JP5473072B2 - 結晶方位差精度を定量化するための方法、システム、プログラム、及びプログラム記録媒体 - Google Patents

結晶方位差精度を定量化するための方法、システム、プログラム、及びプログラム記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、金属を中心とする多結晶性材料の変形や損傷を、局所的な結晶方位差を用いて評価する際に、局所的な結晶方位差の測定精度を定量化する方法、システム、プログラム、及びプログラム記録媒体に関する。
試料表面に走査型電子顕微鏡(SEM)の電子線を照射することで得られる電子後方散乱回折(Electron Back-Scatter Diffraction:EBSD)を用いることで、結晶方位を測定することができる。
このような測定方法(以後、EBSD測定という。)を用いて、試料表面を走査しながら、縦横一定間隔の測定点の結晶方位を同定して、マッピングすることにより結晶方位分布を得ることができる。このような結晶方位分布から得られる指標として局所方位差(株式会社TSLソリューションズが提供する解析ソフトウェアではKAM(Kernel Average Misorientation)値として定義されている。)がある(非特許文献1、2)。
局所方位差は、ある測定点とその周囲にある複数の測定点との方位差の平均として表され、局所的な変形や局所的な塑性ひずみと相関のあることが知られている(非特許文献3)。また、疲労損傷量との相関も明らかになっている(非特許文献4)。材料の変形によって発生した転位などの欠陥が、結晶方位の局所的な変化(局所変化)をもたらすことから、局所方位差がこれらの損傷量と相関をもつことになる(特許文献1、2、非特許文献5)。
塑性ひずみは、応力腐食割れの感受性を変化させるなど材料劣化に大きな影響を及ぼす。そして、微視的な割れの発生と局所変形の関係を調べるため、EBSD測定を用いた局所方位差の検討が実施されている。原子力発電プラントでは中性子照射によって応力腐食割れが発生するが、その要因として照射硬化によって発生する変形の局所化が指摘されている。また、疲労損傷も局所変形と大きな相関を有することが示されている。このように局所変形は材料劣化にとって重要な挙動であり、それをEBSD測定によって局所方位差として定量化するこができる(非特許文献6等)。
特開2009‐52993号公報 特開2007−322151号公報
釜谷昌幸著(Masayuki Kamaya)、 電子後方散乱回折によるステンレス鋼の局所塑性変形の測定(Measurement of local plastic strain distribution of stainless steel by electron backscatter diffraction)、「マテリアル キャラクタライゼイション ジャーナル」(Material Characterization Journal) 、2009年2月発行、第60巻: 125〜132頁 株式会社TSLソリューションズ、鈴木精一、EBSD/OIM法の基礎原理と活用法、九州大学中央分析センター センターニュース107号、Vol.29、No1、2010、平成22年1月30日発行<http://www.bunseki.cstm.kyushu-u.ac.jp/F/107.pdf#search='EBSD/OIM法の基礎原理と活用法'> 釜谷昌幸著(Masayuki Kamaya)、ウィルキンソン エイジェイ(Wilkinson AJ)、ティチマーシュ ジェイエム(Titchmarsh JM)著、電子後方散乱回折によるステンレス鋼の局所塑性変形の測定(Measurement of plastic strain of polycrystalline material by electron backscatter diffraction)、「ニュークリアー エンジニアリング アンド デザイン」( Nuclear Engineering and Design)、2005年6月発行、235巻、713〜725頁. 釜谷昌幸著(Masayuki Kamaya)、 EBSD観察による低サイクル疲労による微細構造損傷の特性(Characterization of microstructural damage due to low-cycle fatigue by EBSD observation)、「マテリアル キャラクタライゼイション ジャーナル」(Material Characterization Journal)、2009年12月発行、第60巻、1454〜1462頁 ニー ジェイエフ著(Nye JF)、変位した結晶内における幾何学的関係(Some geometrical relations in dislocated crystals)、「アクタ メタラージカ」(Acta Metallurgica )、第1巻2月号、153〜162頁、ISSN: 00016160 釜谷昌幸著、電子後方散乱回折(EBSD)による結晶方位差分布の測定、原子力安全システム研究所、INSS JOURNAL14,2007,<http://www.inss.co.jp/seika/pdf/14/253.pdf>
