JP2011237221A - オーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疲労亀裂に作用した応力を高精度に推定することができるオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法を提案する。
【解決手段】オーストナイト系スレンレス鋼からなる試験片に対して亀裂進展試験を行う第一工程と、試験済み試験片の亀裂破面に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する第二工程と、亀裂における応力拡大係数とマルテンサイトの厚みとの関係曲線を求める第三工程と、疲労亀裂を有する評価対象物に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する第四工程と、関係曲線に基づいて評価対象物におけるマルテンサイトの厚みから疲労亀裂における応力拡大係数を求める第五工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、疲労亀裂が発生したオーストナイト系スレンレス鋼における亀裂先端付近の応力状態を推定する方法に関する。
繰返し荷重を受ける各種の金属構造物では、長期間の使用に伴って疲労亀裂が発生し、最悪の場合には亀裂が進展して破断に至る場合がある。
このような疲労破壊を回避するには、金属構造物の亀裂発生部位に作用した応力を正確に把握する必要がある。ところが、実際に使用されている金属構造物では、繰返し荷重が複雑であったり、繰返し荷重が不明であったりする場合が多いため、作用した応力を正確に把握することは困難である。
このため、亀裂の破面に対してX線を照射して(X線回折)、破面の金属組織を解析することで、亀裂における応力拡大係数を求めて、作用した応力を推定する方法が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、オーストナイト系スレンレス鋼では、疲労亀裂の破面にオーステナイトに応力が作用したことにより変態し、マルテンサイト(応力誘起マルテンサイト)が発生する。この応力誘起マルテンサイトは、作用した応力の大きさに応じて、破面からその奥行き方向に向けて発生することが知られている。このため、応力誘起マルテンサイトをX線により検出することで、亀裂における応力拡大係数を求めることが可能となっている。
特開2003−177107号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、破面に発生したマルテンサイトの厚みを正確に検出することが困難である。
なぜなら、応力誘起マルテンサイトは、破面の進展方向の全領域において、その奥行き方向に向けて一様な厚みに発生するのではなく、不均一に分布して発生している。このため、マルテンサイトが一様に分布している領域の厚みを検出しなければ、亀裂発生部位に作用した応力を正確に把握することができない。
更に、特許文献1の技術では、マルテンサイトが一様な厚みであるか、不均一であるかを判断できないので、その検出結果は、非常に不正確であったり、またバラつきが大きくなったりしてしまう。
したがって、亀裂発生部位に作用した応力を精度よく把握することができないという問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、疲労亀裂に発生したマルテンサイトを正確に検出して、作用した応力を高精度に推定することができる、オーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法を提案することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
本発明に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法は、オーストナイト系スレンレス鋼からなると共に予亀裂を有する試験片に対して亀裂進展試験を行って、亀裂が進展した試験済み試験片を用意する第一工程と、前記試験済み試験片の亀裂破面に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する第二工程と、前記亀裂における応力拡大係数と前記マルテンサイトの厚みとの関係曲線を求める第三工程と、疲労亀裂を有する評価対象物の亀裂破面に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する第四工程と、前記関係曲線に基づいて、前記評価対象物におけるマルテンサイトの厚みから、前記疲労亀裂における応力拡大係数を求める第五工程と、を有することを特徴とする。
