JP2021030611A - 液体吐出ヘッド、アクチュエーター、および液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電体のクラック等の発生の低減と吐出性能の低下を抑制できる液体吐出ヘッド、アクチュエーター、および液体吐出装置を提供する。【解決手段】液体吐出ヘッドは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることで前記圧電体から生じる圧力により液体を吐出する圧力室が設けられる圧力室基板と、を有し、第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記圧電体の前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における圧電歪定数よりも小さい。【選択図】図6
Description
本発明は、液体吐出ヘッド、アクチュエーター、および液体吐出装置に関する。
圧力室の壁面を構成する振動板を圧電素子により振動させることで、当該圧力室に充填されたインク等の液体をノズルから吐出する技術が従来から提案されている。例えば特許文献1に記載の液滴吐出ヘッドは、チタン酸ジルコン酸鉛を材料とする圧電体層と、当該圧電体層を挟む上電極および下電極とを備える。
特許文献1の圧電体層全体は一様な材料で構成されており、圧電体層の一部の領域においてクラックが生じる虞があった。例えば、圧電素子を大きい振幅で振動させると、圧電体層における上電極に接触している部分と上電極に接触していない部分との当該境界においてクラックが生じるおそれがあった。その他にも、液体吐出ヘッドの構成によって、圧電体層の当該境界とは異なる箇所にクラックが生じる場合がある。このようなクラックが生じることを抑制するために、圧電体層の全体の組成を変えてクラックを生じ難くする方法が考えられる。しかし、圧電体層の全体の組成が変わることで圧電素子の特性が低下してしまい、その結果、液体吐出ヘッドの吐出量および吐出速度等の吐出性能が低下するおそれがあった。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体吐出ヘッドは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることで前記圧電体から生じる圧力により液体を吐出する圧力室が設けられる圧力室基板と、を有し、第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における前記圧電体の圧電歪定数よりも小さい。
本発明の好適な態様に係る液体吐出ヘッドは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることで前記圧電体から生じる圧力により液体を吐出する圧力室が設けられる圧力室基板と、を有し、第1領域における前記第2電極の材料と、前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における前記第2電極の材料とは、異なり、前記第1領域における前記第1電極または前記第2電極に所定電圧を印加した際の前記圧電体の変位は、前記第2領域における前記第2電極または前記第2電極に前記所定電圧を印加した際の前記圧電体の変位よりも小さい。
本発明の好適な態様に係るアクチュエーターは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、を有し、第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における前記圧電体の圧電歪定数よりも小さい。
1.第1実施形態
1−1.液体吐出装置100の全体構成
図1は、実施形態に係る液体吐出装置100を例示する構成図である。なお、以下では、説明の便宜上、X軸、Y軸、およびZ軸を適宜用いて説明する。X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交する。また、X軸のうち矢印の指す方向を+X方向、その反対方向を−X方向とする。なお、Y軸およびZ軸についても同様である。−Z方向を「上」とし、+Z方向を「下」とする。なおX軸、Y軸、Z軸は相互に略90度の角度で交差していれば良い。また、本明細書において「要素Aの上部に要素Bが配置される」という表現は、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成に限定されない。要素Aと要素Bとが直接的に接触していない構成も、「要素Aの上部に要素Bが配置される」という概念に包含される。
1−1.液体吐出装置100の全体構成
図1は、実施形態に係る液体吐出装置100を例示する構成図である。なお、以下では、説明の便宜上、X軸、Y軸、およびZ軸を適宜用いて説明する。X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交する。また、X軸のうち矢印の指す方向を+X方向、その反対方向を−X方向とする。なお、Y軸およびZ軸についても同様である。−Z方向を「上」とし、+Z方向を「下」とする。なおX軸、Y軸、Z軸は相互に略90度の角度で交差していれば良い。また、本明細書において「要素Aの上部に要素Bが配置される」という表現は、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成に限定されない。要素Aと要素Bとが直接的に接触していない構成も、「要素Aの上部に要素Bが配置される」という概念に包含される。
液体吐出装置100は、「液体」の一例であるインクを媒体12に吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体吐出装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンクが、液体容器14として利用される。
図1に例示される通り、液体吐出装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24と液体吐出ヘッド26とを具備する。制御ユニット20は、「制御部」の例示である。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の1または複数の処理回路と半導体メモリー等の1または複数の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素を統括的に制御する。例えば、制御ユニット20は、液体吐出ヘッド26の動作を制御する。
搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12を+Y方向に搬送する。移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとで液体吐出ヘッド26をX軸に沿って往復させる。X軸は、媒体12が搬送される方向に沿うY軸に交差する。第1実施形態の移動機構24は、液体吐出ヘッド26を収容する略箱型の搬送体242と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、複数の液体吐出ヘッド26を搬送体242に搭載した構成、または、液体容器14を液体吐出ヘッド26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
液体吐出ヘッド26は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズルから媒体12に吐出する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して各液体吐出ヘッド26が媒体12にインクを吐出することで、媒体12の表面に画像が形成される。
1−2.液体吐出ヘッド26の全体構成
図2は、液体吐出ヘッド26の分解斜視図である。図3は、図2おけるa−a線の断面図である。図3に図示された断面は、X−Z平面に平行な断面である。Z軸は、液体吐出ヘッド26によるインクの吐出方向に沿う軸線である。
図2は、液体吐出ヘッド26の分解斜視図である。図3は、図2おけるa−a線の断面図である。図3に図示された断面は、X−Z平面に平行な断面である。Z軸は、液体吐出ヘッド26によるインクの吐出方向に沿う軸線である。
図2に例示される通り、液体吐出ヘッド26は、Y軸に沿って配列された複数のノズルNを具備する。複数のノズルNは、X軸に沿って相互に間隔をあけて並設された第1列Laと第2列Lbとに区分される。第1列Laおよび第2列Lbの各々は、Y軸に沿って直線状に配列された複数のノズルNの集合である。液体吐出ヘッド26は、第1列Laの各ノズルNに関連する要素と第2列Lbの各ノズルNに関連する要素とが略面対称に配置された構造である。そこで、以下の説明では、第1列Laに対応する要素を重点的に説明し、第2列Lbに対応する要素の説明は適宜に割愛する。
図2および図3に例示される通り、液体吐出ヘッド26は、流路構造体30と素子部340と封止体35と筐体部36と配線基板51とを具備する。流路構造体30は、複数のノズルNの各々にインクを供給するための流路が内部に形成された構造体である。流路構造体30は、流路基板31と圧力室基板32と振動板33とノズルプレート41と吸振体42とで構成される。流路構造体30を構成する各部材は、Y軸に沿った長尺な板状部材である。流路基板31における+Z軸側の表面に圧力室基板32と筐体部36とが設置される。他方、流路基板31における−Z軸側の表面に、ノズルプレート41および吸振体42が設置される。各部材は、例えば接着剤により固定される。また、素子部340は、複数の圧電素子34を有する。素子部340と振動板33とで、アクチュエーター3が構成される。以下、各部材を順次説明する。
ノズルプレート41は、複数のノズルNが形成された板状部材である。複数のノズルNの各々は、インクを吐出する円形状の貫通孔である。例えばフォトリソグラフィおよびエッチング等の半導体製造技術を利用してシリコン(Si)の単結晶基板を加工することで、ノズルプレート41が製造される。ただし、ノズルプレート41の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図2および図3に例示される通り、流路基板31には、空間Raと複数の供給流路312と複数の連通流路314と中継液室316とが形成される。空間Raは、Y軸に沿う長尺状に形成された開口である。供給流路312および連通流路314の各々は、ノズルN毎に形成された貫通孔である。中継液室316は、複数のノズルNにわたりY軸に沿う長尺状に形成された空間であり、空間Raと複数の供給流路312とを相互に連通させる。複数の連通流路314の各々は、当該連通流路314に対応する1個のノズルNに+Z方向からの平面視で重なる。
図2および図3に例示される通り、圧力室基板32には複数の圧力室C1が設けられる。圧力室C1は、ノズルプレート41と振動板33の間に位置し、圧力室基板32の壁面320により形成される。圧力室C1は、+Z方向からの平面視でX軸に沿う長尺状の空間である。圧力室C1は、ノズルN毎に形成される。複数の圧力室C1はY軸に沿って配列される。流路基板31および圧力室基板32は、前述のノズルプレート41と同様に、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。ただし、流路基板31および圧力室基板32の製造には公知の材料や製法が任意に採用され得る。
図3に例示される通り、圧力室C1の上部には、弾性的に変形可能な振動板33が配置される。振動板33は、圧力室基板32における流路基板31とは反対の表面に接触する。振動板33は、+Z方向からの平面視でY軸に沿う長尺な矩形状に形成された板状部材である。図2および図3に例示される通り、圧力室C1は、連通流路314および供給流路312に連通する。したがって、圧力室C1は、連通流路314を介してノズルNに連通し、かつ、供給流路312と中継液室316とを介して空間Raに連通する。なお、図2では説明のし易さのため圧力室基板32と振動板33とを別基板のように図示しているが、実際には1つのシリコン基板に積層されたものである。振動板33の一部または全部は、圧力室基板32と別部材であってもよいし、一体であってもよい。
図3に例示される通り、振動板33のうち圧力室C1とは反対側の表面には素子部340が設けられる。素子部340が有する圧電素子34は圧力室C1毎に形成される。圧電素子34は、+Z方向からの平面視でX軸に沿う長尺状の受動素子である。つまり、圧電体34は、X軸方向(延在方向)に延在する。
図3に例示される筐体部36は、複数の圧力室C1に供給されるインクを貯留するためのケースであり、例えば樹脂材料の射出成形で形成される。筐体部36には空間Rbと供給口361とが形成される。供給口361は、液体容器14からインクが供給される管路であり、空間Rbに連通する。筐体部36の空間Rbと流路基板31の空間Raとは相互に連通する。空間Raと空間Rbとで構成される空間は、複数の圧力室C1に供給されるインクを貯留する液体貯留室Rとして機能する。液体容器14から供給されて供給口361を通過したインクが液体貯留室Rに貯留される。液体貯留室Rに貯留されたインクは、中継液室316から各供給流路312に分岐して複数の圧力室C1に並列に供給および充填される。また、吸振体42は、液体貯留室Rの壁面を構成する可撓性のフィルムであり、液体貯留室R内のインクの圧力変動を吸収する。
