JP2018171603A - 回転軸なし光触媒有機廃棄物処理装置 - Google Patents

回転軸なし光触媒有機廃棄物処理装置 Download PDF

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富成 徐
睦雄 及川
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睦雄 及川
正幹 及川
Masaki Oikawa
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Abstract

【課題】
有機廃棄物の発酵乾燥処理にあたり、処理時間が短く、簡素な構造であり、製造コストが低廉であり、かつ保守が容易な横長円筒形回転ドラム型の処理装置を提供することが課題である。
【解決手段】
発酵乾燥処理に水平に設置した横長円筒形回転ドラム型の発酵乾燥処理槽を使い、回転ドラムの胴部の内側面に多数配列した掻き上げ翼を備え、回転ドラムが正回転するとき処理対象を反転しつつ投入部から排出部への方向に移送し、回転ドラムが逆回転するとき処理対象を反転しつつ排出部から投入部への方向に逆移送し、長い時間の正方向と短い時間の逆方向への移送を組み合わせて、総合的にゆっくりと排出部の方向への移送を行い、好気発酵とそれに続く乾燥を充分に行えるようにした。排ガスの脱臭は光触媒または熱触媒方式脱臭を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、下水汚泥や動物の糞尿などの有機廃棄物を処理対象として発酵乾燥処理槽で発酵分解ならびに乾燥処理を行い、発酵処理の残余物として堆肥を得る装置に関する。とくに、横長円筒形の回転ドラム型の処理槽を用いる有機廃棄物処理装置に関する。
発酵菌を利用して、下水汚泥や動物の糞尿などの有機廃棄物を処理対象として、乾式で発酵処理と乾燥処理を行い、残余物として堆肥を得る、または残余物の量を圧縮する装置が種々提案され、実用化されている。
発酵乾燥処理にあたって横長円筒形の回転ドラム型の処理槽を使う場合、処理槽内に投入した有機廃棄物の発酵処理を行い、処理を終わった発酵処理残余物を排出部側に移送するために、従来は処理槽を回転させるとともに、処理槽の内側に有機廃棄物を掻き上げて反転する掻き上げのための羽根を設置し、掻き上げられ移送される有機廃棄物を受け止めてさらに排出方向に移送するための撹拌のための固定した羽根を設置していた。(特許2985128号)
この場合、掻き上げのための羽根と撹拌のための固定した羽根の両方に、有機廃棄物が排出側に移動するように角度を付けていた。ところが、このようにすると槽内での移送速度が速く、有機廃棄物が発酵し終わる前に、排出部側に移送されてしまい、乾燥も進んでいないので含水量が高く、粘度が高いまま排出側に溜まってしまい運転に支障がでるという問題が有った。
また従来は、排出側に溜まった発酵処理残余物は、発酵槽の端部にある回転しない排出部に設けた排出口から外部に取り出していた。しかし、残余物は回転ドラム部から連続して流れてくるため、排出部に溜まった残余物を連続的に取り出さないと全体の処理動作の妨げになっていた。また、排出部に残余物が溜ると発酵が阻害され、また凝固して排出が困難となり、内容物が水平状に堆積せず出口側に向かって高くなる傾斜状堆積となっていた。そのため回転ドラム部に結合され一緒に回転する別の撹拌棒を備えたり、多少残余物が溜まっても構わないように体積の大きい排出部を設置したりしなくてはならないなどの課題が有った。(特許1238175号)
特許2985128号公報 特許1238175号公報
本発明は、横長円筒形回転ドラム型発酵乾燥処理装置を使って、有機廃棄物を処理対象として発酵乾燥処理槽で発酵処理ならびに乾燥処理を行うにあたって、処理槽内で有機廃棄物が移送される速度を適正にして、排出部に残余物が溜らず、効果的に処理を進める有機廃棄物処理装置を提供するものである。
