JP2018166419A - 細胞膜穿孔用容器およびこれを用いた細胞膜穿孔方法 - Google Patents

細胞膜穿孔用容器およびこれを用いた細胞膜穿孔方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 細胞の生存率が高く、かつ、細胞内への目的物質導入における作業効率の高い細胞膜穿孔用容器およびこれを用いた細胞膜穿孔方法を提供する。【解決手段】 細胞膜穿孔用容器1は、重ねて配置される第1袋体10と第2袋体20とを含む。第1袋体10は、第1連通口11と、第2袋体に対向する第1内面12と、その反対側に位置する第1外面13と、第1内面12の中央近傍に設けられた第1開口部14とを有する。第2袋体20は、第2連通口21と、第1袋体10に対向する第2内面22と、その反対側に位置する第2外面23と、第2内面22の中央近傍に設けられた第2開口部24とを有する。第1開口部14および第2開口部24の間には細胞担持フィルタ3が設けられ、第1袋体10と第2袋体20とを連通する。第2袋体20の第2外面23の内側には、細胞担持フィルタ3に対向する位置に細胞に穿孔可能な穿孔体4を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば細胞膜を穿孔するための穿孔体を備える細胞膜穿孔用容器およびこれを用いた細胞膜穿孔方法に関する。
近年、再生医療分野の発展に伴い、細胞内に目的物質を導入する技術の重要性が高まっている。従来、このような物質導入技術として、ウイルスベクター法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法等が知られる。ウイルスベクター法においては、不特定の細胞群に目的物質を導入することができ、エレクトロポレーション法は、比較的容易な方法として広く用いられている。マイクロインジェクション法は特定の細胞にのみ穿孔を形成するものである。
特開2001−523725号公報
しかしながら、ウイルスベクター法は細胞のがん化の可能性が指摘されており、エレクトロポレーション法においては穿孔後の細胞の生存率の低さが問題となっている。また、マイクロインジェクション法においては作業効率が悪いという欠点を有する。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、細胞の生存率が高く、かつ、細胞内への目的物質導入における作業効率の高い細胞膜穿孔用容器およびこれを用いた細胞膜穿孔方法を提供することである。
この発明は、第1の発明と第2の発明とを有する。
第1の発明は、細胞膜穿孔用容器に関し、可撓性材料で形成される第1袋体と、可撓性材料で形成されるとともに前記第1袋体に積層される第2袋体と、を備え、前記第1袋体は、その内部と外部とを連通可能な第1連通口と、前記第2袋体に対向する第1内面と、その反対側に位置する第1外面と、前記第1内面に設けられた第1開口部とを有し、前記第2袋体は、その内部と外部とを連通可能な第2連通口と、前記第1袋体に対向する第2内面と、その反対側に位置する第2外面と、前記第2内面に設けられた第2開口部とを有し、前記第1袋体および前記第2袋体は、前記第1開口部および前記第2開口部に設けられるとともに、液体が透過可能であり、かつ、細胞が透過不能なメッシュサイズを有する細胞担持フィルタを介して連通し、前記第2外面の内側には、前記細胞担持フィルタに対向する位置に細胞に穿孔可能な穿孔体を備えることを特徴とする。
前記第1の発明において、前記穿孔体は、前記第2外面に接合されるベース部と、前記ベース部から前記細胞担持フィルタに向かって突出する複数の突起部とを備え、前記突起部には細胞膜に対する酸化処理手段を備えるものであってもよい。
前記第1の発明において、前記酸化処理手段は光増感剤であり、前記第1袋体は、光透過性であってもよい。
前記第1の発明において、前記穿孔体は、前記第2外面から前記細胞担持フィルタに向かって押圧されるとともに、前記細胞担持フィルタよりも前記1外面側に、押圧力を分散するための圧力分散手段を備えてもよい。
