JP2018154796A - 蓄熱材組成物およびそれを用いた蓄熱材 - Google Patents

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林 正 明 小
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Abstract

【課題】n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材が得られる蓄熱材組成物を提供する。【解決手段】炭素数12以上、50以下のn−パラフィンと、熱可塑性エラストマーと、を含む蓄熱材組成物であって、前記熱可塑性エラストマーが、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を含む、蓄熱材組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素数12〜50以下のn−パラフィンを含有する蓄熱材組成物に関し、詳細には、n−パラフィン相転移時の融解熱および固化(凝固)熱の両者が大きく損なわれることなく、固化温度(凝固点)と融解温度(融点)を近接させることができる蓄熱材組成物および当該蓄熱性組成物を用いた蓄熱材に関する。
物質の相転移潜熱を蓄熱に利用する潜熱蓄熱材料として、例えば、パラフィン、水、無機水和塩等が知られている。これらのなかでも、炭素数が12〜50のn−パラフィンは、適当な炭素数のn−パラフィンを選択することで、広範な生活環境温度(−10℃〜100℃)に対応した相転移潜熱を利用できることから、パラフィン系潜熱蓄熱材として広く使用されている。
一方、n−パラフィンは融解状態では液体であり、n−パラフィンを含有する蓄熱材を使用した際にn−パラフィンが漏れ出す恐れがある。n−パラフィンは液体の状態では引火性を有するため、蓄熱材を安全に使用するためにはn−パラフィンの融解時に漏れ出さない工夫が必要となる。そのため、例えば、熱可塑性エラストマーを担持材料とし、該担持材料にn−パラフィンを混練して固定化(ゲル化)し、n−パラフィンの融解時にも漏洩しない蓄熱材が提案されている。担持材料として使用できる熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩ビ系エラストマーなど種々のものが知られているが、これらのなかでも、パラフィンとの相溶性や形状保持性、安定性、コスト等の観点から、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーが好適に使用されている。
例えば、スチレン系エラストマーとして、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等の共役ジエン系化合物のブロック共重合体水素添加物をパラフィンの担持材として用いた蓄熱材料が紹介されている(特許文献1)。
特開2014−088517号公報
ところで、n−パラフィンの相転移潜熱を蓄熱に利用した蓄熱材では、所望の温度域で蓄熱材の効果を発揮させることができるよう、固化温度(凝固点)と融解温度(融点)が近接していることが好ましいと言える。また、n−パラフィン本来の融解熱や固化熱のエネルギー量が損なわれないようにする必要がある。しかしながら、上記したような熱可塑性エラストマーにn−パラフィンを担持させて固定した蓄熱材は、n−パラフィンと熱可塑性エラストマーとの相互作用により、n−パラフィン本来の吸放熱特性が損なわれてしまうことがあった。例えば、n−パラフィンをSEBS等のブロック共重合体の水素添加物に担持させた蓄熱材では、示差走査熱量測定法(DSC法)により得られるn−パラフィン融解時の吸熱ピークや凝固時の放熱ピークが分離したりブロードな吸放熱プロファイルとなり、場合によっては固化温度(凝固点)と融解温度(融点)とが大きく離れてしまうといった問題があった。
したがって、本発明の目的は、n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材が得られる蓄熱材組成物を提供することである。
また、本発明の別の目的は、当該蓄熱材組成物を用いた蓄熱材を提供することである。
上記課題に対して本発明者らが鋭意検討した結果、n−パラフィンを担持する熱可塑性エラストマーとして、特定のスチレン系エラストマーを使用することにより、上記したようなSEBS等のスチレン系エラストマーと比較して、n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材が得られるとの知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。
