JP2018177606A - ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Atsushi Nakahira
敦 中平
井上 誠
Makoto Inoue
誠 井上
貴光 垣永
Takamitsu Kakinaga
貴光 垣永
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Abstract

【課題】不純物の除去を要さずかつ比較的安価な製造用原料を用い、工程管理が容易で、工業的に有利にかつ安価に、高純度のY型ゼオライトを得る、ゼオライトの製造方法を提供する。
【解決手段】アルミナ源化合物としてアルミニウム含有化合物を用い、該アルミニウム含有化合物を一のアルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、アルミニウム含有アルカリ水溶液を得る第1工程と、シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、該シリコン粉末を他のアルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、シリコン含有アルカリ水溶液を得る第2工程と、アルミニウム含有アルカリ水溶液とシリコン含有アルカリ水溶液とを混合して、水性原料混合液を得る第3工程と、水性原料混合液を70〜90℃の温度下に加熱してY型ゼオライトを生成させる第4工程とを含む、ゼオライトの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゼオライトの製造方法に関する。
ゼオライトは、シリカとアルミナと金属カチオンとを含む結晶構造を有するアルミノ珪酸塩である。ゼオライトの結晶構造中に多く存在するサブナノメートルオーダーの細孔が、高い表面積及び空隙率、可逆的なイオン交換性等の特有の特性をゼオライトに与える一因となっている。
ゼオライトには、フェリエライト(FER)、MCM−22(MWW)、ZSM−5(MFI)、モルデナイト(MOR)、L(LTL)、A型(LTA)、X型・Y型(FAU)、ベータ(BEA)、AlPO―18(AEI)、Levyne(LEV)、チャバサイト(CHA)等、多数の結晶型が知られている。結晶型に応じてゼオライトの特性も変化する。種々のゼオライトが、その結晶型及び特性に応じて、例えば、吸着材、イオン交換体、触媒、分離膜、吸湿材、乾燥材、プラスチック用充填材、土壌改良材、洗剤その他の様々な用途に広く利用されている。
ゼオライトの製造に際し、製造条件の変更により様々な結晶型や特性を有するゼオライトを製造できることから、ゼオライトの製造方法について種々の提案がなされている。
特許文献1は、 アルミノホウ珪酸ガラスにアルミニウム化合物及び/又はシリコン化合物を添加し、SiとAlとのモル比を1.6〜2.4に調整した混合粉体を得る工程と、前記混合粉体をアルカリ水溶液に溶解して原料混合液を得る工程と、前記原料混合液を水熱合成に課してY型ゼオライトを得る工程と、を含むゼオライトの製造方法を開示する。この方法では、アルミノホウ珪酸ガラスの原子組成を正確に測定する工程や、アルミノホウ珪酸ガラスを酸性溶液に接触させ、その表層にカルシウム含有量が少ない領域を形成する前処理工程等が必要になり、また水熱合成反応に長時間を要するので、製造工程の省力化等の点で改良の余地がある。
特許文献2は、廃材由来のゼオライトの小径化等を目的として、シリカ源、アルミナ源および構造規定剤を含み、構造規定剤(T)とシリカ源(Si)とのモル比(T/Si)が0.2以下であり、pH12以上である原料混合液を、50℃〜200℃に加熱して水熱合成反応させることによりゼオライトを生成させる、ゼオライトの製造方法を開示する。しかし、この方法で、結晶型がFAUであるゼオライトを得るための水熱合成反応の最適条件は、100℃で144時間という高温かつ長時間の条件であり、製造工程の省力化や製造設備に高い耐久性が要求される点で改良の余地がある。
特許文献3は、アルミナ源及びシリカ源をアルカリ水溶液に溶解させた原料混合液を、水熱合成反応させることによりゼオライトを生成させるに際し、アルミナ源として金属アルミニウムかつシリカ源として半導体製造時に副生するシリコンの切削屑等の単体シリコンをそれぞれ用いるゼオライトの製造方法を開示する。しかし、この方法で得られるゼオライトの結晶型はA型及びX型のみである。特許文献3は、Y型ゼオライトを得るための具体的な方法を開示していない。
特開2014−122151号公報 特開2012−240867号公報 特開2007−290882号公報
