JP2016206373A - クリーニングブレードおよび画像形成装置 - Google Patents

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奈緒美 杉本
功樹 穂積
Koki Hozumi
功樹 穂積
菊地 尚志
Hisashi Kikuchi
尚志 菊地
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Abstract

【課題】中間転写ベルトの紙粉フィルミングを良好に除去でき、かつ、良好なクリーニング性を得ることができるクリーニングブレードおよぎ画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体などの像担持体から転写されたトナー像を、記録紙Pに転写する2次転写ローラなどの転写部に搬送する中間転写ベルトの表面に当接して、中間転写ベルトの表面をクリーニングするクリーニングブレード21において、中間転写ベルトとの当接部である先端稜線部22cを含む所定の領域に、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂のうちの少なくとも一方の樹脂を含浸させて、クリーニングブレードの先端稜線部22cのマルテンス硬度を、2[N/mm2]以上、10[N/mm2]以下、かつ、弾性仕事率を、70%以上とした。
【選択図】図7

Description

本発明は、クリーニングブレードおよび画像形成装置に関するものである。
従来から、プリンタ、ファックス、複写機、及びこれらの複合機等の画像形成装置では、感光体に形成されたトナー像をベルト部材たる中間転写ベルトに1次転写した後、中間転写ベルト上のトナー像を記録紙に2次転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。かかる中間転写方式の画像形成装置においては、記録紙に2次転写されずに残留した残留トナーは、クリーニングブレードによって除去している(例えば、特許文献1)。
生産性が高く、装置の低コスト化を図ることができることから中間転写ベルトを押し出し成形で製造することが望ましい。しかし、押し出し成形で製造した中間転写ベルトを用いた画像形成装置においては、紙粉フィルミングが発生するという課題が発生した。紙粉フィルミングが発生すると、光学センサで精度よく濃度検知パターンを検知することができず、精度よく画像形成条件を補正できない。
本出願人は、中間転写ベルトの紙粉フィルミングを除去可能なクリーニングブレードを開発中である。そして、クリーニングブレードの中間転写ベルトとの当接部のマルテンス硬度を2[N/mm]以上、10[N/mm]以下とすることで、中間転写ベルトの紙粉フィルミングを良好に除去できた。
しかしながら、中間転写ベルトとの当接部のマルテンス硬度を2[N/mm]以上、10[N/mm]以下のクリーニングブレードにおいては、例えば、中間転写ベルト上のトナー量が非常に多い連続的なベタ画像形成時のクリーニングなど多くのトナーが入力されるようなクリーニング性が厳しい条件で、クリーニング不良が生じてしまうことがあった。
上記課題を解決するために、本発明は、像担持体から転写されたトナー像を、記録紙に転写する転写部に搬送する中間転写ベルトの表面に当接して、該中間転写ベルトの表面をクリーニングするクリーニングブレードにおいて、上記中間転写ベルトとの当接部のマルテンス硬度を、2[N/mm]以上、10[N/mm]以下、かつ、弾性仕事率を、70%以上としたことを特徴とするものである。
本発明によれば、中間転写ベルトの紙粉フィルミングを良好に除去でき、かつ、良好なクリーニング性を得ることができる。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 遠心成形で製造されたPI製の中間転写ベルトαのVsg変動をベルト周方向長さ100mmに渡り測定したグラフ。 押出し成形で製造されたPPS製の中間転写ベルトβのVsg変動をベルト周方向長さ100mmに渡り測定したグラフ。 付着量が互いに異なる10個のトナーパッチからなる階調パターンを中間転写ベルトα上に作成し、光学センサで正反射出力を測定した結果を示すグラフ。 付着量が互いに異なる10個のトナーパッチからなる階調パターンを中間転写ベルトβ上に作成し、光学センサで正反射出力を測定した結果を示すグラフ。 中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 本実施形態のクリーニングブレードの概略構成図。 クリーニングブレード21の中間転写ベルト3との接触状態を説明する図。 クリーニングブレード♯1における中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯2における中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯3における中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯4における中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Aにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Bにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Cにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Dにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Eにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Fにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 クリーニングブレード♯Gにおける中間転写ベルトのマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフ。 バックアップ層と接触層とを有するクリーニングブレードの概略構成図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタ30は、タンデム型のカラープリンタであり、装置本体31内に配置された第1ないし第4の4つの像担持体としての感光体1a、1b、1c、1dを備える。
各感光体1a、1b、1c、1dには互いに異なる色のトナー像がそれぞれ形成される。各感光体1a、1b、1c、1dには、それぞれブラックトナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像およびイエロートナー像がそれぞれ形成される。なお、図1に示した各感光体1a、1b、1c、1dはドラム状に形成されているが、複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト状の感光体を用いることもできる。
感光体1a、1b、1c、1dに対向して樹脂ベルト製の中間転写ベルト3が配置されており、各感光体1a、1b、1c、1dは、中間転写ベルト3の表面に接触している。中間転写ベルト3は、環状であり、支持ローラ4、テンションローラ5、バックアップローラ6、入口ローラ7に巻き掛けられている。各ローラのうちの1つ、例えば支持ローラ4が駆動源によって駆動される駆動ローラとして構成され、このローラの駆動により中間転写ベルト3が矢印A方向に回転駆動される。
中間転写ベルト3は、多層構造、単層構造のいずれでもよいが、少なくとも表面をマルテンス硬度200[N/mm]以下の樹脂で形成されている。中間転写ベルト3の素材としては、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン)等を用いることが好適である。
感光体1a、1b、1c、1dへのトナー像の形成と、各トナー像の中間転写ベルト3への転写は、実質的に各感光体1a、1b、1c、1dにおいてすべて同一であり、形成されるトナー像の色が異なるだけである。このため、感光体1aへのブラックトナー像を形成と中間転写ベルト3への転写とについてだけを説明する。
感光体1aは、図1中において矢印Cに示すように時計方向に回転駆動され、このとき感光体1a表面に除電装置からの光が照射され、感光体1aの表面電位が初期化される。初期化された感光体1aは帯電装置8によって所定の極性、この例ではマイナス極性に一様に帯電される。この帯電面に、露光装置9から出射する光変調されたレーザービームLが照射され、感光体1aの表面に書き込み情報に対応した静電潜像が形成される。図1に示した画像形成装置においてはレーザービームを出射するレーザー書き込み装置よりなる露光装置9が用いられているが、LEDアレイと結像手段を有する露光装置などを用いることもできる。
感光体1aに形成された静電潜像は、現像装置10でブラックトナー像として可視像化される。一方、中間転写ベルト3の内側には、その中間転写ベルト3を挟んで感光体1aに対向した位置に転写ローラ11が配置されている。この転写ローラ11が中間転写ベルト3の裏面に接触し、感光体1aと中間転写ベルト3との適正な転写ニップが形成される。
転写ローラ11には、感光体1a上に形成されたトナー像のトナー帯電極性と逆極性、この例ではプラス極性の転写電圧が印加される。これにより、感光体1aと中間転写ベルト3との間に転写電界が形成され、感光体1a上のブラックトナー像が、感光体1aと同期して回転駆動される中間転写ベルト3上に静電的に転写される。ブラックトナー像を中間転写ベルト3に転写した後の感光体1a表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置12によって除去され、感光体1aの表面が清掃される。
同様にして、他の各感光体1b、1c、1dには、シアントナー像、マゼンタトナー像およびイエロートナー像がそれぞれ形成され、その各色のトナー像は、ブラックトナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて静電転写される。
本プリンタ30は、4色のトナー像を使うフルカラーモードと黒単色のみを使う黒単色モードの2種類のモードで駆動される。フルカラーモード時には、中間転写ベルト3と感光体1a、1b、1c、1dが接触して、4色のトナー像が中間転写ベルト上に転写される。
一方、黒単色モードでは、感光体1aのみが中間転写ベルト3に接触し、ブラックトナーのみが中間転写ベルト3に転写される。このとき、中間転写ベルト3とシアン、マゼンタ、イエローの各感光体1b、1c、1dは接触しておらず、接離機構により一次転写ローラ11b、11c、11dが感光体から離間する。その際、確実に中間転写ベルト3をシアン、マゼンタ、イエローの各感光体1b、1c、1dから離間するためにバックアップローラ6を移動させて、中間転写ベルト3のプロファイルを変化させる。
装置本体31の下部には、図1に示すように、給紙装置14が配置されている。給紙装置14は、給紙ローラ15の回転によって、例えば記録紙Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録紙Pは、レジストローラ対16によって、所定のタイミングで支持ローラ4に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対応配置された転写装置である、2次転写ローラ17との間に搬送される。このとき、2次転写ローラ17には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上に重ねて転写されたトナー像が記録紙Pに2次転写される。
トナー像が2次転写された記録紙Pは、さらに上方に搬送されて定着装置18を通る。このとき記録紙P上のトナー像が定着装置18により、熱と圧力により定着される。定着装置18を通過した記録紙Pは、排紙部に設けられた排紙ローラ対19により画像形成装置外に排出される。
