JP2018154719A - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた変形特性を得ることが可能な塩化ビニル系樹脂組成物を提供する。【解決手段】塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含む。可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの少なくとも一方を含む。可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部以上1000重量部以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、塩化ビニル系樹脂を含む塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物(塩化ビニル系樹脂組成物)がアクチュエータなどの用途に用いられている。この塩化ビニル系樹脂組成物を用いたアクチュエータは、高分子アクチュエータと呼ばれており、その塩化ビニル系樹脂組成物の変形特性を利用して作動する。
高分子アクチュエータなどは、小型、軽量および柔軟であるという利点を有するため、各種用途への展開が期待されている。そこで、高分子アクチュエータなどに用いられる塩化ビニル系樹脂組成物の構成に関しては、さまざまな検討がなされている。
例えば、高分子アクチュエータに用いられる塩化ビニル系樹脂組成物として、可塑剤を含むポリ塩化ビニルが用いられている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
塩化ビニル系樹脂組成物に関する検討が盛んに行われているが、その塩化ビニル系樹脂組成物の変形特性は未だ十分でないため、改善の余地がある。
本発明の目的は、優れた変形特性を得ることが可能な塩化ビニル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記した目的を達成するために鋭意検討した結果、塩化ビニル系樹脂と共に、特定の種類かつ特定の量の可塑剤を用いることにより、上記した課題が解決されることを見出した。
本発明は、上記した知見に基づいてなされたものであり、本発明の一実施形態の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含むものである。可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの少なくとも一方を含み、その可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部以上1000重量部以下である。
また、本発明の一実施形態の他の塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含むものである。可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの少なくとも一方を含む。25℃における引張弾性率は、0.6kPa以上2000kPa以下である。
ここで、「塩化ビニル系樹脂組成物」とは、上記したように、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物の総称であると共に、その「塩化ビニル系樹脂」とは、塩化ビニルの単独重合体および塩化ビニルの共重合体を含む総称である。塩化ビニルと共重合される単量体の種類は、特に限定されないため、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。また、塩化ビニルの共重合量(重量%)は、特に限定されない。
本発明の一実施形態の塩化ビニル系樹脂組成物によれば、塩化ビニル系樹脂と共に上記した可塑剤を含み、その可塑剤の含有量が上記した範囲内であるので、優れた変形特性を得ることができる。
また、本発明の一実施形態の他の塩化ビニル系樹脂組成物によれば、塩化ビニル系樹脂と共に上記した可塑剤を含み、25℃における引張弾性率が上記した範囲内であるので、優れた変形特性を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態に関して詳細に説明する。説明する順序は、下記の通りである。ただし、本発明に関する詳細は、以下で説明する態様に限定されるわけではなく、適宜変更可能である。
1.塩化ビニル系樹脂組成物
1−1.構成
1−2.製造方法
1−3.作用および効果
2.塩化ビニル系樹脂組成物の用途
<1.塩化ビニル系樹脂組成物>
まず、本発明の一実施形態の塩化ビニル系樹脂組成物に関して説明する。
まず、本発明の一実施形態の塩化ビニル系樹脂組成物に関して説明する。
[塩化ビニル系樹脂組成物]
塩化ビニル系樹脂組成物は、各種用途に用いられるゲル状の組成物であり、電圧の印加に応じて変形する。
塩化ビニル系樹脂組成物は、各種用途に用いられるゲル状の組成物であり、電圧の印加に応じて変形する。
塩化ビニル系樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、例えば、高分子アクチュエータなどである。塩化ビニル系樹脂組成物が用いられた高分子アクチュエータは、その塩化ビニル系樹脂組成物の変形特性を利用して作動(変位)する。
