JP2018177108A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】乗物用シートのクッション構造を、着座者の身体の体格差を適切に吸収しつつシート幅方向の外側からの支持を適切に行える構成とすること。【解決手段】着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体30と、弾性支持体30を裏側から面状に支持する面状支持体20と、を有するシート1である。弾性支持体30は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部31を有する。シート1は、更に、面状支持体20に設けられてサイドサポート部31が所定量押し撓まされることでサイドサポート部31と係合してこの係合によりサイドサポート部31の面状支持体20に対するシート幅方向の外側への変形を抑制する変形抑制部としての張出部22Aを有する。【選択図】図5
Description
本発明は、乗物用シートに関する。詳しくは、着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体と、弾性支持体を裏側から面状に支持する面状支持体と、を有する乗物用シートに関する。
従来、乗物用シートにおいて、着座者の身体を裏側から弾性支持可能なクッション構造を備えたものが知られている(特許文献1)。上記クッション構造は、シートフレームに固定された面状体の表面に、着座者の身体を裏側から弾性支持可能な天板メイン部と、左右両サイドから弾性支持可能な張り出し状のサイドサポート部と、を持つパッド材が設けられた構成とされている。上記構成により、クッション構造は、着座者の体格がサイドサポート部に広く圧し掛かるような大きな場合であっても、サイドサポート部が着座者の体格に合わせた形に押し撓まされて適切な弾性支持を行えるようになっている。
上記従来技術では、クッション構造のサイド部が着座者の体格差を吸収可能な弾性構造とされているために、サイド部に着座者の身体から横方向(シート幅方向)の荷重が掛けられた際に撓み過ぎてしまうおそれがある。本発明は、上記問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、乗物用シートのクッション構造を、着座者の身体の体格差を適切に吸収しつつシート幅方向の外側からの支持を適切に行える構成とすることにある。
上記課題を解決するために、本発明の乗物用シートは次の手段をとる。
第1の発明は、着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体と、弾性支持体を裏側から面状に支持する面状支持体と、を有する乗物用シートである。弾性支持体は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部を有する。乗物用シートは、更に、サイドサポート部と面状支持体のうちの一方に設けられてサイドサポート部が所定量押し撓まされることで他方と係合してこの係合によりサイドサポート部の面状支持体に対するシート幅方向の外側への変形を抑制する変形抑制部を有する。
この第1の発明によれば、弾性支持体は、着座者の体格がサイドサポート部に広く圧し掛かるような大きな場合であっても、変形抑制部が係合するまでの間で、サイドサポート部を柔軟に押し撓ませて、着座者の身体をシート幅方向の外側から適切に弾性支持することができる。そして、上記弾性支持体は、サイドサポート部が上記体格吸収を越えた所定量まで押し撓まされることで、変形抑制部が係合して、サイドサポート部のシート幅方向の外側への変形が抑制される状態となる。このような構成により、弾性支持体を、着座者の身体の体格差を適切に吸収しつつもシート幅方向の外側からの支持を適切に行える構成とすることができる。
第2の発明は、上述した第1の発明において、次の構成とされているものである。サイドサポート部が、パッド材により構成されている。変形抑制部が、面状支持体に固定されて表側へと張り出す張出部である。
この第2の発明によれば、変形抑制部が弾性支持体を支える面状支持体側に設けられることにより、着座者からの荷重入力を受けて押し撓まされるパッド材から成るサイドサポート部を常に安定した位置で受け止めることができる。したがって、弾性支持体による着座者の身体の体格差吸収とシート幅方向の外側からの支持とをより一層適切に行えるようにすることができる。
第3の発明は、上述した第1の発明において、次の構成とされているものである。サイドサポート部が、面状支持体との間に中空状の撓み空間を有して局部的な荷重を受けても支持面全体が撓む面剛性により着座者の身体を弾性的に支持する曲板状の部材により構成されている。変形抑制部が、サイドサポート部に固定されて裏側へと張り出す張出部である。
この第3の発明によれば、サイドサポート部が押し撓まされて変形抑制部が面状支持体に係合した際に、サイドサポート部をその変形抑制部と一体的とされた面剛性によりシート幅方向の外側に一層変形させにくくすることができる。
