[第1実施形態]
1.画像形成装置の概略
図1を参照して、本発明の箔転写装置の第1実施形態としての画像形成装置1の概略について説明する。
画像形成装置1は、ダイレクトタンデムタイプのカラープリンタである。画像形成装置1は、本体筐体2と、給紙部3と、搬送部7と、第1像形成部6と、複数の第2像形成部4Y、4M、4Cと、露光装置5と、定着器8と、箔転写部100と、センサユニット9と、制御部10とを備える。
1.1 本体筐体
本体筐体2は、画像形成装置1の外装を構成する。本体筐体2は、給紙部3と、搬送部7と、第1像形成部6と、複数の第2像形成部4Y、4M、4Cと、露光装置5と、定着器8と、箔転写部100と、センサユニット9と、制御部10とを収容する。
1.2 給紙部
給紙部3は、搬送部7に用紙Sを供給するように構成される。給紙部3は、給紙トレイ31と、複数の給紙ローラ32とを備える。
給紙トレイ31は、用紙Sを収容可能である。給紙トレイ31は、本体筐体2の下部に配置される。給紙トレイ31は、本体筐体2に対して移動可能である。
複数の給紙ローラ32は、給紙トレイ31に収容される用紙Sを搬送部7に供給するように構成される。
1.3 搬送部
搬送部7は、給紙部3から供給された用紙Sを第1方向に搬送するように構成される。つまり、搬送部7における用紙の搬送方向は、第1方向である。搬送部7は、給紙部3から供給された用紙Sを、複数の第2像形成部4C、4M、4Yおよび第1像形成部6を順次通過するように搬送する。搬送部7は、給紙トレイ31の上方に位置する。搬送部7は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73とを備える。
駆動ローラ71は、搬送ベルト73を駆動するように構成される。駆動ローラ71は、搬送ベルト73を周回させるように構成される。駆動ローラ71は、第1方向において、従動ローラ72の下流側に間隔を空けて位置する。駆動ローラ71は、第2方向に延びる回転軸線について回転可能である。第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、好ましくは、第1方向と直交する。
従動ローラ72は、駆動ローラ71とともに搬送ベルト73を周回させるように構成される。従動ローラ72は、第2方向に延びる回転軸線について回転可能である。従動ローラ72は、駆動ローラ71によって周回する搬送ベルト73に従い回転する。
搬送ベルト73は、無端状のベルトである。搬送ベルト73は、駆動ローラ71および従動ローラ72に掛けられる。搬送ベルト73は、駆動ローラ71および従動ローラ72に掛けられた状態で、第1方向に延びる。搬送ベルト73は、駆動ローラ71および従動ローラ72の周りを周回する。
1.4 第1像形成部
第1像形成部6は、用紙S上に第1のトナーを転写して第1のトナー像を形成する。用紙Sの搬送方向(第1方向)において、第1像形成部6は、第2像形成部4よりも下流側に配置される。第1像形成部6と、複数の第2像形成部4Y、4M、4Cとは、第1方向において、互いに間隔を空けて並ぶ。第1像形成部6は、第1感光ドラム61と、第1帯電器64と、第1現像ローラ62と、第1トナー収容部63と、第1転写ローラ65とを備える。
第1感光ドラム61は、第2方向に延びる回転軸線について回転可能である。第1感光ドラム61は、第2方向に延びる。第1感光ドラム61は、搬送部7の上方に位置する。第1感光ドラム61は、搬送ベルト73の外表面と接触する。
第1帯電器64は、第1感光ドラム61の周面を帯電するように構成される。第1帯電器64は、第1感光ドラム61を帯電させるための帯電バイアスが印加される。第1帯電器64は、第1感光ドラム61の周面に対して間隔を空けて位置する。
第1現像ローラ62は、第1感光ドラム61の周面に第1のトナーを供給するように構成される。第1現像ローラ62は、第1感光ドラム61に第1のトナーを供給するための第1バイアスが印加される。第1現像ローラ62は、第2方向に延びる。第1現像ローラ62は、第1感光ドラム61の周面に接触する。
第1トナー収容部63は、第1現像ローラ62に供給する第1のトナーを収容可能である。第1トナー収容部63は、第1現像ローラ62に対して第1感光ドラム61の反対側に位置する。
第1転写ローラ65は、第1のトナー像を、第1感光ドラム61の周面から用紙S上に転写するように構成される。第1転写ローラ65は、用紙S上に第1のトナー像を転写するための転写バイアスが印加される。第1転写ローラ65は、第2方向に延びる。第1転写ローラ65は、第1感光ドラム61に対して下方に位置する。第1転写ローラ65は、搬送ベルト73内に位置する。第1転写ローラ65と第1感光ドラム61とは、上下方向において搬送ベルト73を挟む。
1.5 複数の第2像形成部
複数の第2像形成部4Y、4M、4Cは、それぞれ、用紙S上に第2のトナーを転写して第2のトナー像を形成する。用紙Sの搬送方向(第1方向)において、複数の第2像形成部4Y、4M、4Cは、第1像形成部6の上流側に位置する。複数の第2像形成部4Y、4M、4Cのそれぞれは、トナー収容部に収容されるトナーを除いて同じ構造を有する。複数の第2像形成部4Y、4M、4Cのそれぞれは、第2感光ドラム41と、第2帯電器44と、第2現像ローラ42と、第2トナー収容部43と、第2転写ローラ45とを備える。
第2感光ドラム41は、第2方向に延びる回転軸線について回転可能である。第2感光ドラム41は、第2方向に延びる。第2感光ドラム41は、搬送部7の上方に位置する。第2感光ドラム41は、搬送ベルト73の外表面と接触する。
第2帯電器44は、第2感光ドラム41の周面を帯電するように構成される。第2帯電器44は、第2感光ドラム41を帯電させるための帯電バイアスが印加される。第2帯電器44は、第2感光ドラム41の周面に対して間隔を空けて位置する。
第2現像ローラ42は、第2感光ドラム41の周面に第2のトナーを供給するように構成される。第2現像ローラ42は、第1バイアスと同極性であり、第2感光ドラム41にトナーを供給するための第2バイアスが印加される。第2現像ローラ42は、第2方向に延びる。第2現像ローラ42は、第2感光ドラム41の周面に接触する。
第2トナー収容部43は、第2現像ローラ42に供給する第2のトナーを収容可能である。第2トナー収容部43は、第2現像ローラ42に対して第2感光ドラム41の反対側に位置する。
第2転写ローラ45は、第2のトナー像を、第2感光ドラム41の周面から用紙S上に転写するように構成される。第2転写ローラ45は、用紙S上に第2のトナー像を転写するための転写バイアスが印加される。第2転写ローラ45は、第2方向に延びる。第2転写ローラ45は、第2感光ドラム41に対して下方に位置する。第2転写ローラ45は、搬送ベルト73内に位置する。第2転写ローラ45と第2感光ドラム41とは、上下方向において搬送ベルト73を挟む。
1.6 露光装置
露光装置5は、第1感光ドラム61および複数の第2感光ドラム41を露光するように構成される。露光装置5は、第1像形成部6および複数の第2像形成部4Y、4M、4Cに対して上方に位置する。第1感光ドラム61について説明すると、露光装置5は、第1帯電器64によって帯電された第1感光ドラム61の周面を露光する。これにより、第1感光ドラム61の周面に、静電潜像が形成される。その後、第1現像ローラ62によって静電潜像に第1のトナーが供給されることにより、第1感光ドラム61の周面に、第1のトナー像が形成される。同様に、第2感光ドラム41の周面には、第2のトナーが供給されて、第2のトナー像が形成される。
1.7 定着器
定着器8は、トナー像が転写された用紙Sを加熱および加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させるように構成される。定着器8は、用紙Sの搬送方向(第1方向)において、第1像形成部6の下流側に間隔を空けて位置する。定着器8は、加熱ローラ81と、加圧ローラ82とを備える。加熱ローラ81は、加熱可能に構成される。加圧ローラ82は、加熱ローラ81と接触する。
1.8 箔転写部
箔転写部100は、第1のトナー像および第2のトナー像に金属箔を重ね、第1のトナー像、第2のトナー像および金属箔を加熱することで第1のトナー像に金属箔を転写するように構成される。箔転写部100は、用紙Sの搬送方向において、定着器8の下流側に位置する。箔転写部100は、第1リール120と、第2リール130と、第1箔転写ローラ140と、第2箔転写ローラ150とを備える。
第1リール120は、第1のトナー像に転写される前の箔フィルムFが巻かれている。箔フィルムFは、キャリアフィルムF1と、キャリアフィルムF1に積層される金属箔F2とを備える。第1リール120に巻かれる箔フィルムFにおいて、金属箔F2は、その金属箔が積層されるキャリアフィルムF1に対して第1リール120の反対側に位置する。
