JP2018179301A - 鋳鉄管および鋳鉄管の塗装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】管内面を塗装して樹脂層を形成する際、樹脂層と直管部の内面における受口側の端部との密着性を向上させることができる管を提供する。【解決手段】直管部2と、直管部2の端部に形成された受口3とを有する管1であって、直管部2の内面に、第1の樹脂塗料12に無機系粉末13を含む混合樹脂層14が形成され、直管部2の内面における受口3側の端部Aに、第1の樹脂塗料12に無機系粉末13を含まない端部樹脂層16が形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、直管部と受口とを有する鋳鉄管およびその塗装方法に関する。
従来、この種の管としては、例えば、図10に示すように、直管部101と、直管部101の一端部に形成された受口102と、直管部101の他端部に形成された挿口(図示省略)とを有する鋳鉄管104がある。鋳鉄管104の挿口および直管部101の内周面には、エポキシ樹脂105に珪砂106を含んだ混合樹脂層107が形成されている。この混合樹脂層107は、直管部101の一端部分108(すなわち受口102との境界部分108)まで形成されており、受口102の内周面には形成されていない。
このようにエポキシ樹脂105に珪砂106を混合することにより、塗膜(すなわち混合樹脂層107)を必要な厚さに保ったままで、エポキシ樹脂105の使用量を減らして、コストダウンすることができる。
尚、上記のようにライニング用樹脂液に珪砂等の充填剤を混合して管内面に塗布することは例えば下記特許文献1に記載されている。
上記の従来形式では、鋳鉄管104を鋳造して冷却する際、冷却時の収縮差によって、管内の鉄地表面に「しわ」と称される微小な凹凸が発生することがある。このような「しわ」は、特に肉厚の変化が大きい直管部101の一端部分108において、多発する傾向にある。
珪砂106の粒径が「しわ」の凹凸よりも大きいと、エポキシ樹脂105が「しわ」の凹凸間に十分に流れ込まず、混合樹脂層107と直管部101の一端部分108の内面との密着性が低下する場合がある。
本発明は、管内面を塗装して樹脂層を形成する際、樹脂層と直管部の内面における受口側の端部との密着性を向上させることができる鋳鉄管および鋳鉄管の塗装方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本第1発明は、直管部と、直管部の端部に形成された受口とを有する鋳鉄管であって、直管部の内面に、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含む混合樹脂層が形成され、直管部の内面における受口側の端部に、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない端部樹脂層が形成されているものである。
これによると、直管部の内面に混合樹脂層を形成しているため、塗膜(すなわち混合樹脂層)を必要な厚さに保ったままで、第1の樹脂塗料の使用量を減らして、コストダウンすることができる。
また、直管部の内面における受口側の端部に「しわ」が発生しても、直管部の内面における受口側の端部に形成された端部樹脂層は第1の樹脂塗料に無機系粉末を含んでいないため、第1の樹脂塗料が「しわ」の微小な凹凸間に十分に流れ込む。これにより、端部樹脂層と直管部の内面における受口側の端部との密着性が向上し、端部樹脂層が剥離し難くなる。
本第2発明における鋳鉄管は、混合樹脂層の内周に、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない上塗り樹脂層が形成されているものである。
これによると、混合樹脂層の表面に露出した無機系粉末は上塗り樹脂層によって覆われるため、混合樹脂層の無機系粉末が鋳鉄管内に露出することはなく、上塗り樹脂層を形成することによって、鋳鉄管の内側の平滑性が保たれるとともに、見栄えも良くなる。
本第3発明における鋳鉄管は、端部樹脂層の厚さが混合樹脂層の厚さよりも厚いものである。
これによると、直管部の内面における受口側の端部に発生した「しわ」の微小な凹凸を端部樹脂層で十分に覆うことができ、凹凸が端部樹脂層の表面から鋳鉄管内に露出するのを防止することができる。
本第4発明における鋳鉄管は、直管部の内面における受口側の端部とは、直管部において鋳鉄管の外径が拡径している部分であり、この部分の内面に、端部樹脂層が形成されているものである。