第2の発明は、細胞膜穿孔方法に関し、可撓性材料で形成される第1袋体と、可撓性材料で形成されるとともに前記第1袋体に積層される第2袋体と、を備え、前記第1袋体は、その内部と外部とを連通可能な第1連通口と、前記第2袋体に対向する第1内面と、その反対側に位置する第1外面と、前記第1内面に設けられた第1開口部とを有し、前記第2袋体は、その内部と外部とを連通可能な第2連通口と、前記第1袋体に対向する第2内面と、その反対側に位置する第2外面と、前記第2内面に設けられた第2開口部とを有し、前記第1袋体および前記第2袋体は、前記第1開口部および前記第2開口部に設けられるとともに、液体が透過可能であり、かつ、細胞が透過不能なメッシュサイズを有する細胞担持フィルタを介して連通し、前記第2外面の内側には、前記細胞担持フィルタに対向する位置に細胞に穿孔可能な穿孔体を備える細胞膜穿孔用容器を用いた細胞膜穿孔方法であって、複数の細胞を含む細胞培養液を前記第2袋体に前記第2連通口から注入する工程と、前記第1袋体の前記第1連通口からその内部の気体または液体を吸引する工程と、前記細胞担持フィルタに前記穿孔体を押圧する工程とを含むことを特徴とする。
前記第2の発明は、前記穿孔体は、前記第2外面に接合されるベース部と、前記ベース部から前記細胞担持フィルタに向かって突出する複数の突起部とを備え、前記突起部には光増感剤を備え、前記細胞担持フィルタに前記穿孔体を押圧させた状態で前記穿孔体に光刺激を供給する工程を含むものであってもよい。
前記第2の発明は、前記穿孔体は、光透過性であり、前記光刺激は、前記穿孔体を介して供給されるものであってもよい。
本発明において、細胞担持フィルタで細胞を保持し、これに穿孔体を押圧するだけで複数の細胞への穿孔の形成が可能となり、作業効率の向上が可能である。また、穿孔体により形成された穿孔は細胞自身の修復力により閉じられるので、細胞の高い生存率を維持することが可能である。
細胞膜穿孔用容器の斜視図 図1の細胞膜穿孔用容器の分解組立図 図1の細胞膜穿孔用容器のIII−III線断面図であってその概要を示す図 穿孔体の部分拡大図 実験例において撮影された本願発明にかかる実施形態の画像および画像処理した画像 実験例において撮影された対照実験にかかる画像および画像処理した画像
図1〜図3は本発明の細胞膜穿孔用容器の一実施形態を示したものである。なお、図3は図1のIII−III線断面図であるが、分かりやすいように厚さ寸法を大きく示しており、図1および図2の寸法関係とは相違する。
細胞膜穿孔用容器1は、重ねて配置される第1袋体10と第2袋体20とを含む。第1袋体10は、光透過性の可撓性材料で形成され、その内部と外部とを連通可能な第1連通口11と、第2袋体に対向する第1内面12と、その反対側に位置する第1外面13と、第1内面12の中央近傍に設けられた第1開口部14とを有する。第1内面12と第1外面13とは、その周囲において水密に固着される。
同様に第2袋体20は、光透過性の可撓性材料で形成され、その内部と外部とを連通可能な第2連通口21と、第1袋体10に対向する第2内面22と、その反対側に位置する第2外面23と、第2内面22の中央近傍に設けられた第2開口部24とを有する。第2内面22と第2外面23とは、その周囲において水密に固着される。これら固着は、例えば熱溶着や接着剤を用いた接着により実現可能である。
第1内面12、第1外面13、第2内面22、第2外面23として、例えばポリエチレン(PE)やエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)などの樹脂やこれらの組み合わせ材料を用いることができる。
第1内面12および第1外面13と、第2内面22および第2外面23とは、略矩形の同形同大であり、その矩形の一辺に第1連通口11および第2連通口21がそれぞれ設けられる。第1連通口11および第2連通口21にはコネクタ15,16がそれぞれ水密に接続され、コネクタ15,16にはキャップ17,18が取り付けられている。このコネクタ15,16を介して第1袋体10および第2袋体20において、その内部と外部とが連通可能である。具体的には、キャップ17,18を外したコネクタ15,16にシリンジ先端を取付け、シリンジによって第1袋体10または第2袋体20に液体または気体を注入することができる。また、シリンジを用い減圧することによって第1袋体10または第2袋体20の液体または気体を吸引することができる。なお、この実施形態において第1袋体10および第2袋体20の加圧および減圧にはシリンジを用いているが、これに限定されるものではなく、加圧および減圧が可能なものであればよい。
