以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、歩行車の左側の部材には符号に「L」が付され、右側の部材には符号に「R」が付されているが、左右共通の部材を総称して「R」と「L」とを付さずに説明する場合もある。
[第1の実施の形態]
<歩行車100の概要>
まず、本実施の形態にかかる歩行車100の概要について説明する。図1は、本実施の形態にかかる歩行車100の使用時における全体構成を示す正面斜視図である。図2は、本実施の形態にかかる歩行車100の使用時における側面図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態にかかる歩行車100は、左右のハンドル部120L,120Rの間に、座面110と、背もたれ112と、バッグ150と、を搭載する。そして、歩行車100は、後述するように、左右方向に折りたたんだり、座面110を前方から上方に持ち上げてバッグ150を開放したり、ハンドル部120L,120Rの高さを調節したり、通常のブレーキや駐車ブレーキをかけたり、ティッピング用カバー160L,160Rを踏んで前輪107L,107Rを持ち上げたりすることができるものである。以下、本実施の形態にかかる歩行車100の各部について詳細に説明する。
<歩行車100の全体構成>
本実施の形態にかかる歩行車100の全体構成について説明する。図3は、本実施の形態にかかる座面110と背もたれ112とバッグ150とを乗り除いた状態の歩行車100の使用時における正面斜視図である。図4は、同じく背面斜視図である。図5は、同じく左側面図である。図6は、同じく正面図である。図7は、同じく背面図である。図8は、同じく平面図である。
図1〜図8を参照して、本実施の形態にかかる歩行車100は、主に、左右一対の縦フレーム101L,101Rと、左右一対の前輪107L,107Rと、左右一対の後輪108L,108Rと、主連結フレーム102L,102Rと、サブ連結フレーム105L,105R,106L,106Rと、座面110と、バッグ150と、左右一対のハンドル部120L,120Rと、高さ調節機構130L,130Rと、左右一対のブレーキ機構140L,140Rと、左右のティッピング用カバー160L,160Rとを備えている。
<歩行車100の走行用の構造について>
各縦フレーム101L,101Rは、鉄、アルミニウム、それらの合金、あるいは樹脂などで形成される。図9は各縦フレーム101L,101Rの側面図である。図9を参照して、各縦フレーム101L,101Rは側面視L字状の棒状部材である。そして、図10に示すように、各縦フレーム101L,101Rは断面視において略矩形の中空部材である。
図3〜図8に戻って、各縦フレーム101L,101Rの後部1011L,1011Rの後端には、後輪108L,108Rが枢支される。各縦フレーム101L,101Rの下部の前面には、前方に向けて前フレーム1012L,1012Rが溶接される。前フレーム1012L,1012Rの前端には、前輪107L,107Rが枢支される。本実施の形態においては、前輪107L,107Rの径が後輪108L,108Rの径よりも大きく構成されている。また本実施の形態においては、溶接個所と前フレーム1012L,1012Rとが前カバー103L,103Rに覆われる。
ここで、図4,5,7を参照して、本実施の形態にかかる後輪108L,108Rのティッピング構成について説明する。後輪108L,108Rを枢支する縦フレーム101L,101Rの後部1011L,1011Rには、後輪108L,108Rの上方を覆う位置までティッピング用のカバー160L,160Rが設けられる。カバー160L,160Rの上面には、靴で踏んだ際に靴が滑らないように複数の凸部160X、160Xが構成されている。
これによって、ユーザは、後輪108L,108Rの側部ではなく、後輪108L,108Rの上方のカバー160L,160Rを踏んで、ハンドル部120L,120Rを引っぱることによって、歩行車100の前輪107L,107Rを持ち上げることができる。その結果、歩行車100が道路の段差を乗り越えやすくなる。
本実施の形態においては、後輪108L,108Rにはブレーキ機構が設けられる。
<歩行車100の左右方向の折り畳みの構造について>
左右の縦フレーム101L,101Rの間には、2本の連結フレーム102L,102Rが正面視X字状に交わるように連結されている。より詳細には、第1の連結フレーム102Lは、左上から右下に向けて配置される。第1の連結フレーム102Lは、その下部で前方へと折れ曲がって右の前フレーム1012Rに枢支される。第1の連結フレーム102Lの上部は左の座面フレーム111Lに溶接される。
同様に、第2の連結フレーム102Rは、右上から左下に向けて配置される。第2の連結フレーム102Rは、その下部で前方へと折れ曲がって左の前フレーム1012Lに枢支される。第2の連結フレーム102Rの上部は右の座面フレーム111Rに溶接される。第1の連結フレーム102Lと第2の連結フレーム102Rとは、その中部において軸102Xを介して互いに枢支される。
以上のように構成したので、軸102Xで互いに回動しながら左右の連結フレーム102L,102Rを水平に横たわらせるようにすることによって、図3〜図8に示すように歩行車100を左右方向に開いて使用状態にできる。逆に、軸102Xで互いに回動させながら左右の縦フレーム101L,101Rを垂直に立てるようにすることによって、図11〜図15に示すように歩行車100を左右方向に閉じて折り畳み状態にすることができる。なお、図11は、本実施の形態にかかる座面110と背もたれ112とバッグ150とを乗り除いた状態の歩行車100の折り畳み時における正面斜視図である。図12は、同じく背面斜視図である。図13は、同じく正面図である。図14は、同じく背面図である。図15は、本実施の形態にかかる歩行車100の折り畳み時における写真である。
<歩行車100の座面110とバッグ150>
