JP2018165802A - 定着装置用摺動部材、定着装置、画像形成装置および定着装置用摺動部材の製造方法 - Google Patents

定着装置用摺動部材、定着装置、画像形成装置および定着装置用摺動部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】SPM、PM2.5およびUFPの発生を抑えた定着装置用摺動部材を提供する。【解決手段】定着装置用摺動部材120は、定着装置100に用いられる。定着装置は、互いに対向して共に回転するローラー110および無端ベルト150と、無端ベルトの内周側に配置され、無端ベルトの内周面をローラーへ向けて押圧することにより無端ベルトをローラーとで挟む押圧部材130と、押圧部材および無端ベルトの間に配置される定着装置用摺動部材とを備える。定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなり、不織布シートは、耐熱性繊維を含み、ゲル状潤滑剤は、ゲル化した反応性シリコーンオイルを含み、ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。【選択図】図1

Description

本発明は、定着装置用摺動部材、定着装置、画像形成装置および定着装置用摺動部材の製造方法に関する。
特開平08−262903号公報(特許文献1)には、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置に備わる定着装置が開示されている。この定着装置は、加圧定着ロールと、この加圧定着ロールに接触するエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内部に配置され、エンドレスベルトの内周面を加圧定着ロールに向けて押圧する押圧部材とを有する。この種の定着装置は、ロールとベルトとが圧接されることで定着ニップが形成されるのでベルトニップ定着方式と呼ばれる。ベルトニップ定着方式は、省エネ性に優れ、軽量、コンパクトかつ安価であるといった点で有利であるとされる。
特開2004−206105号公報(特許文献2)には、加圧ベルトの内周面で摺動するシート状摺動部材が押圧部材に設けられ、このシート状摺動部材と加圧ベルトの内周面との間に潤滑剤が介在する構成の定着装置が開示されている。この定着装置は潤滑剤によって、加圧ベルトの内周面と押圧部材との間の摺動抵抗が低減され、加圧ベルトを定着ロールとともに円滑に周回移動させることができる。潤滑剤として、シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどが使用される。
特開平08−262903号公報 特開2004−206105号公報
しかしながら上述したアミノ変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなど反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルに分類される潤滑剤のうち、数多くのものが揮発性である。このため反応性シリコーンオイルの揮発成分が、浮遊粒子状物質(SPM)、粒子径がおおむね2.5μm以下である微小粒子状物質(PM2.5)、粒子径がおおむね0.1μm以下である超微小粒子(UFP)などとして大気中に揮発することにより、室内環境が汚染される恐れがある。この汚染を防止するため、定着装置にSPM、PM2.5およびUFPを捕えるフィルターを備えさせる必要があり、このフィルターの使用量および交換頻度の増加が指摘されている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされ、潤滑剤として反応性シリコーンオイルを用いた場合においても、SPM、PM2.5およびUFPの発生を抑制することが可能な定着装置用摺動部材、定着装置、画像形成装置および定着装置用摺動部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、SPM、PM2.5およびUFPの発生を抑制することが可能な定着装置用摺動部材について鋭意検討を重ねる中で、揮発性の低い反応性シリコーンオイルに着目した。本発明者は、このような反応性シリコーンオイルが、ゲル化する前とゲル化した後とで、その粘度の変化が所定の比率となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、定着装置に用いられる定着装置用摺動部材であって、上記定着装置は、互いに対向して共に回転するローラーおよび無端ベルトと、上記無端ベルトの内周側に配置され、上記無端ベルトの内周面を上記ローラーへ向けて押圧することにより上記無端ベルトを上記ローラーとで挟む押圧部材と、上記押圧部材および上記無端ベルトの間に配置される上記定着装置用摺動部材とを備え、上記定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなり、上記不織布シートは、耐熱性繊維を含み、上記ゲル状潤滑剤は、ゲル化した反応性シリコーンオイルを含み、上記ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の上記反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
さらに本発明は、定着装置に用いられる定着装置用摺動部材であって、上記定着装置は、互いに対向して共に回転するローラーおよび無端ベルトと、上記無端ベルトの内周側に配置され、上記無端ベルトの内周面を上記ローラーへ向けて押圧することにより上記無端ベルトを上記ローラーとで挟む押圧部材と、上記押圧部材および上記無端ベルトの間に配置される上記定着装置用摺動部材とを備え、上記定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなり、上記不織布シートは、耐熱性繊維を含み、上記ゲル状潤滑剤は、反応性シリコーンオイルにおける高分子鎖の立体構造が変化することにより構成されており、上記ゲル状潤滑剤は、その粘度を上記反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
上記反応性シリコーンオイルは、反応性の置換基を有するシリコーンオイルであり、上記置換基は、アミノ基、エポキシ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
上記カルボニル基は、メタクリロイル基に含まれることが好ましい。
上記ゲル状潤滑剤は、その粘度が10Pa・s以下であることが好ましい。
上記耐熱性繊維は、遊離のアミノ基および遊離のカルボニル基のいずれか一方または両方を有することが好ましい。
上記耐熱性繊維は、アラミド繊維であることが好ましい。上記耐熱性繊維は、ポリイミド繊維であることが好ましい。上記耐熱性繊維は、フッ素化ポリイミド繊維であることが好ましい。
本発明に係る定着装置は、上記定着装置用摺動部材を備える定着装置であって、上記無端ベルトは、その少なくとも上記内周面に基材を含み、上記基材は、遊離のアミノ基および遊離のカルボニル基のいずれか一方または両方を有する樹脂である。
上記基材は、ポリイミド樹脂であることが好ましい。上記基材は、フッ素化ポリイミド樹脂であることが好ましい。上記基材は、上記反応性シリコーンオイルを含むことが好ましい。
上記定着装置は、上記ローラーおよび上記無端ベルトの少なくとも一方を加熱するヒーターを備えることが好ましい。本発明に係る画像形成装置は、上記定着装置を備える。
