以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態) まず、蓄電装置1の構成について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される高電圧の電池モジュールである。
これらの図に示すように、蓄電装置1は、複数の単位モジュール11、12及び13を有するモジュール群10、下側連結部材20及び上側連結部材30を備えている。なお、蓄電装置1は、1つの単位モジュールしか備えていない構成でもかまわない。また、蓄電装置1は、例えばX軸方向プラス側の端部に、モジュール群10の内方に冷却媒体(空気等)を流入させる冷却用のファンなどの冷却装置を備えている構成でもかまわない。
モジュール群10は、X軸方向に一列に並ぶ複数の単位モジュール11、12及び13を備えている。また、単位モジュール11には、後述する正極外部端子のカバーである正極外部端子カバー16と、後述する負極外部端子のカバーである負極外部端子カバー17とが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子カバー16内の正極外部端子と、負極外部端子カバー17内の負極外部端子とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
単位モジュール11、12及び13は、1以上の蓄電素子を外装体14に収容した矩形状のモジュールであり、それぞれ同様の構成を有している。また、単位モジュール11、12及び13のうちの隣り合う単位モジュールの正極端子と負極端子とが電気的に接続されることで、単位モジュール11、12及び13内の全ての蓄電素子が直列に接続されている。この単位モジュール11、12及び13の詳細な構成についての説明は、後述する。
下側連結部材20及び上側連結部材30は、複数の単位モジュール11、12及び13を連結する部材であり、下側連結部材20は下側の連結部材、上側連結部材30は上側の連結部材である。つまり、下側連結部材20と上側連結部材30とで単位モジュール11、12及び13を挟み込むように固定することで、単位モジュール11、12及び13を連結する。
具体的には、下側連結部材20及び上側連結部材30は、平板状の部材であり、例えば金属などによって形成されている。これにより、単位モジュール11、12及び13を強固に安定して固定することができる。また、下側連結部材20には、複数の単位モジュール11、12及び13のそれぞれが有する外装体14が載置される。
次に、モジュール群10に含まれる単位モジュール11、12及び13の詳細な構成について、説明する。なお、単位モジュール11、12及び13はそれぞれ同様の構成を有するため、以下では単位モジュール11についての説明を行い、単位モジュール12及び13の構成の説明については省略する。
図3は、本発明の実施の形態に係る単位モジュール11を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
同図に示すように、単位モジュール11は、外装体本体100と内蓋500と蓋体800とからなる外装体14、及び、外装体14に収容される複数の蓄電素子200(同図では4つの蓄電素子200)と流路形成部300と断熱材400と基板700などを備えている。なお、外装体14内に収容される蓄電素子200は、複数でなくともよく、1つの蓄電素子200しか収容されていない構成でもかまわない。
外装体14は、蓄電素子200の外方に配置される、単位モジュール11の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。外装体14は、複数の蓄電素子200や基板700などを所定の位置に配置し、複数の蓄電素子200や基板700などを衝撃などから保護する。また、外装体14は、例えばポリカーボネートやポリプロピレン(PP)等の樹脂などの絶縁性の材料により構成されており、蓄電素子200や基板700などが外部の金属部材などに接触することを回避する。
ここで、外装体14は、外装体本体100と内蓋500と蓋体800とを有している。
外装体本体100は、外装体14の本体を構成する有底矩形筒状の部材である。また、外装体本体100の内方には、仕切部材110が配置されている。
仕切部材110は、単位モジュール11が備える蓄電素子200のうちのいずれかの蓄電素子200の側方に配置される部材である。つまり、仕切部材110は、隣り合う2つの蓄電素子200の間に配置され、当該2つの蓄電素子200間を仕切る板状部材である。本実施の形態では、4つの蓄電素子200の間に、3枚の仕切部材110が配置されている。なお、仕切部材110は、蓄電素子200とは接触しないように配置されている。
ここで、仕切部材110は、断熱性を有する部材であり、例えばマイカから構成される断熱材などによって形成されている。具体的には、仕切部材110を形成する断熱材の一例として、マイカ片を集積し、結合することで構成されるダンマ材が挙げられる。つまり、仕切部材110は、蓄電素子200から発せられる熱が隣り合う蓄電素子200に伝わるのを抑制する機能を有している。
蓄電素子200は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子200は、外装体本体100の内方の2つの仕切部材110の間、または仕切部材110と外装体本体100の壁面との間に配置され、外装体本体100内に収容される。
また、それぞれの蓄電素子200は、上面に安全弁221を備えている。つまり、それぞれの蓄電素子200は、内圧が上昇した場合に、安全弁221から上方へ向けてガスや金属片などを含む物質を放出する。なお、単位モジュール11が備える蓄電素子200のうちの全ての蓄電素子200が安全弁221を備えていることには限定されず、少なくとも1つの蓄電素子200が安全弁221を備えていればよい。
また、蓄電素子200は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
流路形成部300は、内蓋500とで、蓄電素子200の安全弁221からの排出される物質の排出路を形成する部位である。つまり、流路形成部300は、複数の蓄電素子200に跨るように、当該複数の蓄電素子200と内蓋500との間に配置された平板形状の部材である。流路形成部300は、複数の蓄電素子200の安全弁221と対応する位置に配置されており、安全弁221から排出されるガスや金属片などの物質を外方へ導く。
