JP2018156035A - クリーニングブレード、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

クリーニングブレード、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】当接部の欠落及び異音を防止し、長期に渡る良好なクリーニング性の維持が可能なクリーニングブレードの提供。【解決手段】 被清掃部材の表面に当接して、前記被清掃部材の表面の残留物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードであって、前記弾性部材が、基材と、硬化性組成物の硬化物を含む表面層とを有し、前記表面層は、前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接辺を含む当接部における前記当接辺を含む少なくとも一部に形成されており、前記当接部における前記表面層の平均厚みが、10μm以上100μm以下であり、前記当接辺における前記表面層の曲率半径が、5μm以上40μm以下であるクリーニングブレードである。【選択図】図1

Description

本発明は、クリーニングブレード、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、被清掃部材としての像担持体(以下、「感光体」、「電子写真感光体」、「静電潜像担持体」と称することもある)について、転写紙や中間転写体へトナー像を転写した後の表面に付着した不必要な転写残トナーなどの付着物はクリーニング手段によって除去していることが知られている。
近年の高画質化の要求に応えるべく、重合法等により形成された小粒径で球形に近いトナー(以下、「重合トナー」と称することがある)を用いた画像形成装置が知られている。前記重合トナーは、クリーニングブレードを用いて像担持体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題がある。これは、小粒径でかつ球形度に優れた前記重合トナーが、前記クリーニングブレードと像担持体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けるからである。
このような問題を解決するため、例えば、クリーニングブレードの当接部に表面層を儲ける技術、当接部に含浸部分を設ける技術、及び当接辺の曲率半径を調整する技術が提案されてきた(例えば、特許文献1〜5参照)。
本発明は、当接部の欠落及び異音を防止し、長期に渡る良好なクリーニング性の維持が可能なクリーニングブレードを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のクリーニングブレードは、
被清掃部材の表面に当接して、前記被清掃部材の表面の残留物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードであって、
前記弾性部材が、基材と、硬化性組成物の硬化物を含む表面層とを有し、
前記表面層は、前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接辺を含む当接部における前記当接辺を含む少なくとも一部に形成されており、
前記当接部における前記表面層の平均厚みが、10μm以上100μm以下であり、
前記当接辺における前記表面層の曲率半径が、5μm以上40μm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、当接部の欠落及び異音を防止し、長期に渡る良好なクリーニング性の維持が可能なクリーニングブレードを提供することができる。
図1は、本発明に係るクリーニングブレードの一例が像担持体の表面に当接している状態の一例を示す拡大断面図である。 図2は、本発明に係るクリーニングブレードの一例を示す斜視図である。 図3Aは、本発明に係るクリーニングブレードの製造方法の一例を説明する図である。 図3Bは、本発明に係るクリーニングブレードの製造方法の他の例を説明する図である。 図3Cは、本発明に係るクリーニングブレードの製造方法の他の例を説明する図である。 図3Dは、本発明に係るクリーニングブレードの製造方法の他の例を説明する図である。 図3Eは、本発明に係るクリーニングブレードの製造方法の他の例を説明する図である。 図4は、弾性仕事率の説明図である。 図5は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図6は、本発明に係る画像形成装置の備える作像ユニットの一例を示す概略構成図である。 図7Aは、トナーの平均円形度の測定方法を説明するための概略図である。 図7Bは、トナーの平均円形度の測定方法を説明するための概略図である。 図8は、表面層の平均厚みの測定方法の一例を説明するための図である。 図9は、曲率半径の測定における観察方法の一例を説明するための図である。 図10は、曲率半径の測定における得られた結果の一例を説明するための図である。 図11は、弾性部材の磨耗幅の測定箇所の一例を説明するための図である。 図12Aは、クリーニングブレードの当接部がめくれた状態を示す概略断面図である。 図12Bは、クリーニングブレードの先端面に局所的な摩耗を生じた状態を示す概略断面図である。 図12Cは、クリーニングブレードの当接部が欠落した状態を示す概略断面図である。
(クリーニングブレード)
本発明のクリーニングブレードは、弾性部材を少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記クリーニングブレードは、被清掃部材の表面に当接して、前記被清掃部材の表面の残留物を除去する前記弾性部材を有するクリーニングブレードである。
前記弾性部材は、基材と、硬化性組成物の硬化物からなる表面層とを有する。
前記表面層は、前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接辺を含む当接部における前記当接辺を含む少なくとも一部に形成されている。
前記当接部における前記表面層の平均厚みは、10μm以上100μm以下である。
前記当接辺における前記表面層の曲率半径は、5μm以上40μm以下である。
従来から、小粒径でかつ球形度に優れる重合トナーを用いる場合、クリーニングブレードと像担持体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けが生じるという問題がある。前記すり抜けを抑えるには、像担持体とクリーニングブレードとの当接圧力を高めてクリーニング能力を高める必要がある。しかし、前記クリーニングブレードの当接圧を高めると、図12Aに示すように、像担持体123とクリーニングブレード62との摩擦力が高まり、クリーニングブレード62が像担持体123の移動方向に引っ張られて、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれてしまう。このめくれたクリーニングブレード62が、そのめくれに抗して原形状態に復元する際に異音が発生することがある。
更に、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれた状態でクリーニングをし続けると、図12Bに示すように、クリーニングブレード62のブレード先端面62aの先端稜線部62cから数μm離れた箇所に局所的な摩耗が生じてしまう。このような状態で、更にクリーニングを続けると、この局所的な摩耗が大きくなる。最終的には、図12Cに示すように、先端稜線部62cが欠落してしまう。このように先端稜線部62cが欠落してしまうと、トナーを正常にクリーニングできなくなり、クリーニング不良を生じてしまうという問題がある。なお、図12A〜図12C中62bは、クリーニングブレードの下面である。
トナーのすり抜けによるクリーニング不良を解決するため、例えば、以下のような提案がある。特許第3602898号公報には、ポリウレタンエラストマーからなる弾性部材の当接部に、鉛筆硬度B〜6Hの皮膜硬度を有する樹脂からなる表面層を設けたものが提案されている。
特開2004−233818号公報には、シリコーンを含有した紫外線硬化性組成物をゴム製の弾性部材に含浸させて膨潤させた後、紫外線照射処理して前記紫外線硬化性組成物を硬化させたクリーニングブレードが提案されている。
特許第5532378号公報には、弾性部材の当接部を含む部分にイソシアネート化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物から選ばれる少なくとも1種が含浸され、かつ前記当接部を含む弾性部材の表面に弾性部材よりも硬い表面層を設けたクリーニングブレードが提案されている。
特開2012−58559号公報には、補強シート及び表面層により当接部を補強したクリーニングブレードが提案されている。
しかしながら、これら従来の表面層を設けたクリーニングブレード、及び含浸部分を設けたクリーニングブレードでは、先端稜線部のめくれは完全に抑制することは難しかった。また近年、電子写真方式による画像形成装置においては、高速化のニーズが高まっており、画像形成速度を高速化すると、先端稜線部はめくれ易くなり、当接部(以下、「先端稜線部」とも称する)が欠落してしまう。このような厳しい条件ではめくれにより先端稜線部が欠落しクリーニング不良や異音を生じてしまうことがあった。また、このような先端稜線部の欠落は、クリーニングブレードの長手方向に局所的に発生することがあり、局所的な欠落部では欠落部に対応する像担持体の表面にトナー等が固着しやすくなり、白抜け画像等の異常画像を生じてしまうことがあった。
また、当接部を含む部分に表面層を形成したクリーニングブレードでも、スプレーコートなどの方法で形成した場合は当接部の膜厚を厚くすることは難しく、当接部の膜厚が薄いことで早期に表面層が摩耗してしまう。これにより、弾性部材の基材が像担持体と接触することで、像担持体とのトルクが上昇する不具合が起こっていた。トルクが上昇すると像担持体の回転に負荷が掛かり、例えばタンデム方式での色ずれが生じてしまうという問題があった。
本発明のクリーニングブレードは、このような問題点(当接部の欠落、異常摩耗、異音)の発生を抑制しつつ、長期に渡る良好なクリーニング性の維持が可能である。
本発明に係るクリーニングブレードの一実施形態について図1、図2を用いて説明する。図1はクリーニングブレード62が感光体3の表面に当接している状態の説明図であり、図2はクリーニングブレード62の斜視図である。図のクリーニングブレード62では支持部材621、弾性部材624、基材622、表面層623が図示されており、本実施形態の基材622は短冊形状としている。また、ブレード先端面62a、ブレード下面62b、当接部62cが図示されている。
本発明において、弾性部材を構成する基材の長手方向の面で、被清掃部材の進行方向(本実施形態では回転方向)下流側と対向する面を基材の下面といい、基材の先端稜線部を含む被清掃部材の回転方向上流側と対向する先端の面を基材の先端面という。
また、弾性部材の長手方向の面で、被清掃部材の回転方向下流側と対向する面をブレード下面といい、弾性部材の先端稜線部を含む被清掃部材の回転方向上流側と対向する先端の面をブレード先端面という。