封止体35は、複数の圧電素子34を保護するとともに圧力室基板32および振動板33の機械的な強度を補強する構造体である。封止体35は、振動板33の表面等に例えば接着剤で固定される。封止体35のうち振動板33との対向面に形成された凹部の内側に複数の圧電素子34が配置される。また、振動板33の表面には配線基板51が接合される。配線基板51は、制御ユニット20と液体吐出ヘッド26とを電気的に接続するための複数の配線が形成された実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板51が好適に採用される。圧電素子34を駆動するための駆動信号および基準電圧が配線基板51から各圧電素子34に供給される。
図3に例示される通り、配線基板51は、振動板33の表面に接合される。配線基板51は、制御ユニット20と液体吐出ヘッド26とを電気的に接続するための複数の配線が形成された実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板51が好適に採用される。圧電素子34を駆動するための駆動信号および基準電圧が配線基板51から各圧電素子34に供給される。
1−3.アクチュエーター3
前述のように、アクチュエーター3は、振動板33と素子部340とを含む。なお、圧力室基板32もアクチュエーター3の一部として捉えてもよい。図4は、アクチュエーター3の一部を示す平面図である。図5は、図4中のb−b線の断面図である。図6は、図4中のc−c線の断面図である。図6においては、後述の第2電極342に便宜的にドットが付されている。
前述のように、アクチュエーター3は、振動板33と素子部340とを含む。なお、圧力室基板32もアクチュエーター3の一部として捉えてもよい。図4は、アクチュエーター3の一部を示す平面図である。図5は、図4中のb−b線の断面図である。図6は、図4中のc−c線の断面図である。図6においては、後述の第2電極342に便宜的にドットが付されている。
1−3a.振動板33
図4から図6に例示される振動板33は、圧電素子34の駆動により振動する。図5および図6に例示される通り、振動板33は、第1絶縁層331と第2絶縁層332との積層体で構成される。第1絶縁層331は、圧力室基板32に接触する。第2絶縁層332は、第1絶縁層331に対して圧力室基板32とは反対に位置する。第1絶縁層331は、二酸化シリコン(SiO2)等の弾性材料で形成される弾性膜である。第2絶縁層332は、二酸化ジルコニウム(ZrO2)等の絶縁材料で形成される。第1絶縁層331および第2絶縁層332の各々は、熱酸化またはスパッタリング等の公知の成膜技術により形成される。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室C1に対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、圧力室基板32と振動板33の一部または全部とを一体に形成することが可能である。
図4から図6に例示される振動板33は、圧電素子34の駆動により振動する。図5および図6に例示される通り、振動板33は、第1絶縁層331と第2絶縁層332との積層体で構成される。第1絶縁層331は、圧力室基板32に接触する。第2絶縁層332は、第1絶縁層331に対して圧力室基板32とは反対に位置する。第1絶縁層331は、二酸化シリコン(SiO2)等の弾性材料で形成される弾性膜である。第2絶縁層332は、二酸化ジルコニウム(ZrO2)等の絶縁材料で形成される。第1絶縁層331および第2絶縁層332の各々は、熱酸化またはスパッタリング等の公知の成膜技術により形成される。なお、所定の板厚の板状部材のうち圧力室C1に対応する領域について板厚方向の一部を選択的に除去することで、圧力室基板32と振動板33の一部または全部とを一体に形成することが可能である。
1−3b.素子部340
図5および図6に例示される通り、素子部340が有する圧電素子34は、概略的には、第2電極342と圧電体343と第1電極341とを振動板33側から以上の順番で積層した構造体である。なお、本明細書において「要素Aの面上に要素Bが形成される」という表現は、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成には限定されない。すなわち、要素Aの表面に要素Cが形成され、要素Cの表面に要素Bが形成された構成でも、要素Aと要素Bとの一部または全部が+Z方向からの平面視で重なる構成であれば、「要素Aの面上に要素Bが形成される」という概念に包含される。
図5および図6に例示される通り、素子部340が有する圧電素子34は、概略的には、第2電極342と圧電体343と第1電極341とを振動板33側から以上の順番で積層した構造体である。なお、本明細書において「要素Aの面上に要素Bが形成される」という表現は、要素Aと要素Bとが直接的に接触する構成には限定されない。すなわち、要素Aの表面に要素Cが形成され、要素Cの表面に要素Bが形成された構成でも、要素Aと要素Bとの一部または全部が+Z方向からの平面視で重なる構成であれば、「要素Aの面上に要素Bが形成される」という概念に包含される。
図5および図6に例示される通り、第2電極342は、振動板33の面上に形成される。第2電極342は、圧電素子34毎に相互に離間して形成された個別電極である。第2電極342には、電圧が変動する駆動信号が印加される。第2電極342は、例えば、白金(Pt)またはイリジウム(Ir)等の低抵抗な導電材料を含む電極層と、チタン(Ti)を含む下地層とで形成される。当該電極層は、例えばルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)、およびニッケル酸ランタン(LaNiO3)等の酸化物で形成されてもよい。
第2電極342には第2配線39が電気的に接続される。第2配線39は、図3に示す配線基板51に搭載された図示しない駆動回路から駆動信号が供給されるリード配線であり、第2電極342に駆動信号を供給する。第2配線39は、第2電極342よりも低抵抗な導電材料で形成される。例えば、第2配線39は、ニクロム(NiCr)で形成された導電膜の表面に金(Au)の導電膜を積層した構造の導電パターンである。