図16は、本実施の形態にかかる歩行車100の座面110を持ち上げた状態すなわちバッグ150を開放した状態を示す正面斜視図である。図17は、本実施の形態にかかるバッグ150を開放した状態の座面110とバッグ150の正面斜視図である。
図1、図2、図16、図17を参照して、本実施の形態においては、縦フレーム101L,101Rの間には、座面フレーム111L,111Rが取り付けられる。より詳細には、左の座面フレーム111Lは、第1の連結フレーム102Lに溶接される。そして、右の座面フレーム111Rは、第2の連結フレーム102Rに溶接される。
左右の座面フレーム111L,111Rそれぞれの前後方向の略中央部には、座面昇降フレーム113L,113Rの後端部が枢支される。左右の座面昇降フレーム113L,113Rそれぞれの底面は、座面フレーム111L,111Rの前部の上面に当接することによって、水平状態に保持される。
左右の座面フレーム111L,111Rの前部、より詳細には座面昇降フレーム113L,113Rが枢支されている位置よりも前方には、バッグ150の上端が取り付けられる。そして、左の座面フレーム111Lの後部と左の座面昇降フレーム113Lとには座面110の左端部が取り付けられ、右の座面フレーム111Rの後部と右の座面昇降フレーム113Rには座面110の右端部が取り付けられる。すなわち、座面110の前部110Aはバッグ150の蓋としても機能するし、座面110としても機能する。そして、本実施の形態においては、座面110はバッグ150よりも後方の位置、すなわち左右の座面フレーム111L,111Rの後部110Bまで延設される。
以上のように構成されているため、図1および図2に示すように、左右の座面昇降フレーム113L,113Rを下げて、それぞれの底面を座面フレーム111L,111Rの上面に当接させることによって、左右の座面昇降フレーム113L,113Rを水平状態に維持し、座面110の使用可能状態すなわちバッグ150を閉じた状態を実現する。そして、図16と図17に示すように、左右の座面昇降フレーム113L,113Rを上げて、すなわち座面110の前部110Aを前方から上方へと持ち上げて、左右の座面昇降フレーム113L,113Rの後端部を座面フレーム111L,111Rの上面に当接させることによって、左右の座面昇降フレーム113L,113Rを垂直状態に維持し、座面110の不使用状態すなわちバッグ150を開放した状態を実現する。
なお本実施の形態においては、座面110の前部110Aを前方から上方へ持ち上げても、座面110の後部110Bは水平状態のままである。そのため、バッグ150を開放しても、後述するように、フックを解除するためのベルトが引っ張られず、歩行車100が左右方向には折り畳まれない。
また、本実施の形態においては、座面110の前部に把持部110Xが形成される。これによって、ユーザは、把持部110Xを握ってバッグ150を開放しやすい。
<歩行車100のたわみを低減するための構造>
図18は、本実施の形態にかかる歩行車100の使用時における座面110の右下の部分の拡大斜視図である。図19は、本実施の形態にかかる使用時における歩行車100の正面図である。図20は、本実施の形態にかかる歩行車100を左右方向に折り畳み始めた状態を示す歩行車100の正面図である。
図18および図19を参照して、まず、歩行車100の右側の構成について説明する。右の縦フレーム101Rの上部には、左方向に向けて前ベース1041Rと後ベース1042Rとが前後方向に離れて立設される。前ベース1041Rと後ベース1042Rの間には軸109Rが枢支される。本実施の形態においては、座面110の使用状態においては、前ベース1041Rと後ベース1042Rそれぞれの上面に座面フレーム111Rが乗せられる。
本実施の形態においては、後ベース1042Rの下部と主連結フレーム102Rの上部とがサブ連結フレーム105R,106Rによって連結されている。サブ連結フレーム105R,106Rは、前後フレーム1051Rによって互いに固定されてもよいし、サブ連結フレーム105R,106Rと前後フレーム1051Rとが一体成型された樹脂部材であってもよい。サブ連結フレーム105R,106Rと前後フレーム1051Rとは平面視H字状に形成されて、座面110の使用状態において、主連結フレーム102Rの下部が前後フレーム1051Rの上面に当接し支持されるように構成されている。
一方、座面フレーム111Rには、縦フレーム101Rの左に位置する場所に、支持部材114Rが取り付けられる。支持部材114Rは、歩行車100の側面視において門型に形成されており、前リブ1141Rと後リブ1142Rとが形成されている。前リブ1141Rと後リブ1142Rの下部の間には軸115Rが枢支される。軸115Rには、フック116Rが枢支される。フック116Rには、下部の右側(歩行車100の外側)に軸109Rに引っかかるための凹部1161Rが形成され、下部の左側(歩行車100の内側)には穴1162Rが形成されてリング117Rが掛けられている。なお、フック116Rは、巻バネ118Rなどによって、軸109Rに引っかかる方向へ付勢されている。
特に本実施の形態においては、座面110の使用時に、支持部材114Rの前リブ1141Rと後リブ1142Rとフック116Rとが、前ベース1041Rと後ベース1042Rの間に嵌め込まれる。この状態で、巻バネ118Rの付勢力によってフック116Rが軸109Rに引っかかる。より詳細には、支持部材114Rの前リブ1141Rと後リブ1142Rとフック116Rとが、前ベース1041Rと後ベース1042Rの間に嵌め込まれた状態において、前リブ1141Rと前ベース1041Rとの隙間や後リブ1142Rと後ベース1042Rとの隙間は、0mm〜3mm程度であることが好ましく、0mm〜1mm程度であればさらに好ましく、0mm〜0.5mm程度であればさらに好ましい。
