JP2018176627A - 液体噴射装置及び加圧クリーニングシステム - Google Patents

液体噴射装置及び加圧クリーニングシステム Download PDF

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昌幸 上島
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Abstract

【課題】加圧クリーニング時における液体の無駄な消費を抑制することができる液体噴射装置及び加圧クリーニングシステムを提供する。
【解決手段】液体噴射装置は、複数種の液体を複数のノズル26から噴射する液体噴射部28と、液体噴射部ごとに対応する複数の供給経路34と、供給経路ごとで開弁又は閉弁し、液体噴射部に供給される液体の圧力を調整可能な複数の圧力調整弁39と、供給経路を通じて圧力調整弁に供給される液体を加圧可能な加圧機構35と、圧力調整弁を開弁可能な開弁機構80と、を備え、開弁機構は、圧力調整弁ごとに対応して設けられ、対応する圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体噴射装置及び加圧クリーニングシステムに関する。
従来から、液体噴射部におけるノズルの目詰まり等の解消を目的として、液体供給源と液体噴射部とを接続する供給経路を介して液体噴射部側に液体を圧送し、加圧された液体をノズルから滲み出させる加圧クリーニングシステムを備えた液体噴射装置が知られている。加圧クリーニングシステムは、加圧ポンプと、圧力調整弁と、開弁機構とを備える。加圧ポンプは、液体噴射部から噴射される複数種の液体ごとに対応した複数の供給経路において液体供給源から圧力調整弁に供給される液体を加圧する。圧力調整弁は、複数の供給経路において加圧ポンプよりも液体噴射部側にそれぞれ設けられ、圧力調整弁よりも加圧ポンプ側の液体の圧力と液体噴射部側の液体の圧力との差圧に基づき開弁又は閉弁して、液体噴射部側に供給される液体の圧力を調整する。開弁機構は、加圧ポンプの駆動で圧力調整弁よりも加圧ポンプ側の液体の圧力が高められた状態において、閉弁状態の圧力調整弁を強制的に開弁することにより、加圧された液体を液体噴射部側に流動させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−240565号公報
ところで、従来の液体噴射装置では、複数の供給経路ごとに設けられた複数の圧力調整弁を、加圧クリーニング時に開弁機構により一斉に開弁させていた。そのため、液体噴射部が複数種の液体ごとに有する複数のノズルのうち、目詰まり等が生じているために加圧クリーニングが必要とされるノズルからだけでなく、目詰まり等が生じていないために実際には加圧クリーニングが不必要なノズルからも、加圧された液体が同様に滲み出ていた。したがって、そのような加圧クリーニングが不必要なノズルからも滲み出る分だけ、加圧クリーニング時に液体が無駄に消費されていた。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加圧クリーニング時における液体の無駄な消費を抑制することができる液体噴射装置及びそのような液体噴射装置が備える加圧クリーニングシステムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体噴射装置は、複数種の液体ごとに対応した複数のノズルから前記液体を噴射する液体噴射部と、前記液体ごとに対応した複数の液体供給源と前記液体噴射部における複数の前記ノズルとの間をそれぞれ接続する複数の供給経路と、前記供給経路ごとに設けられ、開弁又は閉弁することにより、前記液体噴射部に供給される前記液体の圧力を調整可能な複数の圧力調整弁と、前記供給経路を通じて前記液体供給源から前記圧力調整弁に供給される前記液体を加圧可能な加圧機構と、前記圧力調整弁を開弁可能な開弁機構と、を備え、前記開弁機構は、前記圧力調整弁ごとに対応して設けられ、対応する前記圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部を備える。
この構成によれば、開弁機構は、液体噴射部における複数のノズルのうち加圧クリーニングが必要とされるノズルに対応した供給経路に設けられた圧力調整弁だけを、開弁方向に駆動できる。すなわち、加圧クリーニングが不必要なノズルに対応した供給経路に設けられた圧力調整弁は開弁されず、加圧クリーニングが不必要なノズルからは加圧された液体が無駄に滲み出ることはない。したがって、加圧クリーニング時における液体の無駄な消費を抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記開弁機構は、エアを供給するエア供給部と、前記圧力調整弁ごとに対応して設けられ、前記エア供給部から供給されるエアの供給量に基づき、対応する前記圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部と、前記弁駆動部ごとに対応して設けられ、対応する前記弁駆動部に向けて前記エアを誘導可能な複数のエア誘導部と、前記エア供給部から供給される前記エアを複数の前記エア誘導部のうちから選択された前記エア誘導部に対して供給可能なエア選択部と、を備える。
この構成によれば、開弁機構において、エア供給部から供給されるエアは、複数のエア誘導部のうちエア選択部により選択されたエア誘導部を介して当該エア誘導部が対応する弁駆動部に供給される。そのため、液体噴射部における複数のノズルのうち加圧クリーニングが必要とされるノズルに対応した供給経路に設けられた圧力調整弁だけを、選択されたエア誘導部を介したエアの供給により開弁方向に駆動できる。すなわち、加圧クリーニングが不必要なノズルに対応した供給経路に設けられた圧力調整弁は開弁されず、加圧クリーニングが不必要なノズルからは加圧された液体が無駄に滲み出ることはない。したがって、加圧クリーニング時における液体の無駄な消費を抑制することができる。
上記液体噴射装置において、前記液体噴射部は、移動体に搭載されており、前記圧力調整弁及び前記開弁機構は、前記移動体上に設けられていることが好ましい。