<1−1.構成>
ここで説明する「塩化ビニル系樹脂組成物」とは、上記したように、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物の総称である。この塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含んでいる。
ここで説明する「塩化ビニル系樹脂組成物」とは、上記したように、塩化ビニル系樹脂を含む樹脂組成物の総称である。この塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含んでいる。
[塩化ビニル系樹脂]
「塩化ビニル系樹脂」とは、上記したように、塩化ビニルの単独重合体および塩化ビニルの共重合体を含む総称である。すなわち、塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体でもよいし、塩化ビニルの共重合体でもよいし、双方でもよい。
「塩化ビニル系樹脂」とは、上記したように、塩化ビニルの単独重合体および塩化ビニルの共重合体を含む総称である。すなわち、塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体でもよいし、塩化ビニルの共重合体でもよいし、双方でもよい。
ただし、塩化ビニルの単独重合体の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。同様に、塩化ビニルの共重合体の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
塩化ビニルの単独重合体は、いわゆる塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル)である。塩化ビニルの共重合体に関する詳細は、例えば、以下の通りである。
塩化ビニルと共重合される単量体の種類は、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、フマル酸、アクリロニトリルおよびアルキルビニルエーテルなどである。ただし、単量体の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
塩化ビニルの共重合量(重量%)は、特に限定されないが、例えば、約50重量%以上である。塩化ビニル系樹脂において十分な弾性率が得られるからである。
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されないが、例えば、約600〜4000であり、約800〜2000である。塩化ビニル系樹脂において十分な弾性率が得られるからである。
なお、塩化ビニル系樹脂の製造方法は、特に限定されないが、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法および塊状重合法などの既知の重合法のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
[可塑剤]
可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの一方または双方を含んでいる。すなわち、可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルだけを含んでいてもよいし、N−アルキルアリールスルホン酸アミドだけを含んでいてもよいし、双方を含んでいてもよい。
可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの一方または双方を含んでいる。すなわち、可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルだけを含んでいてもよいし、N−アルキルアリールスルホン酸アミドだけを含んでいてもよいし、双方を含んでいてもよい。
ただし、アリールアルキルスルホン酸エステルの種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。同様に、N−アルキルアリールスルホン酸アミドの種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。
(アリールアルキルスルホン酸エステル)
アリールアルキルスルホン酸エステルは、アリール基と、アルキル基と、スルホン酸結合(−S(=O)2 −O−)とが互いに結合された化合物である。ただし、アリール基は、硫黄原子(S)に結合されてもよいし、酸素原子(O)に結合されてもよい。同様に、アルキル基は、硫黄原子に結合されてもよいし、酸素原子に結合されてもよい。
アリールアルキルスルホン酸エステルは、アリール基と、アルキル基と、スルホン酸結合(−S(=O)2 −O−)とが互いに結合された化合物である。ただし、アリール基は、硫黄原子(S)に結合されてもよいし、酸素原子(O)に結合されてもよい。同様に、アルキル基は、硫黄原子に結合されてもよいし、酸素原子に結合されてもよい。
アリール基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニル基およびトリル基などである。トリル基は、例えば、o−トリル基でもよいし、m−トリル基でもよいし、p−トリル基でもよい。