これによると、直管部の内面における「しわ」が発生し易い部分に、端部樹脂層を確実に形成することができる。
本第5発明における鋳鉄管は、端部樹脂層は直管部の端部から受口の奥部に入り込んでおり、受口の奥部において、受口部樹脂層の一部が端部樹脂層の内周に重なっているものである。
本第6発明における鋳鉄管は、第1の樹脂塗料に溶剤系エポキシ樹脂を使用し、無機系粉末に珪砂を使用しているものである。
これによると、溶剤系エポキシ樹脂の使用により、混合樹脂層や端部樹脂層、上塗り樹脂層の乾燥が効率良く行えるため、大口径の管においても、これらの樹脂層の硬化時間が短くなり、鋳鉄管の生産性が高くなる。さらに、鋳鉄管を加熱することなく、管内面を塗装することができるため、鋳鉄管の生産性が向上する。
本第7発明は、直管部と直管部の端部に形成された受口とを有する鋳鉄管を軸心周りに回転させながら、鋳鉄管の内面を塗装する塗装方法であって、直管部において、第1の樹脂塗料と無機系粉末とを直管部の内面に吐出して、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含む混合樹脂層を形成する第1塗装工程と、直管部の内面における受口側の端部において、第1の樹脂塗料を直管部の内面に吐出するとともに、無機系粉末の吐出を停止して、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない端部樹脂層を形成する第2塗装工程とを有するものである。
これによると、第2塗装工程では、直管部の内面における受口側の端部において、第1の樹脂塗料は直管部の内面に吐出されるが、無機系粉末の吐出は停止されるため、無機系粉末が直管部から受口側へ零れるのを抑制することができる。
本第8発明における鋳鉄管の塗装方法は、第1塗装工程において、液体状の第1の樹脂塗料を直管部の内面に塗布した直後に、塗布された第1の樹脂塗料に対して無機系粉末を供給するものである。
これによると、直管部の内面に塗布された第1の樹脂塗料に対して、無機系粉末を供給するため、無機系粉末が確実に第1の樹脂塗料に捕捉され、これにより、無機系粉末が鋳鉄管内を飛散して受口側に侵入するのを防止することができる。
本第9発明における鋳鉄管の塗装方法は、第1塗装工程と第2塗装工程とを行った後、無機系粉末の吐出を停止した状態で、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない上塗り樹脂層を、混合樹脂層の内周に形成する第3塗装工程を行うものである。
本第10発明における鋳鉄管の塗装方法は、鋳鉄管の挿口側の端部から塗装を開始し、直管部内を挿口側の端部から受口側に向かって塗装し、直管部の受口側の端部で折り返すことで、直管部内を往復して塗装するものである。
これによると、直管部の受口側の端部で折り返す際、第1の樹脂塗料を引き続き直管部の内面に吐出しながら、無機系粉末の吐出を停止して、端部樹脂層を直管部の内面における受口側の端部に形成するため、無機系粉末が直管部から受口側に零れるのを抑制することができる。
また、直管部の受口側の端部で折り返す際、管軸方向における塗装速度が折返位置で一時的に0まで低下するため、端部樹脂層の厚さが増加し、容易に必要な厚さを確保することができるとともに、端部樹脂層が硬化する前に連続して端部樹脂層を形成できるので、折り返し前後における端部樹脂層間の密着性が高くなり、十分な厚さを有する端部樹脂層が形成される。
以上のように本発明によると、直管部の内面における受口側の端部に「しわ」が発生しても、直管部の内面における受口側の端部に形成された端部樹脂層は第1の樹脂塗料に無機系粉末を含んでいないため、第1の樹脂塗料が「しわ」の微小な凹凸間に十分に流れ込む。これにより、端部樹脂層と直管部の内面における受口側の端部との密着性が向上し、端部樹脂層が剥離し難くなる。
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1,図3に示すように、1はダクタイル鋳鉄製の管であり、直管部2と、直管部2の一端に形成された受口3と、直管部2の他端に形成された挿口4とを有している。受口3の内部の奥端には、受口3側から直管部2側において内径が縮小する段差部7が全周にわたり形成されている。また、受口3の段差部7よりも開口端部側の内周には、シール部材装着用溝8が全周にわたり形成されている。
図2は、管1の受口3に別の管1の挿口4を挿入して、両管1同士を接続した継手部分の断面図である。シール部材装着用溝8には、円環状のゴム製のシール部材9が嵌め込まれ、シール部材9は受口3の内周面と挿口4の外周面との間で圧縮され、これにより、受口3と挿口4との間がシールされる。
