JP2018159055A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱時に樹脂の透明性と機械物性の両方が劣化しない熱硬化性樹脂組成物であり、LED用封止材としての信頼性に優れる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】以下の(A)、(B)、および(C)を含有し、(A)のモル量をnaモル、(B)のモル量をnbモル、(C)のモル量をncモルとしたとき、0.28≦(nb/(na+nb+nc))≦0.35となる含有割合である熱硬化性樹脂組成物とする。(A);SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニルを2個有するオルガノポリシロキサンとの反応で得られた生成物であり、SiH基とアルケニルとを有する熱硬化性樹脂。(B);アルケニルを2個以上有するオルガノシロキサン化合物。(C);ヒドロシリル化反応触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れ、耐熱劣化試験時に機械的特性の劣化が少ない熱硬化性樹脂組成成物であり、該熱硬化性樹脂組成物を利用した光半導体装置用組成物を提供する。
LEDが照明等の幅広い用途に用いられるようになり、白色LEDの高出力化が進むにつれ、LED用封止材に対する要求特性は、益々厳しくなってきている。そのため、白色LEDの大出力化に対応できる、高屈折率、かつ高い耐熱性を有する熱硬化性樹脂組成物が切望されている。
これまで高い耐熱性を満たすため、シリコーン樹脂が白色LEDの封止材料として多く用いられてきた。シリコーン樹脂は、フェニルシリコーン樹脂とメチルシリコーン樹脂との2種類に大きく分けられる。フェニルシリコーン樹脂は、高屈折率で初期の光取り出し効率は高いが、高出力となった際に樹脂の黄変を避けられない。一方、メチルシリコーン樹脂は、耐熱黄変性は非常に優れているが、加熱時の樹脂劣化が激しいという問題がある。高出力化においては樹脂の黄変はもちろん、クラックの発生も防ぐ必要がある。
クラックの発生は、樹脂の熱劣化により機械的特性の変化や、密着性の変化が起因となることが知られている。そこで、耐熱劣化試験における機械的特性変化が小さく、あるいは試験後の機械的特性が良い、熱硬化性樹脂組成物が求められる。
特許文献1および2ではかご型ケイ素化合物構造を含む熱硬化性樹脂組成物から得られた硬化物が、密着性、屈折率、透明性、耐熱性、耐熱黄変性などに優れ、且つ硬度上昇による物性変化が少ないため、耐クラック性に優れていると記載されている。しかしながら、機械的特性変化に関する記載が十分になく、耐クラック性の評価が十分にできていないため、さらなる改善が求められる。
国際公開第2011/145638号 国際公開第2013/005633号
従来の樹脂硬化物は、加熱劣化促進試験実施時に、樹脂の透明性と機械物性が劣化するという問題があり、LEDの高出力化に際し、不十分な物性であった。そのため、加熱劣化促進試験実施時に樹脂の透明性、機械物性の両方が劣化しないものが求められていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、所定の組成物を含有し、かつ反応成分中の特定の成分の比を規定することで、加熱劣化促進試験実施時に樹脂の透明性と機械物性が劣化する課題を両方とも解決できることを見出し、発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
項1. 以下の(A)、(B)、および(C)を含有し、(A)のモル量をnモル、(B)のモル量をnモル、(C)のモル量をnモルとしたとき、0.28≦(n/(n+n+n))≦0.35となる含有割合である熱硬化性樹脂組成物。
(A);SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニルを2個有するオルガノポリシロキサンとの反応で得られた生成物であり、SiH基とアルケニルとを有する熱硬化性樹脂。
(B);アルケニルを2個以上有するオルガノシロキサン化合物。
(C);ヒドロシリル化反応触媒。
項2. (A)におけるシルセスキオキサンが、ダブルデッカー型シルセスキオキサンである項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
項3. さらに、以下の(D)を含む項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(D);SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニルを2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニルを有するエポキシ化合物、およびアルケニルを有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物。
項4. (A)が、式(A1)で表される化合物である項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

Figure 2018159055

式(A1)において、
Xは独立して、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基であり、
式(A1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X1)で表される基と、式(X2)で表される基と、式(X3)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X1)で表される基の数をx、式(X2)で表される基の数をx、式(X3)で表される基の数をxとしたとき、
+2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、かつ0<x≦3であり;
は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、mは1〜100を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055

式(X2)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
nは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。

Figure 2018159055

式(X3)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
pは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり;
は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;
’は、Rと同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
項5. (B)が、式(B1)で表される化合物である項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

Figure 2018159055

式(B1)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
rは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
項6. さらに、式(E1)で示される化合物(E)を含む項1〜5いずれか1項に記載の熱硬化性組成物。

Figure 2018159055

式(E1)において、
Yは独立して、式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)、または式(Y4)で表される基であり、
式(Y1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Y1)で表される基と、式(Y2)、式(Y3)、および式(Y4)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Y1)で表される基の数をy、式(Y2)で表される基の数をy、式(Y3)で表される基の数をy、式(Y4)で表される基の数をyとしたとき、
+2y+2y+2y=4であり、0.5≦y≦3.0であり、0.1<2y<2.0であり、0≦y<2.0であり、かつ0≦y≦1.0であり;
は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
sは1〜100を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055

式(Y2)において、
およびR10は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
tは、−OSi(R10−の繰り返しの数であり、20〜1000を満たす平均値である。

Figure 2018159055

式(Y3)において、
11およびR12は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
uは、−OSi(R12−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値である。

Figure 2018159055

式(Y4)において、
13およびR14は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり、2つのR14のうちの少なくとも1つはフェニルであり;
vは、−OSi(R14−の繰り返しの数であり、1〜1000を満たす平均値である。
項7. (D)が、式(D1)で表される化合物である項3〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。

Figure 2018159055

式(D1)において、
Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基であり、
式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Z1)で表される基と、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Z1)で表される基の数をz、式(Z2)で表される基の数をz、式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の数をz、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の数をzとしたとき、
+2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、0≦z≦1.0であり;
15は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
wは、1〜100を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055

式(Z2)において、
16およびR17は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
iは、−OSi(R17−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055

式(Z41)におけるR18、式(Z42)におけるR19、および式(Z43)におけるR20は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり;
式(Z42)におけるxは、−OSi(R19−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
式(Z43)におけるyは、−OSi(R20−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
式(Z43)におけるRは、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
項8. 式(D1)において、R15がメチルであり、wが1〜25を満たす平均値であり、Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、または式(Z41)で表される基である項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
項9. さらに(F)を含む項1〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
(F);式(F1)で表される化合物。

