以下、実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施例1に係るタンデム型フルカラープリンタ(画像形成装置)を示すものである。
図2は、図1に示したフルカラープリンタ(画像形成装置)の画像形成要部を示すものである。
このフルカラープリンタ1は、大きく分けて、画像形成部と、中間転写装置、最終転写ロール40、定着装置500、給紙部により構成される。
画像形成部は、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、及びブラック(K)用の4つの画像形成ユニット(画像形成手段)1Y〜Kと、露光装置15とにより構成される。
さらに、各画像形成ユニットは1Y〜Kは、それぞれ4つの感光体ドラム(像担持体)10Y〜K、これら感光体ドラム10Y〜Kにそれぞれ接触する帯電ロール(接触型帯電体)11Y〜K、これら感光体ドラム10Y〜Kにそれぞれ対峙する現像装置12Y〜K、これら感光体ドラム10Y〜Kにそれぞれ接触する感光体ブラシロール13Y〜Kで構成されている。
ここで、感光体ドラム10周辺の各部材の配置としては、各感光体ドラム10を中心に、感光体ドラム10の回転方向の上流側から下流側にかけて、帯電ロール11、現像装置12(現像装置の現像スリーブ)、(後述する)第一の中間転写ロール、感光体ブラシロール13が配設されている。
なお、感光体ブラシロール13は、金属(ステンレス)製のロール状基材に、導電性樹脂性の植毛テーブを、スパイラル状に巻きつけて構成される。
感光体ドラム10Y〜Kは、帯電ロール11Y〜Kにより−900V程度のDC電圧が印加され、これによって約−380V程度に一様に帯電され、また、露光装置15で静電潜像が書き込まれた際にその表面電位は約−70V程度にまで除電される。
現像装置12Y〜Kは、現像ロール、現像剤量規制部材、現像剤搬送部材、及び現像剤を搬送し攪拌するオーガーを備えた磁気ブラシ接触型二成分現像方式の現像装置である。
上記現像剤量規制部材によって規制されて現像部に搬送される現像剤量は約30〜40g/m2であり、この時に現像ロール上に存在するトナーの帯電量は概ね−20〜−40μC/g程度である。
この現像装置12Y〜Kには、AC+DCの現像電圧を印加して現像が実施されるが、この現像電圧はACが4kHz、1.6kVppで、DCが−300V程度である。
中間転写装置は、一次転写位置において感光体ドラム10Y、10Mに接触する第一 の上流側中間転写ロール(第一の上流側中間転写体)20aと、一次転写位置において感光体ドラム10C、10Kに接触する第一の下流側中間転写ロール(第一の上 流側中間転写体)20bと、これら二つの第一の中間転写ロール20a、20bにそれぞれ二次転写位置において接触する第二の中間転写ロール30と、第二の中間転写ロール30上のトナー画像の有無及び濃度を光学的に非接触で検知するトナーセンサ8を備えている。
さらに、第一の上流側中間転写ロール20aはクリーニング装置(クリーニング手段)21aを備えている。
この第一の上流側クリーニング装置21aは、第一の上流側中間転写ロール20aに接触する金属(ステンレス)製のクリーニングロール(下流側クリーニングロール)210aと、そのクリーニングロール210aに当接する金属(ステンレス)製のクリーニングブレード211aと、クリーニングブレード211a により掻き落とされた残留トナーを上流側クリーニング装置21a外部の図示しないトナー回収ボックスへ搬送するスクリューオーガ(搬送機構)214a、クリーニ ングロール210aよりも第一の上流側中間転写ロール20aの回転方向上流側近傍において中間転写ロール20aに接触する中間転写ブラシロール(下流側クリーニングブラシ)213aと、これらクリーニングロール210a、クリーニングブレード211a、スクリューオーガ214a、中間転写ブラシロール213aを収容するクリーナハウジング(収容体)212aを備えている。
なお、中間転写ブラシロール213aは、金属(ステンレス)製のロール状基材に、導電性樹脂性の植毛テーブを、スパイラル状に巻きつけて構成される。
同に、第一の下流側中間転写ロール20bはクリーニング装置(クリーニング手段)21bを備えている。