直管部2と挿口4との内周面には、溶剤系エポキシ樹脂12(第1の樹脂塗料の一例)に珪砂13(無機系粉末の一例)を含んだ(混合した)混合樹脂層14が全周にわたり形成されている。
また、直管部2の内周面における受口3側の端部Aには、溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んで(混合して)いない、溶剤系エポキシ樹脂12のみの端部樹脂層16が全周にわたり形成されている。尚、上記端部Aとは、直管部2において管1の外径が拡径している部分である。
さらに、混合樹脂層14の内周面には、溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んで(混合して)いない、溶剤系エポキシ樹脂12のみの上塗り樹脂層18が全周にわたり形成されている。
また、受口3の内周面には、溶剤系エポキシ樹脂12よりも低粘度の合成樹脂塗料(第2の樹脂塗料の一例)からなる受口部樹脂層20が形成されている。尚、合成樹脂塗料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等に変性樹脂、顔料等を配合した塗料である。
混合樹脂層14の厚さをT1、端部樹脂層16の厚さをT2、上塗り樹脂層18の厚さをT3、受口部樹脂層20の厚さをT4とすると、端部樹脂層16の厚さT2は、混合樹脂層14の厚さT1よりも厚く、混合樹脂層14と上塗り樹脂層18とを足し合わせた厚さT5(=T1+T3)と同等である。尚、同等とは、上記厚さT2が厚さT5と同じ又はほぼ同じことを意味する。また、受口部樹脂層20の厚さT4は上記厚さT5よりも薄い。
端部樹脂層16は直管部2の端部Aから段差部7を経て受口3の奥部にまで入り込んでおり、受口3の奥部において、受口部樹脂層20の一部が端部樹脂層16の内周側に重なっている。すなわち、受口3の奥部には、端部樹脂層16と受口部樹脂層20とが管径方向Bにおいて重複する重複部22が形成されている。
図3,図4に示すように、30は管1の内面を塗装する塗装設備であり、塗装設備30は、塗装装置31と、管1を支持する支持装置32とを有している。支持装置32は回転自在な複数の支持ローラ33を有し、管1は、軸心周りに回転しながら、支持ローラ33上に支持される。
塗装装置31は、支持装置32に対して管軸方向Cへ移動自在な台車35と、台車35に設けられた塗料供給装置36とを有している。塗料供給装置36は、長尺のパイプからなるランス37と、ランス37の先端に設けられた塗料スプレーノズル38および珪砂吐出ノズル39と、塗料スプレーノズル38に液体状の溶剤系エポキシ樹脂12を供給する塗料供給配管41と、珪砂吐出ノズル39に珪砂13を供給する珪砂供給配管42とを有している。
尚、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12は塗料スプレーノズル38から管1の内周面に噴き付けられる。また、珪砂13は、圧縮空気によって珪砂供給配管42内を移送され、圧縮空気と共に珪砂吐出ノズル39から管1の内周面に吹き付けられる。
珪砂吐出ノズル39は、図4に示すように、管1の回転方向Dにおいて、塗料スプレーノズル38よりも下流側に位置しているとともに、図3に示すように、管軸方向Cにおいて、塗料スプレーノズル38よりも僅かに後方に位置している。
以下、上記塗装設備30を用いて管1の内周面を塗装する塗装方法を説明する。
先ず、図3に示すように、管1を支持装置32の支持ローラ33上に支持する。この際、管1の挿口4から受口3への方向を前方とし、受口3から挿口4への方向を後方とすると、塗装装置31を挿口4の後方の待機位置Eに待機させる。
その後、第1塗装工程において、支持ローラ33を回転させて管1を軸心周りの一方向Dに回転させながら、塗装装置31の台車35を前方へ移動させ、図3の仮想線で示すように、塗料供給装置36を挿口4の開口端から管1の内部に挿入しながら、図5の実線および図6に示すように、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12を塗料スプレーノズル38から管2の内周面に噴き付けるとともに、珪砂13を珪砂吐出ノズル39から管1の内周面に吹き付ける。
これにより、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12と珪砂13とが管1の挿口4の内周面と直管部2の内周面とに吐出され、溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んだ混合樹脂層14が直管部2と挿口4との内周面に全周にわたり形成される。
