JP2018178308A - 塗工印刷用紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】白紙光沢度が高く印刷適性の良好な、オンマシンで製造する2層塗工の塗工印刷用紙を提供することである。
【解決手段】原紙の両面に塗工液をオンマシンで2層塗工し、ソフトカレンダーで処理する塗工印刷用紙の製造方法であって、以下の条件を満たす。(a)原紙灰分が15〜30%となるように填料を添加する。(b)原紙の両面にフィルム転写型コーターにより、顔料として重質炭酸カルシウムを主体に含む塗工液を片面4〜6g/m塗工する。(c)さらに、原紙の両面にブレードコーターにより、顔料としてカオリンを全顔料に対し70質量部以上含む塗工液を片面5〜8g/m塗工する。(d)ブレードコーターにより塗工する際の塗工液の濃度が60〜65%、粘度が800〜1500cpsであり、コーターのブレード角30〜45度にて、塗工液を塗工する。(e)塗工印刷用紙の白色度が75〜85%、白紙光沢度が65〜75%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、白紙光沢度が高く、良好な印刷適性を備えたオンマシンで製造する塗工印刷用紙の製造方法に関するものである。
紙は、新聞、書籍、雑誌、ポスター、カレンダー、パンフレット、包装紙等、ほとんどの場合印刷されて使用されており、印刷用紙の種類および特性は、印刷方式や用途によって様々である。一例を挙げると、オフセット印刷方式は、版面に親油性の画線部(印刷しようとする部分)と親水性の非画線部とを作り、湿し水と呼ばれる水を薄く塗り、次にインキを塗ると水を弾いた画線部にだけインキが付着するので、これをブランケットに転写し、さらにこのブランケットから紙にインキを転移させる方式である。湿し水を使用するため、水に濡れたときブランケットに付着して紙粉としてとられないように、用紙には表面強度が重視される。また、グラビア印刷方式は、版上の凹部にインキを盛り紙に転写する方式であるため、版と紙とが均一に接し網点の抜け(スペックル)が起こらないように、表面に微小な凹凸がなく平滑性が高いことが要求される。
紙の製造における塗工液の塗工方法としては、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、サイズプレス、ゲートロールコーター等が用いられる。このうち、塗工印刷用紙の製造では、ブレードコーター、ロールコーター、サイズプレス、ゲートロールコーターが一般に用いられる。
紙メーカーでは製品の効率的な生産とコストダウンを図るべく、塗工装置の広幅化や高速化を進めており、高品質を維持したまま生産性を上げることが重要な課題である。従って近年生産設備としては、一台で抄紙と塗工を同時に行うオンマシン塗工方式が多く採用される傾向にある。一方、原紙に安価な顔料を含む下塗り塗工液を塗工した後、上塗り塗工液を塗工することにより、品質的には下塗り塗工により原紙の被覆性が向上し、面状や印刷品質も良くなることから、多層塗工化が進む傾向がある。したがって軽量コート紙の製造工程においても、近年では生産効率アップとコストダウンを同時に追求すべく、オンマシン塗工で多層塗工が行われている。さらに、通常、高い白紙光沢度の塗工紙は、コーターとは別のスーパーカレンダーで処理するが、そのかわりにコーターと一体のソフトカレンダーで処理し、高い光沢度を付与することが行われている。
しかし、このような抄紙機から一連の装置で多層塗工紙を最終製品まで仕上げるには困難な点がある。すなわち、抄紙から乾燥、下塗り塗工、乾燥、上塗り塗工、乾燥、平滑化まで装置が複雑になり、生産ラインが非常に長くなるため、一度紙切れ(断紙)が発生すると通紙に時間がかかり生産効率が大きく低下するため、出来る限り断紙回数を減らすための製造技術確立が必要である。
一般的にオンマシンの下塗り塗工には、紙切れの少ないフィルムトランスファー方式の塗工装置が使用され、また上塗り塗工には塗工面が良好なブレードコーターが専ら使用される。ブレードコーターは塗工液の給液方法によりロールアプリケート、ファウンテンアプリケート、ショートドウェル型アプリケートに分けられる。一般に塗工量が比較的少ない軽量コート紙(A3コート紙)の製造に際し、従来のロールアプリケート、ファウンテンアプリケート方式のブレードコーターで塗工するとアプリケート後ブレードでメタリングするまでの間に、塗工液が原紙中に浸み込み、塗工液の流動性が低下する結果、メタリング時のブレードニップ圧を高くする必要がある。その結果、塗工面の被覆性が低下し、断紙も発生し易いと言われている。そこで塗工液の原紙への浸透時間を短くし、より軽いブレードニップ圧で塗工することが可能なショートドウェル型アプリケート方式(以下ショートドウェルコーターと称す)が専ら軽量コート紙の製造に使用されている。しかし、このような設備においては、塗工量に制約があるため、軽量コート紙より塗工量が必要なA2コート紙のような高い白紙光沢度の塗工紙を製造するのは困難である。
