JP2018174321A - 研磨用組成物および研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンウェーハを粗研磨した際、高い研磨速度を維持しつつ、端部のダレが低減され、かつ全体の平坦性が向上した研磨対象物を与えることが可能な研磨用組成物を提供する。【解決手段】シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物であって、シリカと、水溶性高分子と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記水溶性高分子は、シリカに対する吸着性が異なる2種以上を含む、研磨用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物および当該研磨用組成物を用いた研磨方法に関する。
従来、金属、半金属、非金属、およびこれらの酸化物等の材料表面に対して研磨用組成物を用いた精密研磨が行われている。例えば、半導体デバイスの構成要素として用いられるシリコンウェーハの表面は、一般的にラッピング工程やポリシング工程を経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程(予備研磨工程)とファイナルポリシング工程(最終研磨工程)とを含む。上記予備ポリシング工程は、典型的には粗研磨工程(一次研磨工程)および中間研磨工程(二次研磨工程)を含んでいる。
近年、半導体デバイスの高性能化及び高集積化に伴って、シリコンウェーハには品質の向上が求められている。例えば、特許文献1には、二酸化ケイ素と、含窒素水溶性高分子と、塩基性化合物とを特定の割合で含む研磨用組成物が開示されており、当該研磨用組成物により、シリコンウェーハの端部の形状が維持され、表面粗さおよび段差が低減することが記載されている。
特開2013−165173号公報
しかしながら、特許文献1に記載の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを粗研磨した場合、ウェーハ端部の過剰研磨(ダレ)は低減されるものの、ウェーハ全体の平坦性はまだ不十分であったため、さらなる品質向上が求められていた。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、シリコンウェーハを粗研磨した際、高い研磨速度を維持しつつ、端部のダレが低減され、かつ全体の平坦性が向上する研磨用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、シリカと、シリカに対する吸着性が異なる2種以上の水溶性高分子と、塩基性化合物と、水とを含む研磨用組成物により上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る研磨用組成物を用いて、シリコンウェーハの粗研磨を行うことで、高い研磨速度を維持しつつ、端部のダレが低減され、かつ全体の平坦性が向上する。
本発明は、シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物であって、シリカと、水溶性高分子と、塩基性化合物と、水と、を含み、前記水溶性高分子は、シリカに対する吸着性が異なる2種以上を含む。ここで、シリカに対する吸着性は、後述の方法により算出される値である。
通常、シリコンウェーハの粗研磨工程では、ウェーハおよび研磨パッドを相対的に移動(例えば回転移動)させて研磨する方法が用いられる。研磨装置にセットされたウェーハの表面に研磨パッドが押し付けられ、シリカ等の砥粒を含む研磨用組成物が連続的に供給される。この際、研磨用組成物は、主に基板の外周部から中央部に流れ込むように、ウェーハと研磨パッドとの間に供給される。本発明者らは、当該研磨用組成物にシリカに対する吸着性が異なる2種以上の水溶性高分子を配合することで、シリコンウェーハを粗研磨した際に、端部形状および全体形状の両方を改善できることを見出した。
シリカに対する吸着性が高い水溶性高分子(以下、「第1の水溶性高分子」とも称する)は、砥粒であるシリカの表面に吸着して、シリカのメカニカル作用を緩衝する。言い換えれば、上記のように研磨用組成物がウェーハに供給されると、シリカはウェーハの外周部とまず接触するが、第1の水溶性高分子がシリカに吸着してその表面を覆うため、シリカがウェーハの外周部に与える衝撃が緩和される。ゆえに、外周部の過剰研磨が抑制され、端部のダレ(エッジロールオフ)が低減し、端部形状が良好となる。一方、第1の水溶性高分子に比べてシリカに対する吸着性が低い水溶性高分子(以下、「第2の水溶性高分子」とも称する)は、砥粒であるシリカの表面に吸着しづらく研磨用組成物中に多くが遊離した状態で存在する。ゆえに、ウェーハの中央部に流れこんで、ウェーハ全面に拡散する。これにより、ウェーハ全体のエッチング作用が制御され、ウェーハが均一に研磨される。ゆえに、ウェーハ全体の平坦性が向上し、全体形状が良好となる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
本明細書において、特記しない限り、操作および物性などの測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
[研磨対象物]
本発明に係る研磨用組成物は、シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる。研磨用組成物に含まれるシリカに対する吸着性が異なる2種以上の水溶性高分子がシリカおよびシリコン表面に作用することにより、端部および全体の形状に優れたシリコンウェーハを得ることができる。
ここで、シリコンウェーハは、単結晶シリコンや、多結晶シリコンのように単体シリコンからなるものであってもよいし、単体シリコンからなる層とそれ以外の層とで構成されるものであってもよい。また、シリコンウェーハに不純物程度の含有量でシリコン以外の元素が含まれることは許容される。したがって、上記シリコンウェーハは、ホウ素、リン等のドーパントを含んでいてもよい。