本実施の形態においては、歩行車100の左側の構成についても、右側のそれと同様であるため、ここではそれらの説明を繰り返さない。そして、右側のリング117Rと左側のリングとがベルト119などのひも状部材でつながれる。ベルト119の中央部は、座面110の後部110Bの切込みから座面110の上方まで達している。より詳細には、ベルト119は、右のフック116Rから、座面110の右の切込み、座面110の上方、座面110の左の切込みを通って、左のフック116Lまで達する。なお、ユーザがベルト119を上方に引っ張ると座面110の後部110Bが上方に引っ張られる構成であってもよいし、座面110の後部110Bを上方に引っ張るとベルト119が上方に引っ張られる構成であってもよい。
以上のように構成されているので、ユーザがベルト119または座面110の後部110Bを上方に引っ張ると、図20に示すように、左右のリング117L,117Rがベルト119によって歩行車100の内側に引っ張られる。これによって、左右のフック116L,116Rの下部が歩行車100の中央に向けて引っ張られて、フック116L,116Rが縦フレーム101L,101R側の軸109Rから外れる。そして、そのままベルト119と座面110とによってフック116L,116Rおよび座面フレーム111L,111Rが上方に引き上げられ、連結フレーム102L,102Rが左右方向に折り畳まれて、歩行車100全体が左右方向に折り畳まれる。
<ハンドル部120L,120Rの高さ調節機構>
図21は、本実施の形態にかかる歩行車100のハンドル部120L,120Rを高くした状態の正面斜視図である。図22は、本実施の形態にかかる歩行車100のハンドル部120L,120Rを高くした状態の側面図である。
図3、図4、図21、図22を参照して、本実施の形態にかかる歩行車100に関しては、縦フレーム101L,101Rのそれぞれの上方から上フレーム121L,121Rが内挿される。上フレーム121L,121Rのそれぞれの上端にはハンドルベース122L,122Rが取り付けられる。ハンドルベース122L,122Rそれぞれの後部には、ハンドルフレーム123L,123Rが取り付けられる。なお、ハンドルベース122L,122Rのそれぞれとハンドルフレーム123L,123Rのそれぞれとは、一体成型されてもよい。ハンドルフレーム123L,123Rのそれぞれには、グリップ124L,124Rが被せられる。
なお、本実施の形態においては、左の上フレーム121Lと左のハンドルベース122Lと左のハンドルフレーム123Lと左のグリップ124Lとを合わせて左のハンドル部120Lと言い、右の上フレーム121Rと右のハンドルベース122Rと右のハンドルフレーム123Rと右のグリップ124Rとを合わせて右のハンドル部120Rと言う。
本実施の形態においては、縦フレーム101L,101Rの上端に高さ調節機構130L,130Rが取り付けられる。高さ調節機構130L,130Rは、縦フレーム101L,101Rに挿入される上フレーム121L,121Rの程度を調節するための機構である。左側の高さ調節機構130Lと右側の高さ調節機構130Rの構成は、同様であるため以下では、右側の高さ調節機構130Rについて説明する。なお、説明のため、高さ調節機構130に関するRとLの符号は省略する。図23は、本実施の形態にかかるハンドルの高さ調節機構130の近傍の一部断面側面図である。
図23を参照して、縦フレーム101Rには、上方から上フレーム121Rが内挿される。上フレーム121Rの後部には、高さ方向に複数の調節孔1211,1212,1213,1214,1215、1216が形成されている。
縦フレーム101Rの上部には、上フレーム121Rの周囲を囲うように調節ケース139が取り付けられる。調節ケース139は、その後部の内側に、調節孔1211R・・・に挿入可能なピン132と、水平部材133と、上下部材134と、付勢部材135と、操作レバー131の前端部とが収納される。なお、水平部材133は、ピン132と一体となって、調節ケース139の内側を前後方向にスライド可能である。そして、水平部材133の前面133Zは、上フレーム121Rの外周面に面接触できる形状に形成されていることが好ましい。
上下部材134は上下方向にスライド可能である。水平部材133は、上下部材134の動きに合わせて前後方向にスライドする。より詳細には、上下部材134が上方へ移動すると水平部材133が前方へ移動するように構成され、上下部材134が下方へ移動すると水平部材133が後方へ移動するように構成されている。また本実施の形態においては、上下部材134は、付勢部材135によって下方から上方へ付勢されている。
操作レバー131の前端部には、上当接部131Xや下当接部131Yが形成され、上下部材134の上部の水平面や中部の斜面に当接可能に構成されている。そして、操作レバー131の後部が上方へ持ち上げられると上当接部131Xによって上下部材134が下降し、操作レバー131の後部が下方へ押されると下当接部131Yによって上下部材134が上昇するように構成されている。
このように構成されているため、本実施の形態においては、図23に示すように、操作レバー131の下部が後上方に持ち上げられると、操作レバー131の上当接部131Xが付勢部材135に抗して、上下部材134を下へ押し下げる。すると、図24に示すように、上下部材134の斜めの面が水平部材133の後部の斜めの面を下方に押し下げることにより、水平部材133とピン132とが後方にスライドする。これによって、ピン132が調節孔1214から抜けて、上フレーム121Rが高さ調節機構130や縦フレーム101Rに対して上下方向にスライド可能になる。この状態で、ユーザは、上フレーム121Rを所望の高さに調節する。
上フレーム121Rが所望の高さに到達し、ユーザが操作レバー131から手を放すと、付勢部材135によって上下部材が上昇する方向に付勢され、上下部材134の斜めの面が水平部材133の後部の斜めの面を上方に押し上げ、水平部材133とピン132とが前方に付勢される。ピン132と調節孔1211R・・・との高さが一致していない場合は、上フレーム121Rの外周に当たるためピン132は調節孔1211R・・・に入れない。
