JP7478683B2 - 定着構造、及び定着構造の形成方法 - Google Patents

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Description

本開示は、連続繊維が束ねられて形成された複数の素線が撚り合わされて構成される連続繊維補強撚り線を用いた定着構造、及び定着構造の形成方法に関する。
従来から、連続繊維が束ねられた複数の素線が撚り合わされて構成された連続繊維補強撚り線を用いた定着構造としては種々のものが知られている。特許文献1には、連続繊維補強より線の定着具が記載されている。この定着具は、複数の連続繊維補強撚り線と、複数の連続繊維補強撚り線の任意の区間に形成された解撚拡径部とを含む解撚型定着具である。
連続繊維補強撚り線は、多数の繊維が束ねられて構成された直径5mm程度の円形断面を有する複数の素線を含む構造用ケーブルである。素線は、直径5μm~7μmの多数(数万本程度)の炭素繊維が熱硬化性樹脂で束ねられたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)である。連続繊維補強撚り線は、複数の素線が撚り合わされてロープ状とされており、複数の素線を解撚可能な構造を有する。
解撚拡径部は、連続繊維補強撚り線の一般部よりも拡径された部位である。解撚拡径部は、連続繊維補強撚り線の任意の区間に形成される。解撚拡径部は、複数の素線が解撚されて形成された隙間に充填されて硬化した経時硬化材を備える。経時硬化材は、充填時にある程度の流動性を有し、所定時間経過後に硬化する材料である。経時硬化材は、解撚された複数の素線の間に硬化する前に充填されることによって、当該複数の素線の間に拡径された区間を形成する。そして、一定時間経過後に経時硬化剤が硬化することにより、解撚拡径部が形成される。
特許第6442104号公報
前述した連続繊維補強より線の定着具は解撚拡径部を有し、解撚拡径部は経時硬化材が充填されることによって拡径されている。しかしながら、現状では経時硬化材が適切に充填されたかどうかの確認がなされないことがあるため、経時硬化材の充填不良が生じる懸念があり、拡径された部分の品質管理の点において改善の余地がある。経時硬化材の充填不良が生じると、適切に拡径された状態が維持されなくなり、引っ張りに対する支圧抵抗力が適切に発現しなくなる可能性がある。
また、経時硬化材の充填の作業では、作業の熟練度によって品質にばらつきが生じやすいので、拡径された部分の品質そのものについても改善の余地がある。更に、経時硬化材の充填の作業は、手間である上に経時硬化材の硬化時間を要するため、拡径された部分を形成する作業に時間がかかり当該作業を効率よく行えないという問題が生じうる。
本開示は、拡径された部分の品質を向上させることができると共に、拡径された部分を形成する作業を効率よく行うことができる定着構造、及び定着構造の形成方法を提供することを目的とする。
本開示に係る定着構造は、連続繊維が束ねられて形成された複数の素線が撚り合わされて構成される連続繊維補強撚り線と、連続繊維補強撚り線の複数の素線が解撚された解撚区間において複数の素線の間に入り込んでおり、複数の素線に囲繞された状態で連続繊維補強撚り線が拡径された状態を維持する固形状のスペーサと、を備え、スペーサは、連続繊維補強撚り線が延びる方向に長手方向を有する形状を有し、スペーサの幅は、長手方向の一端から離れるに従って広くなっている
この定着構造では、連続繊維補強撚り線が複数の素線によって構成されており、複数の素線のそれぞれは連続繊維が束ねられて形成されている。定着構造は複数の素線が解かれて形成された解撚区間を有し、解撚区間では複数の素線の間にスペーサが入り込んでいる。スペーサは固形状とされている。また、スペーサは、複数の素線に囲繞された状態で連続繊維補強撚り線が拡径された状態を維持している。よって、複数の素線の間に固形状のスペーサが入り込み、このスペーサが連続繊維補強撚り線の拡径状態を維持する。従って、固形状のスペーサが連続繊維補強撚り線の拡径状態を維持するため、引っ張りに対する支圧抵抗力を適切に発現させることができる。その結果、拡径された部分の品質を向上させることができる。また、複数の素線の間における固形状のスペーサの入り具合を見れば品質管理を行うことができるので、品質管理を容易に行うことができる。固形状のスペーサを複数の素線の間に入れればよいため、作業の熟練度による品質のばらつきが生じにくく、更に、拡径された部分を形成する作業を短時間で効率よく行うことができる。従って、この定着構造では、拡径された部分を容易に且つ高精度に形成することができる。