これにより、オーストナイト系スレンレス鋼の疲労亀裂に発生したマルテンサイトを、EBSP法(電子後方散乱パターン)法により観察するので、マルテンサイトを容易かつ正確に検出できる。したがって、疲労亀裂における応力拡大係数を正確に求めることができる。
また、第二工程において、前記破面に発生した前記マルテンサイトのうち、前記破面から一様に分布する領域の複数個所において厚みを測定して平均値を求めることを特徴とする。
これにより、疲労亀裂に発生したマルテンサイトが不均一に分布するような場合であっても、一様に分布する領域のみを選択し、更に複数個所において厚みを測定して平均値を求めるので、マルテンサイトの厚みを高精度に求めることができる。
また、第五工程で求めた応力拡大係数から前記疲労亀裂の亀裂進展速度又は前記評価対象物に作用した応力を求める第六工程と、を有することを特徴とする。
これにより、疲労亀裂の亀裂進展速度又は評価対象物に作用した応力が高精度に求められるので、オーストナイト系スレンレス鋼からなる評価対象物(構造物)の疲労破壊を確実に回避する措置を採ることができる。
また、第一工程において、前記試験片毎に、前記亀裂進展試験の荷重として交番荷重又は繰り返し荷重のいずれかを作用させることを特徴とする。
これにより、複数の負荷条件が考慮されるので、応力拡大係数、更には疲労亀裂の亀裂進展速度又は評価対象物に作用した応力を、より正確に求めることができる。
本発明によれば、オーストナイト系スレンレス鋼の疲労亀裂に発生したマルテンサイトを容易かつ正確に検出できるので、亀裂発生部位に作用した応力を高精度に推定することができる。
したがって、オーストナイト系スレンレス鋼からなる構造物の疲労破壊を確実に回避する措置を採ることができる。
本発明の実施形態に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法を示すフローチャート図である。 亀裂進展試験において用いる試験片の側面図を示す図である。 試験済み試験片の亀裂の破面をEBSP法により解析した結果を示す図である。 応力拡大係数とマルテンサイトの厚みとの関係曲線を示す図である。
以下、本発明に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法を示すフローチャート図である。
図1に示すように、実施形態に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法は、第一工程(ステップS1)から第五工程(ステップS5)を有しており、この5つの工程を経ることにより、オーストナイト系スレンレス鋼からなる評価対象物Aの疲労亀裂Caにおける応力状態、具体的には応力拡大係数Kaを求める。
更に、第六工程(ステップS6)において、評価対象物Aの疲労亀裂Caの亀裂進展速度(da/dN)又は疲労亀裂部位に作用した応力(△σ)を求める。
以下、各工程を具体的に説明する。
本実施形態に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法では、第一工程(ステップS1)において、オーストナイト系スレンレス鋼からなると共に予亀裂C0を有する複数の試験片1(図2(a)参照)に対して亀裂進展試験を行って、予亀裂C0から亀裂Cを進展させる(図2(b)参照)。つまり、試験片に対して亀裂進展試験を行って、亀裂が進展した試験済み試験片を作る。
次に、第二工程(ステップS2)において、試験済み試験片11の亀裂Cの破面Dの複数箇所(破面D1〜D4)をEBSP法により解析して、各破面D1〜D4に発生したマルテンサイト変態領域(塑性域)の厚み(破面Dから深さ方向の長さ)tを測定する。つまり、試験済み試験片の亀裂の破面に発生したマルテンサイト変態領域(塑性域)の複数箇所の厚みをEBSP法を用いて測定する(図3参照)。
なお、マルテンサイト変態領域(塑性域)を、以下の説明では単にマルテンサイトMと呼ぶ。
次に、第三工程(ステップS3)において、第二工程で測定した各マルテンサイトMにおける厚みtと応力拡大係数Kとの関係曲線Vを求める(図4参照)。つまり、マルテンサイト変態領域の厚みと応力拡大係数との関係曲線を求める。