本発明に係る定着装置用摺動部材の製造方法は、反応性シリコーンオイルを不織布シートに含浸することにより前駆部材を得る第1工程と、上記前駆部材を加熱焼成し、上記反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、上記ゲル状潤滑剤を上記不織布シートに保持させる第2工程とを含む。
さらに本発明に係る定着装置用摺動部材の製造方法は、反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、上記ゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させることにより定着装置用摺動部材を製造する定着装置用摺動部材の製造方法であって、上記ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の上記反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
本発明によれば、潤滑剤として反応性シリコーンオイルを用いた場合においても、SPM、PM2.5およびUFPの発生を抑制することが可能な定着装置用摺動部材、定着装置、画像形成装置および定着装置用摺動部材の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。 定着装置が駆動したときの状態である180℃の環境を模擬可能なアウトガス装置において、その環境において本実施例の定着装置用摺動部材から発生するSPMの濃度を表したグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について、さらに詳細に説明する。以下の実施形態において図面を用いて説明する場合、同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
ここで、本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。本明細書において、定着装置用摺動部材における「摺動」とは、作用する部材に対する摩擦の少なさもしくは滑りやすさに関わる性質をいう。さらに、その効果を表す「摺動性」は、たとえば定着装置において摺動部材が接触する無端ベルトの回転のしやすさの指標となるものである。「摺動性」は、たとえば後述するように外部モータのトルクを測定することにより評価することができる。この評価において「摺動性が高い」または「優れた摺動性」とは、測定されるトルクが低いことをいい、「摺動性が低い」または「摺動性に劣る」とは、測定されるトルクが高いことをいう。
[定着装置用摺動部材]
本実施形態に係る定着装置用摺動部材は、定着装置に用いられる定着装置用摺動部材である。上記定着装置は、互いに対向して共に回転するローラーおよび無端ベルトと、この無端ベルトの内周側に配置され、無端ベルトの内周面をローラーへ向けて押圧することにより無端ベルトをローラーとで挟む押圧部材と、この押圧部材および上記無端ベルトの間に配置される定着装置用摺動部材とを備える。定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなる。不織布シートは、耐熱性繊維を含む。ゲル状潤滑剤は、ゲル化した反応性シリコーンオイルを含む。ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
本実施形態に係る定着装置用摺動部材は、次のように規定することもできる。すなわち定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなる。不織布シートは、耐熱性繊維を含む。ゲル状潤滑剤は、反応性シリコーンオイルにおける高分子鎖の立体構造が変化することにより構成されている。ゲル状潤滑剤は、その粘度を反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
定着装置用摺動部材は、上述した構成を有することにより、潤滑剤として反応性シリコーンオイルを用いた場合においても、SPM、PM2.5およびUFPなどの揮発成分の発生を抑制することができる。揮発成分の発生を抑制することにより、臭気対策に資することもできる。定着装置用摺動部材の形状は、不織布シートの形状に依存するものの、シート状に限定されず、直方体形状であってもよく、円柱状形状であってもよい。
<定着装置>
定着装置100は、図1に示すように、互いに対向して共に回転するローラー110および無端ベルト150と、無端ベルト150の内周側に配置され、無端ベルト150の内周面をローラー110へ向けて押圧することにより無端ベルト150をローラー110とで挟む押圧部材130と、無端ベルト150と押圧部材130との間に配置されている定着装置用摺動部材120とを備えている。ローラー110は、従来の定着装置に用いられる公知のものを採用することができる。定着装置は、押圧部材の一部として摺動部材が配置される場合もある。なお、定着装置の詳細な説明については後述する。
<ゲル状潤滑剤>
定着装置用摺動部材120は、上述のとおり、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなる。ゲル状潤滑剤は、ゲル化した反応性シリコーンオイルを含む。ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。ゲル状潤滑剤は、次のように規定することもできる。すなわちゲル状潤滑剤は、反応性シリコーンオイルにおける高分子鎖の立体構造が変化することにより構成されており、その粘度を反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
(反応性シリコーンオイル)
反応性シリコーンオイルは、反応性の置換基を有するシリコーンオイルであることが好ましい。この置換基は、アミノ基、エポキシ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。なかでも、反応性の置換基としてアミノ基を有する反応性シリコーンオイルは、様々な等級のものが市販され、入手が容易であるので適している。反応性の置換基としてのアミノ基は、アンモニア、第一級アミン、第二級アミンからそれぞれ水素を除去してなる1価の官能基であれば、いずれのものも含まれる。本明細書においてカルボニル基は、メタクリル酸(メタクリロイル基)およびカルボキシル基などに含まれる「=C=O」で表される基を指すものとする。カルボニル基は、メタクリロイル基に含まれることが好ましい。
反応性の置換基(アミノ基、エポキシ基およびカルボニル基のいずれか)が位置する反応性シリコーンオイルの分子内位置は、下記(1)〜(3)に示す化学構造式から3つの形態に分けて示すことができる。下記(1)〜(3)に示す化学構造式中のAが、反応性の置換基を示す。すなわち、下記(1)の化学構造式のように反応性の置換基が反応性シリコーンオイル中のシロキサン骨格の両末端に位置する形態、下記(2)の化学構造式のように反応性の置換基が反応性シリコーンオイル中のシロキサン骨格の片末端に位置する形態、および下記(3)の化学構造式のように反応性の置換基が反応性シリコーンオイル中のシロキサン骨格の片側鎖に位置する形態がある。
下記(1)〜(3)に示す化学構造式においてRは、置換基を有していてもよいアルキル基を示す。このアルキル基は、好ましくは、メチル基またはエチル基である。一分子中にAが複数存在する場合、アミノ基、エポキシ基およびカルボニル基から1つ選んでAの各箇所に同じ置換基を位置させてもよいし、異なった置換基を位置させてもよい。
Figure 2018165802
Figure 2018165802
