JP2016102139A - 潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱体 - Google Patents
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Abstract
【課題】凝固と融解による相転移を繰り返すヒートサイクル下においても、担持材料からの潜熱蓄熱材料の滲み出しや相分離がなく、安定なゲル状態を維持できる潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱体を提供する。【解決手段】本発明の潜熱蓄熱材組成物は、炭素数12以上50以下のn−パラフィンからなる潜熱蓄熱材料(A)を50質量%以上90質量%以下、担持材料(B)を10質量%以上50質量%以下の割合で含んでなり、担持材料(B)は、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)と、メルトフローレートが250(g/10分)以上であって、酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B2)とを、(B1):(B2)=1:1〜2:1の質量比で含むことを特徴とする。【選択図】なし
Description
本発明は、潜熱蓄熱材組成物、特に、炭素数が12以上50以下のn−パラフィンを潜熱蓄熱材料として使用し、このn−パラフィンを、熱可塑性エラストマーを含む担持材料と混練均一化してなる潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱材組成物を用いてなる潜熱蓄熱体に関する。
物質の相転移潜熱を蓄熱に利用する技術が知られている。その中でも、n−パラフィンの相転移潜熱を利用する技術は、炭素数が12から50の範囲のn−パラフィンから適切な選択を行うことにより、広範な生活環境温度(−20℃〜100℃)に対応した相転移温度が利用可能であって、蓄熱密度が高く、相変化を繰り返しても特性が劣化しないこと、腐食性がないこと等の優れた特徴を有している。
n−パラフィンの蓄熱材料としての優れた特性を生かした蓄熱材として、熱可塑性エラストマーを担持材料とし、n−パラフィンを溶融混練で固定化(ゲル化)した蓄熱材が提案されている。
近年、熱可塑性エラストマーからなる担持材料の1種として、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体(以下、「CEBC」と略すことがある)等の水添ジエン系共重合を使用する蓄熱材組成物が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。CEBCは、熱可塑性エラストマーからなる担持材料としてのスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)と比較して、蓄熱材料であるn−パラフィンの漏洩を防止するとされ、これはCEBCがSEBSに比べてハードセグメント部分が強固な結晶構造を有しているためであると考えられる。
しかしながら、CEBC等の共役ジエン系共重合体を担持体とする場合でも、これを合成樹脂容器に密封し、相転移温度を挟んで温度を繰り返し上昇下降する、所謂、ヒートサイクルの担持材料として試験を行うと、蓄熱材料の滲み出しや相分離などの不具合を起こす場合があり、さらなる改良が望まれている。
本発明の目的は、凝固と融解の相転移を幾度も繰り返すヒートサイクル下においても、潜熱蓄熱材料であるn−パラフィンの担持材料からの滲み出しや相分離がなく(相溶性が高い)、潜熱蓄熱材料を高濃度で担持材料に混合しても安定なゲル状態を維持できる潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果、炭素数が12以上50以下のn−パラフィンを潜熱蓄熱材料とし、該潜熱蓄熱材料の担持材料としてCEBCと特定のエチレン・酢酸ビニル共重合体とを所定の割合で用いて混練均一化して、ヒートサイクル下においても高い相溶性とゲル安定性を有する潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱材を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、潜熱により蓄熱可能な潜熱蓄熱材料(A)と、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)とを含む潜熱蓄熱材組成物であって、前記潜熱蓄熱材料(A)は炭素数が12以上50以下のn−パラフィンからなり、前記担持材料(B)は、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)と、メルトフローレートが250(g/10分)以上であって、酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B2)とを、(B1):(B2)=1:1〜2:1の質量比で含み、前記潜熱蓄熱材料(A)を50質量%以上90質量%以下、前記担持材料(B)を10質量%以上50質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする。
また、本発明の潜熱蓄熱体は、上記に記載の潜熱蓄熱材組成物を包装材料中に充填してなることを特徴とする。
本発明に係る潜熱蓄熱材組成物、および潜熱蓄熱体の好適な実施形態について、更に詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、潜熱により蓄熱可能な潜熱蓄熱材料(A)と、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)とを含む潜熱蓄熱材組成物であって、潜熱蓄熱材料(A)は炭素数が12以上50以下のn−パラフィンからなり、担持材料(B)は、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)と、メルトフローレートが250(g/10分)以上であって、酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B2)とを、(B1):(B2)=1:1〜2:1の質量比で含み、潜熱蓄熱材料(A)を50質量%以上90質量%以下、担持材料(B)を10質量%以上50質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする。
