JP2018154591A - 膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置 - Google Patents

膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018154591A
JP2018154591A JP2017053175A JP2017053175A JP2018154591A JP 2018154591 A JP2018154591 A JP 2018154591A JP 2017053175 A JP2017053175 A JP 2017053175A JP 2017053175 A JP2017053175 A JP 2017053175A JP 2018154591 A JP2018154591 A JP 2018154591A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
raw material
supply path
alkene
material mixture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017053175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6934655B2 (ja
Inventor
雄大 山木
Takehiro Yamaki
雄大 山木
美紀 吉宗
Yoshinori Yoshimune
美紀 吉宗
伸生 原
Nobuo Hara
伸生 原
根岸 秀之
Hideyuki Negishi
秀之 根岸
明 遠藤
Akira Endo
明 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2017053175A priority Critical patent/JP6934655B2/ja
Publication of JP2018154591A publication Critical patent/JP2018154591A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6934655B2 publication Critical patent/JP6934655B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】膜分離装置と蒸留塔を組み合わせ、炭素数が2〜4の範囲内であり同炭素数のアルケンとアルカンを含む混合物から少なくとも一方を濃縮する新規な濃縮方法や濃縮装置を提供する。
【解決手段】膜分離装置と蒸留塔を組み合わせ、炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物からアルケン及び/又はアルカンを濃縮する濃縮方法であって、前記原料混合物を膜分離装置に供給しアルケンを膜透過させて回収するとともに、膜未透過混合物を蒸留塔に供給し、塔頂からの蒸気を前記原料混合物の供給路に循環供給し、塔底からアルカンを回収することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜分離と蒸留を組み合わせ、同炭素数のアルケンとアルカンを含む混合物からそれらの少なくとも一方を濃縮する濃縮方法や濃縮装置に関するものである。
従来、プロピレンやエチレンなどは、ナフサや液化石油ガスのスチームクラッキング、製油所での流動接触分解(FCC: Fluid Catalytic Cracking)、天然ガス中のプロパンの脱水素法、メタノールを原料としたMTO(Methanol To Olefin)法やMTP(Methanol To Propylene)法等により生産されている。
そのような生産過程では、プロピレンはプロパンと分離して濃縮する必要があり、また、エチレンはエタンと分離して濃縮する必要がある。そのような同炭素数のアルケン(プロピレン、エチレン等)とアルカン(プロパン、エタン等)を含む混合物からアルケンを分離、濃縮するには、従来、蒸留塔が用いられているが、その際、多量のエネルギーが消費されることが知られている。
そのような多量のエネルギーが必要とされる濃縮工程については、省エネルギー化が検討されてきており、プロピレンとプロパンの混合物からプロピレンを分離、濃縮する際に膜分離装置を利用することも検討されている。
プロピレンの濃縮における膜分離装置の利用形態としては、蒸留塔を用いず、膜分離装置を1段、又は、2段で使用するもの、1段又は2段の膜分離装置と蒸留塔とをハイブリット化したものが検討されている(非特許文献1参照)。
平成28年度 NEDO 『TSC Foresight』セミナー(第2回)松方正彦「高性能膜分離プロセスの 最新動向と将来展望」8-10頁 http://www.nedo.go.jp/content/100805273.pdf
上述のようなプロピレンの濃縮において、蒸留塔を使用せず、膜分離装置を1段又は2段で使用するものは、原料ガス中のプロピレン濃度が高い場合に有効で、省エネルギー性に優れているとされている。