供給されるエアの供給量に基づき圧力調整弁を開弁させる開弁機構において、エア供給部からエア選択部及びエア誘導部を介して弁駆動部にエアを供給するエア供給系は、圧力調整弁に対する距離が長い場合よりも短い場合の方が、圧力調整弁を開弁方向に駆動するエアの供給量も減衰し難くなる。この点、上記構成によれば、エア供給系を構成する開弁機構は、圧力調整弁と共に移動体上に設けられているので、圧力調整弁が設けられた移動体上に開弁機構が設けられていない場合よりも、圧力調整弁に対する距離が短くなり、圧力調整弁を効率よく開弁方向に駆動できる。
上記液体噴射装置において、前記エア選択部には、前記エア誘導部ごとに対応する複数のソレノイドが設けられ、前記エアは複数の前記ソレノイドのうち前記エア誘導部を選択するために励磁により駆動された前記ソレノイドと対応する前記エア誘導部を介して前記弁駆動部に誘導されることが好ましい。
この構成によれば、複数のソレノイドのうち、加圧クリーニングが必要とされるノズルに対応した供給経路上の圧力調整弁を開弁させる弁駆動部に向けてエアを誘導可能なエア誘導部と対応付けられたソレノイドを励磁により駆動することにより、閉弁状態の圧力調整弁を応答性よく開弁させることができる。
上記液体噴射装置において、前記ソレノイドは、永久磁石を備えたキープソレノイドであることが好ましい。
この構成によれば、キープソレノイドは、励磁により駆動された後において消磁により駆動停止されても永久磁石の吸着作用により、励磁により駆動されたときに複数のエア誘導部のうちから選択したエア誘導部の選択状態を省電力で維持できる。
上記液体噴射装置において、前記エア誘導部には、当該エア誘導部内を大気開放可能な大気開放部が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、例えば電源のオフ時等において、キープソレノイドにより選択状態が維持されたエア誘導部を大気開放させると、供給されるエアの供給量に基づき弁駆動部が圧力調整弁を開弁方向に駆動することもなくなる。そのため、圧力調整弁が開弁したままとなることを回避でき、液体が無駄にノズルから漏れ出ることを抑制できる。
上記液体噴射装置において、前記開弁機構には、選択された前記エア誘導部に対するエアの供給量を調整可能なエア調整部が設けられていることが好ましい。
供給経路を介して液体噴射部に供給される液体は、その種類によって液体の粘度が異なる場合があり、通常、高粘度の液体は低粘度の液体よりも流動性が低い。そのため、高粘度の液体を液体噴射部に供給する供給経路の圧力調整弁を、低粘度の液体を液体噴射部に供給する供給経路の圧力調整弁と同様の条件で開弁させた場合には、液体の流動性が低いために、高粘度の液体を噴射するノズルの加圧クリーニングに費やす時間が増大してしまう。この点、上記構成によれば、高粘度の液体を噴射するノズルに対応した供給経路上の圧力調整弁を開弁させる際に駆動される弁駆動部に向けてエアを誘導するエア誘導部に対するエアの供給量を相対的に大きくなるように調整すれば、時間当たりの液体の流動量を稼ぐことができるので、加圧クリーニングに費やす時間を短縮できる。
上記課題を解決する加圧クリーニングシステムは、複数種の液体ごとに対応した複数のノズルから前記液体を噴射する液体噴射部と、前記液体ごとに対応した複数の液体供給源と前記液体噴射部における複数の前記ノズルとの間をそれぞれ接続する複数の供給経路と、を備えた液体噴射装置における加圧クリーニングシステムであって、前記供給経路ごとに設けられ、開弁又は閉弁することにより、前記液体噴射部に供給される前記液体の圧力を調整可能な複数の圧力調整弁と、前記供給経路を通じて前記液体供給源から前記圧力調整弁に供給される前記液体を加圧可能な加圧機構と、前記圧力調整弁を開弁可能な開弁機構と、を備え、前記開弁機構は、エアを供給するエア供給部と、前記圧力調整弁ごとに対応して設けられ、前記エア供給部から供給されるエアの供給量に基づき、対応する前記圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部と、前記弁駆動部ごとに対応して設けられ、対応する前記弁駆動部に向けて前記エアを誘導可能な複数のエア誘導部と、前記エア供給部から供給される前記エアを複数の前記エア誘導部のうちから選択された前記エア誘導部に対して供給可能なエア選択部と、を備える。
この構成によれば、上記構成の液体噴射装置の場合と同様の作用効果を享受することができる。
液体噴射装置の一実施形態の概略構造を模式的に示す側面図。 加圧クリーニングシステムの概略構造を示す模式図。
以下、液体噴射装置及び液体噴射装置における加圧クリーニングシステムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、液体噴射装置11は、支持台12に支持された媒体の一例としてのシート13を支持台12の表面に沿って搬送方向Yに搬送させる搬送部14と、搬送されるシート13にインク等の液体を噴射して印刷を行う印刷部15とを備える。
支持台12、搬送部14及び印刷部15は、ハウジングやフレームなどによって構成される装置本体16に組み付けられている。なお、支持台12は、液体噴射装置11において、シート13の幅方向(図1では紙面と直交する方向)に延在している。また、装置本体16には、カバー17が開閉可能に取り付けられている。
搬送部14は、搬送方向Yにおける支持台12の上流側及び下流側にそれぞれ配置される搬送ローラー対18,19を備える。さらに、搬送部14は、搬送方向Yにおける搬送ローラー対19の下流側に配置されてシート13を支持しながら案内する案内板20を備える。そして、搬送部14は、搬送ローラー対18,19が搬送モーター(図示略)に駆動されてシート13を挟持しながら回転することにより、支持台12の表面及び案内板20の表面に沿ってシート13を搬送する。
印刷部15は、シート13の搬送方向Yと直交(交差)するシート13の幅方向となる走査方向Xに延設されたガイド軸22,23と、そのガイド軸22,23に案内されて走査方向Xに往復移動可能な移動体の一例であるキャリッジ25とを備える。なお、キャリッジ25はキャリッジモーター24(図2参照)の駆動に伴い走査方向Xに移動する。