本発明は、
有機廃棄物を処理対象とし、これを発酵させ、かつ乾燥させる装置であって、横長円筒形回転ドラム型の発酵乾燥処理槽を備え、
該発酵乾燥処理槽の一部である回転ドラムを回転しつつ、かつ該発酵乾燥処理槽内に空気を送りつつ、投入部から排出部に処理対象を移送する間に発酵乾燥処理を行い、
該回転ドラムの内側面に配置した多数の掻き上げ翼を備え、該回転ドラムが正回転するとき該処理対象を掻き上げるとともに排出部の方向に移送し、逆回転するとき該処理対象を掻き上げるとともに投入部の方向に移送し、
該処理対象を処理する時間内において、排出部の方向に移送する距離の積算が投入部の方向に移送する距離の積算より大きいことを特徴とする有機廃棄物処理装置である。
さらに本発明は、
該発酵乾燥処理槽に送られた空気および発酵により発生した排ガスが排出される通路に、熱触媒または光触媒を装備した脱臭装置を配置したことを特徴とする有機廃棄物処理装置である。
本発明においては、横長円筒形回転ドラム型発酵乾燥処理槽を備えており、嫌気性の腐敗を抑制して好気性の発酵を進めるために、処理対象である有機廃棄物を反転して十分にエアレーションを行うことができるので、処理時間が短く、撹拌のための動力が小さく、肥料として使える発酵残材を得られるという特長が有る。
その際、ブロアーによって発酵乾燥処理槽内に積極的に外気を導入することで、好気性発酵を活性化し、また発酵を終わった発酵残材を効率的に乾燥することができる。
発酵乾燥処理にあたり、処理対象である有機廃棄物を反転切り返すことが必要であるが、そのために回転ドラムの内側面に多数の掻き上げ翼を配置している。掻き上げ翼は発酵乾燥処理槽である回転ドラムを或る決められた方向(以下、投入部から排出部を見たとき左回転の方向を正回転と称する)に回転するとき有機廃棄物を掻き上げるとともに排出方向に移送する構造となっている。
回転ドラムを逆方向に回転すると、同じ掻き上げ翼によって有機廃棄物を掻き上げるとともに、反対に投入部の方向に移送する構造となっている。よって、発酵乾燥処理槽内に有る処理対象は常に前後方向に移送され、全体が満遍なく攪拌される。
もし、回転ドラムの回転にしたがって掻き上げ翼が処理対象を常に排出部の方向に送り出すように作用すると、短時間の内に排出部に到達してしまい、十分に発酵や乾燥ができず水分が多く粘り気の強い状態で排出部のスペースを埋めてしまうので正常な処理機能を果たせなくなってしまう。そこで、発明者は処理対象の移送方向を適宜反対向きにすれば、反転、撹拌を止めることなく連続してエアレーションを行って発酵または乾燥させ、正常で無い状態を防止できることを見出したものである。
すなわち、回転ドラムの回転方向を適宜反転して、回転ドラムに設置された掻き上げ翼によって処理対象である有機廃棄物を排出部の方向に長い距離、また投入部の方向に短い距離だけ移送させ、その結果、発酵乾燥処理槽内で有機廃棄物が反転、撹拌されつつ、また前後に移送されつつ、総合的にはゆっくりと排出方向に移送されるものである。
総合的な移送速度は、正回転と逆回転の時間比率の設定をはじめとして、掻き上げ翼の寸法、配置と角度などの構造によって調整することができ、処理対象である有機廃棄物の性状や、発酵処理ならびに乾燥処理の進捗時間を勘案し最も適当な速度になるように設計できる。
別に、排出部側に切り出し機構を設置して適宜運転し、発酵残材を任意のタイミングで取り出すことで処理残留物が排出側のスペースを埋めてしまうことを避けることができて、常に正常な状態で運転を継続できる。
また、有機廃棄物の発酵乾燥処理では常に問題となる臭気に対して、既知の光触媒もしくは熱触媒を使った脱臭装置を追加して設置することで対応できる。