一方、1段又は2段の膜分離装置と蒸留塔とをハイブリッド化したものは、原料ガス中のプロピレン濃度が高い場合だけでなく比較的低き場合でも省エネルギー化が可能であるとされている。
膜分離装置と蒸留塔とのハイブリッド化の形態としては、膜分離装置の膜透過物を蒸留塔の上段側へ、膜未透過混合物を同蒸留塔の下段側へ供給し、蒸留塔の塔頂からプロピレンを塔底からプロパンを、それぞれ回収することが検討されている。
本発明は、上述のような従来技術を背景とするものであり、膜分離装置と蒸留塔を組み合わせ、炭素数が2〜4の範囲内であり同炭素数のアルケンとアルカンを含む混合物から少なくとも一方を濃縮する新規な濃縮方法や濃縮装置を提供することを課題とする。
本発明者は、膜分離装置と蒸留塔とをハイブリッド化した濃縮について、原料の種類や濃度等の適用範囲が広く、また、既存のプラントの改修利用が可能である等の利点を有することを認識した。
そのような認識の下、本発明者は、上述以外のハイブリッド化の態様の可能性について鋭意検討した。そのような検討過程において、本発明者は、ハイブリッド化の有用な態様を見出し、本発明を完成するに至った。
本件では、以下のような発明が提供される。
<1>膜分離装置と蒸留塔を組み合わせ、炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物からアルケン及び/又はアルカンを濃縮する濃縮方法であって、前記原料混合物を膜分離装置に供給しアルケンを膜透過させて回収するとともに、膜未透過混合物を蒸留塔に供給し、塔頂からの導出物を前記原料混合物の供給路に循環供給し、塔底からアルカンを回収する濃縮方法。
<2><1>に記載の濃縮方法において、膜分離装置を2段に設け、前記原料混合物を1段目膜分離装置に供給し、その膜透過物を2段目膜分離装置に供給しアルケンを膜透過させて回収するとともに、1段目膜分離装置の膜未透過混合物を蒸留塔に供給し、2段目膜分離装置の膜未透過混合物を前記原料混合物の供給路に循環供給する濃縮方法。
<3>前記膜分離装置の理想分離係数が90以上である<1>又は<2>に記載の濃縮方法。
<4>炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物の供給路と、前記原料混合物の供給路に接続され、アルケンを膜透過させる膜分離装置と、前記膜分離装置に接続され、その膜透過アルケンを回収するアルケン回収路と、蒸留塔と、前記膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記蒸留塔に供給する膜未透過混合物供給路と、前記蒸留塔の塔頂からの蒸気を前記原料混合物の供給路に循環供給する蒸気循環供給路と、前記蒸留塔の塔底からのアルカンを回収するアルカン回収路を具備する濃縮装置。
<5>炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物の供給路と、前記原料混合物の供給路に接続される1段目膜分離装置と、前記1段目膜分離装置に接続され、その膜透過物を2段目膜分離装置に供給する膜透過物供給路と、前記2段目膜分離装置に接続され、その膜透過アルケンを回収するアルケン回収路と、蒸留塔と、前記1段目膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記蒸留塔に供給する膜未透過混合物供給路と、前記2段目膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記原料混合物供給路に循環供給する膜未透過混合物循環供給路と、前記蒸留塔の塔頂からの蒸気を前記原料混合物供給路に循環供給する蒸気循環供給路と、前記蒸留塔の塔底からのアルカンを回収するアルカン回収路を具備する濃縮装置。
<6>前記膜分離装置は、理想分離係数が90以上である<4>又は<5>に記載の濃縮装置。
本発明は、次のような態様を含むことができる。
<7>前記塔底から導出されるアルカン液の一部を加熱して前記蒸留塔の最下段の棚段に還流する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の濃縮方法。
<8>前記蒸留塔の塔頂から導出するアルケン蒸気の一部を凝縮して最上部の棚段に還流する<1>〜<3>、<7>のいずれか1項に記載の濃縮方法。
<9>アルケンとしてプロピレンを、アルカンとしてプロパンを、それぞれ用いる<1>〜<3>、<7>、<8>のいずれか1項に記載の濃縮方法。
<10><4>〜<6>のいずれか1項に記載の濃縮装置において、前記塔頂からのアルケン蒸気の一部を最上段の棚段に還流する塔頂側還流路と、該塔頂側還流路に設けたコンデンサと、前記塔底からのアルカン液の一部を最下段の棚段に還流する塔底側還流路とをさらに具備する濃縮装置。
<11>アルケンとしてプロピレンを、アルカンとしてプロパンを、それぞれ用いる<4>〜<6>、<10>のいずれか1項に記載の濃縮装置。
本発明の濃縮方法や濃縮装置によれば、炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む混合物からアルケンとアルカンの少なくとも一方を比較的少ないエネルギーで効果的に濃縮することができる。
