JP2018171431A - 中空糸膜型血液浄化器 - Google Patents

中空糸膜型血液浄化器

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Abstract

【課題】血液流入部における血液凝固を有効に抑制する中空糸膜型血液浄化器を提供する。【解決手段】中空糸膜の束、中空糸膜束が収容された容器、及び、中空糸膜束の両端部において中空糸膜束を包埋固定し、その端面において中空糸膜が開口しているポッティング部、を含む中空糸膜型血液浄化器であって、ポッティング部の端面の少なくとも一部が脂溶性抗酸化剤で被覆されている、中空糸膜型血液浄化器。【選択図】図2

Description

本発明は、中空糸膜型血液浄化器に関する。
これまでに、血液透析、血液濾過、血液濾過透析などの膜分離技術を利用した血液浄化法が考案されてきた。これらの血液浄化療法は、慢性腎不全患者のみならず、急性腎不全患者に対しても適応が広まり、近年では、救命救急やICU等でも広く施行されるに至っている。
急性腎不全患者は、多臓器不全を併発していたり、循環動態が不安定であったりと、慢性腎不全患者と比較して重篤な病態であるケースが少なくない。そのため、膜分離による血液浄化治療を急性腎不全患者に対して施行する場合、通常の血液透析や血液濾過の治療条件よりも循環流量を低くし長時間かけて緩やかに体液補正を行う持続的腎機能代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)と呼ばれる治療モードが主に採用されている。CRRTは、除水、老廃物除去、電解質バランスの補正といった腎機能の代替だけでなく、敗血症や多臓器不全等における病態関連物質の除去にも適応され、いずれの場合も血液流量50〜150mL/min、濾過速度5〜50mL/minといった条件で8〜24時間、あるいはそれ以上施行される。
血液浄化療法を施行するための中空糸膜型血液浄化器は、一般に、筒状容器と、当該筒状容器の長手方向に沿って充填され、両端部が前記筒状容器の両端に固定されている中空糸膜束とを有している。また、前記中空糸膜束を前記筒状容器の両端で包埋固定しているポッティング樹脂部を有している。また、前記中空糸膜の両端面に対向し、前記筒状容器の両端部設けられており、それぞれ流体の出入口となるノズルを具備するヘッダーと、前記筒状容器の側面部に設けられており、流体の出入口となるポート(透析液ポート)を有している。
CRRTにおける長時間・低流量施行条件では、施行中に血液流路内で血液凝固が発生し、血液浄化器が目詰まりを起こすことがある。その場合、体外循環の途中で治療を中止せざるを得ない、あるいは施行途中で血液浄化器を交換しなければならず、血液浄化器の交換に伴い、回路内に残留した血液を損失してしまうことが問題となる。
血液凝固は、血小板等の血球成分の堆積や凝固反応の活性化などによって引き起こされる。凝固機構は、血小板の粘着で始まり、粘着血小板同士が凝集塊を形成し、血小板プラグ(一次止血栓)が形成される。並行して血液凝固反応が進行し、血小板血栓内に組み込まれたフィブリノゲンがトロンビンによってフィブリンに変換され、フィブリン網形成が進んで強固な血栓(二次止血栓)が完成する。したがって、血液成分と接触する材料表面において、フィブリノゲンの付着量や血球の付着量が多いことは、血栓が形成されやすいことを意味する。CRRTのように低流量で血液循環する場合、血流の滞留が起こりやすいので注意が必要である。
CRRTの治療モードには、CHD(Continuous HemoDialysis;持続的血液透析)、CHF(Continuous HemoFiltration;持続的血液濾過)、CHDとCHFを同時に行うCHDF(Continuous HemoDiaFiltration;持続的血液濾過透析)が存在する。
CHDは、拡散の原理を用いる治療法であり、尿素や電解質などの小分子物質の除去に優れる。フィルタの血液流路域に血液が流れ込むとともに、血液の流路方向とは反対方向から透析液(血液濾過用の補液が使用されることもある)が流れ込み、透析が施行される。
一方で、CHFは、限外濾過を利用して物質の除去を行う方法である。透析と異なり、サイトカイン、ミオグロビンなどの分子量が比較的大きな物質まで一様に除去することが可能である。CHFでは積極的に限外濾過を行うため、フィルタで濾過を行い、不足分の細胞外液を補液として補う。注入部位により、フィルタの前で補液を注入する「前希釈」と、フィルタの後で補液を注入する「後希釈」とが存在する。同じ置換液量であれば、小分子〜大分子物質の除去は前希釈法よりも後希釈法の方が優れている。しかし、後希釈法は、血液濃縮を伴うことから限外濾過量は血流量による制限を受ける(通常血流量の15〜20%が上限)が、前希釈法では限外濾過量は血流量による制限を受けないため、大量置換が可能である。なお、CHFのみで腎機能代替療法としての十分な効率を得ることは困難であるため、CHDを加えたCHDFを行うことにより、小分子除去性能が確保できる。
中空糸膜型血液浄化器では、ヘッダー内部空間および中空糸膜への流入部において血液の滞留が生じ、血液凝固の原因の1つとなることが知られている。ヘッダーノズル内からヘッダー内部空間へ急激に流路が拡大するため、ヘッダー内部空間にデッドスペースがあるとそこに血液が長く留まり凝固に繋がる。また、ヘッダー内のような大きな空間から中空糸膜の細い管路へ流入する領域でも渦のような流れが形成され滞留領域となりやすい。そのため、一般に、CRRTに使用される中空糸膜型血液浄化器は、血液流入部において血液成分の活性化が起こらない設計であることが望ましい。
一般に、血液浄化器は、使用前にモジュール内に血液を循環する前に血液流路域に生理食塩水などを用いてプライミングを行い、内部の空気を液体に置換する操作を要する。前述したように、CRRTの対象となる患者は重篤な病態である場合が多く、施行にあたっては緊急性が要求されるため、その準備および取扱いが容易であることが望まれる。そのため、CRRTに使用される血液浄化器は、その内部に液体が充填された状態で提供されるものが多い。しかし、内部に若干の気泡が混入している場合や、回路との接続時に気泡を混入させてしまう場合があり、血液循環回路を作成後、これらの気泡を除去する必要がある。プライミング作業は、血液入口側を下に、血液出口側を上になるように血液浄化器をセットし、下方(血液入口側)からプライミング液を流入させて上方(血液出口側)より排出することにより行われる。この時、血液入口側では、流入するプライミング液がポッティング樹脂切断面に当接するため、付着した気泡は自然に除去される傾向にあるが、血液出口側では、中空糸の開口端部よりプライミング液が流出するのみであるため、ポッティング樹脂切断面に付着した気泡は除去されにくく、血液出口側のヘッダーを叩く、フラッシングを行う、といった作業が必要であった。
一方で、後希釈のCHDFやCHFでは、先にフィルタで血液を濾過した後に補液により希釈をしている。そのため、フィルタ内で血液濃縮が起こることにより血球成分が活性化しやすくなり、血液流出部において凝固を引き起こしやすかった。
血液と部材の接触による血栓の発生を防止する方法として、例えば、ポッティング樹脂切断端面に高分子材料を被覆する方法が開示されている(特許文献1)。特許文献1では、中空糸の樹脂包埋部の切断面および中空糸固定樹脂切断面の血液接触面に親水性高分子を塗布した後、該塗布面に照射処理をすることにより、該親水性高分子を共有結合で固定化する方法が開示されているが、被覆工程が煩雑であり、工業的に現実的でない。