光触媒を使った脱臭装置とは、発酵乾燥処理槽から出てくる排ガスを、紫外光で照射してある光触媒に接触させることで臭い成分を化学的に分解するものである。熱触媒を使った脱臭装置とは、発酵乾燥処理槽から出てくる排ガスを適当な温度まで加熱して熱触媒と接触させることで臭い成分を化学的に分解するものである。
またさらに、発酵乾燥処理槽内の圧力を大気圧より若干低く維持することによって、脱臭装置に達する以前に、発酵乾燥処理槽や配管類から排ガスが漏れ出さない構成とする。横長円筒形回転ドラム型の発酵乾燥処理槽は大気にたいして密閉する構造とするためには、横長円筒形の胴にあたる回転ドラムと円筒形の底にあたり固定してある側板の間にシール機構を必要とする。回転ドラムの直径はかなり大きいのでシール機構のコストが高くなり、保守の手間がかかるという問題が有ったが、発酵乾燥処理槽内の圧力を大気圧より若干低く維持すればシール機構を簡易なものとするか、または廃止でき、メリットは大きい。
発酵乾燥処理槽内の圧力を大気圧より若干低く維持することは、発酵乾燥処理槽での空気の流れを作るにあたって、押し出しブロア―を使用して空気を吹き込むのではなく、吸引ブロア―を使用して空気と排ガスを吸引することによって実現できる。
発酵乾燥処理槽内に湿度調整剤兼発酵菌担持材である木材チップなどからなる湿度調整材をあらかじめ投入しておき、木材チップが同時に発酵菌担持材としても働くように、有機廃材を投入する前にあらかじめ発酵菌を混入しておくことができる。
このようにして発酵乾燥処理槽の中で進む好気性発酵により得られる発酵残材は堆肥として使うことができる。
以上に述べた通り、本発明による掻き上げ翼を備えた発酵乾燥処理槽において、発酵処理ならびに乾燥処理に適した移送速度すなわち処理時間を実現し、効率的な発酵乾燥処理装置を提供できる。
横長円筒形回転ドラム型発酵乾燥処理装置の概念図 回転ドラムの部分側面断面図 回転ドラムの正面断面図 掻き上げ翼の作用説明図 処理対象の移送状態を示す説明図 切り出し機構の概念図 光触媒方式脱臭装置の概念図 熱触媒方式脱臭装置の概念図 回転ドラムの気密シールの概念図 回転方向のタイムチャート
図1に、脱臭装置を除いて、横長円筒形回転ドラム型発酵乾燥処理装置全体の概念図を示す。図に従い、その構成と作用を以下に説明する。図1では図面配置上の関係で脱臭装置を省略してある。発酵乾燥処理装置1は回転ドラム2、投入部4、排出部5を主要な要素とする発酵乾燥処理槽を中心とした設備である。回転ドラム2は横長で両側を切り取った円筒形であり、ローラー8によって支えられ、図示しない回転駆動機構により円筒形の軸を中心に自由に回転できる。投入部4ならびに排出部5は支持部材9によってベース10に固定されている。
図で右側にある投入部4の右側の壁は大気に対して気密である。図で左側にある排出部5の左側の壁は、切り出し機構13への出口以外は大気に対して気密である。切り出し機構13は切り出しゲートによって大気に対して気密である。回転ドラム2と投入部4ならびに排出部5とが円筒形の長手方向に伸びて重なっている両側の個所には気密シール21があり、回転ドラム2は大気に対して気密に保たれている。全体として、発酵乾燥処理槽は気密である。
図2は、回転ドラムの部分側面断面図である。図では回転ドラム2の中心軸を通る切断面の向こう側の半分だけが見えている。掻き上げ翼6については回転ドラム2の見えていない手前側の半分に設置されている分も含めて全周に配列されている状態を描いてある。
図2に示すように、回転ドラム2の内側面には掻き上げ翼6が円筒形の中心軸の方向に螺旋状に一定間隔で列をなして配列されている。それぞれの掻き上げ翼6は、回転ドラム2の内側面に対して垂直で、その翼面は回転ドラム2の中心軸に対して一定の角度をなしている。図に示した矢印は、処理対象の投入部から排出部に向かう総合的な移動方向を示している。掻き上げ翼6は多数あるので煩雑を避けるために符号は1つの掻き上げ翼6にしか付けていない。