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上記(1)〜(3)の化学構造式において、l、m、nはそれぞれ重合度を示す。その重合度は、たとえばl=1〜500、m=0〜300、m+l=10〜500、n=10〜500である。l、m、nで示す値の範囲よりも重合度が低いと、後述する不織布シートを反応性シリコーンオイルに含浸させることにより得た前駆部材を加熱焼成するプロセスにおいて、反応性シリコーンオイルが揮発し、その揮発成分によって室内などの環境が汚染される恐れがある。l、m、nで示す値の範囲よりも重合度が高いと、熱酸化劣化によってシロキサン骨格が分解しやすくなるので、低分子化に伴う漏れ、飛散が生じる恐れがある。さらに、シロキサン骨格の分解物同士の反応によりゲル化が過剰に促進し、トルクが上昇する恐れがある。
反応性の置換基が位置する反応性シリコーンオイルの分子内位置は、上記(1)〜(3)の形態以外に、もう1つの形態を示すことができる。もう1つの形態とは、化学構造式による説明を省略するが、反応性の置換基がシロキサン骨格に2つ位置する形態である。
本実施形態では、反応性の置換基がシロキサン骨格の両末端に位置することが、摺動性および耐久性の観点から有利である。反応性シリコーンオイルの摺動性は、一分子中のメチル基の数が多い方が高いとされる。このため側鎖に反応性の置換基が位置するよりも末端に反応性の置換基が位置する方が、一分子中のメチル基の数が多くなって高摺動性を得られるからである。一分子中に置換基が多い方が、前駆部材に固定化された後の強度が高まるため、片末端よりも両末端に反応性の置換基が位置する方が、その耐久性に優れることとなる。
反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルの化学構造は、たとえば、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはNMR装置のいずれかを使用することにより特定することができる。
(ゲル化度)
ゲル状潤滑剤は、上述のとおり、その粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。ゲル状潤滑剤は、反応性シリコーンオイルにおける高分子鎖の立体構造が変化することにより粘度が上昇したものを指す。このためゲル化度は、ゲル状潤滑剤の粘度と、上記ゲル状潤滑剤が構成される前の反応性シリコーンオイルの粘度との比の対数値に基づいて定めることができる。ゲル化度は、ゲル化反応の進行度合いを評価する尺度であって、その値が大きいほどゲル化反応が進行していると評価することができる。
ゲル状潤滑剤のゲル化度は、1.5以上であることが好ましい。ゲル状潤滑剤のゲル化度の上限値は、特に限定されるべきではないが、5とすることができる。ゲル化度が5を超えると、ゲル化が過剰に進行したゲル状潤滑剤であることを意味するため、定着装置に適用した場合に摺動性に劣り、トルクが上昇する恐れがある。
ゲル状潤滑剤のゲル化度は、ゲル状潤滑剤の粘度および反応性シリコーンオイルの粘度の値を次の式に代入することにより求めることができる。
ゲル化度=Ln(ゲル状潤滑剤の粘度/反応性シリコーンオイルの粘度)
ただし、Lnは自然対数を意味する。
さらにゲル状潤滑剤の粘度および反応性シリコーンオイルの粘度は、どちらも次の方法により測定することができる。すなわち、レオメータ粘度測定装置(商品名:「HAAKE MARSII」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、25℃の条件で粘度を測定する。具体的には、まず上記装置の試料台(UTCφ35プレート)とφ35チタン製パラレルプレート(φ35PP−Ti)との間のギャップの0点校正を行う。次に、測定試料(ゲル状潤滑剤または反応性シリコーンオイル)200〜300mgを上記試料台(UTCφ35プレート)上に塗布するとともに、φ35チタン製パラレルプレートを下降させることにより、試料台とφ35チタン製パラレルプレートとのギャップを0.05mmとする。この状態でせん断速度を100(単位は、「l/s」)とすることにより、測定試料の粘度を測定することができる。測定試料の粘度は、Pa・sを単位として測定される。
ここでゲル状潤滑剤は、定着装置用摺動部材を構成する不織布シート内に保持されている。このためゲル状潤滑剤の粘度の測定においては、定着装置用摺動部材からゲル状潤滑剤をまず抽出し、この抽出したゲル状潤滑剤を上記レオメータ粘度測定装置の試料台(UTCφ35プレート)へ塗布するものとする。
ゲル状潤滑剤の粘度は、定着装置に適用した場合の摺動性の観点から、10Pa・s以下であることが好ましく、3Pa・s以下であることがより好ましい。ゲル状潤滑剤の粘度の下限値は、0.1Pa・sとすることができる。ゲル状潤滑剤の粘度が0.1Pa・s未満であると、ゲル化の進行が不足したゲル状潤滑剤であることを意味するため、反応性シリコーンオイルの揮発を十分に抑制することができず、もって室内などの環境が汚染される恐れがある。ゲル状潤滑剤の粘度が10Pa・sを超えると、ゲル化が過剰に進行していることを意味するため、定着装置に適用した場合に摺動性に劣り、トルクが上昇する恐れがある。
一方、反応性シリコーンオイルの粘度は、熱酸化に対する耐性、後述する不織布シートへの含浸容易性および摺動性の観点から、0.2〜5Pa・sであることが好ましい。
<不織布シート>
定着装置用摺動部材は、上述のとおり、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなる。定着装置用摺動部材は、反応性シリコーンオイルに不織布シートを浸漬する、または反応性シリコーンオイルを不織布シートに塗布することにより含浸させることにより製造される。
不織布シートは、耐熱性繊維を含む。不織布シートは、耐熱性繊維を含み、反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルを含浸させることができる素材である限り、適宜の素材を用いることができる。不織布シートは、上述した素材である限り、これを構成するために公知の接着剤を含んでいてもよい。
(耐熱性繊維)
耐熱性繊維は、遊離のアミノ基および遊離のカルボニル基のいずれか一方または両方を有することが好ましい。ここで耐熱性繊維における「遊離のアミノ基」および「遊離のカルボニル基」とは、定着装置用摺動部材の耐熱性繊維(不織布シート)の繊維(ポリマー)である主鎖を形成する化学結合に関与していないアミノ基およびカルボニル基をいう。
さらに耐熱性繊維は、250℃程度までの高温に耐える耐熱性を有することが好ましい。この観点から、耐熱性繊維は、アラミド繊維であることが好ましい。耐熱性繊維は、ポリイミド繊維であることも好ましい。さらに耐熱性繊維は、フッ素化ポリイミド繊維であることも好ましい。ポリアミドイミド繊維であってもよい。さらに、アラミドペーパーであってもよい。
不織布シートは、ニードルパンチ法などの従来公知の製法によって得ることができる。特に、アラミド繊維を含む不織布シートである場合、アラミド繊維を含む不織布シートに対し、ホットプレス法、カレンダー法などによって高温プレス加工を施し、原反シートの段階で圧縮限界まで薄くすることが好ましい。
不織布シートは、ESD(電界紡糸:Electro Spray Deposition)法と呼ばれるポリマーをナノファイバー化する方法を用いて作製したものを用いることも好ましい。ESD法によって作製された不織布シートは、繊維の太さが数百nm〜数μmであって、従来公知の不織布シートを構成する繊維の1/5〜1/100の太さとなる。このためシートの空隙率が高くなって、厚みが100μm以下であっても反応性シリコーンオイルの含浸量を高めることができる。さらに、繊維の太さがさらに細くなることによって比表面積が大きくなるため、反応性シリコーンオイルが後述する加熱焼成によって不織布シートに固定化される(シロキサン改質する)量を高めることができる。これにより定着装置用摺動部材は、優れた摺動性能を発揮することができる。不織布シートを構成する耐熱性繊維は、その強度の観点から繊維の太さが1〜5μmであることが好ましい。