次に、本発明の研磨用組成物の構成成分について説明する。
[水溶性高分子]
本発明に係る研磨用組成物は、シリカに対する吸着性が異なる2種以上の水溶性高分子を含む。ここで水溶性高分子は2種が好ましい。上述したように、シリカに対する吸着性が高い水溶性高分子(第1の水溶性高分子)は、シリカのメカニカル作用を緩衝することで、外周部の過剰研磨を抑制し、端部のダレを低減すると考えられる。一方、第1の水溶性高分子に比べてシリカに対する吸着性が低い水溶性高分子(第2の水溶性高分子)は、ウェーハ全面に拡散してエッチング作用を制御し、ウェーハ全体の平坦性を向上させると考えられる。
ここで、「シリカに対する吸着性」とは、以下の1.〜4.に基づいて算出される値である:
1.測定対象の水溶性高分子0.004重量%、シリカ(BET法による一次粒子径24nm)0.08重量%、アンモニア0.005重量%を含み、残部が水からなるスラリーを調製し、25℃で24時間静置する;
2.上記1.後のスラリー中の全有機炭素量(TOC)Cを測定する;
3.上記1.後の24時間静置後のスラリーを遠心分離(23000rpm)して上澄み液を回収し、上澄み液中の全有機炭素量(TOC)Cを測定する;
4.上記CおよびCから、下記式(1)に基づき、シリカに対する吸着性を測定する。
(第1の水溶性高分子)
第1の水溶性高分子のシリカに対する吸着性は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらにより好ましく、85%以上であることが特に好ましい。かような範囲であれば、ウェーハ外周部の過剰研磨が抑制され、端部のダレが低減し、端部形状が良好となる。また、第1の水溶性高分子のシリカに対する吸着性は、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。かような範囲であれば、ウェーハ外周部が適度に研磨され、端部の反りが抑制される。
第1の水溶性高分子としては、窒素原子を含むものが好ましい。窒素原子を含む水溶性高分子は、シリカに対する吸着性に優れる。ゆえに、シリカのメカニカル作用を有効に緩衝し、外周部の過剰研磨をより抑制できると考えられる。窒素原子を含む水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピペリジン、ポリアクリロイルモルホリン(PACMO)等が挙げられる。中でも、端部のダレのさらなる低減および全体の平坦性のさらなる向上の観点から、第1の水溶性高分子は、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルイミダゾールの少なくとも一方を含むことが好ましく、ポリビニルピロリドンを含むことがより好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態において、第1の水溶性高分子はポリビニルピロリドンである。
第1の水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上であり、より好ましくは8,000以上であり、さらに好ましくは10,000以上であり、さらにより好ましくは15,000以上であり、特に好ましくは17,000以上である。また、第1の水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは3,000,000以下であり、より好ましくは1,000,000以下であり、さらに好ましくは500,000以下であり、さらにより好ましくは250,000以下であり、特に好ましくは100,000以下である。当該重量平均分子量は、ポリエチレンオキシドを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することが可能である。
(第2の水溶性高分子)
第2の水溶性高分子のシリカに対する吸着性は、70%未満であることが好ましく、60%未満であることがより好ましく、50%以下であることがさらにより好ましい。中でも、ウェーハ全体の平坦性をさらに高める観点から、30%未満であることが好ましく、20%未満であることがより好ましく、10%未満であることがさらにより好ましい(下限値:0%)。
ウェーハ全体のエッチング作用を好適に制御できる観点から、第2の水溶性高分子は、水酸基を含むことが好ましい。とくに、水溶性高分子の繰返し単位中に水酸基を含むことが好ましい。具体例としては、ビニルアルコール由来の構成単位を有する重合体、グリセリン由来の構成単位を有する重合体、セルロース誘導体等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリグリセリン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等が好ましい。さらに、ウェーハ全体の平坦性をさらに高める観点から、ポリビニルアルコールおよびポリグリセリンの少なくとも一方を含むことが好ましく、ポリビニルアルコールを含むことがより好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。すなわち、本発明の好ましい一実施形態において、第2の水溶性高分子はポリビニルアルコールである。また、本発明の好ましい一実施形態において、第2の水溶性高分子はポリグリセリンである。
第2の水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは500以上である。また、第2の水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは2,000,000以下であり、より好ましくは1,500,000以下である。中でも、ウェーハ全体の平坦性をさらに高める観点から、第2の水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは200,000未満であり、より好ましくは100,000未満であり、さらにより好ましくは50,000未満であり、特に好ましくは15,000未満である。当該重量平均分子量は、ポリエチレンオキシドを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することが可能である。
