JP2018160695A - 電子ビーム加工機 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、ビーム照射位置の指令値に従い動作する偏向電源や偏向器などで構成された偏向系の応答性がよい電子ビーム加工機を提供することである。【解決手段】電子銃1から発生し集束レンズ3で集束された電子ビーム2を電磁偏向する偏向器4と、電子ビーム2の偏向量を指令する信号発生器5からの信号を受けて偏向器4を駆動する偏向電源7とを有し、電子ビーム2の被加工物9への照射位置を偏向器4による電磁偏向で走査する電子ビーム加工機であって、偏向電源7と偏向器4とで構成された偏向系には主偏向系と副偏向系の2つの偏向系を有し、上記主偏向系は走査の偏向量を指令するステップ送り信号で駆動されているとともに、上記主偏向系の遮断周波数に対して上記副偏向系の遮断周波数が高いものである。【選択図】図25

Description

この発明は、電子ビームによって例えば金属材料や磁性材料の熱処理または非金属材料のビーム露光などに適用される電子ビーム加工機に関するものである。
従来の電子ビーム加工機の一例である荷電粒子ビーム露光方法及び装置は電磁型主偏向器を鋸波に基づいて駆動して電子ビームを走査するものであり、主偏向器の走査位置誤差を副偏向器を設けて予め格納しておいた値で補正している。(例えば特許文献1)
特開平8−107059号公報
従来の電子ビーム加工機においては、電子ビーム(荷電粒子ビームを含む)を偏向により位置決めする場合、ビーム照射位置の指令値に従い動作する偏向電源や偏向器などの偏向系の応答性(偏向磁場の応答)により、ビーム照射の指令位置に対して実際に電子ビームが照射される位置との間に誤差が生じ、電子ビームを所定速度で走査する場合は位置の遅れ量となる。この関係を周波数応答で示した場合には、偏向系の周波数帯域を例えばDCから遮断周波数fcで表すと、遮断周波数fcが低くなるに従い遅れ誤差量は大きくなる。特に電子ビームを熱処理や露光といった用途に適用する場合は、電子ビームを指令位置に位置決めを繰返しながら走査するステップ送り制御が使用される。この場合には、偏向系の遮断周波数fcがステップ送りの繰り返しで走査する指令信号の走査周波数fsよりも低い場合は、目標の指令位置へ位置決めできないか、あるいは位置決めできたとしても時間が短いという課題があった。
この発明は以上のような課題を解決するためになされたもので、ビーム照射位置の指令値に従い動作する偏向電源や偏向器などで構成された偏向系の応答性がよい電子ビーム加工機を提供することを目的とする。
この発明に係る電子ビーム加工機は、電子銃から発生し集束レンズで集束された電子ビームを電磁偏向する偏向器と、上記電子ビームの偏向量を指令する信号源からの信号を受けて上記偏向器を駆動する偏向電源とを有し、上記電子ビームの被加工物への照射位置を上記偏向器による電磁偏向で走査する電子ビーム加工機であって、上記偏向電源と上記偏向器とで構成された偏向系には主偏向系と副偏向系の2つの偏向系を有し、上記主偏向系は走査の偏向量を指令するステップ送り信号で駆動されているとともに、上記主偏向系の遮断周波数に対して上記副偏向系の遮断周波数が高いことを特徴とするものである。
この発明の電子ビーム加工機によれば、偏向電源と偏向器とで構成された偏向系には主偏向系と副偏向系の2つの偏向系を有し、上記主偏向系は走査の偏向量を指令するステップ送り信号で駆動されているとともに、上記主偏向系の遮断周波数に対して上記副偏向系の遮断周波数が高いため、主偏向系でビーム偏向した際に生じた過渡的な位置誤差量(応答の遅れ量)を副偏向系で補正してビーム照射位置の指令値に近づけることが可能であり、ビームの偏向位置をステップ状に変化させたときの目標位置での整定時間(整定している時間)をより長くすることも可能であり、偏向系の応答性がよい電子ビーム加工機を得ることができる効果がある。
この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の電子ビームの動作を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向電源と偏向器とで構成された偏向系の電気回路構成を示す回路図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の電気回路における電圧と電流を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の電気回路構成に浮遊容量のあることを説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の周波数に対する電気特性を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向器を示す平面方向から見た説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向器を示す偏向器の中心方向から見た説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の静的緒データを従来のものと比較して説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の動的緒データを従来のものと比較して説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の信号発生器から偏向器までの電気回路構成を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の偏向系の静的緒データを説明する説明図である。 この発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態4における電子ビーム加工機の偏向器を示す平面方向から見た説明図である。 この発明の実施の形態4における電子ビーム加工機の偏向器を示す偏向器の中心方向から見た説明図である。 この発明の実施の形態4における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の電子ビームの動作を説明する説明図である。 この発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の電子ビームの照射位置誤差を説明する説明図である。 この発明の実施の形態5における従来の電子ビーム加工機の電子ビームの照射位置誤差を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の電子ビームの動作を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の偏向器にX軸偏向巻線を施した場合を示す平面方向から見た説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の偏向器にY軸偏向巻線を施した場合を示す平面方向から見た説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の主偏向電源から主偏向器までの電気回路構成を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系の電気回路構成を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系の補正信号発生器を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の走査指令に対する主偏向系による電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系による補正信号に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系による補正信号に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。 この発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の主偏向系と副偏向系の諸特性を従来のものと比較して説明する説明図である。 この発明の実施の形態8における電子ビーム加工機の主偏向系と副偏向系の概略構成を示す構成図である。 この発明の実施の形態8における電子ビーム加工機の主偏向系と副偏向系の電気回路構成を説明する説明図である。