Figure 2018159055

式(F1)において、
21およびR22は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールであり、2つのR22のうち少なくとも1つはフェニルであり;
jは、−OSi(R22−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
は独立して、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
項10. さらに(G)を含む項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
(G);SiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物。
項11. さらに(H)を含む項1〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
(H);エポキシを有するシランカップリング材。
項12. さらに蛍光体を含む項1〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
項13. さらにシリカまたは金属酸化物を含む項1〜12のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
項14. 項1〜13のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む光半導体用組成物。
項15. 項14に記載の光半導体用組成物を封止剤として含む光半導体発光素子または光半導体受光素子。
加熱時に樹脂の透明性と機械物性が劣化しない樹脂を提供し、LEDの高出力化に際し十分な化合物が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本願において、(A)〜(H)で定義される熱硬化性樹脂、化合物、またはPt触媒のことを、成分(A)〜成分(H)と表記する。
<(A);SiH基とアルケニルとを有する熱硬化性樹脂>
成分(A)で定義される熱硬化性樹脂は、SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニルを2個有するオルガノポリシロキサンとの反応生成物である。SiH基を有するシルセスキオキサンとしては、ダブルデッカー型シルセスキオキサンおよびT8構造のカゴ型シルセスキオキサンが挙げられる。T8構造のカゴ型シルセスキオキサンは8個の官能基を有しているのに対して、本発明で用いているダブルデッカー型シルセスキオキサンは4つの官能基しか有しておらず、構造の制御が行いやすい。また完全縮合型のカゴ型シルセスキオキサンと違い、本発明で好適に用いているダブルデッカー型シルセスキオキサンは不完全縮合型であり、分子の自由度が比較的高く、柔軟性に優れる。このような観点からダブルデッカー型シルセスキオキサンが好ましい。
成分(A)としては、例えば、式(A1)で表されるダブルデッカー型の化合物が挙げられる。

Figure 2018159055
式(A1)において、Xは独立して、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基である。Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
mは、1〜100を満たす平均値である。mは1であることが好ましい。

Figure 2018159055

Figure 2018159055
式(X2)において、RおよびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
nは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。nは2〜10であることが好ましい。

Figure 2018159055
式(X3)において、RおよびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
pは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。
pは、2〜10が好ましく、pが2〜4であるとより好ましい。
は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;
’は、Rと同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
式(A1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X1)で表される基と、式(X2)で表される基と、式(X3)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X1)で表される基の数をx、式(X2)で表される基の数をx、式(X3)で表される基の数をxとしたときに、
+2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、0<x≦3である。
本発明において、x+2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、0<x≦3を満たす範囲の化合物について説明する。
>xであれば、式(A1)で表される化合物は、平均的にアルケニルよりSiH基の数の方が多く、いわゆるSiH基型の熱硬化性樹脂と定義できる。
アルケニルは、炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではなく、炭素数2〜5の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニルは、炭化水素基の分子鎖途中にあっても末端にあってもよいが、得られる組成物の硬化速度、硬化後の物性の点から、分子鎖末端、特に、分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
成分(A)は、SiH基型の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。硬化物とした際の優れた特性を顕著とさせる観点から、xは1.0〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.5であるとより好ましい。式(A1)で表される化合物中の、x、x、xは、任意に、例えば、国際公開第2011/145638号に記載の製造方法に準拠することにより調整できる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物全量基準で、成分(A)を50〜95質量%含有することが好ましく、60〜90質量%含有することがより好ましい。ダブルデッカー型シルセスキオキサンが保有する特性、すなわち耐熱性、耐UV性、高屈折率等の特性を保持させるためには、成分(A)の配合割合を60質量%以上とすることが好ましく、さらに、耐熱性を向上させるため、80質量%以上とするとより好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物の粘度を一定の範囲内に収めるためには、成分(A)の配合割合を95質量%以下とすることが好ましい。
<(B) アルケニルを2個以上有するオルガノシロキサン化合物>
本発明の成分(B)としては、式(B1)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2018159055
式(B1)において、
およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;
rは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
は独立して、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
成分(B)は、本発明の硬化組成物の粘度の調整や、硬化物に強度または柔軟性を補佐するための成分である。式(B1)において、RおよびRが、全て炭素数1〜4のアルキルの場合は、メチルを用いることが好ましく、その場合、Rは炭素数2の不飽和炭化水素基が用いることが好ましくなり、式(B2)で表される化合物となる。

Figure 2018159055
式(B2)において、rは1〜40を満たす平均値である。rが20以下であると本発明の硬化組成物との相溶性が良好となり好ましい。柔軟性を付与するためには、5以上が好ましく、ガスバリア性を付与するためには、10以下が好ましい。柔軟性とガスバリア性を両立させるために、5〜8が特に好ましい。
耐熱性が向上し、樹脂強度が高まるため、成分(B)の配合割合は、本発明の全熱硬化性樹脂組成物中、30質量%以下とすることが好ましい。
これらのアルケニルを2個以上有する成分(B)は、任意により組み合わせて使用してもよい。
成分(B)は、公知慣用の方法により製造することができる。式(B2)で表されるオルガノシロキサン化合物は、例えば、テトラメチルビニルジシロキサンとオクタメチルシクロテトラシロキサンとを、活性白土等の固体酸触媒存在下に平衡化反応させた後、ろ過により固体酸触媒を除去し、その後、0.13kPa程度の真空条件、100〜120℃の温度条件下で低沸カットさせることにより製造できる。
<(C) ヒドロシリル化反応触媒>
ヒドロシリル化反応触媒である成分(C)は、Pt触媒、Rh触媒、Pd触媒、Co触媒などを用いることができ、好ましくはPt触媒を用いる。Pt触媒は、白金を含む触媒であり、白金は酸化されていなくてもよいし、酸化されていてもよい。酸化された白金としては、例えば、酸化白金が挙げられる。部分的に酸化された白金としては、例えば、アダムス触媒などが挙げられる。
Pt触媒としては、例えば、カルステッド触媒(Karstedt catalyst)、スパイヤー触媒(Speier catalyst)、ヘキサクロロプラチニック酸などが挙げられる。これらは一般的によく知られた触媒である。このなかでも酸化されていないタイプのカルステッド触媒が好ましく用いられる。
本発明の全熱硬化性樹脂組成物中の成分(C)の配合割合は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化を進めるのに十分な量であることが好ましく、具体的には、0.01ppm〜10ppmとすることが好ましく、0.1ppm〜1.5ppmとすることがより好ましい。
硬化を進行させるためには、成分(C)の配合割合を0.01ppm以上とすることが好ましく、速やかに硬化を進行させるため、成分(C)の配合割合を0.1ppm以上とすることがより好ましい。また、硬化物の耐熱性を保持させるためには、成分(C)の配合割合を10ppm以下とすることが好ましい。
また、保存安定性の観点から、熱硬化性樹脂組成物を2剤に分けて保管することが好ましい。成分(A)と成分(C)が分かれるように、2剤に分けて保管するとより好ましい。本発明の性能を発揮するために、使用する場合にはこの2剤を十分に混合したのち、使用する。
<(D);SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニルを2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニルを有するエポキシ化合物およびアルケニルを有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物>
SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニルを2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニルを有するエポキシ化合物およびアルケニルを有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する成分(D)としては、例えば、式(D1)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2018159055
式(D1)において、Zはそれぞれ独立して、下記式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基であり、式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Z1)で表される基と、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は、該化合物1分子平均]の、
式(Z1)で表される基の数をzとして、
式(Z2)で表される基の数をzとして、
式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の数をzとして、
そして、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の数をzとした場合に、
+2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、かつ0≦z≦1.0である。
15は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、wは1〜100を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055
式(Z2)において、R16およびR17は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
iは、−OSi(R17−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055
式(Z41)におけるR18、式(Z42)におけるR19、および式(Z43)におけるR20は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり;
式(Z42)におけるxは、−OSi(R19−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
式(Z43)におけるyは、−OSi(R20−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
式(Z43)におけるRは、炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
式(Z1)で表される基は、SiH基を有するシルセスキオキサンに、式(Z2)で表される基に相当する化合物と、式(Z31)〜式(Z33)で表される基に相当するエポキシ誘導体、必要に応じて用いられる式(Z41)〜式(Z43)で表される基に相当する化合物とが反応した後に残る、シルセスキオキサン由来の基である。したがって、式(Z1)で表される基は、本発明の化合物を密着付与材として適用するシルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの反応物である熱硬化性樹脂と反応し得るため、本発明の化合物の密着付与材としての機能を強化する役割を持つ。
式(Z2)で表される基は、シルセスキオキサンの架橋成分であり、本発明の化合物に柔軟性を与えることができる。具体的には、例えば、式(D2)で表される化合物のように、ポリマー構造をとる。

