JP2018167016A - 硬組織接合用接着剤、硬組織接合用接着剤キット、及び骨セメント - Google Patents

硬組織接合用接着剤、硬組織接合用接着剤キット、及び骨セメント Download PDF

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Abstract

【課題】充分な可使時間及び優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される硬組織接合用接着剤、及び硬組織接合用接着剤キットを提供する。また、優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される骨セメントを提供する。【解決手段】硬組織接合用接着剤は、シアノアクリレート系モノマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有する。硬組織接合用接着剤キットは、シアノアクリレート系モノマーを含む液剤と、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトを含む粉末剤と、を備える。骨セメントは、シアノアクリレート系ポリマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、硬組織接合用接着剤、硬組織接合用接着剤キット、及び骨セメントに関する。
近年、高齢化社会が抱える運動器症候群のうち、変形性関節症及び骨粗鬆症の推計患者数は5,470万人で年々増加している。さらに、人工関節置換術を要する年間当たりの患者例は、膝関節症で6.6万例、股関節症例で4.7万例、大腿骨人工骨頭例で5.5万例(矢野経済研究所2015年、第6回科学委員会医療機器専門部会、参照。)に及ぶ。
従来から、上記疾患の治療のために骨及び関節等に充填される骨セメントとしては、例えば、合成樹脂を主成分とし、X線不透過性とするために硫酸バリウム、タンタル、タングステン等の放射線不透化材料を含有するもの(例えば、特許文献1参照。)等が挙げられる。
一方、従来から、2−シアノアクリレート系接着剤は、瞬間接着剤として知られており、優れた接着性を有する。また、2−シアノアクリレート系接着剤は、食道、胃、腸管、消化管、血管、気管、気管支の吻合等、軟組織接合用接着剤として用いられていた(例えば、特許文献2参照。)。
特表2004−534575号公報 再公表WO2008/056516号公報
特許文献1に記載の骨セメントは、充分な可使時間を有するが、合成樹脂及び放射線不透化材料を含有し、骨充填後に骨表面の凹凸に固着するのみで、骨親和性を持たない組成であった。そのため、経年劣化による骨との剥離が起こり易く、再手術が必要となる症例が多いことが指摘されていた。また、合成樹脂の硬化時の発熱(約60℃程度)による組織障害が課題であった。
また、特許文献2に記載の2−シアノアクリレート系接着剤は、可使時間が短く、骨、軟骨等の硬組織において用いる場合に、接着剤を塗布後に接着位置の微調整等を行うことが難しく、硬組織接合用接着剤として使用することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、充分な可使時間及び優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される硬組織接合用接着剤及び硬組織接合用接着剤キットを提供する。また、優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される骨セメントを提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、2−シアノアクリレート系接着剤、及び、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイト等の骨成分を含有する硬組織接合用接着剤は、充分な可使時間及び優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る硬組織接合用接着剤は、シアノアクリレート系モノマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有する。
さらに、前記β型リン酸三カルシウムにおいて、結晶中のカルシウム位置の一部がマグネシウムイオンに置換固溶されており、且つ、結晶構造内に存在する空孔の一部がナトリウムイオンに置換固溶されていてもよい。
さらに、前記β型リン酸三カルシウムにおいて、結晶中のリン位置の一部が珪素イオンに置換固溶されていてもよい。
上記態様に係る硬組織接合用接着剤において、前記珪素イオンを全陰イオン位置に対して5mol%以下含んでもよい。
前記β型リン酸三カルシウム及び前記ヒドロキシアパタイトの平均粒径が100μm以下であってもよい。
前記β型リン酸三カルシウム及び前記ヒドロキシアパタイトの平均粒径が50μm以下であってもよい。
前記β型リン酸三カルシウム及び前記ヒドロキシアパタイトが球状粒子であってもよい。
本発明の第2態様に係る硬組織接合用接着剤キットは、シアノアクリレート系モノマーを含む液剤と、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトを含む粉末剤と、を備える。
上記態様に係る硬組織接合用接着剤キットにおいて、コテ塗り塗工用又はシリンジ注入用であってもよい。
本発明の第3態様に係る骨セメントは、シアノアクリレート系ポリマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有する。
上記態様に係る骨セメントにおいて、圧縮強度が30MPa以上であってもよい。
上記態様に係る骨セメントにおいて、圧縮弾性率が50GPa以下であってもよい。
上記態様に係る骨セメントにおいて、曲げ強度が30MPa以上であってもよい。
上記態様に係る骨セメントにおいて、曲げ弾性率が80GPa以下であってもよい。
上記態様によれば、充分な可使時間及び優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される硬組織接合用接着剤、及び硬組織接合用接着剤キットを提供することができる。また、優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される骨セメントを提供することができる。
製造例1における非スプレードライ(以下、「SP」と称する場合がある。)処理のβ−TCPに1mol%のシリカを固溶されたサンプル(以下、「β−TCP/Si 1mol%」と称する場合がある。)の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)像である。 製造例1におけるSP処理後、1130℃で焼結させたβ−TCP/Si 1mol%のSEM像である。 試験例1におけるシリンジを用いた混練機及び混合した試料を充填するシリコンチューブを示す概略図である。 試験例1におけるシリンジを用いた混練試験により得られた人工骨材(β−TCP/Si 2mol%/SP処理有/焼結有)とシアノアクリレート系接着剤との質量比が1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3である硬化体のSEM像である。 試験例1におけるシリンジを用いた混練試験により得られた人工骨材(β−TCP/Si 2mol%/SP処理有/焼結有)とシアノアクリレート系接着剤との質量比が1:1.2及び1:1.3である硬化体のSEM像(左側)及び電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer;EPMA)像(右側)である。 試験例2におけるコテを用いて人工骨材とシアノアクリレート系接着剤とを混練する様子を示す画像である。 試験例3における人工骨材(β−TCP/Si 1mol%/SP処理有/焼結有)とシアノアクリレート系接着剤とを混合して得られる硬化体をウサギ大腿骨に埋植し、埋植から18週間後に作製した病理標本の蛍光像である。 試験例3における図6Aの病理標本の蛍光像について埋植部の拡大画像である。 試験例3における人工骨材(β−TCP/Si 1mol%/SP処理有/焼結有)とシアノアクリレート系接着剤とを混合して得られる硬化体をウサギ大腿骨に埋植し、埋植から18週間後に作製した病理標本の可視光像である。 試験例3における図7Aの可視光像について埋植部の拡大画像である。
