JP2018168901A - 複合変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】予圧構造を簡素化して変速機を小型化するとともに、トラクションドライブに対する潤滑をより長期に亘って行う。
【解決手段】複合変速機1の予圧機構14は、転動体11の直径D1を、転動体11が内輪9の軌道面9aと接触する接触点CP1と、転動体11が外輪10の軌道面10aと接触する接触点CP2との距離L1よりも大きく設定することにより構成される。第1伝達機構4の中間軸13は、転動体11に係合して回転することにより入力軸2の回転駆動力をこの中間軸13に伝達する動力伝達部を有する。動力伝達部は、転動体11を保持する保持器12であり、保持器12は、潤滑剤を保持する植毛部12cを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の動力伝達機構を備える複合変速機に関する。
モータなどの駆動源で駆動された回転を減速又は増速伝達する変速機として、トラクションドライブが使用されている。トラクションドライブは摩擦伝動装置の一種であり、滑らかな表面を有する2面間に形成される油膜を介して動力を伝達する。その一例として特許文献1には、筐体と、この筐体に回転自在に支持された入力軸と、筐体に入力軸と同軸線上に回転自在に支持された出力軸とを備えた変速機(マイクロトラクションドライブ)が開示されている。
この変速機において、入力軸は内輪を備え、この内輪には、内輪軌道面としてアングル溝が形成されている。筐体には、外輪が固定されており、この外輪には、外輪軌道面としてアングル溝が形成されている。内輪軌道面と外輪軌道面との間には、複数の転動体(回転体)が配置されている。また、各転動体を保持する保持器が出力軸と一体に設けられている。
この変速機では、入力軸から内輪に回転駆動力が伝達され、転動体が内輪の回転駆動力に応じて自転しながら入力軸の軸線回りを公転する。この転動体の公転による回転力は、保持器を介して出力軸に伝達される。
トラクションドライブでは、内輪の回転に応じて転動体が転動するように、これらに予圧を付与する必要がある。このため、筐体と外輪との間には、外輪を押圧可能な押圧円環が配置されている。この押圧円環は、外輪側に複数の傾斜面を有する。押圧円環と外輪との間には、押圧回転体(押圧玉)が嵌装されている。
変速機は、押圧円環を回転させることにより、押圧回転体を介して外輪を入力軸側へと移動させることで、外輪軌道面と内輪軌道面とによる転動体への予圧を調整することができる(同文献の段落0018乃至0022及び図1参照)。
また、特許文献2には、バネを用いることにより、内輪軌道面、外輪軌道面及び転動体に予圧を付与することが可能な変速機(マイクロトラクションドライブ)が開示されている。この変速機では、入力軸支持軸受(アングル軸受)よりも先端側に内輪を設け、この内輪と入力軸支持軸受の内輪とをバネ(第2バネ)により連結し、この内輪と同軸状に配置される外輪とハウジングとの一部とをバネ(第1バネ)により連結している。なお、内輪及び外輪には、アングル溝からなる内輪軌道面及び外輪軌道面が形成されている。
この変速機は、これらのバネの付勢力により、転動体(玉)と各軌道面との接触面に法線力(予圧)を作用させている(同文献の段落0054乃至0066及び図4参照)。
特許第3617645号公報 特許第3659925号公報
上記のように、従来の変速機では、押圧円環やバネといった別途の予圧調整機構を用いているため、変速機の構造が複雑化し、大型化や高コスト化を招いてしまっていた。また、内輪及び外輪の各軌道面をアングル溝として予圧を付与する場合、転動体にすべりが生じやすくなり、回転駆動力を確実に伝達することができなくなるおそれがある。
また、上記のように、トラクションドライブによる変速機は、内輪及び外輪の各軌道面と転動体との間に潤滑油による油膜を介在させ、高い接触圧力によって当該油膜を硬化させることでトラクション力を得る。しかしながら、従来の変速機では、入力軸の回転による遠心力によって潤滑油が半径方向に飛散し、転動体と各軌道面との接触面から離れてしまい、短期間のうちに潤滑油切れを招くおそれがあった。転動体と軌道面との間に油膜が形成されなくなると、トラクション力の低下や寿命短縮といった問題が生じ得る。潤滑油切れを防止する対策として、多量の潤滑油を封入することが挙げられるが、これでは、潤滑油による撹拌抵抗が増加してしまい、変速機の伝達効率が低下する。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたものであり、予圧構造を簡素化して変速機を小型化するとともに、トラクションドライブに対する潤滑をより長期に亘って行うことを技術的課題とする。
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、入力軸と、前記入力軸に入力された回転駆動力を出力する出力軸と、前記入力軸の前記回転駆動力を所定の変速比で変換する第1伝達機構と、前記第1伝達機構から伝達された回転駆動力を所定の変速比で変換し、前記出力軸に伝達する第2伝達機構と、前記第1伝達機構に予圧を付与する予圧機構と、を備える複合変速機であって、前記第1伝達機構は、前記入力軸に設けられるとともに軌道面を有する内輪と、軌道面を有する外輪と、前記内輪の前記軌道面と前記外輪の前記軌道面との間で転動するように配設される複数の転動体と、前記転動体に係合して回転することにより前記回転駆動力を前記第2伝達機構に伝達する中間軸と、備え、前記第2伝達機構は、前記中間軸に設けられる太陽部材と、前記太陽部材に係合する遊星部材と、前記遊星部