以下、この発明の実施の形態について説明するが、各図において同一、または相当部分については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図、図2はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の電子ビームの動作を説明する説明図、図3はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向電源と偏向器とで構成された偏向系の電気回路構成を示す回路図、図4はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の電気回路における電圧と電流を説明する説明図、図5はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の電気回路構成に浮遊容量のあることを説明する説明図、図6はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の周波数に対する電気特性を説明する説明図、図7aはこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向器を示す平面方向から見た説明図、図7bはこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向器を示す偏向器の中心方向から見た説明図、図8はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の静的緒データを従来のものと比較して説明する説明図、図9はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の偏向系の動的緒データを従来のものと比較して説明する説明図、図10はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の信号発生器から偏向器までの電気回路構成を説明する説明図、図11はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図12はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図13はこの発明の実施の形態1における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。
図1において、電子ビームを発生する電子銃1は、熱電子を発生するためのフィラメント(図示せず)と、フィラメントから発生した熱電子によって電子ビームを成形しビーム電流を制御するための電極(図示せず)と、電子ビームを加速するための電極(図示せず)等で構成されている。電子銃1が発生した電子ビーム2は集束レンズ3によって集束されるとともに、偏向器4によって電磁偏向される。偏向器4における電子ビーム2の偏向量を指令する偏向信号を発生する信号発生器5からの偏向信号は配線6を介して偏向電源7に入力される。偏向電源7は偏向信号をもとに偏向電流に変換するアンプ機能を有している。偏向電源7からの偏向電流は配線8を介して偏向器4の後述する巻線に与えられる。信号発生器5と偏向電源7および偏向器4はX軸用とY軸用との2軸用で構成されている。偏向器4により偏向された電子ビーム2は被加工物であるワーク9に照射される。なお、図1においては、電子銃1や集束レンズ3および偏向器4が入れられている真空容器内を真空に排気する真空排気装置、および電子ビーム2を発生加速するための電子銃1用のフィラメント加熱電源、電子ビーム加速電源、電子ビームの電流を制御する電源、ならびに集束レンズ3の電源は省略している。本実施の形態の電子ビーム加工機はビーム加速電圧60kV,最大ビーム電流100mA,出力6kWであり、電子ビーム径は半値全幅で0.3mm以下に集束できる。電子ビーム径は集束レンズ3の電源の設定電流値等により必要なサイズに調整することができる。
また、本実施の形態の電子ビーム2を金属材料や磁性材料の熱処理および非金属材料の露光などに適用する場合、ワーク9への投入熱量や露光量の制御方法として、ビーム照射位置をステップ送りで走査し移動させる位置決めを行う。図2にワーク9へのビーム照射位置の移動の様子を模式的に示している。信号発生器5がステップ状の偏向信号を発生し、偏向電源7は偏向信号に応じた偏向電流を偏向器4に流し、ステップ状に変化する偏向磁場によりビーム照射位置がステップ送りで走査され移動する。このように電子ビームをステップ送りで走査することにより、ビーム径ごとに電子ビームの位置決めと移動を繰返すことになり、ビーム位置決め位置での停留時間を制御することで位置毎のワーク9への入熱量を管理できる。一般にステップ送りで走査されるビーム照射位置の平均的なビーム移動速度(以下、走査速度)をvとしビーム径をdとした場合、電子ビームをステップ送りで走査する走査指令信号のクロック周波数(以下、走査周波数)fsはfs=v/dである。
ここで、平均的な入熱量から走査速度vについて考える。走査速度100m/sでワーク9である鉄材に電子ビームを照射した場合のビーム照射位置部分の温度上昇は500℃程度となり、これは熱処理の場合に相当する熱量である。走査速度100m/sはビーム出力6kwでは熱処理等に適した熱量を投入できる一般的に使用される移動速度である。ビーム径である0.3mmをステップ送りの単位長さ(ピッチ)として走査速度100m/sを得るためには、走査周波数fsは330kHzとなる。一般にビーム出力が低い場合、ワーク9の比熱が大きい場合、ビーム径が大きい場合等は同じ温度条件であればより遅い走査速度で同じ温度上昇になる。本発明の用途である熱処理を効率的に行うには、ビーム出力は少なくとも1kw以上が必要であり、このパワーで熱処理を施すための走査速度vは17m/sになる。ビーム径dは意図的にフォーカスをぼかしたとしても0.6mmを超えると分布が不均一となって均一な熱処理ができなくなる。この場合の走査周波数fsは28kHzであり、電子ビーム加工機における下限となる。このようなステップ送りは従来考慮されておらず、電子ビーム2はワーク9上で停止せずに連続的に移動(走査)するものであった。
熱処理や溶接等の加工では、10mm以上の比較的大きなワーク9に電子ビーム2を照射するため、大きな偏向量を得やすい電磁巻線を用いた磁場偏向を適用する。例えば静電偏向でこのような大きな偏向領域を実現するためには、電子ビームの加速電圧に相当する10kv程度の電圧が偏向にも必要になり、偏向電源7や偏向器4の巻線および配線8の絶縁等が複雑になる。電磁巻線による電子ビームの偏向角度は電磁巻線に流れる偏向電流に比例する。また、ワーク9と偏向器4との間の偏向距離が長いほど大きな偏向量を得ることができる。具体的には、偏向角度が±15度で偏向距離が200mmであれば偏向量は100mm程度、偏向距離を600mmに設定すると300mm以上の偏向量を得ることができる。電子ビーム2の高速移動の特性は、ビーム移動の最高速度とステップ状の送りの位置決めに対応する周波数特性で表される。走査速度に関して説明すると、ビーム偏向では、ステージ移動に比べてビームの照射位置を高速に移動させることができる高速走査が可能である。通常の溶接での走査速度は0.01〜0.05m/sでありステージ移動でよいが、熱処理やビーム露光の場合には10〜500m/sの走査速度であり、ビーム偏向による高速走査が有効である。
次に、ビーム偏向によるビーム照射位置の高速移動について詳細に説明する。信号発生器5が発生する偏向量の指令値が高速で移動する指令を与えた場合、偏向電源7は最大電圧を出力する。このとき偏向電流の立ち上がり速度は電圧と偏向器4のインダクタンスで決まる。この偏向電流立ち上がり速度が最大偏向速度に相当する。偏向器4のインダクタンスと電流スルーレートの関係について詳細に説明する。図3に偏向電源7と偏向器4の電気回路構成の一例を示す。偏向電源7は定電流制御したOPアンプ回路で構成されており、OPアンプ11、入力抵抗12、フィードバック抵抗13、電流検出抵抗14および偏向器4のインダクタンス15である。偏向器4の電気抵抗は無視している。偏向器4に流れる偏向電流を電流検出抵抗14で検出し、偏向電流が指令値である入力電圧に相当する電流値となるようにフィードバック制御されている。
図4に偏向電源7の入力電圧Vin、出力電圧Vout、出力電流Iの時間変化を示す。出力電圧が偏向器4に加えられる電圧で、出力電流が偏向電流である。OPアンプ11の定電流回路が反転増幅の場合、入力電圧と出力電圧の極性が反転するが、図4では説明の簡略化のため同極性で示している。図4に示すようにステップ電圧が入力された場合、出力電流を立ち上げようとして出力電圧はステップ状に応答する。このときの出力電流と出力電圧の関係はVom=L・di/dt+R・iとなり、Vomは出力電圧の最大値である。ここで、電流検出抵抗14は電力ロスを少なくするため数Ω以下に選ばれるため、R・iを無視すると電流立ち上がり速度di/dtはdi/dt=Vom/Lとなり、出力電圧Voutの最大値Vomと偏向器4のインダクタンスLで決まる。偏向器4の形状や巻線の巻数が同じ場合には、電流立ち上がり速度はビーム照射位置の走査速度に比例する。
次にビーム偏向の周波数特性について説明する。偏向系の周波数応答は偏向電源7の周波数特性、偏向器4の負荷や偏向磁場の応答(渦電流ロス等)で決まるものであり、特に電子ビーム2のワーク9への照射位置をステップ状に移動させる場合に関係する特性である。従来の電子ビーム加工機はステップ移動を実施しておらず、偏向系の特性については考慮されていなかったが、ここで従来の場合の偏向系の特性を説明する。従来の電子ビーム加工機の偏向系の偏向器4では、巻線径0.4mmのマグネットワイヤーが合計の巻数240T(ターン)で施されており、偏向器4のインダクタンスは5mHで偏向器4の浮遊容量が100pFである。さらに偏向電源7と偏向器4とを接続している配線8の浮遊容量が200pF程度ある。従って、偏向系の周波数特性はDC〜60kHzの帯域である。このとき偏向電源7から見た負荷の共振周波数は130kHzであった。偏向器4のコアは筒状の内部に8極の磁極が設けられており、コアの内径は60mmで外径は100mm高さ30mmである。コアには積層鉄心あるいはフェライトが用いられている。
