JP2018168984A - 玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】玉軸受の外輪が、フレクスプラインの筒部の奥部に入り込んでいくことを防止する。
【解決手段】波動歯車減速機に備わる楕円状カム4とフレクスプライン3との間に介在する玉軸受において、楕円状カム4との嵌合によって楕円状に変形させられる内輪5と、内輪5の楕円状変形に伴って楕円状に変形させられる外輪6とを備え、外輪6が、フレクスプライン3の内側に配置される外周部18と、フレクスプライン3の端縁14よりも軸方向外側に位置し端縁14に対向する外径突部11とを備える玉軸受とした。外径突部11は、外輪6の周方向全周に亘って連続的に設けられるフランジ部とすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】波動歯車減速機に備わる楕円状カム4とフレクスプライン3との間に介在する玉軸受において、楕円状カム4との嵌合によって楕円状に変形させられる内輪5と、内輪5の楕円状変形に伴って楕円状に変形させられる外輪6とを備え、外輪6が、フレクスプライン3の内側に配置される外周部18と、フレクスプライン3の端縁14よりも軸方向外側に位置し端縁14に対向する外径突部11とを備える玉軸受とした。外径突部11は、外輪6の周方向全周に亘って連続的に設けられるフランジ部とすることができる。
【選択図】図1
Description
この発明は、玉軸受に関し、特に、波動歯車減速機に備わる楕円状カムとフレクスプラインとの間に介在するものに関する。
波動歯車減速機は、サーキュラスプラインと、フレクスプラインと、楕円状カムと、フレクスプラインと楕円状カムとの間に介在する玉軸受を備える。玉軸受は、楕円状カムに嵌合されることにより楕円状に弾性変形させられる。フレクスプラインは、楕円状の玉軸受の外輪によって楕円状に弾性変形させられる。
フレクスプラインは、その楕円状の長軸方向の二箇所でサーキュラスプラインに噛み合わされている。楕円状カムの回転と一体に楕円状の玉軸受が回転すると、その回転方向へ楕円状の長軸方向の向きが変わり、サーキュラスプラインとフレクスプラインの噛み合う位置が回転方向に移動して、フレクスプラインとサーキュラスプラインとの間に相対回転が発生する。その相対回転が減速回転として取り出される(例えば、特許文献1参照)。
図4に示すように、フレクスプライン100は、一般に、薄肉の金属材で形成されており、軸方向一端で開口を形成する筒部101と、軸方向他端で筒部101に連続する底102とで形成されたカップ状になっている。玉軸受110の外輪111は、外周両側の面取り部間に円筒面状に形成された外径面部112を有する。
フレクスプライン100の筒部101は、その楕円状の長軸方向の二箇所(図示断面上)において、開口縁103側に向かって外径側へ傾く。このため、外輪111の円筒面状の外径面部112は、傾いた筒部101と外径面部112の底102側の端で接触する線状の接触状態となる。特許文献1のように外輪の嵌め合い面部がその幅中央上に曲率中心をもった球面状に形成されている場合であっても、前述の二箇所においては球面状の直径線上で接触する線状の接触状態になる。このため、フレクスプライン100に対して外輪111のクリープが発生しやすい状態であり、さらに、外輪111は、クリープとともにフレクスプライン100の筒部101の奥部に入り込んでいく可能性がある。
そこで、この発明の課題は、波動歯車減速機に備わるフレクスプラインに対して、玉軸受の外輪が、フレクスプラインの筒部の奥部に入り込んでいくことを防止することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、波動歯車減速機に備わる楕円状カムとフレクスプラインとの間に介在する玉軸受において、前記楕円状カムとの嵌合によって楕円状に変形させられる内輪と、前記内輪の楕円状変形に伴って楕円状に変形させられる外輪と、を備え、前記外輪が、前記フレクスプラインの開口縁よりも軸方向内側に配置される外周部と、前記フレクスプラインの前記開口縁よりも軸方向外側に位置し前記開口縁に軸方向で対向する外径突部と、を備える玉軸受を採用した。
前記外径突部は、前記外輪の周方向全周に亘って連続的に設けられるフランジ部である構成を採用することができる。