アルキル基は、直鎖状でもよいし、1または2以上の側鎖を有する分岐状でもよい。アルキル基の炭素数は、特に限定されない。中でも、アルキル基の炭素数は、6〜20であることが好ましい。すなわち、アルキル基は、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびイコシル基であることが好ましい。
アリールアルキルスルホン酸エステルの具体例は、下記の式(1−1)で表される化合物および式(1−2)で表される化合物などである。
式(1−1)に示した化合物は、酸素原子に結合されたアリール基(フェニル基)と硫黄原子に結合されたアルキル基(ペンタデシル基)とを有するペンタデシルスルホン酸フェニルである。
式(1−2)に示した化合物は、酸素原子に結合されたアリール基(トリル基)と硫黄原子に結合されたアルキル基(ペンタデシル基)とを有するペンタデシルスルホン酸トリルである。ただし、式(1−2)から明らかなように、トリル基中におけるメチル基の位置は、特に限定されない。すなわち、トリル基は、o−トリル基でもよいし、m−トリル基でもよいし、p−トリル基でもよい。
アリールアルキルスルホン酸エステルの合成過程は、特に限定されない。すなわち、アリールアルキルスルホン酸エステルは、例えば、アルキルスルホン酸とフェノール類とのエステルでもよいし、アリールスルホン酸とアルコール類とのエステルでもよいし、他の組み合わせのエステルでもよい。
(N−アルキルアリールスルホン酸アミド)
N−アルキルアリールスルホン酸アミドは、アリールスルホン酸とアルキルスルホン酸とのスルホン酸アミド化合物であり、スルホン酸アミド結合(−S(=O)2 −NH−)を有している。
N−アルキルアリールスルホン酸アミドは、アリールスルホン酸とアルキルスルホン酸とのスルホン酸アミド化合物であり、スルホン酸アミド結合(−S(=O)2 −NH−)を有している。
アルキル基は、直鎖状でもよいし、1または2以上の側鎖を有する分岐状でもよい。アルキル基の炭素数は、特に限定されない。中でも、アルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましい。すなわち、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基であることが好ましい。
アリール基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニル基およびトリル基などである。トリル基は、例えば、o−トリル基でもよいし、m−トリル基でもよいし、p−トリル基でもよい。
N−アルキルアリールスルホン酸アミドの具体例は、下記の式(2−1)で表される化合物、式(2−2)で表される化合物および式(2−3)で表される化合物などである。
式(2−1)に示した化合物は、N−メチルベンゼンスルホン酸アミドである。式(2−2)に示した化合物は、N−ブチルベンゼンスルホン酸アミドである。式(2−3)に示した化合物は、N−エチルトルエンスルホン酸アミドである。ただし、式(2−3)から明らかなように、トリル基中におけるメチル基の位置は、特に限定されない。すなわち、トリル基は、o−トリル基でもよいし、m−トリル基でもよいし、p−トリル基でもよい。
[混合比]
塩化ビニル系樹脂と可塑剤との混合比は、適正化されている。言い替えれば、塩化ビニル系樹脂組成物中における可塑剤の含有量は、その塩化ビニル系樹脂組成物中における塩化ビニル系樹脂の含有量との関係において適正となるように規定されている。
塩化ビニル系樹脂と可塑剤との混合比は、適正化されている。言い替えれば、塩化ビニル系樹脂組成物中における可塑剤の含有量は、その塩化ビニル系樹脂組成物中における塩化ビニル系樹脂の含有量との関係において適正となるように規定されている。
具体的には、可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部〜1000重量部である。中でも、可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、200重量部〜900重量部であることが好ましい。塩化ビニル系樹脂組成物において十分な変形特性が得られるからである。
[物性]
この塩化ビニル系樹脂組成物は、上記したように、塩化ビニル系樹脂と可塑剤との混合比が適正化されていることに伴い、適正な引張弾性率を有している。ここで説明する「引張弾性率」とは、引張試験において測定されるヤング率(試験温度=25℃)である。
この塩化ビニル系樹脂組成物は、上記したように、塩化ビニル系樹脂と可塑剤との混合比が適正化されていることに伴い、適正な引張弾性率を有している。ここで説明する「引張弾性率」とは、引張試験において測定されるヤング率(試験温度=25℃)である。
具体的には、塩化ビニル系樹脂組成物の引張弾性率は、0.6kPa〜2000kPaである。中でも、塩化ビニル系樹脂組成物の引張弾性率は、0.69kPa〜1180kPaであることが好ましい。塩化ビニル系樹脂組成物において十分な変形特性が得られるからである。
なお、引張弾性率を測定するために用いられる試験片の作製方法は、JIS K6251(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に準拠する。また、引張弾性率の測定方法は、JIS K7661−2(プラスチック−引張特性の求め方−第2部:型成形,押出成形および注型プラスチックの試験条件)に準拠する。試験片の作製方法および引張弾性率の測定方法のそれぞれの詳細に関しては、後述する。