断熱材400は、電気部材である基板700と蓄電素子200との間に配置され、また排出路の内方に配置される矩形状かつ平板形状の断熱材である。つまり、断熱材400は、内蓋500と流路形成部300とで形成される当該排出路の内方に配置される。具体的には、断熱材400は、内蓋500と流路形成部300との間に配置され、また、安全弁221と対向する位置かつ基板700と対向する位置に配置されている。つまり、断熱材400は、内蓋500と安全弁221との間に配置されている。
また、断熱材400は、内蓋500に着脱可能に取り付けられている。つまり、別体の断熱材400を、内蓋500に着脱可能としている。具体的には、断熱材400は、内蓋500と流路形成部300とに挟持されることで、内蓋500に着脱可能に取り付けられている。なお、断熱材400は、断熱性を有する部材であればどのような材質であってもよいが、例えばダンマ材である。
内蓋500は、外装体14の内蓋を構成する扁平な矩形状の部材であり、複数の蓄電素子200の上方に配置される。ここで、内蓋500は、排出路に配置される流路配置部である。具体的には、内蓋500は、安全弁221と対向する位置に配置されるとともに、基板700を保持している。つまり、内蓋500は、安全弁221と基板700との間に配置されており、安全弁221から排出される物質が基板700に到達することを妨げる機能を有している。
さらに具体的には、内蓋500は、蓄電素子200、流路形成部300及び断熱材400と基板700との間に配置されている。このように、内蓋500は、蓄電素子200の安全弁221側に配置されており、外装体本体100内において蓄電素子200が安全弁221側の方向へ移動することを規制する機能も有している。つまり、内蓋500は、外装体本体100の内方に嵌め込まれ、複数の蓄電素子200を上方から押さえ込むことで、複数の蓄電素子200を外装体本体100に固定する。
このように、内蓋500は、排出路を形成するとともに、基板700を保持し、さらに、蓄電素子200を外装体本体100に固定する役割も担っている。
また、内蓋500には、正極外部端子610、負極外部端子620、バスバー630、外部配線接続部640及び配線経路形成部650が配置されているが、これらの詳細な説明については、後述する。
基板700は、単位モジュール11が備える蓄電素子200のうちの少なくとも1つの蓄電素子200に電気的に接続される電気部材である。具体的には、基板700は、複数の蓄電素子200の状態を取得し、監視し、制御することのできる基板であり、配線(リード線)701によって複数の蓄電素子200の正極端子または負極端子に接続されている。
具体的には、基板700は、複数の蓄電素子200の充電状態や放電状態(電圧、温度などの電池状態)などを監視するための制御基板である。基板700には、例えば、当該監視を行ったり、リレーのオン、オフを制御したり、他の機器と通信を行ったりするための制御回路(図示せず)が設けられている。
また、基板700は、内蓋500上に配置され、かつ、蓋体800に覆われるように配置されている。つまり、基板700は、内蓋500と蓋体800とで挟まれることで、内蓋500と蓋体800とに保護されるように配置されている。また、このように、上部に電装部品を一体化させることで、蓄電装置1の組立性及びメンテナンス性が向上する。
なお、基板700は、各単位モジュールに備えられていなくともよく、例えば単位モジュール11にのみ備えられている構成でもかまわない。また、単位モジュールは、電気部材として、基板700ではなく、ヒューズなど他の電気部材を内蓋500上に配置している構成でもかまわない。
蓋体800は、外装体14の蓋を構成する部材であり、外装体本体100の開口を塞ぐ扁平な矩形状の部材である。
具体的には、外装体本体100内方に、複数の蓄電素子200、流路形成部300、断熱材400、内蓋500、基板700等の順に配置され、外装体本体100の開口部が蓋体800で閉止される。このように、重量物である複数の蓄電素子200を最下部に配置することで、単位モジュール11の安定性が向上する。
次に、単位モジュール11が備える各構成要素について、詳細に説明する。まず、蓄電素子200の構成について、詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子200を、内部を透視して示す斜視図である。
同図に示すように、蓄電素子200は、容器210、正極端子230及び負極端子240を備え、容器210は、上壁である容器蓋部220を備えている。また、容器210内方には、電極体250、正極集電体260及び負極集電体270が配置されており、容器蓋部220には安全弁221が形成されている。なお、容器210の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
容器210は、金属からなる矩形筒状で底を備える筐体本体と、当該筐体本体の開口を閉塞する金属製の容器蓋部220とで構成されている。また、容器210は、電極体250等を内部に収容後、容器蓋部220と筐体本体とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、容器210の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼やアルミニウムなど溶接可能な金属であるのが好ましい。
電極体250は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる発電要素である。具体的には、電極体250は、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体250は、平板状極板を積層した積層型の電極体であってもかまわない。
ここで、正極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に正極活物質層が形成された電極板であり、負極は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に負極活物質層が形成された電極板であり、セパレータは、微多孔性のシートである。なお、蓄電素子200に用いられる正極、負極及びセパレータは、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、蓄電素子200の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器210に封入される電解液(非水電解質)としても、蓄電素子200の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