≪硬組織接合用接着剤≫
本実施形態に係る硬組織接合用接着剤は、シアノアクリレート系モノマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有する。
従来の硬組織接合用接着剤は、合成樹脂を主成分とし、放射線不透過性を付与するために硫酸マグネシウム等を含有し、非生体親和性及び非骨吸収性であった。そのため、従来の硬組織接合用接着剤を充填した患部では固着不具合及び骨量の激減が問題となっていた。
これに対し、本実施形態の硬組織接合用接着剤は、充分な可使時間を有するため、患部へ充填する際に取り扱いやすい。また、含有成分は生体親和性を有し、本実施形態の硬組織接合用接着剤の硬化体(骨セメント)を充填した患部において経時的に骨置換される。そのため、充填された患部の骨再生を効率的に促すことができる。
なお、本明細書において、「可使時間」とは、主剤及び硬化剤、主剤、硬化剤及び硬化促進剤等の組み合わせで使う多液組成物において、科学的反応によって組成物が硬化し始めるまでの時間のことを意味する。本実施形態の硬組織接合用接着剤は、可使時間が4分以上60分以下、好ましくは5分以上30分以下、より好ましくは6分以上20分以下である。可使時間が上記範囲内であることにより、骨又は関節の疾患の整形外科手術において、硬化までの時間が短すぎないため取り扱いやすく、また硬化までの時間が長すぎないため手術時間の増大が防止され、患者への負担も軽減される。
また、本明細書において、「硬組織」としては、例えば、骨、歯、爪等が挙げられる。
また、本明細書において、「骨吸収」とは、骨及びその代替物としての移植体が破骨細胞等の働きにより吸収される現象を意味する。また、「骨形成」とは、骨芽細胞等の働きにより吸収された部分において、新しい骨が形成される現象を意味する。この「骨吸収」と「骨形成」とを合わせて、「骨の代謝」又は「骨のリモデリング」とも呼ばれる。また、「骨置換」とは、骨及びその代替物としての移植体が吸収され、新しい骨に置換される現象を意味する。本実施形態の硬組織接合用接着剤の硬化体(骨セメント)は経時的に骨置換されるため、置換された患部において効率的に骨再生が進むと推察される。
<シアノアクリレート系モノマー>
本実施形態の硬組織接合用接着剤に含まれるシアノアクリレート系モノマーとしては、生体親和性を有するものであればよく、例えば、特公昭48−10379号公報、国際公開WO2002/053666号、再公表WO2008/056516号公報等に記載のもの等が挙げられる。
具体的には、以下の式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物(以下、「化合物(1)」、「化合物(2)」、及び「化合物(3)」と称する場合がある。)等が挙げられる。
[式中、R11は、炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基である。]
[式中、R21は炭素数2〜4のアルキレン基であり、前記R21の炭素数が2の場合、R22は炭素数5〜8のアルキル基であり、前記R21の炭素数が3又は4の場合、前記R22は炭素数4〜8のアルキル基である。]
[式中、R31及びR32は炭素数2〜4のアルキレン基であり、前記R31及び前記R32の炭素数が2の場合、R33は炭素数4〜8のアルキル基であり、前記R31及び前記Rの炭素数が3又は4の場合、前記R33は炭素数3〜8のアルキル基である。]
[R11
11における前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状のものでも分岐鎖状のものでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。中でも、R11における前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はn−ブチル基がより好ましく、ホルムアルデヒドの放出量が少ないことから、エチル基又はn−ブチル基がさらに好ましい。
11における前記炭素数1〜10のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基が酸素原子に結合した構造であればよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、tert−ペントキシ基、1−メチルブトキシ基、n−ヘキトキシ基、2−メチルペントキシ基、3−メチルペントキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、n−ヘプトキシ基、2−メチルヘキトキシ基、3−メチルヘキトキシ基、2,2−ジメチルペントキシ基、2,3−ジメチルペントキシ基、2,4−ジメチルペントキシ基、3,3−ジメチルペントキシ基、3−エチルペントキシ基、2,2,3−トリメチルブトキシ基、n−オクトキシ基、イソオクトキシ基、2−エチルヘキトキシ基、ノニノキシ基、デシロキシ基等が挙げられる。中でも、X21における前記炭素数1〜10のアルコキシ基は、直鎖状のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、又はn−ブトキシ基がより好ましく、ホルムアルデヒドの放出量が少ないことから、エトキシ基又はn−ブトキシ基がさらに好ましい。
化合物(1)におけるR11としては、直鎖状のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、又はn−ブトキシ基がより好ましく、ホルムアルデヒドの放出量が少ないことから、エチル基、n−ブチル基、エトキシ基又はn−ブトキシ基がさらに好ましい。
[R21及びR22
21における前記炭素数2〜4のアルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であればよく、具体的には、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基等が挙げられる。中でも、R21における前記炭素数2〜4のアルキレン基は、直鎖状のものが好ましく、エチレン基、n−プロピレン基、又はイソプロピレン基がより好ましい。
22における前記炭素数4〜8又は5〜8のアルキル基としては、上述のR11において例示されたものと同様のものが挙げられる。
中でも、R21の炭素数が2であるとき、R22の炭素数が5〜8であり、6〜8であることが好ましく、7〜8であることがより好ましい。R21及びR22の炭素数が上記範囲であることにより、ホルムアルデヒドの放出量が適量であり、優れた安全性及び十分な分解性を有する生体用接着剤とすることができる。
また、中でも、R21の炭素数が3であるとき、R22の炭素数が4〜8であることが好ましい。R21及びR22の炭素数が上記範囲であることにより、ホルムアルデヒドの放出量が適量であり、優れた安全性及び十分な分解性を有する硬組織接合用接着剤とすることができる。
[R31、R32及びR33