A2コート紙は、軽量コート紙よりグレードが高いものであり、塗工量が必要なため、通常オフマシン塗工し、塗工機とは別ラインのスーパーカレンダーを用いて高ニップ圧で多段の平滑化処理を行って製造されている。本発明は、本来、軽量コート紙の製造に適したオンマシン塗工機おいて、従来技術では成し得なかったA2コ−ト紙なみの高い白紙光沢度を有する塗工印刷用紙の製造方法を提供するものである。
塗工印刷用紙の白色度、白紙光沢度、印刷適性向上を課題とした特許文献として、以下のようなものがある。
平均粒子径が0.8〜1.2μmの湿式重質炭酸カルシウムを80〜100質量部用いた固形分53〜55%の下塗り塗被液を、フィルム転写型塗工機によって形成し、平均粒子径が0.4〜1.1μmの湿式重質炭酸カルシウムを50〜80質量部と中空有機顔料を3〜8質量部を用いた、固形分65%以上の上塗り塗被液をブレードコーターによって塗被する印刷用塗被紙の製造方法。(特許文献1)塗被層の少なくとも1層が蛍光染料、紫染料および青染料を含有し、最外層の塗被層が、顔料成分として、平均粒子径が0.40〜1.10μmで且つ粒子径2.0μm以下の粒子含有率が73質量%以上のカオリンを全顔料の25〜45質量%、および、平均粒子径が0.6〜1.8μmの炭酸カルシウムを全顔料の55〜75質量%含有し、かつ該最外層に隣接する内側の塗被層が、顔料成分として、炭酸カルシウムを全顔料の90〜100質量%含有する、印刷用塗被紙。(特許文献2)炭酸カルシウムを顔料中10〜70重量%含有し、これにアルキレンジアミンもしくはポリアルキレンポリアミンと尿素類との縮合反応物に、アルデヒド類およびエピハロヒドリン類のいずれか1種以上、もしくはα、γ−ジハロ−β−ヒドリン類を反応させて得られる水溶性樹脂(A)、メタクリル酸とエチルアクリル酸塩よりなる共重合物(B)を配合した塗工液を、原紙に塗工、乾燥してなる印刷用塗工紙。(特許文献3)フィルムトランスファー方式の塗被装置を用い原紙に下塗り塗被液を固形分で4〜10g/m2(両面)塗被した後、上塗り塗被する直前に平滑度(王研式平滑度計測定値)が30〜100秒になるよう軽度にソフトカレンダー処理し、ファウンテンアプリケート方式のブレードコーターを用い、ファウンテン角が40〜60°で、ブレードのチップ角が45〜50°、ブレード厚さが0.45〜0.60mmの範囲内で上塗り塗被液を塗被する多層塗被紙の製造方法。(特許文献4)フィルム転写塗工方式で第一層目の塗工層を形成した後に、ブレード塗工方式で第二層、第三層を形成した印刷用塗工紙であって、第三層目の塗工層の顔料として平均粒子径が0.35μm以上0.55μm以下の炭酸カルシウムを含有する印刷用塗工紙。(特許文献5)
しかし、これらの技術によってもいまだ満足な塗工印刷用紙が得られていない。すなわち、特許文献1は、白紙光沢度が77%以上とされているが、特殊な中空有機顔料を用いているし、実施例を参照するとスーパーカレンダーで光沢度を付与している。特許文献2は、白紙光沢度が45〜55%と低い。特許文献3は、実施例によると白紙光沢度は79〜83%とされているが、特殊な塗工液を使用しているし、スーパーカレンダーで光沢度を付与している。特許文献4は、実施例によると白紙光沢度が54〜56%と低い。特許文献5は、白紙光沢度が75〜79%以上とされているが、3層の塗工を行っているし、実施例を参照するとスーパーカレンダーで光沢度を付与している。
特開2006−257590号公報 特開2004−285552号公報 特開2000−64194号公報 特開平11−131387号公報 特開2004−256958号公報
本発明の課題は、白紙光沢度が高く印刷適性の良好な、オンマシンで製造する2層塗工の塗工印刷用紙の製造方法を提供することである。
本発明者は、オンマシンで2層塗工し、カレンダー処理する塗工印刷用紙について、塗工条件と紙質の関係について検討した結果、塗工印刷用紙の製造条件を特定することにより、上記課題を解決できることを見出した。
請求項1に係る発明は、