スペーサは、複数の素線のうちの一本を挿通させる孔部を有してもよい。この場合、スペーサの孔部に一本の素線が通されることにより、スペーサに対する複数の素線の保持を安定させることができる。すなわち、一本の素線をスペーサの孔部に挿通させると共に、残りの素線をスペーサに巻き付けることにより、複数の素線に対するスペーサの装着を安定させることができる。
スペーサの表面には、複数の素線のそれぞれが入り込むガイド溝が形成されていてもよい。この場合、スペーサの表面のガイド溝に複数の素線のそれぞれが入り込んだ状態でスペーサが複数の素線に囲繞されるので、複数の素線に対するスペーサの装着をより強固に行うことができる。従って、拡径された状態をより確実に維持できるので、引っ張りに対する支圧抵抗力をより確実に発現させて定着構造の品質を更に向上させることができる。
続繊維補強撚り線の径が徐々に拡張する拡径状態を形成できるので、引っ張りに対する支圧面積をより大きく確保できる。従って、スペーサを装着しやすい形状にできると共に、支圧抵抗力の更なる向上に寄与する。
スペーサは、複数の分割部材を含んでおり、スペーサは、複数の分割部材が接合されて構成されていてもよい。この場合、複数の分割部材を接合してスペーサを形成できるので、複数の素線に対するスペーサの装着の作業を容易に行うことができる。
本開示に係る定着構造の形成方法は、連続繊維が束ねられて形成された複数の素線が撚り合わされて構成される連続繊維補強撚り線を用いた定着構造の形成方法であって、連続繊維補強撚り線の一部における複数の素線を解撚して解撚区間を形成する工程と、解撚区間における複数の素線の間に固形状のスペーサを入れ込む工程と、スペーサから延び出す複数の素線を結束させることにより、スペーサが複数の素線に囲繞された状態で連続繊維補強撚り線が拡径された状態を維持する工程と、を備え、スペーサは、連続繊維補強撚り線が延びる方向に長手方向を有する形状を有し、スペーサの幅は、長手方向の一端から離れるに従って広くなっている。
この定着構造の形成方法では、連続繊維補強撚り線の複数の素線を解いて解撚区間を形成し、解撚区間に固形状のスペーサを入れ込む。そして、複数の素線がスペーサを囲繞した状態でスペーサが入り込んだ複数の素線の部分を拡径させた状態に維持する。このように、複数の素線の間にスペーサを入れ込み、この固形状のスペーサによって連続繊維補強撚り線の拡径状態を維持する。よって、固形状のスペーサが連続繊維補強撚り線の拡径状態を維持するため、前述した定着構造と同様、引っ張りに対する支圧抵抗力を適切に発現させることができる。その結果、拡径された部分の品質を向上させることができる。また、複数の素線の間における固形状のスペーサの入り具合を見れば品質管理を行えるので、品質管理を容易に行うことができる。固形状のスペーサを複数の素線の間に入れればよいため、作業の熟練度によって品質のばらつきが生じにくい。また、拡径された部分を形成する作業を短時間で効率よく行うことができるので、拡径された部分を容易に且つ高精度に形成することができる。
本開示によれば、拡径された部分の品質を向上させることができると共に、拡径された部分を形成する作業を効率よく行うことができる。
実施形態に係る定着構造を示す例示的な断面図である。 図1のII-II線断面図である。 図1の定着構造のスペーサを示す側面図である。 図1の定着構造の適用例の現場の一部を示す断面図である。 (a)及び(b)は、変形例に係る定着構造を示す側面図である。 変形例に係るスペーサを示す斜視図である。 変形例に係るスペーサを示す側面図である。 図7のVIII-VIII線断面図である。 変形例に係るスペーサの側面図である。 変形例に係るスペーサの側面図である。 変形例に係るスペーサの断面図である。
以下では、図面を参照しながら実施形態に係る定着構造、及び定着構造の形成方法について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