図1において、被清掃部材の進行方向下流側Bと対向する面がブレード下面62bであり、被清掃部材進行方向上流側Aと対向する先端の面がブレード先端面62aである。
また、弾性部材の被清掃部材の表面に当接する当接部は、弾性部材の先端稜線部を含む。また、先端稜線部がめくれる場合や線圧が高い場合ではブレード先端面の一部も当接部になりうる。
これまでに、本発明者らは、基材下面に硬化性組成物を含む表面層を配したクリーニングブレードが、当接部のめくれや異常摩耗等による異音の発生を抑制し、長期に渡る良好なクリーニング性を維持できるという知見を得ている。
この知見を踏まえ、本発明者らが、更に検討したところ、上記のクリーニングブレードにおいて、当接辺が直角又は鋭角であると、当接部が被清掃部材に引き込まれ、当接部のめくれ及び当接部の欠落が生じ、クリーニング性が悪化することがわかった。
特開2001−154553号公報には、基材をプラズマ処理して当接辺の曲率半径を調整したクリーニングブレードが提案されている。しかし、基材をプラズマ処理しただけでは、基材のごく表面しか改質することができず、少しでも摩耗すると曲率半径がもとの基材に戻る可能性がある。
そこで、本発明者らは、硬化性組成物を含む表面層を配し、プラズマ処理ではない方法により当接辺の曲率半径を調整したクリーングブレードが、より長期にわたって一定の当接辺の曲率半径を保つことができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明においては、クリーニングブレードの当接部における表面層の膜厚を10μm以上100μm以下にし、当接辺における表面層の曲率半径を5μm以上40μm以下にすることで、先端稜線部の動きを抑制することでのめくれを防止し、過剰なスティックスリップを抑制することができる。先端稜線部のめくれを防止することで、クリーニングブレードの長手方向に局所的に発生する先端稜線部の欠落を抑制できる。さらに、長期の使用により摩耗しても表面層が厚いことで弾性部材の基材が露出することを防止でき、トルク上昇や鳴きを抑制でき、これらの機能を維持することが可能である。これにより、めくれの低減や耐ブレード摩耗の両立、長期に渡る良好なクリーニング性を維持することができる。
また、弾性部材の基材が像担持体と接触することを防止できることから、トルクの上昇や像担持体の回転に掛かる負荷の増大を抑えることができるため、例えばタンデム方式での色ずれを防止することができる。なお、本発明のクリーニングブレードはタンデム方式に限られるものではない。
当接部における表面層の平均厚みが100μmを超えると、基材の弾性部材の柔軟性を維持しにくくなり、像担持体の軸ぶれによる振動や像担持体表面の微小なうねりに対する追従性への対応が難しくなりクリーニング不良が発生しやすくなる。また、当接部における表面層の平均厚みが10μm未満の場合、異常摩耗等による異音が発生してしまう。
当接部の表面層の平均厚みのより好ましい範囲としては、12μm以上65μm以下である。表面層の平均厚みを12μm以上65μm以下とすることにより初期の当接部のめくれがより発生しにくくなることや、摩耗が進んでも表面層内で摩耗をとどめることができ、弾性部材の基材の露出を抑制できるので、長期の使用でもめくれや鳴き、クリーニング不良が発生しにくくなる。
ここで、当接部の表面層の平均厚みは、当接部における表面層の任意の箇所を10箇所測定した算術平均値により求めることができる。厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、当接部の表面層を含む切断面をマイクロスコープを用いて測定する方法などが挙げられる。
具体的には、例えば、当接部の先端部(当接辺)から50μm〜200μm位置の表面層の厚みを測定する。なお、加えて、通常は、長手方向(当接辺の方向)の両端2cmを除いた位置で測定する。
当接辺における表面層の曲率半径が40μmを超えると、クリーニングに必要な先端部への圧力が分散しクリーニング不良が発生しやすくなる。また、5μm未満の場合、先端稜線部がめくれやすくなり、当接部の欠落が生じてしまう。
当接辺における表面層の曲率半径のより好ましい範囲としては、10μm以上25μm以下である。10μm以上25μm以下とすることにより、当接部のめくれが発生しにくくなることや圧力を分散させずにかけることができるので、クリーニング不良や当接部の欠落による異常画像が発生しにくくなる。
ここで、当接辺における表面層の曲率半径は、当接辺を顕微鏡により観察し、計算をすることにより求めることができる。
具体的には、以下のようにして測定することができる。例えば、図9に示すようにクリーニングブレードを45度の方向から当接部をレーザマイクロスコープVK−9510(キーエンス社製)で観察する。観察する位置は、当接辺の両端2cmを除く、任意の5点である。曲率半径は、これらの平均値である。
図10に測定の一例を示す。図10に示される例は曲率半径2.5μmの例であり、曲率半径=エッジ幅/√2の計算式を用いて求めている。なお、エッジ幅とは、図10のように、本来、直角を形成する直線(図10の点線)から外れたところの幅を指す。
<クリーニングブレードの製造方法>
従来、スプレーやディップコーティングで作製していた以前のブレードでは当接部に厚膜を乗せることは難しく、当接部近傍は10μmの膜があっても当接部は1μm〜3μmに満たなかった。表面層が薄いため基材ゴムが像担持体と接触してしまうことで、めくれが生じやすくなっていた。
これに対し、本実施形態のクリーニングブレード62は、例えばウレタンゴムからなる基材622に対して表面層623を形成する硬化性組成物を塗工した後、紫外線照射や加熱により樹脂を硬化させている。このとき、基材ゴムの当接辺における曲率半径を任意の値になるようにラッピングフィルムシート等で研磨をしておくことで、当接辺を含む面に塗工した表面層の当接辺における曲率半径を5μm以上40μm以下に形成することができる。これにより先端稜線部のめくれが起こりにくく、さらに先端稜線部に表面層が10μm以上100μm以下で形成されていることで、基材ゴムが像担持体と接触することも抑制でき、長期の使用でもめくれが生じにくく先端部の欠落が起こりにくい。
表面層は、硬化性組成物を用いて、スプレー塗工、ディップ塗工、あるいはスクリーン印刷等によって、クリーニングブレードの先端稜線部を被覆することにより形成される。
ブレード下面の表面層は、バーコート、スプレーコート、ディップコート、ハケ塗り、スクリーン印刷などで形成することができる。表面層の膜厚は、塗工液の固形分濃度、塗工条件(バーコート:ギャップ、スプレーコート:吐出量・距離・移動速度、ディップコート:引き上げ速度など)、塗工回数などの条件を適宜変更することにより制御することが可能である。
本実施形態のクリーニングブレードの製造方法の一部を図3A〜図3Eに示す。図3A〜図3Eはクリーニングブレードの弾性部材を側面から見た場合の図である。図3Aの左側の図は基材622を示しており、真ん中の図は基材の先端稜線部を研磨し曲率半径を任意の値に調整したものを示しており、右側の図は曲率半径を調整した基材に表面層として硬化性組成物を塗工・硬化させた状態を示すものであり、図3Aの右側に示される弾性部材624を作製する。基材を研磨する方法としては、特開2013−174858に示される研磨シートに基材の先端稜線部を押し当てる方法などがある。押し当てる角度を変化させることで任意の曲率半径を得られる。
また、図3Bでは、左側の図は基材622を型を用いて作製した状態を示している。右側の図は硬化性組成物を塗工・硬化させた状態を示すものである。
また、図3Cでは、基材622に対して硬化性組成物を塗工・硬化させた状態を示しているが、塗工条件を調整することで先端稜線部に厚膜を得られる。
また、図3Dでは、基材622のブレード下面のみに対して、硬化性組成物を塗工・硬化させた状態を示している。
また、図3Eでは、基材622のブレード先端面のみに対して、硬化性組成物を塗工・硬化させた状態を示している。
本実施形態では、基材ゴムの成型時に先端稜線部の曲率半径を調整することや基材ゴムの先端稜線部を研磨すること、表面層の塗工方法を工夫することで、厚膜でかつ任意の曲率半径をもつクリーニングブレードを作製できた。また、厚膜を形成するために柔軟性のある膜が好ましく、耐久性のある膜が好ましく、熱硬化性や紫外線硬化性の樹脂が好ましい。
<弾性部材>
前記弾性部材は、基材と、表面層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部を有する。
<<基材>>
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記基材の厚み方向において対向する一対の板面と、前記板面と直交し、前記板面の面内方向において対向する二対の端面からなる形状が挙げられ、平板状、短冊状、シート状などが好ましい。
前記基材の大きさとしては、特に制限はなく、前記被清掃部材の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1種の材質からなる単層構造、2種の異なる材質を一体成形した2層構造、数種の異なる材質を一体成形した多層構造などが挙げられる。
なお、2層以上を積層した前記基材を製造する際は、混合率の異なる原材料を各層が完全に硬化する前に、遠心成形金型に連続的に注入することにより、層間剥離が起こらないように一体的に成形することが可能である。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高弾性が得られやすい点から、ウレタンゴムが好ましい。
前記基材の硬さについては前述の通りである。
前記基材の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いてポリウレタンプレポリマーを調製し、該ポリウレタンプレポリマーに硬化剤、及び必要に応じて硬化触媒を加えて、所定の型内にて架橋し、炉内にて後架橋させたものを遠心成型によりシート状に成型後、常温放置、熟成したものを所定の寸法にて、平板状に裁断することにより、製造される。
前記ポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子量ポリオール、低分子量ポリオールなどが挙げられる。
前記高分子量ポリオールとしては、例えば、アルキレングリコールと脂肪族二塩基酸との縮合体であるポリエステルポリオール;エチレンアジペートエステルポリオール、ブチレンアジペートエステルポリオール、ヘキシレンアジペートエステルポリオール、エチレンプロピレンアジペートエステルポリオール、エチレンブチレンアジペートエステルポリオール、エチレンネオペンチレンアジペートエステルポリオール等のアルキレングリコールとアジピン酸とのポリエステルポリオール等のポリエステル系ポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルポリオール等のポリカプロラクトン系ポリオール;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量ポリオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の二価アルコール;1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の三価又はそれ以上の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記硬化触媒の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.3質量%以下がより好ましい。