原紙の両面に顔料および接着剤を主成分とする塗工液をオンマシンで2層塗工し、ソフトカレンダーで処理する塗工印刷用紙の製造方法であって、以下の(a)〜(e)の条件を満たす塗工印刷用紙の製造方法である。
(a)原紙灰分が15〜30%となるように填料を添加する。
(b)原紙の両面にフィルム転写型コーターにより、顔料として重質炭酸カルシウムを主体に含む塗工液を片面4〜6g/m塗工する。
(c)さらに、原紙の両面にブレードコーターにより、顔料としてカオリンを全顔料に対し70質量部以上含む塗工液を片面5〜8g/m塗工する。
(d)ブレードコーターにより塗工する際の塗工液の濃度が60〜65%、粘度が800〜1500cpsであり、コーターのブレード角30〜45度にて、塗工液を塗工する。
(e)塗工印刷用紙の白色度が75〜85%、白紙光沢度が65〜75%である。
請求項2に係る発明は、請求項1の塗工印刷用紙の製造方法であって、以下の(f)〜(i)の条件を満たす塗工印刷用紙の製造方法である。
(f)上塗り塗工層は、顔料として微粒カオリン、扁平カオリン、微粒重質炭酸カルシウムを含み、全顔料に対し、微粒カオリン60〜85質量部、扁平カオリン5〜20質量部、微粒重質炭酸カルシウム5〜30質量部を含有する。
(g)前記、微粒カオリンは、粒子径2μm以下が95質量%以上である。
(h)前記、扁平カオリンは、粒子径2μm以下が83質量%以上である。
(i)前記、微粒重質炭酸カルシウムは、粒子径1μm以下が90質量%以上である。
請求項3に係る発明は、請求項2の発明において、カレンダー処理がソフトカレンダー処理であり、ニップ圧200〜300kN/m、ロール表面温度が150〜200℃の条件で、少なくとも3ニップの処理をおこなうことを特徴とする請求項2に記載の塗工印刷用紙の製造方法である。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法によれば、光沢度が高く、印刷適性に優れた、オンマシンで製造される塗工印刷用紙を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の塗工印刷用紙の製造には、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。抄紙機の型式は特に限定はなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等を適宜使用できるが、オントップ型やギャップフォーマ型のツインワイヤー抄紙機が望ましく、特に両面から脱水するギャップフォーマー型抄紙機が望ましい。
本発明の塗工印刷用紙の製造には、原料のパルプとして、クラフトパルプ、古紙パルプ、機械パルプ等が使用できる。クラフトパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等が使用できる。また、古紙パルプとしては、新聞古紙脱墨パルプ、上質古紙脱墨パルプ等の古紙脱墨パルプ(DIP)が使用できる。機械パルプとしては、ストーングラウンドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等を使用することができる。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、クラフトパルプを主体に使用するのが好ましい。このようにすることで、原紙に強度を持たせることができるので、コーターでの断紙や印刷機での断紙の可能性を低減することができる。特にLBKPは80%以上使用するのが好ましい。LBKPが少ないと地合いムラおよび塗工ムラができやすく、白紙光沢度が不足したり、光沢ムラが発生する。紙からLBKPの含有率を求める場合は、JISP8120:1998 紙、板紙及びパルプ繊維組成試験方法により、紙を離解して求めることができる。配合するLBKPのカナダ標準ろ水度(C.S.F.)は300〜450mlに調整されていることが好ましい。ろ水度が300mlより低いと、強度の不足によりコーターでの断紙が起こりやすく、450mlより高いと、地合いムラによる塗工ムラができやすく、白紙光沢度が不足して印刷適性が悪くなる。
