JP2018174065A - 電気化学反応単セル、電気化学反応セルスタック、および、電気化学反応セルスタックの製造方法 - Google Patents

電気化学反応単セル、電気化学反応セルスタック、および、電気化学反応セルスタックの製造方法 Download PDF

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智聡 村瀬
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Katsuya Yamagiwa
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Abstract

【課題】電気化学反応単セルの性能低下と、空気極の活性層と他の層との剥離とを抑制する。【解決手段】固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、空気極は、ペロブスカイト型酸化物と希土類ドープセリアとを含有する活性層を有し、活性層は、第1の方向の一方側から応力を受けた場合に生じる少なくとも1つの破断面に、互いの形状が同じである一対の境界線の間の領域である亀裂が複数存在し、かつ、複数の亀裂の内、第1の方向に直交し、かつ破断面に平行な第2の方向の寸法が第1の方向の寸法より長い特定亀裂の数の割合が50%未満である、特定領域が存在するように構成されている。【選択図】図8

Description

本明細書によって開示される技術は、電気化学反応単セルに関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という)は、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを備える。空気極は、例えば、ペロブスカイト型酸化物と希土類ドープセリアとを含有する活性層を含む。また、空気極の活性層内に複数の細隙が含まれたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許第5605888号公報
空気極が上述した構成の活性層を備えるSOFCでは、例えば低酸素雰囲気に晒された場合や過剰な発電集中が起きた場合に、面内の温度分布のばらつきや材料間の熱膨張率の相違等により、空気極の活性層の内部や、空気極の活性層と当該空気極の活性層に隣接する他の層との間の界面に熱応力が発生し、空気極の活性層の内部や界面に亀裂(クラック)が発生することがある。ここで、空気極の活性層に、第1の方向に直交する第2の方向の寸法が上記第1の方向の寸法より長い亀裂(以下、「横亀裂」という)が多く発生するほど、空気極から電解質層へと第1の方向に沿って直線状に連続的に繋がるイオン伝導経路が少なくなるため、SOFCの発電効率が低下する。また、横亀裂は、空気極の活性層と他の層との剥離の起点になる。このため、空気極の活性層に横亀裂が多く発生するほど、空気極の活性層と他の層との剥離が生じやすくなる。なお、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」ともいう)の構成単位である電解単セルにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルという。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)上記電気化学反応単セルにおいて、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、前記空気極は、ペロブスカイト型酸化物と希土類ドープセリアとを含有する活性層を有し、前記活性層は、前記第1の方向の一方側から応力を受けた場合に生じる少なくとも1つの破断面に、互いの形状が同じである一対の境界線の間の領域である亀裂が複数存在し、かつ、前記複数の亀裂の内、前記第1の方向に直交し、かつ前記破断面に平行な第2の方向の寸法が前記第1の方向の寸法より長い特定亀裂の数の割合が50%未満である、特定領域が存在するように構成されていることを特徴とする構成としてもよい。空気極の活性層に、第1の方向に直交する第2の方向の寸法が上記第1の方向の寸法より長い特定亀裂(横亀裂)が多く発生するほど、空気極から電解質層へと第1の方向に沿って直線状に連続的に繋がるイオン伝導経路が少なくなるため、SOFCの発電効率が低下する構成としてもよい。また、特定亀裂は、空気極の活性層と他の層との剥離の起点になる構成としてもよい。このため、空気極の活性層に特定亀裂が多く発生するほど、空気極の活性層と他の層との剥離が生じやすくなる構成としてもよい。これに対して、本電気化学反応単セルによれば、空気極の活性層は、第1の方向の一方側から応力を受けた場合に生じる少なくとも1つの破断面に、特定亀裂の数の割合が50%未満である特定領域が存在する構成としてもよい。このことは、破断する前の空気極の活性層は、潜在的に、特定亀裂より優先して、第2の方向の寸法が第1の方向の寸法より短い亀裂(以下、「縦亀裂」という)が多く発生しやすいことを意味する構成としてもよい。これにより、いずれの破断面においても特定亀裂の数の割合が50%以上である場合に比べて、電気化学反応単セルの性能低下と、空気極の活性層と他の層との剥離とを抑制することができる。
(2)上記電気化学反応単セルにおいて、前記特定領域が存在する破断面における20視野を1万倍以上の倍率の電子顕微鏡で観察した場合、前記20視野に存在する前記亀裂の内、前記特定亀裂の数の割合が40%未満であることを特徴とする構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、20視野に存在する亀裂の数に対し、特定亀裂の数の割合が40%以上である場合に比べて、電気化学反応単セルの性能低下と、空気極の活性層と他の層との剥離とを、より効果的に抑制することができる。
