本発明者は、抗CGRP抗体が、メトホルミンと比較して、白色脂肪組織におけるグルコース利用率のいずれの明らかな増加も伴わずに周辺筋肉における有意に増加されたグルコース利用を産生することを発見した。さらには、本明細書に記載の抗CGRP抗体は心臓におけるグルコース利用を増大させ、一方でメトホルミンは心臓におけるグルコース利用率の低減を生じた。加えて、本明細書に記載の抗CGRP抗体は、メトホルミンの投与から得られる効果と同様に、肝臓のグルコース産生を阻害した。
強力な機能的拮抗薬である、抗CGRP抗体Ab14を、正常ラット(実施例1)において、メタボリック症候群を誘発するために高脂肪/高フルクトース食を6週間与えられていた高インスリン血症だが正常血糖の食餌誘発性肥満(DIO)ラット(実施例2)において、及び前糖尿病性の(高インスリン血症、正常血糖)状態から明らかな糖尿病の(低インスリン血症、高血糖)状態へと進行したZucker糖尿病肥満(ZDF)ラット(実施例3)において、インスリン感受性及び血糖コントロールに及ぼすその効果を決定するために正常な及び改変されたグルコース代謝の前臨床動物モデルにおいて評価した。
実施例1では、正常血糖、正常インスリン(normoinsulinemic)であり、正常な全身及び組織特異的インスリン感受性を有する正常ラットの、全身インスリン感受性ならびに特定の組織のインスリン感受性に及ぼすその効果を決定するために、高インスリン血症−正常血糖クランプ試験を、Ab14を用いて実施した。Ab14を、単回100mg/kg投与として正常ラットに高インスリン血症−正常血糖クランプ処置の4
8時間前に静脈内投与した。クランプ処置の直前に測定された血漿グルコース及びインスリンレベルの評価からの結果は、Ab14が血漿グルコースレベルを変えることなく、ビヒクルで処置された対照と比較して血漿インスリンレベルを低下させたことを示した。結果得られたHOMA−IRにおける低下は、全身インスリン感受性における改善を示した。
高インスリン血症−正常血糖クランプ処置は、CGRP拮抗作用による全身インスリン感受性におけるこの改善を確かにし、定常状態では、グルコース注入率及び全身グルコース代謝回転(利用)率の両方がビヒクル処置された対象と比較して上昇した。一定のインスリン注入を用いたグルコース注入率及び全身グルコース代謝回転の増加は、全身インスリン感受性の増加を示した。
グルコース注入率及び全身グルコース代謝における増加と一致して、糖分解及びグリコーゲン合成のための肝臓のグルコース利用はビヒクルで処置された対照と比較してAb14によって増加し、肝臓のグルコース産生は低下した。これらの観察は、新規の肝臓のグルコース産生を阻害すると同時に、エネルギー産生及び貯蔵のためにより多く供給される内部に取り入れたグルコースの肝臓利用の増加をもたらす、CGRP拮抗作用による肝臓のインスリン感受性の増加を示す。
CGRP拮抗作用は、糖分解ならびに酸化的骨格筋(糖分解+酸化の混合を示す外側広筋;糖分解を示す長指伸筋、及び酸化を示すヒラメ筋)におけるグルコース利用も増加させた。グルコース利用のもっとも大きな増加は、混合代謝外側広筋で生じた。これらの観察は、CGRP拮抗作用によって引き起こされる骨格筋インスリン感受性の増加を示す。CGRP拮抗作用は、心臓のグルコース利用も増加させた。対照的に、内臓または皮下脂肪デポにおけるグルコース利用率は影響を受けず、このことはCGRP拮抗作用が白色脂肪組織におけるインスリンを実質的に増加させなかったことを示す。
上述のように、本試験において使用する動物は、正常な全身及び組織特異的インスリン感受性を有する正常血糖ラットとし、これらの動物においてインスリン感受性の改善を与えることは、実証がより難しい。それゆえ、本試験において評価された個々のエンドポイントにおける改善のいくつかが統計学的な有意性に達しなかったとしても、それらがしたものと同じ方向への傾向を示した観察は、検出力(study power)の増大によって追加の測定パラメータが統計学的有意性に達することが可能になり得ることを示唆する。さらには、一般に実験動物において実施された高インスリン血症−正常血糖クランプ試験から臨床セッティングにて実施された高インスリン血症−正常血糖クランプ試験への結果の高度な翻訳があるため、これらの観察は、ヒトにおける全身及び組織特異的インスリン感受性を改善するCGRP拮抗作用の可能性を示唆する。
実施例2では、インスリン抵抗性動物における肝臓及び末梢のインスリン感受性に及ぼすAb14の慢性投与によるCGRP拮抗作用の効果を、高脂肪/高フルクトース食を長期与えることによって高インスリン血症でインスリン抵抗性だが高血糖でないよう作成されたマウスにおいて評価した。ラットに、69%脂肪及び14%フルクトースを含有する食餌を化合物投与の開始前に7週間与えてメタボリック症候群を誘発した。7週間の食餌処置期間の終わりに、ラットに高脂肪/高フルクトース食餌を受けさせ続け、加えて、Ab14を0mg/kg(ビヒクル)、10mg/kg、30mg/kg、または100mg/kgの用量で週1回2週間静脈内に与えた。
高脂肪食を与えたビヒクルで処置された対照群と比較したとき、CGRP拮抗作用は、食物消費量または体重に何の効果も与えず、これは下記で評価される追加のパラメータに及ぼすCGRP拮抗作用の効果がカロリー制限または体重減少によるものではないことを
示す。
処置期間の終わりに、全ての用量のAb14は、ビヒクルで処置された対照と比較してHOMA−IRを低下させ、これは全身インスリン感受性における改善を示した。HOMA−IRにおけるこの低下は、全ての用量のAb14で生じた、血漿インスリンレベルの低下に主に起因した。血漿インスリンにおける低下は、膵臓インスリン合成の副産物である血漿C−ペプチドが血漿インスリンにおける低下に並行して低下されたために、インスリン分解の増加よりむしろインスリン産生の低下によるものであった。血漿グルコースレベルはAb14の少ない方の2つの用量によって微かにのみ低下されたが、ビヒクルで処置された対照と比較して100mg/kg用量のAb14によって実質的に低下された。
処置の最終日の直後、2段階の高インスリン血症−正常血糖クランプ処置を行い、まず生理学的量のインスリンの注入を用いて、次に、超生理学的インスリン濃度を用いた。全3つの用量のAb14は、生理学的及び超生理学的インスリン注入濃度の両方の後に、ビヒクルで処置された対照と比較して、定常状態グルコース注入率を増加させた。これは、全身インスリン感受性における改善と一致する。全3つの用量のAb14はまた、生理学的インスリン濃度の注入後に、ビヒクルで処置された対照と比較して、全身グルコース代謝回転(利用)率を増加させ、糖分解及びグリコーゲン合成のための肝臓のグルコース利用を増加させ、肝臓のグルコース産生を阻害した。これは、全身及び肝臓のインスリン感受性の両方における改善と一致する。肝臓のグルコース産生は、超生理学的インスリン濃度の注入後にも完全に予防された。
正常なラットにおけるCGRP拮抗作用の急性効果(実施例1)と正常血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性ラットにおけるその慢性効果(実施例2)の間の類似性は、確立されたインスリン抵抗性を処置するために慢性的に機能するCGRP拮抗作用の能力を示す。加えて、上述のように、一般に実験動物において実施された高インスリン血症−正常血糖クランプ試験から臨床セッティングにて実施された高インスリン血症−正常血糖クランプ試験への結果の高度な翻訳があるため、これらの観察は、CGRP拮抗作用が前糖尿病を有するまたはメタボリック症候群を有するインスリン抵抗性ヒトにおける全身及び組織特異的インスリン感受性を改善する可能性を示す。最後に、評価された最高用量においてのみであるが、これらの正常血糖動物における血漿グルコースレベルを低下させるCGRP拮抗作用の能力は、CGRP拮抗作用が高血糖患者における血漿グルコースレベルも低下させる可能性を示唆する。
実施例3では、Ab14の慢性投与がグルコース制御に及ぼす効果を、前糖尿病性の(高インスリン血症、正常血糖)状態から明らかな糖尿病の(低インスリン血症、高血糖)状態へと進行しているZDFラットにおいて評価した。これらの動物は、生後7週までに、高血糖をほとんどから全く伴わないが、彼らが抱えるインスリン抵抗性を補うための顕著な高インスリン血症によって特徴付けられる、前糖尿病を発症する。これは、生後10〜12週までに、膵β細胞不全の結果としての低インスリン血症及び顕著な高血糖によって特徴づけられる明らかな糖尿病へと急速に進行する。
生後8週で、ZDFラットを、それらのHOMA−IRに従いスクリーニングし、Ab14を20または60mg/kgで用いて週1回28日間処置した。この動物モデルにおける血糖コントロールに及ぼすCGRP拮抗薬Ab14の作用を評価することに加えて、市販薬メトホルミン(200mg/kg/日)と組み合わせたCGRP拮抗作用の効果も評価した。メトホルミン単独は、空腹時血中グルコースにおける上昇の部分的な予防、血漿インスリン及びC−ペプチドレベルにおける低下の部分的な予防、膵臓プロインスリンレベルにおける低下の完全な予防、膵臓インスリンレベルにおける低下の部分的な予防、及び膵島の空胞形成、過形成、及び線維化における低下を産生し、それの程度は高用量の
Ab14について上述されたそれと類似した。しかしながら、Ab14及びメトホルミンの組み合わせは、いずれの化合物単独よりも、実質的に大きな、空腹時血中グルコースにおける上昇、血漿インスリン及びC−ペプチドレベルにおける低下、膵臓プロインスリン及びインスリンレベルにおける低下、及び膵島線維化における低下の予防を産生した。これは、メトホルミンの効果が、Ab14などのCGRP拮抗薬によって増強され得ることを示す。
加えて、Ab14及びメトホルミンの組み合わせは、28日間の処置後にビヒクルで処置された対照と比較して、HbA1cレベル(ヘモグロビン糖化のマーカー)における実質的な低下及びそれより少ない程度のフルクトサミンレベル(血漿アルブミン糖化のマーカー)におけるより低下をもたらした。これは、いずれかの薬剤単独よりもAb14+メトホルミンの組み合わせによって産生される、血漿グルコースレベルのより大きな低下と一致する。これらの結果は、CGRP拮抗薬及びメトホルミンの併用が、高血糖が介在する糖尿病合併症に有利に影響することができることを示唆する。
同様に、高用量のAb14とメトホルミンの併用は、試験の26日目に実施された経口ブドウ糖負荷試験(oGTT)中のグルコースボーラス投与後、ビヒクルで処置された動物と比較してグルコース可動域及びグルコースAUCにおける改善を示した。さらには、試験の26日目までにこれらの動物におけるβ細胞破壊がグルコース変化に応じてインスリン分泌を増加させる彼らの能力の点を超えて進行したため、oGTTが2週間早くまたは完全なβ細胞破壊より前の時点で行われたとしたら、Ab14+メトホルミンの併用を用いてグルコース可動域及びグルコースAUCにおけるさらにより多くの実質的な改善を観察することができたことが予期された。
実施例3において使用されたZDFラットは、インスリン抵抗性前糖尿病性の状態からほんの数週間の時間経過にわたって生じた完全なβ細胞破壊を伴う明らかな糖尿病へと急速に進行した、糖尿病進行の非常に重症なモデルである。これは、これらの動物において実証することが難しい疾患進行における化合物関連改善及びβ細胞保護を表す、疾患進行の変調を評価する機会を制限する。それゆえ、上記に概説したCGRP拮抗薬Ab14による疾患進行の控えめな遅延の実証はいずれも、臨床における疾患進行にも影響する可能性を示唆する。加えて、CGRP拮抗作用とメトホルミンの併用を通して全体の処置有効性を改善する能力は、臨床における併用療法の有効性の改善も支持する。
本出願に表す実施例の結果は、CGRP拮抗作用が、全身インスリン感受性、肝臓のインスリン感受性、及び骨格筋インスリン感受性を改善する能力を有することを示す。これらの改善は、正常インスリン及び正常血糖であり正常なインスリン感受性を有する正常な動物、ならびに高インスリン血症だがまだ高血糖ではないインスリン抵抗性動物において急性的または慢性的に観察されることができる。これらの結果は、CGRP拮抗作用が、メタボリック症候群、前糖尿病、または他の前糖尿病性の症状を有する患者に存在するインスリン抵抗性を低減させ得、さらにCGRP拮抗作用がこれらの疾患から明らかな糖尿病への進行を遅らせることができる可能性があることを示す。
加えて、CGRP拮抗薬Ab14の、膵臓インスリン分泌を低下させることによってインスリン抵抗性動物に存在する高インスリン血症を低下させる能力は、Ab14が、インスリン抵抗性動物の膵臓が休息することを可能にすることにより膵臓β細胞節約効果を有し得ることを示唆する。これは、臨床においてメタボリック症候群、前糖尿病、及び他の前糖尿病性の症状から明らかな糖尿病への進行をさらに遅延させ得る。
さらには、インスリン抵抗性で、高インスリン血症だが正常血糖であるラットにおける血漿グルコースレベルを低下させる、及びZDFラットにおいて前糖尿病から明らかな糖
尿病への進行を遅らせる、及びインスリン産生を増加させる能力がほとんどからまったく残っていない明らかな糖尿病の動物における血漿グルコースレベルの低下を維持する、Ab14の能力は、CGRP拮抗作用が上記に概説した前糖尿病性の状態のみでなく明らかな糖尿病においても疾患進行に影響する能力を有し得ることを示す。
ゆえに、まとめると、これらの試験の結果は、Ab14などのCGRP拮抗薬が、前糖尿病性の症状を有する患者及び明らかな糖尿病を発症しそうまたは明らかな糖尿病を有する患者における臨床セッティングにおいてインスリン抵抗性及びグルコース制御異常に有利に影響し得ることを明確に示す。
最後に、CGRP拮抗薬Ab14がZDFラットにおいてメトホルミンの作用を増強する能力は、前糖尿病性の症状を有する患者、糖尿病を発症しそうな患者、及び明らかな糖尿病を有する患者の処置に関して、Ab14−メトホルミン併用療法が、Ab14またはメトホルミン単独のいずれかと比較してより優れた臨床有効性のものである可能性を有することを示唆する。
定義
記載される特定の方法論、プロトコル、細胞株、動物の種または属、及び試薬は変更され得るため、本発明はそれらに限定されないことを理解されたい。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態の説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲の限定を意図しないことも理解されたい。本明細書で用いるとき、単数形は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数形の指示物を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は複数のかかる細胞を含み、「タンパク質」への言及は1つまたは複数のタンパク質及び当業者に知られるその同等物を含む。本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、別途明確に指示されない限り、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP):本明細書で使用されるとき、CGRPは、American Peptides(カリフォルニア州サニーヴェール)及びBachem(カリフォルニア州トーランス)から入手可能な以下のホモサピエンスCGRP−α及びホモサピエンスCGRP−βのアミノ酸配列を包含する。
CGRP−α:ACDTATCVTHRLAGLLSRSGGVVKNNFVPTNVGSKAF−NH2(配列番号281)、ここでN末端のフェニルアラニンはアミド化されている。別段の指示がある場合を除き、一般に「CGRP」への言及は典型的にCGRP−αを指す。CGRP−αは、αCGRPまたはα−CGRPとして互換可能に言及される。
CGRP−β:ACNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF−NH2(配列番号282)、ここでN末端のフェニルアラニンはアミド化されており、それのみでなく、これらのCGRPアミノ酸配列の任意の膜結合型、ならびにこの配列の変異体(mutiens)、スプライスバリアント、アイソフォーム、オルソログ、ホモログ及びバリアントも包含する。CGRP−βは、βCGRPまたはβ−CGRPとして互換可能に言及される。
正常血糖:本開示では、用語、正常血糖(normoglycemia)または正常血糖(euglycemia)は、正常な血中グルコース濃度を有する状態を指す。ヒトにおける例示的な正常な血中グルコース濃度は、空腹時成人において70mg/dlから99mg/dlであり、食後の成人において70mg/dlから140mg/dlである。持続的な正常血糖は、例えば、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも1週間、少
なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、またはより長い、大規模な期間にわたる正常血糖の維持を指す。
接合可能(mating competent)な酵母種:本発明では、これは培養物で増殖させることができる任意の二倍体または四倍体酵母を広く包含することが意図される。かかる酵母種は、一倍体、二倍体、または他の倍数体形態で存在し得る。所定の倍数性の細胞は、適切な条件下で、その形態で無限の世代にわたり増殖し得る。二倍体細胞はさらに胞子を形成して一倍体細胞を形成することもできる。連続接合の結果、二倍体株のさらなる接合または融合を通して四倍体株を得ることができる。本発明は、一倍体酵母の使用、ならびに、例えば、接合またはスフェロプラスト融合により生じた二倍体酵母細胞または他の倍数体酵母細胞の使用を企図する。
本発明の一実施形態では、接合可能な酵母はサッカロミセス(Saccharomycetaceae)科のメンバーであり、それにはアルキオジマ属(Arxiozyma)、アスコボトリオジマ属(Ascobotryozyma)、シテロミセス属(Citeromyces)、デバリオミセス属(Debaryomyces)、デッケラ属(Dekkera)、エレモテシウム属(Eremothecium)、イッサチェンキア属(Issatchenkia)、カザクスタニア属(Kazachstania)、クルイヴェロミセス属(Kluyveromyces)、コダマエア属(Kodamaea)、ロデロミセス属(Lodderomyces)、パキソレン属(Pachysolen)、ピキア属(ピキア)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、サツルニスポラ属(Saturnispora)、テトラピシスポラ属(Tetrapisispora)、トルラスポラ属(Torulaspora)、ウィリオプシス属(Williopsis)及びジゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)が含まれる。本発明において有用である可能性がある他の種類の酵母には、ヤロウィア属(Yarrowia)、ロドスポリジウム属(Rhodosporidium)、カンジダ属(Candida)、ハンセヌラ属(Hansenula)、フィロバシウム属(Filobasium)、スポリジオボラス属(Sporidiobolus)、ブレラ属(Bullera)、ロイコスポリジウム属(Leucosporidium)、及びフィロバシデラ属(Filobasidella)が含まれる。
本発明のある実施形態では、接合可能な酵母はピキア属のメンバーである。本発明のさらなる実施形態では、ピキア属の接合可能な酵母は次の種のうちの1つである:ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、及びハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(ピキア・アングスタ(Pichia angusta))。本発明の例示的な実施形態では、ピキア属の接合可能な酵母はピキア・パストリス種である。
一倍体酵母細胞:正常なゲノム(染色体)補体の各遺伝子を1コピー有する細胞。
倍数体酵母細胞:正常なゲノム(染色体)補体を1コピーより多く有する細胞。
二倍体酵母細胞:正常なゲノム相補体の基本的に全遺伝子を2コピー(アレル)有する細胞であって、典型的には2つの一倍体細胞の融合(接合)プロセスにより形成される細胞。
四倍体酵母細胞:正常なゲノム相補体の基本的に全遺伝子を4コピー(アレル)有する細胞であって、典型的には2つの一倍体細胞の融合(接合)プロセスにより形成される細胞。四倍体は、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い異なる発現カセットを有し得る。このような四倍体を、ホモ接合性ヘテロタリックのa/a二倍体とα/α二倍体を選択的
に接合させることにより出芽酵母(S.cerevisiae)において得ることができ、栄養要求性二倍体を得るための一倍体の連続接合によりピキア属において得ることができる。例えば、[met his]一倍体を[ade his]一倍体と接合させて二倍体[his]を得ることができ;[met arg]一倍体を[ade arg]一倍体と接合させて二倍体[arg]を得ることができ;次に二倍体[his]を二倍体[arg]と掛け合わせて四倍体の原栄養株を得る。二倍体細胞の利点と使用についての言及は、四倍体細胞にも当てはまり得ることは当業者に理解されるであろう。
酵母の接合:2つの一倍体酵母細胞が自然に融合して1つの二倍体酵母細胞を形成するプロセス。
減数分裂:二倍体酵母細胞が還元分裂を経て4つの一倍体胞子産物を形成するプロセス。各胞子は、その後出芽して一倍体の栄養生長する細胞株を形成し得る。
選択可能マーカー:選択可能マーカーは、例えば形質転換事象を通してその遺伝子を受容する細胞に対して成長表現型(物理的な成長特性)を付与する遺伝子または遺伝子断片である。選択可能マーカーは、その選択可能マーカー遺伝子を受容しない細胞が増殖できない条件下で、選択的増殖培地中でその細胞が生存及び増殖することを可能にする。選択可能マーカー遺伝子は一般にいくつかの種類に分類され、細胞に抗生物質または他の薬品への耐性、2つの温度感受性(「ts」)変異体が交雑されるとき、またはts変異体が形質転換されるときに温度への耐性を付与する遺伝子などのポジティブ選択可能マーカー遺伝子;生合成遺伝子であって、その遺伝子を持たない全ての細胞に必要とされる特定の栄養素を欠く培地で増殖する能力を細胞に付与する生合成遺伝子、または変異型生合成遺伝子であって、野生型遺伝子を持たない細胞に増殖不能性を付与する変異型生合成遺伝子などのネガティブ選択可能マーカー遺伝子;などを含む。好適なマーカーとしてはZEO;G418;LYS3;MET1;MET3a;ADE1;ADE3;URA3などが挙げられるが、これらに限定されない。
発現ベクター:これらのDNAベクターは、標的宿主細胞内での外来タンパク質の発現のための操作を促進するエレメントを含む。好都合には、形質転換のためのDNAの配列の操作及び産生は、まず、細菌宿主、例えば大腸菌(E.coli)で実施され、通常、ベクターは細菌複製起点及び適切な細菌選択マーカーを含む、かかる操作を促進する配列を含む。選択マーカーは、選択培地における形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されていない宿主細胞はその培地中で生存しない。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素に対する耐性を付与するタンパク質、(b)栄養要求性欠損を相補するタンパク質、または(c)複合培地から入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。酵母の形質転換のための例示的なベクター及び方法は、例えば、Burke,D.,Dawson,D.,&Stearns,T.(2000).「Methods in Yeast Genetics:A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manual」.Plainview,N.Y.:Cold
Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
本発明の方法において使用される発現ベクターは、形質転換された酵母株を特定するための選択可能栄養要求性マーカーまたは薬品マーカーを含む、酵母特異的配列をさらに含むだろう。薬品マーカーは、酵母宿主細胞内でのベクターのコピー数を増幅するためにさらに使用され得る。
対象となるポリペプチドコード配列は、酵母細胞におけるポリペプチドの発現を提供する転写及び翻訳調節配列と操作可能に結合される。これらのベクター成分は以下の1つま
たは複数を含むが、これらに限定されるものではない:エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写停止配列。ポリペプチドの分泌のための配列、例えば、シグナル配列なども含み得る。発現ベクターは多くの場合、酵母ゲノムに組み入れられるため、酵母複製起点は任意である。本発明の一実施形態では、対象のポリペプチドは、酵母二倍体細胞からのポリペプチドの最適化された分泌を提供する配列に操作可能に結合されるかまたは融合される。
核酸は、別の核酸配列との機能的関係に置かれる場合に「操作可能に結合」される。例えば、シグナル配列のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合に、ポリペプチドのDNAに操作可能に結合され、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に操作可能に結合する。一般に、「操作可能に結合」したとは、結合されるDNA配列が連続的であり、分泌リーダーである場合は連続的かつリーディングフレーム中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは連続的である必要はない。結合は都合のよい制限部位でのライゲーションにより、あるいは当業者に公知のPCR/組換え方法(Gateway(登録商標)Technology;Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)により達成され得る。このような部位が存在しない場合、従来の実施法に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用する。
プロモーターは、それらが操作可能に結合された特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する、構造遺伝子(一般に約100〜1000bp内)の開始コドンの上流(5’)に位置する非翻訳配列である。このようなプロモーターはいくつかのクラス:誘導性プロモーター、構成的プロモーター、抑制性プロモーター(抑制因子の不在に応答して転写レベルを増加させる)に分けられる。誘導性プロモーターは、培養条件の何らかの変化、例えば栄養素の存在または不在や温度変化などに応答して、それらの制御下でDNAからの増大したレベルの転写を開始することができる。
酵母プロモーター断片は、発現ベクターの相同的組換え及び酵母ゲノム内の同一部位への組み入れのための部位としても機能を果たし得る。あるいは、選択可能マーカーが相同的組換えのための部位として使用される。ピキア形質転換は、Creggら(1985)Mol.Cell.Biol.5:3376−3385、1985に記載されている。
ピキア由来の好適なプロモーターの例としては、AOX1及びプロモーター(Creggら、Mol.Cell.Biol.9:1316−1323、(1989));ICL1プロモーター(Menendezら、Yeast20(13):1097−108、(2003));グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(GAP)(Waterhamら、Gene186(1):37−44(1997));FLD1プロモーター(Shenら、Gene216(1):93−102(1998))が挙げられる。GAPプロモーターは強力な構成的プロモーターであり、AOX及びFLD1プロモーターは誘導性プロモーターである。
他の酵母プロモーターとしては、ADH1、アルコールデヒドロゲナーゼII、GAL4、PHO3、PHO5、Pyk及びそれら由来のキメラプロモーターが挙げられる。加えて、哺乳類、昆虫、植物、爬虫類、両生類、ウイルス及び鳥類プロモーターなどの非酵母プロモーターが本発明で使用され得る。最も典型的には、プロモーターは哺乳類プロモーター(発現した遺伝子に対して潜在的に内因性)を含むか、酵母系において効率的な転写を提供する酵母またはウイルスプロモーターを含むだろう。
対象のポリペプチドは、組換えによって、直接的だけでなく、異種性ポリペプチド、例えばシグナル配列または成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特定の切断部位を
有する他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとしても産生され得る。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるかまたはベクターに挿入されるポリペプチドコード配列の一部であり得る。宿主細胞内で利用可能な標準的経路の1つにより識別され処理される異種性シグナル配列が好ましくは選択される。出芽酵母のα因子プレプロシグナルは、ピキア・パストリス(P.pastoris)由来の様々な組換えタンパク質の分泌に有効であることが証明されている。他の酵母シグナル配列としては、α接合因子シグナル配列、インベルターゼシグナル配列、及び他の分泌型酵母ポリペプチド由来のシグナル配列が挙げられる。加えて、これらのシグナルペプチド配列を操作して二倍体酵母発現系における分泌を増強させてもよい。対象となる他の分泌シグナルは、哺乳類シグナル配列も含み、これは分泌されるタンパク質に対して異種性であり得るか、また分泌されるタンパク質の天然の配列であってよい。シグナル配列にはプレペプチド配列が含まれ、場合によってはプロペプチド配列が含まれ得る。免疫グロブリン鎖上で見いだされるシグナル配列、例えばK28プレプロ毒素配列、PHA−E、FACE、ヒトMCP−1、ヒト血清アルブミンシグナル配列、ヒトIg重鎖、ヒトIg軽鎖などを含む、多くのかかるシグナル配列は当該技術分野で公知である。例えば、Hashimotoら、Protein Eng11(2)75(1998);Kobayashiら、Therapeutic Apheresis2(4)257(1998)を参照されたい。