不織布シートは、アラミド繊維を含む不織布シートである場合、そのアラミド繊維としてポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドなどのポリマーであることが好ましい。ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドとしては、コーネックス(登録商標)、ノーメックス(登録商標)などが知られる。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドとしては、ケブラー(登録商標)、トワロン(登録商標)などが知られる。
不織布シートを構成している耐熱性繊維の繊維の太さの測定方法は次のとおりとすればよい。まず、不織布シートを走査電子顕微鏡(SEM)を用いて5000倍の倍率で観察し、1視野内に径を測定可能な5本の繊維が現れるようにする。次いで、この1視野に現れた5本の繊維について任意の2箇所で繊維の太さを特定する。すなわち1視野から10個の繊維の太さのデータを得るとともに、同じ観察を合計10回(10視野)行なうことにより、合計100個のデータを得て、これらの平均値を耐熱性繊維の繊維の太さとする。さらに不織布シートの厚みは、マイクロメータ(たとえば、商品名:「MDC−25SX」、株式会社ミツトヨ製)を用いて10cm×10cmあたり10箇所の厚みをμm単位で測定し、これらの測定値の平均値により表すことができる。
[定着装置用摺動部材の製造方法]
本実施形態に係る定着装置用摺動部材の製造方法は、反応性シリコーンオイルを不織布シートに含浸することにより前駆部材を得る第1工程と、前駆部材を加熱焼成し、反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、ゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させる第2工程とを含む。ここで上記反応性シリコーンオイルは、上述の反応性の置換基を有するシリコーンオイルであることが好ましい。
さらに、本実施形態に係る定着装置用摺動部材の製造方法は、次のように規定することもできる。すなわち、反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、ゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させることにより定着装置用摺動部材を製造する方法である。この場合、ゲル状潤滑剤は上述のとおり、その粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す。
<第1工程>
第1工程は、反応性シリコーンオイルを不織布シートに含浸することにより前駆部材を得る工程である。たとえば、不織布シートに含まれる耐熱性繊維としてアラミド繊維を用いる例では、まずアラミド繊維を含む不織布シートを、反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルに浸漬する、またはアラミド繊維を含む不織布シートに反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルを塗布することにより含浸させる。
第1工程では、アラミド繊維を含む不織布シート1重量部に対し、反応性シリコーンオイル1.0〜2.5重量部となる割合で、反応性シリコーンオイルをアラミド繊維を含む不織布シートへ含浸させることが好ましい。反応性シリコーンオイルを含浸させる量を過剰量とすることで、後述する加熱焼成において十分なシロキサン改質を促すことができる。さらに、定着装置用摺動部材を組み込んだ定着装置の作動中にも、アラミド繊維を含む不織布シート上でシロキサン改質を起こすことができる。
<第2工程>
第2工程は、上記前駆部材を加熱焼成し、反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、ゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させる工程である。すなわち、反応性シリコーンオイルを不織布シートに含浸させることにより得た前駆部材を、ドライエアーなどで湿度制御が可能なオーブンを用い、180〜220℃の温度範囲で6〜24時間程度、加熱焼成する。これにより、アラミド繊維を含む不織布シート表面のアミノ基またはカルボニル基と、反応性シリコーンオイルの反応性の置換基とが反応し、これらが化学結合する。このとき、反応性シリコーンオイルは、上述のような高分子鎖の立体構造の変化によってゲル化するとともに、不織布シートと反応性シリコーンオイルとの物理的な絡まりにおいて、反応性シリコーンオイル分子内の水素原子と酸素原子との可逆的な水素結合が起こる。この水素結合よって、不織布シートと反応性シリコーンオイルとの物理的な絡まりが強固となり、ゲル状態が促進および維持される。その結果、反応性シリコーンオイルがゲル化したゲル状潤滑剤を得ることができ、かつアラミド繊維を含む不織布シートの表面がゲル状潤滑剤によって改質されることにより(以下、「シロキサン改質」と称する場合もある)、ゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させることができる。
第2工程では、加熱焼成しようとする前駆部材に含浸された反応性シリコーンオイルの官能基当量およびその添加量によって、加熱温度および加熱時間を適切に調整することが好ましい。加熱温度が低くすぎ、または加熱時間が短すぎる場合、反応性シリコーンオイルのゲル化およびアラミド繊維を含む不織布シートのシロキサン改質が不十分となり、製造された摺動部材の耐久性が低下する恐れがある。一方で、加熱温度が高すぎ、または加熱時間が長すぎる場合、アラミド繊維を含む不織布シートおよび反応性シリコーンオイルの熱酸化分解が発生する恐れがある。
本実施形態に係る定着装置用摺動部材の製造方法では、アラミド繊維を含む不織布シートに代えて、ポリイミド繊維を含む不織布、フッ素化ポリイミド繊維を含む不織布、その他ポリアミドイミド繊維などの耐熱性繊維を含む不織布などを用いることができる。これらの場合も、同様な方法によってゲル状潤滑剤を得ることができ、不織布シートの表面をシロキサン改質することができる。
ここで、不織布シートの表面がシロキサン改質され、ゲル状潤滑剤を不織布シートに所望のとおり保持させることができたか否かについては、以下のような方法により確認することができる。すなわち、不織布シート(耐熱性繊維)が有するアミノ基およびカルボニル基と、反応性シリコーンオイルが有する反応性の置換基(アミノ基、エポキシ基およびカルボニル基)との間で形成される化学結合(たとえば、アミド結合、硫黄−酸素結合(スルホキシドの形成またはスルホニル基の形成など))を、FT−IR、HPLC−MS、GC−MS、NMRなどの分析装置を用いて定性化および定量化することにより確認することができる。
[定着装置]
定着装置は、上述した定着装置用摺動部材を備えている。定着装置100は、具体的には図1に示すように、互いに対向して共に回転するローラー110および無端ベルト150と、無端ベルト150の内周側に配置され、無端ベルト150の内周面をローラー110へ向けて押圧することにより無端ベルト150をローラー110とで挟む押圧部材130と、無端ベルト150と押圧部材130との間に配置されている定着装置用摺動部材120とを備えている。さらに定着装置は、無端ベルト150を回転させるための第2ローラー140も備えている。ローラー110は、定着装置100に用いられる公知のものを採用することができる。