第4の発明は、上述した第1から第3のいずれかの発明において、次の構成とされているものである。面状支持体が、シート幅方向の中央側から両外側に向かって表側へ湾曲状に張り出す凹曲面を有し、凹曲面により弾性支持体を裏側から面状に支持する。
この第4の発明によれば、面状支持体が着座者の身体に沿う形に近付けられやすくなることから、着座者から弾性支持体に入力された荷重を広く適切に分散させて受け止めることができる。
第5の発明は、上述した第4の発明において、次の構成とされているものである。乗物用シートは、更に、面状支持体をシート幅方向の両側の領域において裏側から支持するサイドフレームを有する。各サイドフレームが、面状支持体のシート幅方向の外側の周縁領域を裏側から支持する。
この第5の発明によれば、各サイドフレームによって面状支持体をシート幅方向に広いスパンで安定して支持することができると共に、各サイドフレームを面状支持体の湾曲した形状領域と厚さ方向の配置を重ねて設けることができ、構成全体の薄型化を図ることができる。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
《シート1の概略構成について》
始めに、実施例1のシート1(乗物用シート)の構成について、図1〜図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、シート1の左右方向を指し、「シート高さ方向」と示す場合には、シート1の上下方向を指し、「シート前後方向」と示す場合には、シート1の前後方向を指すものとする。
始めに、実施例1のシート1(乗物用シート)の構成について、図1〜図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、シート1の左右方向を指し、「シート高さ方向」と示す場合には、シート1の上下方向を指し、「シート前後方向」と示す場合には、シート1の前後方向を指すものとする。
本実施例のシート1は、図1に示すように、自動車の座席として構成されており、着座者の背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を備えた構成とされている。上述したシートバック2は、その上部領域に着座者の頭凭れ部となるヘッドレスト部2Aを一体的に備えた、いわゆるハイバックタイプの構成とされている。また、上述したシートバック2は、その左右の両サイド領域に、シート高さ方向の広い範囲に亘って着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することのできる前側(表側)に向かって山形状に膨んだ形を持つサイドサポート部2Bを有した形状とされている。これらサイドサポート部2Bは、後述する弾性支持体30の各サイドサポート部31によってそれらの基本的形状が形作られている。
上述したシートバック2は、具体的には、図2に示すように、その骨格を成す金属製枠状のバックフレーム10と、バックフレーム10の枠部間に前側(表側)から一体的に架橋される形にセットされた樹脂製曲板状の面状支持体20と、面状支持体20の前部(表部)にセットされて着座者の荷重を弾性的に支持する発泡ウレタン製の弾性支持体30と、を有する構成とされている。
《バックフレーム10について》
上述したバックフレーム10は、1本の角筒材が正面視略四角枠状の形に折り曲げられて形成されている。上述したバックフレーム10は、不図示のフロア上に固定されたベース部材に連結されて、同ベース部材により下側から強固に一体的に支持された状態とされている。上述したバックフレーム10は、その左右一対のシート高さ方向に長尺状に延びるサイドフレーム11によって、これらの前側(表側)にセットされた面状支持体20の左右両側の縁部をそれぞれ後側(裏側)から直接当てて支持する構成となっている。
上述したバックフレーム10は、1本の角筒材が正面視略四角枠状の形に折り曲げられて形成されている。上述したバックフレーム10は、不図示のフロア上に固定されたベース部材に連結されて、同ベース部材により下側から強固に一体的に支持された状態とされている。上述したバックフレーム10は、その左右一対のシート高さ方向に長尺状に延びるサイドフレーム11によって、これらの前側(表側)にセットされた面状支持体20の左右両側の縁部をそれぞれ後側(裏側)から直接当てて支持する構成となっている。
《面状支持体20について》
面状支持体20は、そのシート幅方向の中央から両外側に向かって前側(表側)へと湾曲状に張り出す凹曲面20Aを有した曲板形状に形成されている。詳しくは、上記面状支持体20は、図示は省略されているが、そのシート高さ方向の中央から上下側に向かっても上記凹曲面20Aと滑らかに連続した形で前側(表側)へと湾曲状に膨らむ曲板形状に形成されている。上記凹曲面20Aにより、面状支持体20は、その前部(表部)にセットされた弾性支持体30を後側(裏側)から面状に当てて、着座者の背部から受ける荷重を面内方向に広く分散させて受け止めることができるようになっている。
