JP2018157673A - 電力系統縮約モデル作成装置および電力系統縮約モデル作成方法 - Google Patents

電力系統縮約モデル作成装置および電力系統縮約モデル作成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電力系統縮約モデルにかかるパラメータのデータ量を軽減することができるとともに、系統断面に対し電力系統縮約モデルの切り替えが不要である電力系統縮約モデル作成装置および電力系統縮約モデル作成方法を提供する。【解決手段】縮約モデル作成装置1は、原系統動揺算出部123と、縮約系統動揺算出部124と、原系統モデルの動揺波形と、縮約系統モデルの動揺波形と、の差分を算出する差分演算部125と、潮流断面データ設定部121により設定された複数の潮流断面データに対して複数の縮約系統モデルを作成し、複数の前記潮流断面データに対応した、想定事故ケース設定部122により設定された複数の不安定事故ケースの組合せに対して、原系統モデルの動揺波形と縮約系統モデルの動揺波形との差分の合計が最小化される縮約パラメータを算出する縮約パラメータ推定部126と、を有する。【選択図】図1

Description

本実施形態は、電力系統の縮約系統モデルを作成する電力系統縮約モデル作成装置および電力系統縮約モデル作成方法に関する。
電力系統の事故時の同期安定性解析や、系統安定化システムの安定化演算のために、電力系統モデルが用いられる。電力系統モデルは、電力系統内の発電機等の特性や系統との接続状態をモデル化した情報である。電力系統が大規模化、複雑化すると、電力系統モデルは、大規模化、複雑化する。演算処理負担や解析時間を軽減するため、元の電力系統モデル(原系統モデル)を一部簡略化した電力系統縮約モデルを作成する電力系統縮約モデル作成装置が知られている。
特開2012−114996公報 特開2015−53847公報
電気協同研究 第34巻 第5号 「電力動揺波形のスペクトルを考慮した外部系統縮約手法」、電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌)、VOL135、No.4 p241−250 「差分進化法を活用した系統縮約手法」、電気学会研究会、PSE-15-170 「安定化制御量を考慮した系統縮約手法」、平成28年電気学会全国大会、6-126
電力系統縮約モデルは原系統モデルの特性を極力忠実に反映することが必要とされる。既存の縮約手法としては、縮約対象系統に合わせて縮約系統パラメータを数式的に算出し、原系統モデルと事故発生時の連系点の潮流や電圧などの特性を合わせこむ二負荷法などの手法や、事故発生時の特性に加え事故発生後の動特性を原系統モデルに合わせこむ手法がある。動特性を合わせこむことで、原系統モデルの安定度特性を精度よく電力系統縮約モデルに反映させることができる。
しかしながら、従来の電力系統縮約モデルは、原系統との電制量誤差が十分に低減されているとは言えない。電力系統縮約モデルと原系統モデルとの間に、安定化に必要な電制量の誤差があると、十分な系統安定化を行うことができない。電力系統縮約モデルと原系統モデルとの間の電制量の誤差は、例えば必要以上に発電機を遮断する過剰電制を招き、復旧までのコスト増が発生するとの問題につながる。また、上記誤差は、安定に必要な発電機遮断を行うことができない不足電制を招き、系統を安定化できないとの問題につながる。不足電制の場合は、系統の同期安定性を保てず大規模停電をもたらす可能性があるため、電力系統縮約モデルは、不足電制を回避するよう策定されることが必須である。
従来技術における電力系統縮約モデルは、ある特定の系統断面の特定事故を対象に電制量誤差を低減するものであるが、実運用を考慮した場合、時々刻々と変化する複数の系統断面および複数の事故に対しても電制量誤差を低く維持する事が必要とされる。複数の系統断面および複数の事故に対して電制量誤差を低減する方策として、複数の系統断面と複数の事故の組合せごとに電力系統縮約モデルを策定し、系統断面と事故に応じて電力系統縮約モデルを切り替える方法が考えられる。しかし、系統断面と事故に応じて電力系統縮約モデルを切り替える方法は、複数の系統断面と複数の事故という膨大な縮約モデルが構築される必要があるとともに、系統断面に対し、電力系統縮約モデルを切り替えるタイミングが難しいかとの問題点があった。
本実施形態は、電制量誤差を低減することができ、あらかじめ想定される複数の系統断面と複数の事故の組合せに対し、電力系統縮約モデルにかかるパラメータのデータ量を軽減することができるとともに、系統断面に対し電力系統縮約モデルの切り替えが不要である電力系統縮約モデル作成装置および電力系統縮約モデル作成方法を提供することを目的とする。
本実施形態の電力系統縮約モデル作成装置は次のような構成を有することを特徴とする。
(1)電力系統の原系統モデルから縮約系統モデルを作成する縮約モデル作成部。
(2)以下を備えた前記縮約系統モデルの縮約パラメータを調整する縮約パラメータチューニング部。
(2−1)任意の潮流断面データを設定する潮流断面データ設定部。
(2−2)前記潮流断面データ設定部により設定された前記潮流断面データに対応した不安定事故ケースを設定する想定事故ケース設定部。
(2−3)前記想定事故ケース設定部により設定された不安定事故ケースにおいて、前記原系統モデルの安定化に必要とされる最小限の制御量である原系統安定化制御量を記憶する安定化制御量記憶部。
(2−4)前記不安定事故ケースにおいて前記安定化制御量記憶部に記憶された前記原系統安定化制御量以上であるリファレンス電制量で安定化制御を実施した場合の原系統モデルの動揺波形を算出する原系統動揺算出部。
(2−5)前記不安定事故ケースにおいて前記安定化制御量記憶部に記憶された前記原系統安定化制御量以上である前記リファレンス電制量で安定化制御を実施した場合の縮約系統モデルの動揺波形を算出する縮約系統動揺算出部。
(2−6)前記原系統動揺算出部により算出された前記原系統モデルの動揺波形と、前記縮約系統動揺算出部により算出された前記縮約系統モデルの動揺波形と、の差分を算出する差分演算部。