図1は、本実施形態に係る定着構造1及び充填材Cを示す図である。定着構造1は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、以下では「FRP」と称することがある)を含有するロッド材である。FRPは、軽量、高強度且つ高耐久性を有する材料である。FRPロッド材である定着構造1は、例えば、異形鉄筋等の鋼材に代えて用いられるものである。一例として、FRPロッド材である定着構造1は、RC構造に用いられる。
定着構造1は、例えば、RC構造の補強材として用いられる。定着構造1は、具体例として、一対の部材を互いに接続する継手構造における定着体として用いられる。但し、一般的なFRPロッド材では、異形鉄筋と比較して長い定着長が必要となることがある。しかしながら、図1に示されるように、定着構造1の一部を拡径させる場合、直径Dに拡径された部分により、連続繊維補強撚り線5への引っ張りに対する高い支圧抵抗力を発揮できる。その結果、定着長を短くすることが可能である。
定着構造1は、充填材Cに埋め込まれて用いられる。充填材Cは、例えば、モルタル、又はコンクリート等、時間の経過に伴って硬化する材料によって構成されている。定着構造1は、連続繊維が束ねられて形成された複数の素線2が撚り合わされて構成される連続繊維補強撚り線5と、素線2を束ねる結束部材3とを備える。
素線2は樹脂を含んで構成されている。素線2は、例えば、マトリックス樹脂によって構成されている。素線2は、例えば、炭素繊維、バサルト繊維、又はガラス繊維によって補強されていてもよい。
連続繊維補強撚り線5は、複数の素線2を含んでおり、複数の素線2が螺旋状に撚り合わされて形成されている。例えば、素線2の本数は7本である。連続繊維補強撚り線5は、撚り合わされた複数の素線2の一部が解かれて形成された解撚区間Aを有する。解撚区間Aは、少なくとも1回以上素線2が解かれたことがある区間を示しており、本実施形態では、解かれて再度結束部材3によって結束された区間を示している。
定着構造1は、少なくとも2つの結束部材3を備える。解撚区間Aは一対の結束部材3の間を含む領域に形成されている。解撚区間Aは、例えば、連続繊維補強撚り線5の根元側の結束部材3より連続繊維補強撚り線5の先端側に位置している。一方の結束部材3と他方の結束部材3との間は、後述するスペーサ10によって房状に拡張(拡径)された部位を有する。定着構造1は、例えば、1つの房状部を一対の結束部材3の間に有する。
解撚区間Aは、例えば、連続繊維補強撚り線5の端部に設けられており、解撚区間Aの一端及び他端のそれぞれが結束部材3によって結束されている。解撚区間Aには、固形状の予め製作されたスペーサ10が内蔵されており、スペーサ10によって解撚区間Aでは拡径された状態が維持されている。方向A1に直交する方向A2への連続繊維補強撚り線5の長さ(幅)は、スペーサ10によって解撚区間Aでは大きくなっている。
このように、解撚区間Aにおいて、固形状のスペーサ10が複数の素線2の方向A2への拡径状態を維持することにより、連続繊維補強撚り線5への引っ張り力に対する支圧抵抗力を高めることができる。なお、解撚区間Aの場所は、連続繊維補強撚り線5の端部以外の場所であってもよく、適宜変更可能である。
図2は、図1のII-II線断面図である。図1及び図2に示されるように、一例として、連続繊維補強撚り線5は、7本の素線2を含んで構成されている。スペーサ10には複数の素線2が巻き付けられている。スペーサ10の周囲に複数の素線2が囲繞されることによって、連続繊維補強撚り線5の引張方向である方向A1への支圧抵抗力及び定着力が高い状態を維持することができる。
図3は、スペーサ10を示す側面図である。図1~図3に示されるように、例えば、スペーサ10は、連続繊維補強撚り線5が延びる方向A1に長手方向A3を有する。スペーサ10の幅は、長手方向A3の一端から離れるに従って広くなっている。すなわち、長手方向A3に直交する方向A4へのスペーサ10の長さ(幅)は、長手方向A3の端部から長手方向A3の中央に向かうに従って大きくなっている。例えば、側面視におけるスペーサ10の形状は、長円形状(一例として楕円形状)とされている。すなわち、例示的なスペーサ10は、楕円体状を呈する。
スペーサ10は、例えば、孔部11と、長手方向A3の中央に向かうに従って拡張する拡張部12とを備える。一例として、スペーサ10は、長手方向A3に並ぶ一対の拡張部12を備える。孔部11は、スペーサ10を長手方向A3に貫通している。孔部11は、少なくとも1本の素線2を通すために設けられている。