正極端子230は、正極集電体260を介して、電極体250の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子240は、負極集電体270を介して、電極体250の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれも容器蓋部220に取り付けられている。つまり、正極端子230及び負極端子240は、電極体250に蓄えられている電気を蓄電素子200の外部空間に導出し、また、電極体250に電気を蓄えるために蓄電素子200の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
具体的には、蓄電装置1に備えられた複数の蓄電素子200のうち正極外部端子610側に配置された蓄電素子200の正極端子230が正極外部端子610と接続され、当該蓄電素子200の負極端子240は、隣接する蓄電素子200の正極端子230と接続される。また同様に、当該複数の蓄電素子200のうち負極外部端子620側に配置された蓄電素子200の負極端子240が負極外部端子620と接続され、当該蓄電素子200の正極端子230は、隣接する蓄電素子200の負極端子240と接続される。また、その他の蓄電素子200の正極端子230または負極端子240は、隣接する蓄電素子200の負極端子240または正極端子230と接続される。
正極集電体260は、電極体250の正極と容器210の側壁との間に配置され、正極端子230と正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体260は、正極の正極集電箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。また、負極集電体270は、電極体250の負極と容器210の側壁との間に配置され、負極端子240と電極体250の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体270は、負極の負極集電箔と同様、銅または銅合金などで形成されている。
なお、図2に示すように、正極外部端子610が配置されている正極外部端子カバー16および負極外部端子620が配置されている負極外部端子カバー17は、蓄電装置1のX軸方向マイナス側の側面に配置されている。つまり、蓄電装置1のX軸方向マイナス側の側面には、正極外部端子610および負極外部端子620が配置されている。これは、図3に示すように、複数の蓄電素子200をY軸方向に並べて配置しているために実現できる構成である。つまり、Y軸方向に並べた複数の蓄電素子200をバスバー630により直列接続したときに、正極端子230がX軸方向マイナス側に向いて配置された一の蓄電素子200と、負極端子240がX軸方向マイナス側に向いて配置された他の蓄電素子200とを設けることができる。これにより、一の蓄電素子200の正極端子230を正極外部端子610に直接接続し、かつ、他の蓄電素子200の負極端子240を負極外部端子620に直接接続すれば、正極外部端子610および負極外部端子620を蓄電装置1のX軸方向マイナス側の側面に配置することができる。このように、蓄電装置1のX軸方向マイナス側の側面(つまり、蓄電装置1の一つの側面)に正極外部端子610および負極外部端子620を集中して配置することができるため、複数の蓄電装置1を接続するときに、蓄電装置1の複数の側面に分かれて正極外部端子および負極外部端子が配置されている場合と比較して、バスバーを短くでき、また、バスバーの構造を単純化することができる。さらに、複数の蓄電装置1のX軸方向のマイナス側だけでバスバーの接続作業を行うことができるため、作業効率を向上させることができる。
次に、流路形成部300について、詳細に説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る流路形成部300を蓄電素子200及び仕切部材110上に配置した場合の構成を示す斜視図である。
流路形成部300は、内蓋500とともに排出路を形成する部材である。流路形成部300は、耐熱性の部材で形成されている。つまり、流路形成部300は外装体14の外装体本体100よりも耐熱性のある部材で形成されている。具体的には、流路形成部300は、熱硬化性樹脂などの耐熱性樹脂で形成されている。本実施の形態では、流路形成部300は、フェノール樹脂で形成されている。
なお、流路形成部300の材質は、フェノール樹脂には限定されず、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、カゼイン樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよい。また、流路形成部300は、樹脂ではなく、セラミックスなどの耐熱性部材で形成されていてもかまわない。
また、流路形成部300は、蓄電素子200の安全弁221と対向する位置に配置される安全弁側開口部311が形成されている。つまり、図5に示すように、流路形成部300には、4つの蓄電素子200の安全弁221に対応して4つの安全弁側開口部311が形成されている。なお、蓄電素子200は、安全弁221が上方に向くように外装体本体100内に収容され、蓄電素子200上に流路形成部300が配置される。
安全弁側開口部311は、蓄電素子200の安全弁221よりも大きく形成された円形状の貫通孔であり、安全弁221から物質が排出された場合に、当該物質を流路形成部300の下方から上方へ通過させる。
次に、内蓋500周りの各構成要素について、説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係る単位モジュール11の内蓋500周りの各構成要素を示す分解斜視図である。また、図7は、本発明の実施の形態に係る内蓋500の構成を示す斜視図である。具体的には、同図は、内蓋500を下方から見た場合の構成を示す斜視図である。
また、図8は、本発明の実施の形態に係る単位モジュールをY−Z平面で切断した断面図である。具体的には、同図は、図2に示した単位モジュール11をA−A断面で切断した場合の断面を示す図である。また、図9は、図8の単位モジュールの断面図における破線で囲んだ領域R1の拡大図である。また、図10は、本発明の実施の形態に係る単位モジュールをX−Z平面で切断した断面図である。具体的には、同図は、図2に示した単位モジュール11をB−B断面で切断した場合の断面を示す図である。