(2−7)前記差分演算部により算出された前記差分を最小化するよう前記縮約パラメータを推定する縮約パラメータ推定部であって、前記縮約パラメータ推定部は、前記潮流断面データ設定部により設定された複数の前記潮流断面データに対して複数の前記縮約系統モデルを作成し、複数の前記潮流断面データに対応した、想定事故ケース設定部により設定された複数の前記不安定事故ケースの組合せに対して、前記原系統モデルの動揺波形と前記縮約系統モデルの動揺波形との差分の合計が最小化される前記縮約パラメータを算出する。
また、上記に対応する手段を有する電力系統縮約モデル作成方法も本実施形態の一態様である。
第1実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置を示すブロック図 第1実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置の差分演算部を示すブロック図 第1実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置の縮約パラメータ推定部を示すブロック図 第1実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置の処理のフローを示す図 第1実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置の処理S13のフローを示す図 縮約系統モデルの一例 作成された最適化パラメータの一例を示す図 AVRパラメータの制御手順の一例を示す図 PSSパラメータの制御手順の一例を示す図 第1実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置の処理S14のフローを示す図 試験ベクトルの生成手順を示す図 処理S13および処理S14における目的関数計算の処理のフローを示す図 断面ごとの縮約モデル更新に必要な情報 α・β・Tの関係を示す図 α・β・Tの設定値の一例を示す図 第2実施形態にかかる目的関数計算処理のフローを示す図(電制量調整有) 第2実施形態にかかる目的関数計算処理の電制量調整処理のフローを示す図
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1を参照して本実施形態の一例として、電力系統縮約モデル作成装置について説明する。電力系統縮約モデル作成装置は、コンピュータにより構成される。
(1)システムの全体構成
本電力系統縮約モデル作成装置1は、縮約モデル作成部11、縮約パラメータチューニング部12を有する。縮約モデル作成部11、縮約パラメータチューニング部12は、コンピュータ内の演算部または、ソフトウェアモジュールにより構成される。
さらに、本電力系統縮約モデル作成装置1は、原系統モデル記憶部21、縮約系統モデル記憶部22、潮流断面データ記憶部23、事故ケース記憶部24、設定記憶部25、安定化制御量記憶部26、制約条件記憶部27を有する。各記憶部21〜27は、導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成され、コンピュータ内に配置される。
さらに、本電力系統縮約モデル作成装置1は、入力部30、出力部40を有する。入力部30、出力部40は、コンピュータ内に設けられたI/O部により構成される。
入力部30は、キーボード、マウス、タッチパネル、通信インタフェースにより構成される。タッチパネルは表示装置上に構成されたものであってもよい。入力部30は、原系統モデル記憶部21、潮流断面データ記憶部23、事故ケース記憶部24、安定化制御量記憶部26、制約条件記憶部27に記憶される各種データが入力される。
出力部40は、表示装置、プリンタ、通信インタフェースにより構成される。出力部40は、原系統モデル、縮約系統モデル、潮流断面、想定事故ケース、安定限界潮流、差分、定数等の電力系統縮約モデル作成装置1の処理対象となる情報、演算結果等を、ユーザに対し出力する。
原系統モデル記憶部21は、入力部30から入力された原系統モデルを記憶する記憶部である。原系統モデル記憶部21は、記憶した原系統モデルを縮約モデル作成部11に出力する。
縮約モデル作成部11は、原系統モデル記憶部21に記憶された原系統モデルに基づき、原系統モデルを縮約した縮約系統モデルの基本構成を作成する処理部である。原系統モデルは、縮約対象となる電力系統をモデル化した情報である。原系統モデルは、たとえば、電力系統内の発電機、母線、送電線、負荷、変圧器、制御系の情報及びこれらの接続状態を示す情報によって構成される。
縮約系統モデルは、コヒーレンスのある複数の発電機を一つにまとめモデル化するとともに、関連する母線、送電線、負荷、変圧器、制御系を一つにまとめモデル化したものである。コヒーレンスとは、系統縮約領域を決定する際の基本的な考え方である。外乱に対する発電機の有効・無効電力や、内部相差角の動揺の類似性をコヒーレンスという。外乱に対する発電機の有効・無効電力や、内部相差角の動揺の類似性がある発電機群からなる部分系統を、コヒーレンスのある縮約可能な領域という。
縮約系統モデル記憶部22は、縮約モデル作成部11により作成された縮約系統モデルを記憶する記憶部である。
縮約パラメータチューニング部12は、縮約モデル作成部11により作成された縮約系統モデルのパラメータを、調整する処理部である。縮約パラメータチューニング部12は、潮流断面データ記憶部23、事故ケース記憶部24、設定記憶部25、安定化制御量記憶部26、制約条件記憶部27に記憶された各種データに基づき、縮約系統モデルの精度が向上するようにパラメータを調整する。
潮流断面データ記憶部23は、入力部30から入力された、電力系統の潮流断面データを記憶する。潮流断面データは、電力系統のある時点における有効電力と無効電力の潮流分布と電圧分布を示す潮流断面を求めるための情報である。具体的には、単位時間ごとの電力量及び負荷量を含む。各潮流断面データには、あらかじめ設定順序が設定されている。潮流断面データ記憶部23は、記憶された電力系統の潮流断面データを、縮約パラメータチューニング部12に出力する。