EBSD測定によって局所方位差は同定されるが、その値は方位測定の測定点の間隔(電子顕微鏡の電子ビームを照射する点と点の間隔に相当し、「ステップサイズ」とも言う。)や、測定精度などによって変化する。EBSD測定による結晶方位差の同定誤差は、0.1〜1°程度と言われており、その精度は対象となる方位差が小さくなるほど悪くなる。また、方位差は絶対値であるため、方位差の平均値をとっても精度の向上には寄与しない。EBSD測定ではデジタル画像処理によって結晶方位が同定されるため、誤差を零にすることは困難となる。誤差の要因として以下が考えられる。
(1) 材料(原子構造、欠陥量など)
(2) 試料準備方法(表面粗さなど)
(3) 走査型電子顕微鏡(SEM)の観察条件(電子銃の種類、加速電圧、電流密度など)
(4) EBSD観察条件(ワーキングディスタンス、倍率、焦点の精度など)
(5) EBSDパターン取得方法(スクリーンの形状、CCDカメラの分解能、ノイズ除去など)
(6) EBSDパターンのデータ処理方法
また、測定精度は測定される結晶方位にも依存する。さらに、結晶方位から方位差を算出する段階においては、以下の条件を考慮する必要がある。
(7) ステップサイズ
(8) 結晶方位取得の格子形状(四角形 or 六角形)
このように、誤差要因が多岐にわたるため、常に同じ条件で(同じ精度で)測定することは困難となる。また、他のデータとの比較も難しい。
すなわち、方位差を算出する際に対象とする2つの測定点の距離によって方位差が変化したり、測定精度によって方位差の大きさが変化したりするため、異なる測定者や異なる材料から得られる方位差を直接比較することは困難であった。
そこで、本発明は、結晶方位差測定において、誤差の定量化、言い換えると測定精度を定量化する方法、システム、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラム記録媒体を提供することを主たる目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、第1の手段として、電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化する方法であって、マッピングされた前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出するステップと、前記複数の離間距離について算出された結晶方位差の平均値の対数平均と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似することにより、結晶方位差の精度の度合を得るステップと、を含むことを特徴とする結晶方位差精度の定量化方法を提供する。
本発明は、第2の手段として、上記第1の手段において、前記線形関数において前記離間距離が零の場合の前記対数平均を外挿で求めることにより、結晶方位差の精度の度合を得るステップを更に含む。
また、本発明は、第3の手段として、電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化する方法であって、マッピングされた前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出するステップと、前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差の平均値と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似するステップと、前記線形関数の傾きを算出することにより、結晶方位差の精度の度合を得るステップと、を含むことを特徴とする結晶方位差精度の定量化方法を提供する。
また、本発明は、第4の手段として、電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化するシステムであって、マッピングされた前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出する手段と、前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差の平均値の対数平均と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似する手段と、を有することを特徴とする結晶方位差精度の定量化システムを提供する。
また、本発明は、第5の手段として、上記第4の手段として、前記線形関数において前記離間距離が零の場合の前記対数平均を外挿で求める手段を更に備えることを特徴とする。
また、本発明は、第6の手段として、電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化するシステムであって、前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出する手段と、前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差の平均値と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似する手段と、前記線形関数の傾きを算出する手段と、を有することを特徴とする結晶方位差精度の定量化システムを提供する。