このように一部の素線2を孔部11に通しつつ残部の素線2をスペーサ10に巻き付けることによって、スペーサ10に対する素線2の保持をより強固に行うことができる。なお、図2の例では、7本の素線2のうちの1本が孔部11に通されており、残りの6本がスペーサ10に巻き付けられている例を示している。
スペーサ10の材料は、素線2の材料と同一であってもよいし、素線2の材料とは異なる材料であってもよい。すなわち、スペーサ10は、樹脂を含んで構成されていてもよい。例えば、スペーサ10は、マトリックス樹脂によって構成されていてもよく、マトリックス樹脂は熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。スペーサ10は、炭素繊維、バサルト繊維、又はガラス繊維を含んでいてもよいし、繊維強化プラスチック(FRP)を含んでいてもよい。また、スペーサ10は、セメントモルタル系の材料によって構成されていてもよい。
スペーサ10が熱可塑性樹脂を含む場合、熱処理によってスペーサ10を変形させることが可能となるので形状の自由度を一層高められるという利点がある。素線2が熱可塑性樹脂を含んでいる場合も同様である。一方、スペーサ10が熱硬化性樹脂を含む場合、スペーサ10の形状安定性を一層高めることができるという利点がある。
スペーサ10は固形状とされているので、経時硬化材のように時間の経過と共に硬化するものと比較して材料選択の自由度が高い。すなわち、スペーサ10の材料は、素線2の拡径状態が維持できる材料であればよく、金属等、樹脂以外の材料であってもよい。なお、スペーサ10は、圧縮強度が所定以上であるか、ヤング率がコンクリート相当又はそれ以上であることがより好ましい。
図4は、以上のように構成された定着構造1の適用例を示している。図4に示されるように、定着構造1は、コンクリート部材110とコンクリート部材120との間のあき重ね継手である継手構造100に用いられる。継手構造100では、複数の定着構造1を備えた機械式定着が行われる。例えば、コンクリート部材110及びコンクリート部材120はプレキャストコンクリートであって、一例として、プレキャスト床版である。
継手構造100において、複数の定着構造1のうちの一部がコンクリート部材110からコンクリート部材120に向かって延び出しており、複数の定着構造1のうちの残部がコンクリート部材120からコンクリート部材110に向かって延び出している。コンクリート部材110から延び出す定着構造1、及びコンクリート部材120から延び出す定着構造1は、いずれも充填材Cに埋設されている。コンクリート部材110から延び出す定着構造1、及びコンクリート部材120から延び出す定着構造1は、方向A2に沿って交互に配置されている。
次に、実施形態に係る定着構造1の形成方法の例について説明する。まず、図1及び図2に示されるように、複数の素線2が拠られて形成された連続繊維補強撚り線5を用意する(連続繊維補強撚り線を用意する工程)。そして、連続繊維補強撚り線5の一部における素線2を解いて、複数の素線2の撚りが解除された解撚区間Aを形成する(解撚区間を形成する工程)。
また、固形状のスペーサ10を用意する(スペーサを用意する工程)。そして、解撚区間Aにスペーサ10を入れ込む。具体的には、解撚区間Aにおける1本の素線2をスペーサ10の孔部11に通し、解撚区間Aにおける複数の素線2の間にスペーサ10を入れ込んでスペーサ10の回りに複数の素線2を囲繞する。このように、スペーサ10を複数の素線2の間に入れ込んで複数の素線2が拡張(拡径)された状態を維持する(連続繊維補強撚り線が拡径された状態を維持する工程)。
なお、複数の定着構造1がコンクリート部材110から延び出しており、且つ複数の定着構造1がコンクリート部材120から延び出している例においては、図4に示されるように、継手構造100を構築してもよい。この場合、まず、コンクリート部材110から延び出す定着構造1、及びコンクリート部材120から延び出す定着構造1が、方向A2に沿って交互に並ぶようにコンクリート部材110,120を配置する。
そして、コンクリート部材110及びコンクリート部材120の方向A2の端部に型枠を設置してコンクリート部材110とコンクリート部材120の間に充填材Cを打設し、充填材Cが硬化した後に型枠を外すことによって継手構造100が完成する。なお、この継手構造100では、定着構造1がスペーサ10によって方向A2に拡張(拡径)した部位を有し、当該部位において拡張された状態が維持されるので、重ね継手と比べて定着長L(継手長)を短くすることができる。
