JP2018176718A - 圧電デバイス、液体吐出ヘッド、液体吐出装置 - Google Patents

圧電デバイス、液体吐出ヘッド、液体吐出装置 Download PDF

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【課題】変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和する。【解決手段】圧力室と、圧電素子と、圧力室と圧電素子の間に配置され、圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、を具備し、圧電素子は、振動板側の第1電極と、第1電極に対して振動板とは反対側の第2電極と、第1電極と第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、振動板は、圧電素子に平面視で重なる第1部と、第1部よりも厚みが薄く、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、圧電素子のうち振動板に交差する側面は、振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面を有し、振動板は、第1部と第2部との間に、振動板の圧力室側の面に対して第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有し、第2面のうち圧力室の側壁側の端部は、圧力室の側壁に平面視で重なる圧電デバイス。【選択図】図5

Description

本発明は、インク等の液体を吐出する技術に関する。
圧電デバイスによって圧力室に圧力変動を発生させることで、圧力室に供給されるインク等の液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、圧力室の壁面(上面)を構成する振動板と振動板を振動させる圧電素子とを備えた圧電デバイスが圧力室毎に設ける技術が開示されている。特許文献1の圧電素子は、複数の圧電素子にわたる第1電極と圧電素子毎に個別に形成された第2電極との間に圧電体層を形成して成る。このような圧電デバイスによれば、第1電極と第2電極との間の電界に応じた圧電効果で圧電体層が変形して振動板を振動させることで、圧力室に圧力変動を発生させることができる。
特開2014−175577号公報
特許文献1の圧電デバイスでは、振動板や第1電極を薄くするほど、圧電素子(圧電体層)に平面視で重なる領域が大きく変形し易くなるので、圧電デバイスの変位特性を向上させることができる。ところが、第1電極または振動板の厚みを全体的に薄くすると、圧電デバイスのうち圧電素子(圧電体層)に平面視で重なる領域は厚くなり、重ならない領域は薄くなるので、これらの領域の境界に応力が集中し易くなり、圧電デバイスが破損(焼損)する虞がある。以上の事情を考慮して、本発明は、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の圧電デバイスは、圧力室と、圧電素子と、圧力室と圧電素子の間に配置され、圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、を具備し、圧電素子は、振動板側の第1電極と、第1電極に対して振動板とは反対側の第2電極と、第1電極と第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、振動板は、圧電素子に平面視で重なる第1部と、第1部よりも厚みが薄く、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、圧電素子のうち振動板に交差する側面は、振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面を有し、振動板は、第1部と第2部との間に、振動板の圧力室側の面に対して第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有し、第2面のうち圧力室の側壁側の端部は、圧力室の側壁に平面視で重なる。以上の態様によれば、振動板の厚みは、圧電素子に平面視で重なる第1部(能動部)よりも、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部の方が薄いから、第1部と第2部の間で第1部を支持する部分(腕部)の厚みが薄くなる。したがって、第1部が変位し易くなるので、変位特性を向上させることができる。さらに、本態様によれば、振動板の第2面の傾斜角である第2角度は、圧電素子の第1面の傾斜角である第1角度よりも小さい。このような圧電素子の第1面と振動板の第2面によれば、圧電素子の側面から、応力集中が発生し易い圧電素子と振動板との境界付近にかけての圧電デバイスの厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。このように、本態様によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる。しかも、本態様において、第2面のうち圧力室の側壁側の端部は、圧力室の側壁に平面視で重なるから、振動板の第2面の端部は変位しない。したがって、本態様によれば、もし仮に変位すれば応力が集中し易い振動板の第2面の端部においても、応力集中を緩和できる。
以上の課題を解決するために、本発明の圧電デバイスは、圧力室と、圧電素子と、圧力室と圧電素子の間に配置され、圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、を具備し、圧電素子は、振動板側の第1電極と、第1電極に対して振動板とは反対側の第2電極と、第1電極と第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、第1電極は、圧電体層に平面視で重なる第1部と、第1部よりも厚みが薄く、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、圧電体層のうち第1電極に交差する側面は、振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面を有し、第1電極は、第1部と第2部との間に、振動板の圧力室側の面に対して第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有し、第2面のうち圧力室の側壁側の端部は、圧力室の側壁に平面視で重なる。以上の態様によれば、第1電極の厚みは、圧電体層に平面視で重なる第1部(能動部)よりも、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部の方が薄いから、第1部と第2部の間で第1部を支持する部分(腕部)の厚みが薄くなる。したがって、第1部が変位し易くなるので、変位特性を向上させることができる。さらに、本態様によれば、第1電極の第2面の傾斜角である第2角度は、圧電体層の第1面の傾斜角である第1角度よりも小さい。このような圧電体層の第1面と第1電極の第2面によって、圧電素子の側面から、応力集中が発生し易い圧電素子と振動板との境界付近にかけての圧電デバイスの厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。このように、本態様によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる。しかも、本態様において、第2面のうち圧力室の側壁側の端部は、圧力室の側壁に平面視で重なるから、第1電極の第2面の端部は変位しない。したがって、本態様によれば、もし仮に変位すれば応力が集中し易い第1電極の第2面の端部においても、応力集中を緩和できる。