一方、画像転写後の中間転写ベルト3には多少のトナーが残留するが、この残留トナーはベルトクリーニング装置20によって中間転写ベルトから除去される。ベルトクリーニング装置20は、クリーニングブレード21を備えている。クリーニングブレード21は、1層または2層のウレタンゴムなどの弾性体で構成され、中間転写ベルト側に位置する先端稜線部を中間転写ベルト3の表面に接触させて、中間転写ベルト3の表面を清掃する。また、クリーニングブレード21は、先端部の表面から内部に向けアクリル樹脂およびメタクリル樹脂のうちの少なくとも一方の樹脂を含浸した含浸部が形成される。そして、その含浸部のマルテンス硬度を2〜10[N/mm2]、弾性仕事率を70%以下にしている。
次に実施形態のプリンタ30に使用するトナーについて説明する。本実施形態のプリンタ30で用いるトナーは、画質向上のために、高円形化、小粒径化がしやすい懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いることが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中のあらかじめ不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、さらに測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状および分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、実際のトナー投影形状の外周長をC1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ面積を示す真円の外周長をC2としたときのC2/C1を求め、その平均値を円形度とした。
また、カラープリンタに好適に使用されるトナーは、以下の手法で得られる。すなわち、少なくとも窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマーと、ポリエステルと、着色剤と、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液とを、水系溶媒中で架橋および伸長反応の少なくとも一方の反応をさせる。
また、本実施形態のプリンタ30においては、電源投入時、またはある所定枚数通紙後に各色の画像濃度を適正化するためにプロセスコントロール動作が実行される。プロセスコントロール動作は、まず、各色のトナーを対象とした付着量が互いに異なる複数のトナーパッチからなる各色の階調パターンを、中間転写ベルト3に形成する。諧調パターンを作成するとき、帯電バイアス、現像バイアスを適当なタイミングで順次切り換えることにより、付着量が互いに異なる複数のトナーパッチからなる諧調パターンが作成される。中間転写ベルト3に形成された諧調パターンは、中間転写ベルト3の無端移動に伴って、光学センサ13との対向位置を通過する。この際、光学センサ13は、階調パターンの各トナーパッチのに対する単位面積あたりのトナー付着量に応じた量の光を受光する。
次に、具体的な説明は省くが、各色トナーパッチを検知したときの光学センサ13の出力電圧と、付着量変換アルゴリズムとから、各色のトナーパターンの各トナーパッチにおける付着量を算出し、算出した付着量に基づき画像形成条件を調整する。具体的には、トナーパッチにおけるトナー付着量を検知した結果と、各トナーパッチを作像したときの現像ポテンシャルとに基づいて現在の現像能力を表す一次関数(y=ax+b)を回帰分析によって計算する。そして、この関数に画像濃度の目標値を代入することで適切な現像バイアス値を演算し、Y、M、C、K用の露光パワー、帯電バイアス、現像バイアスを特定する。また、現像装置が、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いた2成分現像方式の場合、現像装置10内のトナー濃度制御目標値を変更して画像濃度を制御してもよい。具体的には、光学センサ13の検知結果に基づいて、現像装置10内のトナー濃度制御目標値を変更することにより最大目標付着量(目標IDを得るための付着量)を狙いの値にできる。
また、上記光学センサ13は、発光素子(発光手段)としてLED(発光ダイオード)と、受光素子(受光手段)としてPD(フォトダイオード)またはPTr(フォトトランジスタ)とを組み合わせた反射型光学センサである。また、光学センサ13は、諧調パターンの各トナーパッチからの正反射光のみを検出対象とする構成、濃度検知用トナーパターンからの拡散反射光のみを検出対象とする構成、両方の反射光を検知対象とする構成のものを用いることができる。
いずれの構成においても、反射光量を正確に検知する必要があり、中間転写ベルト表面のフィルミングや傷等により中間転写ベルト光沢度が低くなると、検知性能が低下する場合がある。また、中間転写ベルト表面の表面粗さが大きい場合には検知性能が低下するため、表面粗さは小さい方が良い。
これらのプリンタにおいて使用される中間転写ベルトとして、PI(ポリイミド)を筆頭とする弾性率(ヤング率)の高い樹脂ベルトが用いられることが多い。一方、低コストである画像形成装置が望まれることから、低コストである中間転写ベルト3の需要が高まっている。そこで、PIベルトより低コストであるPAI(ポリアミドイミド)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PC(ポリカーボネート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、TPI(熱可塑性ポリイミド)などからなるベルト使用が望まれる。
PVDF、PC、PEEK、TPI、PPSなどが低コストである理由は、材料コストが高いにもかかわらず、連続成形である押し出し成形による高生産効率であること、また押し出し成形可能な熱可塑性樹脂であることによる。
一方、PIベルトが高コストな理由は、材料コストが高いことに加えて、遠心成形はバッチ処理のため生産効率が低いこと、耐熱性が高いため、乾燥温度が高く、生産時間が長いことによる。
遠心成形で製造されるベルトの表面粗さは、成形する際の金型の粗さによって決まる。そのため、金型の表面粗さを管理することで、ベルト表面の表面粗さの管理をすることが可能であり、光学検知を良好に行える表面粗さにすることができる。また、光沢度に関しても、遠心成形で製造されるPI、PAIベルトは新品時には光学検知に十分な光沢度を有している。
一方、押出し成形のベルトは、ベルト全面の温度ばらつきのほか製造工程上の理由により、表面粗さがばらつく場合があり、遠心成形のベルトほど表面粗さが小さくならないのが一般的である。このため、押出し成形のベルトは、表面研磨あるいは表面コートを施して、表面の平滑性と光沢度を維持する方法がとられる場合もある。しかし、このような表面処理を行うと、製造コストの増加となる。
前述の反射型の光学センサ13は、中間転写ベルト3の地肌部(トナー付着がない箇所)の正反射出力(以下、「Vsg」という)が所定の値(例えば4.0±0.5V)となるよう、発光素子へ流す電流(LED電流)を調整している。この調整動作を「Vsg調整」と呼び、Vsg調整動作により決定されるLED電流を「Vsg調整電流」、または「Ifsg」と定義している。このVsg調整動作は、プロセスコントロール動作実行前に実施される。このように、Vsg調整動作を行うことで、経時にわたり精度のよい検知結果を得ることができる。
図2は、遠心成形で製造されたPI製の中間転写ベルトαのVsg変動をベルト周方向長さ100mmに渡り測定したグラフである。図3は、押出し成形で製造されたPPS製の中間転写ベルトβのVsg変動をベルト周方向長さ100mmに渡り測定したグラフである。また、図4は、付着量が互いに異なる10個のトナーパッチからなる階調パターンを中間転写ベルトα上に作成し、光学センサ13で正反射出力(ベルト初期)を測定した結果を示すグラフである。図5は、同様に10個のトナーパッチからなる階調パターンをを中間転写ベルトβ上に作成し、光学センサ13で正反射出力(ベルト初期)を測定した結果を示すグラフである。
図2〜図5に示されている試験・測定結果は、株式会社リコー製のimagio MP C2201(先の図1に示す画像形成装置の基本構成に相当する)を用い、関係する部分の構成部品・仕様等を変更して得たものである。図2、3に示すように、Vsgが4VになるようIsfg調整を行った。中間転写ベルトαのIsfgは、8.6[mA]、中間転写ベルトβのIsfgは、7.0[mA]であった。
また、ベルト表面粗さは中間転写ベルトαがRz:0.15[μm]に対し、中間転写ベルトβはRz:0.72[μm]であった。また、ベルト表面の光沢度(20°測定)は中間転写ベルトαが135、中間転写ベルトβが117であった。このことから、ベルト表面粗さが小さいほど、また、ベルト表面の光沢度が高いほど、Vsgの安定性はよくなる傾向があることがわかる。なお、上記表面粗さRzは、JIS−′01規格に規定されているRzに準拠して測定したものである。
図3および図5に示すように、Vsg変動大の中間転写ベルトβの検知精度は、図2および図4に示すVsg変動小の中間転写ベルトαよりも悪い。しかし、中間転写ベルトβのVsgのピーク電圧MaxとMinの差は約0.5Vで、この範囲であれば最低限の検知精度は確保できる。したがって、押出し成形で製造された中間転写ベルトβは、初期状態であれば最低限の検知精度が確保できることが分かった。
次に、これら中間転写ベルトαとβを用い、記録紙として(株)リコー製 マイペーパを用い、同じ原稿を用いて10000枚のプリントテストを行った。その結果、中間転写ベルトαは問題なかったが、中間転写ベルトβは10000枚にわたってまったく画像がなかった部分に紙粉が付着し、(以下紙粉フィルミングと呼ぶ)、ベルト光沢度が低下し、経時使用でIfsgが上昇するという問題が発生した。中間転写ベルト表面が経時で荒れるあるいはなんらかの物質が付着すると、正反射光量が減る。その場合、LED電流を上げて地肌部の出力を保持する。すなわち、ベルト表面変化とIfsgには相関がある。このIsfgが初期(新品ベルト)と比較して上昇する場合の上昇率を「If上昇率」と呼んでいる。
そこで、フィルミングの経時変化をIf上昇率(=経時のIf電流量/初期のIf×100)で数値化し、フィルミングの程度を測っている。If上昇率が高くなると、正反射出力(例えば4.0±0.5V)が小さくなるため、それを補うために発光素子へ流す電流(LED電流)を大きくする必要がある。しかし、一定の正反射出力値を得るために発光素子へ流す電流を大きくし続けると発光素子が壊れるため、If上昇率には上限値を設ける必要がある。ベルト材質や表面粗さによって、光の反射率が異なるため、このIf上昇率の上限値はベルトによって異なる。上記押出し成形で製造された中間転写ベルトβは、中間転写ベルトαに比べて、早期にIf上昇率が上限値を超えてしまう。このように、押し出し成形で製造された中間転写ベルトβは、早期にフィルミング発生により光量検知が正確に行われず、これにより画像濃度制御が正確に行われなくなるといった問題が発生した。
そこで、本出願人は、押出し成形で製造された中間転写ベルトβに付着した紙粉について分析を行ったところ、付着した紙粉は、主に炭酸カルシウムであることがわかった。この炭酸カルシウムを主成分とする紙粉は、硬い微粉であり、不織布などで軽くふき取ろうとしてもふき取れず、不織布で強くこすることではじめてふき取ることができた。このことから、本出願人は、紙粉は、中間転写ベルトβの表面に突き刺さっていると考えた。
ここで、紙粉フィルミング(紙粉の突き刺さり)が発生しない、遠心成形で製造されたPI製の中間転写ベルトαは、紙粉が突き刺さり紙粉フィルミングが発生した押出し成形で製造されたPPS製の中間転写ベルトβよりも硬かった。このことから、紙粉の突き刺さりやすさ(紙粉フィルミングの発生しやすさ)はベルトの硬さに関係があると考え、本出願人は、ベルトのマルテンス硬度と、紙粉フィルミングとの関係について調べた。