次に、本実施形態に係る定着構造1、及び定着構造1の形成方法から得られる作用効果について説明する。本実施形態に係る定着構造1、及び定着構造1の形成方法では、連続繊維補強撚り線5が複数の素線2によって構成されており、複数の素線2のそれぞれは連続繊維が束ねられて形成されている。定着構造1は複数の素線2が解かれて形成された解撚区間Aを有し、解撚区間Aでは複数の素線2の間にスペーサ10が入り込んでいる。
スペーサ10は固形状とされている。また、スペーサ10は、複数の素線2に囲繞された状態で連続繊維補強撚り線5が拡径された状態を維持している。よって、複数の素線2の間に固形状のスペーサ10が入り込み、スペーサ10が連続繊維補強撚り線5の拡径状態を維持する。従って、固形状のスペーサ10が連続繊維補強撚り線5の拡径状態を維持するため、連続繊維補強撚り線5への引っ張りに対する支圧抵抗力を適切に発現させることができる。その結果、拡径された部分の品質を向上させることができる。
また、複数の素線2の間における固形状のスペーサ10の入り具合を見れば、拡径された部分の品質管理を行うことができるので、品質管理を容易に行うことができる。固形状のスペーサ10を複数の素線2の間に入れればよいため、作業の熟練度によって品質のばらつきが生じにくく、更に、拡径された部分を形成する作業を短時間で効率よく行うことができる。従って、定着構造1では、拡径された部分を容易に且つ高精度に形成することができる。
スペーサ10は、複数の素線2のうちの一本を挿通させる孔部11を有する。よって、スペーサ10の孔部11に一本の素線2が通されることにより、スペーサ10に対する複数の素線2の保持を安定させることができる。すなわち、一本の素線2をスペーサ10の孔部11に挿通させると共に、残りの素線2をスペーサ10に巻き付けることにより、複数の素線2に対するスペーサ10の装着を安定させることができる。
スペーサ10は、連続繊維補強撚り線5が延びる方向A1に長手方向A3を有する形状を有し、スペーサ10の幅は、長手方向A3の一端から離れるに従って広くなっている。よって、連続繊維補強撚り線5の径が徐々に拡張する拡径状態を形成できるので、引っ張りに対する支圧面積(引っ張りに直交する方向A2に延びる部分の面積)をより大きく確保できる。従って、スペーサ10を装着しやすい形状にできると共に、支圧抵抗力の更なる向上に寄与する。
次に、変形例に係る定着構造21について図5(a)を参照しながら説明する。図5(a)に示されるように、定着構造21は、前述したスペーサ10と、スペーサ10とは異なる形状のスペーサ30とを備える。前述した定着構造1では1つの房状部が一対の結束部材3の間に設けられていた。
しかしながら、定着構造21では、1つの房状部と、当該1つの房状部よりも連続繊維補強撚り線5の先端側に位置する半分の房状部とを備える。すなわち、定着構造21は、1.5房分の房状部を備える。定着構造21では、半分の房状部の内部にスペーサ30が設けられる。
図6は、スペーサ30を示す斜視図である。図5及び図6に示されるように、例示的なスペーサ30は板状を呈する。スペーサ30は、外周に複数の素線2のそれぞれが入り込む複数の凹部33が形成された円板状を呈する。スペーサ30は、厚さ方向にスペーサ30を貫通する孔部31を有し、例えば、孔部31はスペーサ30の中心を含む領域に設けられる。スペーサ30は、その厚さ方向が連続繊維補強撚り線5の延在方向と一致するように配置される。このとき、複数の素線2のうちの一本が孔部31に通されて残りの素線2が凹部33に入り込む。
以上、1.5房分の房状部と板状のスペーサ30を備える定着構造21について説明した。しかしながら、定着構造が有する房状部の数は特に限定されない。定着構造は、例えば、図5(b)に示されるように、3つの結束部材3、及び2つの房状部(2.0房分の房状部)を備えた定着構造21Aであってもよい。定着構造21Aは、2つのスペーサ10を備える。
続いて、図7及び図8を参照しながら別の変形例に係るスペーサ40について説明する。図7は、スペーサ40の側面図である。図8は、図7のVIII-VIII線断面図である。図7及び図8に示されるように、スペーサ40は、表面に複数の素線2のそれぞれが入り込むガイド溝41を有する点がスペーサ10と異なっている。