この第一の下流側クリーニング装置21bは、第一の下流側中間転写ロール20bに接触する金属(ステンレス)製のクリーニングロール(下流側クリーニングロール)210bと、そのクリーニングロール210bに当接する金属(ステンレス)製のクリーニングブレード211bと、クリーニングブレード211bにより掻き落とされた残留トナーを上流側クリーニング装置21b外部の図示しないトナー回収ボックスへ搬送するスクリューオーガ(搬送機構)214b、クリーニングロール210bよりも第一の下流側中間転写ロール20bの回転方向上流側近傍において中間転写ロール20bに接触する中間転写ブラシロール213bと、これらクリーニングロール210b、クリーニングブレード211b、スクリューオーガ214b、中間転写ブラシロール213bを収容するクリーナハウジング(収容体)212bを備えている。
なお、中間転写ブラシロール213bは、金属(ステンレス)製のロール状基材に、導電性樹脂性の植毛テーブを、スパイラル状に巻きつけて構成される。
また、第二の中間転写ロール30はクリーニング装置(クリーニング手段)31を備えている。
この第ニクリーニング装置32は、第二の中間転写ロール30に接触する金属(ステンレス)製のクリーニングロール(上流側クリーニングロール)310と、そのクリーニングロール310に当接する金属(ステンレス)製のクリーニングブレード311と、クリーニングブレード311により掻き落とされた残留トナーを上流側クリーニング装置31外部の図示しないトナー回収ボックスへ搬送するスクリューオーガ(搬送機構)314、クリーニングロール310よりも第二の中間転写ロール30の回転方向下流側近傍において中間転写ロール30に接触する中間転写ブラシロール(上流側クリーニングブラシ)313と、これらクリーニングロール310、クリーニングブレード311、スクリューオーガ314、中間転写ブラシロール313を収容するクリーナハウジング(収容体)312を備えている。
なお、中間転写ブラシロール313は、金属(ステンレス)製のロール状基材に、導電性樹脂性の植毛テーブを、スパイラル状に巻きつけて構成される。
ここで、第一の上流側中間転写ロール20aの周辺部材の配置としては、第一の上流側中間転写ロール20aを中心に、第一の上流側中間転写ロール20aの回転方向の上流側から下流側にかけて、感光体ドラム10M、感光体ドラム10Y、第二の中間転写ロール30、中間転写ブラシロール213a、クリーニングロール210aが配設されている。
また、第一の下流側中間転写ロール20bの周辺部材の配置としては、第一の下流側中間転写ロール20bを中心に、第一の下流側中間転写ロール20bの回転方向の上流側から下流側にかけて、感光体ドラム10K、感光体ドラム10C、第二の中間転写ロール30、中間転写ブラシロール213b、クリーニングロール210bが配設されている。
さらに、第二の中間転写ロール30の周辺部材の配置としては、第二 の中間転写ロール30を中心に、第二の中間転写ロール30の回転方向の上流側から下流側にかけて、第一の上流側中間転写ロール20a、第一の下流側中間転写ロール20b、トナーセンサ8、最終転写ロール40、クリーニングロール310、中間転写ブラシロール313が配設されている。
第一の中間転写ロール20a、20bは、金属パイプの上にシリコーンゴム層(導電性弾性層)を設け、更にその上に高離型層(導電性弾性層よりも高電気抵抗な抵抗層)をコーティングして形成されており、その抵抗値については、通常105〜109Ωの範囲のものを使用できるが、ここでは108 Ω程度とされている。
そして、上記感光体10Y〜Kからこの第一の中間転写ロール20a、20bにトナー像を転写するのに必要な表面電位は、通常+250〜500V程度の範囲であり、トナーの帯電状態、雰囲気温度、湿度等により最適値を設定することができる。
第二の中間転写ロール30も、上記第一の中間転写ロール20a、20bと同様に、金属パイプの上にシリコーンゴム層(導電性弾性層)を設け、更にその上に高離型層(導電性弾性層よりも高電気抵抗な抵抗層)をコーティングして形成されており、その抵抗値については、通常108〜1012Ωの範囲のものを使用できるが、ここでは1011Ω程度とされている(すなわち、第一の中間転写ロール20a、20bよりも高抵抗に構成される)。