図6は、中間転写ベルト3のマルテンス硬度と、If上昇率とを調べた結果を示すグラフである。
図6では、マルテンス硬度が互いに異なるPPSの中間転写ベルトと、遠心成型で作成されたPAIの中間転写ベルトと、遠心成型で作成されたPI中間転写ベルトとを用いて調べてグラフである。また、上記と同じ条件で10000枚通紙したベルトの非画像部のIsfgを測定し、初期Isfgからの上昇率をIf上昇率として、マルテンス硬度とIf上昇率の関係を調べたグラフである。
また、このときに使用した中間転写ベルト3をクリーニングするクリーニングブレード21は、2層ブレードであり、ベルトに当接する接触層とホルダーに接続・固定されるバックアップ層からなる。接触層とバックアップ層は、ウレタンゴムで構成し、ゴム硬度計で測定して接触層はゴム硬度75度(JIS−Aスケール)、バックアップ層はゴム硬度70度(JIS−Aスケール)のものを使用した。クリーニングブレード21のマルテンス硬度:0.5[N/mm]、ブレード厚み:2[mm]、ブレード当接線圧:20[gf/m]である。
図6からわかるように、マルテンス硬度230[N/mm]以上のベルトでは紙粉フィルミングが発生せず、Ifsgは上昇せず、100%のままだった。これは、ベルト表面が十分に硬いため、紙粉が刺さらなかったと考えられる。
一方、ベルトのマルテンス硬度が180[N/mm]以下の場合は、マルテンス硬度が高いほどIf上昇率が高くなった。これは、マルテンス硬度が180以下の場合には紙粉が刺さってしまうが、マルテンス硬度が低ければクリーニングブレード21でベルト表面が削られ、紙粉フィルミングが除去されていると考えられる。このことから、押し出し成形のベルトにおいて、マルテンス硬度を低くすれば、If上昇率が抑えられる。しかし、クリーニングブレード21でベルト表面が削られるため、中間転写ベルト3の寿命が早期にきてしまうという不具合が生じる。よって、中間転写ベルト3のマルテンス硬度は、180[N/mm]よりも大きい方が好ましい。
また、常時トナーが入力される画像部においては、いずれのベルトもIf上昇率は100%のままであり、画像部では紙粉フィルミングは発生していなかった。このことから、この紙粉の効果的な除去法として、トナーをベルトに付着させてからブレードクリーニングを行うことで、紙粉を除去することができることがわかる。しかし画像形成に寄与しないトナー入力を頻繁に行うことが必要なため、無駄なトナー消費が行われ、省資源という観点からは好ましくない。
そこで、後述するように、この紙粉を除去するために、クリーニングブレードのベルトと当接する面の硬度を高くした各種ブレードを試した。すると、マルテンス硬度2〜10[N/mm2]のクリーニングブレードを用いると、紙粉フィルミングを除去することができることがわかった。
しかし、ベルトと当接する当接部の硬度を高くしたクリーニングブレードにおいては、中間転写ベルト上のトナー量が非常に多い連続的なベタ画像形成時など、クリーニングブレードに多くのトナーが連続的に入力される条件下や、トナー帯電量が高くなる低温低湿環境下など、クリーニング性が厳しい条件下でクリーニング不良が生じてしまうことがあった。
これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、クリーニングブレードの中間転写ベルトとの当接部が長手方向にわたって高硬度とすると、クリーニングブレードの弾性が阻害されることがある。クリーニングブレードの弾性が阻害されると、当接部が中間転写ベルトの表面と直交する方向の僅かな変化に追随できず、中間転写ベルトとの当接圧が長手方向で変動してしまう。連続的なベタ画像形成時など、クリーニングブレードによって多くのトナーが堰き止められているとき、堰き止められているトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が高くなる。そのため、クリーニングブレードの中間転写ベルトに対する当接圧が低い部分では、クリーニングブレード当接する力よりも中間転写ベルト上のトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が勝る。その結果、その部分で当接状態が維持できなくなり、クリーニングブレードをトナーがすり抜けてしまい、クリーニング不良となる。
また、低温低湿環境時にはトナーの帯電量が高くなり、ベルトとトナーとの静電付着力が大きくなり、クリーニングブレードへの押圧力が高くなる。また、低温低湿環境においては、ポリウレタンゴムなどからなるクリーニングブレードの基材が硬くなり、より一層、クリーニングブレードの追随性が低下してしまう。その結果、低温低湿環境下では、トナーの入力量が多くなくても、クリーニングブレードをトナーがすり抜け、クリーニング不良が発生するおそれがあった。
このようなことから、連続的なベタ画像形成時や低温低湿環境下などのクリーニングが厳しい条件下では、クリーニング不良が生じてしまったと考えられる。
連続的なベタ画像形成時や低温低湿環境下などのクリーニングが厳しい条件下におけるクリーニング不良は、上述したように当接部を高硬度化することにより、当接部の弾性が阻害されることが要因であると考えられる。そこで、後述するように、マルテンス硬度2〜10[N/mm]のクリーニングブレードにおいて、当接部の弾性仕事率を互いに異ならせた各種ブレードを試した。弾性仕事率は、ISO14577−1に記載されているηITで定義されており、弾性仕事量と塑性仕事量の関係を表した値で、値が大きいほど弾性仕事量が多く、当接部が良好な弾性を有していると評価できる。そして、弾性仕事率が70%以上のクリーニングブレードを用いると、当接部を高硬度化したクリーニングブレードにおいて、連続的なベタ画像形成時や低温低湿環境下などのクリーニングが厳しい条件下でもクリーニング不良が発生しなかった。
ここで、本実施形態の特徴点である中間転写ベルト3表面をクリーニングするクリーニングブレード21について説明する。
図7は、本実施形態のクリーニングブレード21の概略構成図である。
クリーニングブレード21は、金属、硬質プラスチック等の剛性材料からなる長方形状のホルダー221と、長方形状のブレード部材222とで構成されている。ブレード部材222は、ホルダー221の一端側に接着剤等により固定されており、ホルダー221の他端側は、ベルトクリーニング装置20のケースに片持ち支持されている。
ブレード部材222は、ゴム硬度72度(JISA)のポリウレタンゴムの基材23の先端稜線部22cには、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、またはアクリル樹脂とメタクリル樹脂の混合物が含浸された含浸層22dを有している。ブレード部材の基材は、本実施例ではポリウレタンゴムの単層構造であるが、複数の層を備える構造、2層の構造であってもよい。
基材23としては、中間転写ベルト表面の微小なうねりなどに追随できるように、高い反発弾性率を有するものが好ましく、ポリウレタンゴムなどが好適である。一方で、反発弾性率が低いと、スティックスリップを抑制でき、ブレード磨耗しにくく、長寿命化できる。したがって、反発弾性率は、中間転写ベルト表面の微小なうねりなどに良好に追随できる範囲で、なるべく低く設定するほうが望ましい。具体的には、前記基材のJIS K6255規格に準拠した反発弾性率は、23℃で35%以下が好ましい。また、前記基材のJIS−A硬度は60度以上が好ましい。60度未満であると、ブレード線圧が得られにくく、中間転写ベルトとの当接部面積が拡大し易いため、クリーニング不良が発生することがある。
含浸層22dは、基材23の先端稜線部22cから、内側に向けて所定の寸法まで、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、またはアクリル樹脂とメタクリル樹脂の混合物が含浸される。特に、分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物(特に、トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリレート化合物又はアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。)が好ましい。これら樹脂の含浸により、含浸層22dは、ポリウレタンゴムとアクリル樹脂との混合物、ポリウレタンゴムとメタクリル樹脂との混合物、またはウレタンゴムとアクリル樹脂およびメタクリル樹脂との混合物となる。この例では、含浸層22dは、先端部稜線部からの膜厚が1.0μm以上となるよう形成される。
このように、中間転写ベルト3に当接させる先端稜線部22cを含浸処理することにより、先端稜線部22cのマルテンス硬度を、含浸層22dを形成しないクリーニングブレード21よりも高くすることができる。ここでいうマルテンス硬度は、例えばFischer社の微小硬度計H−100などを用いて測定することができる。本実施形態においては、含浸層22dのマルテンス硬度を、2〜10[N/mm]としている。かかる構成とすることで、後述するように、中間転写ベルト3表面の紙粉フィルミングを良好に除去できる。なお、含浸処理する前のブレード部材222の先端稜線部22cのマルテンス硬度は、0.5[N/mm]である。
さらに、先端稜線部22cに含浸層22dを設けることにより、以下のような効果を発揮する。
・トナー除去性能が大幅に向上する。
・ブレード部材222の摩耗が低減され、長期にわたってクリーニング性能が維持できる。
・ブレード部材222と中間転写ベルト間の摩擦係数が低減される。
ブレード部材222の先端稜線部22cを硬度の硬い表面層で覆うことでも、先端稜線部22cのマルテンス硬度を2〜10[N/mm]とすることも可能である。
一方、本実施形態のクリーニングブレード21は、ブレード部材222の先端稜線部22cにアクリル樹脂やメタクリル樹脂などの架橋樹脂を含有させて硬度上昇させている。これにより、基材ゴムの膨潤によるゴム機械強度低下と、高硬度な樹脂材料の浸潤による網目構造強化との両立を図ることができる。その結果、弾性変形を阻害せずに、経時の耐久性を確保することができる。なお、基材ゴムの膨潤によるゴム機械強度低下と、高硬度な樹脂材料の浸潤による網目構造強化との両立を図るには、ブレード部材222に含有させる架橋樹脂の含有量を抑制する必要がある。
また、高硬度の表面層とした場合、高硬度の表面層と低硬度の基材23との境目で硬度が急激に変化する。その結果、表面層と低硬度の基材23との境目に応力が集中し、ブレード部材222が破損するおそれもある。したがって、高硬度表面層を有するブレード部材を選択するときは、注意が必要である。これに対して、本実施形態のように、含浸処理によりブレード部材222の先端稜線部を高硬度化する方法では、ブレード部材222の基材23に対する樹脂の含有量を先端稜線部から離れるに従って少なくなるような傾斜性を生じさせることができる。よって、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化することを抑制することができ、応力集中に起因してブレード部材222が破損することを防止できる。
また、特開2004−233818号には、ブレード部材の基材にシリコーン含有架橋樹脂が傾斜性をもって含浸され、ブレード部材の表面が同樹脂で覆われた構成が記載されている。特開2004−233818号に記載のクリーニングブレードにおいては、シリコーン含有架橋樹脂は、本実施形態の含浸処理に用いる樹脂に比べ、耐久性に劣る。さらに、特開2004−233818号に記載の含浸操作のように、含浸を12時間も行うと、架橋樹脂の含浸量が過剰となり、基材ゴムが膨潤しすぎてゴムの網目構造が破壊され、機械強度が低下し、耐久性が低下する。