<無端ベルト>
無端ベルト150は、その少なくとも内周面に基材を含むことが好ましい。この基材は、遊離のアミノ基または遊離のカルボニル基のいずれか一方または両方を有する樹脂である。無端ベルト150の内周面の基材は、ポリイミド樹脂であることが好ましい。さらに、フッ素化ポリイミド樹脂であっても好ましい。その他、ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂であってもよい。特に、耐熱性および強度の観点から熱硬化性ポリイミド樹脂であることがより好ましい。
この無端ベルト150の基材を構成する樹脂における「遊離のアミノ基」および「遊離のカルボニル基」とは、樹脂を構成するポリマーの主鎖を構成するのに関与していないアミノ基およびカルボニル基をいう。
無端ベルト150の内周面の基材は、反応性シリコーンオイルを含むことがより好ましい。無端ベルト150の内周面の基材に反応性シリコーンオイルを含ませるには、上述した定着装置用摺動部材と同様な方法によって達成することができる。すなわち、無端ベルト150の内周面の基材を反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルに浸漬する、または無端ベルト150の内周面の基材に反応性の置換基を有する反応性シリコーンオイルを塗布することにより含浸させる。次いで、反応性シリコーンオイルが含浸した無端ベルト150を、ドライエアーなどで湿度制御が可能なオーブンを用い、180〜220℃の温度範囲で6〜24時間程度、加熱焼成すればよい。
さらに無端ベルト150の内周面の基材に反応性シリコーンオイルを含ませるには、次の方法を用いることもできる。たとえば無端ベルト150の内周面の基材の材質に熱硬化性ポリイミド樹脂を用いる場合、上述の反応性シリコーンオイルを、ポリイミド固形分100質量部に対し0.5〜5質量部となる割合でポリイミドワニスに添加するのである。この反応性シリコーンオイルを含んだポリイミドワニスを無端ベルト150の内周面に塗布し、無端ベルト150を加熱焼成することによって熱硬化性ポリイミド樹脂を得ることにより、無端ベルト150の内周面の基材に反応性シリコーンオイルを含ませることができる。
<押圧部材>
押圧部材130は、図1に示すように、無端ベルト150の内周側に配置され、無端ベルト150の内周面をローラー110へ向けて押圧することにより無端ベルト150をローラー110とで挟む作用を有する限り、定着装置において公知の押圧部材を用いることができる。したがって、押圧部材130は、押圧部材本体となる支持体部とともに、ニップ形成部および高圧摺動部などを有していることが好ましい。
ニップ形成部は、無端ベルト150の内周側においてローラー110に隣接させて配置され、たとえば定着装置用摺動部材120を介して無端ベルト150を押圧することにより、ローラー110とで紙葉としての記録シートFを圧送する作用を有する。ニップ形成部には、転写されたトナーを記録シートF上に定着させるための耐熱性とともに、高強度および低熱伝導性を有する材質のものが要求され、たとえばシリコンエラストマー、耐熱性不織布が好適に用いられる。
高圧摺動部は、ニップ形成部から記録シートFが圧送されてくる側に配置され、たとえば、定着装置用摺動部材120を介して無端ベルト150へ圧力を与え、記録シートFをローラー110から分離させる作用を有する。高圧摺動部には、高摺動性、耐熱性、高強度、低熱伝導性および耐摩耗性を有する材質のものが要求される。高圧摺動部は、さらに曲率κが0.15以上1以下である曲面を備えることが好ましい。具体的には、高圧摺動部のローラー110と接する面および無端ベルト150と接する面のそれぞれに、上記曲率κが与えられる。このような曲面を有することにより、高圧摺動部においてニップ形成部よりも高い面圧を記録シートFに与え、記録シートFをローラ−110から分離することができ、ペーパージャムの発生を抑制することができる。高圧摺動部が備える好ましい曲面の曲率κは0.165以上0.7以下である。
定着装置100がベルトニップ定着方式である場合、押圧部材130には低い熱伝導性が求められる。このため支持体部は、耐熱性、高強度、高い寸法安定性とともに、低熱伝導性を有する材質からなることが要求される。具体的には、支持体部として、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド(PPS)といった耐熱性樹脂に、ガラス繊維、カーボン繊維などを配合した熱可塑性樹脂が好適に用いられる。ただし、定着装置用摺動部材120は、アラミド繊維を含む不織布シートなどの不織布シートから構成され、これらが低い熱伝導性を有していることから、押圧部材130および支持体部材としては、板金などの金属を用いることもできる。
<ヒーター>
本実施形態に係る定着装置100は、ローラー110または無端ベルト150の少なくとも一方を加熱するヒーター140hを備える。図1においてヒーター140hは、無端ベルト150の内周側であって、第2ローラー140の内側に配置されている。第2ローラー140は、無端ベルト150を回転させるために無端ベルト150と接している。このため無端ベルト150は、第2ローラー140の内側に配置されたヒーター140hによって効率よく加熱される。ヒーター140hとしてはコスト、耐久性の観点からたとえばハロゲンヒーターを用いることができる。ヒーターを設置する箇所は、コスト、ウォームアップタイムの短縮、高速対応または消費電力などの各種の要求品質に応じ、適宜選択することが可能である。ヒーターは、ローラーまたは無端ベルトのいずれか一方の近傍に配置してもよく、両方の近傍に配置してもよい。
<画像形成装置>
以下、図2に基づき、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、図2に示すように、後述する定着部1に本実施形態に係る定着装置用摺動部材を備えた定着装置100を備えている。画像形成装置は、公知の電子写真方式により記録シートF上に画像を形成する装置であって、定着部1とともに、画像プロセス部2と、転写部3と、給紙部4と、制御部(図示省略)とを備える。画像形成装置は、ネットワーク(たとえばLAN)を介して外部の端末装置(図示省略)からプリントジョブを受け付けることにより、このプリントジョブに基づいてカラーおよびモノクロのプリントを選択的に実行する。
画像プロセス部2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の現像色に対応した作像部21を有し、上記プリントジョブに基づいて各色からなるトナー像を作像する。ここで図2中のAは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)のいずれかであることを意味する。転写部3は、一次転写ローラー31および無端ベルト形状の中間転写体32を有し、この中間転写体32へ作像部21で作像された各色からなるトナー像を、一次転写ローラー31を用いて静電作用により転写する。
給紙部4は、上記の作像部21でトナー像が作像されるタイミングに合わせ、給紙カセットから記録シートFを1枚ずつ搬送路41へ繰り出し、二次転写ローラー42に向けて搬送する。搬送された記録シートFは二次転写ローラー42と中間転写体32の間を通過する際に、中間転写体32の上に形成されていたトナー像が二次転写ローラー42の静電作用により記録シートFに一括して二次転写される。