掻き上げ翼6fと掻き上げ翼6rは回転ドラムの回転の上下方向の中央に位置し、視線方向に平行なので線状に見えている。掻き上げ翼6fと掻き上げ翼6rは同じ連なりの中の1つであるが、視点に対して近い位置の壁上に有る場合と遠い位置の壁上に有る場合とで、回転ドラム2の中心軸に対して反転しており、翼面の角度が対称に見える。図4にもその状態が示してある。
図3は、回転ドラムの正面断面図である。図3に示すように、回転ドラム2は、モーター201、減速機202、チェーン203からなる回転駆動機構20によって、回転される。ここで、処理対象50である有機廃棄物を投入する投入部4の方から排出部5を見たとき、図3の矢印で示すように回転ドラム2の回転方向が左回りであるときを回転ドラム2の回転方向を正回転と定義する。
図1で、投入部4の上側にある、常時は閉められている投入口11を開けて処理対象50を投入すると、処理対象50は落下し受け板12に衝突し、一時的に投入部4にとどまる。その後、掻き上げ翼6によって掻き上げられると同時に、排出部5の方向に移送される。図3で、処理対象50の回転方向への移動の状況を見ることができる。回転ドラム2の内部にある処理対象50が回転ドラム2の正回転に伴って、掻き上げ翼6によって図で右の方に掻き上げられて、中央ではなく偏った位置に有る状態が見て取れる。
処理対象50は回転ドラムの回転によって或る程度の高さに達すると、図で回転ドラムの右側付近に、重力によって落下する。それによって反転され、処理対象50である有機廃棄物は常にその全量が満遍なく攪拌され、いままで内部に有った部分が外部に出て空気と接触する。このようにして回転ドラム2の投入部4近くでは処理対象50である有機廃棄物の好気発酵が進み最終的に水蒸気と炭酸ガスに転換されてゆき、排出部5の方向に移送されるにしたがって残った水分の乾燥処理に移ってゆく。
図4は、掻き上げ翼6の作用を詳しく説明する図である。図4は、回転ドラム2の上下方向で中央の位置に有る、図2、図3で符号6fおよび6rを付けた掻き上げ翼だけを、胴部を透かして水平に見た、或る瞬間の状況を示すものである。図4(a)の掻き上げ翼6fと図4(b)の掻き上げ翼6rは多数の同じ掻き上げ翼の内の1つであるが、視点の手前の壁に有る場合と向こう側の壁に有る場合で、翼面の傾きが反対に見える。
図4(a)に示したように、掻き上げ翼6fの翼面は、水平に対して迎え角αだけ傾いており、ここでαは、45度プラスマイナス45度の範囲で設計してある。ここで迎え角とは水平方向に対して左回りで測った角度である。
図4(a)では、掻き上げ翼6fは排出部の方向(図で左)が低くなるように(右回りに計って)角度αだけ傾いて設置されている。回転ドラムの回転とともに、掻き上げ翼6fは槽の下側から処理対象を掻き上げて、上昇速度Eで槽の上方まで持ち上げる。掻き上げ翼6fは回転ドラムの上方に近づくにつれて次第に翼面が傾斜して先端部が下がってくるので、持ち上げられた処理対象50は図で左下に向かってずり落ちて行く。
このとき、翼面に沿った移動量Ldに対して排出部の方向への処理対象の移送量はLfとなる。図4(b)の掻き上げ翼6rは、回転ドラムの回転方向が逆のとき、図4(a)に対して図で左右対称の構造と作用となる。すなわち、回転ドラムの同じ回転量に対して、掻き上げ翼6fによる排出部の方向への移送距離と、掻き上げ翼6rによる投入部の方向への移送距離は同じである。
図5は処理対象の総合的な動きを示す概念図である。回転ドラム2の胴部の中に記載した曲線は処理対象50を代表する或る一か所の動きを示す。図5(a)に示したのは、回転ドラム2が逆回転だけして、掻き上げ翼6によって処理対象を排出部の方向(図で左)にのみ移送した場合である。