材に係合する環状部材と、前記遊星部材に係合して回転することにより前記出力軸に前記回転駆動力を伝達するキャリアと、を備え、前記予圧機構は、前記転動体の直径を、前記転動体が前記内輪の前記軌道面と接触する接触点と、前記転動体が前記外輪の前記軌道面と接触する接触点との距離よりも大きくすることにより構成されており、前記中間軸は、前記転動体に係合して回転することにより前記入力軸の回転駆動力を前記中間軸に伝達する動力伝達部を有しており、前記動力伝達部は、前記転動体を保持する保持器であり、前記第1伝達機構における前記保持器は、潤滑剤を保持する柔軟性構造体を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、転動体の直径を上記の接触点間の距離よりも大きく設定することで、この転動体を内輪と外輪との間に配設すると、内輪、外輪及び転動体に、軸線方向に直交する方向の応力が生じ、これを予圧として好適に付与することができる。これにより、入力軸に入力された回転駆動力を第1伝達機構、予圧機構及び第2伝達機構を介して出力軸に確実に伝達することが可能になる。このように本発明では、内輪、外輪及び転動体からなる軸受構造のみからなる予圧機構を使用し、別途の予圧機構を使用することなく予圧を付与することができるため、複合変速機を従来よりも小型化できる。また、本発明に係る複合変速機では、第1伝達機構の他、遊星機構を含む第2伝達機構を用いることより、より大きな変速比を得る。
また、動力伝達部である保持器によって転動体を所定の間隔にて好適に保持するとともに、転動体の転動に応じて保持器が回転することにより、回転駆動力を中間軸に確実に伝達できる。さらに、第1伝達機構の保持器に設けられる柔軟性構造体によって潤滑剤を保持することで、遠心力による潤滑剤の飛散を抑制でき、予圧機構に対する潤滑を長期に亘って行うことが可能になる。
本発明に係る複合変速機において、前記出力軸と前記第2伝達機構との間に設けられるとともに、前記第2伝達機構から伝達される前記回転駆動力を所定の変速比で変換して前記出力軸に伝達する第3伝達機構と、前記第3伝達機構に予圧を付与する予圧機構を備え、前記第3伝達機構は、前記第2伝達機構の前記キャリアに固定されるとともに軌道面を有する内輪と、軌道面を有する外輪と、前記内輪の前記軌道面と前記外輪の前記軌道面との間で転動するように配設される複数の転動体と、前記転動体に係合して回転することにより前記回転駆動力を前記出力軸に伝達する動力伝達部と、を含み、前記予圧機構は、前記第3伝達機構における前記転動体の直径を、前記第3伝達機構において前記転動体が前記内輪の前記軌道面と接触する接触点と、前記転動体が前記外輪の前記軌道面と接触する接触点との距離よりも大きく設定することにより構成されており、前記第3伝達機構における前記動力伝達部は、前記転動体を保持する前記保持器であり、かつ前記出力軸に対して一体に構成されており、前記第3伝達機構における前記保持器は、潤滑剤を保持する柔軟性構造体を備えることが望ましい。
上記のように、第3伝達機構に対する予圧機構を、第1伝達機構に対する予圧機構と同じ構成にすることで、複合変速機の大型化を招くことなく第2伝達機構から第3伝達機構へと回転駆動力を伝達できる。さらに、第3伝達機構の保持器に設けられる柔軟性構造体によって潤滑剤を保持することで、遠心力による潤滑剤の飛散を抑制でき、第3伝達機構に係る予圧機構の潤滑を長期に亘って行うことができる。
或いは、本発明に係る複合変速機において、前記第1伝達機構と前記第2伝達機構との間に設けられるとともに、前記第1伝達機構の前記回転駆動力を所定の変速比で変換して前記第2伝達機構に伝達する前記第3伝達機構と、前記第3伝達機構に予圧を付与する予圧機構と、を備え、前記第3伝達機構は、前記第1伝達機構の前記中間軸に固定されるとともに軌道面を有する内輪と、軌道面を有する外輪と、前記内輪の前記軌道面と前記外輪の前記軌道面との間で転動するように配設される複数の転動体と、前記転動体に係合して回転することにより前記第1伝達機構の前記回転駆動力を前記第2伝達機構に伝達する中間軸と、を含み、前記予圧機構は、前記第3伝達機構における前記転動体の直径を、前記第3伝達機構において前記転動体が前記内輪の前記軌道面と接触する接触点と、前記転動体が前記外輪の前記軌道面と接触する接触点との距離よりも大きく設定することにより構成されており、前記第3伝達機構における前記中間軸は、前記転動体に係合して回転することにより前記入力軸の回転駆動力を前記中間軸に伝達する動力伝達部を有しており、前記動力伝達部は、前記転動体を保持する保持器であり、前記第3伝達機構における前記保持器は、潤滑剤を保持する柔軟性構造体を備える構成を採用してもよい。
上記のように、第1伝達機構と第2伝達機構との間に配される第3伝達機構に対する予圧機構を、第1伝達機構に対する予圧機構と同じ構成にすることで、複合変速機の大型化を招くことなく第3伝達機構から第2伝達機構へと回転駆動力を伝達できる。さらに、第3伝達機構の保持器に設けられる柔軟性構造体によって潤滑剤を保持することで、遠心力による潤滑剤の飛散を抑制でき、第3伝達機構に係る予圧機構の潤滑を長期に亘って行うことができる。
本発明によれば、予圧構造を簡素化して変速機を小型化するとともに、トラクションドライブに対する潤滑をより長期に亘って行うことが可能になる。