図14にもとづき従来の電子ビーム加工機の概略構成を説明する。電子銃1や集束レンズ3および偏向器4が収納された真空容器の周囲には図示していない真空ポンプ等の真空関連部品や望遠鏡などが配置されており、信号発生器5や偏向電源7は真空容器から比較的離れた位置に設けられたラック(図示せず)の内部に配置されている。このため偏向器4と偏向電源7との間は長さが3m程度の配線8で接続されている。偏向器4からワーク9までの距離が600mmの場合、偏向電流2Aで電子ビーム2の偏向量は150mmになる。偏向電流2Aは比較的簡単な電気回路構成で実現できる。例えば偏向電源7としてパワーOPアンプを用いた定電流フィードバック回路で実現可能である。この構成において、ビーム照射位置を連続的に移動させる場合には、走査速度100m/sが実現できる。一般的にはこのような連続的なビーム移動方法が適用されるため、偏向器4の巻数を200T程度より多くして、偏向電源7の構成をより簡素化している。
図7aおよび図7bにもとづいて本発明で用いた偏向器4について説明する。筒状のコア22の内側にはP1からP8の8極の磁極が設けられている。コアサイズはコア内径が60mmでコア外径が100mm、高さ30mmである。コア22の材質はフェライトを使用している。8極の磁極にはマグネットワイヤーによる巻線が施されている。マグネットワイヤーの線径は0.57mmのものを使用しており、合計の巻数は140Tである。コア22には直交するX軸とY軸の2軸の偏向を行う磁場を発生するX軸偏向用の巻線21XとY軸偏向用の巻線(図示せず)が設けられる。具体的には、偏向器4のX軸偏向用巻線21Xは磁極P3に対して巻線N3、磁極P2−P3−P4に対して巻線N234、磁極P7に対して巻線N7、磁極P6−P7−P8に対して巻線N678が巻かれる。巻数は均一磁場を発生させるためにコサイン巻となっており、巻線N3と巻線N7の巻数は41T(ターン)、巻線N234と巻線N678の巻数は99T(ターン)で、合計の巻数は140Tである。この結果、磁極P2とP4および磁極P6とP8には巻数99T、磁極P3とP7には巻数140Tの巻線が巻かれていることになり、巻数が角度に対してコサイン分布になっている。このように巻かれた巻線21Xは、磁極P2から磁極P8、磁極P3から磁極P7、磁極P4から磁極P6に向けて磁束23が発生する方向に偏向電流が流れるように直列接続されている。同様に、図7aで角度90度振られた位置にY軸偏向巻線も巻かれるが、基本的にX軸偏向巻線と同様であり、図示を省略しており説明も省略する。
偏向器4のインダクタンスは1.8mHで浮遊容量は60pFであった。この偏向器4に偏向電流3.3Aを流した場合に、偏向器4とワーク9との間の距離600mmにおいて150mmのビーム偏向量を得ることができる。なお、偏向器4の巻数を小さくした方がインダクタンスや浮遊容量が小さくなって遮断周波数fcが高くなるため、走査周波数fsを高くできるが、巻数Nを小さくしていくと以下に説明する現象が発生するため、巻数Nの下限は以下説明するとおり40Tとなる。偏向器4の磁極毎の巻数は、磁場分布を均一にするため図7aに示すように偏向方向の軸と磁極との角度θに応じてCOSθに比例した巻数を施すコサイン巻を実施している。この関係で巻数Nが小さくなると、コサイン分布を整数にまるめて巻数とするため、コサイン分布からの誤差が大きくなる。巻数Nが40T以上あると巻数誤差を3%以下にすることができ、磁場分布の均一性が得られる。
図10にもとづき信号発生器5から偏向器4までの電気的特性について説明する。信号発生器5と偏向電源7との間の配線6および偏向電源7と偏向器4との間の配線8には、図10に示すように配線の長さに比例したインダクタンスと浮遊容量が存在する。偏向電源7を偏向器4の近くに配置して偏向電源7の出力端に偏向器4の電磁巻線を直結させることで、配線8の長さを0.1mにした。このため配線8の浮遊容量を10pF以下に低減できた。一方、この関係で信号発生器5から偏向電源7への配線6が長くなるが、偏向電源7の入力インピーダンスを数kΩに大きく設定するか、あるいは50Ωの終端抵抗で入力信号を受ける等により、配線6のインダクタンスや浮遊容量の影響を無視できるため、配線6は数m程度に長くしても問題ない。この結果、偏向電源7の負荷側の共振周波数は450kHzであり、大きな出力電流が得られる定電流フィードバックを施した偏向電源7で偏向器4を駆動する。偏向電源7と配線8および偏向器4で構成された偏向系の周波数帯域はDCから350kHzが得られたため、この場合の遮断周波数fcは350kHzである。
図11に平均的な走査速度100m/s場合の電子ビームの応答状況を本発明の偏向系と従来の偏向系で比較したものを示す。ステップ送りピッチ0.25mmで走査周波数400kHzであり、平均的な走査速度はステップ送りピッチ×走査周波数である。図11中の点線が本発明の偏向系のもので遮断周波数fcが350kHzの場合であり、破線が従来の偏向系のもので遮断周波数fcが60kHzの場合である。本発明の偏向系では偏向電源7の減衰を上記のように調整したため、ビーム応答波形は指数関数状にステップ送り指令値に漸近しており、オーバーシュート等は発生していない。一方従来の偏向系の場合は、制定時間として6μs必要であるためステップ送り指令値に追従できない。
図12に平均的な走査速度50m/s場合の電子ビームの応答状況を本発明の偏向系と従来の偏向系で比較したものを示す。ステップ送りピッチ0.25mmで走査周波数200kHzであり、平均的な走査速度はステップ送りピッチ×走査周波数である。図12中の点線が本発明の偏向系のもので遮断周波数fcが350kHzの場合であり、破線が従来の偏向系のもので遮断周波数fcが60kHzの場合である。本発明の偏向系では偏向電源7の減衰を上記のように調整したため、ビーム応答波形は指数関数状にステップ送り指令値に漸近しており、電子ビームの停止時間が延びてオーバーシュート等は発生していない。一方従来の偏向系の場合は、制定時間として6μs必要であるためステップ送り指令値に追従できない。
なお、本発明の電子ビーム加工機の付随する特徴として、偏向磁場が貫通する筐体はビームに面する側に薄膜導体を形成した絶縁体、あるいは高抵抗体を使用しており、渦電流の抑制とビーム通路のチャージアップを防止している。
図8および図9に本発明の偏向系と従来の偏向系との違いをまとめて示す。本発明では偏向器4の巻線の巻数を減らすとともに偏向器4に偏向電源7を直結させる構成とすることで偏向系の周波数応答を高めた。偏向系の偏向電源7の最大出力電圧は24Vであり、インダクタンスの小さい本発明の偏向器4はより早い走査速度を得ることができる。ただし、従来の偏向系と同じ偏向量を得るためには大きな偏向電流が必要であり、偏向電源7の電源容量が大きくなるとともに発熱量も大きくなる。出力電流の増加は偏向電源7の出力部に使用されているパワー素子の大容量化や並列化で容易に偏向電流を増加させて対応できる。
図5に示す偏向電源7と偏向器4との電気回路構成にもとづき偏向系の応答性について説明する。偏向器4には磁場を発生させるためのインダクタンスとともに浮遊容量が存在し、等価回路として図5に示すインダクタンス15と並列の浮遊容量16で表される。周波数に対する偏向系の電気特性を図6に示す。周波数fが高くなるに従い容量のインピーダンスである1/ωCが小さくなり、共振周波数frを超えるとインダクタンス成分のインピーダンスであるωLより小さくなる。この共振周波数frを超えた領域では偏向電流は浮遊容量16を流れるため偏向器4は偏向磁場を発生することはできない。また、定電流帰還(フィードバック)制御動作する偏向電源7は安定動作させるために応答周波数を共振周波数frよりも低く抑えておく必要があるため、共振周波数frで偏向系の応答性が決まる。
偏向電源7の安定性を優先し定電圧制御を適用した場合、共振周波数以上でも偏向電源7は偏向電流を供給することが可能になるが、共振周波数以上の偏向電流は浮遊容量16を通して流れるため偏向器4はビーム偏向に寄与する磁場を発生することができない。共振周波数frは偏向器4のインダクタンスLDEFと偏向器4の浮遊容量CDEFおよび偏向器4と偏向電源7との間の配線8の浮遊容量Cwで決まり、fr=1/(2π(LDEF・(CDEF+Cw))1/2)で決まる。なお、配線8のインダクタンスは小さいため無視している。ここで、偏向器4のインダクタンスLDEFは、偏向器4の形状やコアの透磁率で決まる定数をkとすると偏向器4の巻線の巻数Nの2乗に比例し、LDEF=kとなる。一方、偏向器4の浮遊容量CDEFは巻線の巻数Nへの依存性は顕著ではなく、60から100pF程度である。これは巻線の配線8との近接したところで最大の浮遊容量が決まるためと考えられる。
共振周波数frを高くするためには、偏向器4の巻数Nを小さくすること、および偏向電源7と偏向器4との間の浮遊容量を小さくするため配線8を短くすることが有効である。ただし、巻数Nを少なくすると、偏向器4の起磁力が小さくなるため、同じ偏向角を得るためには偏向電流が大きくなる。本発明の偏向器4の巻線の巻数Nと共振周波数frとの関係は、近似的にfr≒7×10/Nの関係が見いだされた。巻数Nを少なくすることで共振周波数frを高くすることができる。この式は偏向器4のコア22の内径および高さで決まるため、上記説明の偏向器4の形状の場合に有効である。共振周波数frに対して偏向電源7の周波数帯域の上限となる遮断周波数fcは、fc=0.8fr程度まで高くすることが可能である。