(3)上記電気化学反応単セルにおいて、前記20視野に存在する前記亀裂の内、前記特定亀裂の数の割合が19%未満であることを特徴とする構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、20視野に存在する亀裂の数に対し、特定亀裂の数の割合が19%以上である場合に比べて、電気化学反応単セルの性能低下と、空気極の活性層と他の層との剥離とを、さらに効果的に抑制することができる。
(4)上記電気化学反応単セルにおいて、さらに、前記電解質層と前記空気極との間に配置され、希土類ドープセリアを含有する中間層を備え、前記中間層の気孔率は15%以下であることを特徴とする構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、電解質層と空気極との間に配置されている中間層の気孔率が15%より高い場合に比べて、中間層内の気孔の存在により空気極から電解質層へと繋がるイオン導電経路が長くなることに起因して電気化学反応単セルの特性が低下することを抑制することができる。
(5)上記電気化学反応単セルにおいて、前記中間層が含有する前記希土類ドープセリアは、GDCを含むことを特徴とする構成としてもよい。
(6)上記電気化学反応単セルにおいて、さらに、前記電解質層と前記空気極との間に配置され、希土類ドープセリアを含有する中間層を備え、前記活性層における前記希土類ドープセリアの含有率は、25(wt%)以上、70(wt%)以下であることを特徴とする構成としてもよい。本電気化学反応単セルによれば、活性層における希土類ドープセリアの含有率が25(wt%)未満である場合に比べて、空気極の活性層と中間層との熱膨張差による剥離を抑制することができる構成としてもよい。また、活性層における希土類ドープセリアの含有率が70(wt%)より高い場合に比べて、イオン伝導性がペロブスカイト型酸化物に比べて低い希土類ドープセリアの含有率が低いため、希土類ドープセリアの含有率に起因する電気化学反応単セルの性能低下を抑制することができる。
(7)上記電気化学反応単セルにおいて、前記ペロブスカイト型酸化物は、コバルト系のペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする構成としてもよい。コバルト系のペロブスカイト型酸化物を含有する活性層は、特に熱膨張率が高いため、当該活性層に隣接する他の層との熱膨張差による剥離が生じやすい。このため、このようなコバルト系のペロブスカイト型酸化物を含有する活性層を備える電気化学反応単セルに本発明を適用することは特に有効である。
(8)上記電気化学反応単セルにおいて、前記活性層が含有する前記希土類ドープセリアは、GDCを含むことを特徴とする構成としてもよい。
(9)上記電気化学反応セルスタックは、前記第1の方向に並べて配列された複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタックにおいて、前記複数の電気化学反応単セルの少なくとも1つは、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルであることを特徴とする構成としてもよい。
(10)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックの製造方法は、固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備え、前記空気極が活性層を有する電気化学反応単セルを、複数備える電気化学反応セルスタックの製造方法において、性能評価前の前記電気化学反応単セルを複数含む電気化学反応単セル群を準備する工程と、前記電気化学反応単セル群の内、特定の前記性能評価前の電気化学反応単セルについて、前記活性層に前記第1の方向の一方側から応力を加えて前記活性層を破断させ、破断された活性層に生じた破断面における特定領域において、互いの形状が同じである一対の境界線の間の領域である複数の亀裂の内、前記第1の方向に直交し、かつ前記破断面に平行な第2の方向の寸法が前記第1の方向の寸法より長い特定亀裂の数の割合を特定し、前記特定亀裂の数の割合に応じて、前記電気化学反応単セルの性能を評価する工程と、前記特定の性能評価前の電気化学反応単セルの性能が基準レベル以上であったことを条件に、前記電気化学反応単セル群に含まれる複数の前記性能評価前の電気化学反応単セルを用いて前記電気化学反応セルスタックを組み立てる工程と、を備える。本電気化学反応セルスタックの製造方法によれば、電気化学反応単セルの性能低下と、空気極の活性層と他の層との剥離とが抑制された電気化学反応セルスタックを製造することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、インターコネクタ−電気化学反応単セル複合体(インターコネクタ−燃料電池単セル複合体またはインターコネクタ−電解単セル複合体)、インターコネクタ−電気化学反応単セル複合体を備える電気化学反応単位(燃料電池発電単位または電解セル単位)、複数のインターコネクタ−電気化学反応単セルまたは電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 単セル110の詳細構成を示す説明図である。 活性層220の破断面Mを形成するための工程の説明図である。 活性層220の破断面Mの3値化画像の説明図である。 燃料電池スタック100の製造方法の一例を示すフローチャートである。 横亀裂割合と電子およびイオンの伝導性との関係を示す説明図である。 