図5(b)は、回転ドラムが逆回転した場合を実線で、続いて正回転した場合を破線で示している。回転ドラム2が逆回転のとき掻き上げ翼が処理対象を排出部の方向(図で左)に、螺旋曲線で見て、2回転分移送し、正回転のとき同じ掻き上げ翼が投入部の方向(図で右)に1回転分移送していることが見て取れる。
図10にこのときの回転方向のタイムチャートを示す。図10から、逆回転(Reverse)がt1時間、続いて逆回転(Forward)がt2時間、その後休止(Stop)がt3時間というサイクルが繰り返されていることが見て取れる。この例ではt1:t2は2:1である。またt3はこの例ではかなり長いけれど、零であっても良い。
この結果、処理対象の排出部の方向(図で左)への長い移送と、投入部の方向(図で右)への短い移送が交互に行われ、総合的にゆっくりした出口の方向への移送となっている。回転方向の制御は図示しない回転制御装置で行う。このような回転制御装置は、例えば3相交流モーター、コンタクタ、タイマーまたはシーケンサーの組み合わせによって容易に実現できる。
処理対象50の総合的な移送速度は正逆の回転の時間比率t1:t2で任意に変えることができる。または、掻き上げ翼6の角度、ならびに数と位置の設計により決定できる。処理対象の種類、含水率などの物性に応じて、移送速度すなわち槽内に滞留する時間が決められるので発酵に最適な処理時間を選択できる。
正逆の回転の時間比率に加えて、図4で示した、掻き上げ翼6fの迎え角α、翼の面積、翼の配列数などを設計で変更しても、回転ドラムの回転数当たりの排出部に向かう移送量を変更できる。すなわち、処理対象の種類や性状に合わせて発酵槽内に留まる最適な発酵乾燥処理時間を決定できる。
図5(a)に示したように処理対象を排出部に向かって早く移送すると、発酵槽内に留まっている時間が短く、十分に発酵ならびに乾燥が行われずに排出部に溜まってしまう。これでは正常な発酵乾燥処理能力を発揮できない。正常な発酵乾燥処理能力を発揮させるためには、図5(b)に示すようにゆっくりと移送し、発酵槽内に留まる時間を十分に長く取る必要がある。
以下に、発酵乾燥処理装置1の付帯的な機器に関して順次説明する。まず、図1の発酵乾燥処理装置側面図に示すように、切り出し機13を先端部を排出部5の左側の壁を通して斜めに設置している。図6に切り出し機構の概念図を示す。切り出し機構13は処理を終わった発酵残留物を排出部5を経由して発酵乾燥処理槽から取り出すものである。処理を終わった残留物は排出部5の底から既知のスクリューコンベア131で上方へ運ばれて、スクリューコンベア131に連結して設置されたホッパー132に落とされる。
ホッパー132が処理残留物で一杯になるとホッパー132の下部に有り常時は気密を保つために閉めてある切り出しゲート133を適宜開けて、外部に処理残留物を取り出す。図6(b)はスクリューコンベア131の正面方向の斜視図である。ここに示すように、スクリューコンベア131は2軸スクリュータイプであり、粉粒体あるいは含水率が低いパサパサの物質や超高粘度である発酵処理残余物の搬送に適している。
切り出し機13を適宜手動で運転してもよいが、図示しないレベル検出装置を排出部5の中間付近の高さに設置して、処理残留物が排出部5に溜まったことを検知して、自動的に運転することもできる。
次に、熱風発生装置について説明する。発酵乾燥処理槽の内部は発酵微生物が効率よく働く温度に保つ必要が有る。この目的のために送風機と熱風発生装置を備え、外気を加熱して発酵乾燥処理槽に送って内部の温度を制御することができる。図1に示す熱風発生装置15は発酵乾燥処理槽の内部の温度を常温から発酵菌の活動に適当な温度に上昇し、維持するため、発酵乾燥処理槽に送り込む熱風を発生するものである。