以上の課題を解決するために、圧力室と、圧電素子と、圧力室と圧電素子の間に配置され、圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、を具備し、圧電素子は、振動板側の第1電極と、第1電極に対して振動板とは反対側の第2電極と、第1電極と第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、第1電極は、圧電体層に平面視で重なる第1部と、第1部よりも厚みが薄く、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、圧電体層のうち第1電極に交差する側面は、振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面を有し、第1電極は、第1部と第2部との間に、振動板の圧力室側の面に対して第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有し、第2面のうち圧力室の側壁側の端部は、圧力室の側壁に平面視で重なる。以上の態様によれば、第1電極の厚みは、圧電体層に平面視で重なる第1部(能動部)よりも、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部の方が薄いから、第1部と第2部の間で第1部を支持する部分(腕部)の厚みが薄くなる。したがって、第1部が変位し易くなるので、変位特性を向上させることができる。さらに、本態様によれば、第1電極の第2面の傾斜角である第2角度は、圧電体層の第1面の傾斜角である第1角度よりも小さい。このような圧電体層の第1面と第1電極の第2面によって、圧電素子の側面から、応力集中が発生し易い圧電素子と振動板との境界付近にかけての圧電デバイスの厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。このように、本態様によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる。
以上の課題を解決するために、本発明の圧電デバイスは、圧力室と、圧電素子と、圧力室と圧電素子の間に配置され、圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、を具備し、圧電素子は、振動板側の第1電極と、第1電極に対して振動板とは反対側の第2電極と、第1電極と第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、第1電極は、圧電体層に平面視で重なる第1部と、第1部よりも厚みが薄く、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、圧電体層のうち第1電極に交差する側面は、振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面と、第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有する。以上の態様によれば、第1電極の厚みは、圧電体層に平面視で重なる第1部(能動部)よりも、圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部の方が薄いから、第1部と第2部の間で第1部を支持する部分(腕部)の厚みが薄くなる。したがって、第1部が変位し易くなるので、変位特性を向上させることができる。さらに、本態様によれば、圧電体層の第2面の傾斜角である第2角度は、第1面の傾斜角である第1角度よりも小さい。このような圧電体層の第1面と第2面によって、圧電体層の側面から、応力集中が発生し易い圧電素子と振動板の境界付近にかけての圧電デバイスの厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。このように、本態様によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる。
本発明の好適な態様において、第2電極は、振動板の圧力室側の面に対して第3角度で傾斜する第3面を有し、第3角度は、第2角度よりも小さい。以上の態様によれば、第2電極は、振動板の圧力室側の面に対して第3角度で傾斜する第3面を有するから、平面視において、応力集中が発生し易い圧電素子と振動板との境界付近まで靱性の高い第2電極を形成できるため、圧電素子が破壊され難くなる。さらに、第3面の第3角度は、第2角度よりも小さいから、圧電素子の側面を第3面の端部まで保護膜で覆う場合に、保護膜の密着性を高めることができるので、保護膜割れを抑制でき、圧電デバイスの信頼性を向上できる。
本発明の好適な態様において、第2電極は、振動板の圧力室側の面に対して第3角度で傾斜する第3面を有し、第3角度は、第2角度よりも大きく、第1角度よりも小さい。以上の態様によれば、第2電極は、振動板の圧力室側の面に対して第3角度で傾斜する第3面を有するから、平面視において、応力集中が発生し易い圧電素子と振動板との境界付近まで靱性の高い第2電極を形成できるため、圧電素子が破壊され難くなる。さらに、第3角度は、第2角度よりも大きく、第1角度よりも小さいから、圧電体層に対する第2電極の側面の傾斜角が大きくなるので、第2電極の面積を大きくすることができるため、圧電素子の抵抗値を低くすることができ、変位特性を向上させることができる。
本発明の好適な態様において、圧力室と圧電素子は、第1方向に長尺であり、第2面の第2角度は、第1方向における端部側よりも中央部側の方が小さい。以上の態様によれば、圧力室と圧電素子は、第1方向に長尺であり、第2面の第2角度は、第1方向における端部側よりも中央部側の方が小さいから、第2面は、第1方向における端部側よりも中央部側の方が、傾斜が緩やかになる。したがって、端部側よりも変位が大きく応力集中が大きくなり易い中央部側の応力集中を的確に緩和できる。
本発明の好適な態様において、圧力室と圧電素子は、第1方向に長尺であり、第1方向に交差する第2方向における第2面の幅は、第1方向における端部側よりも中央部側の方が大きい。以上の態様によれば、圧力室と圧電素子は、第1方向に長尺であり、第1方向に交差する第2方向における第2面の幅は、第1方向における端部側よりも中央部側の方が大きいから、中央部側の方が端部側よりも変形し易い。したがって、第1方向における端部側よりも中央部側の変位特性を高めることができる。
本発明の好適な態様において、第2電極は、圧電体層のうち第2電極側の表面の周縁部よりも内側に平面視で重なる。以上の態様によれば、第2電極は、圧電体層のうち第2電極側の表面の周縁部よりも内側に平面視で重なるから、圧電体層の側壁部分にはほとんど電圧がかからないようにすることができる。したがって、例えばイオンエッチングなどの半導体製造工程で圧電体層の側壁部分が電気的に劣化していたとしても、その側壁部分にはほとんど電圧がかからないので、圧電素子の電気的な信頼性を高めることができる。
本発明の好適な態様において、圧電素子と振動板は、保護膜を有する。以上の態様によれば、圧電素子と振動板は保護膜を有するから、インクや水分等から圧電素子と振動板を保護することができるので、インクや水分等に起因する圧電素子の損傷を抑制できる。
本発明の好適な態様において、保護膜は、第2電極の端部から第1面まで覆うように連続する。以上の態様によれば、保護膜は、第2電極の端部から第1面まで覆うように連続しても、第1面は傾斜しているので、第1面を覆う保護膜にクラックが入り難くすることができる。
本発明の好適な態様において、保護膜は、第2電極の端部から第1面を介して第2面まで覆うように連続する。以上の態様によれば、保護膜は、第2電極の端部から第1面を介して第2面まで覆うように連続しても、第1面と第2面は傾斜しているので、第1面と第2面を覆う保護膜にクラックが入り難くすることができる。
本発明の好適な態様において、圧電素子の非駆動時において、振動板の圧力室側の面のうち圧力室の壁面を構成する部分が平坦である。以上の態様によれば、圧電素子の非駆動時において、振動板の圧力室側の面のうち圧力室の壁面を構成する部分が平坦であるから、振動板が圧力室とは反対側に変位し難くすることができるので、圧力室の側壁から振動板が剥離し難くすることができる。
本発明の好適な態様において、圧電素子の非駆動時において、振動板の圧力室側の面のうち圧力室の壁面を構成する部分が振動板の圧力室側に撓んでいる。以上の態様によれば、圧電素子の非駆動時において、振動板の圧力室側の面のうち圧力室の壁面を構成する部分が振動板の圧力室側に撓んでいるから、圧力室の壁面を構成する部分が平坦の場合よりも、振動板が圧力室とは反対側に変位し難くすることができるので、圧力室の側壁から振動板が剥離し難くすることができる。
以上の課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、上述した各態様の何れかの圧電デバイスを備え、圧電デバイスにより圧力室の圧力を変動することよって、圧力室に充填された液体をノズルから吐出する。以上の態様によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる圧電デバイスを備えた液体吐出ヘッドを提供できる。