Figure 2018159055
式(D2)において、ZおよびZは、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)〜式(Z33)、または式(Z41)〜式(Z43)で表される基である。
30は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、好ましいR30はメチルである。
は0〜1000を満たす平均値である。
式(Z2)で表される基の数であるzの値が大きくなればなるほど、分子同士の架橋成分が多くなり、本発明の化合物は高分子量の化合物になる。z=0であれば、架橋成分が全く無い状態である。0<z<1の範囲では、zの値が大きくなるにつれて架橋成分が増加し、分子量は増加する。z>1の範囲では、分子同士の架橋が非常に進行した状態であり、ゲル状となるため熱硬化性樹脂として使用できない。zの値を0<z≦1の範囲内で変えることによって、本発明の化合物の分子量を調整することができる。
式(Z31)〜式(Z33)で表される基は、シルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの架橋体中のSiH残基に結合したエポキシであり、LED用ハウジング基材との密着性を高める役割を持つ。式(Z31)の成分は、エポキシに加えイソシアヌル環骨格を有する基であり、金属との密着性も高める役割を有する。
式(Z41)〜式(Z43)で表される基は、シルセスキオキサンとオルガノポリシロキサンとの架橋体中のSiH残基に結合したアルコキシシリルまたはトリアルキルシリルまたはビニルシリルである。
式(Z41)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。式(Z41)で表される基は、金属との密着を向上する目的や、樹脂との相溶性を向上する目的で用いられる。

Figure 2018159055
式(Z41)において、R18は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルである。
式(Z42)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。式(Z42)で表される基は、樹脂との相溶性を向上する目的、粘度を調整する目的、または硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬度を調整する目的で用いられる。

Figure 2018159055
式(Z42)において、R19は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり、好ましいR19はメチルである。
xは、−OSi(R19−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
xは、1〜10を満たす平均値であることが好ましい。
式(Z43)で表される基は、(D)由来の基であり、任意の成分である。式(Z43)で表される基は、樹脂との相溶性を向上する目的、粘度を調整する目的、または硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬度を調整する目的で用いられる。

Figure 2018159055
式(Z43)において、R20は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり、R20はメチルであることが好ましい。
yは、−OSi(R20−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値である。
は炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
+2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、かつ0≦z≦1.0である。zからzの値は、本発明の化合物を密着付与材として適用する熱可塑性樹脂組成物の性質に合わせて任意に調整できる。
(D)由来の基に関してさらに説明する。式(Z42)または式(Z43)で表される基を得るための反応試剤と反応の方法について説明する。
まず、式(Z42)で表される基または式(Z43)で表される基を得るための反応試剤について説明する。
反応式(1)に示すように、環状のオクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)に対して、過剰モルのジビニルテトラジシロキサン(DVDS)とヘキサメチルジシロキサン(MM)を酸触媒存在下に平衡化反応を行い、化合物Za、化合物Zb、化合物Zcの平衡化混合物を得て、式(Z42)で表される基または式(Z43)で表される基を得るための反応試剤とする。

Figure 2018159055

反応式(1)において、aは1〜20であり、bは1〜20であり、cは1〜20である。
生成するシロキサン鎖の分子量が短く、蒸留で除去可能な成分となり、後の精製工程にて、反応に関与しなかった余分の化合物Za、化合物Zb、および化合物Zcの除去が容易になる点から、D4に対するDVDSとMMを合わせた反応のモル比は、2以上であることが好ましい。
式(Z42)または式(Z43)で表される基を得るための反応の方法について記載する。
本発明のイソシアヌル環骨格を有し、且つエポキシを有する化合物であり且つ、式(Z42)または式(Z43)で表される基を持たせる反応として、(D)由来の基が式(Z31)で表される基である場合において、説明する。
反応式(2)に示すように、まず、SiH基を4つ持つダブルデッカー型の化合物であるDD−4Hと、式(Z31)であるMA−DGICを先にヒドロシリル化反応させ、式(Z31)で表される基を有する化合物を得る。なお、式(Z31)の化合物は、四国化成株式会社よりMA−DGICとして販売されている。DD−4Hは国際公開第2004/024741号に記載された方法に従って合成することができる。

Figure 2018159055

反応式(2)において、0.1≦d≦3.5である。
次いで、反応式(3)に示すように、反応式(2)で得られた化合物中のSiH基のモル数に対して、化合物Za、化合物Zb、化合物Zcの混合物のビニルのモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させることにより、生成物を得る。

Figure 2018159055

反応式(3)において、0.1≦d≦3.5であり、0≦2f≦2.0であり、0≦g≦3.0であり、0.1≦h≦3.5であり、かつeは0≦e≦3.0である。
ビニルのモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させるが、100℃以上、さらには120℃以上の高温度領域においても消失することはなく残存SiH基が残る。
反応に関与しなかった余分の化合物Za、化合物Zb、化合物Zcは、薄膜蒸発器を用いた蒸留にて留去することができる。あるいは溶媒抽出法によっても除去することは可能である。あるいは発明者の任意により、そのまま残存させてもよい。薄膜蒸発器を用いた蒸留において余分の化合物Za、化合物Zb、化合物Zcを留去させる場合の温度は、120℃〜180℃の範囲が好ましく、操作圧力は0.13kPa以下が好ましい。
溶媒抽出法において余分の化合物Za、化合物Zb、化合物Zcを除去するためには、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤であることが好ましい。そのため、低級アルコールが好ましく、メタノールが特に好ましい。さらに精製度を上げるためには、溶媒抽出操作の繰り返しを多くすることが好ましい。
次に、式(Z43)で表される基のみを得る方法について詳細に記載する。
反応式(4)に示すように、まず、DD−4HとMA−DGICを先にヒドロシリル化反応させ、式(Z31)で表される基を有する化合物を得る。

Figure 2018159055

反応式(4)において、0.1≦d≦3.5である。
次いで、式(D3)で表される化合物を用いて反応を行う。

Figure 2018159055

式(D3)において、R31およびR32は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、dは0〜100の整数である。R31とR32は、メチルが好ましい。
は、1〜100であることが好ましく、2〜20であることがより好ましい。
は、炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基を表す。
反応式(5)に示すように、反応式(4)で得られた化合物中のSiH基のモル数に対して、式(D3)で表される化合物のビニルのモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させることにより、下記生成物を得る。

