JP2018173299A - 油膜検知器 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、レーザ光走査部から発せられるレーザ走査光を、回転板の中心の略鉛直下の水面に向けて走査させる回転機構と、水面からのレーザ反射光を受光する受光部を水面に向けた状態で、回転板の中心の略鉛直下に配置した受光器とを設ける構成が開示されている。
また、本発明が適用される油膜検知器は、被検知面に検知光を反射させて油膜を検知する油膜検知器であって、検知光を出力する出力手段と、前記出力手段の検知光が被検知面で反射した反射光を受光する受光手段と、前記受光手段により受光された反射光の情報を基に被検知面の油膜検知の有無を判断する判断手段と、前記出力手段および前記受光手段の、互いに交差する三軸における傾きを検出する傾き検出手段と、前記傾き検出手段により検出される前記傾きの情報を得て、前記出力手段および前記受光手段の傾きを駆動力により制御する傾き制御手段と、を備え、前記傾き制御手段は、前記出力手段および前記受光手段が揺動することにより被検知面で検知光が反射する領域が広がるように制御する、ことを特徴とするものである。
〔第1の実施の形態に係る油膜検知器1について〕
まず、第1の実施の形態に係る油膜検知器1について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る油膜検知器1の構成を説明する図であり、(a)は構成を示すブロック図で、(b)はその概念図であり、(c)は姿勢制御装置3の主要部のブロック図である。
図1(a)に示すように、第1の実施の形態に係る油膜検知器1は、被検知面(検出対象面)に検知光を反射させて油膜を検知する機能を主に担う油膜検知器本体2と、油膜検知器本体2の姿勢を制御する機能を主に担う姿勢制御装置3と、を含んで構成されている。
かかる油膜検知器1は、油膜の有無を検知する被検知面の近くの構造物に据え置いて用いる固定式ではなく、被検知面に対して移動する移動式である。このため、設置作業を省略することが可能になる。例えば、油膜検知の現場が作業者が行くことが困難な場所である場合に設置作業を行わずに済むことは有用である。
油膜検知器1の姿勢制御装置3は、同図(b)に示すように、三次元空間をX軸、Y軸およびZ軸という三軸で定義する場合において、略水平方向に延びるX軸およびY軸の油膜検知器本体2の傾きを検出し、その傾きを抑制するように駆動力により回転制御する。すなわち、X軸方向の傾きを検出すると、それを抑制する方向にX軸回りの回転を行い、また、Y軸方向の傾きを検出すると、それを抑制する方向にY軸回りの回転を行う。こうして、油膜検知器本体2について水平保持の補正を行うことができる。
これにより、移動式の油膜検知器本体2がいわゆる水平姿勢に維持(矯正保持)されることで、油膜検知器本体2から検知光を鉛直方向ないし下方向に出力することが可能になり、検知光が被検知面で反射した反射光を油膜検知器本体2が確実に受光することが可能になる。
図1(c)に示すように、姿勢制御装置3としてのスタビライザーは、X軸回りの傾きを検出するX軸加速度センサ31と、Y軸回りの傾きを検出するY軸加速度センサ32と、X軸回りの回転駆動を行うX軸モータ35と、Y軸回りの回転駆動を行うY軸モータ36と、X軸加速度センサ31およびY軸加速度センサ32の検出結果(信号)を基に、予め定められたアルゴリズムによりX軸モータ35およびY軸モータ36に駆動信号を出力するコントローラ34と、を少なくとも含む。X軸加速度センサ31およびY軸加速度センサ32は、傾き検出手段の一例であり、コントローラ34、X軸モータ35およびY軸モータ36は、駆動手段ないし傾き制御手段の一例である。コントローラ34は、姿勢制御装置3の制御を行うものであるが、油膜検知器本体2の制御も行うように構成する例が考えられる。
なお、X軸モータ35およびY軸モータ36としては、例えばブラシレスモータを用いることができる。また、かかるモータ35,36には、磁気回転エンコーダ(不図示)が搭載されており、モータ35,36の回転情報を検知し、検知した回転情報をコントローラ34に送信する。
このようにして、油膜検知器本体2の姿勢が時々刻々と変化する場合であっても、リアルタイムに補正しながら水平保持を実現できるようになる。すなわち、油膜検知器本体2のX軸およびY軸の傾きを抑制し、油膜検知器本体2からの検知光が水面W(例えば図2参照)に向けて下向きに出力されるようになる。なお、絶対位置の情報には、モータ35,36の機械的角度、モータ35,36の電気的角度および、磁界の位相等が含まれる。
本実施の形態では、上述のアルゴリズムを採用するが、これに限られず、他のアルゴリズムを採用してもよい。
次に、油膜検知器1が備える油膜検知器本体2について説明する。なお、このような油膜検知器本体2として、油膜検知器本体2Aおよび油膜検知器本体2Bを説明する。なお、以下の構成を採用することで、油膜検知器本体2の小型化を容易に実現できる。