第1実施形態に係る複合変速機の断面図である。 複合変速機の要部断面を含む斜視図である。 第1伝達機構を示す斜視図である。 第1伝達機構を示す分解斜視図である。 第1伝達機構における、内輪、外輪及び転動体を示す図である。 中間軸の断面図である。 植毛部を示す拡大断面図である。 第2伝達機構を示す斜視図である。 第2伝達機構を示す分解斜視図である。 第3伝達機構を示す斜視図である。 第3伝達機構を示す分解斜視図である。 第3伝達機構における、内輪、外輪及び転動体を示す図である。 出力軸の断面図である。 第2実施形態に係る複合変速機の断面図である。 中間軸の断面図である。 第3実施形態に係る複合変速機の断面図である。 第1中間軸の断面図である。 第2中間軸の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至図13は、本発明に係る複合変速機の第1実施形態を示す。図1に示すように、複合変速機1は、入力軸2と、入力軸2に入力された回転駆動力を出力する出力軸3と、入力軸2の回転駆動力を所定の変速比で変換する第1伝達機構4と、第1伝達機構4から伝達された回転駆動力を所定の変速比で変換する第2伝達機構5と、第2伝達機構5から伝達された回転駆動力を所定の変速比で変換する第3伝達機構6と、各伝達機構4〜6を収容するケーシング7と、を主に備える。
図1及び図2に示すように、入力軸2は、一端部がケーシング7に収容され、他端部がケーシング7から露出するように、ケーシング7に支持されている。入力軸2は、一端部が大径部2aとされ、他端部が小径部2bとされている。入力軸2の大径部2aは、第1伝達機構4により回転自在に支持されている。入力軸2の一端部には、大径部2aよりもさらに大径とされるとともに、この入力軸2がケーシング7から抜け外れないように係止する係止部2cが形成されている。また、大径部2aの軸心方向における端面の中心部(軸心部)には、突起部2dが形成されている。突起部2dは球面を有する半球状に構成される。入力軸2の小径部2bは、モータなどの駆動源(図示せず)に接続される。
図1及び図2に示すように、出力軸3は、一端部がケーシング7に収容され、他端部がケーシング7から露出するように、ケーシング7に支持されている。出力軸3は、一端部が大径部3aとされ、他端部が小径部3bとされている。出力軸3は、大径部3aが入力軸2の大径部2aと対向するように、この入力軸2と同軸状に配置される。出力軸3の大径部3aは、ケーシング7内にて保持される軸受8に支持されている。大径部3aの軸心方向における端面の中心部には、第2伝達機構5の一部が係合する凹部3cが形成されている。
第1伝達機構4は、入力軸2を回転自在に支持する軸受構造(例えば深溝玉軸受)によりトラクションドライブを構成する。具体的には、第1伝達機構4は、図1乃至図4に示すように、入力軸2に固定される内輪9と、この内輪9の外側に同軸状に配置される外輪10と、内輪9と外輪10との間で転動するように設けられる複数の転動体11と、転動体11を保持する保持器12を含む中間軸13と、を備える。
内輪9は、環状に構成されるとともに、入力軸2の大径部2aに嵌め込まれて固定されている。内輪9には入力軸2の係止部2cが接触しており、係止部2cは、入力軸2が抜け外れないように当該入力軸2を係止する。内輪9は、転動体11が転動可能な凹状の軌道面9aを有する。この軌道面9aは、断面視において円弧状の曲面として構成される。ここで、転動体11を内輪9と外輪10との間に配置した場合において、内輪9の軌道面9aにおいて転動体11が接触し得る箇所を接触点CP1(内輪側接触点)とする(図5参照)。この接触点CP1は、凹状に構成される軌道面9aの最も深い位置にあり、軌道面9aに対する中心線X上に位置している。
外輪10は、内輪9の外径よりも大きな内径を有する環状体である。外輪10は、ケーシング7の内側にて回転不能に固定されている。外輪10は、転動体11が転動可能な凹状の軌道面10aを有する。この軌道面10aは、断面視において円弧状の曲面として構成される。ここで、転動体11を内輪9と外輪10との間に配置した場合において、軌道面10aにおいて転動体11が接触し得る箇所を接触点CP2(外輪側接触点)とする(図5参照)。この接触点CP2は、凹状に構成される軌道面10aの最も深い位置にあり、軌道面10aに対する中心線X上に位置している。
本実施形態において転動体11は、玉(球体)により構成されるが、これに限定されず、円筒状のころにより構成されてもよい。図5に示すように、転動体11の直径D1は、転動体11が組み込まれていない状態における内輪9の軌道面9aにおける接触点CP1と外輪10の軌道面10aにおける接触点CP2との半径方向における距離L1よりも大きくなるように設定されている。この距離L1は、内輪9の軌道面9aにおける最小半径(接触点CP1の位置における軌道面9aの半径)と、外輪10の軌道面10aにおける最大半径(接触点CP2の位置における軌道面10aの半径)との差に相当する。このように接触点CP1,CP2間の距離を設定することで、転動体11を内輪9と外輪10との間に組み込んだ場合に、軸受構造における軸受内部隙間(半径方向隙間)が負となり、内輪9、外輪10及び転動体11に軸線方向に直交する方向の応力を発生させ、これを予圧として付与できる。このように、内輪9、外輪10及び転動体11における寸法の関係により、第1伝達機構4に予圧を付与する予圧機構14が構成される。
中間軸13は、入力軸2と出力軸3との間にあって、これらと同軸状に配置されている。中間軸13は、一端部に大径部13aを有し、他端部に小径部13bを有する。大径部13aは、第1伝達機構4の転動体11に係合して回転駆動力を第2伝達機構5に伝達する動力伝達部として機能する。この大径部13aは、転動体11を保持する保持器12を一体に有する。また、大径部13aは、図1、図2に示すように、ケーシング7の内側で保持される軸受15に支持されている。