なお、亀裂Cではその進展に伴って応力拡大係数Kが徐々に変化するが知られている。また、亀裂Cにおける応力拡大係数Kは、既知の方法によって算出できる。
次に、第四工程(ステップS4)において、疲労亀裂Caが発生した評価対象物Aを用意する。そして、この評価対象物Aに発生した亀裂CaをEBSP法により解析して、破面Daに発生したマルテンサイトMaの厚みtaを測定する。つまり、疲労亀裂を有する評価対象物の亀裂破面に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する。
なお、添え字aは、評価対象物Aにおける亀裂、破面、マルテンサイト及びその厚み並びに応力拡大係数を表す。
そして、第五工程(ステップS5)において、第四工程で求めた関係曲線Vに基づいて、評価対象物AにおけるマルテンサイトMaの厚みtaから、その疲労亀裂Caにおける応力拡大係数Kaを求める。つまり、ステップS3の関係曲線とステップS4の結果から、評価対象物における亀裂の応力拡大係数を求める。
更に、第六工程(ステップS6)において、第五工程で求めた応力拡大係数Kaに基づいて、疲労亀裂Caの亀裂進展速度(da/dN)又は疲労亀裂部位に作用した応力(△σ)を求める。つまり、ステップS5の応力拡大係数から、評価対象物における亀裂進展速度又は作用応力を求める。
以下、上述した各工程を詳述する。
第一工程(ステップS1)では、図2に示すように、オーストナイト系スレンレス鋼、例えばSUS304からなると共に予亀裂C0を有する複数の試験片1を用意する。
試験片の数は、第四工程において求められる関係曲線Vの計算精度を高めるためにできるだけ多い方が好ましい。本実施形態では、2個の試験片を用意した。
次に、2個の試験片1を用いて荷重を変えて2通りの亀裂進展試験を行う。試験条件は、例えば、以下の通りである。
試験方法:ASTM−E647−00
温度RT(室温)
応力比:R=0(片振り)、R=−1(両振り)
荷重波形:サイン波
荷重:R=0 … Pmax=15843N
R=−1 … Pmax=15843N、Pmin=−15843N
予亀裂長さ:3mm
亀裂測定方法:側面目視、ビーチマーク(貝殻模様)
2個の試験片1に対する荷重としては、交番荷重(両振り、R=−1)又は繰り返し荷重(片振り、R=0)のいずれかを作用させるようにした。
これにより、実際の金属構造物(評価対象物A等)に作用する様々な負荷条件を考慮した評価が可能となる。したがって、後工程において応力拡大係数Ka等をより高精度に求めることが可能となる。
そして、このような亀裂進展試験を行うことで、2個の試験片1のそれぞれにおいて、予亀裂C0から亀裂Cを進展させる。これにより、亀裂Cの応力拡大係数Kがそれぞれ異なる2個の試験済み試験片11が得られる。
本実施形態では、2個の試験済み試験片11の亀裂Cの破面Dの複数箇所の応力拡大係数Kとして、20〜60(MPam1/2)の値が得られた(図4参照)。
なお、亀裂Cの応力拡大係数Kは、既知の方法によって算出した。
第二工程(ステップS2)では、まず、試験済み試験片11のそれぞれの亀裂CをEBSP法により解析する。本実施形態では、2つの試験片に対して、それぞれ4ヵ所(破面D1〜D4)解析を行なった。(図2参照)
EBSP(Electron Back-Scattering Pattern、電子後方散乱パターン)法は、SEM(走査型電子顕微鏡)に組み合わせて使用され、試料に電子を照射した時の反射電子が試料中の原子面によって回折されることによるバンド状のパターンを解析することで、試料の結晶方位を測定する方法である。
このEBSP法を用いることにより、結晶粒毎の情報が得られる。また、結晶方位データから、結晶粒の方位分布(集合組織)や結晶分布も解析可能である。つまり、EBSP法は、異常値を含む情報が得られるX線回折とは異なって、結晶粒単位の情報を正確に得ることができる利点がある。
なお、EBSP法は、EBSD(Electron Back-scatter Diffraction)法とも呼ばれることもある。
亀裂Cの破面DをEBSP法により解析する場合には、試験済み試験片11の亀裂Cを側面方向から観察する。これにより、破面Dに発生したマルテンサイトMの深さ(奥行き)方向の厚みtを測定すること可能となる。