特開2002−143299号公報
以上、従来技術に開示された血液浄化器は、低流量条件で長時間体外血液循環を施行するCRRT療法において血液凝固の問題を有効に解決するのには十分ではなかった。
そこで、本発明は、血液流入部における血液凝固を有効に抑制する中空糸膜型血液浄化器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討したところ、中空糸膜束を容器に充填した中空糸膜型血液浄化器において、中空糸膜束をまとめるポッティング樹脂からなるポッティング部の端部の表面(端面)を脂溶性抗酸化剤で被覆することで、血液凝固の原因となる血小板の活性化やフィブリノゲンの吸着を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
また、このような効果は脂溶性抗酸化剤がポッティング部端面において均一に存在しているほど高まることを見出し、本発明のより好ましい態様に到達した。
なお、ポッティング部端面を脂溶性抗酸化剤で被覆するとその疎水性が高くなり、端面へ気泡が付着しやすくなるため、ヘッダー内部空間内のエア抜け性が低下する恐れがある。ポッティング樹脂切断面に気泡が残存すると血液成分を活性化してしまい、血液凝固の原因になりかねない。この点についても研究を重ね、両端部のポッティング部の各端面の脂溶性抗酸化剤の存在量に差をつけ(どちらか一方を少なくし)、存在量の多い方を血液凝固がより問題となる側に配置するように浄化器を構成すると、血液凝固抑制効果の向上とヘッダー内部空間内のエア抜け性の改善を両立できることを見出し、本発明のより好ましい態様に到達した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
中空糸膜の束、
前記中空糸膜束が収容された容器、及び、
前記中空糸膜束の両端部において該中空糸膜束を包埋固定し、その端面において中空糸膜が開口しているポッティング部、
を含む中空糸膜型血液浄化器であって、
前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面は、少なくとも一部が脂溶性抗酸化剤で被覆されており、
前記各端面における脂溶性抗酸化剤の存在量が、100mg/m2以上800mg/m2以下であり、
前記各端面において、
中心部及び外周部の脂溶性抗酸化剤のTOF−SIMS規格化ピーク強度を、各々、A、Bとした時に、AとBの比(A/B)が0.66以上1.5以下である、
中空糸膜型血液浄化器。
[2]
前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面における脂溶性抗酸化剤の存在量が異なっており、
脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面の脂溶性抗酸化剤量をn1、脂溶性抗酸化剤の存在量が少ない方のポッティング部の端面の脂溶性抗酸化剤量をn2とした時に、n1とn2の比(n1/n2)が1.3以上3.0以下である、
[1]に記載の中空糸膜型血液浄化器。
[3]
前記脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面が、血液入口側に位置している、[1]又は[2]に記載の中空糸膜型血液浄化器。
[4]
前記脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面が、血液出口側に位置している、[1]又は[2]に記載の中空糸膜型血液浄化器。
[5]
前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面の少なくとも一方の脂溶性抗酸化剤量が、100mg/m2以上300mg/m2以である、[1]〜[4]のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
[6]
前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面の少なくとも一方の脂溶性抗酸化剤量が、301mg/m2以上800mg/m2以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
[7]
血液入口側に位置するポッティング部の端面において、AとBの比(A/B)が0.76以上1.3以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
[8]
血液出口側に位置するポッティング部の端面において、AとBの比(A/B)が0.76以上1.3以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
[9]
前記脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである、[1]〜[8]のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
[10]
[1]〜[8]のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器を含む持続緩徐式血液濾過器(CRRTフィルター)。
本発明によれば、中空糸膜型血液浄化器において、ヘッダー内部空間内や血液流入部で滞留する血液成分の活性化を抑制し、血液成分の凝固反応を長時間低減することができる。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、プライミングなどの際の良好なエア抜け性も維持しつつ、有効な血液成分の活性化抑制効果を両立できる。
ポッティング部端面の中心部及び外周部の説明図である。 ポッティング部端面を脂溶性抗酸化剤で被覆する際に用いる治具の説明図である。 ポッティング部端面の直径から求められる面積に関する説明図である。 中空糸膜内空部の面積に関する説明図である。 実施例において、ポッティング部端面における血球付着数を測定する際の観察部位についての説明図である。 実施例において、血液循環後(CHDモード)におけるポッティング部端面における血球付着数を測定する際に使用した試験回路の説明図である。 実施例において、血液循環後(CHFモード)におけるポッティング部端面における血球付着数を測定する際に使用した試験回路の説明図である。 実施例において、血液循環後におけるポッティング部端面における血球付着数を測定する際の観察部位についての説明図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について以下詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<血液浄化器>
本実施形態の血液浄化器は、中空糸膜の束が組み込まれているものであって、血液透析、血液ろ過、血液ろ過透析、血液成分分画、酸素付与、及び血漿分離等の体外循環式の血液浄化療法に用いることができる。本実施形態の血液浄化器は、特に、血液透析、血液ろ過、血液ろ過透析等において好ましく用いられ、これらの持続的用途である、持続式血液透析器、持続式血液ろ過器、持続式血液ろ過透析器として用いることがより好適である。各用途に応じて、中空糸膜の寸法や分画性等の詳細仕様が決定される。
<中空糸膜>
本実施形態の中空糸膜の形状、寸法、分画特性は、特に限定されるものではなく、使用目的に照らして適切に選択することができる。例えば、内径は100μm以上300μm以下であってよく、膜厚は10μm以上100μm以下であってよく、長さは8cm以上40cm以下であってよい。