31及びR32における前記炭素数2〜4のアルキレン基としては、上述のR21において例示されたものと同様のものが挙げられる。
33における前記炭素数4〜8又は5〜8のアルキル基としては、上述のR11において例示されたものと同様のものが挙げられる。
中でも、R31及びR32の炭素数が3であるとき、R33の炭素数が3〜5であることが好ましい。R31、R32及びR33の炭素数が上記範囲であることにより、硬度がより低く、優れた柔軟性を有する硬組織接合用接着剤とすることができる。
化合物(1)としてより具体的には、例えば、メチル−2−シアノアクリレート、エチル−2−シアノアクリレート、プロピル−2−シアノアクリレート、イソプロピル−2−シアノアクリレート、ブチル−2−シアノアクリレート、イソブチル−2−シアノアクリレート、アミル−2−シアノアクリレート、ヘキシル−2−シアノアクリレート、シクロヘキシル−2−シアノアクリレート、オクチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート、アリル−2−シアノアクリレート、ベンジル−2−シアノアクリレート、メトキシエチル−2−シアノアクリレート、エトキシエチル−2−シアノアクリレート、メトキシプロピル−2−シアノアクリレート、テトラヒドロフルフリル−2−シアノアクリレート等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、化合物(1)としては、エチル−2−シアノアクリレート又はブチル−2−シアノアクリレートであることが好ましい。
化合物(2)としてより具体的には、例えば、2−ヘキトキシエチル−2−シアノアセテート、2−ヘプトキシエチル−2−シアノアセテート、2−(2−エチルヘキトキシ)エチル−2−シアノアクリレート、2−ブトキシイソプロピル−2−シアノアクリレート、2−ヘキトキシイソプロピル−2−シアノアクリレート、2−(2−エチルヘキトキシ)イソプロピル−2−シアノアクリレート、2−オクトキシエチル−2−シアノアセテート等が挙げられ、これらに限定されない。
化合物(3)としてより具体的には、例えば、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル−2−シアノアクリレート、2−(2−プロポキシイソプロポキシ)イソプロピル−2−シアノアクリレート、2−(2−ブトキシイソプロポキシ)イソプロピル−2−シアノアクリレート等が挙げられ、これらに限定されない。
本実施形態の硬組織接合用接着剤はシアノアクリレート系モノマーとして、化合物(1)、化合物(2)、及び化合物(3)のうちいずれか少なくとも1種を含有していてもよく、これら2種以上を組み合せて含有していてもよい。
<シアノアクリレート系モノマーの製造方法>
本実施形態の硬組織接合用接着剤に含まれるシアノアクリレート系モノマーの製造方法は特に限定されない。例えば、シアノ酢酸とアルコールとのエステル化反応等により生成したシアノ酢酸エステルを、溶媒中、触媒の存在下において反応させて縮合させればよい。触媒としてはアミン又は塩基を用いればよい。
前記アミンとしては、ピペリジン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、モルホリン等が挙げられる。
前記塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、二級アミンの塩等が挙げられる。
触媒は、シアノ酢酸エステルに対して0.001〜10モル、好ましくは0.01〜1モルの範囲で用いられる。溶媒としては、トルエン、酢酸エチル等が用いられる。反応温度は溶媒を還流させることができる温度とすることができる。
次いで、縮合液から溶媒を留去し、次いで、五酸化リン、リン酸、縮合リン酸等を、溶
媒を留去した縮合物に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.5〜3質量%添加し、140〜250℃に加温して解重合させる。この解重合で生成した粗2−シアノアクリレート化合物を蒸留し、純度を高め、本実施形態の硬組織接合用接着剤に用いる2−シアノアクリレート系モノマーを得ることができる。
<人工骨材>
本実施形態の硬組織接合用接着剤は人工骨材であるβ型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトを含有する。β型リン酸三カルシウム及びヒドロキシアパタイトのいずれかを含有していてもよく、β型リン酸三カルシウム及びヒドロキシアパタイトの両方を含有していてもよい。
一般に、「リン酸三カルシウム」(TCP;Ca(PO)には、低温からβ、α、α'の三つの相が存在する。α'−TCPは1450℃付近から高温で安定であり常温では得られない。α−TCPは1120〜1180℃以下でβ−TCPに相転移するが、転移の速度が遅いため常温で準安定相として存在する。天然にはWhitlockite(Ca18(Mg、Fe)(PO14、β相と類似)として存在する。α−TCP及びβ−TCPはともに生体活性材料であり、バイオセラミックスとして利用されている。
また、一般に「ヒドロキシアパタイト」(hydroxyapatite;HAp)は、燐灰石のうち、1価の陰イオンとして水酸基を主に含むものの総称を意味する。ヒトを含む脊椎動物の骨、歯等の硬組織の主要構成成分である。HApは市販のものを用いればよく、例えば、太平化学社製の「ヒドロキシアパタイト」(平均粒径4〜6μm)、「球形HAP」(平均粒径15〜20μm)、「HAP−200」(平均粒径5〜20μm)等が挙げられ、これらに限定されない。
[β型リン酸三カルシウム(β−TCP)]
(β−TCPの結晶構造)
β−TCPの空間群はR3cで菱面体晶系に属する。格子定数は六方格子設定でa=1.04391nm、c=3.73756nmである。また、公知文献(特開2015−173788号公報)に記載のとおり、β−TCPは結晶構造(単位格子)中にCa多面体とPO四面体とからなる結晶学的に独立なAとBとの2本のカラムが、c軸に平行に存在している。
Aカラムはc軸(3回軸)上に存在し、p(1)−Ca(4)−Ca(5)−P(1)−空孔(○)−Ca(5)−P(1)の繰り返しである。天然鉱物であるWhitlockiteではCa(4)及びCa(5)位置にはMg又はFe等の他金属イオンが置換する。また、Ca(4)位置は席占有率が約0.5であるため、カラムAには空孔が存在する特異な結晶構造である。
BカラムはP(2)−P(3)−Ca(1)−Ca(3)−Ca(2)−P(2)−P(3)の繰り返しであるが、3つのCaは、一直線上にのらずに折れ線を形成する。
(陽イオンの置換固溶)
本実施形態の硬組織接合用接着剤に用いられるβ−TCPは、結晶中のカルシウム位置の一部が二価陽イオンであるマグネシウム(Mg2+)イオンで置換固溶されており、且つ、結晶構造内に存在する空孔に一価陽イオンであるナトリウム(Na)イオンで置換固溶されていてもよい。
一般に、「マグネシウムイオン」は、細胞内でエネルギー源となる最も重要な酵素ATPアーゼを活性化する。マグネシウムイオンが基質であるATPと結合し、この複合体にATPアーゼが作用してエネルギーを産生する。
また、一般に、「ナトリウムイオン」は一価陽イオンとして、水素イオンと並んで生体内で重要な機能と密接に関連している。具体的には、生体内のアパタイトとの細胞接着や骨代謝、吸収の過程で必要となる。
本実施形態において、β−TCPは、全陽イオン位置に対して、カルシウムイオンを100mol%以下含有することが好ましく、86.3mol%以上95.5mol%以下含有することが特に好ましい。
また、本実施形態において、β−TCPは、全陽イオン位置に対して、マグネシウムイオンを0mol%以上10.0mol%未満含有することが好ましく、9.1mol%程度含有することが特に好ましい。
