以下、本発明の第1の実施形態に係る伸縮アダプタ(以下、適宜単に「伸縮アダプタ」とする)及びこれを備えた型枠仮支持具について図面に基づいて説明する。なお、この伸縮アダプタ及びこれを備えた型枠仮支持具は、ビルやマンションの外壁や間仕切りの壁、擁壁等を施工する際にコンクリート型枠の歪みの修正を行うと共にコンクリート型枠をこれが起立する床面に対して垂直に固定するためにコンクリート型枠を押したり引いたりする作業に用いるためのものである。
続いて、第1の実施形態に係る伸縮アダプタの概略構成について説明する。この第1の実施形態に係る伸縮アダプタは、コンクリート用型枠の仮支持具に用いる伸縮アダプタであって、伸縮アダプタが取り付けられる型枠サポートパイプは、腰管と腰管に一部が挿通して固定される差し込み管を備え、記腰管の下端部に台板が備わり上端部から下端部に向けて外周に一定の距離だけ調整雄ネジが形成されると共に、調整雄ネジ形成部の少なくとも一部に腰管の長手方向に沿って腰管の直径方向対向する位置に支持ピン挿通用スリットが形成され、差し込み管の上端部には受け板が備わると共に、記差し込み管の長手方向に沿って所定の間隔で当該差し込み管の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔が形成されている。
そして、伸縮アダプタは、サポートスライド部と、接続板と、円筒体と、押さえ板と、締結具を有し、サポートスライド部は、腰管の調整雄ネジに着脱自在にねじ込むことが可能な雌ネジ部を内周に備えるサポートスライド本体と、サポートスライド本体を腰管の調整雄ネジに対して腰管の長手方向所定位置まで螺合させることができると共に、接続板当接部を有したサポートスライド本体回転用のハンドル部と、ハンドル部とサポートスライド本体の直径方向反対側の位置から突出した突出部と、サポートスライド本体に備わった本体鍔部を有している。
円筒体は、一方の端部に全周に亘って本体鍔部に当接するスライド本体当接用鍔部を有すると共に、周面の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔を設けている。
接続板は、前記本体鍔部及びスライド本体当接用鍔部を挿入可能な鍔部挿入孔を備え、押さえ板は、円筒体の外径よりも大きい内径であって円筒体のスライド本体当接用鍔部の外径よりも小さい内径の円筒体挿通孔を有し、サポートスライド本体の本体鍔部が接続板の鍔部挿入孔に挿入されかつ円筒体のスライド本体当接用鍔部が本体鍔部に当接した状態で、円筒体がその中心軸線周りに回転せずにサポートスライド本体及び接続板が回転可能なように円筒体をサポートスライド本体の本体鍔部に押さえるようになっており、締結具は、サポートスライド部に接続板と円筒体と押さえ板を取り付けるようになっている。
そして、伸縮アダプタは、腰管の調整雄ネジの所定位置までねじ込んだ状態で、腰管の支持ピン挿通用スリット及び腰管に差し込んだ差し込み管の支持ピン挿通孔と円筒体の特定の支持ピン挿通孔を合致させて支持ピンを支持ピン挿通用スリット及び特定の支持ピン挿通孔に差し込んだ状態で、伸縮アダプタのハンドル部の腰管軸線周りの回転操作によって調整雄ネジの長手方向に沿って移動可能となっており、腰管の調整雄ネジに対する伸縮アダプタのねじ込み位置に応じて腰管の台板と前記差し込み管の受板との間隔を調整可能とすることを特徴としている。
以下、この第1の実施形態に係る伸縮アダプタの詳細の構成について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る伸縮アダプタとこれを取り付けた型枠仮支持具の一部を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した伸縮アダプタを構成する各部品の分解斜視図である。また、図3は、図1に示した伸縮アダプタの軸線方向に沿って切断した断面図である。また、図4は、図3に対応する断面図であって、伸縮アダプタを図3の状態から軸線周りに90度回転させた状態で示す断面図である。また、図7は、本実施形態に係る伸縮アダプタを備えた型枠仮支持具を示している。なお、伸縮アダプタと腰管、差し込み管に支持ピンを差し込んだ状態については、特に図4において分かり易く示している。
また、以下の説明において水平方向、垂直方向(鉛直方向)、上下方向、左右方向については、図1に一部を示すと共に図7(a)に示すように、型枠仮支持具を水平のスラブに鉛直(垂直)方向に立てた状態を基準として各方向を示すものとする。
最初に、本実施形態に係る伸縮アダプタ10を備えた型枠仮支持具1の構造について説明する。型枠仮支持具1は、腰管20と、腰管20に一部が挿通して固定される差し込み管30を備えている。腰管20は、その下端部に台板26(図7参照)が備わり、上端部から下端部に向けて外周に一定の距離だけ調整雄ネジ21が形成されると共に、調整雄ネジ21の一部に腰管20の長手方向に沿って腰管20の直径方向対向する位置に支持ピン挿通用スリット22が形成されている。
また、差し込み管30は、その上端部に受け板37(図7参照)が備わると共に、差し込み管30の長手方向に沿って所定の間隔で差し込み管の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔32が形成されている。
続いて、本実施形態に係る伸縮アダプタ10について説明する。伸縮アダプタ10は、図1乃至図3に示すように、サポートスライド部100と、接続板200と、円筒体300と、押さえ板400と、これらを締め付ける締結具500を有している。なお、図5は、図3に示した伸縮アダプタ本体の一部断面図(図5(a))、締結具の一方をなすUボルト510(図5(b))、及び締結具の他方をなす角型ボルト520(図5(c))である。
サポートスライド部100は、図2及び図5に示すように、本実施形態では略円筒体形状を有し、腰管20の調整雄ネジ21に着脱自在にねじ込むことが可能な雌ネジ部111が内周面全体に形成された腰管螺合孔112を備えるサポートスライド本体110と、サポートスライド本体110を腰管20の調整雄ネジ21に沿って腰管20の長手方向所定位置まで螺合させることができるサポートスライド本体回転用のハンドル部120と、ハンドル部120が備わったサポートスライド本体110の位置とは調整雄ネジ21の中心軸線に関して反対側の位置に備わる円柱状突出部130を有している。
サポートスライド本体110は、下側に向かって外周径が僅かに小さくなっていくテーパ状の周面となった本体下部113と、本体下部113の上側にこれと一体に設けられ、本体下部113の外周径よりも大きい外周径を有し所定厚さの本体鍔部114からなる。そして、本体鍔部114の上面は、平面となり後述する円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の下面と当接するようになっている。また、サポートスライド部100を組み付けて腰管20の調整雄ネジにねじ込んだ状態で、円筒体当接用鍔部320と本体鍔部114とは互いに当接したまま、一方(円筒体300)が動かず、他方(サポートスライド本体110)が腰管20の軸線周りに回転できるようになっている。なお、ハンドル部120と円柱状突出部130は、共にサポートスライド本体110の本体下部113に備わっている。
ハンドル部120は、サポートスライド本体110の周面から突出したハンドル支持用突起121と、ハンドル支持用突起121に一端が回動自在に軸支され、サポートスライド部100を回転させる際に水平方向に向きを変えた状態で握ることができるハンドルシャフト122からなる。ハンドル支持用突起121は、2枚の断面矩形の細長い厚板材が互いに間隔を隔てて対向して水平方向に延在し、それらの自由端部近傍に支持軸123を介してハンドルシャフト122が垂下した状態から水平方向に向けることができるように軸支されている。なお、伸縮アダプタ10屋見つけた状態で、ハンドル支持用突起121と円柱状突出部130の上側には、接続板200の下側面が当接するようになっている。
サポートスライド部100は、例えば特許文献1において開示された従来のチェーンの備わった型枠仮支持具の腰管に螺合させて用いる既存のサポートスライド部と同一形状を有している。
円筒体300は、その一方の端部に全周に亘ってサポートスライド本体110の本体鍔部114の上面に当接するスライド本体当接用鍔部320を有すると共に、周面の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔330を設けている。なお、スライド本体当接用鍔部320をサポートスライド本体110の本体鍔部114の上部に当接させた状態でのこの双方の合わせた厚さは、接続板200の後述する鍔部挿入孔210の長手方向の長さよりも僅かに薄くなっている。
接続板200は、略リング形状を有する厚板からなり、サポートスライド本体110の本体鍔部114全体と円筒体300のスライド本体当接用鍔部320を挿入可能な鍔部挿入孔210を有している。つまり、鍔部挿入孔210は、サポートスライド本体110の本体鍔部114全体がその内部に嵌り込むと共に、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320が入り込む内径を有している。また、接続板200の円柱状突出部側にはUボルト挿通孔251が形成され、ハンドル部側には角型ボルト挿通孔252が形成されている。また、接続板200は、その鍔部挿入孔210に下方からサポートスライド本体110の本体鍔部114を完全に挿入した時、接続板200の下面がサポートスライド本体110のハンドル支持用突起121と円柱状突出部130の上部にそれぞれ当接して、本体鍔部114のみが鍔部挿入孔210に入り込んで止まるようになっている。
押さえ板400は、円筒体300の外径よりも大きい内径であって円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の外径よりも小さい内径の円筒体挿通孔420を有し、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320がサポート本体110の本体鍔部114の上面に接した状態で、円筒体300は回転せず、サポート本体110の本体鍔部114が伸縮アダプタ100の中心軸線周りに回転可能なようにサポートスライド本体110の本体鍔部114の上面に円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の下面を摺動可能に当接させるようになっている。また、押さえ板400の円柱状突出部側にはUボルト挿通孔451が形成され、ハンドル部側には角型ボルト挿通孔452が形成されている。
円筒体300のスライド本体当接用鍔部320をサポート本体110の本体鍔部114の上面に摺動可能に当接させながら、押さえ板400をその上にしっかりと被せた状態で、スライド本体当接用鍔部320と本体鍔部114の双方を合わせた厚さが接続板200の鍔部挿入孔210の長手方向の長さよりも僅かに薄くなっていることで、円筒体300は回転しない一方、サポートスライド本体110、接続板200、及び押さえ板400が一体となって共に回転できるようになっている。