前記基材のJIS−A硬度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60度以上が好ましく、65度以上80度以下がより好ましい。前記JIS−A硬度が、60度以上であると、ブレード線圧が得られやすく、像担持体との当接部の面積が拡大しにくいため、クリーニング不良が発生しにくくなる。
ここで、前記基材のJIS−A硬度は、例えば、高分子計器社製、マイクロゴム硬度計MD−1などを用いて測定することができる。
前記基材のJIS K6255規格に準拠した反発弾性率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、前記基材の反発弾性係数は、例えば、JIS K6255規格に準拠し、23℃において、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用いて測定することができる。
前記基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0mm以上3.0mm以下が好ましい。
前記基材の平均厚みは、例えば、マイクロメータなどを用いて測定することができる。
前記基材の前記平均厚みの求め方としては、例えば、前記基材に対して任意の複数の点を選択し、前記複数の点の厚みの平均を算出することにより求める方法などが挙げられる。前記平均としては、5点の厚みの平均が好ましく、10点の厚みの平均がより好ましく、20点の厚みの平均が特に好ましい。なお、他の部材及び層などの平均厚みについても同様に算出することができる。
<<表面層>>
前記クリーニングブレードは、前記像担持体に当接する先端稜線部が硬化性組成物の硬化物からなる表面層により形成されている(基材との混合層ではない)。表面層は、当接部とブレード下面に形成されていればよく、先端面にも表面層が形成されていてもよい。また、基材内部に硬化性組成物の硬化物が含まれていても構わない。
前記表面層の平均厚みは前述のとおりである。
表面層は先端稜線部から1mm以上7mm以下の領域であることが好ましい。7mm以下であると、弾性部材の柔軟性をより阻害せず、被清掃部材への追従性がより良くなり、クリーニング性がより良好になる。
表面層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化物のマルテンス硬度が、基材のマルテンス硬度よりも硬い硬化性組成物の硬化物を用いることがより好ましい。表面層は、弾性部材の基材よりも硬度が高い部材とすることで、剛直なため、変形し難く、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれを抑制することができる。
本実施形態においては、クリーニングブレードの当接部の表面層の膜厚を制御するために、各条件を鋭意検討した。その結果、当接部での表面層形成方法や材料の柔軟性や硬化収縮性を変更すること、紫外線硬化樹脂では開始剤を変更することで、当接部の表面層の膜厚と当接辺における表面層の曲率半径を制御することが可能になった。
前記弾性部材の当接部に、硬化性組成物の硬化物からなる表面層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、当接部に前記硬化性組成物をスプレー塗布して表面層を形成し、硬化させる方法などが挙げられる。
前記クリーニングブレードの当接部に形成した表面層の前記硬化性組成物を硬化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線の照射、加熱などによる処理などが挙げられる。
前記紫外線を照射する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、装置の内部に紫外線の光源が設けられ、コンベア等の搬送手段により被硬化物を搬送しながら紫外線を照射する装置などが挙げられる。
前記紫外線の光源としては、重合開始剤に対応するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ランプ、紫外線発光半導体素子などが挙げられる。
前記ランプとしては、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプなどが挙げられ、市販品を使用することができる。前記市販品としては、例えば、ヘレウス社製のHバルブ、Dバルブ、Vバルブなどが挙げられる。
前記紫外線発光半導体素子としては、紫外線発光ダイオードや紫外線発光半導体レーザなどが挙げられる。
前記紫外線の種類としては、前記硬化性組成物に含有させる重合開始剤に対応するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、波長200nm以上400nm以下の紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどが挙げられる。
前記紫外線の照射条件については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、積算光量が500mJ/cm以上が好ましい。また、酸素阻害による硬化率の低下を抑制するためには不活性ガス(Ar、N、COなど)雰囲気下での照射がより好ましい。
前記改質後のクリーニングブレードの弾性仕事率は、60%以上90%以下が好ましい。前記弾性仕事率はマルテンス硬度の測定時の積算応力から、以下のようにして求められる特性値である。前記マルテンス硬度は、ビッカース圧子を一定の力で、例えば、30秒間で押し込み、5秒間保持し、一定の力で30秒間抜く動作を行いながら微小硬度計を用いて計測する。
ここで、ビッカース圧子を押し込むときの積算応力をWplast、試験荷重除荷寺の積算応力をWelastとすると、弾性仕事率は、Welast/Wplast×100[%]の式で定義される特性値である(図4参照)。前記弾性仕事率が高いほど、塑性変形が少ない、即ち、ゴム性が高いことを表す。前記弾性仕事率が低すぎると、ゴムというよりガラスに近い状態であり、当接部の動きが抑制されすぎて、逆に耐摩耗性を悪化させる。
<<<硬化性組成物>>>
前記硬化性組成物は、少なくとも硬化性化合物を含む。
前記硬化性組成物は、モノマーやオリゴマーが光や熱などのエネルギーを受けることにより重合硬化し硬化物(固形ポリマー)を形成する材料のことである。重合を開始させる活性種(ラジカル、イオン、酸、塩基など)を発生させる開始剤や刺激(電子線)の種類によってエネルギー源が異なり、例えば、紫外線硬化性組成物、熱硬化性組成物、電子線硬化組成物などが挙げられる。
紫外線硬化組成物や電子線硬化組成物では、光重合開始剤が用いられ、紫外線や電子線を照射することで、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれかに分類される硬化反応がおこり、ビニル重合、ビニル共重合、開環重合、付加重合などの重合反応により硬化物を生成する。
熱硬化性組成物は、熱重合開始剤が用いられ加熱することにより硬化反応が開始され、イソシアナート、ラジカル重合、エポキシ開環重合、メラミン系縮合などの重合反応により硬化物を生成する。
このような反応により生成する前記硬化物を作製するための硬化性組成物は、硬化性化合物を含有する。前記硬化性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂などが挙げられる。硬化収縮が少ない点でエポキシ樹脂が好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。また、ビスフェノールA型骨格をもつエポキシ樹脂が含まれていることがより好ましく、ビスフェノールF型や臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ノボラック型、ビフェニル型などと組み合わせて使用することもできる。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む材料を用いると、硬化収縮が少ないので、厚い表面層を容易に作製することが可能になり目的の膜厚を得ることができる。また、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂を含む材料を用いると、表面層は硬くなり、クリーニングブレードの先端稜線部がめくれて図12Bのような先端面摩耗を生じることがなく、長期に渡るクリーニング性を保持できる。
また、前記アクリル樹脂における(メタ)アクリレート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子内にペンタエリスリトール構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
前記分子内にペンタエリスリトール構造を有する(メタ)アクリレート化合物は、官能基当量分子量が110以下であり、官能基数が3〜6のものが好ましく、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、ペンタエリスリトール・トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
官能基当量分子量が110以下であるか、またはペンタエリスリトール・トリアクリレート骨格を有する材料を用いると、表面層は硬くなり、クリーニングブレードの先端稜線部がめくれて図12Bのような先端面摩耗を生じることがなく、長期に渡るクリーニング性を保持できる。
前記分子内にペンタエリスリトール構造を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記硬化性組成物に対して、固形分量で、20質量%以上90質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。
前記硬化性組成物は、前記分子内にペンタエリスリトール構造を有する(メタ)アクリレート化合物以外にも、分子量が100以上1,500以下の(メタ)アクリレート化合物、フッ素系(メタ)アクリレート化合物、分子内に脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物を含有することができる。
前記分子量が100以上1,500以下の他の(メタ)アクリレート化合物、前記フッ素系(メタ)アクリレート化合物、及び前記分子内に脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、適宜選択することができる。
前記フッ素系(メタ)アクリレート化合物としては、パーフルオロポリエーテル骨格を有するものが好ましく、パーフルオロポリエーテル骨格を有し、官能基数が2以上であるものがより好ましい。