また、本実施形態において、β−TCPは、全陽イオン位置に対して、ナトリウムイオンを0mol%以上2.0mol%以下含有することが好ましい。
各イオンの含有量(mol%)は、以下の式(A)を用いて、計算することができる。なお、以下の式(A)において、イオンXは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、又はナトリウムイオンである。
(特定のイオンXの含有量(mol%))
=X[mol]/(Ca+Mg+Na+空孔(○))[mol] ×100 ・・・(A)
(陰イオンの置換固溶)
本実施形態のβ−TCPは、結晶中のリン位置が珪素イオンで置換固溶されていてもよい。
一般に、「珪素イオン」は、R’−O−Si−O−R’ ’のような結合によって多糖類との間で、またはヒアルロン酸硫酸塩やコンドロイチン硫酸などの酸性ムコ多糖類との間で橋かけ構造を形成し、結合組織に強度や弾性を付与している。このような珪素の橋かけ構造によって、皮膚は化学的、機械的に安定化され、また血管壁の透過性や弾性も保たれ、正常な機能を発現している。また、珪素は結合組織を構成する主要なタンパク質であるコラーゲン分子中のα−プロテイン鎖あたり3〜6個存在しているといわれている。したがって、ケイ素が欠乏すると、骨組織や結合組織に障害があらわれる。また、ヒトは加齢とともに大動脈、胸腺、皮膚等の珪素含有量が低下し、それにともなって動脈硬化が増加することから、珪素は脂質の沈着を阻止し、動脈硬化を予防する作用があるといわれている。また、珪素を含む無機材料では、表面電荷が負電荷を示し、この負電荷になる効果によって、細胞外マトリックスの吸着等を促進する。さらにケイ酸が材料表面にあることで骨類似アパタイトの形成を促進し、材料と生体骨との接着性および新生骨形成を増大させることができる。
本実施形態において、β−TCPは、全陰イオン位置に対して、リンイオンを95mol%以上100mol%以下含有することが好ましく、97mol%以上100mol%以下含有することがより好ましい。
また、本実施形態において、β−TCPは、全陰イオン位置に対して、ケイ素イオンを0mol%以上5mol%以下含有することが好ましく、1mol%以上3mol%以下含有することがより好ましい。
各イオンの含有量(mol%)は、以下の式(B)を用いて、計算することができる。なお、以下の式(B)において、イオンYは、リンイオン又は珪素イオンである。
(特定のイオンYの含有量(mol%))
=Y[mol]/(P+Si)[mol] ×100 ・・・(B)
(陰イオンに対する陽イオンのモル比)
本実施形態において、β−TCPの陰イオンに対する陽イオンのモル比((Ca+Mg+Na+空孔)/(P+Si))は、1.571程度である。
なお、HApの陰イオンに対する陽イオンのモル比(Ca/P)は、1.677程度である。
β−TCPは、HApよりも陰イオンに対する陽イオンのモル比が低いため、他のリン酸カルシウム系セラミックスと比較して、生体中での溶解及び吸収速度がより大きく、新生骨の生成とともに自家骨とより早く置換する。そのため、β−TCPは、人工歯根や骨充填材として臨床応用により好適である。
[平均粒径]
本実施形態において、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトの平均粒径は、シアノアクリレート系モノマーと混合した際に凝集せずに分散性が高いことから、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることより好ましく、1μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
なお、平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分析計等を用いて計測することができる。
[粒子形状]
本実施形態において、β−TCP又はHApの粒子形状は特別な限定はなく、例えば、球状;回転楕円体状;多面体状、多角錐状、円錐状、円柱状、錐台状等の幾何学的な形状;不規則な形状等が挙げられる。中でも、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトの粒子形状は球状であること好ましい。
<人工骨材の製造方法>
本実施形態において、β−TCP又はHApの粉末粒子は、公知の方法(例えば、特開2015−173788号公報)を用いて、製造すればよい。
具体的には、まず、粉体原料をエタノール溶媒としたアルミナボールミルで48時間湿式混合する。リン源としてリン酸水素アンモニウムを用い、カルシウム源として炭酸カルシウムを用いればよい、また、このとき、マグネシウムイオン、ナトリウムイオン、及びケイ素イオンで置換固溶されたβ−TCPを製造する場合には、マグネシウム源として酸化マグネシウムを用い、ナトリウム源として硝酸ナトリウムを用い、ケイ素源として二酸化珪素を用いればよい。これらの粉体原料を上記含有量となるように混合する(第1の混合工程)。
次いで、混合試料のエタノールをロータリーエバポレーターで除去し、焼成温度900℃以上1180℃以下程度、大気雰囲気下の条件で12時間程度焼成する(仮焼工程)。次いで、仮焼工程後の焼成体を、めのう乳鉢等を用いて、1時間乾式混合する(第2の混合工程)。
β−TCP又はHApの球状等の所望の形状の粒子を得る場合には、さらに、前記焼成体を湿式法又は乾式法等によって球状等の所望の形状に成形すればよい(成形工程)。湿式法は、水やバインダー(結合剤)の付着力を利用して造粒する方法であり、具体的には、転動造粒法、噴霧乾燥造粒法(スプレードライ法)、押出し造粒法等が挙げられる。また、乾式法は水やバインダー(結合剤)を使用せず、材料の凝集力を高めて造粒する方法であり、具体的には、ロール等の圧力で粉体を圧縮する圧縮造粒法等が挙げられる。
中でも、本実施形態においては、湿式法であることが好ましく、球状粒子が得られ、平均粒径が制御しやすいことから、噴霧乾燥造粒法(スプレードライ法)であることがより好ましい。
次いで、第2の混合工程後又は成形工程後の粒子を、さらに、焼成温度900℃以上1180℃以下程度、大気雰囲気下の条件で12時間程度焼成する(焼成工程)。得られた焼成体を後述に示すβ−TCP又はHApを含む粉末剤として用いればよい。
<その他含有成分>
本実施形態の硬組織接合用接着剤は、さらに、安定剤、増粘剤、硬化促進剤等を含有していてもよい。前記その他含有成分の合計含有量は、硬組織接合用接着剤中のシアノアクリレート系モノマーを含有する液剤を100質量%とした場合に、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
前記安定剤としては、二酸化硫黄、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、プロパンサルトン、三フッ化ホウ素錯体等のアニオン重合禁止剤、及びハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,2−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のラジカル重合禁止剤等が挙げられる。安定剤の含有量は、シアノアクリレート系モノマーの含有量を100質量部とした場合に、アニオン重合禁止剤の場合は、1〜200質量ppm、特に10〜100質量ppm配合して用いることができる。また、ラジカル重合禁止剤の場合は、100〜10000質量ppm、特に500〜5000質量ppm配合して用いることができる。これらの安定剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増粘剤としては、ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル系重合体又は共重合体、アセチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリルゴム等が挙げられる。増粘剤の含有量は、シアノアクリレート系モノマーの含有量を100質量部とした場合に、1〜20質量部、特に2〜10質量部配合して用いることができる。これらの増粘剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化促進剤としては、ポリエチレングリコール誘導体、クラウンエーテル誘導体、及びカリックスアレン等が挙げられる。これらの硬化促進剤は貯蔵安定性に影響を与えない範囲の質量割合で配合して用いることができる。これらの硬化促進剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