キャリッジ25の下端部には、複数のノズル26が形成されたノズル形成面27を有する液体噴射部28が取り付けられている。液体噴射部28は、ノズル形成面27が鉛直方向Zにおいて支持台12と所定間隔をおいて対向する姿勢でキャリッジ25に取り付けられ、キャリッジモーター24の駆動に伴いキャリッジ25と共に走査方向Xに移動する。本実施形態では、一例として、二つの液体噴射部28が、走査方向Xに所定の間隔だけ離れ、且つ、搬送方向Yに所定の距離だけずれるように配置されている。なお、液体噴射部28における複数のノズル26からは、種類の異なる液体がそれぞれ噴射される。
また、走査方向Xにおいて液体噴射部28が搬送中のシート13と対峙しない非印刷領域(図1において支持台12よりも紙面と直交する方向で手前側となる領域)には、液体噴射部28をメンテナンスするためのメンテナンスユニット30(図2参照)が設けられている。メンテナンスユニット30は、液体噴射部28のノズル形成面27を払拭可能なワイパー30aと、上昇したときノズル26を囲うようにノズル形成面27に当接可能なキャップ30bとを備える。
キャリッジ25の上側には、液体供給源31から液体噴射部28に向けて液体(インク等)を供給する供給機構32の一部が取り付けられている。供給機構32は、液体供給源31側となる上流側から液体噴射部28側となる下流側に向かう供給方向Aに液体を流動させる。なお、液体供給源31と供給機構32は、液体噴射部28から噴射される液体の種類ごとに対応して複数(本実施形態では5つずつ)設けられている。
液体供給源31は、例えば液体を収容可能な収容容器であり、収容容器を交換することで液体を補給するカートリッジであってもよいし、開閉可能な補給口を有して装着部33に固定された収容タンクであってもよい。装着部33には、収容する液体の種類が異なる複数の液体供給源31を保持可能である。
液体供給源31に収容された液体が供給機構32を介して液体噴射部28に供給され、液体噴射部28から噴射されることにより、印刷部15においてカラー印刷や白黒印刷等が可能になっている。液体の一例としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト、シルバー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、オレンジ、グリーン、グレーなどの着色インク、及び、洗浄液などがあり、これら複数種の液体のうちから任意に選択することができる。
なお、複数種の液体のうち、ホワイトインクは、例えばシート13が透明又は半透明のフィルムであったり、濃色の媒体であったりした場合に、カラー印刷を行う前の下地印刷(ベタ印刷(塗り潰し印刷))などに使用される。本実施形態の液体噴射装置11では、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトの4色のインクと洗浄液とからなる複数種(この場合は5種)の液体が、種類の異なる液体ごとに対応させて液体噴射部28に設けた複数(例えば5つのノズル群)のノズル26からそれぞれ噴射される。
ところで、液体噴射部28の複数のノズル26から噴射される液体の種類が異なる場合には、それぞれの粘度も異なっていることがある。本実施形態においては、上記した4色のインクと洗浄液とからなる複数種の液体のうち、ホワイトインクが最も高粘度であり、次いでシアン、マゼンタ、イエローのカラーインクが中粘度であり、洗浄液が最も低粘度である。そのため、複数種の液体は供給機構32を介して液体供給源31から液体噴射部28側に流れるときの流動性に差が生じる。すなわち、高粘度のホワイトインクの流動性よりも中粘度のカラーインクの流動性の方がよく、また、中粘度のカラーインクの流動性よりも低粘度の洗浄液の流動性の方がよく、供給経路上での流動抵抗が小さい。
次に、液体噴射部28に液体(インク、洗浄液)を圧送することにより液体噴射部28におけるノズル26の目詰まりを解消する加圧クリーニングシステムについて説明する。
図2に示すように、供給機構32は、液体供給源31から液体噴射部28に液体を供給する供給経路34を備える。供給経路34には、液体噴射部28に向かう供給方向Aに液体を圧送可能な加圧機構35と、供給経路34に対して着脱可能に設けられたフィルターユニット36とが設けられている。さらに、供給経路34において、キャリッジ25の移動に伴って移動する範囲B(すなわち、キャリッジ25上)には、供給経路34を流れる液体の流れに変化(例えば、流れの方向転換や分割)を起こさせるスタティックミキサー37と、液体を貯留する液体貯留室38と、液体噴射部28に供給される液体の圧力を開弁又は閉弁して調整する圧力調整弁39とが設けられている。そして、液体噴射装置11は、キャリッジモーター24及び加圧機構35の駆動と、液体噴射部28からの液体の噴射とを制御する制御部40を備える。
供給経路34は、複数の供給経路41〜46により構成されている。第1供給経路41は、液体供給源31と加圧機構35とを接続し、第2供給経路42は、加圧機構35とフィルターユニット36の上流室48とを接続する。第3供給経路43は、フィルターユニット36の下流室49とスタティックミキサー37の上流端とを接続し、第4供給経路44は、スタティックミキサー37の下流端と液体貯留室38とを接続する。第5供給経路45は、液体貯留室38と圧力調整弁39とを接続し、第6供給経路46は、圧力調整弁39と液体噴射部28とを接続する。
加圧機構35は、ポンプ室の容積が可変のダイヤフラムポンプ50と、ダイヤフラムポンプ50よりも上流側の吸入弁51と、ダイヤフラムポンプ50よりも下流側の吐出弁52とを備えている。ダイヤフラムポンプ50は、例えばポンプ室の壁面の一部を構成する不図示の可撓性部材が付勢部材によりポンプ室の容積を減少させる方向に付勢された構造である。吸入弁51と吐出弁52は、液体供給源31側から液体噴射部28側に向かう供給方向Aへの液体の流れを許容すると共に、液体噴射部28側から液体供給源31側に向かう逆流方向への液体の流れを阻害する一方向弁として機能する。そのため、加圧機構35は、ダイヤフラムポンプ50のポンプ室の容積が増大するのに伴って液体供給源31側から吸入弁51を介して液体を吸引し、ポンプ室の容積が減少するのに伴って加圧された液体を液体噴射部28側へ吐出弁52を介して吐出する。