本発明の実施例1の濃縮方法、濃縮装置を示す概略図。 参考例1の濃縮方法、濃縮装置を示す概略図。 参考例2の濃縮方法、濃縮装置を示す概略図。 先行例の濃縮方法、濃縮装置を示す概略図。 本発明の実施例1、参考例1、参考例2、及び、先行例について、蒸留塔の棚段数を変化させた際のエネルギー消費量のシミュレーション結果を示す図。 本発明の実施例1について、膜分離装置の理想分離係数を変化させた場合のエネルギー消費量のシミュレーション結果を示す図。 本発明の実施例2の濃縮方法、濃縮装置を示す概略図。
本発明の実施例1の濃縮方法、濃縮装置を示す概略図である図1に基づき、原料として同炭素数のアルケン(低沸点成分)とアルカン(高沸点成分)とを含む混合物を用い、アルケンとアルカンの少なくとも一方を濃縮する場合について説明する。
本発明の実施例1の濃縮装置は、アルケンとアルカンとを含む原料混合物の供給路と、前記原料混合物の供給路に接続される膜分離装置と、前記膜分離装置に接続され、その膜透過物を低沸点成分(アルケン)として回収する低沸点成分回収路と、蒸留塔と、前記膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記蒸留塔に供給する膜未透過混合物供給路と、前記蒸留塔の塔頂からの導出物(蒸気)を前記原料混合物の供給路に循環供給する塔頂導出物循環供給路と、前記蒸留塔の塔底からの導出物を高沸点成分(アルカン)として回収する高沸点成分回収路を具備する。
膜分離装置の分離膜は、理想分離係数が30以上、好ましくは50以上、より好ましくは90以上のものである。分離膜の理想分離係数は高い方が濃縮装置の省エネルギー効果が高くなるが、90を境として省エネルギー効果が特に顕著に表れる。分離膜の理想分離係数の上限は限定する必要がなく、実現可能な範囲(現状では、100程度まで)のものであれば利用できる。膜分離装置の分離膜としては、FAU型ゼオライト分離膜、BEA型ゼオライト膜(非特許文献1第10頁参照)、MOF膜、シリカ膜等が挙げられるが、理想分離係数が90程度以上の可能なFAU型ゼオライト分離膜、BEA型ゼオライト膜が好ましい。
膜分離装置の形式としては、十字流式、向流式、並流式などの形式が存在するが、いずれの形式も採用することができる。
膜分離装置では、アルケンとアルカンは気体状態で膜分離されるので、原料混合物が液体を含むなどの状態に応じて、原料混合物の供給路に原料混合物を加熱する、加熱器を設けることもできる。
膜分離装置での膜透過アルケンは、膜分離装置に接続されたアルケン回収路を通じて回収される。膜分離装置の膜透過側の圧力を膜未透過側より低くするため、図1の実施例1では、アルケン回収路に圧縮機や冷却器を設けている。
膜分離装置の分離膜を透過しなかった膜未透過混合物は、膜未透過混合物供給路を通じて蒸留塔に供給される。その際、膜未透過混合物は、そのアルケン濃度と棚段上のアルケン濃度との差異が最も小さくなる棚段に供給される。
供給される膜未透過混合物は、その温度が供給される棚段内と大差がないように、原料混合物供給路の加熱器を調整することが望ましい。蒸留塔の棚段に供給される膜未透過混合物の温度を該棚段内の温度に近づけるように、膜未透過混合物供給路に膜未透過混合物の温度を調整する加熱器及び/又は冷却器などの温度調節器を設けることも必要に応じて可能である。
蒸留塔としては、公知の棚段塔や充填塔のいずれのものも使用可能である。蒸留塔の棚段数は、限定するものではないが、10〜300段とすることができる。後述の実施例1のシミュレーション解析例にみられるように、参考例1、参考例2では、蒸留塔の棚段数が100程度以下より少なくなると、エネルギー消費量が急激に増大するのに対し、本発明の濃縮方法や濃縮装置では、蒸留塔の棚段数が100程度以下より少なくなってもエネルギー消費量はほとんど増加しないという利点を有している。
蒸留塔の塔底からの導出物は、リボイラーで加熱された後、その一部は塔底側還流路を通じて最下段の棚段に還流され、残部は、アルカン回収路を通じてアルカンとして回収される。アルカンを気体として回収する場合には、アルカン回収路のリボイラー下流側に加熱器を設けることができる。アルカンを液体として回収する場合には、アルカン回収路のリボイラー下流側に冷却器を設けることもできる。
蒸留塔の塔頂からの導出物は、その一部は、塔頂側還流路に設けたコンデンサで冷却された後、蒸留塔の最上段の棚段に還流され、残部は、蒸気循環供給路を通じて前記原料混合物供給路に循環供給され、原料混合物とともに膜分離装置に供給される。
図1の実施例1では、膜分離装置が1段の例であるが、複数段とすることもできる。例えば、膜分離装置を2段とする場合には、図7の実施例2のように構成することができる。その場合、原料混合物は1段目の膜分離装置Aに供給され、その膜透過物は、2段目の膜分離装置Bに供給され、そこで膜透過したアルケンは回収されるとともに、1段目膜分離装置Aの膜未透過混合物は、蒸留塔に供給され、2段目膜分離装置Bの膜未透過混合物は、前記原料混合物の原料混合物供給路に循環供給される。
本発明における濃縮対象は、炭素数がプロピレン(プロペン)とプロパンを含む混合物だけでなく、炭素数が2〜4の範囲内で同炭素数であるアルケン(低沸点成分)とアルカン(高沸点成分)を含む混合物、すなわち、エチレン(エテン)とエタンを含む混合物、1−ブチレン(1−ブテン)とn−ブタンを含む混合物にも適用することができる。