大径部13aは、その軸方向端面に、入力軸2の突起部2dが係合する凹部13cを有する。凹部13cは、大径部13aの端面における中心部(軸心部)に形成されている。図1に示すように、凹部13cの底面には、入力軸2の突起部2dが接触(点接触)している。
中間軸13の小径部13bは、第2伝達機構5の一部を支持している。小径部13bにおける軸心方向の端面の中心部(軸心部)には、突起部13dが形成されている。突起部13dは、球面を有する半球状に構成されている。
図4及び図6に示すように、保持器12は、中間軸13の大径部13aから軸方向に突出する複数の突起部12aと、転動体11を保持するポケット12bとを有する。複数の突起部12aは、大径部13aの周方向に一定の間隔をおいて形成される。ポケット12bは、周方向において隣り合う突起部12aの間に形成される凹部である。ポケット12bは、軸方向の一端側が開放状に構成される。
図6及び図7に示すように、突起部12aは、その外径面に、潤滑剤(潤滑油又はグリース)を保持する柔軟性構造体としての植毛部12cを有する。植毛部12cは、突起部12aの外径面に繊維材(短繊維12d)を植毛することにより構成される。植毛方法としては、吹き付けや静電植毛を採用できる。中でも静電植毛は、多量の繊維材を短時間で密に植毛できるため、好ましい。静電植毛方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、静電植毛する範囲(突起部12aの外径面)に接着剤を塗布して接着層12eを形成し、短繊維12dを帯電させて静電気力により接着剤塗布面(接着層12eの表面)に傾斜状に植毛した後、乾燥工程・仕上げ工程などを行う方法が挙げられる。短繊維12dは、傾斜状に限らず、接着層12eに略垂直となるように植毛されてもよい。
植毛に用いる短繊維12dとしては、植毛用短繊維として使用可能であれば特に限定されず、例えば、(1)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、(2)カーボン繊維、グラスファイバーなどの無機繊維、(3)レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手できるため、上記の中でも合成樹脂繊維を用いることが好ましい。
短繊維12dの形状としては、例えば、長さ0.3〜2.0mm、太さ0.5〜50デシテックスのものが好ましい。短繊維12dの密度としては、例えば、植毛した面積あたりに繊維の占める割合を10〜30%とすることが好ましい。短繊維12dの形状としてストレートやベンド(先端部が曲がった形状)があり、断面形状は円形や多角形状がある。ベンド形状の短繊維12dは、ストレート形状の短繊維と比較して、潤滑剤をより確実に捕捉できる。多角形状断面の短繊維12dは、円形断面の短繊維12dよりも表面積が大きいことから、潤滑剤を保持する能力が高い。
接着層12eに使用される接着剤としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が使用できる。例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第2伝達機構5は、第1伝達機構4における中間軸13の中途部に設けられる太陽部材16と、この太陽部材16に係合する遊星部材17と、遊星部材17に係合する環状部材18と、遊星部材17に連結されるキャリア19とを備える。
本実施形態において、太陽部材16は太陽歯車であり、遊星部材17は太陽歯車16に噛み合う3個の遊星歯車である。また、環状部材18は、遊星歯車17に噛み合う内歯車である。すなわち、本実施形態における第2伝達機構5は遊星歯車機構により構成される。以下、太陽部材と太陽歯車とに共通符号16を用い、遊星部材と遊星歯車とに共通符号17を用いる。また、環状部材と内歯車とに共通符号18を用いる。
なお、第2伝達機構5は、遊星歯車機構に限定されず、例えば遊星ローラ機構(トラクションドライブ)により構成されてもよい。この場合、太陽部材16、遊星部材17及び環状部材18は、それぞれ太陽ローラ、遊星ローラ、及び遊星ローラが転接するリングローラとなる。
図1、図2に示すように、太陽歯車16は、中間軸13の小径部13bに固定されている。遊星歯車17は、円環状の支持部材20に回転可能に支持されている。支持部材20には、遊星歯車17を支持可能な複数の支持軸21が設けられている。図1に示すように、支持軸21は軸受22を介して遊星歯車17を回転可能に支持している。図8及び図9に示すように、支持部材20に合計6本の支持軸21が設けられているが、そのうちの3本の支持軸21は3個の遊星歯車17を支持し、残りの3本の支持軸21は、遊星歯車17を支持していない。ただし、支持軸21の数は遊星歯車17(もしくは遊星ローラ)の設計によって変化するものであり、本数を限定するものではなく、いくつであっても構わない。
環状部材(内歯車)18は、ケーシング7に対して回転不能に固定されている。図8及び図9に示すように、環状部材(内歯車)18は、円周方向に間隔をおいて形成される複数の貫通孔18aを有する。環状部材(内歯車)18は、後述するように、この貫通孔18aを介してケーシング7に固定される。
キャリア19は、第1伝達機構4の中間軸13と出力軸3との間にあって、これらと同軸状に配置されている。キャリア19は、ボス部19aとフランジ部19bとを有する。ボス部19aは、第3伝達機構6の一部を支持するように構成される。ボス部19aの軸方向における一端部には突起部19cが形成され、他端部には凹部19dが形成されている。