フィルターユニット36には、上流室48と下流室49とを仕切る供給源側フィルター53が設けられている。また、圧力調整弁39には、液体貯留室38よりも液体噴射部28側に設けられる噴射部側フィルター54が設けられている。さらに、供給経路34の下流端が接続される液体噴射部28には、噴射部内フィルター55が設けられている。これらのフィルターは、液体中の気泡や異物を捕捉する。また、液体噴射部28内には、噴射部内フィルター55を通過した液体が一時貯留される液室28aが設けられている。
スタティックミキサー37は、筒状ハウジング56と、筒状ハウジング56内に該筒状ハウジング56の軸方向に連設されたエレメントとしての複数の分断板57とにより構成され、連設される分断板57に、互いに逆転する捻りを加えた構造をなす。そして、液体が各分断板57を通過する毎に、通過する液体に新たな捩りと分割を付与することで、通過する液体を均一に混合する。
液体貯留室38は、供給経路34におけるスタティックミキサー37よりも液体噴射部28側に設けられ、供給経路34を介して流入した液体を貯留する。液体貯留室38は、その一部が可撓性部材58で形成されている。可撓性部材58は、例えば液体貯留室38の壁面の一部に開口を形成し、その開口を閉塞するように撓み変位可能なフィルム部材を溶着することによって形成することができる。そして、可撓性部材58は、液体貯留室38の容積を小さくする方向にばね59により付勢されている。なお、ばね59が可撓性部材58を介して液体を付勢する付勢力は、加圧機構35が液体を加圧する加圧力よりも小さくなるように設定されている。また、液体貯留室38において第4供給経路44の下流端は、第5供給経路45の上流端よりも鉛直方向Zの上方に接続されている。
圧力調整弁39は、噴射部側フィルター54により仕切られたフィルター室61と供給室62とを備える。さらに、圧力調整弁39は、供給室62と連通孔63を介して連通する圧力室64と、圧力室64と供給室62との間に配置されて連通孔63を塞ぐ閉弁方向とその反対の開弁方向に変位可能とされた弁体65と、弁体65を閉弁方向に付勢する付勢部材66とを備える。圧力室64は、付勢部材66の付勢方向において連通孔63と対向する壁面が圧力室64の容積を増減させる方向に撓み変形可能なダイヤフラム67により構成されている。
弁体65は、その一端(図2では右端)が供給室62内に位置すると共に、その他端(図2では左端)に形成された受圧部65aが圧力室64内に位置する状態で、その軸形状をなす中央部が連通孔63に挿通されている。そして、弁体65は、付勢部材66に付勢されることにより、その他端の受圧部65aが圧力室64内においてダイヤフラム67の内面(図2では右面)に常に接触している。そのため、ダイヤフラム67は、その内面側に圧力室64内の液体の圧力と付勢部材66の付勢力との合力である内面側圧力を受ける。一方、ダイヤフラム67は、その外面側(図2では左面側)に大気圧である外面側圧力を受ける。そして、ダイヤフラム67は、その内面側圧力と外面側圧力との差圧の変化に応じて撓み変形する。
図1及び図2に示すように、供給機構32は、液体が循環可能な循環経路68を供給経路34と協働して形成する分岐経路69を備える。分岐経路69は、その一端側が供給経路34における第2供給経路42に接続されると共に、その他端側が供給経路34における第6供給経路46よりも液体噴射部28側に接続されている。さらに、分岐経路69には、循環経路68内の液体を流動させる流動機構70が設けられている。
分岐経路69は、流動機構70と液体噴射部28内の液室28aとを接続する第1分岐経路71と、流動機構70と第2供給経路42とを接続する第2分岐経路72とにより構成されている。すなわち、循環経路68は、第2供給経路42、第3供給経路43、第4供給経路44、第5供給経路45、第6供給経路46、第1分岐経路71及び第2分岐経路72により構成されている。そして、循環経路68内には、フィルターユニット36、スタティックミキサー37、液体貯留室38、圧力調整弁39、液体噴射部28内の液室28a及び流動機構70が設けられている。なお、流動機構70は、例えばギヤポンプやダイヤフラムポンプとすることができ、循環経路68における液体の循環方向Fが、供給経路34において液体供給源31側から液体噴射部28側へ向かって液体が流れる供給方向Aと同じになるように液体を流動させる。また、制御部40は、流動機構70の駆動も制御する。
図2に示すように、供給機構32には、供給経路34ごとに設けられた圧力調整弁39を強制的に開弁可能な開弁機構80が、キャリッジ25の移動に伴って移動する範囲B(すなわち、キャリッジ25上)に設けられている。開弁機構80は、エアを供給するエア供給部81と、エア供給部81から供給されるエアの供給量に基づき、対応する圧力調整弁39が閉弁状態のときに当該圧力調整弁39を強制的に開弁方向に駆動する複数(本実施形態では5つ)の弁駆動部82とを備えている。そして、本実施形態では、上記の加圧機構35と圧力調整弁39と開弁機構80とにより、液体噴射装置11における加圧クリーニングシステムが構成されている。
エア供給部81は、例えばエアを加圧して出力可能なエアポンプ等により構成される。また、弁駆動部82は、例えばゴムや樹脂により風船状に形成され、エア供給部81から供給されるエアの供給量に応じて、図2に実線で示す状態から更に膨張可能である一方で、二点鎖線で示すように収縮可能とされている。すなわち、弁駆動部82は、その膨張状態において、閉弁状態にある圧力調整弁39の弁体65を付勢部材66の付勢力に抗して開弁方向に押圧することにより、圧力調整弁39を強制的に開弁する。なお、風船状の弁駆動部82は、その周りを覆う有底円筒形状のケーシング82aの底部に形成された貫通孔82bに、エア供給部81側から供給されるエアの受入口部82cが挿通されている。この受入口部82cと貫通孔82bとの間には隙間が存在するため、ケーシング82aの内部は大気圧である。なお、ケーシング82aは必ずしも設けなくてよい。