本発明の塗工印刷用紙は、資源の有効利用のため古紙パルプを使用してもよい。その配合率は高いほうが良いが、古紙パルプは、晒クラフトパルプより白色度や強度が低いので、10〜50質量%とするのが望ましい。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、インキ着肉性、不透明度、白色度、白紙光沢度向上を目的に原紙灰分(塗工液を塗工する前の灰分)が15〜30%となるように填料を内添する。灰分が30%を超えると強度が不足し、コーターでの紙切れが発生しやすくなる。填料の種類は特に限定されず、一般に塗工印刷用紙に使用されている填料を使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、クレー、ホワイトカーボン、シリカ等の無機填料の中から単独または複数の種類を使用することができる。なかでも、白色度が高く入手の容易な、炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、パルプに硫酸バンド、サイズ剤、嵩向上剤、紙力増強剤等を添加することができる。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸等のサイズ剤が使用できる。紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂等が使用できる。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、原紙にカチオン化澱粉を添加するのが好ましい。添加率としては原料のパルプに0.2〜2.0%添加するのが好ましい。カチオン化澱粉を添加することにより、引張り強さ、伸びが向上し、コーターでの断紙や印刷機での断紙を防止することができる。カチオン化澱粉の添加量が0.2%より少ないと添加の効果が低く、2.0%より多いと効果が頭打ちとなるほか、地合いが悪くなったり、抄紙機のフェルト汚れによる搾水不良のトラブルを起こすことがある。使用するカチオン化澱粉の置換度は、0.02〜0.05であることが紙力向上に有利であり、好ましい。置換度は澱粉分子のグルコース単位の数に対してエーテル結合によって置換されたヒドロキシル基の数の割合によって定義される。使用するカチオン化澱粉は、アミロース含有量が20%以下の澱粉から製造されたカチオン化澱粉であることが耐老化性に優れるので好ましい。
その他、必要に応じ、歩留り向上剤、湿潤紙力増強剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、染料等の添加剤も使用することができる。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、原紙の両面に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を2層塗工し、オンマシンソフトカレンダーで処理する。使用する顔料は、塗工紙用に従来から用いられている、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料等を必要に応じて1種類以上混合して使用する。(詳細は後述する。)
本発明の塗工印刷用紙の下塗り塗工層には、原紙の両面にフィルム転写型コーターにより、顔料として重質炭酸カルシウムを主体に含む塗工液を片面4〜6g/m塗工する。重質炭酸カルシウムを主体にすることで白色度を高くでき、印刷の見映えがよくなる。さらに、上塗り塗工層として、原紙の両面にブレードコーターにより、顔料としてカオリンを70質量部以上含む塗工液を片面5〜8g/m塗工する。カオリンを70質量部以上含むことで白紙光沢度を高くすることができる。下塗り塗工、上塗り塗工ともに、塗工液の塗工量が少ないと白紙光沢度が不足し、塗工量が多い白紙光沢度には有利であるが、オンマシン塗工ではドライヤー汚れが発生しやすく、操業性が悪くなる。
本発明では、下塗り塗工層、および、上塗り塗工層の塗工液に前記顔料とともに、接着剤を、顔料の接着能を向上させパイリングなどの表面強度に纏わるトラブルを回避するために配合する。使用する接着剤は、塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白の蛋白質類、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、下塗り塗工として、原紙の両面に、フィルム転写型コーターにより塗工液を塗工する。フィルム転写型コーターは、塗工液をロール転写する方式であるため、紙切れが少なく、ストリークの発生が無いので安定操業が可能である。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、上塗り塗工として、原紙の両面に、ブレード塗工方式により塗工液を塗工する。ブレード塗工方式では、塗工液が紙に接触してからブレードで掻き取る時間が変更可能なバリドゥエルタイム方式と、塗工液が紙に接触してからブレードで掻き取る時間が短いショートドゥエルタイム方式があるがどちらを使用してもよい。しかし、近年の抄紙機、塗工機の高速化を考慮するとバリドゥエルタイムジェットファウンテン方式の方が好ましい。また、塗工液を掻き取るブレードに関してはベントブレード、ベベルブレードがあるが、白紙面感が良好になるベベルブレードの方が好ましい。ブレード塗工方式は、ブレードで塗工液を掻き落とすので、塗工液を均一な厚みで塗工することが可能であり、印刷適性が良く、塗工量の調整範囲が広いことでも有利である。