また、第2の水溶性高分子がポリビニルアルコールを含む場合、当該ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上100%以下であることが好ましく、90%以上100%以下であることがより好ましく、95%以上100%以下であることがさらにより好ましく、98%以上100%以下であることが特に好ましい。
本発明の研磨用組成物において、第1の水溶性高分子および第2の水溶性高分子の重量比(第1の水溶性高分子の重量:第2の水溶性高分子の重量)は、好ましくは5:1〜1:5であり、より好ましくは3:1〜1:3である。中でも、さらにより好ましくは1:1〜1:3であり、特に好ましくは1:1〜1:2である。かような範囲であれば、十分量の第2の水溶性高分子がウェーハ全面に拡散するため、ウェーハ全体のエッチング作用がより良好に制御され、ウェーハ全体の平坦性がさらに向上する。なお、第1の水溶性高分子として2種以上の水溶性高分子を使用する場合は、これらの合計重量を第1の水溶性高分子の重量とする。同様に、第2の水溶性高分子として2種以上の水溶性高分子を使用する場合は、これらの合計重量を第2の水溶性高分子の重量とする。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、水溶性高分子の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.002重量%以下であり、より好ましくは0.001重量%以下であり、さらにより好ましくは0.0008重量%以下である。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持することができ、粗研磨工程において好適に使用できる。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、水溶性高分子の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.0001重量%以上であり、より好ましくは0.0003重量%以上であり、さらにより好ましくは0.0006重量%以上である。かような範囲であれば、端部および全体の形状に優れたシリコンウェーハを得ることができる。当該水溶性高分子の含有量は、第1の水溶性高分子および第2の水溶性高分子の合計含有量を指す。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、水溶性高分子の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、1重量%以下であることが好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、水溶性高分子の含有量は、0.001重量%以上であることが好ましい。
本発明の研磨用組成物において、水溶性高分子の含有量は、シリカの含有量100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以下であり、より好ましくは0.08重量部以下であり、さらにより好ましくは0.06重量部以下であり、特に好ましくは0.058重量部未満である。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持することができ、粗研磨工程において好適に使用できる。また、水溶性高分子の含有量は、シリカの含有量100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上であり、より好ましくは0.03重量部以上であり、さらにより好ましくは0.04重量部以上であり、特に好ましくは0.045重量部以上である。かような範囲であれば、端部および全体の形状に優れたシリコンウェーハを得ることができる。すなわち、本発明の好ましい一実施形態において、水溶性高分子の含有量は、シリカの含有量100重量部に対して、0.01重量部以上0.1重量部以下である。なお、当該水溶性高分子の含有量は、第1の水溶性高分子および第2の水溶性高分子の合計含有量を指す。
[シリカ]
本発明の研磨用組成物は、シリカを含む。研磨用組成物中に含まれるシリカは、シリコンウェーハを機械的に研磨する作用を有する。シリカとしては、コロイダルシリカが好ましい。なお、本明細書において特にことわりの無い限り、シリカは表面修飾されていないものを指す。
シリカの平均一次粒子径の下限は、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、40nm以上であることがさらにより好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、シリカの平均一次粒子径の上限は、200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、研磨後のシリコンウェーハの表面に欠陥が生じるのをより抑えることができる。なお、シリカの平均一次粒子径は、例えば、BET法で測定されるシリカの比表面積に基づいて算出される。