すなわち、本発明の一実施態様によれば、
炭素数12以上、50以下のn−パラフィンと、
熱可塑性エラストマーと、
を含む蓄熱材組成物であって、
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を含む、蓄熱材組成物が提供される。
本発明の態様においては、前記スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体において、スチレン単位が30〜60質量%含まれることが好ましい。
本発明の態様においては、前記n−パラフィンが、蓄熱材組成物全体に対して、30質量%以上、99質量%以下の範囲で含まれることが好ましい。
本発明の態様においては、蓄熱材組成物がゲル形態にあることが好ましい。
また、本発明の他の実施態様によれば、上記の蓄熱材組成物が容器に充填されてなる蓄熱材も提供される。
本発明によれば、熱可塑性エラストマーとしてスチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を使用することにより、SEBS等のスチレン系エラストマーと比較して、n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材を実現することができる。
本発明による蓄熱材組成物は、必須成分として、炭素数12以上、50以下のn−パラフィンと熱可塑性エラストマーとを含むものである。以下、本発明による蓄熱材組成物を構成する成分について詳細に説明する。
<n−パラフィン>
本発明による蓄熱材組成物に使用されるn−パラフィンは潜熱蓄熱材料として用いられるものであり、相転移温度が−10℃〜100℃である炭素数が12以上50以下のn−パラフィンである。これらのn−パラフィンは、通常、石油留分から精留によって得られる。精製技術の制約から、それぞれの炭素数のn−パラフィンには、数質量%の隣接した炭素数のn−パラフィンを含有することがある。なお、n−パラフィンは、合成したものを使用してもよいが、石油留分由来のものを用いる方が、簡便かつ安価である。以下、本明細書では、精留によって得られた数質量%程度の不純物を含むn−パラフィン、または合成により得られた純度が高いn−パラフィンを、特に区別することなく、特定の炭素数を有するn−パラフィンとして記載する。
上記したn−パラフィンの中でも、潜熱蓄熱材料として有用なパラフィン系炭化水素は、相転移温度が、保冷〜住居環境温度範囲の−10℃〜35℃の範囲にある、炭素数が12以上20以下のn−パラフィンである。具体的には、n−ドデカン(炭素数12、融点−12℃)、n−トリデカン(炭素数13、融点―5℃)、n−テトラデカン(炭素数14、融点6℃)、n−ペンタデカン(炭素数15、融点10℃)、n−ヘキサデカン(炭素数16、融点18℃)、n−ヘプタデカン(炭素数17、融点21℃)、n−オクタデカン(炭素数18、融点28℃)、n−ノナデカン(炭素数19、融点32℃)、およびn−エイコサン(炭素数20、融点37℃)を用いることが好ましい。潜熱蓄熱材料として特に好ましいのは、相転移潜熱量の大きい、炭素数が偶数のn−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、n−エイコサンを主として含むものである。本発明において、上記のn−パラフィンは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明による蓄熱材組成物は、n−パラフィンを、蓄熱材組成物全体に対して30質量%以上、99質量%以下の範囲で含むことが好ましく、より好ましくは50質量%以上、95質量%以下の範囲である。組成物中に占めるn−パラフィンの割合が少なすぎると蓄熱材としての効果が十分に発揮することができなくなる。一方、n−パラフィンの割合が多くなり過ぎると、後記する熱可塑性エラストマーがn−パラフィンを固定できなくなる傾向にあり、蓄熱材組成物からn−パラフィンが浸出した状態になる場合がある。
<熱可塑性エラストマー>
本発明においては、熱可塑性エラストマーとして、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を使用する。スチレン系エラストマーは、スチレンを繰り返し単位とする結晶構造であるハードセグメントブロック(ポリスチレンブロック)を有するものであり、水素添加処理後も共役ジエン化合物に由来する分岐の存在により非晶構造であるソフトセグメントブロック(分岐ポリオレフィンブロック)をさらに有するものである。本発明において、熱可塑性エラストマーとして使用するスチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体は、SEBSやSEPS等のスチレン系エラストマーと異なり、エチレンブロックとブチレンブロックとの間にスチレンブロックが介在する構造を有している。本発明者らは、このような特定の構造を有するスチレン系エラストマーをn−パラフィンと組み合わせることで、n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材が得られることを見出した。この理由は定かではないが、以下のように考えられる。