以上の課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、上述した各態様の何れかの圧電デバイスを備え、圧電デバイスにより圧力室の圧力を変動することよって、圧力室に充填された液体をノズルから吐出する。以上の態様によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる圧電デバイスを備えた液体吐出装置を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る液体吐出装置の構成図である。 液体吐出ヘッドの分解斜視図である。 図2に示す液体吐出ヘッドのIII−III断面図である。 圧電デバイスの断面図および平面図である。 図4に示す圧電デバイスのV−V断面図である。 第1実施形態の第1変形例に係る圧電デバイスの断面図である。 第1実施形態の第2変形例に係る圧電デバイスの断面図である。 第2実施形態に係る圧電デバイスの断面図である。 第2実施形態の第1変形例に係る圧電デバイスの断面図である。 第2実施形態の第2変形例に係る圧電デバイスの断面図である。 第3実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。 図11に示す圧電デバイスのXII−XII断面図である。 図11に示す圧電デバイスのXIII−XIII断面図である。 第4実施形態に係る圧電デバイスの平面図である。 図14に示す圧電デバイスのXV−XV断面図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体吐出装置10を例示する構成図である。第1実施形態の液体吐出装置10は、液体の例示であるインクを媒体12に吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の印刷対象が媒体12として利用され得る。図1に示すように、液体吐出装置10には、インクを貯留する液体容器14が固定される。例えば液体吐出装置10に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。色彩が相違する複数種のインクが液体容器14には貯留される。
図1に示すように、液体吐出装置10は、制御装置20と搬送機構22と移動機構24と複数の液体吐出ヘッド26とを具備する。制御装置20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを包含し、液体吐出装置10の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御装置20による制御のもとで媒体12をY方向に搬送する。
移動機構24は、制御装置20による制御のもとで複数の液体吐出ヘッド26をX方向に往復させる。X方向は、媒体12が搬送されるY方向に交差(典型的には直交)する方向である。移動機構24は、複数の液体吐出ヘッド26を搭載するキャリッジ242と、キャリッジ242が固定された無端ベルト244とを具備する。なお、液体容器14を液体吐出ヘッド26とともにキャリッジ242に搭載することも可能である。
複数の液体吐出ヘッド26の各々は、液体容器14から供給されるインクを制御装置20による制御のもとで複数のノズル(吐出孔)Nから媒体12に吐出する。搬送機構22による媒体12の搬送とキャリッジ242の反復的な往復とに並行して各液体吐出ヘッド26が媒体12にインクを吐出することで媒体12の表面に所望の画像が形成される。なお、X方向は第1方向の例示であり、Y方向は第2方向の例示である。X−Y平面(例えば媒体12の表面に平行な平面)に垂直な方向を以下では、Z方向(第3方向の例示)と表記する。各液体吐出ヘッド26によるインクの吐出方向(典型的には鉛直方向)がZ方向に相当する。
(液体吐出ヘッド)
図2は、任意の1個の液体吐出ヘッド26の分解斜視図であり、図3は、図2におけるIII−III断面図である。図2に示すように、液体吐出ヘッド26は、Y方向に配列された複数のノズルNを具備する。第1実施形態の複数のノズルNは、第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1と第2列L2との間でノズルNのY方向の位置を相違させること(すなわち千鳥配置またはスタガ配置)も可能であるが、第1列L1と第2列L2とでノズルNのY方向の位置を一致させた構成が図3では便宜的に例示されている。図2に示すように液体吐出ヘッド26は、第1列L1の複数のノズルNに関連する要素と第2列L2の複数のノズルNに関連する要素とが略線対称に配置された構造である。
図2および図3に示すように、液体吐出ヘッド26は流路基板32を具備する。流路基板32は、表面F1と表面F2とを含む板状部材である。表面F1はZ方向の正側の表面(媒体12側の表面)であり、表面F2は表面F1とは反対側(Z方向の負側)の表面である。流路基板32の表面F2には、圧力発生部35とケース部材40とが設置され、表面F1にはノズル板52とコンプライアンス基板54とが設置される。液体吐出ヘッド26の各要素は、概略的には流路基板32と同様にY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。なお、流路基板32と圧力室基板34とが積層される方向をZ方向として把握することも可能である。
圧力発生部35は、ノズルNからインクを吐出するための圧力変動を発生させる要素である。本実施形態の圧力発生部35は、圧力室基板34と圧電デバイス39とを含む第1基板Aと、配線接続基板(保護基板)38を含む第2基板Bと、駆動IC62とを接合して構成される。圧電デバイス39は、振動板36と複数の圧電素子37とからなり、圧力室基板34に形成される後述の圧力室S内に、振動による圧力変動を発生させる要素である。なお、圧力発生部35および圧電デバイス39についての詳細は後述する。
ノズル板52は、複数のノズルNが形成された板状部材であり、例えば接着剤を利用して流路基板32の表面F1に設置される。各ノズルNはインクが通過する貫通孔である。第1実施形態のノズル板52は、半導体製造技術(例えばエッチング)を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで製造される。ただし、ノズル板52の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
流路基板32は、インクの流路を形成するための板状部材である。図2および図3に示すように、流路基板32には、第1列L1および第2列L2の各々について、空間RAと複数の供給流路322と複数の連通流路324とが形成される。空間RAは、平面視で(すなわちZ方向からみて)Y方向に沿う長尺状の開口であり、供給流路322および連通流路324は、ノズルN毎に形成された貫通孔である。複数の供給流路322はY方向に配列され、複数の連通流路324も同様にY方向に配列される。また、図3に示すように、流路基板32の表面F1には、複数の供給流路322にわたる中間流路326が形成される。中間流路326は、空間RAと複数の供給流路322とを連結する流路である。他方、連通流路324はノズルNに連通する。
図2および図3の配線接続基板38は、複数の圧電素子37を保護するための板状部材であり、振動板36の表面(圧力室Cとは反対側の表面)に設置される。配線接続基板38の材料や製法は任意であるが、流路基板32や圧力室基板34と同様に、例えばシリコン(Si)の単結晶基板を半導体製造技術により加工することで配線接続基板38は形成され得る。図2および図3に示すように、配線接続基板38のうち振動板36側の表面(以下「接合面」という)とは反対側の表面(以下「実装面」という)には駆動IC62が設置される。駆動IC62は、制御装置20による制御のもとで駆動信号を生成および供給することで各圧電素子37を駆動する駆動回路が搭載された略矩形状のICチップである。配線接続基板38の実装面には、駆動IC62の駆動信号(駆動電圧)の出力端子に接続される配線384が圧電素子37毎に形成される。また配線接続基板38の実装面には、駆動IC62のベース電圧(圧電素子37の駆動信号のベース電圧)の出力端子に接続される配線385が圧電素子37の配置に沿ってY方向に連続して形成される。
図2および図3に示すケース部材40は、複数の圧力室C(さらには複数のノズルN)に供給されるインクを貯留するためのケースである。ケース部材40のうちZ方向の正側の表面が例えば接着剤で流路基板32の表面F2に固定される。図2および図3に示すように、ケース部材40のうちZ方向の正側の表面にはY方向に延在する溝状の凹部42が形成される。配線接続基板38および駆動IC62は凹部42の内側に収容される。ケース部材40は、流路基板32や圧力室基板34とは別個の材料で形成される。例えば樹脂材料の射出成形でケース部材40を製造することが可能である。ただし、ケース部材40の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。ケース部材40の材料としては、例えば合成繊維や樹脂材料が好適である。