面状支持体20は、そのシート幅方向の中央から両外側に向かって前側(表側)へと湾曲状に張り出す凹曲面20Aを有した曲板形状に形成されている。詳しくは、上記面状支持体20は、図示は省略されているが、そのシート高さ方向の中央から上下側に向かっても上記凹曲面20Aと滑らかに連続した形で前側(表側)へと湾曲状に膨らむ曲板形状に形成されている。上記凹曲面20Aにより、面状支持体20は、その前部(表部)にセットされた弾性支持体30を後側(裏側)から面状に当てて、着座者の背部から受ける荷重を面内方向に広く分散させて受け止めることができるようになっている。
詳しくは、上述した面状支持体20は、ポリプロピレン樹脂(PP)或いは炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の比較的硬質な樹脂材により形成されている。上記構成により、面状支持体20は、その硬質な面状材から成る高い面剛性を備えた構成によって、着座者の背部から受ける荷重を大きな撓みを伴うことなく略定位置で面状に広く受け止めることができるようになっている。
具体的には、上述した面状支持体20は、シート幅方向の中央部分を成して着座者の背部を真後ろから支持する天板メイン部21と、シート幅方向の両サイド部分を成して着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することのできる緩やかな立上り形状を持つ各天板サイド部22と、を有する。上述した面状支持体20は、上述した天板メイン部21と両天板サイド部22とに跨るシート幅方向の広い範囲に亘って、上述した凹状の湾曲面を成す凹曲面20Aが滑らかに連続する形に形成された形状とされている。
詳しくは、上述した面状支持体20は、その左右の各天板サイド部22の外側の縁部に、上述したバックフレーム10の各サイドフレーム11が後側(裏側)から直接当てられて支持されている。そして、上述した面状支持体20は、上述した各サイドフレーム11によって支持されたシート幅方向の配置間領域が、各サイドフレーム11の間に入り込む形で後側(裏側)に凹状に湾曲した形に形成されている。
上述した面状支持体20の各サイドフレーム11によって後側から当てられて支持された各天板サイド部22の外側の縁部には、それぞれ、前側(表側)に向かって山形状に張り出す張出部22Aが一体的に設けられている。これら張出部22Aは、上述した面状支持体20と同じ材質の樹脂材から成る比較的硬質な構成とされており、各天板サイド部22の外側の縁部の前面(表面)に一体的に接着されて設けられている。ここで、各張出部22Aが本発明の「変形抑制部」に相当する。
上述した各張出部22Aは、上述した面状支持体20の凹曲面20Aの成す湾曲形状を各天板サイド部22の外側の縁部まで延長させるように、各天板サイド部22の外側の縁部を部分的に前側(表側)へと山状に肉盛りする形に張り出した形状とされている。詳しくは、上述した各張出部22Aは、上述した面状支持体20の凹曲面20Aの成す湾曲形状を、各天板サイド部22の外側の縁部において部分的に急激的に立ち上がらせる形となるように、凹曲面20Aよりも前側(表側)への立ち上がりが急激的となる湾曲した前面(表面)を有する形に形成されている。上記各張出部22Aを備えた面状支持体20は、その前面(表面)にセットされた弾性支持体30を、後側(裏側)と左右両外側とから凹曲面20Aの湾曲形状によって広く包み込むように面状に当てて支持することができるようになっている。
《弾性支持体30について》
弾性支持体30は、上述した面状支持体20の各天板サイド部22の前部(表部)にセットされて着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することの可能な前側(表側)に向かって山形状に張り出す張出形状を備えた発泡ウレタン製の各サイドサポート部31と、これらサイドサポート部31の前面(表面)と面状支持体20の天板メイン部21の前面(表面)とに跨って積層状に被せ付けられる形にセットされた発泡ウレタン製の被覆パッド部32と、を有する。
弾性支持体30は、上述した面状支持体20の各天板サイド部22の前部(表部)にセットされて着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することの可能な前側(表側)に向かって山形状に張り出す張出形状を備えた発泡ウレタン製の各サイドサポート部31と、これらサイドサポート部31の前面(表面)と面状支持体20の天板メイン部21の前面(表面)とに跨って積層状に被せ付けられる形にセットされた発泡ウレタン製の被覆パッド部32と、を有する。