前述のように、ゼオライトには多くの結晶型があり、結晶型に応じて異なる特性を有することが従来から知られている。そして、一つの結晶型に特化したゼオライトの製造方法が数多く提案されている。Y型ゼオライトの製造方法としては、。前述の特許文献1、特許文献2等があるが、これらの製造方法には、製造工程の省力化や製造設備に高耐久性が要求される点で問題がある。
また、ゼオライトの製造コストの低下等を目的として、ゼオライトの製造用原料として、例えば、石炭灰、水砕スラグ粉末、陶器、コンクリート、ガラス、籾殻灰、製紙スラッジ・ダスト、活性汚泥などの産業廃棄物を用いるゼオライトの製造方法も多く提案されている。しかし、該原料を用いると、得られるゼオライトの結晶型の制御が困難になったり、不純物の除去等の前処理に手間を要し、製造工程の省力化が不十分になるといった問題が発生する場合がある。
また、ゼオライトの製造方法では、水熱合成反応時の反応温度が、生成するゼオライトの結晶型に大きな影響を及ぼすことがある。このため、一つの結晶型のゼオライトを高収量及び高純度で得ようとする場合には、反応温度を非常に厳密に管理する必要が生じ、工程管理が非常に煩雑になる。このため、煩雑な工程管理を要しない、工業的に有利なゼオライトの製造方法が求められている。
本発明の目的は、比較的安価な製造用原料を用い、該原料からの不純物の除去等の前処理工程を要さず、工程管理が容易で、工業的に有利にかつ安価に、高純度のY型ゼオライトを得る、ゼオライトの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、シリカ源化合物、アルミナ源化合物、及びアルカリ水溶液を用い、水熱合成反応を利用したゼオライトの製造方法において、シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、かつアルミナ源化合物としては一般的なアルミニウム含有化合物を用いる場合には、不純物などの除去をほとんど必要とせず、また、水熱合成反応の反応条件を厳密に管理しなくても、温和な加熱条件下で、高純度のY型ゼオライトを工業的に有利に安価に製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記(1)〜(6)のゼオライトの製造方法を提供する。
(1)アルミナ源化合物及びシリカ源化合物を含むアルカリ水溶液を加熱してゼオライトを生成させるゼオライトの製造方法であって、アルミナ源化合物としてアルミニウム含有化合物を用い、該アルミニウム含有化合物を一のアルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、アルミニウム含有アルカリ水溶液を得る第1工程と、シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、該シリコン粉末を他のアルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、シリコン含有アルカリ水溶液を得る第2工程と、アルミニウム含有アルカリ水溶液と、シリコン含有アルカリ水溶液と、を混合して、水性原料混合液を得る第3工程と、水性原料混合液を70〜90℃の温度下に加熱してY型ゼオライトを生成させる第4工程と、を含む、ゼオライトの製造方法。
(2)アルカリ水溶液が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を含む水溶液である、上記(1)のゼオライトの製造方法。
(3)シリコン粉末が不規則形状を有する、上記(1)又は(2)のゼオライトの製造方法。
(4)シリコン粉末の平均粒径が50μm以下である、上記(1)〜(3)のゼオライトの製造方法。
(5)シリコン粉末が、シリコンインゴットの切削加工時の副生物としてのシリコン切削屑である、上記(1)〜(4)のいずれかのゼオライトの製造方法。
(6)第4工程の水性原料化合物の加熱が密閉式容器中にて行なわれる、上記(1)〜(6)のいずれかのゼオライトの製造方法。
本発明によれば、高純度のY型ゼオライトを工業的に有利にかつ安価に製造できる。
実施例1で得られたY型ゼオライトのX線回折スペクトルのチャートである。 実施例1で得られたY型ゼオライトの電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られたソーダライトのX線回折スペクトルのチャートである。
本発明の製造方法は、シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、かつアルミナ源化合物として一般的なアルミニウム含有化合物(以下単に「アルミニウム化合物」と称することがある)を用いることを特徴とする。
