JP2018155495A - 材料損傷評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】評価対象物の損傷度を高い精度で評価する。【解決手段】材料損傷評価方法は、電子後方散乱回折法によって取得された強度試験後の基準試験片の基準パラメータ値のうち、第一閾値を超えている前記基準パラメータ値の平均値である基準平均値を取得する基準平均値取得工程S20と、前記基準平均値と損傷度の関係である基準損傷関係を取得する基準損傷関係取得工程S30と、電子後方散乱回折法によって取得された評価試験片の評価パラメータ値のうち、前記第一閾値を超えている前記評価パラメータ値の平均値である評価平均値を取得する評価平均値取得工程S60と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、材料損傷評価方法に関する。
ガスタービンや蒸気タービン等の高温高圧の環境下で使用される翼部材等の構造部材は、クリープ変形等によって劣化してしまう可能性がある。そのため、定期点検等で構造部材の材料劣化を評価して損傷度の診断し、適切に補修や構造部材の交換を行う必要がある。
このような高温高圧の環境下に曝される構造部材の材料劣化を評価する方法として、評価対象物から引張試験片を採取して引張試験を実施する方法が挙げられる。しかしながら、評価対象物が翼部材である場合、劣化が激しいと考えられる翼部材の先端部では引張試験片を採取するための肉厚を確保することが難しい。そのため、引張試験片を採取するための肉厚が可能な箇所から引張試験片を採取して評価を実施しなければならず、本来評価したい先端部に対する評価精度が低下してしまう。
これに対して、電子後方散乱回折法(EBSD;Electron Back−Scatter Diffraction Pattern)を用いて材料劣化を評価する方法が知られている(特許文献1参照)。電子後方散乱回折法では、所定の検出範囲の結晶方位に関するパラメータ値が取得される。特許文献1に記載の方法では、評価したい金属材料に対して、電子後方散乱回折法を実施して結晶方位に基づくパラメータ値として結晶方位角度差を取得している。その後、予め測定した結晶方位角度差と累積損傷試験の結果と部基づいて作成された検量曲線を利用して、取得した結晶方位角度から評価対象部材の損傷量を評価している。
特開2011−179879号公報
ところが、電子後方散乱回折法では所定の検出範囲の結晶方位の分布を取得する際に、検出範囲の設定によって得られるパラメータ値にばらつきが生じる。具体的には、評価対象物に応力集中し易い部位が形成されている場合には、検出範囲の形状や面積に依存して、得られるパラメータ値のばらつきが大きくなる。そのため、検出範囲の形状や面積に依存しない電子後方散乱回折法を用いた材料評価方法が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検出範囲の形状や面積に依存せずに評価対象物の損傷度を高い精度で評価することが可能な材料損傷評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る材料損傷評価方法は、評価対象物の損傷度を評価する材料損傷評価方法であって、複数の基準試験片に対して、与える損傷度をそれぞれ変えて強度試験を実施し、前記強度試験後の前記基準試験片の結晶方位に基づくパラメータ値である基準パラメータ値を電子後方散乱回折法によって取得する基準パラメータ値取得工程と、前記基準パラメータ値取得工程で取得された前記基準パラメータ値のうち、予め定めた第一閾値を超えている前記基準パラメータ値の平均値である基準平均値を取得する基準平均値取得工程と、前記基準平均値取得工程で取得された前記基準平均値と前記損傷度の関係である基準損傷関係を取得する基準損傷関係取得工程と、前記評価対象物から電子後方散乱回折方法を実施可能とされた評価試験片を作成する評価試験片作成工程と、前記評価試験片の前記パラメータ値である評価パラメータ値を電子後方散乱回折方法によって取得する評価パラメータ値取得工程と、前記評価パラメータ値取得工程で取得された前記評価パラメータ値のうち、前記第一閾値を超えている前記評価パラメータ値の平均値である評価平均値を取得する評価平均値取得工程と、前記評価平均値取得工程で取得された前記評価平均値と前記基準損傷関係とから前記評価試験片の損傷度を取得する損傷度評価工程とを含む。