第2リール130は、第1のトナー像に金属箔F2が転写された後のキャリアフィルムF1を巻き取るように構成される。第2リール130は、用紙Sの搬送方向において、第1リール120に対して下流側に間隔を空けて位置する。
第1箔転写ローラ140および第2箔転写ローラ150は、第1箔転写ローラ140および第2箔転写ローラ150との間を通過する用紙Sに形成される第1のトナー像に、箔フィルムFの金属箔F2を重ねるように構成される。第1箔転写ローラ140および第2箔転写ローラ150は、用紙Sの搬送方向において、第1リール120と第2リール130との間に位置する。第1箔転写ローラ140は、第1リール120から第2リール130に向かう箔フィルムFが掛けられる。第1箔転写ローラ140は、重ねられた第1のトナー像および金属箔を加熱するように構成される。第1箔転写ローラ140は、加熱可能に構成される。第1箔転写ローラ140および第2箔転写ローラ150は、箔フィルムFを挟む。第1箔転写ローラ140は、箔フィルムFにおけるキャリアフィルムF1と接触する。第2箔転写ローラ150は、箔フィルムFにおける金属箔F2と接触する。
1.9 センサユニット
センサユニット9は、画像形成装置1内における用紙Sの通過を検知するように構成される。センサユニット9は、給紙センサ91と、定着センサ92と、排出センサ93とを備える。
給紙センサ91は、給紙部3から搬送部7に供給される用紙Sの通過を検知するように構成される。
定着センサ92は、定着器8から箔転写部100に向かう用紙Sの通過を検知するように構成される。定着センサ92は、用紙Sの搬送方向において、定着器8と箔転写部100との間に位置する。
排出センサ93は、箔転写部100から本体筐体2が有する排出口22に向かう用紙Sの通過を検知するように構成される。排出センサ93は、用紙Sの搬送方向において、箔転写部100と排出口22との間に位置する。
給紙センサ91、定着センサ92および排出センサ93のそれぞれは、通過する用紙Sと接触可能な非検知位置(図1仮想線参照)と、用紙Sとの接触により非検知位置から用紙Sの搬送方向の下流側に向かって倒れる検知位置(図1実線参照)との間を回動可能である。給紙センサ91、定着センサ92および排出センサ93のそれぞれは、制御部10に電気的に接続される。給紙センサ91、定着センサ92および排出センサ93のそれぞれは、検知位置に位置されたときに、制御部10に検出信号を送信する。給紙センサ91、定着センサ92および排出センサ93のそれぞれは、非検知位置に位置されたときに、制御部10に対する検出信号の送信を停止する。
1.10 制御部
制御部10は、第1処理の一例としての箔転写処理と、第2処理の一例としての通常印刷処理とを切り替え可能に制御する。箔転写処理は、第1のトナー像および第2のトナー像のうち少なくとも第1のトナー像を用紙S上に形成し、第1のトナー像に金属箔を転写する。通常印刷処理は、第1のトナー像および第2のトナー像の少なくともいずれか一方を用紙S上に形成し、第1のトナー像に金属箔を転写しない。
制御部10は、図示しないが、CPUと、ROMと、RAMと、NVRAMと、特定用途向け集積回路(ASIC)とを備える。
ROMは、CPUにて実行される各種のプログラム、例えば、箔転写処理のための箔転写処理プログラム、通常印刷処理のための通常印刷処理プログラムなどを記憶する。また、ROMは、箔転写処理および通常印刷処理のそれぞれにおける、定着器8の定着温度や箔転写部100の箔転写温度などを記憶する。
NVRAMは、例えば、通常印刷処理において現像ローラに印加するバイアスの基準値を記憶する。
ASICは、CPUの各種のプログラムの実行により、画像形成装置1の動作を制御するように構成される。
2.箔フィルムの詳細
箔フィルムFは、第1リール120に巻かれている。箔フィルムFは、上記したように、キャリアフィルムF1と、キャリアフィルムF1に積層される金属箔F2とを備える。
キャリアフィルムF1における金属箔F2が積層される面には、好ましくは、図示しない剥離処理層が設けられる。キャリアフィルムF1の材料として、例えば、樹脂材料などが挙げられる。
金属箔F2は、剥離処理層に対してキャリアフィルムF1と反対側に積層される。例えば、金属蒸着により金属箔F2がキャリアフィルムF1に積層される。金属箔F2は、金属蒸着に適した、Al、Zn、Ni、Au、Ag、PtおよびCrからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を含有する。コストを考慮して、好ましくは、金属箔F2は、Al原子またはCr原子を含む。
金属箔F2は、例えば、上記の金属原子を含む金属を主成分として含有する。扱いやすさを考慮して、さらに好ましくは、金属箔F2は、Al単体、Al2O3、Al−Si合金およびAl−Cu合金からなる群から選択される少なくとも1種のAl含有金属からなる。金属箔F2が上記の金属原子を含有すると、第1のトナー像と金属箔F2との接着力の向上を図ることができ、金属箔F2を第1のトナー像に確実に転写することができる。また、金属箔F2の厚みは、例えば、0.002μm以上0.08μm以下である。
なお、金属箔F2は、着色剤を含有することもできる。金属箔F2が着色剤を含有することにより、金属箔F2の色を変えることができる。
3.第1のトナーの詳細
第1のトナーは、第1トナー収容部63に収容される。第1のトナーは、結着樹脂としてのポリエステル樹脂を少なくとも含有する。好ましくは、第1のトナーの結着樹脂は、ポリエステル樹脂からなる。ポリエステル樹脂は、金属箔F2と用紙Sとを接着するための接着剤として作用する。ポリエステル樹脂は、多価酸(多塩基酸)と多価アルコールとの共重合体である。
多価酸として、例えば、ジカルボン酸化合物、トリカルボン酸化合物などが挙げられる。ジカルボン酸化合物として、例えば、芳香族ジカルボン酸化合物(例えば、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、ジフェン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、それらのアルキル置換体、それらの酸無水物など)、脂環族ジカルボン酸化合物(例えば、テトラヒドロテレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−アルキルテトラヒドロフタル酸、3−アルキルヘキサヒドロフタル酸、4−アルキルテトラヒドロフタル酸、4−アルキルヘキサヒドロフタル酸、それらの酸無水物など)などが挙げられる。トリカルボン酸化合物として、例えば、トリメリット酸、その酸無水物などが挙げられる。多価酸は、単独使用または2種以上併用することができる。
多価酸として、好ましくは、芳香族ジカルボン酸化合物およびトリカルボン酸化合物の併用が挙げられ、さらに好ましくは、テレフタル酸およびトリメリット酸無水物の併用が挙げられる。多価酸として芳香族ジカルボン酸化合物およびトリカルボン酸化合物が併用される場合、芳香族ジカルボン酸化合物に対するトリカルボン酸化合物のmol比(トリカルボン酸化合物/芳香族ジカルボン酸化合物)は、例えば、0.01以上0.20以下である。
多価アルコールとして、例えば、2価アルコール、3価アルコールなどが挙げられる。また、多価アルコールとして、水酸基の一部または全部にアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなど)を付加した多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物を使用することもできる。
2価アルコールとして、例えば、芳香族ジアルコール(例えば、パラキシリレングリコ−ル、メタキシリレングリコ−ル、オルトキシリレングリコ−ル、ビスフェノールA、ビスフェノールFなど)、脂環族ジアルコール(例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなど)、直鎖状脂肪族グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオールなど)、分岐鎖状脂肪族グリコール(例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなど)などが挙げられる。3価アルコールとして、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。多価アルコールは、単独使用または2種以上併用することができる。