まず、潜熱蓄熱材料(A)について説明する。本発明に係る潜熱蓄熱材料(A)は、炭素数が12以上50以下のn−パラフィンである。これらのn−パラフィンは、通常、石油留分から精留によって得られるが、精製技術の制約から、それぞれの炭素数のn−パラフィンには、数質量%の隣接した炭素数のn−パラフィンを含有することがあるが、本発明の潜熱蓄熱材料(A)としての使用には支障はない。なお、潜熱蓄熱材料(A)として使用するn−パラフィンは、合成したものを使用してもよいが、石油留分由来のものを用いる方が、簡便かつ安価である。以下、本明細書では、精留によって得られた数質量%程度の不純物を含むn−パラフィン、または合成により得られた純度が高いn−パラフィンを、特に区別することなく、特定の炭素数を有するn−パラフィンとして記載する。
潜熱蓄熱材料(A)として特に有用なn−パラフィンは、相転移温度が、保冷〜住居環境温度範囲の−10℃〜30℃の範囲にある、炭素数が12以上18以下のn−パラフィンであり、潜熱蓄熱材料(A)は、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、およびn−オクタデカンの割合が50質量%以上であることが好ましい。潜熱蓄熱材料(A)として特に好ましいのは、相転移潜熱量の大きい、炭素数が偶数のn−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、または相転移温度が保冷材として適切なn−ヘプタデカンを主として含むものである。
潜熱蓄熱材料(A)は、炭素数が14以上18以下のn−パラフィンの割合が50質量%以上であるものがより好ましく、炭素数が14以上18以下のn−パラフィンからなり、かつ、この範囲にあるいずれかのn−パラフィンを50質量%以上含むものが特に好ましい。
潜熱蓄熱材料(A)としては、炭素数が14以上18以下のn−パラフィンからなり、かつ、この範囲にあるいずれかのn−パラフィンを95質量%以上含むものがさらに好ましい。
次に、潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)について説明する。担持材料(B)は、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)と、メルトフローレートが250g/10分以上であって、酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B2)とを、(B1):(B2)=1:1〜2:1の質量比で含む。
水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)の基本構造は、水素添加処理によりエチレンを繰り返し単位とする結晶構造となったハードセグメントブロックと、水素添加処理後も共役ジエン化合物に由来する分岐の存在により非晶構造であるソフトセグメントブロックを有するものである。1H−NMRで構造決定を行えば、オレフィン領域に検出される水素原子は極めて微量(数%以下)である。本発明に係るエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)は、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用したエチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体(CEBC)であることが好ましく、JSR(株)から「ダイナロン(登録商標)(CEBCタイプ):例えば、「6200P」、「6360B」」の商品名で販売されるものが例示される。CEBCの製造方法は、例えば、国際公開WO2011/078340号、特開2014−111746号公報、特開2014−122320号公報に開示されている。
本発明に係るエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう)は、10万〜80万であることが好ましく、20万〜70万であることが更に好ましい。Mwが10万以下であると、潜熱蓄熱材組成物としての材料的見地からの力学的性質、形状保持性、および、潜熱蓄熱材料(A)の担持材料(B)としての担持機能が不足する場合があり、重量平均分子量が80万を超えると、潜熱蓄熱材料(A)であるn−パラフィンとの混練加工や、混練加工後の蓄熱材の付形性・流動性を確保することに支障が出ることがある。エチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)のMwは、40万〜70万であることが、得に、好ましい。
エチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)は、示差走査式熱量測定法(DSC法)により測定した場合に、ハードセグメント由来の融解ピークを有することが好ましく、80〜120℃の範囲に融解ピークを有することが更に好ましい。 このピークが検出されないエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)は、担持材料(B)としての担持機能が不足する場合がある。
本発明に係るエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)は、1種単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。
また、本発明に係るエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)として、酸変性したCEBCを用いてもよい。後述のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)との相溶性が向上するためである。酸変性は、当業者間で知られている公知の方法で行うことができる。例えば、2軸混練機に、100質量部のCEBC、数質量部の無水マレイン酸、触媒量の有機過酸化物を投入し、前記有機過酸化物の分解温度以上で溶融混練すれば、酸変性したCEBCを製造することができる。