締結具500は、サポートスライド部100に接続板200と円筒体300と押さえ板400を取り付ける役目を果たしており、Uボルト510と角型ボルト520及びこれらの端部側に備わる雄ネジ511,521に螺合するナット512,522を有している。そして、Uボルト510の内側の湾曲具合は、サポートスライド部100の円柱状突出部130の外周にぴったりと沿う(接する)形状及び寸法を有している。また、角型ボルト520の内側の折り曲げ具合は、サポートスライド部100のハンドル支持用突起121のサポートスライド本体110の近傍部分においてそのまわりにぴったりと沿う(接する)形状及び寸法を有している。
Uボルト510の内側がサポートスライド部100の円柱状突出部130の外周にぴったりと接すると共に、角型ボルト520の内側がサポートスライド部100のハンドル支持用突起121のまわりにぴったりと接するようになっているので、腰管20の調整雄ネジ21にサポートスライド部100の雌ネジ部111が螺合した状態でハンドルシャフト122を水平に向けてこれを握り、伸縮アダプタ10を腰管20の周りに回転させると、その回転力(トルク)をサポートスライド部100の円柱状突出部130にしっかりと係合したUボルト510及びハンドル支持用突起121にしっかりと係合した角型ボルト520を介して伸縮アダプタ全体に均一に伝えることができる。
なお、図1、図3、図4においては、伸縮アダプタ10を腰管10の調整雄ネジ21の適所に移動させた状態で、支持ピン35を円筒体300の支持ピン挿通孔330、腰管20の支持ピン挿通用スリット22、差し込み管30の特定の支持ピン挿通孔32に差し込んだ状態を示している。
このような状態で、伸縮アダプタ10を、1本のハンドルシャフト122のみによって腰管周りに回すと、腰管20の調節雌ネジ21に対してサポートスライド部100を螺合させながら、伸縮アダプタ10を腰管20の調整雄ネジ21の長手方向に沿って小さな力でかつ素早く自由な位置に移動させることが可能となる。そして、腰管20の調整雄ネジ21に対する伸縮アダプタ10の移動と同一の方向に同一の長さだけ差し込み管30が腰管20から延びたり引っ込んだりする。
続いて、台板26及び台板受け具600について説明する。腰管20の下端部に備わる台板26は、型枠50から型枠仮支持具1に作用する力に耐えるべく十分な厚みを有する矩形状の金属板から形成されている。なお、図6(a)は、腰管20の下端部に備わった台板26を固定する台板受け具600を示す斜視図である。
台板受け具600は、型枠仮支持具1の台板26を、例えば図7(b)に示すように、スラブからなる床面に対して斜めに傾けた状態でしっかりと受けるもので、十分な厚さを有する金属板を特別な形状に曲げてできている。具体的には、スラブに接する平面視矩形状のベース板610と、ベース板610に対して連結部620を介して回動自在に支持された台板挟み込み部630を有している。
ベース板610は平面視長方形形状を有し、その上面略中央部に連結部620の一方の連結部材621が設けられ、この長手方向一方の端部近傍に台板受け具固定用のアンカーボルトを挿通するアンカーボルト挿通孔615を有している。そして、このボルト挿通孔625にアンカーボルトを挿通してスラブにアンカーボルトを固定することによって、台板受け具600を床面としてのスラブにしっかりと固定するようになっている。
台板挟み込み部630は、十分な厚さを有する金属板を一部折り返して形成されており、台板26の下面と全体的に接する台板当接部631と、台板当接部631の下面の略中央部に備わった他方の連結部材622と、連結部620による傾き方向両縁部から台板26の厚み分程度だけ隙間を有しながら一定の長さだけ折り返された折り返し部633を有している。これによって、台板26を側方から台板受け具600の台板当接部631と折り返し部633との間に差し込んで台板26を台板受け具600の連結部620の回動支持軸625を中心として所定の角度範囲内で回動可能にしっかりと保持するようになっている。
そして、台板26は、図7(a)から図7(b)に示すように、台板受け具600の台板当接部631と折り返し部633との間に差し込まれ、型枠仮支持具1の下端側において台板26が台板受け具600によってしっかりと支持されるようになっている。この際、図7に示すように、アンカーボルト挿通孔625が型枠仮支持具1の傾き方向と反対側に位置するように床面であるスラブに台板受け具600をアンカーボルト650によって固定することで、伸縮アダプタ10を回転させて型枠仮支持具1の全長を短くする際においても、台板受け具600に作用するモーメントによって台板受け具600がスラブSから離れずスラブSにしっかりと密着固定したものとすることができる。
続いて、受板37及び受板固定具700について説明する。差し込み管30の上端部に備わる受板37は、伸縮アダプタ10の回転によって差し込み管30がコンクリート型枠50の横バタ材51をしっかりと押したり引いたりできるのに十分な厚さを有する矩形の金属板でできている。なお、図6(b)は、受板37を固定した受け板固定具700をこれが取り付けられた横バタ材51と共に示す側面図である。
受け板固定具700は、横バタ材51を押える横バタ材押さえ部710と、横バタ材押さえ部710を横バタ材51にしっかりと押え付ける楔720と、受板37を挟んで固定する挟み込み部730と、横バタ材押さえ部710と挟み込み部730を互いに回動可能に連結する連結部740を有している。
挟み込み部730は、十分な厚さを有する金属板を一部折り返して形成されており、受板37の上面と全体的に接する受板当接部731と、受板当接部731の傾き方向両縁部から受板の厚み分だけ隙間を有しながら一定の長さだけ折り返された折り返し部732を有している。そして、受板37を側方から受け板固定具700の受板当接部731と折り返し部732との間に差し込んで折り返し部732に設けられた固定ボルト735を締め付けて受板37を受け板固定具700にしっかりと固定するようになっている。
受け板固定具700については、現状において一般的に使用されている通常の受け板固定具と基本的に同等の構造を有しているので、現状の受け板固定具を流用可能である。この場合、現状の受け板固定具に備わるチェーン係止部を使用する必要がなくなる。もちろん、チェーン係止部を有さない本発明専用の受け板固定具700を用意しても良い。
以下、上述した実施形態を一例として示した本発明に係る伸縮アダプタ及びこの伸縮アダプタを備えた型枠仮支持具(以下単に「本発明」とする)の作用について説明する。
本発明によると、伸縮アダプタ10を腰管20の所定位置に移動させ、支持ピン35を円筒体300の支持ピン挿通孔330、腰管20の支持ピン挿通用スリット22、差し込み管30の特定の支持ピン挿通孔32に差し込む。そして、この状態で、1本のハンドルシャフト122を握って伸縮アダプタ10を回転させてこれを腰管20の調整雄ネジ21に沿って移動させるだけで、腰管20の調整雄ネジ21に対する伸縮アダプタ10の移動と同一の方向に同一の長さだけ差し込み管30を腰管20から延ばしたり引っ込めたりできる。このようにして本発明に係る型枠仮支持具1を用いることで、コンクリート型枠の歪みの修正や垂直状態の維持などの微調整作業を伸縮アダプタ10の1本のハンドル122の回転操作のみで行うことができる。
上述の調整作業から分るように、従来のように型枠仮支持具にチェーンを用いる必要がなくなるので、課題を解決する欄で述べた従来の問題を解決することができる。具体的には、従来の問題であった施工現場で多数使用する補強材のそれぞれにチェーン及びターンバックルを備えなければならず、施工作業を行うにあたって極めて多数の型枠仮支持具を用意しなければならないため、その分コストが嵩んでしまうが、本発明によるとチエーンとターンバックルを一切必要としないので、極めて多数の型枠仮支持具の全体コストをかなり抑えることができる。
また、ビルやマンション、擁壁のスケジュールは予め定められており、このスケジュール内に天候などを考慮して施工作業を迅速に行わなければならないが、本発明によると、ビルやマンションの外壁や間仕切りの壁、擁壁等を施工する際にコンクリート型枠を取り付ける作業を少ない人員で短期間で迅速に行い、スケジュール通りに施工を完了することができる。
これによって、従来において問題とされていた施工にあたって多数の人員を確保する必要性を解決し、施工者の慢性的な人員不足に対応しながら、施工コストを人件費の面でも抑えることが可能となる。
また、実際の施工現場は非常に狭いスペースの場合が多く、従来ではパイプサポートを取り付けた後にチェーンを取り付けてターンバックルでチェーンの長さを調整する作業を行うと、この狭い作業エリアで多くの作業を行うこととなり、施工者が無理な姿勢で作業を行うことで施工者の身体的負担が増したり、チェーンとターンバックルが邪魔してコンクリートスラブの支持金具に足を引っ掛けて思わぬ怪我をしてしまったりする虞があったが、本発明によるとこのような虞をなくすことができる。
また、従来においては、施工作業を始める際に多数のチェーンを施工現場まで搬送しなければならず、この間にチェーン同士が絡まったりして、実際にそれぞれのパイプシャフトをコンクリートスラブとコンクリート型枠との間に介在させた後、チェーンを取り付けようとする際に多数のチェーン同士が絡まり合ってしまい、これを1本ずつ分けるのに余計な時間を要してしまい、作業効率が低下していたが、本発明によるとこのような問題が生じることはない。
このように、従来の場合、限られた施工者にチェーンとターンバックルを用いた調整作業が必要となくなるので、施工者に多大な作業を短期間で行わせることを強いる必要がなくなり、施工期間中に施工者の疲労が嵩み安全上問題が生じるという従来の問題を解決できる。
以上に加えて、本発明の重要な利点として、従来一般的に使用されている型枠仮支持具及び受け板固定具を、それに備わるチェーン及びターンバックルを除いて全て再利用できることが挙げられる。これによって、本発明専用の腰管や差し込み管、伸縮アダプタ本体、台板、受板、受け板固定具をわざわざ準備する必要がなく、コストをかけずに本発明の上述したメリットを享有することができる。
以下、このように従来の型枠仮支持具の再利用を兼ねた本発明に係る型枠仮支持具の組み立て方について説明する。最初に、従来の型枠仮支持具の腰管の調整雄ネジからサポートスライド部を外し、これに接続板と円筒体と押さえ板をUボルトと角型ボルト及びナットを用いて組み付けて本発明に係る伸縮アダプタとする。併せて従来の型枠仮支持具に備わっていたチェーンとターンバックルについては使用しないままとする。
