JP2018177941A - 水性塗料 - Google Patents

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瑞菜 豊田
修平 尾知
Shuhei Ochi
修平 尾知
俊文 柿内
Toshifumi Kakiuchi
俊文 柿内
圭 石塚
Kei Ishizuka
圭 石塚
俊 齋藤
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Abstract

【課題】白化しにくく、剥離しにくい、耐水性に優れた硬化塗膜を形成する水性塗料の提供。【解決手段】フルオロオレフィンに基づく単位および水酸基を有する単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体と、環状無水物と、カルボジイミド基またはオキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物と、水と、を含む水性塗料であって、環状無水物の含有量が、含フッ素重合体の全質量に対して0.5〜50質量%であることを特徴とする、水性塗料。【選択図】なし

Description

本発明は、水性塗料に関する。
フッ素系水性塗料は、耐候性に優れた塗膜を形成できる、環境負荷の低い塗料として注目されている。窯業建材の塗装用途では、塗膜の塗り替え回数も削減できるフッ素系水性塗料が特に注目されている。
フッ素系水性塗料としては、フルオロオレフィンに基づく単位、水酸基を有する単量体に基づく単位、およびポリオキシアルキレン基に基づく単位を含む含フッ素重合体と、硬化剤と、水とを含む水性塗料が報告されている(特許文献1)。
特開2016−204460号公報
しかし、フッ素系水性塗料の硬化塗膜は、耐候性に優れる一方で、耐水性に課題がある。硬化塗膜の耐水性が充分でないと、硬化塗膜が吸水により白化し、色むらを生じるため、窯業建材において求められる意匠性を保持しにくい。また、白化した硬化塗膜は、基材密着性が低下して剥離しやすい。
本発明者らは、特許文献1に記載のフッ素系水性塗料の硬化塗膜を実際に評価した結果、その白化と、それに伴う剥離とを、充分に抑制できないことを知見した。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の含フッ素重合体と、環状無水物と、カルボジイミド基またはオキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物と、水とを含むフッ素系水性塗料は、白化しにくく、剥離しにくい、耐水性に優れた硬化塗膜を形成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
[1] フルオロオレフィンに基づく単位および水酸基を有する単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体と、環状無水物と、カルボジイミド基またはオキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物と、水と、を含む水性塗料であって、
環状無水物の含有量が、含フッ素重合体の全質量に対して0.5〜50質量%であることを特徴とする、水性塗料。
[2] 水酸基を有する単量体に基づく単位の含有量が、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0.5〜35モル%である、[1]に記載の水性塗料。
[3] 水酸基を有する単量体に基づく単位の一部または全部が、ポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位であり、ポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位の含有量が、含フッ素重合体が含む全単位に対して0.1〜5モル%である、[1]または[2]に記載の水性塗料。
[4] 環状無水物が、カルボン酸無水物基を有する単量体に基づく単位を含む重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の水性塗料。
[5] 環状無水物が、カルボン酸無水物基を有する単量体に基づく単位を含む重合体であり、単位の含有量が、重合体が含む全単位に対して、10〜90モル%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の水性塗料。
[6] さらにポリエステルを含み、ポリエステルの含有量が、含フッ素重合体の全質量に対して0.5〜50質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の水性塗料。
[7] 基材の表面に、[1]〜[6]のいずれかに記載の水性塗料を塗布して塗膜を形成し、塗膜を硬化させて硬化塗膜を形成する、硬化塗膜付き基材の製造方法。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の水性塗料から形成されてなる塗膜を、硬化させてなる硬化塗膜を表面に有する硬化塗膜付き基材。
本発明によれば、白化しにくく、剥離しにくい、耐水性に優れた硬化塗膜を形成する水性塗料を提供できる。
また、本発明は、本発明の水性塗料の硬化塗膜を表面に有する硬化塗膜付き基材、およびその製造方法も提供できる。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
「単位」とは、単量体の重合により直接形成される原子団と、単量体の重合により形成される原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、含フッ素重合体の製造に際して使用する成分の仕込み量から決定できる。
「平均粒子径」は、ELS−8000(大塚電子株式会社製)を用いて動的光散乱法により求められるD50の値である。なお、D50は、動的光散乱法により測定した粒子の粒度分布において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径を表す。