本発明で使用するエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)(以下、「EVA」と略すことがある)は、公知の方法で製造されるEVAのうち、JIS K7210に準拠する190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(以下、「MFR」と略すことがある)が、250g/10分以上であって、JIS K7192に準拠する酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上を充足するものである。上記の特性を有するEVAは、市場で入手することができる。例えば、三井デュポンケミカル(株)のエバフレックス(登録商標)「EV205WR」、「EV210」、「EV310」、東ソー(株)のウルトラセン(登録商標)「722」、「725」、「735」等が例示される。
本発明における担持材料(B)における水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)の質量比は、1:1〜2:1の範囲である。
本発明における担持材料(B)の主成分は、上記質量比から明らかなように水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)である。本発明の蓄熱材組成物の製造において、担持材料(B)を溶融混練する際、エチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)中へのエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)の良好な分散を確保するために、MFR(190℃、2.16kg荷重、JIS K7210準拠)の値を、250g/10分以上とする。なお、MFR値が高すぎると、流動性が過度になり、かえって良分散の確保が困難となる場合があるので、MFR値が1200g/10分以下、好ましくは1000g/10分以下であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を使用する。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)中のエチレン連鎖の結晶相の生成を制御し、担持材料(B)としての特性を確保するため、酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を使用する。エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)と潜熱蓄熱材(A)として使用するn−パラフィンとの間には相互作用、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)の一部がn−パラフィンに取り込まれることによる増粘効果が働くものと考えられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)中の酢酸ビニル単位の平均含有量が高すぎると、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)と潜熱蓄熱材(A)との間の相互作用が小さくなると考えられるため、酢酸ビニル単位の平均含有量が40質量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を使用することが好ましい。
以上、本発明に係る担持材料(B)は、潜熱蓄熱材料(A)の担持性に優れるエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)に、所定のMFRおよび酢酸ビニル単位のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を混合して使用することにより、n−パラフィンの担持体としての優れた特性を確保することができる。
本発明に係る蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材料(A)を50質量%以上90質量%以下、担持材料(B)を10質量%以上50質量%以下の割合で含んでなる。潜熱蓄熱材料(A)の割合が50質量%未満、または担持材料(B)の割合が50質量%より大きい場合、十分な蓄熱量を確保できない場合がある。また、潜熱蓄熱材料(A)の割合が90質量%を超えると、または担持材料(B)の割合が10質量%に不足すると、潜熱蓄熱材料(A)が担持材料(B)から漏れ出す可能性がある。潜熱蓄熱材料(A)を70質量%以上89質量%以下、担持材料(B)を11質量%以上30質量%以下の割合で含んでなる潜熱蓄熱材組成物が特に好ましい。
続いて、本発明に係る蓄熱材組成物の製造について説明する。本発明に係る蓄熱材料組成物は、所定量の潜熱蓄熱材料(A)、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を機械的手段により強制的に混練、このましくは、溶融混練して得ることができる。(A、(B1)、および(B2)を同時に混合してもよいし、任意の2種を溶融混練した後、残りの1成分を加えて溶融混練してもよい。
溶融混練は少なくとも潜熱蓄熱材料(A)、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)のうちいずれかがが溶融する温度以上で行う。さらに、(A)、(B1)、(B2)のすべてが溶融する温度近傍で行うことが、混練に大きなトルクがかかるので好ましい。混合は機械的手段による混合である限り、各種の混合手段がいずれも採用され、代表的な手段として、撹拌、混合、混練であり、当該機能を有する機器としては、攪拌機、混合器、混練機、そして、ゴム加工や熱可塑性樹脂加工に用いられる、2本ロール、バンバリーミキサー、押出機、2軸混練押出機等が挙げられる。
上記方法により得られた蓄熱材組成物は、次いで適宜な形状に成形され蓄熱材組体となる。蓄熱材組成物の使用目的に合わせて適宜な形状の蓄熱材組体とされるが、本発明に係る蓄熱材組成物は任意の形状への附形が可能であり、任意の包装材料に充填した潜熱蓄熱体として使用することもできる。特に、0.01〜1mm程度の厚みを有する透明性の合成樹脂からなる包装材料に充填して使用することは、相転移の観察が外部から容易であり、また、一定の大きさの包装材料に充填することで、外気との接触を遮断し、酸化劣化の抑制された一定の規格を有する潜熱蓄熱体とすることが可能となるので、好ましい。この観点から、好ましい包装材料は、酸素透過性が抑制された合成樹脂フィルムからなる包装材料であり、例えば、ポリアミドを含む多層フィルムからなる包装材料である。