Figure 2018159055

反応式(5)において、0.1≦d≦3.5であり、0≦2f≦2.0であり、0≦g≦3.0であり、かつ0.1≦e≦3.5である。dは1〜20である。
式(D3)で表される化合物のビニルのモル数が過剰になるようにヒドロシリル化反応させるが、100℃以上、さらには120℃以上の高温度領域においても消失することはなく残存SiH基が残る。
反応に関与しなかった余分のオルガノポリシロキサンは、ビニルを有する化合物であるので熱硬化性可能な樹脂成分としてそのまま残存させてもよい。あるいは適宜溶媒抽出等で除去してもよい。余分のオルガノポリシロキサンを除去するため、溶解力が大きく、沸点の比較的低い溶剤であることが好ましい。溶媒は、低級アルコールであることが好ましく、メタノールが特に好ましい。さらに精製度を上げるためには、溶媒抽出操作の繰り返しを多くすればよい。
また、成分(D)としては、例えば、式(D5)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2018159055
式(D5)において、R33は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり、dは0〜100の整数である。0.1≦d≦3.5であり、0≦2f≦2.0であり、0≦h≦3.0であり、かつ0.1≦e≦3.5である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物全量基準で、成分(D)を1〜30質量%含有することが好ましく、2〜10質量%含有することがより好ましい。LEDハウジング基材との密着強度を向上させるためにSiH基を有する成分(D)の配合割合を1質量%以上とすることが好ましい。また、耐熱性をより向上させるために、10%以下とすることが好ましい。
<(E);式(E1)で表される化合物>
成分(E)は式(E1)で表される化合物である。

Figure 2018159055
式(E1)において、
Yは独立して、式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)、または式(Y4)で表される基であり、式(Y1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Y1)で表される基と、式(Y2)、式(Y3)、および式(Y4)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Y1)で表される基の数をy、式(Y2)で表される基の数をy、式(Y3)で表される基の数をy、式(Y4)で表される基の数をyとした場合に、
+2y+2y+2y=4であり、0.5≦y≦3.0であり、0.1<2y<2.0であり、0≦y<2.0であり、かつ0≦y≦1.0であり;
は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
sは1〜100を満たす平均値である。

Figure 2018159055

Figure 2018159055
式(Y2)において、
およびR10は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
tは、−OSi(R10−の繰り返しの数であり、20〜1000を満たす平均値である。

Figure 2018159055
式(Y3)において、
11およびR12は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
uは、−OSi(R12−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値である。

Figure 2018159055
式(Y4)において、R13およびR14は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり、2つのR14のうちの少なくとも一つはフェニルであり;
vは、−OSi(R14−の繰り返しの数であり、1〜1000を満たす平均値である。
ここで、構成部位の役割について述べる。
式(E1)で表される化合物は、フェニルを有するダブルデッカー型のポリシルセスキオキサン骨格を有し、式(Y1)で示されるSiH官能基を持たせ、式(Y2)と式(Y3)と式(Y4)とを連結させた共重合体を形成させるベースとなるものである。
式(Y1)で表される部位は、ヒドロシリル化反応しうるSiH官能基であり、2重結合を有するアルケニルを持ったシリコーン樹脂と反応させ、熱硬化樹脂組成物とした場合に、化学結合により樹脂強度や密着性を高める役割を有する。
式(Y2)で表される部位は、本発明の表面平滑性あるいは蛍光体の分散材として寄与する。
式(Y3)と式(Y4)で表される部位は、屈折率が1.48以上の樹脂との相溶性を向上するための成分として用いる。
本発明の有機ケイ素化合物の好ましい屈折率は、1.46〜1.50の範囲であり、より好ましい屈折率は1.47〜1.49の範囲である。
<(F);式(F1)で表される化合物>
成分(F)は、式(F1)で表される化合物である。

Figure 2018159055
式(F1)において、
21およびR22は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールであり;
22のうち少なくとも一つはフェニルであり;
lは、−OSi(R22−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
は、炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
また、式(F1)のうち、式(F2)または式(F3)で表される化合物を好適に用いることができる。

Figure 2018159055

式(F2)において、jは1〜50を満たす平均値であり、jは1〜20であることが好ましい。

Figure 2018159055
式(F3)において、j+jは、1≦(j+j)≦50を満たす平均値であり、屈折率調整とガスバリア性の観点からj/(j+j)<0.5を満たす値が好ましい。硬化物に柔軟性を付与するためには、j+jが10以上であることが好ましい。
式(F2)または式(F3)で表されるオルガノシロキサン化合物は、公知慣用の方法により製造できる。また、工業的にGELEST社より入手可能である。
<(G);SiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物>
成分(G)には、片末端にのみSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン(G1)と、両末端にSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン(G2)がある。
<(G1);片末端にのみSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物>
成分(G1)としては、式(G11)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2018159055
式(G11)において、
34およびR35は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、好ましいR34またはR35はメチルまたはブチルである。
kは、−OSi(R35−の繰り返しの数であり、kは1〜20を満たす平均値である。kは2〜15を満たす平均値であることが好ましい。
成分(G1)は、硬化物の硬度を低くしたい時に用いる。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物の成分(A)が有するアルケニルと反応させることができ、このことにより全体の架橋密度を下げることにより、低硬度化を達成できる。
成分(G1)の配合が多い程、硬化物の硬度が下がる。本発明の熱硬化性樹脂組成物における成分(G1)の含有量は、LED用封止剤として光の取り出し効率が向上し、密着性を高めることができるため、硬化物の屈折率が1.5以上を保てるになるような含有量であることが好ましい。
成分(G1)の数平均分子量は、148〜2000であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。成分(G1)の数平均分子量が400以下であると、揮発性が高くなり、硬化組成物を配合し硬化させる段階で、気散する恐れがあるため、400以上の数平均分子量がより好ましい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の透明性を保つため、成分(G1)の数平均分子量は2000以下とすることが好ましい。
成分(G1)の配合割合は、本発明の趣旨から特に定める必要はないが、本発明の有機ケイ素化合物を配合させた本発明の全熱硬化性樹脂組成物の硬化物硬度を低めに調整したい場合は、2〜20質量%とすることが好ましい。
<(G2);両末端にSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン>
成分(G2)は、両末端にSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物であり、例えば式(G21)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2018159055
式(G21)において、R36は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、R37は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルである。
lは、−OSi(R37−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。
37は、メチルまたはフェニルであることが好ましく、R36はメチルであることが好ましい。
37がすべてメチルの場合のlは、2〜20が好ましい。
37がフェニルの場合のlは、1〜4が好ましく、lが1であることがより好ましい。
(G2)は、本発明の有機ケイ素化合物を配合させた熱硬化性樹脂組成物の硬化物の樹脂の靭性を高めるために用いる。すなわち、成分(A)が有するアルケニル基と反応させることができ、成分(A)が有するシルセスキオキサンを共重合により高分子化できることにより、硬化物の静的粘弾性のおける伸びの物性値が大きくなり、樹脂の靭性を高めることができる。
成分(G2)の配合量は、LED用封止材として光の取り出し効率が向上するため、硬化物の屈折率が1.5以上を保てるような含有量であることが好ましい。
37の炭素数が1のメチルの場合は、式(G21)の数平均分子量は、148〜2000であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。
また、R37がフェニルの場合は、式(G21)の数平均分子量は、300〜1000であることが好ましい。より好ましい形態は、式(G22)で表される化合物である。