図3に示すように、ケース部材40には、第1列L1および第2列L2の各々について空間RBが形成される。ケース部材40の空間RBと流路基板32の空間RAとは相互に連通する。空間RAと空間RBとで構成される空間は、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留する液体貯留室(リザーバー)Rとして機能する。液体貯留室Rは、複数のノズルNにわたる共通液室である。ケース部材40のうち流路基板32とは反対側の表面には、液体容器14から供給されるインクを液体貯留室Rに導入するための導入口43が第1列L1および第2列L2の各々について形成される。
液体容器14から導入口43に供給されたインクは、液体貯留室Rの空間RBと空間RAに貯留される。液体貯留室Rに貯留されたインクは、中間流路326から複数の供給流路322に分岐して各圧力室Cに並列に供給および充填される。
図2に示すように、表面F1にはコンプライアンス基板54が設置される。コンプライアンス基板54は、液体貯留室R内のインクの圧力変動を吸収する可撓性のフィルムである。図3に示すように、コンプライアンス基板54は、流路基板32の空間RAと中間流路326と複数の供給流路322とを閉塞するように流路基板32の表面F1に設置されて液体貯留室Rの壁面(具体的には底面)を構成する。
図3に示す圧力発生部35は、第1基板Aと第2基板Bと駆動IC62とを積層して構成される。第1基板Aは圧力室基板34と振動板36と複数の圧電素子37とを含む基板であり、第2基板Bは配線接続基板38を含む基板である。
圧力室基板34は、圧力室Cを構成する複数の開口342が第1列L1および第2列L2の各々について形成された板状部材であり、例えば接着剤を利用して流路基板32の表面F2に設置される。複数の開口342は、Y方向に配列される。各開口342は、ノズルN毎に形成されて平面視でX方向に沿う長尺状の貫通孔である。流路基板32および圧力室基板34は、前述のノズル板52と同様に、半導体製造技術を利用して基材、例えばシリコン(Si)の単結晶基板(シリコン基板)を加工することで製造される。ただし、流路基板32および圧力室基板34の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。圧力室基板34のうち流路基板32とは反対側の表面に、圧電デバイス39が設置される。
(圧電デバイス)
図4は、圧電デバイス39を拡大した断面図および平面図である。図4の断面図(図4の上側の図)は、圧電デバイス39をX−Z平面で切断したものであり、図4の平面図(図4の下側の図)は、圧電デバイス39をZ方向から見たものである。図5は、図4に示す圧電デバイス39のV−V断面図である。図4および図5に示すように、圧電デバイス39は、振動板36と複数の圧電素子37とからなり、圧電素子37によって振動板36を振動させることで、各圧力室Cに圧力変動を発生させる。図4に示すように、圧力室Cと圧電素子37は、平面視においてX方向に延びる長尺な長辺と、長辺よりも短くY方向に延びる短辺からなる矩形である。ここで、長尺とは、振動板36の圧力室C側の面FAから見た平面視において、圧力室Cと圧電素子37のX方向の辺の方がY方向の辺よりも長い場合に、X方向に長尺とする。
振動板36は、弾性的に振動可能な板状部材(振動板)である。振動板36は、圧力室Cの側壁344に積層して接合され、圧力室Cの壁面(具体的には上面)を構成する。なお、本実施形態では、圧力室基板34と振動板36とを別々に形成する場合を例示するが、圧力室基板34と振動板36とを一体に形成してもよい。例えば所定の厚みの板状部材のうち開口342に対応する領域について厚み方向の一部を選択的に除去することで、圧力室基板34と振動板36とを一体に形成することが可能である。
図5に示すように、本実施形態では、圧電素子37の非駆動時において、振動板36の圧力室C側の面FAのうち圧力室Cの壁面を構成する部分が平坦である。このような構成によれば、振動板36が圧力室Cとは反対側に変位し難くすることができるので、圧力室Cの側壁344から振動板36が剥離し難くすることができる。なお、図5の点線に示すように、圧電素子37の非駆動時において、振動板36の圧力室C側の面のうち圧力室Cの壁面を構成する部分が振動板の圧力室側に撓んでいるようにしてもよい。このような構成によれば、圧力室Cの壁面を構成する部分が平坦の場合よりも、さらに振動板36が圧力室Cとは反対側に変位し難くすることができるので、圧力室Cの側壁344から振動板36が剥離し難くすることができる。なお、圧電素子37の非駆動時において、振動板36の圧力室C側の面のうち圧力室Cの壁面を構成する部分が振動板36の圧力室C側に撓んでいる場合には、圧力室Cの一方の側壁344及び他方の側壁344の上部に仮想的に積層した平坦面を、上述の「振動板36の圧力室C側の面FA」とし、このような面FAを、後述する角度θ1、θ2、θ3、θ1’、θ2’、θ3’、θ21、θ22の基準面とする。
図2および図3に示すように、流路基板32の表面F2と振動板36とは、各開口342の内側で相互に間隔をあけて対向する。開口342の内側で流路基板32の表面F2と振動板36との間に位置する空間が、当該空間に充填されたインクに圧力を付与するための圧力室Cとして機能する。圧力室CはノズルN毎に個別に形成される。図2に示すように、第1列L1および第2列L2の各々について、複数の圧力室C(開口342)がY方向に配列される。任意の1個の圧力室Cは、供給流路322と中間流路326とを介して空間RAに連通するとともに、連通流路324を介してノズルNに連通する。なお、流路幅が狭窄された絞り流路を開口342に形成することで所定の流路抵抗を付加することも可能である。
図2乃至図5に示すように、振動板36のうち圧力室Cとは反対側の表面には、相異なるノズルNに対応する複数の圧電素子37が第1列L1および第2列L2の各々について設置される。圧電素子37は、駆動信号の供給により変形して圧力室Cに圧力を発生させる圧力発生素子である。複数の圧電素子37は、各圧力室Cに対応するようにY方向に配列する。
図4および図5の断面図に示すように、圧電素子37は、相互に対向する第1電極371と第2電極372との間に圧電体層373を介在させた積層体である。第1電極371は、複数の圧電素子37に渡って連続するように振動板36の表面に形成され、複数の圧電素子37の共通電極になっている。第1電極371の材料は、圧電体層373を成膜する際に酸化せず、導電性を維持できる材料が好ましく、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等の貴金属、またはランタンニッケル酸化物(LNO)などに代表される導電性酸化物が好適に用いられる。なお、第1電極371及び振動板36の間に、密着力を確保するための密着層が設けられていてもよい。すなわち、第1電極371は、振動板36の表面上に直接設けられている必要はなく、振動板36の表面に密着層を介して設けられていてもよい。密着層としては、ジルコニウム、チタン、酸化チタンなどを用いることができる。
第1電極371の表面(振動板36とは反対側の表面)には、圧電素子37毎(ノズルN毎)に個別に、圧電体層373と第2電極372とが形成される。図4の平面図に示すように、各第2電極372は、第1電極371に対して振動板36とは反対側に積層され、各圧電体層373は、第1電極371と第2電極372とに挟まれるように積層される。各第2電極372は、Y方向に沿って延在する電極である。圧電体層373は、圧力室Cごとにパターニングされて形成される。圧電体層373のX方向の幅は、圧力室C(開口342)のX方向の幅よりも広い。このため、圧力室CのX方向において、圧電体層373は圧力室Cの外側まで延在している。したがって、圧力室CのX方向において、第1電極371は、圧電体層373に覆われている。
圧電体層373は、例えばペロブスカイト構造の結晶膜(ペロブスカイト型結晶)などの電気機械変換作用を示す強誘電性セラミックス材料である。なお、圧電体層373の材料としては、上述したものに限られず、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの他、鉛を含む鉛系の圧電材料に限定されず、鉛を含まない非鉛系の圧電材料を用いることができる。
第2電極372は、圧電体層373の第1電極371とは反対側の面に設けられており、複数の圧電素子37に対応する個別電極を構成する。なお、第2電極372は、圧電体層373に直接設けられていてもよく、また圧電体層373と第2電極372との間に他の部材が介在していてもよい。第2電極372としては、圧電体層373との界面を良好に形成でき、絶縁性及び圧電特性を発揮できる材料が望ましく、例えばイリジウム(Ir)、白金 (Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)等の貴金属材料、及びランタンニッケル酸化物(LNO)に代表される導電性酸化物が好適に用いられる。また、第2電極372は、複数材料を積層したものであってもよい。