そして、この伸縮アダプタを腰管の調整雄ネジに所定位置まで再び螺合させる。そして、腰管に差し込み管を挿入して実際の施工現場における台板受け具と受け板固定具間の距離に対応した位置において差し込み管の支持ピン挿通孔、伸縮アダプタの円筒体の支持ピン挿通孔、腰管の調整雄ネジに形成された支持ピン挿通用スリットの全てに支持ピンを貫通させ、型枠仮支持具の組み立て作業を終える。なお、この組み付け作業は、施工現場で行っても良く、予め適切な長さを決めて施工現場に搬入する前に行っておいても良い。
続いて、以上のように組み付け作業を終えた型枠仮支持具をコンクリート型枠に実際に取り付けて型枠の歪みの修正や垂直状態を維持するための工程について説明する。図7は、本実施形態に係る伸縮アダプタを備えた型枠仮支持具を用いてコンクリート型枠の歪みの修正や垂直出しを行う工程を(図7(a))から(図7(b))の順に説明する図であり、各構成要素の寸法関係や大小関係、取り付け位置及び角度状態については概略的に示している。なお、この工程の前に台板受け具を床面であるスラブにアンカーボルトを介して取り付けておくと共に、受け板固定具をコンクリート型枠の横バタ材に固定しておく。
最初に、図7(a)に示すように、本発明に係る型枠仮支持具の腰管の台板を台板受け具に差し込むと共に、差し込み管の受板を受け板固定具に差し込んで固定する。と共に、の第1の折り曲げ部に載せる。そして、図7(b)に示すように、コンクリート型枠を押して床面であるスラブに対して適当な角度をなすまで起立させる。この際、図7(b)に示すスラブの鉛直方向と型枠仮支持具との間の角度は約30度から60度となる。
この状態で伸縮アダプタのハンドルを横に伸ばして回転させる。これによって、伸縮アダプタのサポートスライド部、接続板、押さえ板は回転するが、サポートスライド部の本体鍔部に当接する円筒体のスライド本体当接用鍔部は回転しない状態を保つ。即ち、円筒体や差し込み管の特定の支持ピン挿通孔、腰管の調整雄ネジの支持ピン挿通用スリットに差し通した支持ピンについては、腰管の中心軸線周りに回転することなく、伸縮アダプタをこれが螺合している腰管の調整雄ネジに沿って移動させることができる。そして、伸縮アダプタのハンドルを握って右回りもしくは左回りに回転させ、これに応じて腰管から差し込み管を僅かに延ばしたり引っ込めたりし、型枠仮支持具の台板と受板との間の距離の微調整を行う。
この際、差し込み管を腰管から押し出すことで、受板は横バタ材を押してコンクリート型枠を型枠仮支持具と反対側の押し方向に傾ける。一方、差し込み管を腰管に引き込むことで、受板は横バタ材を引っ張ってコンクリート型枠を型枠仮支持具が配置されている引き方向に傾ける。
このようにして、コンクリート型枠の歪みを調整したり型枠の垂直起立状態を保つまで伸縮アダプタを腰管の調整雄ネジに沿って最適な位置に達するまで移動させる微調整作業を行う。
本発明によると、上述した調整作業を伸縮アダプタに備わった1本のハンドルを握って回転させるだけで行うことができるので、従来のように一旦押し過ぎた型枠をチェーンとターンパックルを介して再度引いて所望の位置まで調整する2つの工程を上述したように1つの工程で行うことが可能となり、現場で極めて多数取り付けなければならない型枠仮支持具の全ての取り付け作業にかかる時間や手間や労力を格段に低減させることができる。
なお、仮に本実施形態のようなサポートスライド本体を2つ用意してそれぞれ腰管の調整雄ネジに螺合させてこの間に支持ピンを挟んで調整作業を行おうとすると、サポートスライド本体にそれぞれ備わった合計2つの雌ネジを腰管の調整雄ネジに対して独立して調整作業を行うことになる。
たとえば、支持ピンを押し上げる調整作業を行う場合、上側のサポートスライド本体を前もって回してわずか上方に移動させ、下側のサポートスライド本体で支持ピン押し上げるという、上側と下側のサポートスライド本体をそれぞれ交互に操作しなければならない二重三重の操作が必要となる。
このように、サポートスライド本体を2つ用意してそれぞれ腰管の調整雄ネジに螺合させてこの間に支持ピンを挟んで調整作業を行おうとする方式では、腰管に対する差し込み管の押し出し作業若しくは引き込み作業を行うにあたっての微調整する作業が非常に煩雑である。
そのため、コンクリート型枠の歪の修正や垂直状態の維持のための調整作業を全ての多数の型枠仮支持具に対して行うと、時間と手間が大変かかりチェーンとターンバックルを備えた従来の型枠仮支持具の作業工数とさほど変わらない作業工数を必要とし、これでは本発明の課題を解決することはできない。
しかしながら、本発明によると1本のハンドル操作で上述した調整作業を簡単かつ迅速に行うことができ、微調整を行うにあたっても手間をかけずに素早く終えることができるので、本発明の課題を容易に解決することができる。
続いて、本発明の追加的変形例について説明する。この変形例では、擁壁を作る場合のコンクリート型枠の歪みを修正したり垂直状態を維持したりする際に特に有用な差し込み管連結具を用意し、これを用いて差し込み管同士をしっかりと連結して差し込み管自体の長さを長くする。
図8は、差し込み管同士を連結させて擁壁などのコンクリート型枠に本実施形態に係る型枠仮支持具を用いる際に使用する差し込み管連結具を、この両端に差し込み管を接続した状態で示す長手方向側面図(図8(a))及び長手方向端面から見た一部断面図(図8(b))である。
差し込み管連結具800は、長さの短い連結具本体810と、ある程度の長さを有しかつ連結具本体810の内側に備わる差し込み管押し付け部材820と、差し込み管押し付け部材820を差し込み管内周面に押し付ける差し込み管拡張部材830を有している。
連結具本体810は、差し込み管30と同等の材質でできており、同様の肉厚を有している。そして、連結具本体810は、その外径が互いにつなぎ合わせる2本の差し込み管30の外径とほぼ同一となっている。また、連結具本体810は、後述する差し込み管拡張部材830の締め付けボルト835のオスネジ部835aのみを貫通させる連結具本体貫通孔810aを有している。
差し込み管押し付け部材820は、連結具本体810と同等の材質でできており、同様の肉厚を有している。そして、差し込み管押し付け部材820は、端面視半円弧状を有し、全長が図中に示すように連結する各差し込み管30にある程度入り込む長さを有している。差し込み管押し付け部材820の内周面は、その曲率半径が差し込み管内周面の曲率半径よりも僅かに小さく形成されている。また、差し込み管押し付け部材820の幅方向両側の一部は、長手方向全体に亘って内側に折り返されて折り返し部821を形成している。
差し込み管拡張部材830は、拡張ベース部831、傾斜起立部832、及び締め付けボルト835の組み合わせからなる。拡張ベース部831は、連結具本体810と同等の材質でできており、連結具本体810や差し込み管押し付け部材820より厚みのある肉厚を有している。そして、差し込み管拡張部材830は、差し込み管押し付け部材820と同等の長さを有している。
差し込み管拡張部材830は、略中央にメスネジ部831aを有する拡張ベース部831と、この拡張ベース部831の両側縁部から同一方向に折り曲げられて、この折り曲げられた部分が互いに内側に傾斜して傾斜起立部832となっている。
拡張ベース部831と傾斜起立部832とで端面視略角形U字状をなし、差し込み管拡張部材全体として端面視楔状をなしている。そして、差し込み管押し付け部材820の各折り返し部821と差し込み管拡張部材830の各傾斜起立部832は、それぞれ締め付けボルト835によって締め付け始める前において互いに押し付け合わない程度に当接している。また、差し込み管拡張部材830の拡張ベース部831のメスネジ部831aは、締め付けボルト835のオスネジ部835aと螺合するようになっている。また、差し込み管押し付け部材820の所定位置には、ここでは図示しない切り込みが形成され、差し込み管拡張部材830の楔作用によって連結具本体810の内周面にしっかりと押し付けられるようになっている。
また、連結具本体810の内周面の差し込み管押し付け部材820の各折り返し部821間には、端面視円弧状の補強板850が連結具本体810の内周面に沿って備わっている。そして、補強板850には、締め付けボルト挿通用のボルト挿通孔851が形成されている。
締め付けボルト835を締め付けることで、差し込み管拡張部材830が締め付けボルト835の頭部835bに近づくように移動し、拡張ベース部831が差し込み管押し付け部材820の折り返し部821同士の隙間を楔作用により拡げることで、差し込み管押し付け部材820の外側面の曲率半径が差し込み管連結具800を介して連結される各差し込み管30の内周面の曲率半径より大きくなるように拡げられる。これによって、差し込み管押し付け部材820の外周面が、差し込み管連結具800を介して連結すべき2本の差し込み管30の内周面に押し付けられ、2本の差し込み管30の各軸線を一致させたまま互いに離れないようにしっかりと連結する。
上述した差し込み管連結具800を試作して2本の差し込み管をこの差し込み管連結具を介して実際に連結してみたところ、従来品の差し込み管連結具の問題点、即ちジョイント部において折れたり曲がったりすることがなくなった。また、従来品のジョイントに比較して、連結した差し込み管同士の軸線方向の引き抜き強度が2倍となり、十分な連結力を有する極めて強固な差し込み管連結具を実現することができた。
上述の追加的変形例に係る差し込み管連結具によると、例えばビルやマンションの外壁や間仕切りの壁用のコンクリート型枠を施工する際に用いる所定長さの差し込み管を上述した差し込み管連結具を用いて複数本繋げて十分な強度を保ちながら延長させて長さを長くできる。これにより、例えば5mから10m程度の非常に長さが長くかつ接続部で折れ曲がることのない十分な強度を有するしっかりした差し込み管とすることができ、このような非常に長さの長い差し込み管を必要とする擁壁を施工する際に使用可能となる。
これによって、擁壁を施工する際にのみ用いる長さの長い専用の差し込み管を特別に用意しておく必要がなくなり、擁壁のコンクリート型枠の施工にのみしか用いない長さの長い特別な差し込み管の保管場所の省スペース化を図ると共に、保管場所から擁壁の施工現場までの差し込み管の運搬を従来に比べて格段に楽に行うことができる。
なお、以上の実施形態及びその追加的変形例において説明した内容は、本発明のあくまで具体的一例を示したものであり、本発明の作用を発揮し得る範囲内で様々な態様とすることができる。即ち、上述の実施形態及びその追加的変形例で示した各部品の形状、寸法、個数等については適宜好ましいものに変更可能であることは言うまでもない。
従って、例えば接続板と押さえ板との間に円筒体のスライド本体当接用鍔部を挟んで状態で溶接によって接続板と押さえ板を結合しても良い。
また、台板受け具600と受板固定具700を用いることなく、本発明に係る型枠仮支持具のみを用い、例えばビルやマンションなどの建物の各階の床面をなすスラブとその一階上のフロアを形成するためのコンクリート型枠の下面にこの型枠仮支持具を挟みこんで上層階床面形成用のコンクリート型枠の歪の修正や水平状態の維持を保つのに利用しても良い。
