャーディスク装置25の概観は安全排気管18と同一径の円筒状に形成され、分岐部7A1との接合部を構成するフランジ26にホルダー機能を持たせてラプチャーディスク本体25を挟んで保持させ、さらにこのラプチャーディスク本体27よりも下流側に位置する安全排気管18側に格子状フィルタ28を配置した構成になっている。
ラプチャーディスク本体27は、クロスアラウンド管7の内部圧力が上昇すると図示状態の上方に膨らみ、その内部圧力が予め定めた圧力を超えると破断し、湿分分離器8やクロスアラウンド管7等の低圧蒸気系の蒸気を安全排気管18を通して復水器11側に逃がすことによって湿分分離器8、クロスアラウンド管7および組合せ中間弁9等を過圧から保護する。なお、破断した際のラプチャーディスク本体27の破片は、下流側に設けてある格子状フィルタ28によって捕捉されるので、蒸気と共に復水器11内に流入することを防止することができる。
以上説明した本実施例は、発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置として、従来の安全弁に比べて小形・軽量なラプチャーディスク装置25を採用するようにしたので、建設コストが大幅に削減することができる。しかも、ラプチャーディスク装置25は小形・軽量であるがゆえに、クロスアラウンド管の途中であれば何処でも設置することが可能であり、建屋の構造とか復水器11の位置等を考慮した最短な配管ルートとすることができるとともに、組合せ中間弁の開口部を従来に比べて大幅に縮小することができる。
また、ラプチャーディスク装置25は小形・軽量であるがゆえに、分解組立に要する作業工数を大幅に削減することができ、分解組立作業時に伴う危険性を無くすことができる。さらに、簡単な構造であるがゆえに、定期的な保守・点検も無くすことができる。
なお、以上説明した実施例では、主蒸気止め弁4および蒸気加減弁5が共に開、組合せ中間弁9が閉の条件成立時にクロスアラウンド管7に過圧が生じて、ラプチャーディスク本体27を破断させ、低圧蒸気系の蒸気を復水器11へ逃がすように構成したため、ラプチャーディスク本体27が破断したあとはラプチャーディスク装置25の交換・復旧が必要である。しかしながら、できることであれば、なるべくラプチャーディスク本体27を作動させないように制御することが理想的である。
そこで本発明の他の実施例としては、主蒸気止め弁3、蒸気加減弁4が開の時、組合せ中間弁8が閉しないようなシーケンスを構築してクロスアラウンド管7内に圧力がこもらないようにするとか、組合せ中間弁9が油圧系統等のトラブルにより急閉した場合、高圧タービン6の入口側にある蒸気加減弁4も急閉するシーケンスを構築するとか、あるいは原子炉からの余剰蒸気の侵入を高圧タービン6の入口側の蒸気加減弁4で止めることにより、それ以上の過圧を防止するようにしてもよい。
1…原子炉、2…主蒸気管、3…主蒸気隔離弁、4…主蒸気止め弁、5…蒸気加減弁、6…高圧タービン、7…クロスアラウンド管、8…湿分分離器、9…組合せ中間弁、9A…中間蒸気止め弁、9B…インターセプト弁、10…低圧タービン、11…復水器、12…復水ポンプ、13…給水加熱器、14…給水ポンプ、15…タービンバイパス管、16…タービンバイパス弁、17…安全排気管、18…安全弁、19…発電機、20…運転床、21…組合せ中間弁用遮へい壁、25…ラプチャーディスク装置、26…ホルダー、27…ラプチャーディスク本体、28…格子状フィルタ。
Claims (3)
- 高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を除去する湿分分離器および中間蒸気止め弁、インターセプト弁を備えたクロスアラウンド管を経て低圧タービンに導入し、低圧タービンの排気を復水器に導入し、かつ、前記クロスアラウンド管の湿分分離器出口側との接続部側を安全排気管を介して前記復水器に接続するように構成された発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置において、
前記安全排気管に前記クロスアラウンド管の蒸気圧が所定値以上になると破断するラプチャーディスク本体およびこのラプチャーディスク本体が破断したときの破片を捕捉するフィルタとからなるラプチャーディスク装置を設置したことを特徴とする発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置。 - 前記ラプチャーディスク装置およびラプチャーディスク装置に接続された前記安全排気管が運転床よりも低部に設置されていることを特徴とする請求項1記載の発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置。
- 前記中間蒸気止め弁およびインターセプト弁の前記運転床よりも上部に突出する部分を組合せ中間弁用遮へい壁で覆うことを特徴とする請求項2記載の発電プラントの低圧蒸気配管系の過圧防止装置。
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Cited By (6)
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2004
- 2004-09-29 JP JP2004283975A patent/JP2006097543A/ja active Pending
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