前記フッ素系(メタ)アクリレート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルメタクリレート、2−[(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−(トリフルオロメチル)−2'−ヒドロキシ)プロピル]−3−ノルボルニルメタクリレート、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−4−メチル−5−ペンチルメタクリラート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘニコサフルオロドデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘニコサフルオロドデシルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,12,12,12−ヘニコサ−11−(トリフルオロメチル)ドデシルメタクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フッ素系(メタ)アクリレート化合物としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、オプツールDAC−HP(ダイキン工業社製)、メガファックRS−75(DIC社製)、ビスコートV−3F(大阪有機化学工業社)などが挙げられる。
前記フッ素系(メタ)アクリレート化合物の前記硬化性組成物における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分量で、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。
硬化性組成物におけるその他の成分としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、希釈剤が挙げられるが、樹脂粒子や無機粒子を含まないことが好ましい。
前記重合開始剤としては、光又は熱などにより重合を開始させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。光重合開始剤としては、光のエネルギーによりラジカルやカチオンなどの活性種を生成して重合を開始させる光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤などが好ましく、光ラジカル重合開始剤がより好ましい。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光ラジカル重合開始剤としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、イルガキュア 651、イルガキュア 184、DAROCUR 1173、イルガキュア 2959、イルガキュア 127、イルガキュア 907、イルガキュア 369、イルガキュア 379、DAROCUR TPO、イルガキュア 819、イルガキュア 784、イルガキュア OXE 01、イルガキュア OXE 02、イルガキュア 754(以上、BASFジャパン社製);Speedcure TPO(Lambson社製);KAYACURE DETX−S(日本化薬社製);Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製);ユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記硬化性組成物に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましい。
本発明のような厚膜を形成する場合は光重合開始剤として、内部硬化性の良好なフォトブリーチング効果を持つ光重合開始剤が好ましく、表面硬化性の良好な光重合開始剤と組み合わせて使用するのがより好ましい。光重合開始剤の量は硬化性組成物に対して1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール化合物;p−ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、2,5−ジ−ブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、モノメチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン等のキノン化合物;フェニル−β−ナフチルアミン、p−ベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジベンジルヒドロキシルアミン、フェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ジニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸等のニトロ化合物;キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;フェノチアジン等の硫黄化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記希釈剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;エタノール、プロパノール、1−ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持部材などが挙げられる。
<<支持部材>>
前記クリーニングブレードは、例えば、支持部材と、該支持部材に一端が連結され、他端に所定長さの自由端部を有する平板状の弾性部材とからなることが好ましい。
前記クリーニングブレードは、例えば、前記弾性部材の自由端側の一端である当接辺が前記被清掃部材表面に長手方向に沿って当接するように配置される。
前記支持部材は、前記弾性部材を支持する部材であれば、その形状、大きさ、材質などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記支持部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、短冊状、シート状などが挙げられる。
前記支持部材の大きさとしては、特に制限はなく、前記被清掃部材の大きさに応じて適宜選択することができる。
前記支持部材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、プラスチック、セラミックなどが挙げられる。これらの中でも、強度の点から金属板が好ましく、ステンレススチール等の鋼板、アルミニウム板、リン青銅板が特に好ましい。
<被清掃部材>
前記被清掃部材としては、その形状、構造、大きさ、材質などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、像担持体などが挙げられる。
前記被清掃部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラム状、ベルト状、平板状、シート状などが挙げられる。
前記被清掃部材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記被清掃部材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、プラスチック、セラミックなどが挙げられる。
<残留物>
前記残留物としては、前記被清掃部材表面に付着しており、前記クリーニングブレードの除去対象となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー、潤滑剤、無機微粒子、有機微粒子、ゴミ、埃又はこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、トナーが好ましく、ガラス転移温度が50℃以下の低温定着性のトナーが特に好ましい。
本発明のクリーニングブレードは、以上説明した特性を備えており、各種分野に幅広く用いることができるが、以下に説明する本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジに特に好適に用いられる。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有する。なお、前記帯電手段と前記露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
本発明で用いられる画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、クリーニング工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。なお、前記帯電工程と前記露光工程を合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
本発明で用いられる画像形成方法は、本発明の前記画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<像担持体>
前記像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記像担持体の形状としては、例えば、ドラム状、ベルト状などが挙げられる。前記像担持体の材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程は、前記像担持体の表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記像担持体の表面を帯電させることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程は、帯電された前記像担持体の表面を露光する工程であり、前記露光手段により行われる。前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により前記像担持体の表面に直接投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、前記電気信号を光信号に変換して像担持体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系などの各種露光器が挙げられる。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、前記静電潜像を前記トナー像に現像する工程であり、前記現像手段により行われる。
前記現像手段としては、前記静電潜像をトナー像に現像することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナーを収容し、前記静電潜像に前記トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式又は湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器又は多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものなどが好適に挙げられる。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、前記トナー像を記録媒体に転写する工程であり、前記転写手段により行われる。