このような構成によれば、評価の基準となる基準損傷関係を取得する際に、第一閾値以下の基準パラメータ値が除外される。その結果、検出範囲の大きさや位置に関わらず、実際に損傷した度合いに応じた基準パラメータ値が取得される。この基準パラメータ値を用いて基準平均値を取得することで、損傷度及び基準平均値の関係を高い精度で示す基準損傷関係を取得することができる。また、実際に評価対象物を評価する際にも、第一閾値以下の評価パラメータ値が除外される。そのため、検出範囲の大きさや位置に関わらず、実際に損傷した度合いに応じた評価パラメータ値が取得される。その結果、この評価パラメータ値によって、検出範囲に依然せずに評価平均値が取得される。損傷度評価工程で、基準損傷関係に対して評価平均値を当てはめることで、評価試験片における実際の損傷度合いに近い損傷度を取得することができる。
また、本発明の第二態様に係る材料損傷評価方法では、第一態様において、前記評価試験片作成工程では、前記評価対象物に対して構造解析を実施し、前記構造解析の結果に基づいて前記損傷度が予め定めた基準損傷度を超えている領域から前記評価試験片が取得されてもよい。
このような構成とすることで、評価対象物が大きい場合や複雑な形状をなしている場合であっても、評価対象物の中で損傷度の高い部位を評価試験片とすることができる、したがって、評価対象物の中で損傷度の高い部位に対して確実に電子後方散乱回折法を実施することができる。これにより、評価対象物の中の損傷度の高い部位を優先的かつ確実に評価することができる。
また、本発明の第三態様に係る材料損傷評価方法では、第一態様又は第二態様において、前記基準平均値取得工程では、前記基準平均値取得工程では、前記基準パラメータ値に基づいて定められる推定閾値と、前記推定閾値を超えた前記基準パラメータ値の平均値である推定平均値との関係である閾値取得関係を取得し、取得した前記閾値取得関係における増加率が予め定めた基準変化率を下回った場合の前記推定閾値に基づいて前記第一閾値が決定されてもよい。
このような構成とすることで、基準平均値及び評価平均値のばらつきが少なくなるように第一閾値を設定することができる。その結果、より高い精度で基準平均値及び評価平均値を取得できる。
本発明によれば、検出範囲の形状や面積に依存せずに評価対象物の損傷度を高い精度で評価することができる。
本実施形態に係る材料損傷評価方法を示すフロー図である。 本発明の実施形態に係る基準パラメータ値取得工程で使用される引張試験片を説明する概略図である。 本発明の実施形態に係る基準損傷関係取得工程で取得される基準損傷関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る第一閾値の算出方法の一例を説明するグラフである。 本発明の実施形態に係る第一閾値の算出方法の一例を説明するコンター図である。 本発明の実施形態に係る損傷度評価工程で使用される基準損傷関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る検出範囲の例を説明するコンター図である。
以下、本発明の実施形態について図1から図7を参照して説明する。
材料損傷評価方法S1は、損傷を受けた評価対象物の損傷度Dを電子後方散乱回折法(EBSD;Electron Back−Scatter Diffraction Pattern)を用いて評価する方法である。電子後方散乱回折法は、走査型電子顕微鏡(SEM)における電子線回折の一種で、回折パターンから測定物の表面付近の結晶方位や結晶構造を同定可能とされている。