また、前記外径突部の外径面は、前記フレクスプラインの前記開口縁における外径面と面一である構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記フレクスプラインの開口縁と前記外径突部の内側端面との間にスペーサを介在する構成を採用することができる。
前記フレクスプラインの外周にサーキュラスプラインの内歯に噛み合う外歯を備え、前記外歯の外径側縁は、前記外径突部の外径側縁よりも半径方向外側に位置している構成を採用することができる。
前記フレクスプラインの開口縁と、前記外輪の前記外径突部との間に、互いの噛み合いにより軸周り相対回転を規制する回り止め手段を備える構成を採用することができる。
この発明は、波動歯車減速機に備わるフレクスプラインに対して、軸受部の外輪が、フレクスプラインの開口縁よりも軸方向内側に配置される外周部と、フレクスプラインの開口縁よりも軸方向外側に位置し開口縁に軸方向で対向する外径突部とを備える構成としたので、玉軸受の外輪が、フレクスプラインの筒部の奥部に入り込んでいくことを防止することができる。
この発明の一例として実施形態を、図面に基づいて説明する。図1、図2に示す玉軸受1は、波動歯車減速機用のものである。この波動歯車減速機は、サーキュラスプライン2と、フレクスプライン3と、楕円状カム4と、フレクスプライン3と楕円状カム4との間に介在する玉軸受1とを備える。
玉軸受1は、内輪5と、外輪6と、内輪5の外周に形成された軌道溝7と外輪6の内周に形成された軌道溝8との間に介在する複数の玉9と、これら玉9間の周方向間隔を所定に保つ保持器10とを備える。軌道溝7、8間には、通常、奇数個の玉9が配置されている。
以下、「軸方向」は、玉軸受1の軸受中心軸(図示省略)に沿った方向のことをいう。玉軸受1の軸受中心軸は、設計上、内輪5、外輪6の各軌道輪の中心軸と同軸に設定され、また、波動歯車減速機の回転軸線と同軸に設定されている。以下、その軸受中心軸に対して直角な方向のことを「径方向」といい、その軸受中心軸回りの円周方向のことを「周方向」という。
楕円状カム4は、第一軸S1と一体に周方向に回転可能となっている。フレクスプライン3は、第一軸S1と同軸に配置された第二軸S2と一体に周方向に回転可能となっている。
サーキュラスプライン2の内周には、周方向に沿って所定数の内歯11が設けられている。
フレクスプライン3は、筒部12と、筒部12の軸方向一端に連続する底部13とで形成されたカップ状になっている。筒部12の内側は、円筒面状に形成されている。筒部12の軸方向の先端は、フレクスプライン3の開口縁14になっている。
筒部12の外周には、サーキュラスプライン2の内歯11に噛み合う外歯15が、周方向に沿って設けられている。この実施形態では、フレクスプライン3の外歯15の数は、サーキュラスプライン2の内歯11の数よりも2つ少なく設定されている。外歯15の数と内歯11の数は、外歯15の数が内歯11の数よりも少ない条件で適宜設定できる。
楕円状カム4の外周には、楕円状の嵌め合い面が形成されている。玉軸受1の内輪5は、その楕円状カム4の嵌め合い面に嵌合されることにより、楕円状に弾性変形させられる。この楕円状変形に伴い、外輪6が、玉9を介して押されることにより、楕円状に弾性変形させられる。この状態で玉軸受1の外輪6がフレクスプライン3の筒部12の内側に圧入されることにより、フレクスプライン3の筒部12も楕円状に弾性変形させられる。
楕円状カム4の回転と一体に楕円状の玉軸受1が回転すると、その回転方向へ楕円状の長軸方向の向きが変わり、サーキュラスプライン2の歯11とフレクスプライン3の歯15の噛み合う位置が回転方向に移動して、フレクスプライン3とサーキュラスプライン2との間に1周で歯2つ分の相対回転が発生する。その相対回転が減速回転として取り出される。
図1に示すように、玉軸受1の外輪6は、径方向に沿った二つの端面16、17を有する。これら二つの端面16、17は、外輪6の幅を規定する二面になっている。
外輪6は、フレクスプライン3の開口縁14よりも軸方向内側、すなわち、底部13側に配置される外周部18と、フレクスプライン3の開口縁14よりも軸方向外側に位置し、開口縁14に軸方向で対向する外径突部21とを備えている。
外径突部21を設けたことにより、仮に、外輪6に、フレクスプライン3に対して底部13側へ押し込む力が採用しても、外径突部21の内側端面22が、フレクスプライン3の開口縁14に当接することで、外輪6が筒部12の奥部に入り込んでいく事態を防止することができる。