エア供給部81と弁駆動部82との間は、エア流路83とエア選択部84とエア誘導部85とを介して接続されている。エア流路83は、例えばパイプ等からなり、その上流端となる一端がエア供給部81に接続され、その下流端となる他端がエア選択部84に接続されている。エア選択部84は、その内部に分岐流路84aを有している。分岐流路84aは、その上流端となる一端がエア流路83に接続された所定長さの流路であって、その長さ方向の複数箇所(図2では5箇所)から分岐した複数(図2では5つ)の下流端が、弁駆動部82ごとに対応する複数(図2では5つ)のエア誘導部85に接続されている。
エア誘導部85は、例えばパイプ等からなり、その上流端となる一端がエア選択部84における分岐流路84aの分岐した下流端に接続され、その下流端となる他端が弁駆動部82の受入口部82cに接続されている。また、エア誘導部85の中途には、大気開放部86が設けられている。大気開放部86は、例えば電磁弁等からなる大気開放弁であり、制御部40により駆動される。弁駆動部82は、図2に実線で示す膨張状態のときに大気開放部86が大気開放動作することにより、図2に二点鎖線で示す収縮状態に変化する。
エア選択部84の分岐流路84aにおける複数(図2では5つ)の分岐箇所には、それぞれ切替弁84bが設けられている。これらの切替弁84bは、開弁することによりエア誘導部85に対して連通状態となり、閉弁することによりエア誘導部85に対して非連通状態となる。そして、本実施形態では、これら複数の切替弁84bごとに対応するように複数のソレノイド87が設けられている。これらのソレノイド87は、制御部40により動作状態が制御される。すなわち、ソレノイド87は、制御部40による制御に基づき、励磁により駆動されたときに切替弁84bを開弁させる一方、消磁により駆動停止されたときに切替弁84bを閉弁させる。
なお、本実施形態におけるソレノイド87は、永久磁石(図示略)を備えたキープソレノイドであることが好ましい。すなわち、ソレノイド87がキープソレノイドでない場合は、励磁により駆動されて切替弁84bを開弁状態にした後、その開弁状態を維持するにはソレノイド87が励磁により駆動され続けていることが必要になる。これに対し、ソレノイド87をキープソレノイドで構成した場合には、励磁により駆動されて切替弁84bを開弁状態にすると、その切替弁84bの開弁状態が永久磁石の吸着作用により維持される。そのため、例えば圧力調整弁39の開弁状態を維持させておきたい場合においても、ソレノイド87を励磁により駆動し続けておく必要がなくなり、この点で省電力に寄与できる。
また、ソレノイド87がキープソレノイドでない場合は、全てのソレノイド87を開弁状態にするような場合があるため、そのような状態に備えるよう大電力に耐えうる電源装置や制御回路を準備する必要があり、電源装置や制御回路が高コストとなってしまう。この点、ソレノイド87がキープソレノイドである場合は、全てのソレノイド87を開弁状態とする制御をしても、それら全てを励磁し続けるための電力が必要ではなくなるため、電源装置や制御回路のコストを低減させることができる。さらに、同時に励磁するキープソレノイドの数を全てのソレノイド87の数よりも少なくし、時間をずらして徐々に全てのキープソレノイドを励磁していくよう制御することで、一度に消費される電力を抑えることができる。その結果、電源装置や制御装置の耐電圧を下げることができるため、電源装置と制御回路のコストを低減させることができる。
また、ソレノイド87は、励磁と消磁との切り替えタイミングを調整することにより、切替弁84bの開弁時間を調整可能である。すなわち、ソレノイド87は、切替弁84bの開弁時間を調整することにより、エア供給部81からのエア選択部84の切替弁84bを介したエア誘導部85に対するエアの供給量を調整可能である。換言すると、ソレノイド87は、切替弁84bの開弁時間の調整を通じて、弁駆動部82による圧力調整弁39の開弁状態を調整することにより、圧力調整弁39を介して液体供給源31側から液体噴射部28側に流動する液体の流動量を調整可能とされている。この点で、ソレノイド87は、選択されたエア誘導部85に対するエアの供給量を調整可能なエア調整部として機能する。
次に、以上のように構成された液体噴射装置11及び加圧クリーニングシステムの作用について説明する。
さて、図2に示す状態において、液体噴射部28から液体が噴射されると、圧力調整弁39における圧力室64内に収容されている液体が第6供給経路46を介して液体噴射部28に供給されるため、圧力室64内の圧力が低下する。すると、ダイヤフラム67は、外面側圧力(大気圧)の方が、内面側圧力(圧力室64の内圧+付勢部材66の付勢力)よりも大きくなるため、その差圧に応じて圧力室64の容積を小さくする方向へ撓み変形する。そして、こうしたダイヤフラム67の変形に伴って弁体65が開弁方向(図2では右方向)に押圧されて移動することにより、圧力調整弁39は開弁状態となる。
また、圧力調整弁39において供給室62内の液体は加圧機構35により加圧されている。そのため、閉弁していた圧力調整弁39が開弁すると、供給室62から圧力室64に液体が流入し、圧力室64内の圧力が上昇する。すると、ダイヤフラム67は、内面側圧力(圧力室64の内圧+付勢部材66の付勢力)の方が、外面側圧力(大気圧)よりも大きくなるため、圧力室64の容積を増大させるように変形する。そして、このダイヤフラム67の変形に伴って弁体65が閉弁方向(図2では左方向)に移動することにより、圧力調整弁39は開弁状態から閉弁状態となり、液体が連通孔63を介して供給室62から圧力室64に流入するのを規制する。
その後、圧力調整弁39は、液体噴射部28からの液体の噴射に基づいてダイヤフラム67が外面側圧力と内面側圧力の差圧に応じて変形することにより、開弁状態と閉弁状態とを小刻みに切り替えて、液体噴射部28に供給される液体の圧力を調整し、ノズル26の背圧となる液体噴射部28内の圧力を調整する。