転写は、転写活性化配列をベクターに挿入することにより増加し得る。これらの活性化因子は、通常約10〜300bpのDNAのシス作用性エレメントであり、プロモーターに作用してその転写を増加させる。転写エンハンサーは配向及び位置に比較的依存せず、イントロン内、ならびにコード配列自体内で、転写単位の5’側及び3’側に見出されている。エンハンサーをコード配列に対して5’または3’位で発現ベクター中にスプライシングすることができるが、好ましくはプロモーターから部位5’に位置する。
真核宿主細胞において使用される発現ベクターは、転写の停止及びmRNAの安定化に必要な配列も含み得る。かかる配列は一般に、真核またはウイルスDNAまたはcDNAの非翻領域の翻訳終止コドンの3’側から入手可能である。これらの領域は、mRNAの非翻訳部分のポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含む。
上記の成分の1つまたは複数を含有する好適なベクターの構築は、標準的なライゲーション技術またはPCR/組換え法を採用する。単離されたプラスミドまたはDNA断片は、必要とされるプラスミドまたは組換え法によって生成するために望ましい形態で切断、調整、および再ライゲートされる。構築されたプラスミド中の正しい配列を確認する分析のために、ライゲーション混合物を使用して宿主細胞を形質転換し、適切な場合には成果を挙げた形質転換体を抗生物質耐性(例えば、アンピシリンまたはゼオシン)によって選択する。形質転換体由来のプラスミドを調整し、制限エンドヌクレアーゼ消化によって分析及び/または配列決定する。
断片の制限及びライゲーションの代替法として、att部位及び組換え酵素に基づく組換え法を使用して、DNA配列をベクターに挿入してよい。このような方法は、例えば、Landy Ann.Rev.Biochem.58:913−949(1989)に記載されており、当業者にも公知である。このような方法は、ラムダ及び大腸菌コード化組換えタンパク質の混合物が介在する分子間のDNA組換えを利用する。組換えは、相互作用DNA分子上の特定の付着(att)部位間で生じる。att部位の記述については、Weisberg and Landy(1983)「Site−Specific Recombination in Phage Lambda,in Lambda II」,Weisberg編.(Cold Spring Harbor,NY:Cold
Spring Harbor Press)、pp.211−250を参照されたい。組換え後に、att部位が各親ベクターによって供与される配列から構成されるハイブリ
ッド配列となるように、組換え部位に隣接するDNAセグメントが切り替えられる。組換えは、任意のトポロジーのDNA間で生じることができる。
対象の配列を適切なベクター内にライゲートする;特異的プライマーの使用を通してattB部位を含有するPCR産物を生成する;att部位を含む適切なベクターにクローニングされたcDNAライブラリーを生成する、などにより対象の配列内へとatt部位を導入し得る。
フォールディングとは、本明細書で用いるとき、アミノ酸残基間の相互作用が構造を安定化させるように作用する、ポリペプチド及びタンパク質の三次元構造を指す。構造の決定には非共有的相互作用が重要であるが、通常、対象となるタンパク質は2つのシステイン残基によって形成される分子内及び/または分子間共有ジスルフィド結合を有する。天然に存在するタンパク質及びポリペプチドまたはそれらの誘導体及び変異体に関して、適切なフォールディングは、典型的には最適な生物学的活性をもたらす配置であり、例えばリガンド結合、酵素活性などの活性に関するアッセイによって都合よくモニターすることができる。
場合によっては、例えば所望の産物が合成起源のものである場合、生物学的活性に基づくアッセイはあまり意味がない。かかる分子の適切なフォールディングは物理学的特性、エネルギー的考察、モデリング研究などに基づいて決定され得る。
発現宿主は、フォールディング及びジスルフィド結合形成を増強する1つまたは複数の酵素、すなわちフォルダーゼ、シャペロニンなどをコードする配列の導入によってさらに修飾することができる。かかる配列は、当該技術分野で公知のように、ベクター、マーカーなどを使用して、酵母宿主細胞において構成的または誘導的に発現され得る。好ましくは、所望の発現パターンに十分な転写調節エレメントを含む配列を、標的化法によって酵母ゲノムに安定して組み入れる。
例えば、真核PDIは、タンパク質システイン酸化及びジスルフィド結合異性化の効率的な触媒であるだけでなく、シャペロン活性も示す。PDIの共発現は、複数のジスルフィド結合を有する活性なタンパク質の産生を促進することができる。BIP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質)、シクロフィリンなどの発現も興味深い。本発明の一実施形態では、一倍体の親株のそれぞれは、異なるフォールディング酵素を発現し、例えば、一方の株はBIPを発現し得、他方の株はPDIまたはそれらの組み合わせを発現し得る。
用語「所望のタンパク質」または「所望の抗体」は、交換可能に使用され、一般的に、標的、すなわちCGRPまたはキメラまたはヒト化抗体または本明細書中で記載されるようなそれら由来の結合部分に対して特異的な親抗体を指す。用語「抗体」は、エピトープとぴったり合い、エピトープを認識する特定の形状を有する任意のポリペプチド鎖含有分子構造を包含することが意図され、この場合、1つまたは複数の非共有的結合相互作用が分子構造とエピトープとの間の複合体を安定化させる。抗体分子の原型は免疫グロブリンであり、あらゆる供給源、例えばヒト、げっ歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳類、ニワトリ、他の鳥類などに由来する全種類の免疫グロブリン、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなどが「抗体」とみなされる。本発明に係る出発物質として有用な抗体の産生に好ましい供給源は、ウサギである。多くの抗体コード配列が記述されており、それ以外を当技術分野で公知の方法により生じてもよい。その例としては、キメラ抗体、ヒト抗体及び他の非ヒト哺乳類抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体(scFvsなど)、キャメルボディ、ナノボディ、IgNAR(サメ由来の単鎖抗体)、小モジュラー免疫医薬(SMIP)、及びFab、F(ab’)2などの抗体断片などが挙げられる。Streltsov VAら、Structure of a shark IgNAR a
ntibody variable domain and modeling of an early−developmental isotype,Protein Sci.Nov;14(11):2901−9(2005).Epub2005年9月30日;Greenberg ASら、A new antigen receptor gene family that undergoes rearrangement and extensive somatic diversification in
sharks,Nature.3月9日;374(6518):168−73(1995);Nuttall SDら、Isolation of the new antigen receptor from wobbegong sharks,and use as a scaffold for the display of protein loop libraries,Mol Immunol.Aug;38(4):313−26(2001);Hamers−CastermanCら、Naturally occurring antibody devoid of light chains,Nature.1993年6月3日;363(6428):446−8;Gill DSら、Biopharmaceutical drug discovery using novel protein scaffolds,Curr Opin Biotechnol.Dec;17(6):653−8(2006).Epub2006年10月19日を参照されたい。
例えば、抗体または抗原結合断片は、遺伝子工学によって産生され得る。この技術では、他の方法と同様に、所望の抗原または免疫原に対し抗体産生細胞を感作させる。抗体産生細胞から単離されたメッセンジャーRNAを鋳型として用いてPCR増幅法を使用してcDNAを作製する。最初の抗原特異性を保持している1つの重鎖遺伝子と1つの軽鎖遺伝子をそれぞれ含有するベクターのライブラリーを、増幅した免疫グロブリンcDNAの適切な切片を発現ベクターに挿入して作製する。重鎖遺伝子ライブラリーと軽鎖遺伝子ライブラリーを組み合わせることにより、コンビナトリアルライブラリーを構築する。こうして重鎖と軽鎖を共発現する(抗体分子のFab断片または抗原結合断片に類似する)クローンのライブラリーが得られる。これらの遺伝子を有するベクターを宿主細胞に共形質移入する。形質移入された宿主で抗体遺伝子合成が誘導されるとき、重鎖及び軽鎖タンパク質は自己組織化して、抗原または免疫原でのスクリーニングによって検出することができる活性な抗体を産生する。
対象となる抗体コード配列には、天然の配列によってコードされるもの、ならびに遺伝子コードの縮重のために、開示された核酸と配列が同一でない核酸、及びその変異体が含まれる。変異体ポリペプチドは、アミノ酸(「aa」)置換、付加または欠失を含み得る。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換、あるいはグリコシル化部位を改変するため、または機能のために必要ではない1つまたは複数のシステイン残基の置換または欠失によるミスフォールディングを最小限にするためなど、非必須アミノ酸を除外する置換であり得る。変異体は、タンパク質の特定の領域(例えば、機能的ドメイン、触媒アミノ酸残基など)の増強された生物学的活性を保持または有するように設計されることができる。変異体はさらに、本明細書中で開示されたポリペプチドの断片、特に生物学的に活性な断片及び/または機能的ドメインに対応する断片も含む。クローンされた遺伝子のインビトロ突然変異生成のための技術は公知である。タンパク質分解に対するそれらの耐性を改善するため、または溶解特性を最適化するため、またはそれらを治療薬としてより好適にするために、通常の分子生物学的技術を使用して修飾されたポリペプチドも主題の発明に含まれる。
キメラ抗体は、1つの種の抗体産生細胞から得られる可変軽鎖及び重鎖領域(VL及びVH)を別の種由来の定常軽鎖及び重鎖領域と組み合わせることによる組み換え手段によって作成され得る。典型的には、キメラ抗体は、主にヒトドメインを有する抗体を産生す
るために、げっ歯類またはウサギ可変領域及びヒト定常領域を利用する。かかるキメラ抗体の産生は当該技術分野で公知であり、そして標準的手段によって達成され得る(例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,624,659号で記載されているとおり)。本発明のキメラ抗体のヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4定常領域から選択され得ることがさらに企図される。
さらに多くのヒト様免疫グロブリンドメインを含有するようにヒト化抗体を操作し、動物由来の抗体の相補性決定領域のみを組み込む。これは、モノクローナル抗体の可変領域の超可変ループの配列を調査し、そしてそれらをヒト抗体鎖の構造に適合させることによって達成される。表面的には複雑であるが、プロセスは実際には簡単である。例えば、参照により全体的に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,187,287号を参照されたい。
全免疫グロブリン(またはそれらの組み換え型同等物)に加えて、エピトープ結合部位(例えば、Fab、F(ab’)2、または他の断片)を含む免疫グロブリン断片が合成され得る。「断片」、または最小免疫グロブリンは、組み換え免疫グロブリン技術を利用して設計され得る。例えば、本発明で使用するための「Fv」免疫グロブリンは、融合した可変軽鎖領域及び可変重鎖領域を合成することによって産生することができる。抗体の組み合わせ、例えば2つの異なるFv特異性を含む二重特異抗体も興味深い。本発明の別の実施形態では、SMIP(小分子免疫薬)、キャメルボディ、ナノボディ、及びIgNARが免疫グロブリン断片に包含される。
免疫グロブリン及びその断片は、翻訳後に修飾して、例えば化学的リンカーなどのエフェクター部分、蛍光色素、酵素、毒素、基質、生物発光物質、放射性物質、化学発光部分などの検出可能部分を付加し得るか、またはストレプトアビジン、アビジンまたはビオチンなどの特異的結合部分などを、本発明の方法及び組成物で利用し得る。さらなるエフェクター分子の例を以下に提供する。
遺伝コードに従ったポリヌクレオチド配列の翻訳によってポリペプチド配列が得られる(すなわち、ポリヌクレオチド配列がポリペプチド配列を「コード」する)場合、ポリヌクレオチド配列はポリペプチド配列に「対応」し、2つの配列が同じポリペプチド配列をコードする場合、1つのポリヌクレオチド配列は別のポリヌクレオチド配列に「対応」する。
DNA構築物の「異種性」領域またはドメインは、更に大きなDNA分子の内部の識別可能なセグメントであって、自然界ではその更に大きなDNA分子に伴って見いだされないセグメントである。したがって、異種性領域が哺乳類遺伝子をコードする場合、遺伝子は通常、供給源生物のゲノムにおいて哺乳類ゲノムDNAに隣接しないDNAに隣接する。異種性領域の別の例は、コード配列自体が自然界で見出されない構築物である(例えば、ゲノムコード配列がイントロンを含むcDNA、または天然の遺伝子と異なるコドンを有する合成配列)。対立遺伝子変異または自然発生的な突然変異事象は、本明細書中で定義されるDNAの異種性領域を生じさせない。
「コード配列」は、(遺伝コードを考慮して)タンパク質またはペプチド配列に対応するかまたはそれをコードするコドンのインフレーム配列である。2つのコード配列は、その配列またはそれらの相補配列が同じアミノ酸配列をコードする場合、互いに対応する。コード配列は、適切な調節配列と関連して転写され、ポリペプチドに翻訳され得る。ポリアデニル化シグナル及び転写停止配列は通常、コード配列に対して3’側に位置する。「プロモーター配列」は、細胞中のRNAポリメラーゼを結合することができ、下流(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。プロモーター配
列は、典型的にはコード配列の転写に影響を及ぼす調節分子(例えば、転写因子)の結合のためのさらなる部位を含有する。RNAポリメラーゼが細胞中のプロモーター配列を結合し、コード配列をmRNAに転写し、これが次にコード配列によってコードされるタンパク質に翻訳される場合、コード配列はプロモーター配列の「制御下」にあるか、またはプロモーターに「操作可能に結合」される。
ベクターを使用して、DNA、RNAまたはタンパク質などの外来物質を、生物または宿主細胞に導入する。典型的なベクターとしては、組み換えウイルス(ポリヌクレオチドに関して)及びリポソーム(ポリペプチドに関して)が挙げられる。「DNAベクター」は、別のポリヌクレオチドセグメントを付着させて、付着したセグメントの複製をもたらし得るプラスミド、ファージまたはコスミッドなどのレプリコンである。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞によってポリペプチド合成を指示する調節配列を含有するDNAベクターである。これは、通常、RNAポリメラーゼを結合し、mRNAの転写を開始するプロモーター、ならびにmRNAのポリペプチド(複数可)への翻訳を指示するリボソーム結合部位及び開始シグナルを意味する。ポリヌクレオチド配列を発現ベクターに適切な部位で、正しいリーディングフレーム中で組み入れ、続いてベクターによって適切な宿主細胞を形質転換することで、前記ポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの産生が可能になる。
ポリヌクレオチド配列の「増幅」は、特定の核酸配列の複数コピーのインビトロ産生である。増幅された配列は、通常、DNAの形態である。かかる増幅を実施するためのさまざまな技術が、Van Brunt(Bio/Technol.,8(4):291−294(1990))による総説に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応またはPCRは、核酸増幅のプロトタイプであり、本明細書におけるPCRの使用は、他の好適な増幅技術の例とみなされるべきである。
脊椎動物における抗体の一般構造は、現在、十分に理解されている(Edelman,G.M.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,190:5(1971))。抗体は、分子量約23,000ダルトンの2本の同一の軽いポリペプチド鎖(「軽鎖」)、及び分子量53,000〜70,000の2本の同一の重い鎖(「重鎖」)からなる。4本の鎖は、ジスルフィド結合によって「Y」字型に結合し、ここで、軽鎖が「Y」字型の開口部分から始まる重鎖を囲む。「Y」字型の「枝」部分はFab領域と呼ばれている。「Y」字型の幹部分はFc領域と呼ばれている。アミノ酸配列の配向は、「Y」字型の頂点のN末端から各鎖の底部のC末端へと向かう。N末端は、それを惹起する抗原に対する特異性を有する可変領域を有し、約100アミノ酸の長さであり、軽鎖と重鎖との間で若干の変動があり、また抗体ごとに若干変動がある。
可変領域は、各鎖中で鎖の残りの長さに及び、抗体の特定のクラス内で抗体の特異性(すなわち、それを惹起する抗原)で変化しない定常領域に連結される。免疫グロブリン分子のクラスを決定する定常領域の5つの公知主要クラスがある(γ、μ、α、δ、及びε(ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン)重鎖定常領域に対応するIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE)。定常領域またはクラスは、相補体の活性化(Kabat,E.A.,Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry,第二版,p.413−436,Holt,Rinehart,Winston(1976))、及び他の細胞応答(Andrews,D.W.ら、Clinical Immunobiology,pp1−18,W.B.Sanders(1980);Kohl,S.ら、Immunology,48:187(1983))を含む抗体のその後のエフェクター機能を決定する;一方、可変領域はそれが反応する抗原を決定する。軽鎖は、κ(カッパ)またはλ(ラムダ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、カッパまたはラムダ軽鎖のいずれかを用い
て調製することができる。軽鎖及び重鎖は互いに共有結合し、2本の重鎖の「テール」部分は、ハイブリドーマによるかまたはB細胞によるかのいずれかで免疫グロブリンが産生されるときに、共有ジスルフィド結合によって互いに結合される。
表現「可変領域」または「VR」は、抗体を抗原に結合するのに直接関与する、抗体中の軽鎖及び重鎖の各対内のドメインを指す。各重鎖は1端で可変ドメイン(VH)と、それに続いて複数の定常ドメインを有し;各軽鎖は1端で可変ドメイン(VL)と、その他端で定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメインと整列し、この軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。
「相補性決定領域」、「超可変領域」、または「CDR」という表現は、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域で見いだされる1つまたは複数の超可変または相補性決定領域(CDR)を指す(Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照されたい)。これらの表現は、Kabatらによって定義される超可変領域(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”KabatE.ら、US Dept.of Health and Human Services,1983)または抗体の3次元構造における超可変ループ(Chothia and Lesk,J Mol.Biol.196 901−917(1987))を含む。各鎖中のCDRは、フレームワーク領域によってごく近接して保持され、他の鎖からのCDRとともに、抗原結合部位の形成に寄与する。CDR内には、抗体−抗原相互作用においてCDRによって使用される重要な接触残基を表す選択性決定領域(SDR)として記載されている選択アミノ酸が存在する(Kashmiri,S.,Methods,36:25−34(2005))。
「フレームワーク領域」または「FR」という表現は、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内の1つまたは複数のフレームワーク領域を指す(Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,(1987)を参照されたい)。これらの表現には、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内でCDR間に挿入されるアミノ酸配列領域が含まれる。
CGRPへの結合活性を有する抗CGRP抗体及びその結合断片
本発明の方法の例示的な実施形態は、抗CGRP抗体及びその断片を対象に投与することを含む。例示的な抗CGRP抗体及び断片は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2012/0294797号に記載され、追加の例示的な抗CGRP抗体が以下の段落に記載される。
抗体Ab1
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、キメラ抗体を含む:QVLTQTASPVSAAVGSTVTINCQASQSVYDNNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFKGSGSGTQFTLTISDLECADAATYYCLGSYDCSSGDCFVFGGGTEVVVKR(配列番号1)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QVLTQTASPVSAAVGSTVTINCQASQSVYDNNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFKGSG
SGTQFTLTISDLECADAATYYCLGSYDCSSGDCFVFGGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号2)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、キメラ抗体をさらに含む:QSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGLDLSSYYMQWVRQAPGKGLEWIGVIGINDNTYYASWAKGRFTISRASSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSS(配列番号3)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGLDLSSYYMQWVRQAPGKGLEWIGVIGINDNTYYASWAKGRFTISRASSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号4)。
本発明は、配列番号1の可変軽鎖配列または配列番号2の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号3の可変重鎖配列または配列番号4の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号8、配列番号9、及び配列番号10のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、及び重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号1または配列番号2のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号3または配列番号4のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号1の可変軽鎖配列または配列番号2の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号3の可変重鎖配列または配列番号4の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号8、配列番号9、及び配列番号10のポリペプチド配
列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、またはそれらからなる:配列番号1の可変軽鎖領域;配列番号3の可変重鎖領域;配列番号1の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号5、配列番号6、及び配列番号7);及び配列番号3の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号8、配列番号9、及び配列番号10)。
本発明の特に好ましい実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は、配列番号2及び配列番号4を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb1である。
本発明のさらに好ましい実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそのFab断片からなる。抗体Ab1に関して、Fab断片は配列番号1の可変軽鎖配列及び配列番号3の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号1及び/または配列番号3への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab1の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab1などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab2
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYDNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSSGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号11)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYDNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSSGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号12)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGLDLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGINDNTYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号13)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGLDLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGINDNTYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号14)。
本発明は、配列番号11の可変軽鎖配列または配列番号12の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号15、配列番号16、及び配列番号17のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号13の可変重鎖配列または配列番号14の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号11または配列番号12のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号13または配列番号14のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号11の可変軽鎖配列または配列番号12の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号15、配列番号16、及び配列番号17のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号13の可変重鎖配列または配列番号14の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号18、配列番号19、及び配列番号20のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載の抗体断片のうちの1つまたは複数を含む、抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、またはそれらからなる:配列番号11の可変軽鎖領域;配列番号13の可変重鎖領域;配列番号11の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号15、配列番号16、及び配列番号17);及び配列番号13の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号18、配列番号19、及び配列番号20)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号12及び配列番号14を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb2である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそのFab断片からなる。抗体Ab2に関して、Fab断片は配列番号11の可変軽鎖配列及び配列番号13の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号11及び/または配列番号13への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab2の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab2などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab3