突起部19cは、球面を有する半球状に構成される。突起部19cは、出力軸3の凹部3cに挿入されており、その底面に接触(点接触)している。凹部19dは、ボス部19aの他端部における端面の中心部(軸心部)に形成されている。この凹部19dには、軸受23(すべり軸受)が取り付けられている。軸受23は、第1伝達機構4における中間軸13の小径部13bを支持している。凹部19dの底面には、この中間軸13の突起部13dが接触(点接触)している。また、この突起部19cの接触は一般的な軸受で支持しても構わない。
図1及び図9に示すように、キャリア19のフランジ部19bは、その円周方向に間隔をおいて形成される複数の貫通孔19eを有する。キャリア19は、貫通孔19eに支持軸21が挿入されることにより、遊星歯車17に連結される。
第3伝達機構6は、キャリア19を回転可能に支持する軸受構造(例えば円筒ころ軸受)によりトラクションドライブを構成する。図1、図2、図10及び図11に示すように、第3伝達機構6は、内輪24と、外輪25と、複数の転動体26と、出力軸3の大径部3aに一体形成される保持器27とを備える。
内輪24は、円環状に構成されるとともに、キャリア19のボス部19aに固定されている。内輪24は、転動体26が転動可能な軌道面24aを有する。軌道面24aは、断面視において直線状に構成される。軌道面24aは、転動体26が接触し得る接触点CP1を有する。なお、軌道面24aは、転動体26と線接触し得るが、接触点CP1は、線接触する部位における任意の点である。
外輪25は、円環状に構成されるとともに、ケーシング7の内側に固定されている。外輪25は、転動体26が転動可能な軌道面25aを有する。軌道面24aは、断面視において直線状に構成される。軌道面25aは、転動体26が接触し得る接触点CP2を有する。なお、軌道面25aは、転動体26と線接触し得るが、接触点CP2は、線接触する部位における任意の点である。
図10乃至図12に示すように、転動体26は、円筒状のころにより構成されるが、これに限定されず、玉(球体)により構成されてもよい。転動体26の直径D2は、転動体26が組み込まれていない状態において、内輪24の軌道面24aにおける接触点CP1と、外輪25の軌道面25aにおける接触点CP2との半径方向における距離L2よりも大きく設定されている(図12参照)。この距離L2は、内輪9の軌道面9aにおける半径と、外輪10の軌道面10aの半径との差に相当する。
これにより、転動体26を内輪24と外輪25との間に組み込んだ場合に、この軸受構造における軸受内部隙間が負になる。したがって、転動体26を内輪24と外輪25との間に組み込むと、内輪24、外輪25及び転動体26に軸線方向に直交する方向の応力を発生させ、これを予圧として付与できる。このように、内輪24、外輪25及び転動体26における寸法の関係により、第3伝達機構6に予圧を付与する予圧機構28が構成される。
図10及び図11に示すように、保持器12は、大径部3aから軸方向に突出する複数の突起部27aと、転動体11を保持するポケット27bとを有する。複数の突起部27aは、大径部3aの周方向に一定の間隔をおいて形成される。ポケット27bは、周方向において隣り合う突起部27aの間に形成される凹部である。ポケット27bは、軸方向の一端側が開放状に構成される。保持器27は、ポケット27bに転動体26を係合させることにより、複数の転動体26を等間隔で保持するとともに、転動体26の転動(自転及び公転)による回転駆動力を、出力軸3に伝達する動力伝達部として機能する。
図11及び図13に示すように、突起部27aは、その外径面に、潤滑剤(潤滑油又はグリース)を保持する柔軟性構造体としての植毛部27cを有する。植毛部27cは、突起部27aの外径面に繊維材(短繊維27d)を植毛することにより構成される。植毛部27cは、中間軸13の保持器12に形成される植毛部12cと同じ構成を有する。すなわち、植毛部27cは、突起部27aの外径面に形成される接着層27eに多数の短繊維27dを固着することにより構成される(図7参照)。
各伝達機構4〜6には、潤滑剤(潤滑油又はグリース)が封入されている。各伝達機構4〜6に使用される潤滑油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油などの炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素油などの非炭化水素系合成油などが挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
潤滑剤としてグリースが使用される場合、当該グリースを構成する基油としては、上記の潤滑油が挙げられる。また、グリースを構成する増ちょう剤としては、例えば、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物、PTFE樹脂などのフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
潤滑剤には必要に応じて公知の添加剤が添加される。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑材、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
特に、第1伝達機構4の予圧機構14、及び第3伝達機構6の予圧機構28に使用される潤滑剤としては、油膜による十分なトラクション力を生じさせるために、上記の例のうち、トラクション係数が大きなもの(例えばグリース)が採用される。
図1に示すように、ケーシング7は、入力軸2を支持する第1構成部材29と、出力軸3を支持する第2構成部材30とを主に備える。