原料混合物におけるアルケンの濃度としては、限定するものではないが、60〜90モル%の範囲内である場合に、比較的低エネルギーでの濃縮が可能となる。
アルケンとアルカンを含む原料混合物は、それ以外の成分や不純物などを含有しないことが望ましいが、濃縮に支障がない程度であれば、それ以外の成分や不純物を所定量以下(例えば、10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下)含有することも許容される。
<参考例1、参考例2、先行例、及び、実施例1のシミュレーション解析例1>
指標として用いた参考例1と参考例2の濃縮装置、及び、上記の実施例1の濃縮装置について、濃縮に必要なエネルギー消費量の比較をシミュレーションにより行う。
(参考例1の濃縮装置)
参考例1の濃縮装置の構成を図2に示す。この濃縮装置は、1台の膜分離装置と、1台の蒸留塔、リボイラー、3台の加熱器、コンデンサ、圧縮機、冷却器を備える。原料混合物は蒸留塔に供給され、蒸留塔の塔頂からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて膜分離装置に供給され、その膜透過物は、低沸点成分として回収され、膜未透過混合物は蒸留塔に循環供給され、蒸留塔の塔底からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて、高沸点成分として回収される。
(参考例2の濃縮装置)
参考例2の濃縮装置の構成を図3に示す。この濃縮装置は、1台の膜分離装置と、1台の蒸留塔、リボイラー、2台の加熱器、コンデンサ、圧縮機、冷却器を備える。原料混合物は原料混合物供給路を通じて膜分離装置に供給され、その膜透過物は、低沸点成分(アルケン)として低沸点成分回収路Aを通じて回収され、膜分離装置の膜未透過混合物は、膜未透過混合物供給路を通じて蒸留塔に供給され、蒸留塔の塔頂からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて低沸点成分(アルケン)として低沸点成分回収路Bを通じて回収され、蒸留塔の塔底からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて、高沸点成分(アルカン)として高沸点成分回収路を通じて回収される。
(先行例の濃縮装置)
先行例(非特許文献1の8頁参照)の濃縮装置の構成を図4に示す。この濃縮装置は、1台の膜分離装置と、1台の蒸留塔、リボイラー、2台の加熱器、コンデンサ、圧縮機、2台の冷却器を備える。原料混合物は原料混合物供給路を通じて膜分離装置に供給され、その膜透過物は、圧縮機とその下流の冷却器とを有する膜透過物供給路を通じて蒸留塔の上段側へ供給され、前記膜分離装置の膜未透過物は蒸留塔の下段側に供給され、蒸留塔の塔頂からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて低沸点成分(アルケン)として低沸点成分回収路を通じて回収され、蒸留塔の塔底からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて、高沸点成分(アルカン)として高沸点成分回収路を通じて回収される。
(シミュレーション解析の設定条件)
エネルギー消費量を確認するために、図2の参考例1、図3に示した参考例2、又は、図1に示した実施例1の濃縮装置を用いて、プロピレンとプロパンからなる混合物を原料とし、入力時におけるプロピレンの濃度を90モル%、プロパンの濃度10モル%として、毎時1592キロモルを供給するとして、膜分離装置の透過側の最終出口(参考例2の場合には、膜分離装置の透過側の最終出口と蒸留塔の塔頂側の最終出口を合わせたもの)におけるプロピレンの濃度が高濃度(99.5モル%以上)、プロピレンの回収率(最終出口のプロピレンの流量と入力されたプロピレンの流量の比)が99.5%となるようにプロピレンの分離操作を行った場合における、分離に必要なエネルギー消費量(加熱器、リボイラー、圧縮機への投入エネルギー量)を、プロセスシミュレーションソフトウェアによりシミュレーション解析を行った。なお、冷却の熱源としては河川水や地下水などがそのまま利用できるため、冷却器やコンデンサで使用されるエネルギーは考慮していない。
シミュレーションで用いた蒸留塔と膜分離装置の主な仕様、及び、シミュレーションモデルは、下記のとおりである。
(蒸留塔と膜分離装置の仕様)
蒸留塔:棚段、段数230段。蒸留塔の塔頂の圧力2040kPa。
膜分離装置:FAU型ゼオライト分離膜。操作温度120℃、混合物の供給圧力2040kPa、透過側の操作圧力600kPa、プロピレンとプロパンの理想選択性100。(酒井求、佐々木康人、松方正彦、加圧条件下におけるFAU型ゼオライト膜のプロピレン/プロパン分離特性、石油学会第59年会講演要旨集、A03、2016)。膜分離装置のステージカット(膜分離装置の透過側の流量と膜分離装置に入力する流量の比)は、参考例1が0.8で、参考例2と実施例1は、0.9。
(シミュレーションモデル)