前記転写工程としては、例えば、中間転写体を用い、前記トナー像を前記中間転写体の表面に転写して複合転写像を形成する1次転写工程と、前記複合転写像を記録媒体に転写する2次転写工程とを含む態様が好ましい。
前記転写手段としては、前記トナー像を記録媒体に転写できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記トナー像を前記中間転写体の表面に転写して複合転写像を形成する1次転写手段と、前記複合転写像を記録媒体に転写する2次転写手段とを有する態様が好ましい。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着させる工程であり、前記定着手段により行われる。なお、2色以上のトナーを用いる場合は、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着させてもよいし、全色のトナーが記録媒体に転写されて積層された状態で定着させてもよい。
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の加熱加圧手段を用いた熱定着方式を採用することができる。
前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラを組合せたもの、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトを組合せたものなどが挙げられる。加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜200℃が好ましい。なお、必要に応じて、前記定着手段とともに、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
<クリーニング工程及びクリーニング手段>
前記クリーニング工程は、前記像担持体の表面に残留する前記トナーを除去する工程であり、前記クリーニングブレードにより行われる。
前記弾性部材が前記像担持体の表面に加える前記線圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/m以上100N/m以下が好ましく、10N/m以上50N/m以下がより好ましい。前記線圧が10N/m以上100N/m以下であると、前記トナーが前記当接部と前記被清掃部材との間のすり抜けるクリーニング不良が発生しにくくなるとともに、前記弾性部材の捲れを抑制しやすくすることができる。
なお、前記線圧は、例えば、共和電業株式会社製の小型圧縮型ロードセルを組み込んだ測定装置を用いて測定することができる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、前記画像形成装置に着脱可能に備えられる装置(ユニット)である。本発明のクリーニングブレードは、前記画像形成装置に固定されて備えられてもよく、前記プロセスカートリッジに備えられてもよい。この場合、前記プロセスカートリッジは、前記像担持体と、前記像担持体の表面に当接して、前記像担持体の表面の残留物を除去する本発明のクリーニングブレードとを有し、更に必要に応じて前記帯電手段、前記露光手段、前記現像手段、前記転写手段などのその他の手段を有する。
ここで、本発明のクリーニングブレードが用いられる本発明の画像形成装置の一例について図面を参照して説明する。
なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状等にすることができる。
図5は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
図5に示すように、前記画像形成装置であるプリンタ500は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、「Y」、「C」、「M」、「K」とそれぞれ称する。)用の四つの作像ユニット1Y、1C、1M、1Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
四つの作像ユニット1の上方には、中間転写体である中間転写ベルト14を備えた転写ユニット60が配置されている。後述する各作像ユニット1Y、1C、1M、1Kが備える感光体3Y、3C、3M、3Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上に重ね合わせて転写される。
また、四つの作像ユニット1の下方に光書込ユニット40が配設されている。潜像形成手段である光書込ユニット40は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各作像ユニット1Y、1C、1M、1Kの感光体3Y、3C、3M、3Kに照射する。これにより、感光体3Y、3C、3M、3K上にY、C、M、K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット40は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー41によって偏向させながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3Y、3C、3M、3Kに照射するものである。このような構成のものに代えて、LEDアレイによる光走査を行うものを採用することもできる。
光書込ユニット40の下方には、第一給紙カセット151、第二給紙カセット152が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ記録媒体である転写紙Pが複数枚重ねられた紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第一給紙ローラ151a、第二給紙ローラ152aがそれぞれ当接している。第一給紙ローラ151aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動させられると、第一給紙カセット151内の一番上の転写紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路153に向けて排出される。また、第二給紙ローラ152aが図示しない駆動手段によって図5中反時計回りに回転駆動させられると、第二給紙カセット152内の一番上の転写紙Pが、給紙路153に向けて排出される。
給紙路153内には、複数の搬送ローラ対154が配設されている。給紙路153に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対154のローラ間に挟み込まれながら、給紙路153内を、図5中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路153の搬送方向下流側端部には、レジストローラ対55が配設されている。レジストローラ対55は、搬送ローラ対154から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むと直ぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで、後述する二次転写ニップに向けて送り出す。
図6は、四つの作像ユニット1のうちの一つの概略構成を示す構成図である。
図6に示すように、作像ユニット1は、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
感光体3の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、一次転写ローラ7、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10及び不図示の除電ランプ等が配置されている。帯電ローラ4は、帯電手段としての帯電装置が備える帯電部材であり、現像装置5は、感光体3の表面上に形成された潜像をトナー像化する現像手段である。一次転写ローラ7は、感光体3の表面上のトナー像を中間転写ベルト14に転写する一次転写手段としての一次転写装置が備える一次転写部材である。クリーニング装置6は、トナー像を中間転写ベルト14に転写した後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段である。潤滑剤塗布装置10は、クリーニング装置6がクリーニングした後の感光体3の表面上に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段である。不図示の除電ランプは、クリーニング後の感光体3の表面電位を除電する除電手段である。
帯電ローラ4は、感光体3に所定の距離を持って非接触で配置され、感光体3を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。帯電ローラ4によって一様帯電された感光体3の表面は、潜像形成手段である光書込ユニット40から画像情報に基づいてレーザ光Lが照射され静電潜像が形成される。
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の二本のスクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51の表面上に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
クリーニング装置6は、ファーブラシ101、クリーニングブレード62などを有している。クリーニングブレード62は、感光体3の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体3に当接している。なお、クリーニングブレード62は本発明のクリーニングブレードである。
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103や潤滑剤加圧スプリング103a等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、ブラケット103bに保持され、潤滑剤加圧スプリング103aによりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により、固形潤滑剤103が削られて、感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体への潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
図6では、帯電ローラ4を感光体3に近接させた非接触の近接配置方式を採用しているが、帯電装置としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)を始めとする公知の構成を用いることができる。これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式又は非接触の近接配置方式が望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ないこと、装置の小型化が可能であること等のメリットを有する。