「水酸基価」は、JIS K 0070(1992)の方法にしたがって測定される値である。
本発明の水性塗料は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、「単位F」ともいう。)および水酸基を有する単量体(以下、「単量体1」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位1」ともいう。)を含む含フッ素重合体と、環状無水物と、カルボジイミド基またはオキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物(以下、「特定の硬化剤」ともいう。)と、水と、を含む水性塗料であって、環状無水物の含有量が、含フッ素重合体の全質量に対して0.5〜50質量%である。
本発明の水性塗料は、白化しにくく、剥離しにくい、耐水性と基材密着性に優れた硬化塗膜を形成できる。この理由は、必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。
水性塗料中の含フッ素重合体は、通常、水中に粒子状に分散している(以下、粒子状の含フッ素重合体を、「含フッ素重合体の粒子」ともいう。)。水性塗料から形成される塗膜は、含フッ素重合体の粒子が充填され、粒子同士が融着することにより形成されると考えられる。しかし、含フッ素重合体の粒子が、高度に充填されない場合、塗膜中に空隙が生じて、吸水しやすい。
そこで、本発明者らは、環状無水物を、含フッ素重合体の水酸基と反応してカルボキシ基を形成させる改質剤、かつ、含フッ素重合体の粒子同士を親和させ、充填を促進する充填剤として、水性塗料に含ませれば、含フッ素重合体の粒子間に生じる空隙が高度に解消された塗膜が形成されることを、まずは知見した。
さらに、特定の硬化剤を水性塗料に含ませれば、塗膜において、特定の硬化剤のカルボジイミド基またはオキサゾリン基と、重合体に形成されたカルボキシ基(環状無水物が改質剤として、含フッ素重合体の水酸基と反応して形成されたカルボキシ基。)とが反応する、つまり、特定の硬化剤を介して、環状無水物で変性された含フッ素重合体が高度に架橋する。
その結果、より緻密に硬化塗膜の形成が進行するため、白化しにくく、剥離しにくい、耐水性と基材密着性に優れた硬化塗膜を形成することを、本発明者らは知見したのである。
フルオロオレフィンは、水素原子の1以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンは、CF=CF、CF=CFCl、CF=CHF、CH=CF、またはCF=CFCFが好ましく、本発明の水性塗料から形成されてなる硬化塗膜(以下、「本硬化塗膜」ともいう。)の耐候性の観点から、CF=CFまたはCF=CFClがより好ましい。なお、フルオロオレフィンは、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単位Fの含有量は、含フッ素重合体の水中分散性と、本硬化塗膜の耐候性の観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20〜70モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。
単量体1は、水酸基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、または(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、水酸基を有するビニルエーテルまたは水酸基を有するアリルエーテルがより好ましい。単量体1の含有量を調節すれば、含フッ素重合体の水酸基価を好適に調節できる。
単量体1は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体1の具体例としては、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルが挙げられる。
単位1の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0.1〜35モル%が好ましく、1〜20モル%がより好ましい。
本発明における含フッ素重合体は、本硬化塗膜の耐水性の観点から、単位1の一部または全部が、ポリオキシアルキレン基を有する単量体(以下、「単量体11」ともいう。)に基づく単位(以下、単位11ともいう。)であるのが好ましい。
単量体11は、式L11−Y11−(OQ11n11OHで表される単量体であるのが好ましい。
式中、L11は、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
11は、炭素数2〜12の2価の飽和炭化水素基である。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、2価の飽和炭化水素基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。
2価の飽和炭化水素基は、炭素数4〜12のアルキレン基または炭素数6〜8のシクロアルキレン基を含むアルキレン基が好ましい。
2価の飽和炭化水素基は、式−CH−cycloC10−CH−で表される基、−CHCH−、−CHCHCHCH−または式−CHCHY12−で表される基が好ましい。−cycloC10−はシクロへキシレン基を示し、(−cycloC10−)の結合部位は、特に限定されず、通常1,4−である。また、Y12は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
11は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基が好ましい。なお、Q11が3または4である場合、Q11は、直鎖状のアルキレン基であってもよく、分岐鎖状のアルキレン基であってもよい。複数のQ11が存在する場合、Q11は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、複数のQ11が存在する場合、それらの結合順はランダム型でもブロック型でもよい。