上述した各サイドサポート部31は、それぞれ、上述した各天板サイド部22及びこれらの外側の縁部から張り出す各張出部22Aによって形成される湾曲した前面(表面)形状に沿った後面(裏面)形状を有し、これら天板サイド部22の前面(表面)と各張出部22Aの前面(表面)とに隙間なく一体的に接着された状態にセットされている。被覆パッド部32も同様に、上述した各サイドサポート部31及びこれらの間の天板メイン部21によって形成される湾曲した前面(表面)形状に沿った後面(裏面)形状を有し、これらサイドサポート部31の前面(表面)と天板メイン部21の前面(表面)とに略隙間なく一体的に接着された状態にセットされている。上述した被覆パッド部32は、その外周面全体がファブリック材によってカバーリングされた構成とされている。
上記構成の弾性支持体30は、図3に示すように、シートバック2に比較的小柄な着座者が凭れ掛かった場合には、上述した被覆パッド部32を介して各サイドサポート部31の比較的シート幅方向の内側の領域に後側(裏側)への押圧力が掛けられて、これら被覆パッド部32と各サイドサポート部31とが着座者の背部に沿った形に弾性的に押し潰される形に変形する。上記変形により、弾性支持体30は、その弾発力によって着座者の背部を後側(裏側)と左右両外側とから弾性的に支持した状態となる。その際、弾性支持体30は、上述した各サイドサポート部31が上述した面状支持体20の各張出部22Aにより左右両外側からシート幅方向の内側を向く面の支持を受けることで、着座者の背部を左右両外側から支持する支持力を適切に発揮して、着座者の背部を左右両外側から適切にサイドサポートすることができるようになっている。
また、上述した弾性支持体30は、図4に示すように、シートバック2に比較的大柄な着座者が凭れ掛かった場合には、上述した被覆パッド部32を介して各サイドサポート部31のシート幅方向の内側から外側に至るまでの広い領域に亘って後側(裏側)への押圧力が掛けられて、これら被覆パッド部32と各サイドサポート部31とが着座者の背部に沿った形に弾性的に押し潰される形に変形する。上記変形により、弾性支持体30は、その弾発力によって着座者の背部を後側(裏側)と左右両外側とから弾性的に支持した状態となる。その際、弾性支持体30は、上述した各サイドサポート部31が上述した面状支持体20の各張出部22Aにより左右両外側からシート幅方向の内側を向く面の支持を受けることで、着座者の背部を左右両外側から支持する支持力を適切に発揮して、着座者の背部を左右両外側から適切にサイドサポートすることができるようになっている。
上述した弾性支持体30は、上述したように、シートバック2に比較的大柄な着座者が凭れ掛かった場合には、各サイドサポート部31がシート幅方向の外側に至るまでの広い範囲に亘って後側に大きく押し潰されて、着座者の背部と上述した面状支持体20の各張出部22Aとの間のシート幅方向の距離を比較的短く縮めた状態をとるようになっている。したがって、上記状態から、着座者の背部に車両のコーナリング等に伴う横荷重が掛けられたとしても、着座者の背部が上述した面状支持体20の各張出部22Aによりシート幅方向の外側から強く支えられる状態(張出部22Aがサイドサポート部31に対してシート幅方向の外側への変形を抑制可能に係合した状態)となるため、着座者が姿勢を崩しにくくすることができる。
また、上述した弾性支持体30は、図3で上述したように、シートバック2に比較的小柄な着座者が凭れ掛かった場合には、各サイドサポート部31が比較的シート幅方向の内側の領域しか後側に押し潰されず、着座者の背部と上述した面状支持体20の各張出部22Aとの間のシート幅方向の距離が比較的長い状態とされるようになっている。しかし、上記状態から、図5に示すように、着座者の背部に車両のコーナリング等に伴う横荷重が掛けられた場合には、着座者の背部がその荷重の作用方向に位置する側(図示では左側)のサイドサポート部31を同側に位置する面状支持体20の張出部22Aに向けて押し潰して、張出部22Aにより着座者の背部がシート幅方向の外側から強く支えられる状態(張出部22Aがサイドサポート部31に対してシート幅方向の外側への変形を抑制可能に係合した状態)をとるようになっている。したがって、着座者が姿勢を崩しにくくすることができる。
《まとめ》
以上をまとめると、本実施例のシート1は次のような構成となっている。すなわち、着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体(弾性支持体30)と、弾性支持体(弾性支持体30)を裏側から面状に支持する面状支持体(面状支持体20)と、を有する乗物用シート(シート1)である。弾性支持体(弾性支持体30)は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部(サイドサポート部31)を有する。
以上をまとめると、本実施例のシート1は次のような構成となっている。すなわち、着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体(弾性支持体30)と、弾性支持体(弾性支持体30)を裏側から面状に支持する面状支持体(面状支持体20)と、を有する乗物用シート(シート1)である。弾性支持体(弾性支持体30)は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部(サイドサポート部31)を有する。