中空糸膜の素材は特に限定されるものではないが、後述するポリスルホン系樹脂を含むポリスルホン(以下、「PSf」と記載する場合がある。)、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン系ポリマーに、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子等の親水化剤を含ませた多孔質中空糸膜は、用途に応じた分画性の制御に適し、また、血液適合性の最適化も行いやすいため、血液浄化用の中空糸膜として広く用いられている。さらに、このようなポリスルホン系ポリマー膜は、再生セルロース系のものに比べると一過性白血球減少症の発現の程度が弱く、また脂溶性抗酸化剤との親和性が良好であり、かつポリマー組成の均一性や原料としての安定供給性に優れるため好ましい。
また、中空糸膜は、グリセリンやポリエチレングリコール等の第二の親水化剤や、その他添加剤、表面改質剤等をさらに含んでいてもよい。
さらに、中空糸膜自体に抗酸化性能を付与するため、中空糸膜は脂溶性抗酸化剤をさらに含んでいてもよい。
<ポリスルホン系樹脂>
ポリスルホン系樹脂とは、式(1)に示される繰り返し単位を持つポリマーであるビスフェノール型ポリスルホン、及び、式(2)に示される繰り返し単位を持つポリマーであるポリエーテルスルホンの総称であり、中空糸膜の素材として広く用いられている。
(−Φ−SO2−Φ−O−C(CH32−Φ−O−)n (1)
(−Φ−SO2−Φ−O−)n (2)
ここで、Φはベンゼン環を、nはポリマーの繰り返しを表す。
<親水性高分子>
親水性高分子とは、水に溶解するか、あるいは、水に親和性を示す合成高分子または天然高分子である。
本実施形態においては、前述の親水化剤として親水性高分子を用いることができ、このような親水性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン(以下、「PVP」と記載する場合がある)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。紡糸の安定性や、ポリスルホン系樹脂との親和性の観点からは、PVPが好ましく用いられる。親水性高分子として、これらを単独で、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
PVPは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、親水化剤や孔形成剤として中空糸膜の素材として広く用いられている。
<脂溶性抗酸化剤>
脂溶性抗酸化剤とは、還元性を有し、アルコール及び油脂に溶けるものをいい、一般に水に溶けにくい。
脂溶性ビタミンやポリフェノール等の脂溶性抗酸化剤が好ましく、生体に対する安全性・適用実績が豊かな点から脂溶性ビタミン類であることが好ましい。
脂溶性ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等が挙げられるが、これらの中では、過剰摂取をしても障害を誘発しないという観点から、ビタミンEが好ましい。脂溶性ビタミンとしては、1種で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
ビタミンEとしては、α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、α−ニコチン酸トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物等が挙げられる。中でも、α−トコフェロールは生体内抗酸化作用、生体膜安定化作用、血小板凝集抑制作用等の種々の生理作用に優れており、血小板凝集を抑制する効果が高いため好ましい。
ポリフェノールとしては、例えば、カテキン、アントシアニン、タンニン、ルチン、イソフラボンなどのフラボノイド、クロロゲン酸などのフェノール酸、エラグ酸、リグナン、クルクミン、及びクマリン等が挙げられる。
<ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤の存在量>
本実施形態においては、中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面が、その少なくとも一部が脂溶性抗酸化剤で被覆されている。脂溶性抗酸化剤による被覆は、両方のポッティングの端面に施されている。
脂溶性抗酸化剤は血小板凝集抑制効果を有するため、ポッティング部端面に脂溶性抗酸化剤が存在することによって、端面において、凝固機構の始まりである血小板の粘着、粘着血小板同士の凝集を防ぎ、血栓の形成を抑制して血液凝固を低減することができる。
ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤量が100mg/m2以下だと十分な血小板凝集抑制効果を発揮し得ないことがあり、逆に、脂溶性抗酸化剤量が800mg/m2以上だと、ポッティング樹脂切断表面の過度の疎水化を招いてしまい、生体適合性が低下するおそれがある。したがって、脂溶性抗酸化剤の存在量は、両端面ともに、ポッティング部端面1m2あたり100mg以上800mg以下とする。
<両ポッティング部端面の脂溶性抗酸化剤の存在量の比(n1/n2)>
本実施形態の中空糸膜型血液浄化器においては、両方のポッティング部端面について、その少なくとも一部を脂溶性抗酸化剤で被覆するとともに、その脂溶性抗酸化剤量に差をつけ、脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面の脂溶性抗酸化剤量をn1、脂溶性抗酸化剤の存在量が少ない方のポッティング部の端面の脂溶性抗酸化剤量をn2とした時のn1とn2の比(n1/n2)を1.3以上3.0以下とすることが好ましい。
1/n2が1.3以上であるとヘッダー内部空間のエア抜け性の向上と血液凝固抑制効果の向上を両立できるが、3.0より大きくすると簡便に製造することが難しくなる。
ここで、脂溶性抗酸化剤量n1、n2は、ポッティング部端面に存在する脂溶性抗酸化剤の質量をポッティング部端面の面積で除した値をいい、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
1/n2を1.3以上とする方法に限定はない。例えば、ポッティング部端面に脂溶性抗酸化剤を被覆する方法として後述のコート法を採用する場合には、コート液の通液を下方から上方に重力に逆らって行うとともに、通液の開始を、脂溶性抗酸化剤量を少なくしたい方の面の側から行えばよい。
脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部が血液入口側に位置すると、血液の滞留が起きやすい血液流入部において有効に血小板凝集抑制効果やフィブリノゲンなどのタンパク吸着抑制効果を作用させることができる。このような構成は、例えば、持続的血液透析療法、血液上流側に補液を供給する持続的血液濾過又は透析濾過療法、及び、血液上流側および血液下流側に補液を供給する持続的血液透析濾過療法等の血液凝固が主に血液入口部で起こりやすい療法において特に有利である。一方、血液流出部においてはプライミング時におけるエア抜け性を改善することができる。
これに対して、例えば、血液下流側に補液を供給する持続的血液濾過又は透析濾過療法においては、血液流入部における血液の滞留だけでなく、血液流出部における血液濃縮も血液凝固の原因となる。一般に、血液が濃縮されると、血液中の血球成分濃度が高くなり血液成分が活性化して凝固を引き起こしやすい。