ユーザが上フレーム121Rの高さを少し変えて、ピン132の高さがいずれかの調節孔1211R・・・の高さに一致すると、付勢部材135の付勢力によって、図25に示すように、上下部材134がさらに上昇し、上下部材134の斜めの面が水平部材133の後部の斜めの面を上方に押し上げることにより、水平部材133とピン132とが前方にスライドする、すなわちピン132が調節孔1211R・・・に入り込んで、上フレーム121Rが高さ調節機構130や縦フレーム101Rに対して固定される。
この状態で、ユーザが操作レバー131の下部を前方に押し込むと、図26に示すように、操作レバー131の下当接部131Yによって上下部材134がさらに上へ押し上げられ、上下部材134の下側の斜めの面が水平部材133の後部の下側の斜めの面を上方に押し上げることにより、水平部材133とピン132とがさらに前方にスライドする。これによって、上下部材134の前面が水平部材133の後面を前方に押し付ける。その結果、水平部材133の前面133Zが上フレーム121Rの後面を前方に押す、すなわち水平部材133が上フレーム121Rを縦フレーム101Rの内面に押し付けることになり、上フレーム121Rの縦フレーム101Rに対するガタツキが防止される。
<ブレーキ機構>
次に、図27と図28とを参照して、本実施の形態にかかるブレーキ機構140Lについて説明する。図27は、本実施の形態にかかる歩行車100のブレーキ機構140Lの組み立て構成を示す斜視図である。図28は、本実施の形態にかかる歩行車100のブレーキ機構140Lのカバー148Lの内側を示す側面図である。なお、以下では、歩行車100の左側のブレーキ機構140Lについて説明するが、歩行車100の右側のブレーキ機構140Rについても同様の構成を有するため、ここでは説明を繰り返さない。
ブレーキ機構140Lは、主に、ハンドルベース122Lと、ブレーキレバー141Lと、ワイヤー145Lと、回動ピン147Lと、カバー148L,149Lとから構成される。なお、ブレーキワイヤー145Lから先の後輪108L,108R周辺の構成、たとえばブレーキシューやアジャスターなどのブレーキ本体143L,143Rなどに関しては通常のものと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
また、ブレーキは、後輪108L,108Rにかけるものであってもよいし、前輪107L,107Rにかけるものであってもよいし、タイヤの内側から外側に向けて押し付けるものであってもよいし、タイヤの外側から内側に押し付けるものであってもよいし、タイヤの側方に押し付けるものであってもよいし、ディスクブレーキであってもよい。
ブレーキレバー141Lは、基部側、換言すればカバー148L,149Lで隠れる部分、さらに換言すればハンドルベース122Lの側方に位置する部分、が幅広に構成されている。基部側には、回動ピン147Lが通されるハート型のスリット141Xが形成されている。また、基部側の前上部には通常ブレーキ時に支点として利用される凸部141Yが形成され、基部側の後下部には駐車ブレーキ時に支点として利用される当接部141Zが形成される。そして、基部側の前下部にはブレーキワイヤー145Lが取り付けられる。なお、ブレーキワイヤー145Lのブレーキレバー141Lへの取り付け方法も特に限定するものでなく、ブレーキワイヤー145Lの端部の金具をブレーキレバー141Lの前端部の長穴に嵌め込んでもよいし、ブレーキワイヤー145Lの端部をブレーキレバー141Lのフックなどに直接的に取り付けてもよい。
ハンドルベース122Lは、ワイヤー145Lが通される孔122Aと回動ピン147Lが貫通する孔122Xとが形成される。ハンドルベース122Lの前上部には、通常ブレーキ時にブレーキレバー141Lの凸部141Yを支持するための凹部122Yが形成される。ハンドルベース122Lの後下部には、駐車ブレーキ時にブレーキレバー141Lの当接部141Zが当接される側面視略直角の当接部122Zが形成される。
そして、ブレーキレバー141Lのスリット141X内に、ハンドルベース122Lの孔122Xを貫通した回動ピン147Lが位置するように、ブレーキレバー141Lがハンドルベース122Lに枢支される。ハンドルベース122Lとブレーキレバー141Lの基部とは、カバー148L,149Lによって覆われる。
このように構成されるので、通常ブレーキ時に、ユーザが、ワイヤー145Lの付勢力に抗して、ブレーキレバー141Lの後部に上方への力をかけると、図29に示すように、ブレーキレバー141Lの凸部141Yがハンドルベース122Lの凹部122Yに嵌って、凹部122Yを中心にブレーキレバー141Lの後部が上方へ回動する。これによって、ワイヤー145Lが引っ張られて、後輪108L,108Rに制動力が生じる。なお、ユーザがブレーキレバー141Lから手を放すと、ワイヤー145Lに引っ張られてブレーキレバー141Lの後部が下方へ回動する。
一方、駐車ブレーキ時には、ユーザが、ワイヤー145Lの付勢力に抗して、ブレーキレバー141Lを下方へ押し下げる。このとき、図30に示すように、ブレーキレバー141Lの当接部141Zがハンドルベース122Lの当接部122Zに当たって、当接部122Zを軸にしてブレーキレバー141Lの後部が下方へ回動する。これによって、ワイヤー145Lが引っ張られて、後輪108L,108Rに制動力が生じる。
より詳細には、ブレーキがかかっていない状態から駐車ブレーキがかかった状態までの間に、スリット141Xが回動ピン147Lに規制された状態でブレーキレバー141Lが移動するので、すなわち回動ピン147Lがスリット141Xに沿って相対的に移動するので、ワイヤー145Lが駐車ブレーキ状態よりも引っ張られる状態を乗り越えて駐車ブレーキ状態に達することになる。これによって、ユーザが手を放しても、当該状態を乗り越えずに、ブレーキがかかったままの状態で維持される。
[第2の実施の形態(ハンドルが異なる形態)]