乗物用シート(シート1)は、更に、面状支持体(面状支持体20)に設けられてサイドサポート部(サイドサポート部31)が所定量押し撓まされることでサイドサポート部(サイドサポート部31)と係合してこの係合によりサイドサポート部(サイドサポート部31)の面状支持体(面状支持体20)に対するシート幅方向の外側への変形を抑制する変形抑制部(張出部22A)を有する。
このような構成とされていることにより、弾性支持体(弾性支持体30)は、着座者の体格がサイドサポート部(サイドサポート部31)に広く圧し掛かるような大きな場合であっても、変形抑制部(張出部22A)が係合するまでの間で、サイドサポート部(サイドサポート部31)を柔軟に押し撓ませて、着座者の身体をシート幅方向の外側から適切に弾性支持することができる。そして、上記弾性支持体(弾性支持体30)は、サイドサポート部(サイドサポート部31)が上記体格吸収を越えた所定量まで押し撓まされることで、変形抑制部(張出部22A)が係合して、サイドサポート部(サイドサポート部31)のシート幅方向の外側への変形が抑制される状態となる。このような構成により、弾性支持体(弾性支持体30)を、着座者の身体の体格差を適切に吸収しつつもシート幅方向の外側からの支持を適切に行える構成とすることができる。
また、サイドサポート部(サイドサポート部31)が、パッド材により構成されている。変形抑制部が、面状支持体(面状支持体20)に固定されて表側へと張り出す張出部(張出部22A)である。このように、変形抑制部(張出部22A)が弾性支持体(弾性支持体30)を支える面状支持体(面状支持体20)側に設けられることにより、着座者からの荷重入力を受けて押し撓まされるパッド材から成るサイドサポート部(サイドサポート部31)を常に安定した位置で受け止めることができる。したがって、弾性支持体(弾性支持体30)による着座者の身体の体格差吸収とシート幅方向の外側からの支持とをより一層適切に行えるようにすることができる。
また、面状支持体(面状支持体20)が、シート幅方向の中央側から両外側に向かって表側へ湾曲状に張り出す凹曲面(凹曲面20A)を有し、凹曲面(凹曲面20A)により弾性支持体(弾性支持体30)を裏側から面状に支持する。このような構成とされていることにより、面状支持体(面状支持体20)が着座者の身体に沿う形に近付けられやすくなることから、着座者から弾性支持体(弾性支持体30)に入力された荷重を広く適切に分散させて受け止めることができる。
また、乗物用シート(シート1)は、更に、面状支持体(面状支持体20)をシート幅方向の両側の領域において裏側から支持するサイドフレーム(サイドフレーム11)を有する。各サイドフレーム(サイドフレーム11)が、面状支持体(面状支持体20)のシート幅方向の外側の周縁領域を裏側から支持する。このような構成とされていることにより、各サイドフレーム(サイドフレーム11)によって面状支持体(面状支持体20)をシート幅方向に広いスパンで安定して支持することができると共に、各サイドフレーム(サイドフレーム11)を面状支持体(面状支持体20)の湾曲した形状領域と厚さ方向(シート前後方向)の配置を重ねて設けることができ、構成全体の薄型化を図ることができる。
《シート1の概略構成について》
続いて、実施例2のシート1(乗物用シート)の構成について、図6〜図10を用いて説明する。本実施例のシート1も、図6に示すように、自動車の座席として構成されており、着座者の背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を備えた構成とされている。そして、上述したシートバック2は、その上部領域に着座者の頭凭れ部となるヘッドレスト部2Aを一体的に備えた、いわゆるハイバックタイプの構成とされている。また、上述したシートバック2は、その左右の両サイド領域に、着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することのできる前側(表側)に向かって山形状に膨んだ形を持つサイドサポート部2Bを有した形状とされている。これらサイドサポート部2Bは、後述する弾性支持体30の各サイドサポート部33によってそれらの基本的形状が形作られている。
続いて、実施例2のシート1(乗物用シート)の構成について、図6〜図10を用いて説明する。本実施例のシート1も、図6に示すように、自動車の座席として構成されており、着座者の背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を備えた構成とされている。そして、上述したシートバック2は、その上部領域に着座者の頭凭れ部となるヘッドレスト部2Aを一体的に備えた、いわゆるハイバックタイプの構成とされている。また、上述したシートバック2は、その左右の両サイド領域に、着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することのできる前側(表側)に向かって山形状に膨んだ形を持つサイドサポート部2Bを有した形状とされている。これらサイドサポート部2Bは、後述する弾性支持体30の各サイドサポート部33によってそれらの基本的形状が形作られている。