≪硬組織接合用接着剤の製造方法≫
本実施形態の硬組織接合用接着剤は、上記シアノアクリレート系モノマー(及び、必要に応じて、その他含有成分)を含有する液剤と、上記人工骨材の粉末剤とをそれぞれ、各種方法により滅菌処理し、その後、前記液剤と前記粉末剤とを混合することで硬組織接合用接着剤を調製して、各種の用途に供される。この滅菌処理の方法は特に限定されず、例えば、電子線滅菌法、γ線滅菌法、ろ過滅菌法、乾熱滅菌法等が挙げられる。滅菌処理は、これらの各種の方法のうちの1種により施されてもよく、必要に応じて2種以上の方法により滅菌処理してもよい。例えば、この硬組織接合用接着剤の容器がガラスアンプルである場合は、ガラスアンプルに封入した接着剤を乾熱滅菌する、又はろ過滅菌して無菌充填する。この硬組織接合用接着剤の容器がポリオレフィン製である場合は、ろ過無菌して無菌充填する。これらの容器の外側はエチレンオキサイドガス滅菌を施して滅菌することができる。また、このエチレンオキサイドガス滅菌のところを、電子線滅菌、或いはγ線滅菌に代えても滅菌を施すことができる。
≪硬組織接合用接着剤の使用方法≫
本実施形態の硬組織接合用接着剤は、上記シアノアクリレート系モノマー(及び、必要に応じて、その他含有成分)を含有する液剤と、上記人工骨材の粉末剤とを混合したものであり、骨、歯、爪等の硬組織同士の接合、又は後述の硬組織接合用接着剤の硬化体である骨セメントとして、硬組織の欠損部に移植するために用いられる。
≪硬組織接合用接着剤キット≫
本実施形態に係る硬組織接合用接着剤キットは、シアノアクリレート系モノマーを含む液剤と、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトを含む粉末剤と、を備える。
本実施形態の硬組織接合用接着剤キットは、充分な可使時間を有する。そのため、骨、歯等の疾患の整形外科的治療において、液剤及び粉末剤を混合し硬組織接合用接着剤を用事調製する場合に、患部へ充填する際に取り扱いやすい。また、硬組織接合用接着剤キットの含有成分は生体親和性を有し、前記硬組織接合用接着剤の硬化体(骨セメント)は経時的に骨置換される。そのため、充填された患部の骨再生を効率的に促すことができる。
<液剤>
本実施形態の硬組織接合用接着剤キットに備えられる液剤は、シアノアクリレート系モノマーを含む。
前記シアノアクリレート系モノマーとしては、上述の硬組織接合用接着剤において例示されたものと同様のものが挙げられる。
中でも、シアノアクリレート系モノマーとしては、エチル−2−シアノアクリレート又はブチル−2−シアノアクリレートであることが好ましい。
本実施形態において、液剤は、さらに、安定剤、増粘剤、硬化促進剤等を含有していてもよい。前記その他含有成分の合計含有量は、液剤を100質量%とした場合に、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。安定剤、増粘剤、硬化促進剤としては、上述のその他含有成分において例示されたものと同様のものが挙げられる。
<粉末剤>
本実施形態の硬組織接合用接着剤キットに備えられる粉末剤は、β−TCP又はHApを含む。β−TCP及びHApのいずれかを含有していてもよく、β−TCP及びHApの両方を含有していてもよい。
β−TCP及びHApとしては、上述の硬組織接合用接着剤において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態において、β−TCPは、カルシウム位置の一部に二価陽イオンであるマグネシウム(Mg2+)イオン、空孔に一価陽イオンであるナトリウム(Na)イオンが置換固溶していてもよい。
本実施形態において、β−TCPは、結晶中のリン位置がケイ素イオンで置換固溶されていてもよい。
各イオンの含有量は上述の硬組織接合用接着剤において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態において、β−TCP又はHApの平均粒径は、シアノアクリレート系モノマーと混合した際に凝集せずに分散性が高いことから、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることより好ましく、1μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態において、β−TCP又はHApの粒子形状としては、上述の硬組織接合用接着剤において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態において、β−TCP又はHApの粒子形状としては、球状であることが好ましい。
≪硬組織接合用接着剤キットの使用方法≫
本実施形態の硬組織接合用接着剤キットの使用方法としては、上述の液剤と上述の粉末剤とを混合して用いればよい。混合としては、例えば、後述の実施例で示すとおり、コテを用いて混合してもよく、シリンジを用いて混合してもよい。
混合比率(質量比)としては、粉末剤中のβ−TCP又はHApと液剤中のシアノアクリレート系モノマーとの質量比が1:1.3〜3:1であることが好ましく、1:1.3〜2.7:1であることがより好ましく、1:1.3〜1.6:1であることがさらに好ましい。
使用用途としては、骨、歯等の硬組織の患部に直接塗工するコテ塗り塗工用であってもよく、シリンジに充填して、患部に注入するシリンジ注入用であってもよい。
≪骨セメント≫
本実施形態に係る骨セメントは、シアノアクリレート系ポリマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有する。
本実施形態の骨セメントは、優れた生体親和性を有し、骨セメントを充填した患部におおいて、経時的に骨置換される。そのため、本実施形態の骨セメントの生体内の移植部において、効率的に骨の再生が促される。
本実施形態の骨セメントに含まれるシアノアクリレート系ポリマーとしては、上述のシアノアクリレート系モノマーの重合体又は共重合体である。具体的には、例えば、以下の式(4)、(5)、又は(6)で表される構造を有する化合物等が挙げられる。
[式中、R11、R21、R22、R31、R32、及びR33は上記と同様である。]
上述のシアノアクリレート系モノマーは、空気中の水と反応して重合反応が進み硬化する。このとき、上述のβ−TCP又はHApの粉末を混合しながら、シアノアクリレート系モノマーに分散させて硬化させることで、骨セメントが形成される。
本実施形態の骨セメントは、圧縮強度が高ければ高いほど、容易に破損せず、高い硬度を有するため好ましい。圧縮強度として具体的には、30MPa以上であり、30MPa以上100MPa未満であることが好ましく、30MPa以上60MPa以下であることがより好ましい。圧縮強度が上記範囲であることにより、適度な硬度を有する。