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYDNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSSGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号21)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYDNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSSGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号22)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGLDLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGINDNTYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号23)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGLDLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGINDNTYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDARVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEV
KFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号24)。
本発明は、配列番号21の可変軽鎖配列または配列番号22の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号23の可変重鎖配列または配列番号24の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号21または配列番号22のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号23または配列番号24のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号21の可変軽鎖配列または配列番号22の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号23の可変重鎖配列または配列番号24の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、またはそれらからなる:配列番号21の可変軽鎖領域;配列番号23の可変重鎖領域;配列番号21の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号25、配列番号26、及び配列番号27);及び配列番号23の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号28、配列番号29、及び配列番号30)。
本発明のある実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は、配列番号22及び配列番号24を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb3である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab3に関して、Fab断片は配列番号21の可変軽鎖配列及び配列番号23の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号21及
び/または配列番号23への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab3の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab3などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab4
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、キメラ抗体を含む:QVLTQTPSPVSAAVGSTVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGQPPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTQFTLTISGVQCNDAAAYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTEVVVKR(配列番号31)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QVLTQTPSPVSAAVGSTVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGQPPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTQFTLTISGVQCNDAAAYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号32)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、キメラ抗体をさらに含む:QSLEESGGRLVTPGTPLTLTCSVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWIGVIGINGATYYASWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSS(配列番号33)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QSLEESGGRLVTPGTPLTLTCSVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWIGVIGINGATYYASWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号34)。
本発明は、配列番号31の可変軽鎖配列または配列番号32の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号33の可変重鎖配列または配列番号34の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対
応する配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は配列番号31または配列番号32のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は配列番号33または配列番号34のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号31の可変軽鎖配列または配列番号32の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号33の可変重鎖配列または配列番号34の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号31の可変軽鎖領域;配列番号33の可変重鎖領域;配列番号31の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号35、配列番号36、及び配列番号37);及び配列番号33の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号38、配列番号39、及び配列番号40)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号32及び配列番号34を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb4である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab4に関して、Fab断片は配列番号31の可変軽鎖配列及び配列番号33の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号31及び/または配列番号33への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab4の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab4などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab5
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGKVPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号41)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGKVPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号42)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWVGVIGINGATYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号43)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWVGVIGINGATYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号44)。
本発明は、配列番号41の可変軽鎖配列または配列番号42の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号45、配列番号46、及び配列番号47のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号43の可変重鎖配列または配列番号44の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号48、配列番号49、及び配列番号50のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号41または配列番号42のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号43または配列番号44のポリペプチド配列を含む、あるいはその
ポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号41の可変軽鎖配列または配列番号42の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号45、配列番号46、及び配列番号47のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号43の可変重鎖配列または配列番号44の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号48、配列番号49、及び配列番号50のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号41の可変軽鎖領域;配列番号43の可変重鎖領域;配列番号41の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号45、配列番号46、及び配列番号47);及び配列番号43の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号48、配列番号49、及び配列番号50)。
本発明のある実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は、配列番号42及び配列番号44を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb5である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab5に関して、Fab断片は配列番号41の可変軽鎖配列及び配列番号43の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号41及び/または配列番号43への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab5の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab5などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab6
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGKVPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号51)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYHNTYLAWYQQKPGKVPKQLIYDASTLASGVPSRFSGSG
SGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCTNGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号52)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWVGVIGINGATYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号53)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSGYYMNWVRQAPGKGLEWVGVIGINGATYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDARVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号54)。
本発明は、配列番号51の可変軽鎖配列または配列番号52の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号55、配列番号56、及び配列番号57のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号53の可変重鎖配列または配列番号54の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号58、配列番号59、及び配列番号60のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号51または配列番号52のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号53または配列番号54のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号51の可変軽鎖配列または配列番号52の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号55、配列番号56、及び配列番号57のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号53の可変重鎖配列または配列番号54の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、
または超可変領域)に対応する配列番号58、配列番号59、及び配列番号60のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号51の可変軽鎖領域;配列番号53の可変重鎖領域;配列番号51の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号55、配列番号56、及び配列番号57);及び配列番号53の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号58、配列番号59、及び配列番号60)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号52及び配列番号54を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb6である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab6に関して、Fab断片は配列番号51の可変軽鎖配列及び配列番号53の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号51及び/または配列番号53への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab6の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab6などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab7
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、キメラ抗体を含む:QVLTQTASPVSAAVGSTVTINCQASQSVYNYNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGSYDCSTGDCFVFGGGTEVVVKR(配列番号61)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QVLTQTASPVSAAVGSTVTINCQASQSVYNYNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGSYDCSTGDCFVFGGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号62)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、キメラ抗体をさらに含む:QEQLKESGGRLVTPGTSLTLTCTVSGIDLSNHYMQWVRQAPGKGLEWIGVVGINGRTYYASWAKGRFTISRTSSTTVDLKMTRLTTEDTATYFCARGDIWGP
GTLVTVSS(配列番号63)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QEQLKESGGRLVTPGTSLTLTCTVSGIDLSNHYMQWVRQAPGKGLEWIGVVGINGRTYYASWAKGRFTISRTSSTTVDLKMTRLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号64)。
本発明は、配列番号61の可変軽鎖配列または配列番号62の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号65、配列番号66、及び配列番号67のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号63の可変重鎖配列または配列番号64の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号68、配列番号69、及び配列番号70のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号61または配列番号62のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号63または配列番号64のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号61の可変軽鎖配列または配列番号62の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号65、配列番号66、及び配列番号67のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号63の可変重鎖配列または配列番号64の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号68、配列番号69、及び配列番号70のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号61の可変軽鎖領域;配列番号63の可変重鎖領域;配列番号61の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号65、配列番号66、及び配列番号67);及び配列番号63の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号68、配列番号
69、及び配列番号70)。
本発明のある実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は、配列番号62及び配列番号64を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb7である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab7に関して、Fab断片は配列番号61の可変軽鎖配列及び配列番号63の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号61及び/または配列番号63への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab7の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab7などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab8
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYNYNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSTGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号71)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQSVYNYNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSTGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号72)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSNHYMQWVRQAPGKGLEWVGVVGINGRTYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号73)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDLSNHYMQWVRQAPGKGLEWVGVVGINGRTYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEV
KFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号74)。
本発明は、配列番号71の可変軽鎖配列または配列番号72の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号75、配列番号76、及び配列番号77のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号73の可変重鎖配列または配列番号74の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号78、配列番号79、及び配列番号80のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号71または配列番号72のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号73または配列番号74のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号71の可変軽鎖配列または配列番号72の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号75、配列番号76、及び配列番号77のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号73の可変重鎖配列または配列番号74の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号78、配列番号79、及び配列番号80のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号71の可変軽鎖領域;配列番号73の可変重鎖領域;配列番号71の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号75、配列番号76、及び配列番号77);及び配列番号73の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号78、配列番号79、及び配列番号80)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号72及び配列番号74を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb8である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab8に関して、Fab断片は配列番号71の可変軽鎖配列及び配列番号73の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号71及
び/または配列番号73への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab8の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab8などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母(yeas)株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab9
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、キメラ抗体を含む:QVLTQTPSPVSAAVGSTVTINCQASQNVYNNNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFRGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGSYDCSRGDCFVFGGGTEVVVKR(配列番号81)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QVLTQTPSPVSAAVGSTVTINCQASQNVYNNNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFRGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGSYDCSRGDCFVFGGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号82)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、キメラ抗体をさらに含む:QSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIGLSSYYMQWVRQSPGRGLEWIGVIGSDGKTYYATWAKGRFTISKTSSTTVDLRMASLTTEDTATYFCTRGDIWGPGTLVTVSS(配列番号83)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QSLEESGGRLVTPGTPLTLTCTVSGIGLSSYYMQWVRQSPGRGLEWIGVIGSDGKTYYATWAKGRFTISKTSSTTVDLRMASLTTEDTATYFCTRGDIWGPGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号84)。
本発明は、配列番号81の可変軽鎖配列または配列番号82の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号85、配列番号86、及び配列番号87のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号83の可変重鎖