より詳しくは、本発明の製造方法によれば、水熱合成反応を利用したゼオライトの製造方法において、シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、かつアルミナ源化合物として金属アルミニウムを除くアルミニウム化合物を用いることにより、原料化合物中の不純物の除去や厳密な工程管理を必要とせず、70〜90℃の比較的温和な加熱温度で、高純度のY型ゼオライトを安価にかつ工業的に有利に収率良く得ることができる。
本発明の製造方法は、アルミニウム含有アルカリ水溶液を得る第1工程、シリコン含有アルカリ水溶液を得る第2工程、水性原料混合液を得る第3工程、及びY型ゼオライトを得る第4工程を含むことを特徴とする。以下、第1〜第4の各工程を詳細に説明する。
[第1工程]
第1工程では、アルミナ源化合物として金属アルミニウムを除くアルミニウム化合物を用い、該アルミニウム化合物をアルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、アルミニウム含有アルカリ水溶液を得る。
アルミニウム化合物としては水溶性及び非水溶性を問わず、この分野で常用されるアルミニウム化合物をいずれも使用できる。その具体例としては、水酸化アルミニウム、アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシド、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、生成するY型ゼオライトの収量や純度、工程管理の容易さ等を考慮すると、水溶性アルミニウム化合物が好ましく、アルミン酸塩がより好ましく、アルミン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩がさらに好ましく、アルミン酸のアルカリ金属塩が特に好ましく、アルミン酸ナトリウムが最も好ましい。アルミニウム化合物は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
アルカリ水溶液としては特に限定されないが、例えば、水中でアルカリ性を呈する溶質を水に溶解させた水溶液が挙げられる。該溶質としては、例えば、金属炭酸塩、金属水酸化物、水酸化アンモニウム、アンモニウム塩等を好ましく使用できる。これらの中でも、アルミニウム含有化合物のアルカリ水溶液への溶解及び/又は分散を効率良く進行させること等を考慮すると、金属水酸化物、水酸化アンモニウム等が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
上記溶質として用いられる金属炭酸塩や金属水酸化物に含まれる金属としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルカリ金属の1種又は2種以上がより好ましく、Na単独又はNaと他のアルカリ金属との組み合わせがさらに好ましい。
上記溶質のアルカリ水溶液中での濃度は特に限定されず、溶解及び/又は分散しようとするアルミニウム化合物の種類や使用量等に応じて適宜選択されるが、アルミニウム化合物のアルカリ水溶液への溶解性と、アルカリ水溶液の取扱い性と、のバランス等を考慮すると、好ましくは0.1N〜5.0N(規定)、より好ましくは0.3N〜3.0N、さらに好ましくは0.5N〜2.0Nである。調製したアルカリ水溶液は一部を本工程で用い、残部を第2工程で用いてもよく、第2工程で別途調製してもよい。
本工程では、例えば、撹拌下にあるアルカリ水溶液に対してアルミニウム化合物を適量ずつ添加し、アルミニウム含有アルカリ水溶液を得る。ここで、アルカリ水溶液とアルミニウム化合物との使用割合は特に限定されないが、得られるアルミニウム含有アルカリ水溶液の取扱い性や保存性等を考慮すると、アルカリ水溶液100重量部に対して、アルミニウム化合物を好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部の割合で使用することが望ましい。第1工程は、バッチ式及び連続式のいずれで行なってもよい。
[第2工程]
第2工程では、シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、該シリコン粉末をアルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、シリコン含有アルカリ水溶液を得る。