続いて、本発明の第2の実施形態(以下、適宜単に「本実施形態」とする)に係る伸縮アダプタ及びこれを備えた型枠仮支持具について図面に基づいて説明する。なお、この伸縮アダプタ及びこれを備えた型枠仮支持具は、第1の実施形態と同様にビルやマンションの外壁や間仕切りの壁、擁壁等を施工する際にコンクリート型枠の歪みの修正を行うと共に、コンクリート型枠をこれが起立する床面に対して垂直に固定するためにコンクリート型枠を押したり引いたりする作業に用いるためのものである。この第2の実施形態に係る型枠仮支持具の基本的構成や実際の使用方法、使用に当たって生じる作用については、第1の実施形態に係る型枠仮支持具と同等のため、共通する部分についての説明は、第1の実施形態に係る型枠仮支持具の説明を流用してその記載を省略する。
続いて、第2の実施形態に係る伸縮アダプタの概略構成について説明する。この第2の実施形態に係る伸縮アダプタは、コンクリート用型枠の仮支持具に用いる伸縮アダプタであって、伸縮アダプタが取り付けられる型枠サポートパイプは、腰管と腰管に一部が挿通して固定される差し込み管を備え、腰管の下端部に台板が備わり上端部から下端部に向けて外周に一定の距離だけ調整雄ネジが形成されると共に、調整雄ネジ形成部の少なくとも一部に腰管の長手方向に沿って腰管の直径方向対向する位置に支持ピン挿通用スリットが形成され、差し込み管の上端部には受け板が備わると共に、差し込み管の長手方向に沿って所定の間隔で差し込み管の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔が形成されている。
そして、伸縮アダプタは、サポートスライド部と、互いに重なり合う上側接続板及び下側接続板からなる接続板と、円筒体と、押さえ板と、締結具を有し、サポートスライド部は、腰管の調整雄ネジに着脱自在にねじ込むことが可能な雌ネジ部を内周に備えるサポートスライド本体と、サポートスライド本体を腰管の調整雄ネジに対して腰管の長手方向所定位置まで螺合させることができると共に、接続板当接部を有したサポートスライド本体回転用のハンドル部と、ハンドル部とサポートスライド本体の直径方向反対側の位置から突出した突出部と、サポートスライド本体に備わった本体鍔部を有し、円筒体は、一方の端部に全周に亘ってスライド本体当接用鍔部を有すると共に、周面の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔を設けている。
接続板は、上側接続板が円筒体のスライド本体当接用鍔部を挿入可能な鍔部挿入孔を備えると共に、下側接続板が腰管を挿通させる腰管挿通穴を有し、腰管挿通穴の内径は、腰管挿通穴の周囲全周に亘って一方の面にサポートスライド部の本体鍔部が当接すると共に他方の面に円筒体のスライド本体当接用鍔部が当接する寸法を有しており、押さえ板は、円筒体の外径よりも大きい内径であって円筒体のスライド本体当接用鍔部の外径よりも小さい内径の円筒体挿通孔を有している。
そして、サポートスライド本体の本体鍔部が下側接続板の腰管挿通穴の一方の面の周囲に全周に亘って当接すると共に円筒体のスライド本体当接用鍔部が下側接続板の腰管挿通穴の他方の面の周囲に全周に亘って当接し、かつスライド本体当接用鍔部が上側接続板の鍔部挿入孔に挿入された状態で、円筒体がその中心軸線周りに回転せずにサポートスライド本体及び接続板が回転可能なように、押さえ板によって円筒体のスライド本体当接用鍔部を下側接続板に押さえるようになっており、締結具は、サポートスライド部に接続板と円筒体と押さえ板を取り付けるようになっている。
そして、伸縮アダプタは、腰管の調整雄ネジの所定位置までねじ込んだ状態で、腰管の支持ピン挿通用スリット及び腰管に差し込んだ差し込み管の支持ピン挿通孔と円筒体の特定の支持ピン挿通孔を合致させて支持ピンを支持ピン挿通用スリット及び特定の支持ピン挿通孔に差し込んだ状態で、伸縮アダプタのハンドル部の腰管軸線周りの回転操作によって調整雄ネジの長手方向に沿って移動可能となっており、腰管の調整雄ネジに対する伸縮アダプタのねじ込み位置に応じて腰管の台板と差し込み管の受板との間隔を調整可能とすることを特徴としている。
以下、本発明の第2の実施形態に来る伸縮アダプタの詳細な構成について図面に基づいて説明する。本発明の第2の実施形態に係る伸縮アダプタ(以下、適宜単に「伸縮アダプタ」とする)について説明する。この伸縮アダプタは、第1の実施形態と基本的な形状は類似しているが、幾つかの点で改良がなされており、第1の実施形態の伸縮アダプタに比べてより使い勝手の良いものになっている。
なお、第2の実施形態の各構成要素(部品)の符号については、第1の実施形態と異なる部位のみ2000番台の4桁の符号を付して詳細に説明し、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一符号のままその説明を省略するものとする。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る伸縮アダプタとこれを取り付けた型枠仮支持具の一部を示す斜視図である。また、図10は、図9に示した伸縮アダプタを構成する各部品の分解斜視図である。また、図11は、図9に示した伸縮アダプタを構成する各部品の分解斜視図である。また、図12は、図11に対応する断面図であって、伸縮アダプタを図11の状態から軸線周りに90度回転させた状態で示す断面図である。また、図13は、図9に示した伸縮アダプタ本体の一部断面図(図13(a))、締結具の一方をなすUボルト(図13(b))、及び締結具の他方をなす角型ボルト(図13(c))である。
なお、以下の説明においては、第1の実施形態と同様に、水平方向、垂直方向(鉛直方向)、上下方向、左右方向については、図9、図11、図12に一部を示すと共に、第1の実施形態を説明した図7(a)に示すように、型枠仮支持具を水平のスラブに鉛直(垂直)方向に立てた状態を基準として各方向を示すものとする。
最初に、本実施形態に係る伸縮アダプタ2000を備えた型枠仮支持具2の構造について説明する。型枠仮支持具2は、腰管20と、腰管20に一部が挿通して固定される差し込み管30を備えている。腰管20は、その下端部に台板26(図14乃至図16参照)が備わり、上端部から下端部に向けて外周に一定の距離だけ調整雄ネジ21が形成されると共に、調整雄ネジ21の一部に腰管20の長手方向に沿って腰管20の直径方向対向する位置に支持ピン挿通用スリット22が形成されている。
また、差し込み管30は、その上端部に受け板37(図17及び図19参照)が備わると共に、差し込み管30の長手方向に沿って所定の間隔で差し込み管の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔32が形成されている。
続いて、第2の実施形態に係る伸縮アダプタ2000について説明する。伸縮アダプタ2000は、図9乃至図13に示すように、サポートスライド部100と、接続板2200と、円筒体300と、押さえ板2400と、これらを締め付ける締結具2500を有している。
サポートスライド部100は、図9及び図10に示すように、本実施形態では略円筒体形状を有し、腰管20の調整雄ネジ21に着脱自在にねじ込むことが可能な雌ネジ部111(図10及び図13(a)参照)が内周面全体に形成された腰管螺合孔112を備えるサポートスライド本体110と、サポートスライド本体110を腰管20の調整雄ネジ21に沿って腰管20の長手方向所定位置まで螺合させることができるサポートスライド本体回転用のハンドル部120と、ハンドル部120が備わったサポートスライド本体110の位置とは調整雄ネジ21の中心軸線に関して反対側の位置に備わる円柱状突出部130を有している。
サポートスライド本体110は、下側に向かって外周径が僅かに小さくなっていくテーパ状の周面となった本体下部113と、本体下部113の上側にこれと一体に設けられ、本体下部113の外周径よりも大きい外周径を有し所定厚さの本体鍔部114からなる。そして、本体鍔部114の上面は、平面となり後述する接続板2200の下側接続板2210の下面と当接するようになっている。また、サポートスライド部100を組み付けて腰管20の調整雄ネジにねじ込んだ状態で、円筒体当接用鍔部320と下側接続板2210の上面114とは互いに当接したまま、一方(円筒体300)が動かず、他方(サポートスライド本体110)が腰管20の軸線周りに回転できるようになっている。なお、ハンドル部120と円柱状突出部130は、共にサポートスライド本体110の本体下部113に備わっている。
ハンドル部120は、サポートスライド本体110の周面から突出したハンドル支持用突起121と、ハンドル支持用突起121に一端が回動自在に軸支され、サポートスライド部100を回転させる際に水平方向に向きを変えた状態で握ることができるハンドルシャフト122からなる。ハンドル支持用突起121は、2枚の断面矩形の細長い厚板材が互いに間隔を隔てて対向して水平方向に延在し、それらの自由端部近傍に支持軸123を介してハンドルシャフト122が垂下した状態から水平方向に向けることができるように軸支されている。なお、本実施形態においては、伸縮アダプタ2000をつけた状態で、ハンドル支持用突起121及び円柱状突出部130の上側と接続板2200の下側面とは少なくとも本体鍔部114の厚み分だけ離間しているようになっている。
なお、サポートスライド部100は、例えば特許文献1において開示された従来のチェーンの備わった型枠仮支持具の腰管に螺合させて用いる既存のサポートスライド部を使用するようになっている。
円筒体300は、その一方の端部に全周に亘って接続板2200の下側接続板2210の上面に当接する下側接続板当接用鍔部320を有すると共に、周面の直径方向対向する位置に支持ピン挿通孔330を設けている。なお、下側接続板当接用鍔部320を下側接続板2210の上面に当接させた状態で、下側接続板2210の上面に重なる後述する上側接続板2220の厚さは、下側接続板当接用鍔部320の厚さよりも若干厚くなっている。
接続板2200は、略リング形状を有する厚板でできており、下側接続板2210と上側接続板2220からなる。下側接続板2210は、その下面がサポートスライド本体110の本体鍔部114の上面に当接すると共に、その上面が円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の下面と軸線周りに摺動可能に当接するようになっている。そして、下側接続板2210には、腰管20を挿通可能な内径の腰管挿通穴2211を有している。また、下側接続板2210の円柱状突出部側にはUボルト挿通孔2212が形成され、ハンドル部側には角型ボルト挿通孔2213が形成されている。
上側接続板2220は、その下面が下側接続板2210に当接すると共に、その上面が後述する押え板2400の下面と当接するようになっている。そして、上側接続板2220の厚みは、円筒体300の下側接続板当接用鍔部320の厚みよりも僅かに大きくなっている。上側接続板2220には、円筒体300の下側接続板当接用鍔部320を挿入可能な円筒体鍔部収容穴2221を有している。つまり円筒体鍔部収容穴2221は、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320が入り込む内径を有している。