Figure 2018159055
また、式(G21)のR37がメチルの場合は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の透明性を保つため、数平均分子量を2000以下とすることが好ましい。
成分(G2)の配合割合は、本発明の趣旨から特に定める必要はないが、本発明の有機ケイ素化合物を配合させた本発明の全熱硬化性樹脂組成物の硬化物の靭性を高める目的で、2〜20質量%とすることが好ましい。
<(H);エポキシを有するシランカップリング材>
成分(H)としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
成分(H)の配合割合は、本発明の全熱硬化性樹脂組成物中、0.1〜5.0質量%とすることが好ましく、0.2〜2.0質量%とすることがより好ましい。さらに0.25質量%〜1.0質量%とすることがより好ましい。
成分(H)の配合割合は、硬化性樹脂のLEDパッケージ基材に対する濡れ性が増し、例えばヒートサイクル耐性を維持させることから、0.1質量%以上とすることが好ましい。また、耐熱性を保持させるために配合割合を5.0質量%以下とすることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、更に下記成分を配合してもよい。
<硬化禁止剤>
硬化禁止剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用できる。具体的には、例えば、アルケニルを2個以上含む化合物、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、スズ系化合物および有機過酸化物が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
アルケニルを2個以上含む化合物としては、例えば、両末端ビニル含有のジシロキサン、トリシロキサン類および1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等のビニル含有環状シロキサン類が挙げられる。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、例えば、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸およびマレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類が挙げられる。
有機リン化合物としては、例えば、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類およびトリオルガノフォスファイト類が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、ハロゲン化第一スズ2水和物およびカルボン酸第一スズが挙げられる。また有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドおよび過安息香酸t−ブチルが挙げられる。
これらのうち、1,3−ジビニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、2−メチル−3−ブチン−2−オールまたは1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に硬化禁止剤を配合することで、室温での粘度上昇を抑え、ポットライフを確保することができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物における硬化禁止剤の含有量は、0.001〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましい。
<無機化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、チクソ性の付与や光学特性付与といった任意の目的に応じて、さらに無機化合物を分散させて用いる事ができる。使用する無機化合物に限定はなく、公知の材料が使用できる。また、無機化合物の構造は、アモルファスでもよく、結晶を成していてもよい。分散させる無機化合物の組み合わせも限定されない。無機化合物としては、各種の蛍光体や金属酸化物を好適に用いることができる。勿論、蛍光体や金属酸化物を併用して使用してもよい。
まず、無機化合物が蛍光体である場合を説明する。本発明の熱硬化性樹脂組成物に蛍光体を分散させることで発光機能を有し、LED用の組成物として用いることができる。本発明の熱硬化性樹脂組成物における蛍光体の含有量は、1〜90質量%であることが好ましく、2〜60質量%であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いる事ができる蛍光体に制限はない。また、組成物中における蛍光体の濃度分布が均一であっても、異なっていてもよい。使用する蛍光体の種類、または蛍光体の濃度分布の有無およびその分布の条件は、LEDの使用環境や用途、目的に応じて決定すればよい。
蛍光体は、LEDチップから放出される青色光、紫色光、紫外光を吸収して波長を変換し、LEDチップの光と異なる波長の赤、橙色、黄色、緑色、青色領域の波長の光を放出するものである。これにより、LEDチップから放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系のLEDが得られる。具体的には、青色系LEDにLEDからの光によって黄色系の発光色を発光する蛍光体を光学的に組み合わせることによって、単一のLEDチップを用いて白色系を発光させることができる。
上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。本発明に用いられる具体的な蛍光体としては、有機蛍光体、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料等公知の蛍光体が挙げられる。有機蛍光体としては、アリルスルホアミド・メラミンホルムアルデヒド共縮合染色物やペリレン系蛍光体等を挙げることができ、長期間使用可能な点からペリレン系蛍光体が好ましく用いられる。本発明に特に好ましく用いられる蛍光物質としては、無機蛍光体が挙げられる。以下に本発明に用いられる無機蛍光体について記載する。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、[SrAl:Eu]、[YSiO:Ce,Tb]、[MgAl1119:Ce,Tb]、[SrAl1225:Eu]、[(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga:Eu]がある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、[Sr(POCl:Eu]、[(SrCaBa)(POCl:Eu]、[(BaCa)(POCl:Eu]、[(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Cl:Eu,Mn]、[(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(POCl:Eu,Mn]がある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、[Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上であり、Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含み、Rは、ランタノイド系である。)]、[(Y1−xGax)(Al1−yGay)12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上であり、0<Rx<0.5、0<y<0.5である。)]を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、[YS:Eu]、[LaS:Eu]、[Y:Eu]、[GdS:Eu]がある。
また、現在主流の青色LEDに対応し発光する蛍光体としては、[Y(Al,Ga)12:Ce,(Y,Gd)Al12:Ce,LuAl12:Ce,YAl12:Ce]などのYAG系蛍光体、[TbAl12:Ce]などのTAG系蛍光体、[(Ba,Sr)SiO:Eu]系蛍光体や[CaScSi12:Ce]系蛍光体、[(Sr,Ba,Mg)SiO:Eu]などのシリケート系蛍光体、[(Ca,Sr)Si:Eu]、[(Ca,Sr)AlSiN:Eu]、[CaSiAlN:Eu]などのナイトライド系蛍光体、[Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu]などのオキシナイトライド系蛍光体、さらには[(Ba,Sr,Ca)Si:Eu]系蛍光体、[CaMgSi16Cl:Eu]系蛍光体、[SrAl:Eu,SrAl1425:Eu]などの蛍光体が挙げられる。
これらの中では、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、シリケート系蛍光体が、発光効率や輝度などの点で好ましく用いられる。また、これら以外にも、用途や目的とする発光色に応じて公知の蛍光体を用いることができる。
次に、無機化合物が金属酸化物である場合について説明する。金属酸化物として、シリカ、アルミナ、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどが好適に用いられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に酸化チタンや酸化アルミニウムを使用した場合には、リフレクタ用材料としても好適に用いることができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、蛍光体の沈降を防止する目的で、シリカを添加することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるシリカの割合は、熱硬化性樹脂組成物全量に対する重量比で0.1〜40%であることが好ましく、より好ましくは1〜30%であり、更に好ましくは1〜15%である。
シリカは、天然に産する珪石を細粒化(天然シリカ)したものを使用してもよく、産業的に合成されたシリカ(合成シリカ)を使用してもよい。天然シリカの場合、結晶であるため結晶軸を持つ。このため、結晶由来の光学的な特徴を期待することができるものの、比重が合成シリカと比べてやや高いため、熱硬化性樹脂組成物中での分散に影響する場合がある。また、天然物を粉砕して得る場合、不定形状の粒子である場合や、粒径分布が広い材料となる場合がある。
合成シリカは、湿式合成シリカ及び乾式合成シリカがあるが、本発明では特に使用の限定はない。ただし、合成シリカでは製法に関わらず結晶水を持つ場合があり、この結晶水が熱硬化性樹脂組成物若しくは硬化物、またはLED素子等に何らかの影響を与える可能性があるときは、結晶水数も考慮して選択することが好ましい。
合成シリカは、結晶ではなくアモルファスであるため、粒子分布の制御のほか、粒子径を極めて小さくできるなどの特徴を有する。
特に、ヒュームドシリカはナノオーダーの粒子径であり、粒子の分散性に優れている。さらに同じ重量で比較した場合は、粒子径が小さいほど表面積の総和が大きくなることから、光の反射方向がより多様化するので、より好ましく用いることができる。
また、一般にシリカは表面積が大きく、かつ表面に存在するシラノールの効果により親水性の材料(親水性シリカ)であるが、化学修飾により疎水性シリカとすることもできる。どちらの性質のシリカを使用するかは、目的に応じて選択される。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されない。例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロールまたはビーズミル等の混合機を用いて、常温または加温下で、上述した硬化促進剤、シリコーン樹脂、および、必要に応じて上記熱硬化剤、酸化防止剤等の各所定量を混合する方法が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、柔らかい状態(半硬化状態)で成型し、任意の形状にすることができる。成型方法に制限はなく、例えば熱プレス成型やフィルムコーター、押出し成型などの成形機、またスクリーン印刷、グラビア印刷、平版印刷などの印刷法が挙げられる。また上記成型物は再加工され、次工程で用いる事もできる。例えば、塗膜状またはシート状のような平面状に成型し、これを細かく切り出して、チップのような形状として封止や接着用の材料にすることが可能である。また、射出成型やコンプレッション成型法を用いることによって、反射機能を備えたLEDハウジング材料、リフレクタ材料にすることが可能である。なお、本明細書において、形状を問わず熱硬化性樹脂組成物を成型したものを、プリプレグと表現する。
塗膜状またはシート状のような平面状にプリプレグを成型する場合、この厚みは、蛍光体含有量と、所望の光学特性から決められる。具体的には、塗膜状であれば0.1μm以上であり、シート状であれば10μm〜3000μm程度が成型可能である。硬化後の厚みが変化する場合は、これを考慮して厚みを決定する。光学特性・耐熱性を高める観点からは、蛍光体シートの膜厚は1000μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。蛍光体シートを1000μm以下の膜厚にすることによって、バインダ樹脂による光吸収や光散乱を提言することができるので、光学的に優れた蛍光体シートとなる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物またはこのプリプレグを加熱処理し、目的の硬化物や物品を得る。硬化物を得る条件としては、温度は50〜200℃であることが好ましく、80〜160℃であることがより好ましい。また、時間は1時間〜24時間であることが好ましく、経済的な観点からは、2時間〜5時間であることがより好ましい。
なお、物品は、それ自体が1つの製品として機能するものの他、例えば封止材のように特定の構造体中に存在し、部材の一部として硬化してなるものも含まれる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物またはこのプリプレグの用途は特に限定されないが、例えば、封止剤、ハウジング材、リード電極または放熱板等に接続するためのダイボンド材、発光ダイオード等の光半導体素子の発光素子をフリップチップ実装した場合のアンダーフィル材、発光素子上のパッシベーション膜として用いることができる。中でも、光半導体素子からの発光による光を効率よく取り出すことのできる光半導体装置を製造できることから、封止剤、リフレクタ材料、蛍光体シート、アンダーフィル材またはダイボンド材として好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の硬度は、D硬度でD75以下、A硬度でA30以上の範囲であることが好ましい。また、屈折率は1.5以上の高屈折率であることが好ましい。屈折率が1.5以上であると、LEDの光取り出し効率に優れた硬化物となる。
本発明の光半導体用組成物で、発光素子を封止する方法としては特に限定されず、例えば、モールド型枠中に本発明の光半導体用組成物を予め注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後、硬化させる方法、および発光素子を挿入した型枠中に本発明の光半導体用組成物を注入し、硬化する方法が挙げられる。
本発明の光半導体用組成物を注入する方法としては、例えば、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形、および射出成形が挙げられる。更に、その他の封止方法としては、例えば、本発明の光半導体用組成物を発光素子上へ滴下、孔版印刷、スクリーン印刷、マスクを介して塗布し硬化させる方法、および底部に発光素子を配置したカップ等に本発明の光半導体用組成物をディスペンサー等により注入し、硬化させる方法が挙げられる。
本発明の光半導体素子用組成物を封止剤として含む光半導体素子もまた、本発明の1つである。
本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されない。
<数平均分子量、重量平均分子量の測定>
本発明で合成したポリマーの数平均分子量と重量平均分子量は、次のように測定した。
日本分光(株)製の高速液体クロマトグラフシステムCO−2065plusを使用し、試料濃度1質量%のTHF溶液20μLを分析サンプルとして、カラム:Shodex KF804L[昭和電工(株)製](直列に2本接続)、カラム温度:40℃、検出器:RI、溶離液:THF、および溶離液流速:1.0mL毎分でGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。
実施例で使用した試薬等は下記の通りである。
DVTS(1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン):GELEST社製
サイラプレーンFM−2205(両末端にビニルを有する数平均分子量が700のポリジメチルシロキサン):JNC株式会社製
DVDPTS(両末端ビニル含有ジフェニルトリシロキサン):Bio−Gen社製
DHDPTS(両末端SiH基含有ジフェニルトリシロキサン):Bio−Gen社製
MA−DGIC(モノアリルジグリシジルイソアヌレート):四国化成工業株式会社製
サイラエースS210(ビニルトリメトキシシラン):JNC株式会社製
MVS−H(1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン):GELEST社製
ECYH−OH(1−エチニルシクロヘキサノール):東京化成株式会社製
<(A);SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニルを2個有するオルガノポリシロキサンとの反応物であって、SiH基とアルケニルとを含む熱硬化性樹脂>
本発明の成分(A)として、式(A1)において、x[式(X1)]=2.34、x[式(X2)]=0、x[式(X3)]=1.66である、式(A11)で表される化合物を使用した。この(A11)は国際公開2011/145638号に開示されている方法で製造した。