図4および図5に例示される通り、第1電極341は、複数の圧電素子34にわたり連続するようにY軸に沿って延在する帯状の共通電極である。第1電極341には所定の基準電圧が印加される。基準電圧は一定の電圧であり、例えば接地電圧よりも高い電圧に設定される。すなわち、第1電極341には、例えば、電圧が一定である保持信号が印加される。第1電極341に印加される基準電圧と第2電極342に供給される駆動信号との差分に相当する電圧が圧電体343に印加される。駆動信号は、吐出量に応じて異なる。保持信号は、吐出量によらず一定であり、変動しない。なお、第1電極341には、接地電圧が印加されてもよい。また、第1電極341は、例えば、PtまたはIr等の低抵抗な導電材料を含む電極層と、Tiを含む下地層とで形成される。当該電極層は、例えばSrRuO3、およびLaNiO3等の酸化物で形成されてもよい。
図5および図6に例示される通り、第1電極341の面上には、第1電極341に電気的に接続される第1配線38が形成される。第1配線38は、第1電極341に電圧を印加するための「配線」である。第1配線38には、図3に示す配線基板51を介して図示しない基準電圧が供給される。図4および図5に例示される通り、第1配線38は、Y軸に沿って延在する帯状の第1導電層381と、Y軸に沿って延在する帯状の第2導電層382とを有する。第1導電層381および第2導電層382は、X軸に沿って所定の間隔をあけて並ぶ。第1導電層381および第2導電層382が設けられることで、第2電極342における基準電圧の電圧降下が抑制される。また、第1導電層381および第2導電層382は、振動板33の振動を抑制するための錘としても機能する。第1配線38は、第1電極341よりも低抵抗な導電材料で形成される。例えば、第1配線38は、NiCrで形成された導電膜の表面にAuの導電膜を積層した構造の導電パターンである。
図4および図6に示すように、第1導電層381は、X軸に沿った方向における縁3818と縁3819とを有する。縁3818および縁3819は、それぞれY軸に沿う直線状をなす。縁3818は、第1導電層381における縁3819とは反対に位置する。縁3818は、第2配線39と向かい合う。縁3818は、+Z方向からの平面視でX軸において圧力室基板32と重なる。言い換えると、縁3818と圧力室基板32は、X軸において一部が同じ位置に位置する。一方、縁3819は、第2導電層382と向かい合う。縁3819は、+Z方向からの平面視でX軸(延在方向)において圧力室C1と重なる。言い換えると、縁3819と圧力室C1は、X軸(延在方向)において一部が同じ位置に位置する。なお、第2導電層382も第1導電層381と同様に、Y軸に沿う直線状の2個の縁を有する。
図5および図6に例示される通り、第2電極342と第1電極341との間には、圧電体343が位置する。圧電体343は、第2電極342と第1電極341とに接触する。第2電極342と第1電極341との間に電圧が印加されることで圧電体343が変形することにより、圧電素子34は、振動板33を撓み変形させる。圧電体343から生じる圧力により振動板33が振動することで圧力室C1の圧力が変化し、圧力室C1内のインクが図3に示すノズルNから吐出される。
図4に例示される通り、圧電体343は、複数の圧電素子34にわたりY軸に沿って連続する帯状の誘電膜である。圧電体343のうち相互に隣り合う各圧力室C1の間隙に対応する領域には、X軸に沿う切欠Gが形成される。切欠Gは、圧電体343を貫通する開口である。切欠Gが形成されることで、各圧電素子34は圧力室C1毎に個別に変形し、圧電素子34の相互間における振動の伝播が抑制される。なお、圧電体343の厚さ方向の一部を除去した有底孔が切欠Gとして形成してもよい。
図6に例示される通り、圧電体343は、第1部分3431と第2部分3432とを有する。図4および図6に例示される通り、第1部分3431は、Y軸に沿って延びる長尺状の部分である。第1部分3431は、圧電体343の厚さ方向からの平面視で、Y軸に沿って並ぶ複数の第2電極342をY軸において跨ぐように設けられる。図6に例示される通り、第1部分3431は、圧電体343の厚さ方向における全域にわたって設けられる。つまり、第1部分3431は、第2部分3432を厚さ方向に貫通するように設けられる。
図6に例示される通り、第1部分3431は、+Z方向からの平面視で、第1電極341のY軸に沿う直線状の縁3419とX軸において重なる。別の言い方をすれば、第1部分3431は、+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341の縁3419を跨ぐように設けられる。なお、縁3419は、第1電極341のX軸に沿った方向における端であり、第1電極341における第2配線39と向かい合う。また、例えば、第1部分3431は、第1電極341の縁3419を中心線として、X軸に沿って±5μm以上±10μm以下の範囲に亘って形成される。また、第1部分3431は、+Z方向からの平面視でX軸において第1導電層381の縁3818と重なる。一方、第2部分3432は、第1部分3431以外の部分であり、+Z方向からの平面視でX軸において第1部分3431を挟むように設けられる。第2部分3432は、+Z方向からの平面視でX軸において圧力室C1と重なる。
図6に例示される通り、素子部340は、圧電体343の厚さ方向からの平面視において、第1領域A1と、第1領域A1と異なる位置に位置する第2領域A2とに区分される。図6に示す例では、第1領域A1は、+Z方向からの平面視でY軸に沿って延びる長尺状の領域である。第1領域A1には、圧電体343のうちの第1部分3431が位置する。一方、第2領域A2は、第1領域A1以外の領域である。第2領域A2には、圧電体343のうちの第2部分3432が位置する。
第1領域A1における圧電体343の圧電歪定数は、第2領域A2における圧電体343の圧電歪定数よりも小さい。すなわち、第1部分3431の圧電歪定数は、第2部分3432の圧電歪定数よりも小さい。そのため、第1部分3431は、第2部分3432に比べて電圧の印加による変形が生じ難い。それゆえ、圧電体343において応力が集中し易い箇所に第1部分3431を設定することで、圧電体343の歪みの分布を調整することができる。よって、圧電体343において応力が生じ易い箇所に第1部分3431を設定することで、圧電体343にクラックが生じることを抑制することができる。また、第1部分3431以外の箇所が第2部分3432であることで、圧電体343の変形に伴って変形する振動板33が撓み難くなることにより、圧力室C1の容量変動が小さくなることを抑制することができる。このようなことから、圧電体343のクラックの発生を抑制することができるとともに、吐出量および吐出速度等の吐出性能の低下を抑制することができる。