事故ケース記憶部24は、入力部30から入力された、電力系統における事故データを記憶する。事故データとは、対象となる系統において想定しうる事故の条件であり、事故点、事故様相を含む。たとえば、事故点とは、A送電線における事故といった情報であり、事故様相とは、1LC相地絡といった情報である。各事故データには、あらかじめ設定順序が設定されている。事故ケース記憶部24は、記憶された電力系統における事故データを、縮約パラメータチューニング部12に出力する。
本実施形態において、事故ケース記憶部24は、一例として安定化制御無しでは不安定となる事故ケースを記憶するものとする。不安定となる事故とは、系統事故によって発電機の機械的入力と電気的出力のバランスが崩れ、同期運転が保てず不安定な運転状態となる脱調現象が発生する事故ケースである。脱調現象の発生が想定される場合、おもに加速しやく同期維持が困難になることが想定される発電機を遮断する事で、脱調現象を防ぐことが可能となる。この発電機を遮断することを「電源制限」という。「電源制限」を以下では、電制と総称する。
設定記憶部25は、縮約パラメータチューニング部12により作成された、縮約モデル作成装置1の処理に必要な各種の情報を記憶する。設定記憶部25に記憶された情報は、各部の処理のための演算式、パラメータ、基準値(しきい値を含む)等を含む。設定記憶部25に記憶された情報は、再度縮約パラメータチューニング部12に出力される。
安定化制御量記憶部26は、縮約パラメータチューニング部12により作成された、原系統安定化制御量、リファレンス制御量およびチェッカー電制量を記憶する。
原系統安定化制御量とは、原系統モデルが安定を維持するために必要な必要最小限の電制量であり、潮流断面データ記憶部23と事故ケース記憶部24によって設定される潮流断面と事故ケースの組合せごとに用意される。必要最小限の電制量とは、それ以上電制量が少ない場合(遮断する発電機を減らした場合)、同期を保てず脱調現象を起こすような電制量を示す。
リファレンス制御量とは、原系統安定化制御量以上の制御量であり、原系統モデルと縮約系統モデルの動揺波形を算出する際に設定される。
チェッカー電制量とは、原系統安定化制御量未満の電制量であり、縮約系統モデルが原系統安定化制御量未満の電制量で不安定となるかを確認するための判別に用いられる。
制約条件記憶部27は、入力部30から入力された制約条件を記憶する。制約条件とは、縮約パラメータを推定するための条件であり、一例として、動揺波形のピーク値が原系統と比較して小さくならない条件等が該当する。制約条件記憶部27は、記憶された制約条件を、縮約パラメータチューニング部12に出力する。
(2)縮約パラメータチューニング部12の構成
縮約パラメータチューニング部12は、潮流断面データ設定部121、想定事故ケース設定部122、原系統動揺算出部123、縮約系統動揺算出部124、差分演算部125、縮約パラメータ推定部126、縮約パラメータ出力部127を有する。
潮流断面データ設定部121は、潮流断面データ記憶部23に記憶された潮流断面データに基づいて、あらかじめ設定された順序に従い、原系統モデル記憶部21に記憶された原系統モデル及び縮約系統モデル記憶部22に記憶された縮約系統モデルに、潮流断面データを設定する。潮流断面データ設定部121は、潮流断面データが設定された原系統モデル及び縮約系統モデルを想定事故ケース設定部122に出力する。
想定事故ケース設定部122は、事故ケース記憶部24に記憶された事故データに基づき、あらかじめ設定された順序に従い、潮流断面データ設定部121にて潮流断面データが設定された原系統モデル及び縮約系統モデルにおいて想定される不安定な想定事故ケースを設定する。想定事故ケース設定部122は、想定事故ケースが設定された原系統モデル及び縮約系統モデルを原系統動揺算出部123および縮約系統動揺算出部124に出力する。
原系統動揺算出部123は、原系統モデルの系統動揺波形を算出する。この算出は、安定化制御量記憶部26に記憶されたリファレンス電制量に基づき、想定事故ケース設定部122にて想定事故ケースが設定された原系統モデルについて行われる。ここで算出される系統動揺波形は、制約条件記憶部27に記憶された原系統安定化制御量以上のリファレンス制御量で安定化制御を実施した場合の原系統動揺波形である。また系統動揺波形としては、例えば位相基準点を基準とした非縮約系統の発電機の内部位相角波形や、非縮約系統の発電機の速度偏差動揺波形、非縮約系統のブランチの有効電力動揺波形、縮約対象系統と非縮約対象系統の連系線潮流波形等がある。原系統動揺算出部123は、原系統モデルの系統動揺波形を差分演算部125に出力する。
縮約系統動揺算出部124は、縮約系統モデルの系統動揺波形を算出する。この算出は、安定化制御量記憶部26に記憶されたリファレンス制御量に基づき、想定事故ケース設定部122にて想定事故ケースが設定された縮約系統モデルについて行われる。原系統安定化制御量以上のリファレンス制御量で安定化制御を実施した場合について、縮約系統モデルの系統動揺波形が算出される。縮約系統動揺算出部124は、縮約系統モデルの系統動揺波形を差分演算部125に出力する。
差分演算部125は、原系統動揺算出部123により算出された原系統モデルの系統動揺波形と、縮約系統動揺算出部124により算出された縮約系統モデルの系統動揺波形との差分を演算する。差分演算部125は、原系統モデルの系統動揺波形と縮約系統モデルの系統動揺波形の誤差を、縮約パラメータ推定部126に出力する。
差分演算部125は、図2に示すように、系統動揺差分算出部125aおよび差分出力部125bを有する。系統動揺差分算出部125aにて、原系統モデルの系統動揺波形と縮約系統モデルの系統動揺波形の誤差が算出される。系統動揺波形の誤差の算出方法として、ユークリッド距離や相関係数、波形の第N波までのピーク値誤差などが使用される。また、波形誤差を算出する時間領域は、全時間領域の他に事故発生時から電制後、系統の動揺が収束するまでの時間帯に限って波形誤差を算出する方法のいずれでもよい。差分出力部125bにより、系統動揺差分算出部125aにて算出された系統動揺の誤差が出力される。
