JP2018165435A - プレストレストコンクリート用緊張材 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的なポストテンション工法を用いたプレストレストコンクリート部材においては、コンクリートの打設前にポリエチレン製(樹脂製)または金属製のシースを配置し、コンクリートを打設した後にこのシース中に集合体ケーブルを挿入し、コンクリートの強度が所定強度まで達した後に集合体ケーブルを緊張・定着し、最後に、集合体ケーブルの防錆処理および集合体ケーブルとコンクリートとの付着一体化処理を目的として、セメントミルク等(グラウトと呼ばれることがある樹脂配合物)を集合体ケーブルとシースとの間に注入する。このような一般的なポストテンション工法が、たとえば特開2014−029088号公報(特許文献1)に開示されている。
しかしながら、このように12本束ねた集合体ケーブルとしているために、内層にある3本のPC鋼より線(内層ストランド)は外層の9本のPC鋼より線(外層ストランド)に囲まれており、セメントミルク等のグラウトが侵入できる外層ストランドの隙間は内層ストランド1本あたり3方向しかなく、ストランドとセメントミルク等のグラウトとが接
する面積がほとんど得られず、PC鋼より線の緊張力をコンクリートとの付着により伝達させてプレストレスを導入する内ケーブルにおける合理的な付着力を得られない場合がある。
すなわち、本発明に係るプレストレストコンクリート用緊張材は、プレストレストコンクリートのポストテンション方式において緊張力を導入するプレストレストコンクリート用緊張材であって、複数本のPC鋼より線で構成される集合体ケーブルがシースで被覆され、前記PC鋼より線と前記PC鋼より線との間および前記PC鋼より線と前記シースとの間に、前記集合体ケーブルの緊張後に硬化する樹脂配合物が充填され、前記集合体ケーブルとして、JIS G 3536で規定されるPC鋼より線の12本構成と同等以上の緊張力を7本構成で導入できる高強度PC鋼より線を採用した。
さらに好ましくは、前記7本より12.7mmのPC鋼より線の12本構成に対して、7本より15.2mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用し、前記7本より15.2mmのPC鋼より線の12本構成に対して、19本より17.8mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用して、同等以上の緊張力を導入するように構成することができる。
さらに好ましくは、前記12本構成は、内層3本かつ外層9本で、前記7本構成は、内層1本かつ外層6本であるように構成することができる。
また、図3(A)に従来技術として示す7本より15.2mmのPC鋼より線の12本構成に対して、(この構成と同等以上の緊張力を実現できる)19本より17.8mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用した本実施の形態に係る別のプレストレストコンクリート用緊張材200を図3(B)に示す。
層ストランド1110Cおよび図3(A)の内層ストランド2210C)、かつ、外層9本(図2(A)の外層ストランド1110Sおよび図3(A)の外層ストランド2210S)により構成されている。これに対して、本実施の形態として、図2(B)に示した緊張材100における7本構成の高強度PC鋼より線110(7本より)、および、図3(B)に示した緊張材200における7本構成の高強度PC鋼より線210(19本より)においては、内層1本(図2(B)の内層ストランド110Cおよび図3(B)の内層ストランド210C)、かつ、外層6本(図2(B)の外層ストランド110Sおよび図3(B)の外層ストランド210S)により構成されている。
図1(A)に緊張材100の斜視図、図1(B)にこの緊張材100の集合体ケーブル(7本構成)を構成する1本の高強度PC鋼より線(ストランド)110(1本の内層ストランド110Cおよび6本の外層ストランド110S)の外観図を、図1(C)に1本の高強度PC鋼より線(ストランド)110の断面図をそれぞれ示す。
図3を参照して、(この緊張材100とは別の)緊張材200と同等以上の緊張力を導入できる緊張材2200(従来技術)と比較しながら、この緊張材200の詳細な構成に
ついて説明する。図3(A)に示す緊張材2200と図3(B)に示す緊張材200とでは、集合体ケーブルおよびPC鋼より線(ストランド)が基本的に異なり、複数本のPC鋼より線とシースと樹脂配合物とにより構成される点は同じであって、高強度PC鋼より線210にPC鋼より線2210が、シース230にシース2230が、樹脂配合物220に樹脂配合物2220が、それぞれ対応する。
このように、図2(B)に示す本実施の形態に係る緊張材100は図2(A)に示す緊張材1100と同等の緊張力を導入でき、図3(B)に示す本実施の形態に係る緊張材200は図3(A)に示す緊張材2200と同等の緊張力を導入できる。これについて、以下において、さらに詳しく説明する。なお、以下においては、ストランド12本構成の緊張材1100および緊張材2200(ともに従来技術)と、ストランド7本構成の緊張材100および緊張材200(ともに本実施の形態)との差異については、PC鋼より線の線径等を除いて同じであって、このストランド12本構成をストランド7本構成に変更したことが大きな特徴であるので、これに伴う作用効果について説明する。