本実施形態では、両振り(R=−1)の亀裂進展試験を行った試験済み試験片11の亀裂Cから、破面D1(応力拡大係数K=20.1MPam1/2)、破面D2(応力拡大係数K=27.7MPam1/2)、破面D3(応力拡大係数K=31.1MPam1/2)、破面D4(応力拡大係数K=39.6MPam1/2)を採取し、それぞれ亀裂Cの破面DをEBSP法により解析した。
図3は、試験済み試験片11の亀裂Cの破面DをEBSP法により解析した結果を示す写真である。
具体的には、両振り(R=−1)の亀裂進展試験を行った試験済み試験片11の亀裂Cの破面D3(応力拡大係数K=31.1MPam1/2)を示している。
図3に示すように、試験済み試験片11の亀裂Cの破面D3には、オーステナイトに応力が作用したことによりマルテンサイトに変態したマルテンサイトM(応力誘起マルテンサイト)が発生していることが確認できる(図3の写真のうち濃色部分)。
なお、図3の写真の左下のスケール(目盛り)は、35μmを示す。
このマルテンサイトMは、作用した応力の大きさに応じて、破面Dから奥行き方向(図3の上下方向)に向けて発生している。
もっとも、マルテンサイトMは、破面Dの全域において一様な厚みに発生(分布)しているわけではなく、不均一に発生(分布)している領域が存在することも確認できる。
特に、図3(a)に示す解析結果では、マルテンサイトMが破面Dの奥行き方向において点在していることが確認できる。
次に、EBSP法による解析結果を用いて、破面Dに発生したマルテンサイトMの厚みtを測定する。上述したように、EBSP法では、結晶粒単位、つまりマイクロメートル単位で観察(厚み計測)を行うことができる。
更に、マルテンサイトMがほぼ一様に分布する領域の複数個所において、マルテンサイトMの厚みtを測定し、その平均値を求める。これにより、更に高精度な測定結果が得られる。
マルテンサイトMの厚み測定は、2個の試験済み試験片11の破面Dの各4ヵ所(破面D1〜D4)毎に行う。つまり、各応力拡大係数Kに対応してマルテンサイトMの厚みtがそれぞれ得られる。
第三工程(ステップS3)では、図4に示すように、第一工程及び第二工程で得られた結果、すなわち応力拡大係数KとマルテンサイトMの厚みtとの関係曲線Vを求める。
図4に示すように、応力拡大係数KとマルテンサイトMの厚みtとは、ほぼ二次曲線を描く関係を有していることが確認できる。
論理的にも、疲労破壊の塑性域の寸法wは、次式で表されることが知られている。
w=(1/π)(K/σ)…(1)
すなわち、マルテンサイトMの厚みtが塑性域の寸法wに当たる。式(1)は、図4の関係曲線Vにほぼ一致していることが確認できる。
なお、塑性域の寸法wがどのような値を示すかは、従来から不明であった。そして、本実施形態により、塑性域の寸法w(マルテンサイトMの厚みt)が式(1)を満たすことが確認された。
第四工程(ステップS4)では、実際に疲労亀裂Caが発生した評価対象物Aにおける亀裂Caの先端の破面DaをEBSP法により解析する。評価対象物Aとしては、具体的には、繰返し荷重を受ける各種の金属構造物が挙げられる。
例えば、オーストナイト系スレンレス鋼からなる評価対象物Aの疲労亀裂Caを試料として用意し、その試料をEBSP法により解析する。
そして、第二工程(ステップS2)と同様に、破面Daに発生したマルテンサイトMaの厚みtaを測定する。
この場合においても、マルテンサイトMaが破面Daの奥行き方向において点在している領域は、測定対象領域から除外する。つまり、破面Daに発生したマルテンサイトMaのうち、破面DaからマルテンサイトMaがほぼ一様に分布する領域のみを測定対象領域とする。
更に、マルテンサイトMaがほぼ一様に分布する領域の複数個所において、マルテンサイトMaの厚みtaを測定し、その平均値を求める。
これにより、評価対象物Aにおいても、マルテンサイトMaの厚みtaの測定誤差(ばらつき)を大幅に小さくすることができる、また、高精度な測定結果が得られる。
そして、第五工程(ステップS5)では、第四工程で得られた評価対象物Aの疲労亀裂CaにおけるマルテンサイトMaの厚みtaを、第三工程で得られた応力拡大係数KとマルテンサイトMの厚みtとの関係曲線Vに当てはめて、評価対象物Aの疲労亀裂Caの応力拡大係数Kaを求める。
第四工程及び第五工程は、評価対象物Aが複数ある場合においては、その評価対象物A毎に行う。