縮約パラメータ推定部126は、差分演算部125から出力された、原系統モデルの系統動揺波形と縮約系統モデルの系統動揺波形の誤差を最小化するよう縮約パラメータを推定し算出する。縮約パラメータ推定部126は、算出された縮約系統モデルのパラメータを、縮約パラメータ出力部127に出力する。
縮約パラメータ推定部126は、図3に示すように、差分判定部126a、制約条件設定部126b、縮約パラメータ調整部126cを有する。
差分判定部126aは、系統動揺の誤差と閾値から、原系統モデルと縮約系統モデルの系統動揺の合致を判断する。制約条件設定部126bは、制約条件記憶部27に記憶された制約条件を設定する。差分判定部126aにて、縮約系統モデルの系統動揺が原系統モデルの系統動揺と合致していないと判断された場合、縮約パラメータ調整部126cは、縮約パラメータを調整する。
縮約パラメータ調整部126cは、縮約系統モデルの系統動揺波形と原系統モデルの系統動揺波形の誤差が最小化されるように縮約パラメータを調整する。縮約パラメータは、縮約発電機の出力や縮約負荷量、縮約系統インピーダンスなど縮約系統のネットワークを決定するネットワークパラメータと、縮約発電機のPSSやAVRのパラメータなどの縮約発電機の励磁制御系パラメータと、慣性定数で構成される。短絡容量や潮流分布、系統容量などの制約があるため、複数の連続値パラメータを最適化することが必要とされ、縮約パラメータの調整手段としては、制約付き非線形最適化手法が望ましい。
縮約パラメータ出力部127は、縮約パラメータ推定部126により推定された縮約系統モデルの縮約パラメータを出力する。
[1−2.作用]
次に、本実施形態の電力系統縮約モデル作成装置の動作の概要を説明する。図4は、電力系統縮約モデル作成装置1に内蔵された電力系統縮約モデル作成用コンピュータプログラムのフロー図である。電力系統縮約モデル作成装置1は、下記の手順にて動作および演算を行う。
(ステップS10:潮流断面データ設定)
最初に、潮流断面データ設定部121は、潮流断面データ記憶部23に記憶された潮流断面データに基づいて、あらかじめ設定された順序に従い、原系統モデル記憶部21に記憶された原系統モデル及び縮約系統モデル記憶部22に記憶された縮約系統モデルに、潮流断面データを設定する。
(ステップS11:想定事故ケース設定)
次に、想定事故ケース設定部122は、事故ケース記憶部24に記憶された事故データに基づき、あらかじめ設定された順序に従い、ステップS10にて潮流断面データが設定された原系統モデル及び縮約系統モデルにおいて、想定される不安定な想定事故ケースを設定する。
(ステップS12:原系統モデル系統動揺算出)
次に、原系統動揺算出部123は、原系統モデルの系統動揺波形を算出する。具体的には、原系統モデル記憶部21に記憶された原系統モデルを用い、ステップS11にて想定事故ケースが設定された原系統モデルについて、安定化制御量記憶部26に記憶されたリファレンス電制量で安定化制御を実施した時の、原系統モデルの系統動揺波形が算出される。系統動揺波形は、過渡安定度計算(系統シミュレーション)結果から算出される。
(ステップS13:最適化準備処理)
次に、縮約系統動揺算出部124は、縮約系統モデルの系統動揺波形を算出する。ステップS13は、縮約パラメータを最適化する前段階の最適化準備処理を実行するステップである。具体的には、安定化制御量記憶部26に記憶されたリファレンス制御量に基づき、想定事故ケース設定部122にて想定事故ケースが設定された縮約系統モデルについて算出が行われる。原系統安定化制御量以上のリファレンス制御量で安定化制御を実施した場合について、縮約系統動揺算出部124により、縮約系統モデルの初期値の系統動揺波形が算出される。
差分演算部125は、原系統動揺算出部123により算出された原系統モデルの系統動揺波形と、縮約系統動揺算出部124により算出された縮約系統モデルの系統動揺波形との差分を演算する。差分演算部125は、原系統モデルの系統動揺波形と縮約系統モデルの系統動揺波形を目的関数として算出する。
ステップS13は、図5に示すステップS131〜S133により構成される。本実施形態は一例として最適化手法の1つである差分進化法(DE)を用いた最適化を示す。最適化手法は遺伝的アルゴリズム等の他の手法が適用可能であり、DEに限ったものではない。以下ステップS13の処理に関して説明する。
(ステップS131:データ読み込み処理)
縮約系統動揺算出部124が、最適化準備処理に必要なデータを、事故ケース記憶部24、設定記憶部25、安定化制御量記憶部26および制約条件記憶部27から読み込む。具体的には、縮約系統モデル記憶部22から縮約系統のベースとなるデータ、事故ケース記憶部24から対象となる事故シーケンス、設定記憶部25から縮約系統のベースとなるデータ、原系統の動揺波形データ、安定化制御量記憶部26から最適化パラメータの上下限値、制約条件記憶部27から各制約条件(縮約点からの覗き込みインピーダンス、連系線潮流、連系点電圧、縮約対象系統の発電機定格容量・定格出力の合計、縮約対象系統の負荷需要の合計など)が読み込まれる。
(ステップS132:縮約パラメータのランダム生成)
ステップS131で読み込まれた最適化パラメータの上下限値の間で、最適化する縮約パラメータをランダム設定する。一例として本実施形態における縮約系統の構成を図6に示す。図6に示す2機2負荷の縮約モデルに対応した2機2負荷の縮約系統の最適化パラメータを図7に示す。
2機2負荷の縮約系統において発電機出力分配比率は、2機の縮約発電機の合計出力に対するRG1の出力として示す。なお、2機の縮約発電機の合計出力であるPG totalは、式(1)により計算される。PG totalおよび制約条件である縮約対象系統の発電機定格容量・定格出力の合計と、発電機出力分配比率から、2機の縮約発電機の定格容量・定格出力、有効電力出力が決定される。