一方、本実施形態の骨セメントは、圧縮弾性率が接合対象となる硬組織と近しいことが好ましい。圧縮弾性率として具体的には、50GPa以下であり、5GPa以上50GPa以下であることが好ましく、10GPa以上48GPa以下であることがより好ましい。圧縮弾性率が上記範囲であることにより、圧縮弾性率が接合対象となる硬組織と近しく、適度な弾性を有する。
なお、圧縮強度及び圧縮弾性率は例えば、以下の方法を用いて測定することができる。
まず、骨セメントについて、円柱状の試験サンプル(例えば、径14mm×高さ15mm)を準備する。次いで、試験サンプルを、圧縮試験機(例えば、オートグラフAG−1(島津製作所製)等)を用いて、圧縮強度試験を行い、圧縮破壊荷重及び圧縮弾性力を測定する。次いで、得られた圧縮破壊荷重を試験サンプルの断面積で除することで圧縮強度を算出することができる。また、圧縮弾性力を試験サンプルの断面積で除することで圧縮弾性率を算出することができる。
また、本実施形態の骨セメントは、曲げ強度が高ければ高いほど、容易に破損せず、高い硬度を有するため好ましい。曲げ強度として具体的には、30MPa以上であり、30MPa以上100MPa未満であることが好ましく、40MPa以上60MPa以下であることがより好ましい。曲げ強度が上記範囲であることにより、適度な硬度を有する。
一方、本実施形態の骨セメントは、曲げ弾性率が接合対象となる硬組織と近しいことが好ましい。曲げ弾性率として具体的には、80GPa以下であり、5GPa以上79GPa以下であることが好ましく、10GPa以上79GPa以下であることがより好ましい。曲げ弾性率が上記範囲であることにより、曲げ弾性率が接合対象となる硬組織と近しく、適度な弾性を有する。
なお、曲げ強度及び曲げ弾性率は例えば、以下の方法を用いて測定することができる。
まず、骨セメントについて、角柱状の試験サンプル(例えば、縦3mm×横4mm×高さ30mm)を準備する。次いで、試験サンプルを、曲げ試験機(例えば、オートグラフAG−1(島津製作所製)等)を用いて、三点曲げ強度試験を行い、破断するまでの最大荷重(Pmax)及び曲げ弾性(Δ)を測定する。
次いで、得られた破断するまでの最大荷重(Pmax)及び以下の式(C)を用いて、曲げ強度を算出することができる。なお、式(C)において、hは試験サンプルの縦の長さ、Pmaxは試験力、lは支点間距離(すなわち、試験サンプルの高さ)、bは試験サンプルの横の長さである。
曲げ強度(δ)
=M/I×h/2=(3×Pmax×l)/(2×b×h) ・・・(C)
また、得られた曲げ弾性及び以下の式(D)を用いて、曲げ弾性率を算出することができる。なお、式(D)において、Δは曲げ弾性であり、l、b、hは式(C)と同様である。
曲げ弾性率(E)=(Δ×l)/(4×b×h) ・・・(D)
本実施形態の骨セメントは、骨、歯、爪等の硬組織同士の接合、又は硬組織の欠損部への移植に使用することができる。よって、本実施形態の骨セメントは、硬組織に関連する疾患(例えば、変形性関節症、骨粗鬆症等)の治療に有用である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]人工骨材の製造
(1)β−TCP粉末及びβ−TCP/Si粉末の製造
公知の方法(参考文献:特開2015−173788号公報)を用いて、β型リン酸三カルシウム(以下、「β−TCP」と称する場合がある。)及びβ−TCPに微量金属シリカを固溶させたもの(以下、「β−TCP/Si」と称する場合がある。)を製造した。
具体的には、まず、最終的な各イオン組成が以下の表1に示す組成となるように、リン酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム、硝酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及び二酸化珪素をアルミナボール内に投入し、エタノールを溶媒として添加して、湿式混合した。粉砕時間は48時間であった。次いで、ロータリーエバポレーターを用いて、エタノールを除去した。次いで、大気雰囲気下、焼成温度900℃で12時間、仮焼した。次いで、めのう乳鉢を用いて、1時間、乾式混合した。次いで、大気雰囲気下、焼成温度900℃で12時間、仮焼して、スプレードライ処理前(非スプレードライ処理)のβ型リン酸三カルシウム(以下、「β−TCP」と称する場合がある。)粉末又はβ−TCPに微量金属シリカを固溶させた粉末(以下、「β−TCP/Si」と称する場合がある。)を製造した。
(2)スプレードライ処理工程
次いで、(1)で得られたβ−TCP粉末及びβ−TCP/Si粉末、市販のβ−TCP粉末(太平化学社製)(以下、「β−TCP 100」と称する場合がある。)、並びにヒドロキシアパタイト粉末(以下、「HAp」と称する場合がある。)(粒子形状は球状、太平化学社製)の一部を、それぞれバインダー添加水溶液(バインダーとして、ポリビニールアルコール(PVA)使用、5〜20%PVA水溶液)に懸濁し、乾燥噴霧(スプレードライ、以下「SP」と称する場合がある。)により粉体にした。
(3)焼成工程
次いで、(1)で得られた非SP処理のβ−TCP及びβ−TCP/Si、市販のβ−TCP 100、市販のHAp、並びに(2)で得られたSP処理後のβ−TCP、β−TCP/Si、β−TCP 100、及びHApをそれぞれ1130℃で焼結させて不溶性の微粒子を得た。非SP処理であって、焼結させたものの平均粒径は2〜80μm程度であった。一方、SP処理後、焼結させたものの平均粒径は10〜50μm程度であった。
また、非SP処理であって、1130℃で焼結させたβ−TCPに1mol%のシリカを固溶されたサンプル(以下、「β−TCP/Si 1mol%」と称する場合がある。)の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)像を図1Aに示す。SP処理後、1130℃で焼結させたβ−TCP/Si 1mol%のSEM像を図1Bに示す。
非SP処理の焼結サンプルでは、平均粒径にばらつきが見られたが、SP処理の焼結サンプルでは、平均粒径が一定の範囲に含まれ、粒径がそろっていた。
また、図1A及び図1Bから、非SP処理であって、1130℃で焼結させたβ−TCP/Si 1mol%では、粒子の形状が不定形であった。これに対し、SP処理後、1130℃で焼結させたβ−TCP/Si 1mol%では、粒子の形状が球状であった。
[試験例1]シリンジを用いた混合試験
(1)硬化時間の測定
次いで、製造例1で製造した人工骨材のうち、No.9、12、15を用いて、シアノアクリレート系接着剤との混合試験を行った。具体的には、図2に示す5mLの樹脂製シリンジ2本をシリコンチューブ(内径3mm×長さ3mm)でつないだ混練機を用いて、一方に人工骨材を入れ、他方にシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)を入れ、以下の表2に示す質量比となるようにして混合した。なお、人工骨材は使用する前に、110℃で24時間乾燥させたものを用いた。次いで、図2に示すシリコンチューブ(内径8mm×高さ10mm)内に混合させた試料を流し入れ、流し入れてから5分後毎に針で刺し、表面に針が通らなくなった時点で硬化した判断し、硬化時間を測定した。結果を表2に示す。なお、表2において、「×」となっているものは、混合直後に硬化して混合できなくなったものを示している。また、時間が記載されているものは、硬化時間を示している。