また、本発明に係る蓄熱材組成物には、他の熱可塑性エラストマー、あるいは、熱可塑性樹脂(例えば、低結晶性α‐オレフィン−エチレン共重合体)を用いた蓄熱材組成物に添加される、各種添加剤、充填材等を添加することができることは言うまでもない。
以下に実施例、比較例を以って本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例により本発明が限定される訳ではない。
実施例において使用された各化学品は、市場から入手したものを、精製することなく使用した。以下、実施例および比較例に使用した潜熱蓄熱材料(A)、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を示す。
<潜熱蓄熱材料(A)>
n−テトラデカン(C14)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−4(商品名)」)
n−ヘキサデカン(C16)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−6(商品名)」)
n−ヘプタデカン(C17)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−7(商品名)」)
n−オクタデカン(C18)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−8(商品名)」)
<潜熱蓄熱材料(A)>
n−テトラデカン(C14)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−4(商品名)」)
n−ヘキサデカン(C16)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−6(商品名)」)
n−ヘプタデカン(C17)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−7(商品名)」)
n−オクタデカン(C18)(JX日鉱日石エネルギー社製「TS−8(商品名)」)
<エチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)>
ダイナロン6360B (JSR社製) 融点94℃(DSC法:昇温条件10℃/分)
ダイナロン6360B (JSR社製) 融点94℃(DSC法:昇温条件10℃/分)
<エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)>
エバフレックス「EV210」(三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル単位の平均含有量=28質量%、MFR=400g/10分)
エバフレックス「EV205WR」(三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル単位の平均含有量=28質量%、MFR=800g/10分)
エバフレックス「EV220」(三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル単位の平均含有量=28質量%、MFR=150g/10分)
エバフレックス「EV210」(三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル単位の平均含有量=28質量%、MFR=400g/10分)
エバフレックス「EV205WR」(三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル単位の平均含有量=28質量%、MFR=800g/10分)
エバフレックス「EV220」(三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル単位の平均含有量=28質量%、MFR=150g/10分)
<潜熱蓄熱材組成物の製造>
表1および2に示す種類および配合量で、潜熱蓄熱材料(A)、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を溶融混練し、実施例1〜4、および比較例1〜12にかかる潜熱蓄熱材組成物を作製した。溶融混練は、撹拌羽根付き密閉式チャンバーを用い、回転数300rpm、温度90℃で、60分間行った。
表1および2に示す種類および配合量で、潜熱蓄熱材料(A)、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を溶融混練し、実施例1〜4、および比較例1〜12にかかる潜熱蓄熱材組成物を作製した。溶融混練は、撹拌羽根付き密閉式チャンバーを用い、回転数300rpm、温度90℃で、60分間行った。
<ヒートサイクル試験>
得られた潜熱蓄熱材組成物を加熱融解(透明流動化)した後、細いガラス管(φ=5mm)に流し込み、室温に下げて固化して、ヒートサイクル試験の評価試料とした。各潜熱蓄熱材組成物が含有するn-パラフィンの融点に対し、−5〜−15℃以下の範囲にある恒温槽A、および、+5〜+15℃以上の範囲にある恒温槽Bを用意し、評価試料を恒温槽A、Bに交互に浸漬して、潜熱蓄熱材組成物の相転移を最高300回繰り返した後、相分離の有無を評価した。ヒートサイクル試験は、評価試料を融点より低い温度とした恒温槽Aに浸漬し、潜熱蓄熱材組成物中のn-パラフィンの凝固・固化相転移を目視により確認した後(組成物全体の白濁化)、融点より高い温度とした恒温槽Bに評価試料を浸漬し、潜熱蓄熱材組成物中のn-パラフィンの溶解・液化相転移を目視により確認(組成物全体の透明化)すること(固化および液化を各1回)を繰り返し(300回)行った。ヒートサイクル300回後に潜熱蓄熱材料(A)がブリードアウト(相分離発生)しないものを「○」、300回未満でブリードアウト(相分離発生)したものを「×」と評価した。なお、両恒温槽の温度差は、概ね、15℃〜30℃の範囲である。