コネクタ15,16は、第1袋体10および第2袋体20の積層方向において、重ならない位置に設ける。このように重ならないようにすることによって、例えば一方のコネクタにシリンジを接続して注入・吸引をする際に、他方のコネクタが作業の妨げになるのを予防することができる。
第1袋体10と第2袋体20とは、第1開口部14および第2開口部24が互いに対向して積層される。これら第1開口部14および第2開口部24の間には細胞担持フィルタ3が設けられ、この細胞担持フィルタ3を介して第1袋体10と第2袋体20とが連通する。細胞担持フィルタ3は、第1開口部14および第2開口部24の直径よりも大きい。細胞担持フィルタ3は、第1袋体10に対向する面において、その端部が、第1内面12の第1開口部12周縁と水密に固着される。同様に第2袋体20に対向する面において、その端部が、第2内面22の第2開口部22周縁と水密に固着される。さらに、細胞担持フィルタ3の周囲において第1内面12と第2内面22とが水密に固着される。
細胞担持フィルタ3は、液体が透過可能であり、かつ、細胞が透過不能なメッシュサイズを有する
第2袋体20の第2外面23の内側には、細胞担持フィルタ3に対向する位置に細胞に穿孔可能な穿孔体4を備える。穿孔体4は、光透過性であり、より具体的には透明な材料により構成されることが望ましい。図4を併せて参照すれば、穿孔体4は、第2外面23に接合されるベース部41と、ベース部41から細胞担持フィルタ3に向かって突出する複数の突起部42とを備え、突起部42には細胞膜に対する酸化処理手段を備える。突起部42は、直径約0.3〜1μm、高さ約0.3〜2μm、ピッチ約0.3〜3μmに設定することができる。
上記のような細胞膜穿孔用容器1を用いた細胞膜穿孔方法について説明する。この実施形態では酸化処理手段として光増感剤を用いる。具体的には、穿孔体の突起部42に光増感剤を含ませたものを用いる。細胞膜穿孔用容器1は、滅菌したものを用いるとともに、少なくともキャップ17,18を外しておこなう作業は、例えばクリーンルーム等において滅菌状態でおこなう。なお、当該作業を滅菌状態でおこなうか否かは目的に応じ適宜選択可能である。
細胞培養培地中に、細胞と導入しようとする目的物質とが含まれる細胞分散液を、第2袋体20に注入する。具体的には、細胞分散液をシリンジに充填し、このシリンジ先端をキャップ18を外したコネクタ16に接続して、細胞分散液を第2袋体20の内部に注入する。注入後コネクタ16にキャップ18を嵌める。この状態で、細胞は第2袋体20内で培養が可能である。
第2袋体20に細胞分散液が注入された状態で、第1袋体10のコネクタ15に空のシリンジを接続し、第1袋体10内部を吸引する。第1袋体10内が減圧されることにより、第2袋体20の細胞分散液が細胞担持フィルタ3に向かって移動する。細胞担持フィルタ3は、液体は透過するが、細胞は透過しないから、細胞担持フィルタ3に細胞が保持される。このように細胞を細胞担持フィルタ3に保持させることによって、後の工程において、穿孔体4の突起部42と細胞の確実な接触が可能となる。すなわち、細胞が培地中に浮遊している状態では、穿孔体4を加圧したときに細胞が突起部42から逃げるように分散し、突起部42と細胞とを接触させることが困難であるが、細胞担持フィルタ3に保持させることによってこれを可能とすることができる。なお、第1袋体10における吸引は必須の工程ではない。吸引しなくても細胞担持フィルタ3で細胞を保持できればこの工程を省略することができる。
第1袋体10において、その内部を減圧した際に、細胞担持フィルタ3と第1外面13とが密着し、第1連通口11を塞いでしまわないように、スペーサを設けることもできる。スペーサは第1袋体10内外に別途設けてもよいし、第1袋体10および第1連通口11等を補強して、これらの少なくとも一部が密着しないようにしてもよい。