なお、この実施形態では、外輪6の外径突部21よりも軸方向内側の外径面部19が、フレクスプライン3の筒部12の内側に配置されている。このため、外輪6の外周部18は、二つの端面16、17間のうち、外径突部21よりも軸方向内側の外径面部19と、その外径面部19とフレクスプライン3の底部13側の端面16とを繋ぐ面取り部20に相当する。
また、この実施形態では、外輪6の外径面部19は円筒状となっているが、この外径面部19を、軸方向にフレクスプライン3の開口縁14側に向かって次第に外径を大きくした円すい台状(テーパ状)としてもよい。外径面部19を円すい台状とする場合、その外径面部19は、任意のアキシアル平面上での断面形状が、楕円状の長軸方向の二箇所でフレクスプライン3の筒部12の内面に沿う形状であることが望ましい。なお、アキシアル平面とは、玉軸受1の軸受中心軸を含む仮想平面のことをいう。図1は、楕円状の長軸を含むアキシアル平面上でのフレクスプライン3及び外輪6等を示している。
この実施形態では、外径突部21は、外輪6の周方向全周に亘って連続的に設けられるフランジ部としているが、この外径突部21を、外輪6の周方向に沿って断続的に配置されたものとしてもよい。また、外径突部21は、外輪6の周方向に少なくとも1箇所あれば、その効果を発揮できる。
また、外径突部21は、フレクスプライン3に対する外輪6の位置決め機能も発揮することができる。外径突部21の内側端面22が、フレクスプライン3の開口縁14に当接することで、フレクスプライン3に対する外輪6の軸方向位置を、正規の位置に設定しやすい。
さらに、外径突部21は、外輪6が、フレクスプライン3の筒部12に対して転倒することを防止する機能も発揮することができる。外輪6の軌道面7,8の中心線を含む面は、第一軸S1や第二軸S2、フレクスプライン3の軸心方向に直交している状態に設定されている必要があることから、このような転倒防止機能が有効である。
外径突部21に転倒防止機能を期待する場合、外径突部21は、外輪6の周方向全周に亘って連続的な突条とするか、あるいは、外径突部21を、外輪6の周方向に沿って所定の長さ以上連続する突条等とすることが望ましい。また、外径突部21を周方向に沿って断続配置とする場合には、外径突部21を、外輪6の周方向に沿って少なくとも2箇所以上、さらには、それらを軸周り等分配置とすることが望ましい。
この実施形態では、図1に示すように、外径突部21の外径面24は、フレクスプライン3の開口縁14における外径面12aよりも、外径側に位置している。この外径突部21の外径面24を、フレクスプライン3の開口縁14における外径面12aと面一とすれば、外径突部21が、フレクスプライン3の外歯15や、それに噛み合うサーキュラスプライン2の内歯11に支障しにくくなるので望ましい。
なお、図1に示すように、外径突部21の外径面24が、フレクスプライン3の開口縁14における外径面12aよりも外径側に位置している場合においては、外歯15の外径側縁は、外径突部21の外径面24よりも、半径方向外側に位置していることが望ましい(図中の距離W2参照)。また、サーキュラスプライン2の内歯11の内径側縁は、外径突部21の外径面24よりも、半径方向外側に位置していることが望ましい(図中の距離W1参照)。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態の変形例を示している。
図3(a)の例は、フレクスプライン3の開口縁14と外径突部21の内側端面22との間にスペーサ25を介在したものである。スペーサ25の軸方向厚さを調整することにより、フレクスプライン3に対する外輪6の軸方向への位置を調整することができる。スペーサ25は、例えば、種々の厚さのリング状の部材とすることができる。
図3(b)の例は、フレクスプライン3の開口縁14と、外輪6の外径突部21との間に、互いの噛み合いにより、フレクスプライン3と外輪6との軸周り相対回転を規制する回り止め手段26,27を備えたものである。
ここでは、回り止め手段26,27として、フレクスプライン3側に係止凸部からなる係止部26を、外輪6の外径突部21側に係止凹部からなる被被係止部27を設けているが、これを逆にして、フレクスプライン3側に係止凹部からなる被係止部27を、外輪6の外径突部21側に係止凸部からなる係止部26を設けてもよい。また、回り止め手段26,27は、係止凹部と係止凸部との組み合わせ以外にも、例えば、フレクスプライン3と外輪6の外径突部21との間の段部同士の噛み合い、ピンと段部との噛み合い等、互いの噛み合いによりフレクスプライン3と外輪6との軸周り相対回転を規制する種々の手段を採用することができる。このような回り止め手段26,27は、周方向に沿って少なくとも1箇所あれば機能し得るが、必要に応じて、周方向に沿って複数箇所設けることも可能である。