まず、図6に示すように、内蓋500には、基板700に加え、正極外部端子610、負極外部端子620、バスバー630、外部配線接続部640及び配線経路形成部650が配置されている。
正極外部端子610は、図2に示された正極外部端子カバー16内に配置される正極側の外部端子であり、負極外部端子620は、図2に示された負極外部端子カバー17内に配置される負極側の外部端子である。正極外部端子610及び負極外部端子620は、蓄電装置1が外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電するための電極端子である。
つまり、蓄電装置1は、正極外部端子610及び負極外部端子620を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
バスバー630は、内蓋500の上方に配置される部材である。バスバー630は、金属など導電性の部材であり、複数の蓄電素子200同士を電気的に接続する接続部材である。具体的には、バスバー630は、隣接する蓄電素子200において、一の蓄電素子200の正極端子または負極端子と、他の蓄電素子200の負極端子または正極端子とを接続する。
外部配線接続部640は、外部の配線に接続されるコネクタであり、外部の配線と、複数の蓄電素子200のうちの少なくとも1つの蓄電素子200に接続される配線とを接続する。
配線経路形成部650は、2つの単位モジュール間に2つの単位モジュールの間を跨ぐように配置され、2つの単位モジュール間を跨る配線を通すための配線経路を形成する部材である。
次に、内蓋500について、詳細に説明する。
内蓋500は、バスバー630などが配置される内蓋本体部510を有している。また、内蓋500は、内蓋本体部510の中央位置に、基板700が載置される平面状の基板載置部520を有するとともに、基板載置部520から突出した突出部である基板支持部521を有している。
具体的には、図10に示すように、基板支持部521が基板700に形成された基板開口部710に挿入されて、基板700が基板載置部520に載置されることで、基板700が内蓋500上で固定される。なお、図6に示すように、本実施の形態では、内蓋500は、6つの基板支持部521を有しており、当該6つの基板支持部521が基板700に形成された6つの基板開口部710に挿入されて、基板700が内蓋500上で固定される。なお、基板開口部710の個数は、限定されず、基板支持部521の個数も限定されない。
また、図7に示すように、内蓋500は、内蓋本体部510の基板載置部520とは反対側の面に、平坦部530と、平坦部530から傾斜した傾斜部540とを有している。
平坦部530は、断熱材400が取り付けられる平坦な面であり、傾斜部540は、平坦部530の両側方に配置される傾斜面である。
具体的には、図7〜9に示すように、内蓋500は、断熱材400と対向する面に、平坦部530と傾斜部540と出口平坦部550とを有しており、断熱材400は、平坦部530内に配置されている。つまり、断熱材400は、傾斜部540側にはみ出すことなく、平坦部530の領域内に配置されている。
次に、排出路P1を形成している排出部900について説明する。
図8〜図10に示すように、蓄電素子200の安全弁221から排出される物質の流路である排出路P1は、内蓋500、断熱材400、及び流路形成部300により囲まれることで形成されている。つまり、排出路P1を形成している排出部900は、内蓋500、断熱材400、及び流路形成部300により構成される。なお、内蓋500の耐熱性及び断熱性を確保できれば、排出部900は、断熱材400を含まなくてもよい。排出路P1は、流路形成部300の形状に沿って延びる。つまり、排出路P1は、単電池モジュールの内部で発生した物質を外装体14の外方であるY軸方向の両側の空間に排出する。
排出部900の内壁面は、内蓋500の平坦部530に取り付けられた断熱材400と、内蓋500の傾斜部540と、流路形成部300とにより構成される。
排出部900の出口側の内壁面は、Y軸方向に対して傾斜している傾斜部540(第一壁面)と、傾斜部540に対向している流路形成部300の対向面320(第二壁面)とを含む。傾斜部540は、図9に示すように、Y軸方向に対して傾斜角θ1だけ上方に傾いている。一方で、対向面320は、Y軸方向に平行に延びている。つまり、傾斜部540及び対向面320は、Y軸方向に対する角度が互いに異なる。
排出部900は、断熱材400が配置されている領域では、断熱材400と、断熱材400に対向して配置されている流路形成部300とが、Y軸方向に延びる板状部材である。つまり、排出路P1は、断熱材400が配置されている領域において、X軸方向の幅及びZ軸方向の幅が一定の幅のまま、Y軸方向に延びる空間である。
また、排出部900は、断熱材400よりもY軸方向の外側では、傾斜部540と流路形成部300とが対向することにより、排出路P1を形成している。つまり、排出路P1は、傾斜部540が形成されている領域において、外方に向かうほど傾斜部540が傾斜角θ1で上方に向けて傾いており、かつ、流路形成部300がY軸方向に平行である。つまり、排出路P1は、外方に向かうほど排出路P1の流路断面積が大きくなるように形成されている空間である。
また、排出部900は、傾斜部540のさらにY軸方向の外側では、出口平坦部550と流路形成部300とが対向することにより、排出路P1を形成している。つまり、排出路P1は、出口平坦部550が形成されている領域において、断熱材400が配置されている領域よりもZ軸方向の幅が大きい空間である。これにより、蓄電素子200の安全弁221から排出される物質を外部の空間に排出するときに、極力広範囲に拡散させることができる。
また、排出部900は、外装体14の側面における上部においてY軸方向側の空間に物質を排出するように形成されている。そして、排出部900に形成されている傾斜部540は、Y軸方向に対して上方に向けて傾いている。このため、排出部900を通過した物質を、外装体14の側面の上部に形成された排出部900の排出口15からY軸方向よりも上方に傾いた方向である斜め上方に排出させることができる。これにより、蓄電装置1の隣に、他の蓄電装置やインバータ回路、コンバータ回路、制御回路などを含む電気機器が配置されている場合であっても、斜め上方に物質を排出させるため、電気機器に対して直接物質を排出することを低減できる。