熱風発生装置15は熱源として図示しない電気加熱ヒータまたは燃料バーナーを備えている。空気入口151から取りいれた空気を加熱して熱風出口152に供給した熱風を発酵乾燥処理槽の排出部へ送り出す。発酵乾燥処理槽である回転ドラム2の内部に設置した図示しない温度検出装置によって温度を計測し、熱風発生装置の加熱量もしくは吸引ブロアー18の流量を既知の方法で制御することによって発酵乾燥処理槽内の温度を制御できる。
新鮮な空気が送り込まれる発酵乾燥処理槽の内部では投入部4に近い位置では空気により好気発酵が盛んとなり、排出部5では発酵が終了した処理残留物が乾いた空気によって乾燥される。
発酵処理にあたり、木材チップからなる湿度調整剤兼発酵菌担持材をあらかじめ投入しておく。この木材チップには同時に発酵菌担持材としても働くように、あらかじめ発酵菌が混入されている。木材チップは発酵菌によっても発酵、消滅しにくいので、長期間にわたって補充せずに使用できる。
次に、発酵処理に伴って臭気が発生するので、脱臭装置によって臭気を外部に出さないようにしていることを説明する。図1に示す投入部4の下部にある受け板12の裏側で塵埃を吸い込みにくい位置に排ガス出口191を設置し、排ガス配管19に接続してある。排ガスは可変流量の吸引ブロアー18によって脱臭装置に導かれる。
図7に光触媒方式脱臭装置の概念図を示した。図中の矢印は、排ガスの流通経路を示している。光触媒方式脱臭装置17において、排ガス入口173に続く往復構造の排ガス通路の表面に酸化チタンなどを塗布した光触媒層171を配置してある。排ガス流通経路には紫外線灯172を配置してある。排ガスは排ガス流通経路を通過するとき光触媒層171と接触する。図7では、図の煩雑を避けて光触媒層171、紫外線灯172それぞれ1つづつだけに符号を付けてある。
光触媒である酸化チタンは短波長の光を受けると、触媒として水と反応して活性酸素種を生成する性質がある。活性酸素種は非常に強い酸化力をもち、有機物や細菌などに対して分解作用を示すことが知られている。有機性廃棄物の発酵処理で発生する臭いの成分である各種化合物を分解することができる。有機性廃棄物の発酵処理で発生する排ガスには多量の水蒸気が含まれており、酸化チタンによる分解反応を起こすのには都合が良い。
また、脱臭装置として別の方式を使うことができる。図8は、熱触媒方式脱臭装置の概念図である。図中の矢印は、排ガスの流通経路を示している。熱触媒方式脱臭装置16は、熱交換器163、空気加熱器162、熱触媒ハニカム161で構成されている。
排ガス入口164から入った排ガスは、内部に脱臭後の高温の排ガスが通るジャケット型の熱交換器163によって予備加熱され、さらに空気加熱器162によって反応に適当な温度まで加熱され、熱触媒ハニカム261を通ることで、臭気の元になっている有機成分が分解される。熱触媒は適正な温度で活性が上がるので、発酵処理により60℃程度まで温度が上昇した排ガスを発酵乾燥処理槽から直接に送れるので空気加熱器162による加熱が少なくてすむという利点が有る。
図9は気密シール21を示した図である。発酵乾燥処理槽に空気を吹き込んで正圧とした場合、排ガスの漏れを防ぐために回転ドラム2と投入部4ならびに排出部5の間にある隙間を気密シール構造としなければならない。
図9(a)に排出部5の場合を示す。投入部4の場合も同じである。正圧であるとここに示したような精密な気密シール21にしなければならず、回転ドラム2の直径が大きいので気密シール21の価格が高くなり、また保守が面倒である。図1に示したように吸引ブロアーを使用して発酵乾燥処理槽から排ガスを引き出し発酵乾燥処理槽内を負圧とすれば、図9(b)に示すような簡易シールで済ますことができ、部品コストと保守作業の低減が図れる。
以上に説明した熱風発生装置、脱臭装置は発酵乾燥処理槽に付設する構造とすることもできるし、あるいは独立した構造として、それぞれ別々に密閉した空気配管によって接続することもできる。