多価アルコールとして、好ましくは、芳香族ジアルコールのエチレンオキサイド付加物および芳香族ジアルコールのプロピレンオキサイド付加物の併用が挙げられ、さらに好ましくは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の併用が挙げられる。多価アルコールとして芳香族ジアルコールのエチレンオキサイド付加物および芳香族ジアルコールのプロピレンオキサイド付加物が併用される場合、芳香族ジアルコールのプロピレンオキサイド付加物に対する芳香族ジアルコールのエチレンオキサイド付加物のmol比(芳香族ジアルコールのエチレンオキサイド付加物/芳香族ジアルコールのプロピレンオキサイド付加物)は、例えば、0.3以上2.0以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、多価酸と多価アルコールとを配合して縮重合させることにより調製される。このとき、多価酸のカルボキシル基に対する多価アルコールの水酸基の当量比は、例えば、0.8以上1.2以下である。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、例えば、1000〜5000であり、ポリエステル樹脂の重量平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による)は、例えば、10000〜2000000であり、ポリエステル樹脂の酸価は、例えば、1.0〜20KOHmg/gである。
第1のトナーは、好ましくは、帯電制御剤を含有する。帯電制御剤として、例えば、正帯電制御剤、負帯電制御剤が挙げられる。
正帯電制御剤として、例えば、4級アンモニウム塩を含有するスチレンアクリル樹脂、4級アンモニウム塩を含有するポリエステル樹脂などの4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂などが挙げられる。4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
第1のトナーが4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂を含有する場合、第1のトナーは、4級アンモニウム塩を含有する。第1のトナーが4級アンモニウム塩を含有すると、4級アンモニウム塩が正帯電性をもたらすので、第1のトナーを正帯電性トナーとすることができる。
第1のトナーが4級アンモニウム基を含有する場合、第1のトナー中の4級アンモニウム塩の含有割合は、例えば、6.0×10−5質量%以上、例えば、20.0質量%以下である。
負帯電制御剤として、例えば、市販の負帯電制御剤を用いることができる。第1のトナーが負帯電制御剤を含有する場合、第1のトナーを負帯電性トナーとすることができる。
また、第1のトナーは、3級アミノ基を含有する樹脂をさらに含有することもできる。3級アミノ基を含有する樹脂として、例えば、3級アミノ基を含有するスチレンアクリル樹脂、3級アミノ基を含有するポリエステル樹脂などが挙げられる。3級アミノ基を含有する樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
第1のトナーが3級アミノ基を含有する樹脂を含有する場合、第1のトナーは、3級アミノ基を含有する。第1のトナーが3級アミノ基を含有する場合、第1のトナー中の3級アミノ基の含有割合は、例えば、6.0×10−5質量%以上、例えば、20.0質量%以下である。
また、第1のトナーは、必要に応じて、公知の添加剤(例えば、ワックス、着色剤、充填剤など)を適宜の割合で含有することができる。
このような第1のトナーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは、第2のトナーのガラス転移温度(Tg)よりも高い。第1のトナーのガラス転移温度(Tg)は、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上、さらに好ましくは、48℃以上、例えば、80℃以下、好ましくは、60℃以下である。なお、ガラス転移温度(Tg)は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
第1のトナーのガラス転移温度(Tg)と第2のトナーのガラス転移温度(Tg)との差(第1のトナーのTg−第2のトナーのTg)は、例えば、1℃以上、例えば、20℃以下、好ましくは、10℃以下、さらに好ましくは、5℃未満である。
また、第1のトナーの軟化点は、好ましくは、第2のトナーの軟化点よりも高い。第1のトナーの軟化点は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、さらに好ましくは、70℃以上、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。なお、軟化点は、後述する実施例に記載の方法に準拠して測定できる。
第1のトナーの軟化点と第2のトナーの軟化点との差(第1のトナーの軟化点−第2のトナーの軟化点)は、例えば、1℃以上、例えば、10℃以下、好ましくは、5℃未満、さらに好ましくは、4℃以下である。
このような第1のトナーは、例えば、特開2007−94041号公報に記載の方法により調製することができる。また、第1のトナーは、重合法により調製される重合トナーであってもよく、粉砕法により調製される粉砕トナーであってもよい。
4.第2のトナーの詳細
第2のトナーは、第2トナー収容部43に収容される。第2のトナーは、結着樹脂としてのスチレンアクリル樹脂を少なくとも含有する。好ましくは、第2のトナーの結着樹脂は、スチレンアクリル樹脂からなる。スチレンアクリル樹脂は、スチレンと、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸の誘導体との共重合体である。スチレンアクリル樹脂は、好ましくは、スチレンと(メタ)アクリル酸の誘導体との共重合体である。
(メタ)アクリル酸の誘導体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸の誘導体は、単独使用または2種以上併用することができる。
第2のトナーは、好ましくは、帯電制御剤を含有する。帯電制御剤として、例えば、正帯電制御剤、負帯電制御剤が挙げられる。
正帯電制御剤として、例えば、4級アンモニウム塩を含有するスチレンアクリル樹脂、4級アンモニウム塩を含有するポリエステル樹脂などの4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂、ニグロシン染料などが挙げられる。例えば、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」(オリエント化学工業社製)、「CHUO CCA−1」、「CHUO CCA−3」(中央合成社製)、「TP−415」(保土谷化学工業社製)が挙げられる。4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂およびニグロシン染料は、単独使用または2種以上併用することができる。
第2のトナーが4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂を含有する場合、第2のトナーは、4級アンモニウム塩を含有する。第2のトナーが4級アンモニウム塩を含有すると、4級アンモニウム塩が正帯電性をもたらすので、第2のトナーを正帯電性トナーとすることができる。第1のトナーおよび第2のトナーは、好ましくは、4級アンモニウム塩を含有する。
第1のトナーおよび第2のトナーが4級アンモニウム塩を含有する場合、好ましくは、第1のトナーが4級アンモニウム塩を含有する割合が、第2のトナーが4級アンモニウム塩を含有する割合よりも多い。第2のトナー中の4級アンモニウム塩の含有割合は、例えば、6.0×10−5質量%を超過し、好ましくは、0.004質量%以上、例えば、0.28質量%未満、好ましくは、0.24質量%以下、さらに好ましくは、0.20質量%未満である。
第2のトナー中の4級アンモニウム塩の含有割合が上記の範囲であれば、後述する選択箔転写処理において金属箔が第2のトナー像に転写されることを抑制できる。
負帯電制御剤として、例えば、市販の負帯電制御剤を用いることができる。第2のトナーが負帯電制御剤を含有する場合、第2のトナーを負帯電性トナーとすることができる。
また、第2のトナーは、3級アミノ基を含有する樹脂をさらに含有することもできる。3級アミノ基を含有する樹脂として、例えば、3級アミノ基を含有するスチレンアクリル樹脂、3級アミノ基を含有するポリエステル樹脂などが挙げられる。3級アミノ基を含有する樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
第2のトナーが3級アミノ基を含有する樹脂を含有する場合、第2のトナーは、3級アミノ基を含有する。第2のトナーが3級アミノ基を含有する場合、第2のトナー中の3級アミノ基の含有割合は、例えば、6.0×10−5質量%以上2.65質量%未満である。
また、第2のトナーは、必要に応じて、公知の添加剤(例えば、ワックス、着色剤、充填剤など)を適宜の割合で含有することができる。