また、内蓋500、断熱材400、及び流路形成部300が、外装体14の内部に配置されている。つまり、排出部900は、外装体14の内部の空間において形成されている。このため、外装体14の外部に排出部の少なくとも一部が形成されていなくても、外装体14の内部で発生した物質をY軸方向に対して上方に傾いた傾斜角θ1に沿って排出させやすくできる。このように、外装体14から突出した排出部を設けなくても物質を排出するための排出部が設けられた、コンパクトな形状の単位モジュールを実現できる。つまり、外装体のコンパクト化、及び、物質による周囲への悪影響の低減を両立させることができる。
また、排出部900の出口側には、排出路P1に沿っており、かつ、傾斜部540及び出口平坦部550の内面から立設するリブ541が配置されている。本実施の形態では、排出部900のY軸方向両端のそれぞれの傾斜部540に3つのリブ541が配置されている。また、リブ541は、リブ541が形成されている傾斜部540及び出口平坦部550に対向する流路形成部300に当接していない。
リブ541は、内蓋500の強度を補強する機能を有している。また、リブ541は、排出部900の排出口15に3つ形成されており、排出口15の開口の幅が小さく分割される。このため、排出部900の内方に人が誤って指を入れることを防止する機能も有する。また、リブ541は、傾斜部540から突出した部位であり、一対のリブ541が断熱材400をY軸方向の両側から挟むように配置されることで、断熱材400のY軸方向への移動を規制する機能も有する。
また、リブ541は、対向する流路形成部300に当接していないため、リブ541に伝わった振動や衝撃が、リブ541が形成されている傾斜部540及び出口平坦部550の内面に対向する流路形成部300の面に伝わることを防ぐことができる。これにより、振動や衝撃により流路形成部300またはリブ541が破損することを防ぐことができる。また、排出部900の排出口15の開口面積を、リブを当接させる構成とした場合よりも大きくすることができる。つまり、リブ541の下側の端部を当接させない構成とすることで、排出部900の出口側の強度を向上させること、及び、ガスや金属片などの物質を効率よく排出させることを両立させることができる。
なお、基板700は、図8〜10に示すように、内蓋本体部510の中央位置における空間S1に配置される。つまり、基板700は、排出部900の傾斜部540の側方に形成されている空間S1であって、蓄電素子200の正極端子230及び負極端子240の間に形成されている空間S1に配置される。このように、傾斜部540の側方の空間に基板700が設けられるため、傾斜部540の側方の空間を有効利用できる。また、蓄電素子200から突出して形成されている正極端子230及び負極端子240の間の空間に基板700が設けられるため、正極端子230及び負極端子240の間の空間を有効利用できる。複数の蓄電素子200の空いているスペースに基板700を配置することにより、単位モジュールのコンパクト化を図ろうとすれば、基板700は、各蓄電素子200の正極端子230及び負極端子240の間に配置することになる。つまり、基板700は、蓄電素子200の正極端子230及び負極端子240が突出している側(つまり蓄電素子200の上方)に配置されることになる。
また、各蓄電素子200は、正極端子230及び負極端子240が突出している側に安全弁221が設けられている。このため、安全弁221から排出される物質を単位モジュールの外方に向けて排出しようとすれば、当該物質が基板700に熱などの悪影響を与えることを避けるために、基板700が配置される空間S1を当該物質が通過することを避ける必要がある。つまり、排出路P1を基板700が設けられている空間S1の下方に設ける必要がある。さらに、複数の蓄電素子200は、Y軸方向に並んで配置されており、かつ、それぞれがX軸方向に並ぶ正極端子230及び負極端子240を有している。つまり、複数の蓄電素子200の正極端子230及び負極端子240の間の空間は、Y軸方向に延びている。このため、排出路P1がY軸方向に沿うように排出部900を形成することで、正極端子230及び負極端子240の間の空間を有効利用して基板700を配置でき、かつ、安全弁221から排出される物質による悪影響を基板700に与えないようにできる構成を実現している。また、排出路P1がY軸方向に沿うように排出部900が形成されるため、排出部900の排出口15(後述参照)は、蓄電装置1のY軸方向側の側面に形成されている。
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、排出部900の出口側の内壁面の一部である傾斜部540が、外装体14のY軸方向に対して傾いているため、外装体14の内部で発生したガスや金属片などの物質は、少なくとも傾斜部540を沿って流れる。このように、Y軸方向に沿って流れている物質の流れの少なくとも一部を、Y軸方向に対して傾いた方向に流すことができるため、当該物質の発生源である安全弁221からの当該物質の移動距離を長くすることができる。これにより、当該物質が外部に排出されることによる、周囲への悪影響(例えば、周囲の物品が熱でゆがむまたは破損する、金属片が衝突することにより物品が破損する、金属片によって電子回路が短絡するなど)を低減することができる。
また、蓄電装置1の外装体14の排出部900の出口側の側方に電気機器が配置されている場合であっても、ガスや金属片などの物質を外装体14のY軸方向に傾いた方向に排出できる。これにより、ガスや金属片が排出部900の出口から電気機器までの移動距離を長くすることができる。つまり、ガスや金属片などの物質が、高いエネルギーを維持したまま電気機器へ向けて排出されることにより、電気機器への悪影響(例えば、周囲の電気機器が熱でゆがむまたは破損する、金属片が衝突することにより電気機器が破損する、金属片によって電気機器の回路が短絡するなど)を低減できる。
また、傾斜部540のY軸方向に対する傾斜角θ1と、傾斜部540に対向している流路形成部300の面のY軸方向に対する角度とが異なる。より具体的には、傾斜部540は、排出路P1の出口側に向かうにつれて上方に傾斜しており、傾斜部540に対向している流路形成部300の面はY軸方向と平行である。このため、排出部900の出口側における排出路P1は、流路の中心が傾斜部540において上方に傾くことになる。これにより、蓄電装置1の内部で発生した物質をY軸方向に対して上方に傾いた角度で排出させやすくできる。このため、当該物質の発生源である安全弁221からの移動距離を長くすることができる。なお、排出路P1の中心は、例えば、排出路P1の所定の位置における流路断面の重心を結ぶ3次元状の線としてもよいし、排出路P1にガスなどの流体を流したときに当該流体が最も速く流れる部分としてもよい。