図4に示すように、圧電素子37の第2電極372には、圧電体層373の外側に引き出された一部にリード電極375を介して駆動IC62に接続される。また、圧電素子37の第1電極371にも図示しないリード電極を介して駆動IC62に接続される。なお、本実施形態の圧電素子37は、第1電極371を複数の圧電素子37の共通電極にして、第2電極372を複数の圧電素子37に対応する個別電極にした場合を例示したが、この構成に限られず、第2電極372を複数の圧電素子37の共通電極にして、第1電極371を複数の圧電素子37に対応する個別電極にしてもよい。
このような構成の圧電素子37によれば、第1電極371と第2電極372との間に電圧を印加することで、第1電極371と第2電極372とで挟まれる圧電体層373に圧電歪みが生じて変位する。この圧電体層373の圧電歪みに連動して振動板36が振動することで、圧力室C内の圧力が変動する。
図5に示すように、第1実施形態の振動板36は、圧電素子37に平面視で(Z方向から見て)重なる能動部362aと、圧力室Cの側壁344に平面視で重なる固定部362cとを有する。能動部362aと固定部362cとの間には、テーパー部362bを備える。固定部362cと能動部362aの厚みはほぼ均等であり、固定部362cの厚みは、能動部362aよりも薄い。テーパー部362bは、能動部362aから固定部362cに向けて厚みが薄くなる部分である。テーパー部362bは、能動部362aを挟んで、Y方向の負側と正側にある。
能動部362aは、圧電体層373の圧電歪みに連動して振動する部分である。第1実施形態の能動部362aを第1部Pとし、テーパー部362bのうち圧力室Cの側壁344の内周面345に平面視で重なる部分を第2部Qとすると、第1部Pと第2部Qとの間の部分が第1部P(能動部362a)を支持する腕部Dとなる。第2部Qの厚みh2は、第1部Pの厚みh1よりも薄いから、腕部Dが薄くなり、第1部P(能動部362a)が変位し易くなるので、変位特性を向上させることができる。
圧電素子37のうち振動板36に交差する側面376(第1電極371と圧電体層373の側面)は、振動板36の圧力室C側の面FA(固定部362cのZ方向の正側の面、基準面)に対して第1角度θ1で傾斜する。ここで言う圧電素子37の側面376は、長手方向(X方向)に沿った圧電素子37の長辺の側面であり、図5の圧電素子37のY方向の正側と負側の側面である。他方、振動板36のテーパー部362bのうち圧力室Cとは反対側の表面365は、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して第2角度θ2で傾斜する。テーパー部362bは、能動部362aから圧力室Cの側壁344に向けて、厚みが薄くなるように傾斜する。
圧電素子37の第2角度θ2は、振動板36のテーパー部362bの第1角度θ1よりも小さい。すなわち、第1実施形態において、圧電素子37の側面376を第1面とし、テーパー部362bの表面365を第2面とすると、第2面の傾斜角(第2角度θ2)の方が第1面の傾斜角(第1角度θ1)よりも小さい。なお、第1面と第2面は、平坦な斜面でもよく、曲面を含む斜面であってもよい。このような圧電素子37の第1面と振動板36の第2面によれば、圧電素子37の側面376から、応力集中が発生し易い圧電素子37と振動板36との境界付近にかけての圧電デバイス39の厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。
このように、本実施形態によれば、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる。したがって、変位特性を向上させつつ、応力集中による圧電デバイス39の破損を抑制できる。しかも、第1実施形態では、振動板36の第2面(テーパー部362bの表面365)のうち圧力室Cの側壁344側の端部(テーパー部362bと固定部362cとの境界)は、圧力室Cの側壁344に平面視で重なるから、振動板36の第2面の端部は変位しない。したがって、もし仮に変位すれば応力が集中し易い振動板36の第2面の端部においても、応力集中を緩和できる。なお、本実施形態では、振動板36の第1部Pと第2部Qとの間(腕部D)に跨って第2面を有している場合を例示したが、これに限られるものではなく、振動板36の第1部Pと第2部Qとの間に跨らずに第2面を有していてもよい。具体的には例えば振動板36の第1部Pと第2部Qとの間は、傾斜する第2面が第1部P側にあり、傾斜しない平坦面が第2部Q側にあるような構成であってもよい。また、本実施形態の第1面は、圧電体層373と第1電極371に跨る場合を例示したが、圧電体層373のみが第1面を有していてもよく、第1電極371のみが第1面を有していてもよい。
また、第1実施形態の第2電極372の側面377は、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して第3角度θ3で傾斜する。したがって、平面視において、応力集中が発生し易い圧電素子37と振動板36との境界付近まで靱性の高い第2電極372を形成できるため、圧電素子37が破壊され難くなる。しかも、第2電極372の側面377を第3面とすると、第3面の傾斜角(第3角度θ3)は、振動板36の第2面(テーパー部362bの表面365)の傾斜角(第2角度θ2)よりも小さい。したがって、図6に示す第1実施形態の第1変形例のように、圧電素子37の側面376を第2電極372の第3面の端部まで保護膜392で覆う場合に、第2電極372の端部が直角に近い場合よりも保護膜392を形成し易く、保護膜392の密着性を高めることができるので、保護膜392の割れを抑制でき、圧電デバイス39の信頼性を向上できる。図6の保護膜392は、第2電極372の第3面の端部から、圧電素子37の第1面と振動板36の第2面を介して振動板36の固定部362cまで覆うように連続している。このように、圧電素子37と振動板36を保護膜392で覆うことによって、インクや水分等から圧電素子37と振動板36を保護することができるので、インクや水分等に起因する圧電素子37の損傷を抑制できる。また、図6に示すように、保護膜392が第2電極372の第3面の端部から、第1面と第2面を覆うように連続しても、第1面と第2面とは緩やかに傾斜するので、保護膜にクラックが入り難くすることができる。
なお、第2電極372の第3面の第3角度θ3は、振動板36の第2面の第2角度θ2よりも大きく、圧電素子37の第1面の第1角度θ1よりも小さくなるようにしてもよい。これによれば、圧電体層373に対する第2電極372の側面377の傾斜角が大きくなるので、傾斜しない部分の第2電極372の面積を大きくすることができるため、圧電素子37の抵抗値を低くすることができ、変位特性を向上させることができる。
また、図5の構成では、圧電素子37におけるY方向の負側と正側の側面376をそれぞれ単一の斜面とした場合を例示したが、これに限られず、圧電素子37の側面376はそれぞれ、傾斜角の異なる複数の斜面で構成されていてもよい。例えば図7の第1実施形態の第2変形例は、Y方向の負側と正側の側面376をそれぞれ、能動部362aから圧力室Cの側壁344に向けて2つの斜面376a、376bで構成した場合を例示する。斜面376aは、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して上記第1角度θ1で傾斜し、斜面376bは振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して上記第2角度θ2で傾斜するようにしてもよい。この場合は、斜面376aを第1面とし、斜面376bを第2面とすることができる。このように、圧電素子37の側面376をそれぞれ、傾斜角の異なる複数の斜面で構成することによって、応力集中が発生し易い圧電素子37と振動板36との境界付近にかけての圧電デバイス39の厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。
ここで、第1実施形態の圧電デバイス39の製造方法について説明する。圧電デバイス39は、シリコンウエハー上に対して行われる成膜やドライエッチングによって形成される。圧電デバイス39の製造方法は、圧力室基板34上に振動板36、第1電極371、圧電体層373、第2電極372を成膜する工程と、パターニングとドライエッチングによって、各圧電素子37を形成する工程と、圧力室基板34に圧力室Cを構成する開口342を形成する工程とを含む。