また、本発明は、第7の手段として、電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データの分布を記憶している結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出してコンピュータによって算出される結晶方位差の精度を定量化するために、コンピュータに、前記結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出して、結晶方位差を算出する際に対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出し、該平均値を拡張局所方位差記憶手段に記憶するステップと、前記拡張局所方位差記憶手段に記憶されている結晶方位差の平均値を読み出して、前記複数の離間距離について算出された結晶方位差の平均値の対数平均と該複数の離間距離との関係を線形関数で近似するステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムを提供する。
また、本発明は、第8の手段として、上記第7の手段において、前記線形関数において前記離間距離が零の場合の前記対数平均を外挿で求めるステップをコンピュータに更に実行させることを特徴とする。
また、本発明は、第9の手段として、電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データの分布を記憶している結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出してコンピュータによって算出される結晶方位差の精度を定量化するために、コンピュータに、前記結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出して、結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出し、該平均値を拡張局所方位差記憶手段に記憶させるステップと、前記拡張局所方位差記憶手段に記憶されている結晶方位差の平均値を読み出して、前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似し、近似された線形関数を関数記憶手段に記憶させるステップと、前記関数記憶手段に記憶された線形関数を読み出して、前記線形関数の傾きを算出するステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムを提供する。
さらに、本発明は、第10の手段として、上記第7〜第9の手段の何れかに記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
本発明によれば、1つの結晶方位分布データから測定点間距離の異なる方位差を算出することで、測定点間距離と方位差の関係を直線で近似し、更には測定点距離が零のときの方位差の大きさを外挿で求め、測定精度の指標として用いることで、測定精度を定量的に示すことにより、測定条件(測定精度)の異なる状態で得られた測定結果を比較する際の参考にできる。また、測定精度を一致させるように測定条件を調整することも可能なる。また、測定点の距離に依存しない方位差を代表する指標を用いることで、測定条件(測定点間距離)の異なる結晶方位データが比較できる。
EBSD装置を用いた本発明に係るシステムの一例を示すブロック図である。 電子後方散乱回折像を示す画像である。 結晶方位分布図の一例を示すモニター表示画像である。 本発明方法の一実施形態を示すフローチャートである。 正方形格子状に配列された結晶方位測定点を示すイメージ図である。 図5に粒界を追加して示すイメージ図です。 正方形格子状に配列された結晶方位測定点を示すイメージ図である。 正六角形格子状に配列された結晶方位測定点を示すイメージ図である。 EBSD装置に付属する画像処理ソフトでマッピングした局所方位差分布図を示すモニター表示画像である。 EBSD装置に付属する画像処理ソフトでマッピングした他の局所方位差分布図を示すモニター表示画像である。 局所方位差平均の分布を示す棒グラフである。 ケース1の場合の測定点3について算出された拡張局所方位差(M L、)の分布図である。 ケース1の場合の測定点5について算出された拡張局所方位差(M L)の分布図である。 ケース1,2,3についての拡張局所方位差平均と離間距離(L)との関係を示すグラフである。 ケース1,8,9,10について、拡張局所方位差平均と離間距離(L)との関係を示すグラフである。 離間距離(L)と拡張局所方位差との関係を示すグラフである。 ケース1〜10について、誤差指標Bnと拡張局所方位差平均(M ave)との関係を示すグラフである。 離間距離(L)と拡張局所方位差の関係を示すグラフである。 ケース1について算出された局所方勾配Gを示す分布図である。 ケース5について算出された局所方位勾配Gを示す分布図である。 ケース6について算出された局所方位勾配Gを示す分布図である。 ケース9について算出された局所方位勾配Gを示す分布図である。