シリカの平均二次粒子径の下限は、15nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、シリカの平均二次粒子径の上限は、300nm以下であることが好ましく、260nm以下であることがより好ましく、220nm以下であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、研磨後のシリコンウェーハの表面に欠陥が生じるのをより抑えることができる。シリカの平均二次粒子径は、例えば動的光散乱法により測定することができる。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、シリカの含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.5重量%以上であり、さらにより好ましくは1.0重量%以上であり、特に好ましくは1.4重量%以上である。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持することができ、粗研磨工程において好適に使用できる。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、スクラッチ防止等の観点から、シリカの含有量は、通常は10重量%以下が適当であり、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下が特に好ましい。シリカの含有量を少なくすることは、経済性の観点からも好ましい。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、シリカの含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、50重量%以下であることが適当であり、40重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、シリカの含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。
[塩基性化合物]
本発明に係る研磨用組成物は、塩基性化合物を含む。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物は、研磨対象となる面を化学的に研磨する働きをし、研磨速度の向上に寄与し得る。また、塩基性化合物は、研磨用組成物の分散安定性の向上に役立ち得る。
塩基性化合物としては、窒素を含む有機または無機の塩基性化合物、アルカリ金属または第2族金属の水酸化物、各種の炭酸塩や炭酸水素塩等を用いることができる。例えば、アルカリ金属の水酸化物、水酸化第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。
研磨速度向上等の観点から、好ましい塩基性化合物として、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。なかでもより好ましいものとして、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムおよび水酸化テトラエチルアンモニウムが例示される。さらに好ましいものとして炭酸カリウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムが挙げられる。このような塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせて用いる場合、例えば、炭酸カリウムと水酸化テトラメチルアンモニウムの組合せが好ましい。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、塩基性化合物の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。かような範囲であれば、高い研磨速度を維持できるため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、塩基性化合物の含有量の増加によって、安定性も向上し得る。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、塩基性化合物の含有量の上限は、1重量%以下とすることが適当であり、表面品質等の観点から、好ましくは0.5重量%以下である。また、2種以上を組み合わせて用いる場合は、前記含有量は2種以上の塩基性化合物の合計含有量を指す。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、塩基性化合物の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、10重量%以下であることが適当であり、5重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、塩基性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは0.9重量%以上である。
[水]
本発明に係る研磨用組成物は、各成分を分散または溶解するために分散媒として水を含む。水は、シリコンウェーハの汚染や他の成分の作用を阻害するのを防ぐ観点から、不純物をできる限り含有しないことが好ましい。このような水としては、例えば、遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水が好ましい。ここで、水の純度は、例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって高めることができる。具体的には、水としては、例えば、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などを用いることが好ましい。
分散媒は、各成分の分散または溶解のために、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。この場合、用いられる有機溶媒としては、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[その他の成分]
本発明に係る研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。ここでの研磨用組成物とは、典型的には、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨用組成物を意味する。
(界面活性剤)