具体的には、上述したシートバック2は、図7に示すように、その骨格を成す金属製枠状のバックフレーム10と、バックフレーム10の枠部間に前側(表側)から一体的に架橋される形にセットされた樹脂製曲板状の面状支持体20と、面状支持体20の前部(表部)にセットされて着座者の荷重を弾性的に支持する弾性支持体30と、を有する構成とされている。
《弾性支持体30について》
上述した弾性支持体30は、上述した面状支持体20の各天板サイド部22の前部(表部)に組み付けられて着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することの可能な前側(表側)に向かって山形状に張り出す形に折り曲げられた樹脂製の曲板部材から成る各サイドサポート部33と、これらサイドサポート部33の前面(表面)と面状支持体20の天板メイン部21の前面(表面)とに跨って積層状に被せ付けられる形にセットされた発泡ウレタン製の被覆パッド部32と、を有する。
上述した弾性支持体30は、上述した面状支持体20の各天板サイド部22の前部(表部)に組み付けられて着座者の背部を左右両サイドから斜めに支持することの可能な前側(表側)に向かって山形状に張り出す形に折り曲げられた樹脂製の曲板部材から成る各サイドサポート部33と、これらサイドサポート部33の前面(表面)と面状支持体20の天板メイン部21の前面(表面)とに跨って積層状に被せ付けられる形にセットされた発泡ウレタン製の被覆パッド部32と、を有する。
上述した各サイドサポート部33は、それらのシート幅方向の内側の端部と外側の端部とが、それぞれ、各端部から後側(裏側)に向かって突出する係合爪33B,33Cが面状支持体20に貫通形成された対応する各通し孔22B,22C内に前側(表側)から差し込まれて抜け止めされた状態に嵌合されることにより、面状支持体20に一体的に接合された状態とされている。上記接合により、各サイドサポート部33は、面状支持体20の各天板サイド部22に対して、前側(表側)に向かって山状に張り出す形となって、各天板サイド部22との間に後側(裏側)に向かって撓むことが可能な撓み空間Aを有した状態に組み付けられた状態とされている。
上述した各サイドサポート部33は、それぞれ、エラストマ樹脂等の上述した面状支持体20よりも比較的硬質な樹脂材により形成されている。上記構成により、各サイドサポート部33は、パッド材と違って、局部的な荷重を受けても支持面全体が撓んで着座者の背部を弾性的に支持する面剛性を備えた弾性部材として構成されている。上述した各サイドサポート部33の前外側(表外側)に向かって立ち上がる山の斜面部分の途中箇所には、それぞれ、後側(裏側)に向かって山形状に張り出す張出部33Aが一体的に設けられている。これら張出部33Aは、上述した各サイドサポート部33と一体的にインジェクション成形されて形成されている。ここで、各張出部33Aが本発明の「変形抑制部」に相当する。
上述した各張出部33Aは、図8〜図9に示すように、シートバック2に着座者が凭れ掛かって各サイドサポート部33が後側(裏側)へと押し撓まされることにより、面状支持体20の各天板サイド部22の凹曲面20Aに向かって近付けられるようになっている。そして、各張出部33Aは、図10に示すように、着座者の背部に車両のコーナリング等に伴う横荷重が掛けられた場合には、着座者の背部がその荷重の作用方向に位置する側(図示では左側)のサイドサポート部33を荷重の作用方向(左方向)に押し撓ませることで、同側に位置する張出部33Aが面状支持体20の天板サイド部22の凹曲面20Aに押し当てられて、同側のサイドサポート部33の面状支持体20に対するシート幅方向の外側への変形を食い止めた状態となる。その結果、着座者が姿勢を崩しにくくすることができる。なお、上記以外の構成については、実施例1の構成と同じとなっているため、同一の符号を付して説明を省略することとする。
《まとめ》
以上をまとめると、本実施例のシート1は次のような構成となっている。すなわち、着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体(弾性支持体30)と、弾性支持体(弾性支持体30)を裏側から面状に支持する面状支持体(面状支持体20)と、を有する乗物用シート(シート1)である。弾性支持体(弾性支持体30)は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部(サイドサポート部33)を有する。
以上をまとめると、本実施例のシート1は次のような構成となっている。すなわち、着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体(弾性支持体30)と、弾性支持体(弾性支持体30)を裏側から面状に支持する面状支持体(面状支持体20)と、を有する乗物用シート(シート1)である。弾性支持体(弾性支持体30)は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部(サイドサポート部33)を有する。