本実施形態の評価対象物は、例えば、ガスタービンや蒸気タービンのような高温高圧の環境下で使用される構造部材である。より具体的には、本実施形態の評価対象物は、例えば、動翼や静翼等の翼部材である。
本実施形態の材料損傷評価方法S1は、図1に示すように、基準パラメータ値取得工程S10と、基準平均値取得工程S20と、基準損傷関係取得工程S30と、評価試験片作成工程S40と、評価パラメータ値取得工程S50と、評価平均値取得工程S60と、損傷度評価工程S70とを含んでいる。
基準パラメータ値取得工程S10は、複数の基準試験片Sに対して、与える損傷度Dをそれぞれ変えて強度試験を実施する。基準パラメータ値取得工程S10は、強度試験後の基準試験片Sのパラメータ値を基準パラメータ値として電子後方散乱回折法によって取得する。強度試験は、例えば、引張試験やクリープ試験が挙げられる。したがって、本実施形態の基準試験片Sは、例えば、図2に示すような平板状の引張試験片である。基準試験片Sは、評価対象物と同一成分系の材料(同じ物性値を有するとみなせる材料)から形成されている。損傷度Dは、材料の劣化度合いを示す値である。損傷度Dは、強度試験として引張試験を実施する場合にはひずみや荷重であり、強度試験としてクリープ試験を実施する場合には時間である。
例えば、基準パラメータ値取得工程S10で、強度試験として引張試験を実施する場合には、基準試験片Sごとに与えるひずみに大きさを変えて引張試験片を実施する。これにより、基準パラメータ値取得工程S10では、異なる大きさのひずみが負荷された基準試験片Sが取得される。電子後方散乱回折を実施することが可能なEBSD装置で、ひずみが負荷された基準試験片Sの結晶方位に基づくパラメータ値を取得する。これにより、基準パラメータ値取得工程S10では、基準試験片Sから取得されたパラメータ値が基準パラメータ値として取得される。
EBSD装置では、基準試験片Sの表面の所定の検出範囲Fを一定の間隔で走査しながら自動測定することで数百点の測定点での結晶方位のデータを取得する。EBSD装置では、取得した結晶方位のデータに基づいて、各測定点を一つのピクセルとしてマッピング像を形成する。このマッピング像によって、結晶方位の分布図が取得される。
本実施形態におけるパラメータ値は、結晶方位に関連する値である。パラメータ値は、EBSD装置によってマッピング像として取得される。パラメータ値は、例えば、測定点(ピクセル)間の結晶方位の差である局所方位差(KAM;Kernel Averaged Misorientation)や基準方位からの方位差(GROD;Grain Reference Orientation Deviation)が挙げられる。パラメータ値は、使用されるEBSD装置や評価対象物の材料に応じて選択可能なマッピングの中から適宜選択されればよい。
基準平均値取得工程S20は、基準パラメータ値取得工程S10で取得された基準パラメータ値のうち、予め定めた第一閾値T1を超えている基準パラメータ値の平均値である基準平均値Axを取得する。本実施形態の基準平均値取得工程S20では、第一閾値T1を超えている基準パラメータ値のみを選択し、選択した基準パラメータ値の合計値を選択した基準パラメータ値の測定点数で平均化する。したがって、基準平均値取得工程S20では、第一閾値T1以下の基準パラメータ値を示す測定点を除外して基準パラメータ値を平均化する。具体的には、図2に示すように、検出範囲Fの中で、基準パラメータ値が第一閾値T1を超えた値を示す超過領域Foのみから基準平均値Axを算出して取得する。
ここで、第一閾値T1は、基準平均値Axを取得する際に、検出範囲F内のパラメータ値のばらつきが少なくなるとみなせる値である。本実施形態の第一閾値T1は、検出範囲F内の基準パラメータ値を平均化した場合に、基準平均値Axの変化量が十分に小さいとみなせる値である。
具体的な基準平均値取得工程S20での第一閾値T1の算出方法を例示して説明する。