本発明について、以下に、図1〜22を参照して説明する。EBSD装置を用いた本発明に係るシステムの一例の概略図を図1に示す。走査型電子顕微鏡1の鏡筒内に傾斜させてセットしたステージ2上の試料3に電子線Eを照射するとスクリーン4上に、図2に示されるような電子後方散乱回折像(Electron Backscatter Diffraction Pattern:EBSP)が投影される。この電子後方散乱回折像を、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)内蔵のCCU(カメラコントロールユニット)5を介して、CCD等の高感度カメラ6で撮像し、画像データとしてコンピュータ7に取り込む。走査型電子顕微鏡1は、コンピュータ7と接続されたSEMコントロールユニット9を通じて、コンピュータ7の制御指令によって制御される。ステージ2は、コンピュータと接続されたステージコントロールユニット8を通じて、コンピュータ7からの制御指令により制御される。コンピュータ7では、記憶装置に記録された画像解析プログラムの指令に従って画像解析処理が行われ、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって結晶方位が決定される。測定された結晶方位は、指数付けされた後、オイラー角のデータ等数値(結晶方位データ)に変換され、2次元の座標データとともに、記憶装置7aの結晶方位データ記憶手段7a1に記憶される。コンピュータ7は、座標データを基に結晶方位データ記憶手段7a1の結晶方位データを、各々の座標データを基にマッピングし、図3に示すような結晶方位分布図をモニター10に出力(表示)することができる。なお図3の結晶方位分布図は、実際には、グレースケールではなく、フルカラーで色分けされている。
試料への電子線の照射は、一定の領域内において、所定間隔の格子点状の測定点について行われる。隣り合う測定点の間隔(データ密度)は、例えば、0.2〜20μmに設定される。EBSD装置は、コンピュータ7が、記憶装置7aに格納したプログラムの指令に従い、設定したデータ密度で自動的に電子線を測定点毎に照射しながら結晶方位を同定し、結晶方位分布図を自動的に作成し、モニター10に表示することができる。
コンピュータ7内のCPUによって、記憶装置7aの結晶方位データ記憶手段7a1に記憶されている結晶方位データが読み込まれ、以下に説明する手順に従って、同じく記憶装置7aにインストールされたプログラムの指令を受けてデータ処理がなされる。なお、前記プログラムは、DVDやCD−ROM等の記憶媒体に記録して提供される場合もある。
先ず、結晶粒界を求めるために、結晶方位データを用いて、隣り合う測定点間の方位差βが演算される(図4のステップS1)。すなわち、コンピュータ7内の演算装置が、記憶部7aに記録されているプログラムの指令に従い、結晶方位データ記憶手段7a1に記録されている結晶方位データを読み込んで、方位差βを演算する。
方位差βは、図5に示すように、一定間隔の格子点状の測定点について、例えば測定点0と、測定点0を中心に隣り合う周囲4点の測定点1…との間で算される。なお、図5において、格子状に分割された各々の正方形の中心部に配置されている黒丸が測定点をイメージしている。図5では、正方形の格子に格子分割されて、それぞれの分割領域内の中心部に測定点があるようにイメージされているが、実際には、このような分割処理が施されるわけでなく、各々の分割領域(仮想領域である。)の中心部分に測定点が位置するイメージを示している。
算出された方位差βが予め定められた閾値以上、例えば5°以上(即ち、β≧5°)の場合には粒界が存在すると定義し、結晶粒界を求める(図4のステップS2)。なお、粒界の存在を判定するための前記閾値は、材料の結晶構造、塑性ひずみの大きさを考慮して、5〜15°の範囲において適宜決定される。
上記のようにして図6に実線で示すように結晶粒界Bが求まれば、結晶粒界Bで囲まれた領域を結晶粒と判定する(図4のステップS3)。
次に、結晶粒界Bで囲まれた同一結晶粒内の各測定点における結晶方位データを用いて、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離(以下、単に「離間距離」とも言う。)が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値(「局所方位差」と称する。)を、複数の異なる離間距離について算出する(図4のステップS4)。なお、後述するが、複数の異なる離間距離についてここで得られる結晶方位差の平均値(局所方位差)は、「拡張局所方位差」と称する。