即ち、上側接続板2220には、円筒体300の下側接続板当接用鍔部320の外径よりも僅かに大きい内径を有する円筒体鍔部収容穴2221が備わっている。また、上側接続板2220の円柱状突出部側にはUボルト挿通孔2222が形成され、ハンドル部側には角型ボルト挿通孔2223が形成されている。
上述のように、円筒体鍔部収容穴2221の内径が、スライド本体当接用鍔部320の外径よりも僅かに大きく、かつ下側接続板2210の腰管挿通穴2211の内径が、スライド本体当接用鍔部320の外径よりも小さくなっていることで、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320を上側接続板2220の円筒体鍔部収容穴2221に挿入した状態で、スライド本体当接用鍔部320の下面が下側接続板2210の腰管挿通穴2211の周囲に全周にわたって当接するようになっている。
以上の構成に基づいて、下側接続板2210と上側接続板2220を同心に合わせて重ねた状態で、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320を上側接続板2220の円筒体鍔部収容穴2221に挿入すると、スライド本体当接用鍔部320の下面が下側接続板2210の腰管挿通穴2211の周囲に全周にわたって当接して止まるようになっている。
押さえ板2400は、円筒体300の外径よりも大きい内径であって円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の外径よりも小さい内径の円筒体挿通孔2410を有している。そして、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320が下側接続板2210の上面に接した状態で、円筒体300は回転せず、サポート本体110と、下側接続板2210及び上側接続板2220とからなる接続板2200と、押さえ板2400が一体となって伸縮アダプタ2000の中心軸線周りに回転しながら、下側接続板2210の上面に円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の下面を摺動可能に当接させて、円筒体300については回転させないようになっている。また、押さえ板2400の円柱状突出部側にはUボルト挿通孔2411が形成され、ハンドル部側には角型ボルト挿通孔2412が形成されている。
下側接続板2210、上側接続板2220、円筒体300、押さえ板2400の固定方法は以下の通りとなっている。最初に円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の下面を下側接続板2210の上面に当接させる。そして、円筒体300と下側接続板2210の腰管挿通穴2211を同心に保ち、上側接続板2220の円筒体鍔部収容穴2221を円筒体300のスライド本体当接用鍔部320に嵌め込み、押さえ板2400の円筒体挿通孔2410に円筒体300を通す。
そして、下側接続板2210のUボルト挿通孔2212と角型ボルト挿通孔2213、上側接続板2220のUボルト挿通孔2222と角型ボルト挿通孔2223、押さえ板2400のUボルト挿通孔2411と角型ボルト挿通孔2412が互いに連通するようにそれぞれの中心軸線周りに位置合わせする。
即ち、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320を接続板2200の下側接続板2210の上面に同心を保つように当接させながら接続板2200の上側接続板2220の円筒体鍔部収容穴2221を円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の周囲に嵌めて、押さえ板2400をその上にしっかりと被せた状態で、下側接続板2210と上側接続板2220と押さえ板2400を溶接等で互いに結合する。
円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の厚さが接続板2200の上側接続板2220の厚さよりも僅かに薄くなっていることと、円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の外径が上側接続板2220の円筒体鍔部収容穴2221の内径よりも僅かに小さくなっていること、更には押さえ板2400の円筒体挿通孔2410が、円筒体300の外径よりも大きい内径であって円筒体300のスライド本体当接用鍔部320の外径よりも小さい内径となっていることで、溶接により一体化させた接続板2200と押さえ板2400の軸線周りに円筒体300は自在に回転する。即ち、円筒体300は、軸線周りに回転しない状態で、溶接により一体化させ円筒体300と同軸となった接続板2200と押さえ板2400のみが独立して共に軸線周りに回転できるようになっている。
締結具2500は、サポートスライド部100に下側接続板2210及び上側接続板2220からなる接続板2200と、円筒体300と、押さえ板2400を取り付ける役目を果たしており、Uボルト2510と角型ボルト2520及びこれらの端部側に備わる雄ネジ2511,2521に螺合するナット2512,2522を有している。そして、Uボルト2510の内側の湾曲具合は、サポートスライド部100の円柱状突出部130の外周にぴったりと沿う(接する)形状及び寸法を有している。また、角型ボルト2520の内側の折り曲げ具合は、サポートスライド部100のハンドル支持用突起121のサポートスライド本体110の近傍部分においてそのまわりにぴったりと沿う(接する)形状及び寸法を有している。
即ち、Uボルト2510と角型ボルト2520は、第1の実施形態に係るUボルト510と角型ボルト520の側面視で見た長さよりもその締め付け固定対象となる構造上の違い、即ちサポートスライド部100と接続板2200と押さえ板2400の重なり具合の違いから明らかなように、サポートスライド本体110の本体鍔部114の厚み部分だけ長く形成されている。
以上のような構成をとることにより、第1の実施形態と同様に、Uボルト2510の内側がサポートスライド部100の円柱状突出部130の外周にぴったりと接すると共に、角型ボルト2520の内側がサポートスライド部100のハンドル支持用突起121のまわりにぴったりと接するようになっているので、腰管20の調整雄ネジ21にサポートスライド部100の雌ネジ部111が螺合した状態でハンドルシャフト122を水平に向けてこれを握り、伸縮アダプタ2000を腰管20の周りに回転させると、その回転力(トルク)をサポートスライド部100の円柱状突出部130にしっかりと係合したUボルト2510及びハンドル支持用突起121にしっかりと係合した角型ボルト2520を介して伸縮アダプタ全体に均一に伝えることができる。
なお、図9、図11、図12においては、伸縮アダプタ2000を腰管10の調整雄ネジ21の適所に移動させた状態で、支持ピン35を円筒体300の支持ピン挿通孔330、腰管20の支持ピン挿通用スリット22、差し込み管30の特定の支持ピン挿通孔32に差し込んだ状態を示している。
このような状態で、伸縮アダプタ2000を、1本のハンドルシャフト122のみによって腰管周りに回すと、第1の実施形態と同様に、腰管20の調節雌ネジ21に対してサポートスライド部100を螺合させながら、伸縮アダプタ2000を腰管20の調整雄ネジ21の長手方向に沿って小さな力でかつ素早く自由な位置に移動させることが可能となる。そして、腰管20の調整雄ネジ21に対する伸縮アダプタ2000の移動と同一の方向に同一の長さだけ差し込み管30が腰管20から延びたり引っ込んだりする。
上述した第2の実施形態によると、第1の実施形態のように接続板200の下側にサポートスライド部100の上側に備わった本体鍔部114がぴったりとはまり込むような凹み部を形成していない。これによって、サポートスライド部100のサイズが異なりこれに伴って本体鍔部114の外径が多少違ったタイプであっても、このような多種類の寸法のサポートスライド部100を下側接続板2210の下面に何れも当接させることができる。
即ち、本実施形態では様々な寸法のサポートスライド部100を利用して伸縮アダプタ2000を組み立てることができるので、現場における利用上の汎用性の高さと使い勝手の良さを向上させることができる。
また、下側接続板2210と上側接続板2220が円筒体300の鍔部を挟んでこれと相対回転可能に保持した状態で溶接等により一体化しているので、サポートスライド部100に締結具2500を用いて簡単に取り付けることができるので上述した第1の実施形態よりも使い勝手が更に向上している。
また、円筒体300の鍔部は、下側接続板2210に当接回転可能な構造となっているので、第1の実施形態のように円筒体300の鍔部がサポートスライド部100の鍔部の上面に対して摺動回転することに比べてより回転し易くなっている。そのためサポートスライド部100のハンドルを回して腰管から差込管を出し入れする際により小さな力でより滑らかにこれを行うことができる。
また、上述した通り下側接続板2210と上側接続板2220と押さえ板2400と円筒体300とが一体化した中間組立体を成しているので、円筒体300の押さえ板2400が挿入される部分のグリス等を注入しておくことで円筒体300が下側接続板2210に対して常に滑らかに摺動回転することができるようになる。これによって、本実施形態の使用に係る伸縮アダプタ2000の使い勝手を常に良好なものにすることができる。
続いて、第1の実施形態の型枠仮支持具の伸縮アダプタとは異なる上述した伸縮アダプタ以外の構成要素、即ち第2の実施形態に係る台板受け具及び受板固定具について説明する。最初に、第2の実施形態に係る台板受け具の概略構成について説明する。
この第2の実施形態に係る台板受け具は、腰管の端部に備わった台板をコンクリートスラブに取り付ける台板受け具であって、台板受け具は、コンクリートスラブに固定されるベース板と、ベース板に対して角度を変えることができる台板支持体と、台板支持体に備わる台板押さえ係合体を有している。
台板支持体は、腰管に差し込まれる腰管挿通部と、腰管挿通部から延在する台板支持部を有し、腰管挿通部と台板支持部との間に形成される段差部によって台板の所定部分が当接してこれを支持するようになっている。
台板押さえ係合体は、台板の一片の縁部に係合する係合部と、この係合部の台板との係合解除する係合解除部を有し、係合部は、台板に係合した状態で腰管挿通部と段差部と協働して台板を台板受け具に固定するようになっており、係合解除部は、係合部を台板の縁部から離間させることで係合部と台板との係合を解除し、この解除した状態において腰管を腰管挿通部から抜き出して台板を台板受け具から取り外し可能になったことを特徴としている。