ステップ送りピッチ0.25mmに対して位置誤差が10%以下に制定される時間は、ビーム位置の過渡応答特性により偏向系の遮断周波数fcが350kHzでは1.0μsとなる。従って走査周波数fsが500kHzの場合の停留時間2.0μsにおいて、最初の1.0μs以降の1.0μsの期間はビームが制定された時間になる。このことにより、ステップ移動の繰り返し周期を2.0μs以上、つまり走査周波数fsを500kHz以下にすると電子ビームの指令値への制定時間が50%以上になる。偏向系の応答性を示す遮断周波数fcと走査周波数fsとの関係を1.4fc>fsとなるように、偏向器4の巻線の巻数Nを7.8×10/N>fsに選べばよい。さらに、走査周波数fsを0.57fc>fsと選ぶとビーム照射位置での目標位置への制定時間が80%以上になる。この場合の巻数Nは3.2×10/N>fsであればよい。
以上説明したように、偏向器4の巻線の巻数を140Tに減らすとともに、偏向電源7と偏向器4との間の配線8の長さを0.1mに短くしたため、偏向電源7と偏向器4および配線8で構成された偏向系の遮断周波数fcを、従来60kHz程度であったものを350kHzまで高くすることができ、遮断周波数fcと電子ビーム走査の偏向量を指令する信号の走査周波数fsとに1.4fc>fsの関係を持たせたため、ビーム照射位置をステップ送りする走査指令に対応可能な応答性のよい偏向系を有する電子ビーム加工機が得られる効果がある。
なお、上記説明では偏向器4に線径0.57mmのマグネットワイヤーを巻数140T巻いた場合について説明したが、例えば線径0.57mmのマグネットワイヤーを2並列にして巻数140T巻くか、あるいは線径0.29mmのマグネットワイヤーを4並列にして巻数140T巻くなどしてもよく、線径に関しても、使用状況や冷却状況に応じて発熱量の許す範囲で適宜選定すればよい。
また、上記説明では偏向器4のコアに8極の磁極が有る場合について説明したが、磁極数は4極や16極または24極など他の極数であってもよく、同様の効果を得ることができる。
さらに、上記説明ではX軸用とY軸用の2軸構成の偏向系を示したが、ワーク9の加工に必要な電子ビームの照射パターンや、電子ビーム加工機の構成によっては1軸構成の偏向系であってもよく、例えばワーク9を搭載したステージの移動でY軸を制御し、直交するX軸を偏向器4による偏向で走査するようにしてもよい。
また、上記説明では特に説明していないが、偏向収差を補正するためのスティグメータやダイナミックフォーカス等のレンズ、およびこれらの信号発生器や電源を設けてもよい。さらに、上記説明では電子ビーム加工機がワーク9の熱処理に使用されるものについて説明したが、電磁偏向を用いてビーム照射位置をステップ移動で走査する荷電粒子ビーム装置や電子ビーム露光装置等の電子ビーム加工機であっても同等の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図14はこの発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図、図15はこの発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の偏向系の静的緒データを説明する説明図、図16はこの発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図17はこの発明の実施の形態2における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。上記実施の形態1では偏向電源7と偏向器4との間の配線8の長さを0.1mにした場合について説明したが、実施の形態2では配線8の長さを1mにした場合について説明する。電子銃1や集束レンズ3および偏向器4が収納された真空容器の周囲には図示していない真空ポンプ等の真空関連部品や望遠鏡などが配置されており、従来配線8の長さは3m程度であったが、真空ポンプ等の真空関連部品や望遠鏡などの配置を工夫して、偏向電源7を偏向器4に近づけて配置することにより、配線8の長さを1m以下にすることができる。図15にこの場合の諸データを纏めて記入しているが、偏向器4については上記実施の形態1と同じものであり、実施の形態2では配線8の容量が100pFで共振周波数frが300kHzであり、偏向系の遮断周波数fcは250kHzに調整した。
図16に走査速度75m/sの場合、図17に走査速度50m/sの場合の電子ビームの応答状況を本発明の偏向系と従来の偏向系で比較したものを示す。図16および図17中の点線が本発明の偏向系のもので遮断周波数fcが250kHzの場合であり、図16の場合のステップ送りピッチは0.25mmで走査周波数は300kHzであり、図17の場合のステップ送りピッチは0.25mmで走査周波数は200kHzである。破線が従来の偏向系のもので遮断周波数fcが60kHzの場合である。実施の形態2の偏向系では偏向電源7の減衰を上記のように調整したため、ビーム応答波形は指数関数状にステップ送り指令値に漸近しており、オーバーシュート等は発生していない。一方従来の偏向系の場合は、制定時間として6μs必要であるためステップ送り指令値に追従できない。図16および図17のどちらの場合も1.4fc>fsの関係を持たせており、電子ビームのステップ送り指令値への制定時間が50%以上になる。
実施の形態3.
上記実施の形態1では偏向器4の巻線の巻数が140Tの場合について説明したが、実施の形態3では巻数を200Tにした場合について説明する。巻数が200Tではインダクタンスが3.5mH、浮遊容量が80pF、共振周波数は300kHzであった。実施の形態1と同様に偏向電源7を偏向器4に直結することで配線8の影響を軽減すれば、偏向電源7の調整により偏向系の遮断周波数fcを250kHzにできる。従って、この場合にも実施の形態2での説明と同様に、電子ビームのステップ送り指令値への制定時間が50%以上になり、熱処理等への適用が十分可能となる。このため、偏向器4の巻線の巻数は200T以下が望ましい。
実施の形態4.
図18aはこの発明の実施の形態4における電子ビーム加工機の偏向器を示す平面方向から見た説明図、図18bはこの発明の実施の形態4における電子ビーム加工機の偏向器を示す偏向器の中心方向から見た説明図、図19はこの発明の実施の形態4における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図である。上記実施の形態1では偏向器4はX軸用とY軸用の2軸で磁極が8極の場合について説明したが、実施の形態4では偏向器4が1軸で2極の場合である。図18aおよび図18bにおいて、磁極間のギャップを20mm、磁極幅は40mm、磁極の長さを40mmとし、磁極の巻線を巻く部分の幅は20mm、高さ30mmである。このような磁極構成とすることで、偏向量を変えずに巻線の巻数を大幅に少なくできるため、より応答性のよい偏向系を得ることができる。具体的には、偏向器4の巻線の巻数を20Tとして、実施の形態1と同じ偏向電流3.3Aで同等の偏向量150mmを得ることができた。この場合の偏向器4のインダクタンスは0.5mH、浮遊容量は30pFであり、偏向系の共振周波数frは1MHz、遮断周波数fcは650kHzであった。このときのステップ送り指令に対する電子ビームの応答を図19に示す。偏向条件は走査速度100m/sでステップ送りピッチ0.25mmであり、走査周波数400kHzである。図19に示すようにステップ送り指令値に対してより早く追従している。
実施の形態5.
図20はこの発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図、図21はこの発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の電子ビームの動作を説明する説明図、図22はこの発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図23はこの発明の実施の形態5における電子ビーム加工機の電子ビームの照射位置誤差を説明する説明図、図24はこの発明の実施の形態5における従来の電子ビーム加工機の電子ビームの照射位置誤差を説明する説明図である。上記実施の形態1では電子ビームをステップ送りで走査する場合について説明したが、実施の形態5では電子ビームを連続で走査する場合について説明する。図20において信号発生器5が連続の指令信号を出力する以外は、本発明の電子ビーム加工機および従来の電子ビーム加工機は実施の形態1で説明したものと同一である。信号発生器5からの連続の指令信号を受けて偏向電源7が連続の偏向電流を出力することにより、電子ビーム2は偏向器4によって偏向されて、図21に示すようにワーク9上で連続的に走査される。一般に図22に示すように、連続走査の場合は連続走査指令に対して電子ビーム2のワーク9への照射位置が偏向系の応答特性に応じて遅れるため、遅れ誤差量が発生する。
走査速度100m/sの場合の遅れ誤差量は、従来の電子ビーム加工機では0.3mmであったが、本発明の電子ビーム加工機では0.05mmに低減できた。図23に本発明の電子ビーム加工機を使用した場合の試験結果を示し、図24に従来の電子ビーム加工機の場合を示す。図23および図24において、ワーク9をY軸方向にステージ移動させながら、X軸方向は信号発生器5に三角波を発生させて、偏向器4による偏向により往復走査を行うとともに、所定の指令位置で電子ビームをスポット照射した。この結果、図23に示すように本発明の電子ビーム加工機の場合は、往復のスポット照射位置のばらつきは0.1mm以下に抑制できた。図24に示す従来の電子ビーム加工機の場合は、ばらつきは0.6mm程度であった。以上説明したように、本発明の電子ビーム加工機を使用すれば連続的に走査する場合にも電子ビームの照射位置の精度向上が図れる。
実施の形態6.