基準平均値取得工程S20では、推定閾値Teと、推定平均値Aeとの関係である閾値取得関係を取得する。推定閾値Teは、基準パラメータ値に基づいて定められる第一閾値T1の候補となる値である。本実施形態の推定閾値Teは、基準パラメータ値取得工程S10で取得された基準パラメータ値の最小値と最大値との間の値である。推定平均値Aeは、推定閾値Teを超えた基準パラメータ値の平均値である。
閾値取得関係は、例えば、図3のようなグラフとして得られる。基準平均値取得工程S20では、取得した閾値取得関係における増加率が予め定めた基準変化率を下回った場合の推定閾値Teに基づいて第一閾値T1が決定される。具体的には、シミュレーション等の数値処理にて第一閾値T1を決定する場合には、基準変化率は、図3で示す曲線の傾きが十分に小さくなったとみなせる値となる。したがって、図3における曲線の傾きが基準変化率よりも小さくなった変曲点での推定閾値Teが第一閾値T1とされる。
また、別の方法として、目視で第一閾値T1を決定する場合には、図4に示すように、コンター図で推定平均値Aeを表示する。そして、推定閾値Teを増加させることで、表示されている推定平均値Ae(超過領域Fo)は、図4の上から下に向かって示されるように、徐々に無くなって消えてしまう。そこで、基準変化率は、図4で示すコンター図において、超過領域Foが消えてしまわない状態となった場合の値となる。したがって、図4における表示されている推定平均値Aeが消える直前での推定閾値Teが第一閾値T1とされる。
基準損傷関係取得工程S30は、基準平均値取得工程S20で取得された基準平均値Axと損傷度Dの関係である基準損傷関係を取得する。本実施形態の基準損傷関係取得工程S30では、横軸に損傷度D、縦軸に基準平均値Axをとって図5に示すようにプロットする。プロットしたデータから近似線を得ることで基準損傷関係であるマスターカーブMが取得される。
評価試験片作成工程S40は、評価対象物から電子後方散乱回折方法を実施可能とされた評価試験片を作成する。評価試験片は、電子後方散乱回折方法を実施することが可能な大きさであればよい。具体的には、本実施形態の評価試験片は、EBSD装置に投入可能な大きさであって、検出範囲Fを確保可能な大きさを有していればよい。したがって、評価試験片は、基準試験片Sのように引張試験等の強度試験を実施可能な大きさよりも小さく作成される。
本実施形態の評価試験片作成工程S40では、評価対象物に対して事前に構造解析を実施する。構造解析の結果に基づいて損傷度Dが予め定めた基準損傷度を超えている領域から評価試験片を取得する。基準損傷度は、評価対象物において損傷している可能性が高いとみなせる値である。本実施形態の評価試験片作成工程S40では、評価対象物に対して構造解析としてFEM解析を実施する。FEM解析の結果に基づいてひずみや応力値が基準損傷度を超えている領域から評価試験片を取得する。
なお、本実施形態では、評価対象物から評価試験片を切り出して作成したが、評価試験片は電子後方散乱回折方法を実施することが可能であればよい。したがって、評価対象物の大きさが小さい場合には、評価対象物自体を評価試験片としてもよい。
評価パラメータ値取得工程S50は、評価試験片の結晶方位に基づくパラメータ値を評価パラメータ値として電子後方散乱回折方法によって取得する。本実施形態の評価パラメータ値取得工程S50は、基準パラメータ値取得工程S10で使用された装置と同じEBSD装置にて、評価試験片の結晶方位に基づくパラメータ値を取得する。
評価パラメータ値は、基準パラメータ値と同種の結晶方位に関連するパラメータ値である。本実施形態の評価パラメータ値は、基準パラメータ値と同様に、EBSD装置によってマッピング像として取得される。評価パラメータ値は、基準パラメータ値としてKAMが使用された場合にKAMを用い、GRODが使用された場合にGRODを用いる。
評価平均値取得工程S60は、評価パラメータ値取得工程S50で取得された評価パラメータ値のうち、第一閾値T1を超えている評価パラメータ値の平均値である評価平均値A1を取得する。本実施形態の評価平均値取得工程S60では、第一閾値T1を超えており、且つ第二閾値を下回っている評価パラメータ値の平均値である評価平均値A1を取得する。具体的には、評価平均値取得工程S60では、第一閾値T1を超えている評価パラメータ値のみを選択する。その後、第一閾値T1を超えている評価パラメータ値のうち、第二閾値を下回っている評価パラメータ値を選択する。