以上の実施例に述べた如く、本発明によれば、掻き上げ翼を備えた回転ドラムからなる発酵乾燥処理槽において、発酵処理ならびに乾燥処理に適した移送速度すなわち処理時間を実現し、効率的な発酵乾燥処理装置を提供でき、堆肥として使える発酵残材を提供できる。
1 発酵乾燥処理装置
2 回転ドラム
21 気密シール
22 シール押さえ
23 シール押さえ
24 簡易シール
4 投入部
5 排出部
6 掻き上げ翼
6f、6r 掻き上げ翼
8 ローラー
9 支持部材
10 ベース
11 投入口
12 受け板
13 切り出し機構
131 スクリューコンベア
132 ホッパー
133 切り出しゲート
15 熱風発生装置
151 空気入口
152 熱風出口
16 熱触媒方式脱臭装置
161 熱触媒ハニカム
162 空気加熱器
163 熱交換器
164 排ガス入口
165 排ガス出口
17 光触媒方式脱臭装置
171 光触媒層
172 紫外線灯
173 排ガス入口
174 排ガス出口
18 吸引ブロアー
19 排ガス配管
191 排ガス出口
20 回転駆動機構
201 モーター
202 減速機
203 チェーン
50 処理対象

Claims (5)

  1. 有機廃棄物を処理対象とし、これを発酵させ、かつ乾燥させる装置であって、横長円筒形回転ドラム型の発酵乾燥処理槽を備え、
    該発酵乾燥処理槽の一部である回転ドラムを回転しつつ、かつ該発酵乾燥処理槽内に空気を送りつつ、投入部から排出部に処理対象を移送する間に発酵乾燥処理を行い、
    該回転ドラムの内側面に配置した多数の掻き上げ翼を備え、該回転ドラムが正回転するとき、該処理対象を掻き上げるとともに排出部の方向に移送し、逆回転するとき、該処理対象を掻き上げるとともに投入部の方向に移送し、
    該処理対象を処理する時間内において、排出部の方向に移送する距離の積算が投入部の方向に移送する距離の積算より大きく、
    また、該発酵乾燥処理槽に送られた空気および発酵により発生した排ガスが排出される通路に、熱触媒または光触媒を装備した脱臭装置を配置したことを特徴とする有機廃棄物処理装置。
  2. 請求項1に記載した有機廃棄物処理装置において、
    該掻き上げ翼は45度プラスマイナス45度の迎え角をなしていることを特徴とする有機廃棄物処理装置。
  3. 請求項1に記載した有機廃棄物処理装置において、
    該発酵乾燥処理槽内から空気を吸引する可変流量の吸引ブロアーと、該空気を加熱する熱風発生装置と、該空気を通す配管と、該発酵乾燥処理槽内の温度または/ならびに圧力を検知する計測器とを備え
    該発酵乾燥処理槽内の温度または/ならびに圧力を制御できることを特徴とする有機廃棄物処理装置。
  4. 請求項1に記載した有機廃棄物処理装置において、
    該発酵乾燥処理槽内に湿度調整剤兼発酵菌担持材を投入し、
    発酵処理を行うことを特徴とする有機廃棄物処理装置。
  5. 請求項1に記載した有機廃棄物処理装置において、
    該発酵乾燥処理槽内の圧力を大気圧より若干低く維持し、
    排ガスが大気中に漏れ出さないようにすることを特徴とする有機廃棄物処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111686577A (zh) * 2020-05-31 2020-09-22 华南理工大学 一种光-热催化空气净化装置

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CN111686577A (zh) * 2020-05-31 2020-09-22 华南理工大学 一种光-热催化空气净化装置

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