図2は、油膜検知器本体2Aの構成例を示すブロック図である。
同図に示す油膜検知器本体2Aは、液面に油膜が存在するときの光の反射率と存在しないときの光の反射率とが違うという性質を利用して、被検知面ないし検出対象面である水面Wに油膜があるか否かを検出する装置である。この水面Wとしては、例えば浄水場や河川、湖沼等の水面を指すものであり、水面Wの位置が高くなったり低くなったり、また、水面Wが波立ったりするものである。
なお、本書で平行光というときには、1本のレーザ光を走査することによりビーム群に構成された光の照射範囲(横断面積)が光路上の位置によって実質的に変わりがないレーザ光を言うものとする。
更に説明すると、同軸落射部300は、照射部200からのレーザ光L2をハーフミラー310に反射させ、その反射光であるレーザ光L3を水面Wに全反射するように導き、かつ、水面Wで全反射したレーザ光L4をハーフミラー310に透過させ、その透過光であるレーザ光L5を受光部400に受光されるように導く。レーザ光L4は、レーザ光L3の入射角に等しい角度で水面Wから反射していく。すなわち、レーザ光L3の入射角とレーザ光L4の反射角とは互いに等しい。
このため、検知光を広い範囲に照射することが可能であり、水面Wの高さが変動して油膜検知器本体2Aに対する距離が変わっても、受光部400による油膜検出に必要な検知光の受光に影響を受けず、また、水面Wが波立ったりしても、同様に、油膜検出に必要な検知光の受光に影響を受けない。このような水面Wと油膜検知器本体2Aとの距離の変動が検出結果に影響されないという性質は、本実施の形態に係る油膜検知器1のような移動式の場合には特に有用である。
また、照射部200の構成例については後述する。
また、受光部400としては、レーザ光L5を集光するための図示しない集光レンズと、集光した光の強度に応じた電気信号に変換する図示しないフォトダイオードと、で構成する例が考えられる。
また、通知部700としては、ユーザに対して視覚的に通知する図示しない表示画面で構成する例が考えられ、また、汎用の通信手段にて遠隔のユーザに通知するための通信インターフェースで構成する例が考えられる。
図3に示す油膜検知器本体2Bは、レーザ光源100、照射部200、同軸落射部300、受光部400、演算部500、判断部600及び通知部700を備えている。同軸落射部300は、ハーフミラー310を有する。このような油膜検知器本体2Bの構成は、油膜検知器本体2Aと共通する。
次に、第1の実施の形態に係る油膜検知器1の応用例について説明する。
図4は、油膜検知器1の第1応用例を説明する図であり、図5は、油膜検知器1の第2応用例を説明する図であり、図6は、油膜検知器1の第3応用例を説明する図である。
図4に示す第1応用例は、第1の実施の形態に係る油膜検知器1を、作業者が手に持つ把手4を備えるハンディータイプとした場合である。すなわち、作業者が油膜検知器1の把手4を手に持って例えば池の水面W(図2参照)上にかざすことで、水面Wの油膜の有無を検知することができる(スポット監視)。このため、違う現場に持ち歩くことができることから、現場に油膜検知器本体2を据え置く必要がなく、現場ごとに油膜検知器本体2を設置する手間を省略できる。
ここにいう飛翔体としては、自律移動する無人航空機であり、例えば遠隔操縦可能ないし自動飛行が可能なドローン(drone)5ないしマルチコプター(multi-copter)を挙げることができる。ドローン5は、複数の回転ロータ5aを回転させると共に姿勢安定制御を行うことで、自律して飛行可能に構成されている。なお、第2応用例では、油膜検知器1の姿勢制御装置3を、ドローン5自体が安定飛行を実現するために備える自律機能に置き換えて構成することも考えられる。ドローン5は、移動手段の一例である。
このため、作業者が容易に出掛けることが困難な現場(例えばダム湖)であっても、作業者に負担をかけずに油膜検知を行うことができる。すなわち、現場から離れた位置で準備し、そこから現場に向けてドローン5を飛ばし、現場で空から油膜検知を行い、その後に帰還させるというやり方で、危険な現場に行かずに、定期的な油膜検査を実施することが可能である。
ドローン5は、空を飛んで現場に向かい、空から水面W(図2参照)に向けて検知光を出力することで受光した反射光から油膜検知を行うことが可能である。
付言すると、ドローン5には様々な空の交通規制やルールが定められており、例えば飛行禁止区域が設定されているが、第2応用例の利用を想定する現場は、作業者が出向くことが難しい場所であり、そのような場所には、飛行禁止区域が設定される可能性は低い。そのため、第2応用例は、危険な現場での定期的な油膜検知作業にとっては有用なものである。なお、ドローン5を飛ばすには、事前の飛行申請が必要である等のドローン5に特有な知識や慣れが必要である。