[他の材料]
なお、塩化ビニル系樹脂組成物は、上記した塩化ビニル系樹脂および可塑剤と共に、他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の材料の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤などの添加剤である。
なお、塩化ビニル系樹脂組成物は、上記した塩化ビニル系樹脂および可塑剤と共に、他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の材料の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤などの添加剤である。
<1−2.製造方法>
この塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを混合したのち、必要に応じて混合物を撹拌することにより得られる。
この塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを混合したのち、必要に応じて混合物を撹拌することにより得られる。
なお、塩化ビニル系樹脂組成物は、例えば、上記した混合物のままで用いられてもよいし、シート状などに成形された状態で使用されてもよい。塩化ビニル系樹脂組成物を成形する場合には、例えば、塩化ビニル系樹脂組成物が溶解または分散された溶液を支持体の表面に塗布したのち、その溶液を乾燥させる。支持体の種類は、特に限定されないため、板状の部材でもよいし、皿状の容器でもよいし、フィルムなどでもよい。もちろん、塩化ビニル系樹脂組成物が成形される形状は、シート状に限られず、他の形状でもよい。
<1−3.作用および効果>
この塩化ビニル系樹脂組成物によれば、塩化ビニル系樹脂と共に可塑剤を含んでおり、その可塑剤がアリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの一方または双方を含んでいる。この可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部〜1000重量部である。この場合には、塩化ビニル系樹脂と併用される可塑剤の種類が適正化されると共に、その可塑剤の含有量も適正化されるため、電圧の印加に応じて塩化ビニル系樹脂組成物が変形しやすくなる。よって、優れた変形特性を得ることができる。
この塩化ビニル系樹脂組成物によれば、塩化ビニル系樹脂と共に可塑剤を含んでおり、その可塑剤がアリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの一方または双方を含んでいる。この可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部〜1000重量部である。この場合には、塩化ビニル系樹脂と併用される可塑剤の種類が適正化されると共に、その可塑剤の含有量も適正化されるため、電圧の印加に応じて塩化ビニル系樹脂組成物が変形しやすくなる。よって、優れた変形特性を得ることができる。
または、塩化ビニル系樹脂組成物によれば、塩化ビニル系樹脂と共に可塑剤を含んでおり、その可塑剤がアリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの一方または双方を含んでいる。この塩化ビニル系樹脂組成物の引張弾性率(25℃)は、0.6kPa〜2000kPaである。この場合には、塩化ビニル系樹脂と併用される可塑剤の種類が適正化されると共に、その塩化ビニル系樹脂組成物の引張弾性率も適正化されるため、電圧の印加に応じて塩化ビニル系樹脂組成物が変形しやすくなる。よって、優れた変形特性を得ることができる。
<2.塩化ビニル系樹脂組成物の用途>
次に、上記した本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の用途に関して説明する。
次に、上記した本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の用途に関して説明する。
上記したように、塩化ビニル系樹脂組成物の用途は、特に限定されない。ここでは、例えば、高分子アクチュエータに塩化ビニル系樹脂組成物を適用する場合に関して説明する。
図1は、塩化ビニル系樹脂組成物を用いた高分子アクチュエータの断面構成を表している。この高分子アクチュエータは、例えば、陽極1と、陰極2と、陽極1と陰極2との間に介在する樹脂組成物膜3とを備えている。この樹脂組成物膜3は、陽極1に隣接されていると共に、陰極2に隣接されている。
陽極1および陰極2のそれぞれは、例えば、炭素材料および金属材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、陽極1の形成材料と陰極2の形成材料とは、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