したがって、このような血液流出部において血液濃縮が起こりやすく、血液出口側での血液凝固がより問題となる療法の場合においては、脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部が血液出口側に位置していると、血液成分の活性化が起きやすい血液流出部に対して、有効に血小板凝集抑制効果やタンパク吸着抑制効果を作用させることができる。一方、このような療法においては、血液流入部においては、血液濃縮を起こさないのであえて脂溶性抗酸化剤の存在量を多くする必要はない。
本実施形態における中空糸膜型血液浄化器は、一方のポッティング部端面において、脂溶性抗酸化剤量が100mg/m2以上300mg/m2以下であることが望ましい。脂溶性抗酸化剤量が100mg/m2以上であることで十分な血小板凝集抑制効果やタンパク吸着抑制効果を発揮し、脂溶性抗酸化剤量が300mg/m2以下であることにより、血液出口側に配置した場合には、ポッティング部端面を疎水化しすぎずに、エア抜け性を維持することができる。
これと反対側のポッティング部端面においては、脂溶性抗酸化剤量が301mg/m2以上800mg/m2以下であることが望ましい。脂溶性抗酸化剤量が301mg/m2以上であることで、より優れた血小板凝集抑制効果やタンパク吸着抑制効果を発揮し、800mg/m2以下であることにより、ポッティング部端面の過度な疎水化を抑制して、生体適合性を維持することができる。
<ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤の存在分布>
本実施形態において、ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤量が前述の範囲を満たしていたとしても、端面上で脂溶性抗酸化剤の被覆分布にバラつきがあると、前述の通り、脂溶性抗酸化剤量が少ない部分では、十分な血小板凝集抑制効果が発揮されず、脂溶性抗酸化剤量が多い部分では生体適合性が低下して血液成分を活性化させてしまうため、本発明の効果を得ることができない。
そのため、少なくとも一方のポッティング部端面、好ましくは両方のポッティング部端面において、脂溶性抗酸化剤が均一に存在していることが好ましい。具体的には、ポッティング樹脂切断面の脂溶性抗酸化剤濃度を示す指標であるTOF−SIMS規格化ピーク強度において、該端面の中心部及び外周部の脂溶性抗酸化剤のピーク強度を、各々、A、Bとした場合に、AとBの比(A/B)が0.66以上1.5以下であることが好ましく、特に、血液入口側に位置するポッティング部の端面においては、0.76以上1.3未満であるとよりに好ましく、0.91以上1.1未満であるとさらに好ましい。
なお、上記中心部及び外周部については、ポッティング部端面の半径をrとした時、ポッティング部端面の中心点から半径r/8で描かれる円の範囲(円の内部の領域)を中心部、ポッティング端面の円周の接線に接する半径r/8で描かれる円の範囲(円の内部の領域)を外周部と定義した(図1)。
<中空糸膜の製造方法>
本実施形態において中空糸膜を製造する方法に限定はなく、製膜紡糸原液を用いて、従来公知の製膜方法により製造することができる。
製膜原液は、例えば、ポリスルホン系ポリマーとPVPを共通溶媒に溶解することによって調製することができる。共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。
製膜紡糸原液を用いて、通常用いられている方法により中空糸膜に製膜することができる。例えば、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金のオリフィスから製膜紡糸原液を、チューブから該製膜紡糸原液を凝固させる為の中空内液と同時に空中に吐出させる。中空内液は水、又は水を主体とした液体が使用でき、一般的には製膜紡糸原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば、20wt%以上60wt%以下のジメチルアセトアミド水溶液等が用いられる。
製膜紡糸原液吐出量と中空内液吐出量を調整することにより中空糸膜の内径と膜厚を所望の値に調整することができる。
紡糸口金から中空内液とともに吐出された製膜紡糸原液は、必要に応じてエアーギャップ部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入され、そして、一定時間浸漬されて凝固が完了する。
エアーギャップとは、紡糸口金と凝固浴との間の空間を意味し、エアーギャップ走行中に製膜紡糸原液は、紡糸口金から同時に吐出された中空内液中の水等の貧溶媒成分によって、内表面側から凝固が開始する。
凝固浴での浸漬を終えた中空糸膜は、次いで熱水などによる洗浄によって中空糸膜に残留している溶媒を除去した後、連続的に乾燥機内に導き、熱風などにより乾燥した中空糸膜を得ることができる。
<中空糸膜束モジュールの製造方法>
以上のようにして得られた中空糸膜を用いて、中空糸膜束モジュールを製造することができる。
例えば、側面の両端部付近に2本のノズルを有する筒状容器に中空糸膜を充填し、その両端部をポッティング樹脂で包埋する。ポッティング樹脂の材質としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などが挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。次に、例えば、硬化したポッティング樹脂の端部を切断(スライス)することにより、中空糸膜が開口した端面(切断面)を形成することができる。この際、端面が平滑となるように切断することが好ましい。
この中空糸膜束モジュールの両端部に血液や透析液などの液体導入/導出用のノズルを有するヘッダーキャップを装着すると、中空糸膜型血液浄化器が完成する。
<ポッティング部端面を脂溶性抗酸化剤で被覆する方法>
本実施形態においては、中空糸膜の束のポッティング部の各端面の少なくとも一部を脂溶性抗酸化剤で被覆する。
ポッティング部端面の少なくとも一部を脂溶性抗酸化剤で被覆する方法に限定はなく、例えば、脂溶性抗酸化剤を含有するコート液を、ポッティング部端面から中空糸膜の体液流路内に流入することにより、脂溶性抗酸化剤をポッティング部端面に付着させる方法(以下、「コート方法」という。)を用いることができる。このコート法によれば、ポッティング部端面だけでなく、中空糸膜内表面にも脂溶性抗酸化剤を被覆できる点からも好ましい。もっとも、これに限定するものではなく、ポッティング部端面だけにコート液を塗布する等の方法によってもよい。
次に、コート法を採用した場合に、ポッティング部端面において、脂溶性抗酸化剤を均一に被覆する、具体的には、A/Bを0.66以上1.5以下とするために好ましい2つの条件について説明する。
初めに、中空糸膜束モジュール(容器に中空糸膜束が充填され、その両端部をポッティング樹脂で包埋し、中空糸膜が開口するように端面が形成された前記中空糸膜型血液浄化器の胴体部)の両端にコート液を通液するための治具(コート液の流路ホースとポッティング部を接続する治具)を装着し、縦向きに(水平面に対して垂直に)セットする。この際、脂溶性抗酸化剤をより多く被覆したい方(例えば、血液入口側)の端面が上になるようにセットする。
ここで、脂溶性抗酸化剤を均一に被覆するための条件の一つは、コート液の通液方向に関する。
本発明者らの研究によれば、コート液の通液を重力方向の反対方向から行うと、ポッティング部端面に対してムラなく脂溶性抗酸化剤を被覆することが可能となることが判明した。