成膜する工程では、圧力室基板34上に振動板36(例えばZrO/SiO)と第1電極371を成膜し、第1電極371が共通電極となるようにパターニングを行った後、圧電体層373と第2電極372を成膜する。成膜は、例えばスパッタリング法、レーザーアブレーション法などの PVD法(Physical Vapor Deposition:気相成膜)、ゾル−ゲル法、MOD(Metal− Organic Decomposition)法、メッキ法などの液相法により形成することができる。
各圧電素子37を形成する工程では、圧電体層373上にレジストを形成し、第2電極372と圧電体層373をパターニングは、例えばドライエッチングで行うことができる。ドライエッチングは、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)などの高密度プラズマを用いたエッチング装置を用い、1.0Pa以下の圧力で行うことが好ましい。エッチングガスとしては、例えば、塩素系のガスとフロン系のガスとの混合ガスを用いることができる。塩素系のガスとしては、例えば、BCl3、Cl2等が挙げられる。フロン系のガスとしては、例えば、CF4、C2F6等が挙げられる。
圧電体層373は、ドライエッチングのμローディング効果により、レジストパターンから離れる方向に向かって膜厚が薄くなるテーパー部362bが形成される。μローディング効果とは、パターン密度の局所的な差異により、エッチング速度や形状が変化する現象をいう。本実施形態では、レジストパターン近傍でエッチングガスの供給が不足してエッチング速度が遅くなり、レジストパターンから離れるほどエッチングガスが供給されやすくなるためエッチング速度が早くなる。この状態でさらにドライエッチングを続けると、圧電素子37の側面376(第1面)の傾斜角(第1角度θ1)よりも小さい傾斜角(第2角度θ2)の振動板36のテーパー部362bの表面365(第2面)が形成される。このように、本実施形態では、ドライエッチングのμローディング効果を利用することで、傾斜角の異なる第1面と第2面を容易に形成することができる。
なお、図6の保護膜392を形成する場合には、先ず圧電素子37と振動板36の全面に保護膜392を形成し、その後に第2電極372に開口部392aを形成する。保護膜392は、酸化アルミニウム(アルミナ)やDLC(Diamond Like Carbon)など、水分からの保護性能に優れた成膜材料を用いることが好ましい。図6の構成では、圧電素子37の側面376(第1面)および振動板36のテーパー部362bの表面365(第2面)が傾斜しており、さらに第2電極372の側面377(第3面)も傾斜しているので、保護膜392の密着性が良好である。したがって、保護膜392のクラックを抑制でき、より高信頼性の圧電デバイス39を製造できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。図8は、第2実施形態に係る圧電デバイス39の断面図であって、図5に相当する。図5では、振動板36にテーパー部362bを形成して、圧電素子37の側面376とテーパー部362bの表面365を傾斜面にすることで、圧電デバイス39の側面の傾斜を緩やかにする場合を例示した。図8では、圧電デバイス39は、振動板36の厚みは略均一とし、第1電極371にテーパー部371bを形成して、圧電体層373の側面378とテーパー部371bの表面369を傾斜面にすることで、圧電デバイス39の側面の傾斜を緩やかにする場合を例示する。
具体的には図8に示すように、第2実施形態の第1電極371は、圧電体層373に平面視で(Z方向から見て)重なる能動部371aと、能動部371aよりも圧力室Cの側壁344側のテーパー部371bとを備える。テーパー部371bは、能動部371aを挟んで、Y方向の負側と正側にある。能動部371aの厚みはほぼ均等であり、テーパー部371bの厚みは、能動部371aから圧力室Cの側壁344に向けて薄くなる。第2実施形態の能動部371aを第1部P’とし、テーパー部371bのうち圧力室Cの側壁344の内周面345に平面視で重なる部分を第2部Q’とすると、第1部P’と第2部Q’との間の部分が第1部P’(能動部371a)を支持する腕部D’となる。第2部Q’の厚みh2’は、第1部P’の厚みh1’よりも薄いから、腕部D’が薄くなり、第1部P’(能動部371a)が変位し易くなるので、変位特性を向上させることができる。
圧電体層373のうち第1電極371に交差する側面378は、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して第1角度θ1’で傾斜する。ここで言う圧電体層373の側面378は、長手方向(X方向)に沿った圧電体層373の長辺の側面であり、図8の圧電体層373のY方向の正側と負側の側面である。他方、第1電極371のテーパー部371bのうち圧力室Cとは反対側の表面369は、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して第2角度θ2’で傾斜する。テーパー部371bは、能動部371aから圧力室Cの側壁344に向けて、厚みが薄くなるように傾斜する。
圧電体層373の第2角度θ2’は、第1電極371のテーパー部371bの第1角度θ1’よりも小さい。すなわち、第2実施形態において、圧電体層373の側面378を第1面とし、テーパー部371bの表面369を第2面とすると、第2面の傾斜角(第2角度θ2’)の方が第1面の傾斜角(第1角度θ1’)よりも小さい。なお、第1面と第2面は、平坦な斜面でもよく、曲面を含む斜面であってもよい。このような圧電体層373の第1面と第1電極371の第2面によれば、圧電体層373の側面378から、応力集中が発生し易い圧電素子37と振動板36との境界付近にかけての圧電デバイス39の厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。
このように、第2実施形態によっても第1実施形態と同様に、変位特性を向上させつつ、応力集中を緩和することができる。したがって、変位特性を向上させつつ、応力集中による圧電デバイス39の破損(焼損)を抑制できる。しかも、第2実施形態では、第1電極371の第2面(テーパー部371bの表面379)のうち圧力室Cの側壁344側の端部は、圧力室Cの側壁344に平面視で重なるから、第1電極371の第2面の端部は変位しない。したがって、もし仮に変位すれば応力が集中し易い第1電極371の第2面の端部においても、応力集中を緩和できる。なお、本実施形態では、第1電極371の第1部P’と第2部Q’との間(腕部D’)に跨って第2面を有している場合を例示したが、これに限られるものではなく、第1電極371の第1部P’と第2部Q’との間に跨らずに第2面を有していてもよい。具体的には例えば第1電極371の第1部P’と第2部Q’との間は、傾斜する第2面が第1部P’側にあり、傾斜しない平坦面が第2部Q’側にあるような構成であってもよい。
また、第2実施形態の第2電極372の側面377は、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して第3角度θ3’で傾斜する。したがって、平面視において、応力集中が発生し易い圧電素子37と振動板36との境界付近まで靱性の高い第2電極372を形成できるため、圧電素子37が破壊され難くなる。しかも、第2電極372の側面377を第3面とすると、第3面の傾斜角(第3角度θ3’)は、第1電極371の第2面(テーパー部371bの表面379)の傾斜角(第2角度θ2’)よりも小さい。したがって、図9に示す第2実施形態の第1変形例のように、圧電素子37の側面376を第2電極372の第3面の端部まで保護膜392で覆う場合に、第2電極372の端部が直角に近い場合よりも保護膜392を形成し易く、保護膜392の密着性を高めることができるので、保護膜392の割れを抑制でき、圧電デバイス39の信頼性を向上できる。図9の保護膜392は、第2電極372の第3面の端部から、圧電素子37の第1面と第1電極371の第2面を介して振動板36の固定部362cまで覆うように連続している。このように、第2実施形態においても、圧電素子37と振動板36を保護膜392で覆うことによって、インクや水分等から圧電素子37と振動板36を保護することができるので、インクや水分等に起因する圧電素子37の損傷を抑制できる。また、図9に示すように、保護膜392が第2電極372の第3面の端部から、第1面と第2面を覆うように連続しても、第1面と第2面とは緩やかに傾斜するので、保護膜392にクラックが入り難くすることができる。
なお、第2電極372の第3面の第3角度θ3’は、第1電極371の第2面の第2角度θ2’よりも大きく、圧電体層373の第1面の第1角度θ1’よりも小さくなるようにしてもよい。これによれば、圧電体層373に対する第2電極372の側面377の傾斜角が大きくなるので、傾斜しない部分の第2電極372の面積を大きくすることができるため、圧電素子37の抵抗値を低くすることができ、変位特性を向上させることができる。