第二閾値は、測定誤差とみなせる評価パラメータ値である。本実施形態の第二閾値は、評価パラメータ値取得工程S50で取得された複数の評価パラメータ値の中で最大値を示す評価パラメータ値に対して所定の割合(例えば、5%程度)だけ低下させた値とする。
評価平均値取得工程S60では、第一閾値T1及び第二閾値を用いて選択した評価パラメータ値の合計値を選択した評価パラメータ値の測定点数で平均化する。したがって、評価平均値取得工程S60では、第一閾値T1以下の評価パラメータ値及び第二閾値以上の評価パラメータ値を示す測定点を除外して評価パラメータ値を平均化する。
損傷度評価工程S70は、評価平均値取得工程S60で取得された評価平均値A1と基準損傷関係とから評価試験片の損傷度Dを取得する。損傷度評価工程S70では、図6に示すように、取得された評価平均値A1を基準平均値Axとして基準損傷関係取得工程S30で作成されたマスターカーブMに当てはめることで評価試験片の損傷度Dである評価損傷度D1が取得される。得られた評価損傷度D1に基づいて、評価対象物の寿命等の損傷度合いが評価される。
上記のような材料損傷評価方法S1によれば、評価の基準となるマスターカーブMを作成する際に、第一閾値T1以下の基準パラメータ値が除外される。そのため、検出範囲Fの大きさや位置に関わらず、実際に損傷した度合いに応じた基準パラメータ値が取得される。この基準パラメータ値を用いて基準平均値Axを取得することで、損傷度D及び基準平均値Axの関係を高い精度で示すマスターカーブMを取得することができる。
具体的に説明すると、例えば、図7に示すように基準試験片Sに強度試験を実施した際に、部分的に損傷度Dが高い領域が生じることがある。この状態で検出範囲Fを検出範囲F1のように広い範囲とした場合、検出範囲F1内の全ての基準パラメータ値で基準平均値Axを算出すると、損傷しておらず基準パラメータ値が低い(もしくはゼロ)の領域を含めた平均値が基準平均値Axとなってしまう。その結果、取得される基準平均値Axが小さくなってしまう。これに対して、検出範囲Fを検出範囲F2や検出範囲F3のように狭めていくと、基準パラメータ値が低い(もしくはゼロ)の領域が少なくなり、基準平均値Axが次第に大きくなっていく。その結果、同じ基準試験片Sを同じEBSD装置で測定した場合であっても、検出範囲Fの設定条件に依存して、作成されるマスターカーブMが大きくずれてしまう。
しかしながら、本実施形態の材料損傷評価方法S1では、基準平均値Axを算出する際に、第一閾値T1以下の基準パラメータ値を除外している。そのため、検出範囲Fが大きくなって基準パラメータ値が低い(もしくはゼロ)の領域が増加しても、基準平均値Axは変化しない。その結果、損傷度D及び基準平均値Axの関係を高い精度で示すマスターカーブMを取得することができる。
また、実際に評価対象物を評価する際にも、第一閾値T1以下の評価パラメータ値が除外される。そのため、検出範囲Fの大きさや位置に関わらず、実際に損傷した度合いに応じた評価パラメータ値が取得される。評価試験片でも第一閾値T1を使用することで、基準試験片Sと同様に、検出範囲Fが大きくなって評価パラメータ値が低い(もしくはゼロ)の領域が増加しても、評価平均値A1は変化しない。その結果、この評価パラメータ値によって、検出範囲Fの大きさに依然せずに評価平均値A1が取得される。
そして、損傷度評価工程S70で、マスターカーブMに対して評価平均値A1を当てはめることで、評価試験片における実際の損傷度合いに近い評価損傷度D1を取得することができる。したがって、評価試験片の部分的な損傷度Dの高い領域や低い領域が生じていても、検出範囲Fの形状や面積に依存せずに損傷部位を的確に抽出し、高い精度で損傷度Dに応じた結晶方位に関するパラメータ値を取得できる。これにより、検出範囲Fの形状や面積に依存せずに材料の損傷度Dを高い精度で評価することができる。