一方、第一工程から第三工程は、一度だけ行えばよい。言い換えれば、応力拡大係数KとマルテンサイトMの厚みtとの関係曲線Vが得られていれば、関係曲線Vを複数の評価対象物Aに当てはめることで、それぞれの評価対象物Aにおける疲労亀裂Caの応力拡大係数Kaを求めることができる。
なお、本実施形態においては、SUS304の関係曲線Vを求めているので、他のオーストナイト系スレンレス鋼(例えばSUS316等)の関係曲線については、別途、第一工程から第三工程を行って関係曲線を求めることが好ましい。
更に、第六工程(ステップS6)では、第五工程において求めた評価対象物Aの疲労亀裂Caの応力拡大係数Kaから、疲労亀裂Caの亀裂進展速度(da/dN)又は疲労亀裂部位に作用した応力(△σ)を求める。
なお、応力拡大係数Kaから疲労亀裂Caの亀裂進展速度又は疲労亀裂部位に作用した応力を求める手法は、既知の手法を用いればよい。具体的には、疲労亀裂Caの亀裂進展速度は、応力拡大係数と亀裂進展速度との関係曲線から求められる。
以上説明したように、本実施形態に係るオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法によれば、オーストナイト系スレンレス鋼からなる評価対象物Aの疲労亀裂Caに発生したマルテンサイトMaをEBSP法(電子後方散乱パターン)法により観察するので、マルテンサイトMaを容易かつ正確に検出できる。
これにより、評価対象物Aの疲労亀裂Caの応力状態、具体的には応力拡大係数Ka、更には疲労亀裂Caの亀裂進展速度又は作用した応力が正確に求められるので、評価対象物Aの疲労破壊を回避する適切な措置を採ることが可能となる。
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、2個の試験片を用いた場合について説明したが、これに限らない。1個の試験片であってもよいが、第四工程において求められる関係曲線Vの計算精度を高めるためにできるだけ多い方が好ましい。
また、各試験片の亀裂破面の複数箇所をEBSP法により解析する場合に限らず、1箇所をEBSP法により解析する場合であってもよい。つまり、試験片の亀裂破面に発生したマルテンサイトの分布状態に応じて、測定箇所数を決めればよい。
1…試験片
11…試験済み試験片
A…評価対象物
C,Ca…亀裂
K,Ka…応力拡大係数
M,Ma…マルテンサイト
D、Da…破面(亀裂破面)
t,ta…厚み
V…関係曲線
w…寸法

Claims (4)

  1. オーストナイト系スレンレス鋼からなると共に予亀裂を有する試験片に対して亀裂進展試験を行って、亀裂が進展した試験済み試験片を用意する第一工程と、
    前記試験済み試験片の亀裂破面に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する第二工程と、
    前記亀裂における応力拡大係数と前記マルテンサイトの厚みとの関係曲線を求める第三工程と、
    疲労亀裂を有する評価対象物の亀裂破面に発生したマルテンサイトの厚みをEBSP法を用いて測定する第四工程と、
    前記関係曲線に基づいて、前記評価対象物におけるマルテンサイトの厚みから、前記疲労亀裂における応力拡大係数を求める第五工程と、
    を有することを特徴とするオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法。
  2. 第二工程において、前記破面に発生した前記マルテンサイトのうち、前記破面から一様に分布する領域の複数個所において厚みを測定して平均値を求める
    ことを特徴とする請求項1に記載のオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法。
  3. 第五工程で求めた応力拡大係数から前記疲労亀裂の亀裂進展速度又は前記評価対象物に作用した応力を求める第六工程と、
    を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法。
  4. 第一工程において、前記試験片毎に、前記亀裂進展試験の荷重として交番荷重又は繰り返し荷重のいずれかを作用させることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のオーストナイト系スレンレス鋼の応力状態推定方法。
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