シリカ源化合物となるシリコン粉末としては特に限定されず、市販の工業用シリコン粉末、金属シリコンの切削加工時に副生物であるシリコン切削屑(シリコン粉末)などが挙げられる。工業用シリコン粉末とは、耐火物、セラミックス、有機シリコーン系高分子化合物などの原料になるシリコン粉末や、集積回路、電子部品などに用いられるシリコン粉末である。また、金属シリコンの切削加工時とは、例えば、固定砥粒ワイヤーソー方式によるシリコンインゴットからのシリコン基板の切り出し時などが挙げられる。
上記したシリコン粉末の中でも、最終的に得られるY型ゼオライトの純度や製造コストを考慮すると、シリコン切削屑が好ましく、シリコンインゴットからのシリコン基板の切り出し時のシリコン切削屑がより好ましい。シリコンインゴットの切削加工による副生物は、シリコン切削屑と共に切削油やクーラント等を含んでおり、シリコンスラッジと呼ばれている。本発明ではこのシリコンスラッジをそのまま用いても、Y型ゼオライトの純度や収率、水熱合成反応の進行等に殆ど影響を及ぼさないので、シリコンスラッジという産業廃棄物の有効利用という点で利便性が非常に高い。なお、シリコンスラッジは、例えば、1〜2回程度の水洗及び乾燥を施して使用してもよい。
シリコン粉末の粒径は特に限定されないが、アルカリ水溶液への溶解し易さなどを考慮すると、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。ここで、平均粒径は、レーザー回折・散乱法を利用した体積平均粒径(D50)でもよく、顕微鏡観察による平均粒径でもよい。顕微鏡観察による平均粒径とは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてシリコン粉末を100視野観察した時に、1視野当たり任意に選択した10個のシリコン粒子の最大径を測定し、得られた1000個の測定値の算術平均として求められる値である。
また、本工程で使用するシリコン粉末は不規則形状を有するものであることが好ましい。不規則形状を有するシリコン粉末は、個々の形状や粒径が異なることにより、アルカリ水溶液に対する溶解性(溶解速度)に差異を生じる。一方、シリコン粉末をアルカリ水溶液に溶解する際には水素ガスが発生する。したがって、シリコン粉末が不規則形状を有することにより、アルカリ水溶液に対する溶解性に差のある粉末の集合体である場合、水素ガスが集中的に大量に発生することが避けられ、水素ガスが比較的少量ずつ継続的に発生するように構成することができる。
水素ガスの集中的な大量発生がなければ、特殊な製造設備(例えば耐圧性製造設備)を必要とせず、製造環境のより一層の安全性を確保できる。また、不規則形状を有するシリコン粉末の使用は、最終生成物であるY型ゼオライトの純度や収量の向上にも寄与すると考えられる。市販品の中には不規則形状を有するシリコン粉末がある。また、金属シリコンの切削屑は通常不規則形状のシリコン粉末である。
本工程で使用するアルカリ水溶液としては、第1工程で説明したアルカリ水溶液と同じものを使用できる。
本工程では、例えば、撹拌下にあるアルカリ水溶液に対してシリコン粉末を適量ずつ添加し、水素ガスの集中的な大量発生を抑制しながら、シリコン含有アルカリ水溶液を得る。なお、ここで使用するアルカリ水溶液は第1工程で得られたアルミニウム含有アルカリ水溶液ではなく、アルミニウム化合物が溶解及び/又は分散していないアルカリ水溶液である。また、本工程ではシリコン粉末はアルカリ水溶液中に完全に溶解している必要はなく、一部が金属シリコンとして残存していてもよい。ただし、例えば、シリコン粉末の残存が目視又は顕微鏡観察などにより確認できる場合に、残存するシリコン粉末をアルカリ水溶液から分離することが好ましい。分離方法としては、例えば、濾過、遠心分離などがあげられる。
アルカリ水溶液とシリコン粉末との使用割合は特に限定されないが、得られるシリコン含有アルカリ水溶液の取扱い性や保存性等を考慮すると、アルカリ水溶液100重量部に対して、シリコン粉末を好ましくは1〜15重量部、より好ましくは2〜12重量部、さらに好ましくは4〜8重量部の割合で使用することが望ましい。第2工程は、バッチ式及び連続式のいずれで行なってもよい。
なお、第1、第2工程はどちらの工程を先に行なってもよく、また、同時に並行して行なってもよい。
[第3工程]
本工程では、第1工程で得られたアルミニウム含有アルカリ水溶液と、第2工程で得られたシリコン含有アルカリ水溶液と、を混合することにより、水性原料混合液を得る。混合方法は特に限定されず、例えば、一方のアルカリ水溶液、好ましくは撹拌下にある一方のアルカリ水溶液に、連続的又は断続的に適量の他方のアルカリ水溶液を添加することにより行なわれる。混合はバッチ式でも連続式でもよい。