このような第2のトナーのガラス転移温度(Tg)は、例えば、25℃以上、好ましくは、35℃以上、例えば、70℃以下、好ましくは、50℃以下、さらに好ましくは、46℃以下である。
また、第2のトナーの軟化点は、例えば、45℃以上、好ましくは、55℃以上、さらに好ましくは、65℃以上、例えば、90℃以下、好ましくは、70℃未満である。
このような第2のトナーは、例えば、特許第5673901号に記載の方法により調製することができる。
5.画像形成動作
次に、図2〜図5を参照して、画像形成装置1における画像形成処理について説明する。
図2に示すように、制御部10は、印刷指令を受けると、画像形成プログラムを実行する。本実施形態では、制御部10が、複数枚(N枚)の用紙Sに印刷するという印刷データを受信したものとする。なお、以下の説明において、用紙Sの搬送方向における下流側の端部を先端と定義し、用紙Sの搬送方向における上流側の端部を後端と定義する。
画像形成処理では、制御部10は、印刷データに金属箔の印刷データが含まれているか否かを判断する(S1)。
印刷データに金属箔の印刷データが含まれる場合(S1:Yes)、制御部10は、選択箔転写プログラムを実行する(S2)。一方、印刷データに金属箔の印刷データが含まれない場合(S1:No)、制御部10は、通常印刷プログラムを実行する(S3)。
5.1 選択箔転写処理
図3を参照して、選択箔転写処理について説明する。
選択箔転写処理では、制御部10は、用紙Sの搬送速度を第1速度に設定する(S4)。
第1速度は、例えば、4mm/秒分以上、好ましくは、5mm/秒以上、例えば、100mm/秒以下、好ましくは、75mm/秒以下である。
次いで、制御部10は、第1現像ローラ62に印加する第1バイアス(単位:V)と、複数の第2現像ローラ42に印加する第2バイアス(単位:V)とを設定する(S5)。
第1バイアスと第2バイアスとは同極性である。第1バイアスの絶対値は、第2バイアスの絶対値よりも大きい。つまり、制御部10は、選択箔転写処理において、第1バイアスの絶対値が第2バイアスの絶対値よりも大きくなるように制御する。第1バイアスの絶対値が第2バイアスの絶対値よりも大きいと、第1感光ドラム61に供給する単位面積当たりの第1のトナーの量を、第2感光ドラム41に供給する単位面積当たりの第2のトナーの量よりも多くすることができる。これにより、用紙Sに対する単位面積当たりの第1のトナーの量が、用紙Sに対する単位面積当たりの第2のトナーの量よりも多くなる。つまり、制御部10は、選択箔転写処理において、用紙Sに対する単位面積当たりの第1のトナーの量が、用紙Sに対する単位面積当たりの第2のトナーの量よりも多くなるように制御する。これによって、第1のトナー像と金属箔とをより一層確実に接着することができる。
詳しくは、CPUは、まず、NVRAMからバイアスの基準値を読み出してRAMに書き込む。そして、CPUは、第1バイアスの絶対値が第2バイアスの絶対値よりも大きくなるように、バイアスの基準値に所定値を加算または減算して、第1バイアスおよび第2バイアスを算出する。その後、CPUは、第1バイアスおよび第2バイアスをRAMに書き込む。
第1バイアスの絶対値は、例えば、270V以上、好ましくは、300V以上、例えば、550V以下、好ましくは、500V以下である。第2バイアスの絶対値は、例えば、250V以上、好ましくは、270V以上、例えば、450V以下、好ましくは、400V以下である。第1バイアスの絶対値と第2バイアスの絶対値との差は、例えば、10V以上、好ましくは、50V以上、例えば、200V以下、好ましくは、150V以下である。
次いで、制御部10は、加熱ローラ81の加熱温度(定着温度)と、第1箔転写ローラ140の加熱温度(箔転写温度)とを設定する(S6)。
箔転写温度は、定着温度より低い。これにより、箔フィルムから金属箔が剥離されるときの温度を、比較的低温にすることができる。
定着温度は、例えば、150℃以上、好ましくは、160℃以上、例えば、210℃以下、好ましくは、200℃以下である。箔転写温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、110℃以上、例えば、210℃以下、好ましくは、200℃以下である。定着温度と箔転写温度との差は、例えば、10℃以上、好ましくは、40℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。
次いで、制御部10は、加熱ローラ81および第1箔転写ローラ140が加熱されるように、定着器8および箔転写部100に通電させる(S7)。
次いで、制御部10は、加熱ローラ81が定着温度に到達し、かつ、第1箔転写ローラ140が箔転写温度に到達したか否か判断する(S8)。加熱ローラ81が定着温度および/または第1箔転写ローラ140が箔転写温度に到達していない場合(S8:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。
制御部10は、加熱ローラ81が定着温度に到達し、かつ、第1箔転写ローラ140が箔転写温度に到達した場合(S8:Yes)、給紙部3に用紙Sを1枚給紙させる(S9)。
詳しくは、制御部10は、用紙Sの搬送速度が第1速度となるように、給紙部3および搬送部7などに通電させる。これにより、用紙Sが、給紙トレイ31から給紙される。
次いで、制御部10は、印刷制御処理を実行する(S10)。
図1および図4を参照して、印刷制御処理を説明する。
印刷制御処理では、制御部10は、第1帯電器64および複数の第2帯電器44に帯電バイアスを印加させるとともに、第1転写ローラ65および複数の第2転写ローラ45に転写バイアスを印加させる(S11)。これにより、第1感光ドラム61の周面および複数の第2感光ドラム41の周面が帯電する。
次いで、制御部10は、用紙Sの先端が給紙センサ91を通過したか否かを判断する(S12)。詳しくは、制御部10は、給紙センサ91から検出信号を受信したか否か判断する。給紙センサ91から検出信号を受信していない場合(S12:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。
給紙センサ91から検出信号を受信した場合(S12:Yes)、制御部10は、露光装置5に、印刷データに基づいて第1感光ドラム61および複数の第2感光ドラム41を露光させる(S13)。これにより、第1感光ドラム61の周面および複数の第2感光ドラム41の周面のそれぞれに静電潜像が形成される。
次いで、制御部10は、第1現像ローラ62に第1バイアスを印加させるとともに、複数の第2現像ローラ42に第2バイアスを印加させる(S14)。
詳しくは、CPUは、RAMの第1バイアスおよび第2バイアスを参照して、第1現像ローラ62に第1バイアスを印加させ、複数の第2現像ローラ42に第2バイアスを印加させる。また、CPUは、第1現像ローラ62および複数の第2現像ローラ42を回転駆動させる。
これにより、第1現像ローラ62が、第1感光ドラム61の静電潜像に第1のトナーを供給する。つまり、第1のトナーが第1現像ローラ62から第1感光ドラム61の静電潜像に電気的に移動し、第1感光ドラム61の周面に第1のトナー像が形成される。また、第2現像ローラ42が、第2感光ドラム41の静電潜像に第2のトナーを供給する。つまり、第2のトナーが第2現像ローラ42から第2感光ドラム41の静電潜像に電気的に移動し、第2感光ドラム41の周面に第2のトナー像が形成される。
次いで、第2感光ドラム41および第2転写ローラ45は、用紙Sが第2感光ドラム41と第2転写ローラ45との間を通過するときに、第2のトナー像を第2感光ドラム41から用紙Sに転写する。その後、第1感光ドラム61および第1転写ローラ65は、用紙Sが第1感光ドラム61と第1転写ローラ65との間を通過するときに、第1のトナー像を第1感光ドラム61から第2のトナー像が形成された用紙Sに転写する。
その後、定着器8は、第1のトナー像および第2のトナー像が形成される用紙Sが加熱ローラ81および加圧ローラ82の間を通過するときに、用紙Sを加熱および加圧する。これにより、第1のトナー像および第2のトナー像が、用紙Sに熱定着する。
続いて、箔転写部100は、第1のトナー像および第2のトナー像が形成される用紙Sに金属箔F2を重ね、第1のトナー像および金属箔F2を加熱することで第1のトナー像に金属箔F2を転写する。
詳しくは、箔転写部100は、第1のトナー像および第2のトナー像が定着した用紙Sが第1箔転写ローラ140および第2箔転写ローラ150の間を通過するときに、用紙Sの印刷面に金属箔F2が接触するように、用紙Sに箔フィルムFを重ねて、第1のトナー像、第2のトナー像および金属箔F2を加熱する。これにより、金属箔F2は、キャリアフィルムF1から剥離して、第2のトナー像に転写されることなく第1のトナー像に転写される。