その理由は明らかではないが、通液を重力方向に行う場合には、後述する治具3のノズル部から端面に向かってコート液が流れる際、コート液は重力によって中心部に落下しやすいため、中心部で被覆量が多くなるという現象が生じるが、通液を重力方向に逆らって行うと、重力の影響を受けないため端面において場所によるコート液の線速の違いが生じることはなく、前述のような現象は生じないためと考えられる。また、通液初期にコート液によって押し出された流路内のエアーの一部は気泡となって、通液を重力方向に行うと、端面に付着し、コート液との接触を妨げるが、通液を重力方向に逆らって行うと、気泡は浮力により上方に上がっていくためコート液との接触の妨げにはならないということも影響していると考えられる。ただし、機序はこれらによらない。
もう一つの条件は、脂溶性抗酸化剤を含むコート液を通液する際に用いる流路ホースとポッティング部とを接続する治具(図2参照)の大きさ及び形状に関する。
具体的には、治具3のノズル部(治具ノズル)1の内径をD1(mm)、ポッティング部2の端面の直径をD2(mm)とした場合に、D1およびD2の比(D1/D2)が0.17〜0.3であり、かつ治具3のテーパーの角度θを30〜70°とすると、均一に被覆できる(ポッティング部端面の中心部と外周部における脂溶性抗酸化剤の存在量A,Bの差を小さくすることができる)ことが分かった。
その理由は明らかではないが、ポッティング部端面の直径に対する治具ノズルの内径を広くし、かつ治具ヘッダー部(治具のうち、治具ノズル以外の部分)の容量を大きくすることで、治具ノズル部の圧力損失に対して治具ヘッダー部の圧力損失が下がり、ポッティング部端面におけるコート液の分配性を向上させることができるためと推測される。ただし機序はこれによらない。
脂溶性抗酸化剤を含むコート溶液は、例えば、50〜80wt%のプロパノール等のアルコール水溶液などの適切な溶媒に脂溶性抗酸化剤を0.25〜2wt%溶解することにより調製することができる。
該コート液を、ポッティング部に装着した治具を通じて、中空糸膜の膜面積に応じて例えば流速825〜1875mL/minで中空糸膜に通液しその後、必要に応じて所定時間、例えば30秒〜60分間、液をなじませ、ついでエアーブローにより過剰なコート液を吹き飛ばし、乾燥により溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部に加え、ポッティング部端面にも脂溶性抗酸化剤を固定化することができる。
脂溶性抗酸化剤の被覆後(治具を使用した場合にはこれを取り外し)、中空糸膜束モジュールの両端部に血液や透析液などの液体導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填して血液浄化器の形状に組み上げることで、中空糸膜型血液浄化器が完成する。
この際、ヘッダー空間内に隙間があると、隙間に血液成分が滞留して血液凝固の原因になるため、ポッティング部の外周部は、ヘッダーの内面に当接していることが望ましい。一般的に、中空糸膜型血液浄化器のポッティング樹脂として使用されるポリウレタンは弾性があり、ヘッダー内面と密着するため、ヘッダー空間内に隙間が生じることを防ぐことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。本実施例に用いた評価方法および測定方法は以下の通りである。
<ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤(ビタミンE)の存在量の測定>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純水で低流速で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解して遮光下で一晩風乾し、両ポッティング部(血液入口側及び出口側)を端面から厚さ1mmに薄くスライスした。スライスした端面をおおよそ4−8等分割し、これらを8分目程度からちょうどで収容できる容積を有し、系内を密閉できる容器に入れた。続いて、サンプルがひたひたに浸る量(この場合10mL)の99.5%EtOH(和光純薬社製)を静かに注ぎ、容器に蓋をして密閉した。室温で12時間、振とう振動を加えながら、ビタミンEの抽出を行った。
定量は、液体クロマトグラフ法により行い、ビタミンE標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液のビタミンE量を求めた。高速液体クロマトグラフ装置(JASCO社製UV−2075plus intelligent UV/VIS Detecter、PU−2080plusintelligent HPLC pump、CO−2065plus intelligent column oven、AS−2057plus intelligent sampler、データ処理:ChromNAV version 1.19.03)に、カラム(Shodex Asahipak ODP−50 6E packed column for HPLC)を取り付け、カラム温度40℃において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積からビタミンE濃度を求めた。この濃度と端面の面積から、抽出効率を100%として、ポッティング部端面に存在する脂溶性抗酸化剤量(mg/m2)を求めた。
ここで、ポッティング部の端面の面積とは、図3、4に示すように、ポッティング部端面の直径から求められる面積から中空糸膜内空部の面積を除いた部分のことである。すなわち、容器4内側に近接するポッティング樹脂3からなるポッティング部2の直径D2、および中空糸膜内径D3、中空糸膜本数nより、以下の式1から求められる。
式1:(ポッティング部端面の面積)=(D2/2)2×π−(D3/2)2×π×n
<ポッティング部端面における脂溶性抗酸化剤の規格化ピーク強度>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純粋で低流速で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解してポッティング部を切り出し、遮光下で一晩風乾した。乾燥したポッティング部端面の中心部および外周部各々から、端面を薄く削ぎ取り、厚さ約0.5mm、直径約5mmのサンプルを作成した。得られたサンプルのビタミン被覆側表面のうち、中空糸が密集していないウレタン樹脂部位をTOF−SIMS装置(nano−TOF,アルバック・ファイ社製)を用いて測定した。測定条件は、一次イオンBi3 ++、加速電圧30kV、電流0.1nA(DCとして)、分析面積200μm×200μm、積算時間5minで行い、検出器により正イオン(m/z=430 の分子イオン)を検出イオンとしてスペクトルを検出した。本測定装置の特性上、測定深さは表面から1〜2nmまでに相当する。該スペクトルから得られたビタミンE(α−トコフェロール)ピークのイオン強度(IV)を、プロトンのイオン強度IH、ナトリウムのイオン強度INa、及び、m/z=0.5〜2000の質量範囲について得られたイオン強度の総和である総イオン強度ITを用い、以下の式2により規格化ピーク強度に変換した。
式2:(ビタミンEの規格化ピーク強度)=IV/(IT−IH−INa)×1000