なお、圧電歪定数は、具体的には、圧電歪定数d31、d33およびd15のいずれでもよい。特に、第1部分3431の圧電歪定数d31が第2部分3432の圧電歪定数d33よりも小さいことで、クラックの発生を効果的に抑制することができる。
図7は、圧電体343における自発分極を模式的に示す図である。図7に示すように、圧電体343が+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341に重なっていない部分では、自発分極の方向はあらゆる方向を向いている。一方、圧電体343が+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341および第2電極342に重なる部分では、電圧が印加されることで、自発分極の方向が揃う。それゆえ、圧電体343における+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341に重なる部分と第1電極341に重ならない部分との境界345では、分極差により応力が集中し易い。その結果、境界345では、クラックが生じ易い。
前述のように、本実施形態では、第1領域A1は+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341の縁3419と重なり、第2領域A2は+Z方向からの平面視でX軸において圧力室C1と重なる。また、第1部分3431は+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341の縁3419と重なり、第2部分3432は平面視で圧力室C1と重なる。第1部分3431が+Z方向からの平面視でX軸において縁3419と重なることで、重ならない場合に比べ、分極差により境界345に応力が集中することにより、境界345を起点として圧電体343にクラックが発生することを抑制することができる。一方、第2部分3432が平面視で圧力室C1と重なることで、圧電体343が変形し難くなることを抑制することができる。
第1領域A1の面積は、第2領域A2の面積よりも小さい。よって、第1部分3431の平面積は、第2部分3432の平面積よりも小さい。そのため、振動板33の一部が第1部分3431であっても、第2部分3432の平面積が第1部分3431の平面積よりも大きいため、振動板33の必要な変形量を充分に確保することができる。
第1領域A1における圧電体343の圧電歪定数は、第2領域A2における圧電歪定数の70%以上90%以下であることが好ましく、75%以上85%以下であることがより好ましい。かかる範囲であることで、第1部分3431の電圧の印加による変形を第2部分3432よりも小さく抑えることができるとともに、第1部分3431の変形と第2部分3432の変形との差が著しく大きくなることが抑制される。そのため、境界345、および第1部分3431と第2部分3432との間で、クラックが生じることを抑制することができる。
第1領域A1における圧電体343の厚さと、第2領域A2における圧電体343の厚さとは、等しい。つまり、第1部分3431におけるZ軸に沿った長さと、第2部分3432におけるZ軸に沿った長さとは、等しい。第1部分3431の厚さと第2部分3432の厚さが等しいことで、第1部分3431の上面と第2部分3432の上面とで、段差の無い連続した平坦面が形成される。また、第1部分3431の下面と第2部分3432の下面とで、段差の無い連続した平坦面が形成される。そのため、段差に応力が集中することが回避されるので、第1部分3431の厚さと第2部分3432の厚さとが異なる場合に比べ、境界345でのクラックの発生をより効果的に抑制することができる。なお、「等しい」とは、両者の差が、0(零)であることのみならず、3%以下であることを含む。
圧電体343は、圧電材料で形成される。圧電材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、およびニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の酸化物が挙げられる。これら材料を用いて第1部分3431の圧電歪定数および第2部分3432の圧電歪定数が調整される。
例えば、圧電体343は、チタン(Ti)とジルコニウム(Zr)とを含む酸化物を有する場合、第1部分3431と第2部分3432とでは、TiとZrとの比率が異なる。TiとZrとの比率を異ならせることで、第1部分3431の圧電歪定数を第2部分3432の圧電歪定数よりも小さく設定することができる。また、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛を用いて圧電体343を形成する場合、結晶格子は、Tiが多いと正方晶となり、Zrが多いと菱面体晶となる。単斜晶、菱面体晶および正方晶等の結晶系を変える組成比とすることで、第1部分3431の圧電歪定数を第2部分3432における圧電歪定数よりも小さく設定することができる。特に、TiとZrとの比率を異ならせる方法は、後述する他の方法に比べて、第1部分3431の圧電歪定数と第2部分3432の圧電歪定数とを調整することが容易である。
具体的には例えば、第1部分3431では、Zr+Tiに対するTiの比であるTi/(Zr+Ti)は、0.50より大きいか、または0.45より小さい。一方、第2部分3432では、例えば、Zr+Tiに対するTiの比であるTi/(Zr+Ti)は、0.45より大きく、かつ0.50より小さい。当該比率は、モル比である。第1部分3431および第2部分3432でTi/(Zr+Ti)の各関係がかかる範囲を満足することで、クラックの発生、および吐出特性の低下を特に効果的に抑制することができる。
特に、第1部分3431では、Ti/(Zr+Ti)は、0.40より大きく、かつ0.45より小さいことが好ましい。または、第1部分3431では、Ti/(Zr+Ti)は、0.50より大きく、かつ0.55より小さいことが好ましい。Ti/(Zr+Ti)の関係がかかる範囲を満足することで、境界345でのクラックの発生、および第1部分3431と第2部分3432との間でのクラックの発生の双方を特に効果的に抑制することができる。また、特にチタン酸ジルコン酸鉛を用いる場合、第2部分3432では、Ti/(Zr+Ti)が0.48であることで、電圧の印加により圧電体343を最も効率良く変形させることができる。これは、チタン酸ジルコン酸鉛ではTi:Zr=0.48:0.52においてMPB(Morphotropic Phase Boundary)が存在するため、この比率にて圧電歪定数を最も高くすることができるためである。