このように第1塗装工程を行っている際、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12が直管部2の内周面に塗布された直後に、塗布された溶剤系エポキシ樹脂12に対して珪砂13が供給される。これにより、珪砂13が確実に溶剤系エポキシ樹脂12に捕捉され、珪砂13が管1の内部を飛散して受口3側に侵入するのを抑制することができる。
引き続き台車35を前方へ移動させ、図5の仮想線で示すように、塗料供給装置36の先端部すなわち塗料スプレーノズル38が受口3の段差部7よりも所定距離Lだけ手前に設定された所定位置P1に到達すると、上記第1塗装工程を終了し、第2塗装工程を開始する。尚、上記所定距離Lは、直管部2において管1の外径が拡径している領域を示し、直管部2の内周面における受口3側の端部Aに相当する。
第2塗装工程において、図7の実線で示すように、引き続き液体状の溶剤系エポキシ樹脂12を塗料スプレーノズル38から管2の内周面に噴き付けるとともに、珪砂吐出ノズル39からの珪砂13の吹き付けを停止する。
これにより、溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んでいない、溶剤系エポキシ樹脂12のみの端部樹脂層16が、直管部2の内周面における受口3側の端部Aに、全周にわたり形成される。
引き続き台車35を前方へ移動させ、図7の仮想線で示すように、塗料供給装置36の先端部すなわち塗料スプレーノズル38が受口3の段差部7の位置に設定された折返位置P2に到達すると、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12を塗料スプレーノズル38から噴き付けるとともに、珪砂吐出ノズル39からの珪砂13の吹き付けを停止した状態で、台車35を前方から反対の後方へ移動させる。
これによると、上記のような第2塗装工程では、直管部2の内周面における受口3側の端部Aにおいて、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12は直管部2の内周面に吐出されるが、珪砂13の吐出は停止されているため、珪砂13が直管部2から受口3側へ零れるのを抑制することができる。
その後、図8に示すように、引き続き台車35を後方へ移動させることにより、第3塗装工程において、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12が混合樹脂層14の内周面に噴き付けられ、溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んでいない、溶剤系エポキシ樹脂12のみの上塗り樹脂層18が、混合樹脂層14の内周面に、全周にわたり形成される。
その後、さらに台車35を後方へ移動させ、図3に示すように、塗装装置31が待機位置Eに戻ると、台車35を停止させ、溶剤系エポキシ樹脂12の塗料スプレーノズル38からの噴き付けを停止して、第3塗装工程を終了する。
その後、作業者が、スプレーガン等を用いて、図1に示すように、受口3の内周面に、合成樹脂塗料を吹き付けて受口部樹脂層20を形成する。これにより、管1の内周面の塗装が終了する。
以下、上記管1の塗装方法並びにこの塗装方法によって塗装された管1における作用および効果を説明する。
図1に示すように、溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んだ混合樹脂層14を、直管部2の内周面に形成しているため、塗膜(すなわち混合樹脂層14)を必要な厚さT1に保ったままで、溶剤系エポキシ樹脂12の使用量を減らして、コストダウンすることができる。
また、直管部2の内周面における受口3側の端部Aに「しわ」が多数発生しても、上記端部Aに形成された端部樹脂層16は液体状の溶剤系エポキシ樹脂12に珪砂13を含んでいないため、液体状の溶剤系エポキシ樹脂12が「しわ」の微小な凹凸間に十分に流れ込む。これにより、端部樹脂層16と直管部2の内周面における端部Aとの密着性が向上し、端部樹脂層16が剥離し難くなる。
また、混合樹脂層14の表面(内周面)に露出した珪砂13は上塗り樹脂層18によって覆われるため、混合樹脂層14の珪砂13が管1の内部に露出することはなく、上塗り樹脂層18を形成することによって、管1の内側の平滑性が保たれるとともに、見栄えも良くなる。