<ポッティング部端面におけるタンパク付着量>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純水で低流速で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解して遮光下で一晩風乾し、血液入口側または血液出口側のポッティング部を端面から厚さ1mmに薄くスライスした。濃度300μg/mLに調製した牛血漿フィブリノゲン(BPF)のリン酸緩衝生理食塩水(pH:7.4、以下PBS(−)と表記)5mLが入った直径5cmのシャーレに、スライスした端面をビタミンEの被覆面が下になるようにして入れてBPF溶液と接触させ、37℃にて1時間インキュベートを行った。インキュベート後、BPF溶液を除去した後、PBS(−)5mLにてサンプル表面をリンスする操作を5回行った。さらに1%SDS PBS(−)溶液4mLを用いてサンプル表面を十分に洗浄した。洗浄液中のタンパク濃度をmicro BCAキットにて定量した。
<ポッティング部端面における血球付着数>
実施例又は比較例の中空糸膜型血液浄化器の充填液を排出し、体液流路域および透析液流路域を室温の純水で低流量で約3分間水洗した後、0.05MPa程度の圧気を約1分間通気し、水分を除去した。前記血液浄化器を分解して遮光下で一晩風乾し、血液入口側または血液出口側のポッティング部を端面から厚さ1mmに薄くスライスした。スライスした端面の中央部から1cm2の正方形を切出し、サンプルとした。サンプルをシャーレに入れ、ヘパリン(1,000単位/L)添加豚血0.1mLをサンプルの表面(端面側)に滴下し、室温で30分静置した。静置後、端面の反対側から生理食塩水約10mLを用いて洗浄した。続いてサンプルを0.2%グルタルアルデヒド水溶液に1時間浸漬し、さらに2%グルタルアルデヒド水溶液に1時間浸漬して細胞を固定化した。注射用蒸留水でサンプルを洗浄した後、凍結乾燥した。
次に、イオンスパッターでサンプル表面(端面側)に導電性処理を行い、電子顕微鏡(S−3000N)で倍率300倍観察した。図5に示す、血液を滴下した部分の外周部を除くA、B、Cの3箇所を観察し、各場所の観察した視野範囲におけるポッティング樹脂および中空糸膜切断面上の血球数をカウントし、A、B、Cの血球数の平均値を算出した。
[実施例1]
製膜紡糸原液は、ジメチルアセトアミド(キシダ化学社製、特級試薬)79wt%にポリスルホン(ソルベイ社製、P−1700)17wt%及びポリビニルピロリドン(ビーエーエスエフ社製、K−90)4wt%を溶解して作製した。中空内液はジメチルアセトアミド60wt%水溶液を用いた。
チューブインオリフィス型の紡糸口金から、製膜紡糸原液及び中空内液を吐出させた。吐出時の製膜紡糸原液の温度は40℃とした。吐出した製膜紡糸原液をフードで覆った落下部を経て水よりなる60℃の凝固浴に浸漬して凝固させた。その際にエアーギャップ長を400mm、紡糸速度を30m/minとした。凝固後、水洗、乾燥を行い、血液浄化膜を得た。ここで、乾燥温度160℃、乾燥時間100秒とした。なお、乾燥後の膜厚が43μm、内径が200μmとなるように製膜紡糸原液及び中空内液の吐出量を調整した。
次に、乾燥後の膜束を、液体の導入及び導出用の2本のノズルを有する筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン樹脂部分を切断して中空糸膜が開口した端面に加工し、膜面積1.3m2の中空糸膜束モジュールを組み立てた。
次に、該中空糸膜束モジュールを、脂溶性抗酸化剤含有コート液のコート装置に縦向きにセットした。この際、コート溶液の流路ホースと中空糸膜束モジュールのポッティング部とを接続する治具として、治具ノズル内径D1、ポッティング部端面の直径D2の比(D1/D2)が0.2であり、かつテーパー角度が60°であるものを用いた。
続いて、イソプロピルアルコール57wt%の水溶液に、ビタミンE(α−トコフェロール(和光純薬工業 特級))を0.5wt%溶解したコート液を、24℃温度下で治具のノズルからポッティング部端面を通じて体液流路表面側(中空糸膜の内表面)に流速1250mL/minで下方から上方に向かって通液して、ポッティング部端面及び中空糸膜表面にα−トコフェロールを接触させた。その後、エアフラッシュして中空糸内空部の残液を除去した後、40℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、ポッティング部端面及び中空糸膜表面にα−トコフェロールを固定化した。
次いで、中空糸膜束モジュールの両端部に血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げた。この時、α−トコフェロールの多い端面(コート装置にセットした際に上側であった方の面)を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように組み上げた。
湿潤化工程として、抗酸化剤である亜硫酸水素ナトリウムを0.06%含み、さらにpH調整のための炭酸ナトリウムを0.03%含む水溶液を血液浄化器の血液側流路(内表面側)及び濾液側流路(外表面側)に充填し、各ノズルを密栓した状態でγ線を25kGy照射滅菌することにより、血液浄化器を完成させた。
[実施例2]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を0.25wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、実施例2の血液浄化器を得た。
[実施例3]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を1.0wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、実施例3の血液浄化器を得た。
[実施例4]
実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールを製造し、中空糸膜束モジュールを横向きにした以外は実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールをコート装置にセットした。
続いて、コート液の流速を1500mL/minとした以外は実施例1と同様に通液を行って、ポッティング部端面及び中空糸膜表面に、α−トコフェロールを固定化した。
この両端部に、α−トコフェロールの多い端面を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装着し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様に湿潤化工程及び滅菌を経て、実施例4の血液浄化器を得た。
[実施例5]
α−トコフェロールの多い端面を血液出口側、少ない端面を血液入口側となるように組み上げた以外は、実施例1と同じ方法により実施例5の血液浄化器を得た。
[比較例1]
脂溶性抗酸化剤含有コート液の通液を行わなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の血液浄化器を得た。
[比較例2]
実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールを製造し、コート溶液の流路ホースと中空糸膜束モジュールのポッティング部とを接続する治具として、治具ノズル内径D1、ポッティング部の直径D2の比(D1/D2)が0.02であり、かつテーパー角度が0°であるものを用いた以外は実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールをコート装置にセットした。
続いて、コート液の流速を1500mL/minとした以外は実施例1と同様に通液を行って、ポッティング部端面及び中空糸膜表面にα−トコフェロールを固定化した。