また、図8の構成では、圧電体層373におけるY方向の負側と正側の側面378をそれぞれ単一の斜面とした場合を例示したが、これに限られず、圧電体層373の側面378はそれぞれ、傾斜角の異なる複数の斜面で構成されていてもよい。例えば図10の第2実施形態の第2変形例は、Y方向の負側と正側の側面378をそれぞれ、能動部371aから圧力室Cの側壁344に向けて2つの斜面378a、378bで構成した場合を例示する。斜面378aは、振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して上記第1角度θ1’で傾斜し、斜面378bは振動板36の圧力室C側の面FA(基準面)に対して上記第2角度θ2’で傾斜するようにしてもよい。この場合は、斜面378aを第1面とし、斜面378bを第2面とすることができる。このように、圧電素子37の側面378をそれぞれ、傾斜角の異なる複数の斜面で構成することによって、応力集中が発生し易い圧電素子37と振動板36との境界付近にかけての圧電デバイス39の厚みの変化を緩やかにできるので、応力集中を緩和できる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態では、振動板36のテーパー部362bのY方向の幅が、圧電素子37の長手方向に沿って略均一である場合を例示したが、第3実施形態では、圧電素子37のテーパー部362bのY方向の幅が、圧電素子37の長手方向の位置によって異なる場合を例示する。図11は、第3実施形態に係る圧電デバイス39の平面図である。図12は、図11に示す圧電デバイス39のXII−XII断面で切断した断面図であり、図13は、図11に示す圧電デバイス39のXIII−XIII断面で切断した断面図である。
図11の点線に示すように、第3実施形態の振動板36において、X方向(第1方向)に交差するY方向(第2方向)におけるテーパー部362b(第2面)の幅は、X方向における端部側よりも中央部側の方が大きい。すなわち、Y方向の中央部をO−O線で示すと、テーパー部362bのY方向の幅は、X方向の中央部で最大となり、X方向の端部に向かうほど小さくなる。例えば図12は、O−O線のXII−XII断面で切断した断面図であり、図13は、Y方向の中央部(O−O線)よりも端部側のXIII−XIII断面で切断した断面図である。図12のテーパー部362bの幅W1は、図13のテーパー部362bの幅W2よりも大きい。
このような構成によれば、振動板36は、X方向における中央部側の方が端部側よりも変形し易くなる。したがって、X方向における端部側よりも中央部側の変位特性を高めることができる。なお、第3実施形態は、第1実施形態の振動板36のテーパー部362bの幅が長手方向の位置によって変わる場合を例示したが、第2実施形態の第1電極371のテーパー部371bの幅が長手方向の位置によって異なるようにしてもよい。この場合には、例えば第3実施形態のように、第1電極371のテーパー部371bの幅が、X方向における端部側よりも中央部側の方が大きくなるようにすることができる。
また、圧電素子37のテーパー部362bの表面365(第2面)の傾斜角(第2角度θ2)が、圧電素子37の長手方向の位置によって異なるようにしてもよい。第3実施形態の振動板36においては、Y方向におけるテーパー部362bの傾斜角(第2角度θ2)が、X方向における中央部側よりも端部側の方が小さい。すなわち、テーパー部362bの傾斜角(第2角度θ2)は、X方向の中央部で最小となり、X方向の端部に向かうほど大きくなる。例えば図12のテーパー部362bの傾斜角(第2角度θ21)は、図13のテーパー部362bの傾斜角(第2角度θ22)よりも小さい。
このような構成によれば、テーパー部362bは、X方向における中央部側の方が、端部側よりも傾斜が緩やかになる。したがって、X方向における端部側よりも応力集中が大きくなり易い中央部側の応力集中を的確に緩和できる。なお、第3実施形態は、第1実施形態の振動板36のテーパー部362bの傾斜角(第2角度θ2)が長手方向の位置によって変わる場合を例示したが、第2実施形態の第1電極371のテーパー部371bの傾斜角(第2角度θ2’)が長手方向の位置によって異なるようにしてもよい。この場合には、例えば第3実施形態のように、第1電極371のテーパー部371bの傾斜角(第2角度θ2’)が、X方向における端部側よりも中央部側の方が小さくなるようにすることができる。
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態について説明する。図14は、第4実施形態に係る圧電デバイス39の平面図である。図15は、図14に示す圧電デバイス39のXV−XV断面で切断した断面図である。図14および図15は、図5の圧電素子37において第2電極372のサイズを変えた場合を例示する。図14では、第2電極372の形状が分かりやすいように、リード電極375を省略している。
図14および図15の第2電極372は、圧電体層373のうち第2電極372側の表面F(Z方向の負側の表面)の周縁部F’よりも内側に平面視で重なる。具体的には図14に示すように、第2電極372のX方向の幅Mx’は、圧電体層373の表面FのX方向の幅Mxよりも小さく、図15に示すように、第2電極372のY方向の幅My’は、圧電体層373の表面FのY方向の幅Mよりも小さい。
このような第4実施形態の構成によれば、第2電極372は、圧電体層373のうち第2電極372側の表面Fの周縁部F’よりも内側に平面視で重なるから、圧電体層373の側壁378の部分(例えば図15の点線の楕円で囲まれる部分)にはほとんど電圧がかからないようにすることができる。
圧電体層373の側壁378の部分は、イオンエッチングなど圧電素子37の半導体製造工程において、イオンの衝突によって電気的に劣化し易い部分である。例えば圧電体層373の側壁378は、イオンが側壁378に直接衝突して結晶が破壊されてダメージ層が形成されることで電気的に劣化する。また、第1電極371にイオンが衝突したときに第1電極371の導電性材料をたたき上げ、その導電性材料が側壁378に付着する。このとき、もし圧電体層373の側壁378に電圧がかかると、導電性材料が付着する部分にリーク電流が発生して、電気的な信頼性が低下してしまう。
したがって、第4実施形態の構成によれば、このようなイオンエッチングなどの半導体製造工程で圧電体層373の側壁378の部分が電気的に劣化していたとしても、その側壁378の部分にはほとんど電圧がかからないので、圧電素子37の電気的な信頼性を高めることができる。
なお、第4実施形態において、第2電極372の第3面の第3角度θ3は、圧電素子37の第1面の第1角度θ1よりも小さいことが好ましい。第3角度θ3が小さいほど、第2電極372の端部にかかる応力を緩和できるので、第2電極372の端部に過度な電圧による負荷がかかったときの破壊を抑制できる。したがって、圧電素子37の電気的な信頼性を高めることができる。特に高変位が必要な圧電素子37の場合には、圧電体層373の第1面の第1角度θ1が大きいほど(90度に近いほど)、駆動可能な面積を大きくできる(駆動しないテーパー部分を小さくできる)。このように、第2電極372の第3面の第3角度θ3を、圧電素子37の第1面の第1角度θ1よりも小さくすることで、高変位で信頼性の高い圧電素子37にすることができる。
また、第4実施形態では図5の構成の圧電素子37において第2電極372のサイズを変えた場合を例示したが、これに限られず、図6乃至図13の構成の圧電素子37において第2電極372のサイズを第4実施形態と同様に変えることもできる。
<変形例>
以上に例示した態様および実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示や上述の態様から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)上述した実施形態では、液体吐出ヘッド26を搭載したキャリッジ242をX方向に沿って反復的に往復させるシリアルヘッドを例示したが、液体吐出ヘッド26を媒体12の全幅にわたり配列したラインヘッドにも本発明を適用可能である。
(2)上述した実施形態では、圧力室に機械的な振動を付与する圧電素子を利用した圧電方式の液体吐出ヘッド26を例示したが、加熱により圧力室の内部に気泡を発生させる発熱素子を利用した熱方式の液体吐出ヘッドを採用することも可能である。
(3)上述した実施形態で例示した液体吐出装置10は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置10の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等を形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、液体の一種として生体有機物の溶液を吐出するチップ製造装置としても利用される。