また、図3に示すように、第1バイアスおよび第2バイアスの印加後(S14、図4参照)、制御部10は、次ページの印刷データがあるか否かを判断する(S15)。
次ページの印刷データがある場合(S15:Yes)、制御部10は、先行する用紙Sの後端が給紙センサ91を通過してから、第1時間が経過したか否かを判断する(S16)。詳しくは、制御部10は、給紙センサ91からの検出信号が停止してから、第1時間が経過したか否かを判断する。第1時間が経過していない場合(S16:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。第1時間が経過している場合(S16:Yes)、制御部10は、再度、用紙Sを1枚給紙させる(S9)。
一方、次ページの印刷データがない場合(S15:No)、制御部10は、用紙Sの後端が定着センサ92を通過したか否かを判断する(S17)。詳しくは、制御部10は、定着センサ92からの検出信号を受信した後、定着センサ92からの検出信号が停止したか否かを判断する。用紙Sの後端が定着センサ92を通過していない場合(S17:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。
用紙Sの後端が定着センサ92を通過した場合(S17:Yes)、制御部10は、第1像形成部6、複数の第2像形成部4Y、4M、4C、および、定着器8への通電を停止させる(S18)。これにより、帯電バイアス、転写バイアス、第1バイアスおよび第2バイアスの印加と、加熱ローラ81の加熱とが停止する。
次いで、制御部10は、用紙Sの後端が排出センサ93を通過したか否かを判断する(S19)。詳しくは、制御部10は、排出センサ93からの検出信号を受信した後、排出センサ93からの検出信号が停止したか否かを判断する。用紙Sの後端が排出センサ93を通過していない場合(S19:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。
用紙Sの後端が排出センサ93を通過した場合(S19:Yes)、制御部10は、箔転写部100への通電を停止させる(S20)。これにより、第1箔転写ローラ140の加熱が停止する。
以上によって、選択箔転写処理が完了する。
5.2 通常印刷処理
図2に示すように、印刷データが金属箔のデータを含まない場合(S1:No)、通常印刷処理が実行される(S3)。
図5を参照して、通常印刷処理について説明する。
通常印刷処理では、制御部10は、用紙Sの搬送速度を第2速度に設定する(S21)。
第2速度は、第1速度よりも速い。つまり、制御部10は、選択箔転写処理における用紙Sの搬送速度(第1速度)が、通常印刷処理における用紙Sの搬送速度(第2速度)よりも遅くなるように制御する。これによって、選択箔転写処理における定着器8の加熱時間を、通常印刷処理における定着器8の加熱時間よりも長くすることができる。そのため、選択箔転写処理において、通常印刷処置よりも用紙Sに定着される第1のトナー像の表面を平滑にすることができる。その結果、第1のトナー像に対する金属箔の接着性のさらなる向上を図ることができる。
第2速度は、例えば、80mm/秒以上、好ましくは、100mm/秒以上である。
次いで、制御部10は、印刷データにカラーの印刷データが含まれるか否かを判断する(S22)。
印刷データにカラーの印刷データが含まれない場合(S22:No)、制御部10は、図示しない接離機構により、複数の第2現像ローラ42を対応する第2感光ドラム41から離間させる(S23)。次いで、制御部10は、第1現像ローラ62に印加する第3バイアスを設定する(S24)。
また、印刷データがカラーの印刷データを含む場合(S22:Yes)、制御部10は、第1現像ローラ62および複数の第2現像ローラ42に印加する第3バイアス(単位:V)を設定する(S25)。第3バイアスの設定方法は、上記の第1バイアスおよび第2バイアスの設定方法と同様である。
第3バイアスと、第1バイアスと、第2バイアスとは同極性である。第3バイアスの絶対値は、第1バイアスの絶対値よりも小さい。第3バイアスの絶対値は、第2バイアスの絶対値よりも小さくてもよく、大きくてもよい。また、第3バイアスの絶対値と、第2バイアスの絶対値とは、同じであってもよい。第3バイアスの絶対値の範囲は、上記した第2バイアスの絶対値の範囲と同じである。
次いで、制御部10は、加熱ローラ81の加熱温度(定着温度)を設定する(S26)。
通常印刷処理における定着温度は、箔転写温度よりも高く、選択箔転写処理における定着温度よりも低い。
通常印刷処理における定着温度は、例えば、150℃以上、好ましくは、160℃以上、例えば、210℃以下、好ましくは、200℃以下である。選択箔転写処理における定着温度と通常印刷処理における定着温度との差は、例えば、10℃以上、好ましくは、40℃以上、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。
次いで、制御部10は、加熱ローラ81が加熱されるように、定着器8に通電させる(S27)。なお、箔転写部100には通電されず、第1箔転写ローラ140は加熱されない。
次いで、制御部10は、加熱ローラ81が定着温度に到達したか否か判断する(S28)。
加熱ローラ81が定着温度に到達していない場合(S28:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。
加熱ローラ81が定着温度に到達した場合(S28:Yes)、制御部10は、用紙Sを1枚給紙させる(S29)。詳しくは、制御部10は、用紙Sの搬送速度が第2速度となるように、給紙部3および搬送部7などに通電させる。これにより、用紙Sが、給紙トレイ31から給紙される。
次いで、制御部10は、上記と同様の印刷制御処理を実行する(S30、図4参照)。これにより、第1のトナー像および第2のトナー像の少なくともいずれか一方が用紙Sに形成される。なお、第1のトナー像には、金属箔が転写されない。
次いで、制御部10は、次ページの印刷データがあるか否かを判断する(S31)。
次ページの印刷データがある場合(S31:Yes)、制御部10は、先行する用紙Sの後端が給紙センサ91を通過してから、第2時間が経過したか否かを判断する(S32)。第2時間は、第1時間よりも短い。
第2時間が経過していない場合(S32:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。第2時間が経過している場合(S32:Yes)、制御部10は、再度、用紙Sを1枚給紙させる(S29)。
一方、次ページの印刷データがない場合(S31:No)、制御部10は、用紙Sの後端が定着センサ92を通過したか否かを判断する(S33)。用紙Sの後端が定着センサ92を通過していない場合(S33:No)、制御部10は、当該ステップを繰り返す。
用紙Sの後端が定着センサ92を通過した場合(S33:Yes)、制御部10は、第1像形成部6、複数の第2像形成部4Y、4M、4C、および、定着器8への通電を停止させる(S34)。
以上によって、通常印刷処理が完了する。
6.作用効果
図1に示すように、画像形成装置1では、第1のトナーの結着樹脂がポリエステル樹脂を少なくとも含有し、第2のトナーの結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂を少なくとも含有する。そして、箔転写部100は、第1のトナー像および第2のトナー像が形成される用紙Sに金属箔F2を重ね、第1のトナー像、第2のトナー像および金属箔F2を加熱する。このとき、第1のトナーが含有するポリエステル樹脂は、金属箔F2と用紙Sとを接着する接着剤として作用する。一方、第2のトナー像が含有するスチレンアクリル樹脂は、金属箔F2と用紙Sとを接着しない。そのため、金属箔F2を、第1のトナー像および第2のトナー像のうち第1のトナー像に選択的に転写することができる。
[第2実施形態]
次に、図6を参照して、第2実施形態の画像形成装置11について説明する。画像形成装置11において、画像形成装置1と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
第2像形成部の個数は、特に制限されない。画像形成装置11は、第1像形成部6と、複数の第2像形成部4K、4Y、4M、4Cとを備える。
画像形成装置11は、露光装置5に代えて、複数の露光装置51を備える。複数の露光装置51のそれぞれは、第1感光ドラム61または第2感光ドラム41に対して上方に位置する。
画像形成装置11では、上記した選択箔転写処理において、複数の第2像形成部4K、4Y、4M、4Cのそれぞれが、第2のトナー像を用紙S上に形成する。その後、第1像形成部6が、第1のトナー像を、第2のトナー像が形成された用紙S上に形成する。そして、箔転写部100が、第1実施形態と同様に、第1のトナー像に金属箔を転写する。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第3実施形態]