続いて、この台板受け具の詳細な構造について図面に基づいて説明する。図14は、腰管の下端部に備わった台板を固定する台板受け具を示す斜視図である。また、図15は、図14に示した台板受け具を分解して示す斜視図である。また、図16は、図14に示した台板受け具の使用状態を示す側面図である。
第2の実施形態にかかる台板受け具3000は、ベース板3100と腰管20の下端に備わった台板26を支持する台板支持体3200と、台板26を台板支持体3200にしっかり固定する台板押さえ係合体3300からなっている。
ベース板3100は、コンクリートスラブにボルト3020で固定されるようになっており、台板支持体3200は、ベース板3100に対して角度を変えることができるようになっている。
ベース板3100は、厚さが厚く細長の鉄の板材からできており、その一端側が幅方向両側から折れ曲がった状態でベース板3100の上面に対して垂直上方に互いに対向配置するように立上っている。そして、この互いに対向しながら立ち上がった台板支持側結合部は、ベース側起立部3110となっている。
ベース側起立部3110の真ん中には、それぞれ貫通孔(図示せず)が設けられこの対向する2つの貫通孔3111に十分な太さと強度を有するボルト3020が挿通され、ボルト3020の頭と反対側のベース側起立部3110においてここでは図示しないナットとワッシャで固定されている。
また、ベース板3100のコンクリートスラブSと接する面には、長手方向に所定間隔だけ隔てて本実施形態では2つのボルト挿通孔3115(図15)が形成されている。そして、このボルト挿通孔3115を利用してボルト3020をコンクリートスラブSに打ち込むことで、ベース板3100をコンクリートスラブSの床にしっかりと固定するようになっている。
台板支持体3200は、十分な厚さの鉄の細長い板を端面視角型U字状となるように折り曲げられて形成されている。そして、台板支持体3200の長手方向一方の半部は、腰管挿通部3210をなし、他方の半部は、台板支持部3220をなしている。腰管挿通部3210は、台板支持体3200の底板部3211と底板部3211の両縁から対向して起立する腰管挿通側起立部3212からなっており、台板支持部3220は、底板部3221と底板部3221の両縁から対向して起立する台板支持側起立部3222からなっている。
なお、腰管挿通部3210の腰管挿通側起立部3212の起立高さは、台板支持部3220の台板支持側起立部3222の高さよりも低くなっており、この部分に段差部3225が形成されている。腰管挿通部3210の底板部3211と幅方向両縁の腰管挿通側起立部3212の寸法は、腰管20にがたつくことなくぴったりと挿通できると共に、腰管20から外す際も外し易い寸法となっている。そして、腰管挿通部3210を腰管20に完全に挿通した状態で段差部3225に台板26の底面の腰管開口部周辺に当接し、台板26をしっかりと支持するようになっている。
台板支持体3200の対向する台板支持側起立部3222の先端部近傍には、ベース板3100のベース側起立部3110の内側に入り込んで互いに回動可能に回転するための回動穴(図示せず)が設けられている。そして、一方の台板支持側起立部3222からボルト3020を台板支持側起立部3222の2つの回動穴に挿通して先端をベース側起立部3110の他方に突出させ、ここでは図示しないワッシャとナットで回動可能に固定するようになっている。
台板支持体3200の台板支持側起立部3222と腰管挿通側起立部3212との間に形成された段差部3225の近傍であって台板支持側起立部側には、台板押さえ係合体3300が設けられている。
台板押さえ係合体3300は、十分な厚みのある鉄板でできており、一方の端部が側面視角型U字状に折り曲げられ台板押さえ用スライド固定部3311とこれから延びる延在部3312を備える台板押し付け係合部3310と、台板押し付け係合部3310の延在部3312の一方の面(図16中上側面)の長手方向全体に固定されたボルトホルダ3320と、ボルト3330と、圧縮スプリング3340と、台板押さえ込みナット3350を有している。
そして、台板支持体3200の台板支持側起立部3222によって挟まれた底板部3221の支持側起立部3222と反対側面(図16においては右側面)にボルト3330の頭部が溶接等により固定されており、ボルト3330は底板部3221を貫通して台板支持側起立部3222の起立方向と同じ方向に突出した状態になっている。
ボルトホルダ3320は、ボルト3330が内部を貫通して雄ネジ部3331の先端が一端から突き出す程度の長さと内径を有する円筒体300からできており、その円周上の周方向一部は平らに削られて台板押さえ係合体3300の折り曲げ部である台板押さえ用スライド固定部3311からまっすぐ延びる延在部3312の下面に溶接等で固定されている。
ボルトホルダ3320の外径は、これにボルト3330を挿通した状態でボルトホルダ3320の一端から突出したボルト3330の雄ネジ部3331に台板押さえ込みナット3350をねじ込むことによって、台板押さえ込みナット3350がボルトホルダ3320の一端に突き当てられる程度の寸法を有している。ボルトホルダ3320の直径は、台板支持体3200の対向する台板支持側起立部3222の間隔よりも僅かに小さい直径となっており、ボルト3330の雄ネジ部3331に台板押さえ込みナット3350をねじ込んでいくに従って、この台板支持側起立部3222の間にボルトホルダ3320が入り込むようになっている。
そして、台板支持部3220の底板部3221とボルトホルダ3320の底板部3221に対向する側の一方の端部との間はある程度離間しており、この部分を通るボルト3330の周囲に圧縮スプリング3340が介装されている。そして、圧縮スプリング3340は、この介装状態においてボルトホルダ3320を底板部3221から離間する方向に付勢している。
台板押さえ係合体3300の幅は、円筒状のボルトホルダ3320の直径とほぼ同等となっている。そして、台板押さえ込みナット3350をボルト3330に向かって締め付けていくことによって、台板押さえ係合体3300とボルトホルダ3320の各先端は、台板支持部3220の対向する台板支持側起立部3222の間に入り込む程度の幅となっている。
なお、本実施形態においては、台板押さえ係合体3300の先端の両端の角部には、台板押さえ込みナット3350を締め込んで行った時に台板押さえ係合体3300の先端側が台板支持側起立部3222に引っかかることなくその中に入り込むようにC面取り3313(図15)が施されている。
なお、対向する起立板からなる台板支持側起立部3222の幅は、腰管20の内部に挿入される対向する腰管挿通側起立部3212の幅よりも左右の板厚分だけ広くなった幅となっている。その結果、台板押さえ係合体3300の幅は、これが係合する台板26の一辺の側縁の幅よりもかなり小さくなっていることが分かる。
このような構成に基づいて、台板支持体3200に台板26を取り付けて固定する場合は、台板支持体3200の腰管挿通部3210を台板26の下側から腰管20に挿入すると共に、台板支持側起立部3222と腰管挿通側起立部3212との間にできた段差部3225に台板26の下面を引っ掛けて、台板26を台板支持体3200に仮固定する。そして、台板押さえ込みナット3350を締め込んでいくことで、これに応じてボルトホルダ3320及び台板押さえ係合体3300が台板支持体3200の台板支持側起立部3222に近づき、やがてはボルトホルダ3320及び台板押さえ係合体3300の先端側、即ちボルト3330の頭に近い側の部分が台板支持側起立部3222の間に入り込んでいく。そして、台板押さえ係合体3300の側面視角形U字状の台板押さえ用スライド固定部3311が台板26の一辺の縁部のほぼ中央部に押し付けられるようになる。
これによって、台板支持体3200の段差部3225と台板押さえ係合体3300の延在部3312の上面に押し当てられると共に、台板押さえ用スライド固定部3311と台板26の上側に延びる腰管20の内部にしっかりと入り込んだ台板支持体3200の腰管挿通部3210の双方で挟み込まれることで、台板26を台板支持体3200に確実に固定しながら支持する。
一方、台板押さえ込みナット3350を緩めることにより、ボルトホルダ3320がボルト3330の台板押さえ込みナット3350に当接したまま圧縮スプリング3340の付勢力によってボルト3330の頭と遠ざかる反対側に台板押さえ込みナット3350と共に移動するようになっている。また、台板押さえ係合体3300もボルトホルダ3320と一体になっているため、台板押さえ込みナット3350を緩めることにより、台板押さえ係合体3300の一端にある側面視角形U字状の台板押さえ用スライド固定部3311が台板26の一辺の縁部から離間してこの台板26との係合状態が解除され、台板支持体3200から台板26を簡単に取り外すことができるようになっている(図16の二点鎖線で示す台板押さえ用スライド固定部3311と台板押さえ込みナット3350参照)。
上述の内容に関連して、台板受け具3000を施工現場に取り付けた後に台板26をこの台板受け具3000で支持する手順ついて作用と共に分かり易く説明する。最初に台板受け具3000をコンクリートスラブSの所定位置に位置決めしてボルト3020でコンクリートスラブSにしっかりと固定する。この際、台板受け具自体が小型であるが故に重量も軽く、施工者がこの台板受け具3000をその取り付け場所まで運んだり取りつけたりする際に施工者の身体的負担を軽くすることができる。
台板受け具3000をコンクリートスラブSにしっかりと通つけた後に台板支持側起立部3222をベース板3100に対して所定の角度だけ傾けた状態で起立させ、台板支持体3200の腰管挿通側起立部3212を、これを取り付けるべき腰管20の内周部に挿入すると共に、台板26を台板支持体3200の段差部3225にしっかりと押し付ける。
この際、ボルトホルダ3320と台板押さえ係合体3300は、台板押さえ込みナット3350を締め込んでいく前においては、圧縮スプリング3340の付勢力によって台板押さえ込みナット側に押されているので、台板26を台板支持体3200に固定する際に、台板押さえ係合体3300が台板26の一部に干渉することがない(ぶつかることがない)。
その結果、腰管20に台板支持体3200の腰管挿通側起立部3212を素早くかつ簡単に挿入すると共に、台板26を台板支持体3200の段差部3225にしっかりと押し付けることが可能となる。そして、台板押さえ込みナット3350を締め付けることによって、台板押さえ係合体3300とボルトホルダ3320を備えた台板押さえ用スライド固定部3311とを腰管20に向かってスライド移動させていく。
台板押さえ込みナット3350を完全に締め込んでいくと、台板押さえ係合体3300の台板押さえ用スライド固定部3311が台板26の一辺の側縁の幅方向に中央部にしっかりと押し付けられる。台板26は、この押し付け力によって台板支持体3200の段差部3225に支持されながら台板支持体3200に確実に固定される。