含浸層22dは、基材23の先端稜線部22cを中心として、基材に含浸させる樹脂材料を有する溶液に所定時間にわたり浸漬させることで形成される。これにより、基材23の先端稜線部22cから1.0[μm]以上の膜厚の含浸層22dが形成される。含浸させる樹脂材料を有する溶液は、例えばアクリレートモノマーおよび重合開始材を溶媒に混合したものである。含浸層22dの先端稜線部22cからの膜厚は、浸漬深さや浸漬時間を制御することにより行う。また、含浸層22dのマルテンス硬度は、浸漬時間を制御することで2〜10[N/mm]にすることができる。基材に含浸させる樹脂材料を含浸させた後、熱および光エネルギーを加えることで、基材に含浸させる樹脂材料を硬化させる。例えば、含浸させる樹脂材料として、紫外線硬化樹脂を用いた場合は、紫外線硬化樹脂を基材の先端稜線部22cに含浸させた後、紫外線を照射して硬化させることで、含浸層22dが形成される。含浸層22dを形成することにより、先端稜線部22cの硬度が上昇し、耐久性の向上が図れ、基材部分が表面移動方向に変形するのを抑制することができる。更に、基材23の先端稜線部22cを覆う表面層を設けた構成の場合、経時により表面層の摩耗によって内部が露出したときにも含浸層22dにより、同様に変形を抑制することができる。
クリーニングブレード21の挙動について説明する。図8(a)クリーニングブレード21の中間転写ベルト3との接触状態を示す図であり、図8(b)は拡大図である。
本実施形態では、中間転写ベルト3に当接するブレード部材222の先端稜線部22cを含浸処理して含浸層22dを形成している。このように、先端稜線部22cを含浸処理することにより、先端稜線部22cを剛直にすることができる。これにより、図8(b)に示すように、ブレード部材の先端稜線部22cを変形し難くすることができ、ブレード部材222の先端の変形や振動を小さくすることができ、ニップ挙動を非常に安定させることができる。これにより、非常に良好なクリーニング性が得られるとともに、中間転写ベルト3の削れ量、ブレード摩耗量が最小化される。また、ブレード部材222の先端稜線部22cのめくれを抑制することができ、ビビリ音などの異音の発生やブレード先端面22aの先端稜線部22cから数[μm]離れた箇所に局所的な摩耗が生じる所謂えぐれ磨耗が生じるのを防止することができる。
また、先端稜線部22cが剛直であるので、中間転写ベルト3にクリーニングブレード21を当接させたとき、ブレード部材222を適度に撓ませることができる。これにより、例えば、ホルダー221が微小に傾いて取り付けるなどしたときに、ブレード部材222のベルト幅方向一端側と他端側とで当接圧が異なる所謂偏当りを抑制することができる。
また、本実施形態では、ブレード部材の先端稜線部22cの弾性仕事率を70%以上としている。弾性仕事率を70%以上とすることで、先端稜線部22cの中間転写ベルトに対する追随性を良好にでき、当接圧の低下を抑制できる。これにより、多量のトナーがクリーニングブレードに入力されても、良好にトナーをせき止めることができ、クリーニング不良を抑制することができる。
また、クリーニングブレード21の中間転写ベルト3との当接部で塑性変形しやすいと摩耗が大きくなる。しかし、本実施形態では、先端稜線部22cの弾性弾性仕事率を70%以上としたので、中間転写ベルト3との当接部の塑性変形を抑制でき、ブレードの耐摩耗性を向上させることが出来る。
次に、クリーニングブレード21の具体例について説明する。
<<基材>>
前記基材23としては、その形状、材質、大きさ、構造などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記基材の形状としては、例えば、平板状、短冊状、シート状などが挙げられる。前記基材の大きさとしては、特に制限はなく、前記中間転写ベルトの大きさに応じて適宜選択することができる。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高弾性が得られやすい点から、ポリウレタンゴム、ポリウレタンエラストマー、などが好適である。
前記基材23は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いてポリウレタンプレポリマーを調製する。次に、調製したポリウレタンプレポリマーに硬化剤、及び必要に応じて硬化触媒を加えて、所定の型内にて架橋し、炉内にて後架橋させたものを遠心成型によりシート状に成型する。その後、常温放置、熟成したものを所定の寸法にて、平板状に裁断することにより製造される。
前記ポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子量ポリオール、低分子量ポリオール、などが挙げられる。
前記高分子量ポリオールとしては、例えば、アルキレングリコールと脂肪族二塩基酸との縮合体であるポリエステルポリオール;エチレンアジペートエステルポリオール、ブチレンアジペートエステルポリオール、ヘキシレンアジペートエステルポリオール、エチレンプロピレンアジペートエステルポリオール、エチレンブチレンアジペートエステルポリオール、エチレンネオペンチレンアジペートエステルポリオール等のアルキレングリコールとアジピン酸とのポリエステルポリオール等のポリエステル系ポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルポリオール等のポリカプロラクトン系ポリオール;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量ポリオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフエニルメタン、4,4'−ジアミノジフエニルメタン等の二価アルコール;1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の三価又はそれ以上の多価アルコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、などが挙げられる。
前記硬化触媒の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜0.5質量%が好ましく、0.05質量%〜0.3質量%がより好ましい。
前記基材23のJIS−A硬度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60度以上が好ましく、65度〜80度がより好ましい。前記JIS−A硬度が、60度未満であると、ブレード線圧が得られにくく、中間転写ベルトとの当接部面積が拡大し易いため、クリーニング不良が発生することがある。
前記基材23としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、JIS−A硬度の異なる2種類以上のゴムを一体成型した積層物を用いることが、耐摩耗性と追随性を両立できる点で好ましい。
ここで、前記基材23のJIS−A硬度は、例えば、高分子計器株式会社製 マイクロゴム硬度計 MD−1などを用いて測定することができる。
前記基材のJIS K6255規格に準拠した反発弾性率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すうことができるが、23℃で、35%以下が好ましく、20%〜30%がより好ましい。前記反発弾性率が、35%を超えると、クリーニングブレードの基材にタック性が生じて、スティックスリップが発生し、ビビリ異音や、異常磨耗などが生じてしまうことがある。
ここで、前記基材23の反発弾性率は、例えば、JIS K6255規格に準拠し、23℃において、株式会社東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用いて測定することができる。
前記基材23の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0mm〜3.0mmが好ましい。
<<含浸層>>
前記基材23の先端稜線部22cに含浸させる樹脂材料としては、アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂を含有する紫外線硬化性組成物が好ましい。また、前記基材23の少なくとも先端稜線部22cにアクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂を含有する紫外線硬化性組成物が含まれていれば、前記基材23の先端稜線部22c以外の部位にもアクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂を含有する紫外線硬化性組成物が含まれていてもかまわない。
<<紫外線硬化性組成物>>
前記紫外線硬化性組成物に含有するアクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂としては、分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
−分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物−
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物は、分子内に嵩高い特殊な脂環構造を有しているので官能基数が少なく、かつ分子量が小さい(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。これにより、前記基材23の先端稜線部22cに含浸されやすく、前記先端稜線部22cの硬度を効率よく向上させることができる。また、先端稜線部22cに表面層を設けた場合には表面層の割れや剥がれを防止できる。
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物の脂環構造の炭素数は、6〜12が好ましく、8〜10がより好ましい。前記炭素数が、6未満であると、先端稜線部22c(含浸層22d)の硬度が弱くなることがあり、12を超えると、立体障害が起きる可能性がある。
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物の官能基数は、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。前記官能基数が、2未満であると、先端稜線部22c(含浸層22d)の硬度が弱くなることがあり、6を超えると、立体障害が起きる可能性がある。
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物の分子量は、500以下であることが好ましい。前記分子量が500を超えると、分子サイズが大きくなるため基材23に含浸しにくくなり、高硬度化が困難となることがある。
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリレート化合物及びアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。これらアクリレート化合物は、官能基が少なくても特殊な環状構造により架橋点の不足を補うことができるからである。
前記トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、などが挙げられる。
前記トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、商品名:A−DCP(新中村化学工業株式会社製)、などが挙げられる。
前記アダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,3−アダマンタンジメタノールジアクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジメタクリレート、1,3,5−アダマンタントリメタノールトリアクリレート、1,3,5−アダマンタントリメタノールトリメタクリレート、などが挙げられる。
前記アダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、商品名:X−DA(出光興産株式会社製)、商品名:X−A−201(出光興産株式会社製)、商品名:ADTM(三菱ガス化学株式会社製)、などが挙げられる。