次に、図7を参照して、第3実施形態の画像形成装置12について説明する。画像形成装置12において、画像形成装置1と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
画像形成装置12は、搬送経路90と、本体筐体2に取り付け可能な箔転写ユニット200とをさらに備える。
搬送経路90は、本体筐体2内に設けられる。搬送経路90は、排紙経路90Aと、ユニット案内経路90Bと、再搬送経路90Cと、フラッパ95とを備える。
排紙経路90Aは、定着器8から送り出された用紙Sを排出口22に案内する経路である。
ユニット案内経路90Bは、排紙経路90Aから送られてきた用紙Sを、本体筐体2の外にあるユニット側給紙経路160(後述)に案内する経路である。ユニット案内経路90Bは、排紙経路90Aから分岐して本体筐体2の端まで延びる。
再搬送経路90Cは、箔転写ユニット200を通過した用紙Sを給紙部3に再搬送する経路である。再搬送経路90Cは、給紙トレイ31と搬送部7との間において水平方向に延びる。
フラッパ95は、排紙経路90Aとユニット案内経路90Bとの分岐部分に設けられる。フラッパ95は、排紙経路90Aを閉鎖し、用紙Sを箔転写ユニット200に向けて案内する第1位置(図7実線参照)と、ユニット案内経路90Bを閉鎖し、用紙Sを排出口22に向けて案内する第2位置(図7仮想線参照)とに切り替え可能である。
箔転写ユニット200は、本体筐体2と水平方向に並ぶように、本体筐体2の外面に取り付けられる。箔転写ユニット200は、箔転写部100と、ユニット側給紙経路160と、ユニット側排紙経路170とを備える。つまり、箔転写部100は、本体筐体2の外部に位置する。
ユニット側給紙経路160は、ユニット案内経路90Bから送られる用紙Sを箔転写部100に案内する経路である。ユニット側給紙経路160は、ユニット案内経路90Bに繋がる。
ユニット側排紙経路170は、箔転写部100を通過した用紙Sを、再搬送経路90Cに案内する経路である。ユニット側排紙経路170は、再搬送経路90Cに繋がる。
画像形成装置12では、上記した選択箔転写処理において、第1位置に位置するフラッパ95が、第1のトナー像および第2のトナー像が形成された用紙Sを、排紙経路90Aからユニット案内経路90Bに案内する。そして、ユニット案内経路90Bは、用紙Sをユニット側給紙経路160に向けて案内する。
次いで、ユニット側給紙経路160は、用紙Sを箔転写部100に向けて案内する。そして、箔転写部100は、第1実施形態と同様に、用紙Sに形成される第1のトナー像に金属箔を転写する。その後、ユニット側排紙経路170は、箔転写部100を通過した用紙Sを再搬送経路90Cに案内する。
次いで、再搬送経路90Cは、用紙Sを給紙部3に再搬送する。その後、給紙部3および搬送部7は、用紙Sが複数の第2像形成部4C、4M、4C、第1像形成部6および定着器8を順次通過するように搬送する。
また、フラッパ95は、第1位置から第2位置に揺動して、ユニット案内経路90Bを閉鎖し、排紙経路90Aを開放する。そして、排紙経路90Aは、用紙Sが排出口22に向かうように案内する。その後、排出口22は、用紙Sを排出する。
また、上記した通常印刷処理では、第2位置に位置するフラッパ95が、第1のトナー像および第2のトナー像の少なくともいずれか一方が形成される用紙Sを、箔転写ユニット200(箔転写部100)を通過させることなく、排紙経路90Aに案内する。
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第4実施形態]
次に、図8を参照して、第4実施形態の画像形成装置13について説明する。画像形成装置13において、画像形成装置12と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
画像形成装置13は、搬送経路90と、本体筐体2に取り付け可能な箔転写ユニット200とを備える。箔転写ユニット200は、本体筐体2と上下方向に並ぶように、本体筐体2の外面に取り付けられる。
搬送経路90は、排紙経路90Aと、ユニット案内経路90Bと、フラッパ95とを備え、再搬送経路90Cを備えない。箔転写ユニット200は、箔転写部100と、ユニット側給紙経路160と、ユニット側排紙経路180とを備える。
ユニット側排紙経路180は、箔転写部100を通過した用紙Sを、箔転写ユニット200が有する排出口202に案内する経路である。ユニット側排紙経路180は、排出口202に繋がる。
画像形成装置13では、上記した選択箔転写処理において、第1位置に位置するフラッパ95が、第1のトナー像および第2のトナー像が形成された用紙Sを、排紙経路90Aからユニット案内経路90Bに案内する。
そして、ユニット案内経路90Bは、用紙Sをユニット側給紙経路160に向けて案内する。次いで、ユニット側給紙経路160は、用紙Sを箔転写部100に向けて案内する。続いて、箔転写部100は、第1実施形態と同様に、用紙Sに形成される第1のトナー像に金属箔を転写する。その後、ユニット側排紙経路180は、箔転写部100を通過した用紙Sを、排出口202に案内する。排出口202は、用紙Sを排出する。
また、上記した通常印刷処理では、第2位置に位置するフラッパ95は、第1のトナー像および第2のトナー像の少なくともいずれか一方が形成される用紙Sを、箔転写ユニット200(箔転写部100)を通過させることなく、排出口22に向かうように案内する。
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第5実施形態]
次に、図9を参照して、第5実施形態の画像形成装置14について説明する。画像形成装置14において、画像形成装置1と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
画像形成装置14は、中間転写タイプのカラープリンタである。画像形成装置14は、転写部70と、第1像形成部6と、複数の第2像形成部4Y、4M、4Cと、箔転写部100とを備える。
転写部70は、中間転写ベルト75に転写される第1のトナー像および/または第2のトナー像を、中間転写ベルト75から用紙Sに転写するように構成される。転写部70は、駆動ローラ77と、従動ローラ78と、中間転写ベルト75と、二次転写ローラ76とを備える。
駆動ローラ77は、中間転写ベルト75を周回させるように構成される。従動ローラ78は、駆動ローラ77とともに中間転写ベルト75を周回させるように構成される。従動ローラ78は、水平方向において駆動ローラ77と間隔を空けて位置する。従動ローラ78は、駆動ローラ77によって周回する中間転写ベルト75に従い回転する。
中間転写ベルト75は、無端状のベルトである。中間転写ベルト75は、駆動ローラ77および従動ローラ78に掛けられる。中間転写ベルト75は、駆動ローラ77および従動ローラ78に掛けられた状態で、水平方向に延びる。中間転写ベルト75は、駆動ローラ77および従動ローラ78の周りを周回する。
二次転写ローラ76は、中間転写ベルト75から用紙Sに第1のトナー像および第2のトナー像を転写する。二次転写ローラ76は、中間転写ベルト75の外表面に接触する。二次転写ローラ76と従動ローラ78とは、中間転写ベルト75を挟む。
第1像形成部6は、中間転写ベルト75上に第1のトナーを転写して第1のトナー像を形成する。第1感光ドラム61は、転写部70の下方に位置する。第1感光ドラム61は、中間転写ベルト75と接触する。第1転写ローラ65は、第1のトナー像を、第1感光ドラム61の周面から中間転写ベルト75上に転写するように構成される。第1転写ローラ65は、中間転写ベルト75内に位置する。第1転写ローラ65と第1感光ドラム61とは、上下方向において中間転写ベルト75を挟む。
複数の第2像形成部4Y、4M、4Cは、それぞれ、中間転写ベルト75上に第2のトナーを転写して第2のトナー像を形成する。第2感光ドラム41は、転写部70の下方に位置する。第2感光ドラム41は、中間転写ベルト75の外表面と接触する。第2転写ローラ45は、第2のトナー像を、第2感光ドラム41の周面から中間転写ベルト75上に転写するように構成される。第2転写ローラ45は、中間転写ベルト75内に位置する。第2転写ローラ45と第2感光ドラム41とは、上下方向において中間転写ベルト75を挟む。
画像形成装置14では、上記した選択箔転写処理において、複数の第2像形成部4Y、4M、4Cのそれぞれが、第2のトナー像を中間転写ベルト75上に形成する。その後、第1像形成部6が、第1のトナー像を、第2のトナー像が形成された中間転写ベルト75上に形成する。そして、二次転写ローラ76は、用紙Sが二次転写ローラ76と従動ローラ78との間を通過するときに、中間転写ベルト75から用紙Sに第1のトナー像および第2のトナー像を転写する。その後、定着器8は、第1のトナー像および第2のトナー像を用紙Sに熱定着する。次いで、箔転写部100は、第1実施形態と同様に、第1のトナー像および第2のトナー像が形成される用紙Sに金属箔を重ね、第1のトナー像および金属箔を加熱することで第1のトナー像に金属箔を転写する。