性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112の上下方向の一方側(下側)に配置された燃料極(アノード)116と、電解質層112の上下方向の他方側(上側)に配置された空気極(カソード)114と、電解質層112と空気極114との間に配置された中間層180とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で単セル110を構成する他の層(電解質層112、空気極114、中間層180)を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、固体酸化物であるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)を含むように形成されている。すなわち、電解質層112は、Zr(ジルコニウム)とY(イットリウム)とを含んでいる。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、Sr(ストロンチウム)を含む組成物で形成されている。空気極114の構成については、後に詳述する。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
中間層180は、略矩形の平板形状部材であり、GDC(ガドリニウムドープセリア)を含むように形成されている。中間層180は、空気極114から拡散したSrが電解質層112に含まれるZrと反応して高抵抗なSZO(SrZrO)が生成されることを抑制する。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とは一体の部材として形成されているとしてもよい。また、空気極側集電体134は、導電性のコートによって覆われていてもよく、空気極114と空気極側集電体134との間には、両者を接合する導電性の接合層が介在していてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.空気極114の詳細構成:
図6は、単セル110の詳細構成を示す説明図である。図6には、図4の領域X1における単セル110のXZ断面構成が示されている。
本実施形態では、空気極114は、集電層210と、集電層210と電解質層112(および中間層180)との間に配置された活性層220とから構成されている。空気極114の活性層220は、主として、酸化剤ガスOGに含まれる酸素のイオン化反応の場として機能する層であり、主に電子を伝導するLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)と主に酸素イオンを伝導するGDC(ガドリニウムドープセリア)とを含むように形成されている。活性層220がGDCを含んでいると、活性層220とGDCを含む中間層180との接合性を高めることができると共に、活性層220における反応性を向上させることができる。また、空気極114の集電層210は、主として、空気室166から供給された酸化剤ガスOGを拡散させると共に、発電反応により得られた電気を集電する場として機能する層であり、LSCFを含むように形成されている。すなわち、空気極114を構成する集電層210および活性層220は、共にSrを含んでいる。なお、LSCFは、特許請求の範囲におけるコバルト系のペロブスカイト型酸化物に相当し、GDCは、特許請求の範囲における希土類ドープセリアに相当する。
本実施形態では、活性層220は、少なくとも1つの破断面Mにおいて、複数の亀裂Cが存在し、かつ、次述する特定領域220Aが存在するように構成されている。まず、活性層220の破断面Mは、電解質層112を挟んで空気極114と燃料極116とが対向する方向(上下方向)の一方側から応力を受けたことによって破断した活性層220の破断後の面(すなわち、研磨等の加工処理が施されていない面)である。
図7は、活性層220の破断面Mを形成するための工程の説明図である。図7における破断前の図に示すように、上述の単セル110に対して公知の3点曲げを行うことによって、単セル110を破断させる。より詳しくは、単セル110を、互いに一定の距離だけ離れた位置にそれぞれ配置された2つの支点上に置き、2つの支点上に配置された単セル110の内、2つの支点の間の中央の1点に、2つの支点とは反対側から荷重を加える。これにより、活性層220の破断面Mを形成することができる。なお、3点曲げを行う際、単セル110の内、燃料極116における電解質層112とは反対側の表面に対して、燃料極116から空気極114に向かう方向(図7の白抜き矢印の方向)に荷重を加えることにより、空気極114に引っ張り力が働くようにすることが好ましい。仮に、単セル110の内、空気極114における電解質層112とは反対側の表面に対して、空気極114から燃料極116に向かう方向(図7の白抜き矢印とは反対向きの方向)に荷重を加えると、空気極114に圧縮力が働き、この圧縮力によって破断面Mがつぶれるおそれがあるからである。また、単セル110の荷重点には、JIS規格の曲げ試験におけるクロスヘッド速度が0.5(mm/min)以下の荷重を加えることが好ましい。ゆっくり荷重を加えることによって亀裂Cが多く発生した破断面Mを得ることができる。なお、3点曲げに限らず、例えば公知の4点曲げにより、活性層220の破断面Mを形成するとしてもよい。
図8は、活性層220の破断面Mの3値化画像の説明図である。この3値化画像は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影された活性層220の破断面Mの特定領域220AのSEM画像を3値化処理したものである。図8に示す3値化画像の内、黒色部分は空隙である。図8に示すように、活性層220には、複数の亀裂Cが存在する。ここで、亀裂Cとは、活性層220における共通の結晶粒界に沿って延びるとともに空隙(図8の黒色部分)を介して互いに対向する一対の境界線であって、互いの形状が同じである一対の境界線の間の領域である。ここで、境界線とは、活性層220内において該活性層220の形成材料の粒子と空間との境の線である。亀裂Cは、活性層220の内、粒子が焼成されて一体化していた部分にヒビが入り生じた粒子間の裂け目である。そして、裂け目を形成し、互いに対向する一対の境界線の形状は略同一である。