すなわち、従来パラフィン系潜熱蓄熱材として用いられていたSEBS等は、ソフトセグメントブロックがエチレンブロックやブチレンブロック等の非芳香族炭化水素のみからなり、当該ソフトセグメントブロックがn−パラフィンと何らかの相互作用を生じ、その結果、n−パラフィン融解時の吸熱ピークや凝固時の放熱ピークが分離したり、吸放熱プロファイルがブロードになるものと推察される。これに対し、上記したスチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体は、エチレンブロックとブチレンブロックとの間にスチレンブロックが介在しているため、n−パラフィンとの過度な相互作用が抑制されるものと推察される。その結果、n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材組成物が得られるものと考えられる。なお、蓄熱材組成物の吸放熱プロファイルは、示差走査熱量計を用いた定法の測定により得ることができる。
本発明において、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体は、スチレン単位が30〜60質量%含まれていることが好ましい。このスチレン単位が上記範囲にあることで、より一層、n−パラフィン本来の吸放熱特性を損なうことなく、固化温度と融解温度とが近接した蓄熱材とすることができる。本発明において使用するスチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開2007−84821号公報や特表2009−542822号公報に記載されている方法により製造することができる。また、水素添加する前のブロック共重合体を得る際に、スチレンモノマー単位とブタジエンモノマー単位の割合を変えることにより、当該ブロック共重合体におけるスチレン単位の割合を適宜調整することができる。また、上記したスチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体は市販されているものであってもよく、例えば、クレイトンポリマージャパン株式会社のA1535や同A1536等を好適に使用することができる。
上記したスチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体は、重量平均分子量が5万以上、20万以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、n−パラフィンを分子内に固定しにくくなり形状安定性が低下し、一方、重量平均分子量が大き過ぎると、熱可塑性エラストマーの加工時の流動性が低下する。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、標準ポリスチレン換算により算出することができる。
<その他の任意成分>
n−パラフィンは、過冷却現象により固化温度が本来の凝固温度よりも低くなり、融解温度(融点)と乖離してしまう場合がある。そのため、本発明による蓄熱材組成物には、過冷却現象を抑制するために過冷却抑制剤が含まれていてもよい。例えば、使用するn−パラフィンの炭素数よりも長い炭素鎖長を有するn−アルキルアルコールやn−アルキルアミンを過冷却抑制剤として添加することができる。これらn−アルキルアルコールやn−アルキルアミンは、n−パラフィンと高い親和性を有するが、n−パラフィンの炭素鎖長の違いにより、蓄熱材組成物が冷却される過程において、炭素鎖長が長いn−アルキルアルコールやn−アルキルアミンの方が先に凝固が進み、これが核となってn−パラフィンの過冷却が抑制される。