得られた潜熱蓄熱材組成物を加熱融解(透明流動化)した後、細いガラス管(φ=5mm)に流し込み、室温に下げて固化して、ヒートサイクル試験の評価試料とした。各潜熱蓄熱材組成物が含有するn-パラフィンの融点に対し、−5〜−15℃以下の範囲にある恒温槽A、および、+5〜+15℃以上の範囲にある恒温槽Bを用意し、評価試料を恒温槽A、Bに交互に浸漬して、潜熱蓄熱材組成物の相転移を最高300回繰り返した後、相分離の有無を評価した。ヒートサイクル試験は、評価試料を融点より低い温度とした恒温槽Aに浸漬し、潜熱蓄熱材組成物中のn-パラフィンの凝固・固化相転移を目視により確認した後(組成物全体の白濁化)、融点より高い温度とした恒温槽Bに評価試料を浸漬し、潜熱蓄熱材組成物中のn-パラフィンの溶解・液化相転移を目視により確認(組成物全体の透明化)すること(固化および液化を各1回)を繰り返し(300回)行った。ヒートサイクル300回後に潜熱蓄熱材料(A)がブリードアウト(相分離発生)しないものを「○」、300回未満でブリードアウト(相分離発生)したものを「×」と評価した。なお、両恒温槽の温度差は、概ね、15℃〜30℃の範囲である。
<物性評価>
混練機器から取り出し、室温に放置して固化させた潜熱蓄熱材組成物から、所定の大きさに切りだし、物性評価用サンプルを作製した。各評価用サンプルについて、融点、凝固点、潜熱量、流動性(80℃での粘度)を測定した。融点、凝固点、および潜熱熱量は、DSC装置、流動性(80℃での粘度)は粘度計により測定した。以下、表1および表2に結果を示す。なお、実施例2、比較例4および5では、潜熱熱量として複数のピークの数値を記載している。これは、潜熱蓄熱材料(A)として、炭素数が小さい奇数パラフィン、または炭素数が小さい奇数パラフィンを主として含むパラフィン混合物では、複数のピークが認められるためである。
混練機器から取り出し、室温に放置して固化させた潜熱蓄熱材組成物から、所定の大きさに切りだし、物性評価用サンプルを作製した。各評価用サンプルについて、融点、凝固点、潜熱量、流動性(80℃での粘度)を測定した。融点、凝固点、および潜熱熱量は、DSC装置、流動性(80℃での粘度)は粘度計により測定した。以下、表1および表2に結果を示す。なお、実施例2、比較例4および5では、潜熱熱量として複数のピークの数値を記載している。これは、潜熱蓄熱材料(A)として、炭素数が小さい奇数パラフィン、または炭素数が小さい奇数パラフィンを主として含むパラフィン混合物では、複数のピークが認められるためである。
実施例1〜3にかかる潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材料(A)に用いるn−パラフィンの種類のみ変更したものである。実施例4は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を、実施例1で使用するエバフレックスEV210からMFRが高いエバフレックスEV205WRに変更したものである。実施例1〜4にかかる潜熱蓄熱材組成物は、混練機からの取りだし、および、プレス成型において、極めて優れたハンドリング性を示し、n−パラフィンのブリードも認められなかった。また、ヒートサイクル試験においても、300回までブリードアウトは認められなかった。
比較例1にかかる潜熱蓄熱材組成物は、実施例1で使用するエバフレックスEV210を、MFRが低いエバフレックスEV220に変更したものである。比較例2、3、10〜12は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を使用しないもの、比較例4〜9は、潜熱蓄熱材料(A)の割合が85質量%より大きい潜熱蓄熱材組成物である。比較例1〜12は、ヒートサイクル試験において、300回未満でブリードアウトが発生した。
以上のように、潜熱蓄熱材料(A)としてn−パラフィンを使用し、担持材料(B)として、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)と、所定のMFRおよび酢酸ビニル単位のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B2)を含み、潜熱蓄熱材料(A)と担持材料(B)とを所定の割合で含んでなる本発明の潜熱蓄熱材組成物は、保冷〜住居環境温度範囲において蓄熱密度が高いだけでなく、ヒートサイクル下においてもブリードアウトの発生を低減することができる。
本発明の潜熱蓄熱材組成物および潜熱蓄熱体は、蓄熱式床暖房、空調システム等の各種用途に好適に利用できる。
Claims (6)
- 潜熱により蓄熱可能な潜熱蓄熱材料(A)と、前記潜熱蓄熱材料(A)を担持する担持材料(B)とを含む潜熱蓄熱材組成物であって、
前記潜熱蓄熱材料(A)は炭素数12以上炭素数50以下のn−パラフィンからなり、
前記担持材料(B)は、水素添加処理されたエチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)と、メルトフローレートが250(g/10分)以上であって、酢酸ビニル単位の平均含有量が25質量%以上であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B2)とを、(B1):(B2)=1:1〜2:1の質量比で含み、
前記潜熱蓄熱材料(A)を50質量%以上90質量%以下、前記担持材料(B)を10質量%以上50質量%以下の割合で含んでなることを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。 - 前記潜熱蓄熱材料(A)中、炭素数12以上18以下のn−パラフィンの割合が50質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の潜熱蓄熱材組成物。
- 前記潜熱蓄熱材料(A)中、炭素数14以上18以下のn−パラフィンの割合が50質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の潜熱蓄熱材組成物。
- 前記エチレン−エチレン・共役ジエン−エチレンブロック共重合体(B1)は、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物。
- 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(B2)は、メルトフローレートが400(g/10分)以上800(g/10分)以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一つに記載の潜熱蓄熱材組成物を包装材料中に充填してなることを特徴とする潜熱蓄熱体。
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