このため、図8に示す3値化画像において、互いに対向し、同じ形状である一対の境界線によって囲まれた黒色部分が亀裂Cである。なお、ここでいう「形状が互いに同じ」とは、6割以上の部分で一致する場合、形状が同じであることを意味する。例えば、まず、3値化処理したSEM画像において空隙を特定する。次に、この空隙の輪郭線から互いに対向する一対の境界線を特定し、一対の境界線について、一般的な画像処理方法により形状マッチングを行う。その結果、一対の境界線のマッチング率が6割以上である場合、一対の境界線は形状が互いに同じであるとして、該一対の境界線によって囲まれた空隙を亀裂Cする。なお、画像処理方法については特に限定されないが、例えば一対の境界線のそれぞれにおいて複数の特徴点を抽出した後、一対の境界線を重ね合わせたときに、全特徴点の数に対して互いに一致する特徴点の数の割合が6割以上である場合、一対の境界線は形状が互いに同じであるとすればよい。したがって、図8に示す3値化画像の内、互いに異なる複数の境界線によって囲まれた黒色部分(符号Dが示す部分)は、亀裂Cではないとして除外する。
活性層220に存在する複数の亀裂Cには、横亀裂SCと縦亀裂LCとが含まれる。横亀裂SCは、Z軸方向に直交し、かつ、破断面Mに平行な方向(図8ではX軸方向)の寸法(以下、「横寸法」という)Δxが、Z軸方向の寸法(以下。「縦寸法Δz」という)より長い亀裂C(図8の亀裂C3参照)をいう。なお、破断面Mが凹凸面であったり湾曲面であったりする場合、破断面Mに平行な方向とは、破断面Mに略平行な近似平面に平行な方向である。縦亀裂LCは、横寸法Δxが、縦寸法Δzより短い亀裂Cをいう(図8の亀裂C1,C2参照)。そして、上述したように、特定領域220Aでは、当該特定領域220Aに存在する複数の亀裂Cの内、横亀裂SCの数の割合(以下、「横亀裂割合」という)が50%未満である。なお、Z軸方向に直交し、かつ、破断面Mに平行な方向は、特許請求の範囲における第2の方向に相当し、横亀裂SCは、特許請求の範囲における特定亀裂に相当する。
A−4.燃料電池スタック100の製造方法:
上述した構成の燃料電池スタック100の製造方法は、例えば以下の通りである。図9は、燃料電池スタック100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
(電解質層112と燃料極116との積層体の形成)
はじめに、電解質層112と燃料極116との積層体を形成する(S110)。具体的には、YSZ粉末に対して、ブチラール樹脂と、可塑剤であるジオクチルフタレート(DOP)と、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、電解質層用グリーンシートを得る。また、NiOの粉末とYSZの粉末との混合粉末に対して、造孔材である有機ビーズと、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエンとエタノールとの混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調製する。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、燃料極用グリーンシートを得る。電解質層用グリーンシートと燃料極用グリーンシートとを貼り付けて乾燥させ、例えば1400℃にて焼成を行うことによって、電解質層112と燃料極116との積層体を得る。
(中間層180の形成)
次に、中間層180を形成する(S120)。具体的には、GDC粉末に、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを加えて混合し、粘度を調整して中間層用ペーストを調製する。得られた中間層用ペーストを、上述した電解質層112と燃料極116との積層体における電解質層112側の表面に例えばスクリーン印刷によって塗布し、例えば1180℃にて焼成を行う。これにより、中間層180が形成され、燃料極116と電解質層112と中間層180との積層体(以下、「中間積層体L」という)が作製される(図6参照)。
(空気極114の形成)
次に、空気極114を形成する。はじめに、LSCF粉末と、GDC粉末と、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを混合し、粘度を調整して、活性層220を形成するための材料である活性層用ペーストP2を調製する(S130)。
次に、準備された活性層用ペーストP2を、中間積層体Lにおける中間層180側の表面(すなわち、中間積層体Lの燃料極116を基準としたときの電解質層112側の表面)に例えばスクリーン印刷によって塗布して乾燥させる(S140)。
次に、LSCF粉末と、有機バインダとしてのポリビニルアルコールと、有機溶媒としてのブチルカルビトールとを混合し、粘度を調整して、集電層210を形成するための材料である集電層用ペーストP1を調製する(S150)。
次に、準備された集電層用ペーストP1を、中間積層体Lにおける活性層220側の表面に例えばスクリーン印刷によって塗布して乾燥させ、集電層用ペーストP1が塗布された中間積層体Lを所定の焼成温度(例えば1100℃)で焼成する(S160)。以下、この焼成工程により、集電層210が形成され、燃料極116と電解質層112と中間層180と活性層220と集電層210との積層体、すなわち、単セル110が作製される。ここで、活性層用ペーストP2を形成する際のGDC粉末におけるGdの成分比(Ce(セリア))に対するGdの重量比)が多いほど、活性層220は、破断した際の破断面Mに横亀裂SCが生じやすい構成になる傾向がある。また、空気極114の焼成温度が低いほど、活性層220は、破断した際の破断面Mに横亀裂SCが生じやすい構成になる傾向がある。さらに、活性層220の形成工程(S140)において、活性層用ペーストP2をスクリーン印刷した後の乾燥温度と乾燥時間とを適宜調整することによって、特定亀裂の数の割合を制御することができる。例えば、乾燥時間を短くすると、活性層220は、破断した際の破断面Mに縦亀裂LCが生じやすい傾向がある。したがって、GDC粉末におけるGdの成分比、空気極114の焼成温度や、活性層220の乾燥条件を適宜調整することにより、破断した際の破断面Mにおける横亀裂SCの数の割合を増減させて、上述した条件を満たす特定領域220Aが存在する活性層220を有する単セル110を作成することができる。