本発明の研磨用組成物は、必要に応じてノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等の界面活性剤をさらに含んでもよい。上記の水溶性高分子の析出を抑制して研磨用組成物の性能を維持する観点から、本発明の研磨用組成物は、ノニオン性界面活性剤をさらに含むことが好ましい。
本発明に使用できるノニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、およびアルキルアルカノールアミド等が挙げられる。中でも、研磨用組成物の分散安定性向上の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、ノニオン性界面活性剤の含有量は、研磨用組成物に対して、好ましくは0.00001重量%以上、より好ましくは0.00002重量%以上、さらに好ましくは0.00003重量%以上である。かような範囲であれば、研磨用組成物の分散安定性が向上するため、粗研磨工程において好適に使用できる。また、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、ノニオン性界面活性剤の含有量の上限は、0.0002重量%以下とすることが適当であり、表面品質等の観点から、好ましくは0.0001重量%以下である。また、2種以上を組み合わせて用いる場合は、前記含有量は2種以上のノニオン性界面活性剤の合計含有量を指す。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、ノニオン性界面活性剤の含有量は、保存安定性や濾過性等の観点から、通常は、0.1重量%以下であることが適当であり、0.05重量%以下であることがより好ましい。また、濃縮液とすることの利点を活かす観点から、塩基性化合物の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.0002重量%以上、さらに好ましくは0.0005重量%以上である。
(キレート剤)
研磨用組成物に含まれうるキレート剤としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましい。なかでも好ましいものとして、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミン五酢酸が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。キレート剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
研磨用組成物に含まれうる防腐剤および防カビ剤としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、およびフェノキシエタノール等が挙げられる。これら防腐剤および防カビ剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
[研磨用組成物の特性]
本発明に係る研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で上記のシリコンウェーハに供給され、そのシリコンウェーハの粗研磨に用いられる。本発明に係る研磨用組成物は、例えば、希釈して研磨液として使用されるものであってもよく、そのまま研磨液として使用されるものであってもよい。ここで希釈とは、典型的には、水による希釈である。本発明に係る技術における研磨用組成物の概念には、シリコンウェーハに供給されて研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨に用いられる濃縮液(ワーキングスラリーの原液)との双方が包含される。上記濃縮液の濃縮倍率は、例えば、体積基準で2倍〜100倍程度とすることができ、通常は5倍〜50倍程度が適当である。
研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、研磨用組成物のpHは、好ましくは9.0以上であり、より好ましくは9.5以上であり、さらにより好ましくは10.0以上であり、特に好ましくは10.5以上である。研磨液のpHが高くなると、研磨レートが上昇する。一方、研磨用組成物がそのまま研磨液として用いられる場合、研磨液のpHは、好ましくは12.0以下であり、より好ましくは11.5以下である。研磨液のpHが12.0以下であれば、シリカの溶解を抑制し、該シリカによる機械的な研磨作用の低下を防ぐことができる。
また、研磨用組成物が希釈して研磨に用いられる場合、すなわち該研磨用組成物が濃縮液である場合、研磨用組成物のpHは、好ましくは9.5以上であり、より好ましくは10.0以上であり、さらにより好ましくは10.5以上である。また、研磨用組成物のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.5以下であることが好ましい。
なお、研磨用組成物のpHは、pHメーターを使用して測定することができる。標準緩衝液を用いてpHメーターを3点校正した後に、ガラス電極を研磨用組成物に入れる。そして、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより研磨用組成物のpHを把握することができる。例えば、pHメーターは、株式会社堀場製作所製のpHガラス電極式水素イオン濃度指示計(型番F−23)を使用することができる。標準緩衝液は、(1)フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、(2)中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、(3)炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃)を用いることができる。