そして、上記第一の中間転写ロール20a、20bからこの第二の中間転写ロール30にトナー像を転写するのに必要な表面電位は、通常+600〜1200V程度の範囲であり、トナーの帯電状態、雰囲気温度、湿度等により最適値を設定することができる。
最終転写ロール(最終転写体)40は、最終転写位置において第二の中間転写ロール30に接触し、金属パイプの上にウレタンゴム層を設け、更にその上に樹脂コーティングが施されてており、その抵抗値については、通常106〜109Ωの範囲のものを使用できるが、ここでは108Ω(すなわち、第二の中間転写ロール30よりも低抵抗に構成される)程度とされている。
そして、上記第二の中間転写ロール30から用紙(記録シート)S上にトナー像を転写するのにこの最終転写ロール40に印加する転写電圧は、通常+1200〜5000V程度の範囲であり、雰囲気温度、湿度、用紙Sの種類(抵抗値等)等により最適値を設定することになるが、ここでは定電流方式を採用して常温常湿環境下で約+6μAを印加しほぼ適正な最終転写電圧+1600〜2000V程度を得ている。
また、最終転写ロール40は、(第一の中間転写ロール20a、20b、第二の中間転写ロール30とは異なり)クリーニングロール(クリーニング体)が当接されていない。
さらに、(画像形成ユニット取替え時を除き、画像形成モード時、プロセスコントロールモード時、クリーニングモード時を含め)、最終転写ロール40は、第二の中間転写ロール30に接触しており、特別なリトラクト機構などを有しない。
なお、最終転写ロール40の表面粗さ(Rz)は、20〔μm(Rz)〕以下、例えば10〔μm(Rz)〕とすることができ、第一及び第二の中間転写ロール20a、20b、30の表面粗さ(Rz)は、10〔μm(Rz)〕以下、例えば1〔μm(Rz)〕とすることができる。
さらに、第一及び第二の中間転写ロール20a、20b、30 よりも最終転写ロール40の方が表円粗さ(Rz)が粗い。これらの表面粗さ(Rz)は、トナー画像を構成するトナーの平均粒径以下であることが好ましい。
(定着装置の構成)
図5に示すように、定着装置500は、加熱ロール502、ベルト回転体504、及び合成樹脂の成形品であるケース506を備え、ユニット化されている。
図6に示すように、加熱ロール502は、一定径の金属パイプ507の中に熱源としてのハロゲンランプ508が配設され、定着時には加熱ロール502表面を所定の定着温度に加熱するように構成されている。
この加熱ロール502は、ケース506に回転可能に設けられており、図示しないモータからの駆動力を得て回転するようになっている。
図6乃至8に示すように、ベルト回転体504は、エンドレスベルト510、ベルト内側支持部材512、ハードパッド514、ソフトパッド516、摺動部材518、ガイド部材520、フェルトパッド522、及び取付金具524を備えている。
本実施形態のエンドレスベルト510は、ポリイミド樹脂で円筒状に形成されており、表面にフッ素樹脂がコーティングされている。
本実施形態のベルト内側支持部材512は、アルミニュームの中空の押出成形品である。
ベルト内側支持部材512には、軸方向に延びる第1の溝526、第2の溝528、及び第3の溝530を備えている。
第2の溝528の溝壁528Aの両端付近、及び第3の溝530の溝壁530Aの両端付近はそれぞれフライス加工され、フライス加工部分が後述する第1の溝526の溝壁526A、及び溝壁526Bをフライス加工する際の基準面とされている。
第1の溝526の溝壁526A、及び溝壁526Bは、前記フライス加工部分を基準として全体がフライス加工されて0.1mm以下の平面度にされており、かつフライス加工により壁面526Aと溝壁526Bとの直角度が出されている。
第1の溝526には、ハードパッド514が配置されている。このハードパッド514は、寸法精度の高い合成樹脂の成形品である。
ハードパッド514は、ベルト内側支持部材512の溝壁526Aと当接する第1の板状部532と、ベルト内側支持部材512の溝壁526Bと当接する第2の板状部534とを有し、長手方向直角断面が略L字形状を呈している。
ハードパッド514を長手方向に直角な断面で見た時に、第1の板状部532の先端部分は、円弧形状に形成されている。
また、第1の板状部532は、幅Hが軸方向中央部分において最大で、軸方向両端へ向かうにしたがって徐々に減少しており、軸方向に湾曲(正面視した形状が略円弧形状であるが、実際には殆ど直線に見える)している。本実施形態では、ハードパッド514の長さが342mmであり、第1の板状部532の幅Hは、軸方向中央部分で8.8mm、軸方向両端部分で7.51mmである。