プロセスシミュレーションにより、分離に必要なエネルギー消費量の解析を行うため、蒸留塔の解析には平衡段モデルを、膜分離装置の解析には十字流プラグフローモデルを用いた。計算を行う上での仮定として、膜分離装置の操作温度は一定、膜分離装置内での圧力損失はなし、膜分離装置の理想分離係数の混合物の濃度依存はなしとした。

(シミュレーション解析結果)
参考例1、参考例2、先行例、及び、実施例1についてのシミュレーション解析結果を表1に示す。
表1から明らかなように、参考例2の濃縮装置は、先行例とほぼ同程度であるが、参考例1と比べると、エネルギー消費量の合計値が大幅に小さく、省エネルギー効果が大きい。
本発明の実施例1の濃縮装置は、エネルギー消費量の合計値が参考例1に較べ大幅に小さく、参考例2や先行例に比べもさらに小さくなっており、省エネルギー効果が最も優れている。
Figure 2018154591
<蒸留塔の棚段数を変化させた場合のシミュレーション解析例2>
図1に示した実施例1、図2に示した参考例1、図3に示した参考例2、及び、図4に示した先行例のそれぞれの濃縮装置を用いて、プロピレンとプロパンからなる混合物を原料とし、入力時におけるプロピレンの濃度を90モル%、プロパンの濃度10モル%として、毎時1592キロモルを供給するとして、膜分離装置の透過側の最終出口(参考例2の場合は、膜分離装置の透過側の最終出口と蒸留塔の塔頂側の最終出口を合わせたもの)におけるプロピレンの濃度が高純度(99.5モル%以上)、プロピレンの回収率(最終出口のプロピレンの流量と入力されたプロピレンの流量の比)が99.5%となるようにプロピレンの分離操作を行う場合において、蒸留塔の棚段数を減らした場合における、濃縮に必要なエネルギー消費量を上記シミュレーション解析例1と同様にしてシミュレーション解析を行った。
シミュレーション解析結果を図4に示す。図4は、実施例1、参考例1、参考例2、先行例のそれぞれの濃縮装置について、蒸留塔の棚段数に対するエネルギー消費量の関係を示している。図1に示した実施例1の濃縮装置を用い、蒸留塔の塔頂の混合物の一部を膜分離装置の原料混合物供給路に循環供給することで、蒸留塔の棚段数が少ない条件でも、エネルギー消費量はほぼ同等であることが確認できた。参考例1や、参考例2の濃縮装置についての結果と比較して、実施例1の濃縮装置を用いることで、蒸留塔の棚段数の削減と、エネルギー消費量の削減ができることが確認できた。
<原料混合物中のプロピレン濃度を変化させた場合のシミュレーション解析例3>
図7に示した実施例2、図2に示した参考例1、及び、図3に示した参考例2、及び、図4に示した先行例のそれぞれの濃縮装置を用いて、原料混合物に含まれるプロピレン濃度を変化させた場合のシミュレーションを行った。
(実施例2の濃縮装置)
実施例2の濃縮装置の構成を図7に示す。この濃縮装置は、2台の膜分離装置と、1台の蒸留塔、リボイラー、2台の加熱器、コンデンサ、2台の圧縮機、2台の冷却器を備える。原料混合物は原料混合物供給路を通じて1段目膜分離装置Aに供給され、その膜透過物は、膜透過物供給路を通じて2段目膜分離装置Bに供給され、その膜透過物は、低沸点成分(アルケン)として低沸点成分回収路を通じて回収され、2段目膜分離装置Bの膜未透過混合物は、膜未透過混合物循環供給路を通じて原料混合物供給路に循環供給され、1段目膜分離装置の膜未透過混合物は、膜未透過混合物供給路を通じて蒸留塔に供給され、蒸留塔の塔頂からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて塔頂導出物循環供給路を通じて原料混合物供給路に循環供給され、蒸留塔の塔底からの導出物は、蒸留塔に還流される一部を除いて、高沸点成分(アルカン)として高沸点成分回収路を通じて回収される。
原料混合物をプロピレンとプロパンとからなるものとし、その入力時におけるプロピレンの濃度を60モル%、プロパンの濃度を40モル%として、その時の流量は2388kmol/hとして、膜分離装置の透過側の最終出口におけるプロピレンの濃度が高純度(99.5モル%以上)、プロピレンの回収率(最終出口のプロピレンの流量と入力されたプロピレンの流量の比)が99.5%となるようにプロピレンの分離操作を行う場合において、蒸留塔の棚段数を230段として、分離に必要なエネルギー消費量(2台の加熱器、リボイラー、2台の圧縮機への投入エネルギー量の合計値)を、プロセスシミュレーションソフトウェアによりシミュレーション解析を行った。
その解析結果を表2に示す。参考例2の濃縮装置の場合では、原料混合物のプロピレン濃度が60モル%のように低い値である場合、エネルギー消費量の合計は増大する。一方、実施例2の濃縮装置では、原料混合物のプロピレン濃度が60モル%のように低い値である場合でも、エネルギー消費量の合計は参考例1や先行例に較べ小さいことから、省エネルギー効果が高いといえる。
Figure 2018154591
<膜分離装置の理想分離係数を変化させた場合のシミュレーション解析例4>
実施例1の濃縮装置について、膜分離装置の理想分離係数を変化させた以外は上記シミュレーション解析例1と同様にしてシミュレーション解析を行った。その解析結果を図6に示す。