ガイド溝41は、例えば、円弧状に窪んでおり、当該円弧状部分に素線2が入り込む。これにより、スペーサ40に対する素線2の巻き付けをより安定して行うことが可能となる。しかしながら、ガイド溝41の断面形状は、円弧状に限られず、放物線状、矩形状、V字状、又は多角形状等であってもよく適宜変更可能である。
ガイド溝41は、例えば、長手方向A3及び方向A4の双方に傾斜する方向に延びている。一例として、ガイド溝41は螺旋状に延びていてもよい。この場合、ガイド溝41に素線2を入り込ませるだけで複数の素線2をスペーサ40に螺旋状に容易に巻き付けることが可能となる。
以上、スペーサ40の表面には、複数の素線2のそれぞれが入り込むガイド溝41が形成されている。よって、スペーサ40の表面のガイド溝41に複数の素線2のそれぞれが入り込んだ状態でスペーサ40が複数の素線2に囲繞されるので、複数の素線2に対するスペーサ40の装着をより強固に行うことができる。従って、拡径された状態をより確実に維持できるので、引っ張りに対する支圧抵抗力をより確実に発現させて定着構造の品質を更に向上させることができる。
前述したスペーサ10、スペーサ30及びスペーサ40のように、本開示に係るスペーサの形状は、装着の容易さ等を考慮して適宜変更可能である。図9に示されるように、更なる変形例に係るスペーサ50は、孔部11と、長手方向A3の一端から離れるに従って拡張する拡張部12と、長手方向A3の他端において方向A4に延在する端面51とを備える。スペーサ50は、例えば、スペーサ10を長手方向A3に直交する平面で切断した形状を有する。
以上のスペーサ50でも、長手方向A3の一端から離れるに従って拡張する拡張部12を有するので、図1の解撚区間Aのうち支圧力を受ける側半分にスペーサ50を設置することで、複数の素線2を拡張させた状態で確実に保持することができ、スペーサ10と同様の効果が得られる。更に、スペーサ50は、スペーサ10よりも小型化が可能となるので、よりコンパクトなスペーサ50とすることができる。
図10は、別の変形例に係るスペーサ60を示す側面図である。スペーサ60は、接合部61を介して互いに接合及び分割が可能な複数(一例として2つ)の分割部材62を含んでいる点がスペーサ10と異なっている。複数の分割部材62は、例えば、スペーサ60の長手方向A3に沿って並んだ状態で互いに結合する。よって、複数の分割部材62は、長手方向A3に沿って着脱される。分割部材62は、例えば、前述したスペーサ50と略同一の形状を呈する。一例として、分割部材62は、スペーサ60の半分を構成する半割部材である。
例えば、接合部61は、一方の分割部材62の長手方向A3の端部に形成された凹部61bと、他方の分割部材62に形成されており凹部61bに嵌合する凸部61cとを含む。凹部61b及び凸部61cのそれぞれは、例えば、各分割部材62の方向A4の幅が最も長い端面63に形成されている。凹部61b及び凸部61cの数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。スペーサ60は、接合部61の凹部61bに凸部61cが嵌合することによって形成される。
以上、スペーサ60は、複数の分割部材62を含んでおり、スペーサ60は、複数の分割部材62が接合されて構成されている。よって、複数の分割部材62を接合してスペーサ60を形成できるので、複数の素線2に対するスペーサ60の装着の作業を容易に行うことができる。
図11は、更に別の変形例に係るスペーサ70を示す断面図である。前述したスペーサ60では、複数の分割部材62が長手方向A3に沿って着脱される。これに対し、スペーサ70では、スペーサ70の幅方向である方向A4に沿って複数の分割部材72が着脱される。
一例として、分割部材72は、スペーサ70の半分を構成する半割部材である。スペーサ70の接合部71は、一方の分割部材72の接合面73に形成された凹部71bと、他方の分割部材72に形成されており凹部71bに嵌合する凸部71cとを含む。凹部71b及び凸部71cは、スペーサ70の断面における径方向の一方側と他方側のそれぞれに設けられている。スペーサ70は、各凸部71cが各凹部71bに嵌合することによって形成される。