ハードパッド514の第2の板状部534には、長手方向に沿って溝536が形成されている。
第2の板状部534は、溝部分において、軸方向中央部分の厚さが最大で、軸方向両端部へ向かうにしたがって徐々に薄く形成されており、溝底面が軸方向に湾曲した円弧曲面(実際には、殆ど平面に見える)とされている。
第2の板状部534の溝部分の厚みは、軸方向中央部分で3.05mm、軸方向両端部分で1.99mmである。
ハードパッド514の溝536には、ソフトパッド516が配置されている。
ソフトパッド516は、一定厚さのアルミニューム板からなる長尺状のベースプレート538と、ベースプレート538に固着されオイルを含んだシリコーンゴム製の長尺状のパッド本体540とから構成されている。
本実施形態のパッド本体540は、ジャパンゴアテックス株式会社製の「モノクロ用オイル供給ロール」に使用の弾性体を用いた。
この弾性体はシリコーンゴムとゲル化したシリコーンオイルとを混合したものであり、弾性体からは、弾性体の変形による圧力と、弾性体が高温になることによる浸透圧によって、シリコーンオイルのみが分子レベルで移動し表面に染み出てくる構造を有している。
なお、オイルとしては、粘度が100cs(常温)のジメチルシリコーンオイルが使用されており、パッド本体540(長さ330mm、体積5.0cm3)の1本当たりの使用量は3gとした。
パッド本体540は、断面略台形状とされ、かつ長尺状に形成されている。このパッド本体540も成形品であり、寸法精度が高い。
ここで、ハードパッド514の第2の板状部534には、長手方向に沿って複数の突起542(図6参照)が形成されている。
摺動部材518は、フッ素系樹脂(例えば、PTFE)の繊維からなる布状(メッシュ状)の長尺状シートであり、裏表を貫通する無数の孔が形成されている。
また、摺動部材518の一端側には係止孔544が長手方向に沿って複数形成されている。
本実施形態の摺動部材518は、ジャパンゴアテックス株式会社製の「多孔質フッ素樹脂繊維シート」を用いた。なお、摺動部材518の動摩擦係数は0.2以下が好ましく、本実施形態において、摺動部材518の動摩擦係数は0.05〜0.07程度である。
摺動部材518は、係止孔544に突起542が挿入されることでハードパッド514に係止されている。
なお、摺動部材518は、ハードパッド514、及びソフトパッド516と、エンドレスベルト510との間に配置され、ハードパッド514、及びソフトパッド516はエンドレスベルト510に直接接触しない構成となっている。
ガイド部材520は、ベルト内側支持部材512の長手方向両端側に配置されている。
ガイド部材520は、寸法精度の高い合成樹脂の成形品であり、ベルト内側支持部材側の片面には、ベルト内側支持部材512の端部と係合する係合部546が形成されている。
ガイド部材520の反ベルト内側支持部材側の片面には、位置決め用の第1の突起548、及び第2の突起550が一体的に形成されている。
また、ガイド部材520には、第1の孔552、及び第2の孔554が形成されている。
ベルト内側支持部材512の第3の溝530には、フェルトパッド522が固着されている。
ガイド部材520の反ベルト内側支持部材側には、鋼鈑のプレス成形品である取付金具524が配置されている。
取付金具524には、第1の位置決め孔556、及び第2の位置決め孔558が精度良く形成されており、第1の突起548が第1の位置決め孔556に挿入され、第2の突起550が第2の位置決め孔558に挿入され、ベルト内側支持部材512の所定の位置に取付金具524が精度良く配置される。
ガイド部材520、及び取付金具524は、ビス560でベルト内側支持部材512に固定されている。
取付金具524には、軸受孔562、及びレバー部564が形成されている。
軸受孔562には、図5に示すケース506に設けられた軸566が挿入されており、ベルト回転体504は、軸566を中心に揺動可能となっている。
ケース506には、スプリング568が設けられており、スプリング568は、ベルト回転体504を加熱ロール502側へ付勢するように取付金具524のレバー部564を押圧している。