炭素材料の種類は、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブおよびグラフェンなどである。金属材料の種類は、特に限定されないが、例えば、ステンレスなどである。
陽極1および陰極2のそれぞれが金属材料を含んでいる場合、陽極1および陰極2のそれぞれの形状は、特に限定されないが、例えば、平板状、凹部および凸部を有する波板状、ならびに複数の空隙(細孔)を有するメッシュ状などである。ただし、陽極1の形状と陰極2の形状とは、例えば、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。なお、例えば、陽極1および陰極2のうちの一方が波板状またはメッシュ状である場合、他方は平板状(例えば、金属箔)でもよい。
中でも、陽極1および陰極2のそれぞれの形状は、波板状またはメッシュ状であることが好ましい。陽極1および陰極2のそれぞれが平板状である場合と比較して、樹脂組成物膜3を利用した高分子アクチュエータの変形量が増加するからである。
樹脂組成物膜3は、塩化ビニル系樹脂組成物を含む膜であり、すなわち膜状(シート状)に成形された塩化ビニル系樹脂組成物である。この塩化ビニル系樹脂組成物に関する詳細は、上記した通りである。
樹脂組成物膜3の厚さは、特に限定されないが、例えば、約10μm〜1000μmである。ただし、樹脂組成物3の厚さは、上記した範囲内に限られず、高分子アクチュエータの用途などに応じて任意に変更可能である。
この高分子アクチュエータでは、陽極1と陰極2との間に電圧が印加されると、その高分子アクチュエータが作動(変位)する。この場合には、静電気力に起因して陽極1と陰極2とが互いに引き寄せ合うため、樹脂組成物膜3が変形する。これにより、樹脂組成物膜3は、厚さ方向(Z軸方向)において収縮すると共に、その厚さ方向と交差する面方向(X軸方向)において伸張する。
こののち、電圧の印加が停止すると、樹脂組成物膜3は、電圧が印加される前の状態に復帰する。この場合には、樹脂組成物膜3は、厚さ方向において伸張すると共に、面方向において収縮する。
この高分子アクチュエータによれば、樹脂組成物膜3が塩化ビニル系樹脂組成物を含んでおり、その塩化ビニル系樹脂組成物が上記した構成を有している。よって、上記した塩化ビニル系樹脂組成物に関する作用および効果を利用して、陽極1と陰極2との間に印加される電圧が低くても高分子アクチュエータが変位しやすくなる。よって、優れた変位特性を得ることができる。
ここでは、図1に示したように、一対の電極(陽極1および陰極2)により樹脂組成物膜3が挟まれた構成を有する高分子アクチュエータを例に挙げた。しかしながら、高分子アクチュエータの構成は、1または2以上の樹脂組成物膜3を備えていれば、任意に変更可能である。
具体的には、高分子アクチュエータは、例えば、複数の電極が樹脂組成物膜3を介して積層された構成を有していてもよい。この場合には、電極と樹脂組成物膜3とが交互に積層される。積層数は、特に限定されないため、任意に設定可能である。これにより、高分子アクチュエータの変形量がより増加するため、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例に関して詳細に説明する。
(実験例1〜8)
塩化ビニル系樹脂100重量部と、可塑剤X重量部と、熱安定剤3重量部とを混合したのち、その混合物(温度=100℃)を撹拌(撹拌時間=1時間)することにより、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。可塑剤の混合比(上記したXの値)は、表1に示した通りである。
塩化ビニル系樹脂100重量部と、可塑剤X重量部と、熱安定剤3重量部とを混合したのち、その混合物(温度=100℃)を撹拌(撹拌時間=1時間)することにより、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。可塑剤の混合比(上記したXの値)は、表1に示した通りである。
塩化ビニル系樹脂としては、新第一塩ビ株式会社製の塩化ビニル樹脂(PVC) ZEST−1000Z(重合度=1050)を用いた。
可塑剤としては、アリールアルキルスルホン酸エステルであるLANXESS社製のMesamollを用いた。このMesamollの主成分は、式(1−1)に示したペンタデシルスルホン酸フェニル(PSF)と式(1−2)に示したペンタデシルスルホン酸トリル(PST)との混合物である。
なお、可塑剤としては、比較のために、アジピン酸ジブチル(DBA)も用いた。
熱安定剤としては、株式会社ADEKA製の有機錫化合物系熱安定剤 アデカスタブ465Eを用いた。
塩化ビニル系樹脂組成物の物性および変形特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
塩化ビニル系樹脂組成物の物性を調べる場合には、その塩化ビニル系樹脂組成物を用いて作製された試験片の引張弾性率(kPa)を測定した。