PGtotal=PLtotal−Ptie ・・・式(1)
PLtotal ・・・縮約対象系統の負荷需要の合計
Ptie ・・・連系線潮流
負荷分配比率は、縮約系統の2負荷の合計有効電力に対するPL1の有効電力を示す。制約条件である縮約対象系統の負荷需要の合計と、負荷分配比率から、縮約系統の2負荷のそれぞれの有効電力が決定される。
また、縮約発電機AVRの制御ブロックと最適化パラメータを図8に、PSSの制御ブロックと最適化パラメータを図9に示す。本実施例ではAVRはサイリスタ型の超速応励磁、PSSはΔP型PSSとした。
(ステップS133:目的関数計算)
ステップS132で決定された縮約パラメータに対して目的関数を計算する。詳細は後述する。ステップS133の処理は、指定解個数であるN回繰り返される。
(ステップS14:縮約パラメータ最適化処理)
次に、縮約パラメータ推定部126は、ステップS13で処理された、原系統モデルの系統動揺波形と縮約系統モデルの系統動揺波形の誤差を最小化するよう縮約パラメータを推定する。縮約パラメータ推定部126は、推定された縮約系統モデルの縮約パラメータの最適化処理を行う。ステップS14は、図10に示すステップS141〜S144により構成される。S141〜S144は、メタヒューリスティクスの1つである差分進化法を活用した縮約系統最適化の処理である。DEは遺伝的アルゴリズム(GA)と類似した発見的なメタヒューリスティクスであるが、S141〜S144は、連続値のみを対象とすることでGAで必要なバイナリ化等の処理を省き、計算速度と収束性が向上したアルゴリズムとなっている。
(ステップS141:Xi,G(世代Gの個体i)に対して変異ベクトルViを作成)
縮約パラメータ推定部126は、式(2)により、Xi,G(世代Gの個体i)に対して変異ベクトルViを作成する。現世代の解から3つランダムに個体を抽出し、式(2)により、Xi,Gに対して新たな変異ベクトルを生成する。
Vi=Xrl+F×(Xr2−Xr3) ・・・式(2)
F:0〜1の実数(スケーリングパラメータ)
r1、Xr2、Xr3:X1,G〜 Xn,Gからランダムに抽出された個体
(ステップS142:Xi,GとViで交差を行って、試験ベクトルUiを作成)
次に、縮約パラメータ推定部126は、図11に示すように、ステップS141で作成された変異ベクトルViとXi,Gを交差して試験ベクトルUiを作成する。交差方法は1点交差、他点交差、一様交差等のような方法が適用される。一例として1点交差の例を図11に示す。交差位置はランダムに決定され、交差位置の前方または後方で交差させられる(図11は後方交差)。交差後はUi1とUi2の2つのベクトルが生成され、最終的な試験ベクトルはUi1とUi2の中からランダムに1つ選択される。本実施形態ではUi1が選択されるものとする。
(ステップS143:Uiの目的関数を計算)
次に、縮約パラメータ推定部126は、ステップS133と同様の方法で目的関数を計算する。目的関数算出処理に関しては後述する。
(ステップS144:UiとXi,Gの目的関数値の良い方をXi,G+1とする)
次に、縮約パラメータ推定部126は、ステップS142で生成した試験ベクトルUiと現世代の解Xi,Gの目的関数値を比較し、目的関数値の良い方を次世代の解Xi,G+1とする。
ステップS141〜S144の処理は指定解個数N×指定世代最大数G回繰り返され最終的な最適解が算出される。指定世代最大数G回の計算を行うことに代替し、目的関数の閾値、もしくは目的関数の変化率の閾値を設けて、目的関数または目的関数の変化率が閾値を下回った場合に計算を終了するようにしてもよい。
(ステップS15:縮約パラメータ出力)
次に、縮約パラメータ出力部127は、縮約パラメータ推定部126により算出された縮約系統モデルの縮約パラメータを出力する。
(目的関数の算出処理)
次に、ステップS133およびS144における目的関数を算出する処理の詳細を説明する。ステップS133およびS144は、図12に示すステップS1331〜S1336により構成される。
(ステップS1331:系統断面セット)
縮約パラメータ推定部126は、対象となる系統断面ごとに縮約発電機出力や容量、縮約負荷や縮約インピーダンス等の情報を更新する。縮約発電機出力や容量、縮約負荷や縮約インピーダンス等の情報は、通信またはインターネット経由で、電力系統縮約モデル作成装置1の外部の情報発信装置から取得することができる。
(a、縮約系統モデルの更新)
(a−1)縮約負荷・縮約発電機出力、縮約発電機定格容量・縮約発電機定格出力の更新
縮約パラメータ推定部126は、縮約負荷(P)・縮約発電機出力(P)、縮約発電機定格容量・縮約発電機定格出力の更新を以下の手順で行う。ここで(P)は、有効電力を示す。(P、Q)は、有効電力と無効電力の両方を示す。
(1)外部系統総需要と連系線潮流から、総縮約発電機出力を算出する
総縮約発電機出力(P)=外部系統総需要(P)−連系線潮流(P)
(2)各縮約負荷(P)は、外部系統総需要(P)が負荷分配比率で按分され最適化パラメータの算出が行われる。
(3)縮約発電機出力(P)・縮約発電機定格容量・縮約発電機定格出力は、総縮約発電機出力(P)・外部系統発電機総定格容量・系統発電機総定格出力が発電機分配比率で按分され最適化パラメータの算出が行われる。
(a−2)縮約系統ブランチリアクタンスの更新
連系線潮流(P、Q)、連系点電圧・位相、連系点からの非縮約対象系統(自系統)・縮約系統(外部系統)の覗きこみ短絡インピーダンスを入力とし、X1およびX2を計算する。
(b、自系統の更新)
自系統内の情報は、イントラネット等によりオンラインで取得することができる。縮約パラメータ推定部126は、自系統内の各発電機出力(P・V)・定格出力・定格容量、各負荷(P、Q)の値を更新する。
(ステップS1332:事故ケースセット)