次に、液体噴射部28におけるノズル26の目詰まり等を解消する加圧クリーニングを行うときには、液体噴射部28における複数のノズル26のうち、その時点において加圧クリーニングが必要とされるノズル26だけに加圧クリーニングが行われる。すなわち、ユーザーによる操作パネル(図示略)等を用いた操作により加圧クリーニングを行う対象として選択されたノズル(以下、「選択ノズル」と称する。)26に対して液体を供給する供給経路34に設けられている加圧機構35のダイヤフラムポンプ50だけが制御部40の制御により駆動される。すると、ダイヤフラムポンプ50において加圧された液体が、供給経路34を下流側の圧力調整弁39に向けて流動し、圧力調整弁39の供給室62に流入する。そのため、弁体65が閉弁方向(図2では左方向)に移動し、その圧力調整弁(以下、「選択圧力調整弁」と称する。)39は閉弁状態となる。
すると次に、開弁機構80において、エア供給部81が駆動され、閉弁状態の選択圧力調整弁39と個別に対応する弁駆動部(以下、「選択弁駆動部」と称する。)82にエアが供給される。すなわち、エア選択部84における複数の切替弁84bのうち、選択弁駆動部82と対応する切替弁(以下、「選択切替弁」と称する。)84bが制御部40の制御により開弁される。なお、選択切替弁84bは、対応するソレノイド87が励磁により駆動されることにより開弁される。また、ソレノイド87がキープソレノイドである場合には開弁状態が永久磁石の吸着作用により維持される。すると、選択切替弁84bと選択弁駆動部82との間を接続するエア誘導部(以下、「選択エア誘導部」と称する。)85を介して、選択弁駆動部82にエア供給部81からの加圧されたエアが流入し、選択弁駆動部82が図2に示す状態よりも大きく膨張する。
すると、閉弁状態にあった選択圧力調整弁39は、大きく膨張した選択弁駆動部82により弁体65が押されて開弁方向に移動し、開弁状態となる。すなわち、閉弁状態の選択圧力調整弁39は、開弁機構80により強制的に開弁される。なお、この場合において、エア供給部81から弁駆動部82に至るエア供給系を構成する開弁機構80は、圧力調整弁39と共にキャリッジ25に搭載されているため、キャリッジ25に搭載されていない場合よりも、圧力調整弁39に対する距離を相対的に短くできる。したがって、開弁機構80において圧力調整弁39を開弁方向に駆動するエアの供給量が減衰するのを抑制でき、閉弁状態の選択圧力調整弁39は応答性よく開弁される。
そして、選択圧力調整弁39が開弁されると、加圧された液体が供給室62から連通孔63を介して圧力室64に流入し、その圧力室64から液体噴射部28の選択ノズル26に向けて流動する。そして、その選択ノズル26から加圧された液体を滲み出させることにより、加圧クリーニングを行う対象として選択された選択ノズル26についてだけ加圧クリーニングが行われる。その一方、その時点では目詰まり等がなくて加圧クリーニングが不必要なノズル26に対応した供給経路34に設けられている圧力調整弁39が強制的に開弁されることはない。そのため、そのような加圧クリーニングが不必要なノズル26から液体が滲み出て無駄に消費されるようなこともない。
ところで、ソレノイド87が永久磁石を備えたキープソレノイドであると、永久磁石の磁力を上回る逆方向への磁力が発生するように逆励磁されることがない限り、永久磁石の吸着作用により、電源のオフ時等においても選択切替弁84bは開弁状態が維持される。そのため、電源のオフ時等においても、選択切替弁84bが開弁している限り、選択エア誘導部85を介して選択弁駆動部82にはエア供給部81からの加圧されたエアの供給が続き、選択圧力調整弁39は強制的に開弁されたままとなる。すなわち、開弁状態の選択圧力調整弁39を介して液体噴射部28の選択ノズル26には液体が供給され続けることになり、そうなると選択ノズル26から液体が無駄に滲み出てしまう虞がある。そこで、停電等で電源が強制的に遮断された場合や電源のオフ時等にノズル26からの液体の滲み出しを抑制したい場合には、制御部40の制御により選択エア誘導部85に設けられた大気開放部86が大気開放動作させられる。その結果、キープソレノイド87により開弁状態に維持された選択切替弁84bと対応する選択エア誘導部85内が大気開放されるため、供給されるエアの供給量に基づき選択弁駆動部82が選択圧力調整弁39を開弁方向に駆動することもなくなる。
なお、キープソレノイドであるソレノイド87を励磁により駆動して選択切替弁84bを開弁状態にし、供給されるエアの供給量に基づき選択弁駆動部82により選択圧力調整弁39を開弁させた後、そのソレノイド87を逆励磁により逆方向に駆動して選択切替弁84bを閉弁状態に維持した状態で、エア供給部81の駆動を停止させることもある。そして、こうした場合において、選択切替弁84bが閉弁状態であり選択弁駆動部82が弁体65を押して加圧クリーニングを実施している最中に停電などで電源が強制的に遮断されたときには、選択切替弁84bが永久磁石の吸着作用により閉弁状態に維持されるため、選択ノズル26から液体が無駄に滲み出てしまう虞がある。そこで、このような停電や電源のオフ時においてノズル26からの液体の滲み出しを抑制したい場合にも、制御部40の制御により選択エア誘導部85に設けられた大気開放部86が大気開放動作させられる。その結果、キープソレノイド87の永久磁石により閉弁状態に維持された選択切替弁84bと対応する選択エア誘導部85内が大気開放されるため、選択弁駆動部82がエアの供給量に基づき選択圧力調整弁39を開弁方向に駆動することもなくなる。
また、大気開放部86はエア流路83に接続される構成でもよく、電源プラグがコンセントから抜け落ちたり停電が発生したりして電源が遮断されたときに、制御部がコンデンサー等に蓄えられた残電力で、大気開放部86を大気開放動作させ、全ての選択切替弁84bを開弁するようにしてもよい。こうすることにより、弁駆動部82の圧力がさがることによって弁体65が閉弁方向に移動して閉弁するため、圧力調整弁39が開弁したままとなることを回避でき、液体が無駄にノズルから漏れ出ることを抑制できる。