第1の実施の形態においては、図3に示したように、ハンドルフレーム123L,123Rに円筒系のグリップ124L,124Rを装着するものであった。しかしながら、このような形態には限られない。たとえば、ユーザが、歩行車100による歩行中に握りやすく、しかも後ろを向いて座面110に腰かける際にも握りやすいグリップを利用することが好ましい。以下では、歩行車100の左側のグリップに関して説明するが、右側のグリップの構成も同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
図31は、本実施の形態にかかる歩行車100の正面斜視図である。図32は、本実施の形態にかかる歩行車100の平面図である。図33は、本実施の形態にかかる左のグリップ224Lの平面図である。図31と図32と図33に示すように、本実施の形態にかかるグリップ224Lは、その前後中央部2241が、歩行車100の内側方向に大きく隆起している。そして、グリップ224Lは、その後部2242が、歩行車100の内側方向に小さく隆起している。
これによって、ユーザが、歩行車100での歩行中には、親指を前方から中央部2241の隆起部に当接することができるため、グリップ224Lを握りやすい。一方、座面110に座る際には、ユーザは、後部2242の隆起と中央部2241の隆起の間に親指を配置することができるため、グリップ224Lを握りやすい。
[第3の実施の形態(たわみ低減構造が異なる形態)]
上記の実施の形態においては、図18に示したように、座面フレーム111L,111R側のフック116L,116Rが縦フレーム101L,101R側の軸109Rにかけられるものであった。しかしながら、このような形態には限られない。
図34は、本実施の形態にかかる歩行車100の使用時における座面110の右下の部分の拡大斜視図である。図35は、本実施の形態にかかる歩行車100の使用時における歩行車100の正面図である。図36は、本実施の形態にかかる歩行車100の左右を折り畳み始めた状態の歩行車100の正面図である。
図34および図35を参照して、まず、歩行車100の右側の構成について説明する。右の縦フレーム101Rの上部には、左方向に向けて前ベース1041Rと後ベース1042Rとが前後方向に離れて固設される。前ベース1041Rと後ベース1042Rの間には軸109Rが枢支される。そして、本実施の形態においては、縦フレーム101Rの軸109Rにフック216Rが枢支される。
より詳細には、本実施の形態においては、フック216Rは、歩行車100の外側から後述する座面フレーム111R側の軸115Rに引っかけられる。そして、フック216Rの下部にリング117Rが取り付けられる。なお、フック216Rは、巻バネ218Rなどによって、軸115Rに引っかかる方向へ付勢されている。
座面フレーム111Rには、縦フレーム101Rの左に位置する場所に、支持部材114Rが取り付けられる。支持部材114Rは、歩行車100の側面視において門型に形成されており、前リブ1141Rと後リブ1142Rとが形成されている。前リブ1141Rと後リブ1142Rの下部の間には軸115Rが枢支される。本実施の形態においては、フック216Rが右側から当該軸115Rに引っかけられる。フック216Rが軸115Rに引っかけられた状態において、フック216Rと前リブ1141Rとの隙間、前リブ1141Rと前ベース1041Rとの隙間、フック216Rと後リブ1142Rとの隙間、後リブ1142Rと後ベース1042Rとの隙間は、0mm〜3mm程度であることが好ましく、0mm〜1mm程度であればさらに好ましく、0mm〜0.5mm程度であればさらに好ましい。
歩行車100の左側の構成は、右側の構成と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。そして、右側のリング117Rと左側のリングとがベルト119でつながれる。そして、ベルト119と座面110とが少なくとも一部で連結されている。
以上のように構成されているので、ユーザが座面110またはベルト119を上方に引っ張ると、図36に示すように、左右のリング117L,117Rを介して左右のフック216L,216Rの下部が歩行車100の中央に向けて引っ張られ、フック216L,216Rが座面フレーム111L,111R側の軸115Rから外れる。そして、座面フレーム111L,111Rが上方に引き上げられ、連結フレーム102L,102Rが折り畳まれて、歩行車100全体が左右方向に折り畳まれる。
[第4の実施の形態(たわみ低減構造が異なる形態)]
なお、フックをかける構成は、このような形態のものには限られず、たとえば、図37に示すように、支持部材自体が軸109Rにかかるための凹部を有するフック314Rであってもよい。換言すれば、フック314Rが支持部材であってもよい。フック314Rは、巻バネ318Rなどによって、軸109Rに引っかかる方向へ付勢されている。
なお、この場合もフック314Rが、前ベース1041Rと後ベース1042Rに挟まれることが好ましい。
[第5の実施の形態(たわみ低減構造が異なる形態)]
上記の実施の形態においては、歩行車100の左右両側において、フック116L,116Rや前ベース1041Rや後ベース1042Rなどのたわみ防止機構を有するものであった。しかしながら、このような形態には限られない。すなわち、歩行車100の右側のみにおいて、フック116Rや前ベース1041Rや後ベース1042Rなどのたわみ防止機構を有してもよい。逆に、歩行車100の左側のみにおいて、フック116Lや前ベースや後ベースなどのたわみ防止機構を有してもよい。
さらには、上記の実施の形態においては、フック116L,116Rや支持部材114Rを、前ベース1041Rや後ベース1042Rで前後方向から挟み込む構成としていた。あるいは、フック216Rを支持部材114Rで前後方向から挟み込む構成としていた。しかしながら、前ベース1041Rによってフック116L,116Rや支持部材114Rの前方向への移動を規制したり、後ベース1042Rによってフック116L,116Rや支持部材114Rの後方向への移動を規制したりしてもよい。あるいは支持部材114Rの前リブ1141Rによってフック216Rの前方向への移動を規制したり、支持部材114Rの後リブ1142Rによってフック216Rの後方向への移動を規制したりしてもよい。すなわち前後いずれかの相対的な移動を抑制するものであればよい。