1 玉軸受
2 サーキュラスプライン
3 フレクスプライン
4 楕円状カム
5 内輪
6 外輪
12 筒部
13 底部
14 開口縁
18 外周部
19 外径面部
21 外径突部(フランジ部)
22 内側端面
23 ぬすみ部
24 外径面
25 スペーサ
26 係止部(回り止め手段)
27 被係止部(回り止め手段)
2 サーキュラスプライン
3 フレクスプライン
4 楕円状カム
5 内輪
6 外輪
12 筒部
13 底部
14 開口縁
18 外周部
19 外径面部
21 外径突部(フランジ部)
22 内側端面
23 ぬすみ部
24 外径面
25 スペーサ
26 係止部(回り止め手段)
27 被係止部(回り止め手段)
Claims (6)
- 波動歯車減速機に備わる楕円状カム(4)とフレクスプライン(3)との間に介在する玉軸受において、
前記楕円状カム(4)との嵌合によって楕円状に変形させられる内輪(5)と、
前記内輪(5)の楕円状変形に伴って楕円状に変形させられる外輪(6)と、
を備え、
前記外輪(6)が、
前記フレクスプライン(3)の開口縁(14)よりも軸方向内側に配置される外周部(18)と、
前記フレクスプライン(3)の前記開口縁(14)よりも軸方向外側に位置し前記開口縁(14)に軸方向で対向する外径突部(21)と、
を備える玉軸受。 - 前記外径突部(21)は、前記外輪(6)の周方向全周に亘って連続的に設けられるフランジ部である
請求項1に記載の玉軸受。 - 前記外径突部(21)の外径面(24)は、前記フレクスプライン(3)の前記開口縁(14)における外径面(12a)と面一である
請求項1又は2に記載の玉軸受。 - 前記フレクスプライン(3)の開口縁(14)と前記外径突部(21)の内側端面(22)との間にスペーサ(25)を介在する
請求項1から3のいずれか一つに記載の玉軸受。 - 前記フレクスプライン(3)の外周にサーキュラスプライン(2)の内歯(11)に噛み合う外歯(15)を備え、
前記外歯(15)の外径側縁は、前記外径突部(21)の外径側縁よりも半径方向外側に位置している
請求項1から4のいずれか一つに記載の玉軸受。 - 前記フレクスプライン(3)の開口縁(14)と、前記外輪(6)の前記外径突部(21)との間に、互いの噛み合いにより軸周り相対回転を規制する回り止め手段(26,27)
を備える請求項1から5のいずれか一つに記載の玉軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017067688A JP2018168984A (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 玉軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017067688A JP2018168984A (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 玉軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018168984A true JP2018168984A (ja) | 2018-11-01 |
Family
ID=64018622
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017067688A Pending JP2018168984A (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 玉軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018168984A (ja) |
-
2017
- 2017-03-30 JP JP2017067688A patent/JP2018168984A/ja active Pending
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