縮約パラメータ推定部126は、事故ケース記憶部24に記憶された電力系統における事故データに基づき、リファレンスとする系統事故ケースをセットする。系統事故ケースは、例えば2回線6相地絡事故(6LG−O)や1回線3相地絡事故(3LG−O)の平衡事故や、1回線2相地絡等の不平衡事故などがある。また、縮約パラメータ推定部126は、リファレンスとする電制量も決定する。
(ステップS1333:電制量セット)
縮約パラメータ推定部126は、ステップS1331でセットされた系統断面と、S1332でセットされた系統事故の組合せごとに、原系統モデルの安定化に必要な最小限の原系統安定化制御量(T)と、動揺波形を合わせこむ際のリファレンスとされるリファレンス制御量(α)と、後述するステップS1336の電制量制約にて設定される原系統安定化制御量未満のチェッカー電制量(β)を設定する。
最小限の原系統安定化制御量(T)、リファレンス制御量(α)、チェッカー電制量(β)の関係を図14に示す。ここでチェッカー電制量(β)は最小限の原系統安定化制御量(T)から削減可能な最小電制量を減算した制御量とする。具体的には、例えば電制量Tに含まれる電制対象機出力の内、最小出力の発電機出力を減算した制御量とする。
上述のように制御量を設定することにより、チェッカー電制量(β)で縮約系統モデルが不安定となれば、原系統モデルよりも不足電制となることを防止する事が可能となる。リファレンス制御量(α)として、最小限の原系統安定化制御量(T)以上の電制量が設定される。リファレンス制御量(α)を最小限の原系統安定化制御量(T)と近い値にセットすることで、縮約系統モデルの必要電制量を原系統モデルに合わせこむ。
安定化できる最小限の原系統安定化制御量(T)に近い安定なリファレンス制御量(α)を設定することが重要である。ステップS1331でセットされた系統断面と、ステップS1332でセットされた系統事故の組合せごとに設定される原系統安定化制御量(T)、リファレンス制御量(α)、チェッカー電制量(β)の一例を図15に示す。
(ステップS1334:動揺波形誤差算出)
縮約パラメータ推定部126は、ステップS1331でセットされた系統断面において、ステップS1332でセットされた系統事故が発生した場合、ステップS1333でセットされたリファレンス制御量(α)で電制を実施した時の、原系統モデルの系統動揺波形と縮約系統モデルの系統動揺波形の誤差を式(3)に従って算出する。
位相基準からの非縮約対象系統の発電機の内部相差角の誤差総和
Figure 2018157673
AG r(i,t):縮約系統モデルにおける時刻tの発電機iの位相基準からの内部相差角
AG(i,t):原系統モデルにおける時刻tの発電機iの位相基準からの内部相差角
i:発電機の番号 t:時間
なお動揺波形は、位相基準からの発電機G1〜G10(非縮約対象系統)の内部相差角としたが、これに限定されない。以降目的関数の計算に使用される「位相基準からの非縮約系統内の発電機内部相差角波形」を、「対象動揺波形」と総称する。
(ステップS1335:波形ピーク値制約)
縮約パラメータ推定部126は、原系統モデルよりも縮約系統モデルの方が安定度の余裕がある(楽観的になる)ことになることを回避するため、連系点の電圧位相を基準とした発電機の内部相差角のピーク値に関し、原系統モデルよりも縮約系統モデルの方が低い場合、波形値ピーク制約として上記式(3)の対象動揺波形誤差にペナルティ値を加える。
(ステップS1336:電制量制約)
縮約パラメータ推定部126は、ステップS1333でセットされた原系統安定化制御量未満のチェッカー電制量(β)で電制を実施した場合、縮約系統モデルが不安定とならない場合は、上記式(3)の対象動揺波形誤差にペナルティ値を加える。このペナルティ値により、原系統モデルよりも縮約系統モデルの方が安定度の余裕がある(楽観的になる)ことを排除する。
ステップS1331〜S1336で計算されるペナルティ値を含む動揺波形誤差を、各断面のループ・各事故のループで足し合わせ目的関数とする。目的関数を図10の最適化処理で最小化し、対象とする全断面・全事故における電制量誤差を低減し、かつ縮約系統の動特性を原系統モデルと近づける。
[1−3.効果]
(1)本実施形態によれば、図12に示す目的関数計算処理モジュールを有するので、複数断面・複数事故の動揺誤差を同時に最小化する事が可能となる。複数断面・複数事故に対して縮約系統モデルの切り替えを行うことなく、高精度な縮約系統モデルの構築が可能となる。
(2)本実施形態によれば、電制量制約にチェッカー電制量(β)を適用するので、原系統モデルよりも縮約系統モデルの方が安定度の余裕がある(楽観的になる)縮約系統モデルが作成されることを回避する事ができる。
(3)本実施形態によれば、縮約パラメータ推定部127により、潮流断面データ設定部121により設定された複数の潮流断面データに対して複数の縮約系統モデルを作成し、複数の潮流断面データに対応した、想定事故ケース設定部122により設定された複数の不安定事故ケースの組合せに対して、原系統モデルの動揺波形と前記縮約系統モデルの動揺波形との差分の合計が最小化されるので精度の高い縮約パラメータを有する電力系統の縮約モデルを作成することができる。
(4)本実施形態によれば、安定化制御量記憶部26により、複数の前記潮流断面データと複数の前記不安定事故ケースの組合せごとに、原系統安定化制御量と、原系統安定化制御量以上のリファレンス電制量と、原系統安定化制御量未満のチェッカー電制量が記憶され、縮約パラメータ推定部127は、安定化制御量記憶部26に記憶されたリファレンス電制量とチェッカー電制量を用いて原系統モデルの動揺波形と縮約系統モデルの動揺波形が不安定とならないことを確認し、縮約パラメータを算出するので、原系統モデルおよび縮約系統モデルに原系統安定化制御量、リファレンス電制量、チェッカー電制量を用いてシミュレーションを行うことができ、精度の高い縮約パラメータを有する電力系統の縮約モデルを作成することができる。
(5)本実施形態によれば、チェッカー電制量は、原系統安定化制御量から、削減可能な最小制御量を減算した制御量であるので、実際に電力系統に接続された発電機の運転に基づいた、電力系統の縮約モデルを作成することができる。
[2.第2実施形態]
[2−1.構成]