n11は、6〜24の整数であり、10〜20の整数が好ましい。
単位11の含有量は、粒子状の含フッ素重合体の安定性の観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、0.1〜5モル%が好ましく、0.5〜3モル%がより好ましい。
単量体11は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明における含フッ素重合体は、必要に応じて、フルオロオレフィンおよび単量体1以外の単量体(以下、「単量体2」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位2」ともいう。)をさらに含んでもよい。
単量体2の具体例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリオキシアルキレンアルキル基、またはポリオキシアルキレンサルフェート基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステルが挙げられる。
なお、単量体2は、含フッ素重合体の親水性等の物性を損なわない範囲で、水酸基以外の架橋性基を有する単量体であってもよい。該架橋性基の具体例としては、加水分解性シリル基、カルボキシ基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられる。
単量体2は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明における含フッ素重合体が単量体2を含む場合、単量体2の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、15〜75モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、30〜50モル%が特に好ましい。
本発明における含フッ素重合体は、本硬化塗膜の造膜性の観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Fの含有量、単位1の含有量、単位2の含有量が、この順に、20〜70モル%、0.1〜35モル%、0〜70モル%であるのが好ましい。
本発明における含フッ素重合体の水酸基価は、1〜80mgKOH/gが好ましく、5〜70mgKOH/gがより好ましく、15〜60mgKOH/gが特に好ましい。水酸基価が1mgKOH/g以上であれば、本硬化塗膜がより密に形成される。水酸基価が80mgKOH/g以下であれば、含フッ素重合体の水中分散性に優れる。
本発明における含フッ素重合体は、水中において粒子状に分散しているのが好ましい。含フッ素重合体の粒子の平均粒子径は、本硬化塗膜の空隙を軽減する観点から、200nm以下が好ましく、190nm以下がより好ましく、185nm以下が特に好ましい。該平均粒子径の下限は、通常50nmである。
本発明の水性塗料における含フッ素重合体の含有量は、本硬化塗膜の耐候性の観点から、水性塗料の全質量に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。
本発明における環状無水物は、本発明における含フッ素重合体以外の、カルボン酸無水物基(−C(O)OC(O)−)と環構造を有し、カルボン酸無水物基が環構造に含まれる化合物である。環状無水物の具体例としては、ポリカルボン酸のカルボキシ基が分子内脱水縮合してなる化合物が挙げられる。
環状無水物は、カルボン酸無水物基と環構造を有し、カルボン酸無水物基が環構造に含まれる重合体(以下、「酸無水物重合体」ともいう。)が好ましく、重合性の環状酸無水物に基づく単位(以下、「酸無水物単位」ともいう。)を含む重合体がより好ましい。
重合性の環状酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水アリルコハク酸、無水ハイミック酸が挙げられ、含フッ素重合体との反応性の観点から、無水マレイン酸が好ましい。
また、酸無水物重合体は、重合性のカルボン酸の重合体を脱水縮合して形成される酸無水物重合体であってもよい。重合性のカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸が挙げられる。なお、該酸無水物重合体においては、カルボキシ基の一部がそのまま残存していてもよい。
酸無水物単位の含有量は、酸無水物重合体が含む全単位に対して、10〜90モル%が好ましい。
重合性の環状酸無水物は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
酸無水物重合体は、必要に応じて、重合性の環状酸無水物以外の単量体に基づく単位をさらに含んでもよい。該単量体としては、単量体F以外のビニル化合物が挙げられ、より具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、スチレン等が挙げられる。
該単位を含む場合、該単位の含有量は、酸無水物重合体が含む全単位に対して、0モル%超〜90モル%以下が好ましい。
該単量体は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性塗料における、環状無水物の含有量は、本発明における含フッ素重合体の全質量に対して、0.5〜50質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。環状無水物の含有量が0.5質量%以上であれば、本硬化塗膜がより密に形成される。環状無水物の含有量が50質量%以下であれば、本硬化塗膜の表面平滑性に優れる。