また、互いに粘度が異なる複数種の液体を噴射する複数のノズル26について、これらを一緒に加圧クリーニングするときには、それぞれのノズル26に対応した供給経路34上の圧力調整弁39を開弁させるときに駆動される弁駆動部82に向けてエアを誘導するエア誘導部85に対するエアの供給量が調整される。すなわち、加圧クリーニングの対象となるノズル26と圧力調整弁39及び弁駆動部82を介して対応するエア誘導部85に対して開弁時に連通する切替弁84bの開弁状態が調整される。ここで、複数種の液体のうち相対的に粘度が高い液体(例えばホワイトインク)を噴射するノズル26と圧力調整弁39等を介して対応する切替弁のことを、高粘度側切替弁と称する。一方、相対的に粘度が低い液体(例えばカラーインク、洗浄液)を噴射するノズル26と圧力調整弁39等を介して対応する切替弁のことを、低粘度側切替弁と称する。
互いに粘度が異なる複数種の液体のうち、相対的に粘度が高い液体は、相対的に粘度が低い液体よりも流動性が劣る。そのため、相対的に粘度が高い液体は、開弁状態の圧力調整弁39を通過して液体噴射部28のノズル26に至るまでに時間がかかり、そのノズル26の加圧クリーニングに費やす時間が長くなってしまう。そこで、こうした場合には、高粘度側切替弁84bの開弁時間(又は開弁回数)が低粘度側切替弁84bの開弁時間(又は開弁回数)よりも多くなるように、各切替弁84bと対応するソレノイド87を制御部40の制御により励磁及び消磁する。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)液体噴射部28における複数のノズル26のうち加圧クリーニングが必要とされるノズル26に対応した供給経路34に設けられた圧力調整弁39だけを、選択されたエア誘導部85を介したエアの供給により開弁方向に駆動できる。すなわち、加圧クリーニングが不必要なノズル26に対応した供給経路34に設けられた圧力調整弁39は開弁されず、加圧クリーニングが不必要なノズル26からは加圧された液体が無駄に滲み出ることはない。したがって、加圧クリーニング時における液体の無駄な消費を抑制することができる。
(2)エア供給部81から弁駆動部82に至るエア供給系を構成する開弁機構80は、圧力調整弁39と共にキャリッジ25上に設けられているので、圧力調整弁39と共にキャリッジ25上に設けられていない場合よりも圧力調整弁39に対する距離が短くなる。そのため、圧力調整弁39を開弁方向に駆動するためにエア供給系を通じて弁駆動部82に供給されるエアの供給量も減衰し難くなり、圧力調整弁39を効率よく開弁方向に駆動できる。
(3)複数のソレノイド87のうち、加圧クリーニングが必要とされるノズル26に対応した供給経路34上の圧力調整弁39を開弁させる弁駆動部82に向けてエアを誘導可能なエア誘導部85と対応付けられたソレノイド87を励磁により駆動することにより、閉弁状態の圧力調整弁39を応答性よく開弁させることができる。
(4)ソレノイド87がキープソレノイドである場合には、励磁により駆動された後において消磁により駆動停止されても永久磁石の吸着作用により、励磁により駆動されたときに複数のエア誘導部85のうちから選択したエア誘導部85の選択状態を省電力で維持できる。
(5)例えば電源のオフ時等において、キープソレノイド87により選択状態が維持されたエア誘導部85を大気開放させると、供給されるエアの供給量に基づき弁駆動部82が圧力調整弁39を開弁方向に駆動することもなくなる。そのため、圧力調整弁39が開弁したままとなることを回避でき、液体が無駄にノズル26から漏れ出ることを抑制できる。
(6)高粘度の液体を噴射するノズル26に対応した供給経路34上の圧力調整弁39を開弁させる弁駆動部82に向けてエアを誘導するエア誘導部85に対するエアの供給量を相対的に大きくなるように調整すれば、時間当たりの液体の流動量を稼ぐことができるので、加圧クリーニングに費やす時間を短縮できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・開弁機構80において、加圧クリーニング時に選択されたエア誘導部85に対するエア供給量を調整する場合、エア調整部としてのソレノイド87の励磁及び消磁を調整する以外に、切替弁84bの開度を調整することによりエア供給量を調整してもよい。
・エア誘導部85に設けられた大気開放部86は、電源のオフ時以外に電源のオン時に大気開放動作することにより、弁駆動部82による圧力調整弁39の開弁状態を解除するようにしてもよい。
・開弁機構80においてエア選択部84の切替弁84bを開弁させるときに励磁により駆動されるソレノイド87は、永久磁石を備えたキープソレノイドでなく、永久磁石を備えない通常のソレノイドであってもよい。
・開弁機構80は、液体噴射部28及び圧力調整弁39が搭載されたキャリッジ25上ではなく、キャリッジ25上以外の装置本体16内の一部に配置される構成であってもよい。
・加圧クリーニングシステムの一部を構成する加圧機構35は、供給経路34において圧力調整弁39よりも上流側であれば、例えばスタティックミキサー37が設けられた位置などに配置されていてもよい。
・開弁機構80において、弁駆動部82は、エア供給部81から供給されるエアの供給量で対応する圧力調整弁39の弁体65を開弁方向に駆動する構成であれば、ゴムや樹脂により風船状に形成された構成に限らず、エアシリンダーなどで構成されていてもよい。
・開弁機構80において、弁駆動部82は、ソレノイド87により圧力調整弁39の弁体65を直接押すことで当該弁体65を開弁方向に駆動する構成や、エア供給部81から供給されるエアを圧力調整弁39の弁体65に直接吹きかけることで当該弁体65を開弁方向に駆動する構成でもよい。
・開弁機構80において、エア選択部84における分岐流路84aの分岐箇所(切替弁84b)、エア誘導部85及び弁駆動部82の数は、実施形態における数(5つ)に限定されない。すなわち、液体噴射部28における複数種の液体を噴射する複数のノズル26と対応する数であればよく、5つ以外の複数(例えば4つ、6つ等)であってもよい。
・上記実施形態において、液体噴射装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、沈降性を有する含有物を含む液体であって、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。