図5及び図6において、加熱ロール502は図示しないモータにより回転される。
スプリング568でベルト回転体504が付勢されることで、ベルト回転体504のエンドレスベルト510が加熱ロール502に圧接されて定着ニップN(図6参照)を形成し、加熱ロール502の矢印CW方向(図5、図6参照)の回転に従動してエンドレスベルト510が矢印CCW方向に回転する。
図6に示すように、ハードパッド514の第1の板状部532、及びソフトパッド516のシリコーンゴム製のパッド本体540が、摺動部材518を介してエンドレスベルト510を加熱ロール502に押し付けている。
図1に示すように、加熱ロール502、及びベルト回転体504に対して用紙Sの搬送方向下流側に、定着排出ロール対63a、63bが配設されている。
給紙部は、給紙トレイ50から排出トレイ70に至るまでの用紙Sの搬送経路(図中点線で示す)Pに沿って形勢されている。給紙トレイ50内には複数枚の用紙Sが収容されており、その給紙トレイ50から搬送経路の下流側にかけて、順に、ピックアップロール51aとリタードロール51bとのロール対、搬送ロール52a、52bの対、レジストロール53a、53bの対、(最終転写ロール40、及び定着装置500を経て)、排出ロール54a、54bの対が配設されている。
図3は、このフルカラープリンタ1の電位制御系を説明するブロック図である。
フルカラープリンタ1の状況、すなわちプリントモード(画像形成モード)、プロセスコントロールモード、クリーニングモードの別に基いて、電位制御部(電位勾配形成手段)9は、各帯電ロール11、感光体ブラシロール13、第一の中間転写ロール20a、20b、クリーニングロール210、中間転写ブラシロール213、第二の中間転写ロール30、クリーニングロール310、中間転写ブラシロール313、最終転写ロール40に印加する電圧を制御し、その結果、フルカラープリンタ1の状況に応じて適切な電位勾配をこれら各帯電ロール11、感光体ブラシロール13、第一の中間転写ロール20a、20b、クリーニングロール210、中間転写ブラシロール213、第二の中間転写ロール30、クリーニングロール310、中間転写ブラシロール313、最終転写ロール40の間に形成している。
なお、本実施例では、ツェナーダイオードを用いることにより、同一電源から供給されるバイアス電圧を、複数の部材にそれぞれ適切なバイアス電圧にして印加している。
(作用)
以下、このフルカラープリンタ1の動作を説明する。
表1は、プリントモードにおいて、本実施例において電位制御部9が各帯電ロール11、クリーニングロール210、中間転写ブラシロール213、クリーニングロール310、中間転写ブラシロール313、最終転写ロール40に印加するバイアス電圧をまとめたものである。
図4は、出力用画像としてのトナー画像の移動状況を説明するものである。
図中実線矢印は、出力用画像としてのトナー画像の移動経路を示している。
なお、本実施例で使用するトナーは、マイナス帯電トナーである。
すなわち、正極トナーがマイナス帯電しており、逆極トナーがプラス帯電している。
各画像形成ユニット1Y〜Kにより、感光体ドラム10Y〜K上にはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が形成される。
すなわち、各感光体ドラム10の表面が帯電ロール11により一様に帯電され、露光装置15から出力画像に対応したレーザービームRが帯電後の感光体ドラム10表面に照射され、露光された部分と露光されなかった部分との電位差により、感光体ドラム10上には静電潜像が形成される。
この静電潜像に対して、現像装置12が選択的にトナーを付与し、感光体ドラム10上にトナー画像が形成される。
そして、まずマゼンタ用の感光体ドラム10Mから、第一の上流側中間転写ロール20aへとマゼンタのトナー画像が一次転写される。
次いで、イエロー用の感光体ドラム10Yから、第一の上流側中間転写ロール20aへとイエローのトナー画像が一次転写され、マゼンタのトナー画像に重ね合わされる。
一方同様に、ブラック用の感光体ドラム10Kから、第一の下流側中間転写ロール20bへとブラックのトナー画像が一次転写される。
次いで、シアン用の感光体ドラム10Cから、第一の下流側中間転写ロール20bへとシアンのトナー画像が一次転写される。