本発明における特定の硬化剤は、カルボジイミド基とオキサゾリン基の両方を有していてもよいが、通常は、カルボジイミド基のみか、オキサゾリン基のみを有する。また、特定の硬化剤1分子が有するカルボジイミド基またはオキサゾリン基は、通常、2〜1000である。
カルボジイミド基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、脂環族カルボジイミド、脂肪族カルボジイミド、芳香族カルボジイミド、芳香脂肪族カルボジイミド、これらの多量体およびこれらの変性体が挙げられる。
オキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、2−オキサゾリン基を有する付加重合性オキサゾリン、該付加重合性オキサゾリンの重合体が挙げられる。
本発明における水は、含フッ素重合体を水性塗料中に分散させる分散媒である。なお、分散媒は、水のみからなるか、水と水溶性有機溶媒とからなる混合溶媒からなる。後者の場合、水溶性有機溶媒の含有量は、水の全質量に対して、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられる。
本発明の水性塗料における、特定の硬化剤の含有量は、本硬化塗膜の造膜性の観点から、本発明における環状無水物の全質量に対して、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
本発明の水性塗料は、本硬化塗膜の基材密着性の観点から、ポリエステルを含むのが好ましく、カルボキシ基を有するポリエステルが特に好ましい。この場合、特定の硬化剤を介して、含フッ素重合体とポリエステルと環状無水物とが高度に架橋するため、本硬化塗膜の基材密着性がより優れる。
ポリエステルは、特に限定されず、多価カルボン酸または多価カルボン酸無水物と、グリコールとの共重合体であればよい。
多価カルボン酸の具体例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、セバシン酸、無水トリメリット酸が挙げられる。
グリコールの具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。
ポリエステルは、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水性塗料における、ポリエステルの含有量は、本発明における含フッ素重合体の全質量に対して、0.5〜90質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。ポリエステルの含有量が0.5質量%以上であれば、本硬化塗膜の基材密着性がより優れる。ポリエステルの含有量が90質量%以下であれば、本硬化塗膜の耐候性がより優れる。
本発明の水性塗料は、必要に応じて、含フッ素重合体、環状無水物、特定の硬化剤、ポリエステル、および水以外の成分(以下、「添加剤」ともいう。)を含んでもよい。添加剤の具体例としては、重合体、界面活性剤、硬化剤、顔料、分散剤、消泡剤、造膜助剤、レベリング剤、増粘剤、硬化助剤、光安定剤、紫外線吸収剤、表面調整剤が挙げられる。
本発明の水性塗料は、基材の表面に直接塗布してもよく、表面処理(下地処理等)された基材の表面に塗布してもよい。本硬化塗膜の膜厚は、本硬化塗膜の耐久性の観点から、25〜100μmが好ましく、30〜80μmがより好ましい。
基材の材質の具体例としては、非金属材料(樹脂、ゴム、木材等の有機質材料、コンクリート、ガラス、セラミックス、石材等の無機質材料等)、金属材料(鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等)が挙げられる。
本発明の水性塗料の、塗布方法の具体例としては、刷毛、ローラー、ディッピング、スプレー、ロールコーター、ダイコーター、アプリケーター、スピンコーター等の塗布装置を使用する方法が挙げられる。
本硬化塗膜は、本発明の水性塗料を塗布して形成されてなる塗膜を、加熱乾燥して硬化剤を介した架橋反応を誘引させることにより、硬化させて形成するのが好ましい。塗布後の加熱乾燥温度は、25℃〜200℃が好ましい。
つまり、本発明によれば、基材の表面に、本発明の水性塗料を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を硬化させて硬化塗膜を形成する、硬化塗膜付き基材の製造方法が提供される。
上述の通り、本硬化塗膜付き基材は、硬化塗膜が白化しにくく、剥離しにくいため、高度な意匠性を求められる窯業建材の塗装用途として、好適に使用できる。
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準を示す。
〔水性塗料の製造に使用した成分〕
<含フッ素重合体>
以下の単量体を用い、後述する例に示す含フッ素重合体を得た。
単位F:CF=CFCl(CTFE)
単位1:シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHMVE)、CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)15H(CM−15EOVE。単位11にも該当する。)
単位2:エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)
<環状無水物、特定の硬化剤、およびポリエステル>
環状無水物1:スチレンに基づく単位と無水マレイン酸に基づく単位とを含む重合体
特定の硬化剤1:カルボジライトSV−02(商品名。カルボジイミド基を1分子中に2以上有する化合物、日清紡ケミカル社製)
ポリエステル1:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、無水トリメリット酸、エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールの共重合体(カルボキシ基を有するポリエステル)
<添加剤>