また、端部樹脂層16の厚さT2が混合樹脂層14の厚さT1よりも厚いので、直管部2の内周面における受口3側の端部Aに発生した「しわ」の微小な凹凸を端部樹脂層16で十分に覆うことができ、凹凸が端部樹脂層16の表面(内周面)から管1の内部に露出するのを防止することができる。
また、図8の仮想線で示すように、第2塗装工程において、塗料スプレーノズル38が折返位置P2で折り返す際、管軸方向Cにおける台車35の移動速度が折返位置P2で一時的に0まで低下するため、端部樹脂層16の厚さT2が増加し、容易に必要な厚さT2を確保することができる。
また、図2に示すように、受口3の内径の寸法公差が最小側になり且つ挿口4の外径の寸法公差が最大側になった場合、受口3の開口端部の内周と挿口4の外周との間に形成されている隙間47が最小になるため、受口部樹脂層20の厚さT4(図1参照)が厚くなり過ぎると、受口3に挿口4をスムーズに挿入して管1同士を確実に接続することができなくなる可能性がある。これに対して、本実施の形態では、図1に示すように、受口部樹脂層20の厚さT4が混合樹脂層14と上塗り樹脂層18とを足し合わせた厚さT5よりも薄いため、管1の受口3に別の管1の挿口4を挿入する際、受口部樹脂層20が挿口4の挿入を阻害することはなく、受口3に挿口4をスムーズに挿入して管1同士を確実に接続することができる。
尚、受口部樹脂層20を形成している合成樹脂塗料は、混合樹脂層14と端部樹脂層16とを形成している溶剤系エポキシ樹脂12よりも低粘度であるため、流動性が良く、膜厚(すなわち受口部樹脂層20の厚さT4)を容易に薄くすることができる。
また、上記のように、第2塗装工程において珪砂13が直管部2から受口3側へ零れるのを抑制することができるため、第3塗装工程後に、受口部樹脂層20を受口3の内周面に形成する際、受口3内に珪砂13が含まれるのを容易に阻止して、珪砂13が受口部樹脂層20から浮き出すのを防止することができる。
また、溶剤系エポキシ樹脂12を使用することにより、混合樹脂層14や端部樹脂層16、上塗り樹脂層18の乾燥が効率良く行えるため、大口径の管1においても、これらの樹脂層14,16,18の硬化時間が短くなり、管1の生産性が高くなる。さらに、管1を加熱することなく、管1の内面を塗装することができるため、管1の生産性が向上する。
上記実施の形態では、図3に示すように、塗装装置31を管1に対して管軸方向Cへ移動させながら第1〜第3塗装工程を行っているが、管1を塗装装置31に対して管軸方向Cへ移動させてもよい。この場合、例えば、管1を支持している支持装置32を、管軸方向Cへ走行自在な走行台車上に搭載してもよい。また、塗装装置31と管1との両者をそれぞれ管軸方向Cへ移動させながら第1〜第3塗装工程を行ってもよい。
上記実施の形態では、塗装装置31を管軸方向Cへ移動させて、管1の挿口4側の端部から塗装を開始し、直管部2内を挿口4側の端部から受口3側に向かって塗装し、折返位置P2で折り返した後、直管部2内を受口3側から挿口4側の端部に向かって塗装することで、管1内を前後方向に一往復して塗装しているが、一往復に限定されるものではなく、複数往復して塗装してもよい。この場合、最後に直管部2内を折返位置P2から挿口4側の端部に向かって塗装するとき(最後の1パス)のみに、第3塗装工程を行って、上塗り樹脂層18を混合樹脂層14の内周面に形成してもよい。
例えば、直管部2内を二往復して塗装する場合、図9に示すように、一往復目において、直管部2内の挿口4側の端部と所定位置P1との間で混合樹脂層14を形成し(第1塗装工程:イ,ハ)、所定位置P1と折返位置P2との間で端部樹脂層16を形成し(第2塗装工程:ロ)、二往復目において、先ず、直管部2内の挿口4側の端部から所定位置P1までの間で混合樹脂層14を形成し(第1塗装工程:ニ)、次に、所定位置P1と折返位置P2との間で端部樹脂層16を形成し(第2塗装工程:ホ)、その後、直管部2内の所定位置P1から挿口4側の端部に戻る最後の1パスで、上塗り樹脂層18を混合樹脂層14の内周面に形成してもよい(第3塗装工程:ヘ)。
上記実施の形態では、図1に示すように、管1の直管部2と挿口4との内周面に、混合樹脂層14を単層(一層)形成し、その混合樹脂層14の内周面に上塗り樹脂層18を形成しているが、管径方向Bにおいて混合樹脂層14を複数層形成し、最も内周側に形成された混合樹脂層14の内周面に上塗り樹脂層18を形成してもよい。