上記したような炭素数12以上、20以下のn−パラフィンを蓄熱材として使用する場合は、過冷却抑制剤として、炭素数20以上、24以下のn−アルキルアルコールや炭素数20以上、24以下のn−アルキルアミンを添加することができる。具体的には、アラキジルアルコール(炭素数20)、ヘンエイコサノール(炭素数21)、ベヘニルアルコール(炭素数22)、トリコサノール(炭素数23)、リグノセリルアルコール(炭素数24)、アラキジルアミン(炭素数20)、ヘニコシルアミン(炭素数21)、ベヘニルアミン(炭素数22)、トリコシルアミン(炭素数23)、テトラコシルアミン(炭素数24)等が挙げられるが、これらの中でも、ベヘニルアルコール(炭素数22)を好ましく使用できる。これら過冷却抑制剤は、1種単独で用いてもよく2種以上併用して用いてもよい。本発明による蓄熱材組成物に過冷却抑制剤を添加する場合の配合量としては、蓄熱材組成物に対して、通常0.5重量%以上、5.0重量%以下である。
また、本発明による蓄熱材組成物には、n−パラフィンの吸放熱特性に影響を与えない範囲において、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、防菌・防カビ剤、安定剤、染料、難燃剤、顔料、無機質微粒子などの各種添加剤を含有してもよい。また、熱伝導性を向上させるために、金属粉、金属繊維、金属酸化物、カーボン、カーボンファイバー等を含有していてもよい。
<蓄熱材組成物の製造方法>
本発明による蓄熱材組成物は、上記した成分を、2本ロール、押出機、2軸混練押出機、撹拌式混合機等の公知の手段を用いて、混合、撹拌することにより得ることができる。混合、撹拌は、熱可塑性エラストマーの軟化点よりも高い温度(例えば50℃以上)で行う。このようにして得られた蓄熱材組成物はゲル形態にあることが好ましく、適度な弾性率を有するようなゲル形態とすることがより好ましい。蓄熱材組成物を適度な弾性率を有するゲル形態とするには、熱可塑性エラストマーとn−パラフィンとを混合する際のn−パラフィンの配合量(すなわち、蓄熱材組成物全体に対するn−パラフィンの含有量)により、適宜調整することができる。蓄熱材組成物全体に対するn−パラフィンの含有量が上記した範囲にあれば、適度な弾性率を有するゲル形態とすることができる。
<蓄熱材>
本発明による蓄熱材組成物は、蓄熱材として種々の用途に使用することができ、医療用部品、保温容器、保冷剤、空調設備などに適用することができる。また、本発明による蓄熱材組成物は、適度な弾性率を有するゲル形態にあるため、ポリエチレンやポリエステル等の容器(包装袋容器)に充填して密封した蓄熱材とすることもできる。例えば、透明ないし半透明の包装袋容器に蓄熱材組成物を充填した蓄熱材は、取り扱い性に優れ、相転移の様子を外部から容易に観察できる。また、外気と遮蔽されているため蓄熱材組成物が劣化するのを抑制することができる。さらに、包装袋容器として、いわゆるガスバリア性包装袋と呼ばれる酸素透過や水蒸気透過を抑制できるような合成樹脂からなる包装袋容器を用いることにより、より一層、包装袋容器に充填された蓄熱材組成物の劣化を抑制することができる。
このように、本発明による蓄熱材組成物は、炭素数12以上、50以下のn−パラフィンを蓄熱材料として使用したものであるため、広範な生活環境温度(−10℃〜100℃)において蓄熱材として利用することができ、かつ、n−パラフィン自体と遜色ない潜熱量を有するものであるため、蓄熱材として優れるものである。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定解釈されるものではない。
<実施例1>
n−パラフィンとして炭素数17であるn−ヘプタデカン(JXエネルギー株式会社製、商品名:TS−7)を用いた。また、熱可塑性エラストマーとして、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン株式会社製、商品名:A1536、スチレンモノマー単位の含有量約39質量%、以下、S−(EB/S)−Sと表記することがある)を用いた。
80℃に加熱した液状のn−ヘプタデカンに、組成物全体に対してn−ヘプタデカンが90質量%となる割合で、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を添加し、混合、撹拌することにより蓄熱材組成物を調製した。得られた蓄熱材組成物は、適度に弾力があるゲル状の形態を有しており、n−ヘプタデカンの滲み出しは見られなかった。
上記のようにして得られた蓄熱材組成物について、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、装置名:DSC7020)を用いて、−30℃まで冷却した蓄熱材組成物を昇温速度0.05℃/分にて70℃まで昇温し、続いて、降温速度0.05℃/分で冷却した際のDSCサーモグラムから、融解ピーク(吸熱ピーク)および凝固ピーク(発熱ピーク)のそれぞれの温度を求めた。また、得られたDSCサーモグラム上の融解ピークおよび凝固ピークの形状を目視にて観察し、ピーク分離がないか確認した。評価結果は下記の表1に示されるとおりであった。