表2から、No.9(β−TCP/Si 0mol%/SP処理有/焼結有)及びNo.12(β−TCP/Si 1mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤との質量比が1:1.3及び1:1.2の場合、混合することができた。また、No.15(β−TCP/Si 2mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤との質量比が1:1.3、1:1.2、1:1.1、及び1:1の場合、混合することができた。
以上のことから、シリンジを用いた混練では、特定の形状及び組成の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤とを特定の割合で混合することで、可使時間が10分以上40分以下である骨接着剤として利用できることが確かめられた。
(2)圧縮強度試験
次いで、(1)の混合試験後に得られた硬化体を、耐水研磨紙(#1500)を用いて、研磨し試験サンプルとした。得られた試験サンプルを、オートグラフAG−1(島津製作所製)を用いて、圧縮強度試験を行い、圧縮破壊荷重を測定した。次いで、得られた圧縮破壊荷重を試験サンプルの断面積で除することで圧縮強度を算出した。結果を以下の表3に示す。
表3から、得られた硬化体の圧縮強度は30MPa以上60MPa以下程度であった。
(3)SEMによる観察
次いで、No.15(β−TCP/Si 2mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤との質量比が1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3である硬化体を、耐水研磨紙(#1500)を用いて、研磨し試験サンプルとした。得られた試験サンプルを、SEMを用いて観察した。結果を図3に示す。図3において、丸(○)で囲まれた領域は、人工骨材の粒子を示している。
図3から、人工骨材が、硬化体中に分散して存在していることが確かめられた。
(4)電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer;EPMA)による観察
次いで、No.15(β−TCP/Si 2mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤との質量比が1:1.2及び1:1.3である硬化体を、耐水研磨紙(#1500)を用いて、研磨し試験サンプルとした。得られた試験サンプルを、電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer;EPMA)を用いて観察した。結果を図4に示す。図4において、左側の画像はSEM像であり、右側の画像がEPMA像である。
図4から、酸素原子(O)は全体的に広がって存在していた。また、酸素原子(O)、カルシウム原子(Ca)、及びリン原子(P)のいずれの原子も、まばらに広がって存在していた。
[試験例2]コテを用いた混練試験
次いで、製造例1で製造した人工骨材のうち、No.1〜21の全ての人工骨材を用いて、シアノアクリレート系接着剤との混合試験を行った。具体的には、図5に示す撹拌用テフロン(登録商標)容器(100mL)に人工骨材とシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)とを入れ、樹脂製コテ又は樹脂製ミキサーを用いて、気泡の混入を避けて、粉末である人工骨材と液剤であるシアノアクリレート系接着剤とが均一になるように混練した。混練後、ペースト状になるまで続けて混練した。混練開始からペースト状になるまでの時間及び硬化するまでの時間をそれぞれ測定した。結果を表4に示す。表4において、「ペースト状」とは、混練開始後、混合物が餅状の粘りが出た状態になるまでの時間を示している。また、「硬化」とは、混練開始後、混合物の粘りがなくなり、硬化するまでの時間を示している。
表4から、SP後に1130℃で焼結させた人工骨材(No.3、6、9、12、15、18、及び21)を用いた混合物では、硬化時間が4分以上30分以下であった。また、非SP処理であって、1130℃で焼結させた人工骨材(No.2及び14)を用いた混合物では、硬化時間が6分であった。
以上のことから、コテを用いた混練では、特定の形状及び組成の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤とを特定の割合で混合することで、可使時間が4分以上30分以下である骨接着剤として利用できることが確かめられた。
[試験例3]ウサギ大腿骨埋植試験
(1)硬化体(骨セメント)の製造
次いで、製造例1で製造した人工骨材のうち、No.12(β−TCP/Si 1mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤とを混合して得られる硬化体を用いて、ウサギ大腿骨埋植試験を行った。
具体的には、No.12(β−TCP/Si 1mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)とを質量比が61:49となるように混合し、硬化体(骨セメント)を製造した。得られた硬化体(骨セメント)は、形状が内径4mm×高さ6mmであり、嵩密度が1.86g/cm、開気孔率が1.76%であった。
(2)ウサギ大腿骨への埋植
次いで、ウサギ大腿骨に、(1)で得られた硬化体を2箇所に埋植した。
(3)病理標本の蛍光像観察
埋植から18週後まで1週間毎に、蛍光顕微鏡(インテリジェント顕微鏡BX63、オリンパス社製)を用いて、埋植部の蛍光像を観察した。なお、骨の標識には、カルセイン(同仁化学社製)を投与することで行った。具体的には、骨の組織動態を解析するために、大腿骨に上記硬化体を埋植したウサギに、病理標本を作製するための剖検7日前及び3日前に、カルセインをウサギの体重1kgあたり10mg/0.4mL背部皮下に投与して二重標識を行った。ウサギの体重は至近時の値を用いた。次いで、埋植から18週間後に埋植部の病理標本を作製し、観察した蛍光像を図6A及び図6Bに示す。
一方の埋植部において、埋植から3週間後から12週間後まで軽度の骨吸収が認められた。また、他方の埋植部において、埋植から12週目に軽度の骨吸収を認め、18週後においても軽度の骨吸収のままであった。
また、図6A及び図6Bから、埋植部において、骨再生が確認された。
(4)病理標本の可視光像観察
埋植から18週間後に埋植部の病理標本を作製し、光学顕微鏡(インテリジェント顕微鏡BX63、オリンパス社製)を用いて、埋植部の可視光像を観察した。結果を図7A及び図7Bに示す。
図7A及び図7Bから、埋植した硬化体(骨セメント)の崩壊が認められた。また、内部への骨形成は認められなかったが、皮質骨周辺において骨形成が認められた。
[試験例4]硬化体(骨セメント)の圧縮強度試験
(1)硬化体(骨セメント)の製造
製造例1で製造した人工骨材のうち、No.18(β−TCP/Si 3mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)とを混合して得られる硬化体を用いて、圧縮強度試験を行った。
具体的には、No.18(β−TCP/Si 3mol%/SP処理有/焼結有)20gとシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)20gとを、樹脂製コテを用いて約8分間混合した。次いで、混合物をポリエチレンテレフタレート(PET)製の試験管(外径15mm×高さ100mm)に充填し、約20分間で硬化した。次いで、混合から5日後に完全に硬化したことを確認した後、PET製試験管内に製造された硬化体(骨セメント)について、旋盤を用いて、PET製試験管ごと切削し、円柱状の硬化体(骨セメント)を得た。得られた硬化体(骨セメント)は、形状が直径約14mm×高さ15mmであった。なお、上記製造方法を用いて、硬化体を2本製造した。
(2)圧縮強度試験