第1部分3431と第2部分3432とで構成元素を異ならせることによっても、第1部分3431の圧電歪定数を第2部分3432における圧電歪定数よりも小さく設定することができる。
具体的には例えば、第1部分3431は、BaとTiを含む酸化物、PbとTiを含む酸化物、KとNbを含む酸化物、またはLiとNbを含む酸化物のいずれかを有する。一方、第2部分3432は、TiとZrを含む酸化物を有する。上述のチタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、およびニオブ酸リチウム(LiNbO3)の5つの圧電材料のうち、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)は他の4つの圧電材料よりも圧電歪定数が大きい。したがって、第1部分3431は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)で形成し、第2部分3432は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)で形成することで、第1部分3431の圧電歪定数を第2部分3432の圧電歪定数よりも小さくすることができる。
また、第1部分3431には不純物をドープし、第2部分3432には当該不純物をドープしないことにより、第1部分3431の構成元素と第2部分3432の構成元素とが異なっていてもよい。例えば、圧電体343全体がチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)で形成される場合、第1部分3431は、Mg、Al、FeおよびNaのうちのいずれかの不純物を含む。この場合、例えば、TiおよびZrのBサイトイオンの一部がMg、AlまたはFe等のイオンで置換されてもよい。また、PbのAサイトイオンの一部がNa等のイオンで置換されてもよい。不純物で置換されることにより、酸素欠陥の増加に伴ってドメイン壁の動きが阻害されることで分極方向の変化が抑制される。そのため、電圧の印加による第1部分3431の変形を抑制することができる。
第1部分3431は、例えばゾルゲル法等の液相法、およびインクジェット法等を用いて形成される。具体的には例えば、第2部分3432の材料で構成された層が形成され、その後、当該層の一部がエッチングにより除去される。その後、エッチングにより除去した部分を埋めるようにして第1部分3431が成膜される。これにより、第1部分3431および第2部分3432を有する圧電体343を形成することができる。
また、例えば、前述の第2電極342が有するTiを含む下地層の膜厚を調整することで、圧電体343の配向性を向上させることができる。例えば、ペロブスカイト型の結晶の圧電体343が形成され易くなる。
以上で説明したように、制御ユニット20により制御される液体吐出ヘッド26によれば、吐出特性の低下を抑制することができる。そのため、液体吐出装置100によれば、高精度な液体吐出を実現することができる。
2.第2実施形態
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図8は、第2実施形態における素子部340Aの一部を示す断面図である。図8に例示される通り、圧電素子34Aが有する圧電体343Aは、第1部分3433と第2部分3434とを有する。第1部分3433および第2部分3434の配置関係は、第1実施形態における第1部分3433および第2部分3434の配置関係と異なる。かかる配置関係が異なること以外、第1部分3433および第2部分3434は、第1実施形態における第1部分3431および第2部分3432と同様である。
第1部分3433は、+Z方向からの平面視でX軸において第1導電層381の縁3819と重なる。第1部分3433および第2部分3434は、+Z方向からの平面視でX軸において圧力室C1と重なる。第2部分3432は、+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341の縁3419と重なる。
素子部340Aは、+Z方向からの平面視でX軸において第1領域A1Aと第2領域A2Aとに区分される。第1領域A1Aおよび第2領域A2Aの配置関係は、第1実施形態における第1領域A1および第2領域A2の配置関係と異なる。なお、かかる配置関係が異なること以外、第1領域A1Aおよび第2領域A2Aは、第1実施形態における第1領域A1および第2領域A2と同様である。
第1領域A1Aには、第1部分3433が設けられる。第2領域A2Aには、圧電体343のうちの第2部分3434が設けられる。第1部分3433は、+Z方向からの平面視でX軸において第1導電層381の縁3819と重なる。
圧電体343Aのうち第1導電層381と重なる部分は、第1導電層381に覆われているため、圧電体343Aのうち第1導電層381と重ならない部分に比べて振動し難い。圧電体343Aのうち+Z方向からの平面視でX軸において縁3819と重なる部分は、圧電体343Aのうち第1導電層381と重なる部分と重ならない部分との境界であるため、応力が集中し易い。応力が集中し易い箇所に第1部分3433を設定することで、当該箇所が亀裂の起点となってクラックが生じることを抑制することができる。
ここで、圧電体343の結晶格子中には、複数の酸素欠陥が存在する。当該酸素欠陥は、電圧の印加により移動する。そして、長時間電圧が印加されると複数の酸素欠陥が連なってしまう。その結果、リークパスが形成されてしまい、酸素欠陥に起因して絶縁性が劣化してしまう。特に、圧電体343のうち応力が集中し易い箇所では、結晶構造が変形し、酸素欠陥が移動し易い。それゆえ、絶縁性の劣化が顕著になり易い。よって、圧電体343Aのうち+Z方向からの平面視でX軸において縁3819と重なる部分に第1部分3433が位置することで、絶縁性の劣化を抑制することができる。
3.第3実施形態