Figure 2018159055
[合成例1]
式(A11)は、反応式(6)により、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積200mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を50g(0.0384モル)、1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(DVTS)を51.3g(0.197モル)(DD−4Hに対して5倍モル)、溶媒としてトルエンを37.5g入れた。
窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が115℃に達した後、Pt濃度がDD−4Hに対して0.005ppmになるように加えて、加熱攪拌を行った。GPCにより反応追跡を行い、7時間後に加熱を止めることにより反応を停止させた。反応液をナスフラスコに移しエバポレーターにて70℃、0.13kPaの減圧条件下でトルエン並びに過剰分のDVTSを留去し、25℃の粘度が95Pa・sの無色透明の液体を58g得た。分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=1200、重量平均分子量:Mw=1400であった。分析結果より、x[式(X1)]=2.34、x[式(X2)]=0、x[式(X3)]=1.66であり、m=1である化合物と同定した。

Figure 2018159055
<(B) アルケニルを2個以上有するオルガノポリシロキサン>
本発明の成分(B)としては、式(B2)のrが異なる以下のものを用いた。
<両末端にビニルを有するヘキサメチルトリシロキサン(DVTS)>
式(B2)においてrが1である、式(B21)で表される1,5−ジビニル−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(GELEST社製)を用いた。

Figure 2018159055
<両末端にビニルを有する数平均分子量が700のポリジメチルシロキサン(サイラプレーンFM−2205)>
式(B2)においてrが5である、式(B22)で表されるサイラプレーンFM−2205(JNC株式会社製)を用いた。