第2実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置の一例について図16を参照して説明する。第2実施形態は、図12に示す第1実施形態の目的関数計算処理に、電制量調整処理S1337が追加されたものである。第2実施形態における目的関数計算処理は電制量調整処理S1337を有する点が、第1実施形態と相違する。なお、この第2実施形態の電力系統縮約モデル作成装置の構成は、図1に示す第1実施形態と同一である。
[2−2.作用]
次に、本実施形態の電力系統縮約モデル作成装置の動作の概要を図16〜17に基づき説明する。
電制量調整処理S1337は、原系統安定化制御量Tに近い安定な電制量αを探索し、複数断面・複数事故の電制量誤差を低減するための処理部である。電制量調整処理S1337の動作フローを、図17に示す。
(ステップS1337−1:不安定世代数カウントアップ)
現在のリファレンス電制量αで縮約系統モデルの安定度計算結果が不安定となると判断された場合、縮約パラメータ推定部126は、以下の式によって不安定となった世代数カウンターをカウントアップする。
Count(i,d,f)=Count(i,d,f)+1 ・・・式(4)
i:個体番号
d:系統断面番号
f:事故ケース番号
(ステップS1337−2:α増加)
不安定世代数が式(5)のように許容不安定世代数を超えたと判断された場合、縮約パラメータ推定部126は、式(6)に従って現在のリファレンス電制量αを、増加可能な最小電制量Δα分だけ増加させる。最小電制量Δαは、例えばリファレンス電制量αに含まれていない電制対象発電機の中で、最小出力の発電機出力が該当する。また、αの初期値をTに設定する。
Count(i,d,f)>Gen th ・・・式(5)
α(i,d,f)=α(i,d,f)+Δα ・・・式(6)
α(i,d,f):個体i・断面d:事故ケースfのリファレンス電制量
Count(i,d,f):α(i,d,f)で不安定となった世代数カウンター
Gen th:許容不安定世代数
(ステップS1337−3:不安定世代数カウント初期化)
ステップS1337−2にてリファレンス電制量αを増加させた場合、縮約パラメータ推定部126は、Count(i,d,f)を0にリセットする。
[2−3.効果]
(1)本実施形態によれば、図16に示す電制量調整処理S1337を有し、不安定ケースが続く断面・事故ケースに対してリファレンス電制量αを漸増するので、全断面・事故ケースに対して安定かつ必要最小限のリファレンス電制量αを設定することが可能となる。その結果、電制量誤差を低減する事が可能となる。
(2)本実施形態によれば、リファレンス電制量は、原系統安定化制御量を初期値として、複数の潮流断面データと複数の不安定事故ケースの組合せごとに、縮約系統モデルの動揺波形が安定となる縮約パラメータとなるまで、予め設定された量の刻みにて制御量が増加され算出されるので、予め設定された量の刻みを小さくすることにより、より精度の高い縮約パラメータを有する電力系統の縮約モデルを作成することができる。
[他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
(1)上記実施形態では、CPUを含むコンピュータが所定のプログラムまたはモジュールにより制御することにより実現される。上記のプログラムまたはモジュールにより、ハードウェアが物理的に活用され、各部の処理が実現される。上記実施形態にかかる電力系統縮約モデル作成装置1の構成は例示であり、システムを構成するハードウェアが、いずれの機能を担うかについて、上記実施形態に限定されない。
(2)上記実施形態では、電力系統縮約モデル作成装置1について説明したが、上記実施形態における各処理を実行する装置、方法、プログラムまたはモジュール及びプログラムを記録した記録媒体も、実施形態の一態様である。ハードウェアで処理する範囲、プログラムを含むソフトウェアで処理する範囲は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態における各処理は、ハードウェアにより構成されるものとしてもよい。
(3)上記実施形態では、原系統モデル記憶部21、縮約系統モデル記憶部22、潮流断面データ記憶部23、事故ケース記憶部24、設定記憶部25、安定化制御量記憶部26、制約条件記憶部27の各記憶部は、電力系統縮約モデル作成装置内部に設けられるものとしたが、電力系統縮約モデル作成装置の外部に配置されるものであってもよい。
(4)上記実施形態では、入力部30、出力部40は、電力系統縮約モデル作成装置内部に設けられるものとしたが、電力系統縮約モデル作成装置の外部に配置されるものであってもよい。
(5)上記実施形態では、図6に示された2機2負荷の縮約モデルは、1点で連系されるものとしたが連系の態様はこれに限られない。縮約モデルは、短絡容量および連系線潮流の制約式を立て、2点連系および多点連系としてもよい。
(6)上記実施形態では、ステップS1331の系統断面セットにおいて、覗きこみ短絡インピーダンスを通信で取得するものとしたが、覗きこみ短絡インピーダンスを通信で取得できない場合は、更新前の値を使用するようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、安定度計算結果が不安定となる世代が継続する断面・事故ケースに対してリファレンス電制量αを緩和的に調整する方法を適用したが、調整する方法はこれに限られない。断面・事故ケースごとのリファレンス電制量αを縮約パラメータの1つとして最適化手法によって解く方法としてもよい。この場合、対象となる断面×事故の数に相当するリファレンス電制量αの設定が必要とされるため、対象となる断面×事故が多い場合は縮約パラメータが増加し、解の収束性に配慮することが必要とされる。
1・・・縮約モデル作成装置
11・・・縮約モデル作成部
12・・・縮約パラメータチューニング部
21・・・原系統モデル記憶部
22・・・縮約系統モデル記憶部
23・・・潮流断面データ記憶部
24・・・事故ケース記憶部