また、排出路P1は、出口側に向かうほど上方に偏って断面積が広がる形状となっているため、蓄電装置1の内部で発生した物質をY軸方向に対して上方に傾いた角度で排出させることができ、かつ、当該物質を広い空間に拡散させながら排出させることができる。
これにより、蓄電装置1の内部で発生した物質が、高エネルギーを維持したまま集中して排出されることを低減することができる。
(変形例1) 次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。図11は、本発明の実施の形態の変形例1に係る排出部900aを説明するための図である。具体的には、図11の(a)は、図2に示した単位モジュール11のA−A断面の位置で、単位モジュール11aを切断した場合の断面図のうちの上部の図である。また、図11の(b)は、図11の(a)のC−C断面図である。
同図に示すように、変形例1に係る単位モジュール11aは、実施の形態に係る単位モジュール11とは、内蓋500aの構成が内蓋500とは異なる。具体的には、内蓋500aは、排出部900aを構成している部分が、平坦部530及び傾斜部540aで構成される。つまり、内蓋500aは、出口平坦部550を有していない点が、上記実施の形態の内蓋500とは異なる。なお、その他の構成は、実施の形態に係る単位モジュール11と同じであるため説明を省略する。
傾斜部540aは、上記実施の形態に係る内蓋500の傾斜部540よりも、Y軸方向の内部側から形成されており、傾斜角θ1よりも緩やかな角度θ2で排出口15aまで延びている。
このように、変形例1に係る排出部900aでは、内蓋500aが出口平坦部550を有していないため、傾斜部540aの傾斜角θ2を緩やかな排出路P2が形成されている。これにより、蓄電素子200の安全弁221から排出されたガスや金属片などの物質を上方に向けて徐々に拡散させることができ、排出される物質の温度や排出される際の速度を低減させ、かつ、集中して物質が排出されることを防ぐことができる。
なお、傾斜部540の傾斜角は、以下のような角度となることが好ましい。
図12は、本発明の実施の形態に係る傾斜部の傾斜角について説明するための図である。具体的には、同図は、蓄電装置1のY軸方向側に、他の蓄電装置1が隣接して配置される場合の、各蓄電装置1における単位モジュールを、排出部を通過するY−Z平面で切断した断面図である。
同図に示すように、蓄電装置1と他の蓄電装置1とは距離D1の間隔を空けて配置されており、排出部900の平坦部530の上側の内壁面から蓋体800の上面までが高さH1であるとする。このとき、傾斜部540aの傾斜角θ2は、次の(式1)を満たすことが好ましい。
tanθ2>H1/D1 ・・・(式1)
これにより、排出口15aから排出される物質は、このような(式1)を満たす傾斜角θ2で排出されれば、水平方向に距離D1移動したときに、高さH1だけ上昇するように排出されることになるため、隣接する他の蓄電装置1の上方に向かって物質が排出されやすくできる。このように、排出口15aから排出される物質が隣接する他の蓄電装置1に直接衝突することを低減できるため、当該物質が隣接する他の蓄電装置1に悪影響を与えることを低減することができる。
なお、もちろん、隣接する他の蓄電装置1は、蓄電装置1に限らずに他の電気機器であってもよい。また、変形例1に係る内蓋500aに形成されている傾斜部540aの傾斜角θ2が(式1)を満たすことが好ましいとしたが、実施の形態に係る内蓋500に形成されている傾斜部540の傾斜角θ1についても傾斜角θ2と同様のことが言える。
なお、Y軸方向の位置に応じて傾斜角が変化している(例えば、湾曲または屈曲している)傾斜部の場合には、当該傾斜部のうちで最も外方側における角度を(式1)のθ2に適用できる。
(変形例2) 次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。図13は、本発明の実施の形態の変形例2に係る排出部900bを説明するための図である。具体的には、図13の(a)は、図2に示した単位モジュール11のA−A断面の位置で、単位モジュール11bを切断した場合の断面図のうちの上部の図である。また、図13の(b)は、図13の(a)のD−D断面図である。
同図に示すように、変形例2に係る単位モジュール11bは、変形例1に係る単位モジュール11aとは、内蓋500bの構成が内蓋500aとは異なる。具体的には、内蓋500bは、排出部900bを構成している部分が、平坦部530、第一拡大部561、及び第二拡大部562で構成される。つまり、内蓋500bは、傾斜部540aの代わりに第一拡大部561及び第二拡大部562が採用されている点が、変形例1の内蓋500aとは異なる。なお、その他の構成は、変形例1に係る単位モジュール11aと同じであるため説明を省略する。
第一拡大部561は、平坦部530のY軸方向の端部からZ軸方向に延びる第一部分561aと、第一部分561aの上端からY軸方向の排出部900bの排出口15b側に延びる第二部分561bとで構成される。つまり、第一拡大部561は、図13の(a)に示すように、断面がL字状でX軸方向に延びる。
また、第二拡大部562は、第一拡大部561の第二部分561bの端部からZ軸方向に延びる第一部分562aと、第一部分562aの上端からY軸方向の排出部900bの排出口15b側に延びる第二部分562bとで構成される。つまり、第二拡大部562は、第一拡大部561と同様に、図13の(a)に示すように、断面がL字状でX軸方向に延びる。
このように、内蓋500bの平坦部530のY軸方向の両端では、それぞれにおいて、第一拡大部561及び第二拡大部562が形成されているため、排出路P3は、平坦部530よりも排出口15bに向かうにつれて、段階的に上方に拡大する空間となる。このため、傾斜部540aが形成されていない排出部900bであっても、排出路P3が排出口15bに向かうにつれて段階的に拡大する空間であるため、安全弁221から排出される物質を上方に向けて排出することができる。つまり、排出路P3が排出口15b(外方)に向かうにつれて、所定の方向に偏って段階的に拡大するように形成されれば、排出路P3の排出口15bから排出される物質を所定の方向に向けて排出することができる。なお、第一拡大部561及び第二拡大部562のように段階的に拡大するように形成されている排出部900bであっても、第一拡大部561の第一部分561aおよび第二拡大部562の第一部分562aが約90度に傾斜している壁面を有する。