台板受け具3000は、上述した第1の実施形態に比べてかなり小型であるため、多数の台板26を保管するスペース上の制約がなくなり、かつ運搬時にも一度に多数の台板受け具3000を施工現場に運搬することができる。また、施工現場で台板受け具3000をコンクリートスラブSに取り付けた際にその取り付け部分のエリアが小さくて済むので、様々なものが乱雑に散らばっている施工現場を歩き回るが施工者が誤って足を引っ掛けて躓いてしまうようなことをなくすことができる。
また、台板受け具3000を施工現場で取り付けたり取り外したりする際にも、大きさが小型であるが故に重さも従来よりもはるかに軽量化でき、施工者の身体的な負担を軽減することが可能となり、施工者の施工中の疲労の軽減に貢献することが可能となる。
これによって、例えば腰管20を施工現場で何度も手荒く扱うことにより、台板26の角部が曲がったり反ったり歪んだりして変形することがあるが、このように台板押さえ係合体3300の幅が台板26の一辺の幅よりもかなり小さいことに起因して、台板26の一部が変形している場合であっても、台板26に台板受け具3000を問題なく取り付けることができる。
具体的には、台板26の変形していない何れか一辺の側縁中央部を利用してその部分に台板押さえ係合体3300を位置合わせし、台板押さえ込みナット3350を締め付けて台板押さえ用スライド固定部3311で台板26の一辺の縁部の中央部とその近傍を挟み込む。
その結果、腰管20の台板との開口部の内周面を台板支持体3200の腰管挿通側起立部3212と台板支持側起立部3222との間に形成された段差部3225にしっかりと押さえ込み、上述のように台板26の一部が変形している場合であっても、台板26を台板支持体3200に確実に固定することができる。
これによって、台板受け具3000に台板26を取り付ける作業も迅速かつ簡単に行うことができ、施工時間の短縮や施工者の疲労軽減に貢献すると共に、施工者が誤って怪我をするようなことを防止することも可能となる。
一方、台板受け具3000に取り付けた台板26を台板受け具3000から取り外す手順については以下の通りとなる。最初に台板押さえ込みナット3350を緩めることにより、ボルトホルダ3320がボルト3330の台板押さえ込みナット3350に当接したまま圧縮スプリング3340の付勢力によってボルト3330の頭と遠ざかる反対側に台板押さえ込みナット3350と共に移動する。
この際、ボルト3330の雄ネジ部3331の先端3332を潰すように形成しておけば、台板押さえ込みナット3350を例えば電動レンチなどで緩めても台板押さえ込みナット3350がボルト3330の雄ネジ部3331の先端から外れてしまうことがない。これによって、ボルト3330が雄ネジ部3331の先端から外れ、脱落してしまった台板押さえ込みナット3350を探すような無駄な手間を省くことができる。
そして、台板押さえ係合体3300もボルトホルダ3320と一体になっているため、台板押さえ込みナット3350を緩めることにより、台板押さえ係合体3300の一端にある側面視角形U字状の台板押さえ用スライド固定部3311が台板26の一辺の縁部から離間してこの台板26との係合状態が解除され、台板支持体3200から台板26を簡単に取り外すことができる(図16の二点鎖線で示す台板押さえ用スライド固定部3311と台板押さえ込みナット3350参照)。
これによって、台板26を台板受け具から取り外す際においても、上述した台板26を台板受け具3000に取り付ける場合と同様の効果を発揮することができる。
具体的には、角部が曲がったり反ったり歪んだりして変形した台板26であっても、台板押さえ係合体3300の幅が台板26の一辺の幅よりもかなり小さいことに起因して、台板26の変形していない一辺の縁部の中央部とその近傍に台板押さえ係合体3300を位置合わせし、台板押さえ込みナット3350を締め付けて台板押さえ係合体3300の台板押さえ用スライド固定部3311で台板26の一辺の縁部の中央部とその近傍を挟みこんで固定しているので、台板26を台板受け具3000から取り外す際においても、台板26の角部が曲がったり反ったり歪んだりして変形していても、台板受け具3000の台板押さえ係合体3300に引っかかったりして干渉することなく簡単に取り外すことができる。
その結果、台板26を台板受け具3000から取り外す作業も迅速かつ簡単に行うことができ、施工時間の短縮や施工者の疲労軽減に貢献すると共に、施工者が誤って怪我をするようなことを防止することも可能となる。
続いて、第1の実施形態の型枠仮支持具の伸縮アダプタとは異なる上述した伸縮アダプタ以外のもう一つの構成要素である第2の実施形態に係る受け板固定具について説明する。
最初に第2の実施形態に係る受け板固定具の概略構成について説明する。この第2の実施形態に係る受け板固定具は、差し込み管の端部に備わった受板を横バタ材に取り付ける受け板固定具であって、受け板固定具は、横バタ材に固定される横バタ材押さえ部と、横バタ材押さえ部に対して角度を変えることができる受板押さえ当接部と、受板押さえ当接部に備わる受板押さえ係合体を有している。
そして、受板押さえ当接部は、差し込み管に差し込まれる差し込み管挿入部と、差し込み管挿入部から延在する受板押し付け部を有し、差し込み管挿入部と受板押し付け部との間に形成される段差部によって受板の所定部分が当接するようになっている。
受板押さえ係合体は、受板の一片の縁部に係合する係合部と、この係合部の受板との係合解除する係合解除部を有し、係合部は、受板に係合した状態で差し込み管挿入部と段差部と協働して受板を受け板固定具に固定するようになっており、係合解除部は、係合部を受板の縁部から離間させることで係合部と受板との係合を解除し、この解除した状態において差し込み管を差し込み管挿入部から抜き出して受板を受け板固定具から取り外し可能になったことを特徴としている。
続いて、第2の実施形態に係る受け板固定具の詳細な構成について図面に基づいて説明する。図17は、差し込み管の上端に備わる受板固定具をこれが取り付けられた横バタ材と共に示す斜視図である。また、図18は、図17に示した受板固定具を分解して示す斜視図である。また、図19は、図17に示した受板固定具の使用状態を示す側面図である。
受板固定具4000は、横バタ材押さえ部4100と、受板固定部4200と、受板押さえ用スライド固定部4311を有し、横バタ材押さえ部4100の一端側に設けたパイプ側連結部4101と受板固定部4200の一端側に設けた受板側連結部4201とが互いに回動可能となるように、ボルト4001及びナット4002並びにワッシャ(図示せず)を介して連結している。受板固定部4200は、十分な厚さを有し一定長さの細長い鉄板の長手方向両側を同じ方向に折り曲げて形成されており、その長手方向半分に形成された差し込み管挿入部4210と、その長手方向残りの半分に形成された受板押し付け部4220と、受板押さえ係合体4300からなる。
横バタ材押さえ部4100は、十分な厚みのある鉄板を折り曲げてできており側面視で横向きとなった角形U字状を有している。そして、横バタ材押さえ部4100の上板4110と下板4120との間で横バタ材51の外周面をしっかりと挟み込む寸法を有している。横バタ材押さえ部4100の上板4110の先端部近傍には一定長さのスリット4111が形成されると共に、下板4120の先端部近傍にも上板4110のスリット4111よりも長さの短い一定長さのスリット4121が形成されている。
そして、横バタ材押さえ部4100の上板4110と下板4120の間に横バタ材51をはめ込み、上板のスリット4111から下板のスリット4121に向けて十分な厚みを有する楔4005を差し込むことで横バタ材押さえ部4100を横バタ材51にしっかりと固定するようになっている。
また、横バタ材押さえ部4100の側板4130にはその両端縁部から受板固定部4200と回動可能に接続する回動連結板(上述したパイプ側連結部4101に相当)がそれぞれ平行に延びている。各回動連結板4131には横バタ材押さえ部4100を受板固定部4200に回動可能にしっかりと接続するボルト貫通穴がそれぞれ形成され、このボルト貫通穴に受板固定部4200を連結するためのボルト4001及びナット4002並びにワッシャ(図示せず)が備わっている。
受板固定部4200は、差し込み管挿入部4210と受板押し付け部4220とから構成されている。差し込み管挿入部4210は、厚みが充分ある細長い鉄板の幅方向真中の所定幅を有する底板部4211(図19)と、底板部4211からの長手方向両側から同じ方向に起立した差し込みパイプ挿入側起立部4212からなる。
また、受板押し付け部4220は、端面視で角型U字状に折り曲げられており、長手方向に所定の長さだけ伸びた底板部4221と、受板固定具4200の長手方向残りの半部に沿って両縁から差し込みパイプ挿入側起立部4212と同じ方向に起立した受板押し付け側起立部4222を有している。そして、受板押し付け側起立部4222の起立高さは、差込みパイプ挿入側起立部4212の起立高さよりも高くなってこの部分に互いに対向する段差部4225(図19)が形成されている。
差し込み管挿入部4210の底板部4211と幅方向両縁の差し込みパイプ挿入側起立部4212の寸法は、差し込み管30にがたつくことなくぴったりと挿通できると共に、差し込み管30から外す際も外し易い寸法となっている。
そして、差し込み管挿入部4210を差し込み管30に完全に挿通した状態で段差部4225に受板37の底面の差し込み管開口部周辺に当接し、受板37をしっかりと保持するようになっている。
受板押し付け部4220の対向する受板押し付け側起立部4222の先端部近傍には、横バタ材押さえ部4100の側板4130から突出した回動連結板4131の内側に入り込んで互いに回動可能に回転するための回動穴(図示せず)が設けられている。そして、ボルト4001を一方の受板押し付け側起立部4222から差し込みパイプ挿入側起立部4212の2つの回動穴に挿通して先端を他方の受板押し付け側起立部4222に突出させ、ナット4002とワッシャ(図示せず)とで回動可能に固定するようになっている。
受板押さえ係合体4300は、受板固定具4000の受板押し付け側起立部4222と差し込みパイプ挿入側起立部4212との間に形成された段差部4225の近傍であって受板押し付け側起立部側に設けられている。そして、受板押さえ係合体4300は、受板押し付け係合部4310と、ボルトホルダ4320と、ボルト4330と、圧縮スプリング4340と、受板押さえ込みナット4350を有している。
受板押し付け係合部4310は、十分な厚みのある鉄板でできており、側面視角型U字状に折り曲げられた受板押さえ用スライド固定部4311と、受板押さえ用スライド固定部4311から延びる延在部4312を有している
そして、受板押し付け部4220の受板押し付け側起立部4222によって挟まれた底板部4221の受板押し付け側起立部4222と反対側面(図19における左側面)にボルト4330の頭部が溶接等により固定されており、ボルト4330は底板部4221を貫通して受板押し付け側起立部4222の起立方向と同じ方向に突出した状態になっている。