光書込ユニット40のレーザ光Lの光源や除電ランプ等の光源は特に限定されず、発光物全般を用いることができる。具体的には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが挙げられる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、また600nm〜800nmの長波長光を有するため、良好に使用される。
転写手段である転写ユニット60は、中間転写ベルト14の他に、ベルトクリーニングユニット162、第一ブラケット63、第二ブラケット64などを備えている。また四つの一次転写ローラ7Y、7C、7M、7K、二次転写バックアップローラ66、駆動ローラ67、補助ローラ68、テンションローラ69なども備えている。中間転写ベルト14は、これら8つのローラ部材に張架されながら、駆動ローラ67の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動させられる。四つの一次転写ローラ7Y、7C、7M、7Kは、このように無端移動させられる中間転写ベルト14を感光体3Y、3C、3M、3Kとの間に挟み込んで、それぞれ一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト14の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト14は、その無端移動に伴ってY、C、M、K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体3Y、3C、3M、3K上のY、C、M、Kトナー像が重ね合わされて一次転写される。これにより、中間転写ベルト14上に四色重ね合わせトナー像(以下、「四色トナー像」という)が形成される。
二次転写バックアップローラ66は、中間転写ベルト14のループ外側に配設された二次転写ローラ70との間に中間転写ベルト14を挟み込んで二次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対55は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト14上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで、二次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト14上の四色トナー像は、二次転写バイアスが印加される二次転写ローラ70と二次転写バックアップローラ66との間に形成される二次転写電界や、ニップ圧の影響により、二次転写ニップ内で転写紙Pに一括二次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト14には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット162によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット162は、ベルトクリーニングブレード162aを中間転写ベルト14のおもて面に当接させており、これによって中間転写ベルト14上の転写残トナーを掻き取って除去するものである。
転写ユニット60の第一ブラケット63は、図示しないソレノイドの駆動のオンオフに伴って、補助ローラ68の回転軸線を中心にして所定の回転角度で揺動するようになっている。プリンタ500は、モノクロ画像を形成する場合には、前述のソレノイドの駆動によって第一ブラケット63を図中反時計回りに少しだけ回転させる。この回転により補助ローラ68の回転軸線を中心にして一次転写ローラ7Y、7C、7Mを図中反時計回りに公転させることで、中間転写ベルト14を感光体3Y、3C、3Mから離間させる。そして、四つの作像ユニット1Y、1C、1M、1Kのうち、K用の作像ユニット1Kだけを駆動して、モノクロ画像を形成する。これにより、モノクロ画像形成時にY、C、M用の作像ユニット1を無駄に駆動させないようにし、作像ユニット1を構成する各部材の消耗を回避することができる。
二次転写ニップの図中上方には、定着ユニット80が配設されている。この定着ユニット80は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加圧加熱ローラ81と、定着ベルトユニット82とを備えている。定着ベルトユニット82は、定着部材である定着ベルト84、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱ローラ83、テンションローラ85、駆動ローラ86、図示しない温度センサ等を有している。そして、無端状の定着ベルト84を加熱ローラ83、テンションローラ85及び駆動ローラ86によって張架しながら、図中反時計回り方向に無端移動させる。この無端移動の過程で、定着ベルト84は加熱ローラ83によって裏面側から加熱される。このようにして加熱される定着ベルト84の加熱ローラ83への掛け回し箇所には、図中時計回り方向に回転駆動される加圧加熱ローラ81がおもて面側から当接している。これにより、加圧加熱ローラ81と定着ベルト84とが当接する定着ニップが形成されている。
定着ベルト84のループ外側には、図示しない温度センサが定着ベルト84のおもて面と所定の間隙を介して対向するように配設されており、定着ニップに進入する直前の定着ベルト84の表面温度を検知する。この検知結果は図示しない定着電源回路に送られる。定着電源回路は、温度センサによる検知結果に基づいて、加熱ローラ83に内包される発熱源や加圧加熱ローラ81に内包される発熱源に対する電源の供給をオンオフ制御する。
上述した二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト14から分離された後、定着ユニット80内に送られる。そして、定着ユニット80内の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト84によって加熱され押圧されることにより、フルカラートナー像が転写紙Pに定着される。
このようにして定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対87のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ500本体の筺体の上面には、スタック部88が形成されており、排紙ローラ対87によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部88に順次スタックされる。
転写ユニット60の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する四つのトナーカートリッジ100Y、100C、100M、100Kが配設されている。これらのトナーカートリッジ内のY、C、M、Kトナーは、作像ユニット1Y、1C、1M、1Kの現像装置5Y、5C、5M、5Kに適宜供給される。トナーカートリッジ100Y、100C、100M、100Kは、作像ユニット1Y、1C、1M、1Kとは独立にプリンタ本体に脱着可能である。
次に、プリンタ500における画像形成動作について説明する。
図示しない操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電ローラ4及び現像ローラ51に、それぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に光書込ユニット40及び除電ランプなどの光源にも、それぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により、感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
感光体3が図中矢印方向に回転すると、まず感光体3表面が帯電ローラ4によって所定の電位に一様帯電される。そして、光書込ユニット40から画像情報に対応したレーザ光Lが感光体3上に照射され、感光体3表面上のレーザ光Lが照射された部分が除電され静電潜像が形成される。
静電潜像の形成された感光体3の表面は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシによって摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。各作像ユニット1において同様の作像プロセスが実行され、各作像ユニット1Y、1C、1M、1Kの各感光体3Y、3C、3M、3Kの表面上に各色のトナー像が形成される。
このように、プリンタ500では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。ここでは、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限られるものではない。
各感光体3Y、3C、3M、3Kの表面上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト14の表面上で重なるように、順次一次転写される。これにより中間転写ベルト14上に四色トナー像が形成される。
中間転写ベルト14上に形成された四色トナー像は、第一給紙カセット151又は第二給紙カセット152から給紙され、レジストローラ対55のローラ間を経て、二次転写ニップに給紙される転写紙Pに転写される。このとき、転写紙Pはレジストローラ対55に挟まれた状態で一旦停止し、中間転写ベルト14上の画像先端と同期を取って二次転写ニップに供給される。トナー像が転写された転写紙Pは中間転写ベルト14から分離され、定着ユニット80へ搬送される。そして、トナー像が転写された転写紙Pが定着ユニット80を通過することにより、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙P上に定着され、トナー像が定着された転写紙Pはプリンタ500装置外に排出されてスタック部88にスタックされる。
一方、二次転写ニップで転写紙Pにトナー像を転写した中間転写ベルト14の表面は、ベルトクリーニングユニット162によって表面上の転写残トナーが除去される。
また、一次転写ニップで中間転写ベルト14に各色のトナー像を転写した感光体3の表面は、クリーニング装置6によって転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
プリンタ500の作像ユニット1は、図6に示すように、感光体3と、プロセス手段として帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10などとが枠体2に収められている。そして、作像ユニット1は、プロセスカートリッジとしてプリンタ500本体から一体的に着脱可能となっている。プリンタ500では、作像ユニット1がプロセスカートリッジとしての感光体3とプロセス手段とを一体的に交換するようになっている。しかし、感光体3、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