以上、スペーサ70もスペーサ60と同様、複数の分割部材72を含んでおり、複数の分割部材72が接合されて構成されている。従って、複数の分割部材72を接合してスペーサ70を形成できるので、複数の素線2に対するスペーサ70の装着の作業を容易に行うことができる。
以上、本開示に係る定着構造、及び定着構造の形成方法の実施形態及び種々の例について説明した。しかしながら、本開示に係る定着構造、及び定着構造の形成方法は、前述した実施形態及び各例に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形してもよい。すなわち、定着構造の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様、並びに、定着構造の形成方法の各工程の内容及び順序は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、前述した実施形態では、7本の素線2を有する連続繊維補強撚り線5について説明した。しかしながら、連続繊維補強撚り線の素線の本数は、6本以下、又は8本以上であってもよく適宜変更可能である。
また、前述した実施形態では、孔部11を有するスペーサ10について説明した。しかしながら、孔部の形状、大きさ、数及び配置態様は孔部11に限定されず適宜変更可能である。更に、本開示に係る定着構造、及び定着構造の形成方法では、孔部を有しないスペーサを備えていてもよい。
また、前述した実施形態では、楕円体状のスペーサ10及びスペーサ40、板状のスペーサ30、並びに、半割状のスペーサ50、スペーサ60及びスペーサ70について説明した。しかしながら、本開示に係るスペーサの形状は、上記の各例に限られず更に変更することも可能である。例えば、スペーサの形状は、円柱状、円錐状、楕円柱状、又は角錐状等であってもよく適宜変更可能である。
1,21,21A…定着構造、2…素線、3…結束部材、5…連続繊維補強撚り線、10,30,40,50,60,70…スペーサ、11,31…孔部、12…拡張部、33…凹部、41…ガイド溝、51…端面、61,71…接合部、61b,71b…凹部、61c,71c…凸部、62,72…分割部材、63…端面、73…接合面、100…継手構造、110,120…コンクリート部材、A…解撚区間、A1,A2,A4…方向、A3…長手方向、C…充填材、D…直径、L…定着長(継手長)。

Claims (5)

  1. 連続繊維が束ねられて形成された複数の素線が撚り合わされて構成される連続繊維補強撚り線と、
    前記連続繊維補強撚り線の複数の前記素線が解撚された解撚区間において複数の前記素線の間に入り込んでおり、複数の前記素線に囲繞された状態で前記連続繊維補強撚り線が拡径された状態を維持する固形状のスペーサを備え
    前記スペーサは、前記連続繊維補強撚り線が延びる方向に長手方向を有する形状を有し、
    前記スペーサの幅は、前記長手方向の一端から離れるに従って広くなっている、
    定着構造。
  2. 前記スペーサは、複数の前記素線のうちの一本を挿通させる孔部を有する、
    請求項1に記載の定着構造。
  3. 前記スペーサの表面には、複数の前記素線のそれぞれが入り込むガイド溝が形成されている、
    請求項1又は2に記載の定着構造。
  4. 前記スペーサは、複数の分割部材を含んでおり、
    前記スペーサは、複数の前記分割部材が接合されて構成されている、
    請求項1~のいずれか一項に記載の定着構造。
  5. 連続繊維が束ねられて形成された複数の素線が撚り合わされて構成される連続繊維補強撚り線を用いた定着構造の形成方法であって、
    前記連続繊維補強撚り線の一部における複数の前記素線を解撚して解撚区間を形成する工程と、
    前記解撚区間における複数の前記素線の間に固形状のスペーサを入れ込む工程と、
    前記スペーサから延び出す複数の前記素線を結束させることにより、前記スペーサが複数の前記素線に囲繞された状態で前記連続繊維補強撚り線が拡径された状態を維持する工程と、
    を備え
    前記スペーサは、前記連続繊維補強撚り線が延びる方向に長手方向を有する形状を有し、
    前記スペーサの幅は、前記長手方向の一端から離れるに従って広くなっている、
    定着構造の形成方法。
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