この両端部に、α−トコフェロールの多い端面を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装着し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様にして、比較例2の血液浄化器を得た。
[比較例3]
実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールを製造し、コート溶液の流路ホースと中空糸膜束モジュールのポッティング部とを接続する治具として、治具ノズル内径D1、ポッティング部の直径D2の比(D1/D2)が0.02であり、かつテーパー角度が0°であるものを用い、中空糸膜束モジュールを横向きにした以外は実施例1と同様にして中空糸膜束モジュールをコート装置にセットした。
続いて、コート液の流速を1500mL/minとした以外は実施例1と同様に通液を行って、ポッティング部端面及び中空糸膜表面に、α−トコフェロールを固定化した。
この両端部に、α−トコフェロールの多い端面を血液入口側、少ない端面を血液出口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様にして、比較例3の血液浄化器を得た。
[比較例4]
製膜紡糸原液は、N,N−ジメチルアセトアミド77.7wt%にポリスルホン(ソルベイ社製P−1700)18.0wt%及びポリビニルピロリドン(ビーエーエスエフ社製 K90、重量平均分子量1,200,000)4.3wt%を溶解して作製した。ここで、製膜紡糸原液中のポリスルホンに対するポリビニルピロリドンの混和比率は23.9wt%であった。中空内液はN,N−ジメチルアセトアミド30wt%水溶液を用いた。
この製膜紡糸原液を60℃に保ち、中空内液とともに、2重環状紡口から吐出させ、0.96mのエアギャップを通過させて75℃の水からなる凝固浴へ浸漬し、80m/minにて巻き取った。この時、紡口から凝固浴までを円筒状の筒で囲み、筒の中に水蒸気を含んだ窒素ガスを流しながら、筒の中の湿度を54.5%、温度を51℃にコントロールした。紡速に対するエアギャップの比率は、0.012m/(m/min)であった。巻き取った糸束を切断後、束の切断面上方から80℃の熱水シャワーを2時間かけて洗浄することにより膜中の残溶剤を除去し、該膜をさらに乾燥することにより含水量が1%未満の乾燥膜を得た。
次に、該乾燥膜を用いて実施例1と同様にして、膜厚1.3m2の中空糸膜モジュールを組み立て、この両端部に血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填、し血液浄化器の形状に組み上げた。
次に、イソプロピルアルコール57wt%の水溶液にα―トコフェロール(和光純薬工業 特級)を0.23wt%溶解したコート液を、血液浄化器の血液導入ノズルから中空糸膜の内腔部に52秒通液した。さらにエアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、α―トコフェロールを固定化した。
実施例1と同様に湿潤化工程及び滅菌を経て、比較例4の血液浄化器を得た。
[比較例5]
実施例1と同様にして得た乾燥後の中空糸膜の束を、実施例1と同じコート液中に、その長さ方向約1/5(胴端部)が浸るように縦に直接浸漬させた。5分経過後、中空糸膜束全体を5分間コート液中に浸漬させた。コート液から中空糸膜束を取出し、24℃の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、α−トコフェロールを固定化した。
α−トコフェロール固定化後の中空糸膜束を、液体の導入及び導出用の2本のノズルを有する筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン樹脂部分を切断して中空糸膜が開口した端面に加工し、膜面積1.3m2の中空糸膜束モジュールを組み立てた。
次いで、中空糸膜束モジュールの両端部にα−トコフェロールで被覆されている端面が血液入口側となるように血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げ、実施例1と同様に湿潤化工程及び滅菌を経て、比較例5の血液浄化器を得た。
[比較例6]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を0.02wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、比較例6の血液浄化器を得た。
[比較例7]
コート液のα−トコフェロール(和光純薬工業 特級)の濃度を2.0wt%に変更した以外は、実施例1と同じ方法により、比較例7の血液浄化器を得た。
[比較例8]
比較例1と同様にして、膜面積1.3m2の中空糸膜束モジュールを組み立てた。
次いで、中空糸膜束モジュールの両端部に血液導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填し、血液浄化器の形状に組み上げた。
前記血液浄化器を、血液入口側(血液導入用ノズルを有するヘッダーキャップを装着した側)が上、血液出口側(血液導出用ノズルを有するヘッダーキャップを装着した側)が下となるように立て、上端に200mL用シリンジを接続し、下端を実施例1と同じコート液中に浸漬した。該シリンジのプランジャーを作動させて血液浄化器中にコート液を充填した。この状態で室温で約5分間放置した。次いで、前記血液浄化器を引き上げてコート液を排出させた後、アスピレーターを接続し、25℃の温度で送風乾燥した。さらに乾燥の完全を期すため、60℃のオーブン内に一夜放置した。
このようにして得られた血液浄化器は、血液入口側(コート液流出側、上側)のポッティング部端面に均一にα−トコフェロールを固定化することができなかった。その理由は明らかではないが、血液出口側(コート液流入側、下側)のポッティング部は、下部のヘッダー空間内に溜まったコート液により均一に固定化されるが、血液入口側(コート液流出側、上側)では、シリンジの液流入口径が狭く、コート液を引き上げる際に圧力損失の小さい膜束中心部に主にコート液が流れてしまうため、ポッティング部端面の外周部へコート液が行き渡らないことが原因と考えられる。
以下に結果を示す。
<プライミング時のエア抜け性>
実施例1、5又は比較例1の血液浄化器内の残空気を追い出し、器内を完全に充填液で満たした後、血液入口側のヘッダー部から充填液を2mL廃棄して空気と置換した。容器内に空気が残存した状態で血液浄化器の血液流入口に送液チューブ、血液流出口に廃液チューブを取りつけて、それぞれ血液入口側流路および血液出口側流路を形成した。血液入口側のチューブ端は生理食塩水容器内に挿入し、チューブの途中にローラーポンプを取りつけた。血液浄化器は血液入口側が下方に血液出口側が上方となるように立てた状態にして固定した。
この状態において、ローラーポンプの流速を100mL/minに設定して、1分30秒間通液した後、血液浄化器を叩いてエアー抜き作業を行い、下記の項目について評価した。結果を表2に示す。
A:流路形成におけるエアー除去時間(分’秒)(血液入口側から器内に入れた2mLの空気が、血液出口側ヘッダー、血液出口側流路を経て外に排出されるまでに要した時間、プライミング作業時間)
B:モジュールを叩いた回数(空気が完全に抜けるのが確認できるまでに要したエアー抜き作業の回数(血液浄化器を叩いた回数))
<血液循環後におけるポッティング部端面における血球付着数>