次に、第2の実施の形態に係る油膜検知器1について説明する。なお、第2の実施の形態に係る油膜検知器1は、上述の第1の実施の形態と共通する構成を備えることから、同じ構成には同じ符号を用いることがあり、また、その説明を省略することがある。
図7は、第2の実施の形態に係る油膜検知器1の構成を説明する図であり、(a)は構成を示すブロック図で、(b)はその概念図であり、(c)は姿勢制御装置3の主要部のブロック図である。図7の(a)〜(c)は、図1の(a)〜(c)に対応するものである。
図7(b)に示すように、第2の実施の形態に係る油膜検知器1は、略水平方向に延びるX軸およびY軸回りの傾き制御のほか、高さ方向に延びるZ軸回りの傾き制御も行う。すなわち、第1の実施の形態に係る油膜検知器1は、三軸のうち略水平方向に延びるX軸およびY軸回りの回転制御を行うものであるが(図1参照)、第2の実施の形態に係る油膜検知器1は、X軸およびY軸回りの回転制御のみならず、上下方向に延びるZ軸回りの回転制御を行う。
次に、第2の実施の形態に係る油膜検知器1において、油膜検知時に姿勢制御装置3による油膜検知器本体2の姿勢制御について説明する。
図8は、油膜検知器本体2が油膜検知する際の姿勢制御例を説明するフローチャートである。
同図に示す制御例では、まず姿勢制御装置3のコントローラ34が、X軸、Y軸およびZ軸という三軸において原点位置になるように三軸制御を行う(S101)。三軸制御が完了すると、油膜検知器本体2からレーザ光源100および照射部200(例えば図2参照)から検知光を出力し(S102)、受光部400(例えば同図参照)が反射光を受光したか否かを判定する(S103)。反射光を受光しない場合(S103でNo)、S101に戻り、反射光を受光した場合(S103でYes)、原点位置に対する揺動を開始する(S104)。かかる揺動により、水面Wの検知領域が広がる。
このような揺動は、X軸、Y軸およびZ軸のいずれか一つまたは複数の軸回りを回転させる制御で実行可能である。
このように、油膜検知器本体2における光走査機能を、姿勢制御装置3で実現しており、油膜検知器本体2の軽量小型化を図ることが可能になる。なお、このような光走査機能と共に、または光走査機能に代えて、水面のより広い領域で検知光を反射させるための振動装置を搭載することが考えられる。
例えば、姿勢制御装置3のX軸、Y軸、Z軸の全部について回転制御を実行する制御例のほか、その一部すなわちX軸、Y軸、Z軸のいずれか一方またはその複数の組み合わせについて回転制御を実行する制御例が考えられる。
また、加速度センサ31〜33からの検出結果が予め定められた閾値(傾き)を超えない場合には、姿勢制御装置3のX軸、Y軸、Z軸の全部または一部の姿勢制御を作動させず、閾値を超えると、三軸の姿勢制御を作動させる例が考えられる。
また、姿勢制御装置3を、油膜検知する際に作動させ、それ以外のときは作動させないことで、油膜検知器1が持つ電源の消費電力の低減を図ることが可能になる。例えば、上述の第3応用例の場合、船舶が停泊中に作動させ、それ以外の時は作動させない例がある。
Claims (3)
- 水面に検知光を反射させて油膜を検知する油膜検知器であって、
検知光を出力する出力手段と、
前記出力手段の検知光が水面で反射した反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された反射光の情報を基に水面の油膜検知の有無を判断する判断手段と、
前記出力手段および前記受光手段の、略水平方向に延びる第1軸および当該第1軸と交差する第2軸における傾きを検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段により検出される前記傾きの情報を得て、前記出力手段および前記受光手段の当該傾きを抑制するように駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする油膜検知器。 - 水面に対して移動する移動手段を持つ移動装置をさらに備え、
前記傾き検出手段および前記駆動手段は、前記移動装置の前記移動手段により構成されることを特徴とする請求項1に記載の油膜検知器。 - 被検知面に検知光を反射させて油膜を検知する油膜検知器であって、
検知光を出力する出力手段と、
前記出力手段の検知光が被検知面で反射した反射光を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された反射光の情報を基に被検知面の油膜検知の有無を判断する判断手段と、
前記出力手段および前記受光手段の、互いに交差する三軸における傾きを検出する傾き検出手段と、
前記傾き検出手段により検出される前記傾きの情報を得て、前記出力手段および前記受光手段の傾きを駆動力により制御する傾き制御手段と、
を備え、
前記傾き制御手段は、前記出力手段および前記受光手段が揺動することにより被検知面で検知光が反射する領域が広がるように制御する、ことを特徴とする油膜検知器。
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