このような第5実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第6実施形態]
次に、図10を参照して、第6実施形態の画像形成装置15について説明する。画像形成装置15において、画像形成装置14と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。画像形成装置15は、第1像形成部6と、複数の第2像形成部4K、4Y、4M、4Cとを備える。このような第6実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[変形例]
第1実施形態〜第6実施形態では、定着器8が第1のトナー像および第2のトナー像を用紙Sに熱定着するが、これに限定されない。箔転写部100が、第1のトナー像および第2のトナー像を用紙Sに熱定着するとともに、金属箔を第1のトナー像に転写してもよい。これによっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何らそれらに限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
また、以下において記載される各種物性の測定法を下記に示す。
<ガラス転移温度(Tg)>
トナー0.5mgを、アルミニウム製のサンプルパンに配置し、200℃まで昇温する。次いで、トナーを200℃から降温速度10℃/分で0℃まで冷却する。その後、トナーを昇温速度10℃/分で昇温して、示差走査熱量測定により測定されるDSC曲線を得る。
そして、トナーに転移を生じない温度領域のDSC曲線(吸熱の最高ピーク温度以下のDSC曲線)をベースラインとし、ベースラインを高温側に延長した延長線を引く。
また、ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間の曲線(ピークにおける低温側の曲線)に、勾配が最大となる点で、ベースラインに対する最大傾斜を示す接線を引いて、接線とベースラインの延長線との交点を求める。そして、その交点の温度をガラス転移温度(Tg)とする。なお、以下に測定条件を示す。
装置:DSC210(SII ナノテクノロジー社製)
温度範囲:−10℃〜200℃
昇温温度:10℃/分
降温温度:10℃/分
サイクル:Heat−Cool−Heat
<軟化点>
トナー1.3gを、フローテスター(CFT−500D、島津製作社製)にセットする。次いで、トナーを、昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより20kgの荷重を加えて、ノズル(直径1mm、長さ1mm)から予熱時間300秒終了後から押し出す。各温度に対してフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、トナーの半量が流出した温度を軟化点とする。
(製造例1:帯電制御樹脂の調製)
スチレン85質量部と、ブチルアクリレート11質量部と、ジメチルアミノエチルメタクリレートのパラトルエンスルホン酸塩4質量部とをビーズミルで分散させて、モノマー混合物を得た。次いで、モノマー混合物をトルエン500質量部とメタノール400質量部との混合溶媒に添加し、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部の存在下で80℃にて8時間反応させた。反応終了後、溶媒を留去して、4級アンモニウム塩を含有する帯電制御樹脂を得た。
(製造例2:ポリエステル樹脂Aの調製)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管および減圧装置を備えた反応容器に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド30mol%と、ビスフェノールAのエチレンオキサイド21mol%と、テレフタル酸47mol%と、無水トリメリット酸2mol%とを混合した混合物100質量部を添加して撹拌しながら、温度120℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.50質量部を加え、温度200℃に昇温し所望の分子量になるまで縮重合し、ポリエステル樹脂A(結着樹脂)を得た。
ポリエステル樹脂Aの数平均分子量(Mn)は2700、ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は26000、ポリエステル樹脂Aの酸価は12.1KOHmg/gであった。
(製造例3:ポリエステル樹脂Bの調製)
混合物中において、ビスフェノールAのプロピレンオキサイドのmol比率を22mol%に変更し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド30mol%に変更し、テレフタル酸のモル比率を42mol%に変更し、無水トリメリット酸のモル比率を6mol%に変更したこと以外は、製造例2と同様にして、ポリエステル樹脂B(結着樹脂)を得た。
ポリエステル樹脂Bの数平均分子量(Mn)は3200、ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量(Mw)は980000、ポリエステル樹脂Bの酸価は6.1KOHmg/gであった。
(製造例4:ポリエステル樹脂Cの調製)
混合物中において、ビスフェノールAのプロピレンオキサイドのmol比率を22mol%に変更し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド30mol%に変更し、テレフタル酸のモル比率を42mol%に変更し、無水トリメリット酸のモル比率を6mol%に変更したこと以外は、製造例2と同様にして、ポリエステル樹脂C(結着樹脂)を得た。
ポリエステル樹脂Cの数平均分子量(Mn)は3900、ポリエステル樹脂Cの重量平均分子量(Mw)は1100000、ポリエステル樹脂Cの酸価は5.7KOHmg/gであった。
(製造例5:帯電制御樹脂の水分散液の調製)
製造例1で得られた帯電制御樹脂20質量部と、メチルエチルケトン80質量部と、蒸留水100質量部とを混合し、ホモジナイザーによって、8000rpm、30分間の条件で攪拌することで、乳化液を得た。次いで、乳化液を、60℃のウォーターバス中で、三日月型インペラーを用いて120rpmで攪拌し、溶剤分を蒸発除去した。
これによって、体積平均粒径(Dv)0.44μmの帯電制御樹脂の微粒子(CCR1)の水分散液を得た。水分散液中の固形分濃度は、22.4質量%であった。
(製造例6:母粒子懸濁液の調製)
製造例2で得られたポリエステル樹脂A15質量部と、着色剤(カーボンブラック#260、三菱化学社製)15質量部と、メチルエチルケトン(以下、MEKとする。)70質量部を混合し、ホモジナイザー(サイレントクラッシャーM、シャフト18F:ハイドルフ社製)10000rpmで10分間プレ分散した後、このポリエステル樹脂の分散液100質量部と、Φ1mmのジルコニアビーズ450質量部とをビーズミル装置(RMB−04:アイメックス社製)に投入し、攪拌速度2000rpmで60分間分散処理した。その後、ポリエステル樹脂の分散液を回収し、ポリエステル樹脂の分散液60質量部にMEK690質量部をゆっくりと混合した後、さらにポリエステル樹脂Aを162質量部混合して攪拌し、これを液温50℃に加熱攪拌して樹脂溶液を調製した。
この樹脂溶液900質量部と、50℃に加熱した蒸留水900質量部と、1規定の水酸化ナトリウム水溶液9質量部とを混合し、ホモジナイザー(シャフト22F)にて回転数13000rpmで20分間攪拌して乳化させた。これを2Lセパラブルフラスコに移し、窒素を気相中へ送気しながら75℃で140分間加熱攪拌してMEKを除去し、母体微粒子懸濁液を得た。母体微粒子の体積平均径はメジアン径として320nmであった。
母体微粒子懸濁液を蒸留水で希釈して固形分濃度10%に調整した後、この懸濁液1600質量部に対して、ノニオン界面活性剤(ノイゲンXL50:第一工業製薬社製)5.2質量部を混合した後、凝集剤として0.2規定の塩化アルミニウム水溶液38質量部を投入してホモジナイザー8000rpmで混合攪拌した。この液を、6枚平板タービン翼(直径75mm)で300rpmで攪拌しながら液温44℃に加熱して母体微粒子を凝集させた。その後、凝集停止剤として0.2規定の水酸化ナトリウム水溶液48質量部を投入したのち、液温90℃まで昇温し、約6時間攪拌した。得られた母粒子の体積平均径Dvは7.2μmであった。また、Dv/Dnは1.18であった。