図7は、試料表面の測定点のイメージを示す概念図である。各測定点の位置関係を理解し易くするために、図7では、正方形の格子に格子分割されて、それぞれの分割領域内の中心部に測定点があるようにイメージされているが、実際には、このような分割処理が施されるわけでなく、各々の分割領域(仮想領域である。)の中心部分に測定点が位置するイメージを示している。図7において、方位差測定の対象とする測定点0に対し、その周囲の測定点1〜5は、各々が測定点0と同一の離間距離(L)にある複数点を持ち(例えば4つの測定点1…は、何れも測定点0からの離間距離が等しい。)、互いに測定点0との離間距離(L)が異なる関係にある(即ち図7の離間距離L1〜L5は互いに異なる。)。このような測定点に沿って結晶方位を測定するが、図8に示すように、正六角形格子に格子分割された分割領域に沿って結晶方位を測定することもできる。なお、この場合も、(仮想領域であり、各分割領域の中心部分に測定点が位置する。このような正六角形格子に沿って測定された各測定点の方位データを用いる場合、図8において、同じ数字で示された測定点が、測定点0からの離間距離が同じ測定点である。
例えば、図7を参照して、方位差計算の対象となる結晶方位の測定点0とその測定点から離間距離が同一(L1)である4つの測定点1…との結晶方位の平均値を下記式1によって求める(非特許文献6参照)。
式1において、β(p,p (1))は、測定点0の方位Pとその周囲の4つの測定点1…の方位P (1)との方位差を示す。上付き添え字の(1)は、測定点1に関するものであることを示している。こうして求められた方位差の平均値を、測定点0の第1局所方位差と称することとする。
測定点0と4つの測定点1…との離間距離(L1)は等しい。図7に示すように、測定点0から等しい離間距離にある測定点は、測定点1の他にも、測定点2(離間距離L2),測定点3(離間距離L3),測定点4(離間距離L4),測定点5(離間距離L5)がある。そこで、測定点1と同様にして、図7における、測定点0と測定点2…の方位差の平均値(第2局所方位差)、測定点0と測定点3…の方位差の平均値(第3局所方位差)、測定点0と測定点4の方位差の平均値(第4局所方位差)、測定点0と測定点5…の方位差の平均値(第5局所方位差)を、求める。このようにして第1〜第5局所方位差(拡張局所方位差)を演算する。
なお、図7の測定点4…は、8か所あるため、測定点0との方位差の平均値は下記式2により計算される。
図7の例では、測定点0の局所方位差を求める測定点を測定点1〜5の5つにしているが、5つに限定されない。
測定領域の全ての測定点について、上記のようにして方位差の平均値(拡張局所方位差)を算出し、座標データとともに記憶装置7aの平均値記憶手段7a2に記憶される。
次に、方位差の平均値の度数分布が対数正規分布に従う(非特許文献6参照)ことから、全測定領域の方位差の平均値(拡張局所方位差)の対数平均(「拡張局所方位差平均」と称する。)を下記式3によって算出する(図4のステップS5)。
ここで、Nは度数、即ち、全測定領域の測定点数である。添え字(n)は、図7の測定点1〜5に対応し、n=1の場合は第1局所方位差の対数平均であることを意味する。
拡張局所方位差平均は、コンピュータ7の演算装置が、記憶装置7aに記録されたプログラムの指令に従って、局所方位差記憶手段7a2から拡張局所方位差のデータを読み出し、上記式3を用いて演算することによって算出される。算出された拡張局所方位差平均のデータは、拡張局所方位差平均記憶手段7a3に記憶される。
後述の実施例において示されるように、拡張局所方位差平均は、拡張局所方位差を算出する際の測定点間の離間距離(L)と線形の関係がある。これは、局所方位差が局所変形によって発生していることと関連していると考えられ、離間距離(L)が零の場合は、本来は局所方位差平均も零に収束する。しかしながら、測定誤差の影響により、離間距離(L)が零の場合にも局所方位差平均は零にならず、その大きさは測定条件によって異なる。従って、離間距離(L)が零であるときの拡張局所方位差平均が結晶方位差測定の精度若しくは誤差を示す指標、即ち、誤差指標(Bn)となる。また、近似によって得られた線形関数の勾配も、誤差指標として使用し得る。
誤差指標(Bn)は、上記式3で得られた拡張局所方位差平均と、離間距離(L)との間の線形関係を、最小二乗法等の近似法によって線形関数(一次関数)として求め(図4のステップS6)、得られた線形関数によって離間距離(L)を零とした場合の拡張局所方位差平均を算出する(図4のステップS7)によって求められる。
具体的には、近似式計算プログラムは記憶装置7aに記憶されており、コンピュータ7内の演算装置は、近似式計算プログラムの指令を受け、拡張局所方位差平均記憶手段7a3から拡張局所方位差平均のデータを読み出し、離間距離(L)を導入して、最小二乗法に基づく近似計算により一次関数を算出する。算出された一次関数は、関数記憶手段7a4に記憶される。コンピュータ7の演算装置は、関数記憶手段7a4から前記一次関数を読み込んで、離間距離(L)に零を代入して、誤差指標(Bn)を算出する。算出された誤差指標(Bn)は、コンピュータ7内の制御装置により、モニター10に出力され得る。なお、図7、8に関して、離間距離L1は結晶方位測定時のステップサイズhと同じであり、その他の離間距離(L2〜)は、ステップサイズ(h)から算出され得る。
また、結晶方位測定の精度若しくは誤差を示す指標として、後述の実施例において示されるように、結晶方位の個々の測定点において、離間距離(L)と拡張局所方位差(拡張局所方位差平均ではない。)の線形にある相関関係を、最小二乗法等の近似法によって近似直線(一次関数)によって算出し(図4のステップS7)、得られた一次関数の勾配(「局所方位勾配G」と言う。)を誤差指標として利用することができる。