本実施形態では、上述の活性層220の形成工程(S140)における乾燥条件と、中間層180の形成工程(S120)における焼成温度と、単セル110の形成工程(S160)における焼成温度と、を適宜調整することによって、横亀裂SCの数の割合を調整している。活性層用ペーストP2をスクリーン印刷した後の乾燥温度が低い、または、乾燥時間が短い場合、集電層用ペーストP1をスクリーン印刷する際に、集電層用ペーストP1が縦方向へ侵入し易くなり、結果として縦亀裂LCが発生し易くなると考えられる。また、乾燥温度が高い、または乾燥が長い場合、すなわち、過度に乾燥させた場合、集電層用ペーストP1が侵入し難くなるため、縦亀裂LCが発生し難くなり、結果として横亀裂SCの数の割合が多くなると考えられる。ただし、乾燥温度が過度に低い場合や乾燥時間が過度に短い場合、集電層用ペーストP1のスクリーン印刷時に活性層用ペーストP2がスクリーンマスクに付着することに起因して単セル110を作製できなくなるおそれがある。
上述の方法により複数の単セル110を作製し、複数の単セル110を、空気極側集電体134や燃料極側集電体144、インターコネクタ150等の集電部材を間に介してZ軸方向に並べて配置し、ボルト22により締結することにより、上述した燃料電池スタック100が製造される(S170)。なお、燃料電池スタック100に用いられる単セル110は、後述の性能評価で例えば良好以上と判定された単セル110であることが好ましい。このため、次のようにすることが好ましい。例えば同一条件で製造された複数の単セル110を単セル群(例えばロット単位)とし、その単セル群から選択された特定の単セル110について後述の性能評価を行う。そして、特定の単セル110に対する性能評価が良好以上であることを条件に、該特定の単セル110が含まれていた単セル群(特定の単セル110を除く)を用いて燃料電池スタック100が製造される。なお、特定の単セル110に対する性能評価が良好未満であった場合、別の単セル群について上記と同様の工程を実施する。
A−5.本実施形態の効果:
図10は、横亀裂割合と電子およびイオンの伝導性との関係を示す説明図である。図10の左側の図に示すように、空気極114の活性層220に、横亀裂SCが多く発生するほど、電子および酸素イオンが、空気極114から電解質層112へと横亀裂SCを迂回しつつ移動する迂回経路(左側の図の太い矢印参照)が多くなることによって、単セル110および燃料電池スタック100の発電効率が低下する。また、横亀裂SCは、縦亀裂LCに比べて、活性層220と該活性層220に隣接する他の層(集電層210や中間層180)との界面に対する傾き角度が小さい。このため、横亀裂SCは、縦亀裂LCに比べて、空気極114の活性層220と他の層との剥離の起点(左側の図の符号P参照)になり易い。すなわち、空気極114の活性層220に横亀裂SCが多く発生するほど、空気極114の活性層220と他の層との剥離が生じ易くなる。
これに対して、図10の右側の図に示すように、空気極114の活性層220に、縦亀裂LCが多く発生するほど、電子および酸素イオンが、空気極114から電解質層112へと上下方向(Z軸方向)に沿って直線状に移動する直線経路(右側の図の太い矢印参照)が多くなることによって、単セル110および燃料電池スタック100の発電効率が向上する。また、縦亀裂LCは、横亀裂SCに比べて、活性層220と他の層との界面に対する傾き角度が大きい。このため、縦亀裂LCは、横亀裂SCに比べて、空気極114の活性層220と他の層との剥離の起点になり難い。すなわち、空気極114の活性層220に縦亀裂LCが多く発生するほど、空気極114の活性層220と他の層との剥離が生じ難くなる。
本実施形態の単セル110によれば、空気極114の活性層220には、少なくとも1つの破断面Mにおいて横亀裂割合が50%未満である特定領域220Aが存在する。このことは、破断する前の空気極114の活性層220は、潜在的に、横亀裂SCより優先して、縦亀裂LCが多く発生しやすいことを意味する。これにより、いずれの破断面においても横亀裂割合が50%以上である場合に比べて、単セル110の性能低下を抑制し、また、空気極114の活性層220と他の層との剥離を抑制することができる。
なお、上述したように、燃料極116と電解質層112と中間層180との積層体である中間積層体Lを形成後、該中間積層体Lに対して活性層用ペーストP2および集電層用ペーストP1を印刷し焼成することにより、空気極114を形成する(図9参照)。このため、空気極114は、電解質層112および中間層180と一体的に焼成する燃料極116に比べて剥離し易い。また、活性層220は、集電層210に比べて三相界面に近く、横亀裂SCによる初期特性への影響が大きい。このため、空気極114の活性層220に本発明を適用することが特に有効である。
また、本実施形態では、空気極114(活性層220および集電層210)はLSCFを含む。このように、コバルト系のペロブスカイト型酸化物を含有する活性層220は、特に熱膨張率が高いため、当該活性層220に隣接する他の層との熱膨張差による剥離が生じ易い。このため、このようなコバルト系のペロブスカイト型酸化物を含有する活性層220を備える単セル110に本発明を適用することは特に有効である。
A−6.性能評価:
複数の単セル110のサンプルを作製し、作製された複数の単セル110のサンプルを用いて各種性能評価を行った。図11は、性能評価結果を示す説明図である。以下、この性能評価について説明する。
A−6−1.各サンプルについて:
図11に示すように、空気極114の活性層220と中間層180との剥離の有無および初期特性についての評価は、サンプル1〜12を対象として行った。各サンプルでは、活性層220におけるGDCの含有率(wt%)と中間層180における気孔率%と活性層220における横亀裂割合%との内の少なくとも1つが互いに異なる。なお、活性層220におけるGDCの含有率は、空気極114の活性層220の断面(Z軸方向に略平行な断面)をEPMAにて観察し、活性層220における定量分析(分析範囲は任意であるが広い方が好ましい)の結果から算出した。また、中間層180の気孔率は、中間層180のSEM断面写真を用い、インターセプト法(例えば、水谷惟恭著、「セラミックプロセシング」、技報堂出版、1985年3月、p.193−p.195参照)によって算出した。また、活性層220における横亀裂割合は、各サンプルの破断面Mにおける20視野を1万倍以上の倍率の電子顕微鏡で観察した場合、該20視野に存在する複数の亀裂Cのそれぞれについて、横亀裂SCと縦亀裂LCとのいずれかに判別し、横亀裂SCおよび縦亀裂LCの合計数に対する横亀裂SCの数の割合を、横亀裂割合とした。なお、各サンプルでは、さらに、各サンプルの製造時におけるGDCの焼成温度(上記第1焼成工程における焼成温度)およびLSCFの焼成温度(上記第2焼成工程における焼成温度)は、1000(℃)〜1250(℃)である。各サンプルについて、上述の活性層220の形成工程では次のように調整した。サンプル1〜5,9〜12については、乾燥温度を140℃、乾燥時間を0.5時間〜5時間に調整して作製した。サンプル6〜8については、乾燥温度を140℃、乾燥時間を12時間、または、乾燥温度を200℃、乾燥時間を5時間に調整して作製した。
具体的には、活性層220における横亀裂割合に関して、サンプル1〜12の内、サンプル2,3,9,10では、横亀裂割合が19%未満であり、サンプル1,4,5,11〜12では、横亀裂割合が19%以上であり、かつ、40%以下であり、サンプル6,7では、横亀裂割合が40%より高く、かつ、50%以下である。また、サンプル8では、横亀裂割合が50%より高い。中間層180における気孔率に関して、サンプル2,3,9〜12では、中間層180における気孔率が15%以下であり、それ以外のサンプル(1,4〜8)では、中間層180における気孔率が15%より高い。活性層220におけるGDCの含有率に関して、サンプル1〜9,10では、GDCの含有率が25(wt%)以上、70(wt%)以下であり、特に、サンプル1〜8では、GDCの含有率が50(wt%)である。サンプル12では、GDCの含有率が25(wt%)未満であり、サンプル11では、GDCの含有率が70(wt%)より高い。
A−6−2.評価項目および評価方法:
上述したように、本性能評価では、空気極114の活性層220と中間層180との剥離の有無および初期特性についての評価を行った。
(空気極114の活性層220の剥離の有無の評価方法)
作製した各サンプルの単セル110における空気極114の活性層220の表面に市販のセロハン粘着テープを貼り、セロハン粘着テープを剥がす際の活性層220の剥離の有無を確認した。
(初期特性の評価方法)
作製された各単セル110を用いた燃料電池スタック100について、約700℃で空気極114に酸化剤ガスOGを供給し、燃料極116に燃料ガスFGを供給し、電流密度が0.55(A/cm)のときの単セル110の出力電圧を測定し、その測定値を初期電圧Vo(定格発電運転前の出力電圧)とした。初期電圧Voが0.92(V)以上である場合には最良(◎)と判定し、初期電圧Voが0.91(V)以上、0.92(V)未満である場合には良好(〇)と判定し、初期電圧Voが0.90(V)以上、0.91(V)未満である場合には合格(△)と判定し、初期電圧Voが0.90(V)未満である場合には不合格(×)と判定した。
A−6−3.評価結果:
(横亀裂割合について)
図11に示すように、活性層220における横亀裂割合が50%より高いサンプル8では、空気極114の活性層220の剥離は無かったが、初期特性の評価では不合格(×)と判定された。横亀裂割合が40%より高く、かつ、50%以下であるサンプル6,7では、活性層220の剥離は無く、また、初期特性の評価では合格(△)と判定された。横亀裂割合が19%以上であり、かつ、40%以下であるサンプル1,4,5,11,12では、活性層220の剥離は無く、また、初期特性の評価では良好(〇)と判定された。また、横亀裂割合が19%未満であるサンプル2,3,9.10では、活性層220の剥離は無く、また、初期特性の評価では最良(◎)と判定された。これらの評価結果からも、上述したように、空気極114の活性層220が、破断した際の破断面Mに横亀裂割合が50%未満である特定領域220Aが存在する構成である場合、横亀裂割合が50%以上である場合に比べて、単セル110の初期特性低下を抑制し、また、空気極114の活性層220の剥離を抑制することができることが分かる。また、横亀裂割合が40%未満である場合、横亀裂割合が40%以上である場合に比べて、単セル110の初期特性が向上することが分かる。さらに、横亀裂割合が19%未満である場合、横亀裂割合が19%以上である場合に比べて、単セル110の初期特性がさらに向上することが分かる。
(中間層180における気孔率について)
活性層220におけるGDCの含有率が50(wt%)であるサンプル1〜8の内、中間層180における気孔率が15%以下であるサンプル2,3では、活性層220の剥離は無く、また、初期特性の評価では最良(◎)と判定された。この評価結果によれば、電解質層112と空気極114との間に配置されている中間層180の気孔率が15%以下である場合、中間層180の気孔率が15%より高い場合に比べて、中間層180内の気孔の存在により空気極114から電解質層112へと繋がるイオン導電経路が長くなることに起因して単セル110の特性が低下することを抑制することができることが分かる。