本発明の塗工印刷用紙の製造方法では、上塗り塗工の塗工液の塗工量は片面あたり5〜8g/mとする。塗工液の塗工量が片面あたり8g/mより多いと、オンマシン塗工では非接触のドライヤーの乾燥能力に余裕が無い場合があるため、ドライヤー設備に塗工液が付着する問題が懸念される。塗工液の塗工量が片面あたり5g/mより少ないと、原紙の被覆が不十分となるため、白紙光沢度の不足や光沢ムラにより印刷適性が悪くなる。塗工の際の塗工液の濃度は60〜65%、塗工液の粘度(B型粘度計、35℃、60rpm)は800〜1500cpsとする。この範囲の塗工液をブレードコーターで塗工すれば、コーターでの塗工安定性が良く、塗工液を均一に原紙へ塗工することができる。前記塗工液を塗工する際のブレード角(ブレード先端面と紙面の角度)は30度〜45度が望ましく、35〜45度がさらに望ましい。ブレード角が小さ過ぎると、塗工量が多くなりやすく、塗工後のドライヤー汚れが懸念される。ブレード角が大き過ぎると異物がブレードに引掛かり、ストリークや断紙の原因となる。
上塗り塗工層は、顔料として微粒カオリン、扁平カオリン、微粒重質炭酸カルシウムを含み、全顔料に対し、微粒カオリン60〜85質量部、扁平カオリン5〜20質量部、微粒重質炭酸カルシウム5〜30質量部を含有する。微粒カオリンや扁平カオリンが少ないと白紙光沢度が不足し、微粒重質炭酸カルシウムが少ないと塗工液の流動性が低くなり、塗工液の均一性が損なわれる。このようにすることで、コーターでの塗工性が良好であり、少ない塗工量で高い白紙光沢度の塗工印刷用紙が得られる。
前記、微粒カオリンは、粒子径2μm以下が95質量%以上であることが好ましい。扁平カオリンは、粒子径2μm以下が83質量%以上であることが好ましい。微粒重質炭酸カルシウムは、粒子径1μm以下が90質量%以上であることが好ましい。このようにすることで、コーターでの塗工性が良好であり、少ない塗工量で高い白紙光沢度が得られ、コストを抑えた塗工印刷用紙を得ることができる。
乾燥には、加熱熱風エアドライヤ、加熱シリンダ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等、各種の方式のドライヤを、単独あるいは組み合せて用いることができる。
本発明の塗工印刷用紙の製造に際しては、ドライヤーで乾燥後に、カレンダー装置により平滑化処理する。カレンダー装置としては、ソフトカレンダーを使用する。本発明の塗工印刷用紙では、高い白紙光沢度とするため、ニップ圧200〜300kN/m、温度が150〜200℃の範囲で、少なくとも3ニップ以上の処理をおこなう。このようにすることで白紙光沢度(JISP8149)65〜75%が得られる。
本発明の塗工印刷用紙の坪量(JISP8124)は特に限定されないが、40〜150g/m程度が好ましい。坪量が40g/mより小さいと、パルプ分が少なくなり、強度が不足し2層塗工が難しくなる。このようにして得られる塗工印刷用紙は、高価な中空有機顔料を使用せず、スーパーカレンダーを使用することなく、白色度(JISP8148)75〜85%、白紙光沢度(JISP8149)65〜75%とすることができる。白色度が75%より低いと印刷の見映えの点で劣り、白紙光沢度75%より低いと印刷のインパクトが弱い。コーターで塗工液を塗工する際の原紙の水分は4〜7%が望ましい。4%より低いとコーターで紙が裂けやすくなり、7%より高いと塗工後に水分ムラが生じやすく、しわ入りや印刷時のばたつきの原因となる。
塗工液を塗工する前工程でカレンダーにて平滑化処理を行うこともできる。この場合、処理後の平滑度が高過ぎると、紙の密度が高くなるため、塗工液の浸透が悪く、塗工量が不均一になり、しわ入りや印刷時のばたつきの原因となる。処理後の平滑度が低いと塗工ムラや光沢度が低くなる。平滑度は15〜80秒が望ましい。以上のようにして、本発明の塗工印刷用紙が得られる。
以下、実施例及び比較例により、本発明の効果を具体的に表す。なお、%は特に断りのない限り質量%を表し、添加量は絶乾パルプに対する固形分または有効成分で表す。