アルミニウム含有アルカリ水溶液とシリコン含有アルカリ水溶液との使用割合は、Y型ゼオライトを得ること、得られる水性原料混合液の取扱い性等を考慮すると、モル換算で、アルミニウム含有アルカリ水溶液中のAl含有量:シリコン含有アルカリ水溶液中のSi含有量が、好ましくは1:3〜10、より好ましくは1:3〜8、さらに好ましくは1:3.5〜6.5となるように、両者を混合することが望ましい。
また、水熱合成反応の進行効率等を考慮して、水性原料混合液の固形分濃度が、水性原料混合液全量の15〜35重量%程度になるように調整することが好ましい。また、水性原料混合液は、調製直後に第4工程に供してもよいが、例えば、撹拌下及び室温下に10〜24時間程度エージングを行なった後に第4工程に供してもよい。
[第4工程]
本工程では、第3工程で得られた水性原料混合液を加熱し、水熱合成反応を行ない、目的とするY型ゼオライトを析出させる。本工程では、水熱合成反応の加熱温度を比較的低い温度域にて幅のある範囲とすることができるので、加熱温度の調整が容易であり、厳密な工程管理や特別な製造設備を必要とせず、製造環境の安全性が保たれ。ゼオライトの工業的な量産が可能になる。
水熱合成反応は、撹拌下又は無撹拌下、70℃〜90℃、好ましくは75℃〜90℃、より好ましくは80℃〜90℃の加熱下で行なわれ、60〜90時間程度、好ましくは70〜80時間程度で終了する。加熱温度が70℃未満では、Y型ゼオライトの生成に必要以上の長時間を要し、工程の省力化が不十分になるおそれがある。また、Y型ゼオライト以外の副生物が多く生成するおそれがある。一方、加熱温度が90℃を超えると、Y型ゼオライトと共に他の結晶型のゼオライトが生成する可能性があり、目的とするY型ゼオライトの純度や収量が低下するおそれがある。また、水熱合成反応は、生成するゼオライトの粒径や形状の均一化等を考慮すれば、撹拌下に行なうことが好ましい。
本工程において、ゼオライトを効率良く生成させ、工程をより一層省力化すること等を考慮すると、水熱合成反応は、水性原料混合液を密閉式耐圧容器内に投入し、前記所定の温度で加熱することにより行なうことが好ましい。密閉式耐圧容器としては、水熱合成用のものをいずれも使用でき、例えば、加熱装置及び加熱温度制御装置を備えるオートクレーブ、市販の密閉式耐圧容器等が挙げられる。
本工程の終了後、生成したゼオライトを含む、水性原料混合液の残渣が得られる。この残渣から、濾過、遠心分離等によりゼオライトを分取し、得られたゼオライトを水洗等により洗浄することにより、目的とするY型ゼオライトが得られる。得られるY型ゼオライトの平均粒径は、通常、1〜10μm程度の範囲である。ゼオライトの平均粒径は、前述したシリコン粉末の平均粒径と同様にして測定することができる。また、ゼオライトの結晶型がY型であることは、X線回折等により確認できる。
以下に参考例、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
(参考例1)
シリコンインゴット(純度99.9999%以上)を、固定砥粒方式で作製されたソーワイヤ(ダイヤモンド砥粒、平均粒径約10〜20μm)を用いて、水性クーラント(ジエチレングリコールを70重量%含有、残部水)で冷却しながら切削し、平均粒径約1μmのシリコン粉末であるシリコン切削屑を1重量%を含有するシリコンスラッジを得た。このシリコンスラッジからシリコン切削屑を濾取し、110℃で5時間加熱乾燥し、実施例1及び比較例1におけるシリカ源化合物として用いた。乾燥後のシリコン切削屑を走査型電子顕微鏡で観察した結果、該シリコン切削屑は個々の形状が不均一な、いわゆる不規則形状を有する粉末であり、その平均粒径は約1μmであった。
(実施例1)
[第1工程]
アルミン酸ナトリウム6.18g(0.045モル)を1N水酸化ナトリウム水溶液100mlに撹拌下に添加して溶解させ、アルミニウム含有アルカリ水溶液を調製した。
[第2工程]
参考例1で得られたシリコン切削屑3.83g(Si換算で約0.136モル)を1N水酸化ナトリウム水溶液160mlに撹拌下に添加して溶解させ、シリコン含有アルカリ水溶液を調製した。
[第3工程]
第1工程で得られたアルミニウム含有アルカリ水溶液50mlに、撹拌下に、第2工程で得られたシリコン含有アルカリ水溶液80mlを添加及び混合し(モル換算でAl:Si≒1:約3)、水性原料混合液130mlを調製した。得られた水性原料混合液を室温下及び撹拌下に24時間エージングした後、第4工程に供した。
[第4工程]