また、本実施形態では、評価試験片作成工程S40において、FEM解析を実施して基準損傷度を超えている領域から評価試験片を取得している。そのため、評価対象物が大きい場合や複雑な形状をなしている場合であっても、評価対象物の中で損傷度Dの高い部位を評価試験片とすることができる、したがって、評価対象物の中で損傷度Dの高い部位に対して確実に電子後方散乱回折法を実施することができる。これにより、評価対象物の中の損傷度Dの高い部位を優先的かつ確実に評価することができる。
また、本実施形態では閾値取得関係における増加率が予め定めた基準変化率を下回った場の推定閾値Teを第一閾値T1として利用している。そのため、基準平均値Ax及び評価平均値A1のばらつきが少なくなるように第一閾値T1を設定することができる。その結果、より高い精度で基準平均値Ax及び評価平均値A1を取得できる。
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、本実施形態における各工程は連続して実施することに限定されるものではない。例えば、基準損傷関係取得工程S30までは、予め実施してデータを蓄積しておき、評価試験片作成工程S40から損傷度評価工程S70までを別途実施してもよい。
S1…材料損傷評価方法 S10…基準パラメータ値取得工程 S…基準試験片 F…検出範囲 Fo…超過領域 S20…基準平均値取得工程 T1…第一閾値 Te…推定閾値 Ae…推定平均値 D…損傷度 S30…基準損傷関係取得工程 M…マスターカーブ Ax…基準平均値 S40…評価試験片作成工程 S50…評価パラメータ値取得工程 S60…評価平均値取得工程 A1…評価平均値 S70…損傷度評価工程 D1…評価損傷度

Claims (3)

  1. 評価対象物の損傷度を評価する材料損傷評価方法であって、
    複数の基準試験片に対して、与える損傷度をそれぞれ変えて強度試験を実施し、前記強度試験後の前記基準試験片の結晶方位に基づくパラメータ値である基準パラメータ値を電子後方散乱回折法によって取得する基準パラメータ値取得工程と、
    前記基準パラメータ値取得工程で取得された前記基準パラメータ値のうち、予め定めた第一閾値を超えている前記基準パラメータ値の平均値である基準平均値を取得する基準平均値取得工程と、
    前記基準平均値取得工程で取得された前記基準平均値と前記損傷度の関係である基準損傷関係を取得する基準損傷関係取得工程と、
    前記評価対象物から電子後方散乱回折方法を実施可能とされた評価試験片を作成する評価試験片作成工程と、
    前記評価試験片の前記パラメータ値である評価パラメータ値を電子後方散乱回折方法によって取得する評価パラメータ値取得工程と、
    前記評価パラメータ値取得工程で取得された前記評価パラメータ値のうち、前記第一閾値を超えている前記評価パラメータ値の平均値である評価平均値を取得する評価平均値取得工程と、
    前記評価平均値取得工程で取得された前記評価平均値と前記基準損傷関係とから前記評価試験片の損傷度を取得する損傷度評価工程とを含む材料損傷評価方法。
  2. 前記評価試験片作成工程では、前記評価対象物に対して構造解析を実施し、前記構造解析の結果に基づいて前記損傷度が予め定めた基準損傷度を超えている領域から前記評価試験片が取得される請求項1に記載の材料損傷評価方法。
  3. 前記基準平均値取得工程では、前記基準パラメータ値に基づいて定められる推定閾値と、前記推定閾値を超えた前記基準パラメータ値の平均値である推定平均値との関係である閾値取得関係を取得し、取得した前記閾値取得関係における増加率が予め定めた基準変化率を下回った場合の前記推定閾値に基づいて前記第一閾値が決定される請求項1または請求項2に記載の材料損傷評価方法。
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