次に、本発明を適用したプリンタ500に好適なトナーについて説明する。
プリンタ500に用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5μm以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5μmのものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5g程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、図7Aに示す実際のトナー投影形状の外周長をC1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ図7Bに示す真円の外周長をC2としたときのC2/C1を求め、その平均値を円形度とした。
体積平均粒径については、コールターカウンター法によって求めることが可能である。具体的には、コールターマルチサイザー2e型(コールター社製)によって測定したトナーの個数分布や体積分布のデータを、インターフェイス(日科機社製)を介してパーソナルコンピューターに送って解析するのである。
解析方法の具体例を説明する。1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を電解液として用意する。そして、この電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加える。更に、これに被検試料としてのトナーを2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分間、分散処理する。
そして、別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に分散処理後の溶液を所定濃度になるように加えて、上記コールターマルチサイザー2e型にかける。
アパーチャーとしては、100μmのものを用い、50,000個のトナー粒子の粒径を測定する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上32.0μm以下のトナー粒子を対象とする。
そして、「体積平均粒径=ΣXfV/ΣfV」という関係式に基づいて、体積平均粒径を算出する。但し、「X」は各チャンネルにおける代表径、「V」は各チャンネルの代表径における相当体積、「f」は各チャンネルにおける粒子個数である。
このような重合トナーにおいては、従来の粉砕トナーを感光体3表面から除去するときと同じようにしてクリーニングブレード62で除去しようとしても、その重合トナーを感光体3表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生する。また近年の結晶性樹脂を用いた低温定着トナーは、ブレードすり抜け時に大きく変形し、ブレードの稜線に固着したり、感光体表面に融着してしまう。そこで、クリーニングブレード62の感光体3への当接圧を高めて、クリーニング性をアップしようとすると、クリーニングブレード62が早期に摩耗してしまうという問題があった。
また、クリーニングブレード62と感光体3との摩擦力が高まって、クリーニングブレード62の感光体3と当接している先端稜線部が感光体3の移動方向に引っ張られて、先端稜線部がめくれてしまう。クリーニングブレード62の先端稜線部がめくれると、異音や振動、先端稜線部の欠落などの様々な問題が生じてしまう。
本発明のクリーニングブレードは、上述のような重合トナーにおいてもクリーニング不良を発生することがなく、異音や振動、先端稜線部の欠落等も生じることがない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<基材>
弾性部材の基材としては、表1のJIS−A硬度、反発弾性率、及びマルテンス硬度(HM)となっているウレタンゴム(基材1、2)(東洋ゴム株式会社製)を用意した。測定方法を以下に示す。
<<基材のJIS−A硬度>> 弾性部材の基材の下面側のJIS−A硬度は、高分子計器株式会社製、マイクロゴム硬度計MD−1を用い、JIS K6253に準じて測定した(23℃)。
<<基材の反発弾性率>>
弾性部材の基材の反発弾性率は、23℃で、株式会社東洋精機製作所製、No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚み4mm以上となるように厚み2mmのシートを重ね合わせたものを用いた。
<<基材のマルテンス硬度>>
前記弾性部材の基材のブレード下面において、基材のマルテンス硬度(HM)は、フィシャー・インストルメンツ社製、微小硬度計 HM−2000を用い、ビッカース圧子を1.0mNの力で10秒間押し込み、5秒間保持し、1.0mNの力で10秒間抜いて、測定した。
<<基材の研磨処理>>
<基材の研磨処理>
当接辺における表面層の曲率半径を調節するため、基材の当接辺になる部分に研磨処理を行った。研磨処理は、以下に示す3M社製の精密研摩シート(ラッピングフィルムシート)を用いた。用いた研磨シートにより、研磨処理1、及び研磨処理2とした。
円筒基体に前記研摩シートを固定し、基材ブレードを当接させながら円筒基体を回転させて当接部を研摩することで処理を行った。研摩処理量は研摩シートの種類と処理時間により所定の処理量とした。このとき、研磨シートに当接させる基材の角度を変化させることで曲率半径を調節した。
−研摩処理1−
研摩シート:#8000、粒度1[μm]
−研摩処理2−
研摩シート:#15000、粒度0.3[μm]
(調製例)
−硬化性組成物の調製−
下記表2に示す組成から、硬化性組成物1〜6を常法により調製した。硬化性組成物1〜2は、熱硬化性組成物であり、硬化性組成物3〜6は紫外線硬化性組成物である。
表2中、MTHPAは3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、BDMAはN,N−ジメチルベンジルアミンを示す。
前記硬化性組成物1〜6で用いた硬化材料の詳細について、下記表3及び表4に示す。
<トナーの作製例>
以下に示す重合法(例えば、特開2014−92633号公報参照)により作製したトナーを用いた。
作製したトナーの物性は、以下の通りである。
・トナー母体粒子:平均円形度0.98、体積平均粒径4.9μm
・外添剤:小粒径シリカ1.5質量部(クラリアント社製、H2000)
小粒径酸化チタン0.5質量部(テイカ社製、MT−150AI)
大粒径シリカ1.0質量部(電気化学工業社製、UFP−30H)
・トナーのガラス転移温度:50℃
(実施例1)
<クリーニングブレード1の作製>
厚み1.8mmの短冊形状の基材1に研磨処理1を行い、硬化性組成物1を基材1の下面に膜厚が30μmの表面層が形成されるように塗工した。
具体的には、スプレー塗工により基材の先端面から5mm/sのスプレーガン移動速度にて基材1の当接部に重ね塗りを行った。その後、110℃の恒温槽で3時間加熱を行った後、165℃の恒温槽で2時間加熱をして硬化させた。
次に、前記当接部に表面層が形成された各弾性部材をカラー複合機(imagio MP C4500、株式会社リコー製)に搭載できるように板金ホルダー(支持部材)に接着剤で固定した。以上により、当接部に表面層が形成されたクリーニングブレード1を作製した。
作製した前記弾性部材及びクリーニングブレードについて、以下のようにして、諸特性を測定した。結果を表5に示した。
<表面層の平均厚み>
図8は、実施例におけるクリーニングブレードの当接部の平均厚みの測定箇所を示す断面図である。
図8に示すように、前記弾性部材を長手方向に対して直交する面で輪切りにし、この断面を上向きにして、デジタルマイクロスコープVHX−2000(キーエンス社製)で観察した。測定箇所は、前記断面のブレード当接部(先端稜線部)である。
前記弾性部材を輪切りにする方法としては、弾性部材の長手方向の厚みが3mmとなるように、弾性部材の長手方向に対して垂直に剃刀を用いて切断した。その際、垂直スライサーを用いると断面をよりきれいに切ることができる。前記弾性部材を輪切りにする長手方向の位置は、両端の2cmの部分を除いた位置とした。断面の10箇所を測定し、算術平均値から、平均厚みを求めた。
<表面層の曲率半径>
実施例におけるクリーニングブレードの当接辺における表面層の曲率半径は、図9に示すようにクリーニングブレードを45度の方向から当接部をレーザマイクロスコープVK−9510(キーエンス社製)で観察した。図10に測定の一例を示す。図10に示される例は曲率半径2.5μmの例であり、曲率半径=エッジ幅/√2の計算式を用いて求めている。なお、測定箇所は両端の2cmの部分を除いた位置とした。また、測定は5箇所行い、それらの平均値を曲率半径とした。
<表面層のマルテンス(HM)硬度>
表面層を形成した後に表面層の当接部から100μm位置に対して、微小硬度計を使ってインデンテーション測定を行い、マルテンス(HM)硬度を求めた。微小硬度計はフィッシャー・インストルメンツ社のHM−2000で、ビッカース圧子を1.0mNの力で10秒間押し込み、5秒間保持し、1.0mNの力で10秒間除荷した。
<画像形成装置の組み立て>
作製したクリーニングブレードをカラー複合機(imagio MP C4500、リコー社製)(プリンタ部は図5に示す画像形成装置500と同様の構成)に取り付け、実施例1の画像形成装置を組み立てた。
なお、クリーニングブレードは、線圧:20g/cm、クリーニング角:79°となるように画像形成装置に取り付けた。また、上記装置は感光体表面への潤滑剤塗布装置を備えており、潤滑剤塗布により感光体表面の静止摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。なお、感光体表面の静止摩擦係数の測定方法については、オイラーベルトの方法で、例えば、特開平9−166919号公報の段落番号〔0046〕に記載されている。
<画像形成条件>
前記画像形成装置を用い、実験室環境:21℃で65%RH、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50,000枚(A4サイズ横)を出力し、以下のようにして、5万枚通紙後に、諸特性を評価した。結果を表6に示した。
<クリーニング性>
評価画像として、縦帯パターン(紙進行方向に対して)43mm幅、3本チャートをA4サイズ横で、20枚出力し、得られた画像を目視観察し、クリーニング不良による画像異常の有無により、クリーニング性を評価した。下記、「○」「△」を許容可とし、「×」を許容不可とした。
[評価基準]
○:クリーニング不良ですり抜けたトナーが印刷紙上にも感光体上にも目視で確認できない
△:クリーニング不良ですり抜けたトナーが印刷紙上には存在しないが感光体上には目視で確認できる
×:クリーニング不良ですり抜けたトナーが印刷紙上にも感光体上にも目視で確認できる
<異音>
異音の評価として、クリーニング性評価の画像出力時に人の耳により異音発生有無の確認を行い、以下のように判断した。このとき、高周波や低周波など音に違いがある場合でも、ブレードから出ている音であれば区別なく異音として発生の有無を評価した。