配列または配列番号84の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号88、配列番号89、及び配列番号90のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号81または配列番号82のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号83または配列番号84のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号81の可変軽鎖配列または配列番号82の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号85、配列番号86、及び配列番号87のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号83の可変重鎖配列または配列番号84の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号88、配列番号89、及び配列番号90のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号81の可変軽鎖領域;配列番号83の可変重鎖領域;配列番号81の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号85、配列番号86、及び配列番号87);及び配列番号83の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号88、配列番号89、及び配列番号90)。
本発明のある実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は配列番号82及び配列番号84を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb9、である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab9に関して、Fab断片は配列番号81の可変軽鎖配列及び配列番号83の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号81及び/または配列番号83への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab9の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab9などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab10
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQNVYNNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSRGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号91)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQNVYNNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSRGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号92)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIGLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGSDGKTYYATWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCTRGDIWGQGTLVTVSS(配列番号93)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIGLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGSDGKTYYATWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCTRGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号94)。
本発明は、配列番号91の可変軽鎖配列または配列番号92の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号95、配列番号96、及び配列番号97のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号93の可変重鎖配列または配列番号94の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号98、配列番号99、及び配列番号100のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号91または配列番号92のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の
抗体断片は、配列番号93または配列番号94のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号91の可変軽鎖配列または配列番号92の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号95、配列番号96、及び配列番号97のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号93の可変重鎖配列または配列番号94の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号98、配列番号99、及び配列番号100のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号91の可変軽鎖領域;配列番号93の可変重鎖領域;配列番号91の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号95、配列番号96、及び配列番号97);及び配列番号93の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号98、配列番号99、及び配列番号100)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号92及び配列番号94を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb10である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab10に関して、Fab断片は配列番号91の可変軽鎖配列及び配列番号93の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号91及び/または配列番号93への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab10の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab10などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab11
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、キメラ抗体を含む:QVLTQTASPVSPAVGSTVTINCRASQSVYYNNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGSYDCSNGDCFVFGGGTEVVVKR(配列番号101)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を
有する、キメラ抗体も含む:QVLTQTASPVSPAVGSTVTINCRASQSVYYNNYLAWYQQKPGQPPKQLIYSTSTLASGVSSRFKGSGSGTQFTLTISDVQCDDAATYYCLGSYDCSNGDCFVFGGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号102)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、キメラ抗体をさらに含む:QSLEESGGRLVTPGGSLTLTCTVSGIDVTNYYMQWVRQAPGKGLEWIGVIGVNGKRYYASWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSS(配列番号103)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QSLEESGGRLVTPGGSLTLTCTVSGIDVTNYYMQWVRQAPGKGLEWIGVIGVNGKRYYASWAKGRFTISKTSSTTVDLKMTSLTTEDTATYFCARGDIWGPGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号104)。
本発明は、配列番号101の可変軽鎖配列または配列番号102の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号105、配列番号106、及び配列番号107のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号103の可変重鎖配列または配列番号104の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号108、配列番号109、及び配列番号110のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号101または配列番号102のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号103または配列番号104のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号101の可変軽鎖配列または配列番号102の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号105、配列番号106、及び配列番号107のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号103の可変重鎖配列または配列番号104の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号108、配列番号109、及び配列番号110のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号101の可変軽鎖領域;配列番号103の可変重鎖領域;配列番号101の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号105、配列番号106、及び配列番号107);及び配列番号103の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号108、配列番号109、及び配列番号110)。
本発明のある実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は、配列番号102及び配列番号104を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb11である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab11に関して、Fab断片は配列番号101の可変軽鎖配列及び配列番号103の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号101及び/または配列番号103への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab11の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab11などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab12
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCRASQSVYYNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSNGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号111)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCRASQSVYYNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSNGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号112)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDVTNYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGVNGKRYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSS(配列番号113)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIDVTNYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGVNGKRYYASWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCARGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号114)。
本発明は、配列番号111の可変軽鎖配列または配列番号112の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号115、配列番号116、及び配列番号117のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号113の可変重鎖配列または配列番号114の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号118、配列番号119、及び配列番号120のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号111または配列番号112のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号113または配列番号114のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号111の可変軽鎖配列または配列番号112の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号115、配列番号116、及び配列番号117のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号113の可変重鎖配列または配列番号114の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号118、配列番号119、及び配列番号120のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、
次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号111の可変軽鎖領域;配列番号113の可変重鎖領域;配列番号111の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号115、配列番号116、及び配列番号117);及び配列番号113の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号118、配列番号119、及び配列番号120)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号112及び配列番号114を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb12である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab12に関して、Fab断片は配列番号111の可変軽鎖配列及び配列番号113の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号111及び/または配列番号113への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab12の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab12などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab13
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、キメラ抗体を含む:AIVMTQTPSSKSVPVGDTVTINCQASESLYNNNALAWFQQKPGQPPKRLIYDASKLASGVPSRFSGGGSGTQFTLTISGVQCDDAATYYCGGYRSDSVDGVAFAGGTEVVVKR(配列番号121)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:AIVMTQTPSSKSVPVGDTVTINCQASESLYNNNALAWFQQKPGQPPKRLIYDASKLASGVPSRFSGGGSGTQFTLTISGVQCDDAATYYCGGYRSDSVDGVAFAGGTEVVVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号122)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、キメラ抗体をさらに含む:QSVEESGGGLVQPEGSLTLTCTASGFDFSSNAMWWVRQAPGKGLEWIGIIYNGDGSTYYASWVNGRFSISKTSSTTVTLQLNSLTVADTATYYCARDLDLWGPGTLVTVSS(配列番号123)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、キメラ抗体も含む:QSVEESGGGLVQPEGSLTLTCTASGFD
FSSNAMWWVRQAPGKGLEWIGCIYNGDGSTYYASWVNGRFSISKTSSTTVTLQLNSLTVADTATYYCARDLDLWGPGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号124)。
本発明は、配列番号121の可変軽鎖配列または配列番号122の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号125、配列番号126、及び配列番号127のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号123の可変重鎖配列または配列番号124の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号128、配列番号129、及び配列番号130のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号121または配列番号122のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は、配列番号123または配列番号124のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号121の可変軽鎖配列または配列番号122の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号125、配列番号126、及び配列番号127のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号123の可変重鎖配列または配列番号124の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号128、配列番号129、及び配列番号130のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号121の可変軽鎖領域;配列番号123の可変重鎖領域;配列番号121の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号125、配列番号126、及び配列番号127);及び配列番号123の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号128、配列番号129、及び配列番号130)。
本発明のある実施形態では、キメラ抗CGRP抗体は、配列番号122及び配列番号124を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少な
くとも1つを有するAb13である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab13に関して、Fab断片は配列番号121の可変軽鎖配列及び配列番号123の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号121及び/または配列番号123への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab13の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab13などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
抗体Ab14
一実施形態では、本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変軽鎖配列を有する、ヒト化抗体を含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQNVYNNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSRGDCFVFGGGTKVEIKR(配列番号131)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む軽鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:QVLTQSPSSLSASVGDRVTINCQASQNVYNNNYLAWYQQKPGKVPKQLIYSTSTLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDVATYYCLGSYDCSRGDCFVFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号132)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む可変重鎖配列を有する、ヒト化抗体をさらに含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIGLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGSDGKTYYATWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCTRGDIWGQGTLVTVSS(配列番号133)。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有し、以下に示される配列を含む重鎖配列を有する、ヒト化抗体も含む:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGIGLSSYYMQWVRQAPGKGLEWVGVIGSDGKTYYATWAKGRFTISRDNSKTTVYLQMNSLRAEDTAVYFCTRGDIWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDARVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPP
SREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号134)。
本発明は、配列番号131の可変軽鎖配列または配列番号132の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号135、配列番号136、及び配列番号137のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、及び/または配列番号133の可変重鎖配列または配列番号134の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号138、配列番号139、及び配列番号140のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数、またはこれらのポリペプチド配列の組合せを含む抗体をさらに企図する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、上記のCDR、可変重鎖配列及び可変軽鎖配列、ならびに重鎖配列及び軽鎖配列のうちの1つまたは複数の(全てを含む)組合せを含む、あるいはそれらの組合せからなる。
本発明は、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片も企図する。本発明の一実施形態では、本発明の抗体断片は配列番号131または配列番号132のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。本発明の別の実施形態では、本発明の抗体断片は配列番号133または配列番号134のポリペプチド配列を含む、あるいはそのポリペプチド配列からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号131の可変軽鎖配列または配列番号132の軽鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号135、配列番号136、及び配列番号137のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明のさらなる実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、配列番号133の可変重鎖配列または配列番号134の重鎖配列の相補性決定領域(CDR、または超可変領域)に対応する配列番号138、配列番号139、及び配列番号140のポリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含む、あるいはそれらのポリペプチド配列のうちの1つまたは複数からなる。
本発明は、本明細書に記載される抗体断片のうちの1つまたは複数を含む抗体断片も企図する。本発明の一実施形態では、CGRPに対する結合特異性を有する抗体の断片は、次の抗体断片のうちの1つ、2つ、3つ、またはそれより多く(全てを含む)を含む、あるいはそれらからなる:配列番号131の可変軽鎖領域;配列番号133の可変重鎖領域;配列番号131の可変軽鎖領域の相補性決定領域(配列番号135、配列番号136、及び配列番号137);及び配列番号133の可変重鎖領域の相補性決定領域(配列番号138、配列番号139、及び配列番号140)。
本発明のある実施形態では、ヒト化抗CGRP抗体は、配列番号132及び配列番号134を含み、あるいはそれらからなり、本明細書に記載される生物学的活性のうちの少なくとも1つを有するAb14である。
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、CGRPへの結合特異性を有するFab断片(抗原結合断片)を含む、あるいはそれからなる。抗体Ab14に関して、Fab断片は配列番号131の可変軽鎖配列及び配列番号133の可変重鎖配列を含む。本発明のこの実施形態は、CGRPへの結合特異性を保持したままでの、前記Fab中の配列番号131及び/または配列番号133への付加、欠失及びそれらの変異体をさらに企図する。
本明細書において(下に)記載される本発明の一実施形態では、Fab断片は、Ab14の酵素(例えば、パパイン)消化により作製され得る。本発明の別の実施形態では、Ab14などの抗CGRP抗体またはそのFab断片は、CHO細胞、NSO細胞またはHEK293細胞などの哺乳類細胞、真菌系、昆虫系、または微生物系、例えば、酵母細胞(例えば、二倍体ピキア属などの二倍体酵母)及び他の酵母株における発現により作製され得る。好適なピキア属の種にはピキア・パストリスが含まれるが、これに限定されない。
別の実施形態では、抗体断片は、次の非限定の形態:Fab抗体形態、Fab’抗体形態、F(ab’)2抗体形態、Fv及び単鎖Fv抗体形態のうちの1つまたは複数の形態で存在し得る。好ましい実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体は、以下に示される配列を含むκ定常軽鎖配列をさらに含む:
VAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号283)。
別の好ましい実施形態では、本明細書に記載される抗CGRP抗体は、以下に示される配列を含むγ−1定常重鎖ポリペプチド配列をさらに含む:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号284)。