第3工程で得られた水性原料混合液14mlを、28ミリリットル容オートクレーブ(製品名:MR28、オーエムラボテック(株)製)に投入し、該オートクレーブを密閉しかつ加熱温度を75℃に設定し、該オートクレーブ内の温度が75℃に達してからその状態を72時間維持し、水熱合成反応を行なった。反応終了後、反応混合物(水熱合成反応の残渣)を取り出し、反応混合物中の固形物0.35gを濾取し、水洗及び乾燥した。
得られた固形物について、X線回折装置(製品名:D2 PHASER、ブルカー・エイ・エックス・エス(株)製)によりX線回折スペクトルを求め、その結晶構造を調べた。得られたX線回折スペクトルのチャートを図1に示す。なお、X線回折は、下記の条件で実施した。
X線光源:Cu−Kα線(波長が1.54060Å)
スキャンステップ:0.012°
走査軸:2θ
走査範囲:5°〜45°
電圧:40kV
電流:30mA
スキャンスピード:1°/min.。
図1に示すX線回折スペクトルは、Y型ゼオライトの既知のX線回折スペクトル、及び実施例1の第2工程においてシリコン切削粉に代えてメタケイ酸ナトリウムを用いる以外は実施例1と同様に操作して得られたY型ゼオライトのX線回折スペクトルに一致した。なお、メタケイ酸ナトリウムの使用量はモル換算のSi量がシリコン切削粉のモル換算のSi量とほぼ一致するように調整した。
また、図1から、シリコン及びそれ以外の異物のピークは検出されず、高純度のY型ゼオライトが得られたことがわかる。このY型ゼオライトを走査型電子顕微鏡で観察したところ、粒子状のほぼ均一な形状を有し、平均粒径約1μmの粉末であることが確認された。図2は、本実施例で得られたY型ゼオライトの電子顕微鏡写真をである。
(実施例2)
第4工程にて密閉容器としてオートクレープに代えて同容量のポリプロピレン製容器を用いる以外は、実施例1と同様にして、Y型ゼオライトを製造した。なお、反応により得られた固形物について実施例1と同様にしてX線回折を実施したところ、実施例1のY型ゼオライトと同様のほぼ均一な結晶化度を有するY型ゼオライト粉末であることが確認された。
(比較例1)
第4工程において加熱温度を75℃から65℃に変更する以外は、実施例1と同様にして水熱合成反応を行なった。得られた固形物について実施例1と同様にしてX線回折を実施したところ、ソーダライトのピークが得られた。図3は、比較例1で得られたソーダライトのX線回折スペクトルである。以上の結果から、第4工程での加熱温度を65℃と低くすることにより、Y型ゼオライトが得られないことがわかる。

Claims (6)

  1. アルミナ源化合物及びシリカ源化合物を含むアルカリ水溶液を加熱してゼオライトを生成させるゼオライトの製造方法であって、
    前記アルミナ源化合物としてアルミニウム含有化合物を用い、該アルミニウム含有化合物を一の前記アルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、アルミニウム含有アルカリ水溶液を得る第1工程と、
    前記シリカ源化合物としてシリコン粉末を用い、該シリコン粉末を他の前記アルカリ水溶液に溶解及び/又は分散して、シリコン含有アルカリ水溶液を得る第2工程と、
    前記アルミニウム含有アルカリ水溶液と、前記シリコン含有アルカリ水溶液と、を混合して、水性原料混合液を得る第3工程と、
    前記水性原料混合液を70〜90℃の温度下に加熱してY型ゼオライトを生成させる第4工程と、を含む、ゼオライトの製造方法。
  2. 前記アルカリ水溶液が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の水酸化物を含む水溶液である、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  3. 前記シリコン粉末が不規則形状を有する、請求項1又は2に記載のゼオライトの製造方法。
  4. 前記シリコン粉末の平均粒径が50μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゼオライトの製造方法。
  5. 前記シリコン粉末が、シリコンインゴットの切削加工時の副生物としてのシリコン切削屑である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゼオライトの製造方法。
  6. 前記第4工程の前記水性原料混合液の加熱が耐圧容器中にて行なわれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゼオライトの製造方法。
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