細胞を細胞担持フィルタ3で保持した後、シリンジの接続を外し、コネクタ15にキャップ17を嵌める。このとき、第1袋体10に培養液等の液体を注入し、第1外面13と細胞担持フィルタ3との間に液体を充填してもよい。この実施形態において、液体が充填された第1袋体10が圧力分散手段として機能する。第1袋体10に液体を充填することによって、後述の穿孔体4を細胞担持フィルタ3に押圧する際に、圧力を分散し、穿孔体4と細胞担持フィルタ3との接触圧力を均等にすることができる。穿孔体4からの押圧力が不均一である場合には、ある部分では細胞がつぶれ、ある部分では穿孔が全く形成されないという問題が生じるが、上記のように圧力を均等にすることによって、細胞群において均一に穿孔を形成することができる。また、細胞膜穿孔用容器1の図面下方に別途液体パック等を圧力分散手段として配置することによって、第1袋体10に液体を充填したときと同様の圧力の分散効果を得ることができる。
次に細胞担持フィルタ3で保持された細胞に対して穿孔体4を加圧し、細胞に穿孔体4の突起部42を接触させる。細胞に突起部42が接触した状態において、穿孔体4のベース部41側から細胞と突起部42との接触部分に向かって光照射をおこなう。穿孔体4は光透過性であるので、これを介して細胞への照射が可能である。突起部42に光増感剤が含まれるので、光照射により突起部42に接触した細胞の膜に穿孔が形成される。このように形成された穿孔から目的物質が流入し細胞内に取り込ませることができる。なお、この穿孔は数秒〜数分で細胞自身の修復力により閉じられる。
以上のように、細胞膜穿孔用容器1を用いて細胞に目的物質を導入することができる。この実施形態によれば、複数の突起部42を用いて細胞に穿孔を形成することができるから、細胞群への穿孔が可能である。同時に複数の細胞への穿孔形成が可能であり、作業効率の向上を図ることができる。また、細胞分散液中に、細胞と導入しようとする目的物質とを一緒に入れることにより、穿孔と目的物質の導入とを同時におこなうことができ、作業効率が一層向上される。
この細胞膜穿孔用容器1を用いることにより、穿孔が形成された細胞は、細胞自身の修復力により穿孔が閉じられるので、高い細胞生存率を維持することができる。しかも、設定した圧力で機械的に細胞膜穿孔用容器を加圧するだけで穿孔が形成されるので、容易かつ簡便に実現可能である。
(実験例)
以下の実験により、細胞膜穿孔用容器1を用いて細胞群に穿孔を形成した。細胞群として、神経系株化細胞PC12を用いた。この細胞の培養は、T.K. Saito, M. Takahashi, H. Muguruma, E. Niki and K. Mabuchi, “Phototoxic process after rapid photosensitive membrane damage of 5,5 ″ -bis(aminomethyl) -2,2 ′ :5 ′ ,2 ″ -terthiophene dihydrochloride”, J. Photochem. Photobiol., Vol.61, Issue 3, pp.114-121 (2001)の細胞培養に関する記述に準じておこなった。
穿孔体4は、直径85mm、厚さ1.5mmとし、材質としてポリジメチルシロキサン(PDMS,シリコーンゴムの一種)を用いた。突起部42は、径が約1μm、高さが約2μm、ピッチが約3μmである。第1袋体10および第2袋体20において、素材はポリエチレン(γ線滅菌対応 厚さ140μm)とし、寸法は縦約170mm、横約150mmである。細胞担持フィルタ3は、オムニポア(Merck Millipore、孔径0.2μm 膜厚65μm 直径90mm)を使用した。なお自作の円形の加熱シーリング装置(丸大機工)でフィルタをバッグの間に溶着している。