上記実施の形態では、第1の樹脂塗料の一例として溶剤系エポキシ樹脂12を使用したが、これに限定されるものではない。また、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等に変性樹脂、顔料等を配合した合成樹脂塗料を、第2の樹脂塗料の一例として使用したが、これに限定されるものではない。さらに、無機系粉末の一例として珪砂13を使用したが、これに限定されるものではない。
1 管
2 直管部
3 受口
12 溶剤系エポキシ樹脂(第1の樹脂塗料)
13 珪砂(無機系粉末)
14 混合樹脂層
16 端部樹脂層
18 上塗り樹脂層
20 受口部樹脂層
A 直管部の内周面における受口側の端部
C 管軸方向
T1 混合樹脂層の厚さ
T2 端部樹脂層の厚さ
T4 受口部樹脂層の厚さ
T5 混合樹脂層と上塗り樹脂層とを足し合わせた厚さ
2 直管部
3 受口
12 溶剤系エポキシ樹脂(第1の樹脂塗料)
13 珪砂(無機系粉末)
14 混合樹脂層
16 端部樹脂層
18 上塗り樹脂層
20 受口部樹脂層
A 直管部の内周面における受口側の端部
C 管軸方向
T1 混合樹脂層の厚さ
T2 端部樹脂層の厚さ
T4 受口部樹脂層の厚さ
T5 混合樹脂層と上塗り樹脂層とを足し合わせた厚さ
Claims (10)
- 直管部と、直管部の端部に形成された受口とを有する鋳鉄管であって、
直管部の内面に、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含む混合樹脂層が形成され、
直管部の内面における受口側の端部に、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない端部樹脂層が形成されていることを特徴とする鋳鉄管。 - 混合樹脂層の内周に、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない上塗り樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の鋳鉄管。
- 端部樹脂層の厚さが混合樹脂層の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鋳鉄管。
- 直管部の内面における受口側の端部とは、直管部において鋳鉄管の外径が拡径している部分であり、
この部分の内面に、端部樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鋳鉄管。 - 端部樹脂層は直管部の端部から受口の奥部に入り込んでおり、
受口の奥部において、受口部樹脂層の一部が端部樹脂層の内周に重なっていることを特徴とする請求項4に記載の鋳鉄管。 - 第1の樹脂塗料に溶剤系エポキシ樹脂を使用し、
無機系粉末に珪砂を使用していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鋳鉄管。 - 直管部と直管部の端部に形成された受口とを有する鋳鉄管を軸心周りに回転させながら、鋳鉄管の内面を塗装する塗装方法であって、
直管部において、第1の樹脂塗料と無機系粉末とを直管部の内面に吐出して、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含む混合樹脂層を形成する第1塗装工程と、
直管部の内面における受口側の端部において、第1の樹脂塗料を直管部の内面に吐出するとともに、無機系粉末の吐出を停止して、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない端部樹脂層を形成する第2塗装工程とを有することを特徴とする鋳鉄管の塗装方法。 - 第1塗装工程において、液体状の第1の樹脂塗料を直管部の内面に塗布した直後に、塗布された第1の樹脂塗料に対して無機系粉末を供給することを特徴とする請求項7記載の鋳鉄管の塗装方法。
- 第1塗装工程と第2塗装工程とを行った後、無機系粉末の吐出を停止した状態で、第1の樹脂塗料に無機系粉末を含まない上塗り樹脂層を、混合樹脂層の内周に形成する第3塗装工程を行うことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の鋳鉄管の塗装方法。
- 鋳鉄管の挿口側の端部から塗装を開始し、直管部内を挿口側の端部から受口側に向かって塗装し、直管部の受口側の端部で折り返すことで、直管部内を往復して塗装することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の鋳鉄管の塗装方法。
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