(実施例1)
NBKP10質量部(510mlCSF)、LBKP90質量部(380mlCSF)からなるパルプ分散液に、硫酸バンド1.3%(有姿)、カチオン化澱粉(製品名 ジェルトロン24、ジー・エス・エル・ジャパン株式会社製)1.0%を添加し、填料として、重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ75F、備北粉化工業株式会社製)を原紙灰分が20%となるように添加してオントップ型ツインワイヤー抄紙機で抄紙した。
次に、フィルムトランスファー方式のロッドメタリングサイズプレスを用いて、顔料と接着剤を含む塗工液を下記のように原紙の両面に塗工した。
重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ90、備北粉化工業株式会社製)70質量部、微粒カオリン(製品名 カオファイン、シールカオリンカンパニー社製、粒子径2μm以下が95質量%以上)25質量部、扁平カオリン(製品名 カオホワイトS、シールカオリンカンパニー社製、粒子径2μm以下が83質量%以上)5質量部、SBラテックス(製品名 スマーテックスPB1990 日本エイアンドエル株式会社製)4質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(製品名 コーティングスターチPLV−500、三和澱粉工業株式会社製)9質量部、塗工液濃度62%、塗工液粘度2400cps、塗工量 片面当たり4.5g/m
次に、ショートドゥエルタイプのブレードコーターを用いて、顔料と接着剤を含む塗工液を下記のように原紙の両面に塗工した。
微粒重質炭酸カルシウム(製品名 セタカーブHG、備北粉化工業株式会社製、粒子径1μm以下が90質量%以上)10質量部、微粒カオリン(製品名 カオファイン、シールカオリンカンパニー社製)75質量部、扁平カオリン(製品名 カオホワイトS、シールカオリンカンパニー社製)15質量部、SBラテックス(製品名 スマーテックスPB1990、日本エイアンドエル株式会社製)11質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(製品名 コーティングスターチPLV−500、三和澱粉工業株式会社製)3.5質量部、分散剤(製品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対カオリン)、塗工液濃度62%、塗工液粘度1050cps、塗工量 片面当たり5.0g/m、ブレード角度35度
塗工後に乾燥し、ソフトカレンダー3ニップ処理(線圧310kN/m 温度180℃、線圧200kN/m 温度180℃、線圧200kN/m 温度180℃)を行い、坪量105g/m、水分5.5%の塗工印刷用紙を得た。得られた塗工印刷用紙の評価結果を表1、表2に示す。
(実施例2)
填料として、重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ75F、備北粉化工業株式会社製)を原紙灰分が17%となるように添加して抄紙した。上塗り塗工量 片面当たり5.5g/mとした以外は実施例1と同様にした。
(実施例3)
た下塗り塗工量 片面当たり5.0g/m、上塗り塗工量 片面当たり5.7g/mとした以外は実施例1と同様にした。
(比較例1)
上塗り塗工層の塗工液を、顔料としては重質炭酸カルシウムを主体とし、下記のように変更した以外は実施例1と同様に塗工印刷用紙を得た。
重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ90、備北粉化工業株式会社製)60質量部、微粒カオリン(製品名 カオファイン、シールカオリンカンパニー社製)30質量部、扁平カオリン(製品名 カオホワイトS、シールカオリンカンパニー社製)10質量部
SBラテックス(製品名 スマーテックスPB1990、日本エイアンドエル株式会社製)11質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(製品名 コーティングスターチPLV−500、三和澱粉工業株式会社製)3.5質量部、分散剤(製品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対カオリン)
塗工液濃度64%、塗工液粘度1450cps、塗工量 片面当たり5.5g/m、ブレード角度35度
(比較例2)