トナー像が二次転写された後の記録シートFは、定着部1まで搬送される。さらに定着部1に備わる定着装置100において、記録シートFの表面にトナーが融着される。その後、排紙ローラーによって排紙トレイ上に排出される。このようにして、記録シートF上にトナー像に対応した画像が形成される。
ここで上述の説明は、カラーモードを実行する場合の動作であるが、モノクロ、たとえばブラック色のプリント(モノクロモード)を実行する場合には、ブラック色用の作像部だけが駆動され、所定の各工程を経て記録シートFにブラック色の画像形成(プリント)がなされる。
制御部は、ネットワークを介して外部の端末装置から受け付けたプリントジョブのデータに基づいて各部を制御し、円滑なプリント動作が実行されるようにしている。画像形成装置は、装置本体の正面側かつ上側であり、ユーザの操作しやすい位置に、操作パネルが設けられる。操作パネルは、ユーザからの各種の指示を受け付けるボタンおよびタッチパネル式の液晶表示部などを備え、受け付けた指示内容を制御部に伝える。
このような画像形成装置として、たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機、簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置を挙げることができる。これらの画像形成装置は、乾式または湿式のいずれであっても良いが、乾式の画像形成装置とすることが特に有効である。画像形成装置は、本実施形態に係る摺動部材を有する定着装置を備えるので、長期間にわたって画像ノイズの発生が低減され、画像品質の高い画像を形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[定着装置用摺動部材の作製]
<実施例1>
まず噴霧装置(商品名:「esprayer ES−2100」、株式会社フューエンス製)を用いて全フッ素化ポリイミド(以下、「FPI」とも記す)の前駆体溶液をステンレス製板材上に電界紡糸法により噴霧した。これにより、ステンレス製板材上に全フッ素化ポリイミドを材質とした繊維の太さ(平均繊維径)2μm、目付16g/m2の不織布シート前駆体を得た。次に、この不織布シート前駆体に対し、200℃、3時間の条件で加熱してイミド化を促進させ、フッ素化ポリイミド繊維からなる不織布シートを作製した。さらに作製した不織布シートに対し、熱プレス機(商品名:「H300−15」、アズワン株式会社製)を用いて200℃、2MPa、5分の条件で圧縮処理を施すことにより、その厚みを51μmとした。
FPIの前駆体溶液には、下記化学式(4)で表される芳香族ジアミン(4FMPD:テトラフルオロ−1,3フェニレンジアミン)と、下記化学式(5)で表される酸無水物(10FEDA:1,4ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)とからなる全フッ素化ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を用いた。
Figure 2018165802
Figure 2018165802
続いて、上記の圧縮処理を施した不織布シートの片面に市販の耐熱性両面テープ(商品名:「ダイタック♯8800CH」、DIC株式会社製)を貼り付け、この耐熱性両面テープを介して定着装置の押圧部材におけるニップ部に上記不織布シートを重ね合わせた。次に、この押圧部材に重ね合わせた不織布シート100質量部に対し、反応性シリコーンオイルとしてメタクリル変性シリコーンオイル(商品名:「X−22−164C」、信越化学工業株式会社製)を含浸させることにより前駆部材を得た(第1工程)。さらに、この前駆部材を含む押圧部材ごとオーブン(商品名:「DNG810V」、ヤマト科学株式会社製)に入れ、このオーブン内を露点−20℃以下のドライエアーで除湿した後、200℃、6時間の条件で加熱焼成することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、このゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させた(第2工程)。以上により、実施例1の定着用摺動部材を作製した。
実施例1の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したメタクリル変性シリコーンオイルおよびフッ素化ポリイミドを含む不織布シートからなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.1を示す。
<実施例2>
加熱焼成する時間を12時間に変更する以外について実施例1と同じ方法とすることにより、実施例2の定着装置用摺動部材を作製した。
実施例2の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したメタクリル変性シリコーンオイルおよびフッ素化ポリイミドを含む不織布シートからなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.8を示す。
<実施例3>
加熱焼成する時間を24時間に変更する以外について実施例1と同じ方法とすることにより、実施例3の定着装置用摺動部材を作製した。
実施例3の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したメタクリル変性シリコーンオイルおよびフッ素化ポリイミドを含む不織布シートからなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が3.0を示す。
<実施例4>
反応性シリコーンオイルをアミノ変性シリコーンオイル(商品名:「KF8008」、信越化学工業株式会社製)に変更する以外について実施例2と同じ方法とすることにより、実施例4の定着装置用摺動部材を作製した。
実施例4の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したアミノ変性シリコーンオイルおよびフッ素化ポリイミドを含む不織布シートからなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.8を示す。
<実施例5>
反応性シリコーンオイルをエポキシ変性シリコーンオイル(商品名:「KF1005」、信越化学工業株式会社製)に変更する以外について実施例1と同じ方法とすることにより、実施例5の定着装置用摺動部材を作製した。
実施例5の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したエポキシ変性シリコーンオイルおよびフッ素化ポリイミドを含む不織布シートからなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.1を示す。
<実施例6>
反応性シリコーンオイルをエポキシ変性シリコーンオイル(商品名:「X−22−163A」、信越化学工業株式会社製)に変更する以外について実施例2と同じ方法とすることにより、実施例6の定着装置用摺動部材を作製した。
実施例6の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したエポキシ変性シリコーンオイルおよびフッ素化ポリイミドを含む不織布シートからなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.8を示す。
<実施例7>
不織布シートとして目付量が490g/m2であるメタ型アラミド繊維シート(商品名:「コーネックス(登録商標)フェルト」、帝人株式会社製)を用いた。この不織布シートに対し、熱プレス機(商品名:「H300−15」、アズワン株式会社製)を用いて200℃、20MPa、10分の条件で圧縮処理を施すことにより、その厚みを1.283mm(1283μm)とした。