ボルトホルダ4320は、ボルト4330が内部を貫通して雄ネジ部4331の先端が一端から突き出す程度の長さと内径を有する円筒体からできており、その円周上の周方向一部は平らに削られて受板押し付け係合部4310の受板押さえ用スライド固定部4311から延びる延在部4312の一方の面(図18では上面)に溶接等で固定されている。
ボルトホルダ4320の外径は、ボルトホルダ4320をボルト4330に挿通した状態でボルトホルダ4320の一端から突出したボルト4330の雄ネジ部4331に受板押さえ込みナット4350をねじ込むことによって、受板押さえ込みナット4350がボルトホルダ4320の一端に突き当てられる程度の寸法を有している。
ボルトホルダ4320の直径は、受板押し付け部4220の対向する受板押し付け側起立部4222の間隔よりも僅かに小さい直径となっており、ボルト4330の雄ネジ部4331(図19)に受板押さえ込みナット4350をねじ込んでいくに従って、この受板押し付け側起立部4222の間にボルトホルダ4320が入り込むようになっている。
そして、ボルトホルダ4320の受板押さえ込みナット4350で締め付ける一方の端部と受板押し付け部4220の底板部4221との間はある程度離間しており、この部分を通るボルト4330の周囲に圧縮スプリング4340が介装されている。そして、圧縮スプリング4340は、上述の介装状態においてボルトホルダ4320を底板部4221から離間する方向に付勢している。
受板押し付け係合部4310の幅は、円筒状のボルトホルダ4320の直径とほぼ同等となっている。そして、受板押さえ込みナット4350をボルト4330に締め付けていくことによって、受板押し付け係合部4310とボルトホルダ4320の各先端は、受板押し付け部4220の対向する受板押し付け側起立部4222の間に入り込む程度の幅となっている。
なお、本実施形態においては、受板押し付け係合部4310の先端の両端の角部には、受板押さえ込みナット4350を締め込んで行った時に受板押し付け係合部4310の先端側が受板押し付け側起立部4222に引っかかることなくその中に入り込むようにC面取り4313が施されている(図18参照)。
なお、対向する起立板からなる受板押し付け側起立部4222の幅は、差し込み管30の内部に挿入される対向する差し込みパイプ挿入側起立部4212の幅よりも左右の板厚分だけ広くなった幅となっている。その結果、受板押し付け係合部4310の幅は、これが係合する受板37の一辺の幅よりもかなり小さくなっていることが分かる。
このような構成に基づいて、受板固定具4000に受板37を取り付けて固定する場合は、受板固定具4000の差し込み管挿入部4210を受板37の上側から差し込み管30に挿入すると共に、受板押し付け側起立部4222と差し込みパイプ挿入側起立部4212との間に形成された段差部4225に受板37を押し付けて、受板37を受板固定具4200に仮固定する。
そして、受板押え込みナット4350を締め込んでいくことで、これに応じてボルトホルダ4320及び受板押し付け係合部4310が受板押し付け部4220の受板押し付け側起立部4222に近づき、やがてはボルトホルダ4320及び受板押し付け係合部4310の先端側、即ちボルト4330の頭に近い側の部分が受板押し付け側起立部4222の間に入り込んでいく。
続いて、受板押し付け係合部4310の側面視角形U字状の受板押さえ用スライド固定部4311が受板37の一辺の縁部のほぼ中央部に押し付けられるようになる(図17及び図19参照)。
これによって、受板37は、受板固定具4000の段差4225と受板押さえ用スライド固定部4311の双方で押さえられると共に、受板固定具4000の差し込み管挿通部4210が、受板37の下側に延びる差し込み管30の内部に入り込んだ状態となることで、受板37を受板固定具4000にしっかりと固定しながら保持する。
一方、受板押さえ込みナット4350を緩めることで、ボルトホルダ4320が受板押さえ込みナット4350に当接したまま圧縮スプリング4340の付勢力によってボルト4330の頭と遠ざかる反対側に受板押さえ込みナット4350と共に移動するようになっている。また、受板押し付け係合部4310もボルトホルダ4320と一体になっているため、受板押さえ込みナット4350を緩めることにより、受板押し付け係合部4310の一端にある側面視角形U字状の受板押さえ用スライド固定部4311が受板37から離間して受板37との係合状態が解除され、差し込み管挿入部4210を差し込み管30から引き抜きながら受板固定具4000から受板37を簡単に取り外すことができるようになっている(図19における二点鎖線で示す受板押さえ用スライド固定部4311と受板押さえ込みナット4350参照)。
上述の内容に関連して、受板固定具4000を施工現場に取り付けた後に受板37をこの受板固定具で保持する手順について具体的に説明する。最初に受板固定具4000を横バタ材51にしっかりと取り付ける。この際、横バタ材押さえ部4100を横バタ材51に嵌めて上板4110のスリット4111と下板4120のスリット4121に楔4005をしっかりと打ち込んで取り付ける。
そして、受板押し付け部4220の差し込みパイプ挿入側起立部4212に、これを取り付けるべき差し込み管30の内周部に挿入すると共に、受板37を受板固定具4000の段差部4225に押し付ける。そして、受板押さえ込みナット4350を締め付けることによって、ボルトホルダ4320と受板押さえ用スライド固定部4311を備えた受板押し付け係合部4310を差し込み管30に向かってスライド移動させていく。
受板押さえ込みナット4350を締め込んでいく前においては、ボルトホルダ4320と受板押し付け係合部4310は、圧縮スプリング4340の付勢力によって受板押さえ込みナット側に押されているので、差し込み管30の受板37を受板押し付け部4220の差し込みパイプ挿入側起立部4212に係合させる際に、受板押し付け係合部4310が受板37の一部に干渉することがない(ぶつかることがない)。そのため、差し込み管30に受板押し付け部4220の差し込みパイプ挿入側起立部4212を素早くかつ簡単に挿入することが可能となる。
そして、受板押さえ込みナット4350を完全に締め込んでいくと、受板押し付け係合部4310の受板押さえ用スライド固定部4311が受板37の一辺の縁部の中央部及びその近傍をしっかりと挟み込む。これによって、受板37は、この押し付け力によって受板固定具4000の段差部4225に押し付けられながら受板固定具4000に固定される。
受板固定具4000は、上述した第1の実施形態に比べてかなり小型であるため、多数の受板37を保管するスペース上の制約がなくなり、かつ運搬時にも一度に多数の受板固定具4000を施工現場に運搬することができる。また、施工現場で受板固定具4000を横バタ材51に取り付けた際にその取付部分のエリアが小さくて済むので、様々なものが乱雑に散らばっている施工現場を歩き回るが誤って足を引っ掛けて躓いてしまうようなことをなくすことができる。
また、受板固定具4000を施工現場で取り付けたり取り外したりする際にも、大きさが小型であるが故に重さも従来よりもはるかに軽量化でき、施工者の身体的な負担を軽減することが可能となり、施工者の施工中の疲労の軽減に貢献することが可能となる。
これによって、例えば差し込み管30を施工現場で何度も手荒く扱うことにより、受板37の角部が曲がったり反ったり歪んだりして変形することがあるが、このように受板押し付け係合部4310の幅が受板37の一辺の幅よりもかなり小さいので、受板37の変形していない一辺の中央部を利用してその部分に受板押し付け係合部4310を位置合わせし、受板押さえ込みナット4350を締め付けて受板押し付け係合部4310の受板押さえ用スライド固定部4311によって受板37の一辺の側縁を問題なく挟み込むことができる。
その結果、差し込み管30の受板37との開口部の内周面を受板押し付け部4220の差し込みパイプ挿入側起立部4212と受板押し付け側起立部4222との間に形成された段差部4225にしっかりと押し付けるようになり、差し込み管30を受板固定具4000に確実に固定することができる。
これによって、受板固定具4000に受板37を取り付ける作業も迅速かつ簡単に行うことができ、施工時間の短縮や施工者の疲労軽減に貢献すると共に、施工者が誤って怪我をするようなことを防止することも可能となる。
一方、受板固定具4000に取り付けた受板37を受板固定具4000から取り外す手順については以下の通りとなる。最初に受板押さえ込みナット4350を緩めることにより、ボルトホルダ4320がボルト4330の受板押さえ込みナット4350に当接したまま圧縮スプリング4340の付勢力によってボルト4330の頭と遠ざかる反対側に受板押さえ込みナット4350と共に移動する。この際、ボルト4330の雄ネジ部4331の先端を潰すように形成しておけば、受板押さえ込みナット4350を例えば電動レンチなどで緩めても受板押さえ込みナット4350がボルト4330の雄ネジ部4331の先端から外れてしまうことがない。これによって、ボルト4330の雄ネジ部4331の先端から外れ、脱落してしまった受板押さえ込みナット4350を探すような無駄な手間を省くことができる。
そして、受板押し付け係合部4310もボルトホルダ4320と一体になっているため、受板押さえ込みナット4350を緩めることにより、受板押し付け係合部4310の一端にある側面視角形U字状の受板押さえ用スライド固定部4311が受板37から離間してこの受板37との係合状態が解除され、差し込み管挿入部4210を差し込み管30から引き抜きながら受板固定具4000から受板37を簡単に取り外すことができる(図19における二点鎖線で示す受板押さえ用スライド固定部4311と受板押さえ込みナット4350参照)。
これによって、受板37を受板固定具4000から取り外す際においても、上述した受板37を受板固定具4000に取り付ける場合と同様の効果を発揮することができる。
具体的には、角部が曲がったり反ったり歪んだりして変形した受板37であっても、受板押し付け係合部4310の幅が受板37の一辺の幅よりもかなり小さいので、受板37の変形していない一辺の縁部の中央部及びその近傍を利用してその部分に受板押し付け係合部4310を位置合わせすることができる。これによって、受板押さえ込みナット4350を締め付けて幅の狭い受板押し付け係合部4310の受板押さえ用スライド固定部4311で受板37の一辺の縁部の一部を挟んで固定することができる。そのため、受板37を受板固定具4000から取り外す際においても、曲がったり反ったり歪んだりして変形した受板37の角部が、受板固定具4000の受板押し付け係合部4310に引っかかったりして干渉することなく簡単に取り外すことができる。
その結果、受板37を受板固定具4000から取り外す作業も迅速かつ簡単に行うことができ、施工時間の短縮や施工者の疲労軽減に貢献すると共に、施工者が誤って怪我をするようなことを防止することも可能となる。