本発明に係る研磨用組成物は一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。多液型は、研磨用組成物の一部または全部を任意の混合比率で混合した液の組み合わせである。また、研磨用組成物の供給経路を複数有する研磨装置を用いた場合、研磨装置上で研磨用組成物が混合されるように、予め調整された2つ以上の研磨用組成物を用いてもよい。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明の研磨用組成物の製造方法は、例えば、各成分を水中で攪拌混合することにより得ることができる。ただし特にこの方法に制限されない。また、各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。
[研磨方法]
本発明に係る研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、シリコンウェーハの粗研磨工程(一次研磨工程)に使用することができる。すなわち、本発明は、上記の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを粗研磨する研磨方法についても提供する。
すなわち、本発明に係る研磨用組成物を含むワーキングスラリーを用意する。次いで、その研磨用組成物をシリコンウェーハに供給し、常法により粗研磨を行う。例えば、一般的な研磨装置にシリコンウェーハをセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて該シリコンウェーハの表面(研磨対象面)に研磨用組成物を供給する。典型的には、上記研磨用組成物を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経てシリコンウェーハの粗研磨が完了する。
上記工程で使用される研磨パッドは特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ、シリカを含むもの、シリカを含まないもの等のいずれを用いてもよい。また、上記研磨装置としては、シリコンウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨装置を用いてもよく、シリコンウェーハの片面のみを研磨する片面研磨装置を用いてもよい。
研磨条件も特に制限されないが、例えば、研磨定盤の回転速度は、10rpm以上500rpm以下が好ましく、シリコンウェーハにかける圧力(研磨圧力)は、3kPa以上70kPa以下、例えば3.45kPa以上69kPa以下が好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
上記研磨用組成物は、いわゆる「かけ流し」で使用されてもよいし、循環して繰り返し使用されてもよい。ここでかけ流しとは、いったん研磨に使用したら使い捨てにする態様をいう。研磨用組成物を循環使用する方法の一例として、以下の方法が挙げられる。研磨装置から排出される使用済みの研磨用組成物をタンク内に回収し、回収した研磨用組成物を再度研磨装置に供給する方法である。研磨用組成物を循環使用する場合には、かけ流しで使用する場合に比べて、環境負荷を低減できる。廃液として処理される使用済みの研磨用組成物の量が減るためである。また、研磨用組成物の使用量が減ることによりコストを抑えることができる。
[用途]
上述のように、本発明の研磨用組成物は、高い研磨速度を維持しつつ、シリコンウェーハの端部および全体の形状を整える性能に優れる。かかる特長を活かして、本発明の研磨用組成物は、シリコンウェーハの粗研磨工程、すなわちポリシング工程における最初の研磨工程(一次研磨工程)において好適に使用される。粗研磨工程は、典型的には、ウェーハの両面を同時に研磨する両面研磨工程として実施される。本発明に係る研磨用組成物は、このような両面研磨工程においても好ましく使用されうる。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[水溶性高分子のシリカに対する吸着性評価]
測定対象の水溶性高分子0.004重量%、コロイダルシリカ(BET法による平均一次粒子径24nm)0.08重量%、アンモニア0.005重量%の最終濃度となるよう、前記成分およびイオン交換水を室温(25℃)で30分撹拌混合し、評価用スラリーを調製した。当該スラリーを25℃で24時間静置した後、全有機炭素計(島津製作所社製TOC−5000A)を用いて、スラリー中の全有機炭素量(TOC)Cを測定した。また、静置後のスラリーを遠心分離(23000rpm、30分、25℃)して上澄み液を回収し、上澄み液中の全有機炭素量(TOC)Cを測定した。CおよびCから、下記式(1)に基づき、シリカに対する吸着性を算出した。
測定対象の水溶性高分子は以下のとおりである:
・ポリビニルピロリドン(重量平均分子量4.5万、表2中「PVP」と称する)
・ポリビニルピロリドン(重量平均分子量250万、表2中「PVP高分子量」と称する)
・ポリビニルイミダゾール(重量平均分子量1.7万、表2中「PVI」と称する)
・ポリビニルアルコール(重量平均分子量1万、ケン化度98%、表2中「PVA」と称する)
・ヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量120万、表2中「HEC」と称する)
・ポリグリセリン(重量平均分子量750)。
[研磨用組成物の調製]
(実施例1)
コロイダルシリカ(BET法による平均一次粒子径55nm)1.4重量%、第1の水溶性高分子としてポリビニルピロリドン(PVP)(重量平均分子量4.5万)0.0003重量%、第2の水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA)(重量平均分子量1万)0.0005重量%、塩基性化合物として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.07重量%および炭酸カリウム0.04重量%の最終濃度となるよう、前記成分およびイオン交換水を室温(25℃)で30分撹拌混合した後、1日以上静置した。静置した液にKOH(pH調整剤)を加えてpH10.5に調整し、研磨用組成物を調製した。
(実施例2〜5および比較例1〜4)