実施例又は比較例の血液浄化器のヘッダーと筒状容器のノズルに、各々、動脈ライン(血液導入ライン)、静脈ライン(血液導出ライン)、濾過ラインの回路をそれぞれ接続し、生理食塩水(大塚製薬株式会社製、大塚生食注)1500mL以上を50〜100mL/minで流して洗浄した(以下、プライミングと称す)。本操作は、血液ライン、濾過ライン、および中空糸膜厚部を生理食塩水と置換できればよいので、例えば、濾過液出口を閉塞して血液入口側から血液出口側に500mL、血液出口を閉塞して血液入口側から濾過液出口側に500mL、血液入口側から血液出口側および濾過液出口側に500mL、それぞれ生理食塩水を流すと良い。
続いて、豚新鮮血2Lにヘパリン20mLを添加して得た抗凝固化豚血液(ヘパリン10,000単位/L)を、ヘマトクリット値が40±2%にとなるよう生理食塩水で希釈し、血液側試験液を得た。また、注射用水5.6Lにキンダリー透析剤AF2号(扶桑薬品工業株式会社製)のA液170mLとB液210mLを加えて希釈して透析液を調製した。
1.CHDモード
血液側試験液及び透析液を37±1℃に保温して、液面がゆっくりと動く程度の速度でスターラーを用いて撹拌した。実施例1、5又は比較例1の血液浄化器を図6に示す試験回路に気泡が混入しないようにセットし、血液浄化器の血液入口流量(Qbin)が100mL/min、透析液流量(Qd)が15mL/minになるよう、それぞれのポンプを調整した。メスシリンダーを用いて、QboutおよびQdを1分間測定し、実際に設定の流量であることを確認した。
一旦、静脈側回路を外して、血液浄化器の生理食塩水を前記血液側試験液100mLと置換した後、再び回路をセットし、4時間血液側試験液及び透析液を流し、その後、生理食塩水1.5Lを100mL/minで流して血液浄化器を洗浄した。続いて、2%グルタルアルデヒド水溶液を通液して置換し、血液流路域を満たした状態で一晩浸漬し、細胞を固定化した。次いで、注射用水で洗浄した後、血液浄化器から回路を外して注射用水を排出し、血液浄化器の血液入口側および血液出口側のヘッダーを解体して外し、血液入口側(A側)及び血液出口側(V側)の各ポッティング部端面から5×10mmの長方形のサンプルを切り出した。
次に、イオンスパッターでサンプル表面(端面側)に導電性処理を行い、電子顕微鏡(S−3000N)で倍率500倍で観察し、図8の各場所(A〜E)の観察視野範囲に存在する血球数(個)の平均値を算出した。結果を表3に示す。
2.CHFモード
血液側試験液を37±1℃に保温して、液面がゆっくりと動く程度の速度でスターラーを用いて撹拌した。実施例1、5又は比較例1の血液浄化器を図7に示す試験回路に気泡が混入しないようにセットし、血液浄化器の血液入口流量(Qbin)が100mL/min、血液出口側流量(Qbout)が90mL/min、濾過流量(Qf)が10mL/minになるよう、それぞれのポンプを調整した。メスシリンダーを用いて、QboutおよびQfを1分間測定し、実際に設定の流量であることを確認した。
一旦、静脈側回路を外して、血液浄化器の生理食塩水を前記血液側試験液100mLと置換した後、再び回路をセットし、4時間血液側試験液を流した後、生理食塩水1.5Lを100mL/minで流して血液浄化器を洗浄した。続いて、2%グルタルアルデヒド水溶液を通液して置換し、血液流路域を満たした状態で一晩浸漬し、細胞を固定化した。次いで、注射用水で洗浄した後、血液浄化器から回路を外して注射用水を排出し、血液浄化器の血液入口側および血液出口側のヘッダーを解体して外し、血液入口側(A側)及び血液出口側(V側)の各ポッティング部端面から5×10mmの長方形のサンプルを切り出した。
次に、イオンスパッターでサンプル表面(端面側)に導電性処理を行い、電子顕微鏡(S−3000N)で倍率500倍で観察し、図8の各場所(A〜E)の観察視野範囲に存在する血球数(個)の平均値を算出した。結果を表4に示す。
本発明の中空糸膜型血液浄化器は、血液凝固のリスクが低く、長時間安定して血液浄化を行うことができるので、各種の血液の浄化に用いることができ、とりわけCRRTのように、血液を低流量で長時間循環する血液浄化療法に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 中空糸膜の束、
    前記中空糸膜束が収容された容器、及び、
    前記中空糸膜束の両端部において該中空糸膜束を包埋固定し、その端面において中空糸膜が開口しているポッティング部、
    を含む中空糸膜型血液浄化器であって、
    前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面は、少なくとも一部が脂溶性抗酸化剤で被覆されており、
    前記各端面における脂溶性抗酸化剤の存在量が、100mg/m2以上800mg/m2以下であり、
    前記各端面において、
    中心部及び外周部の脂溶性抗酸化剤のTOF−SIMS規格化ピーク強度を、各々、A、Bとした時に、AとBの比(A/B)が0.66以上1.5以下である、
    中空糸膜型血液浄化器。
  2. 前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面における脂溶性抗酸化剤の存在量が異なっており、
    脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面の脂溶性抗酸化剤量をn1、脂溶性抗酸化剤の存在量が少ない方のポッティング部の端面の脂溶性抗酸化剤量をn2とした時に、n1とn2の比(n1/n2)が1.3以上3.0以下である、
    請求項1に記載の中空糸膜型血液浄化器。
  3. 前記脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面が、血液入口側に位置している、請求項1又は2に記載の中空糸膜型血液浄化器。
  4. 前記脂溶性抗酸化剤の存在量が多い方のポッティング部の端面が、血液出口側に位置している、請求項1又は2に記載の中空糸膜型血液浄化器。
  5. 前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面の少なくとも一方の脂溶性抗酸化剤量が、100mg/m2以上300mg/m2以である、請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  6. 前記中空糸膜束の両端部におけるポッティング部の各端面の少なくとも一方の脂溶性抗酸化剤量が、301mg/m2以上800mg/m2以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  7. 血液入口側に位置するポッティング部の端面において、AとBの比(A/B)が0.76以上1.3以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  8. 血液出口側に位置するポッティング部の端面において、AとBの比(A/B)が0.76以上1.3以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  9. 前記脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである、請求項1〜8のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器を含む持続緩徐式血液濾過器(CRRTフィルター)。
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