、図2(B)に示した緊張材100および図3(B)に示した緊張材200(におけるPC鋼より線を形成するPC鋼線(112)の配置)は、V軸を対称軸とした線対称であって、H軸を対称軸とした線対称であって、緊張材の断面中心(V軸とH軸との交点)を対称の中心とした点対称である。
これに対して、本実施の形態に係る緊張材100および緊張材200の場合、従来技術のように12本束ねた集合体ケーブルの構成ではなく(内層にある3本のストランドが9本の外層ストランドに囲まれた構成であるために樹脂配合物が侵入できる外層ストランドの間は内層ストランド1本あたり3方向しかない構成ではなく)、7本束ねた集合体ケーブルの構成であって、内層にある1本のストランドが6本の外層ストランドに囲まれた構成であるために樹脂配合物が侵入できる外層ストランドの間は内層ストランド1本あたり6方向もあるために、樹脂配合物と内層ストランドとが接する面積を十分に確保できるので合理的な付着力を得ることができる。
図2において、
(L(1100A)×6+L(1100B)×3)>(L(100)×6)、
((L(1100A)×6+L(1100B)×3)/9)<L(100)、
図3において、
(L(2200A)×6+L(2200B)×3)<(L(200)×6)、
((L(2200A)×6+L(2200B)×3)/9)<L(200)、
となっている。
この図4に示すように、
・7本より12.7mmのPC鋼より線の12本構成(従来技術)に対して、7本より15.2mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用した本実施の形態に係るプレストレストコンクリート用緊張材100は、小さい径かつ軽い単位重量であるにもかかわらず、従
来技術と同等以上の緊張力を導入することができ、
・7本より15.2mmのPC鋼より線の12本構成(従来技術)に対して、19本より17.8mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用した本実施の形態に係る別のプレストレストコンクリート用緊張材200は、小さい径かつ軽い単位重量であるにもかかわらず、従来技術と同等以上の緊張力を導入することができ、
ることがわかる。
(1)JIS G 3536で規定されるB種鋼材のPC鋼より線に替えて高強度PC鋼より線を採用することにより集合体ケーブルを構成するストランドの必要な数を(12本から7本へ)減少することができ、集合体ケーブルの径を小さく、かつ、単位重量を軽く、抑えることができる。
(2)12本構成(内層3本かつ外層9本)を7本構成(内層1本かつ外層6本)に集合体ケーブルのストランド構成(本数および配置)を変更することにより、内層ストランド1本あたりの樹脂配合物の充填性の向上および付着面積の上昇、ならびに、外層ストランド1本あたりの樹脂配合物の付着面積の上昇に起因して、合理的な付着力を実現することができる。
(3)樹脂配合物を施工前に集合体ケーブルに塗布することによりセメントミルク等のグラウトの充填性の確保のための60%程度もの空隙率は必要なくなるために(特許文献1に開示された従来技術に対して)シース外径を小径化することができる。
110、210 PC鋼より線
120、220 樹脂配合物
130、230 シース
Claims (6)
- プレストレストコンクリートのポストテンション方式において緊張力を導入するプレストレストコンクリート用緊張材であって、
複数本のPC鋼より線で構成される集合体ケーブルがシースで被覆され、
前記PC鋼より線と前記PC鋼より線との間および前記PC鋼より線と前記シースとの間に、前記集合体ケーブルの緊張後に硬化する樹脂配合物が充填され、
前記集合体ケーブルとして、JIS G 3536で規定されるPC鋼より線の12本構成と同等以上の緊張力を7本構成で導入できる高強度PC鋼より線を採用した、プレストレストコンクリート用緊張材。 - 前記集合体ケーブルとして、前記JISで規定される呼び名が7本より12.7mmのPC鋼より線の12本構成または7本より15.2mmのPC鋼より線の12本構成と同等以上の緊張力を、7本構成で導入できる高強度PC鋼より線を採用した、請求項1に記載のプレストレストコンクリート用緊張材。
- 前記7本より12.7mmのPC鋼より線の12本構成に対して、7本より15.2mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用し、
前記7本より15.2mmのPC鋼より線の12本構成に対して、19本より17.8mmの高強度PC鋼より線の7本構成を採用して、
同等以上の緊張力を導入する、請求項2に記載のプレストレストコンクリート用緊張材。 - 前記12本構成のPC鋼より線は前記JISで規定されるB種鋼材であって、
前記高強度PC鋼より線の引張強度は、前記B種材のPC鋼より線の引張強度に対して115%〜125%である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプレストレストコンクリート用緊張材。 - 前記12本構成は、内層3本かつ外層9本で、
前記7本構成は、内層1本かつ外層6本である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプレストレストコンクリート用緊張材。 - 前記7本構成において、内層1本の高強度PC鋼より線と外層6本の高強度PC鋼より線との間に形成される空間について、前記プレストレストコンクリート用緊張材の断面積比で50%以上に前記樹脂配合物が充填されている、請求項5に記載のプレストレストコンクリート用緊張材。
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