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。しかし、前記紫外線硬化性組成物に対して、20質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、特殊な環状構造による高硬度化が損なわれてしまうことがある。
前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物(特に、トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリレート化合物又はアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。)が、前記基材23の中間転写ベルトの表面に当接する先端稜線部22cに含まれていることは、例えば、赤外顕微鏡、又は液体クロマトグラフィーにより分析することができる。
前記紫外線硬化性組成物は、前記分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物以外にも、分子量が100〜1,500の(メタ)アクリレート化合物を含有することができる。
前記分子量が100〜1,500の(メタ)アクリレート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクレリート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18−オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PEG600ジ(メタ)アクリレート、PEG400ジ(メタ)アクリレート、PEG200ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール・ヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、オクチル/デシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、官能基数が3〜6のペンタエリスリトールトリアクリレート構造を有する化合物が好ましい。
前記官能基数が3〜6のペンタエリスリトールトリアクリレート構造を有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、などが挙げられる。
<<その他の成分>>
また、先端稜線部22cに含浸させるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、重合禁止剤、希釈剤、などが挙げられる。
−光重合開始剤−
前記光重合開始剤としては、光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合を開始させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、などが挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合開始剤が特に好ましい。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物、などが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光ラジカル重合開始剤としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、イルガキュア 651、イルガキュア 184、DAROCUR 1173、イルガキュア 2959、イルガキュア 127、イルガキュア 907、イルガキュア 369、イルガキュア 379、DAROCUR TPO、イルガキュア 819、イルガキュア 784、イルガキュア OXE 01、イルガキュア OXE 02、イルガキュア 754(以上、チバ・スペシャリティーケミカルズ社製);Speedcure TPO(Lambson社製);KAYACURE DETX−S(日本化薬株式会社製);Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製);ユベクリルP36(UCB社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記紫外線硬化性組成物に対して、1質量%〜20質量%が好ましい。
−重合禁止剤−
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール化合物;p−ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、2,5−ジ−ブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、モノメチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン等のキノン化合物;フェニル−β−ナフチルアミン、p−ベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジベンジルヒドロキシルアミン、フェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ジニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸等のニトロ化合物;キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;フェノチアジン等の硫黄化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−希釈剤−
前記希釈剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;エタノール、プロパノール、1−ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記基材23の先端稜線部22cに、分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物を含有する紫外線硬化性組成物の硬化物を含ませる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、下記(1)〜(3)の方法などが挙げられる。
(1)前記基材23の先端稜線部22cに、前記紫外線硬化性組成物をハケ塗り、ディップ塗工等で含浸させた後、紫外線を照射して硬化させる方法。
(2)前記基材23の先端稜線部22cに紫外線硬化性組成物をハケ塗り、ディップ塗工等で含浸させた後、先端稜線部22cに紫外線硬化性組成物をスプレー塗工して表面層を形成し、紫外線を照射し硬化させる方法。
(3)前記基材23の先端稜線部22cに紫外線硬化性組成物をハケ塗り、ディップ塗工等で含浸させた後、紫外線を照射し硬化させ、その後、先端稜線部22cに紫外線硬化性組成物をスプレー塗工して表面層を形成する方法。
これらの中でも、前記(1)の方法が好ましい。
前記紫外線の照射条件については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、積算光量が500[mJ/cm]〜5,000[mJ/cm]が好ましい。
前記基材の先端稜線部22cに、分子内に炭素数6以上の脂環構造を有する(メタ)アクリレート化合物(特に、トリシクロデカン構造を有する(メタ)アクリレート化合物又はアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。)を含有する紫外線硬化性組成物を含浸させることにより、前記基材の先端稜線部22cが高硬度化し、先端稜線部22cが捲れたり、変形するのを抑制することができる。更に、経時による先端稜線部22cの摩耗によって内部が露出したときも内部への含浸作用により、同様に捲れや変形を抑制することができる。
以下、先端稜線部22cに含浸させる紫外線硬化性組成物の調製例について説明する。
(調製例1)
−紫外線硬化性組成物1の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物1を調製する。
・下記化1に示す構造式で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名:A−DCP、官能基数2、分子量304)・・・50質量部
Figure 2016206373
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例2)
−紫外線硬化性組成物2の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物2を調製する。
・下記化2に示す構造式で表されるアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物1(出光興産株式会社製、X−DA、官能基数2、分子量276〜304、1,3−アダマンタンジオールとアクリル酸との反応生成物)・・・50質量部
Figure 2016206373
ただし、式中、Rは水素原子、又はメチル基を表す。
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例3)
−紫外線硬化性組成物3の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物3を調製する。
・下記化3に示す構造式で表されるアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物2(1,3−アダマンタンジメタノールジアクリレート、出光興産株式会社製、X−A−201、官能基数2、分子量304)・・・50質量部
Figure 2016206373
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例4)
−紫外線硬化性組成物4の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物4を調製する。
・下記化4に示す構造式で表されるアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物3(三菱ガス化学株式会社製、ダイヤピュレストADTM、官能基数3、分子量388)・・・50質量部
Figure 2016206373
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例5)
−紫外線硬化性組成物5の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物5を調製する。
・上記化1に示した構造式で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−DCP、官能基数2、分子量304)・・・25質量部
・下記化5に示す構造式で表されるペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセルサイテック社製、PETIA、官能基数3、分子量298)・・・25質量部
Figure 2016206373
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例6)
−紫外線硬化性組成物6の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物6を調製する。
・上記化3に示した構造式で表されるアダマンタン構造を有する(メタ)アクリレート化合物2(1,3−アダマンタンジメタノールジアクリレート、出光興産株式会社製、X−A−201、官能基数2、分子量304)・・・25質量部
・上記化5に示した構造式で表されるペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセルサイテック社製、PETIA、官能基数3、分子量298)・・・25質量部