具体的には、最初に、塩化ビニル系樹脂組成物に10倍量(重量比)の有機溶剤(テトラヒドロフラン)を加えたのち、その有機溶剤を撹拌した。これにより、有機溶剤により塩化ビニル系樹脂組成物が溶解されたため、試験片を作製するために用いられる溶液が得られた。続いて、ポリテトラフルオロエチレン製の平皿容器に溶液を流し込んだ。続いて、室温(温度=23℃)において溶液を風乾(乾燥時間=24時間)させることにより、試験用のシートを得た。試験用のシートを得る場合には、そのシートの厚さが600μmとなるように、平皿容器に流し込む溶液の量を調整した。続いて、JIS K6251(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に準拠して、試験用のシートをダンベル状6号形の形状となるように打ち抜くことにより、試験片を作製した。最後に、JIS K7661−2(プラスチック−引張特性の求め方−第2部:型成形,押出成形および注型プラスチックの試験条件)に準拠して引張試験を行うことにより、試験片の引張弾性率(kPa)を測定した。測定条件としては、温度=25℃および引張速度=500mm/分とした。
塩化ビニル系樹脂組成物の変形特性を調べる場合には、その塩化ビニル系樹脂組成物を用いて試験用の高分子アクチュエータを作製することにより、その高分子アクチュエータの変位量(μm)を測定した。
具体的には、最初に、試験用のシートを矩形(縦20mm×横20mm)となるように切断することにより、試験片を得た。続いて、陽極の上に試験片を乗せたのち、その試験片の上に陰極を載せることにより、その試験片を陽極および陰極のそれぞれに密着させた。これにより、試験用の高分子アクチュエータが作製された。この場合には、陽極として、ステンレス製の金網(メッシュ=20メッシュ,空間距離=0.80mm)を用いると共に、陰極として、ステンレス製の箔(厚さ=8μm)を用いた。最後に、陽極と陰極との間に直流電圧を印加することにより、レーザ変位計を用いて高分子アクチュエータの変位量(μm)を測定した。高分子アクチュエータに直流電圧が印加されると、陽極と陰極とが互いに引き寄せられることに起因して試験片が陽極に食い込んだため、その試験片に密着されている陰極の位置が変動した。直流電圧を印加する場合には、0.2kV〜1.6kVの範囲内において0.2kVずつ直流電圧の値を変化させた。変位量を測定する場合には、直流電圧を印加していない場合の変位量を0μmとして、試験片に密着された陰極の表面が直流電圧の印加の前後においてずれた量を変位量とした。
表1に示したように、塩化ビニル系樹脂と併用される可塑剤として適正量のアリールアルキルスルホン酸エステルを用いた場合(実験例1〜4)には、その可塑剤としてアリールアルキルスルホン酸エステル以外の材料を用いた場合(実験例5〜7)と比較して、直流電圧が低くても変位量が増加した。
また、可塑剤として適正量のアリールアルキルスルホン酸エステルを用いた場合(実験例1〜4)には、その可塑剤としてアリールアルキルスルホン酸エステル以外の材料を用いた場合(実験例5〜7)と比較して、引張弾性率が増加した。言い替えれば、塩化ビニル系樹脂と共に可塑剤(アリールアルキルスルホン酸エステル)を含む塩化ビニル系樹脂組成物に関して、引張弾性率が適正な範囲内である場合(実験例1〜4)には、その引張弾性率が適正な範囲外である場合(実験例5〜7)と比較して、変位量が増加した。
なお、可塑剤としてアリールアルキルスルホン酸エステル以外の材料を用いた場合には、その可塑剤の量が多くなると(実験例8)、塩化ビニル系樹脂組成物がゾル状になることに起因して試験用のシートを得ることができなかった。よって、引張弾性率および変位量のそれぞれを測定することができなかった。
表1に示した結果から、塩化ビニル系樹脂組成物が塩化ビニル系樹脂と共にアリールアルキルスルホン酸エステルなどの可塑剤を含んでおり、その可塑剤の含有量が適正な範囲内であると、優れた変形特性が得られた。または、塩化ビニル系樹脂組成物が塩化ビニル系樹脂と共にアリールアルキルスルホン酸エステルなどの可塑剤を含んでおり、その塩化ビニル系樹脂組成物の引張弾性率が適正な範囲内であると、優れた変形特性が得られた。
以上、実施形態及び実施例を挙げながら本発明を説明したが、本発明は実施形態及び実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。
具体的には、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、高分子アクチュエータに限られず、その塩化ビニル系樹脂組成物の変形特性を利用可能である他の用途に適用されてもよい。
1…陽極、2…陰極、3…樹脂組成物膜。
Claims (2)
- 塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含み、
前記可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの少なくとも一方を含み、
前記可塑剤の含有量は、前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して100重量部以上1000重量部以下である、
塩化ビニル系樹脂組成物。 - 塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含み、
前記可塑剤は、アリールアルキルスルホン酸エステルおよびN−アルキルアリールスルホン酸アミドのうちの少なくとも一方を含み、
25℃における引張弾性率は、0.6kPa以上2000kPa以下である、
塩化ビニル系樹脂組成物。
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