図25はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の概略構成を示す構成図、図26はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の電子ビームの動作を説明する説明図、図27aはこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の偏向器にX軸偏向巻線を施した場合を示す平面方向から見た説明図、図27bはこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の偏向器にY軸偏向巻線を施した場合を示す平面方向から見た説明図、図28はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の主偏向電源から主偏向器までの電気回路構成を説明する説明図、図29はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系の電気回路構成を説明する説明図、図30はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系の補正信号発生器を説明する説明図、図31はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の走査指令に対する主偏向系による電子ビームの応答を説明する説明図、図32はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図33はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系による補正信号に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図34はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の副偏向系による補正信号に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図35はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の走査指令に対する電子ビームの応答を説明する説明図、図36はこの発明の実施の形態6における電子ビーム加工機の主偏向系と副偏向系の諸特性を従来のものと比較して説明する説明図である。
図25において、電子ビーム2を発生する電子銃1は、熱電子を発生するためのフィラメント(図示せず)と、フィラメントから発生した熱電子によって電子ビーム2を成形しビーム電流を制御するための電極(図示せず)と、電子ビーム2を加速するための電極(図示せず)等で構成されている。電子銃1が発生した電子ビーム2は集束レンズ3によって集束されるとともに、主偏向器4aおよび副偏向器4bによって電磁偏向される。副偏向器4bは主偏向器4aに対して電子銃1に近い側に配置されている。主偏向器4aにおける電子ビーム2の偏向量を指令する偏向信号を発生する信号発生器5からの偏向信号は配線6を介して主偏向電源7aに入力される。主偏向電源7aは偏向信号をもとに偏向電流に変換するアンプ機能を有している。主偏向電源7aからの偏向電流は配線8を介して主偏向器4aの後述する巻線に与えられる。主偏向器4aの応答性に起因する過渡的な誤差量を補正信号として発生する補正信号発生器10からの補正信号は配線6を介して副偏向電源7bに入力される。副偏向電源7bからの偏向電流は配線8を介して副偏向器4bの後述する巻線に与えられる。
信号発生器5と主偏向電源7aおよび主偏向器4aはX軸用とY軸用との2軸用で構成されている。また、補正信号発生器10と副偏向電源7bおよび副偏向器4bはX軸用とY軸用との2軸用で構成されている。主偏向器4aおよび副偏向器4bにより偏向された電子ビーム2は被加工物であるワーク9に照射される。なお、図25においては、電子銃1や集束レンズ3および主偏向器4aならびに副偏向器4bが入れられている真空容器内を真空に排気する真空排気装置、および電子ビーム2を発生加速するための電子銃1用のフィラメント加熱電源、電子ビーム加速電源、電子ビーム2の電流を制御する電源、ならびに集束レンズ3の電源は省略している。本実施の形態の電子ビーム加工機はビーム加速電圧60kV,最大ビーム電流100mA,出力6kWであり、電子ビーム径は半値全幅で0.3mm以下に集束できる。電子ビーム径は集束レンズ3の電源の設定電流値等により必要なサイズに調整することができる。
また、本実施の形態の電子ビーム2を金属材料や磁性材料の熱処理および非金属材料の露光などに適用する場合、ワーク9への投入熱量や露光量の制御方法として、ビーム照射位置をステップ送りで走査し移動させる位置決めを行う。図26にワーク9へのビーム照射位置の移動の様子を模式的に示している。信号発生器5がステップ状の偏向信号を発生し、主偏向電源7aは偏向信号に応じた主偏向電流を主偏向器4aに流し、ステップ状に変化する偏向磁場によりビーム照射位置がステップ送りで走査され移動する。このように電子ビームをステップ送りで走査することにより、ビーム径ごとに電子ビームの位置決めと移動を繰返すことになり、ビーム位置決め位置での停留時間を制御することで位置毎のワーク9への入熱量を管理できる。一般にステップ送りで走査されるビーム照射位置の平均的なビーム移動速度(以下、走査速度)をvとしビーム径をdとした場合、電子ビームをステップ送りで走査する走査指令信号のクロック周波数(以下、走査周波数)fsは、fs=v/dである。
ここで、平均的な入熱量から走査速度vについて考える。走査速度100m/sでワーク9である鉄材に電子ビーム2を照射した場合のビーム照射位置部分の温度上昇は500℃程度となり、これは熱処理の場合に相当する熱量である。走査速度100m/sはビーム出力6kwでは熱処理等に適した熱量を投入できる一般的に使用される移動速度である。ビーム径である0.25mmをステップ送りの単位長さ(ピッチ)として走査速度100m/sを得るためには、走査周波数fsは400kHzとなる。一般にビーム出力が低い場合、ワーク9の比熱が大きい場合、ビーム径が大きい場合等は同じ温度条件であれば、より遅い走査速度で同じ温度上昇になる。本発明の用途である熱処理を効率的に行うには、ビーム出力は少なくとも1kw以上が必要であり、このパワーで熱処理を施すための走査速度vは17m/sになる。ビーム径dは意図的にフォーカスをぼかしたとしても0.6mmを超えると分布が不均一となって均一な熱処理ができなくなる。この場合の走査周波数fsは28kHzであり、電子ビーム加工機における下限となる。このようなビーム偏向によるステップ送り制御は従来考慮されておらず、電子ビーム2はワーク9上で停止せずに連続的に移動(走査)するものであった。
熱処理や溶接等の加工では、10mm以上の比較的大きなワーク9に電子ビーム2を照射するため、大きな偏向量を得やすい電磁巻線を用いた磁場偏向を適用する。例えば静電偏向でこのような大きな偏向領域を実現するためには、電子ビーム2の加速電圧に相当する10kv程度の電圧が偏向にも必要になり、主偏向電源7aや主偏向器4aの巻線および配線8の絶縁等が複雑になる。電磁巻線による電子ビーム2の偏向角度は電磁巻線に流れる偏向電流に比例する。また、ワーク9と主偏向器4aとの間の偏向距離が長いほど大きな偏向量を得ることができる。具体的には、偏向角度が±15度で偏向距離が200mmであれば偏向量は100mm程度、偏向距離を600mmに設定すると300mm以上の偏向量を得ることができる。電子ビーム2の高速移動の特性は、ビーム移動の最高速度とステップ状の送りの位置決めに対応する周波数特性で表される。走査速度に関して説明すると、ビーム偏向では、ステージ移動に比べてビームの照射位置を高速に移動させることができる高速走査が可能である。通常の溶接での走査速度は0.01〜0.05m/sでありステージ移動でよいが、熱処理やビーム露光の場合には10〜500m/sの走査速度であり、ビーム偏向による高速走査が有効である。
次に、ビーム偏向によるビーム照射位置の高速移動について詳細に説明する。信号発生器5が発生する偏向量の指令値が高速で移動する指令を与えた場合、主偏向電源7aは最大電圧を出力する。このとき偏向電流の立ち上がり速度は電圧と主偏向器4aのインダクタンスで決まる。この偏向電流立ち上がり速度が最大偏向速度に相当する。主偏向器4aのインダクタンスと電流スルーレートの関係について詳細に説明する。図3に主偏向電源7aと主偏向器4aの電気回路構成の一例を示す。主偏向電源7aは定電流制御したOPアンプ回路で構成されており、OPアンプ11、入力抵抗12、フィードバック抵抗13、電流検出抵抗14および主偏向器4aのインダクタンス15である。主偏向器4aの電気抵抗は無視している。主偏向器4aに流れる偏向電流を電流検出抵抗14で検出し、偏向電流が指令値である入力電圧に相当する電流値となるようにフィードバック制御されている。