第1袋体10にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)液5mlを10mlシリンジで加え、空気を抜いてキャップを閉じた。続いて第2袋体20にPBS液40mlを10mlシリンジで加え、空気を抜いてキャップを閉じた。細胞培養容器からPC12細胞を剥離・分散させ、15ml遠沈管に入れた。細胞分散液3000μl+蛍光色素Alexa Fluor 594 for Microinjection (LifeTechnologies) 10倍希釈液30μlを混ぜ、5mlピペットで上層に入れた。色素が第1袋体10に行き渡るよう、目視で確認した。
細胞膜穿孔用容器1を加圧・光照射装置(CP-02,丸大機工)にセットし、穿孔処理をおこなった。加圧は98.9 N、処理時間60秒とした。穿孔後、上層の細胞分散液を10mlシリンジで回収し、15ml遠沈管に入れた。十分回収できない場合、PBS 5mlを第2袋体20に加え、軽く振り、回収した。遠心分離し、上澄み液をすべて除去した。その後、撮影用培地(Neuro Basal without Phenol Red)1mlを加えて、細胞を再分散した。スライドガラスに細胞分散液を30μl滴下し、カバーガラスをかけ、蛍光顕微鏡(IX71, オリンパス)にて観察・撮影をおこなった。その結果を図5に示した。図6は対照実験の結果であり、上記と同様の実験において光照射をしていないものである。なお、この実験例において、第1袋体10からの培養液の吸引をおこなわなくても細胞を細胞担持フィルタ3で保持可能であったため、この工程を省略した。
図5および図6における透過像および蛍光像は、画像処理プログラムにおいて画像処理し、細胞の生存率を算出した。画像処理プログラムは NI Vision Assistant 2015SP1 (National Instruments) により基本部分を作成し、最終的にLabVIEW2015 SP1(National Instruments)で完成させた。
画像処理プログラムは以下のように動作する。
1.透過像と蛍光像のファイルを読み込み、出力像ファイルを指定する。
2.透過像より細胞が存在する領域(細胞よりも小さな異物を排除判定)を自動算出し、蛍光像における同領域の輝度情報のみを有効とし、細胞が存在しないと判定された領域を輝度0とする。
3.このようにして、細胞領域由来の蛍光のみ自動認識した画像を出力像ファイルとして保存する。
4.その上で、細胞が存在する領域における平均輝度を計算および表示する。
このようにして得られた値を比較したところ、図5に示した光照射あり・加圧ありの穿孔可能条件の領域1-3においてそれぞれ、22.8, 29.7, 21.6、平均値24.7の結果が得られた。図6に示した光照射なし・加圧ありであって穿孔不能な、対照実験となる領域1-3においてそれぞれ、15.7, 16.5, 10.3、平均値14.2の結果が得られた。
実験前にセルカウンターで検出した萎縮した死細胞の比率が40%で、これらの細胞が条件によらず蛍光染色される傾向を加味すると、穿孔可能条件では有意に輝度が上昇しており、生細胞に対する細胞膜穿孔と膜の回復による蛍光色素の細胞内導入が認められたと判断した。
上記のような細胞膜穿孔用容器1は、第1袋体10および第2袋体20の内部における滅菌状態が維持されたまま穿孔の形成をおこなうことができる。したがって、目的物質を導入した細胞を細胞膜穿孔用容器1から例えば生体内に直接戻すことも可能である。なお、細胞膜穿孔用容器1内において細胞は細胞担持フィルタ3に保持されているが、培養培地存在下で細胞膜穿孔用容器1を撹拌するだけで細胞を培養培地に浮遊させることができ、細胞の回収も容易である。
この実施形態において、第1袋体10および第2袋体20として透明材料を用いているが、これによって細胞膜穿孔用容器1内を容易に視認することができる。したがって、細胞分散液の状態や、穿孔体4と細胞担持フィルタ3との接触の状態等を視認しながら作業することができる。
細胞担持フィルタ3において、その大きさ、孔の大きさ、および材質は、この実施例に例示されたもののほか、目的に応じてこの技術の分野において用いられる種々のものを採用することができる。同様に、穿孔体4の材質や、突起部42の大きさ、ピッチ等も任意に変更可能である。
この実施形態において、酸化処理手段として光増感剤を用い、光照射により細胞膜に穿孔を形成することとしたが、このほかに、例えば酸化処理剤として音響増感剤を用い、超音波照射することにより穿孔を形成することもできる。