別の実施形態では、本発明は、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、または133から選択されるVHポリペプチド配列またはその変異体を含み、そして、配列番号1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、または131から選択されるVLポリペプチド配列またはその変異体をさらに含む単離抗CGRP抗体であって、前記VHポリペプチドまたはVLポリペプチド中のフレームワーク残基(FR残基)のうちの1つまたは複数が別のアミノ酸残基で置換されており、CGRPに特異的に結合する抗CGRP抗体がその結果生じる、単離抗CGRP抗体を企図する。本発明は、これらの抗体のヒト化形態及びキメラ形態を企図する。キメラ抗体は、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域、IgG4定常領域、IgG5定常領域、IgG6定常領域、IgG7定常領域、IgG8定常領域、IgG9定常領域、IgG10定常領域、IgG11定常領域、IgG12定常領域、IgG13定常領域、IgG14定常領域、IgG15定常領域、IgG16定常領域、IgG17定常領域、IgG18定常領域またはIgG19定常領域に由来するFcを含み得る。
本発明の一実施形態では、該抗体またはVHポリペプチドまたはVLポリペプチドは、本明細書において言及されるヒト化処理の開始前に1つまたは複数のウサギB細胞集団に起源を発する、または1つまたは複数のウサギB細胞集団から選択される。
本発明の別の実施形態では、抗CGRP抗体及びその断片は、CGRP−Rへの結合特異性を有しない。本発明のさらなる実施形態では、抗CGRP抗体及びその断片は、CGRPのCGRP−Rとの会合を阻害する。本発明の別の実施形態では、抗CGRP抗体及びその断片は、CGRPのCGRP−R及び/または追加のタンパク質及び/またはそれらのマルチマーとの会合を阻害する、及び/または、それらの生物学的効果を拮抗する。
上述のように、抗体及びその断片を翻訳後に修飾して、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光性色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質及び化学発光部分などの検出可能部分、または、例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞傷害剤及び放射性物質などの機能部分を付加し得る。
抗体またはその断片はまた、化学的に修飾されて、ポリペプチドの溶解性、安定性及び循環時間(インビボ半減期)の増加または免疫原性の低下などの追加の利点を提供し得る(米国特許第4,179,337号を参照されたい)。誘導体化のための化学部分は、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどのような水溶性高分子から選択され得る。抗体及びその断片は、その分子内の無作為な位置、またはその分子内の所定の位置で修飾され得、1つ、2つ、3つ、またはより多くの結合化学部分を含み得る。
高分子は任意の分子量でよく、分岐型でも非分岐型でもよい。ポリエチレングリコールについては、好ましい分子量は、使いやすさと製造しやすさのため、約1kDaから約100kDa(用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製においては、規定の分子量よりもいくつかの分子は重く、いくつかの分子は軽いということを表している)間である。所望の治療プロファイル(例えば、所望の持続性放出の期間、もしあれば、生物活性に対する効果、使いやすさ、抗原性の程度またはその欠如、及び治療性タンパク質または類似体に対するポリエチレングリコールの他の公知の効果)に応じて他のサイズを使用してよい。例えば、ポリエチレングリコールは、約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、または100,000kDaの平均分子量を有し得る。分岐型ポリエチレングリコールは、例えば、米国特許第5,643,575号、Morpurgoら、Appl.Biochem.Biotechnol.56:59−72(1996);Vorobjevら、Nucleosides Nucleotides18:2745−2750(1999);及びCalicetiら、Bioconjug.Chem.10:638−646(1999)に記載されており、それらのそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
当業者が利用することができる多数の結合方法が存在し、例えば、欧州特許第0401384号、参照により本明細書に組み込まれる(G−CSFへのPEGの結合)を参照されたい。(トレシルクロリドを使用するGM−CSFのPEG化を報告する)Malikら、Exp.Hematol.20:1028−1035(1992)も参照されたい。例えば、ポリエチレングリコールは、遊離アミノ基または遊離カルボキシル基などの反応性基を介してアミノ酸残基を通して共有結合され得る。反応性基は、活性型ポリエチレン
グリコール分子が結合され得る基である。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基には、リシン残基及びN末端アミノ酸残基が含まれ得る。遊離カルボキシル基を有するアミノ酸残基には、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基及びC末端アミノ酸残基が含まれ得る。スルフヒドリル基もポリエチレングリコール分子を結合するための反応性基として用いられ得る。N末端またはリシン基での結合など、アミノ基での結合が治療目的にとって好ましい。
上で示唆されているように、ポリエチレングリコールは、多数のアミノ酸残基のうちのいずれかへの結合を介してタンパク質に結合され得る。例えば、ポリエチレングリコールは、リシン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、またはシステイン残基への共有結合を介してポリペプチドに結合されることができる。1つまたは複数の反応化学を用いてポリエチレングリコールを特定のアミノ酸残基(例えば、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはシステイン)に、または複数の種類のアミノ酸残基(例えば、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン及びそれらの組合せ)に結合し得る。
あるいは、抗体またはその断片は、アルブミン(組換えヒト血清アルブミンまたはその断片または変異体(例えば、1999年3月2日に発行された米国特許第5,876,969号、欧州特許第0 413 622号、及び1998年6月16日に発行された米国特許第5,766,883号を参照されたく、それらはその全体において参照により本明細書に組み込まれる)を含むが、これらに限定されない)またはトランスフェリンまたはフェリチンなどの他の循環血中タンパク質との融合を介して増加したインビボ半減期を有し得る。好ましい実施形態では、本発明のポリペプチド及び/または抗体(それらの断片または変異体を含む)は、成熟型のヒト血清アルブミン(すなわち、その全体において参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許第0 322 094号の図1及び図2に示されるヒト血清アルブミンのアミノ酸1〜585)と融合される。本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドも本発明に包含される。
検出可能部分に関して、さらに例示的な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない。さらに例示的な蛍光性物質には、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリン及びダンシルクロリドが含まれるが、これらに限定されない。さらに例示的な化学発光部分には、ルミノールが含まれるが、これに限定されない。さらに例示的な生物発光物質には、ルシフェリン及びイクオリンが含まれるが、これらに限定されない。さらに例示的な放射性物質にはヨウ素125(125I)、炭素14(14C)、イオウ35(35S)、トリチウム(3H)及びリン32(32P)が含まれるが、これらに限定されない。
機能部分に関して、例示的な細胞傷害剤には、メトトレキサート、アミノプテリン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルダカルバジン;メクロレタミン、チオテパクロラムブチル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1−メチルニトロソウレア、シクロホスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、cis−ジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)、シスプラチン、カルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン及びビサントレンを含むアントラサイクリン類;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;及び、ビン
カアルカロイド、ビンクリスチン及びビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤が含まれるが、これらに限定されない。他の細胞傷害剤には、パクリタキセル(タキソール)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テニポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、ミトタン(O,P’−(DDD))、インターフェロン、及びこれらの細胞傷害剤の混合物が含まれる。
さらなる細胞傷害剤には、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン及びブレオマイシンなどの化学療法剤が含まれるが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素及び緑膿菌毒素などの植物及び細菌に由来する毒性酵素をヒト化抗体またはキメラ抗体、またはそれらの結合断片、にコンジュゲートして細胞種特異的殺滅剤を作製し得る(Youleら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA77:5483(1980);Gillilandら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA77:4539(1980)、Krolickら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA77:5419(1980))。
他の細胞傷害剤には、Goldenbergにより米国特許第6,653,104号に記載される細胞傷害性リボヌクレアーゼが含まれる。本発明の実施形態は、α粒子またはβ粒子を放射する放射性核種が、複合体形成剤を使用して、または使用せずに抗体またはその結合断片に安定的に連結されている放射性免疫複合体にも関する。かかる放射性核種には、リン−32(32P)、スカンジウム−47(47Sc)、銅−67(67Cu)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−88(88Y)、イットリウム−90(90Y)、ヨウ素−125(125I)、ヨウ素−131(131I)、サマリウム−153(153Sm)、ルテチウム−177(177Lu)、レニウム−186(186Re)またはレニウム−188(188Re)などのβ放射体、及びアスタチン−211(211At)、鉛−212(212Pb)、ビスマス−212(212Bi)または−213(213Bi)またはアクチニウム−225(225Ac)などのα放射体が含まれる。
抗体またはその結合断片を検出可能部分などにコンジュゲートするための方法、例えば、Hunterら、Nature144:945(1962);Davidら、Biochemistry13:1014(1974)、Painら、J.Immunol.Meth.40:219(1981)、及びNygren,J.,Histochem.and Cytochem.30:407(1982)によって記載される方法などは当技術分野において周知である。
本明細書に記載される実施形態は、本明細書に記載される抗体、抗体断片、ディアボディ、SMIP、キャメルボディ、ナノボディ、IgNAR、ポリペプチド、可変領域及びCDRと実質的に相同である変異体及び同等物をさらに含む。これらは、例えば、保存的置換型変異(すなわち、1つまたは複数のアミノ酸の類似のアミノ酸による置換)を含有し得る。例えば、保存的置換は、同一の一般的分類内での1つのアミノ酸の別のアミノ酸での置換、例えば、1つの酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸での置換、1つの塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸での置換、または1つの中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換を指す。保存的アミノ酸置換によって意図されることは、当技術分野において周知である。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体断片、可変領域及びCDRのポリペプチド配列のうちの任意の1つまたは複数に対して少なくとも90%またはそれを超える配列相同性を有するポリペプチド配列を企図する。より好ましくは、本発明は、本明細書に記載される抗体断片、可変領域及びCDRのポリペプチド配列のうちの任意の1つまたは複数に対して、少なくとも95%またはそれを超える配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも98%またはそれを超える配列相同性、及びより一層好ましくは少なくとも99%またはそれを超える配列相同性を有するポリペプチド配列を企図する。核酸配列及びアミノ酸配列間の相同性を決定するための方法は、当業者に周知である。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体断片、可変領域及びCDRの上に列挙したポリペプチド相同物であって、抗CGRP活性をさらに有する相同物をさらに企図する。抗CGRP活性の非限定的な例は、本明細書に記載されている。
別の実施形態では、本発明は、任意の前述の配列を結合する抗イディオタイプ抗体の作製と使用をさらに企図する。例示的な実施形態では、かかる抗イディオタイプ抗体は、抗CGRP抗体の効果を調節する、低下させる、または中和するために、抗CGRP抗体を受けたことがある対象に投与されることができる。かかる抗イディオタイプ抗体は、抗CGRP抗体の存在を特徴とする自己免疫疾患の処置にも有用であり得る。かかる抗イディオタイプ抗体のさらなる使用例は、本発明の抗CGRP抗体の検出のための使用であり、例えば、対象の血液または他の体液の中に存在する抗CGRP抗体のレベルをモニターするための使用である。
本発明は、本明細書に記載される任意の他のポリヌクレオチド配列と置換される本明細書に記載される任意のポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列を含む抗CGRP抗体も企図する。例えば、限定されないが、本発明は、本明細書に記載される任意の可変軽鎖配列及び可変重鎖配列の組合せを含む抗体を企図し、本明細書に記載される任意のCDR配列による本明細書に記載される任意の他のCDR配列の置換により生じる抗体をさらに企図する。
本発明のさらなる例示的な実施形態
別の実施形態では、本発明は、インタクトなヒトCGRPポリペプチドまたはその断片上にある、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13またはAb14から選択される抗ヒトCGRP抗体と同一の直鎖状または立体的エピトープ(複数可)に特異的に結合する及び/または同一の直鎖状または立体的エピトープ(複数可)への結合について競合する1つまたは複数の抗ヒトCGRP抗体またはその抗体断片を企図する。前記1つまたは複数の抗ヒトCGRP抗体またはその抗体断片は、非天然型の抗体、例えばヒト化抗体またはキメラ抗体、非天然型の抗体断片、タグまたは標識を組み込んだ抗体などであってよい。好ましい実施形態では、該抗ヒトCGRP抗体またはその断片は、インタクトなヒトCGRPポリペプチドまたはその断片上にある、Ab3、Ab6、Ab13またはAb14と同一の直鎖状または立体的エピトープ(複数可)に特異的に結合する及び/または同一の直鎖状または立体的エピトープ(複数可)への結合について競合する。
本発明の好ましい実施形態は、CGRPへの結合特異性を有し、CGRPのCGRP受容体への結合により仲介される生物学的活性を阻害するキメラ抗体またはヒト化抗体及びそれらの断片(Fab断片を含む)を対象とする。本発明のある実施形態では、そのキメラ抗CGRP抗体またはヒト化抗CGRP抗体は、Ab3、Ab6、Ab13、またはAb14から選択される。
本発明の別の実施形態では、抗ヒトCGRP抗体は、インタクトなCGRPポリペプチ
ドまたはその断片上にある、Ab3、Ab6、Ab13またはAb14が特異的に結合するエピトープと同一の直鎖状または立体的エピトープであって、天然ヒトCGRPポリペプチドの全長にわたる重複する直鎖状ペプチド断片を使用するエピトープマッピングによって確定されるエピトープに特異的に結合する抗体である。
本発明は、Ab1、Ab2、Ab3、Ab4、Ab5、Ab6、Ab7、Ab8、Ab9、Ab10、Ab11、Ab12、Ab13またはAb14から選択される抗CGRP抗体を含むが、これに限定されない、本明細書において開示される抗体または抗体断片と同一のCGRPエピトープと結合する、及び/またはCGRPへの結合について抗CGRP抗体と競合する抗CGRP抗体も対象とする。
別の実施形態では、本発明は、3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、または133から選択されるVHポリペプチド配列またはその変異体に含有されるCDRのうちの1つまたは複数、及び/または1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、または131から選択されるVLポリペプチド配列またはその変異体に含有されるCDRのうちの1つまたは複数を含む単離抗CGRP抗体または抗体断片も対象とする。
本発明は、上で論じられている1つまたは複数の抗ヒトCGRP抗体が、アグリコシル化(aglycosylated)されているか、またはグリコシル化されている場合はマンノース残基のみを含有し;エフェクター機能、半減期、タンパク質分解及び/またはグリコシル化を変化させるように修飾されているFc領域を含有し;ヒト抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体またはキメラ抗体であり;ウサギ(親)抗ヒトCGRP抗体に由来するヒト化抗体であることをさらに企図する。
本発明は、1つまたは複数の抗ヒトCGRP抗体であって、前記抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のそれぞれの中にあるフレームワーク領域(FR)が非修飾型のヒトFRであるか、または軽鎖可変領域または重鎖可変領域内の1つまたは複数のヒトFR残基が親ウサギ抗体の対応するFR残基で置換されることにより修飾されているヒトFRである、及び、前記ヒトFRが、ヒト生殖系列抗体配列のライブラリーに含まれる他のヒト生殖系列抗体配列と比べて、対応するウサギ可変重鎖領域または可変軽鎖領域に対する高レベルの相同性に基づいてそのライブラリーから選択されたヒト可変重鎖抗体配列及び可変軽鎖抗体配列より得られたものである、抗ヒトCGRP抗体をさらに企図する。
本発明の一実施形態では、抗ヒトCGRP抗体または断片は、CGRP発現ヒト細胞及び/または循環可溶性CGRP分子にインビボで特異的に結合し、それにはCGRPを発現する細胞と関連がある疾患を有する患者のヒト細胞上に発現するCGRPまたはそのヒト細胞によって発現されるCGRPが含まれる。
本発明は、検出可能標識または治療薬に直接的または間接的に付着されている抗ヒトCGRP抗体または断片をさらに企図する。
本発明は、上記の抗ヒトCGRP抗体または抗体断片の発現をもたらす、酵母好適性コドンまたはヒト好適性コドンを含むものあるいはそれらからなるものを含む1つまたは複数の核酸配列も企図する。本発明は、前記核酸配列(複数可)を含むベクター(プラスミドベクターまたは組換えウイルスベクターを含む)も企図する。本発明は、上記の抗体の少なくとも1つを発現する、哺乳類細胞、酵母細胞、細菌細胞及び昆虫細胞を含む宿主細胞または組換え宿主細胞も企図する。好ましい実施形態では、宿主細胞は酵母細胞である。さらに好ましい実施形態では、酵母細胞は二倍体酵母細胞である。例示的な実施形態では、酵母細胞はピキア酵母である。
本発明は、CGRP発現細胞に関連する疾患または病状を有する患者に本明細書に記載される治療有効量の少なくとも1つの抗ヒトCGRP抗体または断片を投与することを含む処置の方法も企図する。本発明は、その処置方法が本明細書において開示される2つ以上の抗CGRP抗体またはその断片の投与を必然的に含み得ることも企図する。1つよりも多い抗体が患者に投与される場合、複数の抗体を同時または共に投与してよく、または、それらをずらして投与してよい。
本発明の抗CGRP抗体及びCGRPに対する結合特異性を有するその断片の抗CGRP活性を、CGRPへのそれらの結合力またはそれらの親和性によっても記載し得る。本発明の一実施形態では、本発明の抗CGRP抗体及びCGRPに対する結合特異性を有するその断片は、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、または10−13M以下の解離定数(KD)でCGRPに結合する。好ましくは、抗CGRP抗体及びその断片は、10−11M、5×10−12M、または10−12M以下の解離定数でCGRPに結合する。本発明の別の実施形態では、本発明の抗CGRP抗体及びCGRPに対する結合特異性を有するその断片は、直鎖状CGRPエピトープまたは立体的CGRPエピトープに結合する。
本発明の別の実施形態では、本発明の抗CGRP抗体及びCGRPに対する結合特異性を有するその断片の抗CGRP活性は、10−4S−1、5×10−5S−1、10−5S−1、5×10−6S−1、10−6S−1、5×10−7S−1、または10−7S−1以下の解離速度でCGRPに結合する。
本発明のさらなる実施形態では、本発明の抗CGRP抗体及びCGRPに対する結合特異性を有するその断片の抗CGRP活性は、CGRPに関連する疾患及び障害の症状を予防、改善、または軽減することにより、あるいはその疾患及び障害を処置することにより抗CGRP活性を呈する。CGRPに関連する疾患及び障害の非限定的な例は、本明細書に記載される。
抗CGRP抗体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
例示的な実施形態では、抗CGRP抗体は、本明細書に含有される生物学的配列表に記載のポリヌクレオチド配列、または当業者によって容易に同定され得る他のコードするポリヌクレオチドによってコードされ得る。その例としては、配列番号141のポリヌクレオチド(配列番号1のポリペプチドをコードする)、配列番号142のポリヌクレオチド(配列番号2のポリペプチドをコードする)、配列番号143のポリヌクレオチド(配列番号3のポリペプチドをコードする)、配列番号144のポリヌクレオチド(配列番号4のポリペプチドをコードする)、配列番号151のポリヌクレオチド(配列番号11のポリペプチドをコードする)、配列番号152のポリヌクレオチド(配列番号12のポリペプチドをコードする)、配列番号153のポリヌクレオチド(配列番号13のポリペプチドをコードする)、配列番号154のポリヌクレオチド(配列番号14のポリペプチドをコードする)、配列番号161のポリヌクレオチド(配列番号21のポリペプチドをコードする)、配列番号162のポリヌクレオチド(配列番号22のポリペプチドをコードする)、配列番号163のポリヌクレオチド(配列番号23のポリペプチドをコードする)、配列番号164のポリヌクレオチド(配列番号24のポリペプチドをコードする)、配列番号171のポリヌクレオチド(配列番号31のポリペプチドをコードする)、配列番号172のポリヌクレオチド(配列番号32のポリペプチドをコードする)、配列番号173のポリヌクレオチド(配列番号33のポリペプチドをコードする)、配列番号174
のポリヌクレオチド(配列番号34のポリペプチドをコードする)、配列番号181のポリヌクレオチド(配列番号41のポリペプチドをコードする)、配列番号182のポリヌクレオチド(配列番号42のポリペプチドをコードする)、配列番号183のポリヌクレオチド(配列番号43のポリペプチドをコードする)、配列番号184のポリヌクレオチド(配列番号44のポリペプチドをコードする)、配列番号191のポリヌクレオチド(配列番号51のポリペプチドをコードする)、配列番号192のポリヌクレオチド(配列番号52のポリペプチドをコードする)、配列番号193のポリヌクレオチド(配列番号53のポリペプチドをコードする)、配列番号194のポリヌクレオチド(配列番号54のポリペプチドをコードする)、配列番号201のポリヌクレオチド(配列番号61のポリペプチドをコードする)、配列番号202のポリヌクレオチド(配列番号62のポリペプチドをコードする)、配列番号203のポリヌクレオチド(配列番号63のポリペプチドをコードする)、配列番号204のポリヌクレオチド(配列番号64のポリペプチドをコードする)、配列番号211のポリヌクレオチド(配列番号71のポリペプチドをコードする)、配列番号212のポリヌクレオチド(配列番号72のポリペプチドをコードする)、配列番号213のポリヌクレオチド(配列番号73のポリペプチドをコードする)、配列番号214のポリヌクレオチド(配列番号74のポリペプチドをコードする)、配列番号221のポリヌクレオチド(配列番号81のポリペプチドをコードする)、配列番号222のポリヌクレオチド(配列番号82のポリペプチドをコードする)、配列番号223のポリヌクレオチド(配列番号83のポリペプチドをコードする)、配列番号224のポリヌクレオチド(配列番号84のポリペプチドをコードする)、配列番号231のポリヌクレオチド(配列番号91のポリペプチドをコードする)、配列番号232のポリヌクレオチド(配列番号92のポリペプチドをコードする)、配列番号233のポリヌクレオチド(配列番号93のポリペプチドをコードする)、配列番号234のポリヌクレオチド(配列番号94のポリペプチドをコードする)、配列番号241のポリヌクレオチド(配列番号101のポリペプチドをコードする)、配列番号242のポリヌクレオチド(配列番号102のポリペプチドをコードする)、配列番号243のポリヌクレオチド(配列番号103のポリペプチドをコードする)、配列番号244のポリヌクレオチド(配列番号104のポリペプチドをコードする)、配列番号251のポリヌクレオチド(配列番号111のポリペプチドをコードする)、配列番号252のポリヌクレオチド(配列番号112のポリペプチドをコードする)、配列番号253のポリヌクレオチド(配列番号113のポリペプチドをコードする)、配列番号254のポリヌクレオチド(配列番号114のポリペプチドをコードする)、配列番号261のポリヌクレオチド(配列番号121のポリペプチドをコードする)、配列番号262のポリヌクレオチド(配列番号122のポリペプチドをコードする)、配列番号263のポリヌクレオチド(配列番号123のポリペプチドをコードする)、配列番号264のポリヌクレオチド(配列番号124のポリペプチドをコードする)、配列番号271のポリヌクレオチド(配列番号131のポリペプチドをコードする)、配列番号272のポリヌクレオチド(配列番号132のポリペプチドをコードする)、配列番号273のポリヌクレオチド(配列番号133のポリペプチドをコードする)、または配列番号274のポリヌクレオチド(配列番号134のポリペプチドをコードする)が挙げられる。
B細胞のスクリーニング及び単離
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのCGRP抗原特異的細胞を単離するために使用され得る抗原特異的B細胞のクローン集団の調製及び単離を企図しており、そのCGRP抗原特異的細胞は、CGRPに対するモノクローナル抗体(所望のCGRP抗原に特異的である)またはかかる抗体に対応する核酸配列の作製に使用されることができる。抗原特異的B細胞の前記クローン集団を調製及び単離する方法は、例えば、Carvalho−Jensenらの米国特許公開第2007/0269868号に教示されており、その開示は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。抗原特異的B細胞の
前記クローン集団を調製及び単離する方法は、本明細書中の実施例においても教示される。サイズまたは密度によって細胞集団を「濃縮する」方法は当技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,627,052号を参照されたい。これらのステップは、抗原特異性による細胞集団の濃縮に加えて使用され得る。
抗体のヒト化方法
別の実施形態では、本発明は、抗体の重鎖及び軽鎖をヒト化するための方法を企図する。抗CGRP抗体に適用され得る、抗体の重鎖及び軽鎖をヒト化するための方法は、例えば、Olsonらの米国特許出願公開第2009/0022659号及びGarcia−Martinezらの米国特許第7,935,340号に教示されており、それらのそれぞれの開示はそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
スクリーニングアッセイ
本発明は、CGRP関連疾患または障害の症状を呈する患者におけるCGRPに関連する疾患または障害の同定において支援するように設計されたスクリーニングアッセイも含む。例えば、本発明は、対象におけるインスリン不感受性(抵抗性)またはグルコース利用を検出するアッセイを含む。前記対象は、任意選択的に空腹状態または食後状態であり得る。
本発明の一実施形態では、本発明の抗CGRP抗体またはそのCGRP結合断片を使用して、CGRPに関連する疾患または障害の症状を呈する患者から取得した生体試料中のCGRPの存在を検出する。CGRPが存在すること、または同等の生体試料中の疾患前CGRPレベルと比較してそのレベルが上昇していることは、CGRPに関連する疾患または障害の診断において有益であり得る。