Figure 2018159055
<両末端にビニルを有する数平均分子量が1350のポリジメチルシロキサン>
式(B2)において、rが16であり、式(B23)で表される両末端にビニルを有する数平均分子量が1350のポリジメチルシロキサンを用いた。

Figure 2018159055
[合成例2]
式(B23)で表される、両末端にビニルを有する数平均分子量が1350のポリジメチルシロキサンは、次の方法で合成した。300mlの4つ口フラスコに、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンを37.3g(0.2モル)とオクタメチルテトラシロキサンを193g(0.65モル)、活性白土を2.3g仕込んだ。内容物を窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させた。活性白土を加圧ろ過により除去した後、ろ液をエバポレーターにて120℃、1mmHgの条件で低沸分をカットし、無色透明の液体を230g得た。得られた生成物のビニル当量は、ヨウ素価分析から675g/molであり、ビニル当量から計算した分子量は1350であった。
<両末端にビニルを有する数平均分子量が2600のポリジメチルシロキサン>
式(B2)において、rが33であり、式(B24)で表される、両末端にビニルを有する数平均分子量が2600のポリジメチルシロキサンを用いた。

Figure 2018159055
[合成例3]
式(B24)で表される、両末端にビニルを有する数平均分子量が2600のポリジメチルシロキサンは、次の方法で合成した。300mlの4つ口フラスコに、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンを39.1g(0.21モル)とオクタメチルテトラシロキサンを523.2g(1.77モル)、活性白土を10.5g仕込んだ。内容物を窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させた。活性白土を加圧ろ過により除去した後、ろ液をエバポレーターにて120℃、1mmHgの条件で低沸分をカットし、無色透明の液体を443g得た。得られた生成物のビニル当量は、ヨウ素価分析から1300g/molであり、ビニル当量から計算した分子量は、2600g/molと計算された。
<(C);Pt触媒>
本発明の成分(C)として、カルステッド触媒 商標名Pt−VTS−3.0X[3wt%キシレン溶液、ユミコア社製]を用いた。
<(D);SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニルを2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニルを有するエポキシ化合物およびアルケニルを有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物>
本発明の成分(D)として、式(D1)において、z[式(Z1)]=1.32、z[式(Z2)]=0.69、z[式(Z31)]=0.65、z[式(Z41)]=0.65、w=8.8である式(D11)を用いた。

Figure 2018159055
[合成例4]
式(D11)は、反応式(7)により、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積300mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を50g、サイラプレーンFM−2205を18.6g(0.0266モル)、モノアリルジエポキシイソシアヌレート(MA−DGIC)を7.47g(0.0252モル)、サイラエースS210を3.7g(0.0252モル)、溶媒としてトルエン50gを入れた。
窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が100℃に達した後、Pt濃度がDD−4Hに対して1ppmとなる量を加え、そのまま5時間加熱攪拌を行った。GCよりMA−DGICの消失を確認して反応を終了した。室温まで冷却した後、活性炭を1.6g加え3時間以上攪拌した後、ろ過により活性炭を除去した。ろ液をエバポレーターにて90℃、0.13kPaの減圧条件下に溶媒であるトルエンを留去した。74gの水アメ状の無色透明の液体を得た。得られた生成物の分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=3900、重量平均分子量:Mw=18200であった。

Figure 2018159055
<(E);式(E1)で示される化合物>
本発明の成分(E)成分として、式(E1)において、R=メチル、y[式(Y1)]=2.19、y[式(Y2)]=0.45、y[式(Z31)]=0.45、y[式(Y4)]=0、s=26、t=34、u=2である式(E11)を用いた。

Figure 2018159055
[合成例5]
式(E11)は、次の方法で合成した。温度計、還流冷却器、および撹拌機を備えた内容積200mLの反応容器にシルセスキオキサン誘導体(DD−4H)を100g(76.8mmol)、ビニル基当量から計算した分子量が2600である両末端ビニルシリコーン81.7g(31.4mmol)、およびサイラプレーンFM−2205を22.8g(31.7mmol)、溶媒としてトルエンを182g入れた。窒素雰囲気下、加熱攪拌を開始した。内容物が115℃に達した後、カルステッド白金触媒3μlを加えて、そのまま24時間、115℃で加熱攪拌を行った。その後、エバポレーターにて120℃、1mmHgの減圧条件下でトルエンを留去した。得られた生成物の分子量をGPCにより分析したところ、数平均分子量:Mn=14100、重量平均分子量:Mw=67200であった。屈折率は1.471であった
<(F);式(F1)で表される化合物>
本発明の成分(F)として、(F3)において、jが0、jが1であり、式(F31)で表されるDVDPTS(Bio−Gen社製)を用いた。

Figure 2018159055
<(G);SiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物>
本発明の成分(G)としては以下のものを用いた。
<(G1);片末端にのみSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物>
成分(G1)として、式(G11)において、R34がブチル、R35がメチル、そしてkが11である、式(G12)で表される、片末端にSiH基を有する数平均分子量900のポリジメチルシロキサンを使用した。

Figure 2018159055
片末端にのみSiH基を有する数平均分子量が900のオルガノポリシロキサンは、公知の方法で製造したものを用いた。
<(G2);両末端にSiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン>
成分(G2)としては、式(G22)で表されるDHDPTS(Bio−Gen社製)を用いた。

Figure 2018159055
<(H);エポキシを有するシランカップリング材>
成分(H)として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS510:JNC株式会社製)を使用した。
<実施例(1)〜(11)、比較例(31)〜(37)の調製>
各成分を表1および2に示す配合組成(mol)で均一に混合し、実施例(1)〜(11)、および比較例(31)〜(37)を調製した。このシリコーン組成物を用いて各評価を行った。
<伸度測定>
厚さ0.9mmのスペーサーを用いて、1.0mm厚の枠を作製し、この枠の中に実施例(1)〜(11)、および比較例(31)〜(37)のシリコーン組成物を流し込み、80℃30分、120℃30分、160℃2時間の条件に設定したオーブンで硬化させた。型枠から取り外し、JIS K6251に従い、ダンベル型の試験片を作製した。(株)島津製作所製オートグラフAGS−500Bにより500Nのロードセルを用いて、このダンベル型試験片を測定し、伸度を求めた。この時の伸度を耐熱試験前の伸度とする。
<耐熱試験後伸度測定>
耐熱試験用のサンプルは、伸度測定用サンプルと同様に作製したダンベル型の試験片を、200℃に設定したオーブンに入れ、500時間後に取り出し準備した。(株)島津製作所製オートグラフAGS−500Bにより500Nのロードセルを用いて、この耐熱試験後のダンベル型試験片を測定し、伸度を求めた。[耐熱試験後の伸度/耐熱試験前の伸度]を求め、変化率を比較した。変化率が1以上であれば耐熱試験後の機械特性が劣化しておらず良好であると判断した。
<透過率評価>
厚さ4mmのスペーサーとガラス板を用いて4mm厚の枠を作製し、この枠の中に実施例(1)〜(11)、および比較例(31)〜(37)のシリコーン組成物を流し込み、80℃30分、120℃30分、160℃2時間の条件に設定したオーブンで硬化させた。枠から取り外した硬化物を、日本分光株式会社製紫外可視分光光度計V−650にて波長400nmにおける光の透過率を測定した。これを初期透過率とする。
<耐熱試験後透過率評価>
初期透過率を測定した4mm厚の硬化物を、180℃に設定したオーブンに入れ、500時間後に取り出し、日本分光株式会社製紫外可視分光光度計V−650にて波長400nmにおける光の透過率を測定した。耐熱試験後の400nmにおける光の透過率が90%以上のものを、耐熱黄変性が小さく良好であると判断した。
表1. 実施例配合比率(mol)および評価結果
Figure 2018159055
表2. 比較例配合比率(mol)および評価結果
Figure 2018159055
表1で示した通り、本発明の組成物(1)〜(11)はいずれも、[耐熱試験後の伸度/耐熱試験前の伸度]の変化率が1以上であり、耐熱試験後の機械的劣化が見られず良好である。さらに、耐熱試験後の黄変性も小さく、樹脂の透明性を維持できている。そのため、本発明の組成物(1)〜(11)は加熱劣化促進試験実施時に樹脂の透明性、機械物性の両方が劣化しない特性を有した樹脂であることは明らかである。
一方、本発明の範囲ではない組成物(31)〜(37)は[耐熱試験後の伸度/耐熱試験前の伸度]の変化率と耐熱試験後の黄変性のいずれかが不十分である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、耐熱劣化試験時に機械的特性の劣化が少ないため、LED等の光半導体素子の封止材として非常に有用である。