このように、座面110の使用時に、座面フレーム111L,111R側の部材と、縦フレーム101L,101R側の部材とが、正面視において重なるように構成されたり、一方が他方に前後方向から挟まれるように構成されることによって、相対的な移動を制限できることが好ましい。
[第6の実施の形態(高さ調節機構が異なる形態)]
ハンドルの高さ調節機構130R,130Lに関しても、図21のような、第1の実施の形態のものには限られない。たとえば、上下部材と水平部材とが1つの部材であってもよい。本実施の形態においても、縦フレーム101L,101Rの上端に高さ調節機構130L,130Rが取り付けられる。左側の高さ調節機構130Lと右側の高さ調節機構130Rの構成は、同様であるため以下では、右側の高さ調節機構130Rについて説明する。なお、説明のため、高さ調節機構130に関するRとLの符号は省略する。
図38は、本実施の形態にかかるハンドルの高さ調節機構130の近傍の一部断面側面図である。図38を参照して、縦フレーム101Rには、上方から上フレーム121Rが内挿される。上フレーム121Rの後部には、高さ方向に複数の調節孔1211,1212,1213,1214,1215、1216が形成されている。
縦フレーム101Rの上部には、上フレーム121Rの周囲を囲うように調節ケース139が取り付けられる。調節ケース139は、その後部の内側に、調節孔1211・・・に挿入可能なピン132と、水平部材233と、付勢部材235と、操作レバー231の前端部が収納される。なお、水平部材233は、ピン132と一体となって、調節ケース139の内側を前後方向にスライド可能である。特に、水平部材233の前面233Zは、上フレーム121Rの外周面に面接触できる形状に形成されていることが好ましい。
本実施の形態にかかる水平部材233は、付勢部材235によって後方から前方へ付勢されている。水平部材233は、後部に上下方向のスリット233Xが形成されている。操作レバー231の前端は、スリット233Xに差し込まれている。
このように構成されているため、本実施の形態においては、図38に示すように、操作レバー231の下部が後上方に持ち上げられると、操作レバー231の前端が下方かつ後方へ移動する。それによって、図39に示すように、水平部材233のスリット233Xが後方へひっぱられて、付勢部材235に抗して、水平部材233とピン132とが後方にスライドする。これによって、上フレーム121Rが高さ調節機構130や縦フレーム101Rに対して上下方向にスライド可能になる。この状態で、ユーザは、上フレーム121Rを所望の高さに調節する。
上フレーム121Rが所望の高さに到達し、ユーザが操作レバー231から手を放すと、図40に示すように、付勢部材135によって水平部材233とピン132とが前方に付勢される。ピン132と調節孔1211・・・との高さが一致していない場合は、ピン132は、上フレーム121Rの外周に当たり、調節孔1211・・・には入れない。
ユーザが上フレーム121Rの高さを少し変えて、ピン132の高さがいずれかの調節孔1211・・・の高さに一致すると、付勢部材235の付勢力によって、水平部材233とピン132とが前方にスライドする、すなわちピン132が調節孔1211・・・に入り込んで、上フレーム121Rが高さ調節機構130や縦フレーム101Rに対して固定される。
この状態で、ユーザが操作レバー231の下部を前方に押し込むと、図41に示すように、操作レバー231の前端部が前上方へ押し込まれ、水平部材233のスリット233Xが前方へ押され、水平部材233とピン132とがさらに前方にスライドする。これによって、水平部材233の前面233Zが上フレーム121Rの後面を前方に押す、すなわち水平部材233が上フレーム121Rを縦フレーム101Rの内側の前面に押し付けることになる。その結果、上フレーム121Rの縦フレーム101Rに対するガタツキが防止される。
[第7の実施の形態(高さ調節機構が異なる形態)]
上記の実施の形態においては、図21に示すように、操作レバー131,231を回動させることによってハンドル部120L,120Rの高さ調整するものであった。しかしながら、このような形態には限られない。本実施の形態においても、縦フレーム101L,101Rの上端に高さ調節機構130L,130Rが取り付けられる。左側の高さ調節機構130Lと右側の高さ調節機構130Rの構成は同様であるため以下では、右側の高さ調節機構130Rについて説明する。なお、説明のため、高さ調節機構130に関するRとLの符号は省略する。
図42は、本実施の形態にかかるハンドルの高さ調節機構130の近傍の一部断面側面図である。図42を参照して、縦フレーム101Rには、上方から上フレーム121Rが内挿される。上フレーム121Rの後部には、高さ方向に複数の調節孔1211,1212,1213,1214,1215、1216が形成されている。
縦フレーム101Rの上部には、上フレーム121Rの周囲を囲うように調節ケース139が取り付けられる。調節ケース139は、その後部の内側に、調節孔1211・・・に挿入可能なピン132と、水平部材133と、上下レバー331と、付勢部材135とが収納される。なお、水平部材133は、ピン132と一体となって、調節ケース139の内側を前後方向にスライド可能である。特に、水平部材133の前面133Zは、上フレームの外周面に面接触できる形状に形成されていることが好ましい。
本実施の形態にかかる上下レバー331は後部が調節ケース139から後方へ突出して、ユーザが当該突出部を上下に操作できるように構成されている。上下レバー331は、水平部材133の動きに合わせて上下方向にスライド可能である。より詳細には、上下レバー331が上方へ移動すると水平部材133が前方へ移動するように構成され、上下レバー331が下方へ移動すると水平部材133が後方へ移動するように構成されている。上下レバー331は、付勢部材135によって下方から上方へ付勢されている。