図4に主偏向電源7aの入力電圧Vin、出力電圧Vout、出力電流Iの時間変化を示す。出力電圧が主偏向器4aに加えられる電圧で、出力電流が偏向電流である。OPアンプ11の定電流回路が反転増幅の場合、入力電圧と出力電圧の極性が反転するが、図4では説明の簡略化のため同極性で示している。図4に示すようにステップ電圧が入力された場合、出力電流を立ち上げようとして出力電圧はステップ状に応答する。このときの出力電流と出力電圧の関係はVom=L・di/dt+R・iとなり、Vomは出力電圧の最大値である。ここで、電流検出抵抗14は電力ロスを少なくするため数Ω以下に選ばれるため、R・iを無視すると電流立ち上がり速度di/dtはdi/dt=Vom/Lとなり、出力電圧Voutの最大値Vomと主偏向器4aのインダクタンスLで決まる。主偏向器4aの形状や巻線の巻数が同じ場合には、電流立ち上がり速度はビーム照射位置の走査速度に比例する。
次にビーム偏向の周波数特性について説明する。主偏向系の周波数応答は主偏向電源7aの周波数特性、主偏向器4aの負荷や偏向磁場の応答(渦電流ロス等)で決まるものであり、特に電子ビーム2のワーク9への照射位置をステップ状に移動させる場合の応答性に係わる特性である。従来の電子ビーム加工機はステップ移動を実施しておらず、偏向系の特性については考慮されていなかったが、ここで従来の場合の偏向系の特性を説明する。従来の電子ビーム加工機の偏向系の偏向器4では、巻線径0.4mmのマグネットワイヤーが合計の巻数240T(ターン)で施されており、偏向器4のインダクタンスは5mHで偏向器4の浮遊容量が100pFである。さらに偏向電源7と偏向器4とを接続している配線8の浮遊容量が200pF程度ある。従って、偏向系の周波数特性はDC〜60kHzの帯域である。このとき偏向電源7から見た負荷の共振周波数は130kHzであった。偏向器4のコアは筒状の内部に24極の磁極が設けられており、コアの内径は60mmで外径は100mm高さ40mmである。コアには積層鉄心あるいはフェライトが用いられている。
図14にもとづき従来の電子ビーム加工機の概略構成を説明する。電子銃1や集束レンズ3および偏向器4が収納された真空容器の周囲には図示していない真空ポンプ等の真空関連部品や望遠鏡などが配置されており、信号発生器5や偏向電源7は真空容器から比較的離れた位置に設けられたラック(図示せず)の内部に配置されている。このため偏向器4と偏向電源7との間は長さが3m程度の配線8で接続されている。偏向器4からワーク9までの距離が600mmの場合、偏向電流2Aで電子ビーム2の偏向量は150mmになる。偏向電流2Aは比較的簡単な電気回路構成で実現できる。例えば偏向電源7としてパワーOPアンプを用いた定電流フィードバック回路で実現可能である。この構成において、ビーム照射位置を連続的に移動させる場合には、走査速度100m/sが実現できる。一般的にはこのような連続的なビーム移動方法が適用されるため、偏向器4の巻数を200T程度より多くして、偏向電源7の構成をより簡素化している。
主偏向系の主偏向電源7aと主偏向器4aとの間の配線8には浮遊容量が存在する。浮遊容量は図28のような等価回路で示すことができる。従来の偏向系の場合、この配線8の浮遊容量が大きいことと偏向器4のインダクタンスが大きいことにより、共振周波数は130kHzであったため、偏向電源4の周波数帯域はDC〜60kHzと狭い。ここで前述したステップ送り制御を実現するためには、前述したビーム径である0.25mmをステップ送りの単位長さ(ピッチ)として走査速度100m/sを得るためには、走査周波数fsは400kHzとなり、従来の偏向系ではこの走査周波数に応答することはできない。偏向系の周波数応答を高くすることが高速化および高精度化を図る上では必要になるが、前述したように、電子ビーム2を熱処理や溶接に適用する場合、大きなビーム偏向幅が必要になり偏向器4も大きな磁束を発生する必要があるため、偏向器4には大きなアンペアターンが必要であり、巻数も多くなる。このことは、偏向広域化に必須である偏向器4の共振周波数を高くすることに対しての制約となっている。
本実施の形態6では、偏向系を大きな偏向量を得るための主偏向系と、偏向量は少なく主偏向系での誤差量の補正のみに相当する偏向を行うための副偏向系で構成する。主偏向器4aと主偏向電源7aからなる主偏向系では、有限の周波数帯域しかなく応答性の制約となりビーム照射位置の遅れである過渡的な位置誤差が発生する。この位置誤差量に相当する位置誤差信号で副偏向電源7bは副偏向電流を副偏向器4bに流し、位置誤差量に応じて変化する偏向磁場によりビーム照射位置を補正する。主偏向系によるビーム位置の応答性は数式1に示す偏向電流Iの応答性に比例し、その位置誤差量は数式2に示す偏向電流の誤差Ierror に比例する。
ただし、
Istep:ステップ送りの単位長さに相当する偏向電流
fc:遮断周波数(応答性を表す)
t:時間
exp(−t/(2πfc)):eの(−t/(2πfc))乗を表す
次に、主偏向器4aの構成について図27aおよび図27bにもとづき説明する。筒状のコア30の内側にはP1からP24の24極の磁極が設けられている。コアサイズはコア内径が60mmでコア外径が100mm、コア高さ40mmである。コア30の材質はフェライトを使用している。コア30の磁極にはマグネットワイヤーによる巻線が施されている。マグネットワイヤーの線径は0.57mmのものを使用しており、合計の巻数は140Tである。コア30には直交するX軸とY軸の偏向を行う磁場を発生する巻線が設けられており、図27aはX軸偏向用の巻線、図27bはY軸偏向用の巻線が施された状態を示している。
具体的には、図27aにおいて、磁極P2からP12および磁極P14からP24に巻かれたコイル31の巻数は18T、磁極P3からP11および磁極P15からP23に巻かれたコイル32の巻数は17T、磁極P4からP10および磁極P16からP22に巻かれたコイル33の巻数は14T、磁極P5からP9および磁極P17からP21に巻かれたコイル34の巻数は12T、磁極P6からP8および磁極P18からP20に巻かれたコイル35の巻数は7T、磁極P7および磁極P19に巻かれたコイル36の巻数は2Tであり、角度が0度の位置の磁極P7および磁極P19には合計70Tのコイルが巻線されており、対になる磁極P7と磁極P19の合計の巻数は140Tである。また、巻数は各磁極の角度に応じてコサイン分布になっている。同様に、図27bに示すように角度90度振られた位置にY軸偏向用の巻線も巻かれるが、基本的にX軸偏向用の巻線と同様であり、説明は省略する。
主偏向器4aのインダクタンスは2.1mHで浮遊容量は80pFであった。主偏向電流3.3Aを流した場合に、主偏向器4aとワーク9との間の距離600mmにおいて200mmのビーム偏向量を得ることができる。主偏向電源7aと主偏向器4aとの間の配線8には、図28に示すように配線8の長さに比例したインダクタンスと浮遊容量が存在する。主偏向電源7aを主偏向器4aの近くに配置して直結させることで、配線8の長さを0.1mにした。このため配線8の浮遊容量は10pF以下である。主偏向電源7aの負荷側の共振周波数は370kHzであり、定電流フィードバック制御により主偏向器4aを駆動する。主偏向系の周波数帯域はDC〜250kHzが得られた。遮断周波数fcは250kHzである。
副偏向器4bについて説明する。一般に偏向器の巻数を小さくした方がインダクタンスや浮遊容量が小さくなって遮断周波数fcが高くなるため、走査周波数fsを高くすることができる。しかし、アンペアターンが小さくなるため大きな偏向量を得るためには大電流を流す必要があり不利であるが、前述した、主偏向系の過渡的に生じる位置誤差の補正に用いる場合は、実用上問題にならない電流で使える。副偏向器4bは図27aおよび図27bで説明した主偏向器4aと同様の構成であるため、図27aおよび図27bにもとづき説明する。副偏向器4bのコア断面形状は主偏向器4aと同じであり、厚さ10mmのコア30に次の巻線を施した。
図27aにおいて、磁極P2からP12および磁極P14からP24に巻かれたコイル31の巻数は6T、磁極P3からP11および磁極P15からP23に巻かれたコイル32の巻数は5T、磁極P4からP10および磁極P16からP22に巻かれたコイル33の巻数は5T、磁極P5からP9および磁極P17からP21に巻かれたコイル34の巻数は3T、磁極P6からP8および磁極P18からP20に巻かれたコイル35の巻数は2T、磁極P7および磁極P19に巻かれたコイル36の巻数は1Tであり、角度が0度の位置の磁極P7および磁極P19には合計22Tのコイルが巻線されており、対になる磁極P7と磁極P19の合計の巻数は44Tである。また、巻数は各磁極の角度に応じてコサイン分布になっている。同様に、図27bに示すように角度90度振られた位置にY軸偏向用の巻線も巻かれるが、基本的にX軸偏向用の巻線と同様であり説明は省略する。