11…液体噴射装置、12…支持台、13…シート、14…搬送部、15…印刷部、16…装置本体、17…カバー、18…搬送ローラー対、19…搬送ローラー対、20…案内板、22,23…ガイド軸、24…キャリッジモーター、25…キャリッジ(移動体)、26…ノズル、27…ノズル形成面、28…液体噴射部、28a…液室、30…メンテナンスユニット、30a…ワイパー、30b…キャップ、31…液体供給源、32…供給機構、33…装着部、34…供給経路、35…加圧機構、36…フィルターユニット、37…スタティックミキサー、38…液体貯留室、39…圧力調整弁、40…制御部、41…第1供給経路、42…第2供給経路、43…第3供給経路、44…第4供給経路、45…第5供給経路、46…第6供給経路、48…上流室、49…下流室、50…ダイヤフラムポンプ、51…吸入弁、52…吐出弁、53…供給源側フィルター、54…噴射部側フィルター、55…噴射部内フィルター、56…筒状ハウジング、57…分断板、58…可撓性部材、59…ばね、61…フィルター室、62…供給室、63…連通孔、64…圧力室、65…弁体、65a…受圧部、66…付勢部材、67…ダイヤフラム、68…循環経路、69…分岐経路、70…流動機構、71…第1分岐経路、72…第2分岐経路、80…開弁機構、81…エア供給部、82…弁駆動部、82a…ケーシング、82b…貫通孔、82c…受入口部、83…エア流路、84…エア選択部、84a…分岐流路、84b…切替弁、85…エア誘導部、86…大気開放部、87…ソレノイド(キープソレノイド)、A…供給方向、B…範囲、F…循環方向、X…走査方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。

Claims (8)

  1. 複数種の液体ごとに対応した複数のノズルから前記液体を噴射する液体噴射部と、
    前記液体ごとに対応した複数の液体供給源と前記液体噴射部における複数の前記ノズルとの間をそれぞれ接続する複数の供給経路と、
    前記供給経路ごとに設けられ、開弁又は閉弁することにより、前記液体噴射部に供給される前記液体の圧力を調整可能な複数の圧力調整弁と、
    前記供給経路を通じて前記液体供給源から前記圧力調整弁に供給される前記液体を加圧可能な加圧機構と、
    前記圧力調整弁を開弁可能な開弁機構と、を備え、
    前記開弁機構は、
    前記圧力調整弁ごとに対応して設けられ、対応する前記圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部を備えることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記開弁機構は、
    エアを供給するエア供給部と、
    前記圧力調整弁ごとに対応して設けられ、前記エア供給部から供給されるエアの供給量に基づき、対応する前記圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部と、
    前記弁駆動部ごとに対応して設けられ、対応する前記弁駆動部に向けて前記エアを誘導可能な複数のエア誘導部と、
    前記エア供給部から供給される前記エアを複数の前記エア誘導部のうちから選択された前記エア誘導部に対して供給可能なエア選択部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記液体噴射部は、移動体に搭載されており、前記圧力調整弁及び前記開弁機構は、前記移動体上に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記エア選択部には、前記エア誘導部ごとに対応する複数のソレノイドが設けられ、前記エアは複数の前記ソレノイドのうち前記エア誘導部を選択するために励磁された前記ソレノイドと対応する前記エア誘導部を介して前記弁駆動部に誘導されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体噴射装置。
  5. 前記ソレノイドは、永久磁石を備えたキープソレノイドであることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
  6. 前記エア誘導部には、当該エア誘導部内を大気開放可能な大気開放部が設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 前記開弁機構には、選択された前記エア誘導部に対するエアの供給量を調整可能なエア調整部が設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項6のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  8. 複数種の液体ごとに対応した複数のノズルから前記液体を噴射する液体噴射部と、前記液体ごとに対応した複数の液体供給源と前記液体噴射部における複数の前記ノズルとの間をそれぞれ接続する複数の供給経路と、を備えた液体噴射装置における加圧クリーニングシステムであって、
    前記供給経路ごとに設けられ、開弁又は閉弁することにより、前記液体噴射部に供給される前記液体の圧力を調整可能な複数の圧力調整弁と、
    前記供給経路を通じて前記液体供給源から前記圧力調整弁に供給される前記液体を加圧可能な加圧機構と、
    前記圧力調整弁を開弁可能な開弁機構と、を備え、
    前記開弁機構は、
    エアを供給するエア供給部と、
    前記圧力調整弁ごとに対応して設けられ、前記エア供給部から供給されるエアの供給量に基づき、対応する前記圧力調整弁を開弁方向に駆動可能な複数の弁駆動部と、
    前記弁駆動部ごとに対応して設けられ、対応する前記弁駆動部に向けて前記エアを誘導可能な複数のエア誘導部と、
    前記エア供給部から供給される前記エアを複数の前記エア誘導部のうちから選択された前記エア誘導部に対して供給可能なエア選択部と、
    を備えることを特徴とする加圧クリーニングシステム。
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