具体的には、コンピュータ7は、記憶装置7aに記憶されているプログラムの指令を受けて、結晶方位データ記憶手段7a1から結晶方位差データを読み出して、結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点(1…、2…、3…、4…、5…)との結晶方位差を、複数の異なる離間距離(L1〜L5)について算出し、拡張局所方位差記憶手段7a2に記憶させ、次いで、拡張局所方位差記憶手段7a2に記憶されている結晶方位差のデータを読み出して、複数の異なる離間距離(L1〜L5)について算出された結晶方位差と該複数の異なる離間距離(L1〜L5)との関係を線形関数で近似し、近似された線形関数を関数記憶手段7a4に記憶させる。そして、関数記憶手段7a4に記憶された線形関数を読み出して、その線形関数の傾き(局所方位勾配G)を算出する。
本発明を、更に以下の実施例により明らかにするが、以下の実施例は本発明を単に例示するものである。なお、実施例の説明において、適宜、図1〜図22を参照する。
試料として、材料容体化316ステンレス鋼を使用し、厚さ2mm、幅4mmの平板試験片を作成し、引張試験によって10.3%の塑性ひずみを与えた。結晶方位差の測定には、市販のEBSD装置(TSLソリューションズ製OIM Data Collection Ver. 5.2)を用いた。また、電界放射型SEM(カールツァイス株式会社製ULTRA55)を用いて、加速電圧20keVでEBSD測定を実施した。試料表面の100μm×100μmの範囲を表1の各条件で観察・測定した。
表1の各ケースの条件において変更した条件は以下となる。
(1) CCDカメラの画素数:画素数が大きいほどパターン解析の解像度が向上する。使用した装置での画素数の最大値は640×480(ピクセル)
(2) Hough変換(非特許文献2参照)時のパターンサイズ:EBSD測定装置での設定値。値が大きい方が精度が良い傾向にある。
(3) SEM観察の焦点:通常は注意深く焦点を合わせているが、ケース6ではワーキングディスタンスで0.1mm焦点をずらした。
(4) SEMの電流密度:ケース7では電流密度を小さく設定した
(5) 格子形状:通常は四角形格子に沿って方位を測定するが、ケース8では六角形格子(図8のイメージ図を参照)に沿って方位を測定
(6) ステップサイズ(h):ケース9と10ではそれぞれ0.4μm、0.6μmとし、それ以外は、通常は0.2μmとした。
比較例
ケース1〜10の其々について測定された結晶方位データを用いて、下記式4により、局所方位差(M)を算出した。
ここで、β(P、P)は、図7に示す、方位測定の対象とする測定点0と、その測定点0に隣接する周囲の測定点1…との方位差である。得られた局所方位差のデータは、座標データとともに、記憶装置7aに記憶させた。ただし、結晶粒界をまたぐ方位差(β≧5°とした。)は、局所方位差のデータから除外した(図5,6参照)。
記憶装置7aに記憶させたケース1とケース2の局所方位差(M)のデータを、EBSD装置に付属する画像処理ソフトでマッピングした局所方位差分布図を図9、図10にそれぞれ示す。図2によく表れているように、微視組織的な構造の不均一性により局所方位差の分布は一様でない。そして、ケース1の方がケース5より局所方位差のコントラストが明瞭であった。これは、測定誤差が影響しており、ケース1の方が、ケース5より測定誤差が少ない。また、ケース5では測定誤差の影響により局所方位差が相対的に大きくなっている。
次に、局所方位差の対数平均(局所方位差平均Mave)を下記式5により算出した。
Nは度数、即ちデータ数を示す。
算出された局所方位差平均は、座標データともに記憶装置7aに記憶される。局所方位差平均の分布を図10に示す。同じ材料(試料)で同じ位置を測定しているため、局所方位差平均は同じになることが理想であるが、誤差の影響によって局所方位差平均が変化していることが分かる。
実施例
図7に示されるように、着目する測定点0と、その周囲の測定点1〜5との間で、拡張局所方位差(M L)を、上記式1、2と同様の式を用いて算出した。拡張局所方位差(M L)のデータは、記憶装置7aの拡張局所方位差記憶手段7a2に格納される。
ケース1の場合の測定点3と測定点5について算出された拡張局所方位差(M L、M L)の分布図を図12、図13に示す。この分布図は、コンピュータ7が、記憶装置7aの拡張局所方位差記憶手段7a2から拡張局所方位差のデータを読み込み、マッピングすることによって分布図を作成し、モニター10に表示させることにより得られる。
図12、図13を参照すると、測定点5の拡張局所方位差(M L)の方が測定点3の拡張局所方位差(M L)より大きくなっている。このことから、離隔間隔(L)が大きくなるほど、拡張局所方位差(M L)も大きくなることが分かる。
次に、拡張局所方位差についても、対数平均による局所方位差平均を算出した。算出方法は、上記式3を用いた。ここで、拡張局所方位差の対数平均を拡張局所方位差平均(M AVE)と称することにする。