<比較例1>
熱可塑性エラストマーとして、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン株式会社製、商品名:G1650、スチレンモノマー単位の含有量約30質量%、以下、SEBS G1650と表記することがある)を用いた以外は実施例1と同様にして蓄熱材組成物を調製した。得られた蓄熱材組成物は、適度に弾力があるゲル状の形態を有しており、n−ヘプタデカンの滲み出しは見られなかった。次いで、蓄熱材組成物の示差走査熱量測定を上記と同様にして行った。評価結果は下記の表1に示されるとおりであった。
<比較例2>
熱可塑性エラストマーとして、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン株式会社製、商品名:G1651、スチレンモノマー単位の含有量約33質量%、以下、SEBS G1651と表記することがある)を用いた以外は実施例1と同様にして蓄熱材組成物を調製した。得られた蓄熱材組成物は、適度に弾力があるゲル状の形態を有しており、n−ヘプタデカンの滲み出しは見られなかった。次いで、蓄熱材組成物の示差走査熱量測定を上記と同様にして行った。評価結果は下記の表1に示されるとおりであった。
<比較例3>
熱可塑性エラストマーとして、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン株式会社製、商品名:G1654、スチレンモノマー単位の含有量約29質量%、以下、SEBS G1654と表記することがある)を用いた以外は実施例1と同様にして蓄熱材組成物を調製した。得られた蓄熱材組成物は、適度に弾力があるゲル状の形態を有しており、n−ヘプタデカンの滲み出しは見られなかった。次いで、蓄熱材組成物の示差走査熱量測定を上記と同様にして行った。評価結果は下記の表1に示されるとおりであった。
<比較例4>
熱可塑性エラストマーとして、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン株式会社製、商品名:G1633、スチレンモノマー単位の含有量約31質量%、以下、SEBS G1633と表記することがある)を用いた以外は実施例1と同様にして蓄熱材組成物を調製した。得られた蓄熱材組成物は、適度に弾力があるゲル状の形態を有しており、n−ヘプタデカンの滲み出しは見られなかった。次いで、蓄熱材組成物の示差走査熱量測定を上記と同様にして行った。評価結果は下記の表1に示されるとおりであった。
Figure 2018154796
表1に示す評価結果からも明らかなように、熱可塑性エラストマーとして、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を用いた蓄熱材組成物(実施例1)では、融解ピークが、n−ヘプタデカンの融点(21℃)とほぼ同じであり、DSCサーモグラムから得られる融解ピークおよび凝固ピークの何れもがピーク分離を起こしておらず、n−ヘプタデカン本来の吸放熱特性を有していることがわかる。
一方、熱可塑性エラストマーとして、エチレンブロックとブチレンブロックとの間にスチレンブロックを含まないブロック共重合体であるSEBSを用いた蓄熱材組成物(比較例1〜4)では、融解ピークがn−ヘプタデカンの融点と少しずれており、融解ピーク、凝固ピークの何れかまたは両方ともピーク分離が見られ、n−ヘプタデカン本来の吸放熱特性が損なわれていることがわかる。

Claims (5)

  1. 炭素数12以上、50以下のn−パラフィンと、
    熱可塑性エラストマーと、
    を含む蓄熱材組成物であって、
    前記熱可塑性エラストマーが、スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体を含む、蓄熱材組成物。
  2. 前記スチレン−(エチレン−スチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体において、スチレン単位が30〜60質量%含まれる、請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記n−パラフィンが、蓄熱材組成物全体に対して、30質量%以上、99質量%以下の範囲で含まれる、請求項1または2に記載の蓄熱材組成物。
  4. ゲル形態にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物が容器に充填されてなる、蓄熱材。
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