このように構成されているため、本実施の形態においては、図42に示すようにユーザによって付勢部材135に抗して上下レバー331が下方にスライドされると、図43に示すように、上下レバー331の斜めの面が水平部材133の後部の斜めの面を下方に押し下げることにより、水平部材133とピン132とが後方にスライドする。これによって、上フレーム121Rが高さ調節機構130や縦フレーム101Rに対して上下方向にスライド可能になる。この状態で、ユーザは、上フレーム121Rを所望の高さに調節する。
上フレーム121Rが所望の高さに到達し、ユーザが上下レバー331から手を放すと、付勢部材135によって上下レバー331が上昇する方向に付勢され、上下部材134の斜めの面が水平部材133の後部の斜めの面を上方に押し上げて、水平部材133とピン132とが前方に付勢される。ピン132と調節孔1211・・・との高さが一致していない場合は、ピン132は、上フレーム121Rの外周に当たって、調節孔1211・・・に入れない。
ユーザが上フレーム121Rの高さを少し変えて、ピン132の高さがいずれかの調節孔1211・・・の高さに一致すると、付勢部材135の付勢力によって、図44に示すように、上下レバー331が上昇し、上下レバー331の斜めの面が水平部材133の後部の斜めの面を上方に押し上げることにより、水平部材133とピン132とが前方にスライドする、すなわちピン132が調節孔1211・・・に入り込んで、上フレーム121Rが高さ調節機構130や縦フレーム101Rに対して固定される。
この状態で、ユーザが上下レバー331をさらに上方に押し込むと、図45に示すように、上下レバー331の下側の斜めの面が水平部材133の後部の下側の斜めの面を上方に押し上げることにより、水平部材133とピン132とがさらに前方にスライドする。これによって、上下レバー331の前面が水平部材133の後面を前方に押し付ける。その結果、水平部材133の前面133Zが上フレーム121Rの後面を前方に押す、すなわち水平部材133が上フレーム121Rを縦フレーム101Rの内側の前面に押し付けることになる。その結果、上フレーム121Rの縦フレーム101Rに対するガタツキが防止される。
[第8の実施の形態(ブレーキ機構が異なる形態)]
上記の実施の形態においては、図27に示すようなハンドルベース122Lの凹部122Yとブレーキレバー141Lの凸部141Yとを軸にブレーキレバー141Lが通常ブレーキをかけたり、ハンドルベース122Lの当接部122Zとブレーキレバー141Lの当接部141Zとを軸にブレーキレバー141Lが駐車ブレーキをかけたりするものであった。しかしながら、凸部141Yや凹部122Yや当接部141Z,122Zの形状はこのようなものには限られない。
図46は、本実施の形態にかかる歩行車100のブレーキ機構140Lの組み立て構成を示す斜視図である。図47は、本実施の形態にかかる歩行車100のブレーキ機構140Lのカバー148Lの内側を示す側面図である。なお、以下では、歩行車100の左側のブレーキ機構140Lについて説明するが、歩行車100の右側のブレーキ機構140Rについても同様の構成を有するため、ここでは説明を繰り返さない。
図46と図47を参照して、ブレーキ機構140Lは、主に、ハンドルベース122Lと、ブレーキレバー141Lと、ワイヤー145Lと、回動ピン147Lと、カバー148L,149Lとから構成される。なお、ブレーキワイヤー145Lから先の後輪108L,108R周辺の構成、たとえばブレーキシューやアジャスターなどのブレーキ本体143L,143Rなどに関しては通常のものと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
ブレーキレバー141Lは、基部側、換言すればカバー148L,149Lで隠れる部分、さらに換言すればハンドルベース122Lの側方に位置する部分、が幅広に構成されている。基部側には、回動ピン147Lが通されるハート型のスリット141Xが形成されている。また、基部側の前上部には通常ブレーキ時に支点として利用される凸部141Yが形成され、基部側の後下部には駐車ブレーキ時に支点として利用される凸部141Wが形成される。そして、基部側の前下部にはブレーキワイヤー145Lが取り付けられる。
ハンドルベース122Lには、ブレーキワイヤー145Lが通される孔122Aと回動ピン147Lが貫通する孔122Xが形成される。ハンドルベース122Lの前上部には、通常ブレーキ時にブレーキレバー141Lの凸部141Yを支持するための凹部122Yが形成される。ハンドルベース122Lの後下部には、駐車ブレーキ時にブレーキレバー141Lの凸部141Wを支持するための凹部122Wが形成される。
そして、ブレーキレバー141Lのスリット141X内に、ハンドルベース122Lの孔122Xを貫通した回動ピン147Lが位置するように、ブレーキレバー141Lがハンドルベース122Lに枢支される。ハンドルベース122Lとブレーキレバー141Lの基部とは、カバー148L,149Lによって覆われる。
このように構成されるので、通常ブレーキ時に、ユーザが、ワイヤー145Lの付勢力に抗して、ブレーキレバー141Lを上げると、図48に示すように、ブレーキレバー141Lの凸部141Yがハンドルベース122Lの凹部に122Yに嵌って、凹部122Yを中心にブレーキレバー141Lが上方へ回動する。これによって、ワイヤー145Lが引っ張られて、後輪108L,108Rに制動力が生じる。なお、ユーザがブレーキレバー141Lから手を放すと、ワイヤー145Lに引っ張られてブレーキレバー141Lが下方へ回動する。