膜分離装置の理想分離係数が90程度まで増加するにつれ、実施例1の濃縮装置のエネルギー消費量合計は急激に減少した。膜分離装置の理想分離係数が90以上では、エネルギー消費量の減少は緩やかである。膜分離装置の理想分離係数が90〜100程度のものは、FAU型ゼオライト分離膜、BEA型ゼオライト膜などによって実現されているので、本発明を実際の濃縮装置に応用した場合でも同様の省エネルギー効果が得られると考えられる。
本発明は、例えば、プロピレンとプロパン等の同炭素数のアルケンとアルカンとを含む混合物からそれらの少なくとも一方を高濃度に分離、濃縮するための手段として有利に利用することができ、産業上の利用可能性は極めて高い。
本発明は、既設の蒸留塔に膜分離装置を導入する手段としても利用可能であり、また、新設の膜分離と蒸留を組み合わせた装置を設計する手段としても利用可能であり、産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (6)

  1. 膜分離装置と蒸留塔を組み合わせ、炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物からアルケン及び/又はアルカンを濃縮する濃縮方法であって、前記原料混合物を膜分離装置に供給しアルケンを膜透過させて回収するとともに、膜未透過混合物を蒸留塔に供給し、塔頂からの導出物を前記原料混合物の供給路に循環供給し、塔底からアルカンを回収する濃縮方法。
  2. 請求項1に記載の濃縮方法において、膜分離装置を2段に設け、前記原料混合物を1段目膜分離装置に供給し、その膜透過物を2段目膜分離装置に供給しアルケンを膜透過させて回収するとともに、1段目膜分離装置の膜未透過混合物を蒸留塔に供給し、2段目膜分離装置の膜未透過混合物を前記原料混合物の供給路に循環供給する濃縮方法。
  3. 前記膜分離装置の理想分離係数が90以上である請求項1又は2に記載の濃縮方法。
  4. 炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物の供給路と、前記原料混合物の供給路に接続され、アルケンを膜透過させる膜分離装置と、前記膜分離装置に接続され、その膜透過アルケンを回収するアルケン回収路と、蒸留塔と、前記膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記蒸留塔に供給する膜未透過混合物供給路と、前記蒸留塔の塔頂からの導出物を前記原料混合物の供給路に循環供給する塔頂導出物循環供給路と、前記蒸留塔の塔底からのアルカンを回収するアルカン回収路を具備する濃縮装置。
  5. 炭素数が2〜4の範囲内でかつ同炭素数のアルケンとアルカンとを含む原料混合物の供給路と、前記原料混合物の供給路に接続される1段目膜分離装置と、前記1段目膜分離装置に接続され、その膜透過物を2段目膜分離装置に供給する膜透過物供給路と、前記2段目膜分離装置に接続され、その膜透過アルケンを回収するアルケン回収路と、蒸留塔と、前記1段目膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記蒸留塔に供給する膜未透過混合物供給路と、前記2段目膜分離装置に接続され、その膜未透過混合物を前記原料混合物供給路に循環供給する膜未透過混合物循環供給路と、前記蒸留塔の塔頂からの導出物を前記原料混合物供給路に循環供給する塔頂導出物循環供給路と、前記蒸留塔の塔底からのアルカンを回収するアルカン回収路を具備する濃縮装置。
  6. 前記膜分離装置は、理想分離係数が90以上である請求項4又は5に記載の濃縮装置。
JP2017053175A 2017-03-17 2017-03-17 膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置 Active JP6934655B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017053175A JP6934655B2 (ja) 2017-03-17 2017-03-17 膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017053175A JP6934655B2 (ja) 2017-03-17 2017-03-17 膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018154591A true JP2018154591A (ja) 2018-10-04
JP6934655B2 JP6934655B2 (ja) 2021-09-15

Family

ID=63716080

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017053175A Active JP6934655B2 (ja) 2017-03-17 2017-03-17 膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6934655B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6682053B1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-15 木村化工機株式会社 溶剤回収システム