25・・・設定記憶部
26・・・安定化制御量記憶部
27・・・制約条件記憶部
30・・・入力部
40・・・出力部
121・・・潮流断面データ設定部
122・・・想定事故ケース設定部
123・・・原系統動揺算出部
124・・・縮約系統動揺算出部
125・・・差分演算部
126・・・縮約パラメータ推定部
127・・・縮約パラメータ出力部

Claims (6)

  1. 電力系統の原系統モデルから縮約系統モデルを作成する縮約モデル作成部と、
    前記縮約系統モデルの縮約パラメータを調整する縮約パラメータチューニング部と、を備えた電力系統縮約モデル作成装置であって、
    前記縮約パラメータチューニング部は、
    任意の潮流断面データを設定する潮流断面データ設定部と、
    前記潮流断面データ設定部により設定された前記潮流断面データに対応した不安定事故ケースを設定する想定事故ケース設定部と、
    前記想定事故ケース設定部により設定された不安定事故ケースにおいて、前記原系統モデルの安定化に必要とされる最小限の制御量である原系統安定化制御量を記憶する安定化制御量記憶部と、
    前記不安定事故ケースにおいて前記安定化制御量記憶部に記憶された前記原系統安定化制御量以上であるリファレンス電制量で安定化制御を実施した場合の原系統モデルの動揺波形を算出する原系統動揺算出部と、
    前記不安定事故ケースにおいて前記安定化制御量記憶部に記憶された前記原系統安定化制御量以上である前記リファレンス電制量で安定化制御を実施した場合の縮約系統モデルの動揺波形を算出する縮約系統動揺算出部と、
    前記原系統動揺算出部により算出された前記原系統モデルの動揺波形と、前記縮約系統動揺算出部により算出された前記縮約系統モデルの動揺波形と、の差分を算出する差分演算部と、
    前記差分演算部により算出された前記差分を最小化するよう前記縮約パラメータを推定する縮約パラメータ推定部と、
    を有し、
    前記縮約パラメータ推定部は、前記潮流断面データ設定部により設定された複数の前記潮流断面データに対して複数の前記縮約系統モデルを作成し、複数の前記潮流断面データに対応した、想定事故ケース設定部により設定された複数の前記不安定事故ケースの組合せに対して、前記原系統モデルの動揺波形と前記縮約系統モデルの動揺波形との差分の合計が最小化される前記縮約パラメータを算出する、電力系統縮約モデル作成装置。
  2. 前記安定化制御量記憶部は、複数の前記潮流断面データと複数の前記不安定事故ケースの組合せごとに、前記原系統安定化制御量と、前記原系統安定化制御量以上のリファレンス電制量と、前記原系統安定化制御量未満のチェッカー電制量を記憶し、
    前記縮約パラメータ推定部は、前記安定化制御量記憶部に記憶された前記リファレンス電制量と前記チェッカー電制量を用いて前記原系統モデルの動揺波形と前記縮約系統モデルの動揺波形が不安定とならないことを確認し、前記縮約パラメータを算出する、
    請求項1記載の電力系統縮約モデル作成装置。
  3. 前記チェッカー電制量は、前記原系統安定化制御量から、削減可能な最小制御量を減算した制御量である、請求項2記載の電力系統縮約モデル作成装置。
  4. 前記リファレンス電制量は、原系統安定化制御量を初期値として、複数の前記潮流断面データと複数の前記不安定事故ケースの組合せごとに、前記縮約系統モデルの動揺波形が安定となる前記縮約パラメータとなるまで、予め設定された量の刻みにて制御量が増加され算出される、請求項2または請求項3記載の電力系統縮約モデル作成装置。
  5. 前記縮約パラメータ推定部は、複数の前記潮流断面データと複数の前記不安定事故ケースの組合せごとに、縮約系統モデルの動揺波形が安定となる縮約パラメータとなる前記リファレンス電制量の算出に、最適化手法を適用する、請求項2または請求項3記載の電力系統縮約モデル作成装置。
  6. 電力系統の原系統モデルから縮約系統モデルを作成する縮約モデル作成手段と、
    前記縮約系統モデルの縮約パラメータを調整する縮約パラメータチューニング手段と、を備えた電力系統縮約モデル作成方法であって、
    前記縮約パラメータチューニング手段は、
    任意の潮流断面データを設定する潮流断面データ設定手段と、
    前記潮流断面データ設定手段により設定された前記潮流断面データに対応した不安定事故ケースを設定する想定事故ケース設定手段と、
    前記想定事故ケース設定手段により設定された不安定事故ケースにおいて、前記原系統モデルの安定化に必要とされる最小限の制御量である原系統安定化制御量を記憶する安定化制御量記憶手段と、
    前記不安定事故ケースにおいて前記安定化制御量記憶手段に記憶された前記原系統安定化制御量以上であるリファレンス電制量で安定化制御を実施した場合の原系統モデルの動揺波形を算出する原系統動揺算出手段と、
    前記不安定事故ケースにおいて前記安定化制御量記憶手段に記憶された前記原系統安定化制御量以上である前記リファレンス電制量で安定化制御を実施した場合の縮約系統モデルの動揺波形を算出する縮約系統動揺算出手段と、
    前記原系統動揺算出手段により算出された前記原系統モデルの動揺波形と、前記縮約系統動揺算出手段により算出された前記縮約系統モデルの動揺波形と、の差分を算出する差分演算手段と、
    前記差分演算手段により算出された前記差分を最小化するよう前記縮約パラメータを推定する縮約パラメータ推定手段と、
    を有し、
    前記縮約パラメータ推定手段は、前記潮流断面データ設定手段により設定された複数の前記潮流断面データに対して複数の前記縮約系統モデルを作成し、複数の前記潮流断面データに対応した、想定事故ケース設定手段により設定された複数の前記不安定事故ケースの組合せに対して、前記原系統モデルの動揺波形と前記縮約系統モデルの動揺波形との差分の合計が最小化される前記縮約パラメータを算出する、電力系統縮約モデル作成方法。

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