この実施形態および発明において、「第1」および「第2」の用語は、同様の構成要素を単に区別するために用いるものであって、順列を示すものではない。
1 細胞膜穿孔用容器
3 細胞担持フィルタ
4 穿孔体
10 第1袋体
11 第1連通口
12 第1内面
13 第1外面
14 第1開口部
20 第2袋体
21 第2連通口
22 第2内面
23 第2外面
24 第2開口部
41 ベース部
42 突起部

Claims (7)

  1. 可撓性材料で形成される第1袋体と、
    可撓性材料で形成されるとともに前記第1袋体に積層される第2袋体と、を備え、
    前記第1袋体は、その内部と外部とを連通可能な第1連通口と、前記第2袋体に対向する第1内面と、その反対側に位置する第1外面と、前記第1内面に設けられた第1開口部とを有し、
    前記第2袋体は、その内部と外部とを連通可能な第2連通口と、前記第1袋体に対向する第2内面と、その反対側に位置する第2外面と、前記第2内面に設けられた第2開口部とを有し、
    前記第1袋体および前記第2袋体は、前記第1開口部および前記第2開口部に設けられるとともに、液体が透過可能であり、かつ、細胞が透過不能なメッシュサイズを有する細胞担持フィルタを介して連通し、
    前記第2外面の内側には、前記細胞担持フィルタに対向する位置に細胞に穿孔可能な穿孔体を備えることを特徴とする細胞膜穿孔用容器。
  2. 前記穿孔体は、前記第2外面に接合されるベース部と、前記ベース部から前記細胞担持フィルタに向かって突出する複数の突起部とを備え、前記突起部には細胞膜に対する酸化処理手段を備えることを特徴とする請求項1記載の細胞膜穿孔用容器。
  3. 前記酸化処理手段は光増感剤であり、
    前記第1袋体は、光透過性であることを特徴とする請求項2記載の細胞膜穿孔用容器。
  4. 前記穿孔体は、前記第2外面から前記細胞担持フィルタに向かって押圧されるとともに、前記細胞担持フィルタよりも前記1外面側に、押圧力を分散するための圧力分散手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の細胞膜穿孔用容器。
  5. 可撓性材料で形成される第1袋体と、
    可撓性材料で形成されるとともに前記第1袋体に積層される第2袋体と、を備え、
    前記第1袋体は、その内部と外部とを連通可能な第1連通口と、前記第2袋体に対向する第1内面と、その反対側に位置する第1外面と、前記第1内面に設けられた第1開口部とを有し、
    前記第2袋体は、その内部と外部とを連通可能な第2連通口と、前記第1袋体に対向する第2内面と、その反対側に位置する第2外面と、前記第2内面に設けられた第2開口部とを有し、
    前記第1袋体および前記第2袋体は、前記第1開口部および前記第2開口部に設けられるとともに、液体が透過可能であり、かつ、細胞が透過不能なメッシュサイズを有する細胞担持フィルタを介して連通し、
    前記第2外面の内側には、前記細胞担持フィルタに対向する位置に細胞に穿孔可能な穿孔体を備える細胞膜穿孔用容器を用いた細胞膜穿孔方法であって、
    複数の細胞を含む細胞培養液を前記第2袋体に前記第2連通口から注入する工程と、
    前記第1袋体の前記第1連通口からその内部の気体または液体を吸引する工程と、
    前記細胞担持フィルタに前記穿孔体を押圧する工程とを含むことを特徴とする細胞膜穿孔方法。
  6. 前記穿孔体は、前記第2外面に接合されるベース部と、前記ベース部から前記細胞担持フィルタに向かって突出する複数の突起部とを備え、前記突起部には光増感剤を備え、
    前記細胞担持フィルタに前記穿孔体を押圧させた状態で前記穿孔体に光刺激を供給する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の細胞膜穿孔方法。
  7. 前記穿孔体は、光透過性であり、
    前記光刺激は、前記穿孔体を介して供給されることを特徴とする請求項6記載の細胞膜穿孔方法。
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