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第3実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図9は、第3実施形態における素子部340Bの一部を示す断面図である。図9に例示される通り、第2電極342Bは、第1電極部3421と第2電極部3422とを有する。第1電極部3421は、+Z方向からの平面視でX軸においてにおいて、第1電極341の縁3419と重なる。また、第1電極部3421は、+Z方向からの平面視でX軸において第1導電層381の縁3818と重なる。一方、第2電極部3422は、第1電極部3421以外の部分であり、+Z方向からの平面視でX軸において第1電極部3421を挟むように設けられる。また、第2電極部3422は、+Z方向からの平面視でX軸において圧力室C1と重なる。
第1領域A1には、第1電極部3421が設けられる。一方、第2領域A2には、第2電極部3422が設けられる。なお、本実施形態では、圧電体343Bは一様に同一の材料を用いて形成される。
第1領域A1における第2電極342Bの材料と、第2領域A2における第2電極342Bの材料とは、異なる。すなわち、第1電極部3421の材料と第2電極部3422の材料とは異なる。そして、第1電極341Bと第2電極342Bとの間に所定電圧を印加した際、第1領域A1における圧電体343Bの変位は、第2領域A2における圧電体343Bの変位よりも小さい。かかる関係になるよう第1電極部3421を構成する材料と第2電極部3422を構成する材料とを異ならせることによっても、第1実施形態と同様に、圧電体343Bにおける分極差による応力集中に起因するクラックの発生を抑制することができる。例えば第1電極部3421と第2電極部3422とで下地層の構成を異ならせることで、第1領域A1における圧電体343Bの圧電歪定数と第2領域A2における圧電体343Bの圧電歪定数とを異ならせることができる。
なお、第1電極部3421および第2電極部3422の膜厚または層数を調整することによって、第1領域A1における圧電体343Bの変位は、第2領域A2における圧電体343Bの変位よりも小さくすることができる。
図10は、第3実施形態における素子部340Cの他の例を示す断面図である。図10に示す素子部340Cは、第2実施形態のように、+Z方向からの平面視でのX軸において第1領域A1Aと第2領域A2Aとに区分されてもよい。この場合、素子部340Cが有する圧電素子34Cは、第1電極部3423と第2電極部3424とを有する第2電極342Cを備える。第1領域A1Aには第1電極部3423が設けられ、第2領域A2Aには第2電極部3424が設けられる。第1電極部3423は+Z方向からの平面視でX軸において第1導電層381の縁3819と重なり、第2電極部3424は+Z方向からの平面視でX軸において第1電極341の縁3419と重なる。図10に示す第1電極部3423および第2電極部3424の各配置によっても、第2実施形態と同様に、クラックの発生を抑制することができるとともに、絶縁性の劣化を抑制することができる。
4.変形例
以上に例示した各実施形態は多様に変形され得る。前述の各実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
以上に例示した各実施形態は多様に変形され得る。前述の各実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
第1実施形態では、第1部分3431は、圧電体343の厚さ方向における全域にわたって設けられるが、圧電体343の厚さ方向における全域に設けられていなくてもよい。ただし、クラックの発生を効果的に抑制するためには、圧電体343の厚さ方向における50%以上の領域に第1部分3431が設けられることが好ましい。この場合、第1部分3431は、圧電体343の厚さ方向における中心に設けられてもよいし、圧電体343における第1電極341側に設けられてもよいし、圧電体343における第2電極342側に設けられてもよい。なお、第2実施形態における第1部分3433、第3実施形態における第1電極部3421および第1電極部3423についても同様のことが言える。
第1実施形態では、第1部分3431は、+Z方向からの平面視でX軸において、複数の第2電極342を跨ぐように設けられるが、第1部分3431は、+Z方向からの平面視でX軸において、複数の第2電極342を跨ぐように設けられなくてもよい。例えば、第1部分3431は、+Z方向からの平面視でX軸において第2電極342の一部のみと重なるように設けられてもよい。ただし、クラックの発生を効果的に抑制するためには、第1部分3431は、+Z方向からの平面視でX軸において第2電極342のY軸方向に沿った長さの50%以上の領域と重なるよう設けられることが好ましい。なお、第2実施形態における第1部分3433、第3実施形態における第1電極部3421および第1電極部3423についても同様のことが言える。
第1実施形態では、境界345と+Z方向からの平面視でX軸において重なるように第1領域A1が設定されていたが、当該境界345以外の領域でクラックが生じ易くなる場合、その領域に対応するように第1領域A1が設定されれば、当該クラックの発生を抑制することができる。よって、「第1領域」および「第2領域」は、前述した図示の例に限定されない。
前述の実施形態では、第1電極341の全てが、圧電体343の上部に位置するが、第1電極341の一部は、圧電体343の上部に位置しなくてもよい。第2電極342の全てが、圧電体343の下部に位置するが、第2電極342の一部は、圧電体343の下部に位置しなくてもよい。
各実施形態では、振動板33は第1絶縁層331と第2絶縁層332とを備えるが、振動板33は例えば第2絶縁層332が省略されてもよい。
第1実施形態では、第1電極341が共通電極であり、第2電極342が個別電極であったが、第1電極341が個別電極であり、第2電極342が共通電極であってもよい。また、第1電極341および第2電極342の双方が個別電極であってもよい。なお、第3実施形態における第2電極342Bおよび342Cについても同様である。
第1実施形態では、圧電素子34は、第2電極342と圧電体343と第1電極341とが積層した構造体であるが、第2電極342と圧電体343との間には、圧電素子34としての機能を損なわない程度に他の要素が介在していてもよい。同様に、第1電極341と圧電体343との間には、他の要素が介在していてもよい。なお、圧電素子34A、34Bおよび34Cについても同様である。
前述の実施形態では、液体吐出ヘッド26を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体吐出装置にも本発明を適用することが可能である。