図14は、ケース1,2,3についての拡張局所方位差平均と離間距離(L)との関係を示すグラフである。このグラフは、離間距離(L1〜L5)毎にケース1,2,3についての拡張局所方位差平均をプロットするとともに、ケース1,2,3毎に拡張局所方位差平均と離間距離(L〜L5)のデータから最小二乗法によって計算された近似直線を表示してある。図14の近似直線に示されるように、拡張局所方位差平均は、離間距離(L〜L5)と線形の関係がある。これは、上記したように、局所方位差が局所変形によって発生していることと関連している。離間距離(L)が零の場合に本来は拡張局所方位差平均も零に収束するはずであるが、図14に示されるように、離間距離(L)が零の場合に拡張局所方位差平均は零になっていない。図14から、離間距離(L)が零の場合における拡張局所方位差平均の大きさ(近似直線のL=0におけるY軸切片)は、測定条件(この場合はCCDカメラの解像度)によって異なっていることが分かる。
図15は、CCDカメラの解像度が同じであるため測定精度は同じと考えられるケース1,9,8,10について、拡張局所方位差平均と離間距離(L)との関係を示すグラフである。なお、ケース8は、結晶方位の測定点の位置が正六角形の格子分割領域に沿っているのに対し、ケース1,9,10では通常の正方形の格子分割領域に沿っている点が相違する。図15では、全てのデータが直線上に位置している。従って、この直線を近似した近似直線の離間距離(L)が零の場合の拡張局所方位差平均(Y軸切片)が同一である。
図14及び図15の結果から、離間距離(L)が零の場合における拡張局所方位差平均の大きさは、方位測定における測定精度又は測定誤差を表す指標となり得ることが分かる。すなわち、近似直線のY軸切片の値(「誤差指標Bn」と称する。)を外挿で求めれば、結晶方位差の測定精度の度合を知ることができる(図16参照)。
また、図14及び図15から分かるように、離間距離(L)と拡張局所方位差平均との関係を線形関数(一次関数)で近似し、得られた近似直線を比較することによっても、結晶方位差の測定精度の度合を知ることができる。
ケース1〜10について、誤差指標Bnと拡張局所方位差平均(M ave)との関係を図17に示す。図17に示されるように誤差指標Bnと拡張局所方位差平均(M ave)とには相関関係があり、誤差指標Bnが誤差の程度を反映していることが分かる。ただし、ステップサイズ(h)を変更したケース9とケース10は、ステップサイズの影響により拡張局所方位差平均(M ave)が変化したため、逸脱している。
次に、個々の測定点において、離間距離(L)と拡張局所方位差の関係を算出し、最小二乗法によって近似直線の勾配(局所方位勾配Gと称する。)を求めた(図18参照)。図19にケース1の場合の局所方位勾配Gを示し、図20にケース5の場合の局所方位勾配Gを示すが、図9,10や図12,13で示した局所方位差と同様の分布をしていることが分かる。特に、局所方位差では分布が不鮮明であったケース5の場合でも、局所方位勾配Gでは、分布の特徴が明瞭に現れている。
局所方位勾配Gの最大の特徴として、ステップサイズ(h)の影響がないことが挙げられる。方位測定点のパターンの異なるケース6と、ステップサイズ(h)の異なるケース9の場合の結果を図21、図22に示す。いずれの場合も局所方位勾配Gの分布(局所方位勾配Gの絶対値)に大きな変化は見られなかった。つまり、局所方位勾配Gを用いることで、これまで局所方位差で問題となっていた、ステップサイズ依存性の問題を解決できる。また、誤差による影響も局所方位勾配の方が、局所方位差よりも相対的に小さく、良好な指標となり得る。
結晶方位測定装置のデータ処理プログラムに本発明の指標を算出する機能を追加することで、測定精度の評価と局所的な方位変化の評価を行うことができる。
これまで多くの結晶方位差に関する測定データが取得されてきたが、それらの比較が困難であった。本発明の指標を用いることで結晶方位差データの比較が容易になり、変形量や材料損傷の測定手法の標準化が可能となる。
1 走査型電子顕微鏡
2 ステージ
3 試料
4 スクリーン
5 CCU
6 カメラ(CCD)
7 コンピュータ
7a 記憶装置
10 モニター

Claims (10)

  1. 電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化する方法であって、
    マッピングされた前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出するステップと、
    前記複数の離間距離について算出された結晶方位差の平均値の対数平均と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似することにより、結晶方位差の精度の度合を得るステップと、
    を含むことを特徴とする結晶方位差精度の定量化方法。
  2. 前記線形関数において前記離間距離が零の場合の前記対数平均を外挿で求めることにより、結晶方位差の精度の度合を得るステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶方位差精度の定量化方法。
  3. 電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化する方法であって、