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例7)
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物7を調製する。
・上記化5に示した構造式で表されるペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセルサイテック社製、PETIA、官能基数3、分子量298)・・・50質量部
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
(調製例8)
−紫外線硬化性組成物8の調製−
下記の組成から、常法により紫外線硬化性組成物8を調製する。
・下記化6に示す構造式で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセルサイテック社製、DPHA、官能基数6、分子量578)・・・59質量部
Figure 2016206373
・重合開始剤(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)・・・5質量部
・溶媒(シクロヘキサノン)・・・55質量部
上記調製例は、一例であり、目的に応じて適宜変更することができる。
前記クリーニングブレードの基材23は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記中間転写ベルト表面に対して、10[N/m]〜100[N/m]の押圧力で当接することが好ましい。前記押圧力が、10[N/m]未満であると、クリーニングブレードの基材が像担持体表面に当接する当接部位のトナー通過によるクリーニング不良が発生し易くなる。また、100[N/m]を超えると、当接部位の摩擦力の増加によりクリーニングブレードが捲れ上がることがある。よって、押圧力は、10[N/m]〜50[N/m]が好ましい。
前記押圧力は、例えば、共和電業株式会社製 小型圧縮型ロードセルを組み込んだ測定装置を用いて測定することができる。
前記クリーニングブレードの基材23が前記中間転写ベルト表面に当接する部位における接線とクリーニングブレードの端面とのなす角度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、65°以上85°以下であることが好ましい。
前記なす角度θが、65°未満であると、クリーニングブレードの捲れ上りが発生することがあり、85°を超えると、クリーニング不良が発生することがある。
次に、本出願人が行った検証実験1、2について、説明する。
[検証実験1]
検証実験1は、マルテンス硬度が互いに異なる7つの中間転写ベルトと、先端稜線部22cのマルテンス硬度が互いに異なる4つのクリーニングブレードを用いて、検証実験を行った。検証実験1は、上述と同様、記録紙として(株)リコー製 マイペーパを用い、同じ原稿を用いて10000枚のプリントテストを行い、紙粉フィルミングの指標値として非画像部のIf上昇率を調べた。非画像部のIf上昇率は、M色トナーを用い、ベルト上でトナーが入力される箇所とトナーが入力されない場所を分けた画像を10000枚連続して作像、通紙する過程で測定した。目標のIf上昇率は150%以下とした。良否判定の目標If上昇率を150%としたのは、以下の理由からである。If上昇率が高くなると、それに伴い前述のVsg変動も大きくなり、光学センサ13の検知精度が悪化する。Vsg変動が異常値にならないときの(光学センサ13の検知精度が維持できる)If上昇率の指標が150%以下となるからである。
中間転写ベルトのマルテンス硬度と、クリーニングブレードのマルテンス硬度は、Fischer社の微小硬度計H−100を用いて、下記の条件で測定した。
・中間転写ベルトのマルテンス硬度
最大荷重:2[mN]
最大荷重までの到達時間:10秒
クリープ時間:10秒
荷重減少時間:10秒
・クリーニングブレードのマルテンス硬度
最大荷重:1[mN]
最大荷重までの到達時間:10秒
クリープ時間:5秒
荷重減少時間:10秒
次に、検証実験に用いた中間転写ベルト3に説明する。
・中間転写ベルト#1
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)
マルテンス硬度:17[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#2
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)
マルテンス硬度:113[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#3
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)
マルテンス硬度:132[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#4
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)
マルテンス硬度:175[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#5
材質:PAI(ポリアミドイミド)
マルテンス硬度:121[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#6
材質:PAI(ポリアミドイミド)
マルテンス硬度:150[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#7
材質:PAI(ポリアミドイミド)
マルテンス硬度:230[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
次に、検証実験に用いたクリーニングブレード21について説明する。
クリーニングブレード21の基材23は、特開2011−141449号公報の実施例1に記載のクリーニングブレードの作製方法を参照して作製した。
上記のようにして作製した基材を支持部材としての板金ホルダーに接着剤により固定し、クリーニングブレード#1を得た。
クリーニングブレード♯2〜4は、以下のように作製した。上述した前記紫外線硬化性組成物1(調製例1)の固形分濃度が50質量%となるように希釈剤(シクロヘキサノン)で希釈した液中に、前記作製した基材23の中間転写ベルトと当接する側の先端から2mmの部分を所定時間浸漬した後、3分間風乾する。風乾後、紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社製、UVC−2534/1MNLC3)を用いて紫外線照射(140W/cm×5m/min×5パス)を行う。次いで、熱乾燥機を用いて機内温度100℃で15分間乾燥を行う。次に、表面硬化処理後の基材23を支持部材としての板金ホルダーに接着剤により固定し、クリーニングブレード#2〜4を得た。なお、上記浸漬時間を互いに異ならせることで、マルテンス硬度が互いに異なるクリーニングブレード#2〜4を作製した。
・クリーニングブレード#1
2層ブレード、バックアップ層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)、接触層:ポリウレタンゴム 硬度80度(JIS−A)
マルテンス硬度:0.8[N/mm
ブレード厚み:1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/m]
・クリーニングブレード#2
単層ブレード+含浸層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:4.5[N/mm
ブレード厚み:1.7[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/m]
・クリーニングブレード#3
単層ブレード+含浸層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:5.0[N/mm
ブレード厚み:2.0[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/m]
・クリーニングブレード#4
単層ブレード+含浸層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:10[N/mm
ブレード厚み:2.0[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/m]
検証実験の結果を、図9〜図12に示す。
図9〜図12に示すように、クリーニングブレードの先端稜線部のマルテンス硬度が高くなるにしたがってIf上昇率は低く抑えられていることが分かる。本出願人は、その理由について、以下のように考えている。すなわち、紙粉(炭酸カルシウム)が刺さった中間転写ベルトをクリーニングブレードが薄く均一に削っている。または、先の図8(b)のクリーニングニップ領域でのブレードの振動が抑制された結果、紙粉が刺さりにくくなっている。あるいは上記両方の理由から紙粉フィルミングが抑制されたと考えている。
上記ベルト表面をクリーニングブレード21が薄く均一に削ることができていると考える理由は、ベルトのマルテンス硬度が低くなるにつれてIf上昇率が低下しているからである。但し、マルテンス硬度の大小で比べると、ベルトのほうが硬いため、クリーニング助剤としてトナーの周りに付着しているシリカなどの添加剤にアシストされて、ベルト表面を削っていると考えられる。
また、クリーニングニップ領域でのブレードの振動が抑制された結果、紙粉が刺さりにくくなっていると考える理由は、先端稜線部22cを含浸処理して剛直にしているからである。すなわち、先端稜線部22cを剛直にすることで、ブレードの振動が抑えられていると考えられ、その結果、クリーニングニップ領域で紙粉をベルトに埋め込む動作が行われる頻度が低下していると考えられるからである。
そして、図9〜図12に示すように、クリーニングブレード21の先端稜線部22cのマルテンス硬度が、0.8[N/mm]以上のクリーニングブレードにおいて、いずれの中間ベルトにおいても、If上昇率を150%以下にできた。なお、常時トナーが入力される画像部においては、いずれのベルトもIf上昇率は100%のままであり、画像部では紙粉フィルミングは発生していなかった。また、クリーニング不良も確認されなかった。
[検証実験2]
検証実験2は、記録紙としてPPC PAPER High White を用い、23℃50%の環境条件において、記録紙以外は検証実験1と同様な実験を行った。マルテンス硬度が互いに異なる7つの中間転写ベルトと、先端稜線部22cのマルテンス硬度が互いに異なる7つのクリーニングブレードを用いて行った。なお、検証実験2において使用した記録紙に含まれる炭酸カルシウムの量は、検証実験1において使用した記録紙の炭酸カルシウムの量の約10倍となっている。市場においては、安価で白色度の高い紙が使われることも多い。白色度の高い記録紙は紙粉フィルミングのもとになっている炭酸カルシウム量が多いため、炭酸カルシウム量が多い記録紙を使った場合でもベルトとブレードのマルテンス硬度とフィルミング除去の効果を明らかにすることを目的として検証実験2を行った。
・中間転写ベルト#A
材質:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)
マルテンス硬度:100[N/mm
厚さ寸法:100[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#B
材質:PVDF(ポリフッ化ビニリデン)
マルテンス硬度:120[N/mm
厚さ寸法:100[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#C
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)