上塗り塗工層の塗工液を、下記のように変更した以外は実施例1と同様に塗工印刷用紙を得た。
重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ90、備北粉化工業株式会社製)35質量部、微粒カオリン(製品名 カオファイン、シールカオリンカンパニー社製)50質量部、扁平カオリン(製品名 カオホワイトS、シールカオリンカンパニー社製)15質量部
SBラテックス(製品名 スマーテックスPB1990、日本エイアンドエル株式会社製)11質量部、尿素燐酸エステル化澱粉(製品名 コーティングスターチPLV−500、三和澱粉工業株式会社製)3.5質量部、分散剤(製品名 アロンT50 東亞合成株式会社製)15質量部(対カオリン)、塗工液濃度64%、塗工液粘度1800cps、塗工量 片面当たり5.9g/m、ブレード角度35度
(比較例3)
填料として、重質炭酸カルシウム(製品名 ハイドロカーブ75F、備北粉化工業株式会社製)を原紙灰分が10%となるように添加して抄紙した以外は、比較例2と同様に塗工印刷用紙を得た。
なお、試験方法と評価方法は次のとおりである。
(粘度)B型粘度計(35℃、60rpm)による測定値
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(白紙光沢度)JISP8142:2005紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法
(印面評価)オフセット輪転印刷機を用い、印刷速度700rpm、紙面温度120℃で4色印刷(オフ輪用プロセスインキ 墨・紅・藍・黄)を行い、各試料の印面と印刷作業性を
次の基準で相対評価した。○:良い、×:印面にムラがみられた。
Figure 2018178308
Figure 2018178308
表1、表2に示したように、本発明の実施例1〜3では、いずれも、白色度、白紙光沢度が高く、印面評価ともに良好となっている。比較例1は、上塗塗工層の顔料として、カオリンが40質量部と少ないので、実施例1〜3と比較して白紙光沢度が低くなっている。比較例2は、上塗塗工層の顔料として、カオリンが65質量部と少ないので、実施例1〜3と比較して白紙光沢度がやや低くなっている。また、上塗り塗工液の粘度が高いので印面評価が悪くなっている。比較例3は、原紙灰分が10%と低いので、比較例2と比較して白紙光沢度が低くなっている。
本発明の製造方法による塗工印刷用紙は、チラシ用途に好適に使用されるほか、商品パンフレット、フリーペーパーなどの用紙として使用できる。

Claims (3)

  1. 原紙の両面に顔料および接着剤を主成分とする塗工液をオンマシンで2層塗工し、カレンダーで処理する塗工印刷用紙の製造方法であって、以下の(a)〜(e)の条件を満たす塗工印刷用紙の製造方法。
    (a)原紙灰分が15〜30%となるように填料を添加する。
    (b)原紙の両面にフィルム転写型コーターにより、顔料として重質炭酸カルシウムを主体に含む塗工液を片面4〜6g/m塗工する。
    (c)さらに、原紙の両面にブレードコーターにより、顔料としてカオリンを全顔料に対し70質量部以上含む塗工液を片面5〜8g/m塗工する。
    (d)ブレードコーターにより塗工する際の塗工液の濃度が60〜65%、粘度が800〜1500cpsであり、コーターのブレード角30〜45度にて、塗工液を塗工する。
    (e)塗工印刷用紙の白色度が75〜85%、白紙光沢度が65〜75%である。
  2. 請求項1の塗工印刷用紙の製造方法であって、以下の(f)〜(i)の条件を満たす塗工印刷用紙の製造方法。
    (f)上塗り塗工層は、顔料として微粒カオリン、扁平カオリン、微粒重質炭酸カルシウムを含み、全顔料に対し、微粒カオリン60〜85質量部、扁平カオリン5〜20質量部、微粒重質炭酸カルシウム5〜30質量部を含有する。
    (g)前記、微粒カオリンは、粒子径2μm以下が95質量%以上である。
    (h)前記、扁平カオリンは、粒子径2μm以下が83質量%以上である。
    (i)前記、微粒重質炭酸カルシウムは、粒子径1μm以下が90質量%以上である。
  3. カレンダー処理がオンマシンソフトカレンダー処理であり、ニップ圧200〜300kN/m、ロール表面温度が150〜200℃の条件で、少なくとも3ニップの処理をおこなうことを特徴とする請求項2に記載の塗工印刷用紙の製造方法。
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