前述の実施形態で例示した液体吐出装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を吐出する液体吐出装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
各実施形態で例示した圧電素子34、34A、34Bおよび34Cは、それぞれ、例えば、超音波発信機、超音波モーター、圧電トランス、圧電スピーカー、圧電ポンプ、圧力電気変換器等の機器に採用され得る。
3…アクチュエーター、12…媒体、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、26…液体吐出ヘッド、30…流路構造体、31…流路基板、32…圧力室基板、33…振動板、34…圧電素子、35…封止体、36…筐体部、38…第1配線、39…第2配線、41…ノズルプレート、42…吸振体、51…配線基板、100…液体吐出装置、242…搬送体、244…搬送ベルト、312…供給流路、314…連通流路、316…中継液室、320…壁面、331…第1絶縁層、332…第2絶縁層、340…素子部、341…第1電極、341B…第1電極、342…第2電極、342B…第2電極、342C…第2電極、343…圧電体、345…境界、361…供給口、381…第1導電層、382…第2導電層、3419…縁、3421…第1電極部、3422…第2電極部、3423…第1電極部、3424…第2電極部、3431…第1部分、3432…第2部分、3433…第1部分、3434…第2部分、3818…縁、3819…縁、A1…第1領域、A2…第2領域、C1…圧力室、G…切欠、La…第1列、Lb…第2列、N…ノズル、R…液体貯留室、Ra…空間、Rb…空間。
Claims (15)
- 液体吐出ヘッドであって、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることで前記圧電体から生じる圧力により液体を吐出する圧力室が設けられる圧力室基板と、を有し、
第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記圧電体の前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における圧電歪定数よりも小さいことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記第1領域の面積は、前記第2領域の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第1電極は、前記圧電体に積層され、
前記第1領域は、前記圧電体の厚さ方向からの平面視で、前記第1電極の縁と重なり、
前記第2領域は、前記平面視で前記圧力室と重なることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1電極は、前記圧電体に積層され、
前記第1電極における前記圧電体とは反対に積層され、前記第1電極に電圧を印加するための配線をさらに有し、
前記第1領域は、前記圧電体の厚さ方向からの平面視で、前記配線の縁と重なることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1領域における前記圧電体の厚さと、前記第2領域における前記圧電体の厚さとは、等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記第2領域における前記圧電歪定数の70%以上90%以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧電体は、TiとZrとを含む酸化物を有し、
前記第1領域における前記圧電体と前記第2領域における前記圧電体とでは、TiとZrとの比率が異なることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1領域における前記圧電体と前記第2領域における前記圧電体とでは、構成元素が異なることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体吐出ヘッドであって、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることで前記圧電体から生じる圧力により液体を吐出する圧力室が設けられる圧力室基板と、を有し、
第1領域における前記第2電極の材料と、前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における前記第2電極の材料とは、異なり、
前記第1領域における、前記第1電極または前記第2電極に所定電圧を印加した際の前記圧電体の変位は、前記第2領域における、前記第1電極または前記第2電極に前記所定電圧を印加した際の前記圧電体の変位よりも小さいことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - アクチュエーターであって、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、を有し、
第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記第1領域と異なる位置に位置する第2領域における前記圧電体の圧電歪定数よりも小さいことを特徴とするアクチュエーター。 - 前記第1領域における前記圧電体の厚さと、前記第2領域における前記圧電体の厚さは、等しいことを特徴とする請求項10に記載のアクチュエーター。
- 前記第1領域における前記圧電体の圧電歪定数は、前記第2領域における前記圧電歪定数の70%以上90%以下であることを特徴とする請求項10または11に記載のアクチュエーター。
- 前記圧電体は、TiとZrとを含む酸化物を有し、
前記第1領域における前記圧電体と前記第2領域における前記圧電体とでは、TiとZrとの比率が異なることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のアクチュエーター。 - 前記第1領域における前記圧電体と前記第2領域における前記圧電体とでは、構成元素が異なることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のアクチュエーター。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドの動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする液体吐出装置。
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