本発明の別の実施形態は、本明細書に明記するCGRP関連疾患または障害の症状を呈する患者におけるCGRPに関連する疾患または障害の診断を支援するための診断アッセイまたはスクリーニングアッセイを提供し、このアッセイは、翻訳後に改変された抗CGRP抗体またはその結合断片を使用して、前記患者からの生体試料中のCGRP発現のレベルをアッセイすることを含む。抗CGRP抗体またはその結合断片を翻訳後に改変して、本開示で上述したような検出可能部分を含み得る。
生体試料中のCGRPレベルは、本明細書に記載の改変された抗CGRP抗体またはその結合断片を使用すること、及び標準のCGRPレベル(例えば、正常な生体試料中のレベル)と生体試料中のCGRPレベルを比較することで決定され得る。熟練した臨床医であれば、正常な生体試料間に若干の変動が存在することを理解し、結果を評価するときにそれを考慮に入れるであろう。本発明の一実施形態では、本発明の抗CGRP抗体を使用して、CGRP発現レベルと特定のグルコース代謝の障害のステージとを相関させ得る。例えば、循環CGRPのレベルとグルコースレベル及び/またはインスリンレベルを相関させることは、インスリン不感受性、または高血糖のレベルを確立することを可能にするだろう。インスリン感受性は、例えば、その全体において参照により本明細書に組み込まれるMuniyappaら、(Am J Physiol Endocrinol Metab294:E15−E26、2008)に記載のような、当該分野で公知の方法を使用して対象においてさらに測定され得る。簡潔には、インスリン感受性は、高インスリン血症正常血糖グルコースクランプ、インスリン分泌抑制試験、QUICKI、HOMA、1/インスリン、またはMatusda indexを含む種々の方法を用いて測定されてよい。臨床的に規定されたステージの糖尿病の発症または前糖尿病に対応するCGRP発現の範囲を確立するために、当業者であれば多くの対象においてCGRPを測定するこ
とができるだろう。
上記のアッセイは、疾患または障害のモニタリングにおいても有用であり得る。この場合、CGRP関連疾患または障害を有すると考えられる患者からの生体試料において得られたCGRPレベルを、同一患者から以前に得た生体試料中のCGRPレベルと比較することにより、前記患者のCGRPレベルが、例えば処置レジメンによって変化したかどうかを確認する。当業者であれば、患者のCGRPを様々な時間間隔で測定することにより、グルコースを代謝する個々の能力に対する障害の進行が決定され得ることを理解するであろう。
本発明は、インビボで画像化する方法にも関し、この方法は、CGRPを発現する細胞の存在を検出するものであり、診断有効量の診断組成物を投与することを含む。前記検出は、糖尿病を発症するリスクを有する患者または糖尿病についての有効な処置プロトコルを設計するための計画レジメンの一部として有用であることができる。
一実施形態では、本発明の方法は、インスリン抵抗性、インスリン分泌の障害または高血糖などのグルコース代謝の障害を処置するために、本明細書に開示の抗CGRP抗体と組み合わせて使用される1つまたは複数の組成物を含む。特に対象となるのは、例えば、スルホニル尿素薬、PPAR−γ作動薬、GPL−1受容体作動薬、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、アミリン類似体、ビグアナイド、ドーパミンD2受容体作動薬、メグリチニド、α−グルコシダーゼ阻害薬、抗脂質異常症の胆汁酸吸着剤、インスリン、サイトカイン療法、遺伝子療法、及び抗体療法の1つまたは複数、ならびに抗CGRP抗体またはその断片である。ビグアナイドの例としては:メトホルミン、例えばGlucophage及びGlucophage XR(Bristol Myers Squibb/Merck Serono)、Fortamet(Watson)、Glumetza(Biovail/Depomed/Santarus)、及び後発医薬品が挙げられる。スルホニル尿素薬の例としては、グリメピリド、例えばAmaryl(Sanofi)及び後発医薬品;グリピジド、例えばGlucotrol及びGlucotrol XL(Pfizer)及び後発医薬品;グリブリド/グリベンクラミド、例えばDiabeta(Sanofi)、Micronase/Glynase(Pfizer)及び後発医薬品;メトホルミン+グリブリド、例えばGlucovance(Bristol Myers Squibb)、Suguan M(Sanofi−Aventis)、GlicoRest、GlucoNorm(Abiogen)、Bi−Euglucon(Roche)及び後発医薬品;メトホルミン+グリピジド、例えばMetaglip(Bristol Myers Squibb)、及び後発医薬品が挙げられる。PPAR−γ作動薬の例としては:ロシグリタゾン、例えばAvandia(GlaxoSmithKline);ピオグリタゾン、例えばActos(武田薬品工業)及び後発医薬品;ロシグリタゾン+メトホルミン、例えばAvandamet(GlaxoSmithKline);ピオグリタゾン+メトホルミン、例えばActoplus Met XR(武田薬品工業);ピオグリタゾン+グリメピリド、例えばAvandaryl/Avaglim(GlaxoSmithKline);ピオグリタゾン+グリメピリド、例えばDuetact/Tandemact/Sonias(武田薬品工業)が挙げられる。GLP−1受容体作動薬の例としては:エキセナチド、例えばByetta(Bristol Myers Squibb/AstraZeneca);リラグルチド、例えばVictoza(Novo Nordisk);エキセナチドLAR、例えばBydureon(Bristol Myers Squibb/AstraZeneca)が挙げられる。ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IVまたはDPP4)阻害薬の例としては:シタグリプチン、例えばJanuvia、Merck;ビルダグリプチン、例えばGalvus(Novartis);サクサグリプチン、例えばOnglyza(Bristol Myers Squibb/AstraZeneca);アログリプチン、例えばNesina
(武田薬品工業/Furiex);リナグリプチン、例えばTrazenta(Boehringer Ingelheim/Eli Lilly);テネリグリプチン、例えばTenelia(田辺三菱製薬/第一三共);シタグリプチン+メトホルミン、例えばJanumet(Merck)及びJanumet XR(Merck);シタグリプチン+シンバスタチン、例えばJuviSync(Merck);ビルダグリプチン+メトホルミン、例えばEurcreas(Novartis);サクサグリプチン+メトホルミン、例えばKombiglyze/Kombiglyze XR(AstraZeneca/Bristol Myers Squibb);アログリプチン+ピオグリタゾン、例えばLiovel(武田薬品工業/Furiex);リナグリプチン+メトホルミン、例えばJentadueto(Boehringer Ingelheim/Eli Lilly)が挙げられる。メグリチニドの例としては:レパグリニド、例えばGlucoNorm/Prandin/NovoNorm(第一三共/Fournier Pharma/Novo Nordisk);ナテグリニド、例えばStarlix(Novartis)、Fastic(第一三共)、Starsis(アステラス製薬)及び後発医薬品;ミチグリニド、例えばGlufast(キッセイ薬品工業/武田薬品工業)が挙げられる。α−グルコシダーゼ阻害薬の例としては:アカルボース、例えばPrecose/Glucobay(Bayer)及び後発医薬品;ミグリトール、例えばGlyset(Pfizer)、Diastabol(Sanofi)、Seibule(三和化学研究所)及び後発医薬品;ボグリボース、例えばBasen(武田薬品工業)及び後発医薬品が挙げられる。胆汁酸吸着剤の例としては:コレセベラム、例えばCholestagel(Sanofi)、Welchol(第一三共)が挙げられる。ドーパミンD2受容体作動薬の例としては、ブロモクリプチン、例えばCycloset(Santarus)が挙げられる。アミリン類似体の例としては、プラムリンチド、例えばSymlin(Bristol Myers Squibb/AstraZeneca)が挙げられる。超速効型インスリンの例としては:インスリンリスプロ、例えばHumalog(Eli Lilly);インスリンアスパルト、例えばNovoLog(Novo Nordisk)、NovoRapid(Novo Nordisk)、インスリングルリジン、例えばApidra(Sanofi)が挙げられる。レギュラーヒトインスリンの例としては:Humulin/Umuline Rapide(Eli Lilly)、Novolin R(Novo Nordisk)、Actrapid(Sanofi)が挙げられる。中間型インスリンの例としては:Humulin N(Eli Lilly)、Novolin N(Novo Nordisk)が挙げられる。持効型インスリンとしては:インスリングラルギン、例えばLantus(Sanofi)及びインスリンデテミール、例えばLevemir(Novo Nordisk)が挙げられる。
本発明は、本発明の抗CGRP抗体とCGRPの結合を検出するためのキットをさらに提供する。具体的には、本発明の抗CGRP抗体またはその免疫反応性断片と特異的に反応するCGRPの存在を検出するために、キットが使用され得る。キットには、基質に結合した抗体、抗原と反応する二次抗体、及び二次抗体と抗原の反応を検出するための試薬も含まれ得る。このようなキットはELISAキットであってよく、適宜、基質、一次抗体及び二次抗体を含むことができ、検出可能部分、酵素基質、呈色試薬などの任意の他の必要な試薬、例えば本明細書に記載の試薬を含むことができる。診断キットは、免疫ブロットキットの形態であってもよい。診断キットは、化学発光キット(Meso Scale Discovery、メリーランド州ゲイサーズバーグ)の形態であってもよい。診断キットは、ランタニド系検出キット(PerkinElmer、カリフォルニア州サンノゼ)であってもよい。
熟練した臨床医であれば、生体試料には、血清、血漿、尿、唾液、粘液、胸水、滑液及び髄液が含まれるが、これらに限定されないことを理解するであろう。
CGRPに関連する疾患及び障害の症状を改善または軽減する方法、またはCGRPに関連する疾患及び障害を処置または予防する方法
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片は、CGRPに関連する疾患及び障害の症状の改善または軽減、またはCGRPに関連する疾患及び障害の処置または予防に有用である。本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片ならびに組み合わせは、CGRPに関連する疾患及び障害の処置を必要とする患者に治療有効量で、以下でより詳しく述べる医薬組成物の形で投与することもできる。
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片は、グルコース耐性の障害、インスリン抵抗性(不感受性)、インスリン分泌の障害、脂肪毒性、高血糖、糖尿病の結果としての膵β細胞不全、前糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、または妊娠糖尿病の症状の改善または軽減、またはこれらの処置または予防に有用である。
例示的な実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片は、糖尿病を発症するリスクを有する個体、例えば前糖尿病と診断された個体に投与され得る。理論により限定されることを意図せず、インスリン感受性を回復することによって、主題の抗CGRP抗体が糖尿病への進行を遅延させるまたは予防することが可能であり得ると考えられる。
さらなる例示的な実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片は、別の処置、例えば、メトホルミン、ピオグリタゾン、スルホニル尿素薬、グリニド、ピオグリタゾンなどの経口チアゾリジンジオン(TZD)、エキセナチドなどのグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)作動薬、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、またはテネリグリプチンなどのDPP4阻害薬、またはメトホルミン及びピオグリタゾン、メトホルミン及びスルホニル尿素薬、メトホルミン及びグリニド、メトホルミン及びTZD、メトホルミン及びピオグリタゾン、メトホルミン及びGLP−1作動薬、メトホルミン及びエキセナチド、シタグリプチン及びメトホルミン、シタグリプチン及びシンバスタチン、ビルダグリプチン及びメトホルミン、サクサグリプチン及びメトホルミン、アログリプチン及びピオグリタゾン、またはリナグリプチン及びメトホルミンなどの併用療法を用いた処置の投与では正常血糖を達成しなかった患者に投与され得る。
さらなる例示的な実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片は、肥満の予防または処置のため、例えば少なくとも25の肥満度指数を有する個体に投与される。理論により限定されることを意図せず、主題の抗CGRP抗体は末梢の及び/または肝臓のグルコース利用を増大させ得、それにより代謝率を増加させ、体重減少に寄与すると考えられる。前記抗CGRP抗体は、オルリスタット、リモナバン、シブトラミン、ペプチドYY(PYY、食欲を低下させる36個のアミノ酸ペプチド)、PYY類似体、CB−1拮抗薬、リモナバン、レプチン、レプチン類似体、またはフェンテルミンなどの別の抗肥満薬と組み合わせて投与されてよい。
投与
本発明の一実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはその断片、ならびに前記抗体または抗体断片の組み合わせは、対象レシピエントの体重1kgあたり約0.1から100.0mgの濃度で対象に投与される。本発明のある実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはそのCGRP結合断片、ならびに前記抗体または抗体断片の組み合わせは、対象レシピエントの体重1kgあたり約0.4mgの濃度で対象に投与される。本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはそのCGRP結合断片、ならびに前記抗体または抗体断片の組み合わせは、26週間またはそれより短い期間に1回、例えば16週間またはそれより短い期間に1回、8週間またはそれより短
い期間に1回、4週間またはそれより短い期間に1回、2週間またはそれより短い期間に1回、1週間またはそれより短い期間に1回、または1日またはそれより短い期間に1回で、対象レシピエントに投与される。
Fab断片は、2週間またはそれより短い期間に1回、1週間またはそれより短い期間に1回、1日またはそれより短い期間に1回、1日に複数回、及び/または数時間ごとに投与され得る。本発明の一実施形態では、患者は、1日あたり0.1mg/kgから40mg/kgのFab断片を、1日1〜6回の分割量で、または所望の結果を得るのに有効な徐放形態で投与される。
所与の患者に投与する抗体またはFabの濃度は、2つ前の段落にて上記の例示的な投与濃度より高いか低い場合があることが理解されたい。
当業者であれば、例えば本発明の開示内容及びGoodman,L.S.,Gilman,A.,Brunton,L.L.,Lazo,J.S.,&Parker,K.L.(2006).Goodman&Gilman’s the pharmacological basis of therapeutics.New York:McGraw−Hill;Howland,R.D.,Mycek,M.J.,Harvey,R.A.,Champe,P.C.,&Mycek,M.J.(2006).Pharmacology.Lippincott’s illustrated reviews.Philadelphia:Lippincott Williams&Wilkins;及びGolan,D.E.(2008).Principles of pharmacology:the pathophysiologic basis of drug
therapy.Philadelphia,Pa.,[etc.]:Lippincott Williams&Wilkinsの教示内容に従った、通常の実験を通じて、投与の有効量及び頻度を決定できるであろう。
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはそのCGRP結合断片、ならびに前記抗体または抗体断片の組み合わせは、医薬製剤の形で対象に投与される。
「医薬組成物」とは、哺乳類への投与に好適な化学組成物または生物学的組成物を指す。このような組成物は、頬、皮膚上、硬膜外、吸引、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、脊髄内、髄腔内、静脈内、経口、非経口、浣腸または坐剤による直腸内、皮下、真皮下、舌下、経皮、及び経粘膜を含むがこれらに限定されない多数の経路のうちの1つまたは複数を介する投与用として、特異的に製剤化され得る。加えて、投与は注射剤、粉末、液体、ゲル、液滴、または他の投与手段により生じることができる。
本発明の一実施形態では、本明細書に記載の抗CGRP抗体またはそのCGRP結合断片、ならびに前記抗体または抗体断片の組み合わせを、任意選択的に1つまたは複数の活性薬剤と組み合わせて投与してもよい。このような活性薬剤の例としては、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、解熱剤、抗炎症剤、抗生物質製剤、抗ウイルス剤、及び抗サイトカイン剤が挙げられる。活性薬剤には、TNF−α、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−13、IL−18、IFN−α、IFN−γ、BAFF、CXCL13、IP−10、VEGF、EPO、EGF、HRG、肝細胞増殖因子(HGF)、ヘプシジンのアゴニスト、アンタゴニスト、及び調節物質が含まれ、これらの物質には、これらの物質のいずれかに対して反応する抗体、及びこれらの物質の受容体のいずれかに対して反応する抗体が含まれる。また、活性薬剤には、2−アリールプロピオン酸類、アセクロフェナク、アセメタシン、アセチルサリチル酸(アスピリン)、アルクロフェナク、ア
ルミノプロフェン、アモキシプリン(Amoxiprin)、アンピロン、アリールアルカン酸類、アザプロパゾン、ベノリラート(Benorylate/Benorilate)、ベノキサプロフェン、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、サリチル酸コリンマグネシウム、クロフェゾン、COX−2阻害剤、デクスイブプロフェン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、ドロキシカム、エテンザミド、エトドラク、エトリコキシブ、ファイスラミン(Faislamine)、フェナム酸類、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェナム酸、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドメタシン、インドプロフェン、ケブゾン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、サリチル酸メチル、モフェブタゾン、ナブメトン、ナプロキセン、N−アリールアントラニル酸類、神経成長因子(NGF)、オキサメタシン、オキサプロジン、オキシカム類、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェナゾン、フェニルブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、ピルプロフェン、プロフェン類、プログルメタシン、ピラゾリジン誘導体、ロフェコキシブ、サリチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸類、サブスタンスP、スルフィンピラゾン、スリンダク、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、トルフェナム酸、トルメチン、及びバルデコキシブも含まれるが、これらに限定されない。
抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンの作用に対抗する、または細胞(例えばマスト細胞)からのその放出に対抗する任意の化合物であることができる。抗ヒスタミン剤には、アクリバスチン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ベタタスチン(betatastine)、ブロムフェニラミン、ブクリジン、セチリジン、セチリジン類似体、クロルフェニラミン、クレマスチン、CS560、シプロヘプタジン、デスロラタジン、デクスクロルフェニラミン、エバスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、HSR609、ヒドロキシジン、レボカバスチン、ロラチジン、メトスコポラミン、ミゾラスチン、ノルアステミゾール、フェニンダミン、プロメタジン、ピリラミン、テルフェナジン、及びトラニラストが含まれるが、これらに限定されない。
抗生物質には、アミカシン、アミノグリコシド類、アモキシシリン、アンピシリン、アンサマイシン類、アルスフェナミン、アジスロマイシン、アズロシリン、アズトレオナム、バシトラシン、カルバセフェム、カルバペネム類、カルベニシリン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セファロチン(Cefalothin)、セファロチン(Cefalotin)、セファマンドール、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトビプロール、セフトリアキソン、セフロキシム、セファロスポリン類、クロラムフェニコール、シラスタチン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、コトリモキサゾール、ダルホプリスチン、デメクロサイクリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドリペネム、ドキシサイクリン、エノキサシン、エルタペネム、エリスロマイシン、エタンブトール、フルクロキサシリン、ホスホマイシン、フラゾリドン、フシジン酸、ガチフロキサシン、ゲルダナマイシン、ゲンタマイシン、グリコペプチド類、ハービマイシン、イミペネム、イソニアジド、カナマイシン、レボフロキサシン、リンコマイシン、リネゾリド、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マクロライド類、マフェニド、メロペネム、メチシリン、メトロニダゾール、メズロシリン、ミノサイクリン、モノバクタム類、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナフシリン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキサシリン、オキシテトラサイクリン、パロモマイシン、ペニシリン、ペニシリン類、ピペラシリン、プラテンシマイシン、ポリミキシンB、ポリペプチド類、プロントジル、ピラジナミド、キノロン類、キヌプリスチン、リファンピシン、リファンピン、ロキシ
スロマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルイミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、スルホンアミド類、テイコプラニン、テリスロマイシン、テトラサイクリン、テトラサイクリン類、チカルシリン、チニダゾール、トブラマイシン、トリメトプリム、トリメトプリムスルファメトキサゾール、トロレアンドマイシン、トロバフロキサシン、及びバンコマイシンが含まれるが、これらに限定されない。
活性薬剤には、アルドステロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、副腎皮質ステロイド剤、コルチゾール、酢酸コルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、グルココルチコイド類、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ステロイド剤、及びトリアムシノロンも含まれる。これらの活性薬剤の任意の好適な組み合わせも企図される。
「医薬賦形剤」または「薬学的に許容され得る賦形剤」とは、通常は液体であり、その中に活性治療薬が製剤化される担体である。本発明の一実施形態では、活性治療薬は、本明細書に記載のヒト化抗体、またはその1つまたは複数の断片である。一般に、賦形剤は、製剤に対していずれの薬理学的活性も与えないが、化学的及び/または生物学的な安定性及び放出特性を提供し得る。例示的な製剤は、例えば、参照により組み込まれるRemington’sPharmaceutical Sciences,第19版,Grennaro,A.編,1995に記載されている。
本明細書で用いる「薬学的に許容され得る担体」または「賦形剤」は、生理学的に適合するあらゆる溶媒、分散媒、皮膜剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を含む。一実施形態では、担体は非経口投与に好適である。あるいは、担体は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、または舌下投与に適することができる。薬学的に許容され得る担体には、無菌の水溶液または分散剤、及び無菌の注射剤または分散剤を即時調製するための無菌粉末が含まれる。薬剤的活性物質へのかかる媒体及び薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合しない場合を除き、本発明の医薬組成物においてそれを使用することが企図される。補助的な活性化合物も組成物に組み込むことができる。
一般的に、医薬組成物は、製造及び保管の条件下で無菌及び安定でなければならない。本発明は、医薬組成物が凍結乾燥した形態で存在することを企図する。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬物濃度に好適な他の秩序構造の形で製剤化することができる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、及びその好適な混合物を含有した溶媒または分散媒であることができる。本発明は、医薬組成物中に安定剤を含めることをさらに企図する。例えば、分散剤の場合には必要な粒径を維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより、適切な流動性を維持することができる。
多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポロアルコール、または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。モノステアリン酸塩及びゼラチンなどの薬剤を含むことにより、注射用組成物の吸収を持続させることができる。さらには、アルカリ性ポリペプチドを、例えば持続放出ポリマーを含む組成物において、徐放性製剤に製剤化することができる。活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などの、急速な放出から化合物を保護するだろう担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びポリ乳酸・ポリグリコール酸コポリマー(PLG)などの、生物分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤を調製するための多くの方法が、当業者に周知である。
列記されている実施形態の各々について、様々な剤形で化合物を投与することができる。当業者に周知の任意の生物学的に許容可能な剤形及びその組み合わせが企図される。このような剤形の例として、再構成可能な散剤、エリキシル剤、液剤、溶剤、懸濁液、乳剤、散剤、顆粒剤、粒子、微小粒子、分散性顆粒剤、カシェ、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、注射剤(皮下、筋肉内、静脈内、皮内を含む)、注入液、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の上記に例示する各種実施形態の説明は、網羅的であるという意図はなく、本発明を精密な開示形態に限定する意図もない。本発明の具体的な実施形態及び実施例は、例示目的で本明細書に記載されているが、種々の同等の修正は、関連する分野の当業者が認識する通り本発明の範囲内で可能である。本明細書で提供する本発明の教示内容を、上記の例以外の他の目的に適用することができる。
上記の詳細な説明に鑑みて、これらの変更及び他の変更を本発明になすことができる。概して、以下の請求項において、使用される用語は、本明細書及び請求項で開示される具体的な実施形態に本発明を限定するものと解釈すべきではない。したがって、本発明は本開示に限定されるのでなく、本発明の範囲は、以下の請求項によって全面的に決定されるものである。
本発明は、上記の説明及び実施例に具体的に記載されている方法以外の方法で実施され得る。上記の教示内容を鑑みて、本発明の多くの修正及び変更が可能であり、ゆえにこれらの修正及び変更は、添付の請求項の範囲内である。
抗原特異的B細胞のクローン集団を取得するための方法に関連するある特定の教示が、2006年5月19日に出願された米国仮特許出願第60/801,412号に開示されており、その開示内容はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