(変形例3) 次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。図14は、本発明の実施の形態の変形例3に係る排出部900cを説明するための図である。具体的には、図14の(a)は、図2に示した単位モジュール11のA−A断面の位置で、単位モジュール11cを切断した場合の断面図のうちの上部の図である。また、図14の(b)は、図14の(a)のE−E断面図である。
同図に示すように、変形例3に係る単位モジュール11cは、変形例1に係る単位モジュール11aとは、内蓋500cの構成が内蓋500aとは異なる。具体的には、内蓋500cは、複数のリブ541cが排出部900cの排出口15c側に向かうにつれて、X軸方向プラス側に傾いて形成されている点が、上記変形例1の内蓋500aとは異なる。
なお、その他の構成は、変形例1に係る単位モジュール11aと同じであるため説明を省略する。
このように、変形例3に係る排出部900cでは、傾斜部540aに形成されている複数のリブ541cが排出路P4の排出口15c側に向かうにつれて、X軸方向プラス側に傾いて形成されているため、安全弁221から排出された物質を上方に向けるだけで無く、X軸方向プラス側に向けて排出することができる。これにより、蓄電装置に隣接して電気機器が配置されている場合であっても、斜め方向に向けて物質を排出することができるため、隣接する電気機器までに物質が通過する経路の距離を増加させることができる。これにより、物質が高エネルギーを維持したまま隣接する電気機器に向けて排出されることを低減することができる。また、蓄電装置に隣接して配置されている電気機器が他の蓄電装置である場合であっても、斜め方向に物質を排出することができるため、他の電気機器に設けられた排出口に物質が直接入り込むことを防ぐことができる。
(変形例4) 次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。図15は、本発明の実施の形態の変形例4に係る排出部900dを説明するための図である。具体的には、図15の(a)は、図2に示した単位モジュール11のA−A断面の位置で、単位モジュール11dを切断した場合の断面図のうちの上部の図である。また、図15の(b)は、図15の(a)のF−F断面図である。
同図に示すように、変形例4に係る単位モジュール11dは、変形例1に係る単位モジュール11aとは、内蓋500d、断熱材400d、流路形成部300d、及び外装体本体100dの構成が、内蓋500a、断熱材400、流路形成部300及び外装体本体100とは異なる。具体的には、図15の(b)に示すように、排出部900dは、内蓋500dに形成されている傾斜部540aの領域において、Y軸方向プラス側では、排出部900dの排出口15dに向かうにつれてX軸方向プラス側に傾斜するように構成されおり、Y軸方向マイナス側では、排出路P5の排出口15dに向かうにつれてX軸方向マイナス側に傾斜するように構成されている。つまり、排出部900dは、上面視において、点対称の形状となるように、排出部900dの傾斜部540aが形成されている領域において、X軸方向の一方側に傾斜するように構成されている。具体的には、排出部900dは、傾斜部540aが形成されている領域において、X軸方向の一方側に傾斜する第一側面571及び第二側面572を有する。つまり、排出部900dの出口側の領域において、上壁面である傾斜部540aが傾斜して形成されているだけでなく、側壁面である第一側面571及び第二側面572がY軸方向に対して傾斜して形成されている。また、傾斜部540aに形成されている複数のリブ541dも、排出部900dの傾斜部540aが形成されている領域において、X軸方向の一方側への傾斜に沿って傾斜して形成されている。
このように、変形例4に係る排出部900dでは、傾斜部540aが形成されている領域及び傾斜部540aに形成されている第一側面が、排出部900dの排出口15dに向かうにつれてX軸方向の一方側に傾いて形成されているため、排出される物質の流れをX軸方向の一方側に向けて排出することができる。このため、排出口15dから排出される物質が高エネルギーを維持したまま隣接する電気機器に向けて排出されることを、低減することができる。
また、変形例4の排出部900dを採用した蓄電装置1dを複数並べて配置したときには、次に説明するような効果を奏する。図16は、本発明の実施の形態に係る変形例4の蓄電装置1dを複数並べて配置したときの効果を説明するための図である。
同図に示すように、排出部900dは、上面視において点対称となるように、Y軸方向の両端がX軸方向の一方側に傾いて形成されている。このため、蓄電装置1dと他の蓄電装置1dとを並べて配置したときに、一方の蓄電装置1dの排出部900dの排出口15dが向いている方向には、他方の蓄電装置1dの排出部900dの排出口15dがなく、外装体本体100がある。これにより、一方の蓄電装置1dの排出部900dの排出口15dから物質が排出されたとしても、他方の蓄電装置1dの排出部900dの排出口15dの内部に、一方の蓄電装置1dから排出された物質が入り込むことを防ぐことができる。このため、当該物質が蓄電装置1dの排出部900dの排出口15dから内部に入り込むことによる悪影響を低減することができる。
(変形例5) 次に、上記実施の形態の変形例5について、説明する。図17は、本発明の実施の形態の変形例5に係る排出部900eを説明するための図である。具体的には、図17の(a)は、図2に示した単位モジュール11のA−A断面の位置で、単位モジュール11eを切断した場合の断面図のうちの上部の図である。また、図17の(b)は、図17の(a)のG−G断面図である。
同図に示すように、変形例5に係る単位モジュール11eは、変形例4に係る単位モジュール11dとは、内蓋500e、断熱材400e、流路形成部300e、外装体本体100eの構成が、内蓋500d、断熱材400d、流路形成部300d及び外装体本体100dとは異なる。具体的には、図17の(b)に示すように、排出部900eは、内蓋500eに形成されている傾斜部540aの領域において、排出路P6の排出口15eに向かうにつれてX軸方向マイナス側に傾斜するように構成されている。つまり、排出部900eは、上面視において、線対称の形状となるように、排出部900eの傾斜部540aが形成されている領域において、X軸方向の一方側に傾斜するように構成されている。
具体的には、排出部900eは、傾斜部540aが形成されている領域において、X軸方向の一方側に傾斜する第一側面581及び第二側面582を有する。つまり、排出部900eの出口側の領域において、上壁面である傾斜部540aが傾斜して形成されているだけでなく、側壁面である第一側面581及び第二側面582がY軸方向に対して傾斜して形成されている。また、傾斜部540aに形成されている複数のリブ541eも、排出部900eの傾斜部540aが形成されている領域において、X軸方向の一方側への傾斜に沿って傾斜して形成されている。