図1に示すように、第1構成部材29は、ボス部29aとフランジ部29bとを有する。ボス部29aは、その内径面にて、第1伝達機構4の外輪10と、中間軸13を支持する軸受15とを保持している。フランジ部29bは、その円周方向に沿って等間隔にて形成される複数の貫通孔29cを有する。
図1に示すように、第2構成部材30は、ボス部30aとフランジ部30bとを有する。ボス部30aの端面には、円環状の蓋体31が固定されている。また、ボス部30aは、その内径面にて、第3伝達機構6における外輪25と、出力軸3を支持する軸受8とを保持している。フランジ部30bは、その円周方向に沿って等間隔で貫通形成されるねじ孔30cを有する。
第1構成部材29と第2構成部材30は、以下のようにして連結される。すなわち、各フランジ部29b、30bを対向させるとともに、これらのフランジ部29b,30bの間に環状部材18を介在させる。このとき、第1構成部材29におけるフランジ部29bの第1貫通孔29cと、環状部材18の貫通孔18aと、第2構成部材30におけるフランジ部30bのねじ孔30cとを一致させる。さらにこれらの孔18a、29c、30cにボルト等の固定部材32を挿通する。固定部材32を締結することにより、第1構成部材29と第2構成部材30とによって環状部材18を挟んだ状態で、これらを一体に連結したケーシング7が構成される。本実施形態では、環状部材18の外径面が、各フランジ部29b,30bの外面と面一になるように構成されるが、これに限定されず、例えば第2構成部材30のフランジ部30bによって環状部材18の外径面を全て覆うとともに、このフランジ部30bに環状部材18を固定するようにしてもよい。
以下、上記構成の複合変速機1(減速機)の動作態様について説明する。
駆動源によって入力軸2が回転させられると、第1伝達機構4の内輪9がこの入力軸2とともに回転する。そうすると、内輪9の軌道面9aに接触している転動体11は、内輪9の回転に伴って自転しながら、入力軸2(大径部2a)の周りを公転する。このように転動体11が公転することにより、中間軸13に設けられた保持器12が転動体11に駆動される。転動体11の転動に応じて保持器12が回転することで、中間軸13は、一定の減速比により、入力軸2の回転速度よりも低速で、入力軸2と同じ方向に回転する。
中間軸13が回転すると、これに応じて中間軸13に固定された太陽歯車16が回転する。太陽歯車16が回転すると、遊星歯車17は、太陽歯車16と内歯車18との間で、自転しながら太陽歯車16の周りを公転する。遊星歯車17の公転により、キャリア19は、その支持軸21により駆動される。これにより、キャリア19は、一定の減速比にて、中間軸13の回転速度よりも低速で、入力軸2と同じ方向に回転する。
また、キャリア19に固定される第3伝達機構6の内輪24がキャリア19とともに回転し、これに応じて第3伝達機構6の転動体26が自転しながらキャリア19のボス部19aの周りを公転する。転動体26の公転により、出力軸3の保持器27(大径部3a)が駆動される。保持器27の回転により、出力軸3は、一定の減速比にて、キャリア19の回転速度よりも低速で、入力軸2と同じ方向に回転する。
以上説明した本実施形態に係る複合変速機1によれば、第1伝達機構4における転動体11の直径D1を、内輪9及び外輪10における接触点CP1,CP2間の距離L1よりも大きく設定し、第3伝達機構6における転動体26の直径D2を、内輪24及び外輪25における接触点CP1,CP2間の距離L2よりも大きく設定し、各転動体11,26を各内輪9,24と各外輪10,25との間に配設することにより、各伝達機構4,6に好適な予圧を付与できる。この予圧により、転動体26はすべりを生じ難くなる。
また、軸受構造のみによって第1伝達機構4及び第3伝達機構6に予圧を付与することで、別途の機構を用いることなく、各予圧機構14,28を簡素化して複合変速機1を可及的に小型化できる。さらに、複合変速機1は、複数の伝達機構4〜6により構成されることから、より大きな変速比(減速比)を実現できる。
さらに本実施形態では、第1伝達機構4の中間軸13と一体に構成される保持器12と、出力軸3と一体に構成される保持器27とに植毛部12c、27cを形成し、この植毛部12c,27cによって潤滑剤を保持させることで、遠心力による潤滑剤の飛散を抑制でき、各転動体11,26の近傍位置に当該潤滑剤を長期的に介在させることができる。これにより、複合変速機1は、各予圧機構14,28に対する潤滑を長期間に亘って行うことができる。また、植毛部12c,27cは、短繊維12d、27dにより構成されることから、各伝達機構4、6及び各予圧機構14,28の大型化を招くこともない。
図14及び図15は、本発明に係る複合変速機の第2実施形態を示す。上記の第1実施形態では、第1伝達機構4乃至第3伝達機構6により複合変速機1を構成したが、本実施形態ではこのうち第3伝達機構6を省略している。
本実施形態に係る複合変速機1は、第1実施形態と同様に、入力軸2と、出力軸3と、内輪9、外輪10、転動体11及び中間軸13により構成される第1伝達機構4と、太陽歯車16、遊星歯車17、内歯車18及びキャリア19により構成される第2伝達機構5と、ケーシング7と、予圧機構14とを備える。
入力軸2は、第1実施形態と同様に、大径部2a及び小径部2bを有しており、第1伝達機構4を介してケーシング7の第1構成部材29に支持されている。出力軸3は、第1実施形態と同様に大径部3aと小径部3bとを有するが、大径部3aの端面に形成される凹部3cに軸受33を有する点が第1実施形態とは異なる。