一次転写されたマゼンタとイエローのトナー画像は、第二の中間転写ロール30へ二次転写される。
一方、一次転写されたブラックとシアンのトナー画像も、第二の中間転写ロール30へ二次転写され、ここで先に二次転写されているマゼンタ、イエローのトナー画像と、シアンのトナー画像とが重ね合わされ、フルカラーのトナー画像が第二の中間転写ロール30上に形成される。
二次転写されたフルカラートナー画像及びブラックトナー画像は、第二の中間転写ロール30と最終転写ロール40との間のニップ部分に達する。
そのタイミングに同期して、レジストロール対53a、53b(図1参照)から記録シートとしての用紙Sが当該ニップ部分に搬送され、用紙S上にそのフルカラートナー画像及びブラックトナー画像が三次転写(最終転写)される。
この用紙Sは、その後、定着装置500の加熱ロール502とベルト回転体504とで形成された定着ニップNを通過する(図1、及び図6参照)。
その際、加熱ロール502とベルト回転体504から与えられる熱と圧力との作用により、フルカラートナー画像及びブラックトナー画像が用紙Sに定着し、永久像となる。
この定着装置500では、第1の板状部532と加熱ロール502との間でエンドレスベルト510が挟持されることでエンドレスベルト510に回転力、即ち、用紙Sの搬送力が生ずる。また、搬送力は、第1の板状部532と加熱ロール502との間の挟持力に比例する。
ここで、加熱ロール502にベルト回転体504を付勢すると、加熱ロール502が撓むが、本実施形態では、ハードパッド514の第1の板状部532が軸方向に湾曲しているので、第1の板状部532と加熱ロール502との間の挟持力を軸方向全長に渡って均一にでき、したがって、搬送力を軸方向に均一化できる。
一方、ソフトパッド516は、加熱ロール502からの反力を受けてシリコーンゴム製のパッド本体540が圧縮され、ベースプレート538がハードパッド514の溝536の溝底面に押し付けられる。
このパッド本体540は、搬送力を生じさせる第1の板状部532に対して、エンドレスベルト510の回転方向上流側に位置しており、エンドレスベルト510に対してブレーキの役割を果たしている。
ソフトパッド516の配置されているハードパッド514の溝536は、溝底面が軸方向に湾曲しているため、押圧力を受けたベースプレート538が溝536の溝底面と同様に湾曲し(軸方向中央部分が軸方向両端部分よりも突出する方向に)、パッド本体540は軸方向中央部分の圧縮力(加熱ロール502に対しては押圧力)が両端部分よりも大きくなる。
このため、本実施形態では、パッド本体540は、軸方向中央部分のブレーキ力が両端部分のブレーキ力よりも大きくなる。
ハードパッド514側では軸方向に均一な搬送力を生じさせているが、ソフトパッド516側では軸方向中央部分でのブレーキ力を両端部分のブレーキ力よりも大きくしているので、用紙Sを搬送するための最終的な搬送力は軸方向中央部分に対して軸方向両側が大となり、用紙Sに皺を寄らせることなく安定して搬送することが出来る。
なお、シリコーンゴム製のパッド本体540から染み出したオイルは、摩擦係数の小さな摺動部材518を透過してエンドレスベルト510の内面に微量ながら塗布されるので、少ない抵抗でエンドレスベルト510を安定して回転させる事ができる。
本実施形態では、例えば、100mm/secを越える高速な定着速度においてもエンドレスベルト510の追従性を確保できた。
なお、画像の定着の終了した用紙Sは、その後、排出ロール対54a、54bにより排出トレイ70へと排出され、フルカラー画像形成が終了する。
ここで、摺動部材518は、表面が鏡面状に仕上げられたエンドレスベルト510と密着しないことが好ましく、密着性を軽減するには摺動部材518の表面はある程度微小に凹凸していることが好ましい。
摺動部材518のの表面粗さとしては、概ねRa5〜20μmとすることで良好な結果が得られる。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、エンドレスベルト510の内側に摺動部材518を配置したが、定着速度が低い場合には摺動部材518を省くことも出来る。
例えば、50mm/sec程度の低速定着では、ニップ圧が少なくて済むので(例えば、1kgf/cm2程度)、シリコーンゴム製のパッド本体540をエンドレスベルト510に直接接触させても、良好な定着が可能である。