副偏向器4bのインダクタンスは0.2mHで浮遊容量は60pFであった。副偏向電流0.1Aを流した場合に、副偏向器4bとワーク9との間の距離660mmにおいて、0.06mmのビーム偏向量を得ることができる。なお、副偏向器4bは主偏向器4aより電子銃1側に配置されるためワーク9までの距離は主偏向器4aの場合より長くなる。図29に副偏向電源7bと副偏向器4bの回路構成を示す。副偏向電源7bは直列の副偏向器4bと抵抗17とに接続され、副偏向器4bと抵抗17にかかる電圧を入力へフィードバックする電圧フィードバック制御で構成されている。抵抗17の抵抗値Rsと副偏向器4bのインダクタンス値Lsとすると、副偏向器4bと抵抗17に加えられた電圧Vと副偏向器4bに流れる電流Isの関係は、Is=V/(Rs+jωLs)となる。なお、jは虚数単位を示し、電圧の周波数をfとするとω=2πfである。従って、副偏向器4bに流れる電流Isは電圧の周波数fが副偏向系の遮断周波数fcRLを超えると減衰するが、それ以下では減衰しない。ここで、fcRL=Rs/(2πLs)であり、Ls=0.2mHであることから、Rs=900ΩにするとfcRLは720kHzとなり、広帯域化に有利な電圧フィードバックの電源構成により周波数帯域はDC〜720kHzを得ることができた。
副偏向電流Isは必要な偏向振幅を小さくしており、0.05Aであるため、副偏向電源の出力電圧は−45〜+45Vで駆動する。また電流が少ないため抵抗17での消費電力も少ない。インダクタンス負荷の電流フィードバックは系が不安定になりやすいが、電圧フィードバック制御することで周波数帯域が広く安定な動作が容易に得られる。また、副偏向器4bの浮遊容量や配線8の浮遊容量が大きい場合も、浮遊容量はインダクタンスに並列であるため、副偏向器4bに流れる電流への影響は少ない。なお、上記説明では抵抗17を副偏向器4bとグランド間に配置した例を示したが、抵抗17は副偏向器4bと副偏向電源7bの出力間に配置しても同等の効果を得ることができる。
次に主偏向系と副偏向系を用いた補正の具体的な方法について図30にもとづき説明する。図30は図25に示した補正信号発生器10の機能をブロック図で示した説明図である。偏向信号のステップ移動の基準となる基準クロックを元に、位置の移動信号を発生する矩形信号発生器40で発生した矩形信号を主偏向系の応答を模擬する模擬回路41に入力して主偏向系の応答を模擬した模擬信号を得て、矩形信号と模擬信号を減算器42にて減算して誤差信号を算出する。このようにして求められたステップ移動の基準クロックに同期して発生するビーム位置誤差に相当した補正信号を使用して、副偏向電源7bおよび副偏向器4bを介して電子ビーム2を偏向し、過渡的に生じる位置誤差を補正する。主偏向器4aのステップ送り量が0.25mmと小さい場合、主偏向器4aのステップ送りに相当する電流は4mA程度と小さいため偏向電流量の精度よい測定が難しい、また、ノイズ等外乱の影響も受けやすい。本実施の形態6のように補正信号を作成することで外乱の影響なく精度のよい補正が可能になる。
なお、主偏向系の応答性は前述した周波数帯域DC〜250kHzの場合、遮断周波数fcの値である250kHz以上では周波数に反比例して振幅が減衰する1次遅れ系に調整している。そのため、模擬回路41はOPアンプ等を用いて同様の周波数特性を模擬している。主偏向電源7aでは、図28に示すように制御アンプの出力電圧は主偏向器4aのインダクタンスと電流検出抵抗で分圧された電圧値でフィードバック制御される。この電圧値にはインダクタンスによる遅れが生じるため、フィードバック系内で位相補償を行うことにより、前述のように1次遅れ系に調整することができる。仮に調整なしの場合には2次遅れ系となり誤差信号にオーバーシュートが発生する。模擬回路41で補正する場合は、模擬回路41を2次遅れ系に調整することで、補正効果を得ることができる。
また、図示していないが、補正信号発生器10には主偏向系の実周波数特性に模擬回路41の周波数特性を合わせるために時定数の調整機能と振幅の調整機能を有している。さらに、補正信号発生器10は、ロジック素子とOPアンプ等のアナログ回路で構成してもよい。また、PC等のデジタル演算で補正量を算出しDA変換器等を介して、副偏向電源7bを駆動してもよい。補正演算はリアルタイムでの演算でもよいし、予め演算した信号を記憶装置に記憶しておき、読み出すようにしてもよい。
また、実施の形態6では主偏向器4aおよび副偏向器4bのコア30にフェライトを使用した例を示したが、コア30に0.1mm厚さの積層鉄心を使用した場合、コア内部に誘導される渦電流などによるロスのため100kHz程度があり、偏向電流に対して偏向磁場の減衰が発生することがある。
また、ビーム通路と偏向器の間に偏向器保護のため金属筒(ステンレス筒)を挿入することがある。この場合も筒に渦電流が誘導され偏向電流に対して偏向磁場が減衰する。このように偏向磁場の減衰は予め決まった周波数特性により減衰することが磁場計算や実測により把握できる。その周波数特性を模擬して模擬信号としてもよい。
図31は平均的な走査速度100m/sの場合の主偏向器4aによる電子ビームの応答状況を副偏向系による補正なしの場合で示している。ステップ送りピッチ0.25mmで走査周波数400kHzであり、平均的な走査速度はステップ送りピッチ×走査周波数である。信号発生器5が発生した電子ビーム2の基準偏向量を指令する偏向信号51に対して、主偏向器4aのみの場合の応答信号波形52は点線で示すように応答遅れによる誤差が生じている。主偏向系の遮断周波数fcは250kHzである。
図32および図33はステップ送りの1ステップ分の信号波形のみを拡大して示したものであり、図32では偏向信号51と主偏向器によるビーム位置の応答信号波形52および副偏向器4bで補正後のビーム位置の応答信号波形55である。図33に偏向信号51と主偏向器4aによるビーム位置の応答信号波形52との差であるビーム位置の誤差波形53と、その誤差波形53をもとにした副偏向器4bによる応答波形であるビーム誤差補正量54を示している。
図34は誤差波形53と副偏向器4bによる応答波形であるビーム誤差補正量54の連続した波形を示している。図35は基準となる偏向信号51と副偏向系による補正後のビーム位置の応答信号波形55の連続した波形を示している。図31から図35の各信号は電圧信号等であるが、分かり易いように各信号をビーム位置相当で表している。図31に示す補正なしの場合、誤差量が10%以内になるまでに要する時間は1.6μsであったが、図35に示すように補正により0.6μsに短縮できた。走査周波数400kHzで1ステップ2.5μsに対して、整定時間を36%から76%に向上できた。
主偏向器4aと副偏向器4bについて従来の偏向器と比較して個々の特性を図36に示す。図36において、各偏向器の巻線の巻数N、インダクタンスL、浮遊容量C、共振周波数frおよび偏向電流に対する偏向量である偏向感度を示している。なお、浮遊容量Cには配線8の浮遊容量を含んでいる。主偏向系は主偏向器4aと主偏向器4aの偏向電流をフィードバック制御した主偏向電源7aとで構成されており、周波数帯域はDC〜250kHzが得られている。副偏向系は副偏向器4bと副偏向器4bに加える電圧をフィードバックする電圧フィードバック制御した副偏向電源7bとで構成されており、副偏向電源7bの最大電流は0.05A、周波数帯域はDC〜650kHzである。副偏向系を設けたことで0.05mmの過渡的な応答誤差が補正できた。このように、副偏向系の偏向量を小さくし副偏向器4bの巻線の巻数を少なくすることで、共振周波数を高め広帯域化を図り主偏向系の過渡的な位置誤差を補正することができる。そのため偏向系全体では大振幅と高い応答性を実現できた。
主偏向器4aと副偏向器4bの配置に関して説明する。一般に偏向器内の偏向磁場分布は均一ではなく中心軸から離れコアに近づくに従い磁場が強くなる。このため、電子ビーム2の偏向器内の通過位置が中心軸から離れるに従って偏向作用は強くなる。本実施の形態6では、前述したように、主偏向器4aは副偏向器4bに比べ偏向量が大きくなるように構成するとともに、副偏向器4bの位置を電子銃1側に配置している。このことにより副偏向器4bによる偏向作用は小さいため、主偏向器4aの偏向作用への影響は小さくできる。逆に主偏向器4aを副偏向器4bに対して電子銃1側に配置した場合には、主偏向器4aによる偏向作用により電子ビーム2は副偏向器4bの中心軸から離れた位置を通過することになり、副偏向器4bによる偏向作用が主偏向器4aによる偏向量に依存して大きく変わることとなり、補正量の調整が難しくなる。