第1実施形態では、中間軸13の小径部13bに形成された突起部13dを第2伝達機構5におけるキャリア19の凹部19dの底面に接触させていたが、本実施形態では、中間軸13には突起部13dが形成されていない。中間軸13の小径部13bは出力軸3の凹部3cに設けられた軸受33に支持されている。
第1実施形態では、ケーシング7の第1構成部材29に貫通孔29cが形成され、第2構成部材30にねじ孔30cが形成されていたが、本実施形態では、第1構成部材29にねじ孔29cを形成し、第2構成部材30に貫通孔30cを形成している。
第1実施形態では、第3伝達機構6の転動体26を保持する保持器27を出力軸3の大径部3aに対して一体に形成していたが、本実施形態では、第2伝達機構5におけるキャリア19が出力軸3の大径部3aに対して一体に形成されている。すなわち、第1実施形態では、第2伝達機構5(キャリア19)の回転駆動力が第3伝達機構6を介して出力軸3に間接的に伝達されていたが、本実施形態では、上記の構成により、第2伝達機構5の回転駆動力が出力軸3に直接的に伝達される。
第1伝達機構4の中間軸13に設けられる保持器12は、第1実施形態における保持器12と同じ構成であり、突起部12a、ポケット12b、及び植毛部12cを備える(図15参照)。
本実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態と共通する構成要素には共通する符号を付している。
図16乃至図18は、本発明に係る複合変速機の第3実施形態を示す。本実施形態に係る複合変速機1は、第1実施形態と同様に第1伝達機構4乃至第3伝達機構6を備えるが、このうち、第3伝達機構6の位置が第1実施形態とは異なる。第1実施形態において、第3伝達機構6は、出力軸3と第2伝達機構5との間に設けられていたが、本実施形態では、第1伝達機構4と第2伝達機構5との間に設けられている。
図16に示すように、第1伝達機構4は、第1実施形態と同様に、内輪9と、外輪10と、転動体11と、保持器12を含む中間軸(以下「第1中間軸」という)13とを備える。第1伝達機構4には、予圧機構14により予圧が付与されている。また、第2伝達機構4は、太陽歯車16と、遊星部材(遊星歯車)17と、環状部材(内歯車)18と、キャリア19とを備える。キャリア19は、第2実施形態と同様に出力軸3の大径部3aと一体化されている。キャリア19には穴19eが形成されており、この穴19eには、第2伝達機構5の支持軸21が係合している。
第3伝達機構6は、第1実施形態と同様に、内輪24と、外輪25と、転動体26とを備える。第3伝達機構6には、予圧機構28により予圧が付与されている。内輪24は、第1伝達機構4における第1中間軸13の大径部13aに固定されている。外輪25は、ケーシング7における第1構成部材29の内側にて固定されている。
また、第3伝達機構6は、転動体26に係合する中間軸(以下「第2中間軸」という)34を備える。第2中間軸34は、第1中間軸13と出力軸3との間にあって、これらと同軸状に配置されている。第2中間軸34は、一端部に大径部34aを有し、他端部に小径部34bを有する。大径部34aは、転動体26を保持する保持器27(動力伝達部)を一体に有する。大径部34aの軸方向端部には、第1中間軸13の突起部13dが係合する凹部34cが形成されている。この凹部34cは、大径部34aの端面における中心部(軸心部)に形成されている。凹部34cに底面には、第1中間軸13の突起部13dが接触(点接触)している。
第2中間軸34の小径部34bは、その一端部に突起部34dを有する。突起部34dは、小径部34bの端面における中心部(軸心部)に形成されている。突起部34dは、球面を有する半球状に構成されている。小径部34bは、出力軸3における大径部3aの凹部3cに嵌装された軸受33に支持されている。小径部34bの突起部34dは、この凹部3cの底面に接触(点接触)している。
本実施形態におけるケーシング7は、第1構成部材29、第2構成部材30及び蓋体31の他、第1構成部材29と内歯車18との間に配置される筒状の第3構成部材35を備える。第3構成部材35は、その内径面にて、第3伝達機構6の外輪25を回転不能に保持している。第3構成部材35は、その円周方向に間隔をおいて形成される複数の貫通孔35aを有する。各貫通孔35aは、第1構成部材29の貫通孔29c、内歯車18の貫通孔18a、及び第2構成部材30のねじ孔30cと一致するように構成される。第3構成部材35は、この貫通孔35a及び固定部材32を介して第1構成部材29及び内歯車18に連結されている。
図17及び図18に示すように、各中間軸13,34の各保持器12,27は、第1実施形態における中間軸13の保持器12と同様に、突起部12a,27a、ポケット12b,27b、及び潤滑剤(潤滑油又はグリース)を保持する植毛部12c,27cを有する。
本実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態と共通する構成要素には共通する符号を付している。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の第1実施形態では、第1伝達機構4を深溝玉軸受による軸受構造とし、第3伝達機構6を円筒ころ軸受による軸受構造とした例を示したが、これに限定されない。第1伝達機構4と第3伝達機構6とを同種の軸受構造としてもよく、各伝達機構4,6を例示した軸受以外の軸受により構成してもよい。
上記の第1、第3実施形態では、3つの伝達機構4〜6を備える複合変速機1を例示したが、伝達機構の数はこれに限定されない。例えば、第2伝達機構5と同様な遊星歯車機構(又は遊星ローラ機構)からなる第4伝達機構、第1伝達機構4と同様な軸受構造を有する第4伝達機構というように、複合変速機1を更なる多段の伝達機構により構成してもよい。また、第3伝達機構6を遊星機構により構成してもよい。