水溶性高分子の種類および含有量を表2のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5および比較例1〜4に係る研磨用組成物を調製した。
[研磨性能]
上記の研磨用組成物を用いて、60mm×60mmサイズのシリコンウェーハ(Bare Si P− <100>)を下記表1に示す研磨条件で研磨した。
(研磨レート)
研磨の前後のシリコンウェーハの重量を測定し、研磨前後の重量の差から下記式を用いて研磨レートを計算した。
ここで、シリコンの密度は2.33[g/cm]、研磨対象面積は36[cm]を用いた。表2には、比較例1の研磨用組成物における研磨レートを100とした相対値を示す。
(ウェーハ厚み差)
株式会社ニコン製のDIGIMICRO MH−15Mを用いて、研磨後のウェーハ面内の厚みを測定した。測定点はウェーハ外周から5mmの位置を基点とした領域(50mm×50mm)において縦横10mm間隔の点で設定し、合計36点である。そして、36点中の最大値と最小値の差を「ウェーハ厚み差」と定義した。比較例1のウェーハ厚み差を100としたときの相対値を表2に示す。表2において、ウェーハ厚み差の値が小さいほど、ウェーハ全体の平坦性が高く、全体形状に優れていると言える。
(ロールオフ量)
Zygo社製のNew View 5032を用いて、研磨後のウェーハ表面の形状変位量を測定することによって、ロールオフ量を評価した。具体的には、ウェーハの外周端から中心に向かって2.0mm〜4.0mm位置の比較的平坦な領域を基準領域とし、該領域における形状変位量に対して近似する直線(基準直線)を最小二乗法を用いて引く。次に、外周端から2.0mm位置における上記基準直線上の点を基準点とし、該2.0mm位置におけるウェーハの形状変位量と上記基準点との差を測定し、これを「ロールオフ量」と定義した。比較例1のロールオフ量を100としたときの相対値を表2に示す。表2において、ロールオフ量の値が小さいほど、ウェーハ端部のダレが小さく、端部形状に優れていると言える。
各研磨用組成物を用いて研磨した後のウェーハ厚み差およびロールオフ量の結果を表2に示す。また、上記の方法により算出された各水溶性高分子のシリカに対する吸着性を併せて表2に示す。
表2に示されるように、実施例1〜5に係る研磨用組成物を用いて研磨したシリコンウェーハは、端部のダレが小さく、かつ全体の平坦性が良好であった。また、水溶性高分子を含まない比較例1と同等の研磨レートを示し、高い研磨速度を維持できていることがわかる。
一方、比較例1に示されるように、水溶性高分子を含まない場合、端部のダレが大きく、全体の平坦性も劣る結果であった。水溶性高分子が存在しないため、端部の過剰研磨が促進され、またウェーハ全体のエッチング作用が制御されず不均一に研磨されていることが示唆される。また、比較例2〜4に示されるように、水溶性高分子を含むが、本発明のようにシリカに対する吸着性が異なる2種を含まない場合、ウェーハ端部のダレは比較的抑制されるものの、ウェーハ全体の平坦性が乏しい結果であった。比較例2については、水溶性高分子がシリカへの吸着により消費されてウェーハ全体のエッチング抑制能を制御できないため、ウェーハ全体の平坦性が乏しい結果になったものと考えられる。比較例3については、シリカに対する吸着性は同一であり分子量が異なる2種類の水溶性高分子がいずれもシリカに吸着するため、端部形状は良好なものの、ウェーハ全体のエッチング作用は制御されずに全体の平坦性は乏しい結果になったものと考えられる。比較例4については、全体の平坦度は改善するが端部の過剰研磨を抑制できないために端部形状が不良になったと考えられる。

Claims (12)

  1. シリコンウェーハを粗研磨する用途に用いられる研磨用組成物であって、
    シリカと、水溶性高分子と、塩基性化合物と、水と、を含み、
    前記水溶性高分子は、前記シリカに対する吸着性が異なる2種以上を含む、研磨用組成物。
  2. 前記水溶性高分子は、第1の水溶性高分子および第2の水溶性高分子を含み、
    前記第1の水溶性高分子は、前記シリカに対する吸着性が70%以上であり、前記第2の水溶性高分子は、前記シリカに対する吸着性が70%未満である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記第1の水溶性高分子および前記第2の水溶性高分子の重量比は、5:1〜1:5である、請求項2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記第2の水溶性高分子は水酸基を含む、請求項2または3に記載の研磨用組成物。
  5. 前記第1の水溶性高分子は窒素原子を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 前記第1の水溶性高分子はポリビニルピロリドンである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  7. 前記第2の水溶性高分子はポリビニルアルコールである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  8. 前記第2の水溶性高分子はポリグリセリンである、請求項2〜6のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  9. 前記水溶性高分子の含有量は、0.002重量%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  10. 前記シリカの平均一次粒子径は50nm以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  11. 前記水溶性高分子の含有量は、前記シリカの含有量100重量部に対して、0.01重量部以上0.1重量部以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハを粗研磨する研磨方法。
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