WO2020084803A1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-30 木村化工機株式会社 溶剤回収システム
WO2020085432A1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-30 木村化工機株式会社 溶剤回収システム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6682053B1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-15 木村化工機株式会社 溶剤回収システム
WO2020084803A1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-30 木村化工機株式会社 溶剤回収システム
WO2020085432A1 (ja) * 2018-10-25 2020-04-30 木村化工機株式会社 溶剤回収システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6934655B2 (ja) 2021-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105339062B (zh) 使用分隔塔的分离方法
KR101804637B1 (ko) 증류 장치
US9770674B2 (en) Purification device and purification method using the same
RU2556214C1 (ru) Способы и устройства для производства олефина
JP2011515500A (ja) オレフィン生成のための改善された分離プロセス
KR102387634B1 (ko) 증류 장치 및 증류 방법
JP6934655B2 (ja) 膜分離と蒸留を組み合わせた濃縮方法及び装置
TW200940501A (en) Process for separating propane and propylene using a distillation column and a membrane separation column
TWI630948B (zh) 水溶性有機物之濃縮方法及水溶性有機物之濃縮裝置
JP2020022961A (ja) 熱的結合を用いてエネルギー消費を低減するための方法
CN103998403A (zh) 用惰性稀释剂的烃脱氢
RU2662809C1 (ru) Рекуперация тепла из колонны фракционного разделения нафты
CA2921546C (en) Fractionation system having rectifying and stripping columns in a single vessel with a uniform diameter
KR101686278B1 (ko) 알칸올의 정제 장치
JP2009275019A (ja) 水−アルコール組成物の精製方法
US8524046B2 (en) Distillation column pressure control
JP2021138646A (ja) アルケン及び/又はアルカンの濃縮方法並びに濃縮装置
KR20160098340A (ko) 파라크실렌 플랜트에서의 열 회수의 증대
US9643901B2 (en) Method and device for generating an alkene
JPS6045550A (ja) メチルアミン類の製造法
KR101686277B1 (ko) 알칸올의 제조 장치
Parmar et al. Energy reduction and improved product recovery with enhanced safety of industrial scale propane‐propylene separation process
JP2013209391A (ja) プロピレンオキサイドの回収方法
KR101569240B1 (ko) 알칸올의 제조 장치
JP2014159464A (ja) 直鎖アルファオレフィンを製造するためのシステムおよびプロセス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201111

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210304

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20210304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210817

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6934655

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150