(活性層220におけるGDCの含有率について)
GDCの含有率が25(wt%)未満であるサンプル12では、活性層220の剥離は無かった。しかし、GDCの含有率が25(wt%)以上である場合、GDCの含有率が25(wt%)未満である場合に比べて、空気極114の活性層220と中間層180との接触面積が大きいため、活性層220と中間層180との熱膨張差による剥離を抑制することができることが想定される。また、GDCの含有率が70(wt%)より高いサンプル11では、初期特性の評価で良好(〇)と判定された。しかし、GDCの含有率が70(wt%)以下である場合、GDCの含有率が70(wt%)より高い場合に比べて、イオン伝導性がペロブスカイト型酸化物に比べて低い希土類ドープセリアの含有率が低いため、希土類ドープセリアの含有率に起因する単セル110の性能低下を抑制することができることが想定される。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における単セル110または燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、空気極114は、活性層220と集電層210との二層構成であるとしているが、空気極114が活性層220および集電層210以外の他の層を含むとしてもよい。また、上記実施形態では、単セル110は中間層180を備えているが、単セル110は必ずしも中間層180を備える必要は無い。なお、単セル110が中間層180を備えず、空気極114の活性層220が電解質層112に隣接する構成においても、上記実施形態と同様に、活性層220におけるGDCの含有率が過度に低いと、活性層220と電解質層112との接合性が低下し、活性層220と電解質層112との界面で剥離が発生しやすくなるため好ましくない。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110の個数は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。
また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。例えば、上記実施形態では、電解質層112がYSZを含むとしているが、電解質層112はZrを含むように構成されていればよく、YSZに代えて、あるいはYSZに加えて、例えばScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)やCaSZ(酸化カルシウム安定化ジルコニア)等の他の材料を含むとしてもよい。また、上記実施形態では、空気極114(活性層220および集電層210)がLSCFを含むとしているが、空気極114はSrを含むように構成されていればよく、LSCFに代えて、あるいはLSCFに加えて、例えばLSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)やLSC(ランタンストロンチウムコバルト酸化物)等の他の材料を含むとしてもよい。また、上記実施形態では、活性層220や中間層180がGDCを含むとしているが、活性層220や中間層180が、GDCに代えて、あるいはGDCに加えて、例えばSDC(サマリウムドープセリア)等の他の材料を含むとしてもよい。
また、上記実施形態では、希土類ドープセリアとして、GDCを挙げたが、希土類酸化物(例えばLa、Sm、Y、Nd)がドープされたセリアでもよい。
上記実施形態において、空気極114の活性層220に、該活性層220の長手方向に直交する方向(Z軸方向)の一方側から応力を加えて活性層220を破断させる工程と、破断された活性層220に生じた破断面Mにおける特定領域220Aにおいて、上記横亀裂割合を特定する工程と、横亀裂割合に応じて、単セル110の性能を評価する工程とを含む、単セル110の評価方法で実施してもよい。すなわち、横亀裂割合が低いほど、単セル110の性能が高いと評価する。空気極114の活性層220に発生し得る亀裂Cの方向は、破断前の活性層220の気孔の向きだけでなく、活性層220の強度等にもよる。この評価方法によれば、このような様々な要因で決まる亀裂Cの向きを、破断面を見ることで把握することができる。なお、破断面Mに存在する亀裂Cには、活性層220の破断前に活性層220に存在していた亀裂だけでなく、活性層220の破断過程において発生した亀裂が含まれる。すなわち、亀裂Cが存在する箇所は、例えば、粒子間の密着力が本来的に弱い箇所であり、イオン伝導を潜在的に妨げる箇所である。また、亀裂Cが存在する箇所は、例えば、気孔が内在することによって亀裂が生じやすい箇所であり、特定の向きを持つ気孔が内在する箇所はイオン伝導を妨げる箇所となり得る。
また、上記実施形態では、燃料電池スタック100は複数の平板形の単セル110が積層された構成であるが、本発明は、他の構成、例えば国際公開第2012/165409号に記載されているように、複数の略円筒形の燃料電池単セルが直列に接続された構成にも同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルや、複数の電解単セルを備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号公報に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解単セルの製造の際にも、上述した実施形態における製造方法と同様の製造方法を採用すれば、単セル110の性能低下を抑制し、また、空気極114の活性層220と他の層との剥離を抑制することができる。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 104,106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:つなぐ連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 180:中間層 210:集電層 220:活性層 220A:特定領域 C:亀裂 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス L:中間積層体 LC:縦亀裂 M:破断面 OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス SC:横亀裂 X1:領域 Δx:横寸法 Δz:縦寸法