ウサギ由来モノクローナル抗体のヒト化、及び抗原結合親和性を維持するための好ましい配列修飾に関連するある特定の教示が、2008年5月21日に出願された国際出願PCT/US2008/064421号(名称「Novel Rabbit Antibody Humanization Methods and Humanized Rabbit Antibodies」の国際公開WO/2008/144757号に対応する)に開示されており、その開示内容はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
接合可能な酵母を用いた抗体またはその断片の作製に関連するある特定の教示、及び対応する方法が、2006年5月8日に出願された米国特許出願第11/429,053号(米国特許出願公開第2006/0270045号)に開示されており、その開示内容はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
ある特定のCGRP抗体ポリヌクレオチド及びポリペプチドが本特許出願に添付の配列表で開示されており、前記配列表の開示内容はその全体において参照により本明細書に組み込まれる。
発明の背景技術、詳細な説明、及び実施例で引用される各文書(特許、特許出願、論文、抄録、マニュアル、書籍、またはその他の開示を含む)の全開示は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は、主題の発明の作成方法及び使用方法の完全な開示と説明を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明とみなされるものの範囲を限定することを意図しない。使用する数字(例えば量、温度、濃度など)に関して正確を期すよう努力しているが、いくらかの実験誤差及び偏差は許容されるべきである。別段の指示がない限り、割合は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度単位であり、圧力は大気圧時または近大気圧時の圧力である。
実施例
実施例1
正常なラットをAb14 100mg/kg(静脈内経路を介して、クランプ処置の48時間前に単回投与)を用いて処置し、メトホルミン 500mg/kg(傾向経路を介して、クランプ処置の24時間前及び4時間前に2投与)と効果を比較した。この実施例において使用された抗体は、配列番号132及び134の軽鎖ポリペプチド及び重鎖ポリペプチドからなる。
血中グルコースを摂食条件下で処置前、メトホルミン及びAb14を用いた処置の18時間後、及びAb14を用いた処置の42時間後に測定した。これらの条件下では2つの化合物は血中グルコースに影響しなかった。血中グルコースを、絶食条件下で、クランプの直前に測定し、メトホルミンのみが有意な低減効果を有した(17%)。処置前及びメトホルミンを用いた処置の18時間後及びAb14を用いた処置の42時間後に摂食条件下で測定された血漿インスリンは、2つの化合物によって微かに低減され、ならびにインスリン抵抗性指数HOMA−IRも微かに低減された(有意でない)。
血漿試料を、クランプ処置の直前、処置の48時間後にAb14で処置された動物から取得し、Ab14濃度を決定した。この分析の結果により、クランプ処置を受けたラットにおいてAb14の642から797μg/mLの範囲の全身曝露を確認した。
全身インスリン感受性に及ぼす効果を評価するため、クランプ処置を0.3U/kg/時間のインスリン及び3H−グルコースを用いて実施した。ラットを180分間の灌流前に6時間絶食させた。定常状態は、140分間の注入後に達し、グルコース注入率(GIR)、全身グルコース代謝回転(GTO)、肝臓のグルコース産生(HGP)、糖分解、及びグリコーゲン合成の平均は、140分から180分で算出された。クランプの終了時の1時間前に14−C−2−デオキシグルコースをボーラス投与して、組織特異的グルコース利用を測定した。想定通り、メトホルミンは、糖分解及びグリコーゲン合成を増加させることによりGIR(27%増加)及びGTO(30%増加)を有意に増加させた。メトホルミンは、混合外側広筋(VL、49%増加 p<0.05)、糖分解糖分解系の長指伸筋(EDL、19%増加、NS)におけるグルコース利用を増加させ、心臓(−39%、p<0.01)におけるグルコース利用を低減させ、これはおそらく心筋の脂肪酸酸化(oxidation1)の刺激のためと思われる。Ab14は、GIR及びGTO(NS)を増加させる傾向にあり、VL(70%増加、p<0.01)、EDL(26%増加、NS)、及び酸化的ヒラメ筋(27%増加、NS)におけるグルコース利用に対してメトホルミンよりも強い効果を有した。また心臓におけるグルコース利用も増加させる傾向にあった(21%増加、NS)。メトホルミンと同様、Ab14は白色脂肪組織(深部及び皮下)におけるグルコース利用率に影響しなかった。
結論として、Ab14は、筋肉(VL)におけるグルコース利用率に有意な効果を伴い、急性処置後の正常なラットにおいて全身グルコース利用を改善する良好な傾向を有した。
方法
雄スプラーグドーリーラットを、実験段階の全期間を通して収容ケージ(1500cm2×21cm)に収容した。動物のケージ敷料は週に1回交換した。順化期間中は3〜4匹の群で収容し、それから手術後クランプ処置まで個々に収容した。12時間明暗サイクル(午前8:00に消灯)、22±2℃及び相対湿度55±10%。標準飼料(RM1(E)801492、SDS)及び水道水は自由摂取とした。
2週間の順化期間の後、ラットを麻酔(イソフルラン)し、カテーテルを大腿静脈内に実装した。回復期間はクランプ処置の前5〜6日間経過した。
血中グルコース(BG)を、午前7:30から8:00(消灯の直前)の間に尾の先端から血糖測定器を用いて測定し、直後に採血(EDTA上)を実施して血漿インスリンを測定した。下記の表は条件を示す:
血漿試料を、インスリン測定(ELISA法を使用)まで−80℃に保った。
血液の試料(約200μL)を、クランプ処置の直前に、第2群各動物について取得し、血漿(約60μL)へと処理し、後でメソスケールディスカバリー(MSD)ELISAプラットフォームを活用してAb14濃度を決定するために−80℃に維持した。
ビヒクル及びAb14を、静脈内経路でクランプ処置のT0の48時間前(クランプ2日前の午後02:00)に投与した。
メトホルミンを、経口経路でクランプ処置のT0の24時間前及び4時間前(クランプ前日の午後02:00及びクランプ当日の午前10:00)に投与した。
ラットをクランプの開始前に6時間絶食させた(採血の直後、約8時間後で)。
高インスリン血症−正常血糖クランプを、3H−グルコースをトレーサーとして使用し、0.3U/kg/時間のインスリンを午後2:00(T0)から午後5:00(T+3時間)まで注入して、実施した。グルコース溶液を並行して注入し、注入率を定常状態(約100+/−10mg/dL)に達するように調整した。血中グルコースを10分毎に血糖測定器を使用して尾の先端から測定した。最後の時間(定常状態)に、血液を尾の先端から採取(10μL)し、以下のパラメータを評価した:グルコース注入率;全身グルコース利用率;肝臓のグルコース産生率;全身グリコーゲン及び糖分解率。
個々の組織のグルコース利用率を決定するため、ラット1匹あたり100μCiのデオキシ−D−グルコース2−14C(14C−2−DOG)のボーラス注射を、大腿静脈を通してD−[3−3H]−グルコース注入の終了の60分前に実施した。注射の0、5、10、15、20、25、30、45、及び60分後に尾静脈の先端から得られた10μL滴の血液において血漿14C−2−DOG消失及びグルコース濃度を決定した。実験の終了時に、外側広筋(VL)、長指伸筋(EDL)及びヒラメ筋、精巣上体白色脂肪組織及び鼠径部白色脂肪組織、心尖、及び皮膚(陰性対照として)を解剖し、瞬間冷凍して−80℃に保った。各組織の小片を1M NaOHに溶解し、次いで1M HClを用いて中和した。D−2−14Cデオキシグルコース6−リン酸。D−2−14Cデオキシグルコースを、水酸化亜鉛(0.3M)溶液または過塩素酸溶液(6%)の使用により、差次的に沈殿させた。両方の放射能含有量を測定してng/mg/分として表されるグルコース取り込みを評価した。
血漿インスリンレベルをクランプの終了時に測定した。
GraphPad prismソフトウェアを使用して統計分析を行った。ヒストグラムを一元配置分散分析とダネットの事後検定を使用して分析し、曲線を二元配置分散分析とボンフェローニの事後検定を使用して分析した。p値が<0.05であるときに差異は有意であるとされた。NS:有意でない。
結果及び考察
血中グルコース及びインスリン測定。摂食条件下で、血糖値は、Ab14 100mg/kgを用いた処置の42時間後及びメトホルミンメトホルミン 500mg/kgを用いた処置の18時間後にビヒクル群と比較して影響を受けなかった(図1A)。同時に、Ab14及びメトホルミンは、血漿インスリンレベルをそれぞれ11%及び18%低減させた(有意でない、図1B)。次いで、インスリン抵抗性指数であるHOMA−IRは、同様の様式でビヒクル群と比較して低減された(図1C)。一方で、6時間の空腹条件下で、メトホルミンは、処置の30時間後に、血中グルコースを有意に低減(17%低減)させた(図1D)。
全身グルコースフラックス。高インスリン血症正常血糖クランプを、6時間空腹条件下で、Ab14 100mg/kgの単回投与の48時間後、及びメトホルミン 500mg/kgの最後の投与の4時間後に実施した。
メトホルミンは、ビヒクル群と比較して注入の開始60分後からGIR展開を有意に増加させた。Ab14は、注入の大体130分後にGIR展開を増加させる傾向を有した(図2A)。
全ての群において140分からグルコース注入率はプラトーに達した。血糖値はこの定常状態の間、全ての群において同様であった(図2B)。クランプ終了時の血漿インスリンレベルも、全ての群において同様であった(図2C)。クランプ終了時に達した血漿インスリンレベルは、摂食条件下で測定されたものとほぼ同一であり、つまり高インスリン血症を得るために使用されたインスリンの用量は生理学的であった。
次いで、グルコースフラックスを、注入の140分〜180分で算出した(図3)。Ab14及びメトホルミンは、グルコース注入率をそれぞれ18%(NS)及び27%(p<0.05)増加させ、ならびにグルコース代謝回転をそれぞれ18%(NS)及び30%(p<0.05)増加させた。肝臓のグルコース産生は、3つの群において超生理学的
用量のインスリンにより完全に阻害された。Ab14は、糖分解率に影響しなかったが、一方でメトホルミンは糖分解率を43%(NS)増加させた。Ab14は、メトホルミンと同様にグリコーゲン合成率を23%(NS)増加させた。
個々の組織のグルコース利用率もまた、D−[3−3H]−グルコース注入の終了の60分前に導入した、大腿静脈を通すラット1匹あたり100μCiのデオキシ−D−グルコース2−14C(14C−2−DOG)のボーラス注射を使用して決定した。両方の放射能含有量を測定して、ng/mg/分として表されるグルコース取り込みを評価した。図4A〜Cに示すように、メトホルミンは、混合外側広筋(VL、49%増加 p<0.05)、糖分解糖分解系の長指伸筋(EDL、19%増加 NS)におけるグルコース利用を増加させ、心臓におけるグルコース利用を低減させた(−39%、p<0.01)。これは、心筋の脂肪酸酸化の刺激のためであると考えられるメトホルミンの既知の効果である。Ab14は、グルコース注入率及び全身グルコース代謝回転(NS)を増加させる傾向にあり、VL(70%増加、p<0.01)、EDL(26%増加、NS)、及び酸化的ヒラメ筋(27%増加、NS)におけるグルコース利用対してメトホルミンより強い効果を有した。Ab14は心臓(21%増加、NS)におけるグルコース利用も増加させる傾向にある。メトホルミンと同様、Ab14は、白色脂肪組織(深部及び皮下)におけるグルコース利用率に影響しなかった。
Ab14血漿濃度分析。クランプ処置を受けた第2群の動物についてのAb14血漿濃度は、642から797μg/mLの範囲であり、最大48時間までの全身曝露を支持した。
結論。Ab14を用いた急性処置は、血漿インスリンを微かに低減させ、グリコーゲン合成及び筋肉グルコース利用を増加させることにより、全身グルコース利用を増加させる傾向にあった。
実施例2
この実施例は、インスリン抵抗性のラットモデルインスリン感受性を改善するAb14の能力を評価する。このモデルでは、ラットに高脂肪(69%)及び高フルクトース(14%)食(HFD)を6週間にわたって与えて耐糖能障害を誘発し、通常の飼料を与えられた対照動物と比較して有意に増加するようになった血漿インスリンレベル及び微かに増加するようになった糖血(glycaemia)を伴う。この実施例において使用された抗体は、配列番号132及び134の軽鎖ポリペプチド及び重鎖ポリペプチドからなる。
6週間HFDを与えられたラットを、Ab14を用いて2週間処置し、2段階の高インスリン血症正常血糖クランプを実施してインスリン感受性を評価した。生理学的用量のインスリンを第一段階中に使用し、薬理学的用量のインスリンを第二段階中に使用して、これら2つの条件下で、それぞれ末梢の及び肝臓のインスリン感受性の効果を評価した。
概要
6週間のHFDの後、ラットをその耐糖能障害(経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)中のAUC算出)及びそのHOMA−IR(インスリン抵抗性指数)に従って処置群に無作為化した。HFDラットを、10、30及び100mg/kg/週のAb14を用いて15日間処置(静脈内、1週空けて2回投与)、または200mg/kg/日のメトホルミンを飲料水にいれて毎日15日間処置した。
体重及び食物消費量を処置の10日まで週に3回測定した。HOMA−IRを10日目
及び15日目に測定した。2段階のクランプ(5mU/kg/分、次いで15mU/kg/分のインスリン)を15日目または16日目に実施した。グルコース代謝回転(GTO)を、クランプ処置中に3H−グルコーストレーサーを注入して評価した。
本試験の終了時に、通常の飼料を与えられた対照ラットと比較したとき、HFDラットは体重、空腹時血中グルコース、血漿インスリン、及びCペプチドにおいて有意な増加を、ならびに2段階の高インスリン血症正常血糖クランプ中にグルコース注入率(GIR)において有意な低減を呈することが観察された。
HFD+ビヒクル対照群と比較したとき、Ab14の処置は、体重または食物消費量に効果を与えなかったが、一方でメトホルミン群は、両方のパラメータにおいて有意に低減した。
100mg/kgでのAb14は、15日間の処置後(空腹時血糖ならびに血漿インスリンを低減させることによって)HOMA−IRを有意に低減(38%低減)させた。メトホルミンは、15日目でHOMA−IRに対して有意でない(ns)低減効果を示した。C−ペプチドもまた、Ab14処置によって有意に低減された(10mg/kgで30%低減及び100mg/kgで29%低減)。
クランプの第一段階では、HFDビヒクル対照群と比較したとき、Ab14処置群においてGIRの増加(ns)が観察され、一方でメトホルミンは、GIRに対して大きさにおいて相対的に少ない増加効果を有した。クランプの第二段階では、30または100mg/kgでのAb14及びメトホルミン処置は、GIRを有意に増加させた(それぞれ、36%、28%、及び27%増加)。
クランプ処置の第一段階では、30mg/kgでのAb14は、HFDビヒクル対照群と比較したときGTOを増加させる傾向(17%増加、ns)がある。30mg/kgでのAb14は、両方のクランプ段階中に、糖分解及びグリコーゲン合成に対して微かな増加効果(ns)を有した。
肝臓のグルコース産生(HGP)は、クランプの第一段階中にAb14またはメトホルミン処置によって有意ではないが微かに(11〜20%)低減した。第二段階では、HGPは、HFDビヒクル対照群と比較して、10mg/kgでのAb14によって有意でなく(78%)低減し、HGPは30または100mg/kgでのAb14及びメトホルミンによって完全に阻害された。
結論として、HFDラットモデルにおいてAb14を用いた静脈内投与後に(主に肝臓の)インスリン抵抗性の改善が観察された。
方法
82匹のスプラーグドーリーラット(試験開始時に8週齢、平均体重約250グラム)を実験段階の全期間を通して収容ケージ(904cm2×23cm)に収容した。動物のケージ敷料は週に3回交換した。順化、HFD及び処置期間中は2〜3匹の群で収容した。それから、ラットを手術後クランプ処置まで個々に収容した。ラットを12時間明暗サイクル(午前8:00に消灯)、22±2℃に維持された飼育温度及び相対湿度55±10%で収容した。少なくとも5日間の順化期間を、HFD摂食の開始前に提供した。順化段階中、標準食(RM1(E)801492、SDS)及び水道水を自由摂取とした。
順化段階の後、実験全期間を通して、10匹のラットに通常の飼料(NC)を与え、一
方で72匹のラットにはHFD(RD1、SAFE)を与えた。
高脂肪食組成は以下の通りである(Kcal%):タンパク質:17.3%;炭水化物(フルクトース):14%;脂肪(ラード):68.7%;コレステロール1.65%、コール酸0.65%。
6週間HFD食を与えた後、ラットを6時間絶食させ、グルコース耐性試験を行った。最低AUC(約17%)を表すラットは本試験から除外した。残りのラットを、次いでそのAUC(グルコース耐性指数)及びHOMA−IR(インスリン抵抗性指数)に従って異なる群に無作為に割り振った。
Ab14(10、30、100mg/kg)及びビヒクルを、週1回静脈内経路を介して(尾静脈を介して、イソフルラン麻酔下)、午前に、処置の1日目及び8日目に投与した。
メトホルミン(200mg/kg/日)を、クランプ処置まで約2週間にわたり飲料水に入れて投与した。メトホルミンで処置されたラットは、1日目及び8日目にはビヒクルを用いて(尾静脈を介して)処置された。
検査群は以下の通りである:
第1群:NC+ビヒクル静脈内(n=10)
第2群:HFD+ビヒクル静脈内(n=10)
第3群:HFD+Ab14 10mg/kg静脈内(n=10)
第4群:HFD+Ab14 30mg/kg静脈内(n=10)
第5群:HFD+Ab14 100mg/kg静脈内(n=10)
第6群:HFD+メトホルミン 200mg/kg(飲料水中)+ビヒクル静脈内(n=10)
HFD食餌の最後の週では、スクリーニングの前に、水消費量を週3回測定して水道水中のメトホルミン希釈を評価した。
6週間の通常の飼料及びHFDの後、82匹のラットを午前8:00から午後2:00まで(6時間)絶食させた。グルコースを午後2:00(t0)にボーラス投与(2.5g/kg)した。血中グルコースを、t−30、0、15、30、60、90、120、150分に(血糖測定器を使用して、尾の先端から採取した一滴の血液中で)測定した。血液を尾の先端から(EDTA上に40μL)t−30に採取して血漿インスリンを測定した(ELISA法)。
曲線下面積(AUC)を算出した。最高AUCを表す12匹のHFD食餌ラットは、耐糖能障害の度合いが低いと考えられ、本試験から除外された。60匹の残りのラットを均一なAUC、HOMA−IR、及び体重に従って6つの群に無作為に割り振った。
HFDの最初の6週間、体重を週1回測定した。処置の最初の10日間、体重を週3回測定した。食物消費量は、48時間または72時間にわたって、処置の直前及び手術処置
(11日目)までの処置期間中に週3回測定した。
処置の開始(OGTT当日)前及び処置の10日目に、全てのラットを午前8:00から絶食させた。午後1:30に、血液を尾の先端から採取した(EDTA上に40μL)。血液グルコース(血糖測定器を使用)及び血漿インスリン(ELISA法)を測定した。
11日目に、ラットを麻酔(イソフルラン)し、大腿静脈にカテーテルを埋め込んだ。回復期間はクランプ処置の前に4日間経過した。
クランプ当日の朝、ラットを6時間(午前8:00から午後2:00まで)絶食させた。血液の試料(約160μL、EDTA上)を、クランプ処置の直前(約午後1:00pm)に、第3、4、5、6群の各マウスの尾の先端から採取し、血漿(約60μL)へと処理し、Ab14濃度の評価まで−80℃で維持した。対照及びメトホルミン群は抗体濃度について分析していないが、第1、2、7群のラットから同様の量の血液を採取(及び破棄)した。
15日目または16日目に、2段階高インスリン血症−正常血糖クランプを、3H−グルコースをトレーサーとして使用し(通常の飼料群を除く)、5mU/kg/分のインスリンを午後2:00(T0)から午後4:00(T+2h)まで注入し、その後15mU/kg/分のインスリンを午後4:00から午後5:30(t+3.5h)まで注入して実施した。グルコース溶液を並行して注入し、注入率は定常状態(100+/−10mg/dL)に達するように調節された。血中グルコースを10分毎に血糖測定器を使用して尾の先端から測定した。血液を各ステップの定常状態の間に尾の先端から定期的に採取した(10μL)。
以下のパラメータを評価した:グルコース注入率(全群);全身グルコース利用率(通常の飼料群以外);肝臓のグルコース産生率(通常の飼料群以外);全身グリコーゲン及び糖分解率(通常の飼料群以外)。
さらには、通常の飼料群を除いて、クランプ実験の終了の1時間前に、14C−2DOGのボーラス注射を実施し、以下の組織の試料をクランプの終了時に採取し、さらなる評価のために保持した:
外側広筋(VL);長指伸筋(EDL);ヒラメ筋 心尖;精巣上体白色脂肪組織 鼠径部白色脂肪組織 皮膚(負の対照)。
血漿インスリン及びCペプチドレベルを、注入開始の直前(約T−30)、段階1の定常状態の終了時(T2時間)、及び段階2の定常状態の終わり(T3.5時間)で測定した。これについては、尾の先端からの採血を実施した(約100μL、EDTA上)。
統計解析を、GraphPad prismソフトウェアを使用して実施した。曲線を二元配置分散分析とボンフェローニの事後検定を使用して分析した。ヒストグラムを、t検定を使用して分析してHFD+ビヒクル対照群及び通常の飼料+ビヒクル対照群を比較した。ヒストグラムはANOVAを使用して分析した。差異は、p値が<0.05であった場合に有意であると考えられた。NS:有意でない。
結果
動物モデル及びスクリーニング。8週齢のラットに、フルクトースが濃縮された高脂肪
食(HFD、69%脂肪及び16%フルクトース)を処置の開始前に7週間与えた。体重は、HFD群において522±5gであり、対して通常の飼料を与えられた対照群では448±13gであった。次いで、体重の増加が16%あった(HFD下で42日目のt検定でp<0.001(図5))。7週間後、体重は、HFD集団において187±3g増加し、対して通常の飼料を与えられた対照群において158±9g増加した(42日目のt検定でp<0.001、図6)。
HFDの7週目では、経口ブドウ糖負荷試験を実施してHFD集団の耐糖能障害を評価した。血糖値はHFD集団においてグルコース投与の150分後まで高いままであった(図示されず)。T0に対して算出されたAUCは、対照飼料を与えられたラットと比較してHFDラットにおいて有意に高かった(9%)(図示されず)。
HOMA−IR(インスリン抵抗性指数)を、OGTTのt−30で算出した。高AUC及び高HOMA−IRを表すラットを6つの群に無作為に割り振った。対照飼料を与えられた群と比較して、HFD群においてAUCは高く(約9%、図示されず)、ならびにHOMA−IRも高く(34%、図示されず)、体重も高かった(約17%、p<0.001、図7)。
体重及び食物摂取量経過観察。体重を処置の10日間経過観察した。Ab14処置は体重に効果を有さなかった。対照飼料を与えられたラットの体重は、HFDビヒクルラットよりも有意に低いままだった(図7)。処置の2日目以降からの体重増加を、Ab14(30mg/kg)は微かに低減させ(ns)、メトホルミン 200mg/kgは有意に低減させた。
食物消費量は、想定通り対照飼料を与えられた群よりもHFDビヒクル群において低かった。Ab14処置は、経過観察した食物摂取量(図8A)または累積食物摂取量(図8B、図示されず)に効果を有さなかった。メトホルミンは、累積食物消費量を有意に低減(25%低減)させた。手術処置の前の動物の絶食により、9日目と10日目の間の食物消費量測定を中断した。
生化学的パラメータ。対照飼料を与えられた群と比較したとき、HFDビヒクル群における空腹時血糖は、0日目、10日目、15日目にそれぞれ5%(ns)、11%(ns)、及び20%(p<0.001)増加した。Ab14またはメトホルミンを用いた処置は10日目には効果を有さなかった。100mg/kgでAb14を用いた処置は、HFDビヒクル群と比較したとき、15日目の空腹時血糖に有意な低減効果を有した(図9)。
空腹時血漿インスリンは、対照飼料を与えられた群と比較してHFDビヒクル群において0日目、10日目、15日目でそれぞれ33%(ns)、49%(ns)及び67%(p<0.01)増加した。Ab14処置は10日目で効果を有さなかったが、メトホルミンは血漿インスリンを37%(ns)低減させた。10、30または100mg/kgでのAb14処置は、15日間の処置後、血漿インスリンをそれぞれ26%、16%、または18%(ns)低減させ、メトホルミンは血漿インスリンを11%低減させた(ns、図10)。
想定通り、15日目の血漿C−ペプチドレベルプロファイルは、血漿インスリンレベルに類似したが、効果はより顕著で変動が少なかった。C−ペプチドは、対照飼料を与えられた群と比較してHFDビヒクル群において有意に増加(67%増加)した。10、30または100mg/kgでのAb14処置は、C−ペプチドレベルをそれぞれ30%(p<0.05)、23%(ns)、及び29%(p<0.05)低減させ、メトホルミンは
C−ペプチドを13%(ns)低減させた(図11、下方左パネル)。
インスリン抵抗性の指数であるHOMA−IRは、対照飼料を与えられた群と比較してHFDビヒクル群において0日目に36%(ns)、10日目に42%(ns)及び15日目に98%(p<0.01)増加した。HFDビヒクルと比較して、Ab14は10日間の処置後に効果を有さなかったが、メトホルミンは36%の低減効果(ns)を有した。15日間の処置後、10、30または100mg/kgでのAb14処置は、HOMA−IRをそれぞれ33%(ns)、17%(ns)及び38%(p<0.05)低減させ、メトホルミンはHOMA−IRを18%低減させる傾向にあった(ns、図12)。
高インスリンクランプ。図13は、2段階高インスリンクランプ中の継時的なグルコース注入率(GIR)を示す。第一段階(5mU/kg/分のインスリン)では、肝臓のグルコース産生(HGP)は不完全に阻害され、肝臓のグルコース産生が阻害されたとき第二段階(15mU/kg/分のインスリン)中よりもグルコース注入率(GIR)は低かった。
対照飼料を与えられた群のGIRは、クランプの両段階でHFDビヒクル群よりも高く、HFDラットが8〜9週間の食餌後にインスリン抵抗性表現型を有したことを確かにした。メトホルミンは、第一クランプ段階中はGIRに効果を有さなかったが、GIRプラトーはAb14処置群の方が微かに高かった(ns)。全ての処置群において、第二クランプ段階中にHFDビヒクル群よりも高いGIRプラトーが観察され、メトホルミン及び30または100mg/kgでのAb14については有意差が観察された(図13)。統計学的有意性は、二元配置分散分析とボンフェローニの事後検定をHFDに対して使用して評価された。第一クランプ段階では、GIRは、50分及び60分の時点で通常の飼料対照、ビヒクル処置ラットについてのみ有意に異なった(それぞれp<0.01及びp<0.05)。第二クランプ段階では、GIRは、30mg/kgのAb14で処置されたHFDラットについて160〜210分の時点で(160分の時点でp<0.05及び170〜210分の時点でp<0.01)、100mg/kgのAb14で処置されたHFDラットについて170〜210分の時点で(190分時点でp<0.01及び170〜180分及び200〜210分の時点についてはp<0.05)、メトホルミンで処置されたHFDラットについて170〜210分の時点で(180分及び190分時点でp<0.01、及び170分及び200〜210分の時点でp<0.05)有意に異なった。
GIR平均を各プラトーについて算出した(図14)。GIRは、対照飼料を与えられた群と比較してHFDビヒクル群において有意に低減し、第一段階及び第二段階中にそれぞれ32%(p<0.05)及び17%(p<0.01)低減した。10、30、または100mg/kgのAb14は、GIRを、第一段階中に増加させ(ns)(それぞれ26%、37%、及び29%増加)、メトホルミンも11%増加させる効果(ns)を有した。第二段階では、HFDビヒクル群と比較して全ての処置がGIRを増加させた:10、30、または100mg/kgのAb14は、それぞれ19%(ns)、36%(p<0.01)、及び28%(p<0.05)、メトホルミンは27%(p<0.05)増加させた。
2つのクランプ段階中の血中グルコース平均は、想定通り正常血糖状態に対応した。第一段階中は対照飼料を与えられた群とHFDビヒクル群との間に有意差があったが、糖血は正常な範囲のままであり、生物学的な状態は両群において同一であった(図14)。
血漿インスリンをクランプ処置中に測定した。想定通り、インスリンレベルは2つのクランプ段階の終了時に全群間で同様であった。第一クランプ段階では、インスリン濃度はおおよそ140μU/mLであり、摂食状態で予期される生理学的なレベルであった。第
二クランプ段階後のインスリン濃度はおおよそ490μU/mLであり、それは薬理学的なレベルであった(図11、上方のパネル)。
C−ペプチドも、クランプ処置中に測定した(図11、下方右パネル)。正常血糖状態中は、β細胞によるインスリン分泌が阻害され、血漿C−ペプチドレベルはそれゆえ低く、解釈可能ではなかった。
3H−グルコースを、全てのHFD群においてクランプ処置中にインスリンと共に注入した(対照飼料を与えられた群では行わなかった)。全身グルコースフラックスを次いで算出した。第一クランプ段階では、グルコース代謝回転(GTO)は全群において同様であったが、30mg/kgのAb14は、HFDビヒクル群と比較してGTOを増加させる傾向にあった(17%、ns)。糖分解及びグリコーゲン合成は、30mg/kgのAb14で処置した後、それぞれ15%及び16%増加する傾向にあった(ns、図15)。
第二クランプ段階では、GTO、糖分解、及びグリコーゲン合成は全ての処置群において同様であり、HFDビヒクル群と比較してAb14 30mg/kgで処置された群においてグリコーゲン合成の微かな増加(10%、ns)が観察された。30mg/kgでのAb14(p<0.05)及び100mg/kgでのAb14(ns)はHGPを完全に阻害し、メトホルミンもHGPを完全に阻害した(ns)。10mg/kgでのAb14処置はHGPを78%低減させた(ns、図16)。
結論。Ab14を用いた処置は、HFDラットモデルにおいて空腹時血糖ならびに血症インスリンレベルを低減させることによりHOMA−IRを低減させた。さらには、肝臓インスリン感受性は、Ab14によって顕著に改善され、一方で全身末梢のインスリン感受性に及ぼす効果は明確には観察されなかった。想定通り、メトホルミン処置も肝臓インスリン感受性を改善した。