一方、駐車ブレーキ時には、ユーザが、ワイヤー145Lの付勢力に抗して、ブレーキレバー141Lを下方へ押し下げる。すると図49に示すように、ブレーキレバー141Lの凸部141Wがハンドルベース122Lの凹部122Wに当たって、当該凹部122Wを軸にしてブレーキレバー141Lが下方へ回動する。これによって、ワイヤー145Lが引っ張られて、後輪108L,108Rに制動力が生じる。
より詳細には、ブレーキレバー141Lは、下方へ回動する途中で、スリット141Xが回動ピン147Lに沿って移動するので、すなわち回動ピン147Lがスリット141Xに沿って相対的に移動するので、ワイヤー145Lを駐車ブレーキ時よりも引っ張る状態を乗り越えて駐車ブレーキ状態を実現する。これによって、ユーザが手を放しても、ブレーキがかかったままの状態で維持される。
[第9の実施の形態(ブレーキ機構が異なる形態)]
上記の実施の形態においては、図27に示すように、ブレーキレバー141Lにハート型のスリット141Xが形成されるものであった。しかしながら、このような形態には限られない。図50は、本実施の形態にかかる歩行車100のブレーキ機構240Lの組み立て構成を示す斜視図である。図51は、本実施の形態にかかる歩行車100のブレーキ機構240Lの、一方のカバー148Lとハンドルベース2221L,2222Lの内側を示す側面図である。なお、以下では、歩行車100の左側のブレーキ機構240Lについて説明するが、歩行車100の右側のブレーキ機構についても同様の構成を有するため、ここでは説明を繰り返さない。
図50と図51を参照して、ブレーキ機構240Lは、主に、第1のハンドルベース2221Lと、第2のハンドルベース2222Lと、ブレーキレバー241Lと、ワイヤー145Lと、ピン147Lと、カバー148L,149Lとから構成される。なお、ブレーキワイヤー145Lから先の後輪108L,108R周辺の構成、たとえばブレーキシューやアジャスターなどのブレーキ本体143L,143Rなどに関しては通常のものと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
ブレーキレバー241Lは、基部側、換言すればカバー148L,149Lで隠れる部分、さらに換言すればハンドルベース2221L,2222Lの側方に位置する部分、が幅広に構成されている。基部側には、左右両サイドにピン241X,241Xが立設されている。また、基部側の前上部には通常ブレーキ時に支点として利用される凸部241Yが形成され、基部側の後下部には駐車ブレーキ時に支点として利用される当接部241Zが形成される。そして、基部側の前下部にはブレーキワイヤー145Lが取り付けられる。
ハンドルベース2221L,2222Lは略左右対称に構成され、各々にブレーキレバー241Lのピン241X,241Xが通されるハート型のスリット2221X,2222Xが形成されている。ハンドルベース2221L,2222Lの前上部には、通常ブレーキ時にブレーキレバー241Lの凸部241Yを支持するための凹部2221Yが形成される。ハンドルベース2221L,2222Lの後下部には、駐車ブレーキ時にブレーキレバー241Lの当接部241Zが当接される当接部2221Zが形成される。
そして、ハンドルベース2221L,2222Lのスリット2221X,2221X内に、ブレーキレバー241Lのピン241X,241Xが位置するように、ブレーキレバー241Lがハンドルベース2221L,2222Lに枢支される。ハンドルベース2221L,2222Lとブレーキレバー241Lの基部とは、カバー148L,149Lによって覆われる。
このように構成されるので、通常ブレーキ時に、ユーザが、ワイヤー145Lの付勢力に抗して、ブレーキレバー241Lを持ち上げると、図52に示すように、ブレーキレバー241Lの凸部241Yがハンドルベース2221L,2222Lの凹部2221Yに嵌って、凹部2221Yを中心にブレーキレバー241Lが上方へ回動する。これによって、ワイヤー145Lが引っ張られて、後輪108L,108Rに制動力が生じる。なお、ユーザがブレーキレバー241Lから手を放すと、ワイヤー145Lに引っ張られてブレーキレバー241Lが下方へ回動する。
一方、駐車ブレーキ時には、ユーザが、ワイヤー145Lの付勢力に抗して、ブレーキレバー241Lを下方へ押し下げる。図53に示すように、ブレーキレバー241Lの当接部241Zがハンドルベース2221L,2222Lの当接部2221Zに当たって、当接部2221Zを軸にしてブレーキレバー241Lが下方へ回動する。これによって、ワイヤー145Lが引っ張られて、後輪108L,108Rに制動力が生じる。
より詳細には、ブレーキレバー241Lが下方へ回動する途中で、ピン241Xがスリット2221X,2222Xに沿って移動するので、ワイヤー145Lを駐車ブレーキ時よりも引っ張る状態を乗り越えてブレーキレバー241Lが駐車ブレーキ状態を実現する。これによって、ユーザが手を放しても、ブレーキがかかったままの状態で維持される。
(まとめ)
上記の実施の形態によると、左右一対のハンドル部120L,120Rと、左右一対のハンドル部120L,120Rのそれぞれを支持するための左右1対の縦フレーム101L,101Rと、左右1対の縦フレーム101L,101Rの間に連結され、歩行車100を左右方向に折り畳むための複数の連結フレーム102L,102Rと、前方から上方に向けて折り畳まれる座面110と、を備える歩行車100が提供される。
好ましくは、座面110の下方に配置されるバッグ150をさらに備える。
好ましくは、座面110は、バッグ150の後端よりもさらに後方まで延設される。
好ましくは、座面110は、前後方向の途中で折れ曲がり可能であって、バッグ150の上方に位置する部分が前方から上方へ向けて折り畳まれる。
好ましくは、座面110の後部110Bの左右中間部が持ち上げられることによって、複数の連結フレーム102L,102Rが左右方向に折り畳まれる。
好ましくは、歩行車100の後方から座面110に座るように構成されている
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。