このように、変形例5に係る排出部900eでは、傾斜部540aが形成されている領域及び傾斜部540aに形成されている複数のリブ541eが、排出部900eの排出口15eに向かうにつれてX軸方向の一方側に傾いて形成されているため、排出される物質の流れをX軸方向の一方側に向けて排出することができる。このため、排出口15eから排出される物質が高エネルギーを維持したまま隣接する電気機器に向けて排出されることを、低減することができる。
また、変形例5の排出部900eを採用した蓄電装置1eを複数並べて配置したときには、次に説明するような効果を奏する。図18は、本発明の実施の形態に係る変形例5の蓄電装置1eを複数並べて配置したときの効果を説明するための図である。
同図に示すように、排出部900eは、上面視において線対称となるように、Y軸方向の両端がX軸方向のマイナス側に傾いて形成されている。このため、蓄電装置1eと他の蓄電装置1eとを並べて配置したときに、一方の蓄電装置1eの排出部900eの排出口15eが向いている方向に対して交差する方向に、複数のリブ541e及び第二側面582が形成されている。これにより、一方の蓄電装置1eの排出部900eの排出口15eから物質が排出されたとしても、他方の蓄電装置1eの排出部900eの排出口15eには物質は到達するが、複数のリブ541e及び第二側面582が物質の排出方向に交差して形成されているため、物質の流れは複数のリブ541e及び第二側面582により妨げられる。これにより、他方の蓄電装置1eの排出部900eの内部に、一方の蓄電装置1eから排出された物質が入り込むことを防ぐことができる。このため、当該物質が蓄電装置1eの排出部900eの排出口15eから内部に入り込むことによる悪影響を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、変形例4及び5では、排出部900d、900eは、傾斜部540a、第一側面571、581及び第二側面572、582が傾斜することにより構成されているが、これに限らずに、傾斜部540aが形成されていなくてもよい。また、排出部900d、900eは、第一側面571、581及び第二側面572、582の両方が傾斜しているが、一方のみが傾斜している構成であってもよい。また、これらを組み合わせた構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、傾斜部540は、排出路P1の空間が広がる方向に傾斜しているが、これに限らずに、排出路の空間が狭まる方向に傾斜しても内部から排出される物質の方向を傾斜させることができるため、効果はある。ただし、排出路の空間が広がる方向に傾斜させた方が、物質を拡散させる効果も奏するため有効である。
また、上記実施の形態及び変形例1〜5では、傾斜部540、540aに対向する流路形成部300、300d、300eの面がY軸方向に対して傾斜していない構成であるが、Y軸方向に対して傾斜していてもよい。なお、傾斜部540、540aに対向する流路形成部300、300d、300eの面がY軸方向に対して傾斜している場合、対向する傾斜部540、540aの傾斜角θ1、θ2と同じ角度で下方に向けて傾斜していてもよいし、傾斜角θ1、θ2と異なる角度で下方に向けて傾斜していてもよいし、上方に向けて傾斜していてもよい。この場合、傾斜部540、540aに対向する流路形成部300、300d、300eの面は、排出口15、15a〜15eを拡大するという目的を達成するためには、下方に傾斜していることが好ましい。また、排出口15、15a〜15eを拡大し、かつ、斜め上方に向けて排出するという目的を達成するためには、傾斜角θ1、θ2よりも小さい角度で下方に向けて傾斜していることが好ましい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、排出部の上側の内壁面が出口側に向かうにつれて上方に傾斜する傾斜面540、540aを有する構成であるが、傾斜する内壁面は上側の内壁面に限らずに、排出部のいずれかの内壁面が出口側に向かうにつれて所定の方向に傾斜する傾斜面を有する構成であればよい。
これにより、排出口から排出される物質の少なくとも一部を所定の方向に傾けて排出させることができるため、物質の発生源である安全弁からの物質の移動距離を長くすることができる。
また、排出部の内壁面のうちの互いに対向する第一壁面と第二壁面とが、Y軸方向に対する角度が互いに異なっている構成であってもよい。つまり、第一壁面のみがY軸方向に対して傾斜している構成であってもよいし、第一壁面がY軸方向に対して傾斜している傾斜角と、第二壁面がY軸方向に傾斜している傾斜角とが異なっていれば、第一壁面および第二壁面がY軸方向に対して傾斜していてもよい。もちろん、第一壁面および第二壁面は、上側の内壁面および下側の内壁面に限らずに、X軸方向で互いに対向している2部分の内壁面であってもよいし、Z軸方向に対して傾いた方向で互いに対向している2部分の内壁面であってもよい。
これにより、第一壁面および第二壁面のうちでY軸方向に対する傾斜角が大きい方の壁面が傾斜している方向に傾けて、排出口から排出される物質の少なくとも一部を排出させることができるため、物質の安全弁からの移動距離を長くすることができる。
また、上記実施の形態およびその変形例では、排出部900、900a〜900eの出口側の内壁面に傾斜面540、540aが形成されているが、出口側の内壁面に限らずに、排出部900、900a〜900eの排出路P1〜P6のいずれかの位置で形成されていてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、排出部900、900a〜900eにリブ541、541c〜541eが形成されているがリブは形成されていなくてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、平坦の傾斜した面を傾斜部540、540aとして図示しているが、傾斜部540、540aは、湾曲している構成でもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、流路配置部は、内蓋500であることとしたが、流路配置部は、内蓋500には限定されない。例えば、流路配置部は、外蓋や排気ダクトなど、安全弁221からの排気が通る位置に配置されるものであればどのような部位であってもかまわない。