界面活性剤:DKS NL−100(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、第一工業製薬社製)、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)
造膜助剤:DIBA(アジピン酸ジイソブチル、大八化学工業社製)
増粘剤:プライマル(登録商標)TT−615(ポリアクリル酸系増粘剤、ローム&ハース社製)
[例1]
真空脱気したオートクレーブ内に、CTFE(466g)、CHMVE(136g)、CM−15EOVE(33g)、EVE(130g)、CHVE(172g)、イオン交換水(930g)、炭酸カリウム(1.40g)、DKS NL−100(47g)、SLS(0.93g)を撹拌下で導入して昇温し、50℃に保持した。
続いて、オートクレーブ内に、過硫酸アンモニウムの0.4質量%水溶液(50mL)を連続的に添加しながら24時間重合した後、オートクレーブ内溶液をろ過し、含フッ素重合体を含む水性分散液1(含フッ素重合体濃度50質量%)を得た。
水性分散液1の水酸基価は49mgKOH/gであり、粒子状の含フッ素重合体の平均粒子径は135nmであった。
なお、水性分散液1の、CTFEに基づく単位、CHMVEに基づく単位、CM−EOVEに基づく単位、EVEに基づく単位、CHVEに基づく単位の含有量は、この順に50モル%、10モル%、0.5モル%、22.5モル%、17モル%であった。
[例2]
水性分散液1(90g)、環状無水物1(5g)、特定の硬化剤1(0.5g)、ポリエステル1(5g)、造膜助剤(6.3g)、および増粘剤(0.54g)を混合し、水性塗料1を得た。
縦120mm、横60mm、厚さ15mmのスレート板の表面に、大日本塗料社製のVセラン(登録商標)#700を、乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、100℃で210秒間乾燥させて下塗り膜を形成した。
次いで、該下塗り膜の表面に、水性塗料1を、エアスプレーにて塗布し、100℃で210秒間乾燥させることで硬化させて、水性塗料1から形成されてなる硬化塗膜(膜厚40μm)を有する硬化塗膜付き基材を得た。該硬化塗膜付き基材を試験片1として、後述の評価に供した。
[例3〜例6]
各成分の添加量を表1にしたがって変更する以外は例2と同様にして、水性塗料3〜6および試験片3〜6を得て、該試験片を後述の評価に供した。
試験片の評価方法を、以下に示す。
(硬化塗膜の耐水性)
試験片を60℃の温水に18時間浸漬し、次いで5℃の冷水に15時間浸漬し、次いで5℃で乾燥して、乾燥後の硬化塗膜の外観を評価した。
A:硬化塗膜面の80%以上の面積に、白化やふくれの発生が認められなかった。
B:硬化塗膜面の20%超の面積に、白化やふくれの発生が認められた。
(硬化塗膜の基材密着性)
クロスカット法(JIS K 5600−5−6)によって判定した。硬化塗膜の耐水性で評価した試験片の硬化塗膜を、1mm間隔100マスの碁盤目状にカットし、その上に粘着テープを貼付し、続けてその粘着テープを剥離したときに、100マスのうち、粘着テープによって剥離しなかったマス目の数(マス数/100)から、以下の基準で密着性を評価した。
S:マス数が95超である。
A:マス数が70以上95以下である。
B:マス数が70未満である。
試験片の評価結果を表1に示す。なお、表1における括弧内は、水性分散液1に含まれる含フッ素重合体1の質量(g)を示す。

Claims (8)

  1. フルオロオレフィンに基づく単位および水酸基を有する単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体と、環状無水物と、カルボジイミド基またはオキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物と、水と、を含む水性塗料であって、
    前記環状無水物の含有量が、前記含フッ素重合体の全質量に対して0.5〜50質量%であることを特徴とする、水性塗料。
  2. 前記水酸基を有する単量体に基づく単位の含有量が、前記含フッ素重合体が含む全単位に対して、0.1〜35モル%である、請求項1に記載の水性塗料。
  3. 前記水酸基を有する単量体に基づく単位の一部または全部が、ポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位であり、前記ポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位の含有量が、前記含フッ素重合体が含む全単位に対して0.1〜5モル%である、請求項1または2に記載の水性塗料。
  4. 前記環状無水物が、カルボン酸無水物基を有する単量体に基づく単位を含む重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性塗料。
  5. 前記環状無水物が、カルボン酸無水物基を有する単量体に基づく単位を含む重合体であり、前記単位の含有量が、前記重合体が含む全単位に対して、10〜90モル%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性塗料。
  6. さらにポリエステルを含み、前記ポリエステルの含有量が、前記含フッ素重合体の全質量に対して0.5〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性塗料。
  7. 基材の表面に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性塗料を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて硬化塗膜を形成する、硬化塗膜付き基材の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性塗料から形成されてなる塗膜を、硬化させてなる硬化塗膜を表面に有する硬化塗膜付き基材。
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