Claims (15)

  1. 以下の(A)、(B)、および(C)を含有し、(A)のモル量をnモル、(B)のモル量をnモル、(C)のモル量をnモルとしたとき、0.28≦(n/(n+n+n))≦0.35となる含有割合である熱硬化性樹脂組成物。
    (A);SiH基を有するシルセスキオキサンとアルケニルを2個有するオルガノポリシロキサンとの反応で得られた生成物であり、SiH基とアルケニルとを有する熱硬化性樹脂。
    (B);アルケニルを2個以上有するオルガノシロキサン化合物。
    (C);ヒドロシリル化反応触媒。
  2. (A)におけるシルセスキオキサンが、ダブルデッカー型シルセスキオキサンである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. さらに、以下の(D)を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
    (D);SiH基を有するシルセスキオキサン、アルケニルを2個有するオルガノポリシロキサン、アルケニルを有するエポキシ化合物、およびアルケニルを有するシリル化合物を反応させることにより得られる、SiH基を有する化合物。
  4. (A)が、式(A1)で表される化合物である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    Figure 2018159055

    式(A1)において、
    Xは独立して、式(X1)、式(X2)、または式(X3)で表される基であり、
    式(A1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(X1)で表される基と、式(X2)で表される基と、式(X3)で表される基の割合が異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の式(X1)で表される基の数をx、式(X2)で表される基の数をx、式(X3)で表される基の数をxとしたとき、
    +2x+x=4であり、0<x≦3であり、0≦x≦1であり、かつ0<x≦3であり;
    は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり、mは1〜100を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    Figure 2018159055

    式(X2)において、
    およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
    nは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    式(X3)において、
    およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
    pは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、2〜20を満たす平均値であり;
    は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基であり;
    ’は、Rと同じ炭素数である飽和炭化水素基である。
  5. (B)が、式(B1)で表される化合物である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    Figure 2018159055

    式(B1)において、
    およびRは独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
    rは、−OSi(R−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
    は、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
  6. さらに、式(E1)で示される化合物(E)を含む請求項3に記載の熱硬化性組成物。

    Figure 2018159055

    式(E1)において、
    Yは独立して、式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)、または式(Y4)で表される基であり、
    式(Y1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Y1)で表される基と、式(Y2)、式(Y3)、および式(Y4)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Y1)で表される基の数をy、式(Y2)で表される基の数をy、式(Y3)で表される基の数をy、式(Y4)で表される基の数をyとしたとき、
    +2y+2y+2y=4であり、0.5≦y≦3.0であり、0.1<2y<2.0であり、0≦y<2.0であり、かつ0≦y≦1.0であり;
    は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
    sは1〜100を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    Figure 2018159055

    式(Y2)において、
    およびR10は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
    tは、−OSi(R10−の繰り返しの数であり、20〜1000を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    式(Y3)において、
    11およびR12は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
    uは、−OSi(R12−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    式(Y4)において、
    13およびR14は独立して、炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり、2つのR14のうちの少なくとも1つはフェニルであり;
    vは、−OSi(R14−の繰り返しの数であり、1〜1000を満たす平均値である。
  7. (D)が、式(D1)で表される化合物である請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。

    Figure 2018159055

    式(D1)において、
    Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基であり、
    式(D1)で表される化合物1分子あたり[該化合物が式(Z1)で表される基と、式(Z2)、式(Z31)、式(Z32)、式(Z33)、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の割合とが異なる化合物の混合物である場合は該化合物1分子平均]の、式(Z1)で表される基の数をz、式(Z2)で表される基の数をz、式(Z31)、式(Z32)、または式(Z33)で表される基の数をz、式(Z41)、式(Z42)、または式(Z43)で表される基の数をzとしたとき、
    +2z+z+z=4であり、0.5≦z≦3.0であり、0.5≦2z≦2.0であり、0.1≦z≦2.0であり、0≦z≦1.0であり;
    15は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであり;
    wは、1〜100を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    Figure 2018159055

    式(Z2)において、
    16およびR17は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニルであり;
    iは、−OSi(R17−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値である。

    Figure 2018159055

    Figure 2018159055

    式(Z41)におけるR18、式(Z42)におけるR19、および式(Z43)におけるR20は独立して、メチル、エチル、ブチル、またはイソプロピルであり;
    式(Z42)におけるxは、−OSi(R19−の繰り返しの数であり、1〜20を満たす平均値であり;
    式(Z43)におけるyは、−OSi(R20−の繰り返しの数であり、1〜10を満たす平均値であり;
    式(Z43)におけるRは炭素数2〜5の1つの二重結合を有する不飽和炭化水素基である。
  8. 式(D1)において、R15がメチルであり、wが1〜25を満たす平均値であり、Zは独立して、式(Z1)、式(Z2)、式(Z31)、または式(Z41)で表される基である請求項7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. さらに(F)を含む請求項3に記載の熱硬化性組成物。
    (F);式(F1)で表される化合物。

    Figure 2018159055

    式(F1)において、
    21およびR22は独立して、炭素数1〜4のアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または炭素数6〜12のアリールであり、2つのR22のうち少なくとも1つはフェニルであり;
    jは、−OSi(R22−の繰り返しの数であり、1〜50を満たす平均値であり;
    は独立して、1つの二重結合を有する炭素数2〜5の不飽和炭化水素基である。
  10. さらに(G)を含む請求項1に記載の熱硬化性組成物。
    (G);SiH基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン化合物。
  11. さらに(H)を含む請求項1に記載の熱硬化性組成物。
    (H);エポキシを有するシランカップリング材。
  12. さらに蛍光体を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  13. さらにシリカまたは金属酸化物を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む光半導体用組成物。
  15. 請求項14に記載の光半導体用組成物を封止剤として含む光半導体発光素子または光半導体受光素子。
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