    マッピングされた前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出するステップと、
    前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差の平均値と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似するステップと、
    前記線形関数の傾きを算出することにより、結晶方位差の精度の度合を得るステップと、
    を含むことを特徴とする結晶方位差精度の定量化方法。
  4. 電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化するシステムであって、
    マッピングされた前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出する手段と、
    前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差の平均値の対数平均と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似する手段と、
    を有することを特徴とする結晶方位差精度の定量化システム。
  5. 前記線形関数において前記離間距離が零の場合の前記対数平均を外挿で求める手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の結晶方位差精度の定量化システム。
  6. 電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データをマッピングした結晶方位分布から算出される結晶方位差の精度を定量化するシステムであって、
    前記結晶方位データから結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出する手段と、
    前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差の平均値と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似する手段と、
    前記線形関数の傾きを算出する手段と、
    を有することを特徴とする結晶方位差精度の定量化システム。
  7. 電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データの分布を記憶している結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出してコンピュータによって算出される結晶方位差の精度を定量化するために、コンピュータに、
    前記結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出して、結晶方位差を算出する際に対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出し、該平均値を拡張局所方位差記憶手段に記憶するステップと、
    前記拡張局所方位差記憶手段に記憶されている結晶方位差の平均値を読み出して、前記複数の離間距離について算出された結晶方位差の平均値の対数平均と該複数の離間距離との関係を線形関数で近似するステップと、
    を実行させるためのコンピュータプログラム。
  8. 前記線形関数において前記離間距離が零の場合の前記対数平均を外挿で求めるステップを、コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータプログラム。
  9. 電子後方散乱回折によって得られる多結晶性材料表面近傍の結晶方位データの分布を記憶している結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出してコンピュータによって算出される結晶方位差の精度を定量化するために、コンピュータに、
    前記結晶方位データ記憶手段から結晶方位データを読み出して、結晶方位差を算出する際に、対象となる結晶方位測定点と該対象となる結晶方位測定点からの離間距離が同一である複数の測定点との結晶方位差の平均値を、複数の異なる離間距離について算出し、該平均値を拡張局所方位差記憶手段に記憶させるステップと、
    前記拡張局所方位差記憶手段に記憶されている結晶方位差の平均値を読み出して、前記複数の異なる離間距離について算出された結晶方位差と該複数の異なる離間距離との関係を線形関数で近似し、近似された線形関数を関数記憶手段に記憶させるステップと、
    前記関数記憶手段に記憶された線形関数を読み出して、前記線形関数の傾きを算出するステップと、
    を実行させるためのコンピュータプログラム。
  10. 請求項7〜9の何れかに記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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