なお、本実施の形態6では上記のように主偏向器4aと副偏向器4bを別々に設けた場合について説明したが、同一のコア30に主偏向用の巻線(コイル)と副偏向用の巻線(コイル)を重ね巻きしても、同様の効果を得ることができる。また、主偏向器4aおよび副偏向器4bとも24極のコア30を使用した場合を示したが、磁極数は4極、8極等の他の極数を選んでもよい。さらに、主偏向器4aと副偏向器4bの磁極数は同じである必要はなく、別個の極数のコアを用いても、同様の効果を得ることができる。
主偏向系の応答性について、図5に示す主偏向電源7aと主偏向器4aとの電気回路構成にもとづき説明しておく。主偏向器4aには磁場を発生させるためのインダクタンスLとともに浮遊容量Cがある。図5の等価回路でインダクタンス15と並列の浮遊容量16で表される。周波数fが高くなるに従い容量のインピーダンスである1/ωCが小さくなり、共振周波数frを超えるとインダクタンス成分のインピーダンスであるωLより小さくなる。この共振周波数frを超えた領域では偏向電流は浮遊容量16を流れる。また、定電流フィードバック制御動作する主偏向電源7aは安定動作させるために応答周波数を共振周波数frよりも低く抑えておく必要がある。主偏向系を広帯域化するためには共振周波数frを高める必要がある。共振周波数frはfr=1/(2π(L・C)1/2)で決まる。主偏向器4aのインダクタンスLは、主偏向器4aの形状やコアの透磁率で決まる定数をkLとすると、主偏向器4aの巻線の巻数Nの2乗に比例し、L=kLNとなる。主偏向器4aの浮遊容量は巻線の巻数Nへの依存性は顕著ではなく、60から100pF程度である。
なお、上記説明では主偏向器4aに線径0.57mmのマグネットワイヤーを巻数140T巻いた場合について説明したが、例えば線径0.57mmのマグネットワイヤーを2並列にして巻数140T巻くか、あるいは線径0.29mmのマグネットワイヤーを4並列にして巻数140T巻くなどしてもよく、マグネットワイヤーの線径に関しても、使用状況や冷却状況に応じて発熱量の許す範囲で適宜選定すればよい。
また、上記説明ではX軸用とY軸用の2軸構成の偏向系を示したが、ワーク9の加工に必要な電子ビームの照射パターンや、電子ビーム加工機の構成によっては1軸構成の偏向系であってもよく、例えばワーク9を搭載したステージの移動でY軸を制御し、直交するX軸を主偏向器4aおよび副偏向器4bによる偏向で走査するようにしてもよい。
また、上記説明では特に説明していないが、偏向収差を補正するためのスティグメータやダイナミックフォーカス等のレンズおよびこれらの信号発生器や電源を設けてもよい。さらに、上記説明では電子ビーム加工機がワーク9の熱処理に使用されるものについて説明したが、電磁偏向を用いてビーム照射位置をステップ移動で走査する、荷電粒子ビーム装置や電子ビーム露光装置等の電子ビーム加工機であっても同等の効果を得ることができる。
また、ステップ送り量0.25mm、走査周波数400kHzの例を示したが、この値に制約されるものではなく、他のステップ送り量や走査周波数でも同等の効果を得ることができる。
実施の形態7.
上記実施の形態6では副偏向電源7bを定電圧フィードバック制御した電圧制御方式の場合について説明したが、実施の形態7では定電流フィードバック制御する電流制御方式にした場合について説明する。副偏向電源7bの負荷側の共振周波数は1.3MHzであり、主偏向電源7aと同様に定電流フィードバック制御を施した副偏向電源7bで副偏向器4bを駆動する。副偏向電源7bと配線8および副偏向器4bで構成された副偏向系の周波数帯域はDC〜600kHzが得られた。遮断周波数fcは600kHzである。副偏向器4bを流れた偏向電流を電流検出抵抗で検出し、入力信号に対してフィードバックをかける電流フィードバック制御であり、共振周波数が高いため、より広い周波数帯域を得ることができた。副偏向系を電流フィードバック制御方式としたため、主偏向器4aや副偏向器4bに温度上昇等の外乱があっても、ビーム照射位置の安定した制御が可能である。なお、他の部分については上記実施の形態6と同様であるため説明を省略する。
実施の形態8.
図37はこの発明の実施の形態8における電子ビーム加工機の主偏向系と副偏向系の概略構成を示す構成図、図38はこの発明の実施の形態8における電子ビーム加工機の主偏向系と副偏向系の電気回路構成を説明する説明図である。上記実施の形態6では補正信号発生器10からの補正信号を副偏向電源7bに入力する場合について説明したが、実施の形態8では偏向信号と主偏向器4aに流れる電流の差を利用して補正信号とする場合について説明する。図37において、信号発生器5から発生した偏向信号をもとに主偏向電源7aは主偏向器4aに偏向電流を流す。主偏向系は実施の形態6で説明したように、周波数帯域がDC〜250kHzであるため、ビーム位置には過渡的な遅れ誤差が発生する。信号発生器5から発生した偏向信号と主偏向器4aに流れる偏向電流のモニタ信号との差により、減算器61でビーム位置誤差量を求める。なお、このとき偏向信号とモニタ信号とのゲインを合わせる必要がある。減算器61で求められたビーム位置誤差量で副偏向電源7bを介して副偏向器4bを駆動する。電子ビーム2は主偏向器4aと副偏向器4bの発生する偏向磁場で偏向される。
図38にこの場合の電気回路構成を示す。減算器61で求められたビーム位置誤差信号を副偏向電源7bの入力信号とし、副偏向電源7bは副偏向器4bによりビーム位置誤差量を補正するようにビームを偏向する。副偏向系の周波数帯域はDC〜650kHzであるため、応答誤差に対して大幅な改善が可能であり、周波数帯域を主偏向系のみの場合の250kHzから副偏向系を使用したことにより650kHzに広げた効果が得られる。なお、波形の図等、他の部分は実施の形態6と同様であるため説明を省略する。
このような構成の場合、主偏向系の周波数特性が1次遅れ系または2次遅れ系であっても、ビーム誤差量を算出して補正することができため、主偏向系の調整等を厳密に行う必要がなくなる。特にステップ送り量が大きい場合に簡単な調整で高精度な位置決めが可能になる。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 電子銃、2 電子ビーム、3 集束レンズ、4 偏向器、4a 主偏向器、4b 副偏向器、5 信号発生器、6 配線、7 偏向電源、7a 主偏向電源、7b 副偏向電源、8 配線、9 ワーク、10 補正信号発生器

Claims (7)

  1. 電子銃から発生し集束レンズで集束された電子ビームを電磁偏向する偏向器と、上記電子ビームの偏向量を指令する信号源からの信号を受けて上記偏向器を駆動する偏向電源とを有し、上記電子ビームの被加工物への照射位置を上記偏向器による電磁偏向で走査する電子ビーム加工機であって、上記偏向電源と上記偏向器とで構成された偏向系には主偏向系と副偏向系の2つの偏向系を有し、上記主偏向系は走査の偏向量を指令するステップ送り信号で駆動されているとともに、上記主偏向系の遮断周波数に対して上記副偏向系の遮断周波数が高いことを特徴とする電子ビーム加工機。
  2. 上記主偏向系の主偏向器の巻数よりも上記副偏向系の副偏向器の巻数が少ないことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム加工機。
  3. 上記副偏向系の副偏向器は上記主偏向系の主偏向器よりも上記電子銃に近い側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子ビーム加工機。
  4. 上記副偏向系の副偏向電源は上記主偏向系の応答性誤差信号で駆動されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ビーム加工機。
  5. 上記主偏向系の応答性誤差信号は主偏向系の模擬回路に矩形信号を与えて、その出力を上記矩形信号から減算した信号であることを特徴とする請求項4に記載の電子ビーム加工機。
  6. 上記主偏向系の応答性誤差信号は主偏向器に偏向信号を与えたときに流れる偏向電流と上記偏向信号の差で求められていることを特徴とする請求項4に記載の電子ビーム加工機。
  7. 上記副偏向系の副偏向電源を電圧制御方式としたことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の電子ビーム加工機。
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