以上によって、母微粒子懸濁液を得た。
(製造例7:ポリエステル系トナー(PEs1)の調製)
製造例6で得られた母微粒子懸濁液を、減圧濾過して脱水し、さらに導電率0.8μS/cm(液温20℃)の蒸留水500質量部でリンス洗浄した後、母粒子ケーキを同様の蒸留水で再懸濁して、1600質量部の母粒子懸濁液を調製した。この懸濁液の導電率は3.3μS/cm(液温23℃)であった。また、この懸濁液中の界面活性剤濃度は7ppmであった。
次いで、懸濁液1600質量部に、製造例5で得られた帯電制御樹脂の水分散液2.0質量部を混合し、液温55℃で30分間混合攪拌した。攪拌は6枚平板タービン翼170rpmで行った。その後、この懸濁液を減圧濾過して、蒸留水1000質量部でリンス洗浄し、含水率43wt%のトナー母粒子ケーキを得た。このトナー母粒子ケーキを乾燥機内(機内温度50℃)で24時間以上乾燥させて、含水率1%未満のトナー母粒子を得た。
次いで、トナー母粒子100質量部に対して疎水化処理したコロイダルシリカ(商品名:R−972、日本アエロジル社製)0.3質量部を配合して、メカノミル(岡田精工社製)にて回転数2500rpmで3分間攪拌することにより外添した。外添後のトナーから篩によってシリカの粗大凝集物を除去し、結着樹脂としてポリエステル樹脂Aを含有するポリエステル系トナー(PEs1)を得た。ポリエステル系トナー(PEs1)のガラス転移温度は48.0℃、ポリエステル系トナー(PEs1)の軟化点は71.7℃であった。また、ポリエステル系トナー(PEs1)に対して、帯電制御樹脂中の4級アンモニウム塩の含有割合は0.1質量%であった。
(製造例8:ポリエステル系トナー(PEs2)の調製)
製造例3で得られたポリエステル樹脂B100質量部と、着色剤(カーボンブラック、MA100、三菱化成社製)6質量部と、製造例1で得られた帯電制御樹脂(4級アンモニウム塩の含有比率10質量%)1質量部とを、ヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練機(池貝鉄工社製、PCM−30型)によって、溶融混練して混練物を得た。得られた混練物を冷却し、ハンマーミル(ホソカワミクロン社製)で粗粉砕した後、ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製CPX)で粉砕して微粉砕粉末を得た。得られた微粉砕粉末を分級機(日本ニューマチック工業社製MP)で分級し、平均粒子径6.8μmのトナー粒子を得た。
次いで、上記により得られたトナー粒子100質量部に疎水化処理したコロイダルシリカ(商品名:R−972、日本アエロジル社製)0.3質量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。これにより、結着樹脂としてポリエステル樹脂Bを含有するポリエステル系トナー(PEs2)を得た。ポリエステル系トナー(PEs2)のガラス転移温度は56.0℃、ポリエステル系トナー(PEs2)の軟化点は72.1℃であった。また、ポリエステル系トナー(PEs2)に対して、帯電制御樹脂中の4級アンモニウム塩の含有割合は0.07質量%であった。
(製造例9:ポリエステル系トナー(PEs3)の調製)
ポリエステル樹脂Bをポリエステル樹脂Cに変更したこと以外は、製造例8と同様にして、結着樹脂としてポリエステル樹脂Cを含有するポリエステル系トナー(PEs3)を得た。ポリエステル系トナー(PEs3)のガラス転移温度は56.0℃、ポリエステル系トナー(PEs3)の軟化点は75.1℃であった。また、ポリエステル系トナー(PEs3)に対して、帯電制御樹脂中の4級アンモニウム塩の含有割合は0.18質量%であった。
(製造例10:スチレンアクリル系トナー(SA1)の調製)
スチレンと、ブチルアクリレートと、製造例1で得られた帯電制御樹脂と、着色剤(カーボンブラック)とを、トナー中の4級アンモニウム塩の含有割合が0.04質量%となるように混合して、モノマー組成物を調製した。
また、塩化マグネシウム水溶液(濃度:3.92質量%)260.2部に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:11.0質量%)56.2部を攪拌下で添加して、水酸化マグネシウムコロイドを生成した。これにより、水系分散媒体を調製した。
次いで、水系分散媒体にモノマー組成物を添加し攪拌した。その後、水系分散媒体に重合開始剤(t−ブチルパーオキシジエチルブタノエート)4.4部を添加し、分散機により15,000rpmの回転数で10分間高剪断攪拌して、水系分散媒体中にモノマー組成物の液滴を分散させた。これにより、モノマー組成物の水分散液を調製した。
次いで、モノマー組成物の水分散液を、90℃まで昇温し縮重合した。これにより、トナー粒子(重合体)の水分散液を調製した。
次いで、トナー粒子の水分散液を撹拌しながら、硫酸により、トナー粒子の水分散液のpHを4以下に調整した。その後、ろ過によりトナー粒子を水から分離し、水洗いを複数回実施した後、乾燥器(50℃)にて一昼夜乾燥して、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を含有するスチレンアクリル系トナー(SA1)を得た。
スチレンアクリル系トナー(SA1)は、スチレンアクリル樹脂94.36質量%と、4級アンモニウム塩0.04質量%と、着色剤5.6質量%とを含んでいた。また、スチレンアクリル系トナー(SA1)のガラス転移温度は45.2℃、スチレンアクリル系トナー(SA1)の軟化点は67.9℃であった。
(製造例11:スチレンアクリル系トナー(SA2)の調製)
トナーのガラス転移温度が46.0℃となり、かつ、トナーの軟化点が69.7℃となるように、スチレンとブチルアクリレートと帯電制御樹脂と着色剤とのそれぞれの混合割合を調整したこと以外は、製造例10と同様にして、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を含有するスチレンアクリル系トナー(SA2)を得た。スチレンアクリル系トナー(SA2)に対して、帯電制御樹脂中の4級アンモニウム塩の含有割合は0.06質量%であった。
スチレンアクリル系トナー(SA2)は、スチレンアクリル樹脂94.34質量%と、4級アンモニウム塩0.06質量%と、着色剤5.6質量%とを含んでいた。
(製造例12:スチレンアクリル系トナー(SA3)の調製)
トナーのガラス転移温度が51.0℃となり、かつ、トナーの軟化点が67.7℃となるように、スチレンとブチルアクリレートと帯電制御樹脂と着色剤とのそれぞれの混合割合を調整したこと以外は、製造例10と同様にして、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を含有するスチレンアクリル系トナー(SA3)を得た。スチレンアクリル系トナー(SA3)に対して、帯電制御樹脂中の4級アンモニウム塩の含有割合は0.05質量%であった。
スチレンアクリル系トナー(SA3)は、スチレンアクリル樹脂94.35質量%と、4級アンモニウム塩0.05質量%と、着色剤5.6質量%とを含んでいた。
(製造例13:スチレンアクリル系トナー(SA4)の調製)
トナーのガラス転移温度が45.2℃となり、かつ、トナーの軟化点が67.6℃となるように、スチレンとブチルアクリレートと帯電制御樹脂と着色剤とのそれぞれの混合割合を調整したこと以外は、製造例10と同様にして、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を含有するスチレンアクリル系トナー(SA4)を得た。スチレンアクリル系トナー(SA4)に対して、帯電制御樹脂中の4級アンモニウム塩の含有割合は0.04質量%であった。
スチレンアクリル系トナー(SA4)は、スチレンアクリル樹脂94.36質量%と、4級アンモニウム塩0.04質量%と、着色剤5.6質量%とを含んでいた。
<実施例1〜3および比較例1〜3>
各実施例および各比較例で得られたトナーを、下記表1および表2に示すように、第1のトナーと第2のトナーとに区別した。そして、図1に示す画像形成装置の第1トナー収容部に第1のトナーを収容し、第2トナー収容部に第2のトナーを収容した。次いで、上記した選択箔転写処理を実行した。なお、第1箔転写ローラの加熱温度(設定)は、150℃であった。第1箔転写ローラと第2箔転写ローラとの間を通過する用紙の表面温度は、120℃であった。また、金属箔の主成分は、Al単体であった。
以下の基準で、選択箔転写可否を評価した。
○:第1のトナー像に金属箔が転写され、第2のトナー像に金属箔が転写されなかった。
×:第1のトナー像および第2のトナー像の両方に金属箔が転写された。または、第1のトナー像および第2のトナー像の両方に金属箔が転写されなかった。
各トナーのガラス転移温度(Tg)および軟化点と、選択箔転写可否とを表1および2に示す。