乗物用シート(シート1)は、更に、サイドサポート部(サイドサポート部33)に設けられてサイドサポート部(サイドサポート部33)が所定量押し撓まされることで面状支持体(面状支持体20)と係合してこの係合によりサイドサポート部(サイドサポート部33)の面状支持体(面状支持体20)に対するシート幅方向の外側への変形を抑制する変形抑制部(張出部33A)を有する。
このような構成とされていることにより、弾性支持体(弾性支持体30)は、着座者の体格がサイドサポート部(サイドサポート部33)に広く圧し掛かるような大きな場合であっても、変形抑制部(張出部33A)が係合するまでの間で、サイドサポート部(サイドサポート部33)を柔軟に押し撓ませて、着座者の身体をシート幅方向の外側から適切に弾性支持することができる。そして、上記弾性支持体(弾性支持体30)は、サイドサポート部(サイドサポート部33)が上記体格吸収を越えた所定量まで押し撓まされることで、変形抑制部(張出部33A)が係合して、サイドサポート部(サイドサポート部33)のシート幅方向の外側への変形が抑制される状態となる。このような構成により、弾性支持体(弾性支持体30)を、着座者の身体の体格差を適切に吸収しつつもシート幅方向の外側からの支持を適切に行える構成とすることができる。
また、サイドサポート部(サイドサポート部33)が、面状支持体(面状支持体20)との間に中空状の撓み空間(撓み空間A)を有して局部的な荷重を受けても支持面全体が撓む面剛性により着座者の身体を弾性的に支持する曲板状の部材により構成されている。変形抑制部が、サイドサポート部(サイドサポート部33)に固定されて裏側へと張り出す張出部(張出部33A)である。このような構成とされていることにより、サイドサポート部(サイドサポート部33)が押し撓まされて変形抑制部(張出部33A)が面状支持体(面状支持体20)に係合した際に、サイドサポート部(サイドサポート部33)をその変形抑制部(張出部33A)と一体的とされた面剛性によりシート幅方向の外側に一層変形させにくくすることができる。
また、面状支持体(面状支持体20)が、シート幅方向の中央側から両外側に向かって表側へ湾曲状に張り出す凹曲面(凹曲面20A)を有し、凹曲面(凹曲面20A)により弾性支持体(弾性支持体30)を裏側から面状に支持する。このような構成とされていることにより、面状支持体(面状支持体20)が着座者の身体に沿う形に近付けられやすくなることから、着座者から弾性支持体(弾性支持体30)に入力された荷重を広く適切に分散させて受け止めることができる。
また、乗物用シート(シート1)は、更に、面状支持体(面状支持体20)をシート幅方向の両側の領域において裏側から支持するサイドフレーム(サイドフレーム11)を有する。各サイドフレーム(サイドフレーム11)が、面状支持体(面状支持体20)のシート幅方向の外側の周縁領域を裏側から支持する。このような構成とされていることにより、各サイドフレーム(サイドフレーム11)によって面状支持体(面状支持体20)をシート幅方向に広いスパンで安定して支持することができると共に、各サイドフレーム(サイドフレーム11)を面状支持体(面状支持体20)の湾曲した形状領域と厚さ方向(シート前後方向)の配置を重ねて設けることができ、構成全体の薄型化を図ることができる。
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を2つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の乗物用シートは、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の他の乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。また、本発明の構成は、乗物用シートのシートバックの他、シートクッションやオットマン、ヘッドレスト等の他のシート構造物にも適用することができるものである。
以上、本発明の実施形態を2つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の乗物用シートは、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の他の乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。また、本発明の構成は、乗物用シートのシートバックの他、シートクッションやオットマン、ヘッドレスト等の他のシート構造物にも適用することができるものである。
また、変形抑制部は、サイドサポート部と面状支持体の両方に設けられていてもよく、また、両者の間に架橋される形で設けられていてもよい。上記変形抑制部は、係合によりサイドサポート部の面状支持体に対するシート幅方向の外側への変形を抑制するものであればよく、必ずしも定位置に食い止めるものでなくても弾性的に抑止するように機能するものであってもよい。