Claims (10)

  1. 固体酸化物を含む電解質層と、
    前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備える電気化学反応単セルにおいて、
    前記空気極は、ペロブスカイト型酸化物と希土類ドープセリアとを含有する活性層を有し、
    前記活性層は、
    前記第1の方向の一方側から応力を受けた場合に生じる少なくとも1つの破断面に、
    互いの形状が同じである一対の境界線の間の領域である亀裂が複数存在し、かつ、
    前記複数の亀裂の内、前記第1の方向に直交し、かつ前記破断面に平行な第2の方向の寸法が前記第1の方向の寸法より長い特定亀裂の数の割合が50%未満である、
    特定領域が存在するように構成されていることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  2. 請求項1に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記特定領域が存在する破断面における20視野を1万倍以上の倍率の電子顕微鏡で観察した場合、前記20視野に存在する前記亀裂の内、前記特定亀裂の数の割合が40%未満であることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  3. 請求項2に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記20視野に存在する前記亀裂の内、前記特定亀裂の数の割合が19%未満であることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    さらに、前記電解質層と前記空気極との間に配置され、希土類ドープセリアを含有する中間層を備え、
    前記中間層の気孔率は15%以下であることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  5. 請求項4に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記中間層が含有する前記希土類ドープセリアは、GDCを含むことを特徴とする、電気化学反応単セル。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    さらに、前記電解質層と前記空気極との間に配置され、希土類ドープセリアを含有する中間層を備え、
    前記活性層における前記希土類ドープセリアの含有率は、25(wt%)以上、70(wt%)以下であることを特徴とする、電気化学反応単セル。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記ペロブスカイト型酸化物は、コバルト系のペロブスカイト型酸化物を含むことを特徴とする、電気化学反応単セル。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルにおいて、
    前記活性層が含有する前記希土類ドープセリアは、GDCを含むことを特徴とする、電気化学反応単セル。
  9. 前記第1の方向に並べて配列された複数の電気化学反応単セルを備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数の電気化学反応単セルの少なくとも1つは、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の電気化学反応単セルであることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
  10. 固体酸化物を含む電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極と、を備え、前記空気極が活性層を有する電気化学反応単セルを、複数備える電気化学反応セルスタックの製造方法において、
    性能評価前の前記電気化学反応単セルを複数含む電気化学反応単セル群を準備する工程と、
    前記電気化学反応単セル群の内、特定の前記性能評価前の電気化学反応単セルについて、
    前記活性層に前記第1の方向の一方側から応力を加えて前記活性層を破断させ、
    破断された活性層に生じた破断面における特定領域において、互いの形状が同じである一対の境界線の間の領域である複数の亀裂の内、前記第1の方向に直交し、かつ前記破断面に平行な第2の方向の寸法が前記第1の方向の寸法より長い特定亀裂の数の割合を特定し、
    前記特定亀裂の数の割合に応じて、前記特定の性能評価前の電気化学反応単セルの性能を評価する工程と、
    前記特定の性能評価前の電気化学反応単セルの性能が基準レベル以上であったことを条件に、前記電気化学反応単セル群に含まれる複数の前記性能評価前の電気化学反応単セルを用いて前記電気化学反応セルスタックを組み立てる工程と、を備えることを特徴とする、電気化学反応セルスタックの製造方法。
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