次いで、(1)で得られた硬化体2本を、それぞれ試験サンプル1、2として、オートグラフAG−1(島津製作所製)を用いて、圧縮破壊荷重及び圧縮弾性力を測定した。次いで、得られた圧縮破壊荷重を試験サンプルの断面積で除することで圧縮強度を算出した。また、圧縮弾性力を試験サンプルの断面積で除することで圧縮弾性率を算出した。結果を以下の表5に示す。
表5から、得られた硬化体の圧縮強度は35MPa以上45MPa以下程度であった。
また、得られた硬化体の圧縮弾性率は35GPa以上50GPa以下程度であった。
[試験例5]硬化体(骨セメント)の三点曲げ強度試験
(1)試験サンプルA:硬化体(骨セメント)の製造
製造例1で製造した人工骨材のうち、No.18(β−TCP/Si 3mol%/SP処理有/焼結有)の人工骨材とシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)とを混合して得られる硬化体を用いて、三点曲げ強度試験を行った。
具体的には、No.18(β−TCP/Si 3mol%/SP処理有/焼結有)10gとシアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ(登録商標)A「三共」、製造販売元:東亞合成社、販売元:第一三共社)10gとを、樹脂製コテを用いて約8分間混合した。次いで、混合物をシリコン製の試験管(縦10mm×横50mm×高さ70mm)に充填し、約20分間で硬化した。次いで、混合から5日後に完全に硬化したことを確認した後、シリコン製試験管内に製造された硬化体(骨セメント)について、旋盤を用いて、シリコン製試験管ごと切削し、角柱状の硬化体(骨セメント)を得た。得られた硬化体(骨セメント)は、形状が縦3mm×横4mm×高さ30mmであった。なお、上記製造方法を用いて、硬化体を4本製造した。
(2)試験サンプルB:合成樹脂のみからなる硬化体(従来の骨セメント)の製造
stryker(登録商標)社製のサージカルシンプレックス(登録商標)骨セメントを用いて、三点曲げ強度試験を行った。
具体的には、液体モノマー(主成分:メタクリル酸メチル)10gと粉末ポリマー(主成分:メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)20gとを樹脂製コテを用いて約5分間混合した。次いで、混合物をシリコン製の試験管(縦10mm×横50mm×高さ70mm)に充填し、約15分間で硬化した。次いで、混合から5日後に完全に硬化したことを確認した後、シリコン製試験管内に製造された硬化体(骨セメント)について、旋盤を用いて、シリコン製試験管ごと切削し、角柱状の硬化体(骨セメント)を得た。得られた硬化体(骨セメント)は、形状が縦3mm×横4mm×高さ30mmであった。なお、上記製造方法を用いて、硬化体を4本製造した。
(3)三点曲げ強度試験
次いで、(1)で得られた硬化体4本を、それぞれ試験サンプルA−1、A−2、A−3及びA−4として、また、(2)で得られた硬化体4本を、それぞれ試験サンプルB−1、B−2、B−3及びB−4として、オートグラフAG−1(島津製作所製)を用いて、三点曲げ強度試験を行い、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(GPa)を測定した。なお、三点曲げ強度試験において、曲げモーメント(M)は7.5[N・mm]、断面2次モーメント(I)は9.0[mm]、M/Iは0.83であった。
また、曲げ強度(δ)は、以下の式(C)を用いて算出した。なお、式(C)において、hは試験サンプルの縦の長さ[mm]、Pmaxは試験力[N]、lは支点間距離(すなわち、試験サンプルの高さ)[mm]、bは試験サンプルの横の長さ[mm]である。
曲げ強度(δ)
=M/I×h/2=(3×Pmax×l)/(2×b×h) ・・・(C)
また、曲げ弾性率(E)は、以下の式(D)を用いて算出した。なお、式(D)において、Δは曲げ弾性[N/mm]であり、l、b、hは式(C)と同様である。
曲げ弾性率(E)=(Δ×l)/(4×b×h) ・・・(D)
試験サンプルA−1、A−2、A−3及びA−4の結果を以下の表6に、試験サンプルB−1、B−2、B−3及びB−4の結果を以下の表7に示す。
表6及び表7から、試験サンプルA−1〜A−4の曲げ強度は、試験サンプルB−1〜B−4の曲げ強度よりも大きく、45MPa以上60MPa以下程度であった。
また、試験サンプルA−1〜A−4の曲げ弾性率は、試験サンプルB−1〜B−4の曲げ弾性率よりも大きく、65GPa以上80GPa以下程度であった。
以上のことから、本実施形態の骨セメントは、従来の骨セメントよりも高い硬度及び弾性を有するものであることが確かめられた。
本実施形態の硬組織接合用接着剤及び硬組織接合用接着剤キットは、充分な可使時間及び優れた生体親和性を有する。また、本実施形態の骨セメントは、優れた生体親和性を有し、経時的に骨置換される。また、本実施形態の骨セメントの生体内の移植部において、効率的に骨の再生が促される。よって、本実施形態の硬組織接合用接着剤及び硬組織接合用接着剤キット、並びにそれらの硬化体である骨セメントは、変形性関節症、骨粗鬆症等の疾患の治療に有用である。

Claims (14)

  1. シアノアクリレート系モノマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有することを特徴とする硬組織接合用接着剤。
  2. さらに、前記β型リン酸三カルシウムにおいて、結晶中のカルシウム位置の一部がマグネシウムイオンに置換固溶されており、且つ、結晶構造内に存在する空孔の一部がナトリウムイオンに置換固溶されている請求項1に記載の硬組織接合用接着剤。
  3. さらに、前記β型リン酸三カルシウムにおいて、結晶中のリン位置の一部が珪素イオンに置換固溶されている請求項1又は2に記載の硬組織接合用接着剤。
  4. 前記珪素イオンを全陰イオン位置に対して5mol%以下含む請求項3に記載の硬組織接合用接着剤。
  5. 前記β型リン酸三カルシウム及び前記ヒドロキシアパタイトの平均粒径が100μm以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬組織接合用接着剤。
  6. 前記β型リン酸三カルシウム及び前記ヒドロキシアパタイトの平均粒径が50μm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬組織接合用接着剤。
  7. 前記β型リン酸三カルシウム及び前記ヒドロキシアパタイトが球状粒子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬組織接合用接着剤。
  8. シアノアクリレート系モノマーを含む液剤と、
    β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトを含む粉末剤と、を備えることを特徴とする硬組織接合用接着剤キット。
  9. コテ塗り塗工用又はシリンジ注入用である請求項8に記載の硬組織接合用接着剤キット。
  10. シアノアクリレート系ポリマーと、β型リン酸三カルシウム又はヒドロキシアパタイトと、を含有することを特徴とする骨セメント。
  11. 圧縮強度が30MPa以上である請求項10に記載の骨セメント。
  12. 圧縮弾性率が50GPa以下である請求項10又は11に記載の骨セメント。
  13. 曲げ強度が30MPa以上である請求項10〜12のいずれか一項に記載の骨セメント。
  14. 曲げ弾性率が80GPa以下である請求項10〜13のいずれか一項に記載の骨セメント。
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