すなわち、本発明に係る複合変速機1は、中間軸13に転動体11を保持する保持器12を備えた伝達機構(第1伝達機構4)と、遊星歯車機構又は遊星ローラ機構を備える伝達機構(第2伝達機構5)とを少なくとも1つずつ備えていればよい。
また、上記の第1〜第3の実施形態では、柔軟性構造体として、植毛部12c,27cが形成されている例を示したが、柔軟性構造体として、軟質発泡材または軟質樹脂材を用いてもよい。軟質発泡材としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン、フェノール、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴムを発泡したものが挙げられる。軟質樹脂材としては、コルク材、ゴム板材、ポリエチレンや塩化ビニルなどの軟質シートが挙げられる。
1 複合変速機
2 入力軸
3 出力軸
4 第1伝達機構
5 第2伝達機構
6 第3伝達機構
9 第1伝達機構の内輪
10 第1伝達機構の外輪
11 第1伝達機構の転動体
12 保持器
12c 植毛部(柔軟性構造体)
13 第1伝達機構の中間軸
14 予圧機構
16 太陽部材
17 遊星部材
18 環状部材
24 第3伝達機構の内輪
25 第3伝達機構の外輪
26 第3伝達機構の転動体
27 保持器
27c 植毛部(柔軟性構造体)
28 予圧機構
34 第3伝達機構の中間軸(第2中間軸)

Claims (3)

  1. 入力軸と、前記入力軸に入力された回転駆動力を出力する出力軸と、前記入力軸の前記回転駆動力を所定の変速比で変換する第1伝達機構と、前記第1伝達機構から伝達された回転駆動力を所定の変速比で変換し、前記出力軸に伝達する第2伝達機構と、前記第1伝達機構に予圧を付与する予圧機構と、を備える複合変速機であって、
    前記第1伝達機構は、前記入力軸に設けられるとともに軌道面を有する内輪と、軌道面を有する外輪と、前記内輪の前記軌道面と前記外輪の前記軌道面との間で転動するように配設される複数の転動体と、前記転動体に係合して回転することにより前記回転駆動力を前記第2伝達機構に伝達する中間軸と、備え、
    前記第2伝達機構は、前記中間軸に設けられる太陽部材と、前記太陽部材に係合する遊星部材と、前記遊星部材に係合する環状部材と、前記遊星部材に係合して回転することにより前記出力軸に前記回転駆動力を伝達するキャリアと、を備え、
    前記予圧機構は、前記転動体の直径を、前記転動体が前記内輪の前記軌道面と接触する接触点と、前記転動体が前記外輪の前記軌道面と接触する接触点との距離よりも大きくすることにより構成されており、
    前記中間軸は、前記転動体に係合して回転することにより前記入力軸の回転駆動力を前記中間軸に伝達する動力伝達部を有しており、前記動力伝達部は、前記転動体を保持する保持器であり、
    前記第1伝達機構における前記保持器は、潤滑剤を保持する柔軟性構造体を備えることを特徴とする複合変速機。
  2. 前記出力軸と前記第2伝達機構との間に設けられるとともに、前記第2伝達機構から伝達される前記回転駆動力を所定の変速比で変換して前記出力軸に伝達する第3伝達機構と、前記第3伝達機構に予圧を付与する予圧機構を備え、
    前記第3伝達機構は、前記第2伝達機構の前記キャリアに固定されるとともに軌道面を有する内輪と、軌道面を有する外輪と、前記内輪の前記軌道面と前記外輪の前記軌道面との間で転動するように配設される複数の転動体と、前記転動体に係合して回転することにより前記回転駆動力を前記出力軸に伝達する動力伝達部と、を含み、
    前記予圧機構は、前記第3伝達機構における前記転動体の直径を、前記第3伝達機構において前記転動体が前記内輪の前記軌道面と接触する接触点と、前記転動体が前記外輪の前記軌道面と接触する接触点との距離よりも大きく設定することにより構成されており、
    前記第3伝達機構における前記動力伝達部は、前記転動体を保持する前記保持器であり、かつ前記出力軸に対して一体に構成されており、
    前記第3伝達機構における前記保持器は、潤滑剤を保持する柔軟性構造体を備える請求項1に記載の複合変速機。
  3. 前記第1伝達機構と前記第2伝達機構との間に設けられるとともに、前記第1伝達機構の前記回転駆動力を所定の変速比で変換して前記第2伝達機構に伝達する前記第3伝達機構と、前記第3伝達機構に予圧を付与する予圧機構と、を備え、
    前記第3伝達機構は、前記第1伝達機構の前記中間軸に固定されるとともに軌道面を有する内輪と、軌道面を有する外輪と、前記内輪の前記軌道面と前記外輪の前記軌道面との間で転動するように配設される複数の転動体と、前記転動体に係合して回転することにより前記第1伝達機構の前記回転駆動力を前記第2伝達機構に伝達する中間軸と、を含み、
    前記予圧機構は、前記第3伝達機構における前記転動体の直径を、前記第3伝達機構において前記転動体が前記内輪の前記軌道面と接触する接触点と、前記転動体が前記外輪の前記軌道面と接触する接触点との距離よりも大きく設定することにより構成されており、
    前記第3伝達機構における前記中間軸は、前記転動体に係合して回転することにより前記入力軸の回転駆動力を前記中間軸に伝達する動力伝達部を有しており、前記動力伝達部は、前記転動体を保持する保持器であり、
    前記第3伝達機構における前記保持器は、潤滑剤を保持する柔軟性構造体を備える請求項1に記載の複合変速機。

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