以降の工程については実施例1と同じ方法することにより、実施例7の定着用摺動部材を作製した。
実施例7の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したメタクリル変性シリコーンオイルおよびメタ型アラミド繊維シート(アラミドフェルト)からなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.1を示す。
<実施例8>
不織布シートとして目付量が175g/m2、厚みを191μmであるアラミド紙(商品名:「ノーメックス(登録商標)ペーパーT411 7mil」、デュポン帝人アドバンスドペーパー株式会社製)を用いた。それ以外については実施例1と同じ方法することにより、これにより実施例8の定着用摺動部材を作製した。
実施例8の定着用摺動部材は、ゲル状潤滑剤としてのゲル化したメタクリル変性シリコーンオイルおよびアラミド紙からなり、ゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1.1を示す。
<比較例1>
反応性シリコーンオイルとしてアミノ変性シリコーンオイル(商品名:「X−22−161B」、信越化学工業株式会社製)を用い、かつ加熱焼成する条件を150℃、12時間とした以外について実施例1と同じ方法とすることにより、比較例1の定着装置用摺動部材を作製した。
比較例1の定着用摺動部材は、加熱焼成する温度が150℃と低いため、ゲル化の進行が緩慢であった。このためゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が0.69を示した。
<比較例2>
反応性シリコーンオイルとしてエポキシ変性シリコーンオイル(商品名:「X−22−163C」、信越化学工業株式会社製)に変更する以外について比較例1と同じ方法することにより、比較例2の定着装置用摺動部材を作製した。
比較例2の定着用摺動部材は、加熱焼成する温度が150℃と低いため、ゲル化の進行が緩慢であった。このためゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が0.59を示した。
<比較例3>
反応性シリコーンオイルとしてメタクリル変性シリコーンオイル(商品名:「X−22−164B」、信越化学工業株式会社製)に変更する以外について比較例1と同じ方法することにより、比較例3の定着装置用摺動部材を作製した。
比較例3の定着用摺動部材は、加熱焼成する温度が150℃と低いため、ゲル化の進行が緩慢であった。このためゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が0.69を示した。
<比較例4>
反応性シリコーンオイルとしてメタクリル変性シリコーンオイル(商品名:「X−22−164E」、信越化学工業株式会社製)に変更する以外について比較例1と同じ方法することにより、比較例4の定着装置用摺動部材を作製した。
比較例4の定着用摺動部材は、加熱焼成する温度が150℃と低いため、ゲル化の進行が緩慢であった。このためゲル状潤滑剤の粘度をゲル化する前の反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が0.47を示した。
ここで上述した実施例1〜8および比較例1〜4の定着装置用摺動部材において、ゲル状潤滑剤の粘度および反応性シリコーンオイルの粘度は、上述した方法により測定した。これらの粘度の値から、上述した方法によりゲル状潤滑剤のゲル化度を算出した。
[定着装置用摺動部材の性能評価]
以下、上述の実施例1〜8および比較例1〜4の定着装置用摺動部材についていくつかの性能評価を行なったので、その結果などについて説明する。
<摺動性評価:トルク測定>
まず摺動性評価を行なうために、上記で説明した定着装置と同様の構成を備えるカラープリンタ(商品名:「magicolor(登録商標)5440DN」、コニカミノルタ株式会社製)を用いた。
摺動性評価では、ローラーの温度を200℃とし、定着装置のみを外部モータによって300mm/secの速度で400時間にわたって連続駆動した。すなわち、記録シートに対する定着動作を実行することなく、400時間にわたって定着装置を連続駆動し、無端ベルトと押圧部材との間で、実施例1〜8および比較例1〜4の定着装置用摺動部材を400時間連続で摺動させた。駆動開始後すぐ(初期)、50時間経過後、100時間経過後、150時間経過後、200時間経過後、300時間経過後、400時間経過後のそれぞれで外部モータのトルク(N・m)を測定し、その変化(トルクの上昇度)をモニタした。外部モータの設定荷重は180Nである。定着装置用摺動部材の摺動性は、測定されるトルクの値が不変であるほど優れていると評価される。
<揮発成分の発生抑制評価:SPMの濃度測定>
さらに揮発成分の発生抑制評価として、0.02〜1.0μmの浮遊粒子状物質(SPM)を捕捉することによりその環境中のSPMの濃度を測定することが可能なアウトガス捕集装置を作製し、この装置を用いて定着装置用摺動部材から発生するSPMの濃度を測定した。このアウトガス捕集装置は、10Lチャンバーと70L希釈容器とSPMの濃度を測定するパーティクルカウンター(CPC)とを備えている。
SPMの濃度の測定方法は、具体的には、以下のとおりに行なった。まず測定試料(定着装置用摺動部材)2±0.1gを10Lのチャンバーに入れ、100〜200℃に加熱した。さらに、このチャンバーに対して2L/minの流量でHeガスを流し入れ、このHeガスが、測定試料から揮発した揮発成分とともに70Lの希釈容器に向かうようにした。最後に、70Lの希釈容器に含まれる測定試料からの揮発成分を、0.7L/minの流速でパーティクルカウンター(CPC)に流し入れ、その濃度を測定した。特に、SPMの濃度は、180℃に加熱し、その温度で維持した期間である合計10分間を対象とし、190℃に加熱する直前の段階の濃度で評価した。定着装置用摺動部材は、アウトガス捕集装置で捕捉されるSPMの濃度が低いほど、定着装置用摺動部材を実際に使用する際に揮発成分の発生が抑制されていると評価することができる。
<臭気の評価:臭気官能試験>
上述したカラープリンタを用いて定着装置を駆動させ、そのトルクを測定する際に、カラープリンタから放出される臭気を以下の指標(ランク)に基づいて官能試験を行った。この官能評価は、定着装置を駆動させた駆動開始後すぐ(初期)の時点で行なった。
(ランク)
3:ほとんど臭わない(上記カラープリンタの定着装置と同じレベル)。
2:刺激臭が若干確認された。
1:強い刺激臭が確認された。
上述した実施例1〜8および比較例1〜4の定着装置用摺動部材を対象とした性能評価(トルク測定、SPMの濃度測定、臭気官能試験)の結果をそれぞれ表1、表2に示す。表1、表2には、各実施例および比較例に用いた「不織布シート」の材質、目付量、ρb(密度)、T(厚み)、「反応性シリコーンオイル」の商品名、粘度、反応性の置換基、官能基当量とともに、「ゲル化条件」、「ゲル状潤滑剤」のゲル化度および粘度も示した。
さらに図3には、アウトガス捕集装置で捕捉されるSPMの濃度変化の様子を、180℃に加熱して維持した10分間(横軸が100〜110分である期間)を対象として示した。
Figure 2018165802
Figure 2018165802
<評価結果>