実施例3
この実施例は、Ab14が、糖尿病のラットモデル、Zucker糖尿病肥満(ZDF)ラットのモデルにおけるグルコース代謝及び血糖コントロールに与える効果を評価する。Ab14の慢性投与がグルコース制御に与える効果を、前糖尿病性の(高インスリン血症、正常血糖)状態から明らかな糖尿病の(低インスリン血症、高血糖)状態へと進行しているZDFラットにおいて評価した。これらの動物は、生後7週までに、高血糖をほとんどから全く伴わないが、彼らが抱えるインスリン抵抗性を補うための顕著な高インスリン血症によって特徴付けられる、前糖尿病を発症している。これは、生後10〜12週までに、膵β細胞不全の結果としての低インスリン血症及び顕著な高血糖によって特徴づけられる明らかな糖尿病へと急速に進行する。この実施例において使用される抗体は、配列番号132及び134の軽鎖ポリペプチド及び重鎖ポリペプチドからなる。
方法
81匹のZDF fa/faラット(Charles River Laboratories、フランス)及び10匹の除脂肪ZDF?/+ラット(対照)を1〜2匹の群で通常の12時間照明サイクル(午後8時に消灯)、22±2℃及び相対湿度50±10%の、換気されて充実した(enriched)収容ケージに収容した。ラットは、到着時7週齢であり、試験開始の前1週間にわたって順化された。ラットに、ZDFラット用の標準食(Purina5008、Charles River)を与え、水道水は自由摂取とした。全ての動物を、本試験の全期間を通して、体調不良の任意のサイン、処置に対
する副作用、または罹患性について少なくとも1日1回モニターした。
8週齢の雄ZDF fa/faラットは、高インスリン血症で軽度の糖尿病であった。この状態での血中グルコース及びインスリンレベルが多様であるため、ZDFラットをそのHOMA−IRに従ってスクリーニングし、選択した。
Ab14で処置された群については、抗体を週1回、1日目、8日目、15日目、及び22日目に尾静脈を介して、2つの異なる用量で、つまり20mg/kg/週(第3群及び第7群)または60mg/kg/週(第4群及び第8群)で投与した(静脈内、5mL/kg)。全ての他の群は、週1回ビヒクル1で処置した(静脈内、5mL/kg)。静脈内処置は、イソフルラン麻酔下で1日目、8日目、15日目、及び22日目の朝に実施した。投与の量を、最近の体重に従って個々に適用した。
メトホルミン(Met)及びピオグリタゾン(PIO)を28日間にわたって1日1回、経口経路(経口、5mL/kg)を介して午前8:00から10:00の間に投与し、これは、OGTTの当日または静脈内処置の後を例外とし、いくつかの経口処置は午前10:00以降に完了された。第5、7、及び8群は、200mg/kg/日のメトホルミンで処置し、第6群は10mg/kg/日のピオグリタゾンで処置した。全ての他の群は、毎日ビヒクル2(経口、5mL/kg)で28日間処置した。最近の体重を使用して、各群における平均投与量を算出した。
検査群を以下の表にまとめる。Met:メトホルミン。
1週間の順化期間の後、全てのラットの体重をはかり、6時間絶食させた(午前約8:00から午後約2:00)。午後約2:00に、血液を尾の先端から採取した(約150μL、EDTA)。血中グルコース(血糖測定器)及び血漿インスリン(ELISA)を測定し、HOMA−IR(インスリン抵抗性指数)を算出した。HOMA−IR極値を表
す11匹のZDF fa/faラットを、本試験から除外したが、本試験終了時の血漿採取のために28日間収容し続けた。次いで、70匹の残りのラットを、そのHOMA−IR及び体重に従って7つの処置群に無作為に割り振った。除脂肪ラットを全て第1群に保持し、ビヒクルのみで処置した。
4週間の処置中は体重を週2回測定した。
食物消費量をスクリーニング手順の直前に測定し、それから処置の最初の3週間は、週2回24時間にわたって測定した。食物消費量はOGTTの週(第4週)には週1回測定した。
絶食(0日目の午前8:00から午後2:00までの6時間、及び12日目、19日目、及び26日目の午後約6:00から午前約8:00まで一晩)を各採血の前に実施した。血液を尾の先端から、0日目の午後約2:00(スクリーニング前、150μL、カリウムEDTA)、及び12日目(110μL、カリウムEDTA)、19日目(150μL、カリウムEDTA)及び26日目(110μL、カリウムEDTA)の投薬の前の午前約8:00に採取した。
空腹時血糖(血糖測定器)を0日目、12日目、19日目、及び26日目に測定した。空腹時血漿インスリン、ペプチド−C(ELISA法)、遊離脂肪酸、トリグリセリド、総コレステロール(比色法)、及びHDL−コレステロール(リンタングステン酸塩沈殿、比色法)を0日目、及び12日目、19日目及び26日目の投薬の前に測定した。非HDL−コレステロールを総コレステロールからHDL−コレステロールを引いて算出した。フルクトサミンを0日目、19日目及び28日目に測定した。HbA1c(DCA2000)を0日目及び28日目に測定した。
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を以下のように実施した。25日目に、ラットを午後約6:00に絶食させ、経口ブドウ糖負荷試験を翌日(26日目)に実施した。午前約8:00(T−60)に、採血(110μL、EDTA)を生化学的なパラメータ測定のために実施した。1時間後(午前約9:00)に、経口グルコースをボーラス投与した(1.5g/kg)(T0)。血中グルコースを(血糖測定器または高糖血の場合には比色法)、T−60、T0、T15、T30、T60、T90、T120、及びT180分に測定した。曲線下面積(AUC)を、T0で測定された血中グルコース値に基づいて算出した。血漿インスリン及びC−ペプチドをT−60、T15(約40μLの血液、EDTA)、及びT30分(約40μLの血液、EDTA)に測定した(ELISA法)。
2時間の食餌制限(午前8:00から午前10:00)の後、本試験からの80匹のラットをイソフルランで28日目に麻酔した。Ab14の血漿濃度を決定するために血液を採取した(腹静脈から約3000μL、K2−EDTA上)。血漿(約200μLの3アリコート)を検査まで−80℃に保った。次いで膵臓組織を切除した。ラットを腹静脈及び大動脈の切開により安楽死させた。
各膵臓を、2つの部分(縦方向カット)に分割した。一片を病理組織学的処理のために10%ホルマリン溶液中で固定した。膵臓の他片は、瞬間凍結してインスリン及びプロインスリンレベルの決定のために−80℃に保った。
本試験から除外された11匹のZDF fa/faラットを28日間収容した後で屠殺した。ラットはイソフルランで麻酔された。血液を腹静脈から採取した(カリウムEDTA上で最大容量)。血漿試料(各1mlの2アリコート)をさらなる検査のために凍結した。ラットを腹静脈及び大動脈の切開により安楽死させた。
各膵臓試料を酸性緩衝液中で均質化し、インスリン及びプロインスリン含有率をELISAキットを使用して以下の群において測定した。
第1群:除脂肪ラット+ビヒクル(n=10)
第2群:ZDFラット+ビヒクル(n=10)
第4群:ZDFラット+Ab14 60mg/kg/週(n=10)
第5群:ZDFラット+メトホルミン 200mg/kg/日(n=10)
第8群:ZDFラット+Ab14 60mg/kg/週+メトホルミン 200mg/kg/日(n=10)
各膵臓試料を、最大24〜48時間の間、4%ホルマリン中で固定した;ホルマリンの容量は、適切な固定を確かにするために試料の容量よりも5〜10倍高くした。48時間後、試料を70%エタノールに入れた。試料を次いで、以下の群における組織学的処理のためにパラフィンに含めた。
第1群:除脂肪ラット+ビヒクル(n=10)
第2群:ZDFラット+ビヒクル(n=10)
第4群:ZDFラット+Ab14 60mg/kg/週(n=10)
第5群:ZDFラット+メトホルミン 200mg/kg/日(n=10)
第8群:ZDFラット+Ab14 60mg/kg/週+メトホルミン 200mg/kg/日(n=10)
ランゲルハンス島を描写した後、表面及びインスリン標識の強度を、標識領域(茶色)及び非標識(青)領域の画像解析により定量化した。
ビヒクルZDFラット及び除脂肪ラットの平均を、フィッシャー検定が変数における有意差を示さなかったときに、スチューデント検定を使用して比較した。そうでない場合、ノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定を使用した。
処置されたZDFラットの平均を一元配置分散分析+ダネットの事後検定を使用してビヒクルZDFラットと比較した。バートレットの検定が変数における有意差を示した場合には、ノンパラメトリックなクラスカル−ウォリス+ダンの事後検定を使用した。
Ab14 20mg/kg単独の平均を、一元配置分散分析+ニューマン−コイルス事後検定を使用して、メトホルミン 200mg/kg単独またはAb14 20mg/kgとの併用と比較した。
Ab14 60mg/kg単独の平均を、一元配置分散分析+ニューマン−コイルス事後検定を使用して、メトホルミン 200mg/kg単独またはAb14 60mg/kgとの併用と比較した。
曲線を、二元配置分散分析+ボンフェローニの事後検定を使用して分析した。
ラットは全てまたはほぼ全てパラメータが外れ値である場合に除外された。この結果、4匹のラットが除外され、それぞれ異なる群のラットだった。
結果
8週齢のZDFラットでは想定通り、HOMA−IRは除脂肪ラットと比較して強く増加した(約111対3.5、図18A)。ZDFラットは軽度に高血糖(約180対113mg/dL、図18B)であり、高インスリン血症(約250対12.6μU/mL、図18C)であった。体重はZDFラットにおいて微かに増加した(図18D)。
除脂肪ラットと比較して、ZDFラットの体重は全処置期間にわたって高いままであった(図19A)。一方で、体重増加は除脂肪ラットとZDFラット間で同様であった(図19B)。
ピオグリタゾンはZDFビヒクルラットと比較して処置の8日目から体重を有意に増加させ、体重増加は処置の終了時には3倍高かった(図19A及びB)。全ての他の薬物処置は、ビヒクルZDFラットと比較して体重に有意な効果を有さなかった。Ab14 60mg/kg+メトホルミン 200mg/kgの併用は、処置の22日目から体重増加を有意に増加させた(図19B)。
食物摂取量は、除脂肪ラットと比較してビヒクルZDFラットにおいて約2倍増加した(13日目に有意)。ピオグリタゾンで処置されたラットは、ZDFビヒクルラットと比較して食物消費量がより高い傾向を示した(15日目、20日目及び22日目に有意、図20A)。累積食物摂取量は除脂肪群と比較してビヒクルZDF群において94%(p<0.01)、及びビヒクルZDF群と比較してピオグリタゾン群において14%(NS、図20B)増加した。他の処置は、ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、食物摂取量に効果を有さなかった。
空腹時血糖は、6時間絶食後または一晩絶食後のいずれにおいても除脂肪ラットでは26日間の処置中正常な範囲のままであった(図21A)。これは正常なインスリンレベルと相関した(図21B)。ビヒクルZDFラットでは、一晩絶食時の血糖は12日目(10週齢)に362±32mg/dLに達し、処置の終了時まで除脂肪ラットより有意に高いままであった(図21A)。これは12日目、19日目、及び26日目に測定された、血漿インスリンレベルの低減(除脂肪ラットに対して49.2±6.7、41.2±4.8、及び36.6±2.7μU/mL−p<0.001、図21B)及び血漿C−ペプチドレベルの低減(除脂肪ラットに対して、2813±249、2472±195、2156±165pM−<p<0.001)と相関した(図21D)。除脂肪ラット及びビヒクルZDFラットにおけるHOMA−IRの展開は、血中グルコース及び血漿インスリンレベルにおける変化を反映した(図21C)。
ピオグリタゾンは、12日間の処置から一晩絶食時の血糖値を正常なレベルへと有意に低減させた(p<0.001、図21A)。両方の用量でAb14は血中グルコースを12日、19日または26日間の処置後に約15%低減させた(n.s、図21A)。Ab14と比較して、メトホルミン 200mg/kgは、12日目に同様の効果を有したが、この効果は19日目及び26日目にはされなかった。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、Ab14 20mg/kg+メトホルミンの併用は、12日目に血中グルコースを微かに低減させ(12%、ns)、19日目及び26日目には効果を示さなかった(図21A)。対照的に、メトホルミンとAb14 60mg/kgの併用は12日目
に血糖値を有意に低下させた(38%、p<0.01対ビヒクルで処置されたZDFラット)。統計学的に有意ではないが、血液減少は19日目及び26日目にまだ観察された(それぞれ22%及び27%、図21A)。
ピオグリタゾンは、ビヒクルZDFラットと比較して12日目、19日目、及び26日目に血漿インスリン及びC−ペプチドレベルに効果を示さないために、インスリン分泌に保護的効果を有さないものと思われる(図21B及びD)。ゆえに、血糖値の低下は、ピオグリタゾンのインスリン感作効果に関し、ピオグリタゾンは、ビヒクルZDFラットと比較してHOMA−IRを12日目、19日目及び26日目にそれぞれ67%、62%及び54%低下させた。(図21C)。
ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、Ab14 20mg/kgは、12日目、19日目及び26日目の血漿インスリン及びC−ペプチドレベル、ならびにHOMA−IRを変化させなかった(図21B〜D)。一方で、Ab14 60mg/kgは12日目、19日目及び26日目に血漿インスリンレベルをそれぞれ74%、21%及び19%増加させた(ns対ビヒクルZDFラット、図21B)。
Ab14 60mg/kgは、血漿C−ペプチドレベルを12日目に10%(ns)増加させ、19日目及び26日目には効果を有さなかった(図21D)。
ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、メトホルミンは、12日目、19日目及び26日目に血漿インスリンレベルをそれぞれ79%、55%及び48%増加させた(ns、図21B)。メトホルミンは、12日目、19日目及び26日目に血漿C−ペプチドレベルをそれぞれ23%、21%、及び9%増加させた(NS対ビヒクルで処置されたZDFラット、図21D)。
ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、Ab14 20mg/kg+メトホルミンの併用は、12日目、19日目及び26日目に血漿インスリンレベルを倍増させた(NS、図21B)。Ab14 20mg/kg+メトホルミンの併用は、12日目、19日目及び26日目に血漿C−ペプチドレベルをそれぞれ21%、23%及び25%増加させた(NS、図21D)。
ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、Ab14 60mg/kg+メトホルミンの併用は、12日目、19日目及び26日目に血漿インスリンレベルを有意に増加させ、それぞれ2.5倍、2.3倍及び2.7倍に増加させた。Ab14 60mg/kg+メトホルミンの併用は、血漿C−ペプチドレベルを12日目から有意に増加させ、45%(12日目)、48%(19日目)、及び52%(26日目)増加させた(p<0.05対ビヒクルで処置されたZDFラット、図21D)。
インスリン分泌が継時的に低下したこのモデルでは、HOMA−IRの増加はインスリン分泌の増加を反映した。ゆえに、HOMA−IRの増加は、ビヒクルZDF群と比較して、メトホルミン単独またはAb14との併用処置群において観察され、この増加は12日目、19日目及び26日目に維持された(図21C)。
除脂肪ラットと比較して、フルクトサミンは、8週齢のビヒクルで処置されたZDFラットにおいて有意に高かった(66%)(144±2に対して208±6μM、p<0.001)。フルクトサミンレベルは、処置期間中、除脂肪ラットでは同様の範囲のままであったが、ビヒクルZDFラットでは19日(253±5μM、p<0.001)及び28日(234±6μM、p<0.001)間の処置後に増加した(図22)。想定通り、ピオグリタゾンは、フルクトサミンレベルを19日目から有意に低下させた(19日目に
は30%、及び28日目には25%、p<0.001)。Ab14 20及び60mg/kgは、フルクトサミンレベルに効果を有さなかった。ビヒクルで処置されたラットと比較して、メトホルミンは、19日目(6%低下、ns)においてのみフルクトサミンレベルが低くなる傾向を示した。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、Ab14 20mg/kg+メトホルミンの併用は、19日目と28日目にそれぞれ10%と8%フルクトサミンレベルを低くする有意でない傾向を示した。同様に、Ab14 60mg/kg+メトホルミンの併用は、28日目にフルクトサミンレベルを低くする(9%)有意でない傾向を示した。(図22)。
除脂肪ラットと比較して、HbA1cは8週齢のZDFラットにおいてより高かった(3.1±0.04%に対して4.3±0.1%)が、これらの値は正常な範囲内であった。
12週齢のZDFラットでは、HbA1cは、28日目に8.8±0.2%の病理学的な値に達した(p<0.001 ZDF対除脂肪ラット、図23)。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、Ab14 20及び60mg/kgは、28日間の処置後HbA1cレベルに効果を有さなかった。28日間の処置後、ピオグリタゾン及びメトホルミンはHbA1cを有意に低減させ、それぞれ44%及び15%低減させた(図23)。メトホルミンとAb14 20mg/kgとの併用及びメトホルミンと60mg/kgとの併用はHbA1cを有意に低下させ、それぞれ11%及び19%低下させた(図23)。
除脂肪ラットと比較して、血漿トリグリセリドレベルは、8週齢のZDFラットにおいて強く増加された(約0.7mMに対して約8mM、図24A)。
ビヒクルと比較して、ピオグリタゾンは、血漿トリグリセリドレベルを処置の12日目から強く低減させた。Ab14 20mg/kgは、12日目及び19日目に血漿トリグリセリドレベルを微かに低減させ(それぞれ15%及び7%、ns)、26日目には効果を有さなかった。Ab14 60mg/kgは、12日目、19日目及び26日目に血漿トリグリセリドレベルを微かに低減させ、それぞれ14%、9%及び12%低減させた(ns)。メトホルミンは、12日目、19日目及び26日目に血漿トリグリセリドレベルをそれぞれ26%、40%、及び49%増加させた(19日目から有意)。メトホルミン+Ab14 20mg/kgの併用は、ビヒクルZDF群と比較して19日目及び26日目に血漿トリグリセリドを高くする傾向(それぞれ13%及び23%、ns)を示した。メトホルミン+Ab14 60mg/kgの併用は、12日目、19日目及び26日目に血漿トリグリセリドを高くする傾向(それぞれ9%、48%及び43%、19日目から有意、図24A)を示した。
6時間の絶食の後、血漿遊離脂肪酸レベルは、除脂肪ラットよりも8週齢のZDFラットにおいて高かった(約0.59mMに対して約0.85mM)。一晩絶食(最大脂肪分解条件)の後、遊離脂肪酸レベルは、10週及び11週で同様であった(約1.3mM)。処置の12週目で、より低くなる遊離脂肪酸レベルで示されるように、除脂肪ラットと比較して、ZDFラットの脂肪分解能力が低減した(1.38±0.03に対して1.05±0.06mM、図24B)。ビヒクルZDFラットと比較して、ピオグリタゾンで処置されたラットは、12日目に35%(p<0.001)、19日目に17%(ns)及び26日目に30%(p<0.05)低い血漿遊離脂肪酸レベルを示した。Ab14 20及び60mg/kgは効果を有さなかった。メトホルミンは、ビヒクルZDFラットと比較した時、遊離脂肪酸レベルを12日目、19日目及び26日目に14%、25%及び8%増加させたが、有意ではなかった。メトホルミン単独またはAb14 20mg/kgとの併用の効果は同様であった。一方で、Ab14 60mg/kgと併用した時、メ
トホルミンは、ビヒクルZDF群と比較したとき19日においてのみ増加効果を示した(20%増加、NS、図24B)。
除脂肪ラットと比較して、血漿総コレステロール及びHDL−コレステロールレベルは8週齢のZDFラットにおいてより高く、その後4週間にわたって徐々に増加した(図25A〜B、図26A〜B)。血漿非−HDLコレステロールレベルは、生後8週目では除脂肪ラット及びZDFラットで同様であったが、10週目から除脂肪ラットに対してZDFラットにおいて継時的に増加した(図25C及び図26C)。0日目のZDF群間で総コレステロール及びHDL−コレステロールにおいて有意差があったため(図25)、結果を0日目からの相対値で表した(図26)。図26Aに示すように、ピオグリタゾンは継時的な血漿総コレステロールレベルの増加を防ぐ傾向があった。Ab14 20mg/kg及びメトホルミンは効果を示さなかった。Ab14 60mg/kgは、ビヒクルZDF群と比較して、総コレステロールを12日目、19日目、及び26日目にそれぞれ8%、14%、及び15%増加させた。メトホルミンと併用したとき、ビヒクルZDF群と比較して、Ab14 20mg/kgは、総コレステロールを12日目及び26日目にそれぞれ15%及び10%増加させ、一方でAb14 60mg/kgは総コレステロールを12日目、19日目及び26日目にそれぞれ24%、21%及び13%増加させた。ビヒクルと比較して、ピオグリタゾンは血漿HDL−コレステロールを12日目、19日目、26日目にそれぞれ38%、17%及び19%増加させた。メトホルミン単独は効果を有さなかった。Ab14 20mg/kg及び60mg/kgの単独、またはそれらのメトホルミンとの併用は、血漿HDL−コレステロールレベルを12日、19日、26日間の処置後、11%から22%増加させた。血漿非HDL−コレステロールレベル(図26C)は、12日間の処置後全てのZDF群において同様であった。ビヒクルと比較して、Ab14 20mg/kg、Ab14 60mg/kg、メトホルミン(単独またはAb14と併用)は、非HDL−コレステロールレベルに効果を有さなかった。ピオグリタゾンのみが、血漿非HDL−コレステロールレベルを有意に低減し、19日目及び26日目にそれぞれ49%及び47%低減させた。
経口ブドウ糖負荷試験は、26日間の処置後に実施した。ビヒクルで処置された除脂肪ラットと比較して、血糖値はグルコース負荷の前後で、ビヒクルで処置されたZDFラットにおいて想定通り高かった(図27A)。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、ピオグリタゾンで処置されたZDFラットのみが、全時点で有意に低下した血糖値を示した。ビヒクルと比較して、Ab14 60mg/kg及びメトホルミンの併用は、t−60分で血糖値を低下させる傾向にあり(図27A)、一方で他の薬物処置は有意な効果を示さなかった。除脂肪ラットと比較して、血中グルコース曲線下化面積(AUC)は、ビヒクルで処置されたZDFラットにおいて有意に増加され、3.7倍に増加された。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較して、ピオグリタゾンで処置されたラットは、血中グルコースAUCにおいて有意な54%の低下を示した。Ab14 20mg/kg、Ab14 60mg/kg及びメトホルミン(単独または20mg/kgまたは60mg/kgのAb14との併用)は、AUCの有意でない低下を示した(それぞれ、7%、11%、6%、7%及び17%)。Ab14 60mg/kg+メトホルミンの併用は、AUCの低下においてAb14またはメトホルミン単独と比較して微かにより効果的であった(図27B)。
血漿インスリン及びC−ペプチドレベルを、グルコース負荷の15分後及び30分後に測定した。濃度対時間プロファイルは、インスリン及びC−ペプチドの両方について類似した。インスリン及びC−ペプチドレベルは、ビヒクル、Ab14 20mg/kg及びAb14 60mg/kg処置群間で類似し、メトホルミン及びピオグリタゾン処置群において微かに増加し、メトホルミンと組み合わせたAb14 20mg/kg及びAb14 60mg/kgで処置された群において用量依存的様式でより増加した(図28A〜
B)。グルコース負荷に応答するインスリンまたはC−ペプチド分泌能力を、T−60分から算出した相対値で結果を表すことによって評価した。想定通り、ビヒクルZDFラットは、除脂肪ラットと比較して、グルコース負荷に応答してインスリン及びC−ペプチドを分泌するその能力を有意に喪失した。(図29A〜B)。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較したとき、ピオグリタゾンで処置されたラットは、インスリン分泌をT15及びT30分の時点でそれぞれ20%(p<0.05)及び5%増加させた。全ての他の処置はT15時点でインスリン分泌に効果を有さなかった。メトホルミンは、インスリン分泌をT30の時点で26%低減させた(p<0.01)。Ab14 20mg/kg単独は、T30時点で効果を有さず、メトホルミンと併用してインスリン分泌を低減させる傾向(14%、ns)を示した。Ab14 60mg/kg単独またはメトホルミンとの併用は、インスリン分泌を低減させる傾向を示し、それぞれ19%及び18%低減させた(図29A)。除脂肪ラットと比較して、グルコース負荷に応答するC−ペプチド分泌(図29B)は、ビヒクルで処置されたZDFラットにおいて有意に低下し、T15及びT30の時点で約40%低下した。ビヒクルで処置されたZDFラットと比較した時、ピオグリタゾンのみが、C−ペプチド分泌を有意に増加させ、T15及びT30の時点でそれぞれ21%及び22%増加させた。
想定通り、膵臓プロインスリン(図30A)及びインスリン(図30B)レベルは、除脂肪ラットと比較して12週齢のZDFラットにおいて有意に低かった。Ab14 60mg/kg及びメトホルミンは、プロインスリンの低下を完全に予防し、メトホルミンと組み合わせたAb14 60mg/kgは、プロインスリンレベルを有意に増加させた(p<0.05対ビヒクル)(図30A)。Ab14 60mg/kgは、膵臓インスリンレベルを微かに増加させ、メトホルミンまたはメトホルミンと組み合わせたAb14 60mg/kgは、インスリンレベルを有意に増加させた(p<0.05対ビヒクル)(図30B)。除脂肪ラットと比較して、プロインスリン/インスリン比率はZDFラットにおいて有意に増加したが、薬物処置で変化は観察されなかった(図30C)。
ビヒクル、Ab14、メトホルミンまたはAb14/メトホルミン併用のいずれかで処置された除脂肪またはZDFラットの膵臓の顕微鏡的変化に焦点をあてた本試験において毒性の証拠は報告されなかった。
膵島過形成に対応する、限局性から多巣性の大/巨大な膵島(複数可)及び膵島線維症の発生率及び重症度がより高いことがビヒクル対照を与えられたZDFラットにおいて認められた(表1及び表2)。
表1.病理組織学的(Histophathological)所見の発生率。全ての処置群は、別段の指示がない限りZDFラットとした。Met.:メトホルミン 200mg/kg/日。
表2.病理組織学的分析:基本的所見の群平均スコア。別段の指示がない限り、全処置群はZDFラットとした。Met.:メトホルミン 200mg/kg/日。
除脂肪ラットと比較して、ビヒクルで処置されたZDFラットは、微かな膵島細胞の空胞化を有し、膵島線維症の発生率及び重症度が増加した。全ての薬物処置、Ab14 60mg/kg、メトホルミン、またはAb14とメトホルミンの併用で、空胞化及び膵島線維症の重症度における低減に向かう一致した傾向があった。これらの効果は、Ab14とメトホルミンが併用された時により明白だった。
想定通り、免疫組織化学によって測定された膵臓インスリンは、ZDFラットにおいてインスリン標識の低下を示した。インスリン含有率測定から観察されるように(図30B)、薬物処置は、このインスリン標識低下を微かに予防し、Ab14とメトホルミンが組み合わされたときにより良好な効果を示した(図31)。
考察
著しいインスリン抵抗性であり重度の高インスリン血症であるが軽度にのみ高血糖である8週齢のZDFラットに、Ab14を静脈内に0mg/kg(ビヒクル)、20mg/kg、または60mg/kgの用量で週1回4週間与えた。この期間中、ビヒクルで処置された対照は、本試験の12日目までに明らかな糖尿病へと進行して重度の低インスリン血症及び著しい高血糖であり、これは生後10週までの完全な膵β細胞不全と矛盾しない。これは、その両方が実質的に低下した膵臓インスリン及びプロインスリンレベルの直接測定によって、及びこれまた劇的に低下した膵臓インスリン標識の免疫組織化学的評価を通して、本試験の終了時に確認された。加えて、本試験の終了時に行われた組織学的分析はまた、これらの動物における膵島空胞化、膵島過形成(大/巨大膵島(複数可))、及び膵島線維症の発生率及び重症度の増加を実証し、これは糖尿病膵島の病理と一致した。
それに対し、本試験の12日目でのビヒクルで処置された対照における空腹時血糖の上昇は、両用量のAb14によって部分的に予防され、この部分的予防は本試験の19日目及び26日目にも観察された。加えて、高用量のAb14はまた、本試験の12日目にビヒクルで処置された対照において観察された血漿インスリン及びC−ペプチドレベルの低下を部分的に予防した。この部分的予防は、より少ない程度ではあるが、本試験の19日目及び26日目でも観察され、これは疾患進行(膵β細胞不全)のわずかな遅延を示し、化合物による部分的な膵臓β細胞保護を示唆する。実際に、高用量のAb14は、膵臓組織を本試験終了時(28日目)に得たときにビヒクルで処置された対照において観察された膵臓プロインスリンレベルの低下も完全に予防し、直接的にまたは免疫組織化学的な分析を通して測定されたとき、膵臓インスリンレベルの低下も部分的に予防した。さらには、Ab14は、本試験終了時の組織学的評価の際にビヒクルで処置された動物において認められた膵島空胞化、膵島線維症、及び膵島過形成を一貫して低減し、これは糖尿病の膵島病理への好ましい影響をさらに示す。
実施例2において実証されるように、ビヒクルで処置された対照群と比較したとき、Ab14は、食物消費量または体重に効果を有さず、これは上記で評価されたパラメータに及ぼすAb14の効果は、カロリー制限または体重減少の結果でないことを示す。