[評価基準]
○:異音が発生しない
×:異音が発生する
<当接部の欠落>
前記50,000枚の出力を行った後、弾性部材の当接部の欠落の有無を、図11に示すように弾性部材の先端面側から、レーザマイクロスコープVK−9510(キーエンス社製)により観察した。クリーンングブレードの長手方向の中央部を3視野(1視野は100μm角)観察し、当接部の欠落を観察した。局所的な欠落がある場合は、3視野の合計個数が、当接部の欠落数である。
(実施例2)
−クリーニングブレード2の作製−
実施例1のクリーニングブレード1において、下記表5に示す基材、硬化性組成物(表中では、「表面層形成硬化材料」と記載した。以下も同様)、表面層の形成領域、表面層の厚み(表中では、「表面層当接部膜厚」と記載した。以下も同様)、及び当接辺における表面層の曲率半径を代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のクリーニングブレード2を作製した。
(実施例3)
−クリーニングブレード3の作製−
実施例1のクリーニングブレード1において、下記表5に示す基材、硬化性組成物、表面層の形成領域、表面層の厚み、及び当接辺における表面層の曲率半径を代えて塗工を行った。硬化条件は実施例1とは異なり、80℃の恒温槽で3分間予備乾燥を行った後、80℃の恒温槽で60分間加熱をして硬化させた。
(実施例4〜8及び比較例3〜9)
−クリーニングブレード4〜8及び11〜17の作製−
実施例1のクリーニングブレード1において、下記表5に示す基材、硬化性組成物、表面層の形成領域、表面層の厚み、及び当接辺における表面層の曲率半径を代えて塗工を行った。硬化条件は実施例1とは異なり、UV照射積算量が6,000mJ/cmとなるように高圧水銀ランプを用いて紫外線露光を行った。このとき紫外線露光(照射雰囲気)は窒素雰囲気下で行った。またこのとき、高圧水銀ランプが上方にあるのに対し、ブレードの先端稜線部を上向きにセットして紫外線を照射させることで、紫外線が先端稜線部に効率的に照射されるようにした。
<紫外線積算光量測定方法>
紫外線積算光量計UIT−250(ウシオ電機社製)を用いて254nmの波長における紫外線積算光量を測定した。このとき、積算光量計のセンサー部がクリーニングブレードの先端稜線部の高さと同じになるようにして測定をした。
(比較例1〜2)
−クリーニングブレード9、10の作製−
実施例1のクリーニングブレード1において、表面層を形成せず、下記表5に示す基材、及び当接辺における表面層の曲率半径に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1、2のクリーニングブレード9、10を作製した。
作製した各クリーニングブレード2〜17を、実施例1のクリーニングブレード1と同様にカラー複合機(imagio MP C4500、リコー社製)に取り付け、実施例2〜8及び比較例1〜9の画像形成装置を組み立てた。また、実施例1と同様にして、クリーニング性、異音、及び当接部の欠落を評価し、この結果を表6に示した。
実施例1〜8のクリーニングブレードでは、当接部の表面層の膜厚が10μm以上100μm以下であり、当接辺における表面層の曲率半径が5μm以上40μm以下であることから、弾性部材の当接部の動きの抑制によりめくれが生じず当接部が欠落しなかった。摩耗しても基材ゴムが露出しないことから、長期の使用でも良好なクリーニング性と異音の発生を抑えることができることがわかった。
一方、比較例1、2では、当接部に表面層が形成されていないことから、弾性部材の当接部の動きを抑制できず、えぐれ摩耗が発生してしまい、クリーニング不良と異音が発生した。
また、比較例3〜9では、当接部の表面層の膜厚が10μm以上100μm以下、及び当接部の曲率半径が5μm以上40μm以下のどちらかが、数値範囲を満たしていないことから当接部のめくれが生じ、当接部が欠落してしまった。そのためクリーニング不良や異音が発生した。また、比較例5は表面層の膜厚が厚く、経時の使用で膜がひび割れも観察された。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 被清掃部材の表面に当接して、前記被清掃部材の表面の残留物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードであって、
前記弾性部材が、基材と、硬化性組成物の硬化物を含む表面層とを有し、
前記表面層は、前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接辺を含む当接部における前記当接辺を含む少なくとも一部に形成されており、
前記当接部における前記表面層の平均厚みが、10μm以上100μm以下であり、
前記当接辺における前記表面層の曲率半径が、5μm以上40μm以下であることを特徴とするクリーニングブレードである。
<2> 前記当接部における前記表面層の曲率半径が、10μm以上25μm以下である前記<1>に記載のクリーニングブレードである。
<3> 前記硬化性組成物が、熱硬化性化合物、及び紫外線硬化性化合物の少なくともいずれかを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
<4> 前記表面層のマルテンス硬度が、前記基材のマルテンス硬度より高い前記<1>から<3>のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
<5> 前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接部よりも前記被清掃部材の進行方向下流側と対向する基材の面を基材下面としたとき、
前記基材下面に形成される前記表面層が、前記当接部から1mm以上7mm以下の領域に形成されている<1>から<4>のいずれかに記載のクリーニングブレードである。
<6> 像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナー像に現像する現像手段、及び前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段の少なくともいずれかの手段と、前記像担持体の表面に当接して、前記像担持体の表面の残留物を除去するクリーニングブレードとを有し、
前記クリーニングブレードが、前記<1>から<5>のいずれかに記載のクリーニングブレードであることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<7> 像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナー像に現像する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着させる定着手段と、前記像担持体の表面に当接して、前記像担持体の表面の残留物を除去するクリーニングブレードとを有し、
前記クリーニングブレードが、前記<1>から<5>のいずれかに記載のクリーニングブレードであることを特徴とする画像形成装置である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載のクリーニングブレード、前記<6>に記載のプロセスカートリッジ、及び前記<7>に記載の画像形成装置は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 作像ユニット
3 感光体
4 帯電ローラ
5 現像装置
6 クリーニング装置
7 一次転写ローラ
14 中間転写ベルト
40 光書込ユニット
51 現像ローラ
60 転写ユニット
62 クリーニングブレード
62a クリーニングブレード先端面
62b クリーニングブレード下面
62c クリーニングブレード先端稜線部
123 像担持体
162 ベルトクリーニングユニット
162a ベルトクリーニングブレード
500 プリンタ
621 支持部材
622 基材
623 表面層
624 弾性部材
特許第3602898号公報 特開2004−233818号公報 特許第5532378号公報 特開2012−058359号公報 特開2001−154553号公報

Claims (7)

  1. 被清掃部材の表面に当接して、前記被清掃部材の表面の残留物を除去する弾性部材を有するクリーニングブレードであって、
    前記弾性部材が、基材と、硬化性組成物の硬化物を含む表面層とを有し、
    前記表面層は、前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接辺を含む当接部における前記当接辺を含む少なくとも一部に形成されており、
    前記当接部における前記表面層の平均厚みが、10μm以上100μm以下であり、
    前記当接辺における前記表面層の曲率半径が、5μm以上40μm以下であることを特徴とするクリーニングブレード。
  2. 前記当接部における前記表面層の曲率半径が、10μm以上25μm以下である請求項1に記載のクリーニングブレード。
  3. 前記硬化性組成物が、熱硬化性化合物、及び紫外線硬化性化合物の少なくともいずれかを含む請求項1から2のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  4. 前記表面層のマルテンス硬度が、前記基材のマルテンス硬度より高い請求項1から3のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  5. 前記弾性部材が前記被清掃部材と当接する当接部よりも前記被清掃部材の進行方向下流側と対向する基材の面を基材下面としたとき、
    前記基材下面に形成される前記表面層が、前記当接部から1mm以上7mm以下の領域に形成されている請求項1から4のいずれかに記載のクリーニングブレード。
  6. 像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナー像に現像する現像手段、及び前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段の少なくともいずれかの手段と、前記像担持体の表面に当接して、前記像担持体の表面の残留物を除去するクリーニングブレードとを有し、
    前記クリーニングブレードが、請求項1から5のいずれかに記載のクリーニングブレードであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記像担持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナー像に現像する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着させる定着手段と、前記像担持体の表面に当接して、前記像担持体の表面の残留物を除去するクリーニングブレードとを有し、
    前記クリーニングブレードが、請求項1から5のいずれかに記載のクリーニングブレードであることを特徴とする画像形成装置。
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