10…液体吐出装置、12…媒体、14…液体容器、20…制御装置、22…搬送機構、24…移動機構、242…キャリッジ、244…無端ベルト、26…液体吐出ヘッド、32…流路基板、322…供給流路、324…連通流路、326…中間流路、34…圧力室基板、342…開口、344…側壁、345…内周面、35…圧力発生部、36…振動板、362a…能動部、362b…テーパー部、362c…固定部、365、369…テーパー部の表面、37…圧電素子、371…第1電極、371a…能動部、371b…テーパー部、372…第2電極、373…圧電体層、375…リード電極、376…圧電素子の側面、376a、376b…斜面、377…第2電極の側面、378…圧電体層の側面、378a、378b…斜面、38…配線接続基板、384、385…配線、39…圧電デバイス、392…保護膜、392a…開口部、40…ケース部材、42…凹部、43…導入口、52…ノズル板、54…コンプライアンス基板、62…駆動IC、A…第1基板、B…第2基板、C…圧力室、D、D’…腕部、F1、F2…表面、L1…第1列、L2…第2列、N…ノズル、O−O…中央部、P、P’…第1部、Q、Q’…第2部、R…液体貯留室、RA、RB…空間、S…圧力室、θ1、θ1’…第1角度、θ2、θ2’…第2角度、θ21、θ22…第2角度、θ3、θ3’…第3角度、F…表面、F’…周縁部、Mx、My、Mx’、My’…幅。

Claims (16)

  1. 圧力室と、
    圧電素子と、
    前記圧力室と前記圧電素子の間に配置され、前記圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、
    を具備し、
    前記圧電素子は、
    前記振動板側の第1電極と、
    前記第1電極に対して前記振動板とは反対側の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、
    前記振動板は、前記圧電素子に平面視で重なる第1部と、前記第1部よりも厚みが薄く、前記圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、
    前記圧電素子のうち前記振動板に交差する側面は、前記振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面を有し、
    前記振動板は、前記第1部と前記第2部との間に、前記振動板の圧力室側の面に対して前記第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有し、
    前記第2面のうち前記圧力室の側壁側の端部は、前記圧力室の側壁に平面視で重なる
    圧電デバイス。
  2. 圧力室と、
    圧電素子と、
    前記圧力室と前記圧電素子の間に配置され、前記圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、
    を具備し、
    前記圧電素子は、
    前記振動板側の第1電極と、
    前記第1電極に対して前記振動板とは反対側の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、
    前記振動板は、前記圧電素子に平面視で重なる第1部と、前記第1部よりも厚みが薄く、前記圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、
    前記圧電体層のうち前記第1電極に交差する側面は、前記振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面と、前記第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有する
    圧電デバイス。
  3. 圧力室と、
    圧電素子と、
    前記圧力室と前記圧電素子の間に配置され、前記圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、
    を具備し、
    前記圧電素子は、
    前記振動板側の第1電極と、
    前記第1電極に対して前記振動板とは反対側の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、
    前記第1電極は、前記圧電体層に平面視で重なる第1部と、前記第1部よりも厚みが薄く、前記圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、
    前記圧電体層のうち前記第1電極に交差する側面は、前記振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面を有し、
    前記第1電極は、前記第1部と前記第2部との間に、前記振動板の圧力室側の面に対して前記第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有し、
    前記第2面のうち前記圧力室の側壁側の端部は、前記圧力室の側壁に平面視で重なる
    圧電デバイス。
  4. 圧力室と、
    圧電素子と、
    前記圧力室と前記圧電素子の間に配置され、前記圧力室の側壁に交差する壁面を構成する振動板と、
    を具備し、
    前記圧電素子は、
    前記振動板側の第1電極と、
    前記第1電極に対して前記振動板とは反対側の第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極とに挟まれた圧電体層と、を備え、
    前記第1電極は、前記圧電体層に平面視で重なる第1部と、前記第1部よりも厚みが薄く、前記圧力室の側壁の内周面に平面視で重なる第2部とを有し、
    前記圧電体層のうち前記第1電極に交差する側面は、前記振動板の圧力室側の面に対して第1角度で傾斜する第1面と、前記第1角度よりも小さい第2角度で傾斜する第2面を有する
    圧電デバイス。
  5. 前記第2電極は、前記振動板の圧力室側の面に対して第3角度で傾斜する第3面を有し、前記第3角度は、前記第2角度よりも小さい
    請求項1から請求項4の何れかに記載の圧電デバイス。
  6. 前記第2電極は、前記振動板の圧力室側の面に対して第3角度で傾斜する第3面を有し、前記第3角度は、前記第2角度よりも大きく、前記第1角度よりも小さい
    請求項1から請求項4の何れかに記載の圧電デバイス。
  7. 前記圧力室と前記圧電素子は、第1方向に長尺であり、前記第2面の第2角度は、前記第1方向における端部側よりも中央部側の方が小さい
    請求項1から請求項4の何れかに記載の圧電デバイス。
  8. 前記圧力室と前記圧電素子は、第1方向に長尺であり、前記第1方向に交差する第2方向における前記第2面の幅は、前記第1方向における端部側よりも中央部側の方が大きい
    請求項1から請求項4の何れかに記載の圧電デバイス。
  9. 前記第2電極は、前記圧電体層のうち前記第2電極側の表面の周縁部よりも内側に平面視で重なる
    請求項1から請求項8の何れかに記載の圧電デバイス。
  10. 前記圧電素子と前記振動板は、保護膜を有する
    請求項1から請求項9の何れかに記載の圧電デバイス。
  11. 前記保護膜は、前記第2電極の端部から前記第1面まで覆うように連続する
    請求項10に記載の圧電デバイス。
  12. 前記保護膜は、前記第2電極の端部から前記第1面を介して前記第2面まで覆うように連続する
    請求項10または請求項11に記載の圧電デバイス。
  13. 前記圧電素子の非駆動時において、前記振動板の前記圧力室側の面のうち前記圧力室の壁面を構成する部分が平坦である
    請求項1から請求項12の何れかに記載の圧電デバイス。
  14. 前記圧電素子の非駆動時において、前記振動板の前記圧力室側の面のうち前記圧力室の壁面を構成する部分が前記振動板の前記圧力室側に撓んでいる
    請求項1から請求項12の何れかに記載の圧電デバイス。
  15. 請求項1から請求項14の何れかに記載の圧電デバイスを備え、前記圧電デバイスにより前記圧力室の圧力を変動することよって、前記圧力室に充填された液体をノズルから吐出する
    液体吐出ヘッド。
  16. 請求項1から請求項14の何れかに記載の圧電デバイスを備え、前記圧電デバイスにより前記圧力室の圧力を変動することよって、前記圧力室に充填された液体をノズルから吐出する
    液体吐出装置。
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