マルテンス硬度:132[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#D
材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)
マルテンス硬度:175[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#E
材質:PAI(ポリアミドイミド)
マルテンス硬度:150[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
・中間転写ベルト#F
材質:PAI(ポリアミドイミド)
マルテンス硬度:230[N/mm
厚さ寸法:80[μm]
線速:256[mm/s]
テンション:1.3[N/cm]
次に、検証実験2に用いたクリーニングブレード21について説明する。
クリーニングブレード#Aは、検証実験1のクリーニングブレード#1と同様にして作製した。また、クリーニングブレード#B〜Gは、アクリル樹脂含浸処理を行ったクリーニングブレードである。含浸処理には、クリーニングブレード#B〜G全て上述した調整例1を用いた。なお、調整例2〜8の処方についても同様な機能のブレードが作成できる。クリーニングブレード#B〜Gは、浸漬時間を互いに異ならせ、上記検証実験1のクリーニングブレード#2〜4と同様にして、マルテンス硬度が互いに異なるクリーニングブレード#B〜Gを作製した。
・クリーニングブレード#A
2層ブレード、バックアップ層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)、接触層:ポリウレタンゴム 硬度80度(JIS−A)
マルテンス硬度:0.8[N/mm
ブレード厚み:1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
・クリーニングブレード#B
単層ブレード+混合層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:1.5[N/mm
ブレード厚み:2.0[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
・クリーニングブレード#C
単層ブレード+混合層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:2.0[N/mm
ブレード厚み:1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
・クリーニングブレード#D
単層ブレード+混合層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:3.0[N/mm
ブレード厚み:1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
・クリーニングブレード#E
単層ブレード、バックアップ層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:4.5[N/mm
ブレード厚み:1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
・クリーニングブレード#F
単層ブレード+混合層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:5.0[N/mm
ブレード厚み1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
・クリーニングブレード#G
単層ブレード+混合層:ポリウレタンゴム 硬度73度(JIS−A)+アクリル樹脂含浸処理
マルテンス硬度:10[N/mm
ブレード厚み:1.8[mm]
ブレード当接線圧:20[gf/cm]
検証実験2の結果を、図13〜図19に示す。
図13〜図19に示すように、クリーニングブレード21の先端稜線部22cのマルテンス硬度が高くなるにしたがってIf上昇率は低く抑えられていることが分かる。しかしながら、炭酸カルシウム量が少ないタイプを使用して行った検証実験1と多いタイプの記録紙を使用して行った検証実験2を比較すると、検証実験2の方が、If上昇率が悪化していることがわかる。例えば、クリーニングブレードの先端稜線部のマルテンス硬度が0.8[N/mm]で比較する(図9、図13参照)と、炭酸カルシウム量が少ないタイプ(マイペーパ)の記録紙を使用した場合には、紙粉フィルミングを抑制でき、If上昇率を150%以下に(図9参照)できている。しかし、炭酸カルシウム量が多いタイプの記録紙(ハイホワイト)を使用した場合には、紙粉フィルミングを抑制できず、If上昇率が150%を超えてしまった(図13参照)。また、検証実験2においては、先端稜線部のマルテンス硬度が0.8[N/mm]のクリーニングブレード#Bにおいては、クリーニング不良も発生した。これは、検証実験1のマルテンス硬度0.8[N/mm]のクリーニングブレードでは、クリーニング不良が生じていないことを鑑みると、中間転写ベルトに多量に付着した紙粉フィルミングによりクリーニング不良が発生したと考えられる。
また、検証実験2の結果から、先端稜線部22cのマルテンス硬度が2.0[N/mm]以上のクリーニングブレード#C〜Gにおいては、炭酸カルシウムの多いタイプの記録紙を使用しても、If上昇率を150%以下に抑えることができた。また、クリーニング不良も確認されなかった。
なお、クリーニングブレードの先端稜線部のマルテンス硬度を10[N/mm]よりも大きくすれば、さらにフィルミング除去効果が高められると考えられる。しかし、マルテンス硬度を大きくすると、次の副作用が発生すると考えられる。すなわち、ブレード先端のマルテンス硬度を大きくしすぎると、ブレード先端が硬くなりすぎ、低温低湿環境において、ポリウレタンゴムが硬くなったとき、中間転写ベルト表面への追従性が悪くなり、クリーニング不良が発生するおそれがある。少なくとも、上記検証実験により、クリーニングブレード21の先端稜線部22cのマルテンス硬度を、2〜10[N/mm]にすることにより紙粉フィルミングとトナークリーニングとの両立を図ることができる。
また、マルテンス硬度が高いほど、ブレードの局所摩耗が起こりやすいことが本出願人の鋭意研究により判明している。このため、クリーニングブレードの先端稜線部22cのマルテンス硬度は、長期の寿命安定性を確保する上で、なるべく低く抑えることが好ましい。よって、クリーニングブレードの先端稜線部22cのマルテンス硬度を、2〜5[N/mm]にするのが好ましい。これにより、紙粉フィルミングとトナークリーニングとの両立を図ることができ、なおかつ、長期の寿命安定性を確保することができる。特に、クリーニングブレードの先端稜線部22cのマルテンス硬度5[N/mm]が、ブレード寿命と紙粉フィルミング除去双方にとって最適なポイントと考えられる。
以上、クリーニングブレードとして、先端稜線部22cなどの当接部を、ブレード基材23に対してアクリル樹脂およびメタクリル樹脂のうちの少なくとも一方の樹脂を含有した含浸層22dなどの含有層としたものを用いて説明したが、クリーニングブレードの先端稜線部の硬度が2[N/mm]以上、10[N/mm]以下であれば、ブレード基材23が、低硬度のバックアップ層と硬度が2[N/mm]以上、10[N/mm]以下の高硬度の接触層とを有する2層構造のクリーニングブレードでも同様の効果が得られる。
図20は、ブレード基材23がバックアップ層225と接触層224と有する2層構造のクリーニングブレード24の概略構成図である。
接触層224は弾性体であるウレタンゴムで形成される。バックアップ層225は、弾性体であるウレタンゴム、あるいは弾性を有する樹脂で形成されてもよい。接触層224は、バックアップ層225よりマルテンス硬度を高く設定する。接触層224のみをシート状に形成したのちにマルテンス硬度を測定したときの値が、2[N/mm]以上、10[N/mm]以下にする。これにより、クリーニングブレードの先端稜線部の硬度を、2[N/mm]以上、10[N/mm]以下にできる。なお、接触層224とバックアップ層225の特性は、トナーや中間転写ベルト3の速度等により変更することができる。また、接触層224の厚みは、0.5mm、バックアップ層225の厚みは1.3mmとできるが、両者の厚みの比率はゴム硬度の選択により変更することができる。
図20に示すクリーニングブレード24においては、バックアップ層225が接触層224に比べて低硬度であるため、長期使用によるへたりや、接触圧低下を防止することができる。このため、長期にわたって良好なクリーニング性能を得ることができる。また、含浸処理によって得られるクリーニングブレードに比べて、製造工程が簡略化できるため、低コスト化を図ることができる。
[検証実験3]
検証実験3は、通常使用において、クリーニング条件が最も厳しい条件下で行った。具体的には、中間転写ベルト上には、前述のように記録紙Pなどの転写媒体に転写されないプロセスコントロール用のベタパッチトナーが形成され、このベタパッチトナーがクリーニングブレードに入力される。このベタトナーパッチが、クリーニングブレードがクリーニングうえで最も多いトナー量である。プロセスコントロールは、低温低湿環境下でも実施され、低温低湿環境下においてクリーニングブレード21にベタトナーパッチが入力される。従って、通常使用において、クリーニング条件が最も厳しい条件下は、低温低湿環境下でベタトナーパッチが入力される条件である。
よって、検証実験3では、低温低湿環境下において、プロセスコントロール用ベタトナーパッチを作像20枚に1回の割合でベルト上に形成しながら、4色それぞれの画像面積率5%の原稿を用い、A4・10000枚の作像通紙条件で行い、すり抜けトナーが発生したか否かの確認を行った。
検証実験3には、中間転写ベルト3として、最もIf上昇率を改善させにくかった、検証実験1の中間転写ベルト#4(材質:PPS(ポリフェニレンサルファイド)、マルテンス硬度:175[N/mm2])を用いた。
検証実験3に用いたクリーニングブレード21は、以下のとおり。
[弾性ブレード]
弾性ブレード622としては、25[℃]における物性が以下の物性となっているウレタンゴムを用意した。
ウレタンゴム:硬度68度、反発弾性率30[%](東洋ゴム工業社製)
[硬化材料]
含有部分への含浸処理や表面層623の形成処理に用いる硬化材料としては、以下の硬化材料を用いた。
・ 紫外線硬化樹脂1:ペンタエリスリトール・トリアクリレート (官能基数3、官能基相当量99)(ダイセルサイテック社製;PETIA)
・紫外線硬化樹脂2:オクチル/デシル・アクリレート (官能基数1、官能基相当量226)(ダイセルサイテック社製;ODA-N)
・紫外線硬化樹脂3:フッ素系アクリレート (ダイキン工業社製;OPTOOL DAC-HP)
重合開始剤:1.2αヒドロキシアルキルフェノン
(チバスペシャリティーケミカルズ社製;イルガキュア184)
溶媒:シクロヘキサノン
[ブレード作成方法]
<ブレード#31作成方法>
−硬化材料の調製−
・紫外線硬化樹脂1(ペンタエリスリトール・トリアクリレート)8部
・紫外線硬化樹脂2:(オクチル/デシル・アクリレート)2部
・紫外線硬化樹脂3:(フッ素系アクリレート)0.1部
・重合開始剤:(1.2αヒドロキシアルキルフェノン)0.5部
・溶媒:(シクロヘキサノン)89.4部
上記ウレタンゴムを用いて厚さ1.8[mm]の短冊形状の弾性ブレードを作製し、ブレード先端部を上記硬化材料に厚さ1.8[mm]と略同じ深さで先端より所定時間浸漬し適宜含浸処理を行った後、3分間風乾する。続いて、スプレー塗工法により同じ硬化材料により表面層を形成した。表面層の形成は具体的には、まずスプレー塗工によりブレード先端面から10[mm/s]のスプレーガン移動速度にて所定の層厚になるように先端面に重ね塗りを行い、3分間指触乾燥後、さらにブレード下面に同様に表面層が形成されるように塗工した。 その後さらに3分間指触乾燥を行い、紫外線露光(140[W/cm]×5[m/min]×5パス)を行った。なお、このときスプレー塗工により表面層を形成する領域はマスキングテープにより制限して塗工を行い、クリーニングブレード♯31を得た。