また、変形抑制部は、その設けられる側の部材と同じ材質の部材から成るものであっても、異なる材質の部材から成るものであってもどちらでもよい。また、面状支持体は、曲面形状で弾性支持体を裏側から面状に支持するものの他、平面形状で弾性支持体を裏側から面状に支持するものであってもよい。
1 シート(乗物用シート)
2 シートバック
2A ヘッドレスト部
2B サイドサポート部
3 シートクッション
10 バックフレーム
11 サイドフレーム
20 面状支持体
20A 凹曲面
21 天板メイン部
22 天板サイド部
22A 張出部(変形抑制部)
22B,22C 通し孔
30 弾性支持体
31 サイドサポート部(パッド材)
32 被覆パッド部
33 サイドサポート部(曲板状の部材)
33A 張出部(変形抑制部)
33B,33C 係合爪
A 撓み空間
2 シートバック
2A ヘッドレスト部
2B サイドサポート部
3 シートクッション
10 バックフレーム
11 サイドフレーム
20 面状支持体
20A 凹曲面
21 天板メイン部
22 天板サイド部
22A 張出部(変形抑制部)
22B,22C 通し孔
30 弾性支持体
31 サイドサポート部(パッド材)
32 被覆パッド部
33 サイドサポート部(曲板状の部材)
33A 張出部(変形抑制部)
33B,33C 係合爪
A 撓み空間
Claims (5)
- 着座者の身体を弾性的に支持する弾性支持体と、該弾性支持体を裏側から面状に支持する面状支持体と、を有する乗物用シートであって、
前記弾性支持体は、着座者の身体をシート幅方向の外側から弾性的に支持することのできる張出形状のサイドサポート部を有し、
更に、前記サイドサポート部と前記面状支持体のうちの一方に設けられて前記サイドサポート部が所定量押し撓まされることで他方と係合して該係合により前記サイドサポート部の前記面状支持体に対するシート幅方向の外側への変形を抑制する変形抑制部を有する乗物用シート。 - 請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記サイドサポート部がパッド材により構成され、前記変形抑制部が前記面状支持体に固定されて表側へと張り出す張出部である乗物用シート。 - 請求項1に記載の乗物用シートであって、
前記サイドサポート部が前記面状支持体との間に中空状の撓み空間を有して局部的な荷重を受けても支持面全体が撓む面剛性により着座者の身体を弾性的に支持する曲板状の部材により構成され、
前記変形抑制部が前記サイドサポート部に固定されて裏側へと張り出す張出部である乗物用シート。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の乗物用シートであって、
前記面状支持体がシート幅方向の中央側から両外側に向かって表側へ湾曲状に張り出す凹曲面を有し、該凹曲面により前記弾性支持体を裏側から面状に支持する乗物用シート。 - 請求項4に記載の乗物用シートであって、
更に、前記面状支持体をシート幅方向の両側の領域において裏側から支持するサイドフレームを有し、
該各サイドフレームが前記面状支持体のシート幅方向の外側の周縁領域を裏側から支持する乗物用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017082694A JP2018177108A (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 乗物用シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017082694A JP2018177108A (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 乗物用シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018177108A true JP2018177108A (ja) | 2018-11-15 |
Family
ID=64280949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017082694A Withdrawn JP2018177108A (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 乗物用シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018177108A (ja) |
-
2017
- 2017-04-19 JP JP2017082694A patent/JP2018177108A/ja not_active Withdrawn
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