表1、表2によれば、実施例1〜8の定着装置用摺動部材は、トルク測定、SPMの濃度測定、臭気の評価結果においていずれも優れていた。すなわち駆動開始後すぐ(初期)と400時間駆動後とでトルク変動の幅が小さく、安定して長時間の使用に供し得ることが分かった。特に、SPMの発生が抑制され、刺激臭が確認されることもなかった。
実施例1〜8の定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤および不織布シートからなり、不織布シートが耐熱性繊維を含み、ゲル状潤滑剤がゲル化した反応性シリコーンオイルを含み、ゲル状潤滑剤のゲル化度が1以上を示す。したがって、実施例1〜8の定着装置用摺動部材は、このような構成を有することにより潤滑剤として反応性シリコーンオイルを用いた場合においても、SPMなどの揮発成分の発生を抑制することができると理解される。さらに実施例1〜8の定着装置用摺動部材を用いることにより、SPMなどの揮発成分の発生を抑制する定着装置、画像形成装置を提供することができる。
一方、比較例1〜4の定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤のゲル化度が1未満であったことから、駆動開始後すぐ(初期)と400時間駆動後とでトルク変動の幅が小さかったものの、SPMの発生濃度が高く、刺激臭も確認された。
ここで本実施形態および実施例に係る定着装置用摺動部材を備えた定着装置が適用される画像形成装置は、タンデム型カラーデジタルプリンタに限るものではなく、モノクロ画像を形成するプリンタであってもよい。さらに、プリンタに限らず、複写機、MFP(Multiple Funciton Peripheral)、FAXなど(いずれの場合にも、カラー画像用、モノクロ画像用のいずれでもよい)に適用することができる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 定着部、2 画像プロセス部、21 作像部、3 転写部、31 一次転写ローラー、32 中間転写体、4 給紙部、41 搬送路、42 二次転写ローラー、100 定着装置、110 ローラー、120 定着装置用摺動部材(本発明)、130 押圧部材、140 第2ローラー、140h ヒーター、150 無端ベルト、F 記録シート。

Claims (17)

  1. 定着装置に用いられる定着装置用摺動部材であって、
    前記定着装置は、互いに対向して共に回転するローラーおよび無端ベルトと、前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトの内周面を前記ローラーへ向けて押圧することにより前記無端ベルトを前記ローラーとで挟む押圧部材と、前記押圧部材および前記無端ベルトの間に配置される前記定着装置用摺動部材とを備え、
    前記定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなり、
    前記不織布シートは、耐熱性繊維を含み、
    前記ゲル状潤滑剤は、ゲル化した反応性シリコーンオイルを含み、
    前記ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の前記反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す、定着装置用摺動部材。
  2. 定着装置に用いられる定着装置用摺動部材であって、
    前記定着装置は、互いに対向して共に回転するローラーおよび無端ベルトと、前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトの内周面を前記ローラーへ向けて押圧することにより前記無端ベルトを前記ローラーとで挟む押圧部材と、前記押圧部材および前記無端ベルトの間に配置される前記定着装置用摺動部材とを備え、
    前記定着装置用摺動部材は、ゲル状潤滑剤と不織布シートとからなり、
    前記不織布シートは、耐熱性繊維を含み、
    前記ゲル状潤滑剤は、反応性シリコーンオイルにおける高分子鎖の立体構造が変化することにより構成されており、
    前記ゲル状潤滑剤は、その粘度を前記反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す、定着装置用摺動部材。
  3. 前記反応性シリコーンオイルは、反応性の置換基を有するシリコーンオイルであり、
    前記置換基は、アミノ基、エポキシ基およびカルボニル基からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の定着装置用摺動部材。
  4. 前記カルボニル基は、メタクリロイル基に含まれる、請求項3に記載の定着装置用摺動部材。
  5. 前記ゲル状潤滑剤は、その粘度が10Pa・s以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置用摺動部材。
  6. 前記耐熱性繊維は、遊離のアミノ基および遊離のカルボニル基のいずれか一方または両方を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置用摺動部材。
  7. 前記耐熱性繊維は、アラミド繊維である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置用摺動部材。
  8. 前記耐熱性繊維は、ポリイミド繊維である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置用摺動部材。
  9. 前記耐熱性繊維は、フッ素化ポリイミド繊維である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置用摺動部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置用摺動部材を備える定着装置であって、
    前記無端ベルトは、その少なくとも前記内周面に基材を含み、
    前記基材は、遊離のアミノ基および遊離のカルボニル基のいずれか一方または両方を有する樹脂である、定着装置。
  11. 前記基材は、ポリイミド樹脂である、請求項10に記載の定着装置。
  12. 前記基材は、フッ素化ポリイミド樹脂である、請求項10に記載の定着装置。
  13. 前記基材は、前記反応性シリコーンオイルを含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の定着装置。
  14. 前記定着装置は、前記ローラーおよび前記無端ベルトの少なくとも一方を加熱するヒーターを備える、請求項10〜13のいずれか1項に記載の定着装置。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項に記載の定着装置を備える、画像形成装置。
  16. 反応性シリコーンオイルを不織布シートに含浸することにより前駆部材を得る第1工程と、
    前記前駆部材を加熱焼成し、前記反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、前記ゲル状潤滑剤を前記不織布シートに保持させる第2工程とを含む、定着装置用摺動部材の製造方法。
  17. 反応性シリコーンオイルをゲル化することによりゲル状潤滑剤を得るとともに、前記ゲル状潤滑剤を不織布シートに保持させることにより定着装置用摺動部材を製造する定着装置用摺動部材の製造方法であって、
    前記ゲル状潤滑剤は、その粘度をゲル化する前の前記反応性シリコーンオイルの粘度で除することにより得られる値の対数値であるゲル化度が1以上を示す、定着装置用摺動部材の製造方法。
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