<ブレード#32〜36作成方法>
上記ブレード#31の作成に用いた上記硬化材料において重合開始剤の量を適宜増加させ、また、紫外線露光量、時間を調整することで、マルテンス硬度と弾性仕事率を調整し、ブレード#32〜36を得た。マルテンス硬度が高くなるとトレードオフで弾性仕事率が低くなる傾向がある。
<ブレード#37〜38>
厚み500[μm]の高硬度ウレタンゴムの表面層と、1.75[mm]厚みのウレタンゴムのバックアップ層とからなる二層構造のブレード部材とを用いた。二層構造のブレード部材では、バックアップ層のマルテンス硬度を0.8[N/mm]としている。 表面層のマルテンス硬度はバックアップ層のそれよりも大きい。クリーニングブレード♯37の表面層は、マルテンス硬度6[N/mm]の高硬度ウレタンゴムを用い、クリーニングブレード♯38の表面層は、マルテンス硬度4[N/mm]の高硬度ウレタンゴムを用いた。
クリーニングブレード♯31〜37のマルテンス硬度と、弾性仕事率は、次のようにして求めた。
ブレード下面22eの先端稜線部22cから20[μm]離れた箇所において、ビッカース圧子を表面から、5[μm]押し込んだときの測定値から求めた。押し込み条件は、押し込み深さ:5[μm]のとき、押し込み荷重:1.0[mN]、押し込み時間:10[s]、クリープ時間:5[s]、抜き時間:10[s]とした。
先端稜線部22cのマルテンス硬度や弾性仕事率は測定しにくく、測定値の再現性が悪い。先端稜線部のマルテンス硬度と弾性仕事率は、ブレード下面22eの先端稜線部22cから20[μm]離れた箇所のマルテンス硬度と弾性仕事率とほぼ同じ値であることを鑑み、代用特性値として、ブレード下面22eの先端稜線部22cから20[μm]離れた箇所のマルテンス硬度と、弾性仕事率を測定した。これにより、安定的に先端稜線部のマルテンス硬度と、弾性仕事率を測定することができる。
また、押し込み深さを5[μm]に規定した理由は、以下のとおり。トナーの直径が約5[μm]であり、このトナーが、クリーニングブレードと中間転写ベルト3との当接部分にもぐりこんでトナーのすり抜けが起こる。すなわち、トナーがすり抜けるときには、先端稜線部を約5[μm]押し込むのである。よって、押し込み深さを5[μm]とすることで、トナーすり抜けに対応した条件でマルテンス硬度と、弾性仕事率とを測定することができる。
以下の表1に、検証実験3の結果を示す。
Figure 2016206373
表3に示すように、弾性仕事率が70%未満のクリーニングブレード♯36、♯37は、トナーすり抜けが確認された。これは、先端稜線部22cの中間転写ベルト3の表面に対する追随性が悪かったため、当接圧が低下したときにトナーのすり抜けが発生したと思われる。一方、弾性仕事率が70%以上のクリーニングブレード♯31〜♯35、♯38に関しては、最もクリーニング性が厳しい条件でも、トナーすり抜けが発生ししなかった。これにより、先端稜線部22cのマルテンス硬度を2[N/mm]以上、10[N/mm]以下としたクリーニングブレードにおいて、弾性仕事率を70%以上とすることで、通常使用のいずれの条件下でも、良好にクリーニング性を得ることができる。
以上、検証実験1、2、3から、クリーニングブレード21の先端稜線部22cのマルテンス硬度を、2〜10[N/mm2]、弾性仕事率を70%以上にすることにより紙粉フィルミングとトナークリーニングとの両立を図ることができる。
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
感光体などの像担持体から転写されたトナー像を、記録紙Pに転写する2次転写ローラ17などの転写部に搬送する中間転写ベルト3の表面に当接して、該中間転写ベルト3の表面をクリーニングするクリーニングブレード21において、上記中間転写ベルトとの当接部(本実施形態では、先端稜線部22c)のマルテンス硬度を、2[N/mm]以上、10[N/mm]以下、かつ、弾性仕事率を、70%以上とした。
これによれば、上述した検証実験3で示したように、クリーニングブレードの中間転写ベルトとの当接部のマルテンス硬度を、2[N/mm]以上、10[N/mm]以下にしたクリーニングブレードにおいて、上記当接部の弾性仕事率を70%以上とすることにより、クリーニングブレードに多くのトナーが入力される条件下でもクリーニング不良が生じず、良好なクリーニング性を得ることができた。これにより、中間転写ベルトの紙粉フィルミングを良好に除去でき、かつ、良好なクリーニング性を維持することができる。
(態様2)
(態様1)において、上記マルテンス硬度および上記弾性仕事率は、上記中間転写ベルトの表面と対向するベルト対向面(本実施形態ではブレード下面22e)の上記当接部(本実施形態では先端稜線部22c)から20[μm]離れた位置で5[μm]押し込んで測定した値である。
これによれば、実施形態で説明したように、ブレード下面22eなどのベルト対向面の先端稜線部22cなどの当接部から20[μm]離れた箇所のマルテンス硬度と弾性仕事率は、先端稜線部などの当接部のマルテンス硬度と弾性仕事率とほぼ同じ値である。よって、ブレード下面22eなどのベルト対向面の先端稜線部22cなどの当接部から20[μm]離れた箇所のマルテンス硬度と弾性仕事率を測定することで、当接部のマルテンス硬度、弾性仕事率を測定する場合に比べて、安定的に測定することができる。これにより、良好に当接部のマルテンス硬度と弾性仕事率を得ることができる。また、5[μm]押し込んだときのマルテンス硬度と弾性仕事率を測定することで、トナーすり抜けに対応した条件でマルテンス硬度と、弾性仕事率とを測定することができる。
(態様3)
(態様1)または(態様2)において、先端稜線部22cなどの当接部を、ブレード基材23に対してアクリル樹脂およびメタクリル樹脂のうちの少なくとも一方の樹脂を含有した含浸層22dなどの含有層とした。
かかる構成を備えることで、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂により、クリーニングブレード21の先端稜線部22cの硬度を2[N/mm]以上、10[N/mm]以下かつ弾性仕事率を70%以上にすることができる。
また、含有する樹脂としてアクリル樹脂およびメタクリル樹脂を用いることで、シリコーン含有架橋樹脂を用いた場合に比べて、クリーニングブレードの耐久性を向上させることができる。また、表面層を形成して、先端稜線部22cなどの当接部の硬度を上昇させた場合に比べて、高硬度層と基材層との境目で硬度が急激に変化することを抑制することができ、応力集中に起因して弾性ブレード222が破損することを防止できる。
(態様4)
感光体などの像担持体と、像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段(本実施形態では、帯電装置8、露光装置9、現像装置10で構成)と、像担持体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト3上に一次転写する一次転写ローラなどの一次転写手段と、中間転写ベルト3上に担持したトナー像を記録紙Pに転写する2次転写ローラ17などの二次転写手段と、中間転写ベルト3の表面をクリーニングするクリーニングブレード21とを備えるプリンタ30などの画像形成装置において、クリーニングブレード21として(態様1)乃至(態様3)いずれかののクリーニングブレードを用いる。
かかる構成を備えることで、中間転写ベルト3の紙粉フィルミングを経時にわたり抑制することができ、かつ、中間転写ベルト3の表面を良好にクリーニングすることができ、クリーニングブレードをすり抜けたトナーによる画像不良などが生じるのを抑制することができる。
(態様5)
(態様4)において、中間転写ベルト3のマルテンス硬度が200[N/mm2]以下である。
実施形態で説明したように、紙粉フィルミングが発生するマルテンス硬度200[N/mm2]の中間転写ベルト3の表面をクリーニングするクリーニングブレードとして、(態様1)乃至(態様3)いずれかのクリーニングブレードを用いることで、良好に紙粉フィルミングを抑制することができる。
(態様6)
(態様4)または(態様5)において、中間転写ベルト3が、押出し成形によって製造された中間転写ベルトである。
かかる構成を備えることで、実施形態で説明したように、遠心成形に比べて中間転写ベルト3を安価にすることができ、装置のコストアップを抑制することができる。
(態様7)
(態様4)乃至(態様6)いずれかにおいて、中間転写ベルト3に付着したトナー付着量を検出する光学センサ13を備えた。
(態様7)によれば、実施形態で説明したように、中間転写ベルト3の紙粉フィルミングが抑制されるので、経時にわたり、良好に中間転写ベルト3に付着したトナー付着量を検出することができる。
1a,1b,1c,1d 感光体
3 中間転写ベルト
8 帯電装置
9 露光装置
10 現像装置
11 一次転写ローラ
13 光学センサ
17 2次転写ローラ
20 ベルトクリーニング装置
21 クリーニングブレード
22c 先端稜線部
22d 含浸層
23 ブレード基材
30 プリンタ
221 ホルダー
222 ブレード部材
特開2013−45097号公報

Claims (7)

  1. 像担持体から転写されたトナー像を、記録紙に転写する転写部に搬送する中間転写ベルトの表面に当接して、該中間転写ベルトの表面をクリーニングするクリーニングブレードにおいて、
    上記中間転写ベルトとの当接部のマルテンス硬度を、2[N/mm]以上、10[N/mm]以下、かつ、弾性仕事率を、70%以上としたことを特徴とするクリーニングブレード。
  2. 請求項1に記載のクリーニングブレードにおいて、
    上記マルテンス硬度および上記弾性仕事率は、上記中間転写ベルトの表面と対向するベルト対向面の上記当接部から20[μm]離れた位置で5[μm]押し込んで測定した値であることを特徴とするクリーニングブレード。
  3. 請求項1または2に記載のクリーニングブレードにおいて、
    上記当接部を、ブレード基材に対してアクリル樹脂およびメタクリル樹脂のうちの少なくとも一方の樹脂を含有した含有層としたことを特徴とするクリーニングブレード。
  4. 像担持体と、
    前記像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記像担持体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト上に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写ベルト上に担持したトナー像を記録紙に転写する二次転写手段と、
    前記中間転写ベルトの表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備える画像形成装置において、
    前記クリーニングブレードとして請求項1乃至3いずれかに記載のクリーニングブレードを用いたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトのマルテンス硬度が200[N/mm]以下であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項4または5に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトが、押出し成形によって製造された中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項4乃至6いずれかに記載の画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトに付着したトナー付着量を検出する光学センサを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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